説明

アクチュエータ及び伸縮ユニット

【課題】コスト高を招くことなく、長いストロークを有して、コンパクトで強度を確保できるアクチュエータを提供する。
【解決手段】互いに並行して配置されたロッド11及びロッド21と、回転に応じてロッド11を一方向に伸縮する第1伸縮機構と、回転に応じてロッド21を第1伸縮機構と逆方向に伸縮する第2伸縮機構と、第1伸縮機構及び第2伸縮機構を同期して回転させる駆動部6とを備えるという構成を採用することによって、伸縮する長尺部材を並行に各々別軸上に設けて、一つの駆動装置によって伸縮させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮することで揺動台を搬送、位置決めするアクチュエータ及び当該アクチュエータが設けられる伸縮ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、基台と揺動台との間に設けられて伸縮することによって揺動台を搬送、位置決めするアクチュエータとして、例えば、特許文献1に記載のアクチュエータが知られている。
【0003】
当該アクチュエータは、中空の回転部材の両端にナットを設けて、一端のナットに螺合する第1ロッドと、他端のナットに螺合する第2ロッドとが積層される形で上記回転部材内に内包される三重構造を有して、上記回転部材に接続された駆動装置により上記回転部材を回転させることで、上記回転部材の端部から、上記第1ロッド及び上記第2ロッドが伸長する構成となっている。当該伸長によって、駆動装置が回転部材に追従するため、当該アクチュエータは、基台に駆動装置が干渉することなく、揺動台を支える際に揺動角度が大きく取れることとなる。
【特許文献1】特開2001−146950号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したアクチュエータは、同軸上の回転部材に第1ロッド及び第2ロッドが内包される三重構造により、第1ロッド及び第2ロッドが大きさの制限を受けてしまうという問題があった。
例えば、第1ロッド及び第2ロッドの長さが回転部材の全長から両端に設けられたナット分の長さを差し引いた長さ以下でなければならないため、アクチュエータのストロークは、回転部材の長さの2倍弱程度に制限され、また、第1ロッド及び第2ロッドの径が順次小さくなる構成でなければならないため、強度不足になる恐れがあり、強度不足を補うためにはアクチュエータ自体を肥大化させる必要があった。
【0005】
アクチュエータを肥大化させずに、回転部材内で第1ロッド及び第2ロッドの厚さを大きくして強度を確保しようとすると、第1ロッド及び第2ロッドの間隙が狭くなることから、第1ロッド及び第2ロッドが伸長した状態から縮短して回転部材に収容される時、ガイドが不十分であると、第1ロッド及び第2ロッドが干渉してアクチュエータが破損してしまう恐れがある。
【0006】
また、上述したアクチュエータは、構造が複雑でありコスト高になる問題があった。
【0007】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、コスト高を招くことなく、長いストロークを有して、コンパクトで強度を確保できるアクチュエータを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明のアクチュエータは、互いに並行して配置された第1長尺部材及び第2長尺部材と、回転に応じて上記第1長尺部材を一方向に伸縮する第1伸縮機構と、回転に応じて上記第2長尺部材を上記第1伸縮機構と逆方向に伸縮する第2伸縮機構と、上記第1伸縮機構及び上記第2伸縮機構を同期して回転させる駆動装置とを備えるという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、伸縮する長尺部材を並行に各々別軸上に設けて、一つの駆動装置によって伸縮させることができる。
【0009】
また、本発明は、上記第1伸縮機構は第1歯車を有し、上記第2伸縮機構は上記第1歯車と噛合する第2歯車を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、第1歯車及び第2歯車が直接噛合することで、互いに逆回転することを利用して、第1伸縮機構及び第2伸縮機構を互いに逆方向に伸縮させることができる。
【0010】
また、本発明は、上記第1伸縮機構と上記第2伸縮機構とは同一構造であり、互いに逆向きになるように設けられるという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、同一の製造工程で第1伸縮機構と第2伸縮機構とが製造できるためコストダウンに寄与することができる。
【0011】
また、本発明は、上記第1長尺部材と上記第2長尺部材とは同一構造であるという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、同一の製造工程で第1長尺部材と第2長尺部材とが製造できるためコストダウンに寄与することができる。
【0012】
また、本発明は、上記第1長尺部材及び上記第2長尺部材の一方は、他方を挟んだ逆側にも設けられるという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、伸縮する長尺部材を別軸であって並行に配置することによって発生するモーメント等を抑制してバランスを確保することができる。
【0013】
また、本発明は、上記アクチュエータが設けられた伸縮ユニットであって、互いに嵌合して上記一方向に摺動する複数の嵌合体を有し、上記一方向の一端に位置する第1嵌合体が上記第1長尺部材に接続され、上記一方向の他端に位置する第2嵌合体が上記第2長尺部材に接続されるという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、上記アクチュエータが嵌合体に接続された伸縮ユニットが得られる。
【0014】
また、本発明は、上記嵌合体は、上記一方向への摺動をガイドし、且つ、伸長を規制するストッパーを有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、嵌合体の摺動を補助し、且つ、嵌合体の伸長限界幅より伸長して分離又は破損することを防止することができる。
【0015】
また、本発明は、上記第1長尺部材及び上記第2長尺部材は、複数設けられ、上記嵌合体の重心を囲うように少なくとも3つの点で三角形の頂点のなす位置に配置されるという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、嵌合体をバランスよく支持することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、互いに並行して配置された第1長尺部材及び第2長尺部材と、回転に応じて上記第1長尺部材を一方向に伸縮する第1伸縮機構と、回転に応じて上記第2長尺部材を上記第1伸縮機構と逆方向に伸縮する第2伸縮機構と、上記第1伸縮機構及び上記第2伸縮機構を同期して回転させる駆動装置とを備えるという構成を採用することによって、伸縮する長尺部材を並行に各々別軸上に設けて、一つの駆動装置によって伸縮させることできる。つまり、本発明では、同軸上に長尺部材が設けられないため、三重構造にする必要は無くなり回転部材による制限を受けないため、長いストロークと強度を確保でき、また、シンプルな構成にすることによりコスト高を避けることができる。
したがって、本発明は、コスト高を招くことなく、長いストロークを有して、コンパクトで強度を確保できるアクチュエータを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。また、同一の部材には、同一の参照番号を付している。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態におけるアクチュエータ1の斜視図を示すものである。
図1に示すように、アクチュエータ1は、一方向に伸縮する伸縮部2と、伸縮部2が接続される本体部3とから構成される。
なお、以下の説明において、アクチュエータ1の本体部3の幅方向をX方向、該幅方向と直交する長さ方向をY方向、本体部3の厚さ方向で伸縮部2の伸縮方向をZ方向として説明することがある。
【0019】
伸縮部2は、一方向(Z方向)に伸縮する第1伸縮部10と、第1伸縮部10と逆方向に伸縮する第2伸縮部20とを有する構成となっている。
本実施形態では、第1伸縮部10は、第2伸縮部20の両側であって、Y方向に並列して、2つ配置される構成となっている。
【0020】
本体部3は、本体部3の外装を形成する筐体4と、筐体4の天壁を形成する蓋体5と、伸縮部2を伸縮駆動させる駆動部(駆動装置)6(後述)とを有する構成となっている。
【0021】
次に、アクチュエータ1の構造について、図2、図3及び図4を参照して説明する。
図2は、蓋体5を除いた本体部3の斜視図を示す。
図3は、図1におけるアクチュエータ1の線視A−A断面図を示す。
図4は、図1におけるアクチュエータ1の線視B−B断面図を示す。
【0022】
駆動部6は、図2に示すように、筐体4の+X方向側に嵌合されたモータ30と、モータ30の回転駆動を受取って、第1伸縮部10(より詳しくは、第2伸縮部20に対して−Y方向側の第1伸縮部10)に該回転駆動を伝動させる輪列機構31とを有する構成となっている。
【0023】
モータ30は、図3に示すように、輪列機構31の下部とウォームギアによって噛合しており、接続されたウォーム30aをY方向に延びる軸線回りに順回転及び逆回転させることによって、回転駆動を輪列機構31に伝動する構成となっている。
輪列機構31は、Z方向に延びる軸線回りに回転自在に筐体4及び蓋体5に嵌合されて、下部にはモータ30のウォーム30aと噛合するウォームホイール31aが設けられ、上部には第1伸縮部10の第1歯車15(後述)に噛合する歯車31bが接続される構成となっている。
【0024】
第1伸縮部10は、図3に示すように、筐体4及び蓋体5を貫通してZ方向に延在しており、歯車31bの回転駆動を受け取る第1伸縮機構12と、該回転駆動を受け取った第1伸縮機構12よってZ方向に伸縮されるロッド(第1長尺部材)11とを有する構成となっている。
【0025】
第1伸縮機構12は、ロッド11を収容する回転部材13と、回転部材13の一端に設けられたナット14と、回転部材13の他端に設けられる第1歯車15とを有する構成となっている。
回転部材13は、中空の円筒形状を有しており、ロッド11を内部に収容可能な構成となっている。
ナット14は、回転部材13の一端(−Z方向側)に一体的に設けられ、内面にネジが設けてあり、ロッド11と螺合する構成となっている。
第1歯車15は、回転部材13のナット14が設けられた他端(+Z方向側)に中央部が回転部材13と嵌合されて一体的に設けられ、筐体4と、蓋体5とに通貫して嵌合するベアリング等を有する軸受部16にZ方向に延びる軸線回りに回転自在に接続される。また、第1歯車15は、輪列機構31の歯車31bと同一の高さに設けられて噛合しており、歯車31bから回転駆動が伝動される構成となっている。
【0026】
ロッド11は、回転部材13の略2倍の尺を有しており、外周側面には、ナット14に螺合可能なネジが設けてある。また、ロッド11の先端には、アクチュエータ1が接続される対象部材と嵌合することが可能な接続部11aが設けられる。
なお、ロッド11は、回転部材13に対してZ方向に移動自在、且つ、回転不能に設けられており、図2に示すように、平面視で第1歯車15が反時計回りに回転すると、回転部材13に対して−Z方向に移動して、逆に、第1歯車15が時計回りに回転すると、回転部材13に対して+Z方向に移動する構成となっている。
【0027】
第2伸縮部20は、図4に示すように、第1伸縮部10と逆向きに筐体4及び蓋体5を貫通してZ方向に延在しており、第1歯車15の回転駆動を受け取る第2伸縮機構22と、該回転駆動受け取った第2伸縮機構22よってZ方向に伸縮されるロッド(第2長尺部材)21とを有する構成となっている。
第2伸縮機構22は、ロッド21を収容する回転部材23と、回転部材23の一端に設けられたナット24と、回転部材23の他端に設けられて第1歯車15と噛合する第2歯車25とを有する構成となっている。
また、ロッド21は、先端に接続部21aが設けられ、回転部材23に対してZ方向に移動自在、且つ、回転不能に設けられており、図2に示すように、平面視で第2歯車25が時計回りに回転すると、回転部材23に対して+Z方向に移動して、逆に、第2歯車25が反時計回りに回転すると、回転部材23に対して−Z方向に移動する構成となっている。
なお、第2伸縮部20は、上述した第1伸縮部10と同一の構成を有しているため、各部材の詳細な説明は割愛する。
【0028】
また、第2伸縮部20は、+Y方向側に設けられたもう一方の第1伸縮部10にも第2歯車25が噛合している。したがって、伸縮部2は、図2に示すように、−Y方向側の第1歯車15、第2歯車25及び+Y方向側の第1歯車15が同期して回転することによって、−Y方向側の第1伸縮部10、第2伸縮部20及び+Y方向側の第1伸縮部10が同期してZ方向に伸縮することが可能となる。
なお、上記構成のアクチュエータ1は、第1歯車15及び第2歯車25が直接噛合ことで、互いに逆回転することを利用して、同一の構成の第1伸縮部10及び第2伸縮部20を互いに逆方向に伸縮させることができる。
【0029】
続いて、上記構成のアクチュエータ1の伸縮動作について説明する。
【0030】
アクチュエータ1を伸長させストロークを出させる場合は、図3に示すように、モータ30を駆動させ、ウォーム30aをY方向に延びる軸線回りに回転駆動させる。
輪列機構31は、ウォーム30aの回転駆動をウォームホイール31aによって伝達し、Z方向に延びる軸線回りの回転駆動に変換させる。そして、輪列機構31は、上部に接続された歯車31bを介して、第1伸縮部10に回転駆動を伝動させる。
【0031】
第1伸縮部10は、第1歯車15で回転駆動を受け取り、回転部材13をZ方向に延びる軸線回り(図2において、平面視で反時計回り)に回転させる。回転部材13が回転することによって、回転部材13の先端に設けられたナット14が一体となって回転駆動して、ナット14と、ナット14と噛合して回転部材13に内包されるロッド11とが相対的に回転駆動することによって、ロッド11を回転部材13に対して−Z方向に移動させることができる。
【0032】
また、このとき、第1歯車15は、第2伸縮部20に設けられた第2歯車25と噛合しているため、同期して第2伸縮部20を図2において、平面視で時計回りに回転させることとなる。
第2伸縮部20は、第2歯車25で回転駆動を受け取り、回転部材23をZ方向に延びる軸線回りに回転させる。回転部材23が回転することによって、回転部材23の先端に設けられたナット24が一体となって回転駆動して、ナット24と、ナット24と噛合して回転部材23に内包されるロッド21とが相対的に回転駆動することによって、ロッド21を回転部材23に対して+Z方向に移動させることができる。
【0033】
さらに、このとき、第2歯車25は、もう一方側(+Y方向側)の第1伸縮部10に設けられた第1歯車15とも噛合しているため、同期してもう一方側の第1伸縮部10を図2において、平面視で反時計回りに回転させることとなる。
もう一方側の第1伸縮部10は、上記した動作を行い、ロッド11を回転部材13に対して−Z方向に移動させることとなる。
【0034】
当該伸長動作によって、アクチュエータ1は、図5に示すように、アクチュエータ1の全長の略2倍のストロークを持つこととなる。
【0035】
逆に、伸長した状態から、アクチュエータ1を縮短させる場合は、モータ30を逆回転させることで、逆回転の回転駆動を伸縮部2に伝動させることとなる。そうすることによって、第1伸縮部10では、第1歯車15が時計回りに回転することでロッド11を+Z方向に移動させ、第2伸縮部20では、第2歯車25が反時計回りに回転することでロッド21を−Z方向に移動させることによって、アクチュエータ1を縮短させることができる。
【0036】
したがって、上述した本実施形態によれば、互いに並行して配置されたロッド11及びロッド21と、回転に応じてロッド11を一方向に伸縮する第1伸縮機構12と、回転に応じてロッド21を第1伸縮機構12と逆方向に伸縮する第2伸縮機構22と、第1伸縮機構12及び第2伸縮機構22を同期して回転させる駆動部6とを備えるという構成を採用することによって、伸縮する長尺部材を並行に各々別軸上に設けて、一つの駆動装置によって伸縮させることできる。つまり、本実施形態では、同軸上に長尺部材が設けられないため、三重構造にする必要は無くなり回転部材による制限を受けないため、長いストロークと強度を確保でき、また、シンプルな構成にすることによりコスト高を避けることができる。
したがって、本実施形態は、コスト高を招くことなく、長いストロークを有して、コンパクトで強度を確保できるアクチュエータ1を提供することができる。
【0037】
また、本実施形態は、第1伸縮機構12は第1歯車15を有し、第2伸縮機構22は第1歯車15と噛合する第2歯車25を有するという構成を採用することによって、第1歯車15及び第2歯車25が直接噛合ことで、互いに逆回転することを利用して、第1伸縮機構12及び第2伸縮機構22を互いに逆方向に伸縮させることができる。また、このような構成により、−Y方向側の第1伸縮部10、第2伸縮部20及び+Y方向側の第1伸縮部10は、別部材にする必要は無く同一部材で良いため、製造時にコスト高になることを抑制することができる。
【0038】
また、本実施形態は、第1伸縮機構12と第2伸縮機構22とは同一構造であり、互いに逆向きになるように設けられるという構成を採用することによって、同一の製造工程で第1伸縮機構12と第2伸縮機構22とが製造できるためコストダウンに寄与することができる。
【0039】
また、本実施形態は、ロッド11とロッド21とは同一構造であるという構成を採用することによって、同一の製造工程で第1長尺部材と第2長尺部材とが製造できるためコストダウンに寄与することができる。
【0040】
また、本実施形態は、ロッド11及びロッド21の一方は、他方を挟んだ逆側にも設けられるという構成を採用することによって、伸縮する長尺部材を別軸であって並行に配置することによって発生するモーメント等を抑制してバランスを確保することができる。本実施形態では、第1伸縮部10を第2伸縮部20の両側に設けることによって重心が中央部に移動してバランスが良くなり、アクチュエータ1が受けるモーメント等を抑制することができる。
【0041】
次に、本発明のアクチュエータ1を用いた別の実施形態について説明する。
図6は、上述したアクチュエータ1を組み込んだ伸縮ユニット100を示す断面図である。伸縮ユニット100は、外装を形成するケーシング110と、ケーシング110内部に接続されたアクチュエータ1とから構成される。
なお、アクチュエータ1は、ケーシング110と接続されることによって、バランスを確保することができるため、第1伸縮部10及び第2伸縮部20が各一つずつ配置される構成となっている。
【0042】
ケーシング(嵌合体)110は、3つの互いに嵌合するケーシング(第1嵌合体)110A、ケーシング110B及びケーシング(第2嵌合体)110Cから形成されており、ケーシング110A〜110Cが互いに摺動することによってZ方向に伸縮可能な構成となっている。
なお、ケーシング110の形状は、中空の直方体形状や、円筒形状等が採用できる。
【0043】
ケーシング110Aは、−Z方向側の一端に位置して、下部にアクチュエータ1の第1伸縮部10(より詳しくは、第1伸縮部10のロッド11の先端に設けられた接続部11a)が接続され、上部にケーシング110Bの内面に沿って摺動するストッパー111Aが外側に向けて突出して形成される。
【0044】
ケーシング110Bは、ケーシング110A及びケーシング110Cを仲介する構成となっており、下部にケーシング110Aの外面に沿って摺動するストッパー111Bが内側に向けて突出して形成され、上部にケーシング110Cの内面に沿って摺動するストッパー112Bが外側に向けて突出して形成される。
なお、ストッパー111Bは、ストッパー111Aの−Z方向であって、摺動経路上に配置される。
【0045】
ケーシング110Cは、+Z方向側の他端に位置して、上部にアクチュエータ1の第2伸縮部20(より詳しくは、第2伸縮部20のロッド21の先端に設けられた接続部21a)が接続され、下部にケーシング110Bの外面に沿って摺動するストッパー111Cが内側に向けて突出して形成される。
なお、ストッパー111Cは、ストッパー112Bの−Z方向であって、摺動経路上に配置される。
【0046】
したがって、アクチュエータ1が伸長すると、ケーシング110は、アクチュエータ1に追従して伸長することとなる。このとき、ストッパー111A,111B,112B,111Cは、ケーシング110A〜110Cの内面又は側面に沿って摺動することで、ケーシング110の摺動をガイドすることができる。また、当該伸長により、ストッパー111A及びストッパー111Bが当接して、且つ、ストッパー112B及びストッパー111Cが当接して係止することによって、伸縮ユニット100の伸長を規制することができる。当該規制によって、伸縮ユニット100の伸長限界幅より伸長して分離又は破損することを防止することができる。
【0047】
上述した別実施形態では、アクチュエータ1が設けられた伸縮ユニット100であって、互いに嵌合して一方向に摺動する複数のケーシング110を有し、上記一方向の一端に位置するケーシング110Aがロッド11に接続され、上記一方向の他端に位置するケーシング110Cがロッド21に接続されるという構成を採用することによって、アクチュエータ1がケーシング110に接続された伸縮ユニット100が得られる。
また、アクチュエータ1は、ケーシング110と接続されることによって、曲げ応力や曲げモーメント等をケーシング110が代わりに受けることで、曲げに対して耐性を得ることができることとなる。
【0048】
また、上述した別実施形態では、ケーシング110は、上記一方向への摺動をガイドし、且つ、伸長を規制するストッパー111A,111B,112B,111Cを有するという構成を採用することによって、ケーシング110の摺動を補助し、且つ、ケーシング110の伸長限界幅より伸長して分離又は破損することを防止することができる。
【0049】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0050】
例えば、上述した本実施形態では、歯車によって回転駆動を伝動すると説明したが、本発明では、ベルトを用いて回転駆動を伝動させる構成であっても良い。
【0051】
また、本発明は、ロッド11及びロッド21は、複数設けられ、ケーシング110の重心を囲うように少なくとも3つの点で三角形の頂点のなす位置に配置されるという構成であっても良い。
この場合、例えば、アクチュエータ1は、第1伸縮部10及び第2伸縮部20を各3つずつ有する構成として、3つの接続部11aでケーシング110Aの重心である中央部を三角形の頂点のなす位置で接続し、3つの接続部21aでケーシング110Cの重心である中央部を三角形の頂点のなす位置で接続することによって、ケーシング110の縁部に負荷がかかる場合であっても、ケーシング110の強度を確保してバランスよく支持することができる。
なお、上記構成において、第1伸縮部10及び第2伸縮部20を複数設けた場合であっても、同一部材であれば、コスト高になることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態におけるアクチュエータの斜視図である。
【図2】本発明の実施形態における蓋体を除いた本体部の斜視図である。
【図3】本発明の実施形態における図1におけるアクチュエータ1の線視A−A断面図である。
【図4】本発明の実施形態における図1におけるアクチュエータ1の線視B−B断面図である。
【図5】本発明の実施形態におけるアクチュエータの斜視図である。
【図6】本発明の実施形態における伸縮ユニットの断面図である。
【符号の説明】
【0053】
1…アクチュエータ、6…駆動部(駆動装置)、11…ロッド(第1長尺部材)、12…第1伸縮機構、15…第1歯車、21…ロッド(第2長尺部材)、22…第2伸縮機構、25…第2歯車、100…伸縮ユニット、110…ケーシング(嵌合体)、110A…ケーシング(第1嵌合体)、110C…ケーシング(第2嵌合体)、111A,111B,112B,111C…ストッパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに並行して配置された第1長尺部材及び第2長尺部材と、
回転に応じて前記第1長尺部材を一方向に伸縮する第1伸縮機構と、
回転に応じて前記第2長尺部材を前記第1伸縮機構と逆方向に伸縮する第2伸縮機構と、
前記第1伸縮機構及び前記第2伸縮機構を同期して回転させる駆動装置とを備えることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
前記第1伸縮機構は第1歯車を有し、前記第2伸縮機構は前記第1歯車と噛合する第2歯車を有することを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記第1伸縮機構と前記第2伸縮機構とは同一構造であり、互いに逆向きになるように設けられることを特徴とする請求項1または2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記第1長尺部材と前記第2長尺部材とは同一構造であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記第1長尺部材及び前記第2長尺部材の一方は、他方を挟んだ逆側にも設けられることを特徴とする請求項1〜4に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のアクチュエータが設けられた伸縮ユニットであって、
互いに嵌合して前記一方向に摺動する複数の嵌合体を有し、
前記一方向の一端に位置する第1嵌合体が前記第1長尺部材に接続され、
前記一方向の他端に位置する第2嵌合体が前記第2長尺部材に接続されることを特徴とする伸縮ユニット。
【請求項7】
前記嵌合体は、前記一方向への摺動をガイドし、且つ、伸長を規制するストッパーを有することを特徴とする請求項6に記載の伸縮ユニット。
【請求項8】
前記第1長尺部材及び前記第2長尺部材は、複数設けられ、前記嵌合体の重心を囲うように少なくとも3つの点で三角形の頂点のなす位置に配置されることを特徴とする請求項6または7に記載の伸縮ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−85247(P2009−85247A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−252346(P2007−252346)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(390029805)THK株式会社 (420)
【Fターム(参考)】