説明

ふく進測定装置、ふく進測定システム及びふく進測定方法

【課題】簡素な構成でふく進量測定の作業効率や測定精度等を向上させる。
【解決手段】ふく進測定装置4は、鉄道のレール6R,6L上を走行する車両5に搭載され、車両走行中に、レール6R,6Lから側方に離れた位置で地面と一体的に設けられた基準マーカ2R,2Lと、レール6R,6Lと一体的に設けられたレールマーカ3R,3Lとを撮影するラインセンサ11R,11L,12R,12Lと、ラインセンサ11R,11L,12R,12Lで撮影された画像上において基準マーカ2R,2L及びレールマーカ3R,3Lを検出する画像処理部と、画像処理部で検出された情報から基準マーカ及びレールマーカのレール長手方向の位置を算出する位置算出部と、位置算出部で算出された各位置からレール6R,6Lのふく進量を算出するふく進量算出部と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道レールのふく進量を測定するためのふく進測定装置、ふく進測定システム及びふく進測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道レールは、温度変化による伸縮や車両加減速時に車輪から受ける力によって長手方向に移動しうる。このようなレールの移動は「ふく進」と称され、その移動量は「ふく進量」と称されている。鉄道各社では、レールに異常が生じないように定期的にふく進量を計測してレール管理を行っている。ところが、現状は、作業員が現場で定規等を用いた手作業によりふく進量を目視で測定しているため、作業効率が悪く、多くの作業員を要するとともに、測定誤差も生じやすい。
【0003】
そこで、特許文献1には、レールから側方に離れた位置で地面に打ち込まれた基準杭にレーザ発信機を取り付け、このレーザ発信機からのレーザ光を走行する車両に搭載した受光センサで受光し、その受光センサからの信号に基づいてレールに取り付けた識別体を撮影し、その画像上における識別体の位置からレール変動量を測定することが開示されている。これによれば、ふく進量の測定作業を自動化することができ、作業効率や測定精度等が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4582746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1の技術は、地上設備として基準杭ごとにレーザ発信機を設けねばならず、レーザ発信機を動作させる電源も準備する必要があり、多大な設備投資が必要となるため、現実的ではない。
【0006】
そこで本発明は、簡素な構成でふく進量測定の作業効率や測定精度等を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るふく進測定装置は、鉄道のレール上を走行する車両に搭載され、車両走行中に、前記レールから側方に離れた位置で地面と一体的に設けられた基準マーカと、前記レールと一体的に設けられたレールマーカとを撮影する撮影手段と、前記撮影手段で撮影された画像を処理して、前記画像上において前記基準マーカ及び前記レールマーカを検出する画像処理手段と、前記画像処理手段で検出された情報から前記基準マーカ及び前記レールマーカのレール長手方向の位置を算出する位置算出手段と、前記位置算出手段で算出された各位置から前記レールのふく進量を算出するふく進量算出手段と、を備えている。
【0008】
前記構成によれば、地上設備としては撮影対象となるマーカを設ければ足りるので、設備投資が大幅に低減される。そして、ふく進量は、基準マーカ及びレールマーカを撮影した画像を処理して各マーカの位置を算出することで正確かつ簡単に算出することができる。したがって、簡素な構成でふく進量測定の作業効率や測定精度等を向上させることができる。
【0009】
前記撮影手段は、その撮影画像がレール長手方向に沿うような向きに前記車両に取り付けられ、前記位置算出手段は、前記画像中の横方向及び縦方向をx方向及びy方向とした画像座標系を設定し、前記ふく進量算出手段は、前記画像座標系においてレール長手方向と直交する直線であるキャリブレーション線を求め、前記位置算出手段で算出された前記位置の前記キャリブレーション線からのy方向変位を求め、前記y方向変位から前記レールのふく進量を算出してもよい。
【0010】
前記構成によれば、画像座標系においてレール長手方向と直交する直線であるキャリブレーション線を求め、当該キャリブレーション線からのy方向変位を求めるので、車両における撮影手段の取付角度がずれて、画像中のy方向及びx方向が実際のレール長手方向及びそれに直交する方向と一致しない場合にも、ふく進量を正確に測定することができる。
【0011】
前記撮影手段は、前記基準マーカを撮影するための基準マーカ用撮影手段と、前記レールマーカを撮影するためのレールマーカ用撮影手段と、を有し、前記ふく進量算出手段は、前記基準マーカ用撮影手段及び前記レールマーカ用撮影手段によりレール長手方向の位置が同一である対象物を撮影した画像から前記キャリブレーション線を求めてもよい。
【0012】
前記構成によれば、基準マーカ用撮影手段及びレールマーカ用撮影手段によりレール長手方向の位置が同一である対象物を撮影した画像からキャリブレーション線を求めるので、車両における各撮影手段の取付位置が互いにレール長手方向にずれて、各撮影手段で撮影された各画像中の各座標が互いにレール長手方向に一致しない場合にも、ふく進量を正確に測定することができる。
【0013】
前記基準マーカは、それらの間に前記レールが介在するように一対設けられており、前記ふく進量算出手段は、前記y方向変位をY位置とし、前記基準マーカ及び前記レールマーカの前記レールに直交する方向の位置をX位置とした実座標系を設定し、前記実座標系において前記一対の基準マーカの各位置を直線で結んだ基準線を求め、前記レールマーカのY位置の前記基準線からのY方向変位を求め、前記Y方向変位から前記レールのふく進量を算出してもよい。
【0014】
前記構成によれば、実座標系において一対の基準マーカの各位置を直線で結んだ基準線を求め、レールマーカのY位置の基準線からのY方向変位を求めるので、一対の基準マーカが互いにレール長手方向にずれて設けられていた場合にも、ふく進量を正確に測定することができる。
【0015】
前記画像処理手段は、前記画像上において前記レールを認識し、前記位置算出手段は、前記画像処理手段で認識された前記レールの位置を算出し、前記画像処理手段は、前記レールの位置に基づいて前記レールマーカの探索範囲を前記画像上に設定し、前記探索範囲内で前記レールマーカを探索して認識してもよい。
【0016】
前記構成によれば、車輪が通過して頂面が綺麗であり高輝度の部分が連続するように撮影されるレールを先に画像処理で認識し、その認識されたレールの位置に基づいてレールマーカの探索範囲を設定するので、画像上のレールマーカを安定して且つ効率良く認識することができる。
【0017】
前記位置算出手段は、前記画像処理手段で認識された前記レールマーカの位置を算出し、前記画像処理手段は、前記レールマーカの位置に基づいて前記基準マーカの探索範囲を設定してもよい。
【0018】
前記構成によれば、レール長手方向に関して基準マーカと同じような位置に存在するレールマーカに基づいて基準マーカの探索範囲を設定するので、画像上の基準マーカを安定して且つ効率良く認識することができる。
【0019】
前記撮影手段の撮影時に前記基準マーカを照らすための基準マーカ用照明手段と、前記撮影手段の撮影時に前記レールマーカを照らすためのレールマーカ用照明手段と、をさらに備え、前記基準マーカ用照明手段は、前記レールマーカ用照明手段よりも光の照射角が広く構成されており、前記レールマーカ用照明手段は、前記基準マーカ用照明手段よりも均一に光を照射可能に構成されていてもよい。
【0020】
前記構成によれば、車両から近いレールマーカを照らす照明手段には、均一に光を照射するものを使用し、車両から遠い基準マーカを照らす照明手段には、照射角が広いものを使用することで、各マーカを明瞭に撮影することができ、各マーカの認識精度を向上させることができる。
【0021】
本発明に係るふく進測定システムは、前記ふく進測定装置と、地面と一体的に設置され、前記基準マーカが形成された基準マーカ部材と、前記レールと一体的に設置され、前記レールマーカが形成されたレールマーカ部材と、を備え、前記基準マーカ部材及び前記レールマーカ部材の少なくとも一方は、非水平な傾斜面を有し、前記傾斜面に前記マーカが形成されている。
【0022】
前記構成によれば、マーカ部材のうち塵や水等の異物が落ちやすい傾斜面にマーカが形成されているので、画像処理によるマーカの認識精度を向上させることができる。
【0023】
前記基準マーカ部材及び前記レールマーカ部材の少なくとも一方は、上下に貫通した穴部を有し、前記穴部を前記マーカとしてもよい。
【0024】
前記構成によれば、異物が自重で通過可能な穴部をマーカとしたので、異物がマーカ上に留まることが防止され、画像処理によるマーカの認識精度を向上させることができる。
【0025】
前記基準マーカ部材及び前記レールマーカ部材の少なくとも一方は、上方に突出した凸部を有し、前記凸部を前記マーカとしてもよい。
【0026】
前記構成によれば、マーカ部材から上方に突出した凸部をマーカとしたので、異物がマーカ上に留まることが抑制され、画像処理によるマーカの認識精度を向上させることができる。
【0027】
本発明に係るふく進測定方法は、鉄道のレール上を走行しながら、前記レールから側方に離れた位置で地面と一体的に設けられた基準マーカと、前記レールと一体的に設けられたレールマーカとを撮影する工程と、前記撮影された画像を処理して、前記画像上において前記基準マーカ及び前記レールマーカを検出する工程と、前記検出された情報から前記基準マーカ及び前記レールマーカのレール長手方向の位置を算出する工程と、前記算出された各位置から前記レールのふく進量を算出する工程と、を備えている。
【0028】
前記方法によれば、地上設備としては撮影対象となるマーカを設ければ足りるので、設備投資が大幅に低減される。そして、ふく進量は、基準マーカ及びレールマーカを撮影した画像を処理して各マーカの位置を算出することで正確かつ簡単に算出することができる。したがって、簡素な構成でふく進量測定の作業効率や測定精度等を向上させることができる。
【発明の効果】
【0029】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、簡素な構成でふく進量測定の作業効率や測定精度等を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係るふく進測定システムを概略的に示す斜視図である。
【図2】図1に示すシステムを正面から見た要部断面図である。
【図3】図1に示すシステムを側方から見た要部断面図である。
【図4】図1に示すシステムのレールマーカ部材を表す斜視図である。
【図5】図1に示すシステムの基準マーカ部材を表す斜視図である。
【図6】図4に示すレールマーカ部材の変形例を表す斜視図である。
【図7】図1に示すふく進測定装置を表すブロック図である。
【図8】図7に示すふく進測定装置による測定手順を説明するためのフローチャートである。
【図9】図1に示すふく進測定装置を用いたプレ処理工程を説明するための斜視図である。
【図10】図9に示すプレ処理工程で撮影された画像を表す図面である。
【図11】図10に示す画像からのキャリブレーション線の求め方を説明するための図面である。
【図12】図1に示すふく進測定装置を用いた画像処理での探索範囲の設定を説明するための図面である。
【図13】図1に示すふく進測定装置を用いたマーカ位置の算出を説明するための図面である。
【図14】図1に示すふく進測定装置で算出された画像座標系でのキャリブレーション線とマーカのズレ量の関係を説明する図面である。
【図15】図14のキャリブレーションにより実座標系に変換されたマーカ位置からのふく進量の算出を説明する図面である。
【図16】図15で算出されたふく進量を説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
【0032】
図1は、本発明の実施形態に係るふく進測定システム1を概略的に示す斜視図である。図1に示すように、本実施形態のふく進測定システム1は、鉄道車両5が走行するレール6R,6Lから側方に離れた位置で地面と一体的に設置された基準マーカ部材2R,2Lと、レール6R,6Lと一体的に設置されたレールマーカ部材3R,3Lと、基準マーカ部材2R,2L及びレールマーカ部材3R,3Lを撮影してレール6R,6Lのふく進量を算出するふく進測定装置4とを備えている。基準マーカ部材2R,2Lは、路盤7上の砕石8に突き刺すように立設した基準杭9R,9Lに固定されている。レールマーカ部材3R,3Lは、基準マーカ部材2R,2Lとレール長手方向の位置が同じになるように、レール6R,6Lの上方のカメラからマーカが見える位置にレール6R,6Lに固定されている。
【0033】
ふく進測定装置4は、車両5に搭載された基準マーカ用ラインセンサ11R,11L(撮影手段)及びレールマーカ用ラインセンサ12R,12L(撮影手段)と、ラインセンサ11R,11L,12R,12Lに接続された車載コントローラ13と、車載コントローラ13から離れて地上に設けられたアナライザ14とを備えている。ラインセンサ11R,11L,12R,12Lは、例えば、2048画素の1次元CCDカメラであって、最大35kHzのパルスで駆動され、1パルス毎に1フレームの1次元画像を出力する。
【0034】
図2は、図1に示すシステム1を正面から見た要部断面図である。図3は、図1に示すシステム1を側方から見た要部断面図である。図2及び3に示すように、基準マーカ用ラインセンサ11R,11Lは、基準マーカ部材2R,2Lを撮影するために、その撮影方向が鉛直方向よりも基準マーカ部材2R,2Lに向けて傾斜して且つレール長手方向と直交している。レールマーカ用ラインセンサ12R,12Lは、ミラーMを介してレールマーカ部材3R,3Lを撮影しており、その撮影方向が鉛直方向に沿って且つレール長手方向と直交している。また、ラインセンサ11R,11L,12R,12Lは、その撮影画像の縦方向がレール長手方向に沿うような向きに車両5に取り付けられている。
【0035】
また、ふく進測定装置4は、基準マーカ用ラインセンサ11R,11Lの撮影時に基準マーカ部材2R,2Lを照らすための基準マーカ用ライト15(照明手段)と、レールマーカ用ラインセンサ12R,12Lの撮影時にレールマーカ部材3R,3Lを照らすためのレールマーカ用ライト16(照明手段)とをさらに備えている。車両5から遠い基準マーカ部材2R,2Lを照らす基準マーカ用ライト15には、例えば、レールマーカ用ライト16よりも強い光を照射できて光の照射角が広いHIDライトが用いられている。車両5から近いレールマーカ部材3R,3Lを照らすレールマーカ用ライト16には、例えば、基準マーカ用ライト15よりも輝度のムラがなく均一に光を照射できて光量調節も容易なLEDライトが用いられている。これにより、各マーカ部材2R,2L,3R,3Lを明瞭に撮影することができ、後述する画像処理によるマーカ認識精度が向上する。
【0036】
図4は、図1に示すシステム1のレールマーカ部材3R,3Lを表す斜視図である。図4に示すように、レール6R,6Lは、砕石8に設置される底部6aと、底部6aよりも幅狭で上方に向けて突出する腹部6bと、腹部6bよりも幅広で且つ底部6aよりも幅狭であり腹部6bの上端に設けられた頭部6cとを有し、その底部6aの上面にレールマーカ部材3R,3Lが取り付けられている。レールマーカ部材3R,3Lは、金属等からなる支持板20と、支持板20に取り付けられて上面が非水平な傾斜面21aとなるマーカ形成板21とを備えている。レールマーカ部材3R,3Lは、その支持板20がレール6R,6Lと一緒に動くように固定されている。図4では、レールマーカ部材3R,3Lを磁石25にて底部6aの上面に固定しているが、レールマーカ部材3R,3Lのレール6R,6Lへの固定手段としては、その他に溶接、接着、締結部材(ネジやボルト)による固定等が利用できる。
【0037】
支持板20は、底板部20aと、底板部20aの端部から斜め上に突出した傾斜板部20bとを有している。磁石25は、底板部20aの下面に取り付けられており、マーカ形成板21は、傾斜板部20bの上面に取り付けられている。マーカ形成板21には、レール長手方向に沿って3つのレールマーカ22〜24が形成されており、レールマーカ22〜24が形成されたマーカ形成板21の傾斜面21aは、水平面から傾斜している(例えば、水平面に対して約45度)。このように、レールマーカ22〜24が傾斜面21aに形成されることで、レールマーカ22〜24が形成された面から塵や水等の異物が落ちやすくなるとともに、レールマーカ用ライト16による光のレールマーカ用ラインセンサ12R,12Lへの正反射が防がれ、後述する画像処理によるレールマーカ22〜24の認識精度が向上する。
【0038】
また、レールマーカ22〜24は、マーカ形成板21に上下貫通して形成された円形状の穴部であり、レールマーカ用ラインセンサ12R,12Lから見て(真上から見て)真円形状に撮影されるように略楕円形状に形成されている。また、レールマーカ22〜24のうち中央のレールマーカ23は両側のレールマーカ22,24よりも少し大きい。そして、支持板20の傾斜板部20bにもレールマーカ22〜24と連通する貫通穴が形成されている。これにより、異物が自重でレールマーカ22〜24を通過することができ、異物がレールマーカ22〜24上に留まることが防止され、後述する画像処理によるマーカ認識精度が向上する。
【0039】
図5は、図1に示すシステム1の基準マーカ部材2R,2Lを表す斜視図である。図5に示すように、基準マーカ部材2R,2Lは、基準杭9R,9Lにネジ等の固定具によって取り付けられている。基準マーカ部材2R,2Lは、基準杭9R,9Lにネジ等の固定具によって取り付けられる支持板27と、支持板27に取り付けられて上面が非水平な傾斜面28aとなるマーカ形成板28とを備えている。
【0040】
支持板27は、側板部27aと、側板部27aの上端部から斜め下に突出した傾斜板部27bとを有している。マーカ形成板28には、レール長手方向に沿って3つの基準マーカ29〜31が形成されており、基準マーカ29〜31が形成されたマーカ形成板28の傾斜面28aは、水平面から傾斜している(例えば、傾斜面28aの法線が基準マーカ用ラインセンサ11R,11Lに向く角度)。このように、基準マーカ29〜31が傾斜面28aに形成されることで、基準マーカ29〜31が形成された面から塵や水等の異物が落ちやすくなり、後述する画像処理による基準マーカ29〜31の認識精度が向上する。
【0041】
また、基準マーカ29〜31は、マーカ形成板28に上下貫通して形成された円形状の穴部であり、基準マーカ用ラインセンサ11R,11Lから見て真円形状に撮影されるように略真円形状に形成されている。また、基準マーカ29〜31のうち中央のレールマーカ23は両側のレールマーカ22,24よりも少し大きい。そして、支持板27の傾斜板部28bにも基準マーカ29〜31と連通する貫通穴が形成されている。これにより、異物が自重で基準マーカ29〜31を通過することができ、異物がレールマーカ29〜31上に留まることが防止され、後述する画像処理によるマーカ認識精度が向上する。
【0042】
図6は、図4に示すレールマーカ部材の変形例を表す斜視図である。図6に示すように、変形例のレールマーカ部材3R’,3L’は、そのマーカ形成板21’の傾斜面21a’から上方に突出した凸部をレールマーカ22’〜24’としている。レールマーカ22’〜24’の上面は、略水平で真円形状である。このように、レールマーカ22’〜24’を凸部とすることで、異物がレールマーカ22’〜24’上に留まることが抑制され、後述する画像処理によるマーカ認識精度が向上する。
【0043】
図7は、図1に示すふく進測定装置4を表すブロック図である。図7に示すように、ふく進測定装置4は、前述したように、ラインセンサ11R,11L,12R,12L、車載コントローラ13、及び、アナライザ14を備えている。車載コントローラ13は、画像入力部41R,41L,42R,42L、パルス生成部43、カウンタ部44、マップ記憶部45、画像形成部46、及び、外部記憶部47を備えている。
【0044】
画像入力部41R,41L,42R,42Lは、車両走行中にラインセンサ11R,11L,12R,12Lからそれぞれ受信した画像信号を画像形成部46に伝送する。パルス生成部43は、車両5の車軸に設けられた回転検出器39によって走行距離に対応して発生されるパルス信号を駆動パルスとして画像入力部41R,41L,42R,42Lに供給する。本実施形態では、ふく進測定装置4を所定速度(例えば、70km/h)で走行する軌道確認車に搭載したときに、測定対象に対して略1mm毎にラインセンサ11R,11L,12R,12Lの信号が出力されるように設定されている。即ち、撮影画像の1ピクセルが測定対象の1mmに対応するように設定されている。
【0045】
カウンタ部44は、車両5に設けられた回転検出器39から受信するパルス信号を積算して走行距離を算出する。マップ記憶部45は、いわゆるキロ程マップを記憶しており、マーカ部材2R,2L,3R,3Lが存在する位置(走行距離)を記憶している。画像形成部46は、カウンタ部44で算出された走行距離をマップ記憶部45に記憶されたマップに対照し、マーカ部材2R,2L,3R,3Lが存在すると推測される位置を含む所定領域に絞って処理対象となる画像を形成する。外部記憶部47は、画像形成部46で形成された画像を適宜保存する。
【0046】
アナライザ14は、画像処理部51、位置算出部52、ふく進量算出部53、マップ記憶部54、外部記憶部55、及び、表示装置56を備えている。画像処理部51は、車載コントローラ13の外部記憶部47に記憶された情報を記録媒体又は通信手段を介して受信して所定の画像処理を行う。具体的には、画像処理部51は、受信した画像をパターンマッチング処理して画像上における基準マーカ29〜31及びレールマーカ22〜24を検出する。位置算出部52は、画像処理部51で検出された情報から基準マーカ29〜31及びレールマーカ22〜24のレール長手方向の位置を算出する。
【0047】
マップ記憶部54は、いわゆるキロ程マップを記憶しており、レール長手方向に直交する方向におけるレールマーカ22〜24と基準マーカ29〜31との間の距離や、左右のレールマーカ22〜24同士の間の距離を記憶している。ふく進量算出部53は、マップ記憶部54に記憶された情報を参照しつつ、位置算出部52で算出された各位置からレール6R,6Lのふく進量を算出する。外部記憶部55は、ふく進量算出部53で算出されたふく進量を記憶する。表示装置56は、ふく進量算出部53で算出されたふく進量を画面で表示する。
【0048】
図8は、図7に示すふく進測定装置4による測定手順を説明するためのフローチャートである。図9は、図1に示すふく進測定装置4を用いたプレ処理工程を説明するための斜視図である。図8に示すように、まず、後述するキャリブレーション時に用いるキャリブレーション線を画像から取得するためのプレ処理工程を実施する(ステップS1)。車両5に設置したラインセンサ11R,11L,12R,12Lは、実際にはレール長手方向及び光軸回りの回転角度において設置誤差等があり、撮影画像の位置補正が必要である。そこで、図9に示すように、レール6R,6Lと直交する直線となるレーザ光をレーザ発信器63で照射し、そのレーザ光の上に光軸調整用マーカ61を設置する。即ち、光軸調整用マーカ61は、レール長手方向の位置が同一である撮影対象物である。光軸調整用マーカ61は、ラインセンサ11R,11L,12R,12L毎に2つずつ設けられるように用意される。光軸調整用マーカ61は、例えば、2つの三角形を頂点で突き合わせたような形状であり、そのくびれた点を光軸調整用マーカ61の基準位置とする。そして、ラインセンサ11R,11L,12R,12Lは、それぞれ2つの光軸調整用マーカ61を撮影する。
【0049】
図10は、図9に示すプレ処理工程で撮影された画像を表す図面である。図11は、図10に示す画像からのキャリブレーション線の求め方を説明するための図面である。プレ処理工程において光軸調整用マーカ61をラインセンサ11R,11L,12R,12Lで撮影した画像は、図10のようになる。図10の各画像において2つの光軸調整用マーカ61の各基準位置が上下(レール長手方向)にずれているのは、ラインセンサ11R,11L,12R,12Lの設置誤差によるものである。そして、図11に示すように、画像上の2つの光軸調整用マーカ61の基準位置の間を結んだ直線をキャリブレーション線として求める(ラインセンサ11R,12R,12L,11Lの各キャリブレーション線をそれぞれCL1〜CL4とする)。具体的には、位置算出部52が画像中の横方向及び縦方向をx方向及びy方向とした画像座標系を設定し、画像上の一方の光軸調整用マーカ61の基準位置(x,x)と他方の光軸調整用マーカ61の基準位置(x,y)とを結ぶ直線を以下の数式1の式ように定義する。
【0050】
(数式1)
y=ax+b
そして、この数式1のx,yに前記2つの基準位置を代入することで係数a,bを算出し、ラインセンサ11R,11L,12R,12Lごとにカメラパラメータとして保持しておく。
【0051】
次に、図8に示すように、実際に営業線路を車両5で走行しながら、ラインセンサ11R,11L,12R,12Lにより基準マーカ29〜31及びレールマーカ22〜24を撮影する撮影工程を実施する(ステップS2)。そして、車載コントローラ13は、画像形成部46で形成された画像を外部記憶部47に適宜保存する。そして、車両5は営業線路の走行後に車庫に戻り、外部記憶部47に集められた画像を記録媒体又は通信手段により地上設備として設けたアナライザ14に入力する。アナライザ14の画像処理部51は、その入力された画像を処理して、画像上において基準マーカ29〜31及びレールマーカ22〜24をパターンマッチング処理によって検出する画像処理工程を実施する(ステップS3)。
【0052】
図12は、図1に示すふく進測定装置4を用いた画像処理での探索範囲SR1,SR2の設定を説明するための図面である。パターンマッチング処理では、マーカの3つの円の寸法と位置関係からマッチングモデルを作成し、その作成されたモデルを元にして画像内から一致するパターンを検出する。その際、パターンマッチング処理を行う対象となる画像上の範囲が探索範囲SR1,SR2として設定される。まず、画像上において高輝度の部分が連続するという明確な特徴を有するレール6R,6Lを画像処理部51によって先に認識し、その認識されたレール6R,6Lの画像座標系における位置を位置算出部52によって算出する。そして、画像処理部51は、そのレール6R,6Lの直ぐ横にレールマーカ22〜24用の探索範囲SR1を画像上に設定し、探索範囲SR1内でレールマーカ22〜24を探索してパターンマッチングを行う。このように、レール6R,6Lを先に画像処理で認識し、その認識されたレール6R,6Lの位置に基づいてレールマーカ22〜24の探索範囲SR1を設定することで、画像上のレールマーカ22〜24が安定して且つ効率良く認識されることとなる。
【0053】
また、基準マーカ29〜31は、レールマーカ22〜24と同じキロ程に設置されているので、レールマーカ22〜24を検出した付近に基準マーカ29〜31用の探索範囲SR2を画像上に設定し、探索範囲SR2内で基準マーカ29〜31を探索してパターンマッチングを行う。これにより、レール長手方向に関して基準マーカ29〜31と同じような位置に存在するレールマーカ22〜24に基づいて基準マーカ29〜31用の探索範囲SR2を設定するので、画像上の基準マーカ29〜31が安定して且つ効率良く認識されることとなる。
【0054】
次に、図8に示すように、位置算出部52は、画像処理部51で検出された基準マーカ29〜31及びレールマーカ22〜24から、それらのレール長手方向の位置を算出する位置算出工程を実施する(ステップS4)。
【0055】
図13は、図1に示すふく進測定装置4を用いたマーカ位置の算出を説明するための図面である。図13に示すように、画像処理により認識されたレールマーカ部材3R,3Lのレールマーカ22〜24の各中心位置を求め、中央のレールマーカ23の中心位置bと、その両側のレールマーカ22,24の各中心位置a,cの平均をレールマーカ22〜24の代表位置として求める。その平均した代表位置は、中央のレールマーカ23の中心位置bから両側のレールマーカ22,24の中心位置a,cまでの距離m,nを使用して、下記の数式2によって中央のレールマーカ23の中心位置bを補正して求めてもよいし、又は、下記の数式3によって求めてよい。なお、図13ではレールマーカについて説明したが基準マーカについても同様である。
【0056】
(数式2)
代表位置=b−((m−n)/2)
(数式3)
代表位置=(a+b+c)/3
次に、図8に示すように、ふく進量算出部53は、位置算出部52で算出された各代表位置をラインセンサ11R,12R,12L,11Lごとにキャリブレーションし、そのキャリブレーションされた各位置からレール6R,6Lのふく進量を算出するふく進量算出工程を実施する(ステップS5)。
【0057】
図14は、図1に示すふく進測定装置4で算出された画像座標系でのキャリブレーション線とマーカのズレ量の関係を説明する図面である。図14に示すように、ラインセンサ11R,12R,12L,11Lの各画像で検出されたマーカの代表位置をそれぞれ点A〜Dとすると、点A〜Dのy座標(レール長手方向)は各キャリブレーション線CL1〜CL4からのy方向変位にキャリブレーションされる。即ち、点A〜Dのy座標と同一のy座標を有するキャリブレーション線CL1〜CL4上の点と、点A〜Dとのy方向距離の値を点A〜DのY座標に変換するようにキャリブレーションされる。
【0058】
図15は、図14のキャリブレーションにより実座標系に変換されたマーカ位置からのふく進量の算出を説明する図面である。図15に示すように、ふく進量算出部53は、図14のキャリブレーションにより求められたy方向変位をY位置とし(Y=0の線がキャリブレーション線に相当)、基準マーカ29〜31及びレールマーカ22〜24のレール6R,6Lに直交する方向の実際の位置をX位置とした実座標系を設定する。実座標系におけるX座標及びY座標の単位はmmとし、Y座標では画像の1ピクセルを1mmとしている。また、図15の点A〜DのX座標は、点AのX座標を所定のX1に決めた場合に、点B〜DのX座標は、マップ記憶部54から取得されるレール長手方向に直交する方向におけるレールマーカ22〜24と基準マーカ29〜31との間の距離(X2−X1又はX4−X3)や左右のレールマーカ22〜24同士の間の距離(X3−X2)からそれぞれX2〜X4に決められる。なお、マーカの高さが同一平面上にあるときは、画像座標系のx方向距離を実座標系のX方向距離に変換する補正係数を予め求めておき、画像より実座標系のX座標を求めるようにしてもよい。
【0059】
そして、実座標系において点Aと点Dの各位置を結んだ線を基準線BLとして求め、点B及び点Cの基準線BLからのY方向変位u1,u2を算出し、その変位u1,u2をふく進量として外部記憶部55に保存する。このようにして算出されたふく進量u1,u2は図16に示す変位量u1,u2に相当することとなる。
【0060】
以上に説明した構成によれば、地上設備としては撮影対象となる基準マーカ部材2R,2L及びレールマーカ部材3R,3Lを設ければ足りるので、設備投資が大幅に低減される。そして、ふく進量は、基準マーカ29〜31及びレールマーカ22〜24を撮影した画像を処理して各マーカの位置を算出することで正確かつ簡単に算出することができる。したがって、簡素な構成でふく進量測定の作業効率や測定精度等を向上させることができる。また、画像座標系においてレール長手方向と直交する直線であるキャリブレーション線CL1〜CL4を求め、キャリブレーション線CL1〜CL4からのy方向変位を求めるので、車両5におけるラインセンサ11R,11L,12R,12Lの取付角度がずれて、画像中のx方向及びy方向が実際のレール長手方向及びそれに直交する方向と一致しない場合にも、ふく進量を正確に測定することができる。
【0061】
さらに、ラインセンサ11R,11L,12R,12Lによりレール長手方向の位置が同一である複数の光軸調整用マーカ61を撮影した画像からキャリブレーション線CL1〜CL4を求めるので、車両5における各ラインセンサ11R,11L,12R,12Lの取付位置が互いにレール長手方向にずれて、各ラインセンサ11R,11L,12R,12Lで撮影された各画像中の各座標が互いにレール長手方向に一致しない場合にも、ふく進量を正確に測定することができる。また、実座標系において、基準マーカ用ラインセンサ11R,11Lの各画像で検出されたマーカ代表位置である点A,Dの各位置を結んだ線を基準線BLとして求め、レールマーカ用ラインセンサ12R,12Lの各画像で検出されたマーカ代表位置である点B及び点Cの基準線BLからのY方向変位u1,u2をふく進量として算出するので、一対の基準マーカ部材2R,2Lが互いにレール長手方向にずれて設けられていた場合にも、ふく進量を正確に測定することができる。
【0062】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲でその構成を変更、追加、又は削除することができる。例えば、マーカは、レール又は基準杭に取り付けるマーカ部材に形成するものに限定されず、レール又は基準杭に直接マーク付けしたものでもよい。また、アナライザ14は、地上に設置するものに限定されず、車両5に搭載して車上でふく進量測定を完了させるものでもよい。また、図15において点B,Cの点AからのY方向変位をふく進量として求め、点Dを不要としてもよい(その場合、基準マーカを設けるのは1つの基準杭のみで足りることとなる。)。また、本実施形態では、レールマーカ及び基準マーカをそれぞれ別のラインセンサで撮影したが、1つのラインセンサでレールマーカ及び基準マーカの両方を撮影した場合には、画像処理で認識したレールに直交するラインをキャリブレーション線として決定してもよい。また、本実施形態ではラインセンサを用いたが、撮影手段としてエリアカメラを用いた場合には、時系列的に連続する複数の画像上のマーカ移動方向に直交するラインをキャリブレーション線として決定してもよい。また、本実施形態では、キャリブレーション線を取得するために光軸調整用マーカ61を撮影する工程(ステップS1)を撮影工程(ステップS2)の前に実施したが、撮影工程の後に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上のように、本発明は、簡素な構成でふく進量測定の作業効率や測定精度等を向上させることができる優れた効果を有し、鉄道のレール管理に広く適用すると有益である。
【符号の説明】
【0064】
1 ふく進測定システム
2R,2L 基準マーカ部材
3R,3L レールマーカ部材
4 ふく進測定装置
5 鉄道車両
6R,6L レール
11R,11L 基準マーカ用ラインセンサ(基準マーカ用撮影手段)
12R,12L レールマーカ用ラインセンサ(レールマーカ用撮影手段)
15 基準マーカ用ライト(基準マーカ用照明手段)
16 レールマーカ用ライト(レールマーカ用照明手段)
22〜24 レールマーカ
29〜31 基準マーカ
51 画像処理部(画像処理手段)
52 位置算出部(位置算出手段)
53 ふく進量算出部(ふく進量算出手段)
CL1〜CL4 キャリブレーション線
SR1,SR2 探索範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道のレール上を走行する車両に搭載され、車両走行中に、前記レールから側方に離れた位置で地面と一体的に設けられた基準マーカと、前記レールと一体的に設けられたレールマーカとを撮影する撮影手段と、
前記撮影手段で撮影された画像上において前記基準マーカ及び前記レールマーカを検出する画像処理手段と、
前記画像処理手段で検出された情報から前記基準マーカ及び前記レールマーカのレール長手方向の位置を算出する位置算出手段と、
前記位置算出手段で算出された各位置から前記レールのふく進量を算出するふく進量算出手段と、を備えている、ふく進測定装置。
【請求項2】
前記撮影手段は、その撮影画像がレール長手方向に沿うような向きに前記車両に取り付けられ、
前記位置算出手段は、前記画像中の横方向及び縦方向をx方向及びy方向とした画像座標系を設定し、
前記ふく進量算出手段は、前記画像座標系においてレール長手方向と直交する直線であるキャリブレーション線を求め、前記位置算出手段で算出された前記位置の前記キャリブレーション線からのy方向変位を求め、前記y方向変位から前記レールのふく進量を算出する、請求項1に記載のふく進測定装置。
【請求項3】
前記撮影手段は、前記基準マーカを撮影するための基準マーカ用撮影手段と、前記レールマーカを撮影するためのレールマーカ用撮影手段と、を有し、
前記ふく進量算出手段は、前記基準マーカ用撮影手段及び前記レールマーカ用撮影手段によりレール長手方向の位置が同一である対象物を撮影した画像から前記キャリブレーション線を求める、請求項2に記載のふく進測定装置。
【請求項4】
前記基準マーカは、それらの間に前記レールが介在するように一対設けられており、
前記ふく進量算出手段は、前記y方向変位をY位置とし、前記基準マーカ及び前記レールマーカの前記レールに直交する方向の位置をX位置とした実座標系を設定し、前記実座標系において前記一対の基準マーカの各位置を直線で結んだ基準線を求め、前記レールマーカのY位置の前記基準線からのY方向変位を求め、前記Y方向変位から前記レールのふく進量を算出する、請求項2又は3に記載のふく進測定装置。
【請求項5】
前記画像処理手段は、前記画像上において前記レールを認識し、
前記位置算出手段は、前記画像処理手段で認識された前記レールの位置を算出し、
前記画像処理手段は、前記レールの位置に基づいて前記レールマーカの探索範囲を前記画像上に設定し、前記探索範囲内で前記レールマーカを探索して認識する、請求項1乃至4のいずれかに記載のふく進測定装置。
【請求項6】
前記位置算出手段は、前記画像処理手段で認識された前記レールマーカの位置を算出し、
前記画像処理手段は、前記レールマーカの位置に基づいて前記基準マーカの探索範囲を設定する、請求項5に記載のふく進測定装置。
【請求項7】
前記撮影手段の撮影時に前記基準マーカを照らすための基準マーカ用照明手段と、
前記撮影手段の撮影時に前記レールマーカを照らすためのレールマーカ用照明手段と、をさらに備え、
前記基準マーカ用照明手段は、前記レールマーカ用照明手段よりも光の照射角が広く構成されており、前記レールマーカ用照明手段は、前記基準マーカ用照明手段よりも均一に光を照射可能に構成されている、請求項1乃至6のいずれかに記載のふく進測定装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載のふく進測定装置と、
地面と一体的に設置され、前記基準マーカが形成された基準マーカ部材と、
レールと一体的に設置され、前記レールマーカが形成されたレールマーカ部材と、を備え、
前記基準マーカ部材及び前記レールマーカ部材の少なくとも一方は、非水平な傾斜面を有し、前記傾斜面に前記マーカが形成されている、ふく進測定システム。
【請求項9】
前記基準マーカ部材及び前記レールマーカ部材の少なくとも一方は、上下に貫通した穴部を有し、前記穴部を前記マーカとしている、請求項8に記載のふく進測定システム。
【請求項10】
前記基準マーカ部材及び前記レールマーカ部材の少なくとも一方は、上方に突出した凸部を有し、前記凸部を前記マーカとしている、請求項8に記載のふく進測定システム。
【請求項11】
鉄道のレール上を走行しながら、前記レールから側方に離れた位置で地面と一体的に設けられた基準マーカと、前記レールと一体的に設けられたレールマーカとを撮影する工程と、
前記撮影された画像を処理して、前記画像上において前記基準マーカ及び前記レールマーカを検出する工程と、
前記検出された情報から前記基準マーカ及び前記レールマーカのレール長手方向の位置を算出する工程と、
前記算出された各位置から前記レールのふく進量を算出する工程と、を備えている、ふく進測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−251882(P2012−251882A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124846(P2011−124846)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【出願人】(000196587)西日本旅客鉄道株式会社 (202)
【Fターム(参考)】