説明

多方切換弁およびこれを用いた分析装置

【課題】 1つの共通流路に対して複数の流路との接続を可能にするとともに、これらの流路のいくつかが分岐路を有する流路を構成することが可能な切換弁を提供すること。併せて、最小限の配管による確実な流路を構成し、部品点数を少なくして保守の軽減を図ることが可能な分析装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 接合面Sを有し共通流路7および同心円上に配置された複数の流路1〜6とを形成する弁ブロック11と、接合面Tを介して接合面Sに接合するとともに、流路1〜6のいずれか1つの流路と共通流路7を接続し、かつ流路1〜6の最も隣接する流路同士を接続可能とする流路Tnを接合面Tに形成する弁部12と、弁部12を回動し流路の切換操作を行う操作部13を有し、流路1〜6のうちのいずれか1つの流路あるいは複数の流路と、共通流路7との接続の切換が可能であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の流路の切換を行うことができる多方切換弁に関するもので、特に、試料採取流路に設けて、試料あるいは校正ガスを切換えて検出部に導入する各種ガス分析装置において使用される多方切換弁として有用である。
【背景技術】
【0002】
従来、発生源用測定装置や環境大気用測定装置あるいは自動車排気ガス測定装置などの大気汚染測定装置においては、図8に示すように、試料採取点から分析計までの間に試料流体中の除湿や除塵あるいは定流量化などを目的として、フィルタ、切換弁、導管、除湿器、吸引ポンプ、絞り弁、流量計などが設けられたサンプリング系を構成するとともに、各部材を配管で接続し試料流路を形成している(例えば非特許文献1参照)。
【0003】
ここでは、分析計に導入する試料と校正ガスの切換を行うために3方向の切換弁(以下n方向の切換弁を「n方切換弁」という。)を用いた場合を例示しているが、校正ガスが例えばゼロガスとスパンガスを用いる場合や複数成分のスパンガスを用いる場合には、図9の切換弁の校正ガス導入口の前段にその切換用として3方切換弁あるいは分岐路を設けて複数のON−OFF機能を有する切換弁(以下「2方切換弁」という。)が設けられる。
【0004】
このとき、多方切換弁としては、従来から種々の構造の切換弁が用いられ、あるいは提案されている。具体的には、図9(A)〜(D)に示すような、ロータリー形手動切換弁が提案されている。円筒ハウジング101内に円柱状弁部107を外部ハンドル109により回動可能に配置し、該ハウジング101内壁に各々開口したPポート114とTポート117をAポート115またはBポート116に上記弁部107の回動により弁部107に各々貫通して穿たれた別々の通路118または119を介して選択的に連通させるようにしたロータリー形手動切換弁において、上記弁部107の通路118または119のうちPポート114と達通する一方の通路118とTポート117と連通する他方の通路119とを弁部半径方向に沿って上下に交叉配置すると共に、上記一方の通路118の弁部周壁部の両開口部に、該通路開口面積より大きな凹部120および121を各々設け、Pポート114開口部に対面するー方の凹部120よりAポート115またはBポート116と対面する他方の凹部121を大面積に形成していることを特徴とする切換弁である(例えば特許文献1参照)。
【0005】
あるいは、図10(A)および(B)に示すような、弁ケースKの内部に、円板形の弁座Z、その平面に開口する第1及び第2切換ポート51,52、これら切換ポートに可逆的に連通する第1及び第2固定ポート61,62、扇形を呈し、内側に第2固定ポート62に常時連通する円弧形の気密連通孔Lをもつロータリー式の弁部Vを備える切換弁が提案されている。弁部Vは、回転ステップ数が制御可能なステッピングモータで駆動される。図10(A)の位置に弁部Vを回転させた場合、第1固定ポート61から弁ケースK内の作動室H及び第1切換ポート51を経てガスを供給するとともに、第2固定ポート62から気密連通孔L及び第2切換ポート52を経てガスを供給することができるようにしている。図10(B)の位置に弁部Vを回転させた場合、第1固定ポート61から弁ケースK内の作動室H及び第2切換ポート52を経てガスを供給するとともに、第2固定ポート62から気密連通孔L及び第1切換ポート51を経てガスを供給することができるようにしている。このように、2つの固定ポート61および62から2つの切換ポート51および52への供給路の切換機能を有している(例えば特許文献2参照)。
【0006】
【非特許文献1】日本工業規格「JIS B7982−2002」
【特許文献1】実公昭57−19895号公報
【特許文献2】特開平10−281321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の多方切換弁を上記の分野に適用する場合においては、以下のような課題を克服する必要があった。
【0008】
つまり、流路の切換は、単純に1つの流体を特定の1の流路から他の流路に切換える、あるいは複数の流体をそれぞれ流路から各々特定の流路に1対1で切換える場合だけではなく、1の流路を特定の1の流路との接続から分岐して複数の流路に接続する場合や、1つの流路を特定の1の流路との接続から分岐して一方をオーバーフローさせながら他方を別の流路と接続する場合など多様な切換が要求されることがある。具体的にこうした要求には、(a)2方切換弁や3方切換弁を追加する、(b)その要求仕様にあった個別の切換弁を作成する、(c)予め流路を設けたパターンに複数の2方切換弁を設置し組合せて切換弁の動作を制御する、などの方法がとられている。
【0009】
しかし、こうした方法は、装置の総合性能の面からは新たな課題を抱えることとなる。つまり、(a)の場合は装置全体のフローが複雑になり、(b)の場合は切換弁の汎用性は低く、(c)の場合は複数の切換弁を連動して切換える機能が必要となり、いずれの場合も、接続部材の増加に加え制御の輻輳化、保守の煩雑さを招来することとなる。また、現場の装置で手動操作を伴う場合には、操作ミスによる誤動作あるいは接続部の増加に伴うリーク発生など、装置の信頼性にも影響する場合がある。
【0010】
そこで、本発明は、こうした問題点を解決し、1つの共通流路に対して複数の流路との接続を可能にするとともに、これらの流路のいくつかが分岐路を有する流路を構成することが可能な切換弁を提供することが課題となる。併せて、こうした切換弁を用いることによって、最小限の配管による確実な流路を構成し、部品点数を少なくして保守の軽減を図ることが可能な分析装置を提供することが課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、以下に示す多方切換弁およびこれを用いた分析装置によって上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0012】
本発明は、(1)弁部との接合を担う接合面Sを有し、該接合面の中心に設けられた1つの共通流路および該共通流路を中心とする同心円上に配置された複数の流路Fa、Fb・・Fnとを形成するとともに、外部との流路の取合部を有する1つの弁ブロックと、(2)接合面Tを介して該接合面Sに接合するとともに、該流路Fa、Fb・・Fnのいずれか1つの流路と前記共通流路を接続し、かつ該流路Fa、Fb・・Fnの最も隣接する流路同士を接続可能とする流路Tnを前記接合面Tに形成する弁部と、(3)該弁部を回動し流路の切換操作を行う操作部を有する多方切換弁であって、前記弁部の停止位置によって、前記流路Fa、Fb・・Fnのうちのいずれか1つの流路あるいは複数の流路と、前記共通流路との接続の切換が可能であることを特徴とする。
【0013】
従来は、例えば分析装置において、分析計に導入するガスをどのように分岐するかあるいは集合するかという観点から切換弁の使用方法を設定し、必要な切換弁の選定あるいは新規の切換弁の作製を行うことが一般的であった。本発明者は、分析計へのガス導入路を共通流路として捉え、それに繋がるガス、具体的には試料や校正ガスの切換えあるいはバイパスの有無など種々の仕様に適応可能な切換弁の作製を目指したもので、1つの共通流路を中心に設け、隣接する流路同士を接続可能とする流路を形成した弁部を回動することによって、汎用性の高い流路の選択が可能となった。切換流路の数量などの変更に対しても、弁ブロックに形成される流路を追加あるいは未使用とすることによって幅広く対応することが可能であり、従来にない汎用性の高い切換弁の提供が可能となった。
【0014】
特に、例えば窒素酸化物(NOx)分析装置のように、試料中の二酸化窒素(NO)を一酸窒素(NO)に変換する手段(試料処理手段)を有する流路(NOxライン)とかかる手段のない流路(NOライン)との切換えが必要となる場合や、校正ガスとしてゼロガスとスパンガスを用いる場合あるいは複数成分のスパンガスを用いる場合などに対しても、容易に対応することができ、高い有用性を確保することが可能となった。
【0015】
本発明は、(1)弁部との接合を担う接合面Sを有し、該接合面の中心に設けられた1つの共通流路および該共通流路を中心とする同心円上に配置された複数の流路Fa、Fb・・Fnとを形成し、該流路Fa、Fb・・Fnの最も隣接する流路同士を接続可能とする流路Sa、Sb・・Snを前記接合面Sに形成するとともに、外部との流路の取合部を有する1つの弁ブロックと、(2)接合面Tを介して該接合面Sに接合するとともに、該流路Fa、Fb・・Fnのいずれか1つの流路と前記共通流路とを接続可能とする弁部と、(3)該弁部を回動し流路の切換操作を行う操作部を有する多方切換弁であって、前記弁部の停止位置によって、前記流路Fa、Fb・・Fnのうちのいずれか1つの流路あるいは複数の流路と、前記共通流路との接続の切換が可能であることを特徴とする。
【0016】
上記請求項1記載の発明においては、隣接する流路同士を接続可能とする流路を弁部の接合面に形成することによって複数の流路の接続を可能とする切換弁を構成した。これに対し、本発明においては、弁ブロックに対し、隣接する流路同士を接続可能とする流路を弁部との接合面に形成することによって、同様の機能を構成することを可能としたものである。切換流路の数量などの変更に対しては、上記同様、弁ブロックに形成される流路を追加あるいは未使用とすることによって幅広く対応することが可能であり、従来にない汎用性の高い切換弁の提供が可能となった。
【0017】
本発明は、(1)弁部との接合を担う接合面Sを有し、該接合面の中心に設けられた1つの共通流路および該共通流路を中心とする同心円上に配置された複数の流路Fa、Fb・・Fnとを形成し、該流路Fa、Fb・・Fnの最も隣接する流路同士を接続可能とする流路Sa、Sb・・Snを前記接合面Sに形成するとともに、外部との流路の取合部を有する1つの弁ブロックと、(2)接合面Tを介して該接合面Sに接合するとともに、該流路Fa、Fb・・Fnのいずれか1つの流路と前記共通流路を接続し、かつ該流路Fa、Fb・・Fnの最も隣接する流路同士を接続可能とする流路Tnを前記接合面Tに形成する弁部と、(3)該弁部を回動し流路の切換操作を行う操作部を有する多方切換弁であって、前記弁部の停止位置によって、前記流路Fa、Fb・・Fnのうちのいずれか1つの流路あるいは複数の流路と、前記共通流路との接続の切換が可能であることを特徴とする。
【0018】
上記請求項1または2記載の発明においては、隣接する流路同士を接続可能とする流路を弁部あるいは弁ブロックのいずれかの接合面に形成することによって、複数の流路の接続を可能とする切換弁を構成した。これに対し、本発明においては、弁部と弁ブロックの両接合面に、隣接する流路同士を接続可能とする流路を形成することによって、同様の機能を構成することを可能としたものである。両接合面に流路を形成することによって、接続可能な流路の組合せが増加し、さらに汎用性の向上を図ることができる。また、切換流路の数量などの変更に対しては、上記同様、弁ブロックに形成される流路を追加あるいは未使用とすることによって幅広く対応することが可能であり、従来にない汎用性の高い切換弁の提供が可能となった。
【0019】
本発明は、上記多方切換弁であって、前記共通流路と流路Fa、Fb・・Fnのいずれかを直接接続する流路Cnに対し、前記TnあるいはSa、Sb・・Snが、前記同心円上の両側に形成することを特徴とする。
【0020】
上記の発明においては、弁部あるいは弁ブロックのいずれかまたは両方の接合面に、隣接する流路同士を接続可能とする流路を形成することによって、複数の流路の接続を可能とする切換弁を構成した。これに対し、本発明においては、弁部の接合面に共通流路から同心円上の流路に向って設けられた流路の同心円上の両側に、隣接する流路同士を接続可能とする流路を形成することによって、さらに接続可能な流路の組合せが増加し、一層の汎用性の向上を図ることができる。
【0021】
上記のいずれかに記載の多方切換弁を用いた分析装置であって、共通流路が分析計に、流路Fa、Fb・・Fnのうちの少なくとも1つが、試料採取流路、校正ガス流路、オーバーフロー流路に接続されることを特徴とする。
【0022】
本発明に係る多方切換弁は、1つの流路あるいは複数に分岐された流路を1つの共通流路と接続する場合に広い汎用性を有する点に特長がある。こうした特長は、種々の分析装置において、1つの分析計についてのサンプリング系を構成する上において非常に優位性が高く、試料流路や校正ガス流路の切換え、あるいはバイパス流路の設定など分析装置の種々の仕様に適応が可能となる。
【0023】
例えば、上記NOx分析装置におけるNOxラインとNOラインとの切換えが必要となる場合や、校正ガスとしてゼロガスとスパンガスを用いる場合や複数成分のスパンガスを用いる場合などに対しても、分析計へのガス導入路を共通流路として捉え、それに繋がるNOxラインやNOラインあるいはゼロガスラインやスパンガスラインの切換えを1つの切換弁によって行うことが可能となる。また、切換流路の数量などの変更に対しても容易に対応することができ、従来にない汎用性の高いサンプリング系の構成が可能となる。
【0024】
このように、本発明によれば、最小限の配管による確実な流路を構成し、部品点数を少なくして保守の軽減を図ることができる分析装置を提供することが可能となった。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明を適用することによって、1つの共通流路に対して複数の流路との接続を可能にするとともに、これらの流路のいくつかが分岐路を有する流路を構成することが可能になるという、汎用性の高い切換弁を提供することが可能となる。併せて、こうした切換弁を用いることによって、最小限の配管による確実な流路を構成し、部品点数を少なくして保守の軽減を図ることが可能な分析装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、具体例として図面を参照しながら説明する。
【0027】
<本発明に係る多方切換弁の基本的な構成(第1構成例)>
図1(A)〜(C)は、本発明を利用し複数の流路Fa、Fb・・Fn(図1では順に流路1〜6として例示する)を切換えるとともに、内部に分岐路を有し、流路のいくつかについてオーバーフロー用の流路の確保が可能な多方切換弁10を例示する。
【0028】
図1(A)および(B)に示すように、多方切換弁10は、共通流路7を含む流路1〜7を形成した弁ブロック11と、流路Tnを形成した弁部12と、弁部を回動する操作部13と、これら部材を保持する保持部14、および各流路のシール性を保持するシール部材15から構成される。
【0029】
流路1〜6は、弁ブロック11の接合面Sにおいて共通流路7を中心とする同心円上に配置され、共通流路7を含め外部との取合部1a〜7aに繋がっている。図1(C)は、これらの流路と切換機能との関係を明示したものである。各流路は、弁ブロック11の内部を直線的な流路を形成して取合部1a〜6aに繋げることも可能であるが、図1(A)および(B)のようにL形状の流路を形成し弁ブロックの外周面に取合部1a〜6aを設けることによって、継ぎ手の取り付けや保守点検などが容易となる。
【0030】
弁部12は、その接合面Tを介して弁ブロック11と接合するとともに、操作部13と連結して操作部13の駆動に合わせて回動する。弁部12の接合面Tと弁ブロック11の接合面Sはシール性を保持しながら、弁部12の回動に伴い、流路Tnを介して共通流路7と他の流路1〜6のいずれか1つあるいは2以上の流路とを接続することができる。
【0031】
弁ブロック11および弁部12は、気体あるいは液体などの流体が流れる流路を形成することから、加工性や堅牢性などを考慮して金属製や樹脂製とすることが好ましい。また、実際に導入される流体の温度や腐蝕性などを考慮した素材の選定が好ましく、通常耐蝕性の素材として、ステンレス鋼や塩化ビニル、フッ素系樹脂などを用いることができる。
【0032】
接合面SおよびTは、シール性を保持するために、各流路の外周部にOリングなどのシール部材を付設する方法、接合面SあるいはTをシリコン系樹脂などの柔軟性の高い素材で被覆する方法、あるいは弁部12自体を柔軟性の高い素材で作製する方法などを採ることが可能である。
【0033】
操作部13は、図1(A)においては手動式のタイプを例示しているが、電動式の適用も可能である。また、電動式の場合においても、ロータリー式のように常時回動する場合や、弁部12の位置を所定時間固定する場合がある。後者においてはステッピングモータによって駆動し、弁部12の固定位置に併せたステップあるいは一方向だけではなく正逆両方向に駆動させることも可能となる。
【0034】
<本発明に係る多方切換弁の基本的な機能>
次に、上記構成を有する多方切換弁の基本的な機能について説明する。
図2は、操作部13を回動し、切換位置を(A)〜(E)とした場合の共通流路7と流路1〜6との接続状態を一覧に例示したものである。操作部13の位置、弁部12溝の位置、弁ブロック11の接合面Sの接続状態、およびそのときのガスの流れ方向(つまり、流路1、流路2、流路3、および流路5から共通流路7にガスが供給される場合の流路の接続状態を示す)を示している。ただし、ここで示すガスの流れ方向は例示に過ぎず、実際には多方切換弁10の使用条件によって任意に決定されるものであり、これに限定されるものではないことはいうまでもない。
【0035】
なお、ここでは、流路Tnを、共通流路7と他の流路1〜6のいずれか1つとを接続する流路Taと、該流路Taと接続し同心円上の流路1〜6のうちの最も隣接する流路間の接続を可能とする流路TbからなるL形状あるいは鍬形状の流路として記載するが、流路の形状はこれに限定されるものではない。共通流路7と他の流路1〜6のいずれか1つを接続する流路とともに、該流路と接続しつつ流路1〜6のうちの最も隣接する2つの流路の接続が可能で流路を形成できる形状であれば適用が可能である。具体的には共通流路7を要部とする扇形状あるいは三角形状などを挙げることができる。
【0036】
切換位置(A)または(B)においては、弁部12に設けた流路Taによって共通流路7と流路1のみまたは流路2のみが接続される。ただし、図示した位置のみならず、弁部12に設けた流路Tbの一部が流路1または流路2と接続していれば両流路の接続機能が生じることから、固定位置の厳格な管理は必要がない。従って、手動切換における操作の容易性を確保することができ、あるいはステッピングモータを用いた自動切換場合においては比較的粗いステップにて簡易に制御することが可能となる。かかる機能は、本発明の全てにおいて適用することができる。このとき、弁部12の流路Tbの位置を流路Taに対して反対に形成した場合にも同様である。
【0037】
一方、切換位置(C)においては、流路Taによって共通流路7と流路3が接続されると同時に、流路Tbを介して流路3と流路4、さらには共通流路7と流路4とが接続される。つまり、2つに分岐された流路3と流路4が共通流路7に接続される状態となる。また、切換位置(D)においては、同様に共通流路7と流路5が接続されると同時に、流路Tbを介して流路5と流路6が接続され、その結果2つに分岐された流路5と流路6が共通流路7に接続される状態となる。
【0038】
さらに切換位置(E)における実線状態あるいは破線状態とすることによって、共通流路7を流路1〜6のいずれにも接続しない状態を形成することが可能となる。
【0039】
このように、共通流路7から捉えれば、単数の流路1または流路2と共通流路7が直結する機能、および2つの流路、つまり流路3と流路4または流路5と流路6と共通流路7が直結する機能を、1つの多方切換弁10が有することになる。こうした機能は従来の切換弁にはない機能であり、特に後述するような、例えば窒素酸化物(NOx)分析装置のように試料中の二酸化窒素(NO)を一酸窒素(NO)に変換する手段(試料処理手段)を有する流路とかかる手段のない流路との切換えが必要となる場合や、校正ガスとしてゼロガスとスパンガスを用いる場合や複数成分のスパンガスを用いる場合など各種ガス分析装置に適用することで、高い有用性を発揮することができる。
【0040】
また、この構成において流路の数量の増減あるいは分岐路の増減などの変更が必要となった場合には、弁ブロック11に形成される流路を追加あるいは未使用とすることによって幅広く対応することが可能である。追加する場合には、例えば図3(A)に示すように、流路8を同心円上に設けることによって具体化することができ、さらに数量が多い場合には、同心円上の分割比(図1、図2および図3(A)においては8分割している)を多くすることで具体化が可能である。図3(B)では、10分割の場合を例示する。
【0041】
<本発明に係る多方切換弁の他の構成例とその機能>
上記では、回動される弁部12の接合面Tに設けられた流路Tnによって、分岐された流路への切換えを行うことができる多方切換弁10の構成を例示したが、これに代えて、図4に示すように、弁ブロック11の接合面Sに流路SaおよびSbを設けることによって、同様の機能を有する多方切換弁10を構成することができる(第2構成例)。
【0042】
このとき弁部12の接合面Tには、共通流路7と流路1〜6のいずれかに接続する流路Taのみが設けられる。弁部12の構造が非常に単純で、多様な仕様に対する対応を弁ブロック11に依存することで、機能の簡素を図るとともに、流路を接続する場合の弁部12の固定位置を任意に設定することができる。接合面TおよびSを除く、基本的な構成は第1構成例と同様である。
【0043】
切換位置(A)または(B)においては、弁部12に設けた流路Taによって共通流路7と流路1のみまたは流路2のみが接続される。一方、切換位置(C)においては、流路Taによって共通流路7と流路3が接続されると同時に、弁ブロック11の接合面Sに設けた流路Saを介して流路3と流路4、さらには共通流路7と流路4とが接続される。つまり、接合面S上において2つに分岐された流路3と流路4が共通流路7に接続される状態となる。また、切換位置(D)においては、同様に共通流路7と流路5が接続されると同時に、接合面Sに設けた流路Sbを介して流路5と流路6が接続され、その結果2つに分岐された流路5と流路6が共通流路7に接続される状態となる。さらに切換位置(E)における実線状態あるいは破線状態とすることによって、共通流路7を流路1〜6のいずれにも接続しない状態を形成することが可能となる。
【0044】
また、このとき弁ブロック11は一体物である必要はなく、例えば、流路Sa、Sb・・Snを含む接合面Sを別体にすることも可能である。該別体部分のみを交換するだけで、流路Fa〜Fnの数量や配置あるいは流路Sa、Sb・・Snの数量や配置など、各種の要求仕様に合った構成に迅速に対応することが可能となる。
【0045】
具体的に、流路Fa〜Fnの数量および流路Sa、Sb・・Snの数量を増やした場合の状態を、図4の切換位置(F)および切換位置(G)に例示する。接合面Sに設けた流路Scによって接続する流路8と流路8A、および流路Sdによって接続する流路9と流路9Aを形成することによって、切換位置(F)においては、2つに分岐された流路8と流路8Aが共通流路7に接続される状態となり、切換位置(G)においては、2つに分岐された流路9と流路9Aが共通流路7に接続される状態となる。
【0046】
<第3構成例とその機能>
さらに、図5に多方切換弁の第3構成例を示す。構成例1の弁部12と構成例2の弁ブロック11とを組合せたもので、2つの分岐路だけではなく3つに分岐した流路を形成することができるなど従来にない汎用性の高い切換弁の提供が可能となった。
【0047】
切換位置(A)〜(E)においては、第1構成例および第2構成例と同様、共通流路7と流路1のみまたは流路2のみの接続、および分岐された流路3と流路4あるいは流路5と流路6が共通流路7に接続される状態となり、共通流路7を流路1〜6のいずれにも接続しない状態を形成することが可能となる。
【0048】
本構成の特徴の1つは、切換位置(F)において、弁部12の流路Taによって共通流路7と流路6が接続されると同時に、Tbによって流路6と流路2が接続され、弁ブロック11の流路Sbによって流路5が接続される点にある。つまり、共通流路7に対し流路2、流路5、および流路6という3つの流路を同時に接続可能とすることができる。
【0049】
また、もう1つの特徴として、切換位置(G)においては、弁部12の流路Taによって共通流路7と流路4が接続されると同時に、Tbによって流路4と流路5が接続され、弁ブロック11の流路Saによって流路3、流路Sbによって流路6が接続される点にある。つまり、共通流路7に対し4つの流路を同時に接続可能とすることができる。
【0050】
このように、共通流路7から捉えれば、単数の流路1または流路2と共通流路7が直結する機能、および2〜4つの流路と共通流路7が直結する機能を、1つの切換弁10が有することになる。こうした機能は従来の切換弁にはない機能であり、例えば複数の既知濃度のガスを混合する場合など各種ガス発生装置あるいは分析装置に適用することで、高い有用性を発揮することができる。
【0051】
さらに、このとき、流路Tbあるいは流路Sa,Sb・・Snは必ずしも流路1〜7と同一の断面積を有する必要はなく、分岐した流路の流量のバランスを変える場合には、流路Tbあるいは流路Sa,Sb・・Snの断面積を小さく絞込み、流れに対して抵抗を設けることも可能である。この機能は構成例1〜のいずれにも適用可能であることはいうまでもない。
【0052】
また、上記同様弁ブロック11は一体物である必要はなく、弁部12とともに接合面Sを含む別体のみを交換するだけで、各種の要求仕様に合った構成に迅速に対応することが可能となる。
【0053】
<第4構成例とその機能>
上記第1構成例および第3構成例では、弁部12の接合面Tに設けられた流路Tbを、流路Taに対して一方向にのみ形成した多方切換弁10の構成を例示したが、これに代えて、図6に示すように、接合面Tに設ける流路Tnを、流路Taが最初に接続される流路Cnに対して両方向に張出した流路Tcを形成することによって、さらなる多機能を有する多方切換弁10を構成することができる(第4構成例)。なお、流路Tnの形状がこれに限定されないことは第1構成例など上記の通りである。又は共通流路7を要部とする扇形状や三角形状などの適用された場合にはその中心軸が接する流路が実質的に流路Cnとなる。
【0054】
このとき弁部12の接合面Tに設けられた流路Taによって、共通流路7と流路1〜6のいずれかに接続すると同時に、流路Tcによって最大張出した両方向の2つの流路と接続ができることから、共通流路7に対し1〜3つの流路との接続が可能となる。
【0055】
切換位置(A)においては、弁部12に設けた流路Taによって共通流路7と流路1のみが接続される。一方、切換位置(B)においては、流路Taによって共通流路7と流路2が接続されると同時に、流路Tcを介して流路2と流路6とが接続される。つまり、接合面T上において、2つに分岐された流路2と流路6が共通流路7に接続される状態となる。また、切換位置(C)においては、同様に共通流路7と流路3が接続されると同時に、流路Tcを介して流路3と流路4が接続され、その結果2つに分岐された流路3と流路4が共通流路7に接続される状態となる。さらに切換位置(D)においては、同様に共通流路7と流路5が接続されると同時に、流路Tcを介して流路5が流路4と流路6が接続され、その結果3つに分岐された流路4、流路5および流路6が共通流路7に接続される状態となる。
【0056】
このように、共通流路7から捉えれば、1〜3つの流路を選択し接続することができるという機能を有する多方切換弁10を構成することができる。
【0057】
上記の技術思想は、弁ブロック11の接合面Sに設けられる流路Sa、Sb・・Snを同心円上の流路1〜6の両側に張り出すように形成することによって、同様の機能を有する多方切換弁10を構成することができる(第5構成例)。上記第4構成例との関係において、第1構成例に対する第2構成例に相当する機能となる。
【0058】
また、弁ブロック11の接合面Sに設けられる流路Sa、Sb・・Snを同心円上の流路1〜6の両側に張り出すように形成するとともに、弁部12の接合面Tに設けられる流路Tcについて流路Taに対して両側に張り出すように形成することによって、さらに多数の流路の同時接続が可能な機能を有する多方切換弁10を構成することができる(第6構成例)。上記第4構成例との関係において、第1構成例に対する第3構成例に相当する機能となる。
【0059】
<本発明に係る多方切換弁を用いた分析装置>
次に、本発明に係る多方切換弁の応用例について説明する。複数の流路あるいは複数に分岐された流路を切換えて、1つの共通流路と接続することができるという本発明に係る多方切換弁が有する機能は、例えば、種々の分析装置において有効性を発揮することができる。つまり、1つの分析計についてのサンプリング系を構成する上において、こうした機能は非常に優位性が高く、試料流路や校正ガス流路の切換え、あるいはバイパス流路の設定など分析装置の種々の仕様に適応が可能となる。
【0060】
図7は、試料処理部に本発明に係る多方切換弁を用いた分析装置、具体的には試料中のNOx成分測定用分析装置を例示する。
【0061】
試料入口21から吸引採取された試料は、ダストフィルタ22によって清浄にした後、気液分離器23、ミスト処理器24を経由して二分され、一方(NOxライン25a)は試料処理手段として試料中のNOをNOに変換するコンバータ25を経由して多方切換弁26、二次フィルタ27、吸引ポンプ28、除湿器29、圧力調整器30、流量計31を介して、測定手段(NO分析計)32に導入され、他方(NOライン33a)は何も処理されずに流路抵抗33を経由して多方切換弁26以降の処理を経てNO分析計32に導入される。
【0062】
このとき、NOxライン25aとの切換は多方切換弁26によって行われ、多方切換弁26の共通流路が二次フィルタ27を介して吸引ポンプ28に接続され、NO分析計32に繋がっている(分析計ライン32a)。試料測定において、通常はNOxライン25aがNO分析計ライン32aに接続され、NOのみの測定においてNOxライン25aからNOライン33aへの切換が行われる。
【0063】
また、多方切換弁26には校正ガスとしてゼロガス34およびスパンガス35が接続され、校正時に各々切換えてNO分析計ライン32aに接続し、NO分析計32に導入される。校正ガス導入時には、サンプリング用の吸引ポンプ28への過負荷防止のため、ゼロガス34およびスパンガス35の一部を各々バイパスライン34aおよび35aから放出する方法が採られる。つまり、多方切換弁26には、校正時のみにNO分析計ライン32aへの接続と同時にバイパスライン34aまたは35aへの接続を行うとともに、通常の測定時にはゼロガス34およびスパンガス35を停止する機能が要求される。
【0064】
本発明の第1構成例に係る多方切換弁26を適用することによって、こうした要求を満たすことが可能となる。つまり、図2における流路7にNO分析計ライン32a、流路1にNOxライン25a、流路2にNOライン33a、流路3にゼロガス34、流路5にスパンガス35、流路4にバイパスライン34a、流路6にバイパスライン35a、を各々接続し、通常のNOx測定時には切換位置(A)、NO測定時には切換位置(B)、ゼロ校正時には切換位置(C)、スパン校正時には切換位置(D)、分析装置停止時には切換位置(E)とすることによって、上記機能を確保することができる。ゼロ校正時の切換位置(C)にあっては、ゼロガス34が流路3から流路7を経由してNO分析計ライン32aに供給されると同時に、流路4を介してバイパスライン34aにも流すことができる。スパン校正時の切換位置(D)にあっては、スパンガス35が流路5から流路7を経由してNO分析計ライン32aに供給されると同時に、流路6を介してバイパスライン35aにも流すことができる。
【0065】
また、バイパスライン34aまたは35aは最終的には集合されることから、本発明の第4構成例に係る多方切換弁10を適用することによって1つのバイパスラインとして扱うことも可能である。つまり、図6における流路7にNO分析計ライン32a、流路1にNOxライン25a、流路2にNOライン33a、流路3にゼロガス34、流路5にスパンガス35、流路4にバイパスライン(図示せず)、を各々接続し、通常のNOx測定時には切換位置(A)、NO測定時には切換位置(B)、ゼロ校正時には切換位置(C)、スパン校正時には切換位置(D)とすることによって、上記機能を確保することができる。流路6は未使用につき、取合部6aを閉とするか、流路6を形成していない弁ブロック11を用いる。ゼロ校正時の切換位置(C)にあっては、ゼロガス34が流路3から流路7を経由してNO分析計ライン32aに供給されると同時に、流路4を介してバイパスラインにも流すことができる。スパン校正時の切換位置(D)にあっては、スパンガス35が流路5から流路7を経由してNO分析計ライン32aに供給されると同時に、同じく流路4を介してバイパスラインにも流すことができる。バイパスラインを共通化することによって配管などの流路構成部材を低減し保守の軽減を図ることができる。
【0066】
ここで、コンバータ25は、例えば、グラファイトや活性炭粒子などを担体とし、その表面にモリブデン系触媒を担持させたカーボン系のエレメントを所定量封入したユニットを用いることによって低温で90〜95%以上の高い変換効率を確保することが可能である。
【0067】
また、NO分析計32は、NO用検出手段及びNO用検出手段を有する方法であれば、特に制限はなく、化学発光式分析計や非分散式赤外線分析計あるいは非分散式紫外線分析計などを用いることができる。
【0068】
さらに、図7のように、NO分析計32だけではなく、他の成分測定用(例えば、一酸化炭素(CO)や酸素(O)の分析計36および37を設けた場合には、第2構成例に係る多方切換弁10を用いることによって、上記と同様の機能を確保することができる。
【0069】
つまり、図4の切換位置(F)および切換位置(G)のように、流路8にスパンガスCO(図示せず)を、流路9にスパンガスO(図示せず)を、流路8Aおよび流路9Aにバイパスラインを接続し、COのスパン校正時には切換位置(F)にし、Oのスパン校正時には切換位置(G)にする。COのスパン校正時には、COのスパンガスが流路8から流路7を経由してNO分析計ライン32aに供給されると同時に、流路8Aを介してバイパスラインにも流すことができる。Oのスパン校正時には、Oのスパンガスが流路9から流路7を経由してNO分析計ライン32aに供給されると同時に、流路9Aを介してバイパスラインにも流すことができる。
【0070】
以上のように、本分析装置によれば、試料処理を要し複数の流路の切換を行う場合などのように、校正ガスの切換を含めた多数の流路の切換えを要する場合において、試料処理部の構成手段を低減し、配管部材を含めた保守の軽減、リークなどのトラブルの軽減を図ることが可能となる。特に複数成分の測定装置においては、仕様に合った多方切換弁の選択を行うことが可能となり高い汎用性を確保することができる。
【0071】
なお、上記では、試料中のNOx成分測定用分析装置を例示したが、むろんこうした構成に限定されるものではなく種々の試料処理あるいは複数の測定成分や測定原理の異なる分析装置にも適用可能である。
【0072】
<その他の応用例>
本発明に係る多方切換弁は、上記のような分析装置における試料処理手段の1つとして利用することができるばかりではなく、複数の成分の混合手段あるいは混合ガス発生手段として利用することができる。具体的には、例えば、反応プロセスを検証するための反応ガス発生装置に利用することができる。個々の成分ガスは入手可能である場合において、以下のような優位性を得ることができる。
【0073】
(1)単純にこれらうちの1つのガスあるいは複数成分を追加する際に多方切換弁を用いることが可能となる。共通流路に対し、1〜3または4つの流路を順次切換1つずつあるいは複数追加することによって、反応成分の追加に伴う反応性を追及することが可能となる。
【0074】
例えば、第4構成例において、図6における流路7に反応槽(図示せず)と繋がる流路を、流路2、流路5および流路6にそれぞれ異なる反応物質を接続した場合を想定する。切換位置(F)においては、流路2に接続された反応物質が流路7を介して反応槽に導入される。次に、切換位置(F)を切換位置(B)に変更すると、流路2に加えて流路6に接続された、合計2種類の反応物質を、流路7を介して反応槽に導入することができる。さらに、切換位置(B)から切換位置(G)に変更すると、流路2および流路6に加えて流路5に接続された、合計3種類の反応物質を、流路7を介して反応槽に導入することができる。このように、反応物質を1つずつ追加した場合の反応性の追跡を1つの切換弁の操作によって行うことができる。
【0075】
(2)複数の成分ガスを多方切換弁に接続し共通流路を反応槽に接続した状態において、当初特定の複数の成分ガスを導入し混合したガスを所定の条件を確保した後に、反応を開始あるいは反応を促進するガスに切換えることによって、反応性を検証することが可能となる。
【0076】
例えば、第3構成例において、図5における流路7に反応槽(図示せず)と繋がる流路を、流路4〜6にそれぞれ異なる反応物質を接続した場合を想定する。切換位置(C)においては、流路5と流路6に接続された反応物質が流路7を介して反応槽に導入される。切換位置(F)に変更すると、流路5と流路6に加えて流路2に接続された、合計3種類の反応物質を、流路7を介して反応槽に導入することができる。
【0077】
さらに、切換位置(C)から切換位置(G)に変更すると、流路5、流路6に加えて流路3と流路4に接続された、合計4種類の反応物質を、流路7を介して反応槽に導入することができる。このように、1または2の追加導入された反応物質による反応性の追跡を1つの切換弁の操作によって行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上は、気体の多方切換弁およびそれを用いたガス分析装置を中心に述べたが、本発明は、上記のような気体だけでなく、液体等にも適用が可能であり、これらの成分測定や、また、各種測定原理にも適用が可能であり、上記に限定されるものでないことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明に係る多方切換弁の基本的な構成(第1構成例)を例示する説明図。
【図2】第1構成例に係る多方切換弁の基本的な機能を概略的に例示する説明図。
【図3】第1構成例に係る多方切換弁の応用例を概略的に例示する説明図。
【図4】本発明に係る多方切換弁の他の構成(第2構成例)を例示する説明図
【図5】第3構成例に係る多方切換弁の構成を例示する説明図。
【図6】第4構成例に係る多方切換弁の構成を例示する説明図。
【図7】試料処理部に本発明に係る多方切換弁を用いた分析装置を例示する説明図。
【図8】従来技術に係る分析装置の構成を例示する説明図。
【図9】従来技術に係る多方切換弁の1の構成を例示する説明図。
【図10】従来技術に係る多方切換弁の他の構成を例示する説明図。
【符号の説明】
【0080】
1〜9、8A、9A 流路
1a〜7a 取合部
10、26 多方切換弁
11 弁ブロック
12 弁部
13 操作部
25 コンバータ
25a NOxライン
32 測定手段(NO分析計)
32a 分析計ライン32a
33 流路抵抗
33a NOライン
34 ゼロガス
35 スパンガス
34a、35a バイパスライン
36 CO分析計
37 O分析計
Cn 流路
Fa〜Fn 流路
S、T 接合面
Sa〜Sn 流路
Ta〜Tn 流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁部との接合を担う接合面Sを有し、該接合面の中心に設けられた1つの共通流路および該共通流路を中心とする同心円上に配置された複数の流路Fa、Fb・・Fnとを形成するとともに、外部との流路の取合部を有する1つの弁ブロックと、
接合面Tを介して前記接合面Sに接合するとともに、前記流路Fa、Fb・・Fnのいずれか1つの流路と前記共通流路を接続し、かつ該流路Fa、Fb・・Fnの最も隣接する流路同士を接続可能とする流路Tnを前記接合面Tに形成する弁部と、
該弁部を回動し流路の切換操作を行う操作部を有する多方切換弁であって、
前記弁部の停止位置によって、前記流路Fa、Fb・・Fnのうちのいずれか1つの流路あるいは複数の流路と、前記共通流路との接続の切換が可能であることを特徴とする多方切換弁。
【請求項2】
弁部との接合を担う接合面Sを有し、該接合面の中心に設けられた1つの共通流路および該共通流路を中心とする同心円上に配置された複数の流路Fa、Fb・・Fnとを形成し、該流路Fa、Fb・・Fnの最も隣接する流路同士を接続可能とする流路Sa、Sb・・Snを前記接合面Sに形成するとともに、外部との流路の取合部を有する1つの弁ブロックと、
接合面Tを介して該接合面Sに接合するとともに、該流路Fa、Fb・・Fnのいずれか1つの流路と前記共通流路とを接続可能とする弁部と、
該弁部を回動し流路の切換操作を行う操作部を有する多方切換弁であって、
前記弁部の停止位置によって、前記流路Fa、Fb・・Fnのうちのいずれか1つの流路あるいは複数の流路と、前記共通流路との接続の切換が可能であることを特徴とする多方切換弁。
【請求項3】
弁部との接合を担う接合面Sを有し、該接合面の中心に設けられた1つの共通流路および該共通流路を中心とする同心円上に配置された複数の流路Fa、Fb・・Fnとを形成し、該流路Fa、Fb・・Fnの最も隣接する流路同士を接続可能とする流路Sa、Sb・・Snを前記接合面Sに形成するともに、外部との流路の取合部を有する1つの弁ブロックと、
接合面Tを介して該接合面Sに接合するとともに、該流路Fa、Fb・・Fnのいずれか1つの流路と前記共通流路を接続し、かつ該流路Fa、Fb・・Fnの最も隣接する流路同士を接続可能とする流路Tnを前記接合面Tに形成する弁部と、
該弁部を回動し流路の切換操作を行う操作部を有する多方切換弁であって、
前記弁部の停止位置によって、前記流路Fa、Fb・・Fnのうちのいずれか1つの流路あるいは複数の流路と、前記共通流路との接続の切換が可能であることを特徴とする多方切換弁。
【請求項4】
前記共通流路と流路Fa、Fb・・Fnのいずれかを直接接続する流路Cnに対し、前記TnあるいはSa、Sb・・Snが、前記同心円上の両側に形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多方切換弁。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の多方切換弁を用いた分析装置であって、共通流路が分析計に、流路Fa、Fb・・Fnのうちの少なくとも1つが、試料採取流路、校正ガス流路、オーバーフロー流路に接続されることを特徴とする分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−308056(P2006−308056A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−134336(P2005−134336)
【出願日】平成17年5月2日(2005.5.2)
【出願人】(000155023)株式会社堀場製作所 (638)
【Fターム(参考)】