説明

アクチノマヅラ色素タンパク質であるアポタンパク質、および遺伝子クラスター

本発明は、陸生放線菌類であるアクチノマヅラ種21G792(NRRL30778)により産生された新規な非常に強力な抗癌色素タンパク質に関する。本発明は、アクチノマヅラ種21G792により産生される色素タンパク質、ならびに色素タンパク質のアポタンパク質成分のアミノ酸配列および核酸配列、および発色団のための生合成経路の成分のアミノ酸配列および核酸配列を提供する。本発明は、医薬の開発、および癌または細菌感染等の疾患の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、アクチノマヅラ種(Actinomadura sp.)21G792により産生される色素タンパク質、ならびに色素タンパク質のアポタンパク質成分のアミノ酸配列および核酸配列、および発色団のための生合成経路の成分のアミノ酸および核酸配列を提供する。本発明は、医薬組成物の開発、および癌または細菌感染等の疾患の治療に有用である。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
放線菌目のメンバーにより産生される強力な細胞毒性ポリケチドの一種であるエンジインは、癌の治療に用いられてきた。エンジイン薬物の典型的な作用形態は、一本鎖および二本鎖DNA開裂を介する。DNA開裂は、エンジイン環のバーグマン型の環芳香族化により生成されたジラジカルによるデオキシリボース糖骨格からの水素引き抜き反応により誘発される。現在、癌の臨床治療用に2つのエンジインが認可されている:CD33モノクローナル抗体と結合したカリケアマイシン(Mylotarg(登録商標)、米国)およびポリ(スチレン−co−マレイン酸)結合ネオカルチノスタチン(日本)。
【0003】
エンジイン天然物は、2つのサブカテゴリーに分類することができる。第1のサブクラスは、ビシクロ[7,3,0]ドデカジイン(すなわち、9員)エンジインコアまたはその前駆体を特徴とし、第2のサブクラスは、ビシルコ[7,3,1]トリデカジイン(すなわち、10員)エンジインコアを特徴とする。9員エンジインの例としては、ネオカルチノスタチン、C−1027、ケダルシジン、マクロモマイシン、N1999A2、およびマデュロペプチン(maduropeptin)が挙げられる。10員サブクラスの例としては、カリケアマイシン、エスペラマイシン、ダイネミシン、およびナメナマイシン(namenamicin)。9員と10員のエンジインを区別するさらなる特徴としては、N1999A2を除いて、全ての9員エンジインがエンジイン−タンパク質複合体として産生され、エンジイン発色団が、非共有結合により不活性アポタンパク質に付着することである。このため、9員エンジインは、しばしば、色素タンパク質と呼ばれる。アポタンパク質は、不安定な9員エンジイン発色団を安定させ、標的とする細胞毒性発色団を染色質に届ける重要な役割を果たすと考えられている。
【0004】
いくつかのアポタンパク質のアミノ酸配列は、アポタンパク質を直接配列決定するか、またはクローン化DNA配列からアミノ酸を推定することにより決定されている。現在までに同定されているアポタンパク質は、小さな酸性タンパク質(108〜114個のアミノ酸(aa))であり、これらは、プレアポタンパク質(pre−apoprotein)から32〜34aaのアミノ末端リーダーペプチドを除去して生成される。2つの色素タンパク質(ネオカルチノスタチンおよびC−1027)の生合成経路が、クローン化され、配列決定されている。これらの場合、アポタンパク質をコードする遺伝子は、対応する発色団の生合成に必要な遺伝子でクラスタ化された。
【0005】
色素タンパク質複合体のアポタンパク質成分は、薬物特性の指令変化の魅力的な標的となる。例えば、アポタンパク質アミノ酸または核酸配列が見つかった場合、部位特異的突然変異誘発法等の確立された分子生物学技術を用いて、アポタンパク質の発色団結合モチーフを変更し、その天然型発色団をより強くまたは弱く結合する、合理的に変化したアポタンパク質を作成することができる。さらに、そのようなアポタンパク質への変化により、例えば、毒性が低減した色素タンパク質、または効力もしくは安定度が増した発色団を得る事が可能である。また、アポタンパク質を全体的に操作することにより、結合特異性が大きく変化したしたアポタンパク質、すなわち、エンジイン発色団とは大きく異なる分子の標的薬物送達手段として機能する能力を得ることが可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、新規な色素タンパク質、ならびに遺伝子およびそれらの合成に関与するタンパク質の分離および特性解析が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、陸生放線菌類であるアクチノマヅラ種21G792(NRRL30778)により産生された新規な非常に強力な抗癌色素タンパク質に関する。アクチノマヅラ種21G792色素タンパク質は、アポタンパク質と、9員エンジインを含む発色団の非共有結合複合体である。色素タンパク質は、10員エンジインに属する化合物よりも毒性が低いと思われるが、これは、アポタンパク質の活性調節作用によるものと思われる。
【0008】
本発明は、ポリペプチド、およびアクチノマヅラ種21G792の色素タンパク質生合成遺伝子ラスターのポリペプチドをコードする単離核酸を提供する。ポリペプチドには、発色団生合成経路およびプレアポタンパク質の成分が含まれる。宿主内では、アポタンパク質成分は、プレアポタンパク質からのシグナルペプチドの開裂により形成される。従って、本発明は、さらに、分泌シグナルペプチドに対するN末端で融合したアクチノマヅラ種21G792アポタンパク質をコードする核酸配列を提供する。
【0009】
本発明の1つの実施形態では、上記核酸は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、配列番号136、配列番号138、配列番号140、配列番号142、配列番号144、配列番号146、配列番号148、配列番号150のアミノ酸配列と少なくとも約70%の相同性を有するを有するポリペプチドをコードする。本発明の他の実施形態では、上記相同性は、少なくとも約80%もしくは少なくとも約90%であってもよく、または上記相同性は100%であってもよい。特定の実施形態では、上記ポリペプチドの配列は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、配列番号136、配列番号138、配列番号140、配列番号142、配列番号144、配列番号146、配列番号148、配列番号150のうちの1つと同じである。
【0010】
特定の実施形態では、上記核酸は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、配列番号119、配列番号121、配列番号123、配列番号125、配列番号127、配列番号129、配列番号131、配列番号133、配列番号135、配列番号137、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149またはそれらの補体の配列の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、もしくは同じであるヌクレオチド配列を含む。
【0011】
本発明はまた、上記核酸を含むベクターおよび宿主細胞も提供する。1つの実施形態では、本発明は、色素タンパク質遺伝子クラスターの全てまたは一部を含むアクチノマヅラ種21G792から単離されたDNAを含むコスミドを提供する。上記核酸の単離および操作法が提供される。また、色素タンパク質遺伝子クラスター核酸の同定および増幅のためのプローブおよびプライマーも提供される。
【0012】
本発明は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、配列番号136、配列番号138、配列番号140、配列番号142、配列番号144、配列番号146、配列番号148、配列番号150のアミノ酸配列と少なくとも約70%の相同性、少なくとも約80%の相同性、少なくとも約90%の相同性、または約100%の相同性を有するアミノ酸配列を含む単離タンパク質またはポリペプチド、およびそれらの変異体を提供する。
【0013】
本発明は、組換えアポタンパク質を産生する方法を企図しており、この方法は、a)配列番号63または配列番号149を含む核酸配列を有する発現ベクターを含む宿主細胞を、上記宿主細胞内の組換えタンパク質の発現に適した条件下の培地で培養し、b)上記組換えタンパク質を上記宿主細胞または上記培地から単離する工程を含む。
【0014】
また、組換え色素タンパク質を産生する方法も企図される。この方法は、a)構造および酵素成分(例えば、orf1〜65の全てまたは一部を含む)をコードする遺伝子を発現するコスミドまたは他の発現ベクターを含む宿主細胞を培養し、b)組換えタンパク質を宿主細胞または培地から単離することを含む。上記組換え色素タンパク質は、21G792色素タンパク質、またはその変異体とすることができる。
【0015】
本発明は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、配列番号119、配列番号121、配列番号123、配列番号125、配列番号127、配列番号129、配列番号131、配列番号133、配列番号135、配列番号137、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149とハイブリダイズするかまたはそれらの一部をプローブとして含み、例えば、他のエンジインに関連する化合物を産生することができる生物を同定するか、または例えば、アクチノマヅラ種21G792等のエンジインに関連する化合物を産生することができる生物内の色素タンパク質の合成に関与する遺伝子を同定する核酸分子を用いる方法を企図する。
【0016】
本発明は、アクチノマヅラ種21G792ポタンパク質を提供し、実質的に純粋な形態のアポタンパク質および色素タンパク質、ならびに色素タンパク質を含む医薬組成物、ならびに色素タンパク質を投与する方法を提供する。上記色素タンパク質は、癌性細胞および腫瘍の治療に有用であることが立証されている。
【0017】
本発明は、さらに、生物活性が変化したアクチノマヅラ種21G792アポタンパク質の変異体を生成する方法を提供する。そのような変異体アポタンパク質は、変化した発色団結合特性、変化した標的特異性、またはそれらの組み合わせを有し得る。
【0018】
本発明は、アポタンパク質および色素タンパク質の大量産生を可能にすることは言うまでもない。さらに、本発明により、エンジインに関連する化合物を産生することができる他の生物の同定または、例えば、アクチノマヅラ種21G792等のエンジイン関連の化合物を産生することができる生物内の色素タンパク質の合成に関与する遺伝子の同定が可能となることも理解されたい。さらに、本発明は、形質転換されて、例えば、毒性が低減した、効力が増した、または安定度が増したアポタンパク質の産生を可能にすることは言うまでもない。また、アクチノマヅラ種21G792アポタンパク質の操作により、アポタンパク質の結合特異性を変化させることにより、21G792エンジイン発色団とは異なる発色団の標的薬物送達手段として機能する能力が得られることも理解されたい。最後に、アクチノマヅラ種21G792色素タンパク質を含む医薬組成物を開発し、細菌感染または癌性増殖を有する哺乳動物、好ましくは、ヒトに投与することができることは言うまでもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(発明の詳細な説明)
エンジイン抗生物質は、一般に、ストレプトミセス属、ミクロモノスポラ属、およびアクチノマヅラ属を含むがそれらに限定されない放線菌目に属する各種の生物により産生される。本発明は、Agricultural Research Service Culture Collection(NRRL,1815 North University Street,Peoria,Ill.,61064)に寄託されたアクチノマヅラ種21G792により産生される新規な色素タンパク質に関する。これらの寄託物は、ブダペスト条約による条件に基づいて作成された。アクチノマヅラ種21G792には、信託番号NRRL30778が与えられている。そのような現在公知の生物のうち、アクチノマヅラ種21G792は、ATCC39144として寄託されたアクチノマヅラ株(米国特許第4,546,084号)と最も類似していると思われる。16S rDNA配列により評価されるように、これらの株は、近縁種または近縁亜種である。
【0020】
アクチノマヅラ種21G792色素タンパク質は、新規なアポタンパク質および発色団から成る。色素タンパク質の成分および発色団生合成経路の成分、またはこれらの成分の前駆体(すなわち、プレアポタンパク質)は、色素タンパク質生合成遺伝子クラスターと呼ばれる隣接する読み取り枠(orf)の組によりコードされる。従って、本発明は、アクチノマヅラ種21G792色素タンパク質生合成遺伝子クラスターのorfをコードする単離核酸(表1参照)、またはそれらの発現した(すなわち、処理された)断片(例えば、アポタンパク質;配列番号150)を提供する。1つの実施形態では、本発明は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、配列番号136、配列番号138、配列番号140、配列番号142、配列番号144、配列番号146、配列番号148、配列番号150のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を有する核酸を提供する。好ましい実施形態では、上記核酸は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、配列番号119、配列番号121、配列番号123、配列番号125、配列番号127、配列番号129、配列番号131、配列番号133、配列番号135、配列番号137、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149のヌクレオチド配列を含む。本発明の核酸が相補配列を含むことは言うまでもない。
【0021】
【表1−1】

【0022】
【表1−2】

【0023】
【表1−3】

本発明は、厳しいハイブリダイゼーション条件の下で、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、配列番号119、配列番号121、配列番号123、配列番号125、配列番号127、配列番号129、配列番号131、配列番号133、配列番号135、配列番号137、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149と特異的にハイブリダイズする(または特異的に結合する)核酸を提供する。また、核酸コードの縮退がなければ前述した配列と特異的に結合するであろう核酸も企図される。これらの核酸は、完全なタンパク質(例えば、完全なorf)またはそれらの断片をコードするために十分な長さを有するものとすることができる。また、修飾されたタンパク質をコードする核酸も含まれる。タンパク質修飾の例としては、抗体、抗体断片、受容体リガンド等の標的分子との融合が挙げられるがこれらに限定されない。
【0024】
上記核酸は、プローブおよびプライマーをさらに含む。特定の実施形態では、これらプローブまたはプライマーは、変質していてもよい。さらに、それらの用途に応じて、プローブおよびプライマーは、一本鎖または二本鎖であってもよい。プローブおよびプライマーは、例えば、少なくとも約12個のヌクレオチドの長さ、好ましくは少なくとも約15個のヌクレオチドの長さ、より好ましくは少なくとも約18個のヌクレオチドの長さのオリゴヌクレオチドを含み、本発明のブライマーを用いて生成され得るPCR増幅産物をさらに含む。
【0025】
厳しい条件下でのハイブリダイゼーションとは、プローブがその標的部分配列と選択的にハイブリダイズし、他の配列とのハイブリダイゼーションはより少ないかまたは全くない条件を指す。また、サザンハイブリダイゼーションおよびノーザンハイブリダイゼーション等の核酸ハイブリダイゼーション実験に関連して、厳しいハイブリダイゼーションおよび厳しいハイブリダイゼーション洗浄条件は配列依存的であり、異なる環境パラメータにおいては異なることも理解されたい。厳しいハイブリダイゼーション条件が得られるように、ハイブリダイゼーションおよび洗浄液容量ならびに温度を調整することは当該分野では周知である。厳しさは、用いられているプローブの大きさおよびヌクレオチド容量などのパラメータに依存する。一般的な説明および例については、Sambrookら,1989,Molecular Cloning−A Laboratory Manual(2nd ed.)Vol.1−3,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Press,NY、および他の文献を参照。核酸のハイブリダイゼーションに関する他の手引きは、Tijssen,1993,Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−Hybridization with Nucleic Acid Probes,part I,chapter 2,Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays,Elsevier,N.Y.で見ることができる。
【0026】
好ましい厳しい条件としては、プローブと約90%以上相補的な配列とのハイブリダイゼーションを可能にするが、約70%未満相補的な配列とはハイブリダイゼーションさせないものが挙げられる。一般に、非常に厳しいハイブリダイゼーションおよび洗浄条件は、規定されたイオン強度およびpHで特定の配列の熱融解点(Tm)よりも約5℃低くなるように選択される。Tmは、(規定されたイオン強度およびpH下で)標的配列の50%が完全にマッチしたプローブとハイブリダイズする温度である。極めて厳しい条件は、特定のプローブのTmと等しくなるように選択される。
【0027】
サザンまたはノーザンブロットにおいてフィルタ上に100を超える相補残基を有する相補核酸のハイブリダイゼーションのための厳しいハイブリダイゼーション条件の一例としては、ハイブリダイゼーションを一晩実施して42℃で1mgのヘパリンを有する50%ホルムアミドが挙げられる。非常に厳しい洗浄条件の一例としては、約15分間72℃の0.15MのNaClが挙げられる。厳しい洗浄条件の一例としては、15分間65℃の0.2倍のSSC洗浄が挙げられる(Sambrookら,1989参照)。非常に厳しい洗浄の前に低度に厳しい洗浄を行い、バックグラウンドプローブ信号を除去する場合がしばしばある。例えば、100個を超えるヌクレオチドの二本鎖に対する中程度の厳しさの洗浄の一例としては、15分間45℃の1倍のSSCが挙げられる。例えば、100個を超えるヌクレオチドの二本鎖に対する低度の厳しさの洗浄の例としては、15分間40℃の4〜6倍のSSCが挙げられる。一般に、特定のハイブリダイゼーションアッセイにおいて関係のないプローブについて観察したものよりも2倍(以上)の信号対雑音比は、特異的なハイブリダイゼーションの検出を示す。
【0028】
コードするポリペプチドが実質的に同一であれば、厳しい条件で相互にハイブリダイズしない核酸であっても実質的に同一である。これは、例えば、遺伝子コードにより可能な最大のコドンの縮退を用いて核酸のコピーを生成する場合に起こる。従って、本発明のヌクレオチド配列は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、配列番号119、配列番号121、配列番号123、配列番号125、配列番号127、配列番号129、配列番号131、配列番号133、配列番号135、配列番号137、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149またはそれらの断片であって、長さが少なくとも約50個のヌクレオチド、より好ましくは少なくとも約100個のヌクレオチドである断片と少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%同一であるヌクレオチドの配列を含む。
【0029】
本発明はまた、発色団遺伝子クラスターによりコードされた1つ以上のタンパク質を産生する方法にも関する。そのようなタンパク質は、宿主細胞内に配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、配列番号119、配列番号121、配列番号123、配列番号125、配列番号127、配列番号129、配列番号131、配列番号133、配列番号135、配列番号137、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149を含む1つ以上の核酸を発現することにより産生されてもよい。例えば、前述の核酸のうちの1つ以上は、核酸を調節管理して発現に影響を与えるように操作可能に結合し、宿主細胞内での発現のためにベクターに組み込むようにすることができる。本発明の1つの実施形態では、アポタンパク質またはプレアポタンパク質が産生される。
【0030】
本発明において有用な管理要素は、オペレーター配列およびリボソーム結合部位を任意に有するプロモーターを含む。宿主細胞の成長に関してアポタンパク質またはプレアポタンパク質の発現の調節を可能にするような他の調節配列が望ましい場合がある。調節配列は当業者に公知であり、例えば、調節化合物の存在を含む化学的または物理的刺激に応じて遺伝子を発現させたり、発現させないようにするものが含まれる。他のタイプの調節要素が、ベクター、例えば、エンハンサー配列に存在してもよい。種々の発現ベクターが当該分野で公知であり、例えば、コスミド、PI、YAC、BAC、PAC、HAC等がある。
【0031】
選択可能なマーカーも組換え発現ベクターに含むようにすることができる。形質転換細胞株の選択に有用であり、一般に、形質転換細胞を適切な選択培地で培養する場合に、発現によりそれらの細胞に選択可能な表現型を与える遺伝子を含む各種のマーカーが公知である。そのようなマーカーは、例えば、プラスミドに抗生物質耐性または感受性を与える遺伝子を含む。
【0032】
上述したベクターは、タンパク質の発現に適したあらゆる原核または真核細胞に挿入することができる。宿主細胞は、アクチノマヅラ、ストレプトミセス、ミクロモノスポラ、アクチノミセス属、Nonomurea、シュードモナス属等を含むがこれらに限定されない。宿主細胞としては、アクチノマヅラ、ストレプトミセス、およびミクロモノスポラ等のエンジインを自然に発現する種または株(例えば 細菌株)が好ましい(例えば、Pfeiferら,2001,Science 291,1790−2;Martinezら,2004,Appl.Environ.Microbiol.70,2452−63参照)。1つの実施形態では、タンパク質が大腸菌において発現される。発現産物の回収は、当業者に周知の標準的な方法により行なうことができる。よって、例えば、タンパク質は、単離を容易にする有用な標識(例えば、His標識)を用いて発現することができる。他の標準的なタンパク質精製技術は適切であり当業者に周知である(例えば、Quadriら,1998,Biochemistry 37,1585−95;Nakanoら,1992,MoI.Gen.Genet.232,313−21参照)。色素タンパク質遺伝子クラスター全体が発現される場合、色素タンパク質を回収することができる。発現のために特定のOrfを選択することにより、色素タンパク質に関連する化合物を産生することができる。例えば、orf23の発現によりプレアポタンパク質を産生することができる。
【0033】
配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、配列番号119、配列番号121、配列番号123、配列番号125、配列番号127、配列番号129、配列番号131、配列番号133、配列番号135、配列番号137、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149またはそれらの断片を含む核酸分子をプローブとして用いてもよい。そのようなプローブは、本発明の核酸の同定に有用である。下記の実施例に記載の方法と同様の方法を含む任意の適切な方法によりヌクレオチド配列をプローブとして用いてもよい。本明細書中において記載するように、dNDP−グルコース−4,6−デヒドラターゼ(DH)プローブを用いて、アポタンパク質または他の発色団に関連するタンパク質をコードする遺伝子または遺伝子クラスターを有する可能性があるアクチノマヅラ種21G792ゲノムDNAのコスミドクローンを同定した。同様に、本発明の核酸を用いて、他の生物において、アポタンパク質および発色団に関連するタンパク質、特に、9員環エンジイン発色団をコードするorfを同定することができる。そのような生物は、一般に、例えば、菌類、バチルス、シュードモナス、粘液細菌およびシアノバクテリア等、二次代謝産物を産生する生物を含む。好ましくは、上記核酸を用いて、アクチノミセス属、ストレプトミセス属またはミクロモノスポラ属の生物を含むがそれらに限定されない放線菌目(Taxonomic Outline of the Procaryotic Genera:Bergey’s Manual(R) of Systematic Bacteriology,2nd Edition)の生物の遺伝子を同定する。より好ましくは、上記核酸を用いて、アクチノマヅラ種および亜種の遺伝子を同定する。
【0034】
本発明はまた、実施的に純粋なタンパク質およびポリペプチドを提供する。所与のポリペプチドについて本明細書中において用いる「実質的に純粋な」という用語は、上記ポリペプチドが実質的に他の生体高分子を含まないことを意味する。例えば、実質的に純粋なポリペプチドは、乾燥重量で少なくとも75%、80%、85%、95%、または99%の純度である。純度は、当該分野で公知の任意の適切な標準的方法、例えば、カラムクロマトグラフィ、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、またはHPLC分析により測定することができる。実質的に純粋なタンパク質が、アポタンパク質がエンジイン分子と複合化する色素タンパク質を含むことは言うまでもない。このような付着は、例えば、水素結合等の共有または非共有結合結合により行なうことができる。
【0035】
本発明のタンパク質およびポリペプチドは、アクチノマヅラ種21G792の色素タンパク質遺伝子クラスターのorfによりコードされるものを含む。好ましい実施形態では、上記タンパク質およびポリペプチドは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、配列番号136、配列番号138、配列番号140、配列番号142、配列番号144、配列番号146、配列番号148、配列番号150を含むものである。特定の好ましい実施形態では、上記タンパク質は、21G792プレアポタンパク質(配列番号64)またはアポタンパク質(配列番号150)である(図6)。21G792プレアポタンパク質およびアポタンパク質のアミノ酸組成を表2に示す。
【0036】
【表2】

本発明のタンパク質またはポリペプチドが、前述の好ましいタンパク質およびポリペプチドと実質的に同じアミノ酸配列を有するものをさらに含むことも言うまでもない。本明細書中においては、実質的に同じアミノ酸配列は、Pearson and Lipman,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85,2444−8に準じたFASTA検索法により測定した場合、少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%の相同性を有し、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、配列番号136、配列番号138、配列番号140、配列番号142、配列番号144、配列番号146、配列番号148、配列番号150と少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%同一である配列を含む配列であると規定する。
【0037】
そのようなタンパク質は、特に、同類アミノ酸置換がある場合には、アクチノマヅラ種21G792と同様の活性を有する。同類アミノ酸置換は、ペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質、またはそれらの断片の1つ以上のアミノ酸を変更することによるアミノ酸組成の変化として規定する。この置換は、一般に同様の特性(例えば、酸性、塩基性、芳香族性、大きさ、正荷電もしくは負荷電、極性、非極性)を有するアミノ酸の置換であり、関連ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の性質(例えば、電荷、等電点、親和性、親和力、配座、溶解性)または活性を実質的に変更しない。典型的な同類置換は、以下のアミノ酸の群内で選択され、この群は、
(1)疎水性:メチオニン(M)、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I);
(2)親水性:システイン(C)、セリン(S)、トレオニン(T)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
(3)酸性:アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
(4)塩基性:ヒスチジン(H)、リジン(K)、アルギニン(R);
(5)芳香族性:フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)およびトリプトファン(W);
(6)鎖配向に影響する残基:gly、pro、
を含むが、これらに限定されない。従って、本発明はまた、特に、アミノ酸置換が同類置換である場合、アミノ酸配列が配列番号64または配列番号150と実質的に同じである21G792アポタンパク質と同様のアミノ酸組成を有するアポタンパク質およびポリペプチドも包含する。
【0038】
本発明のタンパク質およびポリペプチドは、任意の適切な方法により単離することができる。例えば、上述したように、アポタンパク質またはプレアポタンパク質をコードするヌクレオチドが宿主細胞において発現した場合、アミノまたはカルボキシ末端標識を用いて上記タンパク質を発現し、単離に容易にすることができる。さらに、本発明のポリペプチドを放線菌類から単離するために、特に、エンジインを有する複合体のアポタンパク質を単離することが望まれる場合には、下記の実施例に記載の手順と同様の手順に従ってもよい。
【0039】
本発明の1つの実施形態では、上記アポタンパク質は、発色団と複合化される。好ましい発色団は、アクチノマヅラ種21G792により産生されたものである。アクチノマヅラ種21G792発色団構造(図8)は、21G792色素タンパク質を有機溶媒に曝すことにより生成された分解産物の構造から推定されたものであり、マヅロペプチン発色団に関連する(Schroederら,1994,J.Am.Chem.Soc.116:9351;Zein,N.ら,1995,Biochemistry 34,11591−7参照)。
【0040】
本発明はまた、アクチノマヅラ種21G792を発酵および培養する方法も提供する。アクチノマヅラ種21G792の培養は、多様な液体培地で行なうことができる。アクチノマヅラ種21G792色素タンパク質の産生に有用な培地は、デキストリン、サッカロース、糖蜜、グリセロール等の同化可能な炭素源;タンパク質、タンパク質加水分解物、ポリペプチド、アミノ酸、コーンスティーブリカー等の同化可能な窒素源;ならびにカリウム、ナトリウム、アンモニウム、カルシウム、硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、塩化物等の無機陰イオンおよび陽イオンを含む。ボロン、モリブデン、銅等の微量元素は、上記培地の他の組成の構成要素の不純物として供給される。
【0041】
本発明は、例えば、1つ以上のランダムまたは標的変異、欠失、または挿入の導入により、アクチノマヅラ種21G792色素タンパク質遺伝子クラスターの1つ以上のorfに変更を加えることを可能にする。このように、上記発色団、アポタンパク質、またはそれらの両方を修飾して、例えば、毒性の減少、効力の増加、または安定度の増加を示す色素タンパク質を作成してもよい。特定のエンジイン発色団が、当該発色団に特異的な部位のDNAを開裂させることを認識されたい。さらに、各種の色素タンパク質は、ヒストンに対する固有のタンパク質分解活性を有する。従って、アクチノマヅラ種21G792アポタンパク質および/または発色団の操作によっても特異性が変化した色素タンパク質を提供することができる。あるいは、上記アポタンパク質を修飾して、最適な活性分子のための搬送または送達手段とすることができる。本発明はまた、他の生体分子と連結することが可能な修飾アクチノマヅラ種21G792発色団またはアポタンパク質/発色団複合体も可能にする。1つの実施形態では、上記生体分子は、発色団または色素タンパク質を特異的に標的とすることを可能にする。そのような生体分子は、例えば、細胞表面分子または受容体のための抗体または他のリガンドとすることができる。
【0042】
例えば、変化したアクチノマヅラ種21G792アポタンパク質をコードする核酸を発現ベクターおよび宿主細胞に挿入し、当該宿主細胞をアポタンパク質の発現に適した条件下で培養し、当該アポタンパク質を宿主細胞または培地から回収することができる。好ましくは、上記宿主細胞は、上記変化したアポタンパク質と複合体を形成することができるエンジイン発色団または他の分子を産生することが可能である。そのような細胞の例としては、放線菌目の生物を産生する種々の抗生物質、特に、アクチノマヅラおよびストレプトミセス等の生物を産生するエンジインが挙げられる。宿主細胞は、大腸菌および酵母などの共通宿主をさらに含む。もちろん、上記変化したアポタンパク質を、アクチノマヅラ種21G792において発現することができる。1つの実施形態では、上記変化したアポタンパク質を宿主細胞において過剰発現する。他の内在性アポタンパク質が宿主細胞に存在する場合、上記変化したアポタンパク質をより高いレベルで発現し、他方のアポタンパク質を過小発現するか、または標識を用いて上記変化したアポタンパク質を発現しそのような精製を容易にする。好ましい実施形態では、上記変化したアポタンパク質をコードする核酸は、相同組み替えにより、内在性アポタンパク質遺伝子と置換される。このようにして、上記変化したアポタンパク質を、エンジインまたは他の分子、例えば、活性剤との複合体において単離し、そのような複合体を、例えば、癌細胞株に対してスクリーニングして、生物活性を決定することができる。
【0043】
さらに他の実施形態では、a)上記変化したアポタンパク質を宿主細胞において発現し、エンジインまたは他の分子と複合化することなく回収し、b)次いで、上記変化したアポタンパク質を各種のエンジインまたは他の分子に曝し、c)基準に合った技術を用いて、アポタンパク質が当該エンジインまたは他の分子と複合体を形成するか否かを決定し、任意で、d)生物活性に関して、当該複合体をスクリーニングする。さらに他の実施形態では、上記変化したアポタンパク質を宿主細胞において発現し、エンジインまたは他の分子と複合化することなく回収し、次いで、上記変化したアポタンパク質を各種のエンジインまたは他の分子に曝し、生物活性に関して、当該複合体をスクリーニングする。
【0044】
他の例では、修飾発色団生合成経路をコードする核酸を発現する。
【0045】
アクチノマヅラ種21G792生合成クラスターから発現されたポリペプチドの機能は、ORF配列と公知のタンパク質および配列モチーフとを比較することにより推定することができる。(表3)
【0046】
【表3−1】

【0047】
【表3−2】

【0048】
【表3−3】

これらの機能に合わせて、アクチノマヅラ種21G792エンジインの合成のために、集中的生合成経路が設けられる。複合体の4つの主要成分(エンジインコア、マヅロサミン、2−ヒドロキシ−3,6−ジメチル安息香酸、および3−(2−クロロ−3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシ−プロパン酸)が個別に産生され、集合的に最終生物活性産物を形成する。
【0049】
3−(2−クロロ−3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−3−ヒドロキシ−プロパン酸部分の生合成。エンジインの3−(2−クロロ−3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−3−ヒドロキシ−プロピオン酸由来部分(図9)を産生するために、まず、チロシンを、orf18の遺伝子産物によりβ−チロシンに変換する。Orf18は、いくつかのヒスチジンおよびフェニルアラニンアンモニアリアーゼと高い類似性を示すが、α−チロシンからβ−チロシンへの変換を触媒するC−1027生合成経路のSgcC4との類似性が最も高い(73%の同一性、84%の類似性)。(Liuら,2002,Science,297,1170−73、Van Lanenら,2005,J.Am.Chem.Soc.,127,11594−5)。次に、β−チロシンを、orf17遺伝子産物のアデニル化(A)ドメインによりアミノアシルアデニレートとして活性化し、隣接するぺプチジルキャリアタンパク質(PCP)上のホスホパンテテイニル補欠分子群のスルフィドリル基に伝達し、β−チロシニル−S−Orf17を形成する。Orf17は、多様な非リボソームペプチドシンテターゼ(NRPS)と類似する。推定されたアミノ酸配列の配列分析に基づいて、Orf17は、3つの機能ドメイン、縮合(C)ドメイン、Aドメイン、およびPCPドメインを含む(図10)。KonzおよびMarahiel,1999,Chem.Biol.,6,R39−R47参照。Aドメインの基質特異性コードをA4Aドメイン構造モチーフとA5Aドメイン構造モチーフ間の領域から抽出し、特異性コードDPCQVMVIAK(表4)を示した。表4はまた、C1027生合成クラスター由来のSgcC1(Challisら,2000,Chem.Biol.7,211−24)およびグラミシジン生合成クラスター由来のGrsA(Stachelhausら,1999,Chem.Biol,6,493−505)の基質および基質特異性コードも示す。
【0050】
【表4】

Orf17は、C−1027生合成クラスター由来のSgcC1に最も類似している(41%の同一性、49%の類似性)。タイプII非リボソームペプチドシンテターゼ(NRPS)をコードするSgcC1は、孤立Aドメインから成る。この酵素のインビトロ特徴解析では、SgcC2(単一のPCPドメインから成るタイプIINPRS)上に載せる前にβ−チロシンを特異的に活性化することが示された。(Van Lanenら,2005)。SgcC1およびOrf17の基質特異性コードの比較により、上記コードが著しく類似しているが明らかである(Orf17のDPCQVMVIAKとSgcCIのDPAQLMLIAK)。両方の酵素が同じ基質を活性化するため、この類似性は意外なことではない。興味深いことに、orf17の終止コドンは、orf18の初めと3bp重複しており、これら2つの遺伝子が翻訳共役している可能性があることを示している。orf18が同時に発現してβ−チロシンを供給することなくorf17が発現することにより、標的とする基質を供給することなくOrf17遺伝子産物が産生されるため、これらの遺伝子の発現を調節することは予想外のことではない。
【0051】
一旦チオエステル結合によりOrf17のPCP上に載せられると、次に、β−チロシニル−S−Orf17は、Orf15によりメチル化され、3−アミノ−3−(4−メトキシ−フェニル)−プロパニル−S−Orf17を生じる。Orf15は、多くのS−アデノシルメチオニン(SAM)依存O−メチルトランスフェラーゼと高い類似性を示し、SAM依存メチルトランスフェラーゼ(モチーフI−VVDVGTFTG、配列番号166;モチーフ2−PAADLVFL、配列番号167;モチーフ3−LLRPGGLLVA、配列番号168)に共通する3つの配列モチーフを有する。KaganおよびClarke,(1994)Arc.Biochem.Biophys.,310,417−427。アクチノマヅラ種21G792エンジインは単一のO−メチル基を有するため、Orf15が、この反応を触媒する可能性が最も高い酵素である。続いて、この酵素につながれた中間体は、Orf39によりヒドロキシル化され、3−アミノ−3−(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−プロパニル−S−Orf17をもたらす。BlastP分析は、Orf39が、フェノール性基質のヒドロキシル化に関与する多くのヒドロキシラーゼに類似するヒドロキシラーゼであることを示す。これは、インビトロで塩素化β−チロシニル−S−PCP中間体をヒドロキシル化することが分かっているC−1027生合成クラスターのSgcCに際立って類似している(73%の同一性、82%の類似性)。(Liuら,2002;Van Lanenら,2005)。ヒドロキシル化に続いて、orf19遺伝子産物が芳香族環のC−2位置を塩素化して、3−アミノ−3−(2−クロロ−3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−プロパニル−S−Orf17をもたらす。Orf19は、二次代謝に関与するいくつかのアルキルハリダーゼと相同であり、最も顕著であるのは、PCP結合β−チロシンの塩素化を行なうことが分かっているC−1027生合成クラスター由来のSgcC3である(58%の同一性、70%の類似性)。(Liuら,2002;Van Lanenら,2005)。
【0052】
アクチノマヅラ種21G792エンジインに組み込まれたβ−チロシン誘導体は、アミノ基の代わりにヒドロキシル基を持つため、酸化的脱アミノ反応により、3−アミノ−3−(2−クロロ−3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−プロパニル−S−Orf17中間体のアミノ基をOrf21と置き換えることが想定できる。BlastP分析により、Orf21がいくつかの推定FADおよびNADPH依存モノオキシゲナーゼ/ヒドロキシラーゼとの類似性を示すことが明らかになり、ドメイン分析により、多くのモノオキシゲナーゼに共通のFAD結合ドメインを含むことが示される。このドメインはアミノ酸オキシダーゼに共通しており、酸化的脱アミノ反応が十分に裏付けされているため、Orf21はこの形質転換を行なう有力な候補である。しかしながら、FADおよびNADPH依存モノオキシゲナーゼ/ヒドロキシラーゼに類似するOrf42を含むこの反応を潜在的に触媒し得る候補が他にもいくつか存在することに留意することが重要である。さらに、P450ヒドロキシラーゼに類似する2つのOrf(Orf25およびOrf27)が生合成クラスターに存在し、P450ヒドロキシラーゼも酸化的脱アミノ反応に関係しているため、これらの酵素のうちの1つもこの工程を触媒する可能性がある。(Liら,2000,J.Bacteriol 182,4087−95)酸化的脱アミノ反応に続いて、Orf21または他の候補酵素のうちの1つにより導入されると思われるケトンの還元が発生する可能性がある。このような反応を触媒できることが最も明白な酵素は、ポリケチド生合成で用いられるものに類似するケトレダクターゼであろう。アクチノマヅラ種21G792エンジイン生合成クラスターの検査では、ケトレダクターゼのような酵素との類似性を示すいかなる酵素も同定されなかった。必要な還元を触媒する可能性がある未知の機能を有するいくつかの酵素がクラスターに存在するか、または酸化的脱アミノ反応の触媒に関与する酵素も還元反応を触媒する可能性がある。あるいは、現在の生合成経路外でコードされた酵素が、予想される還元を触媒し得る。ケト還元に続いて、チロシン誘導体3−(2−クロロ−3−ヒドキシ−4−メトキシ−フェニル)−3−ヒドロキシ−プロパニル−S−Orf17がアクチノマヅラ種21G792エンジイン複合体に組み込まれる。このアクチノマヅラ種21G792エンジインの成分の最終産物への組み込みについては以下で議論する。
【0053】
この合成経路は限定を目的とするものではなく単なる例示である。これをモデルとして用いることで、当業者は、他の多くの合成方式を設計し、アクチノマヅラ種21G792発色団の3−(2−クロロ−3−ヒドキシ−4−メトキシ−フェニル)−3−ヒドロキシ−プロパニル成分またはこの成分の誘導体を産生することができる。
【0054】
マヅロサミン部分の生合成。アクチノマヅラ種21G792エンジイン生合成経路の分析により、マヅロサミン(4−アミノ−4−デオキシ−3−C−メチル−β−リボピラノース)生合成に関与する5つの遺伝子が同定された(図11)。全てのデオキシ糖と同様に、マヅロサミン(MDA)生合成における第1の工程は、グルコース−dNDPシンターゼによるD−グルコース−1−リン酸塩(G−I−P)の活性化である。Trefzerら,1999,Nat.Prod.Rep.16,283−99。いくつかのグルコース−dNDPシンターゼと相同であるOrf43は、G−I−Pの活性化に関与する。これは、GenBankデータベース内のタンパク質に対するOrf43の配列相同性に基づいて、dTDPまたはdUDP−グルコースの形成を触媒すると思われる。
【0055】
次に、dNDP−糖デヒドロゲナーゼと相同性が高い酵素であるOrf37は、第一級アルコールを酸化させ、dNDP−D−グルクロン酸を産生する。次いで、予想されるdNDP−グルクロン酸デカルボイクスラーゼであるOrf38は、dNDP−D−グルクロン酸をdNDP−キシロースに変換する。orf38から増幅された断片をプローブとして用い、マヅロサミンの生合成が4,6−デオキシグルコース中間体を含むdNDP−グルコース−4,6−デヒドラターゼを伴い得るという予測に基づいてアクチノマヅラ種21G792エンジイン生合成クラスターを含む第1のコスミドを同定した(実施例参照)。しかしながら、UDP−グルクロン酸デカルボキシラーゼおよびTDP−グルコース−4,6−デヒドラターゼアミノ酸配列とOrf38の配列の比較では、ことが示される。Deckerらによりグルコース−4,6−デヒドラターゼ遺伝子を増幅するために用いるPCRプライマーの設計に用いられた同類アミノ酸モチーフもOrf38およびグルクロン酸デカルボキシラーゼ配列中に存在する(図12)。(Deckerら,1994,FEMS Micro.Lett.,141,195−201)。結果として、これらのプライマーを用いてグルクロン酸デカルボキシラーゼが増幅されたことは驚くべきことではない。さらに、orf37の終止コドンがorf38の開始コドンと重複しており、これらのorfが翻訳共役している可能性があることに留意されたい。
【0056】
dNDP−グルクロン酸の脱カルボキシル化に続いて、dNDP−D−キシロースのC−3ヒドロキシルが、Orf49によってエピマー化され、dNDP−L−キシロースを産生する。Orf49は、Thermobifida fusca(信託番号AAZ55273.1)由来の未同定タンパク質に最も類似し、その次に最も密接な関係がある同族体は、オビエドマイシンの生合成に関与するStreptomyces antibioticus ATCC 11891由来の推定NDP−糖エピメラーゼであるovmXである(40%の同一性、53%の類似性)。(Lomboら,2004,Chembiochem 5,1181−7)。
【0057】
エピマー化に続いて、orf40の遺伝子産物は、dNDP−L−キシロースの3位炭素をメチル化する。Orf40は、多数のNDP−ヘキソースC−メチルトランスフェラーゼと有意な類似性を示し、多様なSAM依存メチルトランスフェラーゼに共通する3つの配列モチーフ(モチーフ1−IVEIGCNDG、配列番号169;モチーフ2−GPADVLYG、配列番号170;モチーフ3−LLKPDGIFVF、配列番号171)を有する。(KaganおよびClarke,1994,Arc.Biochem.Biophys.,310,417−27)。結果として、Orf40は、このメチル化を行なうと予想される。他のC−メチル化がアクチノマヅラ種21G792エンジインの2−ヒドロキシ−3,6−ジメチル−安息香酸(HDBA)部分の生合成において発生する一方、C−メチルトランスフェラーゼは、そのメチル化(Orf33)を触媒すると予想され、HDBA炭素骨格の生成に関与するポリケチドシンターゼとともに小さなオペロンを形成すると思われ、結果として、Orf40はその形質転換には加わらないと予想される。
【0058】
次に、メチル化dNTP−糖は、C−4がアミノ基転移してdNTP−マヅロサミンを形成する。この反応は、D−forosamineの形成においてデオキシ糖中間体のC−4アミノ基転移を行なうことが分かっているスピノシン生合成クラスター由来のSpnRとの相同性が高い(55%の同一性、68%の類似性)Orf36により触媒されると思われる。(Zhaoら,2005,JACS,127,7692−3)アクチノマヅラ種21G792エンジインのマヅロサミン成分の最終産物への組み込みについては下記で議論する。
【0059】
この合成経路は限定を目的とするものではなく単なる例示である。これをモデルとして用いることで、当業者は、他の多くの合成方式を設計し、アクチノマヅラ種21G792エンジインのMDA成分またはこの成分の誘導体を産生することができる。
【0060】
2−ヒドロキシ−3,6−ジメチル−安息香酸部分の生合成。アクチノマヅラ種21G792エンジインの2−ヒドロキシ−3,6−ジメチル安息香酸(HDBA)成分は、2つの遺伝子産物(繰返し型タイプIポリケチドシンターゼ(PKS)であるOrf32、およびSAM依存C−メチルトランスフェラーゼであるOrf33)により合成される可能性が最も高い(図13)。最近まで、芳香族ポリケチドの生合成についての細菌の理論的枠組みは、繰返し型タイプIIのPKSを必要としていた。(Shenら,2003,Curr.Opin.Chem Biol.7,285−95)アクチノマヅラ種21G792エンジイン生合成クラスターの検査では、タイプIIのPKSと相同する遺伝子の存在は明らかにされなかった。しかしながら、Orf32は、ネオカルチノスタチンのナフトエ酸部分の産生に関与する繰返し型タイプIのPKSであるNcsBに高い類似性を示し(47%の同一性、59%の類似性)、真菌を元にするいくつかの6−メチルサリチル酸シンターゼにも高い類似性を示した。(Liuら,2005,Chem.Biol.,293−302)Orf32は、ケトシンターゼ(KS)、アシルトランスフェラーゼ(AT)、デヒドラターゼ(DH)、ケトレダクターゼ(KR)およびアシルキャリアタンパク質(ACP)を含むタイプIのPKSに共通する5つのドメインから成る。これは、繰返し型デアルボキシラーゼ縮合を行い、その後にC−4の選択的ケト還元および脱水、ならびにC−2のケト還元を行なうことにより、1つのアセチル補酵素A(coA)および3つのマロニルcoAから直鎖テトラケチドの形成を触媒する。次いで、新生テトラケチド中間体は、非酵素分子内アルドール縮合により、環化6−メチルサリチル(6MSA)酸中間体を形成する。
【0061】
その後、orf33の遺伝子産物は、6MSA中間体のC−3位置をメチル化してHDBAを形成する。Orf33は、N−、C−およびO−メチルトランスフェラーゼを含む多様なSAM依存メチルトランスフェラーゼに類似する。その分類に合わせて、Orf33は、多様なSAM依存メチルトランスフェラーゼに共通する3つの配列モチーフを有する(モチーフ1−VLDLGGGDG、配列番号172;モチーフ2−DGCDAILY、配列番号173;モチーフ3−ALPEGGVCVV、配列番号174)。(KaganおよびClarke,1994)生合成クラスターに存在する他のメチルトランスフェラーゼがこの反応を触媒する可能性がある一方、Orf33は、Orf32のすぐ上流に位置し、HDBAの産生に充てられる小さなオペロンの一部であるため、この反応を起こす可能性が最も高い酵素である。PKSから環化ポリケチドを放出には、多くのポリケチドの場合と同様にチオエステラーゼは必要としない。むしろ、それは、6−メチルサリチル酸生合成について報告されているものに似たケテン経路を介して放出される。SpencerおよびJordan,(1992)Biochem.J.,288,839−846。
【0062】
Orf32からの放出に続いて、HDBAが、orf31の遺伝子産物によりアリールアデニレートとして活性化される。Orf31は、多数のアリール酸AMPリガーゼに類似する。これらのタイプの酵素の最も研究された例は、親鉄剤生合成の調査によるものである。多くの親鉄剤の場合、サリチル酸塩または2’、3’−ジヒドロキシベンゾエート等のアリール酸は、親鉄剤の非リボソームペプチドコアのアセンブリにおける第1の工程としてアデニル化される(CrosaおよびWalsh,2002,Microbiol Mol.Biol.Rev.,66,223−49を検討のために参照されたい)。アリール酸をアデニレートとして活性化する他に、これらの酵素はまた、いわゆるアリールキャリアタンパク質(ArCP)のホスホパンテテイニル補欠分子群のスルフィドリル基にアリール酸を伝達する。親鉄剤バシルスバクチン(bacillibactin)の生合成に関与する2’,3’−ジヒドロキシベンゾエート−AMPリガーゼ(DhbE)の結晶構造と、NPRS GrsAアデニル化ドメインおよび蛍ルシフェラーゼを含む他のアデニル化酵素の結晶構造の比較により、アリール酸活性化ドメインがアミノ酸活性化ドメインには存在しない特徴的配列を含むことが明らかになった。(Mayら,2002,PNAS99,12120−5)。DhbEでは、通常アミノ酸活性化ドメイン(YxFDxS)に存在するいわゆるコアA4モチーフが配列モチーフHNYPLSSPGに置き換えられる。アミノ酸活性化ドメインでは、不変Asp残基がアミノ酸基質のα−アミノ基を安定させる一方、アリール酸活性化ドメインでは、Asp残基は、DHBAまたはサリチル酸の2’−ヒドロキシル基と水素結合する同類中性Asnに置き換えられる。(Mayら,2002)。HDBAは2’−ヒドロキシルを有するため、Orf31がアリール酸活性化A4モチーフを有することが予想される。Orf31配列の検査により、アリール酸を活性化する酵素と整合するモチーフHNFPLASPG(配列番号175)が明らかになった(図14)。
【0063】
NRPSアミノ酸活性化ドメイン(Stachelhausら,1999,Chem.Biol.,6,493−505;Challisら,2000,Chem.Biol.7,211−24)に関しては、A4コアモチーフとA5コアモチーフ間の領域からアリール酸活性化ドメインの基質特異性コードを抽出することができる。(Mayら,2002)。表5は、Orf31基質特異性コードと、下記の二次代謝産物の生合成に関与する他のアリール酸活性化ドメインの基質特異性コードの比較を示す:ヴァージニアマイシン(VisB、信託番号BAB83672)、プリスチナマイシン(SnbA、信託番号CAA67140)、ミコバクチン(MbtA、信託番号CAB03759)、エルシニアバクチン(YbtE、信託番号AAC69591)、ピオケリン(PchD、信託番号AAD55799)、ネオカルチノスタチン(NcsB2、信託番号AAM77987)、ビブリオバクチン(VibE、信託番号O07899)、バルニバクチン(Vva1301、信託番号BAC97327)、バシルスバクチン(DhbE、信託番号AAC44632)、およびミクソケリン(MxcE、信託番号AF299336)。GrsAフェニルアラニン活性化アデニル化ドメインに準じて位置番号を付している(Stachelhausら,1999)。2’,3’−ジヒドロキシ安息香酸(DHBA)とサリチル酸の活性化の区別に関与すると提示されている残基をアスタリスクで特定している。Orf31で見られる位置と対応する各位置の残基は、灰色の影を付けている。HPA、3−ヒドロキシピコリン酸。
【0064】
Orf31基質特異性コードと、他のアリール酸活性化酵素および3−ヒドロキシピコリン酸を活性化する2つの酵素のコードの比較により、Orf31がサリチル酸またはHDBAのいずれかを活性化することが示される。(表5)。
【0065】
【表5】

サリチル酸またはHDBAの活性化の後、Orf31は、orf16によりコードされたArCPに付着したホスホパンテテイニル補欠分子群のスルフィドリル基への活性化アリール酸の伝達を触媒する。Orf16は、二次代謝に関与する多くのPCPおよびArCPに類似する(〜30−40%同一)小さなタンパク質(95aa)であり、不変セリン残基(GTFFQLRGQSI;配列番号176)を含む特徴的な4’−ホスホパンテイン付着モチーフを有する。ArCPへの付着の後、下記で議論するように、サリチル酸塩誘導体は、アクチノマヅラ種21G792エンジイン複合体への組み込まれる。
【0066】
この合成経路は限定を目的とするものではなく単なる例示である。これをモデルとして用いることで、当業者は、他の多くの合成方式を設計し、アクチノマヅラ種21G792発色団の2−ヒドロキシ−3,6−ジメチル安息香酸成分またはこの成分の誘導体を産生することができる。
【0067】
エンジインコア生合成。少なくとも14個の遺伝子が、図15に概略を示すアクチノマヅラ種21G792エンジインコア生合成におけるそれらの役割をサポートするように機能することが推定されるアクチノマヅラ種21G792エンジイン生合成クラスター内で同定された。Orf5は、ネオカルチノスタチン(NcsE)、C−1027(SgcE)およびカリケアマイシン(CalE8)の生合成に関与するエンジインPKSとの全体的な配列相同性を示す繰返し型タイプIのPKSをコードする。(Liuら,2005;Liuら,2002;Ahlertら,2002、Science,297,1173−76)。先に同定したエンジインPKSと同様に、Orf5は、6個のドメイン:KS、AT、ACP、KR、DH、およびいわゆる「末端ドメイン」(TD)から成る(図16)。TDは、4’−ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼとの相同性を示す。結果として、TDは、翻訳後にACP活性部位セリンを4’−ホスホバンテテインで修飾することにより、エンジインPKSの自動活性化を触媒すると見られている。(Zazopolousら,2003,Nature Biotech.,21,187−90)。Orf5は、1つのアセチルcoAおよび7つのマロニルcoAから新生直鎖ポリ不飽和ポリケチド中間体を繰り返し産生すると予想される。直鎖中間体は、Orf5から放出され、かつ/または全てのエンジイン生合成クラスターに見られるチオエステラーゼタンパク質群との類似性を示すOrf6により環化されると考えられる。上記参照。このタンパク質群は、シュードモナス種株CBS−3の4−ヒドロキシベンゾイルcoAチオエステラーゼとの相同性に基づいて、チオエステラーゼとして機能すると予測される。上記参照。
【0068】
ポリケチド中間体は、いくつかの遺伝子産物(Orf1−4、7、8、11、12、14)によりさらに処理され、エンジインコアを得る(図15)。これらの遺伝子産物は、エンジイン生合成クラスターでの保存性が高い。Orf5および6の他に、Orf1−4の同族体が現在までに研究されてきた全てのエンジイン生合成経路に見られ(上記参照)、その一方で、Orf7、8、11、12および14の同族体は、9員エンジインC−1027およびネオカルチノスタチン生合成クラスターと共通する(Liuら,2005;Liuら,2002)。Orf1−4、11および14は、機能が公知のいずれのタンパク質とも相同性を有さないが、Orf7、8および12は、各種のオキシドレラクターゼと似ている。興味深いことに、orf11およびorf12と同様に、orf2−8は翻訳共役されていると思われるため(例えば、orf2の終止コドンはorf3の開始コドンと重複し、orf3の終止コドンは開始コドンまたはorf4と重複する、等)、これらの遺伝子の大半の発現は共調整することができる。
【0069】
エンジインコア(図15)は、エンジインコアのC13〜C14エポキシドからの末端アミドの産生に関与していると思われる少なくとも3つの遺伝子産物、Orf30、Orf41およびOrf24によりさらに修飾される。orf30は、予想されるエポキシドヒドロラーゼをコードし、orf41は、アルコールデヒドロゲナーゼをコードし、orf24は、アミノトランスフェラーゼをコードする。その後、完全に修飾されたエンジインコア部分は他の発色団成分で覆われて、活性代謝体を産生する。
【0070】
この合成経路は限定を目的とするものではなく単なる例示である。これをモデルとして用いることで、当業者は、他の多くの合成方式を設計し、アクチノマヅラ種21G792発色団のエンジインコアまたはこの成分の誘導体を産生することができる。
【0071】
アクチノマヅラ種21G792発色団のアセンブリ(図17)。アクチノマヅラ種21G792エンジインの生合成は、分子複合体の個々の成分のアセンブリについて集中的方法を必要とするエンジイン生合成の現在の理論的枠組みに従う。(Liuら,2005;Liuら,2002;Ahlertら,2002)。各成分の産生に続いて、それら成分がエンジインコアに体系的に付着され、最終的に図17において概略を示すような最終分子を得る。エンジインコアの3−(2−クロロ−3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−3−ヒドロキシ−プロパニル部分への付着は、Orf17の縮合ドメインにより触媒されていると思われる。Orf17によるこの反応の触媒作用は、通常NRPSの縮合ドメインに起因する一般的なペプチド結合形成活性と整合する。エーテル結合形成を介して3−(2−クロロ−3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−3−ヒドロキシ−プロパニル部分の芳香族環をエンジインコアに付着するために用いられるメカニズムは不明であるが、C5〜C6エポキシドの開環と同時に起こり、かつ/またはアクチノマヅラ種21G792エンジイン生合成クラスター内に含まれるP450またはモノオキシゲナーゼをコードするorfのうちの1つ以上に関連し得る。マヅロサミン部分は、O−グリコシド結合を介してエンジインコアと結合する。天然物生合成に関与する多様なグリコシルトランスフェラーゼとの配列類似性が高いorf29の遺伝子産物は、この伝達を触媒する。Orf29は、C−1027エンジインコアのグリコシル化を触媒すると考えられているC−1027生合成経路からのSgcA6と最も類似している(43%の同一性、57%の類似性)。(Liuら,2002)。最後に、タイプIのNPRS縮合ドメインであるOrf20は、非リボソームペプチド生合成でのペプチド結合形成に似た反応において、Orf16のホスホパテテインの腕からマヅロサミンのアミノ基にHDBA部分を伝達する。
【0072】
これをモデルとして用いることで、当業者は、他の多くの合成方式を設計し、アクチノマヅラ種21G792発色団またはこの発色団の誘導体を産生することができる。
【0073】
本発明は、アクチノマヅラ種21G792発色団生合成成分を含む新規な生合成経路であって、上記アクチノマヅラ種21G792発色団の変異体が産生されるように1つ以上の成分が突然変異しているか、または異なるエンジイン発色団の生合成経路からの成分で置換もしくは付加されている経路を提供する。標準的な分子遺伝子工学を用いることで、先に示したような個々のorfまたはorfの組み合わせを操作して、アクチノマヅラ種21G792発色団および/または色素タンパク質の新規な生物活性類似体を産生することができる。1つの好ましい実施形態では、新規な発色団は、アクチノマヅラ種21G792アポタンパク質と同時発現する。他の実施形態では、アクチノマヅラ種21G792発色団は、アクチノマヅラ種21G792アポタンパク質の変異体と同時発現する。さらに他の実施形態では、新規な発色団は、アクチノマヅラ種21G792アポタンパク質の変異体と同時発現する。
【0074】
本発明の1つの実施形態では、アクチノマヅラ種21G792におけるorf15の不活性化により、通常は当該分子のβ−チロシニル部分に見られるO−メチルが欠失した類似体が産生される。(例えば、図10参照)この変化により、O−メチルの代わりにヒドロキシル基が残る(下記のR参照)。ヒドロキシル基置換を行なう理由の1つは、標準的な合成化学技術による類似体のさらなる化学誘導体化のための化学的な手かがりとしてそれを用いることである。同様に、orf19によりコードされたハロゲナーゼの不活性化によりPCP結合β−チロシンの塩素化を防ぎ、その結果、アクチノマヅラ種21G79類似体からClがなくなる(下記のR参照)。下記のR基は、通常、CH3であり、dNDP−L−キシロースの3位炭素をメチル化するorf40の産物の不活性化によりHに変化させることができる。
【0075】
【化7】

アクチノマヅラ種21G792発色団のR基は、
【0076】
【化8】

(Rと示す)、ここでRは、アミド窒素で糖部分と連結する。orf32の不活性化により、HDBA部分が欠失したエンジイン類似体が産生され(例えば、図13、17参照)、またはorf20の不活性化の結果、RがNHにより置換される。さらに、R部分は修飾されてもよい。例えば、
【0077】
【化9】

(Rと示す)は、orf33を不活性化することにより得られる。
【0078】
他の実施形態では、orf32は上述のように不活性化され、突然変異体を用いて、HDBA部分が他のアリール酸に置き換えられたアクチノマヅラ種21G792エンジイン類似体のライブラリーを作成する。アリール酸は、orf32突然変異体に各種の天然アリール酸、N−アセチルシステアミン連結アリール酸、またはメチルチオグリコレート等、他のチオエステルキャリアと連結したアリール酸を発酵培養液に与えることにより導入される(例えば、Jacobsenら(1997)Science 277,367−9参照)。アクチノマヅラ種21G792分子複合体への成分の添加に関与する各orfを単独または他のorfと組み合わせて突然変異させて、生物学的テストのための大規模なアクチノマヅラ種21G792エンジイン類似体のライブラリーを作成することができる。
【0079】
よって、本発明は、下記の式を有する化合物を提供する:
【0080】
【化10】

ここで、RはOHまたはOCHであり;RはClまたはHであり;RはCHまたはHであり;RはNH、R、およびRから選択される。さらに、特定の天然アリール酸、N−アセチルシステアミン連結アリール酸、またはメチルチオグリコレート等の他のチオエステルキャリアに連結したアリール酸を付加した発酵培養液内で突然変異体orf32を培養することにより、エンジイン類似体を産生することができ、ここで、Rは、
【0081】
【化11】

または
【0082】
【化12】

であり、
ここで、R1’はH、CH、OH、OCH、Cl、C、またはNOであり;R2’はH、CH、NH、OH、F、OCH、F、Cl、NO、OC、またはNCであり;R3’はH、CH、Cl、CH、NH、OH、F、COH、OCH、Cl、OC、またはNOであり;R4’はOHまたはOCHである。
【0083】
他の実施形態では、異なる二次代謝経路からの1つ以上のorfをアクチノマヅラ種21G792に導入することができる。選択されたorfを、相同組み替えにより、または例えば、ファージのint/attP機能(例えば、pSET152または同様のベクター)により媒介された部位特異的組込により、宿主染色体に導入することができる。あるいは、選択されたorfを自己複製ベクター上に導入することができる。一旦発現すると、遺伝子産物は、アクチノマヅラ種21G792発色団を修飾し続ける。例えば、C−1027生合成遺伝子クラスター由来のsgcA、sgcA1、sgcA2、sgcA3、sgcA4、sgcA5およびsgcA6を、1つ以上のマヅロサミン生合成orfが不活性であるアクチノマヅラ種21G792株に導入し、マヅロサミンの代わりにC−1027デオキシアミノ糖またはその誘導体を含むアクチノマヅラ種21G792エンジイン類似体を産生することが可能である。
【0084】
本発明はまた、アクチノマヅラ種21G792の色素タンパク質生合成クラスターから他の二次代謝産物を産生する微生物に遺伝子を導入して、その生物により産生された同種の二次代謝産物を修飾することを可能にする。例えば、異なるエンジイン発色団(例えば、C−1027発色団)の類似体は、その発色団の生合成経路を発現する宿主であって、アクチノマヅラ種21G792の色素タンパク質生合成経路から1つ以上の成分が置換または付加された宿主を提供することにより産生される。
【0085】
アクチノマヅラ種21G792色素タンパク質の類似体を作る以外に、負の調節因子を不活性化し、正の調節因子の発現レベルまたは遺伝子コピー数を増加することにより発酵タイターを増加することもできる。アクチノマヅラ種21G792生合成クラスターは、GenBankデータベースに含まれる配列との相同性に基づいて推定転写調節因子と同定された少なくとも8個のorf(orf9、10、46、50、52、55、62および63)を含む。これらの調節因子の機能を体系的にテストして、どの調節因子が正の調節因子であり、どれが負の調節因子であるかを特定することができる。それらの結果に基づいて、これらの遺伝子のうちの1つ以上を合理的に変形し、アクチノマヅラ種21G792色素タンパク質の発酵タイターを増加することができる。
【0086】
典型的には、有毒な二次代謝産物を産生する生物は、当該産生する生物に自己耐性を与える1つ以上の遺伝子を有する。これらの遺伝子の産物は、通常、有毒な代謝体を化学的に修飾、隔離または輸送することにより耐性を与える。いくつかの場合には、上記代謝体の標的は、本質的に、当該代謝体に対する感受性が低いか、または当該標的を修飾して当該代謝体に対する感受性を低くする。アクチノマヅラ種21G792生合成クラスターは、自己耐性に関与している可能性がある遺伝子産物を産生する少なくとも2つのorfを含む。アクチノマヅラ種21G792複合体のアポタンパク質成分をコードするorf23は、活性発色団を隔離することにより上記産生する生物のDNAを発色団による開裂から保護することに関与していると思われる。orf22の遺伝子産物は、多くの膜貫通排出タンパク質と同様のタンパク質をコードし、C−1027発色団−アポタンパク質複合体の排出ポンプとして作用すると考えられているC−1027生合成経路からのSgcBに最も類似する(Liuら(2005)Chem.Biol.,293−302)。orf22およびorf23を用いることにより、アクチノマヅラ種21G792色素タンパク質に潜在的に耐性を与えることができる。1つの実施形態では、アクチノマヅラ種21G792生合成経路を異種発現するように選択された細胞にこれらのorfを導入することにより、その細胞が高度なアクチノマヅラ種21G792色素タンパク質を産生することを可能にする一方、その有毒作用に対する免疫を有するようにすることができる。他の実施形態では、アクチノマヅラ種21G792の生体内転換のために選択されたドナー細胞にこれらのorfを導入することができる。そのような細胞は、それ以外の場合では、アクチノマヅラ種21G792の極度の毒性により生体内転換が発生する前に殺傷される。
【0087】
アクチノマヅラ種21G792生合成クラスター全体、または選択された部分は、細菌等の異種宿主中で発現することができる。有用な細菌の例としては、例えば、ストレプトミセス属、アクチノマヅラ属、Nonomurea属、ミクロモノスポラ属、エシェリキア属、およびシュードモナス属のメンバーが挙げられる。(例えば、Pfeiferら,2001;Martinezら,2004参照)上記生合成クラスターはまた、酵母等の真核宿主中でも異種発現することができる。1つの実施形態では、上記アクチノマヅラ種21G792生合成クラスターは、高度な二次代謝産物の産生のためにすでに修飾された生物中で有利に発現されることにより、アクチノマヅラ種21G792色素タンパク質の産生レベルを、アクチノマヅラ種21G792を用いて通常達成することができるレベルよりも上げることができる。(例えば、Rodriguezら,2003,J.Ind.Microbiol.Biotechnol.30,480−8参照)。他の実施形態では、アクチノマヅラ種21G792色素タンパク質類似体の生成を促進するために、上記アクチノマヅラ種21G792生合成クラスターは、特に遺伝子操作を受けやすい生物中で有利に発現される(例えば、Bentleyら,2002,Nature 417,141−7;Binnieら,1997,Trends Biotechnol.15,315−20参照)。
【0088】
上記アクチノマヅラ種21G792色素タンパク質生合成経路の全てまたは一部をコードする組換えDNAを伝達するために有用な各種方法が当該分野で公知である。種々の宿主においてそのようなDNAを伝達および発現するために用いることができる広範な宿主域を有するプラスミドが入手可能である(例えば、ストレプトミセス用のpIJ101(Kieserら,1982、Mol.Gen.Genet.185:223−8)、アクチノミセス用のpJRD215(Yeungら,1994,J.Bacteriol.176:4173−6))。そのようなベクターを伝達するための方法には、共役、電気穿孔法およびプロトプラスト形質転換が含まれる。大腸菌中での複製および大腸菌からストレプトミセス等のグラム陽性細菌種への接合伝達が可能なシャトルベクターも用いることができる(例えば、Mazodierら,1989,J.Bacteriol.171:3583−5;Kieserら,2000,Practical Streptomyces genetics.A laboratory manual.John Iines Foundation,Norwich,United Kingdom)。
【0089】
色素タンパク質を含む医薬組成物であって、当該色素タンパク質が本発明のアポタンパク質および発色団の複合体を含み、好ましくは、当該発色団がアクチノマヅラ種21G792により産生される医薬組成物を調整することが望ましい場合がある。好ましくは、上記ポリペプチドは、非共有結合により発色団に付着する。一般に、医薬組成物の調整には、本質的にピロゲンおよびヒトまたは動物に有害な任意の他の不純物を有さない医薬組成物の調整を伴う。適切なバッファを用いて複合体を安定にし、標的細胞による取り込みを許容することも望ましい場合がある。
【0090】
本発明の水性組成物は、医薬的に許容可能なキャリアまたは水培地中でさらに分散した上記色素タンパク質を有効量含む。このような組成物は植菌とも呼ばれる。「医薬的または薬理学的に許容可能」という文言は、動物またはヒトに適切に投与した際に、副作用、アレルギーまたは他の有害反応を生じない組成物を指す。
【0091】
本明細書中において用いる「医薬的に許容可能なキャリア」は、任意および全ての溶剤、分散培地、被覆剤、抗菌および抗真菌剤、等張剤、ならびに吸収遅延剤等を含む。医薬活性物質に対するそのような培地および薬剤の使用は当該分野で周知である。任意の従来の培地または薬剤が上記色素タンパク質に適さない場合を除いて、治療用組成物にいてそれを用いることが企図される。抗菌または抗腫瘍薬剤を含む補助的な活性成分も上記組成物に組み込んでもよい。
【0092】
本発明の1つの実施形態では、本発明の発色団は、細胞により、例えば、飲作用によって取り込まれる。他の実施形態では、上記発色団は、特定の細胞または細胞タイプの標的となるように修飾される。そのような1つの実施形態では、色素タンパク質を、モノクローナル抗体または他のタンパク性キャリアを標的構成単位として用いるポリマーまたは複合体の形態で、標的組織に届けてもよい。各種のポリマー系および抗体複合体送達システムが公知であり、自然発生的なC−1027エンジインを伴う化学療法方針において現在利用されている。本発明では、上記色素タンパク質を、例えば、科学的に修飾して、治療、特には、化学療法に有用なポリ(スチレン−co−マレイン酸)−接合色素タンパク質を形成してもよい。(例えば、MaedaおよびKonno,1997,Neocarzinostatin:the Past,Present,and Future of an Anticancer Drug,H.Maeda,K.Edo,N.Ishida,Eds.,Springer−Verlag,New York,pp.227−267参照)。
【0093】
疎水性および親水性セグメントの両方を含むポリマーミセルは、化学療法薬剤の治療指数を増大するために最近開発された新たな薬物送達システムである(Yokoyamaら,1990,Cancer Res.50:1693−700;Kabanovら,1989,FEBS Lett.258:343−5)。ミセルの大きさを調節して浸透性および保持(EPF)効果を向上させることで、ミセル粒子が正常な組織においてよりも腫瘍組織においてより血管に浸透できるようにすることができる(Maeda,2001,Adv Enzyme Regul.41:189−207)。これにより、腫瘍組織における薬物分布を有利なものにすることができるため、インビボでの有効性が増大すると期待される。上記21G792色素タンパク質をブロック共重合体溶液と混合することにより、特別に設計されたミセルに非共有結合的に組み込むことができる。結果得られた薬物の代謝的安定性を有意に増大させることができ(Yokoyamaら,1991,Cancer Res.51:3229−36)、これは、癌化学療法における21G792色素タンパク質の送達に潜在的に有利である。
【0094】
上記色素タンパク質(すなわち、アポタンパク質または発色団)は、細胞または病原体への送達のために、化学的リンカーまたは他の関連する方法を用いて、タンパク質に接合することができる。21G792色素タンパク質中の発色団をアジ化ナトリウムおよび第2級アミンと反応させて一連の誘導体を生じている。これらの誘導体は、C−5に、天然の発色団中のヒドロキシル基と置き換わるアジドまたは第2級アミノ基を含む。一方の末端にアミノ基を有し、他端にカルボキシル基を有するリンカーを用いてモノクローナル抗体および発色団を接続し、標的薬物の送達のための発色団−抗体複合体を形成することができる。上記C−5ヒドロキシル基と置き換わるリンカーのアミノ基は、腫瘍組織においてより酸性度が高い条件下で上記複合体を加水分解して発色団に戻すように設計される。例示的な連結を図30に示す。
【0095】
また、上記色素タンパク質をモノクローナル抗体と接合して、モノクローナル抗体(MAb)−色素タンパク質複合体を形成してもよい。抗原に対して高い親和性を有し、好ましくは悪性細胞の表面の抗原決定基に対する特異性を有するする抗体は、標的部分として自然な選択である。抗体により媒介される色素タンパク質の腫瘍細胞への特異的送達は、それらの抗腫瘍効果を単に増大させるだけでなく、正常な組織による標的以外の取り込みを防ぐことにより、治療指数を増大させることが期待される。本発明において用いられ得るそのような抗体キャリアの例としては、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、それらの生物学的に活性な断片、およびそれらの遺伝子または酵素が操作された対応物が挙げられる。好ましくは、そのような抗体は、癌等の増殖性疾患における標的細胞および/または組織上で発現された細胞表面抗原に向けられる。抗CD33モノクローナル抗体は、このアプローチに有用なMabの例示であり、急性骨髄性白血病の患者の状況を含む様々な状況において、色素タンパク質を癌性組織に到達させ得る。(例えば、Sieversら,1999,Blood 93,3678−84参照)有用なモノクローナル抗体複合体の他の例としては、例えば、抗CD22モノクローナルタンパク質がB細胞リンパ腫を標的とする送達のためにエンジインと接合されるPCT公報WO03/029623に記載のものが挙げられる。前述したように、いくつかのMAb−C−1027複合体は、有望な抗癌剤として評価段階にある。(Brukner,2000,Curr.Opinion Oncologic,Endocrine&Met.Invest.Drugs 2,344)。抗体キャリア以外の他のタンパク性キャリアは、ホルモン、成長因子、抗体の模倣体、およびそれらの遺伝子または酵素が操作された対応物を含み、以下において単独でまたはまとめて「キャリア」と呼ぶ。キャリアの本質的特性は、その不要な細胞に関連する抗原または受容体を認識して結合した後に内在化する能力である。本発明に適用可能なキャリアの例としては、本明細書中においてその全てを参考として援用する米国特許第5,053,394号に開示されるものが挙げられる。本発明での使用が好ましいキャリアは、抗体および抗体の模倣体である。
【0096】
多数の非免疫グロブリンタンパク質の骨組みが、抗体の特異性を有する抗原エピトープに結合する抗体の模倣体を生成するために用いられている。(PCT公報WO00/34784)。例えば、免疫グロブリン群に関連する「ミニボディ」骨組みが、3つのβ鎖をモノクローナル抗体の重鎖可変ドメインから取り除くことにより設計されている(Tramontanoら,1994,J.Mol.Recognit.7:9−24)。このタンパク質は61個の残基を含み、2つの超可変ループを提示するために用いることができる。これら2つのループはランダム化され、抗原結合のために選ばれた産物であるが、今までのところ、この枠組みは、溶解性の問題のため実用性が幾分限られていると思われる。ループを表示するために用いられる他の枠組みは、テンダミスタット(哺乳動物のα−アミラーゼを特異的に阻害し、2つのジスルフィド結合により、74残基6鎖ベータシートサンドイッチをまとめて保持したタンパク質)である(McConnellおよびHoess,1995,J.Mol.Biol.250:460−70)。この骨組みは、3つのループを含むが、ランダム化の可能性に関しては、現在まで、それらのループのうちの2つについてしか検査していない。
【0097】
他のタンパク質を枠組みとしてテストし、αへリックス表面上のランダム化した残基(Nordら,1997,Nat.Biotechnol.15,112−1;Nordら,1995,Protein Eng.8,601−8)、アルファイルへリックス束内のαへリックス間のループ(KuおよびSchultz,1995,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92,6552−6)、および小型のプロテアーゼ阻害剤等のジスルフィド架橋により拘束されたループ(Marklandら,1996,Biochemistry 35,8045−57;Marklandら,1996,Biochemistry 35,8058−67;RottgenおよびCollins,1995,Gene 164,243−50;Wangら,1995,J.Biol.Chem.270,12250−6)を表示するために用いられている。
【0098】
標的分子および色素タンパク質は、化学的架橋によってまたは組換えDNA技術の適用等による遺伝子融合を介して共有結合的に関連づけられてもよい。後者のアプローチでは、アポタンパク質は、そのC末端またはN末端を、細胞を標的とするタンパク質分子のN末端またはC末端に融合させてもよい。細胞を標的とする分子が抗体である場合、アポタンパク質のC末端は、当該抗体の軽鎖および/または重鎖のN末端と融合させることが好ましい。化学的架橋のために、いくつかの共通タンパク質−抗体リンカーは、こはく酸エステルと他のジカルボン酸、グルタルアルデヒドと他のジアルデヒドである。そのようなリンカーは他にも当該分野で周知である。
【0099】
治療用組成物の溶液を界面活性剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)と適切に混合した水で調製してもよい。また、分散物をグリセロール、ポリエチレングリコール液、それらの混合物、およびオイルで調製してもよい。通常の保存および使用条件下では、これらの調製物は、微生物の成長を防ぐために防腐剤を含む。
【0100】
本発明の治療用組成物は、溶液または懸濁液のいずれかの注入可能な組成形態で有利に投与される;また、注入の前に液体で溶解または懸濁するために適した固形を調製してもよい。これらの調製物はまた乳化してもよい。このような目的のための典型的な組成物は、医薬的に許容可能なキャリアを含む。例えば、この組成物は、リン酸塩緩衝食塩水1ミリリットルにつき、10mg、25mg、50mgまたは最大で約100mgのヒト 血清アルブミンを含んでもよい。他の医薬的に許容可能なキャリアは、水性溶液、塩を含む非毒性賦形剤、防腐剤、緩衝剤等を含む。
【0101】
非水性溶剤の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物性油脂、およびオレイン酸エチル等の注入可能な有機エステルがある。水性キャリアは、水、アルコール/水性溶液、食塩水、ナトリウム塩化物等の非経口剤、リンゲルデキストロース等を含む。静脈内投与剤は、流体および栄養補充剤を含む。防腐剤は、抗菌剤、酸化防止剤、キレート剤および不活性ガスを含む。上記医薬組成物の各種成分のpHおよび正確な濃度は、周知のパラメータに応じて調節される。
【0102】
経口投与にはさらなる製剤が適切である。経口製剤は、例えば、医薬品グレードのマン二トール、ラクトース、でんぷん、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、セルロース、炭酸マグネシウム等の典型的な賦形剤を含む。上記組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸薬、カプセル、徐放性製剤または粉末の形態を取る。ルートが局所的である場合、上記形態はクリーム、軟膏、油薬またはスプレーであってもよい。
【0103】
本発明の治療用組成物は、伝統的な医薬調製物を含んでもよい。本発明に従った治療用組成物の投与は、そのルートが標的組織にとって有効である限り、任意の一般的ルートを介して行なわれる。これは、経口投与、経鼻投与、口腔投与、直腸投与、膣内投与または局所投与を含む。局所投与は、化学療法により誘発された脱毛症または他の皮膚過剰増殖性疾患を防ぐ皮膚癌の治療に特に有利である。あるいは、投与は、同所性、皮内、皮下、筋内、腹腔内または静脈注射である。このような組成物は、通常、生理学的に許容可能キャリア、緩衝剤または他の賦形剤を含む医薬的に許容可能な組成物として投与される。肺疾患の治療については、上記好ましいルートは、エアロゾールによる肺への送達である。エアロゾールの量は、約0.01mlと0.5mlの間である。同様に、結腸関連の疾患の治療に好ましい方法は浣腸である。浣腸の量は、約1mlと100mlの間である。
【0104】
上記治療用組成物の有効量は、意図する目的に基づいて決定される。「単位用量」または「投与量」という用語は、被検者における使用に適した物理的に個別の単位を意味し、各単位は、その投与、すなわち、適切なルートおよび治療計画に関して上述したような所望の応答を生じるように算出された所定量の治療用組成物を含む。治療回数および単位用量の両方に応じた投与量は、保護が所望されるものに依存する。
【0105】
また、上記治療用組成物の正確な量も施術者の判断に依存し、各個人に特有のものである。用量に影響する要因は、患者の物理的および臨床状態、投与ルート、意図する治療の目的(症状の緩和対治癒)ならびに特定の治療用物質の効力、安定度および毒性を含む。
【実施例】
【0106】
当業者は本明細書中において開示する本発明の原理に改変を行なうことが可能であることが理解および予期されるとともに、そのような修正が本発明の範囲内含まれるものであることが企図される。
【0107】
以下に示す本発明の実施例は、本発明をさらに例示するものであり、あらゆる点においても本発明を限定するものとして解釈されるものではない。
【0108】
(色素タンパク質およびアポタンパク質の単離および特徴付け)
(実施例1 アクチノマヅラ種21G792色素タンパク質の単離および精製)
アクチノマヅラ種21G792を、ATCC培地172(デキストロース1%、可溶性でんぷん2%、酵母エキス0.5%、およびN−ZアミンタイプA0.5%、CaCO0.1% pH7.3)において72時間成長させた細胞から調製された冷凍全細胞(冷凍栄養菌糸、FVM)として保存した。グリセロールを20%添加し、上記細胞を−150℃で冷凍した。
【0109】
pHが6.9の種培地(1.0%デキストロース;2.0%可溶性でんぷん;0.5%酵母エキス;0.5%N−ZアミンタイプA(Sheffield);および0.1%CaCOを含む)を調製した。25mm×150mmのガラス培養試験管、7mlの種培地および2つのガラスビーズに、ATCC寒天培地#172(ATCC Media Handbook,1st edition,1984)上で培養したアクチノマヅラ種21G792の細胞を植菌した。寒天培養培地からの十分な接種材料を用いて、72時間成長させた後に混濁種を得た。2インチ長のジャイロロータリーシェイカーを用いて、第1種試験管を、28℃、250rpmで72時間インキュベートした。次いで、第1種(〜14%接種材料)を用いて、50mlの培地#172を含む250ml三角フラスコに植菌した。ジャイロロータリーシェイカー(2”ストローク)を用いて、これら第2種フラスコを、28℃、250rpmで48時間インキュベートした。
【0110】
pHが6.9の発酵産生培地(2.0%サッカロース;0.5%糖蜜;0.5%CaCO;0.2%ペプトン;0.002%硫酸マグネシウム−7HO;0.001%硫酸鉄−7H0;0.05%臭化ナトリウム;および0.2%酢酸ナトリウムを含む)を調製した。60個の250ml三角フラスコをそれぞれ50mlの発酵産生培地を用いて調製し、2ml(4.0%)の第2種発酵培地を用いて植菌し、ジャイロロータリーシェイカー(2”ストローク)を用いて、28℃、250rpmでインキュベートした。次いで、記載したような発酵をおよそ72〜96時間続けて、さらなる処理のために回収した。
【0111】
一体化した全培養液(60×50ml)を、3800rpmで30分間遠心分離機にかけた。次いで、上澄み液を凍結乾燥し、残留粉末を少量(例えば、300ml)のHOで懸濁した。次いで、その褐色の溶液を、遠心分離時に暗所で4℃のHOに6LのセファデックスG75を含むガラスカラムに入れた。40mlの画分を各々集めて、生化学誘導アッセイ(BIA)でテストした。次いで、最も濃い画分を組み合わせて(15画分、全部で600ml)、凍結乾燥した。次いで、その灰色の粉末をHO(4ml)で溶かし、HPLCによって、一方がアポタンパク質に対応し、他方が色素タンパク質に対応する2つの主要なピークに分解した。
【0112】
上記溶液を、TosoHaas DEAE 5PWカラム(粒径13um、大きさ21.5mm×15cm)上で、4ml/分の流量の緩衝系(30分間一定の0.05MのTris−HClを用いた0〜0.5Mの直線勾配NaCl)を用いて調製HPLCクロマトグラフィにかけた。アポタンパク質および色素タンパク質のそれぞれのピークを集め、Pierce社の透析用カセット(7000MWCO)を用いて脱塩し、凍結乾燥した。次いで、結果得られたアポタンパク質および色素タンパク質の粉末を同じ調製HPLC条件で再純化、脱塩、および凍結乾燥した。色素タンパク質(灰色の粉末、10.5mg)およびアポタンパク質(白色の粉末、19.8mg)の最終産物を分析HPLCにより分析した(それぞれ図1および図3)。色素タンパク質およびアポタンパク質の紫外線吸収(UV)スペクトルを図2および図4に示す。
【0113】
アポタンパク質の分子量は、MALDI−MSにより12.92409kDaと判定された。MALDIスベクトルを図5に示す。
【0114】
(実施例2 アクチノマヅラ種21G792アポタンパク質のDNA単離および配列決定)
Hopwoodら(1985),Genetic manipulations of Streptomyces.A Laboratory Manual.Norwich: John Innes Foundationに記載の手順を変更して、ゲノムDNAをアクチノマヅラ種21G792から単離した。10mlのMYM培地(4g/lマルトース、4g/l酵母エキス、10g/l麦芽エキス、pH7.0)および2〜6mmガラスビーズを含む25mm×150mmの種試験管に、およそ1mlの冷凍ミセリアグリセロールストックを植菌した。この培養物を28℃、200rpmで5日間培養した。次いで、これらの細胞を3000xgで10分間遠心分離によりぺレット化した。この上澄み液を捨てて、ペレットを5mg/mlリゾチームおよび0.1mg/mlリボヌクレアーゼを含む300μlのT50−E20(Tris50mM−EDTA−20mM)で懸濁し、37℃で1時間、15分毎に軽く混ぜながらインキュベートした。次いで、50μlの10%SDSを加え、その試料を完全に混合した。次に、85μlの5mM NaClを加え、その試料を再度完全に混合した。次いで、この試料を、400μlフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール(50/49/1)を用いて抽出した。試料を完全にボルテックスした後、10,000xgで20分間室温で遠心分離機にかけた。遠心分離に続いて、水相を除去し、新たな微小遠心管に入れた。等容積の室温イソプロパノールを試料に加え、反転により完全に混合した。この試料を室温で5分間放置した。次いで、この試料を12,000xgで30分間4℃で遠心分離機にかけた。イソプロパノールを試験管から丁寧に注ぎ出し、DNAペレットを1mlの低温70%エタノールですすいだ。氷上に5分間放置した後、その70%エタノールを試験管から注ぎ出し、DNAを10分間空気乾燥させた。DNAを0.3mlの滅菌水に溶かした。DNAの完全性および濃度をアガロースゲル電気泳動で評価した。
【0115】
大腸菌;プラスミドおよび小規模コスミドDNA調製:Qiaprep Spin MiniPrep Kit(Qiagen Inc,Valencia,CA,USA)を製造者仕様書に従って用いてプラスミドDNAおよび小規模コスミドDNA調製を行なった。コスミド:Qiagen Large Construct Kit(Qiagen Inc,Valencia,CA,USA)を製造者の仕様書に従って用いてコスミドDNAを単離した。
【0116】
pWEB Cosmid Cloning Kit(Epicentre Technologies,Madison,WI,USA)を製造者仕様書に従って用いてアクチノマヅラ種21G792ゲノムライブラリーを構築した。一般的なライブラリー構築手順は以下の通りである。10μgのゲノムDNAをHamilton HPLC/GC注射器に通して、30〜45kbの断片にランダムに分断した。分断に続いて、上記キットに含まれる末端処理酵素混合液を用いて、断片化したDNAの末端を処理し、末端が平滑な断片を作った。次いで、直鎖T7 DNA(〜40Kb)を用いて1%低融点アガロースゲルで、分子量マーカーとして機能するように、分断および末端処理したDNAを分離した。このT7 DNAとほぼ大きさが等しいゲノムDNAをゲルから切り取り、そのDNAをアガロースから溶離した。次いで、その精製したDNAをpWEBベクターに連結した。連結に続いて、pWEBコスミドクローニングキットに同梱されるMaxPlax Lambda Packaging Extractsを用いて、その連結挿入DNAをラムダファージ粒子に詰めた。次いで、このファージエキスのタイター測定を行ない、1ミリリッター毎のコロニー形成単位を判定した。ファージエキスのタイター判定時に、適量のエキスを用いて宿主細胞に大腸菌EPI100を感染させ、その感染した細胞を、50μg/mlのカナマイシンを含むDifco Luria寒天プレートに載せて、1プレートにつきおよそ200コロニーの細胞密度を得た。
【0117】
ライブラリースクリーニング方針および方法;dNDP−グルコース−4,6−デヒドラターゼプローブの生成。一般に、特定の抗生物質産生する必要がある遺伝子は、産生生物のゲノムでクラスター化される。さらに、アポタンパク質遺伝子を対応する発色団の生合成経路に含まれるタンパク質をコードする遺伝子でクラスタ化する必要がある(Liuら,2002,Science 297:1170−3)。アクチノマヅラ種21G792により産生された発色団は、エンジインコアに付着するアミノ糖4−アミノ−4−デオキシ−3−C−メチル−β−リボピラノースを含む。dNDP−D−グルコース−4,6−デヒドラターゼ(DH)は、この糖の生合成の一工程を触媒すると予期されるため、DHプローブを用いて生合成クラスターを単離した。
【0118】
DHプローブを生成するために、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて、アクチノマヅラ種21G792のゲノムDNA由来のDH遺伝子断片を増幅した。予想される〜500bpのDH遺伝子断片(デヒドラ1:5’−CSGGSGSSGCSGGSTTCATSGG(配列番号152)およびデヒドラ2:5’−GGGWRCTGGYRSGGSCCGTAGTTG(配列番号153))のためのプライマーは、Deckerら,1996,FEMS Microbiol.Lett.141,195−201に記載のものと同一であった。JumpStart REDTaq Ready Mix PCR Reaction Mix(Sigma−Aldrich Corp,St.Louis,MO)を製造者の仕様書に従って用いてPCRを実施した。これらのプライマーは、0.5μMの最終濃度で用いた。PCRは、Biometra T gradient thermocyclerで行なった。開始変性温度は、4分間96℃であった。その後の30サイクルは次の通りであった:変性温度96℃(45秒)、アニーリング温度66℃(45秒)、延伸温度72℃(3分)。最後に、最終延伸温度は10分間72℃であった。
【0119】
TOPO TA Cloning Kit(Invitrogen Corp,Carlsbad,CA)を製造者が推奨するとおりに用いて、〜500bpの単位複製配列をpCR2.1にクローン化した。クローニング反応物の一部(2.5μl)を用いて大腸菌TOP10細胞(Invitrogen Corp,Carlsbad,CA)を変換し、その後、組換えクローンのブルー/ホワイトスクリーニングを容易にするために、それらを50μg/mlのカナマイシン、40μg/mlのX−gal、および0.2mMのIPTGを含むDifco Luria Agar上に置いた。20個のホワイトコロニーを採取して、それらのプラスミドDNAを単離した。これらのクローンの配列決定により、2つの異なるDH遺伝子断片がクローン化されたことが明らかになった。推定されるアミノ酸配列のの比較により、1つのDH断片(プラスミドp34598に含まれる)がカリケアマイシン生合成に関与するDHに最も類似していることが明らかになった。カリケアマイシン構造は2つのアミノ糖を含むため、p34598に含まれるDH断片もアミノ糖の産生に関与している可能性があり、そのため、色素タンパク質遺伝子クラスターのプローブとして選ばれたと予測した。
【0120】
コロニーハイブリダイゼーション:p34598DH断片を用いたコロニーハイブリダイゼーションで、アクチノマヅラ種21G792ゲノムライブラリーをスクリーニングした。SambrookおよびRussell(2001)、Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press(3rd ed.)記載されるように、組換えコロニーDNAをNytran SuPerChargeナイロン膜ディスク(Schleicher&Schuell BioScience,Inc.,Keene,NH)に移した。PCRおよびプライマー(デヒドラ1およびデヒドラ2)を用いてp34598の挿入部分を増幅してDHプローブを調製した。この増幅されたPCR産物をアガロースゲル電気泳動により分離し、530bp断片をアガロースから単離した。次いで、Megaprime DNA Labelingキットを製造者の仕様書(Amersham Bioscience,Piscataway,NJ)に従って用いて、この断片を[α−32P]dCTP(3000Ci/mmol Amersham Bioscience,Piscataway、NJ)で標識した。DNA試料が固定されたナイロン膜を6X SSCで洗浄し、次いで、予め温めた(65℃)プリハイブリダイゼーション溶液(6X SSC/5Xデンハート試薬/0.5%(w/v)SDおよび100μg/mlの変性分断ニシン精子DNA)を入れたハイブリダイゼーションボトルに入れ、2時間「プレハイブリダイズ」した。次いで、変性プローブを加え、65℃で一晩ハイブリダイゼーションを続けた。翌日、上記膜を、一度、予め温めた(65℃)2X SSC/0.1%SDS(洗浄液1)を用いて1時間洗浄し、さらに、もう一度、予め温めた(65℃)1X SSC/0.1%SDS(洗浄液2)を用いて1時間洗浄した。次いで、このナイロン膜をサランラップに包み、Kodak X−omat AR フィルムに4時間露光した。この露光したフィルムを、Kodak X−omat 2000Aプロセッサーを用いて現像した。22個のコロニーがプローブにハイブリダイズしたことが分かった。これらのコロニーを採取して、50μg/mlのカナマイシンを含むDifco Luria培養液で培養した。この培養物からコスミドDNAを精製し、Not Iで切断した。制限消化物をアガロースゲル電気泳動により分離し、SambrookおよびRusse11(2001)に記載されるように、DNAをNytran SuPerChargeナイロン膜に移した。コロニーハイブリダイゼーションで用いた条件と同じ条件で、p34598挿入部分を再度プローブとして用いてこの膜を調べた。9個のコスミドがプローブに確実にハイブリダイズした。このプローブとハイブリダイズしたコスミドおよび適切な大きさの断片は次の通りであった:21gB:15〜20kb,21gC:15〜20kb,21gD:8〜12kb,21gF:15〜20kb,21gG:3〜4kb,21gI:1.2〜2.5kb,21gK:15〜20kb,21gL:2.5〜3kb,21gV:2〜2.5kb。
【0121】
アポタンパク質特異的オリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーション:エドマンタンパク質配列決定法を用いて、アポタンパク質の最初の38個のアミノ酸残基(N末端DTVTVNYDDVGYPSDIAVTIDAPATAGVGDTATFEVSV(配列番号154))を決定した。どのコスミドがアポタンパク質遺伝子配列を含むのかを確実に特定するために、アポタンパク質N末端の38個のアミノ酸(aa)配列の4〜12番目の残基に基づく変質オリゴヌクレオチドをプローブとして用いてハイブリダイゼーション実験を行なった。詳細には、このオリゴヌクレオチドの配列は、5’−ACSGTSAACTACGACGACGTSGGNTAC(配列番号155)であった。
【0122】
DHプローブにハイブリダイズしたコスミドをNot Iで消化し、Nytran SuPerChargeナイロン膜に移した。KinaseMax 5’End−Labeling Kitを製造者(Ambion Inc.,Austin,TX)の推奨するとおりに用いて、このオリゴヌクレオチドの末端を[γ−32P]dATP(6000Ci/mmol;Amersham Bioscience,Piscataway,NJ)で標識した。製造者の使用説明書(Ambion Inc.,Austin,TX)に従ってNucAway Spin Column Kitを用いて、組み込まれなかった放射性ヌクレオチドを除去した。6X SSC、5Xデンハート試薬、0.05%ピロリン酸ナトリウム、0.5%SDS、および100μg/mlの分断変性サケ精子DNAを含む溶液内で、DNAを載せたナイロン膜を3時間50℃で「プレハイブリダイズ」した。この工程に続いて、プレハイブリダイゼーション溶液を、6X SSC、0.5%リン酸ナトリウム、1Xデンハート試薬、および100μg/ml酵母tRNAを含む7mlの予め温めた(50℃)ハイブリダイゼーション溶液と取り替えた。この溶液に上記標識したプローブを加え、ハイブリダイゼーション液を50℃で22時間インキュベートした。次に、そのハイブリダイゼーション溶液を捨て、上記膜を20mlの室温TMACL洗浄緩衝剤(3M TMACL、50mM Tris、0.2%SDS)で軽くすすいだ。次いで、さらに50mlの予め温めた(67℃)TMACL洗浄緩衝剤を用いて55分間67℃で洗浄した。仕上げの洗浄として、50mlの予め温めた(50℃)洗浄液1を用いて10分間50℃で上記膜を洗浄した。次いで、この膜をサランラップに包み、Kodak X−omat ARフィルムに24時間露光した。
【0123】
コスミド21gD、21gGおよび21gKがプローブにハイブリダイズした。21gDおよび21gKのDNAを含むレーンで〜4.5kbの信号を観察する一方、21gGのDNAを含むレーンで、〜5.2kbの信号を観察した。このハイブリダイゼーションの結果を確認するために、21gDコスミドDNAをアポタンパク質の98bp断片を増幅するように設計されたテンプレートおよび変質PCRプライマーとして用いて、PCRを行なった。PCRプライマーCP−FWD3(5’−ACSGTSAAYTAYGAYGAYGT;配列番号156)およびCP−REV4(5’−ACYTCRAASGTSGCSGTRTC;配列番号157)は、アポタンパク質の36aa配列から推定された逆方向翻訳DNA配列を用いて設計されている。JumpStart REDTaq Ready Mix PCR ReactionMix(Sigma−Aldrich Corp,St.Louis,MO)を製造者の仕様書に従って用いてPCRを行なった。これらのプライマーは2.0μMの最終濃度で用いた。PCRは、Biometra Tgradient thermocyclerで行なった。開始変性温度は、4分間96℃であった。その次の5サイクルは次の通りであった:変性温度96℃(45秒)、アニーリング温度40℃(45秒)、延伸温度72℃(2分)。その後の30サイクルは次の通りであった:変性温度96℃(30秒)、アニーリング温度55.7〜72.0℃(45秒;範囲内で8つの温度をテストした)、延伸温度72℃(2分)。最後に、最終延伸温度は10分間72℃であった。これらの条件でいくつかのバンドが生成されたが、55.7℃、58.6℃および61.4℃のアニーリング温度を用いた場合、およそ100bpの強いバンドが生成された。TOPO TA Cloning Kit(Invitrogen Corp,Carlsbad,CA)を製造者が推奨するとおりに用いて、〜100bpの単位複製配列をpCR2.1にクローン化した。クローニング反応物の一部(2.5μL)を用いて大腸菌TOP10細胞(Invitrogen Corp,Carlsbad,CA)を変換し、その後、組換えクローンのブルー/ホワイトスクリーニングを容易にするために、それらを50μg/mlのカナマイシン、40μg/mlのX−gal、および0.2mMのIPTGを含むDifco Luria Agar上に置いた。10個のホワイトコロニーを採取して、それらのプラスミドDNAを単離した。これらのクローンの配列決定により、4個のクローン(p35546、p35547、p35550、p35554)が、推定されるアミノ酸配列が36aaアポタンパク質断片の配列と正確に一致するDNAに含まれていることが明らかになり、これにより、アポタンパク質をコードする遺伝子がコスミド21gDに含まれていることが確認された。
【0124】
コスミド21gDにおける完全なアポタンパク質DNA配列の解明。アポタンパク質をコードする遺伝子の全配列を決定するために、先に増幅した98bpのPCR産物のDNA配列から配列決定プライマーを設計した。コスミド21gDをテンプレートとて用いる初回の配列決定には次のプライマーを用いた:ApoSeqCode1:5’−GGCTACCCGTCGGACATCG(配列番号158);ApoSeqCode2:5’−GGACATCGCCGTGACCATCG(配列番号159);ApoSeqComp1:5’−CCGGCGCGTCGATGGTCAC(配列番号160);ApoSeqComp2:5’−CTCGAAGGTGGCGGTGTC(配列番号161)。
【0125】
1回目の配列決定では、〜1440bpの配列を生成した。コドン選択プログラムを用いて、小さな498bp読み取り枠(ORF)を同定した。このorfの推定されたアミノ酸配列と、アクチノマヅラ種21G792アポタンパク質の部分アミノ酸配列(エドマンタンパク質配列決定法により決定)とを比較し、これら2つのアミノ酸配列が同一であったため、このORFがアポタンパク質をコードすることが確認された。さらに、推定されたアミノ酸配列の分子量12926Daは、高解像度MALDI MSにより決定されたアポタンパク質の分子量12924.09とうまく一致していた。また、アポタンパク質のDNA配列を、さらに、アポタンパク質をコードするorf(aseAと示す)の側面に配置したプライマーを用いた両方のDNA株の広範囲な配列決定によって確認した。
【0126】
リーダーペプチドおよびアポタンパク質を含むプレアポタンパク質の推定されたアミノ酸配列は、配列番号64として示す。プレアポタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、配列番号63として示す。アポタンパク質の推定されたアミノ酸配列は、配列番号150として示す。アポタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、配列番号149として示す。最後に、プレアポタンパク質のDNA配列、対応するアミノ酸配列、推定された上流のリボソーム結合部位、およびリーダーペプチドとアポタンパク質の境界部位を記載する図を図6に示す。
【0127】
(実施例3 アクチノマヅラ種21G792色素タンパク質生合成クラスターの残りのDNA単離および配列決定)
アクチノマヅラ種21G792アポタンパク質遺伝子クラスターの遠位配列の特定。アクチノマヅラ種21G792アポタンパク質遺伝子クラスターのコスミド21gDに存在する部分に隣接する配列を下記に説明するように同定した。コスミド21gDとともに、これらの配列が、アクチノマヅラ種21G792色素タンパク質の生合成クラスター全体、すなわち、色素タンパク質のアセンブルに関与する遺伝子を実質的に構成する考えられる。読み取り枠の位置は表1に示している。GenBank配列寄託物を比較することで、コードされたタンパク質の機能が推定された(表3)。読み取り枠の構成は図7に示している。
【0128】
まず、プライマー21gDpr1FWD(5’−GCTCGTCGGGTTCTTCTAC;配列番号162)および21gDpr1REV(5’−GACTTCGCGATAGCTCTC;配列番号163)を用いて、タイプIIのペプチドシンテターゼ縮合ドメイン(orf20;図7)の一部を含むコスミドの端部の904bp断片を増幅することによりコスミド21gDからプローブを生成した。PCR増幅は、製造者の推奨するとおりに5%DMSOのKODポリメラーゼ(Novagen)を用いて行なった。プライマーは、0.5mMの濃度で用いた。コスミド21gDはテンプレートDNAとして用いた。繰り返し条件は次の通りであった:96℃、2分間を1サイクル、その次に、96℃、1分間、61.2℃、1分間、および72℃、2分間をを30サイクル、その後に、72℃、10分間を1サイクル。アガロースゲル電気泳動によりPCR反応を調べ、904bpのバンドを先に説明したようにアガロースから溶離した。4,6−デヒドラターゼプローブについて先に述べたように、904bp単位複製配列を用いてアクチノマヅラ種21G792ゲノムコスミドライブラリーを調べた。このプローブにハイブリダイズした38個のコロニーを培養し(50μg/mlのカナマイシンを含む5mlのDifco Luria培養液)、コスミドDNAを精製した。pWEBベクターに含まれる配列決定プライマー部位を用いて、精製されたコスミドの端部の配列を決定した。DNA配列の分析では、1つのコスミド(41417)がコスミド21gDと1184bpだけ重複することが示された。その後、コスミド41417の全体について配列を決定し、読み取り枠を同定し、コードされたタンパク質の機能を推定した。
【0129】
(コスミド21gDを特定するために用いた)p34598でクローン化された推定dNDP−D−グルコース−4,6−デヒドラターゼ断片にハイブリダイズしていると先に特定されているコスミドをスクリーニングしてコスミド21gDの他端から遠位にある生合成クラスターの部分を同定した。これらのコスミドを、コスミド21gDの5’末端の1043bp産物(産物は、完全な生合成クラスターの70,572〜71,614番目のヌクレオチドに対応する)を増幅するように設計されたPCRプライマーを用いてスクリーニングした。これらのプライマー21gDendFWD(5’−GCGACGAAGGACCCGAAGG;配列番号164)および21gDendREV(5’−CACGCTGGCCCGCCCCTTC;配列番号165)を用いて各コスミドをスクリーニングしたが、標準的な25μlのPCR反応物(KOD Hot Startポリメラーゼ;Novagen,San Diego,CA,USA)において、0.5μMの各プライマーとともに、10〜100ngの各コスミドをテンプレートとして用いている。予想される1043bpのDNA断片の増幅を助長したコスミドは、コスミド21gBおよび21gCだけであった。これらコスミドの端部の配列決定により、コスミド21gBがコスミド21gDと17,411個のヌクレオチドだけ重複している一方、コスミド21gCはコスミド21gDと22,796個のヌクレオチドだけ重複していることが明らかになった。コスミド21gBは、上記既知のクラスター配列との重複がより少なく、コスミド21gCよりも配列伸張が長くなる可能性がより高いことを示したため、配列決定用に選ばれた。配列決定により、コスミド21gBが、18,442bpの配列伸張を示した33,133bpの挿入部分を含んでおり、塩基対の総数が90,573に決定されることが明らかになった(図7)。前述同様に、コスミドを配列決定し、読み取り枠を同定し、コードされたタンパク質の機能を推定した。
【0130】
21G792色素タンパク質の生物学的特性
(実施例4 インビトロ抗癌活性)
p53/p21チェックポイントにより、ゲノムの完全性を監視し、DNAが損傷した場合に細胞周期の進行を阻害する。p21遺伝子を欠失させることによりチェックポイントが分裂すると、結果的に、DNA損傷に応じて阻止できなくなり、最終的にはアポトーシスによる細胞死に繋がる。このチェックポイントが無くなることは癌細胞の特徴であるため、一対の細胞株(p21+/+)が損傷していないp21遺伝子有し、1つのメンバー(p21−/−)がp21遺伝子に欠失部分を有する同系統の細胞株の対を用いて、p21が欠損した細胞においてアポトーシスを選択的に誘発する分子を同定することにより、潜在的な抗癌化合物についてスクリーニングすることができる。
【0131】
アクチノマヅラ種21G792色素タンパク質を同系統の細胞株の対(p21+/+およびp21−/−)に加えた。表6に示すように、色素タンパク質は、p21−/−細胞に対する選択性が高かったが、これは、p21+/+細胞に対して、IC50が13倍高いためである。また、表7に示すように、色素タンパク質は、ヒト腫瘍細胞株パネルにおいて優れた効力を示したが、これは、IC50が1〜47ng/mlの範囲にあるためである。しかしながら、アポタンパク質だけは不活性であった。
【0132】
【表6】

(実施例5 色素タンパク質により誘発されたDNA損傷)
Trevigen,Inc.から入手したコメットアッセイを用いてDNA損傷を検出した。HCT116p21+/+および−/−細胞を各種異なる量の21G792色素タンパク質およびミトザントロンに晒した。図18に示すように、色素タンパク質により誘発される用量依存DNA鎖の切断は、p21が豊富な細胞およびp21が欠損した細胞の両方において、>100ng/mlの濃度で発生している。
【0133】
(実施例6 色素タンパク質により誘発されたDNA開裂)
超らせんφX174 DNAを、各種異なる濃度の21G792色素タンパク質でインキュベートし、ゲル電気泳動で分析した。色素タンパク質が一本鎖切断および二本差鎖切断を誘発し、その反応が24時間継続し続け、カリケアマイシンとは異なり、DNA開裂に還元剤(ジチオスレイトール、DTT)が必要とされないことが観察された。ゲル電気泳動を図19に示す。ギザギザとはDNAの一本鎖切断を意味し、線形とは、二本鎖切断を意味する。
【0134】
(実施例7 色素タンパク質によるヒストンH1の消化)
色素タンパク質エンジインがヒストンを開裂することは先に示したが(Zeinら,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA90,8009−12;Zeinら,1995,Chem&Biol 2,451−5;Zeinら,1995,Biochem 34,11591−7)、この活性については議論の余地があるものの(Heydら,2000,J.Bacteriol.182,1812−8)、アポタンパク質のタンパク質分解活性によるものと考えられていた。各種異なる濃度の色素タンパク質を用いて、50mMのTris−Cl、pH7.5、37℃で一晩ヒストンH1をインキュベートした。(図20)SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)を行なった後に、GelCode Blue(Pierce Biotechnology,Inc,Rockford,IL)によりゲルを染色してヒストンの消化を評価した。ヒストンH1の消化は、DNAを加えることにより阻害されが、これは、DNA開裂に必要なメカニズム(例えば、フリーラジカルに基づくメカニズム)と同じメカニズムがタンパク質の消化にも関与していることを示す。これに合わせて、フリーラジカルスカベンジャー、30mMのグルタチオンまたはN−アセチルシステイン(図示せず)を加えることにより、ヒストンの消化が阻害されたが、プロテアーゼ阻害剤を加えても阻害されなかった。タンパク質を含まないエンジインであるカリケアマイシンは、ヒストンH1を開裂しなかったが、これは、この活性には、損傷がない発色団−タンパク質複合体が必要であることを示している。
【0135】
(実施例8 色素タンパク質による消化の特異性)
色素タンパク質によるヒストンの消化の選好順序は、H1>H2A>H2B>H3>H4である(図21)。色素タンパク質はまた、ミエリン塩基性タンパク質等、他の塩基性タンパク質も開裂するが、ウシ血清アルブミン等、中性/酸性タンパク質は開裂しない。このことは、ヒストン開裂活性に発色団のアポタンパク質成分が必要であることを説明する:酸性アポタンパク質は、静電相互作用により、ヒストンおよび他の塩基性タンパク質に発色団を届け、発色団がフリーラジカルに基づくメカニズムにより塩基性タンパク質を開裂できるようにすることが可能である。
【0136】
(実施例9 色素タンパク質によるHeLa細胞内のヒストンH1の消化)
色素タンパク質によるヒストンの消化が、損傷がない細胞内で発生するかどうかを調べるために、化合物を用いて一晩37℃でHeLa細胞をインキュベートした。抗ヒストンH1抗体(Santa Cruz Biotechnologies)を用いたSDS−PAGEおよびタンパク質イムノブロットにより細胞溶解物を分析した。細胞を色素タンパク質でインキュベートした結果、細胞内のヒストンH1が減少した(図22)。ブレオマイシン、他のDNA損傷剤、またはカリケアマイシンでは効果が見られなかった。このことは、色素タンパク質が損傷がない細胞内でヒストンを消化できること証明している。この活性は、染色質内のヒストンを消化し、DNAをより開裂し易くすることで抗腫瘍効果に寄与することが可能である。これは色素タンパク質エンジインに固有の活性であると思われる。
【0137】
(実施例10 G1/Sチェックポイントの色素タンパク質誘導)
HCT116(p21+/+およびp21−/−)細胞を各種異なる濃度で色素タンパク質に晒した。図23Aに示すように、色素タンパク質に晒した結果、全てのテスト濃度についてp53チェックポイントが活性化した。p21タンパク質の誘導は、p21+/+細胞にしか見られなかった。アクチノマヅラ種21G792色素タンパク質によるDNA損傷チェックポイントの活性化は、p53タンパク質の転写活性化にとって重要であることが知られているp53内のセリン−15アミノ酸残基のリン酸化反応を実証することにより確認された(図23B)。さらに、ポリADPリボースホスホリラーゼ(PARP)の開裂により示されるように、アクチノマヅラ種21G792色素タンパク質を用いて処理した場合、アポトーシスの誘導は、p21+/+細胞と比較して、p21−/−細胞において選択的に観察された(図23B)。このことは、p21−/−細胞のIC50の値がより低いことと一致する。
【0138】
(実施例11 インビボ抗癌活性)
ヒト腫瘍細胞株または断片LoVo(結腸癌);HCT116(結腸);HT29(結腸);LOX(黒色腫);HN5(頭部および頸部);およびPC−3(前立腺)を無胸腺(ヌード)マウスの皮下に埋め込み、腫瘤の形成を可能にした。腫瘍が90〜200mgの大きさに達したときに、食塩水調節媒介物、または食塩水中で作成した各種異なる濃度のアクチノマヅラ種21G792色素タンパク質を上記マウスに静脈内投与した。このマウスは、5日目および9日目に、さらに投与を受け、相対的な腫瘍の成長が観察された。その結果を図24および図25のグラフに示す。色素タンパク質を受けたマウスについては、腫瘍成長の阻害が最大で80%観察された。
【0139】
(実施例12 色素タンパク質の毒性)
毒性観察により、骨髄抑制を除いて、アクチノマヅラ種21G792色素タンパク質はヌードマウスにおいては耐え得る程度であると指摘されている。詳細には、1日目、5日目、および9日目に、食塩水調節媒介物または各種異なる投与量の色素タンパク質を6匹のヌードマウスに静脈投与した。マウスの顕微鏡観察により、色素タンパク質を受けた全てのマウスが骨髄壊死になり、最も多量の色素タンパク質を受けたマウスは最も重い病変を生じることが示された。臨床病理学実験により、最も多量の色素タンパク質を受けたマウスは、白血球およびリンパ球の数が最も少なかったことが明らかになった。しかしながら、腸、神経、脊髄、肝臓、または注射部位には有害な作用は観察されなかった。顕微鏡所見および臨床病理学的要約を表8および9に示す。
【0140】
【表7】

(実施例13 P−GP(MDR−1)による色素タンパク質の輸送)
ヒトPGP(MDR1)は、細胞膜間で多くの薬物を輸送することができるATP依存排出ポンプである。このタンパク質の高度発現は、腫瘍の多剤耐性に関連づけられてきた。下記の表10に示すように、アクチノマヅラ種21G792色素タンパク質は、低質なMDR1基質であり、臨床的に有意なレベルのMDR1発現する細胞(KB−8−5細胞)は、上記複合体に対する感受性を維持する。とりわけ、タンパク質成分を有さないカリケアマイシンは、MDR1にとって良質な基質である。色素タンパク質のタンパク質成分は、MDR1によって媒介される薬物流出から発色団を確実に保護し、MDR1を発現することが多い結腸細胞株において有益な抗腫瘍効果に関与し得る。
【0141】
【表8】

(実施例14 HCT116細胞におけるFITC標識色素タンパク質の取り込み)
色素タンパク質が細胞に入り、その生物活性を働かせるメカニズムを判定するために、製造者の推奨するとおりにEZ−Label 蛍光標識キット(Pierce Biotechnology)を用いて色素タンパク質に蛍光標識(FITC)をした。標識時に生物活性の損失は見られなかった。HCT116結腸癌細胞による標識した物質の取り込みを蛍光顕微鏡検査により調べた。最適な細胞の培養時間は3〜6時間であった。標識の大半が細胞質に現れたが、微弱な染色も細胞核で観察された(図26)。核内蓄積は少なかったが、上記複合体の抗力を考慮すると、その量は、生物活性には十分である可能性が高い。
【0142】
(実施例15 HCT116細胞におけるFITC標識アポタンパク質および色素タンパク質の取り込み)
損傷がない発色団とアポタンパク質の複合体が細胞侵入および核侵入に必要であるか否かを判定するために、色素タンパク質およびアポタンパク質をFITCで標識した。標識された物質の取り込みを蛍光顕微鏡検査により調べた。アポタンパク質および色素タンパク質の両方に関して、取り込みが類似しており(図27)、これは、細胞侵入が、損傷がない発色団−タンパク質複合体には依存していないことを示唆している。
【0143】
(実施例16 FITC標識色素タンパク質の取り込み:標識されていない複合体との競合)
色素タンパク質の細胞への侵入が飽和(例えば、細胞表面受容体依存)プロセスによって媒介されるか否かを判定するために、10倍過剰の標識されていない試薬が存在しないまたは存在する場合(それぞれ、無標識色素タンパク質またはアポタンパク質)、HCT116細胞をFITC標識色素タンパク質(図28、右側のパネル)またはアポタンパク質(図28、左側のパネル)でインキュベートした。細胞を蛍光顕微鏡検査(左)またはフローサイトメトリー(右)により分析した。標識の競合は観察されなかったが、これは、標識された物質の取り込みが受容体に媒介されたプロセスでなかったことを示唆している。さらに、フローサイトメトリーヒストグラムで観察された単一の均一なピークは、全ての細胞による標識された試薬の均等な取り込みを示した。ヒストグラム中の数字は、平均チャネル数(FITC蛍光)である。
【0144】
(実施例17 HCT116細胞によるFITC標識アポタンパク質の取り込みに対するエネルギー枯渇および微小管破壊の効果)
上記の実験は、色素タンパク質の細胞への侵入が受容体によって媒介されたプロセスではないことを示唆している。タンパク質複合体が細胞に入る他の手段は、細胞表面の小胞がくびれて、当該細胞の細胞質内で自由なピノソームを形成する飲作用である。飲作用は、機能チューブリン細胞骨格網を必要とするエネルギー依存プロセスであるため、アジ化ナトリウム、エネルギー脱共役剤、およびノコダゾール(チューブリン細胞骨格を破壊する薬剤)の細胞の取り込みに対する効果を調べた。アジ化ナトリウムまたはノコダゾールが存在しないまたは存在する場合に、HCT116細胞をFITC標識されたアポタンパク質で処理した。これらの処理はともに、標識の取り込みを阻害した(図29)。ノコダゾールの濃度(100nM)が微小管を破壊するに十分であることが示された(右側のパネル)。これらのデータは、アポタンパク質の取り込みが微小管網を利用するエネルギー依存プロセスであることを示唆している。我々のデータでは、受容体により媒介されるプロセスが除外されると思われるので、飲作用が関与している可能性が最も高い。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】図1は、アクチノマヅラ種21G792色素タンパク質のHPLCクロマトグラムである。HPLCの分析条件は、次のとおりである。カラム:TosoHaas DEAE 5 PW(粒径10um、大きさ7.5mm×7.5cm)。バッファ:0〜0.5M直線勾配NaClを一定の0.05M Tris−HClで25分間、0.8ml/分の流量で用いた。
【図2】図2は、アクチノマヅラ種21G792色素タンパク質の紫外スペクトルである。
【図3】図3は、21G792アポタンパク質のHPLCクロマトグラムである。HPLCの分析条件は次のとおりである。カラム:VYDACタンパク質C4(300A、大きさ3.0×100mm)。溶媒:HO内の10〜30%のアセトニトリル、一定の0.05%TFAで6分間、2ml/分で用いた。
【図4】図4は、21G792色素タンパク質の紫外スペクトルである。
【図5】図5は、アポタンパク質の分子量決定(MALDI−MSで12.92409kDa)を示す。
【図6】図6は、21G792プレアポタンパク質およびアポタンパク質のヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を示す。予想リボソーム結合部位は枠内に示しており、リーダーペプチドには下線を引いている。斜線は、リーダーペプチドおよびアポタンパク質の開裂部位を示す。
【図7】図7は、アクチノマヅラ種21G792色素タンパク質遺伝子クラスターの読み取り枠を示す。コスミド41417上に位置する遺伝子は、orfの矢印上に直線で示している。コスミド21gD上に位置するものは、小さな点からなる破線で示しており、コスミド21gB上に位置するものについては、大きな点からなる破線で示している。各コスミドの同定に用いるプローブの位置は、黒いバーベル状の印しで示している。PstI(P)およびEcoRI(E)制限部位にはラベルを付けている。
【図8】図8は、アクチノマヅラ種21G792発色団の構造を表す。
【図9】図9は、アクチノマヅラ種21G792発色団のチロシン由来成分(3−[2−クロロ−3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル]−3−ヒドロキシ−プロピオン酸)の合成経路を表す。
【図10】図10は、orf17遺伝子産物の構造ドメインを表す。縮合(C)、アデニル化(A)、およびぺプチジルキャリアタンパク質(PCP)ドメインのコアモチーフは、枠内に入れてラベルを付けている。orf17遺伝子産物のAドメイン基質特異性コードおよびC−1027生合成経路のSgcC4に寄与する残基は、太字にし、下線を引いている。同一の残基には、アスタリスクを付しており、コロンは保存残基を示し、セミコロンは半保存残基を示す。
【図11】図11は、アクチノマヅラ種21G792発色団のマヅロサミン(4−アミノ−4−デオキシ−3−C−メチル−β−リボピラノース)成分の合成経路を表す。
【図12】図12は、Orf38とdNDP−グルコース−4,6−デヒドラターゼおよびUDP−グルクロン酸デカルボキシラーゼとのアラインメントを表す。このアラインメントに含まれるグルコース−4,6−デヒドラターゼ配列は、Streptomyces neyagawaensis concanamycin A遺伝子クラスター(AAZ94396)のOrf5、Streptomyces argillaceus mithramycin遺伝子クラスター(CAA71847)のMtmE、およびStreptomyces spectabilis spectinomycin遺伝子クラスター(AAD31797)のSpcEである。上記アラインメントに含まれるグルクロン酸デカルボキシラーゼ配列は、Pisum sativum (BAB40967)のUxs1、Arabidopsis thaliana (AAK70882)のUxs3、Arabidopsis thaliana (AAK70880)のUxs1、Arabidopsis thaliana (AAK70881)のUxs2、Mus musculus (AAK85410)のUxs1、およびCryptococcus neoformans (AAK59981)Uxs1である。同一の残基には、アスタリスクを付しており、コロンは保存残基を示し、セミコロンは半保存残基を示す。
【図13】図13は、アクチノマヅラ種21G792発色団の2−ヒドロキシ−3,6−ジメチル安息香酸成分の合成経路を表す。
【図14】図14は、Orf31のA4およびA5コアモチーフ間の領域と10個のアリール酸AMPリガーゼのアラインメントを表す。構造上のアンカーには黒色の影を付けている。カルボキシ酸結合ポケットの推測される構成には灰色の影を付けている。DHBAの活性とサリチル酸の区別に関与していることが推測されている残基は、番号記号で特定される。同一の残基にはアスタリスクを付し、コロンは保存残基を示し、セミコロンは半保存残基を示す。
【図15】図15は、アクチノマヅラ種21G792発色団のエンジインコアの生成の生合成経路を表す。
【図16】図16は、ドメイン構成、ならびにOrf5とSgcEおよびNcsEエンジインPKSとの比較を表す。aa、アミノ酸;KS、ケトシンターゼ;AT、アセチルトランスファーゼ;ACP、アシルキャリアタンパク質;KR、ケトレダクターゼ;DH、デヒドラターゼ;TD、末端ドメイン。
【図17】図17は、アクチノマヅラ種21G792発色団の4つの成分の集合ルートを表す。
【図18】図18は、21 G792色素タンパク質により誘発された用量依存的DNA鎖切断が、p21が豊富なHCT116ヒト結腸癌細胞およびp21が欠損したHCT116ヒト結腸癌細胞において、>100ng/mlの色素タンパク濃度で発生することを示すグラフである。
【図19】図19は、21G792色素タンパク質が一本鎖切断および二本鎖切断を誘発し、24時間以上反応を継続し続け、DNA開裂がチオール剤を必要としなかったことを示すDNA開裂アッセイである。
【図20】図20は、アクチノマヅラ種21G792色素タンパク質によるヒストンH1の消化、およびDNAによる阻害を表す。プロテアーゼ阻害剤は、PMSF、ロイペプチン、アプロチニン、およびペプスタチンAである。アポタンパク質は不活性である。
【図21】図21は、ヒストンH1、H2A、H2B、H3、およびH4と、アクチノマヅラ種21G792色素タンパク質による消化の相対感度を表す。ミエリン塩基性タンパク質等の塩基性タンパク質(中性/酸性タンパク質ではない)も開裂しやすい。
【図22】図22は、アクチノマヅラ種21G792色素タンパク質(ブレオマイシンまたはカリケアマイシンではない)で治療された細胞内のヒストンH1の減少を表す。
【図23A】図23Aは、HCT116細胞を、各種の濃度で色素タンパク質に曝すことによりp53/p21チェックポイントの活性が得られることを示すタンパク質イムノブロットである。
【図23B】図23Bは、ポリ−ADP−リボースホスホリラーゼ(ParP)の開裂でのp53のセリン−15アミノ酸残基のリン酸化反応を表す。
【図24】図24は、無胸腺(ヌード)マウスにおける21G792色素タンパク質の腫瘍、皮下注射LoVo(結腸癌);HCT116(結腸);HT29(結腸);LOX(黒色腫);HN5(頭部および頸部);およびPC−3(前立腺)細胞に対するインビボ効力を示す一連のグラフである。
【図25】図25は、無胸腺(ヌード)マウスにおける21G792色素タンパク質の腫瘍、皮下注射LoVo(結腸癌);HCT116(結腸);HT29(結腸);LOX(黒色腫);HN5(頭部および頸部);およびPC−3(前立腺)細胞に対するインビボ効力を示す一連のグラフである。
【図26】図26は、FITC標識されたアクチノマヅラ種21G792色素タンパク質のHCT116細胞による取り込みを表す。
【図27】図27は、FITC標識されたアクチノマヅラ種21G792色素タンパク質およびアポタンパク質のHCT116細胞による取り込みを表す。
【図28】図28は、10倍の濃度の標識されていない色素タンパク質の存在下での、標識されたアクチノマヅラ種21G792色素タンパク質の取り込みを表す。
【図29】図29は、エネルギー脱共役剤(アジ化ナトリウム)またはチューブリン破壊剤(ノコダゾール)のHCT116細胞によるアクチノマヅラ種21G792アポタンパク質の取り込みに対する効果を表す。
【図30】図30は、アクチノマヅラ種21G792発色団の誘導体に対するモノクローナル抗体の連結を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、配列番号119、配列番号121、配列番号123、配列番号125、配列番号127、配列番号129、配列番号131、配列番号133、配列番号135、配列番号137、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149を有するアクチノマヅラ種21G792(NRRL30778)の色素タンパク質生合成遺伝子クラスターのorfまたはその補体のヌクレオチド配列と少なくとも約70%同一のヌクレオチド配列を含む、単離核酸。
【請求項2】
前記単離ヌクレオチド配列は、前記アクチノマヅラ種21G792(NRRL30778)の色素タンパク質生合成遺伝子クラスターのorfのヌクレオチド配列と同一である、請求項1に記載の単離核酸。
【請求項3】
配列番号151を有する前記色素タンパク質生合成遺伝子クラスターを含む、請求項1に記載の単離核酸。
【請求項4】
配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、配列番号136、配列番号138、配列番号140、配列番号142、配列番号144、配列番号146、配列番号148、配列番号150を有するアクチノマヅラ種21G792(NRRL30778)の色素タンパク質生合成遺伝子クラスターのorfのアミノ酸配列をコードする配列を含む、単離核酸。
【請求項5】
アポタンパク質をコードする、請求項1〜4のいずれか1つに記載の核酸。
【請求項6】
プレアポタンパク質をコードする、請求項1〜4のいずれか1つに記載の核酸。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の核酸を含む、ベクター。
【請求項8】
前記核酸は、遺伝子発現をコントロールする調節核酸配列と操作可能に連結される、請求項7に記載のベクター。
【請求項9】
遺伝子発現が構成的または誘導性である、請求項7に記載のベクター。
【請求項10】
前記ベクターはコスミドである、請求項7に記載のベクター。
【請求項11】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の核酸を含む、宿主細胞。
【請求項12】
請求項7〜10のいずれか1つに記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項13】
前記宿主細胞は原核細胞である、請求項11または12に記載の宿主細胞。
【請求項14】
前記原核細胞は、アクチノミセス属、アクチノマヅラ属、ストレプトミセス属、またはミクロモノスポラ属からなる群から選択される、請求項13に記載の宿主細胞。
【請求項15】
前記原核細胞は大腸菌である、請求項13に記載の宿主細胞。
【請求項16】
前記宿主細胞は真核細胞である、請求項11または12に記載の宿主細胞。
【請求項17】
タンパク質を発現する方法であって、宿主細胞に請求項7に記載のベクターをトランスフェクトし、該タンパク質の発現に適した条件下で該細胞をインキュベートすることを包含する、方法。
【請求項18】
配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、配列番号136、配列番号138、配列番号140、配列番号142、配列番号144、配列番号146、配列番号148、配列番号150と少なくとも約70%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、単離ポリペプチド。
【請求項19】
前記アミノ酸配列は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、配列番号136、配列番号138、配列番号140、配列番号142、配列番号144、配列番号146、配列番号148、配列番号150と同一である、請求項18に記載の単離ポリペプチド。
【請求項20】
前記ポリペプチドはアポタンパク質であり、発色団を有する非共有結合複合体を形成することができる、請求項18または19のいずれか1つに記載の単離ポリペプチド。
【請求項21】
前記複合体は、一本鎖または二本鎖DNAを開裂することができる、請求項20に記載の単離ポリペプチド。
【請求項22】
前記発色団は、アクチノマヅラ種21G792に由来する、請求項20に記載の単離ポリペプチド。
【請求項23】
請求項20〜22のいずれか1つに記載のポリペプチドの非共有結合複合体、および前記アクチノマヅラ種21G792(NRRL30778)の発色団を含む、単離色素タンパク質。
【請求項24】
配列番号151のヌクレオチド配列を有するDNA分子またはその補体と特異的にハイブリダイズする、オリゴヌクレオチド。
【請求項25】
配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161、配列番号162、配列番号163、およびそれらの相補配列から成る群から選択される、請求項24に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項26】
変質しており、配列番号155、配列番号156、配列番号157、およびそれらの相補配列からなる群から選択される、請求項24に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項27】
色素タンパク質を含む9員エンジインのアポタンパク質をコードする核酸を同定する方法であって、該核酸を請求項24〜26のいずれか1つに記載のオリゴヌクレオチドに接触させ、該核酸に対する該オリゴヌクレオチドの特異的ハイブリダイゼーションを検出することを包含する、方法。
【請求項28】
色素タンパク質を含む9員エンジインのアポタンパク質をコードする核酸を同定する方法であって、該核酸を配列番号156および配列番号157を有するオリゴヌクレオチドに接触させ、増幅により特異的ハイブリダイゼーションを検出することを包含する、方法。
【請求項29】
前記核酸は放線菌目の生物に由来する、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
前記生物は、アクチノミセス属、アクチノマヅラ属、ストレプトミセス属、またはミクロモノスポラ属からなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記生物はアクチノマヅラ種21G792(NRRL30778)である、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
配列番号150を有するアポタンパク質を産生することができる、アクチノマヅラ種21G792(NRRL30778)の生物学的に純粋な培養物。
【請求項33】
色素タンパク質を作る方法であって、該色素タンパク質の発現に適した条件下の培地においてアクチノマヅラ種21G792(NRRL30778)をインキュベートし、該色素タンパク質を該培地から回収することを包含する、方法。
【請求項34】
修飾色素タンパク質を作る方法であって、
a)アクチノマヅラ種21G792の選択orfを含む複数の第1のポリヌクレオチドを同時に突然変異誘発させて複数の子孫ポリヌクレオチドを産生すること、
b)エンジイン発色団を産生する宿主細胞において該子孫ポリヌクレオチドからポリペプチドを発現すること、および
c)所望の特徴を有するポリペプチド/発色団複合体に関して、該宿主細胞を選択またはスクリーニングすることにより修飾色素タンパク質を同定すること、
を包含する、方法。
【請求項35】
前記第1のorfは、orf15、orf19、orf20、orf32、orf33、およびorf40からなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記第1のorfはorf13である、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
(a)は、アクチノマヅラ種21G792の第2の選択orfを含む複数の第2のポリヌクレオチドを同時に突然変異誘発させて複数の子孫ポリヌクレオチドを産生することをさらに包含する、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記第2のorfは、orf15、orf19、orf20、orf23、orf32、orf33、およびorf40からなる群から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記第1のorfまたは第2のorfは、orf23である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記所望の特徴は、少なくとも1つの発色団生合成酵素の不活性化である、請求項34〜39のいずれか1つに記載の方法。
【請求項41】
orf32は不活性化されている、請求項34〜40のいずれか1つに記載の方法。
【請求項42】
安息香酸類似体を含む発酵培養液において前記宿主細胞を培養することをさらに包含する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記宿主細胞は、アクチノマヅラ種21G792(NRRL30778)である、請求項34〜42のいずれか1つに記載の方法。
【請求項44】
前記宿主細胞は異種宿主細胞である、請求項34〜42のいずれか1つに記載の方法。
【請求項45】
哺乳動物における腫瘍性疾患の進行を阻害する方法であって、該哺乳動物にアクチノマヅラ種21G792(NRRL30778)の色素タンパク質を有効量投与することを包含する、方法。
【請求項46】
前記腫瘍性疾患は、結腸癌、乳癌、黒色腫、頭頸部癌、および前立腺癌からなる群から選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
請求項23に記載の色素タンパク質を有効量含み、医薬的に許容可能なキャリアを含む医薬組成物。
【請求項48】
以下の式:
【化1】

を有する化合物であって、
はOHまたはOCHであり、RはClまたはHであり、RはCHまたはHであり、RはNH、R、およびRから選択され、
は、
【化2】

であり、

【化3】

である、化合物。
【請求項49】
はOCHであり、RはClであり、RはCHであり、RはRである、請求項48に記載の化合物。
【請求項50】
はOCHであり、RはHであり、RはCHであり、RはRである、請求項48に記載の化合物。
【請求項51】
はOCHであり、RはClであり、RはHであり、RはRである、請求項48に記載の化合物。
【請求項52】
はOCHであり、RはClであり、RはCHであり、RはNHである、請求項48に記載の化合物。
【請求項53】
はOCHであり、RはClであり、RはCHであり、RはRである、請求項48に記載の化合物。
【請求項54】
はOCHであり、RはHであり、RはHであり、RはRである、請求項48に記載の化合物。
【請求項55】
はOCHであり、RはHであり、RはHであり、RはNHである、請求項48に記載の化合物。
【請求項56】
はOCHであり、RはHであり、RはHであり、RはRである、請求項48に記載の化合物。
【請求項57】
はOCHであり、RはClであり、RはHであり、RはNHである、請求項48に記載の化合物。
【請求項58】
はOCHであり、RはClであり、RはHであり、RはRである、請求項48に記載の化合物。
【請求項59】
はOCHであり、RはHであり、RはCHであり、RはNHである、請求項48に記載の化合物。
【請求項60】
はOCHであり、RはHであり、RはCHであり、RはRである、請求項48に記載の化合物。
【請求項61】
はOHであり、RはClであり、RはCHであり、RはRである、請求項48に記載の化合物。
【請求項62】
はOHであり、RはHであり、RはCHであり、R4はRである、請求項48に記載の化合物。
【請求項63】
はOHであり、RはClであり、RはHであり、RはR5である、請求項48に記載の化合物。
【請求項64】
はOHであり、RはClであり、RはCHであり、RはNHである、請求項48に記載の化合物。
【請求項65】
はOHであり、RはClであり、RはCHであり、RはRである、請求項48に記載の化合物。
【請求項66】
はOHであり、RはHであり、RはHであり、R4はRである、請求項48に記載の化合物。
【請求項67】
はOHであり、RはHであり、RはHであり、RはNHである、請求項48に記載の化合物。
【請求項68】
はOHであり、RはHであり、RはHであり、RはRである、請求項48に記載の化合物。
【請求項69】
はOHであり、RはClであり、RはHであり、RはNHである、請求項48に記載の化合物。
【請求項70】
はOHであり、RはClであり、RはHであり、RはRである、請求項48に記載の化合物。
【請求項71】
はOHであり、RはHであり、RはCHであり、RはNHである、請求項48に記載の化合物。
【請求項72】
はOHであり、RはHであり、RはCHであり、RはRである、請求項48に記載の化合物。
【請求項73】
以下の式
【化4】

を有する化合物であって、
はOHまたはOCHであり、RはClまたはHであり、RはCHまたはHであり、RはRおよびRから選択され、
は、
【化5】

であり、
は、
【化6】

であり、
’は、H、CH、OH、OCH、Cl、C、またはNOであり、R2’は、H、CH、NH、OH、F、OCH、F、Cl、NO、OC、またはNCであり、R3’は、H、CH、Cl、CH、NH、OH、F、COH、OCH、Cl、OC、またはNOであり、R4’は、H、OH、またはOCHである、化合物。
【請求項74】
1’はCHであり、R2’はHであり、R3’はCHであり、R4’はHである、請求項73に記載の化合物。
【請求項75】
1’はCHであり、R2’はOHであり、R3’はHであり、R4’はHである、請求項73に記載の化合物。
【請求項76】
1’はHであり、R2’はCHであり、R3’はHであり、R4’はOHである、請求項73に記載の化合物。
【請求項77】
1’はHであり、R2’はOHであり、R3’はOHであり、R4’はHである、請求項73に記載の化合物。
【請求項78】
1’はHであり、R2’はOHであり、R3’はHであり、R4’はOHである、請求項73に記載の化合物。
【請求項79】
1’はOHであり、R2’はOHであり、R3’はHであり、R4’はHである、請求項73に記載の化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23A】
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【図23B】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公表番号】特表2008−523817(P2008−523817A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−546977(P2007−546977)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2005/045818
【国際公開番号】WO2006/066153
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(502161704)ワイス (51)
【Fターム(参考)】