説明

携帯端末、認証システムおよび認証方法

【課題】携帯端末がサービス提供装置を認証する際の利便性を高め、かつ、セキュリティ性能を高める。
【解決手段】携帯端末10とサービス提供装置20に同じ利用者キーを登録しておき、携帯端末10がサービス提供装置20へ通話接続すると、サービス提供装置20から携帯端末10へ利用者キーを付与したデータ通信接続要求が送信され、携帯端末10が利用者キーを照合して認証する。そして、認証されたサービス提供装置20が携帯端末10へ処理コマンドを送信して遠隔操作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、サービス提供装置の認証を行う携帯端末、およびこの携帯端末を用いた認証システム、ならびに携帯端末によるサービス提供装置の認証方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯端末では、盗難された場合等のセキュリティ機能として、通信ネットワークに対して発信要求または位置登録要求を行う際に、通信ネットワーク側から受信した信号に携帯端末の動作を停止させるための停止要求信号(リモートロック信号)が含まれているか否かを判定する機能を有する。そして、停止要求信号が含まれている場合は携帯端末中の加入者データの使用を禁止すると共に、ユーザデータ(メールアドレス等の個人情報)へのアクセス機能等を停止する。また、通信ネットワーク側は、携帯端末から発信要求または位置登録要求を受信した場合に、加入者情報データベースを参照し、当該携帯端末が登録された正規のものであるか否かを判定するとともに、機能の停止(ロック)指示が設定されているか否かを判定して、不正なものである場合または機能の停止指示が設定されている場合には、停止要求信号を生成して携帯端末に送信する。これにより、盗難された携帯端末に対して、迅速かつ確実にリモートロックを行うことができるようになっている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
また、電子マネー機能を持つIC(Integrated Circuit)カードを内蔵した携帯端末では、携帯端末自体がICカードをロックする機能を有する。この携帯端末はソフトウェアにより電池使用可能時間を周期的にチェックし、この電池使用可能時間が設定された閾値になるとICカードのロックを自動設定する。そして、充電されると、ロックを表示し、認証(暗証番号、パスワード等の入力)があった後にそのロックを解除する(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−74703号公報
【特許文献2】特開2007−74704号公報
【特許文献3】特開2008−269019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の携帯端末の認証システムは以上のように構成されているので、停止要求信号を電話番号の後に続けてダイヤルインと同じ方法で送信する場合、およびショートメッセージで送信する場合には、通話に使用している回線を使用するため、携帯端末が通話中の場合には機能しないという課題があった。
【0006】
また、認証のために用いる暗証番号、パスワード等は十進数かつ4桁の数字である場合が多く、容易に推測されてしまったり、入力最中に覗き見られてしまったりすることがあり、十分なセキュリティ機能を果たしているとは言い難いという課題があった。反対に、パスワードを複雑にすると携帯端末の利用者が忘れてしまうこともあった。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、携帯端末がサービス提供装置を認証する際の利便性がよく、かつ、セキュリティ性能を高めた携帯端末および認証方法、ならびにこの携帯端末を用いた認証システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の請求項1に係る携帯端末は、サービス提供装置の通話連絡先およびサービス提供装置に事前通知した任意の文字列からなるキー情報が登録された登録情報メモリと、利用者の通話操作を受け付けて、登録情報メモリに登録されているサービス提供装置へ通話発信する通話手段と、通話手段がサービス提供装置と通話接続した場合、事前通知したキー情報の付与された接続要求をサービス提供装置から受信する通信手段と、通信手段が受信したキー情報を、登録情報メモリに登録されているキー情報と照合してサービス提供装置を認証する認証手段とを備え、通信手段は、認証手段が認証したサービス提供装置へ接続を許可する応答を送信して通信を開始し、サービス提供装置から処理コマンドを受信するようにしたものである。
【0009】
この発明の請求項2に係る認証システムは、上述の携帯端末と、当該携帯端末を遠隔操作する指示を記述した処理コマンドを送信するサービス提供装置とを有し、サービス提供装置は、携帯端末の通話連絡先および携帯端末から事前通知された任意の文字列からなるキー情報が登録された利用者情報データベースと、携帯端末からの通話発信を受信する通話手段と、通話手段が携帯端末と通話接続した場合、発信元の通話連絡先を検索キーに用いて、携帯端末から事前通知されたキー情報を利用者情報データベースから取得する利用者特定手段と、利用者情報特定手段が取得した携帯端末のキー情報を接続要求に付与して、携帯端末に送信する通信手段と、携帯端末を遠隔操作する指示を記述した処理コマンドを生成するコマンド生成手段とを備え、通信手段は、接続要求に対する接続許可の応答を携帯端末から受信した場合、コマンド生成手段が生成した処理コマンドを携帯端末へ送信するようにしたものである。
【0010】
この発明の請求項3に係る認証方法は、携帯端末が、利用者の通話操作を受け付けて、サービス提供装置の通話連絡先および当該サービス提供装置に事前通知した任意の文字列からなるキー情報が登録された登録情報メモリを参照して、当該サービス提供装置へ通話発信する通話ステップと、通話ステップがサービス提供装置と通話接続した場合、事前通知したキー情報の付与された接続要求をサービス提供装置から受信するキー受信ステップと、キー受信ステップで受信したキー情報を、登録情報メモリに登録されているキー情報と照合してサービス提供装置を認証する認証ステップと、認証ステップで認証したサービス提供装置へ、接続を許可する応答を送信する応答送信ステップと、応答送信ステップの後、認証したサービス提供装置から送信される処理コマンドを受信して実行するコマンド通信ステップとを備えるものである。
【0011】
この発明の請求項4に係る認証方法は、携帯端末が、利用者の通話操作を受け付けて、サービス提供装置の通話連絡先および通信連絡先が登録された登録情報メモリを参照して、サービス提供装置へ通話発信する通話ステップと、サービス提供装置が、携帯端末と通話接続した場合、発信元の通話連絡先を検索キーに用いて、携帯端末の通話連絡先および当該携帯端末から事前通知された任意の文字列からなるキー情報が登録された利用者情報データベースから通話接続した携帯端末のキー情報を取得する利用者特定ステップと、サービス提供装置が、利用者特定ステップで取得した携帯端末のキー情報を接続要求に付与して、携帯端末に送信する接続要求ステップと、携帯端末が、通話ステップでサービス提供装置と通話接続した場合、事前通知したキー情報の付与された接続要求を受信するキー受信ステップと、携帯端末が、キー受信ステップで受信したキー情報を、登録情報メモリに登録されているキー情報と照合してサービス提供装置を認証する認証ステップと、携帯端末が、認証ステップで認証したサービス提供装置へ、接続を許可する応答を送信する応答送信ステップと、サービス提供装置が、接続要求ステップで送信した接続要求に対する接続許可の応答を携帯端末から受信する接続許可受信ステップと、サービス提供装置が、接続許可受信ステップで接続許可の応答を受信した場合、携帯端末を遠隔操作する指示を記述した処理コマンドを生成して携帯端末へ送信するコマンド生成ステップと、携帯端末が、認証ステップで認証したサービス提供装置から送信された処理コマンドを受信して実行するコマンド通信ステップとを備えるものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明の請求項1〜4によれば、携帯端末とサービス提供装置とが登録しているキー情報を照合して認証するようにしたので、携帯端末の利用者が認証用のパスワードを入力することなく、サービス提供装置の認証を行うことができ、利便性がよい。また、利用者が通話発信しない限りサービス提供装置の認証を行わないので、セキュリティ性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1に係る認証システムの構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1に係る携帯端末に登録された情報の一例を示す図である。
【図3】実施の形態1に係るサービス提供装置に登録された利用者情報の一例を示す図である。
【図4】実施の形態1に係る携帯端末の動作を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態1に係るサービス提供装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
図1に示す認証システムは、利用者が所持する携帯端末10と、サービス提供者側に設置されて携帯端末10を遠隔操作するサービス提供装置20と、携帯端末10およびサービス提供装置20を接続するネットワーク30とを備える。なお、本実施の形態1では携帯端末10を遠隔操作する外部装置の一例としてサービス提供装置20を用いて、携帯端末10によるサービス提供装置20の認証方法を説明する。
【0015】
携帯端末10は、利用者が所持してサービス提供装置20へサービス利用要求を行うための装置であり、例えば携帯電話で構成される。登録情報メモリ11は、サービス提供装置20を認証するために必要となる情報(詳細は後述する)を記憶している。認証手段12は、登録情報メモリ11に登録された利用者キーを用いて、サービス提供装置20からの遠隔操作を許可するか否かの認証を行う。
【0016】
図2は、携帯端末10の登録情報メモリ11が記憶している登録情報の一例を示す図である。登録情報メモリ11には、サービス提供元であるサービス提供装置20の情報として名前、電話番号(通話連絡先)、メールアドレス(通信連絡先)、認証のための設定情報(利用者キー使用の有無、利用者キー情報)等が登録されている。この利用者キーは、任意の文字列(数字および記号を含む)であり、携帯端末10の登録情報メモリ11に登録した利用者キーと同じ文字列(数字および記号を含む)を事前にサービス提供装置20へも通知してあるものとする。
【0017】
通話手段13は、マイクおよびスピーカ等を具備し、利用者がネットワーク30を介してサービス提供装置20のオペレータと通話するための機能を備える。通信手段14は、ネットワーク30を介してサービス提供装置20とデータ通信を行うための機能を備える。また、操作手段15は、ボタン等を具備し、利用者が通話、通信等の所望の動作を携帯端末10に行わせるための操作を受け付ける。表示手段16は、表示装置等を具備し、必要に応じた画面を利用者に表示する。
【0018】
サービス提供装置20は、サービス提供者側にあって携帯端末10からのサービス利用要求の通話発信を受け、認証後に、オペレータの操作により携帯端末10を遠隔操作しながら要求のあったサービスを提供する装置である。利用者情報データベース(以下、DB)21は、利用者を特定する情報を記録している。利用者特定手段22は、発信元電話番号を検索キーに用いて利用者情報DB21を検索し、サービス利用要求を発信した携帯端末10とその利用者を特定する。データ通信接続要求手段23は、利用者特定手段22が特定した携帯端末10へ、その利用者情報の利用者キーと共にデータ通信用の接続要求を携帯端末10へ行う。
【0019】
図3は、サービス提供装置20の利用者情報DB21が記憶している利用者情報の一例を示す図である。利用者情報DB21には、利用者の情報として名前、電話番号(通話連絡先)等が登録され、この利用者が所有する携帯端末10の情報として電子メールアドレス、端末ID番号(端末固有の識別番号、SIM:Subscriber Identity Moduleカード固有の識別番号、IP:Internet Protocolアドレス等)、遠隔操作用にデータ通信接続要求を行う際の設定情報(利用者キー使用の有無、利用者キー情報)等が登録されている。
なお、サービス提供装置20として、例えば利用者が契約した信頼性の高いサービス提供者のサービス提供装置20を想定し、このサービス提供装置20が事前に携帯端末10から利用者キーの通知を受けて利用者情報DB21に登録しておく。
【0020】
コマンド生成手段24は、データ通信接続が確立した携帯端末10を遠隔操作するための指示を記述した処理コマンドを生成する。通話手段25は、マイクおよびスピーカ等を具備し、オペレータがネットワーク30を介して携帯端末10の利用者と通話するための機能を備える。通信手段26は、ネットワーク30を介して携帯端末10とデータ通信を行うための機能を備える。操作手段27は、キーボード、マウスおよびタッチパネル等を具備し、オペレータが通話、通信、処理コマンド生成等の所望の動作をサービス提供装置20に行わせるための操作を受け付ける。表示手段28は、表示装置等を具備し、必要に応じた画面をオペレータに表示する。
【0021】
処理コマンドとは、例えば、利用者が携帯端末10の操作手順を忘れてしまった場合にその操作を代行するための遠隔操作用のコマンドであり、遠隔操作として例えばスピーカの音量調整、マイクの音量調整、カメラの起動、撮像画像の送信、テキストメッセージの送信、連絡先のメモリ登録等が可能である。ここでは、携帯端末10の各機能に対応した処理コマンドをコマンド生成手段24に予め登録しておき、オペレータが操作手段15を介して携帯端末10のスピーカの音量調整を指示するとコマンド生成手段24がその指示内容に対応する処理コマンドを選択し、通信手段14から携帯端末10へ送信する。
【0022】
ネットワーク30は、携帯端末10とサービス提供装置20とを接続して通話を可能にする通信回線と、データ通信を可能にする通信回線とから構成される。携帯端末10が例えば携帯電話で構成される場合、ネットワーク30は、携帯電話事業者の基地局等を含む。
なお、携帯端末10とサービス提供装置20の間のデータ通信方法はどのような方法でもよく、例えば、携帯端末10が常にサービス提供装置20に対して要求を発行し、サービス提供装置20はその要求に対する応答の中に要求を含めるようにしてもよい。また例えば、ネットワーク30が、携帯電話事業者の携帯電話網等の通話回線とインターネット等の通信回線とを中継する中継サーバを含み、サービス提供装置20が中継サーバに携帯端末10の電話番号を指定して要求を発行し、中継サーバが指定された電話番号の携帯端末10に接続して要求を送信すると共にその応答を受信してサービス提供装置20へ返送するようにしてもよい。また例えば、携帯端末10に固有のアドレス(IPアドレス等)が割り振られている場合には、携帯端末10がサービス提供装置20へIPアドレスを通知し、サービス提供装置20はそのIPアドレス宛に要求を発行するようにしてもよい。
【0023】
次に、認証システムの動作を説明する。
図4は、携帯端末10の動作を示すフローチャートである。初期状態から利用者が操作手段15を操作して、登録情報メモリ11に登録されているサービス提供装置20へサービス利用要求の通話発信を行うと(ステップST1“YES”)、通話手段13が登録された電話番号に従いネットワーク30の通話回線を介してサービス提供装置20へ接続する(ステップST2)。利用者の発信指示がない場合(ステップST1“NO”)、およびサービス提供装置20との回線接続ができず通話不能な場合(ステップST2“NO”)は初期状態へ戻る。
このステップST1,ST2が通話ステップを構成する。
【0024】
サービス提供装置20へ接続して通話可能となれば(ステップST2“YES”)、通話手段13が、利用者とサービス提供装置20のオペレータとの音声通話を実施し(ステップST3)、利用者が所望のサービスを利用する旨をオペレータへ伝える。音声通話中に、通信手段14がサービス提供装置20からのデータ通信接続要求を受信すると(ステップST4“YES”)、認証手段12が受信したデータ通信接続要求に付与されている利用者キーを登録情報メモリ11に登録されている利用者キーと照合する(ステップST5)。照合の結果、サービス提供装置20から受信した利用者キーの文字情報が正しい場合(ステップST6“YES”)、認証手段12は、データ通信を開始する旨の応答を通信手段14を介してサービス提供装置20へ送信する(ステップST7)。
ステップST4がキー受信ステップを、ステップST5,ST6が認証ステップを、ステップST7が応答送信ステップをそれぞれ構成する。
【0025】
一方、サービス提供装置20からデータ通信接続要求がない場合(ステップST4“NO”)、および利用者キーが正しくない場合(ステップST6“NO”)は、通話終了と共に処理を終了する。
なお、ステップST6において利用者キーが認証されなかった場合(または利用者から了解が得られなかった場合)、上記のように認証手段12からサービス提供装置20へ何ら応答を送信しない構成にしてもよいし、接続を拒否する旨の応答を送信する構成にしてもよい。
また、ステップST6において利用者キーが認証された場合に、認証手段12が表示手段16にサービス提供装置20との接続了解を求める画面表示を行わせ、操作手段15を操作することによる利用者からの了解の旨を受け付けた後にステップST7の処理へ進むようにしてもよい。この場合、セキュリティ性能をさらに高めることができる。
【0026】
続いて通信手段14は、ネットワーク30の通信回線を介してサービス提供装置20から送信された処理コマンドを受信する(ステップST8)。このステップST8において、携帯端末10が受信した処理コマンドを実行することでスピーカの音量調整といったサービス提供装置20による遠隔操作がなされる。携帯端末10は、通信手段14がサービス提供装置20から受信した処理コマンドを全て実行終了するまで処理を繰り返し(ステップST9“NO”,ST8)、全て実行終了すると(ステップST9“YES”)、通話終了と共に処理を終了する。
このステップST8,ST9がコマンド通信ステップを構成する。
【0027】
図5は、サービス提供装置20の動作を示すフローチャートである。初期状態において、通話手段25がネットワーク30の通信回線を介して番組情報10からサービス利用要求の通話発信を受けると(ステップST11“YES”)、オペレータが通話手段25を操作して通話を開始すると共に、利用者特定手段22が発信元電話番号を検索キーにして利用者情報DB21を検索し、発信元の携帯端末10とその利用者を特定する(ステップST12)。
このステップST11,ST12が利用者特定ステップを構成する。
【0028】
データ通信接続要求手段23は、利用者特定手段22から特定した利用者情報を受け付け、利用者キーを使用「する」の設定になっているか否かを確認する(ステップST13)。利用者キーを使用「する」設定になっていれば(ステップST13“YES”)、データ通信接続要求手段23がデータ通信接続要求に利用者キーを付与し、通信手段26がネットワーク30の通信回線を介して携帯端末10へ送信する(ステップST14)。携帯端末10にて認証が行われた結果、データ通信が許可された場合、即ち接続許可の応答があった場合(ステップST15“YES”)、オペレータが操作手段27を操作して、利用者が通話により要求したサービスを提供するための処理コマンドをサービス提供装置20に入力し、コマンド生成手段24がこの入力に応じた処理コマンドを選択して通信手段26を介して携帯端末10へ送信する(ステップST16)。
このステップST13,ST14が接続要求ステップを構成し、ステップST15が接続許可受信ステップを構成し、ステップST16がコマンド生成ステップを構成する。
【0029】
一方、携帯端末10からのサービス利用要求の通話がない場合(ステップST11“NO”)、利用者情報において利用者キーを使用「しない」に設定されている場合(ステップST13“NO”)、および、携帯端末10にて認証が行われた結果、データ通信が許可されなかった場合、即ち接続許可の応答が所定時間中にないか接続拒否の応答があった場合(ステップST15“NO”)は、初期状態に戻る。
【0030】
以上より、実施の形態1によれば、携帯端末10は、サービス提供装置20の電話番号および事前通知した利用者キーが登録された登録情報メモリ11と、利用者の通話操作を受け付けて登録情報メモリ11に登録されているサービス提供装置20へ通話発信する通話手段13と、通話手段13がサービス提供装置20と通話接続した場合に事前通知した利用者キーの付与されたデータ通信接続要求をサービス提供装置20から受信する通信手段14と、通信手段14が受信した利用者キーを登録情報メモリ11に登録されている利用者キーと照合してサービス提供装置20を認証する認証手段12とを備え、通信手段14は認証手段12が認証したサービス提供装置20へ接続を許可する応答を送信して通信を開始し、サービス提供装置20から遠隔操作用の処理コマンドを受信するように構成した。また、サービス提供装置20は、登録情報メモリ11の電話番号および事前通知された利用者キーが登録された利用者情報DB21と、携帯端末10からの通話発信を受信する通話手段25と、通話手段25が携帯端末10と通話接続した場合に発信元電話番号を検索キーに用いて、事前通知された利用者キーを利用者情報DB21から取得する利用者特定手段22と、利用者特定手段22が取得した利用者キーを携帯端末10に対するデータ通信接続要求に付与して通信手段26から送信するデータ通信接続要求手段23と、携帯端末10を遠隔操作する処理コマンドを生成するコマンド生成手段24とを備え、通信手段26は、データ通信接続要求に対する接続許可の応答を携帯端末10から受信した場合にコマンド生成手段24が生成した処理コマンドを携帯端末10へ送信するように構成した。
このため、サービス提供装置20は携帯端末10から事前通知された利用者キーを送信して携帯端末10で認証するようにしたので、携帯端末10の利用者が認証用のパスワード等を入力する必要がなく、利便性を向上することができる。また、利用者が携帯端末10を操作して通話発信しない限り、サービス提供装置20の認証が行われないので、セキュリティ性能を高めることができる。さらに、利用者がオペレータとの通話中に、サービス提供装置20による遠隔操作が実行されるので、利用者は何が行われているのかオペレータから説明を聞くことができるため安心である。
【0031】
なお、上記説明ではオペレータが利用者から要求を聞いたうえで、携帯端末10の設定操作等を代行するサービスの提供にサービス提供装置20を使用したが、これに限定されるものではない。例えば携帯端末10が携帯電話の場合、サービス提供装置20を、複雑な携帯電話の操作を遠隔操作と会話を通して説明するサポート業務に使用することも可能である。
【0032】
また例えば、携帯端末10を緊急通報用の携帯端末として使用し、サービス提供装置20を緊急通報を受信する緊急通報受信装置として使用するようにしてもよい。携帯端末10を緊急通報用に使用する場合、利用者が携帯端末10の操作に不慣れであったり、または利用者に緊急事態が発生して何らかの障害が生じ普段操作できていることが出来ない状況になっていたりすることがある。このような場合、従来は緊急通報を受けたオペレータが音声により利用者に携帯端末10の操作を促し、携帯端末10が適切な動作をするように指示していた。しかしながら、上記のような状況では、利用者が的確に携帯端末10を操作できるとは限らず、対応に手間取る場合があった。
これに対し、上記実施の形態1の携帯端末10は、利用者がパスワード入力等の認証用の操作を行うことなくサービス提供装置20を認証して、遠隔操作を受け付ける構成としたので、利用者が操作しなくとも携帯端末10が適切に動作可能となる。
【0033】
なお、上記実施の形態1では、携帯端末10の通話手段13が通話回線を切断して通話終了した時点で、通信手段14も通信回線を切断するように構成して、通話終了後にサービス提供装置20からの利用者キーの認証を受け付けないように構成してキュリティ性能のさらなる向上を図ったが、これに限定されるものではない。
例えば、通話中に認証のためのデータ通信ができない場合等には、通話終了後一定時間の認証を許可するように構成してもよい。具体的には、携帯端末10の認証手段12が、通話終了後の一定時間内であればサービス提供装置20から受信した利用者キーを登録情報メモリ11の利用者キーと照合して認証する。あるいは、認証手段12が、通話終了後であっても利用者が通信回線を切断してデータ通信を終了するまでの間であれば、サービス提供装置20から受信した利用者キーを照合して認証する。
【0034】
以上のように、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、上述した実施の形態の構成に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更などがあっても本発明に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0035】
10 携帯端末
11 登録情報メモリ
12 認証手段
13 通話手段
14 通信手段
15 操作手段
16 表示手段
20 サービス提供装置
21 利用者情報DB
22 利用者特定手段
23 データ通信接続要求手段
24 コマンド生成手段
25 通話手段
26 通信手段
27 操作手段
28 表示手段
30 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末を遠隔操作する指示を記述した処理コマンドを送信するサービス提供装置の認証を行う携帯端末であって、
前記サービス提供装置の通話連絡先および前記サービス提供装置に事前通知した任意の文字列からなるキー情報が登録された登録情報メモリと、
利用者の通話操作を受け付けて、前記登録情報メモリに登録されている前記サービス提供装置へ通話発信する通話手段と、
前記通話手段が前記サービス提供装置と通話接続した場合、前記事前通知したキー情報の付与された接続要求を前記サービス提供装置から受信する通信手段と、
前記通信手段が受信した前記キー情報を、前記登録情報メモリに登録されている前記キー情報と照合して前記サービス提供装置を認証する認証手段とを備え、
前記通信手段は、前記認証手段が認証した前記サービス提供装置へ接続を許可する応答を送信して通信を開始し、前記サービス提供装置から前記処理コマンドを受信することを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
遠隔操作の対象となる請求項1記載の携帯端末と、当該携帯端末を遠隔操作する指示を記述した処理コマンドを送信するサービス提供装置との間で認証を行う認証システムであって、
前記サービス提供装置は、
前記携帯端末の通話連絡先および前記携帯端末から事前通知された任意の文字列からなるキー情報が登録された利用者情報データベースと、
前記携帯端末からの通話発信を受信する通話手段と、
前記通話手段が前記携帯端末と通話接続した場合、発信元の通話連絡先を検索キーに用いて、前記携帯端末から事前通知されたキー情報を前記利用者情報データベースから取得する利用者特定手段と、
前記利用者情報特定手段が取得した前記携帯端末のキー情報を接続要求に付与して、前記携帯端末に送信する通信手段と、
前記携帯端末を遠隔操作する指示を記述した前記処理コマンドを生成するコマンド生成手段とを備え、
前記通信手段は、前記接続要求に対する接続許可の応答を前記携帯端末から受信した場合、前記コマンド生成手段が生成した処理コマンドを前記携帯端末へ送信することを特徴とする認証システム。
【請求項3】
遠隔操作の対象となる携帯端末が、当該携帯端末に対し処理コマンドを送信して遠隔操作するサービス提供装置の認証を行う認証方法であって、
前記携帯端末は、
利用者の通話操作を受け付けて、前記サービス提供装置の通話連絡先および当該サービス提供装置に事前通知した任意の文字列からなるキー情報が登録された登録情報メモリを参照して、当該サービス提供装置へ通話発信する通話ステップと、
前記通話ステップが前記サービス提供装置と通話接続した場合、前記事前通知したキー情報の付与された接続要求をサービス提供装置から受信するキー受信ステップと、
前記キー受信ステップで受信した前記キー情報を、前記登録情報メモリに登録されている前記キー情報と照合して前記サービス提供装置を認証する認証ステップと、
前記認証ステップで認証した前記サービス提供装置へ、接続を許可する応答を送信する応答送信ステップと、
前記応答送信ステップの後、前記認証したサービス提供装置から送信される処理コマンドを受信して実行するコマンド通信ステップとを備えることを特徴とする認証方法。
【請求項4】
遠隔操作の対象となる携帯端末と、当該携帯端末を遠隔操作する指示を記述した処理コマンドを送信するサービス提供装置とを含む認証システムにおける認証方法であって、
前記携帯端末が、利用者の通話操作を受け付けて、前記サービス提供装置の通話連絡先および通信連絡先が登録された登録情報メモリを参照して、前記サービス提供装置へ通話発信する通話ステップと、
前記サービス提供装置が、前記携帯端末と通話接続した場合、発信元の通話連絡先を検索キーに用いて、携帯端末の通話連絡先および当該携帯端末から事前通知された任意の文字列からなるキー情報が登録された利用者情報データベースから前記通話接続した前記携帯端末のキー情報を取得する利用者特定ステップと、
前記サービス提供装置が、前記利用者特定ステップで取得した前記携帯端末のキー情報を接続要求に付与して、前記携帯端末に送信する接続要求ステップと、
前記携帯端末が、前記通話ステップで前記サービス提供装置と通話接続した場合、前記事前通知したキー情報の付与された接続要求を受信するキー受信ステップと、
前記携帯端末が、前記キー受信ステップで受信したキー情報を、前記登録情報メモリに登録されている前記キー情報と照合して前記サービス提供装置を認証する認証ステップと、
前記携帯端末が、前記認証ステップで認証した前記サービス提供装置へ、接続を許可する応答を送信する応答送信ステップと、
前記サービス提供装置が、前記接続要求ステップで送信した前記接続要求に対する接続許可の応答を前記携帯端末から受信する接続許可受信ステップと、
前記サービス提供装置が、前記接続許可受信ステップで接続許可の応答を受信した場合、前記携帯端末を遠隔操作する指示を記述した前記処理コマンドを生成して前記携帯端末へ送信するコマンド生成ステップと、
前記携帯端末が、前記認証ステップで認証した前記サービス提供装置から送信された前記処理コマンドを受信して実行するコマンド通信ステップとを備えることを特徴とする認証方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−208861(P2012−208861A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75487(P2011−75487)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000006666)アズビル株式会社 (1,808)
【Fターム(参考)】