説明

βアミロイド凝集阻害剤としてのナフチル誘導体

本明細書には、アミロイド凝集体の沈着を特徴とする障害の処置に有用な化合物が、前記化合物を含む医薬化合物とともに記載される。特に、本発明の化合物は、以下に報告される式(I)を有するものである:


(式中、ラジカルは明細書に記載の意味を有する)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミロイド凝集体の沈着を特徴とする障害の処置に有用な新規化合物、および前記化合物を医薬上許容される賦形剤とともに含む医薬化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
アミロイド沈着の存在および神経細胞骨格における変化は、アルツハイマー病 (AD)の最も明瞭なサインである。これら二つの事象は、疾患の最終的な病理像が中枢神経系全体に及ぶ場合であっても、初期段階で主に大脳皮質に関与し、この疾患の発症にとって十分でなくとも必要な状態である(Chen M. (1998) Frontiers in Bioscience 3a, 32-37)。
【0003】
一般にアミロイド物質は、それを形成するタンパク質によらず、直径7-8 nmの繊維からなり、コンゴーレッド染色に親和性を有し、かつ水に不溶性であるという特徴を有する。ADにおいて、アミロイド繊維は細胞外、脳の細胞内腔、および皮質および髄膜細動脈の中膜に蓄積し、以下の3つの肉眼的変化を生じる:老人斑および拡散斑、これらは中心のアミロイド沈着周辺の神経突起に変化があるか否かという点においてその中間の状態に分化しうる、およびアミロイド血管症、これは動脈壁の平滑筋と内弾性板の間へのアミロイド繊維の浸潤の現れである。
【0004】
アミロイドおよびらせん状フィラメントの形成とは別に、非常に深刻なシナプス疎密化がADを患う患者の皮質にみられている。約80%-90%の神経の接触が疾患の最終段階で破壊され、この変化が痴呆の真の病理的関連要因である。痴呆の進行を分析すると、アミロイドがこの疾患の初期のかつ重要な変化であること、および神経細胞内のらせん状フィラメントが、最終的にシナプス接触を損ないその後精神機能の低下という臨床結果を伴う、神経細胞に対する傷害の中間の状態を現すことは確かである。
【0005】
これまでのところ凝集形態の場合のみ毒性があると考えられている、特定のタイプのβ-アミロイドβA1-42の可溶型は、アルツハイマー患者の進行性の記憶および認知機能の喪失に関係する。βA1-42は疾患の初期段階で産生され、アセチル-CoAの輸送をもたらすACh合成を促進するピルビン酸デヒドロゲナーゼの活性を抑制し、神経伝達物質の放出を減少させ、シナプス結合を変化させ、そして疾患に重要なコリン性欠損を引き起こす(Hoshi M., Takashima A., Murayama M., Yasutake K., Yoshida N., Ishiguro K., Hoshino T., Imahori K. (1997) The Journal of Biological Chemistry 272:4, 2038-2041)。
【0006】
様々な染色剤が特異的な様式でアミロイド繊維に結合することが知られており、これらのうち最も重要なものはコンゴーレッド(CR)である (Lorenzo A. and Yankner B.A, 1994 PNAS 91;12243-12247)。
【0007】
この染色剤はアミロイド繊維の複屈折を増加し、染色剤と基質 (繊維)の特徴的相互作用を示す特徴的な円偏光二色性をもたらし、組織におけるアミロイドーシスの診断を可能とする。
【0008】
β-アミロイド (βA) タンパク質は、アミロイド前駆体タンパク質 (βAPP) に特異的に作用する多くの酵素のタンパク分解作用によりもたらされる (Vassar R. et al. 1999 Science 286;735-740)。
【0009】
β-アミロイドフラグメントが神経毒性効果を誘発するメカニズムは多数存在する。第一に、免疫組織化学研究により、老人斑に炎症性インターロイキン(IL-1, IL-6)、補体因子、その他の炎症性因子およびリソソーム加水分解酵素が存在することが明らかとなった。β-アミロイドタンパク質は、ミクログリア細胞によるIL-1、IL-6およびIL-8の合成および分泌を刺激し、それにより急性炎症の細胞毒性メカニズムを活性化しうることが示されている (Sabbagh M.N., Galasko D., Thal J.L. (1997) Alzheimer's Disease Review 3, 1-19)。アルツハイマー病の死後検体における活性化ミクログリアの存在は、炎症がアルツハイマー病の病因に寄与することを支持する(Morgan D. et al, (2005) J. Neuropathol Exp. Neurol 64(9):743-753)。
【0010】
アミロイド凝集体の沈着を特徴とする疾患には、アルツハイマー病の他に、ダウン症、「オランダ型」アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血、慢性炎症を伴うアミロイドーシス、多発性骨髄腫および他の血液Bリンパ球系細胞の悪液質を伴うアミロイドーシス、2型糖尿病を伴うアミロイドーシス、プリオン病、例えばクロイツフェルト・ヤコブ病およびゲルストマン・ストロイスラー症候群、クールーおよびヒツジスクレイピーを伴うアミロイドーシス、が挙げられる。
【0011】
一般的に、しかしながら、βAにより誘発される損傷は以下のようにまとめることができる:
1.アミロイド形成の変化;
2.興奮毒性に対する神経細胞の脆弱性の増加;
3.低血糖に対する神経細胞の脆弱性の増加;
4.カルシウムホメオスタシスの変化;
5.酸化的損傷の増加;
6.炎症性機構の活性化;
7.ミクログリアの活性化;
8.リソソームプロテアーゼの誘導;
9.タウタンパク質のリン酸化の変化
10.アポトーシスの誘導
11.膜の損傷
【0012】
純理論的観点から、βAにより引き起こされる損傷の軽減は、様々な治療的アプローチによって対処することができる:
a)セクレターゼ阻害剤を用いてAPP代謝を変化させ、βAの産生を減少させる(αセクレターゼを増加させるか、βおよびγセクレターゼを減少させる);
b)βAの凝集を予防または阻害する;
c)βAのクリアランスを増加させる;
d)βAの神経毒性効果を阻害しカルシウムホメオスタシスを回復する;
e)フリーラジカルによって生じる毒性を予防する;
f)興奮毒性を予防する;
g)炎症性応答によって引き起こされる損傷を減少させる;
h)亜鉛と銅の不均衡を修正する;
i)神経細胞アポトーシスを阻害する
(Sabbagh M.N., Galasko D., Thal L.J.(2000) Alzheimer's Disease Review 3-4, 231-59; Rogers J.Y. and Lahiri D.K. (2004) Curr Drug Targets 6:535-551; Jacobsen J.S. (2002) Curr. Top Med Chem (2002) 4:343-52; Dodel R.C. , Hampel H., Du Y. (2003) Lancet Neurol 4:215-20)。
【0013】
これまでのところ、アルツハイマー病の原因となるアミロイド形成プロセスを予防する、遅らせる、または阻止する特異的な治療法は存在しない。
【0014】
実際、本疾患に現在用いられている処置はもっぱら対症的であり、たとえ様々な局面に作用するとしても、基本的に学習および記憶を支配する神経伝達物質機構に介入するのみである。主に使用される物質には、アセチルコリンエステラーゼの可逆的阻害剤、例えばタクリン、ドネペジル、およびリバスチグミンが含まれる。
【0015】
さらに、アルツハイマー病の診断に現在利用可能な唯一の診断ツールは行動試験および臨床「スコア」であり、さらに、適したトレーサーが存在しないことからいまだ放射線画像手法または走査手法によりアルツハイマー型の変性と他の変性現象とを正確に区別することができない。
【0016】
アルツハイマー病の処置において直面する問題、本疾患の深刻度、および診断の困難性から、本疾患を治療する、または進行を遅らせる新規薬物の発見のみならず、本疾患を診断可能な放射線画像手法または走査手法に用いられる化合物を発見することが望ましい。
【0017】
出願人は以前に、パモ酸またはその誘導体またはそのアナログまたはその医薬上許容される塩がアルツハイマー病およびアミロイド凝集体の沈着を特徴とする疾患の処置および予防に有効であることを発見している(WO02/00603) 。
【0018】
公開済み特許出願US 2004/0229869 は、メルカプトフェニルナフチルメタン化合物について開示および特許請求しており、これは骨粗鬆症の処置に有用な可能性があると考えられている。
【0019】
公開済み特許出願 US 2005/0119225 は、N-置換アニリンおよびジフェニルアミンアナログについて開示および特許請求しており、これはPDE4 阻害剤と考えられている。
【0020】
公開済み特許出願 US 2004/0053890 は、生物学的活性がカンナビノイド受容体と関係し、したがって痛みおよび炎症の処置に有用な可能性があるナフタレン誘導体に関する。これら化合物は一般式によって定義されており、その式によると、ナフチル基は常に二つの置換基を1位および4位に有する。合成された化合物に着目すると、1位の置換基がNH、SまたはSO2 (6頁の表を参照)の化合物は常に4位にペンチル-オキシ基が存在する。
【0021】
ドイツ特許 DE 343057 は、1-アリールアミノ-4-オキシナフタレンの合成について特許請求する。
【0022】
公開済み特許出願 US 2004/0132769 は、選択的COX-2阻害剤としての活性を有することが報告されるフェニル酢酸誘導体に関する。
【0023】
Moosmann et al. (Biol. Chem., 382., 1601-12, 2001参照) は、数種の芳香族アミンおよびイミンの酸化的神経細胞死に対する保護活性について報告する。本研究によれば、抗酸化的神経保護について試験した化合物のうち優れた効果を示したのはイミノスチルベン、フェノキサジンおよびフェノチアジンであり、また一般にイミンは対応するアミンよりも効力が強かった。
【0024】
脳血液関門の通過はCNSに作用する全ての化合物にとって主要な問題の1つである。それゆえ、すべてのイン・ビトロ試験における有効性を維持または改善しつつさらに脳血液関門を通過できる化合物を発見することが、常に求められている。
【発明の開示】
【0025】
出願人はこの度驚くべきことに、前述の疾患の処置に有用な新規化合物を発見した。これら化合物はまた、動物において試験すると血液脳関門を通過することができた。これら結果は、実施例と題される節に報告される。
【0026】
出願人はまた、その構造および合成が既に報告されていたいくつかの化合物が同分野において予想外に興味深い薬理活性を示すことを見出した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の主要な目的の1つは、以下の式(I)の化合物の、アミロイド凝集体の沈着を特徴とする状態の処置に有用な医薬化合物の調製のための使用である。
【化1】

[式中、
Rは、H、OR3、COOR3、N(R3)2、NO2、ハロゲン、ヒドロキシアルキル C1-C3からなる群から選択される;
R1およびR2は、同じまたは異なっており、H;OR3;COOR3;直鎖または分岐、飽和または不飽和C1C4アルキル;N(R3)2;C1-C4直鎖または分岐、飽和または不飽和アルキルチオ;ハロゲン;およびSO2N(R3)2らなる群から選択される;
R3は、H;C1C4直鎖または分岐アルキル;PO3H2;およびPO3(CH3)2からなる群から選択される;
Aは、NR4;S;およびSO2からなる群から選択される;
R4は、H;C1C4直鎖または分岐アルキル;C1C4直鎖または分岐アルカノイルからなる群から選択される;および
Bは、フェニルまたはナフチル基である]。
【0028】
本発明の別の好ましい態様によれば、AはNHであり、R1はHであり、R2はH、COOH、COOCH3およびOHからなる群から選択される;そしてRはH、OHおよびOCH3からなる群から選択される。
【0029】
以下の表1に、本発明の使用に好適な化合物の一部を構造式とともに挙げる。
【表1−1】

【表1−2】

【0030】
本発明の別の目的は、以下の一般式(I)の化合物である:
【化2】

[式中、
Rは、H、OR3、COOR3、N(R3)2、NO2、ハロゲン、ヒドロキシアルキルC1-C3からなる群から選択される;
R1およびR2は、同じまたは異なっており、H;OR3;COOR3;直鎖または分岐、飽和または不飽和C1C4 アルキル;N(R3)2;C1-C4直鎖または分岐、飽和または不飽和アルキルチオ;ハロゲン;およびSO2N(R3)2からなる群から選択される、ただしR1およびR2の両方がHまたはハロゲンであることはない;
R3は、H;C1C4直鎖または分岐アルキル;PO3H2;およびPO3(CH3)2からなる群から選択される;
Aは、NR4;S;およびSO2からなる群から選択される;
R4は、H;C1C4直鎖または分岐アルキル;C1C4直鎖または分岐アルカノイルからなる群から選択される;および
Bは、フェニルまたはナフチル基である、
ただし、
AがNR4のとき、R1およびR2の両方がOR3であることはない;および
以下の化合物を除く:
4-メトキシ-N-フェニル-1-ナフタレンアミン (ST2173)、
1-ヒドロキシ-N-フェニルナフタレン-2-アミニウムクロライド (ST2762)、
メチル 4-(1-ナフチルアミノ)ベンゾアート (ST2763)、
4-(1-ナフチルアミノ)安息香酸 (ST2764)、
4-(4-ヒドロキシアニリノ)-1-ナフトール (ST2177)、
4-アニリノ-1-ナフトール (ST2176)、
2-[(2-ヒドロキシ-1-ナフチル)アミノ]安息香酸 (ST2757)、
(1-メトキシ-2-ナフチル)フェニルアミン (ST2756)、
1-メトキシ-4-[(4-メトキシフェニル)スルホニル]ナフタレン (ST3499)および
4-[(4-ヒドロキシフェニル)スルホニル]-1-ナフトール (ST3500)]。
【0031】
実際、ここに挙げた全ての化合物の合成は以前の文献に示されており、具体的には以下である:
ST2756: Bowman, D. F.; Middleton, B. S.; Ingold, K. U. Oxidation of amines with peroxy radicals. I. N-phenyl-2-naphthylamine. Journal of Organic Chemistry (1969), 34(11), 3456-61;
ST2763: Seki, Mieko; Yoneyama, Hiroto; Okuda, Daisuke; Hirose, Eiichi; Ozaki, Tadayoshi; Agata, Takashi; Ishii, Toru; Mashimo, Kiyokazu; Sato, Katsuhiro. Electric charge-transportable polymers with high glass transition temperature, good solvent solubility, film-forming property and thermal stability. Jpn. Kokai Tokkyo Koho (2003), 34 pp;
ST2764: Wagner, Eugene Ross; Allen, Bobbie Jewel; Renzi, Alfred Arthur. p-Aminobenzoic acids with hypolipemic action. Ger. Offen. (1977), 13 pp;
ST2757: Mehta, R. K.; Gupta, R. K.; Singhi, V. C. Uranium(VI) complexes of some tridentate Schiff bases. Israel Journal of Chemistry (1971), 9(5), 589-91 and Ozha, D. D.; Mehta, R. K. Stepwise formation and thermodynamic constants of europium, gadolinium, dysprosium and holmium complexes of some tridentate Schiff bases. Transactions of the SAEST (1979), 14(3), 141-4;
ST2176: Hotta, Seiji; Ito, Yukiaki; Hatori, Minoru. Fluoran derivatives. Jpn. Kokai Tokkyo Koho (1975), 18 pp; and Yuan, Xin-hua; Xu, Hong-xing; Ni, Zhong-hai; Zhang, Li-fang; Wei-Xian-yong. Study on the reaction of aromatics containing active hydrogen atom with nitrobenzene catalyzed by aluminum trichloride. Ranliao Huaxue Xuebao (2004), 32(1), 104-108;
ST2173: Justus Liebigs Ann. Chem. (1925) 443, 222; ST2762: Bull.soc.chim.(1925), 37, 890-901; ST3499: US4996279 -US4960912; およびST3500: US4996279-US4960912。
【0032】
本発明はまた、式(I)の化合物の互変異性体、幾何異性体、エナンチオマー、ジアステレオマーおよびラセミ体のような光学活性型、および医薬上許容される塩を包含する。
【0033】
好ましい式(I)の医薬上許容される塩は、以下のような医薬上許容される酸と形成される酸付加塩である:塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩または重硫酸塩、リン酸塩またはリン酸水素塩、酢酸塩、ベンゾアート、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、グルコン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、およびパラ−トルエンスルホン酸塩。
【0034】
本発明の別の好ましい態様によれば、AはNHであり、RはOHおよびOCH3から選択され、および/またはナフチル基上でAに関してオルト位に存在し、R1はOCH3、COOCH3、H、COOHから選択され、かつR2はH、I、OHおよびOCH3から選択される。
【0035】
本発明の枠組み内において、直鎖または分岐C1-C4 アルキル基の例には以下が含まれると理解される:メチル、エチル、プロピル、ブチルおよびそれらの可能性ある異性体、例えばイソプロピル、イソブチルおよびter-ブチル。
【0036】
以下の表2に、本発明の最も好ましい化合物の一部をそれら構造式とともに挙げる。
【表2−1】

【表2−2】

【表2−3】

【表2−4】

【0037】
本発明の別の目的は、式(I)の化合物の医薬としての、換言すれば薬の有効成分としての使用であり、特にアミロイド凝集体の沈着を特徴とする疾患の処置のための医薬としての使用である。
【0038】
本発明のさらなる目的は、上記の式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩の1つの、アミロイド凝集体の沈着を特徴とする障害の処置に有用な医薬組成物の調製のための使用である。
【0039】
式(I)の化合物は、容易に入手可能な出発物質から以下の一般的方法および手順により調製することができる。当然のことながら、典型的または好ましい実験条件 (すなわち反応温度、時間、試薬のモル数、溶媒など)が示される場合、特記無き限り他の実験条件もまた使用可能である。最適な反応条件は、使用される特定の反応物または溶媒により変化しうるが、かかる条件は当業者によってありふれた最適化手順により決定されうる。
【0040】
本発明のさらなる目的は、一般式(I)の化合物の調製方法である。本発明の好ましい態様にしたがい、かかる方法の一部が実施例と題される節に報告され、また幾つかのスキームにより図示される(特にスキーム1〜6を参照のこと)。
【0041】
一般に、式(I)の化合物は置換または非置換ニトロナフタレンから得ることができる。ニトロナフタレンを、Pd/Cのような触媒により、酢酸エチルのような有機溶媒中にて水素化する。これにより得られたアミンを、置換または非置換ハロゲン化アリール誘導体と、試薬BINAP [2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル]および酢酸パラジウムを用いて縮合する。次の工程は、エーテルのBBr3による脱保護および/またはエステルのNaOHによる加水分解である。
【0042】
治療上有効量の前記式(I)の化合物を投与することを含む、アミロイド凝集体の沈着を特徴とする病理を患う哺乳動物を処置する方法は、本発明の局面の1つである。
【0043】
本明細書の「治療上有効量」なる用語は、対象とする疾患または状態を処置または回復するため、または検出可能な治療効果を発揮するために必要な治療物質の量を意味する。
【0044】
いずれの化合物についても治療上有効な投与量は、はじめにイン・ビトロアッセイにおいて、例えば本発明の化合物とのインキュベーションの後に残存する凝集βアミロイドを測定することにより評価できる;あるいは、動物モデルにおいて、通常マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ブタまたはサル、例えばアミロイドタンパク前駆体 (APP)-トランスジェニックマウスにおいて評価できる。
【0045】
動物モデルはまた、最適な濃度範囲および投与経路の決定に用いることができる。そしてかかる情報は、ヒトへの投与に有用な投与量および経路の決定に用いることができる。
【0046】
ヒト被験体に対する正確な有効量は、病状の重篤度、被験体の全体的な健康、被験体の年齢、体重および性別、食事、投与時間および投与頻度、併用薬物、反応感度、および治療に対する耐性/応答に依存する。この量は、日常的な実験により決定でき、臨床医の判断の範疇である。一般に、有効な投与量は0.01 mg/kg〜100 mg/kg、好ましくは0.05 mg/kg〜50 mg/kgである。組成物は、独立に患者に投与してもよく、あるいは他の物質、薬物またはホルモンと組み合わせて投与してもよい。
【0047】
医薬はまた、治療物質の投与のため医薬上許容される担体を含むことができる。かかる担体には、抗体その他のポリペプチド、遺伝子およびリポソームなどの他の治療物質が含まれるが、その担体自身がその組成物を投与された個体に対して有害な抗体の産生を誘導せず、また過度の毒性なく投与できることが条件である。
【0048】
適した担体は、大きく、代謝の遅い高分子であり、例えば、タンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマー、および不活性ウイルス粒子である。
【0049】
医薬上許容される担体の詳細な考察は、Remington's Pharmaceutical Sciences (Mack Pub. Co. , N. J.1991)から入手可能である。
【0050】
治療用組成物における医薬上許容される担体は、さらに液体、例えば水、生理食塩水、グリセロールおよびエタノールを含んでもよい。また、助剤、例えば湿潤剤、乳化剤、pH緩衝剤などがかかる組成物中に存在してもよい。これら担体により、医薬組成物を錠剤、ピル、糖衣錠、カプセル、液剤、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁剤などとして患者の経口摂取用に製剤化することが可能となる。
【0051】
製剤化の後、本発明の組成物は被験体に直接投与することができる。処置すべき被験体は動物でありうる;特にヒト被験体を処置することができる。
【0052】
本発明の医薬はあらゆる経路で投与することができ、限定はされないが、例えば経口、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、くも膜下、心室内、経皮投与、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸内、局所、舌下、膣内、直腸手段により、または術後の病変組織に局所的に、投与することができる。
【0053】
投与処置は、単回投与計画であっても反復投与計画であってもよい。
【0054】
本発明のさらなる目的は、賦形剤および/または薬理学上許容される希釈剤と組み合わされた、1以上の前記式(I)の化合物を含む医薬組成物である。
【0055】
問題の組成物は、式(I)の化合物とともに、他の既知の活性成分を含んでもよい。
【0056】
本発明のさらなる態様は、1以上の式(I)の化合物を適した賦形剤、安定剤および/または医薬上許容される希釈剤と混合することを特徴とする、医薬組成物の調製方法である。
【0057】
本発明のさらなる目的は、前記式(I)の化合物の、アミロイド凝集体の沈着を特徴とする状態の診断のための診断キットを製造するための使用である。
【0058】
実際、本発明の化合物は、画像診断に一般的に用いられる元素をその分子骨格原子に含んでもよい。例えば、炭素、水素、窒素、酸素、ヨウ素およびインジウムの放射性同位体をその構造に導入することができる。さらにより具体的には、式(I)の化合物は、その分子構造の少なくとも1つの元素、炭素、水素、窒素または酸素が対応する放射性同位体と置換されていてもよく、または少なくとも1つの放射性ヨウ素の原子を有してしてもよい;あるいは、放射性インジウムとの複合体の形態である。
【0059】
これら放射性同位体を含む化合物は、文献に報告される以前に調製された化合物から類推して調製することができる。
【0060】
Zhuang et al. (Nucl Med Biol. 2005 Feb;32(2):171-84参照) は、脳におけるβアミロイドプラークのイメージングのためのテクネチウム99で標識されたビフェニルの調製について報告している。以前に得られたアミロイドβプラーク特異的なp-N,N-ジメチルアミノフェニル基を含むビフェニルに基づき、一連の99TcおよびRe-N2S2-ビフェニル誘導体が調製された。
【0061】
Huang Y et al. (J Med Chem. 2005 Apr 7;48(7):2559-70参照)は、セロトニントランスポーターリガンドとしてのフッ化ジアリールスルフィドについて研究している。彼らは、PETイメージング試薬としてのフッ素-18-標識化合物の合成、構造-活性相関研究およびインビボ評価について報告している。
【0062】
セロトニントランスポーター (SERT) リガンド[11C]2-[2-(ジメチルアミノメチルフェニルチオ)]-5-フルオロフェニルアミンが合成され、薬理学的および薬物動態学的研究においてPET放射性リガンドの候補として評価された。PET放射性リガンドとして、AFAはC-11またはF-18のいずれによっても標識可能である (Huang Y et al., Nucl Med Biol. 2004 Aug;31(6):727-38)。
【0063】
これら全ての放射活性化合物は、例えば、PET (ポジトロン放出型断層撮影)、SPECT (単光子放出コンピュータ断層撮影) および平面シンチグラフィーのような技術に有用である。あるいは、放射性同位体または放射線不透(radio-opaque)元素として有用な元素(例えばヨウ素)の原子を含む本発明の化合物は、画像診断技術に一般に用いられる元素、例えばガドリニウム(NMR)、テクネチウム (走査技術)、のための錯体形成試薬(complexing agent)として使用可能である。
【0064】
この診断への適用に基づけば、本発明の化合物はまた、前述の疾患の予防に有用である。
【0065】
以下、本発明を非限定的な実施例によりさらに詳細に説明する。
【実施例】
【0066】
実施例1 - 合成スキーム1による式(I)の化合物の製造
【化3】

試薬および条件
i) H2 60 psi, 10% Pd/C 酢酸エチル, 室温4時間;
ii) ハロゲン化アリール, Cs2CO3 Pd(OAc)2 (±) BINAP トルエン, 80℃, 19-39時間;
iii) BBr3 CH2Cl2 -45℃ 1-15時間, 次いで室温4.5-15時間; CH3COCl,メタノール
iv) BBr3 CH2Cl2 -45℃ 15時間
v) 1N NaOH, THF/エタノール 1:1 還流 3.5時間
【0067】
工程i 4-メトキシ-1-ナフタレンアミンの製造
4-メトキシ-1-ニトロナフタレン (1.0 g, 4.9 mmol)(酢酸エチル (150 ml) 中)の懸濁液を、Parr装置において、室温にて、触媒として10% Pd/C (200 mg) の存在下、初期圧力60 psi にて、4時間水素化した。触媒をろ過により除去し、ろ液を乾燥および蒸発させ、純粋な 4-メトキシ-1-ナフタレンアミン (850 mg, 収率100%)得て、これをさらなる精製なしに次の反応に使用した。
【0068】
工程 ii 4-メチルベンゾアート-1-イル(4-メトキシ-1-ナフチル)アミン (ST3244)の製造
乾燥させたフラスコをアルゴンでパージし、(±) BINAP (70 mg, 0.11 mmol) を満たし、ゴム隔膜で蓋をした。そのフラスコをアルゴンでパージし、トルエン (9.7 ml) を添加した。この混合物を撹拌しながら80℃まで加熱し、BINAPを溶解した(〜1 分)。この溶液を室温まで冷却し、隔膜を除去し、酢酸パラジウム (16 mg, 0.07 mmol) を添加した。フラスコに隔膜で再度蓋をし、アルゴンでパージした(〜30 秒間)。この混合物を室温で1 分間撹拌し、4-メトキシ-1-ナフタレニルアミン (600 mg, 3.5 mmol) をトルエン (1.5 ml) に溶解し、メチル-4-ブロモベンゾアート (615 mg, 2,9 mmol) を添加し、隔膜を除去し、そして炭酸セシウム (1.31 g, 4.0 mmol) を添加した。さらにトルエン (7 ml) を添加し、次いでフラスコに隔膜で再度蓋をし、再びアルゴンでパージした。この混合物を24 時間撹拌しながら80℃まで加熱した。この混合物を室温まで冷却し、エーテルで希釈し、ろ過し、真空で濃縮した。この未精製生成物 (980 mg) を次いでカラムクロマトグラフィーで精製し (溶出剤として酢酸エチル/n-ヘキサン 1:1を使用)、820 mg (77%) の純粋ST3244を得た。Mp 168-170 ℃ (ベンゼン); IR: γ 3300 (NH), cm-1; 1H-NMR (CDCl3): δ 3.89 (s, 3H, COOCH3), 4.08 (s, 3H, OCH3), 6.03 (s ブロード, 1H, NH), 6.45-6.71 (m, 2H, ベンゼン C3-H および C5-H), 6.85 (d, J = 8.1 Hz, ナフタレン H), 7.39 (d, J = 8.1 Hz, ナフタレン H), 7.48-7.61 (m, 2H, ナフタレン H), 7.85-7.96 (m, 3H, ナフタレン H および ベンゼン C2-H and C6-H), 8.35-8.41 (m, 1H, ナフタレン H)。
【0069】
以下の化合物が前述の手順と同じ手順で得られた。各誘導体について、反応時間、クロマトグラフシステム用の溶出剤、収率、mp (再結晶溶媒)、IR、およびNMR データを報告する。
4-メトキシ-N-フェニル-1-ナフタレンアミン (ST2173): 21時間; 酢酸エチル/n-ヘキサン 1:1; 70%; mp 141-143 ℃ (シクロヘキサン/n-ヘキサン); IR: γ 3400 (NH), cm-1; 1H-NMR (CDCl3): δ 4.07 (s, 3H, CH3), 5.75 (s ブロード, 1H, NH), 6.75-6.90 (m, 4H, ナフタレン H および ベンゼン C2-H および C6-H), 7.15-7.25 (m, 3H, ベンゼン C3-H, C4-H および C5-H), 7.50-7.60 (m, 2H, ナフタレン H), 8.04 (m, 1H, ナフタレン H), 8.33 (m, 1H, ナフタレン H)。
4-メトキシ-N-(4-メトキシフェニル)-1-ナフタレンアミン (ST2175): 21時間; 酢酸エチル/n-ヘキサン 1:1; 96%; オイル; IR: γ 3380 (NH), cm-1; 1H-NMR (CDCl3): δ 3.81 および 4.04 (2s, 6H, CH3), 5.90 (s ブロード, 1H, NH), 6.74-6.85 (m, 6H, ナフタレン C2-H および C3-H および ベンゼン H), 7.51-7.58 (m, 2H, ナフタレン H), 8.04 (m, 1H, ナフタレン H), 8.35 (m, 1H, ナフタレン H)。
N-(4-メトキシ-1-ナフチル)-N-(2-メトキシフェニル)アミン (ST2879): 39時間; 酢酸エチル/n-ヘキサン 1:2; 70%; mp 108-110 ℃ (シクロヘキサン); IR: γ 3395 cm-1 (NH); 1H-NMR (CDCl3): δ 3.98 および 4.02 (2s, 6H, CH3), 6.60 および 6.91 (2m, 2H, ベンゼン C3-H および C6-H), 6.73 (m, 2H, ベンゼン C4-H および C5-H), 6.80 (d, 1H, Jo = 8.1 Hz, ナフタレン C3-H), 7.35 (d, 1H, Jo = 8.1 Hz, ナフタレン C2-H), 7.48 (m, 2H, ナフタレン C6-H および C7-H), 7.98 および 8.30 (2m, 2H, ナフタレン C5-H および C8-H).
【0070】
以下の誘導体が前述の手順と類似の手順により得られた。以下に説明するように、一部の試薬を異なる比率で使用した。
N-(5-ヨード-2-メトキシフェニル)-4-メトキシ-1-ナフタレンアミン (ST2878): 1-メトキシ-4-ナフタレンアミン (1.04 g, 6.0 mmol)について反応を行った。19時間、その後BINAP (60 mg, 0.095 mmol)、酢酸パラジウム (20 mg, 0.06 mmol) 、トルエン (9 ml); 9時間、その後BINAP (120 mg, 0.19 mmol) 、酢酸パラジウム (30 mg, 0.13 mmol) 、トルエン (18 ml); 24 時間、その後BINAP (120 mg, 0.19 mmol)、酢酸パラジウム (30 mg, 0.13 mmol) 、トルエン (18 ml) 、2,4-ジヨードアニソール (1.8 g, 5.0 mmol); 48時間; フラッシュクロマトグラフィー, 酢酸エチル/n-ヘキサン 1:20; 18%; オイル; IR: γ 3390 cm-1 (NH); 1H-NMR (CDCl3): δ 3.95 and 4.03 (2s, 6H, CH3), 6.61 (d, 1H, Jo = 8.3 Hz, ベンゼン C3-H), 6.78 (d, 1H, Jm = 2.0 Hz, ベンゼン C6-H), 6.82 (d, 1H, Jo = 8.1 Hz, ナフタレン C3-H), 7.01 (dd, 1H, Jo = 8.3 Hz, Jm = 2.0 Hz, ベンゼン C4-H), 7.34 (d, 1H, Jo = 8.1 Hz, ナフタレン C2-H), 7.50 (m, 2H, ナフタレン C6-H および C7-H), 7.92 および8.31 (2m, 2H, ナフタレン C5-H および C8-H)。
4-メトキシ-3-メチルベンゾアート-1-イル(4-メトキシ-1-ナフチル)アミン (ST3245): 4-メトキシ-1-ナフタレンアミン (1.6 g, 9.1 mmol)について、(±) BINAP (470 mg, 0.76 mmol)、酢酸パラジウム (120 mg, 0.51 mmol)を用いて120℃で反応を行った。24 時間; 酢酸エチル/n-ヘキサン 1:1; 97%; オイル; IR: γ 3320 (NH), 1695 (CO) cm-1; 1H-NMR (CDCl3): δ 3.88 (s, 3H, OCH3), 3.89 (s, 3H, OCH3), 4.04 (s, 3H, OCH3), 5.60 (s ブロード, 1H, NH), 6.79 (d, 1H, J = 8.2 Hz, ナフタレン H), 6.88 (m, 2H, ベンゼン C3-H および C4-H), 7.22 (d, 1H, J = 8.2 Hz, ナフタレン H), 7.34 (m, 1H, ベンゼン C6-H), 7.50-7.58 (m, 2H, ナフタレン H), 7.99 および 8.34 (2m, 2H, ナフタレン)。
N-(4-メトキシフェニル)-4-ニトロナフタレン-1-アミン (ST3451)
乾燥したフラスコをアルゴンでパージし、(±) BINAP (50 mg, 0,08 mmol) で満たし、ゴム隔膜で蓋をした。このフラスコをアルゴンでパージし、ジオキサン (7,5 ml) を添加した。この混合物を撹拌しながら100℃まで加熱しBINAPを溶解した。この溶液を室温まで冷却し、隔膜を除去し、酢酸パラジウム (13 mg, 0,055 mmol) を添加した。フラスコに隔膜で再度蓋をし、次いでアルゴンをパージした。この混合物を室温で1分間撹拌し、1-アミノ-4-ニトロ-ナフタレン (500 mg, 2,7 mmol) および 4-ブロモ-アニソール (410 mg, 2,2 mmol ) 溶液(ジオキサン (2 ml) に溶解)を添加し、隔膜を除去し、炭酸セシウム (1,00 g, 3,08 mmol) を添加した。さらにジオキサン (6 ml) を添加し、次いでフラスコに再度隔膜で蓋をし、アルゴンで再びパージした。この混合物を撹拌しながら21時間15分100℃まで加熱した。(±) BINAP (50 mg, 0,08 mmol) および 酢酸パラジウム (13 mg, 0.055 mmol)(ジオキサン (7.5 ml) に溶解)の溶液を添加し、100℃ で4時間30分撹拌した。BINAP (50 mg, 0,08 mmol) および酢酸パラジウム (13 mg, 0.55 mmol) (ジオキサン (7.5 ml) に溶解)の溶液を添加し、100℃で3日間撹拌した。(±) BINAP (50 mg, 0,08 mmol) および酢酸パラジウム (13 mg, 0.055 mmol) (ジオキサン (7.5 ml) に溶解)の溶液を添加し、100℃で24時間撹拌した。(±) BINAP (50 mg, 0,08 mmol) および酢酸パラジウム (13 mg, 0.055 mmol) (ジオキサン (7.5 ml) に溶解)の溶液を添加し、100℃で20時間撹拌した。(±) BINAP (50 mg, 0,08 mmol) および酢酸パラジウム (13 mg, 0.055 mmol) (ジオキサン (7.5 ml) に溶解)の溶液を添加し、100℃で24時間撹拌した。(±) BINAP (50 mg, 0,08 mmol) および酢酸パラジウム (13 mg, 0.055 mmol) (ジオキサン (7.5 ml) に溶解)の溶液を添加し、100℃で16時間撹拌した。(±) BINAP (50 mg, 0,08 mmol) および酢酸パラジウム (13 mg, 0.055 mmol) (ジオキサン (7.5 ml) に溶解)の溶液を添加し、100℃で4時間30分撹拌した。この混合物を室温まで冷却し、メタノールで希釈し、ろ過し、真空で濃縮した。未精製生成物 (2.86 g) をカラムクロマトグラフィー (溶出剤としてクロロホルムを使用) で精製し、220 mg (38%) の純粋ST3451を得た; IR: ν 3365 (NH), cm-1; 1H-NMR (DMSO-d6): δ 3,93(s, 3H, CH3), 6.77 (s ブロード, 1H, NH), 6.85 (m, 1H, ナフタレン H), 7.05 (d, 2H, Jo= 8.8 Hz, ベンゼン C3-H および C5-H), 7.30 (d, 2H, Jo= 8.8 Hz, ベンゼン C2-H および C6-H), 7.67 and 7.81 (2m, 2H, ナフタレン C6-H および C7-H), 8.08, 8.39 および 9.07 (3m, 3H, C2-H, C5-H および C8-H ナフタレン)。
【0071】
工程 iii 2-[(2-ヒドロキシ-1-ナフチル)アミノ]安息香酸 (ST1973)の製造
メチル 4-(4-メトキシ-1-ナフタレニルアミノ)ベンゾアート (ST3244) (763 mg, 2.4 mmol) (ジクロロメタン (27 ml) 中)の溶液を1M BBr3 (12.6 ml, 12.6 mmol) (同溶媒中)に-45℃でアルゴン大気下にて滴下した。この混合物を15時間同温度で撹拌し、次いで水 (50 ml)で処理した。この混合物をエチルエーテル (3 x 50 ml) で抽出し、有機系抽出物を回収し、塩水で洗浄し(3 x 100 ml) 、乾燥させた。溶媒を蒸発させると未精製生成物が得られ、クロマトグラフィー (溶出剤として酢酸エチル/n-ヘキサン 9:2を使用) により純粋なST1973,301mg,45%が得られた; mp 214-217 ℃ (トルエン); IR: γ 3360 (OH, NH), 2800 (COOH) cm-1; 1H-NMR (DMSO-d6): δ 6.63 (d, 2H, Jo = 8.7 Hz, ベンゼン C3-H および C5-H), 6.92 (d, 1H, J = 8.0 Hz, ナフタレン H), 7.27 (d, 1H, J = 8.0 Hz, ナフタレン H), 7.50 (m, 2H, ナフタレン H), 7.69 (d, 2H, Jo = 8.7 Hz, ベンゼン C2-H e C6-H), 7.85 (m, 1H, ナフタレン H), 8.20 (m, 1H, ナフタレン H), 8.45 (s ブロード, 1H, NH), 10.20 (s ブロード, 1H, OH), 12.15 (s ブロード, 1H, COOH)。
【0072】
2-ヒドロキシ-5-[(4-ヒドロキシ-1-ナフチル) アミノ] 安息香酸 ( ST3717)
2-メトキシ-5-(4-メトキシ-1-ナフタレニルアミノ)安息香酸メチルエステル ST3245 (500 mg, 1.5 mmol) (ジクロロメタン (18 ml) 中)の溶液を1M BBr3 (7.8 ml, 7.8 mmol) (同溶媒中) に-45℃でアルゴン大気下にて滴下した。この混合物を1 時間同温度で撹拌し、次いで室温に温め、15 時間撹拌した。水 (50 ml)で処理した後、この混合物をエチルエーテルで抽出し (3 x 50 ml) 、有機系抽出物を塩水で洗浄し (3 x 100 ml) 、乾燥させた。溶媒を蒸発させると未精製生成物 (300 mg)が得られ、クロマトグラフィー (溶出剤として酢酸エチルを使用) によって純粋な ST3717 (75 mg, 17%)が得られた; mp 175 ℃; IR: ν 3350 (OH, NH), 3000 (COOH) 1635 (CO) cm-1; 1H-NMR (DMSO-d6): δ 6.73 (d, 1H, Jo = 8.7 Hz, ベンゼン C3-H), 6.82 (d, 1H, J = 8.0 Hz, ナフタレン H), 6.97 (dd, 1H, Jo = 8.7 Hz, Jm = 2.7 Hz, ベンゼン C4-H), 7.05 (d, 1H, J = 8.0 Hz, ナフタレン H), 7.20 (d, 1H, Jm = 2.7 Hz, ベンゼン C6-H), 7.44-7.49 (m, 2H, ナフタレン C6-H および C7-H), 7.99 (m, 1H, ナフタレン H), 8.15 (m, 1H, ナフタレン H), 9.85 (s ブロード, 3H, OH, COOH および NH)。
【0073】
2-ヒドロキシ-5-[(4-ヒドロキシ-1-ナフチル)アミノ]安息香酸塩酸塩 (ST2511)
塩化アセチル (50 mg, 0.6 mmol) を注意深く0℃に冷却したメタノール (1 ml) にアルゴン流下にて添加した。次いで、ST3717 (420 mg, 1.8 mmol) 溶液(メタノール (13 ml) 中)を滴下し、その間この塩化水素溶液を穏やかに撹拌した。15分後、この溶液を濃縮し、イソプロピルエーテル (50 ml) を添加し、この懸濁液を0℃で10分間撹拌した。生成した沈殿物をろ過し、冷メタノール (1 ml) で洗浄し、次いでイソプロピルエーテル (3 x 2 ml) で洗浄し、ST2511 (80 mg, 40 %)を得た。mp 220 ℃。
【0074】
工程 iv 4-アニリノ-1-ナフトール (ST2176)の製造
4-メトキシ-N-フェニル-1-ナフタレンアミン (ST2173) (600 mg, 2.4 mmol) (ジクロロメタン (27 ml) 中)の溶液を1M BBr3 (12.6 ml, 12.6 mmol) (同溶媒中)に-45℃でアルゴン大気下にて滴下した。この混合物を15時間同温度で撹拌し、次いで水 (50 ml)で処理した。この混合物をエチルエーテル (3 x 50 ml) で抽出し、有機系抽出物を回収し、塩水 (3 x 100 ml) で洗浄し、乾燥させた。溶媒を蒸発させると未精製生成物 (630 mg)が得られ、クロマトグラフィー (溶出剤として酢酸エチル/n-ヘキサン 1:3 を使用) により純粋なST2176 (490 mg, 88%)が得られた。オイル; IR: γ 3375 (OH, NH) cm-1; 1H-NMR (CDCl3): δ 5.30および5.65 (2s ブロード, 2H, OH および NH), 6.75-6.87 (m, 4H, ナフタレン H および ベンゼン C2-H および C6-H), 7.15-7.30 (m, 3H, ベンゼン C3-H, C4-H および C5-H), 7.50-7.57 (m, 2H, ナフタレン H), 8.05 (m, 1H, ナフタレン H), 8.25 (m, 1H, ナフタレン H)。
【0075】
以下の誘導体が前述の手順と同じ手順により得られた。
4-(4-ヒドロキシアニリノ)-1-ナフトール (ST2177)
ST2177の製造に使用する溶媒をアルゴンでパージした。この化合物はクロマトグラフィー中に一部分解した。15時間; 酢酸エチル/n-ヘキサン 1:1; 100%; mp 74 ℃; IR: γ 3350 (OH, NH) cm-1; 1H-NMR (DMSO-d6): δ 6.55-7.00 (m, 7H, ナフタレン H, ベンゼン H および NH), 7.38-7.47 (m, 2H, ナフタレン H), 7.95-8.13 (m, 2H, ナフタレン H), 8.67 および 9.67 (2s ブロード, 2H, OH)。
メチル 4-[(4-ヒドロキシ-1-ナフチル)アミノ]ベンゾアート (ST2178): 15時間; 酢酸エチル/n-ヘキサン 1:2; 58%; mp 188-190 ℃ (ベンゼン/n-ヘキサン); IR: γ 3370 (NH, OH), 1680 (CO) cm-1; 1H-NMR (DMSO-d6): δ 3.73 (s, 3H, CH3), 6.60-6.67 (m, 2H, ベンゼン C3-H および C5-H), 6.89 (d, 1H, J = 8.0 Hz, ナフタレン H), 7.24 (d, J = 8.0 Hz, ナフタレン H), 7.44-7.48 (m, 2H, ナフタレン H), 7.66-7.71 (m, 2H, ナフタレン H), 7.68 (m, 2H, ベンゼン C2-H および C6-H), 7.82 (m, 1H, ナフタレン H), 8.17 (m, 1H, ナフタレン H), 8.50 (s ブロード, 1H, NH), 10.18 (s ブロード, 1H, OH)。
【0076】
工程 v 4-[(4-メトキシ-1-ナフチル)アミノ]安息香酸 (ST1972)の製造
ST3244 (500 mg, 1.5 mmol) および 1N NaOH (3.7 ml) (THF/エタノール 1:1 (20 ml) 中)の溶液を3.5 時間撹拌しながら還流した。次いでその混合物をクラッシュアイス上に注ぎ、酢酸エチル (30 ml)で抽出した。水層を1N HCl を処理してpH 3とし、次いで酢酸エチル (3 x 50 ml)で抽出した。有機系抽出物を回収し、塩水で洗浄し (3 x 100 ml)、乾燥させ、そして溶媒を除去してST1972 (240 mg, 50%)を得た。Mp 153-154 ℃ (イソプロパノール); IR: γ 3400 (NH), 3000 (OH), 1650 (CO) cm-1; 1H-NMR (DMSO-d6): δ 4.01 (s, 3H, CH3), 6.70 (d, 2H, Jo = 8.5 Hz, ベンゼン C3-H および C5-H), 7.01 (d, 1H, J = 8.0 Hz, ナフタレン C3-H), 7.39 (d, 1H, J = 8.0 Hz, ナフタレン C2-H), 7.55 (m, 2H, ナフタレン C6-H および C7-H), 7.71 (d, 2H, Jo = 8.5 Hz, ベンゼン C2-H および C6-H), 7.90 (m, 1H, ナフタレン H), 8.20 (m, 1H, ナフタレン H), 8.54 (s ブロード, 1H, NH)。
【0077】
以下の誘導体が類似の手順により得られた。
2-メトキシ-5-[(4-メトキシ-1-ナフチル)アミノ]安息香酸 (ST2174): 3.5時間; 50%; mp 153-154 ℃ (イソプロパノール); IR: γ 3300 (NH), 3160 (OH), 1690 (CO) cm-1; 1H-NMR (DMSO-d6): δ 3.76 (s, 3H, OCH3), 3.97 (s, 3H, OCH3), 6.91-6.98 (m, 3H, ナフタレン H および ベンゼン C3-H および C4-H), 7.16 (m, 1H, ベンゼン C2-H), 7.21 (d, 1H, J = 8.2 Hz, ナフタレン H), 7.53 (m, 2H, ナフタレン H), 7.76 (s ブロード, 1H, NH), 8.05 および 8.20 (2m, 2H, ナフタレン H), 12.50 (s ブロード, 1H, OH)。
【0078】
実施例2 - 合成スキーム2による式(I)の化合物の製造
【化4】

試薬および条件
i) H2 60 psi, 10% Pd/C 酢酸エチル, 室温4時間;
ii) ハロゲン化アリール, Cs2CO3 Pd(OAc)2 (±) BINAP トルエン, 80℃;
iii) BBr3 CH2Cl2 -45℃ 0.5時間; 塩化アセチル,メタノール, 0℃,15分 (ST2762)
IV) NaOH, EtOH/THF 還流
【0079】
工程 i - 1-メトキシ-2-ナフタレンアミンの製造
1-メトキシ-2-ナフタレンアミンを、4-メトキシ-1-ナフタレンアミンについて報告した手順と同じ手順により1-メトキシ-2-ニトロナフタレン (3.70 g, 18.0 mmol) を開始物質として使用して得た。得られた1-メトキシ-2-ナフチレンアミン (3.12 g, 100 %) を、さらなる精製なしに次の反応に使用した。
【0080】
工程 ii (1-メトキシ-2-ナフチル)フェニルアミン (ST2756)の製造
乾燥させたフラスコをアルゴンでパージし、 (±) BINAP (70 mg, 0.11 mmol) を満たし、ゴム隔膜で蓋をした。このフラスコをアルゴンでパージし、トルエン (9.7 ml) を添加した。この混合物を撹拌しながら80℃まで加熱しBINAPを溶解した (〜1分)。この溶液を室温まで冷却し、隔膜を除去し、酢酸パラジウム (16 mg, 0.07 mmol) を添加した。フラスコに隔膜で再度蓋をし、アルゴンでパージした(〜30秒間)。混合物を室温で1分間撹拌し、1-メトキシ-2-ナフタレニルアミン (600 mg, 3.5 mmol) (トルエン (1.5 ml) に溶解)およびブロモベンゼン (455 mg, 2,9 mmol) を添加し、隔膜を除去し、炭酸セシウム (1.31 g, 4.0 mmol) を添加した。さらにトルエン (7 ml) を添加し、次いでフラスコに再度隔膜で蓋をし、アルゴンを再びパージした。この混合物を撹拌しながら80℃まで16時間加熱した。この混合物を室温まで冷却し、エーテルで希釈し、ろ過し、真空で濃縮した。未精製生成物をその後カラムクロマトグラフィー (酢酸エチル/n-ヘキサン 1:1 を溶出剤として使用)にて精製し、854 mg (83%) の純粋なST2756 を得た。mp 43-45 ℃ (n-ヘキサン); IR: γ 3395 (NH), cm-1; 1H-NMR (DMSO-d6): δ 3.80 (s, 3H, CH3), 6.85 (m, 1H, ベンゼン H), 7.07-7.65 (m, 8H, ナフタレン H および ベンゼン H), 7.84 (m, 1H, ナフタレン H), 7.93 (m, 1H, ナフタレン H), 7.99 (m, 1H, ナフタレン H)。
【0081】
メチル-4-[(1-メトキシ-2-ナフチル) アミノ] ベンゾアート (ST3452)
乾燥フラスコをアルゴンでパージし、(±) BINAP (210 mg, 0,34 mmol) を満たし、ゴム隔膜で蓋をした。このフラスコをアルゴンでパージし、トルエン (31 ml) を添加した。この混合物を撹拌しながら80 まで加熱し、BINAPを溶解した。この溶液を室温まで冷却し、隔膜を除去し、酢酸パラジウム (50 mg, 0,23 mmol) を添加した。フラスコに隔膜で再度蓋をし、次いでアルゴンでパージした。この混合物を室温で1分間撹拌し、1-メトキシ-2-ナフタレンアミン (1,93 g, 11,16 mmol) (スキーム 2 工程 iを参照)(トルエン (6 ml)に溶解)およびメチル 4-ブロモベンゾアート (2,00 g, 13,02 mmol)を添加し、隔膜を除去し、そして炭酸セシウム (4,24 g, 13,02 mmol)を添加した。さらにトルエン (23 ml) を添加し、次いでフラスコに隔膜で再度蓋をし、アルゴンで再びパージした。この混合物を80℃まで撹拌しながら4時間10分加熱した。この混合物を室温まで冷却し、エーテルで希釈し、ろ過し、真空にて濃縮した。未精製生成物 (4,06 g) をその後カラムクロマトグラフィー (クロロホルム/酢酸エチル 9:1 を溶出剤として使用) にて精製し、2,78 g (97%) の純粋な ST3452を得た。p.f. 153-154 ℃ (リグロイン(ligroina)); IR: ν 3327 (NH), 1691 (CO) cm-1; 1H-NMR (CDCl3): δ 3,95 (s, 3H, CH3), 7,14 (d, 2H, Jo = 8,8 Hz, ベンゼン C2-H および C6-H), 7,44-7,48 (m, 1H, ナフタレン H), 7,55-7,59 (m, 1H, ナフタレン H), 7,64-7,69 (m, 2H, ナフタレン H), 8,03 (d, 2H, Jo = 8,8 Hz, ベンゼン C3-H および C5-H), 8,10 (m, 1H, ナフタレン H)。
【0082】
N-(4-ヨードフェニル)-1-メトキシナフタレン-2-アミン(ST3454)
乾燥フラスコをアルゴンでパージし、(±) BINAP (125 mg, 0,20 mmol) を満たし、ゴム隔膜で蓋をした。このフラスコをアルゴンでパージし、トルエン (19 ml) を添加した。この混合物を撹拌しながら80 ℃まで加熱し、BINAPを溶解した。この溶液を室温まで冷却し、隔膜を除去し、酢酸パラジウム (30 mg, 0,135 mmol) を添加した。フラスコに再度隔膜で蓋をし、その後アルゴンでパージした。この混合物を室温で1分間撹拌し、1-メトキシ-2-ナフタレンアミン (1,12 g, 6,5 mmol) (スキーム 2 工程 iを参照) (トルエン (4 ml) 中に溶解)および1,4-ジヨードベンゼン (1,78 g, 5,4 mmol)を添加し、隔膜を除去し、炭酸セシウム (2,46 g, 7,56 mmol) を添加した。さらにトルエン (15 ml) を添加し、その後フラスコに再度隔膜で蓋をし、再びアルゴンでパージした。この混合物を撹拌しながら80℃まで19時間加熱した。この混合物を室温まで冷却し、エーテルで希釈し、ろ過し、そして真空にて濃縮した。未精製生成物 (3,72 g) をカラムクロマトグラフィー (クロロホルム/石油エーテル 1:1 を溶出剤として使用) により精製して、740 mg (37%) の純粋なST3454を得た; p.f. 83-84 ℃ (n-ヘキサン); IR: ν 3327 (NH) cm-1; 1H-NMR (CDCl3): δ 3,96 (s, 3H, CH3), 6,97 (d, 2H, Jo = 8,8 Hz, ベンゼン C2-H および C6-H), 7,40-7,43 (m, 1H, ナフタレン H), 7,55 (d, 2H, Jo = 8,8 Hz, ベンゼン C3-H および C5-H), 7,57 (m, 1H, ナフタレン H), 7,85 および 7,07 (2m, 2H, ナフタレン H)。
【0083】
工程 iii 1-ヒドロキシ-N-フェニルナフタレン-2-アミニウムクロライド (ST2762)の製造
1-メトキシ-N-フェニル-2-ナフタレンアミン (ST2756) (705 mg, 2.4 mmol) (ジクロロメタン (27 ml) 中)の溶液を1M BBr3 (12.6 ml, 12.6 mmol) (同溶媒中) に-45℃でアルゴン大気下にて滴下した。この混合物を30分間同温度で撹拌し、次いで水 (50 ml)で処理した。この混合物をエチルエーテルで抽出し (3 x 50 ml) 、有機系抽出物を回収し、塩水で洗浄し (3 x 100 ml) 、乾燥させた。溶媒を蒸発させると未精製生成物 (630 mg)が得られ、クロマトグラフィー (酢酸エチル/n-ヘキサン 1:3 を溶出剤として使用) により純粋物 (571 mg, 88%)が得られた。塩化アセチル (150 mg, 1.9 mmol) を0 ℃に冷却したメタノール (3 ml)にアルゴン流下にて注意深く添加した。その後、純粋生成物 (420 mg, 1.8 mmol) の溶液(メタノール (3 ml) 中)を滴下し、その間この塩酸塩溶液を穏やかに撹拌した。15分後、溶液を濃縮し、イソプロピルエーテル (17 ml) を添加し、この懸濁液を0℃で10 分間撹拌した。生成した沈殿物をろ過し、冷メタノール (1 ml) で洗浄し、次いでイソプロピルエーテル (3 x 2 ml) で洗浄し、(170 mg, 33.5 %) ST2762を得た。Mp > 300℃; IR: γ 3150 (NH e OH) cm-1; 1H-NMR (DMSO-d6): δ 6.70 (m, 1H, ベンゼン H), 6.81-6.88 (m, 2H, ベンゼン H), 7,07-7.16 (m, 2H, ナフタレン H), 7.31-7.42 (m, 4H, ベンゼン H および ナフタレン H), 7.77 (m, 1H, ナフタレン H), 8.11 (m, 1H, ナフタレン H)。
【0084】
メチル 4-[(1-ヒドロキシ-2-ナフチル) アミノ] ベンゾアート (ST3456)
4-[(1-ヒドロキシ-2-ナフチル)アミノ]安息香酸 ( ST3459)
ST3452 (1,46 g, 4,75 mmol) (ジクロロメタン (54 ml) 中)の溶液を1M BBr3 ジクロロメタン溶液 (23,7 ml, 23,7 mmol)に-45℃、アルゴン大気下にて滴下した。この混合物を19時間40分同温度で撹拌し、さらに35分間室温で撹拌した。この混合物を水 (100 ml)で希釈し、酢酸エチルで抽出した (3 x 100 ml); 有機層を回収し、塩水で洗浄し (3 x 100 ml)、乾燥させ、真空にて濃縮し、未精製生成物 (1.02 g)を得て、これをカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル/n-ヘキサン 1:1 を溶出剤として使用) にて精製して、ST3456 (610 mg) (同じ不純物を含有)および純粋な ST3459 (460 mg)を得た。ST3459: p.f. 210 ℃ (MeOH); IR: ν 3426 (OH, COOH), 3353 (NH), 1654 (CO) cm-1; 1H-NMR (DMSO-d6): δ 6,78-6,80 (m, 2H, ベンゼン C2-H e C6-H), 7,33-7,36 (m, 1H, ナフタレン H), 7,42-7,50 (m, 3H, ナフタレン H), 7,74-7,77 (m, 2H, ベンゼン C3-H および C5-H), 7,84 7,86 (m, 1H, ナフタレン H), 8,18 (s ブロード, 1H, NH), 8,19-8,21 (m, 1H, ナフタレン H), 9,40 (s ブロード, 1H, OH), 12,20 (s ブロード, 1H, COOH)。
【0085】
不純物を含むST3456をカラムクロマトグラフィー (アセトン/n-ヘキサン 1:4 を溶出剤として使用) にて精製し、純粋な ST3456 (500 mg)を得た。p.f. 175-176 ℃ (トルエン); IR: ν 3334 (OH および NH), 1684 (CO) cm-1; 1H-NMR (DMSO-d6): δ 3.79 (s, 3H, CH3), 6,79 (d, 2H, ベンゼン H), 6,64 (m, 1H, ベンゼン H), 7,17 (m, 1H, ナフタレン H), 7,28-7,31 (m, 2H, ナフタレン H), 7,39 (m, 1H, Jo = 8,8 Hz, ベンゼン C2-H および C6-H), 7,35 (m, 1H, ナフタレン H), 7,45-7,51 (m, 3H, ナフタレン H), 7,77 (m, 1H, Jo = 8,8 Hz, ベンゼン C3-H および C5-H), 7,85 および 8,21 (2m, 2H, ナフタレン H), 8,25 (s ブロード, 1H, NH), 9,40 (s ブロード, 1H, OH)。
【0086】
工程 iv 4-[(1-メトキシ-2-ナフチル)アミノ]安息香酸 (ST3453)の製造
ST3452 (700 mg, 2,3 mmol) および1N NaOH (5,75 ml) (THF/エタノール 1:1 中)の溶液を1時間40分撹拌しながら還流した。次いでこの混合物をクラッシュアイス上に注ぎ、酢酸エチルで抽出した (1 x 20 ml)。水層を1N HClで処理し、次いで酢酸エチルで抽出した (3 x 100 ml)。有機系抽出物を回収し、塩水で洗浄し (3 x 100 ml)、乾燥させ、溶媒を除去してST3453 (700 mg,100%)を得た; p.f. 233-235 ℃ (EtOH); IR: ν 3403 (COOH e NH), 1691 (CO) cm-1; 1H-NMR (DMSO-d6): δ 3,80 (s, 3H, CH3), 7,01 (d, 2H, Jo = 8,6 Hz, ベンゼン C2-H および C6-H), 7,46-7,59 (m, 1H, ナフタレン H), 7,72 (m, 1H, ナフタレン H), 7,82 (d, 2H, Jo = 8,6 Hz, ベンゼン C3-H および C5-H 7,64-7,69), 7,93 および 8,08 (2m, 2H, ナフタレン H), 8,59 (s ブロード, 1H, NH), 12,32 (s ブロード, 1H, COOH)。
【0087】
実施例3 - 合成スキーム 3による式(I)の化合物の製造
【化5】

試薬および条件:
i) メチル 4-Br-ベンゾアート Cs2CO3 Pd(OAc)2 (±) BINAP トルエン, 80℃ 16時間;
ii) 1N NaOH, THF/エタノール 1:1, 還流 3時間。
【0088】
工程 i - メチル 4-(1-ナフチルアミノ)ベンゾアート (ST2763)の製造
乾燥フラスコをアルゴンでパージし、(±) BINAP (70 mg, 0.11 mmol) を満たし、ゴム隔膜で蓋をした。このフラスコをアルゴンでパージし、トルエン (9.7 ml) を添加した。この混合物を80 ℃まで撹拌しながら加熱し、BINAPを溶解した (〜1 分)。溶液を室温まで冷却し、隔膜を除去し、酢酸パラジウム (16 mg, 0.07 mmol) を添加した。フラスコに隔膜で再び蓋をし、次いでアルゴンでパージした (〜30秒間)。この混合物を室温で1 分間撹拌し、1-ナフタレニルアミン (600 mg, 3.5 mmol) (トルエン (1.5 ml)に溶解)およびメチル-4-ブロモベンゾアート (623 mg, 2,9 mmol) を添加し、隔膜を除去し、そして炭酸セシウム (1.31 g, 4.0 mmol) を添加した。さらにトルエン (7 ml) を添加し、次いでフラスコに隔膜で再度蓋をし、再びアルゴンでパージした。この混合物を80℃まで撹拌しながら16時間加熱した。この混合物を室温まで冷却し、エーテルで希釈し、ろ過し、真空にて濃縮した。未精製生成物をその後カラムクロマトグラフィー (クロロホルム/石油エーテル 3:1 を溶出剤として使用) にて精製して、771 mg (96%) の純粋なST2763を得た。mp 130-132 ℃ (トルエン); IR: γ 3340 (NH), 1694 (CO) cm-1; 1H-NMR (DMSO-d6): δ 3.79 (s, 3H, CH3), 6.95 (m, 2H, ベンゼン C3-H および C5-H), 7.45-7.60 (m, 4H, ナフタレン H), 7.73 (m, 1H, ナフタレン H), 7.79 (m, 2H, ベンゼン C2-H および C6-H), 7.98 (m, 1H, ナフタレン H), 8.06 (m, 1H, ナフタレン H), 8.88 (s ブロード, 1H, NH)。
【0089】
工程 ii - 4-(1-ナフチルアミノ)安息香酸 (ST2764)
ST2763 (415 mg, 1.5 mmol) および1N NaOH (3.7 ml) の溶液(THF/エタノール 1:1 (20 ml) 中)を撹拌しながら3時間還流した。次いでこの混合物をクラッシュアイス上に注ぎ、酢酸エチル (30 ml)で抽出した。水層を1N HClで処理してpH 3とし、次いで酢酸エチル (3 x 50 ml)で抽出した。有機系抽出物を回収し、塩水で洗浄し (3 x 100 ml)、乾燥させ、溶媒を除去し、ST2764 (232 mg, 59%)を得た。mp 227-229 ℃ (トルエン); IR: γ 3390 (NH), 2900 (OH), 1670 (CO) cm-1; 1H-NMR (DMSO-d6): δ 6.95 (m, 2H, ベンゼン C3-H および C5-H), 7.46-7.60 (m, 4H, ナフタレン H), 7.72 (m, 1H, ナフタレン H), 7.78 (m, 2H, ベンゼン C2-H および C6-H), 7.96 (m, 1H, ナフタレン H), 8.07 (m, 1H, ナフタレン H), 8.81 (s ブロード, 1H, NH), 12.29 (s ブロード, 1H, OH)。
【0090】
実施例4 - 合成スキーム 4による式(I)の化合物の製造
【化6】

試薬および条件:
i) H2 60 psi, 10% Pd/C 酢酸エチル, 室温4時間;
ii) メチル 2-Br-ベンゾアート Cs2CO3 Pd(OAc)2 (±) BINAP トルエン, 80℃ 15.5時間;
iii) BBr3 CH2Cl2 -45℃ 19.5時間、次いで室温23分間;
iv) 2-メトキシ-1-ブロモ-ナフタレン, Cs2CO3 Pd(OAc)2 (±) BINAP トルエン, 80℃。
【0091】
工程 i 2-メトキシ-1-ナフタレンアミンの製造
2-メトキシ-1-ナフタレンアミンを前述の手順と同じ手順(工程 i, スキーム1)にて、2-メトキシ-1-ニトロナフタレン (3.00 g, 14.8 mmol) を開始物質として使用して得た。得られた2-メトキシ-1-ナフチレンアミン (2.6 g, 100 %) を、さらなる精製なしに次の反応に使用した。
【0092】
工程 ii メチル-2-(2-メトキシ-1-ナフタレニルアミノ)ベンゾアート (ST2760)の製造
乾燥フラスコをアルゴンでパージし、(±) BINAP (70 mg, 0.11 mmol) を満たし、ゴム隔膜で蓋をした。このフラスコをアルゴンでパージし、トルエン (9.7 ml) を添加した。この混合物を80℃まで撹拌しながら加熱し、BINAPを溶解した (〜1分)。溶液を室温まで冷却し、隔膜を除去し、酢酸パラジウム (16 mg, 0.07 mmol) を添加した。フラスコに隔膜で再度蓋をし、次いでアルゴンでパージした (〜30秒間)。この混合物を室温で1分間撹拌し、2-メトキシ-1-ナフタレニルアミン (606 mg, 3.5 mmol) (トルエン (1.5 ml) 中に溶解)およびメチル-2-ブロモベンゾアート (615 mg, 2,9 mmol) を添加し、隔膜を除去し、炭酸セシウム (1.31 g, 4.0 mmol) を添加した。さらにトルエン (7 ml) を添加し、次いでフラスコに隔膜で再度蓋をし、再びアルゴンでパージした。この混合物を80℃まで撹拌しながら15.5時間加熱した。この混合物を室温まで冷却し、エーテルで希釈し、ろ過し、真空にて濃縮した; 未精製生成物をカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル/n-ヘキサン 1:5) にて精製し、ST2760 (890mg 100 %)を得た; mp 144-146 ℃ (シクロヘキサン); IR: γ 3321 (NH), 1681 (CO) cm-1; 1H-NMR (DMSO-d6): δ 3.86 (s, 3H, CH3), 3.89 (s, 3H, CH3), 6.09 (m, 1H, ベンゼン H), 6.66 (m, 1H, ベンゼン H), 7.18 (m, 1H, ナフタレン H), 7.35-7.45 (m, 2H, ベンゼン H および ナフタレン H), 7.57 (m, 1H, ナフタレン H), 7.68 (m, 1H, ベンゼン H), 7.88-7.95 (m, 3H, ナフタレン H), 9.17 (s ブロード, 1H, NH)。
【0093】
工程 iii メチル 2-[(2-ヒドロキシ-1-ナフチル)アミノ]ベンゾアート (ST2759) および2-[(2-ヒドロキシ-1-ナフチル)アミノ]安息香酸 (ST2757)の製造
ST2760 (736 mg, 2.4 mmol) (ジクロロメタン (27 ml) 中)を1M BBr3 (12.6 ml, 12.6 mmol)(同溶媒中)に-45℃、アルゴン大気下にて滴下した。この混合物19.5時間同温度で撹拌し、次いで室温で温め、23分間撹拌した; 次いで水 (50 ml)を処理した。この混合物をエチルエーテル (3 x 50 ml) で抽出し、有機系抽出物を回収し、塩水にて洗浄し (3 x 100 ml) 、乾燥させた。溶媒を蒸発させると未精製生成物が得られ、これをクロマトグラフィー(酢酸エチル/n-ヘキサン 1:2 を溶出剤として使用) にかけた; 第一溶出物 ST2759, 316mg ,45%; mp 157-158 ℃ (シクロヘキサン); IR: γ 3407 (OH), 3319 (NH), 1681 (CO) cm-1; 19.5 h; 1H-NMR (DMSO-d6): δ 3.88 (s, 3H, CH3), 6.10 (m, 1H, ベンゼン H), 6.64 (m, 1H, ベンゼン H), 7.17 (m, 1H, ナフタレン H), 7.28-7.31 (m, 2H, ナフタレン H), 7.39 (m, 1H, ベンゼン H), 7.62 (m, 1H, ベンゼン H), 7.77 (m, 1H, ナフタレン H), 7.84-7.95 (m, 2H, ナフタレン H), 9.05 (s ブロード, 1H, NH), 9.78 (s ブロード, 1H, OH)。さらなる溶出によりST2757 (368 mg 55%)が得られた; mp 215-216 ℃ (トルエン); IR: γ 3361 (OH, COOH), 3325 (NH), 1659 (CO) cm-1; 1H-NMR (DMSO-d6): δ 6.09 (m, 1H, ベンゼン H), 6.62 (m, 1H, ベンゼン H), 7.14 (m, 1H, ナフタレン H), 7.28-7.31 (m, 2H, ナフタレン H), 7.39 (m, 1H, ベンゼン H), 7.62 (m, 1H, ベンゼン H), 7.75 (m, 1H, ナフタレン H), 7.83-7.89 (m, 2H, ナフタレン H), 9.28 (s ブロード, 1H, NH), 9.76 (s ブロード, 1H, OH), 12.86 (s ブロード, 1H, COOH)。
【0094】
工程 iv 2-メトキシ-N-(2-メトキシ-1-ナフチル)ナフタレン-1-アミン (ST2761)の製造
乾燥フラスコをアルゴンでパージし、(±) BINAP (200 mg, 0,323 mmol) を満たし、ゴム隔膜で蓋をした。このフラスコをアルゴンでパージし、トルエン (29 ml) を添加した。この混合物を80℃まで撹拌しながら加熱し、BINAPを溶解した (〜1分)。この溶液を室温まで冷却し、隔膜を除去し、酢酸パラジウム (50 mg, 0,218 mmol) を添加した。フラスコに再度隔膜で蓋をし、アルゴンでパージした。この混合物を室温で1分間撹拌し、2-メトキシナフタレン-1-イル-アミン (1,81 g, 10,5 mmol) (トルエン (4,5 ml) に溶解)および2-メトキシ-1-ブロモナフタレン (2,07 g, 8,73 mmol) を添加し、隔膜を除去し、炭酸セシウム (3,98 g, 12,2 mmol) を添加した。さらにトルエン (21,2 ml) を添加し、次いでフラスコに隔膜で再度蓋をし、再びアルゴンでパージした。この混合物を80℃まで撹拌しながら20時間加熱した。(±) BINAP (200 mg, 0,323 mmol)、酢酸パラジウム (50 mg, 0,218 mmol) をトルエン (29 ml) を添加した。この混合物を80℃まで撹拌しながら15時間加熱した。(±) BINAP (200 mg, 0,323 mmol) 、酢酸パラジウム (50 mg, 0,218 mmol)およびトルエン (29 ml)を添加した。この混合物を80℃まで撹拌しながら24時間加熱した。(±) BINAP (200 mg, 0,323 mmol)、酢酸パラジウム (50 mg, 0,218 mmol) およびトルエン (29 ml) を添加した。この混合物を80℃まで撹拌しながら20時間加熱した。この混合物を室温で冷却し、エーテルで希釈し、ろ過し、真空にて濃縮した。未精製生成物 (5,03 g) を次いでカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル/n-ヘキサン 1:5 を溶出剤として使用) にて精製し、1,69 g (59 %) の純粋な ST2761 (オイル)を得た。IR: γ 3380 (NH), cm-1; 1H-NMR (DMSO-d6): δ 3,55 (s, 6H, CH3), 7,05 (s ブロード, 1H, NH), 7,20-7,38 (m, 6H, ナフタレン H), 7,58 (m, 2H, ナフタレン H), 7,81-7,93 (m, 4H, ナフタレン H)。
【0095】
実施例5 - 合成スキーム 5による式(I)の化合物の製造
【化7】

試薬および条件:
i) DPEphos, Pd2dba3, トルエン, t-Buok, 100℃, アルゴン;
ii) BBr3CH2Cl2 -45℃, 15時間, 次いで室温6.45時間;
iii) MeOH, オキソン, 0℃, 次いで室温16時間;
iv) BBr3CH2Cl2 -45℃, 20分, 次いで室温20時間。
【0096】
工程 i 1-メトキシ-4-[(4-メトキシフェニル)チオ]ナフタレン(ST3498)の製造
乾燥フラスコにPd2dba3 (130 mg, 0,141 mmol) (脱気トルエン (115 ml) に溶解)を満たし、DPEphos (150 mg, 0,282 mmol) を処理し、そしてアルゴンでパージした。この混合物を室温で3分間撹拌し、次いで1-メトキシ-4-ヨードナフタレン (4 g, 14,1 mmol) および4-メトキシチオフェノール (2,02 g, 14,1 mmol, 1.77 ml) をアルゴン大気下にて添加した。t-BuOK (1,74 g, 15,5 mmol) を添加し、そしてこのフラスコをアルゴンでパージした。この混合物を2時間100℃で撹拌し、室温にて冷却し、セライトケーキ上でろ過し、ろ過物を真空下にて濃縮した。未精製生成物 (6,19 g) をカラムクロマトグラフィー (n-ヘキサン/アセトン 10:1 を溶出剤として使用) にて精製し、不純物を含む最終生成物 (3.57g)を得て、これをさらに結晶化 (n-ヘキサン) により精製して、2,70 g (65%) の純粋なST3498を得た。p.f. 83-85 ℃ (n-ヘキサン); IR: ν 2937 (CH) cm-1; 1H-NMR (アセトン-d6): δ 3,78 (s, 3H, CH3), 4,10 (s, 3H, CH3), 6,88 (d, 2H, Jo = 8,86 Hz, ベンゼン H), 7,03 (d, 1H, Jo = 8,01 Hz, ナフタレン C2-H), 7,20 (d, 2H, Jo = 8,86 Hz, ベンゼン H), 7,57-7,64 (m, 2H, ナフタレン C6-H および C7-H), 7,75 (d, 1H, Jo = 8,01 Hz, ナフタレン C3-H), 8,34 および 8,40 (2m, 2H, ナフタレン C5-H および C8-H)。
【0097】
工程 iii 1-メトキシ-4-[(4-メトキシフェニル) スルホニル]ナフタレン (ST3499)の製造
ST3498 (1 g, 3,4 mmol) をMeOH (84 ml)に溶解した。0℃にてオキソン(登録商標) (6,27 g, 10,2 mmol) (水 (20 ml) 中)の溶液を添加した。この混合物を16時間室温にて撹拌した。この混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し (3 x 100 ml)、回収した有機層を塩水で洗浄し (3 x 100 ml) 、そして無水Na2SO4にて乾燥させた。溶媒を真空で蒸発させ未精製生成物を得て、これをカラムクロマトグラフィー (クロロホルムを溶出剤として使用) により精製し、純粋な生成物 ST3499 (82%)を得た; p.f. 165-167℃ (トルエン). IR: ν 2900 (CH) cm-1; 1H-NMR (DMSO-d6): δ 3,82 (s, 3H, CH3), 4,12 (s, 3H, CH3), 7,11 (d, 2H, Jo = 8,69 Hz, ベンゼン H), 7,25 (d, 1H, Jo = 8,47 Hz, ナフタレン C2-H), 7,64 および 7,72 (2m, 2H, ナフタレン C6-H および C7-H), 7,90 (d, 2H, Jo = 8,69 Hz, ベンゼン H), 8,30 (d, 1H, Jo = 8,47 Hz, ナフタレン C3-H), 8,46 および 8,52 (2m, 2H, ナフタレン C5-H および C8-H)。
【0098】
工程 iv 4-[(4-ヒドロキシフェニル)スルホニル]-1-ナフトール (ST3500)の製造
1-メトキシ-4-[(4-メトキシフェニル)スルホニル]-ナフタレン (ST3499) (1g, 3 mmol) (ジクロロメタン (35 ml) 中)の溶液を1M BBr3 ジクロロメタン溶液 (15,9 ml, 15,9 mmol)に-45℃、アルゴン大気下にて滴下した。この混合物を20分間同温度で撹拌し、そして20時間室温にて撹拌した。この混合物を水 (100 ml) で希釈し、酢酸エチルで抽出した (3 x 100 ml); 有機層を回収し、塩水で洗浄し (3 x 100 ml)、乾燥させ、そして真空下にて蒸発させて未精製生成物 (900 mg)を得て、これをカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル/クロロホルム 1:2 を溶出剤として使用) にて精製して520 mg の純粋なST3500 (58%)を得た; p.f. 203-205℃ (トルエン). IR: ν 3300 (OH) cm-1; 1H-NMR (DMSO-d6): δ 6,90 (d, 2H, Jo = 8,77 Hz, ベンゼン H), 7,07 (d, 1H, Jo = 8,29 Hz, ナフタレン C2-H), 7,58 および 7,67 (2m, 2H, ナフタレン C6-H および C7-H), 7,77 (d, 2H, Jo = 8,77 Hz, ベンゼン H), 8,28-8,31 (m, 2H, ナフタレン C5-H および C8-H), 8,48 (d, 1H, Jo = 8,29 Hz, ナフタレン C3-H), 10,54 および 11,51 (2s ブロード, 2H, OH)。
【0099】
工程 ii 4-[(4-ヒドロキシフェニル)チオ]-1-ナフトール (ST3501)の製造
1-メトキシ-4-[(4-メトキシフェニル)チオ]-ナフタレン ST3498 (800 mg, 2,7 mmol) (ジクロロメタン (33 ml) 中)の溶液を1M BBr3 ジクロロメタン溶液 (14,1 ml, 14,1 mmol) に-45℃、アルゴン大気下にて滴下した。この混合物を15時間35分同温度で撹拌し、そして6時間45分室温にて撹拌した。この混合物を水 (100 ml) で希釈し、酢酸エチルにて抽出した (3 x 100 ml); 有機層を回収し、塩水にて洗浄し (3 x 100 ml)、乾燥させ、そして真空下にて蒸発させて未精製生成物を得て、これをカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル/n-ヘキサン 2:5 を溶出剤として使用) にて精製し、440 mg の純粋なST3501 (61%)を得た; p.f. 161-163℃ (トルエン). IR: ν 3255 (OH) cm-1; 1H-NMR (DMSO-d6): δ 6,70 (d, 2H, Jo = 8,69 Hz, ベンゼン H), 6,93 (d, 1H, Jo = 7,89 Hz, ナフタレン C2-H), 7,06 (d, 2H, Jo = 8,69 Hz, ベンゼン H), 7,51-7,62 (m, 3H, C3-H, ナフタレン C6-H および C7-H), 8,23 および 8,27 (2m, 2H, ナフタレン C5-H および C8-H), 9,52 および 10,61 (2s ブロード, 2H, OH)。
【0100】
実施例6 - 合成スキーム 6による式(I)の化合物の製造
【化8】

試薬および条件
i) Cs2CO3,Pd(OAc)2 (±) BINAP トルエン, 80℃
【0101】
工程 i 4-フルオロ-N-(4-フルオロフェニル)ナフタレン-1-アミン (ST3598)の製造
乾燥フラスコをアルゴンでパージし、(±) BINAP (160 mg, 0,25 mmol) を満たし、ゴム隔膜で蓋をした。このフラスコをアルゴンでパージし、トルエン (24 ml) を添加した。この混合物を80 ℃まで撹拌しながら加熱し、BINAPを溶解した。この溶液を室温まで冷却し、隔膜を除去し、酢酸パラジウム (40 mg, 0,17 mmol) を添加した。フラスコに再度隔膜で蓋をし、次いでアルゴンでパージした。この混合物を室温で1分間撹拌し、4-フルオロアニリン (890 mg, 8.04 mmol) (トルエン (3 ml) に溶解)および1-ブロモ-4-フルオロナフタレン (1,50 g, 6,7 mmol) を添加し、隔膜を除去し、そして炭酸セシウム (3,06 g, 9,38 mmol) を添加した。さらにトルエン (18 ml) を添加し、次いでフラスコに再度隔膜で蓋をし、再びアルゴンでパージした。この混合物を80℃まで撹拌下5時間45分加熱した。この混合物を室温まで冷却し、エーテルで希釈し、ろ過し、そして真空にて濃縮した。この未精製生成物 (2,31 g) を次いでカラムクロマトグラフィー (クロロホルムを溶出剤として使用) にて精製し、1.87 g (91%) の純粋なST3598を得た。p.f. 62-64 ℃ (結晶化せず); IR: ν 3395 cm-1 (NH); 1H-NMR (CDCl3): δ 5,55 (s ブロード, 1H, NH), 6,86-6,90 (m, 2H, ベンゼン H), 6,98-7,03 (m, 2H, ベンゼン H), 7,11-7,17 (m, 1H, ナフタレン C2-H), 7,24 (m, 1H, ナフタレン C3-H), 7,57-7,66 (m, 2H, ナフタレン C6-H および C7-H), 8,05 および 8,20 (2m, 2H, ナフタレン C5-H および C8-H)。
【0102】
4-フルオロ-N-(4-フルオロフェニル)ナフタレン-1-アミン 塩酸塩 (ST3450)
塩化アセチル (310 mg, 3,9 mmol) を0 ℃に冷却したメタノール (17 ml) にアルゴン流下にて注意深く添加した。ST3598 (1,00 g, 3,9 mmol) (メタノール (1 ml) 中)の溶液を穏やかに撹拌したこの塩酸溶液に滴下した。同温度で15分撹拌した後、この溶液を濃縮し、-18℃で5日間冷却して、ST3450 (100 %)を得た; p.f. 63-65℃; IR: ν 3390 (NH) cm-1; 1H-NMR (CDCl3): δ 5,55 (s ブロード, 1H, NH), 6,88-6,92 (m, 2H, ベンゼン H), 6,99-7,03 (m, 2H, ベンゼン H), 7,11-7,16 (m, 1H, ナフタレン C2-H), 7,23-7,26 (m, 1H, ナフタレン C3-H), 7,58-7,66 (m, 2H, ナフタレン C6-H および C7-H), 8,06 および 8,20 (2m, 2H, ナフタレン C5-H および C8-H)。
【0103】
N,N-ジメチル-N'-[4-(メチルチオ)フェニル]ナフタレン (ST3718)
乾燥フラスコをアルゴンでパージし、(±) BINAP (140 mg, 0,22 mmol) を満たし、ゴム隔膜で蓋をした。このフラスコをアルゴンでパージし、トルエン (21 ml) を添加した。この混合物を80 ℃mで撹拌しながら加熱し、BINAPを溶解した。この溶液を室温まで冷却し、隔膜を除去し、酢酸パラジウム (33 mg, 0,147 mmol) を添加した。フラスコに再度隔膜で蓋をし、次いでアルゴンでパージした。この混合物を室温で1分間撹拌し、4-(メチルチオ)アニリン (990 mg, 7.08 mmol) (トルエン (1 ml) 中に溶解) および1-ブロモ-4-(ジメチルアミノ)ナフタレン (1,47g, 5,9 mmol) (トルエン (1 ml) 中に溶解)を添加し、隔膜を除去し、そして炭酸セシウム (2,69 g, 8,26 mmol) を添加した。さらにトルエン (16 ml) を添加し、次いでフラスコに再度隔膜で蓋をし、再びアルゴンでパージした。この混合物を80℃まで撹拌下16時間加熱した。(±) BINAP (140 mg, 0,22 mmol) および酢酸パラジウム (33 mg, 0,147 mmol) (トルエン (21ml) に溶解)の溶液を添加し、そしてこの混合物を80℃で4時間 50分撹拌した。この混合物を室温まで冷却し、エーテルで希釈し、ろ過し、そして真空にて濃縮した。この未精製生成物 (2,87 g) を次いでカラムクロマトグラフィー (クロロホルムを溶出剤として使用) にて精製し、1,48 g (81%) の純粋なST3718を得た。オイル; IR: ν 3381 (NH) cm-1; 1H-NMR (DMSO-d6): δ 2,42 (s, 3H, SCH3), 2,84 (s, 6H, NCH3), 6,86 (d, 2H, Jo = 8,8 Hz, ベンゼン C2-H および C6-H), 7,14-7,20 (m, 3H, ナフタレン H および ベンゼン C3-H および C5-H), 7-7,56 (m, 2H, ナフタレン C2-H および C3-H), 8.07-8.09 (m, 2H, NH および ナフタレン H), 8,23 (m, 1H, ナフタレン H)。
【0104】
N,N-ジメチル-N'-[4-(メチルチオ)フェニル]ナフタレン-1,4-ジアミン二塩酸塩 (ST3458)
塩化アセチル (410 mg, 5,2 mmol) を0 ℃に冷却したメタノール (1 ml) にアルゴン流下にて注意深く添加した。ST3718 (800 mg, 2,6 mmol) (メタノール (4 ml) 中)の溶液を穏やかに撹拌したこの塩酸溶液に滴下した。この溶液を15分間0 ℃で撹拌し、エチルエーテルで希釈し、さらに10分間0 ℃で撹拌した。沈殿物をろ過し、ST3458 (88%)を得た; p.f. 204-205℃ (イソプロピルアルコール); IR: ν 3278 (NH) cm-1; 1H-NMR (DMSO-d6): δ 2,46 (s, 3H, SCH3), 3,19 (s, 6H, NCH3), 4,13 (s ブロード, 2H, NH), 7,07-7,09 (d, 2H, Jo = 8,8 Hz, ベンゼン C2-H および C6-H), 7,25-7,27 (m, 3H, ナフタレン C3-H および ベンゼン C3-H およびC5-H), 7,62-7,73 (m, 3H, ナフタレン C2-H, C7-H および C8-H), 8.31-8.45 (m, 3H, ナフタレン C5-H, C8-H および NH)。
【0105】
4-フルオロ-N-[4-(メチルチオ)フェニル]ナフタレン-1-アミン (ST3455)
乾燥フラスコをアルゴンでパージし、(±) BINAP (160 mg, 0,25 mmol) を満たし、ゴム隔膜で蓋をした。このフラスコをアルゴンでパージし、トルエン (24 ml) を添加した。この混合物を80 ℃まで撹拌しながら加熱し、BINAPを溶解した。この溶液を室温まで冷却し、隔膜を除去し、そして酢酸パラジウム (40 mg, 0,17 mmol) を添加した。フラスコに再度隔膜で蓋をし、次いでアルゴンでパージした。この混合物を室温で1分間撹拌し、4-(メチルチオ)アニリン (1,12 g, 8.04 mmol) (トルエン (3 ml) に溶解)および1-ブロモ-4-フルオロナフタレン (1,50 g, 6,7 mmol) を添加し、隔膜を除去し、そして炭酸セシウム (3,06 g, 9,38 mmol) を添加した。さらにトルエン (18 ml) を添加し、次いでフラスコに再度隔膜で蓋をし、そして再びアルゴンでパージした。この混合物を80℃まで撹拌下17時間加熱した。この混合物を室温まで冷却し、エーテルで希釈し、ろ過し、そして真空にて濃縮した。この未精製生成物 (2,85 g)を次いでカラムクロマトグラフィー (クロロホルム/石油エーテル 1:1 を溶出剤として使用) により精製し、1,79 g (94%) の純粋なST3455を得た; p.f. 71-72 ℃ (n-ヘキサン); IR: ν 3337 (NH) cm-1; 1H-NMR (DMSO-d6): δ 2,44 (s, 3H, CH3), 6,93 (d, 2H, Jo = 8,7 Hz, ベンゼン C3-H および C5-H), 7,20-7,33 (m, 4H, ベンゼン C2-H および C3-H, ナフタレン C2-H および C3-H), 7,63-7,71 (m, 2H, ナフタレン C6-H および C7-H), 8,07 および 8,18 (2m, 2H, ナフタレン C5-H および C8-H), 8,21(s ブロード, 1H,NH)。
【0106】
実施例7 - 一般的分析方法
融点はBibby Stuart ScientificのSMP1融点装置で測定し、補正していない。
赤外線 (IR) スペクトル (Nujol mulls) はPerkin-Elmer Spectrum-one 分光光度計にて記録した。
1H NMR スペクトルは400 MHzでBruker AC 400 Ultrashield 分光光度計 (400 MHz)にて記録した。ジメチルスルホキシド-d6 99.9% (コード 44,139-2) およびジュウテロクロロホルム(deuterochloroform) 98.8% (コード 41,675-4) (同位体純度)(Aldrich) を使用した。
溶媒カラムクロマトグラフィーは、シリカゲル (Merck; 70-230 メッシュ) カラム上にて行った。化合物は全て通常のようにアルミニウム焼成(aluminiumu-baked)シリカゲルプレート (Fluka DC-Alufolien Kieselgel 60 F254)を使用してTLCにより確認した。展開したプレートはUV光により可視化した。溶媒は試薬グレードであり、必要な場合には標準的方法にて精製および乾燥した。反応および抽出後の溶液の濃縮は、ロータリーエバポレーター (Buchi) を減圧下 (ca. 20 Torr) で動作させて行った。有機溶液は無水硫酸ナトリウム (Merck)にて乾燥させた。
【0107】
実施例8 - βアミロイド 1-42ペプチドに対する式(I)の化合物の抗凝集活性の評価
βアミロイド 1-42ペプチドに対する式(I)の化合物の抗凝集活性は、以下の手順にしたがい、チオフラビンTの結合を介して行われる。
【0108】
非凝集β-A 1-42の製造
β-A(1-42) をアセトニトリルおよび蒸留水の混合物(CH3CN/H2O 1:1)に溶解し、最終濃度 1 mg/mLとした。この溶液を2 mLに分注し、使用するまで-80℃で保存した。作用溶液は、このストック溶液をH2Oで5倍に希釈して調製した(最終濃度 44μmol/L)。
【0109】
凝集β-A 1-42の製造
β-A(1-42) をアセトニトリルおよび蒸留水の混合物(CH3CN/H2O 1:1)に溶解し、最終濃度 1 mg/mLとした。2 mLに分注したものを凍結乾燥させ、ペプチド合成の残渣であるトリフルオロ酢酸を除去した。
β-A(1-42) ペプチドを次に0.1 mL DMSO および5.0 mL 2xPBS, pH 7.4に溶解した。溶解後、β-A(1-42) を37℃まで8日間インキュベートし、最後に、超音波処理後、2xPBSで5倍希釈した (最終濃度 17.4 μmol/L)。使用まで、凝集体β-A(1-42) は分注し、-80℃で保存した。
【0110】
チオフラビン Tを用いた蛍光測定
96ウェルプレートへの添加量を示すスキーム:
【表3】

【0111】
アッセイは、96ウェルプレートにおいてトリプリケートにて上記スキームに示すように行った。試験化合物を凝集体 β-A(1-42) を含むウェルに添加し、次いで15分後、非凝集体 β-A(1-42) を添加した。この96ウェルプレートを37℃で撹拌下24時間インキュベートした。
翌日、10 μmol/L チオフラビン T および50 μmol/L Na2HPO4 pH 6.5 を含有する溶液(200 μL)を各ウェルに添加した。蛍光をVICTOR 2 (WALLAC) 蛍光分光光度計にて測定した (λex=450 nm, λem=486 nm) (Findelis M.A et al)。
計算および表作成はPCにより行った。
データは残存する凝集β-A のパーセントで表示し、、および可能であれば凝集体形成を50%に減少させる投与量50%(IC50) を推定した。
凝集の%は以下の式により決定した:
(βアミロイド+試験化合物) - ブランク+試験化合物) x 100
(コントロール+βアミロイド) - ブランク
【0112】
結果
表 Aは、化合物のIC50 を示す。化合物 ST1859 (1-[(2-ヒドロキシ-1-ナフチル)メチル]-2-ナフトール) (WO02/00603参照) についての結果を比較のため報告する。
表 A
【表4】

【0113】
実施例9 脳血液関門の通過
非経口投与後に齧歯類の脳において得られる濃度および血漿濃度との相関についての基本的情報を得るため、マウスおよびラットを使用した。動物を群にわけ、化合物を皮下または静脈内投与し、投与の0、15、30、60、120、180および240分後に断頭し、化合物の血漿濃度および脳濃度を測定した。血漿中の化合物は、固液抽出操作(solid liquid extraction procedure)の後に高速液体クロマトグラフィー (HPLC) により測定した。説明すると、Oasis HLB 1cc カートリッジをメタノールおよび蒸留水で事前に湿らせた。次いで、内部標準、マウス血漿、またはラット血漿を添加し、そしてカートリッジをメイター-メタノール(mater-methanol)およびメタノールで洗浄し、各パッセージ後カラムが完全に乾燥する前に吸引を中断した。カートリッジをメタノールで溶出して化合物を回収し、窒素下で蒸発乾固した。残渣を遠心した移動相に溶解し、HPLCによりUV 検出 (224 nm)を用いて分析した。
分離は、LiChrosphere RP-8 プレカラムにより保護されたμBondapack C18 カラム上で室温にて行った 。移動相は CH3CN:CH3OH:0.001M KH2PO4 (40:10:50 v/v) であり、流速1.2 mL/分にて流した。
脳組織をCH3CN:0.001Mリン酸緩衝液, pH 7.4 にホモジェナイズし (1g/10ml)、約100 mg の組織を含有する量を遠心した。上清を血漿と同様に処理した。
脳および血漿の濃度時間曲線下領域 (AUCt) の平均を線形台形則(linear trapezoidal rule)を用いて決定し、無限大 (AUC) を濃度法(concentration method)により推定した。消失速度定数は、血漿および脳の薬物濃度曲線の末端のログ-直線部分の最小二乗回帰分析(least squares regression analysis)により計算した。最大濃度 (Cmax) およびその発生時間(tmax) は、血漿および脳の濃度時間データから直接読み取った。
【0114】
結果
表 Bは、マウスにおける化合物 ST2175の皮下注射(25 mg/kg) 後の血漿および脳の濃度時間曲線を示す。
表 B
【表5】

【0115】
表 Cは、マウスにおける化合物 ST2175の皮下注射(25 mg/kg) 後の血漿および脳のAUCを示す。
表 C
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物の医薬としての使用:
【化1】

[式中、
Rは、H、OR3、COOR3、N(R3)2、NO2、ハロゲン、ヒドロキシアルキル C1-C3からなる群から選択される;
R1およびR2は、同じまたは異なっており、H;OR3;COOR3;直鎖または分岐、飽和または不飽和C1C4アルキル;N(R3)2;C1-C4直鎖または分岐、飽和または不飽和アルキルチオ;ハロゲン;およびSO2N(R3)2からなる群から選択される;
R3は、H;C1C4直鎖または分岐アルキル;PO3H2;およびPO3(CH3)2からなる群から選択される;
Aは、NR4;S;およびSO2からなる群から選択される;
R4は、H;C1C4直鎖または分岐アルキル;C1C4直鎖または分岐アルカノイルからなる群から選択される;および
Bは、フェニルまたはナフチル基である]。
【請求項2】
AがNHである、請求項1の使用。
【請求項3】
R1がHである、請求項1または2の使用。
【請求項4】
R2が、H、COOH、COOCH3およびOHからなる群から選択される、前述のいずれかの請求項の使用。
【請求項5】
Rが、H、OHおよびOCH3からなる群から選択される、前述のいずれかの請求項の使用。
【請求項6】
式(I)の化合物が以下からなる群から選択される、前述のいずれかの請求項の使用:
1-ヒドロキシ-N-フェニルナフタレン-2-アミニウムクロライド;
メチル 4-(1-ナフチルアミノ)ベンゾアート;
4-(1-ナフチルアミノ)安息香酸;
4-(4-ヒドロキシアニリノ)-1-ナフトール;
4-アニリノ-1-ナフトール;
2-[(2-ヒドロキシ-1-ナフチル)アミノ]安息香酸;
(1-メトキシ-2-ナフチル)フェニルアミン;
4-メトキシ-N-フェニル-1-ナフタレンアミン;
1-メトキシ-4-[(4-メトキシフェニル) スルホニル]ナフタレン;および
4-[(4-ヒドロキシフェニル)スルホニル]-1-ナフトール。
【請求項7】
アミロイド凝集体の沈着を特徴とする疾患を処置するための医薬の調製のための、前述のいずれかの請求項の使用。
【請求項8】
アミロイド凝集体の沈着を特徴とする状態が、アルツハイマー病、ダウン症、「オランダ型」アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血、慢性炎症を伴うアミロイドーシス、多発性骨髄腫および他の血液Bリンパ球系細胞の悪液質を伴うアミロイドーシス、2型糖尿病を伴うアミロイドーシス、プリオン病、クールーまたはヒツジスクレイピーを伴うアミロイドーシスからなる群から選択される、請求項7の使用。
【請求項9】
プリオン病を伴うアミロイドーシスが、クロイツフェルト・ヤコブ病またはゲルストマン・ストロイスラー症候群からなる群から選択される、請求項7の使用。
【請求項10】
式(I)の化合物
【化2】

[式中、
Rは、H、OR3、COOR3、N(R3)2、NO2、ハロゲン、ヒドロキシアルキルC1-C3からなる群から選択される;
R1およびR2は、同じまたは異なっており、H;OR3;COOR3;直鎖または分岐、飽和または不飽和C1C4 アルキル;N(R3)2;C1-C4直鎖または分岐、飽和または不飽和アルキルチオ;ハロゲン;およびSO2N(R3)2からなる群から選択される、ただしR1およびR2の両方がHまたはハロゲンであることはない;
R3は、H;C1C4直鎖または分岐アルキル;PO3H2;およびPO3(CH3)2からなる群から選択される;
Aは、NR4;S;およびSO2からなる群から選択される;
R4は、H;C1C4直鎖または分岐アルキル;C1C4直鎖または分岐アルカノイルからなる群から選択される;および
Bは、フェニルまたはナフチル基である、
ただし、
AがNR4のとき、R1およびR2の両方がOR3であることはない;および
以下の化合物を除く:
4-メトキシ-N-フェニル-1-ナフタレンアミン;
1-ヒドロキシ-N-フェニルナフタレン-2-アミニウムクロライド;
メチル 4-(1-ナフチルアミノ)ベンゾアート;
4-(1-ナフチルアミノ)安息香酸;
4-(4-ヒドロキシアニリノ)-1-ナフトール;
4-アニリノ-1-ナフトール;
2-[(2-ヒドロキシ-1-ナフチル)アミノ]安息香酸;
(1-メトキシ-2-ナフチル)フェニルアミン;
1-メトキシ-4-[(4-メトキシフェニル) スルホニル]ナフタレン;および
4-[(4-ヒドロキシフェニル)スルホニル]-1-ナフトール]。
【請求項11】
AがNHである、請求項10の化合物。
【請求項12】
RがOHおよびOCH3から選択される、請求項10の化合物。
【請求項13】
R1がOCH3、COOCH3、HおよびCOOHから選択される、請求項10の化合物。
【請求項14】
R2がH、I、OHおよびOCH3から選択される、請求項10の化合物。
【請求項15】
以下からなる群から選択される、請求項10の化合物:
メチル 2-[(2-メトキシ-1-ナフチル)アミノ]ベンゾアート;
1-メトキシ-4-[(4-メトキシフェニル)チオ]ナフタレン;
N-(4-ヨードフェニル)-1-メトキシナフタレン-2-アミン;
2-ヒドロキシ-5-[(4-ヒドロキシ-1-ナフチル) アミノ] 安息香酸;
メチル 2-[(2-ヒドロキシ-1-ナフチル)アミノ]ベンゾアート;
メチル 4-[(1-ヒドロキシ-2-ナフチル) アミノ] ベンゾアート;
4-[(1-ヒドロキシ-2-ナフチル)アミノ]安息香酸;
4-[(1-メトキシ-2-ナフチル)アミノ]安息香酸;
メチル-4-[(1-メトキシ-2-ナフチル) アミノ] ベンゾアート;
4-[(4-ヒドロキシ-1-ナフチル)アミノ]安息香酸;
4-[(4-ヒドロキシフェニル)チオ]-1-ナフトール ;
4-[(4-メトキシ-1-ナフチル)アミノ]安息香酸;
N,N-ジメチル-N’-[4-(メチルチオ)フェニル]ナフタレン-1,4-ジアミン二塩酸塩;
4-フルオロ-N-(4-フルオロフェニル)ナフタレン-1-アミン塩酸塩;
4-フルオロ-N-[4-(メチルチオ)フェニル]ナフタレン-1-アミン;
2-ヒドロキシ-5-[(4-ヒドロキシ-1-ナフチル)アミノ]安息香酸塩酸塩;
4-メトキシ-3-メチルベンゾアート-1-イル(4-メトキシ-1-ナフチル)アミン;
N-(5-ヨード-2-メトキシフェニル)-N-(4-メトキシ-1-ナフチル)アミン;
N-(4-メトキシ-1-ナフチル)-N-(2-メトキシフェニル)アミン;
2-メトキシ-5-[(4-メトキシ-1-ナフチル)アミノ]安息香酸;
4-メトキシ-N-(4-メトキシフェニル)-1-ナフタレンアミン;
4-メチルベンゾアート-1-イル(4-メトキシ-1-ナフチル)アミン;
N-(4-メトキシフェニル)-4-ニトロナフタレン-1-アミン;
2-メトキシ-N-(2-メトキシ-1-ナフチル)ナフタレン-1-アミン;および
メチル 4-[(4-ヒドロキシ-1-ナフチル)アミノ]ベンゾアート。
【請求項16】
医薬としての、請求項10から15のいずれかの化合物。
【請求項17】
アミロイド凝集体の沈着を特徴とする疾患を処置するための医薬の調製のための、請求項10から15のいずれかの化合物の使用。
【請求項18】
活性成分としての請求項10から15のいずれかの化合物および少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤および/または希釈剤を含む、医薬組成物。
【請求項19】
アミロイド凝集体の沈着を特徴とする障害の処置および/または予防のための、請求項18の医薬組成物。
【請求項20】
以下を含む、請求項10から15のいずれかの化合物の調製方法:
置換または非置換ニトロナフタレンを触媒を用いて有機溶媒中にて水素化する;
得られたアミンを、置換または非置換ハロゲン化アリール誘導体と、試薬BINAP [2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル]および酢酸パラジウムの存在下において縮合する。
【請求項21】
請求項10から15のいずれかの化合物を適した賦形剤および/または希釈剤と混合することを含む、前述の請求項18または19のいずれかの組成物の調製方法。
【請求項22】
治療上有効量の請求項10から15のいずれかまたは請求項1から6のいずれかの化合物を投与することを含む、アミロイド凝集体の沈着を特徴とする障害を患う哺乳動物を処置する方法。
【請求項23】
少なくとも1つの元素、炭素、水素、窒素または酸素が、対応する放射性同位体と置換されている、請求項10から15のいずれかまたは請求項1から6のいずれかの化合物。
【請求項24】
少なくとも1つの放射性ヨウ素原子を含む、請求項23の化合物。
【請求項25】
画像診断に用いられる元素と錯体を形成している、請求項23または24の化合物。
【請求項26】
錯体形成元素が、インジウム、ガドリニウムまたはテクネチウムからなる群から選択される、請求項25の化合物。
【請求項27】
少なくとも1つの請求項10から26のいずれかの化合物を含む、アミロイド凝集体の沈着を特徴とする疾患の診断のための診断キット。
【請求項28】
画像診断技術による診断のための、請求項27のキットの使用。
【請求項29】
画像診断技術が、PET、SPECT、NMRまたは走査技術からなる群から選択される、請求項28の使用。
【請求項30】
走査技術が平面シンチグラフィーである、請求項29の使用。

【公表番号】特表2009−514810(P2009−514810A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536020(P2008−536020)
【出願日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際出願番号】PCT/EP2006/067323
【国際公開番号】WO2007/045593
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(591043248)シグマ−タウ・インドゥストリエ・ファルマチェウチケ・リウニテ・ソシエタ・ペル・アチオニ (92)
【氏名又は名称原語表記】SIGMA−TAU INDUSTRIE FARMACEUTICHE RIUNITE SOCIETA PER AZIONI
【Fターム(参考)】