説明

X線画像形成システム

【課題】1つの画像形成システムで、ボリュームリアルタイム断層撮影画像形成と、リアルタイム多面X線透視法と、リアルタイム立体透視画像形成とを組み合わせることを可能にする。
【解決手段】X線スキャナが、画像形成体積28の周囲に円筒形構成に配列されるX線検出器16のアレイ12と、検出器アレイ12の外側の周囲に螺旋形構成で延在する多焦点X線源とを備える。検出器アレイ12内の螺旋形の隙間24によって、X線源20からのX線が、画像形成体積28内にいる患者26を通過して、スキャナの反対側にある検出器16上に達することができるようになる。螺旋形軌跡23に沿ったいくつかのX線源点からX線が生成され、断層撮影画像が生成されるように、X線源が制御される。患者が静止しており、X線源点が電気的に変更されるので、走査速度は、リアルタイム3次元ビデオ画像として表示することができる一連の画像を生成するのに十分に速い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はX線画像形成システムに関する。それは医療用コンピュータ断層撮影(CT)走査において特に応用形態を有するが、他の適当な応用形態においても同じく用いることができる。
【背景技術】
【0002】
X線コンピュータ断層撮影スキャナは、何年にもわたって医療用画像形成において用いられてきた。従来のシステムは1つの軸を中心にして回転するX線管と、同じ軸を中心にして同じ速度で同じく回転するアーチ形のX線検出器アレイとを備える。患者は、その重心が回転軸の近くになるように配置され、X線管が回転するのに応じて、その軸に沿って動かされる。X線放射の扇形ビームが放射源から患者を通ってX線検出器アレイまで送られる。
【0003】
X線検出器アレイは、その長さに沿った各場所において患者の中を通過するX線の強度を記録する。各放射源角において1組の投影データが記録される場合には、これらの記録されたX線強度から、通常フィルタ補正逆投影アルゴリズムによって、断層撮影(断面)画像を形成することができる。患者の一部のような、或る物体の正確な断層撮影画像を生成するために、X線源がその物体を通る全ての平面を通過する必要があることがわかっている。上記の構成では、これは、X線源を回転方向に走査し、且つ患者を長手方向に動かすことによって達成される。
【0004】
このタイプのシステムでは、X線断層撮影走査データを収集することができる速度は、X線源及び検出器アレイを保持するガントリの回転速度による。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
最近の医療用ガントリでは、X線管−検出器アセンブリ及びガントリ全体が毎秒2回転を達成するであろう。これにより、毎秒4つまでの断層撮影走査データを収集できるようになる。
【0006】
最新技術が開発されたので、X線検出器の単一リングがX線検出器の複数のリングによって置き換えられている。これにより、単一走査装置から改変されたフィルタ補正逆投影法を用いて、多数のスライス(通常8個まで)が同時に走査され、再構成されるようになる。この過程をさらに改善したものでは、X線源が患者の周囲で螺旋形を描くように、患者の位置をスキャナの軸に沿って動かし得る。これにより、原理的には、さらに正確なボリューム画像再構成を提供することができる、より高度なコーンビーム画像再構成法を適用できるようになる。患者の物理的な動き及び患者を中心にしたX線源の回転の組み合わせを、複数のリングのX線検出器と組み合わるとき、数秒の間に、患者のボリューム画像を入手できるようになる。
【0007】
さらに別の発展形態では、掃引式電子ビームスキャナが具現されており、それによれば、X線源及びX線検出器の機械的な走査運動をなくして、代わりに患者を包囲するX線検出器の連続したリング(又は複数のリング)を用いて、アーチ形の陽極の周囲で電子ビームを掃引する結果として、X線源の動きが生み出される。これにより、従来のスキャナの場合よりも迅速に画像を入手できるようになる。スキャナの軸に沿って同時に患者を動かすことにより、ほぼ1秒の時間スケールでボリューム画像データを取得し得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、X線画像形成システムであって、システムによって画像形成されることになる画像形成体積の周囲に延在し、且つ画像形成体積を通ってX線を誘導することができるX線源点の軌跡を規定する多焦点X線源と、同じく画像形成体積の周囲に延在し、且つ画像形成体積を通過した源点からのX線を検出するように構成されるX線検出器アレイとを備え、X線源点は、画像形成体積の周囲の3次元の軌跡に従うように構成され、検出器アレイからのデータを用いて、画像形成体積内の静止物体の3次元断層撮影画像を生成できるようにする、X線画像形成システムを提供する。
【0009】
好ましくは、検出器アレイはほぼ円筒形であり、上記軌跡は円筒の円周の少なくとも半分、さらに好ましくは全円周、及び円筒のほぼ全長を覆う。さらに好ましくは、軌跡はほぼ螺旋形である。
【0010】
しかしながら、画像形成体積内にある物体が断層撮影によって十分に画像形成されるようにする他の軌跡構成も同じく用いることができることは理解されよう。その軌跡は、画像形成体積を通過するほぼ全ての平面を通過することが好ましい。
【0011】
システムは、X線源点をそれぞれ起動すると共に、個々の画像データセットを収集することにより、画像形成体積を走査するように構成される制御手段と、データセットから画像形成体積の3次元画像を生成するように構成される画像形成手段とをさらに備えることが好ましい。制御手段は、画像形成体積を繰返し走査して、画像形成体積の連続した画像を生成するように構成されることが好ましい。システムは、連続した画像を表示し、画像形成体積のリアルタイムビデオ画像を生成するように構成される表示手段をさらに備えることがさらに好ましい。
【0012】
制御手段は、X線源点のうちの1つを起動して、物体の平面画像を生成し、且つ表示するために平面画像を記憶するようにさらに構成されることが好ましい。制御手段は、X線源点のうちの上記1つを繰返し起動して、一連の平面画像を生成し、且つ平面画像を順に表示して、平面ビデオ画像を生成するように構成されることがさらに好ましい。制御手段は、平面画像データセットを生成する第1のモードと、断層撮影画像データセットを生成する第2のモードとの間で交互に切り替わり、且つデータセットを処理して、合成された表示を生成するための合成された画像データセットを生成するように構成されることがさらに好ましい。
【0013】
平面画像は、X線透視画像を含んでもよい。そのような平面画像は、リアルタイムビデオ画像を生成するために用いられるときには特に、患者の体内にあるカテーテルのような器具の位置をリアルタイムにモニタすることができる、医療手術のモニタリングを含む、種々の目的のために用いられる。
【0014】
実際に、本発明は、画像形成体積の周囲にあり、画像形成体積を通してX線を誘導することができる複数のX線源点を規定するX線源と、画像形成体積の周囲に延在し、且つ画像形成体積を通過したX線源点からのX線を検出するように構成されるX線検出器アレイと、X線源を制御してX線源点のうちの1つからX線を生成し、平面画像データセットを生成する第1のモードと、X線源を制御して源点のうちのそれぞれからX線を生成し、断層撮影画像データセットを生成する第2のモードとの間で交互に切り替わり、且つデータセットを処理して、合成された表示を生成するための合成された画像データセットを生成するように構成される制御手段とを備える、X線画像形成システムをさらに提供する。
【0015】
わずか1枚の平面画像を生成するのではなく、複数のX線源点を用いて、種々の平面内にある複数の平面画像を生成することができる。
【0016】
制御手段は、X線源点のうちの上記1つに近い、X線源点のうちのさらに別の1つを起動し、それにより一対のデータセットを生成し、且つ平面画像又は複数の平面画像のそれぞれが立体画像になるようにデータセットを合成するように構成されてもよい。
【0017】
制御手段は、データセットのうちの一方からデータセットのうちの他方にフィーチャをマッピングして、データセットのうちの他方から生成される画像を改善することによって、データセットを処理するように構成されることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態によるX線スキャナの概略的な斜視図である。
【図2】図1のスキャナの断面図である。
【図3】図1のスキャナを含むスキャナシステムのシステム図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に従って再構成される図1のスキャナの概略的な斜視図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に従って再構成される図1のスキャナの断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態によるX線スキャナの概略的な斜視図である。
【図7】本発明の第3の実施形態によるX線スキャナの概略的な斜視図である。
【図8】本発明の第4の実施形態によるX線スキャナの概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の好ましい実施形態を添付の図面を参照しながら説明する。図1を参照すると、X線スキャナ10が、検出器素子16から成る何百もの個別のリング14から形成される円筒形の多素子検出器アレイ12を備える。各リング14は通常1〜3mmの幅を有してもよく、リング内の個々の検出器素子間の中心間の間隔は1〜3mmである。検出器アレイ12の直径は通常60〜80cmの範囲内にある。個々の検出器素子16は、X線を検出することに関して良好な効率を有することが好ましく、たとえば、高密度シンチレータ、半導体材料又は加圧気体イオン化チャンバから製造することができる。検出器アレイ12は、長手方向の中心軸Zを有し、患者26がアレイ12の内側のほぼ中心軸Z上に配置されるように構成される。
【0020】
図2に示されるように、多焦点X線源20が、X線センサアレイ12の外側に螺旋状に巻きつけられる。X線源20によって、X線源20に沿って離隔して配置されるいくつかのX線源点22のそれぞれからX線が放射されるようになる。多焦点X線源20からのX線は、検出器アレイ12内に存在する透明な螺旋形スロット24を通過し、各X線源点22が検出器アレイ12の反対側にある一群のX線検出器素子16にX線を照射するようにX線源点22と位置合わせされる。
【0021】
図1に示されるように、検出器アレイ12内のスロット24は、X線源点22の軌跡23が生成されるように切り取られる。この螺旋状スロット24及び、結果として形成される螺旋状のX線源点軌道は、X線が患者26の体内を透過した後に収集される1組のデータが、真の3次元画像再構成を形成するのに数学的に十分なデータであることを意味する。これは、X線源点22の軌跡23が、基本的にはセンサアレイ12内の体積と定義され、すなわちアレイ12の径方向内側にあり、且つ2つの長手方向の端部30と32との間にある走査体積28を通る全ての平面を通過するためである。
【0022】
多焦点X線源20は、複数のグリッド制御式電子放出器に対して高い正の電位に保持される連続した陽極を備える。各放出器は次々に「オン」に切り替えられて、対応する電子ビームがターゲットに照射され、それにより個々のX線源点22からX線放射が生成される。起動されているグリッド制御式電子放出器を変更することにより、患者の周囲でX線源を動かす効果を生み出すことができる。X線源20は厚みのあるハウジング内に収容され、X線検出器16、及びX線源20の近くにあるシステム内の他の構成要素にX線が照射されるのを防ぐ。適当なX線源の一例が、本発明者らによる同時係属中の英国特許出願第0309383.8号「X-Ray Tube Electron Sources」に記載される。
【0023】
X線源20からのX線のコリメーションは患者26への照射線量を最小限に抑えるために重要である。それゆえ、X線源20は、そのX線源20と対応する検出器との間に直に横たわっている患者26の部分のみにX線ビームを制限するように構成されるコリメータを備える。いくつかの適当なコリメーションシステムが、「X-Ray Source」と題する本発明者らによる同時係属中の英国特許出願第0309374.7号、同じく「Radiation Collimation」と題する英国特許出願第0216891.2号に開示される。
【0024】
患者26の画像を形成するために、患者は、画像を作成されることになる自分の体の部分が走査体積28内に置かれるようにする。その後、患者26は静止したままで、各X線源点22が次々に動作して、患者を走査し、X線源点22の反対側にある一群の検出器素子16からのX線源点22データ毎に、1つの画像フレームが形成される。後にさらに詳細に説明されるように、その後、1回の走査において生成された全ての画像フレームが処理され、患者の3次元X線断層撮影画像が形成される。
【0025】
図3を参照すると、完全なX線システムが、多焦点X線管20と、いくつかのセンサブロック34から構成される検出器アレイ12とを備える。各センサブロックは、適当な増幅器、サンプルアンドホールド増幅器、アナログマルチプレクサ及びアナログ/デジタルコンバータに電気的に接続される、通常8×4又は16×8ピクセルの検出素子16のアレイを備える。各センサブロック34は、個々のデータ取得回路(DAQ)36に接続され、DAQ36は利得及びオフセット補正を提供し、適当な場合には、画像再構成過程に入力するために線形化を実施する。検出器アレイ12によって生成される高いデータ速度に対処するために、複数のハードワイヤード画像再構成回路38を用いて、DAQ回路36からのデータを同時に処理する。画像再構成回路は、加算回路40を介して、視覚化回路42に接続され、視覚化回路42はさらにディスプレイ44に接続される。システムコントローラ46が、X線管20、検出器ブロック34、他の回路36、38、40、42及びディスプレイ44に接続され、それらの動作を制御する。たとえば、キーボード、ハンドヘルドコントローラ及び動作特有のコントロールボタンを含むことができるユーザインターフェース48がコントローラ46に接続され、ユーザがシステムの動作を制御できるようにする。
【0026】
各走査中に、X線管20は、各X線源点22が次々にX線のビームを生成するように制御される。X線源点22は順次に起動することができるか、又は本発明者らによる「X-Ray Scanning」と題する同時係属中の英国特許出願第0309387.9号に記載されるように、X線管陽極の熱負荷を低減するような順序で起動することができる。走査毎に、各検出器ブロック34からのデータが個々のDAQ36及び画像再構成回路38において処理される。各再構成回路38からの再構成された画像は加算され、視覚化ユニット42に渡されて、視覚化ユニット42が3D断層撮影画像を作成する。後続の走査からの画像を組み合わせて、リアルタイム3Dビデオ画像が形成され、それがディスプレイ44に表示される。
【0027】
画像品質が同等である場合、走査時間を速くすると、X線管電流が高くなる。たとえば、高品質の医療用診断画像を得るために、走査時間が5msでは、500mAよりも大きな陽極電流が必要とされる。
【0028】
螺旋形軌道多焦点X線管20と、螺旋状スロット24を有するマルチリングX線検出器12とを組み合わせることにより、X線源、X線検出器又は患者を機械的に動かすことなく、真の最大ボリューム断層撮影画像データを収集できるようになることは理解されよう。機械的な動きが伴わないので、非常に迅速にボリューム画像を生成することができ、制約があるのはX線管の出力電力だけである。それゆえ、上記のスキャナは、ミリ秒台の時間スケールにわたって、正確なコーンビーム3次元再構成アルゴリズムを用いて、完全な3次元X線断層撮影走査を提供することができる。
【0029】
この動作モードにおけるスキャナの応用形態は、ボリューム心臓イメージング(単サイクル)を含み、単サイクルの間に心臓の動きの映像を生成することができる。心周期が800msで、断層撮影走査時間が4msであると仮定すると、単一の心周期映像は200枚のボリューム断層撮影画像を含むであろう。このスキャナの好ましい用途は心血管造影法にあり、その場合、ヨウ素造影剤が心臓及び周囲の血管に入れられる。
【0030】
図4を参照すると、第2の動作モードでは、図1〜図3のスキャナシステムはX線透視法において用いるために設定される。これには、単面、二面又は多面X線透視法を用いることができる。単面X線透視法の場合、単一のX線源点22aが用いられ、X線のビームが、そのX線源点22aから、患者を通って、検出器素子16のグループ17上に達する。検出器素子16からのデータを用いて、画像形成された体積の2次元X線投影画像を表す画像フレームデータセットが形成される。この過程は一連の画像形成時間内で繰返され、その時間は約5msであってもよい。これは、対応する時間が約40msか、又はそれ以上である従来のX線透視法よりも著しく速いことは理解されよう。この場合、画像フレームデータセットはDAQ36からフレーム記憶装置50に直に出力され、フレーム記憶装置50からのデータセットはさらにディスプレイ44上に画像として表示され、患者のリアルタイム2Dビデオ画像を提供することができる。
【0031】
システム内には多数のX線源点22が存在するので、患者の周囲に離隔して配置される2つ、3つ又はそれ以上のX線源点22b、22cが交互に切り替わるように容易に制御することができる。X線源点22a、22b、22c毎に、検出器素子16の対応するグループを用いて、個々の一連のX線透視画像フレームが生成されるであろう。X線源点22a、22b、22cを循環させることにより、いくつかの平面においてビデオ画像を同時に生成することができる。これらのX線透視画像は、単にディスプレイ44上に同時に表示することができるか、又は各平面ビデオ画像からのフィーチャを合成する単一のビデオ画像を提供するように処理することができる。平面間の角度は、放射する電子源の位置を切り替えることにより、電子工学的に調整することができる。このモードにおいて用いられるシステムのための応用形態は神経放射線学及び神経血管造影法(neuro-angiography)である。
【0032】
生成されるX線透視画像は、「Image Colouring」と題する英国特許出願第0216893.8号及び「Image Control」と題する英国特許出願第0216889.6号に記載される方法を用いて改善することができる。
【0033】
図5を参照すると、さらに別の動作モードでは、そのシステムは画像形成体積28の立体画像形成を提供するように設定される。この設定では、互いに接近した2つのX線源点22d、22eが用いられる。それらのX線源点はそれぞれ順次に起動されて、画像形成体積28の反対側にある検出器素子16の対応するグループから個々の透過画像データセットが生成される。この画像データセットはフレーム記憶装置50に記憶される。各X線源点22d、22eから1つずつの一対の画像フレームデータセットが合成されて、画像形成される体積の画像を表す立体画像データセットが生成され、一連の立体画像を表示して、画像形成された体積28のリアルタイム立体視ビデオ画像を生成することができる。2つのX線源点22dと22eとの間の角度、それゆえ視差の程度は、画像形成される患者又は臓器のサイズに合うように動的に調整することができる。
【0034】
用いられることになるX線源点22、及びそれらのX線源点が用いられる順序は、コントローラ46によって、任意の適当な順序又は組み合わせに制御することができるので、スキャナは、上記の3つの動作モードのうちの任意の動作モードの間で迅速に切り替わることもできる。これは、モード毎にデータを収集することができる速度を低下させることになるが、各モードにおいて生成された画像を合成できるようになるであろう。たとえば、1つのモードにおいて、スキャナは物体を繰返し走査して、その物体の3D断層撮影画像を生成するが、それぞれ連続した一対の走査間で、X線源点22のうちの1つを用いて、その物体の2DX線透視画像を生成するように構成される。その後、断層撮影画像は、視覚化ユニット42によって解析され、具体的なフィーチャが特定され、その後、フィーチャは、X線透視画像上の対応するフィーチャで特定される。その後、X線透視画像は、ソフトウエアポインタを用いて、フィーチャを3D画像から2D画像にマッピングし、マッピングされたフィーチャをより鮮明に表示することによって改善される。これは、たとえば、1つ又は複数のフィーチャが2D画像において不鮮明である場合に、又は2つ以上のフィーチャが互いに区別できない場合に、都合よく用いることができる。別法では、X線透視画像において特定されるフィーチャを、3次元断層撮影画像上に直にマッピングすることができる。X線透視画像及びボリューム断層撮影データを自動位置合わせすることは、臨床治療において大きな利点をもたらすことができることは理解されよう。
【0035】
同様の組み合わせは、立体視画像形成データ及び断層撮影データから形成することができるか、又は実際には3つの全ての画像形成方法から形成することができる。1つの空間的に位置合わせされた画像形成システムにおいて、ボリュームリアルタイム断層撮影画像形成と、リアルタイム多面X線透視法と、リアルタイム立体視画像形成とを組み合わせる結果として、臨床手順を短くすることができ、診断を改善することができ、場合によっては、患者に当たる放射線量を少なくすることができる。
【0036】
X線源の厳密な形状は大幅に変更できることは理解されよう。上記の実施形態は、一回転する通常の螺旋がデータを生成し、それは解析するのが簡単であるので、多くの状況において使用するのが最も簡単である。しかしながら、X線源の他の形状を用いることもできる。たとえば、図6を参照すると、本発明の第2の実施形態では、X線源点62の螺旋軌跡62が再び用いられるが、この場合には、その螺旋は検出器アレイ64の周囲を何度も回転する。図7を参照すると、第4の実施形態では、X線源点68の軌跡66は螺旋ではなく、それぞれが円筒形の検出器アレイ72の円周の半分まで、且つその全長に沿って延在する2つの階段状の軌跡70、71から構成される。最後に、図8を参照すると、第4の実施形態では、検出器アレイ74は真直ぐな円筒形ではなく、代わりに、その長手方向の端部78、79よりも、その中心線76において大きな円周を有する部分球である。X線源点81の軌跡80は、その円周に沿って一回転する一方、検出器アレイ74の一端78から他端79まで延在する。
【符号の説明】
【0037】
10 X線スキャナ
12 検出器アレイ
14 リング
16 検出器素子
20 多焦点X線源
22 X線源点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成体積の周囲にあり、該画像形成体積を通してX線を誘導することができる複数のX線源点を規定するX線源と、
前記画像形成体積の周囲に延在し、且つ前記画像形成体積を通過した前記X線源点からのX線を検出するようになっているX線検出器アレイと、
前記X線源を制御して前記X線源点のうちの1つからX線を生成し、平面画像データセットを生成する第1のモードと、前記X線源を制御して前記源点のうちのそれぞれからX線を生成し、断層撮影画像データセットを生成する第2のモードとの間で交互に切り替わり、且つ前記データセットを処理して、合成された表示を生成するための合成された画像データセットを生成するようになっている制御手段とを備え、前記制御手段は、前記データセットのうちの一方から該データセットのうちの他方にフィーチャをマッピングして、前記データセットのうちの前記他方から生成される画像を改善することによって、前記データセットを処理するようになっているX線画像形成システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記X線源点のうちの前記1つに近い、X線源点のうちのさらに別の1つを起動し、それにより一対のデータセットを生成し、且つ前記平面画像又は複数の前記平面画像のそれぞれが立体画像になるように前記データセットを合成するようになっている、請求項1に記載のX線画像形成システム。
【請求項3】
前記2個の線源点のなす角度は動的に調整可能である、請求項2記載のX線画像形成システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記立体画像を前記断層撮影画像と組合せて組合せ画像を生成する、請求項2又は3記載のX線画像形成システム。
【請求項5】
前記制御手段は、透視画像を前記立体画像や前記断層撮影画像と組合せて組合せ画像を生成する請求項4記載のX線画像形成システム。
【請求項6】
2個の線源点間で循環させるように走査して個々の透視画像を生成する請求項1乃至4のいずれか1項記載のX線画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−183742(P2009−183742A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−99015(P2009−99015)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【分割の表示】特願2006−506171(P2006−506171)の分割
【原出願日】平成16年4月23日(2004.4.23)
【出願人】(505396110)シーエックスアール リミテッド (16)
【Fターム(参考)】