説明

n型有機半導体単結晶を含む電子素子

【課題】作製が簡便で、大気下でも安定した動作をし、しかも高いキャリア移動度を示す有機光電変換素子、有機電界効果トランジスタ、及び有機電界発光素子などの電子素子を提供する。
【解決手段】複数の電極15a,15bに接した一つのn型有機半導体の単結晶14を含む電子素子であり、上記n型有機半導体14は、少なくとも1個の、ハロゲン原子およびカルボニル基を除く電子求引性基で置換されたベンゼン環を有する。また、上記電子素子の製造方法は複数の電極15a,15bを設置したボトムコンタクト構造の基板上にn型有機半導体の単結晶14を接触させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、n型有機半導体単結晶を含む、有機光電変換素子、有機電界効果トランジスタ、及び有機電界発光素子などの電子素子に関する。
【背景技術】
【0002】
ユビキタスな情報社会を迎え、いつでもどこでも使用できる情報端末が求められている。そのため、フレキシブル、軽量で安価な電子素子が望まれているが、従来のシリコンのような無機材料を用いる電子素子では、これらの要望に十分に対応できていない。そこで、近年、これらの要望に対応可能な有機材料を半導体等として用いた電子素子の研究が活発になされている。p型有機半導体は、乾式成膜法で薄膜の作製が可能なペンタセンや湿式成膜法で薄膜の作製が可能なP3HT(ポリ(3−ヘキシルチオフェン))などが知られている。
【0003】
また、n型有機半導体は乾式成膜法で薄膜の作製が可能なフラーレンや湿式成膜法で薄膜の作製が可能なPCBM([6,6]−フェニル−C61−酪酸メチルエステル)が知られている。しかし、このものは、電子素子として動作させるには大気中での劣化を防止するために封止が必要になるなど、大気中での安定性の点で十分満足できるものではなかった。また、大気中での劣化の少ないヘキサデカフルオロ銅フタロシアニン(F16CuPc)が知られているが、溶媒への溶解度が低く湿式成膜法での薄膜(本発明では、数nm〜数mm程度の厚さで、好ましくは数十nm〜数μm程度の厚さの膜をいう。)の作製には適さないという問題があった(例えば、非特許文献1又は2を参照。)。他のn型有機半導体としてペリレンビスイミド系化合物が知られており(例えば、非特許文献3を参照)、有機半導体を単結晶として用いることも知られているが(例えば、非特許文献4を参照。)、大気下での動作を改善するものではなかった。
乾式法は真空設備などに高額の投資が必要であり、化合物の耐熱性などの制限がある。一方湿式法は化合物の溶解度に制限がある。従来の乾式法、湿式法ともに有機半導体の層はアモルファスまたは微結晶になるので、キャリア移動度などの半導体物性は不十分であり、電子素子の応用範囲が限定されていた。
従って、電子素子の動作時の大気中での劣化が少なく、作製が簡便なn型有機半導体単結晶を含有する電子材料の開発が求められていた。
【0004】
また、有機半導体を光電変換材料として用いることにより、有機薄膜太陽電池などの有機光電変換素子が得られる。これらは、シリコンなどの無機半導体を用いた素子と比べて製造工程が容易であり、低温、低コストで大面積の素子を作製できる可能性を秘めている。これまでに、例えば、P3HTとPCBMの混合膜を光電変換層として用いた有機薄膜太陽電池が報告されているが、シリコンを用いた素子に光電変換性能が及ばず、更なる性能の向上が求められている。有機薄膜太陽電池のエネルギー変換効率が低い原因の一つとしては、太陽から照射される光に対し、用いている材料の光吸収および光電変換可能な波長領域が狭く、特に長波長領域の光を利用できていないことが挙げられる(例えば、非特許文献5又は6を参照。)。
従って、長波長域まで光吸収および光電変換特性を示す有機半導体材料の開発が求められている。
【0005】
【非特許文献1】工藤一浩 監修「有機トランジスタの動作性向上技術〔材料開発 作製法 素子設計〕」技術情報協会(2003年刊)p.48〜49
【非特許文献2】「ケミストリー・オブ・マテリアルズ(Chemistry of Materials)」,16,p.4436−4451(2004)
【非特許文献3】Zhijian Chen他著、ChemPhysChem,5,137−140(2004)
【非特許文献4】J.Takeya他著、「Applied Physics Letters」,88,112102(2006)
【非特許文献5】上原赫・吉川暹監修「有機薄膜太陽電池の最新技術」シーエムシー出版(2005年刊行)第1〜8頁
【非特許文献6】「エム・アール・エス・ビュレティン(MRS Bulletin)」,30,33−36(2005)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、動作時の大気中での劣化が少なく、近赤外域に到るまでの長波長の光を吸収でき、高いキャリア移動度を示す、n型有機半導体素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の課題は、下記の手段によって解決された。
(1)複数の電極に接した一つのn型有機半導体の単結晶を含むことを特徴とする電子素子。
(2)前記電極間の最短距離が10〜100μmである、上記(1)項に記載の電子素子。
(3)前記n型有機半導体が、少なくとも1個の、ハロゲン原子およびカルボニル基を除く電子求引性基で置換されたベンゼン環を有する、上記(1)又は(2)項に記載の電子素子。
(4)前記n型有機半導体がフタロシアニンの骨格を有する、上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の電子素子。
(5)前記n型有機半導体が下記一般式(PC−1)で表される化合物である、上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の電子素子。
【0008】
【化1】

【0009】
〔式中、Mは、金属原子または水素原子(水素原子の場合は、イソインドール環の窒素原子及びイソインドリン環の窒素原子に結合する。)を表す。R1〜R16は、それぞれ独立して水素原子または置換基を表し、これらのうち少なくとも1つはスルホニル基(−SO217)又はスルファモイル基(−SO2NR1718)である。R17及びR18は、それぞれ独立して水素原子、又は置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基もしくはアミノ基を表す。)〕
(6)前記のn型有機半導体の単結晶が、アスペクト比が2以上である、上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の電子素子。
(7)支持体上に複数の電極を設置した後、これらの複数の電極にn型有機半導体の単結晶を接触せしめることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載の電子素子の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、作製が簡便で、大気下でも安定した動作をし、しかも高いキャリア移動度を示す電界効果トランジスタ等の電子素子が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明における有機半導体とは、半導体の特性を示す有機材料のことである。無機材料と同様に、正孔をキャリアとして伝導するp型半導体と、電子をキャリアとして伝導するn型半導体がある。有機半導体中のキャリアの流れやすさはキャリア移動度μで表される。移動度は高い方がよく、10-7cm2/Vs以上であることが好ましく、10-5cm2/Vs以上であることがより好ましい。移動度は電界効果トランジスタ(FET)素子を作製したときの特性や飛行時間計測(TOF)法により求めることができる。
【0012】
本発明の電子素子は、複数の電極に接した一つのn型有機半導体の単結晶を含むことを特徴とする。ここで、「複数の電極に接した」とは、一つの単結晶が電子を注入する電極と電子を受容する電極に同時にかつ該単結晶上の異なる位置で接した状態を表し、これらの電極が、それぞれ2つ以上あっても良い。電極間の最短距離は、マスクをかけて電極の金属を蒸着して電極を形成する際に、電極の寸法を比較的性格に制御することができるので10μm以上の間隔が好ましく、より好ましくは10〜100μmであり、さらに好ましくは10ないし60μmである。
【0013】
本発明の電子素子に用いられるn型有機半導体の単結晶は、アスペクト比が好ましくは2以上、更に好ましくは3以上である。アスペクト比は2〜1000がより好ましく、5〜100がさらに好ましい。ここでは、アスペクト比は、基板真上から単結晶を投影したときの最も長い距離/厚みをいう。アスペクト比の上限は、好ましくは1000である。アスペクト比2以上の有機半導体化合物の単結晶としては、炭化水素系化合物、フタロシアニン系化合物、ペリレン系化合物などの単結晶が挙げられる。
また、有機半導体化合物の単結晶は、平板状であり、かつ、基板に対して水平方向に配向していることが好ましい。ここで、「平板状」とは、単結晶の長軸を含む平面のうち、もっとも面積が大きくなる平面(A)と、その平面に対する単結晶の垂線を含む平面(B)に関して、平面(A)の面積と平面(B)の面積の比(A)/(B)が2.0以上であることをいう。また、「基板に対して水平方向に配向している」とは、単結晶の長軸が基板に対して平均して0〜30°の配置に存在していることをいう。
【0014】
本発明で用いる電子素子はいかなるものでも良いが、薄膜の層構造を有するエレクトロニクス要素を用いた素子とすることが好ましい。本発明のエレクトロニクス要素を用いた半導体電子素子としては、例えば、有機光電変換素子、有機電界効果トランジスタ、有機電界発光素子、ガスセンサー、有機整流素子、有機インバーター、情報記録素子が挙げられる。有機光電変換素子は光センサー用途、エネルギー変換用途のいずれにも用いることができる。好ましくは、有機光電変換素子、有機電界効果トランジスタ、有機電界発光素子であり、さらに好ましくは有機光電変換素子、有機電界効果トランジスタであり、特に好ましくは有機光電変換素子である。以下、これらのものの好ましい態様について、代表的なものを図面を用いて詳しく説明するが、本発明はこれらの態様により限定されるものではない。
【0015】
図1は本発明のエレクトロニクス要素を用いた有機電界効果トランジスタの構造を概略的に示す断面図である。図1のトランジスタは積層構造を基本構造として有するものであり、最下層に基板11(例えば、ポリエチレンナフトエート(PEN),ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルフイルム、ポリイミドフィルム、セラミック、シリコン、石英、ガラスなど)を配置し、その上面の一部に電極12を設け、さらに該電極を覆い、かつ電極以外の部分で基板と接するように絶縁体層13を設けている。さらに絶縁体層13の上面に有機半導体単結晶14を設け、その上面の一部に2つの電極15aと15bとを隔離して配置している。電極12、電極15a、および電極15bの構成材料は、導電性を示すものであれば特に制限なく用いることができ、Cr、Al、Ta、Mo、Nb、Cu、Ag、Au、Pt、Pd、In、NiあるいはNdなどの金属材料やこれらの合金材料、あるいはカーボン材料、導電性高分子など、既知の導電性材料であれば特に制限することなく使用できる。なお、図1の構成はトップコンタクト型素子と呼ばれるが、電極15aと15bが有機半導体層の下部にあるボトムコンタクト型素子も好ましく用いることができる。
【0016】
ゲート幅(チャンネル幅)Wとゲート長(チャンネル長)Lに特に制限はないが、これらの比W/Lが10以上であることが好ましく、20以上であることがより好ましい。
【0017】
各層の厚さに特に制限はないが、より薄いトランジスタとする必要がある場合には、例えばトランジスタ全体の厚さを0.1〜0.5μmとすることが好ましく、そのために各層の厚さを10〜400nmとすることが好ましく、電極の厚さを10〜50nmとすることが好ましい。
【0018】
絶縁層を構成する材料は必要な絶縁効果が得られれば特に制限はないが、例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、ポリエステル絶縁材料、ポリカーボネート絶縁材料,アクリルポリマー系絶縁材料、エポキシ樹脂系絶縁材料、ポリイミド絶縁材料、ポリパラキシリレン樹脂系絶縁材料などが挙げられる。絶縁層13の上面は表面処理がなされていてもよく、例えば、二酸化ケイ素表面をヘキサメチルジシラザン(HMDS)やオクタデシルトリクロロシラン(OTS)の塗布により表面処理した絶縁層を好ましく用いることができる。
【0019】
素子を大気や水分から遮断し、素子の保存性を高めるために、素子全体を金属の封止缶やガラス、窒化ケイ素などの無機材料、パリレンなどの高分子材料などで封止しても良い。
【0020】
図2は本発明のエレクトロニクス要素を用いた有機光電変換素子の構造を概略的に示す断面図である。図2の素子は積層構造を有するものであり、最下層に基板21(例えば、ポリエチレンナフトエート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルフイルム、ポリイミドフィルム、セラミック、シリコン、石英、ガラスなど)を配置し、その上面に電極層22を設け、さらにその上層としてp型有機半導体、及び/又はn型有機半導体を含む層23を設け、さらにその上面に電極層24を設けている。電極層22や24とp型有機半導体および/またはn型有機半導体を含む層23との間には、表面の平滑性を高めるバッファ層、ホールまたは電子の電極からの注入を促進するキャリア注入層、ホールまたは電子を阻止するキャリアブロック層などが含まれていても良い。光電変換効率を高めるためには層23にp型有機半導体とn型有機半導体がともに含まれることが好ましい。層23にp型有機半導体とn型有機半導体がともに含まれる場合には、該p型有機半導体と該n型有機半導体が均一に混和した状態であっても、それぞれが形成する相(例えば微粒子、微結晶、繊維、薄膜)が混在していても良い。後者の場合、各相の厚さが、該有機半導体が光を吸収して生じるエキシトンが拡散し得る距離程度であることが、電荷分離が起こりやすいので好ましく、その厚さは好ましくは1〜10nm、特に好ましくは1〜5nmである。
【0021】
電極層22として用いる材料は、可視光または赤外光を透過し、導電性を示すものであれば特に制限はない。可視光または赤外光の透過率は、60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが最も好ましい。そのような材料としては、ITO、IZO、SnO2、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)、ZnO、AZO(Alドープ酸化亜鉛)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、TiO2、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)などの透明導電性酸化物が好ましく、プロセス適性や平滑性の観点からITOまたはIZOが特に好ましい。
【0022】
電極層24として用いる材料は、導電性を示すものであれば特に制限はないが、光利用効率を高める観点からは、光反射性の高い材料が好ましく、特に好ましいのはAl、Pt、W、Au、Ag、Ta、Cu、Cr、Mo、Ti、Ni、Pd、Znである。
【0023】
各層の厚さに特に制限はなく、好ましい素子全体の厚さ、各層の厚さ、電極層の厚さなどは、上述のトランジスタのものと同様である。
【0024】
素子の保存性を高めるためには、素子全体を金属の封止缶やガラス、窒化ケイ素などの無機材料、パリレンなどの高分子材料などで封止し、素子を大気や水分から遮断することが好ましい。
【0025】
光電変換素子をエネルギー変換用途の太陽電池として用いる場合、太陽光を効率良く吸収しエネルギー変換効率を高めるために、600nm以上の長波長域まで、特に好ましくは700nm以上の近赤外領域まで光を吸収し光電変換する材料を用いることが好ましい。フタロシアニン系の化合物は、600nm以上、及び/又は700nm以上の長波長域まで吸収を有し光電変換する点で好ましい。
【0026】
本発明のn型有機半導体単結晶を含む電子素子中に用いられる有機半導体化合物は1種であっても、複数種であってもよい。複数種の場合、あるものは単結晶として用い、他のものは乾式法や湿式法で形成されるアモルファス固体もしくは微結晶状態として用いても良い。
【0027】
本発明のn型有機半導体単結晶を含む電子素子を形成する方法としては、いわゆる湿式成膜法(例えばスクリーン印刷法)が好ましいが、乾式成膜法を併用しても良い。乾式成膜法の具体的な例としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、分子ビームエピタキシー(MBE)法等の物理気相成長法あるいはプラズマ重合等の化学気相蒸着(CVD)法が挙げられる。湿式成膜法は、有機化合物を溶解させることができる溶媒中に溶解させ、その溶液を用いて薄膜化する方法である。塗布方法としては、キャスト法、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、ディッピング(浸漬)コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法、インクジェット法、スピンコート法、Langmuir−Blodgett(LB)法等の通常の方法を用いることができ、スピンコート法およびインクジェット法を用いることが好ましい。いずれの方法を用いる場合でも、有機半導体化合物の単結晶が電極に接して形成されることが重要であり、単結晶の数は1個であっても複数個であっても良い。
【0028】
本発明の有機半導体化合物を含む薄膜を形成する好ましい方法の一つは、該有機半導体化合物の単結晶を作製した後、該単結晶を電極に接するように配置する方法であり、他の好ましい方法は、該単結晶に接して電極を設置する方法である。本発明の有機半導体単結晶は、1nmないし10μm、より好ましくは10nmないし300nmである。
【0029】
該n型有機半導体単結晶を電極に接するように設置する方法としては、単結晶を一個ずつ電極上に移送する方法、複数の単結晶の分散液を電極上に塗布した後、溶剤を蒸発等の方法により除去する方法が好ましく用いられる。
【0030】
本発明の電子素子は、厚さ数mm〜数nm以下に形成できる。膜厚は、電子素子の種類などにより、特に制限はないが、好ましくは5nm〜50μm、より好ましくは20nm〜500nmである。
【0031】
湿式成膜法を用いて薄膜層を形成する場合、層を形成する材料あるいはその材料とバインダー樹脂を適当な有機溶媒(例えば、ヘキサン、オクタン、デカン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、1−メチルナフタレン、1,2−ジクロロベンゼンなどの炭化水素系溶媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミルなどのエステル系溶媒、例えば、メタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコールなどのアルコール系溶媒、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソールなどのエーテル系溶媒、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、1−メチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルフォキサイドなどの極性溶媒)および/または水に溶解、または分散させて塗布液とし、各種の塗布法により薄膜を形成することができる。その塗布液中における有機半導体化合物中の濃度は、好ましくは、0.1〜80質量%、より好ましくは0.5〜10質量%とすることにより、膜厚を調節することができる。
【0032】
有機薄膜層に樹脂バインダーを用いることも可能である。有機薄膜層の樹脂バインダーとしては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリスルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン等の絶縁性ポリマーおよびこれらの共重合体、ポリビニルカルバゾール、ポリシラン等の光伝導性ポリマー、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリパラフェニレンビニレン等の導電性ポリマーを挙げることができる。樹脂バインダーは、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。薄膜の機械的強度を考慮するとガラス転移温度の高い樹脂バインダーが好ましく、電荷移動度を考慮すると極性基を含まない構造の樹脂バインダーや光伝導性ポリマー、導電性ポリマーが好ましい。この樹脂バインダーは使わない方が有機半導体の特性上好ましいが、目的によっては使用することもある。この場合の樹脂バインダーの使用量は、特に制限はないが、有機半導体薄膜層中、好ましくは0.1〜10質量%で用いられる。
【0033】
本発明に用いられるn型有機半導体としては比較的電子受容性が高い化合物、例えば電子求引性基で置換されたπ電子共役系を有する化合物が好ましい。これらの中には、ペリレンビスイミド類、フッ素置換フタロシアニン類、PCBMなどのフラーレン誘導体、テトラシアノキノジメタンなどが含まれる。本発明においてn型有機半導体は、単独で用いても、複数種併用しても良く、p型有機半導体と併用しても良い。
【0034】
本発明に用いられるn型有機半導体は、少なくとも1個の、ハロゲン原子およびカルボニル基を除く電子求引性基で置換されたベンゼン環を有するものであることが好ましい。また、フタロシアニンの骨格を有する化合物であることがより好ましい。
【0035】
本発明に用いられるn型半導体化合物として特に好ましいものは、下記一般式(PC−1)で表される化合物である。
【0036】
【化2】

【0037】
前記一般式(PC−1)中、Mは、金属原子または水素原子(水素原子の場合は、イソインドール環の窒素原子及びイソインドリン環の窒素原子に結合する。)を表す。
前記一般式(PC−1)中、R1〜R16は、それぞれ独立して水素原子または置換基を表し、これらのうち少なくとも1つはスルホニル基(−SO217)又はスルファモイル基(−SO2NR1718)である。ここで、R17及びR18は、それぞれ独立して水素原子、又は置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基もしくはアミノ基を表す。
【0038】
このようなR1〜R16で示される置換基をWとすると、Wで示される置換基としては、いかなるものでも良く、特に制限は無いが、例えば、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基を含む。)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む。)、アルキニル基、アリール基、複素環基(ヘテロ環基といっても良い。)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む。)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基(−B(OH)2)、ホスファト基(−OPO(OH)2)、スルファト基(−OSO3H)、その他の公知の置換基が例として挙げられる。
【0039】
さらに詳しくは、Wは、下記の(1)〜(48)等を表す。
(1)ハロゲン原子
例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子
【0040】
(2)アルキル基
直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。それらは、(2−a)〜(2−e)なども包含するものである。
(2−a)アルキル基
好ましくは炭素数1〜30のアルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル)
(2−b)シクロアルキル基
好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)
(2−c)ビシクロアルキル基
好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基(例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)
(2−d)トリシクロアルキル基
好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のトリシクロアルキル基(例えば、1−アダマンチル)
(2−e)さらに環構造が多い多環シクロアルキル基
なお、以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)はこのような概念のアルキル基を表すが、さらにアルケニル基、アルキニル基も含むこととする。
【0041】
(3)アルケニル基
直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、(3−a)〜(3−c)を包含するものである。
(3−a)アルケニル基
好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のアルケニル基(例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)
(3−b)シクロアルケニル基
好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基(例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)
(3−c)ビシクロアルケニル基
置換または無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基(例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)
【0042】
(4)アルキニル基
好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキニル基(例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)
(5)アリール基
好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基(例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル、フェロセニル)
(6)複素環基
好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族の複素環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは、炭素数3〜50の5もしくは6員の芳香族の複素環基である。
(例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル。なお、1−メチル−2−ピリジニオ、1−メチル−2−キノリニオのようなカチオン性の複素環基でも良い)
【0043】
(7)シアノ基
(8)ヒドロキシル基
(9)ニトロ基、
(10)カルボキシル基
【0044】
(11)アルコキシ基
好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)
【0045】
(12)アリールオキシ基
好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)
【0046】
(13)シリルオキシ基
好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)
【0047】
(14)ヘテロ環オキシ基
好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)
【0048】
(15)アシルオキシ基
好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)
【0049】
(16)カルバモイルオキシ基
好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基(例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)
【0050】
(17)アルコキシカルボニルオキシ基
好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基(例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)
【0051】
(18)アリールオキシカルボニルオキシ基
好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基(例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)
【0052】
(19)アミノ基
好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアニリノ基(例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)
【0053】
(20)アンモニオ基
好ましくはアンモニオ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキル、アリール、ヘテロ環が置換したアンモニオ基(例えば、トリメチルアンモニオ、トリエチルアンモニオ、ジフェニルメチルアンモニオ)
【0054】
(21)アシルアミノ基
好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基(例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)
【0055】
(22)アミノカルボニルアミノ基
好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ(例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)
【0056】
(23)アルコキシカルボニルアミノ基
好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ)
【0057】
(24)アリールオキシカルボニルアミノ基
好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)
(25)スルファモイルアミノ基
好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基(例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)
【0058】
(26)アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基
好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ(例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)
【0059】
(27)メルカプト基
【0060】
(28)アルキルチオ基
好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)
【0061】
(29)アリールチオ基
好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ(例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)
【0062】
(30)ヘテロ環チオ基
好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)
【0063】
(31)スルファモイル基
好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)
【0064】
(32)スルホ基
(33)アルキルもしくはアリールスルフィニル基
好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)
【0065】
(34)アルキルもしくはアリールスルホニル基
好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル
【0066】
(35)アシル基
好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4〜30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基(例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2−ピリジルカルボニル、2−フリルカルボニル)
【0067】
(36)アリールオキシカルボニル基
好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)
【0068】
(37)アルコキシカルボニル基
好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)
【0069】
(38)カルバモイル基
好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル(例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)
【0070】
(39)アリール及びヘテロ環アゾ基
好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基(例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)
【0071】
(40)イミド基
好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド
(41)ホスフィノ基
好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基(例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)
(42)ホスフィニル基
好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基(例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)
(43)ホスフィニルオキシ基
好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基(例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)
【0072】
(44)ホスフィニルアミノ基
好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基(例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)
(45)ホスフォ基
(46)シリル基
好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基(例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)
(47)ヒドラジノ基
好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のヒドラジノ基(例えば、トリメチルヒドラジノ)
(48)ウレイド基
好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のウレイド基(例えばN,N−ジメチルウレイド)
【0073】
また、2つのWが共同して環を形成することもできる。このような環としては芳香族、又は非芳香族の炭化水素環、又は複素環や、これらがさらに組み合わされて形成された多環縮合環が挙げられる。例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環、フェナジン環、が挙げられる。
但し、芳香族環は、本発明のフタロシアニン系化合物の溶媒に対する溶解性を改善することは少なく好ましくない。
【0074】
上記の置換基Wの中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基で置換されていても良い。そのような置換基の例としては、−CONHSO2−基(スルホニルカルバモイル基、カルボニルスルファモイル基)、−CONHCO−基(カルボニルカルバモイル基)、−SO2NHSO2−基(スルフォニルスルファモイル基)、が挙げられる。
より具体的には、アルキルカルボニルアミノスルホニル基(例えば、アセチルアミノスルホニル)、アリールカルボニルアミノスルホニル基(例えば、ベンゾイルアミノスルホニル基)、アルキルスルホニルアミノカルボニル基(例えば、メチルスルホニルアミノカルボニル)、アリールスルホニルアミノカルボニル基(例えば、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル)が挙げられる。
【0075】
前記一般式(PC−1)において、R1〜R16は、それぞれ独立して水素原子又は置換基であり、これらのうち少なくとも2つは、二種類以上の置換基である。置換基としては、前述のWが挙げられる。二種類以上の置換基として、好ましくは少なくとも一種類が電子求引基である場合で、より好ましくは少なくとも二種類が電子求引基である場合である。電子求引基である置換基の一種類として、好ましくはフッ素原子又は塩素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。したがって、R1〜R16のうち少なくとも一つがフッ素原子であり、少なくとも一つがフッ素原子以外の電子求引基である場合が最も好ましい。ここでいう電子求引基とは、いかなるものでもよいが、例えばハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、−CO−R、−CO−CO−R、−SO−R、−SO2−R、−C(=N−R’)−R、−S(=NR’)−R、−S(=NR’)2−R、−P(=O)R2、−O−R”、−S−R”、−N(−R’)−CO−R、−N(−R’)−SO−R、−N(−R’)−SO2−R、−N(−R’)−C(=N−R’)−R、−N(−R’)−S(=NR’)2−R、および−N(−R’)−P(=O)R2で表される基が挙げられる。ここでRは水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アミノ基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、OH基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、またはSH基を表す。具体的には、Wのうち、これらの置換基の例として示したものが挙げられる。R’は水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシル基、スルホニル基、スルフィニル基、またはホスホリル基を表す。具体的には、Wのうち、これらの置換基の例として示したものが挙げられる。R”はペルフルオロアルキル基、シアノ基、アシル基、スルホニル基、またはスルフィニル基を表す。具体的には、Wのうち、これらの置換基の例として示したものが挙げられる。
【0076】
R、R’、R”で表される基は置換基(例えば、Wで示した置換基)でさらに置換されていてもよく、置換基の具体例としてはハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原子、または沃素原子)、アルキル基(アラルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基(置換する位置は問わない)、4級化された窒素原子を含む複素環基(例えばピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基またはその塩、スルホニルカルバモイル基、アシルカルバモイル基、スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、チオカルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、アシルウレイド基、アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、メルカプト基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、アシルスルファモイル基、スルホニルスルファモイル基またはその塩、リン酸アミドもしくはリン酸エステル構造を含む基、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、およびシリル基(例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)等が挙げられる。
【0077】
前記一般式(PC−1)における電子求引基として好ましくは−L1−R19で表される基が用いられる。ここで、L1**−SO2***−SO3***−SO2N(−)2***−SO−***−CO−***−CON(−)2***−COO−***−COCO2*、および**−COCON(−)2*で表される基の中から選ばれる基を表す。**はこの位置でフタロシアニン骨格と結合し、*はこの位置でR19と結合することを示す。R19が複数結合する場合、それぞれのR19は同一であっても異なっても良い。
【0078】
1は好ましくは**−SO2***−SO2N(−)2***−COO−*、で表される基が用いられ、特に好ましくは**−SO2*または**−SO2N(−)2*で表される基が用いられる。
【0079】
19は水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表す。具体的には、前述のWのうちアルキル基、アリール基または複素環基の例として示したものが挙げられる。R19として好ましくはアルキル基、アリール基または複素環基である。R19がアルキル基、アリール基または複素環基の場合は、これらはさらに他の置換基(例えば、Wで示した置換基)で置換されていても良い。
【0080】
19としてさらに好ましくはアルキル基またはアリール基が用いられ、特に好ましくはアルキル基が用いられる。R19は炭素数1〜30のものが用いられ、好ましくは1〜20ものが用いられ、より好ましくは1〜10ものが用いられる。また、R19は分岐のアルキル基を含む場合が、溶媒への溶解性が向上する点では好ましい。
【0081】
1〜R16のうち少なくとも一つがフッ素原子であることが好ましく、好ましくはフッ素原子が2個以上の場合であり、さらに好ましくは4個以上の場合であり、特に好ましくは8個以上の場合であり、最も好ましくは12個の場合である。また、フッ素原子の数の上限は15個である。4個以上のフッ素原子を有する場合、これらは同一のベンゼン環上、すなわち、R1〜R4、R5〜R8、R9〜R12、又はR13〜R16のいずれかの群が全てフッ素原子で置換されている場合が好ましい。フッ素原子が4個以上の場合は、R1〜R4がフッ素原子である場合が好ましく、フッ素原子が8個以上の場合は、R1〜R4とR5〜R8、又はR1〜R4とR9〜R12がフッ素原子である場合が好ましく、フッ素原子が12個の場合は、R1〜R4とR5〜R8とR9〜R12がフッ素原子である場合が好ましい。
【0082】
1〜R16のうち少なくとも一つがフッ素原子以外の電子求引基であり、電子求引基の数は1〜15個の範囲であればいずれでも良いが、好ましくは1〜4個である。また、電子求引基はフッ素原子が置換しているベンゼン環上、すなわち、R1〜R4、R5〜R8、R9〜R12、又はR13〜R16のいずれかの同じ群に置換していても、別の群に置換していてもいずれでも良いが、好ましくは別の群に置換している場合である。
【0083】
複数の電子求引基を有する場合、それらはそれぞれ同一であっても異なっていても良いが、好ましくは同一の場合である。
一般に複数の置換基を有するフタロシアニン化合物には置換基の結合している位置の異なる位置異性体が存在しうる。本発明の一般式(PC−1)で表される化合物においても例外ではなく、場合によっては数種類の位置異性体が考えられる。本発明においてはフタロシアニン化合物は単一の化合物として用いても良いが、位置異性体の混合物としてこともできる。位置異性体の混合物として用いる場合には、混合している位置異性体の数、それぞれの位置異性体における置換基の置換位置、および位置異性体の混合比率はいかなるものでもよい。
【0084】
前記一般式(PC−1)中、R1〜R16のうち少なくとも1つは、スルホニル基(−SO217)又はスルファモイル基(−SO2NR1718)である。ここで、R17及びR18は、それぞれ独立して水素原子、又は置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基もしくはアミノ基を表す。R17及びR18としては、好ましくは炭素数1〜16の直鎖状無置換もしくはアルコキシ置換アルキル基である。
【0085】
以下に本発明で使用される前記一般式(PC−1)で表される化合物の例を示す。ただし本発明は以下の例に限定されるものではない。また、以下の化合物例のうち、一般式(P−2)、(P−3)、(P−5)又は(P−6)で表される化合物は位置異性体混合物を一つの化合物として表記している。
【0086】
【化3】

【0087】
【化4】

【0088】
【表1】

【0089】
【表2】

【0090】
【化5】

【0091】
【化6】

【0092】
本発明に用いられるフタロシアニン化合物のフタロシアニン環形成反応は、白井汪芳,小林長夫編・著「フタロシアニン−化学と機能−」(アイピーシー社,1997年刊,第1〜62頁)、廣橋亮,坂本恵一,奥村映子編「機能性色素としてのフタロシアニン」(アイピーシー社,2004年刊,第29〜77頁)の記載を参照して行うことができる。
【0093】
フタロシアニン誘導体の代表的な合成方法としては、これらの文献に記載の、ワイラー法、フタロニトリル法、リチウム法、サブフタロシアニン法、及び塩素化フタロシアニン法が挙げられる。本発明においては、フタロニトリル法を好ましく用いることができる。異なる構造のイソインドリン環が1:3、2:2、又は3:1の比率のフタロシアニン誘導体を合成する場合、例えば二種以上のフタロニトリル誘導体を所望の比率で混合して反応させることにより、意図したイソインドリン環の比率をもつフタロシアニン誘導体を主生成物として含むフタロシアニン混合物を得ることができる。この方法は、サブフタロシアニン法に比べて反応の選択性は劣るが、比較的工程の短い合成法である。なお、1:3、又は3:1の比率のフタロシアニン誘導体を選択的に得るためには、例えば、ホウ素を中心として3つのイソインドリン環を持つサブフタロシアニン誘導体と異種の1,3−ジイミノイソインドリン誘導体等を反応させるサブフタロシアニン法を好ましく用いることができる。
【0094】
フタロシアニン環形成反応において、いかなる反応条件を用いても良い。環形成反応においては、フタロシアニンの中心金属となる種々の金属を添加することが好ましいが、中心金属を持たないフタロシアニン誘導体を合成後に、所望の金属を導入しても良い。反応溶媒としては、いかなる溶媒を用いても良いが、好ましくは高沸点の溶媒である。また、環形成反応促進のために、酸又は塩基を用いることが好ましく、特に塩基を用いることが好ましい。最適な反応条件は、目的とするフタロシアニン誘導体の構造により異なるが、上記の文献に記載された具体的な反応条件を参考に設定することができる。
【0095】
上記のフタロシアニン誘導体の合成に使用する原料としては、無水フタル酸、フタルイミド、無水フタル酸及びその塩、フタル酸ジアミド、フタロニトリル、1,3−ジイミノイソインドリン等の誘導体を用いることができる。これらの原料は公知のいかなる方法で合成しても良い。
本発明に用いられるフタロシアニン化合物の合成は、例えば、スルホニル基で置換されたフタロニトリルと、スルホニル基以外の置換基で置換されたフタロニトリルとを反応させる方法を好ましく用いることができる。
有機半導体化合物の単結晶の作成方法としては、有機半導体化合物の結晶を加熱して溶融液とし、これを徐冷することにより結晶化させる方法、有機半導体化合物の溶液から溶媒をゆっくり蒸発させることにより結晶化させる方法、有機半導体化合物の溶液を徐冷することにより結晶化させる方法、有機半導体化合物の溶液に、貧溶剤(該溶液の溶媒より該有機半導体化合物の溶解度が低い溶媒)を徐々に添加、または気相拡散させて徐々に溶解度を下げて結晶を析出させる方法、有機半導体化合物が可溶な有機溶媒を基板上に塗布して液膜を形成した後に有機半導体化合物を蒸着やスパッタリング等により付着させ、該化合物が前記有機溶媒に溶解した状態を経由して、その後に前記有機溶媒を蒸発させることで有機半導体化合物の結晶を作製する方法(例えば、Crystal Growth Des.2003,Vol.3,p.125 に記載の方法、ならびにPhysical Review letters,1998,Vol.81,No.2,p.622 に記載の方法)、作製すべき結晶の前駆体原料を基板上に付着させ、該前駆体原料を溶解させるための溶媒を気化することにより溶媒蒸気を生成し、生成した溶媒蒸気を前駆体原料に接触させることにより、結晶化させる方法(例えば、特開2005−281011号公報に記載の方法)などを用いることができる。これらの方法のうち気相拡散法が好ましく、用いられる溶剤としては、有機半導体化合物溶液の溶媒とは誘電率が10%以上異なる溶剤を貧溶剤として用いることが好ましい。これらの溶剤はそれぞれ単一化合物からなる溶剤であっても、混合溶剤であってもよい。
【0096】
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0097】
実施例1
(有機半導体を単結晶として含有する電界効果トランジスタ(FET)の作製)
室温でn型有機半導体P7−6のテトラヒドロフラン溶液に、トルエン、リグロイン、ヘキサンおよびシクロヘキサンを気相拡散させることにより、単結晶を作製する。ドープしたシリコン基盤上に100nmのSiO2絶縁層を設置し、その上に金のくし型ソース/ドレイン電極(ゲート幅100000μm、ゲート長20μm)を備えたボトムコンタクト構造の基板上に、該ソース電極とドレイン電極に接するようにn型有機半導体P7−6の単結晶を置き、自然の静電力で付着させる。FET特性はセミオートプローバー(ベクターセミコン製、AX−2000、商品名)を接続した半導体パラメーターアナライザー(Agilent製、4156C、商品名)を用いて常圧・大気下、および常圧・窒素雰囲気下(グローブボックス中)で測定する。
【0098】
本発明の化合物(P7−6)の単結晶はn型半導体としての特性を示す。キャリア移動度μは、ドレイン電流Iを表す式I=(W/2L)μC(V−Vthを用いて算出する。式中、Lはゲート長であり、Wはゲート幅である。また、Cは絶縁層の単位面積当たりの容量、Vはゲート電圧、Vthは閾値電圧である。また、オン/オフ比は、最大および最小ドレイン電流地(I)の比より算出する。1×10−4cm/Vs以上の移動度を示すことが予想される。
化合物(P7−6)の結晶の円相当直径は50μm、アスペクト比は6である。
【0099】
比較例1
(有機半導体を溶液キャスト膜として含有する電界効果トランジスタ(FET)の作製)
本発明の化合物を含む溶液を素子基板上にキャストして、FET素子を作製し、同様の測定条件でFET特性を調べたが、FET特性を示さなかった。
【0100】
これらの結果から、本発明のn型有機半導体を単結晶として含有する電子素子は、同じn型有機半導体を溶液キャスト膜として含有する電子素子より高いFET特性を示すことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の電子素子(有機電界効果トランジスタ)の構造を概略的に示す断面図である。
【図2】本発明の電子素子(有機薄膜光電変換素子)の構造を概略的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0102】
11 基板
12 電極
13 絶縁体層
14 有機物層(半導体有機物層)
15a、15b 電極
21 基板
22 電極
23 光電変換層
24 電極
31 基板
32 電極
33 絶縁体層
34a、34b 電極
35 有機物層(半導体有機物層)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極に接した一つのn型有機半導体の単結晶を含むことを特徴とする電子素子。
【請求項2】
前記電極間の最短距離が10〜100μmである、請求項1記載の電子素子。
【請求項3】
前記n型有機半導体が、少なくとも1個の、ハロゲン原子およびカルボニル基を除く電子求引性基で置換されたベンゼン環を有する、請求項1又は2に記載の電子素子。
【請求項4】
前記n型有機半導体がフタロシアニンの骨格を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子素子。
【請求項5】
前記n型有機半導体が下記一般式(PC−1)で表される化合物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子素子。
【化1】

〔式中、Mは、金属原子または水素原子(水素原子の場合は、イソインドール環の窒素原子及びイソインドリン環の窒素原子に結合する。)を表す。R1〜R16は、それぞれ独立して水素原子または置換基を表し、これらのうち少なくとも1つはスルホニル基(−SO217)又はスルファモイル基(−SO2NR1718)である。R17及びR18は、それぞれ独立して水素原子、又は置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基もしくはアミノ基を表す。〕
【請求項6】
前記のn型有機半導体の単結晶が、アスペクト比が2以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子素子。
【請求項7】
支持体上に複数の電極を設置した後、これらの複数の電極にn型有機半導体の単結晶を接触せしめることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−81424(P2009−81424A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214930(P2008−214930)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】