アクティブマトリクス型表示装置
【課題】アクティブマトリクス型表示装置において、ICチップの実装に要する表示部以外の面積を低減し、小型化、狭額縁化を達成する。また、ICチップの実装に伴う信号線の接続不良を低減する。
【解決手段】絶縁表面を有する第1の基板と、第1の基板に対向する絶縁表面を有する第2の基板と、第1の基板及び第2の基板がはめ込まれた外枠と、を有し、第1の基板には、信号線駆動回路、走査線駆動回路、及び画素領域が設けられ、第2の基板には、ロジック回路が設けられ、外枠には、溝、及び溝に形成された配線が設けられ、外枠の溝に形成された配線を介して信号線駆動回路及び走査線駆動回路の電極パッドとロジック回路の電極パッドとが電気的に接続され、画素領域と、ロジック回路が設けられる領域とは重なる。
【解決手段】絶縁表面を有する第1の基板と、第1の基板に対向する絶縁表面を有する第2の基板と、第1の基板及び第2の基板がはめ込まれた外枠と、を有し、第1の基板には、信号線駆動回路、走査線駆動回路、及び画素領域が設けられ、第2の基板には、ロジック回路が設けられ、外枠には、溝、及び溝に形成された配線が設けられ、外枠の溝に形成された配線を介して信号線駆動回路及び走査線駆動回路の電極パッドとロジック回路の電極パッドとが電気的に接続され、画素領域と、ロジック回路が設けられる領域とは重なる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は絶縁表面を有する基板上に薄膜トランジスタ(以下、TFTと表記する)を形成してなるアクティブマトリクス方式の表示部を有する液晶表示装置、EL表示装置その他のアクティブマトリクス型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の半導体装置、特に半導体表示装置を搭載した電子機器の発展はめざましく、その応用例は、ゲーム機、ノートパソコン、携帯電話をはじめとする携帯機器、液晶テレビ、液晶ディスプレイ(液晶表示装置)、OLEDディスプレイ(EL表示装置)等、さまざまである。半導体装置や半導体表示装置は、従来のCRTと比較して軽量薄型化が可能であり、消費電力が小さいことを特徴とする。
【0003】
半導体表示装置としては、画素領域にTFTをマトリクス状に配置したアクティブマトリクス方式の半導体表示装置(アクティブマトリクス型表示装置)が知られている。
【0004】
アクティブマトリクス型表示装置では、画素を駆動する駆動回路(例えば、ゲート信号線駆動回路やソース信号線駆動回路)以外のロジック回路は、画素基板とは別にシリコン基板等上に形成され、画素基板に外付けで実装される。なお、画素基板上のTFTの活性層としてアモルファスシリコン(非晶質珪素膜)を用いて形成するときは、ロジック回路は外付けで実装されることが多いが、活性層をポリシリコン(結晶質珪素膜)を用いて形成する場合、ロジック回路は画素基板上に一体形成することも可能である。
【0005】
なお、本明細書中において、画素基板とは、画素領域が形成された基板を指す。より正確には、各画素に配置されるTFT(画素TFT)が形成される基板を指す。
【0006】
アモルファスシリコンを活性層として用いたTFT(以下、アモルファスTFTとも呼ぶ)によるアクティブマトリクス型表示装置の構成を図4に示す。ゲート信号線駆動回路(走査線駆動回路ともいう)101及びソース信号線駆動回路(信号線駆動回路ともいう)102は、TAB(Tape automated bonding)などの方法によりFPC103に実装され、画素領域100が形成される基板(画素基板)104に外付けされる。ゲート信号線駆動回路101及びソース信号線駆動回路102の制御信号や画像データはFPC103を伝わって外部から入力される。
【0007】
ポリシリコンを活性層として用いたTFT(以下、ポリシリコンTFTとも呼ぶ)によるアクティブマトリクス方式半導体表示装置の構成を図2に示す。ゲート信号線駆動回路203及びソース信号線駆動回路202は画素基板200上に一体形成される。ゲート信号線駆動回路及びソース信号線駆動回路の制御信号や画像データはFPC204を伝って外部から入力される。
【0008】
図3(A)には、従来型のポリシリコンTFTによるアクティブマトリクス型表示装置(具体的にはアクティブマトリクス型液晶表示装置)の一例を示す。ゲート信号線駆動回路302及びソース信号線駆動回路303は、画素領域304が形成された基板300上に一体形成されている。基板300はインターフェース回路305を介してシステムバス310に接続される。基板300とインターフェース回路305はFPC321により電気的に接続される。システムバスにはさらに、画像処理回路306、VRAM307、CPU311、メモリ308及び外部装置と通信するためのインターフェース回路309などが接続されている。
【0009】
なお、VRAMとは画像データを一時的に格納するためのメモリである。また、インターフェース回路とは、信号のフォーマット変換や増幅等の外部装置との通信の仲介をする回路である。
【0010】
図3(B)は、図3(A)に示した線分ABでの断面図を示す。また、画素領域及びゲート信号線駆動回路には複数のTFTが含まれるが、ここでは代表的に、画素領域を形成するnチャネル型TFT、ゲート信号線駆動回路部を形成するnチャネル型TFT及びpチャネル型TFTを図示する。また、アクティブマトリクス方型液晶表示装置には反射型と透過型があるが、ここでは反射型のアクティブマトリクス型液晶表示装置の断面図を示す。
【0011】
図3(B)において、ガラス基板312、対向基板301及びシール剤315により囲まれる空間に液晶314が充填されている。ガラス基板上に形成されるTFTの上には、層間絶縁膜(平坦化膜)318が形成され、その上に画素TFTのドレイン電極と電気的に接続する反射電極317が形成され、その上に配向膜319が形成される。対向基板上には、まず平坦化膜322が形成され、その上に透明電極(ITO)からなる対向電極313、そして配向膜320が形成される。
【0012】
そして矢印で示すように、太陽光や室内灯などの外光が反射電極317に反射し、表示を認識する。これは屋外での使用が多いモバイル製品に用いられている。
【0013】
また低温ポリシリコンプロセスにより形成される液晶表示装置では、ドライバ回路を構成する薄膜TFTは画素スイッチング素子と比較して設計ルールが微細なため、画素スイッチング素子とドライバ回路を、TFT基板と対向基板にそれぞれ分離して形成するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2001−83535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述した表示装置を搭載した電子機器においては、ゲート信号線駆動回路及びソース信号線駆動回路以外のロジック回路は、画素基板とは別の基板に形成され、実装されている。
【0016】
携帯型の電子機器の普及等を背景に、電子機器の小型化が重要な課題となっているが、画素領域とは別に、ICチップを複数実装することが必要となる従来のような構成では小型化が難しい。理由の1つとして、ICチップ内のロジック回路は小さくできても、実装するためのマージンが大きいことが挙げられる。
【0017】
一方、小型化を実現するために実装するためのマージンを減らそうとすると、高度な実装技術が必要となり、コスト面、実装部分での信頼性において問題が生じてくる。
【0018】
本発明では、小型化が可能なアクティブマトリクス型表示装置を提供することを課題とする。また、IC等を基板に接続する際に発生する、接続不良を低減したアクティブマトリクス型表示装置を提供することを課題とする。更に本発明のアクティブマトリクス型表示装置を備えた電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
そこで本発明は、アクティブマトリクス型表示装置において、液晶層又は発光層を挟んで、画素が形成される基板に対向する基板(以下、対向基板と表記する)上にTFTを形成し、所望のロジック回路を作製する。
【0020】
これを実現するために、本発明では画像を画素基板から見る構成とする。つまり、液晶素子を用いる場合には反射型の表示方式を、OLED素子のような発光素子を用いる場合には下面出射方式を採用する。
【0021】
本発明により、従来は外付けであったロジック回路を対向基板上に形成するアクティブマトリクス型表示装置の小型化を実現でき、またアクティブマトリクス型表示装置の狭額縁化も実現することも可能である。また、IC等の実装を大幅に削減することができ、実装面での信頼性が向上する。
【0022】
また、本発明のアクティブマトリクス型表示装置は、装置を構成するロジック回路を対向基板上に形成するため、従来ICと画素基板間を電気的に接続する際に用いられてきた、FPC等の配線容量の大きな方法が避けられるため、消費電力が低減される。
【0023】
なお、絶縁表面を有する基板上にTFTを用いてロジック回路を作製する場合には、シリコン基板上で作製したロジック回路と比較して動作速度が問題になる場合が多い。従って、絶縁表面を有する基板上にTFTを用いてロジック回路を作製する場合には、特に電界効果移動度やしきい値電圧という電気的特性において、優れた特性のTFTを作製することが好ましい。
【0024】
特に高移動度のTFTを必要とする場合には、連続発振レーザを用いた半導体膜の結晶化又は活性化の方法を用いるとよい。このような高移動度のTFTを作製するプロセスを用いることによって、より多様なロジック回路を、絶縁表面を有する基板上に作製することが可能となり、より小型で多様なアクティブマトリクス型表示装置が実現される。
【0025】
また、本発明のアクティブマトリクス型表示装置は、画素(及びソース信号線駆動回路回路やゲート信号線駆動回路等の駆動回路)とロジック回路とを別の基板に作製するために、画素基板と対向基板のそれぞれに対して、最適なTFT構造や回路仕様を採用することができる。例えば、画素基板と対向基板とで、TFTのLDD構造を変えたり、電源電圧を変えたりすることも可能である。
【0026】
なお、画素TFTの活性層に光が入射することにより画質が低下することを避けるために、画素TFTの下部に遮光膜を設けてもよい。
【0027】
なお、本発明のいうアクティブマトリクス型表示装置とは、半導体特性を利用することで機能する装置全般を指し、例えば、液晶表示装置や発光装置に代表される半導体表示装置や、半導体表示部を有する電子機器をその範疇に含む。なお、表示部とは、絶縁表面を有する基板上に電極又は薄膜トランジスタを形成してなる表示部を言い、例えば、液晶表示部、発光表示部その他のアクティブマトリクス型表示部をその範疇に含む。
【0028】
また、本発明のいうロジック回路とは、トランジスタ、容量素子、抵抗素子等の回路素子によって構成された特定の機能を有する電気回路全体を指し、レジスタ、デコーダ、カウンタ、分周回路、メモリ、制御回路、CPU等をその範疇に含む。また、電気回路とロジック回路とは同義で用いる。
【0029】
特に、ロジック回路を、絶縁表面を有する基板上に形成するため、TFTがロジック回路の主な構成素子となる。なおTFTとは、SOI技術を用いて形成されるトランジスタの全体を含む。
【0030】
本発明によって、絶縁表面を有する第1の基板と、前記第1の基板に対向する絶縁表面を有する第2の基板と、を有し、前記第1の基板は複数のトランジスタで構成される画素領域が設けられ、前記第2の基板は複数のトランジスタで構成される電気回路が設けられるアクティブマトリクス型表示装置であって、前記画素領域と、前記電気回路が設けられる領域とは重なることを特徴とするアクティブマトリクス型表示装置が提供される。
【0031】
本発明によって、絶縁表面を有する第1の基板と、前記第1の基板に対向する絶縁表面を有する第2の基板と、を有し、前記第1の基板は複数のトランジスタで構成される画素領域が設けられ、前記第2の基板は複数のトランジスタで構成される電気回路及びソース信号線駆動回路が設けられるアクティブマトリクス型表示装置であって、前記画素領域と、前記電気回路が設けられる領域とは重なることを特徴とするアクティブマトリクス型表示装置が提供される。
【0032】
本発明によって、絶縁表面を有する第1の基板と、前記第1の基板に対向する絶縁表面を有する第2の基板と、を有し、前記第1の基板は複数のトランジスタで構成される画素領域が設けられ、前記第2の基板は複数のトランジスタで構成される電気回路、ソース信号線駆動回路及びゲート信号線駆動回路が設けられるアクティブマトリクス型表示装置であって、前記画素領域と、前記電気回路が設けられる領域とは重なることを特徴とするアクティブマトリクス型表示装置が提供される。
【0033】
本発明によって、絶縁表面を有する第1の基板と、前記第1の基板に対向する絶縁表面を有する第2の基板と、を有し、前記第1の基板は複数のトランジスタで構成される画素領域、ソース信号線駆動回路及びゲート信号線駆動回路が設けられ、前記第2の基板は複数のトランジスタで構成される電気回路が設けられるアクティブマトリクス型表示装置であって、前記画素領域と、前記電気回路が設けられる領域とは重なることを特徴とするアクティブマトリクス型表示装置が提供される。
【0034】
また本発明において、前記第1の基板と前記第2の基板との間には、液晶素子又は発光素子が設けられていてもよい。
【0035】
また本発明において、前記第1の基板に設けられたトランジスタと、前記第2の基板に設けられたトランジスタとは、前記液晶素子又は発光素子を介して対称な構造を有するようにに設けられていてもよい。
【0036】
また本発明において、前記第1の基板上には透明電極が形成されており、前記第2の基板上には反射電極が形成されていてもよい。
【0037】
また本発明において、前記第1の基板上に形成された第1のTFTはLDD構造を有し、すなわちチャネル形成領域と、ソース領域及びドレイン領域との間に低濃度不純物領域を有し、且つ前記第2の基板上に形成された第2のTFTはLDD構造を有さない、すなわちチャネル形成領域とソース領域及びドレイン領域とが接していてもよい。
【0038】
また本発明において、前記第1の基板上に形成されたTFTの第1の駆動電圧と前記第2の基板上に形成されたTFTの第2の駆動電圧とは異なってもよい。
更に、前記第1の駆動電圧は、前記第2の駆動電圧よりも高くてもよい。
【0039】
また本発明において、前記トランジスタは絶縁表面上に設けられた薄膜トランジスタであってもよい。
【0040】
また本発明において、前記電気回路を構成する薄膜トランジスタの活性層は結晶性半導体膜(多結晶半導体膜)を有すると好ましい。
【0041】
また本発明において、前記電気回路を構成する薄膜トランジスタの活性層は結晶性半導体膜を有し、前記結晶性半導体膜は、半導体膜に連続発振レーザ光を照射し、当該レーザ光を前記半導体膜に対して一方向に走査することによって得ると好ましい。
【0042】
また本発明において、前記電気回路を構成する薄膜トランジスタのチャネル長方向と前記レーザ光の走査方向とのなす角は−30°〜30°であると好ましい。
【0043】
また本発明において、前記電気回路を構成する薄膜トランジスタの活性層は結晶性半導体膜を有し、前記結晶性半導体膜を構成する結晶粒は一軸方向に延在することが好ましい。
【0044】
また本発明において、前記電気回路を構成する薄膜トランジスタのチャネル方向と前記一軸方向とのなす角は−30°〜30°であることが好ましい。
【0045】
また本発明において、前記第1の基板又は前記第2の基板は、プラスチック基板、ガラス基板あるいは石英基板のうちのいずれか一つであってもよい。
【0046】
また本発明において、前記第2の基板上には、SRAM、DRAM、フレームメモリ、タイミング生成回路、画像処理回路、CPU、DSP及びマスクROMのいずれかが形成されていてもよい。
【0047】
また本発明において、前記SRAMの読み出しサイクル時間は200nsec以下、前記DRAMの読み出しサイクル時間は1μsec以下、前記画像処理回路の動作周波数は5MHz以上、前記CPUの動作周波数は5MHz以上、前記DSPの動作周波数は5MHz以上であることが好ましい。
【0048】
このように本発明は、画素基板には画素領域だけを設け、更に画素領域上方の対向基板に駆動回路及びロジック回路を形成することにより、画面サイズと同程度の非常に小型のアクティブマトリクス型表示装置、すなわち狭額縁化を達成するアクティブマトリクス型表示装置を実現する事も可能となる。
【発明の効果】
【0049】
本発明ではアクティブマトリクス型表示装置において、対向基板上にTFTを形成し、ロジック回路を作製する。これにより、ロジック回路から成る制御部を表示部と一体化した、小型化された半導体表示システムを実現する。また、画素基板以外のIC基板の実装や基板間を電気的に接続する際のFPCの実装等が不要となるので、これらの実装に関わる諸問題から開放される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明のアクティブマトリクス型表示装置を示す図。
【図2】ゲート信号線駆動回路及びソース信号線駆動回路が画素基板上に形成された従来の表示装置を示す図。
【図3】アクティブマトリクス型表示装置を用いた従来のシステム構成例を示す図。
【図4】ゲート信号線駆動回路及びソース信号線駆動回路が外付けされた従来の表示装置を示す図。
【図5】本発明のアクティブマトリクス型表示装置の作製工程を示す図。
【図6】本発明のアクティブマトリクス型表示装置の作製工程を示す図。
【図7】レーザ照射時の光学系の模式図。
【図8】本発明により得られた結晶性半導体膜のSEM像。
【図9】本発明により得られた結晶性半導体膜のSEM像。
【図10】本発明により得られた半導体膜のラマンスペクトル。
【図11】本発明により得られた半導体膜を用いたTFTの作製工程。
【図12】本発明により得られたTFTの電気的特性。
【図13】本発明により得られた半導体膜を用いたTFTの作製工程。
【図14】本発明により得られたTFTの電気特性。
【図15】本発明により得られたTFTの電気特性。
【図16】本発明により得られたTFTの電気特性。
【図17】本発明のアクティブマトリクス型表示装置の一例を示すブロック図。
【図18】本発明のアクティブマトリクス型表示装置の一例を示すブロック図。
【図19】本発明のアクティブマトリクス型表示装置の一例を示すブロック図。
【図20】本発明のアクティブマトリクス型表示装置の一例を示すブロック図。
【図21】本発明のアクティブマトリクス型表示装置を用いた電子機器を示す図。
【図22】本発明のアクティブマトリクス型表示装置を示す図。
【図23】本発明のアクティブマトリクス型表示装置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0051】
(実施の形態1)
本発明の表示部を有するアクティブマトリクス型表示装置の一形態を、図1を用いて説明する。
【0052】
図1(A)は、液晶層がガラス基板(画素基板)400と対向基板406とによって挟まれてなるアクティブマトリクス方式液晶表示部を有するアクティブマトリクス型表示装置の模式図を示す。図1(A)において、ガラス基板400上には、画素領域401及びゲート信号線駆動回路402が、対向基板406上には、ソース信号線駆動回路403及びロジック回路404が、それぞれ形成されている。また、図1(B)は、図1(A)の面ABCDにおける断面図である。
【0053】
図1(B)において、ガラス基板400上に形成された画素領域401とゲート信号線駆動回路402と、及び対向基板406上に形成されたソース信号線駆動回路403とロジック回路404と、を囲むようにしてシール剤405が設けられている。ガラス基板(画素基板)400とシール剤405と対向基板406とで囲まれた空間に液晶407が充填されている。
【0054】
また、画素領域401と、ゲート信号線駆動回路402、ソース信号線駆動回路403及びロジック回路404は複数のTFTによって主に構成されている。
図1(B)では、ゲート信号線駆動回路を代表してTFT414を、画素領域を代表して画素TFT413を、ソース信号線駆動回路及びロジック回路を代表してTFT415を図示した。
【0055】
本実施の形態では、ガラス基板400上に形成されたゲート信号線駆動回路402に含まれるTFT414には、公知の方法で作製されたpチャネル型TFTあるいはnチャネル型TFTが用いられ、画素TFT413には公知の方法で作製されたnチャネル型TFTが用いられる。
【0056】
ゲート信号線駆動回路402に含まれるTFT414及び画素TFT413上には層間絶縁膜(平坦化膜)416が形成され、その上に画素TFT413のドレインと電気的に接続する画素電極411が形成され、その上に配向膜418が形成される。
【0057】
次に対向基板を用意する。
【0058】
対向基板406上に形成されたソース信号線駆動回路及びロジック回路を代表とするTFT415には、公知の方法、又は高速動作が要求される場合には、連続発振レーザを用いるレーザ結晶化の方法を用いて作製されたpチャネル型TFTあるいはnチャネル型TFTが用いられる。対向基板406上に形成されたTFT415の上には、層間絶縁膜417が形成される。
【0059】
そして、層間絶縁膜417の上に反射電極410、配向膜419が形成される。
【0060】
あるいは、対向基板406に設けられたTFT415について、図1(C)に示すように、ソース信号線駆動回路又はロジック回路を形成するTFT423を対向基板の上面とは反対側の面(液晶材料と接しない側の面)に形成し、TFT423の下部に反射電極420、配向膜421を形成してもよい。すなわち、TFT423をTFT413及びTFT414と同様に活性層の上方にゲート電極を形成し、対向基板406の下部に反射電極420、配向膜421を形成してもよい。
【0061】
こうして用意されたガラス基板400と対向基板406は、シール剤405で貼り合わせる。ガラス基板400と対向基板406の間は、スペーサ(図示せず)により一定の間隔に保たれる。
【0062】
なお、図1では図示していないが、カラーフィルターや偏向板を適宜設ける。
【0063】
以上のようにして、画素電極411、液晶407、及び反射電極410を有する液晶セルが形成される。本実施の形態において、液晶セルの対向基板上には、所望のロジック回路404やソース信号線駆動回路403が形成されている点が特徴である。
【0064】
なお、ロジック回路404としては、タイミングジェネレータ、SRAM、DRAM、画像処理回路、外部インターフェース回路、CPU、DSP、グラフィックアクセラレータ等が挙げられる。
【0065】
また、対向基板と画素基板とに設けられた各TFTや各配線の接続方法としては、公知のどのような方法を用いても良い。例えば、いったんFPCを介して接続しても良いし、画素基板と対向基板上の入出力端子が共に液晶層側に形成されている場合(例えば、図1(B)の場合)には、FPCを介さずに、導電性フィラーを含む異方導電性フィルムによって直接接続してもよい。また、対向基板上の入出力端子が液晶層と反対側に形成されている場合(例えば、図1(C)の場合)には、ワイヤボンディング法等によって接続してもよい。
【0066】
また、対向基板や画素基板間からの他の半導体部品への入出力端子は必要に応じて設けられ、FPC等を介して他の半導体部品と接続される。勿論、入出力端子は基板400及び対向基板406の四辺のどこから取り出しても構わない。また接続方法は公知のどのような方法であってもよい。
【0067】
本実施の形態では、ゲート信号線駆動回路と画素を基板400上に、ソース信号線駆動回路とロジック回路を対向基板406上に形成する場合を示したが、本発明はこれに限定されない。ゲート信号線駆動回路及びソース信号線駆動回路の両方を、ガラス基板(画素基板)400上に形成しても良いし、ゲート信号線駆動回路及びソース信号線駆動回路の両方を、対向基板406上に形成しても良い。あるいは、画素が形成されたガラス基板と対向基板を接続するFPCにTABで実装するというような構成であっても構わない。本発明の半導体装置や半導体表示装置がとり得る形態は様々であるが、本発明の本質は、対向基板の任意の領域に、ソース信号線駆動回路あるいはゲート信号線駆動回路といった駆動回路又は任意のロジック回路を形成する形態にある。
【0068】
特に、画素基板には画素領域だけを設け、更に画素領域上方の対向基板に駆動回路及びロジック回路を形成することにより、画面サイズと同程度の非常に小型、すなわち狭額縁化を達成するアクティブマトリクス型表示装置を実現する事も可能となる。
【0069】
なお、本実施の形態では、表示部を有する電子機器(つまり半導体表示装置)
として、液晶表示部を用いたものを示したが、電界が生じると発光する有機化合物層を、陽極及び陰極で挟んだ構造を有する素子(例えばOLED素子)を、画素ごとに発光素子として用いた発光表示部であってもよい。
【0070】
なお、OLED素子には、一重項励起子から基底状態に遷移する際の発光(蛍光)を利用するものと、三重項励起子から基底状態に遷移する際の発光(燐光)
を利用するものとが含まれる。
【0071】
また、本の実施の形態において、画素基板及び対向基板としてガラス基板を用いてもよいし、TFTの作製工程の処理温度に耐えうるプラスチック基板を用いてもよい。
【0072】
また、本発明の実施の形態において、TFTの構造として、トップゲート型(プレーナー型)、ボトムゲート型(逆スタガ型)、あるいはチャネル領域の上下にゲート絶縁膜を介して配置された2つのゲート電極を有する、デュアルゲート型のいずれの構造とすることも可能である。
【0073】
このように、本発明のアクティブマトリクス型表示装置は、対向基板上にTFTを作製することによって、従来は表示部を構成する基板とは異なる基板上に形成され実装されていたロジック回路を、対向基板上に形成することを特徴とする。その結果、小型のアクティブマトリクス型表示装置を実現する事ができると共に、ICチップ等の実装を大幅に簡略化することが可能となり、実装面での信頼性を向上する事ができる。
【0074】
(実施の形態2)
ガラス基板上にTFTを形成する場合には、主に、活性層としてアモルファスシリコンを用いる場合と、ポリシリコンを用いる場合とがある。ロジック回路の動作速度の観点からは、TFTの電界効果移動度が高いことが好ましく、アモルファスTFTよりもポリシリコンTFTでロジック回路を形成することが好ましい。一方、用途上、ロジック回路の高速動作が必要とならない場合には、簡単なプロセスかつ低コストで形成されるアモルファスTFTを用いることが好ましい。
【0075】
例えば、画素が形成される基板上にゲート信号線駆動回路又はソース信号線駆動回路を一体形成しないならアモルファスTFT、一体形成するならポリシリコンTFTが好ましい。一体形成する例として、画素基板上に画素部、ソース信号線駆動回路及びゲート信号線駆動回路を設け、対向基板にロジック回路を設ければよい。更に対向基板においても、動作速度を考慮して、アモルファスシリコンとポリシリコンを使い分けてもよい。
【0076】
さらに複雑なロジック回路を形成する場合には、必要に応じて、より高い電界効果移動度を実現できるプロセスを用いてTFTを作製することが好ましい。例えば、特開平7−183540号公報において開示されている金属触媒を用いた半導体膜の熱結晶化の方法又は連続発振レーザを用いた半導体膜の結晶化法、更にはそれらを合わせた方法で作製されたTFTを用いることができる。
【0077】
(実施の形態3)
本発明のアクティブマトリクス型表示装置は、画素とロジック回路とを別の基板に作製するために、画素基板と対向基板のそれぞれに対して、最適なTFT構造や回路仕様を採用することができる。本実施の形態では、対向基板上のロジック回路と画素基板上のロジック回路とで、TFT構造や回路の駆動電圧が異なる形態について説明する。
【0078】
通常、画素領域と画素を駆動する駆動回路は、素子に必要な電圧より高い電源電圧を必要とするため、ロジック回路に必要な電源電圧よりも高い場合が多い。
例えば、ロジック回路では3V〜5Vの電源が必要であるのに対して、液晶表示部では16V程度、EL表示部では12V程度が必要となる。
【0079】
本発明において、例えば、対向基板の電源は5V、画素基板の電源は16Vとし、基板によって異なる電源電圧を選択することができる。その場合には、動作電圧による信頼性を考慮して、対向基板上に形成するTFTはシングルドレイン構造とし、画素基板上に形成するTFTはLDDを有する(チャネル形成領域とソース及びドレイン領域との間に低濃度不純物領域を有する)信頼性の高い構造とすることも好ましい。
【0080】
また、対向基板上のTFTと、画素基板上のTFTとにおいて、ゲート構造だけでなく活性層や配線構造を含めて独立に最適化することができる。
【0081】
例えば、対向基板に形成されたロジック回路の駆動周波数が、画素基板上で必要となる駆動周波数より高い場合には、画素基板上では通常のポリシリコンを活性層(活性層は薄膜トランジスタのチャネル形成領域、ソース領域及びドレイン領域を含む)とするTFTを用い、対向基板上では連続発振レーザを用いて結晶化を行った活性層を有するTFTを用いる構成とすることも好ましい。
【0082】
また、例えば、駆動回路は対向基板上に形成し、画素基板上には画素TFTだけを作製する構成とし、画素基板上のTFTはアモルファスシリコンを活性層とするTFTを用い、対向基板上では通常のポリシリコンあるいは連続発振レーザを用いて結晶化を行った活性層を有するTFTを用いる構成とすることも可能である。
【0083】
また、例えば、画素基板上には画素領域と駆動回路を形成し、対向基板上にはCPU等の複雑なロジック回路を形成する場合には、画素基板上ではゲート配線と1層のメタル配線構造とし、対向基板上ではゲート配線と2層以上のメタル配線構造ととすることも好ましい。
【0084】
このように、画素基板上の画素あるいは駆動回路と、対向基板上のロジック回路と、をそれぞれ最適なTFT構造や電源電圧とすることで、処理速度の高速化、アクティブマトリクス型表示装置の高性能化を実現することができる。
【0085】
(実施の形態4)
本明細書ではCMOS回路で構成される駆動回路部と、スイッチング用TFT及び駆動用TFTを有する画素領域(画素部)とが同一基板(画素基板)上に形成された場合の基板を便宜上アクティブマトリクス基板と呼ぶ。そして本実施の形態では、アクティブマトリクス基板の作製工程及びアクティブマトリクス基板を備える液晶表示装置の作製工程について図5、図6を用いて説明する。
【0086】
基板5000は、石英基板の表面に絶縁膜を形成したものを用いる。また本作製工程の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板を用いても良い。
本実施の形態ではバリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス等のガラスからなる基板5000を用いた。
【0087】
次いで、図5(A)に示すように基板5000上に酸化珪素膜、窒化珪素膜又は酸化窒化珪素膜などの絶縁膜から成る下地膜5001を形成する。本実施の形態の下地膜5001は2層構造で形成したが、前記絶縁膜の単層構造又は前記絶縁膜を2層以上積層させた構造であっても良い。
【0088】
本実施の形態では、下地膜5001の1層目として、プラズマCVD法を用いて、SiH4、NH3、及びN2Oを反応ガスとして成膜される窒化酸化珪素膜5001aを10〜200nm(好ましくは50〜100nm)の厚さに形成する。
本実施の形態では、窒化酸化珪素膜5001aを50nmの厚さに形成した。次いで下地膜5001の2層目として、プラズマCVD法を用いて、SiH4及びN2Oを反応ガスとして成膜される酸化窒化珪素膜5001bを50〜200nm(好ましくは100〜150nm)の厚さに形成する。本実施の形態では、酸化窒化珪素膜5001bを100nmの厚さに形成した。
【0089】
続いて、下地膜5001上に半導体層5002〜5005を形成する。半導体層5002〜5005は公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、プラズマCVD法等)により25〜80nm(好ましくは30〜60nm)の厚さで半導体膜を成膜すればよい。次いで前記半導体膜を公知の結晶化法(レーザ結晶化法、RTA又はファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法等)を用いて結晶化させればよい。
【0090】
なおレーザ結晶化法で結晶質半導体膜を作製する場合のレーザは、連続発振又はパルス発振の気体レーザ又は固体レーザを用いれば良い。前者の気体レーザとしては、エキシマレーザ、YAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、Ti:サファイアレーザ等を用いることができる。また後者の固体レーザとしては、Cr、Nd、Er、Ho、Ce、Co、Ti又はTmがドーピングされたYAG、YVO4、YLF、YAlO3などの結晶を使ったレーザを用いることができる。当該レーザの基本波はドーピングする材料によって異なり、1μm前後の基本波を有するレーザ光が得られる。基本波に対する高調波は、非線形光学素子を用いることで得ることができる。なお非晶質半導体膜の結晶化に際し、大粒径に結晶を得るためには、連続発振が可能な固体レーザを用い、基本波の第2高調波〜第4高調波を適用するのが好ましい。代表的には、Nd:YVO4レーザー(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を適用する。
【0091】
また出力10Wの連続発振のYVO4レーザから射出されたレーザ光は、非線形光学素子により高調波に変換する。さらに、共振器の中にYVO4結晶と非線形光学素子を入れて、高調波を射出する方法もある。そして、好ましくは光学系により照射面にて矩形状又は楕円形状のレーザ光に成形して、被処理体に照射する。このときのエネルギー密度は0.01〜100MW/cm2程度(好ましくは0.1〜10MW/cm2)が必要である。そして、10〜2000[cm/s]程度の速度でレーザ光に対して相対的に半導体膜を移動させて照射する。
【0092】
また上記のレーザを用いる場合には、レーザ発振器から放射されたレーザビームを光学系で線状に集光して、半導体膜に照射すると良い。結晶化の条件は適宜設定されるが、エキシマレーザを用いる場合はパルス発振周波数300Hzとし、レーザエネルギー密度を100〜700mJ/cm2(代表的には200〜300mJ/cm2)とすると良い。またYAGレーザを用いる場合には、その第2高調波を用いてパルス発振周波数1〜300Hzとし、レーザエネルギー密度を300〜1000mJ/cm2(代表的には350〜500mJ/cm2)とすると良い。そして幅100〜1000μm(好ましくは幅400μm)で線状に集光したレーザ光を基板全面に渡って照射し、このときの線状ビームの重ね合わせ率(オーバーラップ率)を50〜98%として行っても良い。
【0093】
特に、レーザ結晶化を用いる場合には、連続発振レーザを用いる方法で半導体膜を形成することにより、単結晶半導体を用いたTFTと同程度の電界効果移動度を有するTFTが得られる。
【0094】
なお前記半導体膜としては、非晶質半導体膜、微結晶半導体膜、結晶質半導体膜、又は非晶質珪素ゲルマニウム膜などの非晶質構造を有する化合物半導体膜などを用いてもよい。
【0095】
そこで本実施の形態では、プラズマCVD法を用いて、膜厚55nmの非晶質珪素膜を成膜した。そして、ニッケルを含む溶液を非晶質珪素膜上に保持させ、この非晶質珪素膜に脱水素化(500℃、1時間)を行った後、熱結晶化(550℃、4時間)を行って結晶質珪素膜を形成した。
【0096】
しかしながら本実施の形態では、結晶化を助長する金属元素を用いて非晶質珪素膜の結晶化を行ったため、前記金属元素が結晶質珪素膜中に残留している。そのため、前記結晶質珪素膜上に50〜100nmの非晶質珪素膜を形成し、加熱処理(RTA法やファーネスアニール炉を用いた熱アニール等)を行って、該非晶質珪素膜中に前記金属元素を拡散させ、前記非晶質珪素膜は加熱処理後にエッチングを行って除去する。その結果、前記結晶質珪素膜中の金属元素の含有量を低減又は除去することができる。その後、フォトリソグラフィ法を用いたパターニング処理によって半導体層5002〜5005を形成した。
【0097】
なお半導体層5002〜5005を形成した後、TFTのしきい値を制御するために微量な不純物元素(ボロン又はリン)のドーピングを行ってもよい。
【0098】
次いで、半導体層5002〜5005を覆うゲート絶縁膜5006を形成する。ゲート絶縁膜5006はプラズマCVD法やスパッタ法を用いて、膜厚を40〜150nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。本実施の形態では、ゲート絶縁膜5006としてプラズマCVD法により酸化窒化珪素膜を115nmの厚さに形成した。勿論、ゲート絶縁膜5006は酸化窒化珪素膜に限定されるものでなく、他の珪素を含む絶縁膜を単層又は積層構造として用いても良い。
【0099】
なおゲート絶縁膜5006として酸化珪素膜を用いる場合には、プラズマCVD法でTEOS(Tetraethyl Orthosilicate)とO2とを混合し、反応圧力40Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波(13.56MHz)電力密度0.5〜0.8W/cm2で放電させて形成しても良い。上記の工程により作製される酸化珪素膜は、その後400〜500℃の熱アニールによって、ゲート絶縁膜5006として良好な特性を得ることができる。
【0100】
次いで、ゲート絶縁膜5006上に膜厚20〜100nmの第1の導電膜5007と、膜厚100〜400nmの第2の導電膜5008とを積層形成する。本実施の形態では、膜厚30nmのTaN膜からなる第1の導電膜5007と、膜厚370nmのW膜からなる第2の導電膜5008を積層形成した。
【0101】
本実施の形態では、第1の導電膜5007であるTaN膜はスパッタ法で形成し、Taのターゲットを用いて、窒素を含む雰囲気内でスパッタ法により形成した。また第2の導電膜5008であるW膜は、Wのターゲットを用いたスパッタ法により形成した。その他に6フッ化タングステン(WF6)を用いる熱CVD法で形成することもできる。いずれにしてもゲート電極として使用するためには低抵抗化を図る必要があり、W膜の抵抗率は20μΩcm以下にすることが望ましい。W膜は結晶粒を大きくすることで低抵抗率化を図ることができるが、W膜中に酸素などの不純物元素が多い場合には結晶化が阻害され高抵抗化する。従って、本実施の形態では、高純度のW(純度99.9999%)のターゲットを用いたスパッタ法で、さらに成膜時に気相中からの不純物の混入がないように十分配慮してW膜を形成することにより、抵抗率9〜20μΩcmを実現することができた。
【0102】
なお本実施の形態では、第1の導電膜5007をTaN膜、第2の導電膜5008をW膜としたが、第1の導電膜5007及び第2の導電膜5008を構成する材料は特に限定されない。第1の導電膜5007及び第2の導電膜5008は、Ta、W、Ti、Mo、Al、Cu、Cr、Ndから選択された元素、又は前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成してもよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶珪素膜に代表される半導体膜やAgPdCu合金で形成してもよい。
【0103】
次いで、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスク5009を形成し、電極及び配線を形成するための第1のエッチング処理を行う。第1のエッチング処理では第1及び第2のエッチング条件で行う。(図5(B))
【0104】
本実施の形態では第1のエッチング条件として、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング用ガスにCF4とCl2とO2とを用い、それぞれのガス流量比を25:25:10sccmとし、1.0Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを行った。基板側(試料ステージ)にも150WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加した。そしてこの第1のエッチング条件によりW膜をエッチングして第1の導電層5007の端部をテーパー形状とした。
【0105】
続いて、レジストからなるマスク5009を除去せずに第2のエッチング条件に変更し、エッチング用ガスにCF4とCl2とを用い、それぞれのガス流量比を30:30sccmとし、1.0Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して15秒程度のエッチングを行った。基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加した。第2のエッチング条件では第1の導電層5007及び第2の導電層5008とも同程度にエッチングが行われた。なお、ゲート絶縁膜5006上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させると良い。
【0106】
上記の第1のエッチング処理では、レジストからなるマスクの形状を適したものとすることによる基板側に印加するバイアス電圧の効果により、第1の導電層5007及び第2の導電層5008の端部がテーパー形状となる。こうして、第1のエッチング処理により第1の導電層5007と第2の導電層5008から成る第1の形状の導電層5010〜5014を形成した。ゲート絶縁膜5006においては、第1の形状の導電層5010〜5014で覆われない領域が20〜50nm程度エッチングされたため、膜厚が薄くなった領域が形成された。
【0107】
次いで、レジストからなるマスク5009を除去せずに第2のエッチング処理を行う。(図5(C))第2のエッチング処理では、エッチングガスにSF6とCl2とO2を用い、それぞれのガス流量比を24:12:24sccmとし、1.3Paの圧力でコイル側の電力に700WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して25秒程度のエッチングを行った。基板側(試料ステージ)にも10WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加した。
こうして、W膜を選択的にエッチングして、第2の形状の導電層5015〜5019を形成した。このとき、第1の導電層5015a〜5018aは、ほとんどエッチングされない。
【0108】
そして、レジストからなるマスク5009を除去せずに第1のドーピング処理を行い、半導体層5002〜5005にN型を付与する不純物元素を低濃度に添加する。第1のドーピング処理はイオンドープ法又はイオン注入法で行えば良い。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1013〜5×1014/cm2とし、加速電圧を40〜80keVとして行う。本実施の形態ではドーズ量を5.0×1013/cm2とし、加速電圧を50keVとして行った。N型を付与する不純物元素としては、15族に属する元素を用いれば良く、代表的にはリン(P)又は砒素(As)を用いられるが、本実施の形態ではリン(P)を用いた。この場合、第2の形状の導電層5015〜5019がN型を付与する不純物元素に対するマスクとなって、自己整合的に第1の不純物領域(N--領域)5020〜5023を形成した。そして第1の不純物領域5020〜5023には1×1018〜1×1020/cm3の濃度範囲でN型を付与する不純物元素が添加された。
【0109】
続いてレジストからなるマスク5009を除去した後、新たにレジストからなるマスク5024を形成して、第1のドーピング処理よりも高い加速電圧で第2のドーピング処理を行う。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1013〜3×1015/cm2とし、加速電圧を60〜120keVとして行う。本実施の形態では、ドーズ量を3.0×1015/cm2とし、加速電圧を65keVとして行った。第2のドーピング処理は第2の導電層5015b〜5019bを不純物元素に対するマスクとして用い、第1の導電層5015a〜5019aのテーパー部の下方の半導体層に不純物元素が添加されるようにドーピングを行う。続いて第2のドーピング処理より加速電圧を下げて第3のドーピング処理を行う。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1015〜1×1017/cm2とし、加速電圧を50〜100keVとして行う。
【0110】
上記の第2及び第3のドーピング処理を行った結果、図5(D)に示すように、第1の導電層と重なる第2の不純物領域(N−領域、Lov領域)5026には1×1018〜5×1019/cm3の濃度範囲でN型を付与する不純物元素を添加された。また第3の不純物領域(N+領域)5025、5028には1×1019〜5×1021/cm3の濃度範囲でN型を付与する不純物元素を添加された。また、第1、第2のドーピング処理を行った後、半導体層5002〜5005において、不純物元素が全く添加されない領域又は微量の不純物元素が添加された領域が形成された。本実施の形態では、不純物元素が全く添加されない領域又は微量の不純物元素が添加された領域をチャネル領域5027、5030とよぶ。また前記第1のドーピング処理により形成された第1の不純物領域(N--領域)5020〜5023のうち、第2のドーピング処理においてレジスト5024で覆われていた領域が存在するが、本実施の形態では、引き続き第1の不純物領域(N--領域、LDD領域)5029とよぶ。
【0111】
なお本実施の形態では、第2乃び3のドーピング処理により、第2の不純物領域(N−領域)5026及び第3の不純物領域(N+領域)5025、5028を形成したが、これに限定されない。ドーピング処理を行う条件を適宜変えて、1回あるいは複数回のドーピング処理で形成しても良い。
【0112】
次いで図6(A)に示すように、レジストからなるマスク5024を除去した後、新たにレジストからなるマスク5031を形成する。その後、第4のドーピング処理を行う。第4のドーピング処理により、Pチャネル型TFTの活性層となる半導体層に、前記第1の導電型とは逆の導電型を付与する不純物元素が添加された第4の不純物領域(P+領域)及び第5の不純物領域(P−領域)が形成される。本実施の形態の第4のドーピング処理では、ジボラン(B2H6)を用いたイオンドープ法で形成する。イオンドープ法の条件としては、ドーズ量を1×1016/cm2とし、加速電圧を80keVとした。そして第2の導電層5016b、5018bを不純物元素に対するマスクとして、P型を付与する不純物元素を添加し、自己整合的に第4の不純物領域(P+領域)5032、5034及び第5の不純物領域(P−領域)5033、5035を形成する。
【0113】
なお、第4のドーピング処理の際には、Nチャネル型TFTを形成する半導体層はレジストからなるマスク5031によって覆われている。
【0114】
ここで、第1乃至第3のドーピング処理によって、第4の不純物領域(P+領域)5032、5034及び第5の不純物領域(P−領域)5033、5035にはそれぞれリンが添加されている。しかし、第4の不純物領域(P+領域)5032、5034及び第5の不純物領域(P−領域)5033、5035のいずれの領域においても、第4のドーピング処理によって、P型を付与する不純物元素の濃度が1×1019〜5×1021/cm3となるようにドーピング処理される。こうして、第4の不純物領域(P+領域)5032、5034及び第5の不純物領域(P−領域)5033、5035は、Pチャネル型TFTのソース領域及びドレイン領域として問題なく機能する。
【0115】
なお本実施の形態では、第4のドーピング処理のみにより、第4の不純物領域(P+領域)5032、5034及び第5の不純物領域(P−領域)5033、5035を形成したが、これに限定されない。ドーピング処理を行う条件を適宜変えて、複数回のドーピング処理で形成しても良い。
【0116】
次いで図6(B)に示すように、レジストからなるマスク5031を除去して第1の層間絶縁膜5036を形成する。この第1の層間絶縁膜5036としては、プラズマCVD法又はスパッタ法を用い、厚さを100〜200nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。本実施の形態では、プラズマCVD法により膜厚100nmの酸化窒化珪素膜を形成した。勿論、第1の層間絶縁膜5036は酸化窒化珪素膜に限定されるものでなく、他の珪素を含む絶縁膜を単層又は積層構造として用いても良い。
【0117】
次いで、図6(C)に示すように、加熱処理(熱処理)を行って、半導体層の結晶性の回復、半導体層に添加された不純物元素の活性化を行う。この加熱処理はファーネスアニール炉を用いる熱アニール法で行う。熱アニール法としては、酸素濃度が1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下の窒素雰囲気中、400〜700℃で行えばよく、本実施の形態では410℃、1時間の熱処理で活性化処理を行った。なお、熱アニール法の他に、レーザアニール法、又はラピッドサーマルアニール法(RTA法)を適用することができる。
【0118】
また、第1の層間絶縁膜5036を形成する前に加熱処理を行っても良い。ただし、第1の導電層5015a〜5019a及び、第2の導電層5015b〜5019bを構成する材料が熱に弱い場合には、本実施の形態のように配線等を保護するため第1の層間絶縁膜5036(珪素を主成分とする絶縁膜、例えば窒化珪素膜)を形成した後で熱処理を行うことが好ましい。
【0119】
上記の様に、第1の層間絶縁膜5036(珪素を主成分とする絶縁膜、例えば窒化珪素膜)を形成した後に熱処理することにより、活性化処理と同時に、半導体層の水素化も行うことができる。水素化の工程では、第1の層間絶縁膜5036に含まれる水素により半導体層のダングリングボンドが終端される。
【0120】
なお、活性化処理のための加熱処理とは別に、水素化のための加熱処理を行っても良い。
【0121】
ここで、第1の層間絶縁膜5036の存在に関係なく、半導体層を水素化することもできる。水素化の他の手段として、プラズマにより励起された水素を用いる手段(プラズマ水素化)や、3〜100%の水素を含む雰囲気中において、300〜450℃で1〜12時間の加熱処理を行う手段でも良い。
【0122】
次いで、第1の層間絶縁膜5036上に、第2の層間絶縁膜5037を形成する。第2の層間絶縁膜5037としては、無機絶縁膜を用いることができる。例えば、CVD法によって形成された酸化珪素膜や、SOG(Spin On Glass)法によって塗布された酸化珪素膜等を用いることができる。また、第2の層間絶縁膜5037として、有機絶縁膜を用いることができる。例えば、ポリイミド、ポリアミド、BCB(ベンゾシクロブテン)、アクリル等の膜を用いることができる。
また、アクリル膜と酸化窒化珪素膜の積層構造を用いても良い。
【0123】
本実施の形態では、膜厚1.6μmのアクリル膜を形成した。第2の層間絶縁膜5037によって、基板上5000に形成されたTFTによる凹凸を緩和し、平坦化することができる。特に、第2の層間絶縁膜5037は平坦化の意味合いが強いので、平坦性に優れた膜が好ましい。
【0124】
次いで、ドライエッチング又はウエットエッチングを用い、第2の層間絶縁膜5037、第1の層間絶縁膜5036、及びゲート絶縁膜5006をエッチングし、第3の不純物領域5025、5028、第4の不純物領域5032、5034に達するコンタクトホールを形成する。
【0125】
続いて、各不純物領域とそれぞれ電気的に接続する配線5038〜5041及び画素電極5042を形成する。なお、これらの配線は、膜厚50nmのTi膜と、膜厚500nmの合金膜(AlとTiの合金膜)との積層膜をパターニングして形成する。もちろん、二層構造に限らず、単層構造でも良いし、三層以上の積層構造にしても良い。また、配線材料としては、AlとTiに限らない。例えば、TaN膜上にAl膜やCu膜を形成し、さらにTi膜を形成した積層膜をパターニングして配線を形成しても良いが、反射性に優れた材料を用いることが望ましい。
【0126】
続いて、画素電極5042を少なくとも含む部分上に配向膜5043を形成しラビング処理を行う。なお、本実施の形態では配向膜5043を形成する前に、アクリル樹脂膜等の有機樹脂膜をパターニングすることによって基板間隔を保持するための柱状のスペーサ5045を所望の位置に形成した。また、柱状のスペーサに代えて、球状のスペーサを基板全面に散布してもよい。また、配向膜5043を形成する前に、適宜カラーフィルターを形成してもよい。
【0127】
次いで、ロジック回路を形成した対向基板5046を用意する。
【0128】
ガラス基板5000上に下地膜形成、半導体層形成、ゲート絶縁膜形成、第1及び第2の導電層形成、第1及び第2のエッチング処理、第1乃至第4のドーピング処理、第1及び第2の層間絶縁膜形成、配線、コンタクトホール形成が施されたのと同様な方法で、あるいは必要に応じて以下の実施の形態5及び6に示す方法で形成した半導体膜を用いて、対向基板5046上にTFTが作製される。
【0129】
次いで、平坦化膜5050上に反射電極5051を少なくとも画素領域に形成し、対向基板の全面に配向膜5052を形成し、ラビング処理を施した。
【0130】
そして、画素領域と駆動回路が形成されたアクティブマトリクス基板と対向基板とをシール材5044で貼り合わせる。シール材5044にはフィラーが混入されていて、このフィラーと柱状スペーサによって均一な間隔を持って2枚の基板が貼り合わせられる。その後、両基板の間に液晶材料5053を注入し、封止剤(図示せず)によって完全に封止する。液晶材料5053には公知の液晶材料を用いれば良い。このようにして図6(D)に示す液晶表示装置が完成する。そして、必要があれば、アクティブマトリクス基板又は対向基板を所望の形状に分断する。さらに、偏光板及びFPC(図示せず)を貼りつけてもよい。
【0131】
なお、本実施の形態は実施の形態1乃至3と組み合わせて実施することが可能である。
【0132】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明のアクティブマトリクス型表示装置が有するTFTの半導体からなる活性層を作製する上で、半導体膜を結晶化する手法の例を示す。
【0133】
ガラス基板上に下地膜として、プラズマCVD法により酸化窒化珪素膜(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)400nmを形成した。続いて、前記下地膜上に半導体膜として、プラズマCVD法により非晶質珪素膜150nmを形成した。そして、500℃で3時間の熱処理を行って、半導体膜が含有する水素を放出させた後、レーザアニール法により半導体膜の結晶化を行った。
【0134】
レーザアニール法に用いるレーザとしては、連続発振のYVO4レーザを用いた。レーザアニール法の条件は、レーザ光としてYVO4レーザの第2高調波(波長532nm)を用いた。レーザ光を光学系により所定の形状のビームとして、基板表面上に形成した半導体膜を照射した。
【0135】
なお、基板上に照射されるビームの形状は、レーザの種類や、光学系によって変化させることができる。こうして、基板上に照射されるビームのアスペクト比やエネルギー密度の分布を変えることができる。例えば、基板上に照射されるビームの形状は、線状、矩形状、楕円状など、様々な形状とすることができる。本実施の形態では、YVO4レーザの第2高調波を、光学系によって200μm×50μmの楕円状にし、半導体膜に照射した。
【0136】
ここで、レーザ光を基板表面上に形成した半導体膜に照射する際に用いる、光学系の模式図を図7に示す。
【0137】
レーザ701から射出されたレーザ光(YVO4レーザの第2高調波)は、ミラー702を経由して、凸レンズ703に入射する。レーザ光は凸レンズ703に対して斜めに入射させる。このようにすることで、非点収差などの収差により焦点位置がずれ、照射面又はその近傍において楕円状ビーム706を形成することができる。
【0138】
そして、このようにして形成される楕円状ビーム706を照射しながら、例えば707で示す方向又は708で示す方向にガラス基板705を移動させた。こうして、ガラス基板705上に形成された半導体膜704において、楕円状ビーム706を相対的に移動させながら照射した。
【0139】
なお、楕円状ビーム706の相対的な走査方向は、楕円状ビーム706の長軸に垂直な方向とした。
【0140】
本実施の形態では、凸レンズ703に対するレーザ光の入射角φを約20°として200μm×50μmの楕円状ビームを形成し、ガラス基板705を50cm/sの速度で移動させながら照射して、半導体膜の結晶化を行った。
【0141】
このようにして得られた結晶性半導体膜にセコエッチングを行って、SEMにより500倍にて表面を観察した結果を図8に示す。なお、セコエッチングにおけるセコ液はHF:H2O=2:1に添加剤としてK2Cr2O7を用いて作製されるものである。図8は、図中の矢印で示す方向にレーザ光を相対的に走査させて得られたものである。レーザ光の走査方向に平行に大粒径の結晶粒が形成されている様子がわかる。つまり、レーザ光の走査方向に対して延在するように結晶成長がなされる。
【0142】
このように、本実施の形態の手法を用いて結晶化を行った半導体膜には大粒径の結晶粒が形成されている。そのため、前記半導体膜を半導体活性層として用いてTFTを作製すると、前記TFTのチャネル形成領域に含まれる結晶粒界の本数を少なくすることができる。また、個々の結晶粒の内部は実質的に単結晶と見なせる結晶性を有することから、単結晶半導体を用いたトランジスタと同等の高いモビリティ(電界効果移動度)を得ることも可能である。
【0143】
さらに、TFTをそのキャリアの移動方向が、形成された結晶粒の延在する方向と揃うように配置すれば、キャリアが結晶粒界を横切る回数を極端に減らすことができる。そのため、オン電流値(TFTがオン状態にある時に流れるドレイン電流値)、オフ電流値(TFTがオフ状態にある時に流れるドレイン電流値)
、しきい値電圧、S値及び電界効果移動度のバラツキを低減することも可能となり、電気的特性は著しく向上する。
【0144】
なお、半導体膜の広い範囲に楕円状ビーム706を照射するため、楕円状ビーム706をその長軸に垂直な方向に走査して半導体膜に照射する動作(以下、スキャンと表記する)を、複数回行っている。ここで、1回のスキャン毎に、楕円状ビーム706の位置は、その長軸に平行な方向にずらされる。また、連続するスキャン間では、その走査方向を逆にする。ここで、連続する2回のスキャンにおいて、一方を往路のスキャン、もう一方を復路のスキャンと呼ぶことにする。
【0145】
楕円状ビーム706の位置を、1回のスキャン毎にその長軸に平行な方向にずらす大きさを、ピッチdと表現する。また、往路のスキャンにおいて、図8に示したような大粒径の結晶粒が形成された領域の、楕円状ビーム706の走査方向に垂直な方向の長さを、D1と表記する。復路のスキャンにおいて、図8に示したような大粒径の結晶粒が形成された領域の、楕円状ビーム706の走査方向に垂直な方向の長さを、D2と表記する。また、D1とD2の平均値を、Dとする。
【0146】
このとき、オーバーラップ率RO.L[%]を式1で定義する。
【0147】
RO.L=(1−d/D)×100・・・式1
【0148】
本実施の形態では、オーバーラップ率RO.Lを0[%]とした。
【0149】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明のアクティブマトリクス型表示装置が有するTFTの半導体からなる活性層を作製する上で、半導体膜を結晶化する手法において、実施の形態5とは異なる例を示す。
【0150】
半導体膜として非晶質珪素膜を形成するまでの工程は、実施の形態5と同様である。その後、特開平7−183540号公報に記載された方法を利用し、前記半導体膜上にスピンコート法にて酢酸ニッケル水溶液(重量換算濃度5ppm、体積10ml)を塗布し、500℃の窒素雰囲気で1時間、550℃の窒素雰囲気で12時間の熱処理を行った。続いて、レーザアニール法により、半導体膜の結晶性の向上を行った。
【0151】
レーザアニール法に用いるレーザとしては、連続発振のYVO4レーザを用いた。レーザアニール法の条件は、レーザ光としてYVO4レーザの第2高調波(波長532nm)を用い、図7で示した光学系における凸レンズ703に対するレーザ光の入射角φを約20°として、200μm×50μmの楕円状ビームを形成した。ガラス基板705を50cm/sの速度で移動させながら、前記楕円ビームを照射して、半導体膜の結晶性の向上を行った。
【0152】
なお、楕円状ビーム706の相対的な走査方向は、楕円状ビーム706の長軸に垂直な方向とした。
【0153】
このようにして得られた結晶性半導体膜にセコエッチングを行って、SEMにより500倍にて表面を観察した。その結果を図9に示す。図9は、図中の矢印で示す方向にレーザ光を相対的に走査させて得られたものであり、走査方向に対して延在して大粒径の結晶粒が形成されている様子がわかる。
【0154】
このように、本実施の形態を用いて結晶化を行った半導体膜には大粒径の結晶粒が形成されているため、前記半導体膜を用いてTFTを作製すると、そのチャネル形成領域に含まれる結晶粒界の本数を少なくすることができる。また、個々の結晶粒は実質的に単結晶と見なせる結晶性を有することから、単結晶半導体を用いたトランジスタと同等の高いモビリティ(電界効果移動度)を得ることも可能である。
【0155】
さらに、形成された結晶粒が一方向に揃っている。そのため、TFTを、そのキャリアの移動方向が、形成された結晶粒の延在する方向と揃うように配置すれば、キャリアが結晶粒界を横切る回数を極端に減らすことができる。そのため、オン電流値、オフ電流値、しきい値電圧、S値及び電界効果移動度のバラツキを低減することも可能となり、電気的特性は著しく向上する。
【0156】
なお、半導体膜の広い範囲に楕円状ビーム706を照射するため、楕円状ビーム706をその長軸に垂直な方向に走査して半導体膜に照射する動作(スキャン)を、複数回行っている。ここで、1回のスキャン毎に、楕円状ビーム706の位置は、その長軸に平行な方向にずらされる。また、連続するスキャン間では、その走査方向を逆にする。すなわち実施の形態5と同様に、連続する2回のスキャンにおいて、一方を往路のスキャン、もう一方を復路のスキャンと呼ぶ。
【0157】
楕円状ビーム706の位置を、1回のスキャン毎にその長軸に平行な方向にずらす大きさを、ピッチdと表現する。また、往路のスキャンにおいて、図9に示したような大粒径の結晶粒が形成された領域の、楕円状ビーム706の走査方向に垂直な方向の長さを、D1と表記する。復路のスキャンにおいて、図9に示したような大粒径の結晶粒が形成された領域の、楕円状ビーム106の走査方向に垂直な方向の長さを、D2と表記する。また、D1とD2の平均値を、Dとする。
【0158】
このとき、式1と同様に、オーバーラップ率RO.L[%]を定義する。本実施の形態では、オーバーラップ率RO.Lを0[%]とした。
【0159】
また、上記結晶化の手法によって得られた半導体膜(図中、Improved CG−Siliconと表記)のラマン散乱分光の結果を図10に太線で示す。ここで、比較のため、単結晶シリコン(図中、ref.(100)Si Waferと表記)のラマン散乱分光の結果を細線で示した。また、非晶質珪素膜を形成後、熱処理を行って半導体膜が含有する水素を放出させた後、パルス発振のエキシマレーザを用い結晶化を行った半導体膜(図中、excimer laser annealingと表記)のラマン散乱分光の結果を図10に点線で示した。
【0160】
本実施の形態の手法によって得られた半導体膜のラマンシフトは、517.3cm-1のピークを有する。また、半値幅は、4.96cm-1である。一方、単結晶シリコンのラマンシフトは、520.7cm-1のピークを有する。また、半値幅は、4.44cm-1である。パルス発振のエキシマレーザを用い結晶化を行った半導体膜のラマンシフトは、516.3cm-1である。また、半値幅は、6.16cm-1である。
【0161】
図10の結果により、本実施の形態に示した結晶化の手法によって得られた半導体膜の結晶性が、パルス発振のエキシマレーザを用い結晶化を行った半導体膜の結晶性と比べて、単結晶シリコンに近いことがわかる。
【0162】
(実施の形態7)
本実施の形態では、実施の形態5に示した手法によって結晶化した半導体膜を用いてTFTを作製した例について、図11を用いて説明し、更にそれらTFTの電気的特性について、図12を用いて説明する。
【0163】
本実施の形態では基板20として、ガラス基板を用い、ガラス基板上に下地膜21として、プラズマCVD法により酸化窒化珪素膜(組成比Si=32%、O=27%、N=24%、H=17%)50nm、酸化窒化珪素膜(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)100nmを積層した。次いで、下地膜21上に半導体膜22として、プラズマCVD法により非晶質珪素膜150nmを形成した。そして、500℃で3時間の熱処理を行って、半導体膜が含有する水素を放出させた。(図11(A))
【0164】
その後、レーザ光として連続発振のYVO4レーザの第2高調波(波長532nm、5.5W)を用い、図7で示した光学系における凸レンズ703に対するレーザ光の入射角φを約20°として200μm×50μmの楕円状ビームを形成した。前記楕円ビームを、50cm/sの速度で相対的に走査して、半導体膜23に照射した。(図11(B))
【0165】
そして、第1のドーピング処理を行う。これはしきい値を制御するためのチャネルドープである。材料ガスとしてB2H6を用い、ガス流量30sccm、電流密度0.05μA、加速電圧60keV、ドーズ量1×1014/cm2として行った。(図11(C))
【0166】
続いて、パターニングを行って、半導体膜24を所望の形状にエッチングした後、エッチングされた半導体膜を覆うゲート絶縁膜27としてプラズマCVD法により膜厚115nmの酸化窒化珪素膜を形成する。次いで、ゲート絶縁膜27上に導電膜として膜厚30nmのTaN膜28と、膜厚370nmのW膜29を積層形成する。(図11(D))
【0167】
フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスク(図示せず)を形成して、W膜、TaN膜、ゲート絶縁膜をエッチングする。
【0168】
そして、レジストからなるマスクを除去し、新たにマスク33を形成して第2のドーピング処理を行い、半導体膜にn型を付与する不純物元素を導入する。この場合、導電層30、31がn型を付与する不純物元素に対するマスクとなり、自己整合的に不純物領域34が形成される。本実施の形態では第2のドーピング処理は、半導体膜の膜厚が150nmと厚いため2条件に分けて行った。本実施の形態では、材料ガス(原料ガス)としてフォスフィン(PH3)を用い、ドーズ量を2×1013/cm2とし、加速電圧を90keVとして行った後、ドーズ量を5×1014/cm2とし、加速電圧を10keVとして行った。(図11(E))
【0169】
次いで、レジストからなるマスク33を除去した後、新たにレジストからなるマスク35を形成して第3のドーピング処理を行う。第3のドーピング処理により、pチャネル型TFTの活性層となる半導体膜に前記一導電型とは逆の導電型を付与する不純物元素が添加された不純物領域36を形成する。導電層30、31を不純物元素に対するマスクとして用い、p型を付与する不純物元素を添加して自己整合的に不純物領域36を形成する。本実施の形態では第3のドーピング処理においても、半導体膜の膜厚が150nmと厚いため2条件に分けて行った。本実施の形態では、材料ガスとしてジボラン(B2H6)を用い、ドーズ量を2×1013/cm2とし、加速電圧を90keVとして行った後、ドーズ量を1×1015/cm2とし、加速電圧を10keVとして行った。(図11(F))
【0170】
以上までの工程で、それぞれの半導体層に不純物領域34、36が形成される。
【0171】
次いで、レジストからなるマスク35を除去して、プラズマCVD法により第1の層間絶縁膜37として膜厚50nmの酸化窒化珪素膜(組成比Si=32.8%、O=63.7%、N=3.5%)を形成した。
【0172】
次いで、熱処理により、半導体層の結晶性の回復、それぞれの半導体層に添加された不純物元素の活性化を行う。本実施の形態ではファーネスアニール炉を用いた熱アニール法により、窒素雰囲気中にて550度4時間の熱処理を行った。
(図11(G))
【0173】
次いで、第1の層間絶縁膜37上に無機絶縁膜材料又は有機絶縁物材料から成る第2の層間絶縁膜38を形成する。本実施の形態では、CVD法により膜厚50nmの窒化珪素膜を形成した後、膜厚400nmの酸化珪素膜を形成した。
【0174】
そして、熱処理を行うと水素化処理を行うことができる。本実施の形態では、ファーネスアニール炉を用い、410度で1時間、窒素雰囲気中にて熱処理を行った。
【0175】
続いて、各不純物領域とそれぞれ電気的に接続する配線39を形成する。本実施の形態では、膜厚50nmのTi膜と、膜厚500nmのAl―Si膜と、膜厚50nmのTi膜との積層膜をパターニングして形成した。もちろん、二層構造に限らず、単層構造でもよいし、三層以上の積層構造にしてもよい。また、配線の材料としては、AlとTiに限らない。例えば、TaN膜上にAlやCuを形成し、さらにTi膜を形成した積層膜をパターニングして配線を形成してもよい。(図11(H))
【0176】
以上の様にして、チャネル長6μm、チャネル幅4μmのnチャネル型TFT51とpチャネル型TFT52が形成された。
【0177】
これらの電気的特性を測定した結果を図12に示す。nチャネル型TFT51の電気的特性を図12(A)に、pチャネル型TFT52の電気的特性を図12(B)に示す。電気的特性の測定条件は、測定点をそれぞれ2点とし、ゲート電圧Vg=−16〜16Vの範囲で、ドレイン電圧Vd=1V及び5Vとした。また、図12において、ドレイン電流(ID)、ゲート電流(IG)は実線で、電界効果移動度(μFE)は点線で示している。
【0178】
本実施の形態を用いて結晶化を行った半導体膜には大粒径の結晶粒が形成されているため、前記半導体膜を用いてTFTを作製すると、そのチャネル形成領域に含まれる結晶粒界の本数を少なくすることができる。さらに、形成された結晶粒は一方向に揃っているため、キャリアが結晶粒界を横切る回数を極端に減らすことができる。そのため、図12に示したように電気的特性の良いTFTが得られる。特に電界効果移動度が、nチャネル型TFTにおいて524cm2/Vs、pチャネル型TFTにおいて205cm2/Vsとなることがわかる。このようなTFTを用いてアクティブマトリクス型表示装置を作製すれば、その動作特性及び信頼性をも向上することが可能となる。
【0179】
(実施の形態8)
本実施の形態では、実施の形態7とは異なる方法で半導体膜の結晶化を行い、前記半導体膜を用いてTFTを作製した例について、図13を用いて説明し、それらTFTの電気的特性について図14〜図16を用いて説明する。
【0180】
半導体膜として非晶質珪素膜を形成するまでの工程は、実施の形態7と同様である。なお、非晶質珪素膜は、150nmの厚さで形成した。(図13(A))
【0181】
その後、特開平7−183540号公報に記載された方法を利用し、前記半導体膜上にスピンコート法にて酢酸ニッケル水溶液(重量換算濃度5ppm、体積10ml)を塗布して金属含有層41を形成する。そして、500℃の窒素雰囲気で1時間、550℃の窒素雰囲気で12時間の熱処理を行った。こうして半導体膜42を得た。(図13(B))
【0182】
続いて、レーザアニール法により、半導体膜42の結晶性の向上を行う。
【0183】
レーザアニール法の条件は、レーザ光として連続発振のYVO4レーザの第2高調波(波長532nm、5.5W)を用い、図7で示した光学系における凸レンズ703に対するレーザ光の入射角φを約20°として200μm×50μmの楕円状ビームを形成した。前記楕円状ビームを、基板を20cm/s又は50cm/sの速度で移動させながら照射して、半導体膜42の結晶性の向上を行った。こうして半導体膜43を得た。(図13(C))
【0184】
図13(C)の半導体膜の結晶化の後の工程は、実施の形態7において示した図11(C)〜図11(H)の工程と同様である。こうして、チャネル長6μm、チャネル幅4μmのnチャネル型TFT51とpチャネル型TFT52が形成された。これらの電気的特性を測定した。
【0185】
上記工程によって作製したTFTの電気的特性を、図14、図15、図16に示す。
【0186】
図14(A)及び図14(B)に、図13(C)のレーザアニール工程において、基板の速度を20cm/sで移動させて作製したTFTの電気的特性を示す。図14(A)に、nチャネル型TFT51の電気的特性を示す。また図14(B)に、pチャネル型TFT52の電気的特性を示す。また、図15(A)及び図15(B)に、図13(C)のレーザアニール工程において、基板の速度を50cm/sで移動させて作製したTFTの電気的特性を示す。図15(A)に、nチャネル型TFT51の電気的特性を示す。また図15(B)に、pチャネル型TFT52の電気的特性を示す。
【0187】
なお、電気的特性の測定条件は、ゲート電圧Vg=−16〜16Vの範囲で、ドレイン電圧Vd=1V及び5Vとした。また、図14、図15において、ドレイン電流(ID)、ゲート電流(IG)は実線で、電界効果移動度(μFE)は点線で示している。
【0188】
本発明を用いて結晶化を行った半導体膜には大粒径の結晶粒が形成されているため、前記半導体膜を用いてTFTを作製すると、そのチャネル形成領域に含まれる結晶粒界の本数を少なくすることができる。さらに、形成された結晶粒は一方向に揃っており、レーザ光の相対的な走査方向に対して交差する方向に形成される粒界が少ないため、キャリアが結晶粒界を横切る回数を極端に減らすことができる。
【0189】
そのため、図14及び図15に示したように電気的特性の良いTFTが得られる。特に電界効果移動度が、図14ではnチャネル型TFTにおいて510cm2/Vs、pチャネル型TFTにおいて200cm2/Vs、また、図15ではnチャネル型TFTにおいて595cm2/Vs、pチャネル型TFTにおいて199cm2/Vsと非常に優れていることがわかる。そして、このようなTFTを用いてアクティブマトリクス型表示装置を作製すれば、その動作特性及び信頼性をも向上することが可能となる。
【0190】
また、図16に、図13(C)のレーザアニール工程において、基板の速度を50cm/sで移動させて作製したTFTであって、図15と異なるTFTを測定した電気的特性を示す。図16(A)に、nチャネル型TFT51の電気的特性を示す。また図16(B)に、pチャネル型TFT52の電気的特性を示す。
【0191】
なお、電気的特性の測定条件は、ゲート電圧Vg=−16〜16Vの範囲で、ドレイン電圧Vd=0.1V及び5Vとした。
【0192】
図16に示したように電気的特性の良いTFTが得られる。特に電界効果移動度が、図16(A)に示したnチャネル型TFTにおいて657cm2/Vs、図16(B)に示したpチャネル型TFTにおいて219cm2/Vsと非常に優れていることがわかる。そして、このようなTFTを用いて半導体装置や半導体表示装置を作製すれば、その動作特性及び信頼性をも向上することが可能となる。
【0193】
(実施の形態9)
図17は対向基板1705上にロジック回路を形成したアクティブマトリクス型表示装置の一例を示したものである。
【0194】
図17に示した表示部を有するアクティブマトリクス型表示装置の動作について説明する。図17には、対向基板1705上に設けられた画像処理回路1700、ワークメモリ1701、ゲート信号線駆動回路1702、ソース信号線駆動回路1703、フレームメモリ1704、DSP(Digital Signal Processor)
1706を示す。そして、インターフェース回路を介して外部装置から受け取ったデータは、画像処理回路で画像データの処理を行う。デジタル信号の処理はDSP1706が行う。画像処理回路1700は制御信号あるいは画像データを作成する際のデータの一時的な格納場所であるワークメモリ1701との間で、随時データの読み書きを行う。さらに、画像処理回路1700はフレームメモリ1704に二次元的にアクセスし、ディスプレイに表示すべき画像データを書き込む。フレームメモリ1704に書き込まれた画像データは、ゲート信号線駆動回路1702及びソース信号線駆動回路1703により画素に表示される。
【0195】
本実施の形態において、実施の形態5乃至8で示した方法で形成した半導体膜を用いて対向基板1705上のTFTを作製することにより、DSP1706及び画像処理回路1700は5MHz以上の動作速度を実現できる。また、ワークメモリ1701やフレームメモリ1704として、SRAMやDRAMが用いられるが、SRAMの場合200nsec以下、DRAMの場合1μsec以下の読み出しサイクル時間が実現される。
【0196】
ただし、上記ロジック回路のうちの一部が外付けで実装されていてもよい。
【0197】
なお、本実施の形態のロジック回路は実施の形態1乃至4と組み合わせて実施することが可能である。
【0198】
(実施の形態10)
図18は対向基板1805上にロジック回路を形成したアクティブマトリクス型表示装置の一例を示したものである。
【0199】
図18に示した表示部を有する半導体装置の動作について説明する。タイミング生成回路(タイミングジェネレータ)1800で、ゲート信号線駆動回路1801及びソース信号線駆動回路1802の動作タイミングを決めるクロック信号を生成する。階調電源生成部1804で、階調基準を決める電圧を出力する。フォーマット変換部1803で、圧縮符号化された入力信号の伸長復号、画像の補間やリサイズなどの画像処理が行われる。フォーマット変換された画像データは、ゲート信号線駆動回路1801及びソース信号線駆動回路1802により画素に表示される。
【0200】
ただし、上記ロジック回路のうちの一部が外付けで実装されていてもよい。
【0201】
なお、本実施の形態のロジック回路のTFTは実施の形態5乃至8に記載の方法で作製すればよい。また本実施の形態のロジック回路は実施の形態1乃至4と組み合わせて実施することが可能である。
【0202】
(実施の形態11)
図19は対向基板1904上に第1のゲート信号線駆動回路1901、第2のゲート信号線駆動回路1903及び、第1のソース信号線駆動回路1900、第2のソース信号線駆動回路1902が、基板の4辺に沿うように形成された、アクティブマトリクス型表示装置の一例を示したものである。本実施の形態では、第1のゲート信号線駆動回路及び第1のソース信号線駆動回路で背景画の表示を行い、第2のゲート信号線駆動回路及び第2のソース信号線駆動回路で背景画の表示とは独立にテキストモードの表示を行う。
【0203】
なお、駆動回路の分割数や配置方法は上記の方法に限定されない。また、駆動回路のうちの一部が外付けで実装されていてもよい。
【0204】
なお、本実施の形態のロジック回路のTFTは実施の形態5乃至8に記載の方法で作製すればよい。また本実施の形態のロジック回路は実施の形態1乃至4と組み合わせて実施することが可能である。
【0205】
(実施の形態12)
図20は、本発明の表示装置を利用した携帯ゲーム機の表示部において、対向基板2008上に形成されたロジック回路のブロック図を示したものである。
【0206】
図20に示した表示部を有するアクティブマトリクス型表示装置の動作について説明する。インターフェース回路2001を介して、対向基板2008上にない外部装置からシステムバス2005にデータが送られる。外部装置としては、たとえばROMやキーボードなどが挙げられる。外部装置との通信はCPU2000で制御される。データはシステムバス2005を経由して、メモリ2002に格納される。さらに、データは画像処理回路2003により画像処理が施され、VRAM2004に格納される。VRAM2004に格納された画像データは、ゲート信号線駆動回路2006及びソース信号線駆動回路2007によって画素に表示される。
【0207】
本実施の形態において、実施の形態5乃至8で示した方法で形成した半導体膜を用いて対向基板2008上のTFTを作製することにより、5MHz以上の動作周波数をもつCPU2000を実現できる。また、メモリ2002及びVRAM2004として、SRAMやDRAMが用いられるが、SRAMの場合200nsec以下、DRAMの場合1μsec以下の読み出しサイクル時間が実現される。
【0208】
ただし、上記ロジック回路のうちの一部が外付けで実装されていてもよい。
【0209】
なお、本実施の形態のロジック回路は、実施の形態1乃至4と組み合わせて実施することが可能である。
【0210】
(実施の形態13)
本発明を用いた電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機又は電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。それらの電子機器の具体例を図21に示す。
【0211】
図21(A)は表示装置であり、筐体2101、支持台2102、表示部2103を含む。本発明は表示部2103を有する表示装置に適用が可能である。
【0212】
図21(B)はビデオカメラであり、本体2111、表示部2112、音声入力2113、操作スイッチ2121、バッテリー2115、受像部2116などによって構成されている。本発明は表示部2112を有する表示装置に適用が可能である。
【0213】
図21(C)はノート型のパーソナルコンピュータであり、本体2121、筐体2122、表示部2123、キーボード2124などによって構成されている。本発明は表示部2123を有する表示装置に適用が可能である。
【0214】
図21(D)は携帯情報端末であり、本体2131、スタイラス2132、表示部2133、操作ボタン2134、外部インターフェース2135などによって構成されている。本発明は表示部2133を有する表示装置に適用が可能である。
【0215】
図21(E)は音響再生装置、具体的には車載用のオーディオ装置であり、本体2141、表示部2142、操作スイッチ2143、2144などによって構成されている。本発明は表示部2142を有する表示装置に適用が可能である。
また、今回は車載用オーディオ装置を例に上げたが、携帯型もしくは家庭用オーディオ装置に用いてもよい。
【0216】
図21(F)はデジタルカメラであり、本体2151、表示部(A)2152、接眼部2153、操作スイッチ2154、表示部(B)2155、バッテリー2156などによって構成されている。本発明は表示部(A)2152及び表示部(B)2155を有する表示装置に適用が可能である。
【0217】
図21(G)は携帯電話であり、本体2161、音声出力部2162、音声入力部2163、表示部2164、操作スイッチ2165、アンテナ2166などによって構成されている。本発明は表示部2164を有する表示装置に適用が可能である。
【0218】
これらの電子機器に使われる表示装置はガラス基板だけでなく耐熱性のプラスチック基板を用いることもできる。それによってよりいっそうの軽量化を図ることができる。
【0219】
なお、本実施の形態に示した例はごく一例であり、これらの用途に限定するものではないことを付記する。
【0220】
本実施の形態は、実施の形態1乃至12に記載のTFTの作製方法やロジック回路を自由に組み合わせて実施することが可能である。
【0221】
(実施の形態14)
本実施の形態では、画素基板上に画素部、ソース信号線駆動回路及びゲート信号線駆動回路を一体形成し、対向基板にロジック回路を設ける場合を説明する。
【0222】
図22(A)には、画素基板500に画素部501、ソース信号線駆動回路502及びゲート信号線駆動回路503(以下、ソース信号線駆動回路及びゲート信号線駆動回路を駆動回路と表記する)が設けられている。また、対向基板505にロジック回路の一例であるCPU506が設けられている。
【0223】
また画素部501においてソース線とゲート線とが交差する各画素、ソース信号線駆動回路502、ゲート信号線駆動回路503、CPU505はそれぞれTFTが設けられており、実施の形態4乃至13のいずれかの記載を参照してTFTを作製すればよい。
【0224】
なお、画素基板500と対向基板505との間には液晶層が設けられているが、説明の便宜上図示しない。
【0225】
そして駆動回路とCPUとは、それぞれに設けられた電気パッド507を介し、配線508を用いたワイヤボンディング法により接続されている。CPUと駆動回路とに設けられる複数の電気バッド507は、TFTを保護するために形成されるパッシベーション膜に開口部(100μm×100μm程度)を設けて形成される。また、パッシベーション膜はSiN、SiNの応力を緩和するためにTEOSを混入させたSiN/TEOS、アクリル等の有機樹脂材料から形成すればよい。
【0226】
図22(B)には、図22(A)のA−A’での断面図を示す。図22(B)
には、画素基板500と対向基板505とを接着し、固定するためのシール剤509が設けられている。なお、シール剤509は画素基板と対向基板との間隔(ギャップ)を保持するためのスペーサを兼ねている。もちろんギャップを保持するために、適宜柱状スペーサや球状スペーサを設けても構わない。また、シール剤509を画素部の一部と駆動回路との一部とを覆うように設けてもよく、駆動回路上に設けてもよい。但しこのような場合、画素部や駆動回路に対するシール剤等による接着時の応力を考慮して配置する必要がある。
【0227】
更に、CPUの高さはスペーサと同程度であるため、シール剤509を設ける位置にCPUを設けてスペーサと機能させても構わない。この場合、駆動回路を設ける領域(辺)にCPUを設け、基板のその他の領域(その他の辺)にシール剤を設ければよい。また、駆動回路とCPUとは導電ペースト等を用いて接続すればよい。
【0228】
以上のような本発明では、駆動電圧の違いに基づいて画素部501、ソース信号線駆動回路502、ゲート信号線駆動回路503と、CPU505とを異なる基板に形成することを特徴とする。
【0229】
更に本発明は、画素基板と対向基板とで、TFTを形成するプロセスを異ならせることが可能となる。
【0230】
例えば、CPUが有するTFTの電気特性は、高移動度が要求されるため、対向基板上のTFTでは、レーザ、結晶化を助長させる金属元素を用い、更にはそれらを合わせた結晶化プロセスを採用すればよい。一方、画素基板上のTFTでも高移動度は必要であるが、CPUと比較すると、TFTの移動度は高くなくともよい。
【0231】
また高速動作が要求されるCPUでは、駆動電圧の低電圧化と、それに伴うゲート絶縁膜の薄膜化が求められる。しかしながら、画素部に用いられるTFT等では表示装置の駆動電圧の制約により、駆動電圧の低電圧化及びゲート絶縁膜の薄膜化は難しかった。
【0232】
本発明は、以上のように要求される特性が異なっている各TFTを、異なる基板に設け、TFTをそれぞれ作製することを特徴とする。
【0233】
また、図23には図22(B)と異なる接続方法の例を記載する。
【0234】
図23(A)に示すように、アクティブマトリクス型表示装置の外枠(一般的に樹脂等で形成される外枠)601に予め配線602を形成する。配線602は、外枠601に溝を形成し、該溝にリード線を形成して得ることができる。また、プリント基板のように導電性物質を印刷法により形成することも可能である。
更に、印刷法により形成された配線上に、電気パッドと接続される接続部を除き絶縁膜を印刷してもよい。このとき、配線の間隔は電気パッドの間隔と一致することが望ましい。またプリント基板と同様に配線を引き回し、他の半導体素子を実装させることも可能である。
【0235】
その後、外枠601にシール剤により固定された画素基板501と対向基板505とをはめ込み、駆動回路の電気パッドとCPUとの電気パッドを接続する。
このように外枠に配線を設けることは、各電気パッドをワイヤボンディング法により接続するよりも簡単であり、更に接続不良を低減することができる。図23に示す接続法以外としては、プリント基板の要領で開口部と電気パッドを接続したり、ソケットの要領で接続したりすればよい。
【0236】
本実施の形態では、CPUを駆動回路上、すなわち画素領域上以外に設けたり、シール剤領域に設けたりすることにより、反射型液晶表示装置に限定されることなく、透過型液晶表示装置とすることが可能である。
【0237】
このように、本発明の半導体装置や半導体表示装置は、対向基板上にTFTを作製することによって、従来は表示部を構成する基板とは異なる基板上に形成され実装されていたロジック回路を、対向基板上に形成することを特徴とする。その結果、小型の半導体装置や半導体表示装置を実現する事ができると共に、ICチップ等の実装を大幅に簡略化することが可能となり、実装面での信頼性を向上することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は絶縁表面を有する基板上に薄膜トランジスタ(以下、TFTと表記する)を形成してなるアクティブマトリクス方式の表示部を有する液晶表示装置、EL表示装置その他のアクティブマトリクス型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の半導体装置、特に半導体表示装置を搭載した電子機器の発展はめざましく、その応用例は、ゲーム機、ノートパソコン、携帯電話をはじめとする携帯機器、液晶テレビ、液晶ディスプレイ(液晶表示装置)、OLEDディスプレイ(EL表示装置)等、さまざまである。半導体装置や半導体表示装置は、従来のCRTと比較して軽量薄型化が可能であり、消費電力が小さいことを特徴とする。
【0003】
半導体表示装置としては、画素領域にTFTをマトリクス状に配置したアクティブマトリクス方式の半導体表示装置(アクティブマトリクス型表示装置)が知られている。
【0004】
アクティブマトリクス型表示装置では、画素を駆動する駆動回路(例えば、ゲート信号線駆動回路やソース信号線駆動回路)以外のロジック回路は、画素基板とは別にシリコン基板等上に形成され、画素基板に外付けで実装される。なお、画素基板上のTFTの活性層としてアモルファスシリコン(非晶質珪素膜)を用いて形成するときは、ロジック回路は外付けで実装されることが多いが、活性層をポリシリコン(結晶質珪素膜)を用いて形成する場合、ロジック回路は画素基板上に一体形成することも可能である。
【0005】
なお、本明細書中において、画素基板とは、画素領域が形成された基板を指す。より正確には、各画素に配置されるTFT(画素TFT)が形成される基板を指す。
【0006】
アモルファスシリコンを活性層として用いたTFT(以下、アモルファスTFTとも呼ぶ)によるアクティブマトリクス型表示装置の構成を図4に示す。ゲート信号線駆動回路(走査線駆動回路ともいう)101及びソース信号線駆動回路(信号線駆動回路ともいう)102は、TAB(Tape automated bonding)などの方法によりFPC103に実装され、画素領域100が形成される基板(画素基板)104に外付けされる。ゲート信号線駆動回路101及びソース信号線駆動回路102の制御信号や画像データはFPC103を伝わって外部から入力される。
【0007】
ポリシリコンを活性層として用いたTFT(以下、ポリシリコンTFTとも呼ぶ)によるアクティブマトリクス方式半導体表示装置の構成を図2に示す。ゲート信号線駆動回路203及びソース信号線駆動回路202は画素基板200上に一体形成される。ゲート信号線駆動回路及びソース信号線駆動回路の制御信号や画像データはFPC204を伝って外部から入力される。
【0008】
図3(A)には、従来型のポリシリコンTFTによるアクティブマトリクス型表示装置(具体的にはアクティブマトリクス型液晶表示装置)の一例を示す。ゲート信号線駆動回路302及びソース信号線駆動回路303は、画素領域304が形成された基板300上に一体形成されている。基板300はインターフェース回路305を介してシステムバス310に接続される。基板300とインターフェース回路305はFPC321により電気的に接続される。システムバスにはさらに、画像処理回路306、VRAM307、CPU311、メモリ308及び外部装置と通信するためのインターフェース回路309などが接続されている。
【0009】
なお、VRAMとは画像データを一時的に格納するためのメモリである。また、インターフェース回路とは、信号のフォーマット変換や増幅等の外部装置との通信の仲介をする回路である。
【0010】
図3(B)は、図3(A)に示した線分ABでの断面図を示す。また、画素領域及びゲート信号線駆動回路には複数のTFTが含まれるが、ここでは代表的に、画素領域を形成するnチャネル型TFT、ゲート信号線駆動回路部を形成するnチャネル型TFT及びpチャネル型TFTを図示する。また、アクティブマトリクス方型液晶表示装置には反射型と透過型があるが、ここでは反射型のアクティブマトリクス型液晶表示装置の断面図を示す。
【0011】
図3(B)において、ガラス基板312、対向基板301及びシール剤315により囲まれる空間に液晶314が充填されている。ガラス基板上に形成されるTFTの上には、層間絶縁膜(平坦化膜)318が形成され、その上に画素TFTのドレイン電極と電気的に接続する反射電極317が形成され、その上に配向膜319が形成される。対向基板上には、まず平坦化膜322が形成され、その上に透明電極(ITO)からなる対向電極313、そして配向膜320が形成される。
【0012】
そして矢印で示すように、太陽光や室内灯などの外光が反射電極317に反射し、表示を認識する。これは屋外での使用が多いモバイル製品に用いられている。
【0013】
また低温ポリシリコンプロセスにより形成される液晶表示装置では、ドライバ回路を構成する薄膜TFTは画素スイッチング素子と比較して設計ルールが微細なため、画素スイッチング素子とドライバ回路を、TFT基板と対向基板にそれぞれ分離して形成するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2001−83535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述した表示装置を搭載した電子機器においては、ゲート信号線駆動回路及びソース信号線駆動回路以外のロジック回路は、画素基板とは別の基板に形成され、実装されている。
【0016】
携帯型の電子機器の普及等を背景に、電子機器の小型化が重要な課題となっているが、画素領域とは別に、ICチップを複数実装することが必要となる従来のような構成では小型化が難しい。理由の1つとして、ICチップ内のロジック回路は小さくできても、実装するためのマージンが大きいことが挙げられる。
【0017】
一方、小型化を実現するために実装するためのマージンを減らそうとすると、高度な実装技術が必要となり、コスト面、実装部分での信頼性において問題が生じてくる。
【0018】
本発明では、小型化が可能なアクティブマトリクス型表示装置を提供することを課題とする。また、IC等を基板に接続する際に発生する、接続不良を低減したアクティブマトリクス型表示装置を提供することを課題とする。更に本発明のアクティブマトリクス型表示装置を備えた電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
そこで本発明は、アクティブマトリクス型表示装置において、液晶層又は発光層を挟んで、画素が形成される基板に対向する基板(以下、対向基板と表記する)上にTFTを形成し、所望のロジック回路を作製する。
【0020】
これを実現するために、本発明では画像を画素基板から見る構成とする。つまり、液晶素子を用いる場合には反射型の表示方式を、OLED素子のような発光素子を用いる場合には下面出射方式を採用する。
【0021】
本発明により、従来は外付けであったロジック回路を対向基板上に形成するアクティブマトリクス型表示装置の小型化を実現でき、またアクティブマトリクス型表示装置の狭額縁化も実現することも可能である。また、IC等の実装を大幅に削減することができ、実装面での信頼性が向上する。
【0022】
また、本発明のアクティブマトリクス型表示装置は、装置を構成するロジック回路を対向基板上に形成するため、従来ICと画素基板間を電気的に接続する際に用いられてきた、FPC等の配線容量の大きな方法が避けられるため、消費電力が低減される。
【0023】
なお、絶縁表面を有する基板上にTFTを用いてロジック回路を作製する場合には、シリコン基板上で作製したロジック回路と比較して動作速度が問題になる場合が多い。従って、絶縁表面を有する基板上にTFTを用いてロジック回路を作製する場合には、特に電界効果移動度やしきい値電圧という電気的特性において、優れた特性のTFTを作製することが好ましい。
【0024】
特に高移動度のTFTを必要とする場合には、連続発振レーザを用いた半導体膜の結晶化又は活性化の方法を用いるとよい。このような高移動度のTFTを作製するプロセスを用いることによって、より多様なロジック回路を、絶縁表面を有する基板上に作製することが可能となり、より小型で多様なアクティブマトリクス型表示装置が実現される。
【0025】
また、本発明のアクティブマトリクス型表示装置は、画素(及びソース信号線駆動回路回路やゲート信号線駆動回路等の駆動回路)とロジック回路とを別の基板に作製するために、画素基板と対向基板のそれぞれに対して、最適なTFT構造や回路仕様を採用することができる。例えば、画素基板と対向基板とで、TFTのLDD構造を変えたり、電源電圧を変えたりすることも可能である。
【0026】
なお、画素TFTの活性層に光が入射することにより画質が低下することを避けるために、画素TFTの下部に遮光膜を設けてもよい。
【0027】
なお、本発明のいうアクティブマトリクス型表示装置とは、半導体特性を利用することで機能する装置全般を指し、例えば、液晶表示装置や発光装置に代表される半導体表示装置や、半導体表示部を有する電子機器をその範疇に含む。なお、表示部とは、絶縁表面を有する基板上に電極又は薄膜トランジスタを形成してなる表示部を言い、例えば、液晶表示部、発光表示部その他のアクティブマトリクス型表示部をその範疇に含む。
【0028】
また、本発明のいうロジック回路とは、トランジスタ、容量素子、抵抗素子等の回路素子によって構成された特定の機能を有する電気回路全体を指し、レジスタ、デコーダ、カウンタ、分周回路、メモリ、制御回路、CPU等をその範疇に含む。また、電気回路とロジック回路とは同義で用いる。
【0029】
特に、ロジック回路を、絶縁表面を有する基板上に形成するため、TFTがロジック回路の主な構成素子となる。なおTFTとは、SOI技術を用いて形成されるトランジスタの全体を含む。
【0030】
本発明によって、絶縁表面を有する第1の基板と、前記第1の基板に対向する絶縁表面を有する第2の基板と、を有し、前記第1の基板は複数のトランジスタで構成される画素領域が設けられ、前記第2の基板は複数のトランジスタで構成される電気回路が設けられるアクティブマトリクス型表示装置であって、前記画素領域と、前記電気回路が設けられる領域とは重なることを特徴とするアクティブマトリクス型表示装置が提供される。
【0031】
本発明によって、絶縁表面を有する第1の基板と、前記第1の基板に対向する絶縁表面を有する第2の基板と、を有し、前記第1の基板は複数のトランジスタで構成される画素領域が設けられ、前記第2の基板は複数のトランジスタで構成される電気回路及びソース信号線駆動回路が設けられるアクティブマトリクス型表示装置であって、前記画素領域と、前記電気回路が設けられる領域とは重なることを特徴とするアクティブマトリクス型表示装置が提供される。
【0032】
本発明によって、絶縁表面を有する第1の基板と、前記第1の基板に対向する絶縁表面を有する第2の基板と、を有し、前記第1の基板は複数のトランジスタで構成される画素領域が設けられ、前記第2の基板は複数のトランジスタで構成される電気回路、ソース信号線駆動回路及びゲート信号線駆動回路が設けられるアクティブマトリクス型表示装置であって、前記画素領域と、前記電気回路が設けられる領域とは重なることを特徴とするアクティブマトリクス型表示装置が提供される。
【0033】
本発明によって、絶縁表面を有する第1の基板と、前記第1の基板に対向する絶縁表面を有する第2の基板と、を有し、前記第1の基板は複数のトランジスタで構成される画素領域、ソース信号線駆動回路及びゲート信号線駆動回路が設けられ、前記第2の基板は複数のトランジスタで構成される電気回路が設けられるアクティブマトリクス型表示装置であって、前記画素領域と、前記電気回路が設けられる領域とは重なることを特徴とするアクティブマトリクス型表示装置が提供される。
【0034】
また本発明において、前記第1の基板と前記第2の基板との間には、液晶素子又は発光素子が設けられていてもよい。
【0035】
また本発明において、前記第1の基板に設けられたトランジスタと、前記第2の基板に設けられたトランジスタとは、前記液晶素子又は発光素子を介して対称な構造を有するようにに設けられていてもよい。
【0036】
また本発明において、前記第1の基板上には透明電極が形成されており、前記第2の基板上には反射電極が形成されていてもよい。
【0037】
また本発明において、前記第1の基板上に形成された第1のTFTはLDD構造を有し、すなわちチャネル形成領域と、ソース領域及びドレイン領域との間に低濃度不純物領域を有し、且つ前記第2の基板上に形成された第2のTFTはLDD構造を有さない、すなわちチャネル形成領域とソース領域及びドレイン領域とが接していてもよい。
【0038】
また本発明において、前記第1の基板上に形成されたTFTの第1の駆動電圧と前記第2の基板上に形成されたTFTの第2の駆動電圧とは異なってもよい。
更に、前記第1の駆動電圧は、前記第2の駆動電圧よりも高くてもよい。
【0039】
また本発明において、前記トランジスタは絶縁表面上に設けられた薄膜トランジスタであってもよい。
【0040】
また本発明において、前記電気回路を構成する薄膜トランジスタの活性層は結晶性半導体膜(多結晶半導体膜)を有すると好ましい。
【0041】
また本発明において、前記電気回路を構成する薄膜トランジスタの活性層は結晶性半導体膜を有し、前記結晶性半導体膜は、半導体膜に連続発振レーザ光を照射し、当該レーザ光を前記半導体膜に対して一方向に走査することによって得ると好ましい。
【0042】
また本発明において、前記電気回路を構成する薄膜トランジスタのチャネル長方向と前記レーザ光の走査方向とのなす角は−30°〜30°であると好ましい。
【0043】
また本発明において、前記電気回路を構成する薄膜トランジスタの活性層は結晶性半導体膜を有し、前記結晶性半導体膜を構成する結晶粒は一軸方向に延在することが好ましい。
【0044】
また本発明において、前記電気回路を構成する薄膜トランジスタのチャネル方向と前記一軸方向とのなす角は−30°〜30°であることが好ましい。
【0045】
また本発明において、前記第1の基板又は前記第2の基板は、プラスチック基板、ガラス基板あるいは石英基板のうちのいずれか一つであってもよい。
【0046】
また本発明において、前記第2の基板上には、SRAM、DRAM、フレームメモリ、タイミング生成回路、画像処理回路、CPU、DSP及びマスクROMのいずれかが形成されていてもよい。
【0047】
また本発明において、前記SRAMの読み出しサイクル時間は200nsec以下、前記DRAMの読み出しサイクル時間は1μsec以下、前記画像処理回路の動作周波数は5MHz以上、前記CPUの動作周波数は5MHz以上、前記DSPの動作周波数は5MHz以上であることが好ましい。
【0048】
このように本発明は、画素基板には画素領域だけを設け、更に画素領域上方の対向基板に駆動回路及びロジック回路を形成することにより、画面サイズと同程度の非常に小型のアクティブマトリクス型表示装置、すなわち狭額縁化を達成するアクティブマトリクス型表示装置を実現する事も可能となる。
【発明の効果】
【0049】
本発明ではアクティブマトリクス型表示装置において、対向基板上にTFTを形成し、ロジック回路を作製する。これにより、ロジック回路から成る制御部を表示部と一体化した、小型化された半導体表示システムを実現する。また、画素基板以外のIC基板の実装や基板間を電気的に接続する際のFPCの実装等が不要となるので、これらの実装に関わる諸問題から開放される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明のアクティブマトリクス型表示装置を示す図。
【図2】ゲート信号線駆動回路及びソース信号線駆動回路が画素基板上に形成された従来の表示装置を示す図。
【図3】アクティブマトリクス型表示装置を用いた従来のシステム構成例を示す図。
【図4】ゲート信号線駆動回路及びソース信号線駆動回路が外付けされた従来の表示装置を示す図。
【図5】本発明のアクティブマトリクス型表示装置の作製工程を示す図。
【図6】本発明のアクティブマトリクス型表示装置の作製工程を示す図。
【図7】レーザ照射時の光学系の模式図。
【図8】本発明により得られた結晶性半導体膜のSEM像。
【図9】本発明により得られた結晶性半導体膜のSEM像。
【図10】本発明により得られた半導体膜のラマンスペクトル。
【図11】本発明により得られた半導体膜を用いたTFTの作製工程。
【図12】本発明により得られたTFTの電気的特性。
【図13】本発明により得られた半導体膜を用いたTFTの作製工程。
【図14】本発明により得られたTFTの電気特性。
【図15】本発明により得られたTFTの電気特性。
【図16】本発明により得られたTFTの電気特性。
【図17】本発明のアクティブマトリクス型表示装置の一例を示すブロック図。
【図18】本発明のアクティブマトリクス型表示装置の一例を示すブロック図。
【図19】本発明のアクティブマトリクス型表示装置の一例を示すブロック図。
【図20】本発明のアクティブマトリクス型表示装置の一例を示すブロック図。
【図21】本発明のアクティブマトリクス型表示装置を用いた電子機器を示す図。
【図22】本発明のアクティブマトリクス型表示装置を示す図。
【図23】本発明のアクティブマトリクス型表示装置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0051】
(実施の形態1)
本発明の表示部を有するアクティブマトリクス型表示装置の一形態を、図1を用いて説明する。
【0052】
図1(A)は、液晶層がガラス基板(画素基板)400と対向基板406とによって挟まれてなるアクティブマトリクス方式液晶表示部を有するアクティブマトリクス型表示装置の模式図を示す。図1(A)において、ガラス基板400上には、画素領域401及びゲート信号線駆動回路402が、対向基板406上には、ソース信号線駆動回路403及びロジック回路404が、それぞれ形成されている。また、図1(B)は、図1(A)の面ABCDにおける断面図である。
【0053】
図1(B)において、ガラス基板400上に形成された画素領域401とゲート信号線駆動回路402と、及び対向基板406上に形成されたソース信号線駆動回路403とロジック回路404と、を囲むようにしてシール剤405が設けられている。ガラス基板(画素基板)400とシール剤405と対向基板406とで囲まれた空間に液晶407が充填されている。
【0054】
また、画素領域401と、ゲート信号線駆動回路402、ソース信号線駆動回路403及びロジック回路404は複数のTFTによって主に構成されている。
図1(B)では、ゲート信号線駆動回路を代表してTFT414を、画素領域を代表して画素TFT413を、ソース信号線駆動回路及びロジック回路を代表してTFT415を図示した。
【0055】
本実施の形態では、ガラス基板400上に形成されたゲート信号線駆動回路402に含まれるTFT414には、公知の方法で作製されたpチャネル型TFTあるいはnチャネル型TFTが用いられ、画素TFT413には公知の方法で作製されたnチャネル型TFTが用いられる。
【0056】
ゲート信号線駆動回路402に含まれるTFT414及び画素TFT413上には層間絶縁膜(平坦化膜)416が形成され、その上に画素TFT413のドレインと電気的に接続する画素電極411が形成され、その上に配向膜418が形成される。
【0057】
次に対向基板を用意する。
【0058】
対向基板406上に形成されたソース信号線駆動回路及びロジック回路を代表とするTFT415には、公知の方法、又は高速動作が要求される場合には、連続発振レーザを用いるレーザ結晶化の方法を用いて作製されたpチャネル型TFTあるいはnチャネル型TFTが用いられる。対向基板406上に形成されたTFT415の上には、層間絶縁膜417が形成される。
【0059】
そして、層間絶縁膜417の上に反射電極410、配向膜419が形成される。
【0060】
あるいは、対向基板406に設けられたTFT415について、図1(C)に示すように、ソース信号線駆動回路又はロジック回路を形成するTFT423を対向基板の上面とは反対側の面(液晶材料と接しない側の面)に形成し、TFT423の下部に反射電極420、配向膜421を形成してもよい。すなわち、TFT423をTFT413及びTFT414と同様に活性層の上方にゲート電極を形成し、対向基板406の下部に反射電極420、配向膜421を形成してもよい。
【0061】
こうして用意されたガラス基板400と対向基板406は、シール剤405で貼り合わせる。ガラス基板400と対向基板406の間は、スペーサ(図示せず)により一定の間隔に保たれる。
【0062】
なお、図1では図示していないが、カラーフィルターや偏向板を適宜設ける。
【0063】
以上のようにして、画素電極411、液晶407、及び反射電極410を有する液晶セルが形成される。本実施の形態において、液晶セルの対向基板上には、所望のロジック回路404やソース信号線駆動回路403が形成されている点が特徴である。
【0064】
なお、ロジック回路404としては、タイミングジェネレータ、SRAM、DRAM、画像処理回路、外部インターフェース回路、CPU、DSP、グラフィックアクセラレータ等が挙げられる。
【0065】
また、対向基板と画素基板とに設けられた各TFTや各配線の接続方法としては、公知のどのような方法を用いても良い。例えば、いったんFPCを介して接続しても良いし、画素基板と対向基板上の入出力端子が共に液晶層側に形成されている場合(例えば、図1(B)の場合)には、FPCを介さずに、導電性フィラーを含む異方導電性フィルムによって直接接続してもよい。また、対向基板上の入出力端子が液晶層と反対側に形成されている場合(例えば、図1(C)の場合)には、ワイヤボンディング法等によって接続してもよい。
【0066】
また、対向基板や画素基板間からの他の半導体部品への入出力端子は必要に応じて設けられ、FPC等を介して他の半導体部品と接続される。勿論、入出力端子は基板400及び対向基板406の四辺のどこから取り出しても構わない。また接続方法は公知のどのような方法であってもよい。
【0067】
本実施の形態では、ゲート信号線駆動回路と画素を基板400上に、ソース信号線駆動回路とロジック回路を対向基板406上に形成する場合を示したが、本発明はこれに限定されない。ゲート信号線駆動回路及びソース信号線駆動回路の両方を、ガラス基板(画素基板)400上に形成しても良いし、ゲート信号線駆動回路及びソース信号線駆動回路の両方を、対向基板406上に形成しても良い。あるいは、画素が形成されたガラス基板と対向基板を接続するFPCにTABで実装するというような構成であっても構わない。本発明の半導体装置や半導体表示装置がとり得る形態は様々であるが、本発明の本質は、対向基板の任意の領域に、ソース信号線駆動回路あるいはゲート信号線駆動回路といった駆動回路又は任意のロジック回路を形成する形態にある。
【0068】
特に、画素基板には画素領域だけを設け、更に画素領域上方の対向基板に駆動回路及びロジック回路を形成することにより、画面サイズと同程度の非常に小型、すなわち狭額縁化を達成するアクティブマトリクス型表示装置を実現する事も可能となる。
【0069】
なお、本実施の形態では、表示部を有する電子機器(つまり半導体表示装置)
として、液晶表示部を用いたものを示したが、電界が生じると発光する有機化合物層を、陽極及び陰極で挟んだ構造を有する素子(例えばOLED素子)を、画素ごとに発光素子として用いた発光表示部であってもよい。
【0070】
なお、OLED素子には、一重項励起子から基底状態に遷移する際の発光(蛍光)を利用するものと、三重項励起子から基底状態に遷移する際の発光(燐光)
を利用するものとが含まれる。
【0071】
また、本の実施の形態において、画素基板及び対向基板としてガラス基板を用いてもよいし、TFTの作製工程の処理温度に耐えうるプラスチック基板を用いてもよい。
【0072】
また、本発明の実施の形態において、TFTの構造として、トップゲート型(プレーナー型)、ボトムゲート型(逆スタガ型)、あるいはチャネル領域の上下にゲート絶縁膜を介して配置された2つのゲート電極を有する、デュアルゲート型のいずれの構造とすることも可能である。
【0073】
このように、本発明のアクティブマトリクス型表示装置は、対向基板上にTFTを作製することによって、従来は表示部を構成する基板とは異なる基板上に形成され実装されていたロジック回路を、対向基板上に形成することを特徴とする。その結果、小型のアクティブマトリクス型表示装置を実現する事ができると共に、ICチップ等の実装を大幅に簡略化することが可能となり、実装面での信頼性を向上する事ができる。
【0074】
(実施の形態2)
ガラス基板上にTFTを形成する場合には、主に、活性層としてアモルファスシリコンを用いる場合と、ポリシリコンを用いる場合とがある。ロジック回路の動作速度の観点からは、TFTの電界効果移動度が高いことが好ましく、アモルファスTFTよりもポリシリコンTFTでロジック回路を形成することが好ましい。一方、用途上、ロジック回路の高速動作が必要とならない場合には、簡単なプロセスかつ低コストで形成されるアモルファスTFTを用いることが好ましい。
【0075】
例えば、画素が形成される基板上にゲート信号線駆動回路又はソース信号線駆動回路を一体形成しないならアモルファスTFT、一体形成するならポリシリコンTFTが好ましい。一体形成する例として、画素基板上に画素部、ソース信号線駆動回路及びゲート信号線駆動回路を設け、対向基板にロジック回路を設ければよい。更に対向基板においても、動作速度を考慮して、アモルファスシリコンとポリシリコンを使い分けてもよい。
【0076】
さらに複雑なロジック回路を形成する場合には、必要に応じて、より高い電界効果移動度を実現できるプロセスを用いてTFTを作製することが好ましい。例えば、特開平7−183540号公報において開示されている金属触媒を用いた半導体膜の熱結晶化の方法又は連続発振レーザを用いた半導体膜の結晶化法、更にはそれらを合わせた方法で作製されたTFTを用いることができる。
【0077】
(実施の形態3)
本発明のアクティブマトリクス型表示装置は、画素とロジック回路とを別の基板に作製するために、画素基板と対向基板のそれぞれに対して、最適なTFT構造や回路仕様を採用することができる。本実施の形態では、対向基板上のロジック回路と画素基板上のロジック回路とで、TFT構造や回路の駆動電圧が異なる形態について説明する。
【0078】
通常、画素領域と画素を駆動する駆動回路は、素子に必要な電圧より高い電源電圧を必要とするため、ロジック回路に必要な電源電圧よりも高い場合が多い。
例えば、ロジック回路では3V〜5Vの電源が必要であるのに対して、液晶表示部では16V程度、EL表示部では12V程度が必要となる。
【0079】
本発明において、例えば、対向基板の電源は5V、画素基板の電源は16Vとし、基板によって異なる電源電圧を選択することができる。その場合には、動作電圧による信頼性を考慮して、対向基板上に形成するTFTはシングルドレイン構造とし、画素基板上に形成するTFTはLDDを有する(チャネル形成領域とソース及びドレイン領域との間に低濃度不純物領域を有する)信頼性の高い構造とすることも好ましい。
【0080】
また、対向基板上のTFTと、画素基板上のTFTとにおいて、ゲート構造だけでなく活性層や配線構造を含めて独立に最適化することができる。
【0081】
例えば、対向基板に形成されたロジック回路の駆動周波数が、画素基板上で必要となる駆動周波数より高い場合には、画素基板上では通常のポリシリコンを活性層(活性層は薄膜トランジスタのチャネル形成領域、ソース領域及びドレイン領域を含む)とするTFTを用い、対向基板上では連続発振レーザを用いて結晶化を行った活性層を有するTFTを用いる構成とすることも好ましい。
【0082】
また、例えば、駆動回路は対向基板上に形成し、画素基板上には画素TFTだけを作製する構成とし、画素基板上のTFTはアモルファスシリコンを活性層とするTFTを用い、対向基板上では通常のポリシリコンあるいは連続発振レーザを用いて結晶化を行った活性層を有するTFTを用いる構成とすることも可能である。
【0083】
また、例えば、画素基板上には画素領域と駆動回路を形成し、対向基板上にはCPU等の複雑なロジック回路を形成する場合には、画素基板上ではゲート配線と1層のメタル配線構造とし、対向基板上ではゲート配線と2層以上のメタル配線構造ととすることも好ましい。
【0084】
このように、画素基板上の画素あるいは駆動回路と、対向基板上のロジック回路と、をそれぞれ最適なTFT構造や電源電圧とすることで、処理速度の高速化、アクティブマトリクス型表示装置の高性能化を実現することができる。
【0085】
(実施の形態4)
本明細書ではCMOS回路で構成される駆動回路部と、スイッチング用TFT及び駆動用TFTを有する画素領域(画素部)とが同一基板(画素基板)上に形成された場合の基板を便宜上アクティブマトリクス基板と呼ぶ。そして本実施の形態では、アクティブマトリクス基板の作製工程及びアクティブマトリクス基板を備える液晶表示装置の作製工程について図5、図6を用いて説明する。
【0086】
基板5000は、石英基板の表面に絶縁膜を形成したものを用いる。また本作製工程の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板を用いても良い。
本実施の形態ではバリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス等のガラスからなる基板5000を用いた。
【0087】
次いで、図5(A)に示すように基板5000上に酸化珪素膜、窒化珪素膜又は酸化窒化珪素膜などの絶縁膜から成る下地膜5001を形成する。本実施の形態の下地膜5001は2層構造で形成したが、前記絶縁膜の単層構造又は前記絶縁膜を2層以上積層させた構造であっても良い。
【0088】
本実施の形態では、下地膜5001の1層目として、プラズマCVD法を用いて、SiH4、NH3、及びN2Oを反応ガスとして成膜される窒化酸化珪素膜5001aを10〜200nm(好ましくは50〜100nm)の厚さに形成する。
本実施の形態では、窒化酸化珪素膜5001aを50nmの厚さに形成した。次いで下地膜5001の2層目として、プラズマCVD法を用いて、SiH4及びN2Oを反応ガスとして成膜される酸化窒化珪素膜5001bを50〜200nm(好ましくは100〜150nm)の厚さに形成する。本実施の形態では、酸化窒化珪素膜5001bを100nmの厚さに形成した。
【0089】
続いて、下地膜5001上に半導体層5002〜5005を形成する。半導体層5002〜5005は公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、プラズマCVD法等)により25〜80nm(好ましくは30〜60nm)の厚さで半導体膜を成膜すればよい。次いで前記半導体膜を公知の結晶化法(レーザ結晶化法、RTA又はファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法等)を用いて結晶化させればよい。
【0090】
なおレーザ結晶化法で結晶質半導体膜を作製する場合のレーザは、連続発振又はパルス発振の気体レーザ又は固体レーザを用いれば良い。前者の気体レーザとしては、エキシマレーザ、YAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、Ti:サファイアレーザ等を用いることができる。また後者の固体レーザとしては、Cr、Nd、Er、Ho、Ce、Co、Ti又はTmがドーピングされたYAG、YVO4、YLF、YAlO3などの結晶を使ったレーザを用いることができる。当該レーザの基本波はドーピングする材料によって異なり、1μm前後の基本波を有するレーザ光が得られる。基本波に対する高調波は、非線形光学素子を用いることで得ることができる。なお非晶質半導体膜の結晶化に際し、大粒径に結晶を得るためには、連続発振が可能な固体レーザを用い、基本波の第2高調波〜第4高調波を適用するのが好ましい。代表的には、Nd:YVO4レーザー(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を適用する。
【0091】
また出力10Wの連続発振のYVO4レーザから射出されたレーザ光は、非線形光学素子により高調波に変換する。さらに、共振器の中にYVO4結晶と非線形光学素子を入れて、高調波を射出する方法もある。そして、好ましくは光学系により照射面にて矩形状又は楕円形状のレーザ光に成形して、被処理体に照射する。このときのエネルギー密度は0.01〜100MW/cm2程度(好ましくは0.1〜10MW/cm2)が必要である。そして、10〜2000[cm/s]程度の速度でレーザ光に対して相対的に半導体膜を移動させて照射する。
【0092】
また上記のレーザを用いる場合には、レーザ発振器から放射されたレーザビームを光学系で線状に集光して、半導体膜に照射すると良い。結晶化の条件は適宜設定されるが、エキシマレーザを用いる場合はパルス発振周波数300Hzとし、レーザエネルギー密度を100〜700mJ/cm2(代表的には200〜300mJ/cm2)とすると良い。またYAGレーザを用いる場合には、その第2高調波を用いてパルス発振周波数1〜300Hzとし、レーザエネルギー密度を300〜1000mJ/cm2(代表的には350〜500mJ/cm2)とすると良い。そして幅100〜1000μm(好ましくは幅400μm)で線状に集光したレーザ光を基板全面に渡って照射し、このときの線状ビームの重ね合わせ率(オーバーラップ率)を50〜98%として行っても良い。
【0093】
特に、レーザ結晶化を用いる場合には、連続発振レーザを用いる方法で半導体膜を形成することにより、単結晶半導体を用いたTFTと同程度の電界効果移動度を有するTFTが得られる。
【0094】
なお前記半導体膜としては、非晶質半導体膜、微結晶半導体膜、結晶質半導体膜、又は非晶質珪素ゲルマニウム膜などの非晶質構造を有する化合物半導体膜などを用いてもよい。
【0095】
そこで本実施の形態では、プラズマCVD法を用いて、膜厚55nmの非晶質珪素膜を成膜した。そして、ニッケルを含む溶液を非晶質珪素膜上に保持させ、この非晶質珪素膜に脱水素化(500℃、1時間)を行った後、熱結晶化(550℃、4時間)を行って結晶質珪素膜を形成した。
【0096】
しかしながら本実施の形態では、結晶化を助長する金属元素を用いて非晶質珪素膜の結晶化を行ったため、前記金属元素が結晶質珪素膜中に残留している。そのため、前記結晶質珪素膜上に50〜100nmの非晶質珪素膜を形成し、加熱処理(RTA法やファーネスアニール炉を用いた熱アニール等)を行って、該非晶質珪素膜中に前記金属元素を拡散させ、前記非晶質珪素膜は加熱処理後にエッチングを行って除去する。その結果、前記結晶質珪素膜中の金属元素の含有量を低減又は除去することができる。その後、フォトリソグラフィ法を用いたパターニング処理によって半導体層5002〜5005を形成した。
【0097】
なお半導体層5002〜5005を形成した後、TFTのしきい値を制御するために微量な不純物元素(ボロン又はリン)のドーピングを行ってもよい。
【0098】
次いで、半導体層5002〜5005を覆うゲート絶縁膜5006を形成する。ゲート絶縁膜5006はプラズマCVD法やスパッタ法を用いて、膜厚を40〜150nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。本実施の形態では、ゲート絶縁膜5006としてプラズマCVD法により酸化窒化珪素膜を115nmの厚さに形成した。勿論、ゲート絶縁膜5006は酸化窒化珪素膜に限定されるものでなく、他の珪素を含む絶縁膜を単層又は積層構造として用いても良い。
【0099】
なおゲート絶縁膜5006として酸化珪素膜を用いる場合には、プラズマCVD法でTEOS(Tetraethyl Orthosilicate)とO2とを混合し、反応圧力40Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波(13.56MHz)電力密度0.5〜0.8W/cm2で放電させて形成しても良い。上記の工程により作製される酸化珪素膜は、その後400〜500℃の熱アニールによって、ゲート絶縁膜5006として良好な特性を得ることができる。
【0100】
次いで、ゲート絶縁膜5006上に膜厚20〜100nmの第1の導電膜5007と、膜厚100〜400nmの第2の導電膜5008とを積層形成する。本実施の形態では、膜厚30nmのTaN膜からなる第1の導電膜5007と、膜厚370nmのW膜からなる第2の導電膜5008を積層形成した。
【0101】
本実施の形態では、第1の導電膜5007であるTaN膜はスパッタ法で形成し、Taのターゲットを用いて、窒素を含む雰囲気内でスパッタ法により形成した。また第2の導電膜5008であるW膜は、Wのターゲットを用いたスパッタ法により形成した。その他に6フッ化タングステン(WF6)を用いる熱CVD法で形成することもできる。いずれにしてもゲート電極として使用するためには低抵抗化を図る必要があり、W膜の抵抗率は20μΩcm以下にすることが望ましい。W膜は結晶粒を大きくすることで低抵抗率化を図ることができるが、W膜中に酸素などの不純物元素が多い場合には結晶化が阻害され高抵抗化する。従って、本実施の形態では、高純度のW(純度99.9999%)のターゲットを用いたスパッタ法で、さらに成膜時に気相中からの不純物の混入がないように十分配慮してW膜を形成することにより、抵抗率9〜20μΩcmを実現することができた。
【0102】
なお本実施の形態では、第1の導電膜5007をTaN膜、第2の導電膜5008をW膜としたが、第1の導電膜5007及び第2の導電膜5008を構成する材料は特に限定されない。第1の導電膜5007及び第2の導電膜5008は、Ta、W、Ti、Mo、Al、Cu、Cr、Ndから選択された元素、又は前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成してもよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶珪素膜に代表される半導体膜やAgPdCu合金で形成してもよい。
【0103】
次いで、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスク5009を形成し、電極及び配線を形成するための第1のエッチング処理を行う。第1のエッチング処理では第1及び第2のエッチング条件で行う。(図5(B))
【0104】
本実施の形態では第1のエッチング条件として、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング用ガスにCF4とCl2とO2とを用い、それぞれのガス流量比を25:25:10sccmとし、1.0Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを行った。基板側(試料ステージ)にも150WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加した。そしてこの第1のエッチング条件によりW膜をエッチングして第1の導電層5007の端部をテーパー形状とした。
【0105】
続いて、レジストからなるマスク5009を除去せずに第2のエッチング条件に変更し、エッチング用ガスにCF4とCl2とを用い、それぞれのガス流量比を30:30sccmとし、1.0Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して15秒程度のエッチングを行った。基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加した。第2のエッチング条件では第1の導電層5007及び第2の導電層5008とも同程度にエッチングが行われた。なお、ゲート絶縁膜5006上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させると良い。
【0106】
上記の第1のエッチング処理では、レジストからなるマスクの形状を適したものとすることによる基板側に印加するバイアス電圧の効果により、第1の導電層5007及び第2の導電層5008の端部がテーパー形状となる。こうして、第1のエッチング処理により第1の導電層5007と第2の導電層5008から成る第1の形状の導電層5010〜5014を形成した。ゲート絶縁膜5006においては、第1の形状の導電層5010〜5014で覆われない領域が20〜50nm程度エッチングされたため、膜厚が薄くなった領域が形成された。
【0107】
次いで、レジストからなるマスク5009を除去せずに第2のエッチング処理を行う。(図5(C))第2のエッチング処理では、エッチングガスにSF6とCl2とO2を用い、それぞれのガス流量比を24:12:24sccmとし、1.3Paの圧力でコイル側の電力に700WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して25秒程度のエッチングを行った。基板側(試料ステージ)にも10WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加した。
こうして、W膜を選択的にエッチングして、第2の形状の導電層5015〜5019を形成した。このとき、第1の導電層5015a〜5018aは、ほとんどエッチングされない。
【0108】
そして、レジストからなるマスク5009を除去せずに第1のドーピング処理を行い、半導体層5002〜5005にN型を付与する不純物元素を低濃度に添加する。第1のドーピング処理はイオンドープ法又はイオン注入法で行えば良い。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1013〜5×1014/cm2とし、加速電圧を40〜80keVとして行う。本実施の形態ではドーズ量を5.0×1013/cm2とし、加速電圧を50keVとして行った。N型を付与する不純物元素としては、15族に属する元素を用いれば良く、代表的にはリン(P)又は砒素(As)を用いられるが、本実施の形態ではリン(P)を用いた。この場合、第2の形状の導電層5015〜5019がN型を付与する不純物元素に対するマスクとなって、自己整合的に第1の不純物領域(N--領域)5020〜5023を形成した。そして第1の不純物領域5020〜5023には1×1018〜1×1020/cm3の濃度範囲でN型を付与する不純物元素が添加された。
【0109】
続いてレジストからなるマスク5009を除去した後、新たにレジストからなるマスク5024を形成して、第1のドーピング処理よりも高い加速電圧で第2のドーピング処理を行う。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1013〜3×1015/cm2とし、加速電圧を60〜120keVとして行う。本実施の形態では、ドーズ量を3.0×1015/cm2とし、加速電圧を65keVとして行った。第2のドーピング処理は第2の導電層5015b〜5019bを不純物元素に対するマスクとして用い、第1の導電層5015a〜5019aのテーパー部の下方の半導体層に不純物元素が添加されるようにドーピングを行う。続いて第2のドーピング処理より加速電圧を下げて第3のドーピング処理を行う。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1015〜1×1017/cm2とし、加速電圧を50〜100keVとして行う。
【0110】
上記の第2及び第3のドーピング処理を行った結果、図5(D)に示すように、第1の導電層と重なる第2の不純物領域(N−領域、Lov領域)5026には1×1018〜5×1019/cm3の濃度範囲でN型を付与する不純物元素を添加された。また第3の不純物領域(N+領域)5025、5028には1×1019〜5×1021/cm3の濃度範囲でN型を付与する不純物元素を添加された。また、第1、第2のドーピング処理を行った後、半導体層5002〜5005において、不純物元素が全く添加されない領域又は微量の不純物元素が添加された領域が形成された。本実施の形態では、不純物元素が全く添加されない領域又は微量の不純物元素が添加された領域をチャネル領域5027、5030とよぶ。また前記第1のドーピング処理により形成された第1の不純物領域(N--領域)5020〜5023のうち、第2のドーピング処理においてレジスト5024で覆われていた領域が存在するが、本実施の形態では、引き続き第1の不純物領域(N--領域、LDD領域)5029とよぶ。
【0111】
なお本実施の形態では、第2乃び3のドーピング処理により、第2の不純物領域(N−領域)5026及び第3の不純物領域(N+領域)5025、5028を形成したが、これに限定されない。ドーピング処理を行う条件を適宜変えて、1回あるいは複数回のドーピング処理で形成しても良い。
【0112】
次いで図6(A)に示すように、レジストからなるマスク5024を除去した後、新たにレジストからなるマスク5031を形成する。その後、第4のドーピング処理を行う。第4のドーピング処理により、Pチャネル型TFTの活性層となる半導体層に、前記第1の導電型とは逆の導電型を付与する不純物元素が添加された第4の不純物領域(P+領域)及び第5の不純物領域(P−領域)が形成される。本実施の形態の第4のドーピング処理では、ジボラン(B2H6)を用いたイオンドープ法で形成する。イオンドープ法の条件としては、ドーズ量を1×1016/cm2とし、加速電圧を80keVとした。そして第2の導電層5016b、5018bを不純物元素に対するマスクとして、P型を付与する不純物元素を添加し、自己整合的に第4の不純物領域(P+領域)5032、5034及び第5の不純物領域(P−領域)5033、5035を形成する。
【0113】
なお、第4のドーピング処理の際には、Nチャネル型TFTを形成する半導体層はレジストからなるマスク5031によって覆われている。
【0114】
ここで、第1乃至第3のドーピング処理によって、第4の不純物領域(P+領域)5032、5034及び第5の不純物領域(P−領域)5033、5035にはそれぞれリンが添加されている。しかし、第4の不純物領域(P+領域)5032、5034及び第5の不純物領域(P−領域)5033、5035のいずれの領域においても、第4のドーピング処理によって、P型を付与する不純物元素の濃度が1×1019〜5×1021/cm3となるようにドーピング処理される。こうして、第4の不純物領域(P+領域)5032、5034及び第5の不純物領域(P−領域)5033、5035は、Pチャネル型TFTのソース領域及びドレイン領域として問題なく機能する。
【0115】
なお本実施の形態では、第4のドーピング処理のみにより、第4の不純物領域(P+領域)5032、5034及び第5の不純物領域(P−領域)5033、5035を形成したが、これに限定されない。ドーピング処理を行う条件を適宜変えて、複数回のドーピング処理で形成しても良い。
【0116】
次いで図6(B)に示すように、レジストからなるマスク5031を除去して第1の層間絶縁膜5036を形成する。この第1の層間絶縁膜5036としては、プラズマCVD法又はスパッタ法を用い、厚さを100〜200nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。本実施の形態では、プラズマCVD法により膜厚100nmの酸化窒化珪素膜を形成した。勿論、第1の層間絶縁膜5036は酸化窒化珪素膜に限定されるものでなく、他の珪素を含む絶縁膜を単層又は積層構造として用いても良い。
【0117】
次いで、図6(C)に示すように、加熱処理(熱処理)を行って、半導体層の結晶性の回復、半導体層に添加された不純物元素の活性化を行う。この加熱処理はファーネスアニール炉を用いる熱アニール法で行う。熱アニール法としては、酸素濃度が1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下の窒素雰囲気中、400〜700℃で行えばよく、本実施の形態では410℃、1時間の熱処理で活性化処理を行った。なお、熱アニール法の他に、レーザアニール法、又はラピッドサーマルアニール法(RTA法)を適用することができる。
【0118】
また、第1の層間絶縁膜5036を形成する前に加熱処理を行っても良い。ただし、第1の導電層5015a〜5019a及び、第2の導電層5015b〜5019bを構成する材料が熱に弱い場合には、本実施の形態のように配線等を保護するため第1の層間絶縁膜5036(珪素を主成分とする絶縁膜、例えば窒化珪素膜)を形成した後で熱処理を行うことが好ましい。
【0119】
上記の様に、第1の層間絶縁膜5036(珪素を主成分とする絶縁膜、例えば窒化珪素膜)を形成した後に熱処理することにより、活性化処理と同時に、半導体層の水素化も行うことができる。水素化の工程では、第1の層間絶縁膜5036に含まれる水素により半導体層のダングリングボンドが終端される。
【0120】
なお、活性化処理のための加熱処理とは別に、水素化のための加熱処理を行っても良い。
【0121】
ここで、第1の層間絶縁膜5036の存在に関係なく、半導体層を水素化することもできる。水素化の他の手段として、プラズマにより励起された水素を用いる手段(プラズマ水素化)や、3〜100%の水素を含む雰囲気中において、300〜450℃で1〜12時間の加熱処理を行う手段でも良い。
【0122】
次いで、第1の層間絶縁膜5036上に、第2の層間絶縁膜5037を形成する。第2の層間絶縁膜5037としては、無機絶縁膜を用いることができる。例えば、CVD法によって形成された酸化珪素膜や、SOG(Spin On Glass)法によって塗布された酸化珪素膜等を用いることができる。また、第2の層間絶縁膜5037として、有機絶縁膜を用いることができる。例えば、ポリイミド、ポリアミド、BCB(ベンゾシクロブテン)、アクリル等の膜を用いることができる。
また、アクリル膜と酸化窒化珪素膜の積層構造を用いても良い。
【0123】
本実施の形態では、膜厚1.6μmのアクリル膜を形成した。第2の層間絶縁膜5037によって、基板上5000に形成されたTFTによる凹凸を緩和し、平坦化することができる。特に、第2の層間絶縁膜5037は平坦化の意味合いが強いので、平坦性に優れた膜が好ましい。
【0124】
次いで、ドライエッチング又はウエットエッチングを用い、第2の層間絶縁膜5037、第1の層間絶縁膜5036、及びゲート絶縁膜5006をエッチングし、第3の不純物領域5025、5028、第4の不純物領域5032、5034に達するコンタクトホールを形成する。
【0125】
続いて、各不純物領域とそれぞれ電気的に接続する配線5038〜5041及び画素電極5042を形成する。なお、これらの配線は、膜厚50nmのTi膜と、膜厚500nmの合金膜(AlとTiの合金膜)との積層膜をパターニングして形成する。もちろん、二層構造に限らず、単層構造でも良いし、三層以上の積層構造にしても良い。また、配線材料としては、AlとTiに限らない。例えば、TaN膜上にAl膜やCu膜を形成し、さらにTi膜を形成した積層膜をパターニングして配線を形成しても良いが、反射性に優れた材料を用いることが望ましい。
【0126】
続いて、画素電極5042を少なくとも含む部分上に配向膜5043を形成しラビング処理を行う。なお、本実施の形態では配向膜5043を形成する前に、アクリル樹脂膜等の有機樹脂膜をパターニングすることによって基板間隔を保持するための柱状のスペーサ5045を所望の位置に形成した。また、柱状のスペーサに代えて、球状のスペーサを基板全面に散布してもよい。また、配向膜5043を形成する前に、適宜カラーフィルターを形成してもよい。
【0127】
次いで、ロジック回路を形成した対向基板5046を用意する。
【0128】
ガラス基板5000上に下地膜形成、半導体層形成、ゲート絶縁膜形成、第1及び第2の導電層形成、第1及び第2のエッチング処理、第1乃至第4のドーピング処理、第1及び第2の層間絶縁膜形成、配線、コンタクトホール形成が施されたのと同様な方法で、あるいは必要に応じて以下の実施の形態5及び6に示す方法で形成した半導体膜を用いて、対向基板5046上にTFTが作製される。
【0129】
次いで、平坦化膜5050上に反射電極5051を少なくとも画素領域に形成し、対向基板の全面に配向膜5052を形成し、ラビング処理を施した。
【0130】
そして、画素領域と駆動回路が形成されたアクティブマトリクス基板と対向基板とをシール材5044で貼り合わせる。シール材5044にはフィラーが混入されていて、このフィラーと柱状スペーサによって均一な間隔を持って2枚の基板が貼り合わせられる。その後、両基板の間に液晶材料5053を注入し、封止剤(図示せず)によって完全に封止する。液晶材料5053には公知の液晶材料を用いれば良い。このようにして図6(D)に示す液晶表示装置が完成する。そして、必要があれば、アクティブマトリクス基板又は対向基板を所望の形状に分断する。さらに、偏光板及びFPC(図示せず)を貼りつけてもよい。
【0131】
なお、本実施の形態は実施の形態1乃至3と組み合わせて実施することが可能である。
【0132】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明のアクティブマトリクス型表示装置が有するTFTの半導体からなる活性層を作製する上で、半導体膜を結晶化する手法の例を示す。
【0133】
ガラス基板上に下地膜として、プラズマCVD法により酸化窒化珪素膜(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)400nmを形成した。続いて、前記下地膜上に半導体膜として、プラズマCVD法により非晶質珪素膜150nmを形成した。そして、500℃で3時間の熱処理を行って、半導体膜が含有する水素を放出させた後、レーザアニール法により半導体膜の結晶化を行った。
【0134】
レーザアニール法に用いるレーザとしては、連続発振のYVO4レーザを用いた。レーザアニール法の条件は、レーザ光としてYVO4レーザの第2高調波(波長532nm)を用いた。レーザ光を光学系により所定の形状のビームとして、基板表面上に形成した半導体膜を照射した。
【0135】
なお、基板上に照射されるビームの形状は、レーザの種類や、光学系によって変化させることができる。こうして、基板上に照射されるビームのアスペクト比やエネルギー密度の分布を変えることができる。例えば、基板上に照射されるビームの形状は、線状、矩形状、楕円状など、様々な形状とすることができる。本実施の形態では、YVO4レーザの第2高調波を、光学系によって200μm×50μmの楕円状にし、半導体膜に照射した。
【0136】
ここで、レーザ光を基板表面上に形成した半導体膜に照射する際に用いる、光学系の模式図を図7に示す。
【0137】
レーザ701から射出されたレーザ光(YVO4レーザの第2高調波)は、ミラー702を経由して、凸レンズ703に入射する。レーザ光は凸レンズ703に対して斜めに入射させる。このようにすることで、非点収差などの収差により焦点位置がずれ、照射面又はその近傍において楕円状ビーム706を形成することができる。
【0138】
そして、このようにして形成される楕円状ビーム706を照射しながら、例えば707で示す方向又は708で示す方向にガラス基板705を移動させた。こうして、ガラス基板705上に形成された半導体膜704において、楕円状ビーム706を相対的に移動させながら照射した。
【0139】
なお、楕円状ビーム706の相対的な走査方向は、楕円状ビーム706の長軸に垂直な方向とした。
【0140】
本実施の形態では、凸レンズ703に対するレーザ光の入射角φを約20°として200μm×50μmの楕円状ビームを形成し、ガラス基板705を50cm/sの速度で移動させながら照射して、半導体膜の結晶化を行った。
【0141】
このようにして得られた結晶性半導体膜にセコエッチングを行って、SEMにより500倍にて表面を観察した結果を図8に示す。なお、セコエッチングにおけるセコ液はHF:H2O=2:1に添加剤としてK2Cr2O7を用いて作製されるものである。図8は、図中の矢印で示す方向にレーザ光を相対的に走査させて得られたものである。レーザ光の走査方向に平行に大粒径の結晶粒が形成されている様子がわかる。つまり、レーザ光の走査方向に対して延在するように結晶成長がなされる。
【0142】
このように、本実施の形態の手法を用いて結晶化を行った半導体膜には大粒径の結晶粒が形成されている。そのため、前記半導体膜を半導体活性層として用いてTFTを作製すると、前記TFTのチャネル形成領域に含まれる結晶粒界の本数を少なくすることができる。また、個々の結晶粒の内部は実質的に単結晶と見なせる結晶性を有することから、単結晶半導体を用いたトランジスタと同等の高いモビリティ(電界効果移動度)を得ることも可能である。
【0143】
さらに、TFTをそのキャリアの移動方向が、形成された結晶粒の延在する方向と揃うように配置すれば、キャリアが結晶粒界を横切る回数を極端に減らすことができる。そのため、オン電流値(TFTがオン状態にある時に流れるドレイン電流値)、オフ電流値(TFTがオフ状態にある時に流れるドレイン電流値)
、しきい値電圧、S値及び電界効果移動度のバラツキを低減することも可能となり、電気的特性は著しく向上する。
【0144】
なお、半導体膜の広い範囲に楕円状ビーム706を照射するため、楕円状ビーム706をその長軸に垂直な方向に走査して半導体膜に照射する動作(以下、スキャンと表記する)を、複数回行っている。ここで、1回のスキャン毎に、楕円状ビーム706の位置は、その長軸に平行な方向にずらされる。また、連続するスキャン間では、その走査方向を逆にする。ここで、連続する2回のスキャンにおいて、一方を往路のスキャン、もう一方を復路のスキャンと呼ぶことにする。
【0145】
楕円状ビーム706の位置を、1回のスキャン毎にその長軸に平行な方向にずらす大きさを、ピッチdと表現する。また、往路のスキャンにおいて、図8に示したような大粒径の結晶粒が形成された領域の、楕円状ビーム706の走査方向に垂直な方向の長さを、D1と表記する。復路のスキャンにおいて、図8に示したような大粒径の結晶粒が形成された領域の、楕円状ビーム706の走査方向に垂直な方向の長さを、D2と表記する。また、D1とD2の平均値を、Dとする。
【0146】
このとき、オーバーラップ率RO.L[%]を式1で定義する。
【0147】
RO.L=(1−d/D)×100・・・式1
【0148】
本実施の形態では、オーバーラップ率RO.Lを0[%]とした。
【0149】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明のアクティブマトリクス型表示装置が有するTFTの半導体からなる活性層を作製する上で、半導体膜を結晶化する手法において、実施の形態5とは異なる例を示す。
【0150】
半導体膜として非晶質珪素膜を形成するまでの工程は、実施の形態5と同様である。その後、特開平7−183540号公報に記載された方法を利用し、前記半導体膜上にスピンコート法にて酢酸ニッケル水溶液(重量換算濃度5ppm、体積10ml)を塗布し、500℃の窒素雰囲気で1時間、550℃の窒素雰囲気で12時間の熱処理を行った。続いて、レーザアニール法により、半導体膜の結晶性の向上を行った。
【0151】
レーザアニール法に用いるレーザとしては、連続発振のYVO4レーザを用いた。レーザアニール法の条件は、レーザ光としてYVO4レーザの第2高調波(波長532nm)を用い、図7で示した光学系における凸レンズ703に対するレーザ光の入射角φを約20°として、200μm×50μmの楕円状ビームを形成した。ガラス基板705を50cm/sの速度で移動させながら、前記楕円ビームを照射して、半導体膜の結晶性の向上を行った。
【0152】
なお、楕円状ビーム706の相対的な走査方向は、楕円状ビーム706の長軸に垂直な方向とした。
【0153】
このようにして得られた結晶性半導体膜にセコエッチングを行って、SEMにより500倍にて表面を観察した。その結果を図9に示す。図9は、図中の矢印で示す方向にレーザ光を相対的に走査させて得られたものであり、走査方向に対して延在して大粒径の結晶粒が形成されている様子がわかる。
【0154】
このように、本実施の形態を用いて結晶化を行った半導体膜には大粒径の結晶粒が形成されているため、前記半導体膜を用いてTFTを作製すると、そのチャネル形成領域に含まれる結晶粒界の本数を少なくすることができる。また、個々の結晶粒は実質的に単結晶と見なせる結晶性を有することから、単結晶半導体を用いたトランジスタと同等の高いモビリティ(電界効果移動度)を得ることも可能である。
【0155】
さらに、形成された結晶粒が一方向に揃っている。そのため、TFTを、そのキャリアの移動方向が、形成された結晶粒の延在する方向と揃うように配置すれば、キャリアが結晶粒界を横切る回数を極端に減らすことができる。そのため、オン電流値、オフ電流値、しきい値電圧、S値及び電界効果移動度のバラツキを低減することも可能となり、電気的特性は著しく向上する。
【0156】
なお、半導体膜の広い範囲に楕円状ビーム706を照射するため、楕円状ビーム706をその長軸に垂直な方向に走査して半導体膜に照射する動作(スキャン)を、複数回行っている。ここで、1回のスキャン毎に、楕円状ビーム706の位置は、その長軸に平行な方向にずらされる。また、連続するスキャン間では、その走査方向を逆にする。すなわち実施の形態5と同様に、連続する2回のスキャンにおいて、一方を往路のスキャン、もう一方を復路のスキャンと呼ぶ。
【0157】
楕円状ビーム706の位置を、1回のスキャン毎にその長軸に平行な方向にずらす大きさを、ピッチdと表現する。また、往路のスキャンにおいて、図9に示したような大粒径の結晶粒が形成された領域の、楕円状ビーム706の走査方向に垂直な方向の長さを、D1と表記する。復路のスキャンにおいて、図9に示したような大粒径の結晶粒が形成された領域の、楕円状ビーム106の走査方向に垂直な方向の長さを、D2と表記する。また、D1とD2の平均値を、Dとする。
【0158】
このとき、式1と同様に、オーバーラップ率RO.L[%]を定義する。本実施の形態では、オーバーラップ率RO.Lを0[%]とした。
【0159】
また、上記結晶化の手法によって得られた半導体膜(図中、Improved CG−Siliconと表記)のラマン散乱分光の結果を図10に太線で示す。ここで、比較のため、単結晶シリコン(図中、ref.(100)Si Waferと表記)のラマン散乱分光の結果を細線で示した。また、非晶質珪素膜を形成後、熱処理を行って半導体膜が含有する水素を放出させた後、パルス発振のエキシマレーザを用い結晶化を行った半導体膜(図中、excimer laser annealingと表記)のラマン散乱分光の結果を図10に点線で示した。
【0160】
本実施の形態の手法によって得られた半導体膜のラマンシフトは、517.3cm-1のピークを有する。また、半値幅は、4.96cm-1である。一方、単結晶シリコンのラマンシフトは、520.7cm-1のピークを有する。また、半値幅は、4.44cm-1である。パルス発振のエキシマレーザを用い結晶化を行った半導体膜のラマンシフトは、516.3cm-1である。また、半値幅は、6.16cm-1である。
【0161】
図10の結果により、本実施の形態に示した結晶化の手法によって得られた半導体膜の結晶性が、パルス発振のエキシマレーザを用い結晶化を行った半導体膜の結晶性と比べて、単結晶シリコンに近いことがわかる。
【0162】
(実施の形態7)
本実施の形態では、実施の形態5に示した手法によって結晶化した半導体膜を用いてTFTを作製した例について、図11を用いて説明し、更にそれらTFTの電気的特性について、図12を用いて説明する。
【0163】
本実施の形態では基板20として、ガラス基板を用い、ガラス基板上に下地膜21として、プラズマCVD法により酸化窒化珪素膜(組成比Si=32%、O=27%、N=24%、H=17%)50nm、酸化窒化珪素膜(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)100nmを積層した。次いで、下地膜21上に半導体膜22として、プラズマCVD法により非晶質珪素膜150nmを形成した。そして、500℃で3時間の熱処理を行って、半導体膜が含有する水素を放出させた。(図11(A))
【0164】
その後、レーザ光として連続発振のYVO4レーザの第2高調波(波長532nm、5.5W)を用い、図7で示した光学系における凸レンズ703に対するレーザ光の入射角φを約20°として200μm×50μmの楕円状ビームを形成した。前記楕円ビームを、50cm/sの速度で相対的に走査して、半導体膜23に照射した。(図11(B))
【0165】
そして、第1のドーピング処理を行う。これはしきい値を制御するためのチャネルドープである。材料ガスとしてB2H6を用い、ガス流量30sccm、電流密度0.05μA、加速電圧60keV、ドーズ量1×1014/cm2として行った。(図11(C))
【0166】
続いて、パターニングを行って、半導体膜24を所望の形状にエッチングした後、エッチングされた半導体膜を覆うゲート絶縁膜27としてプラズマCVD法により膜厚115nmの酸化窒化珪素膜を形成する。次いで、ゲート絶縁膜27上に導電膜として膜厚30nmのTaN膜28と、膜厚370nmのW膜29を積層形成する。(図11(D))
【0167】
フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスク(図示せず)を形成して、W膜、TaN膜、ゲート絶縁膜をエッチングする。
【0168】
そして、レジストからなるマスクを除去し、新たにマスク33を形成して第2のドーピング処理を行い、半導体膜にn型を付与する不純物元素を導入する。この場合、導電層30、31がn型を付与する不純物元素に対するマスクとなり、自己整合的に不純物領域34が形成される。本実施の形態では第2のドーピング処理は、半導体膜の膜厚が150nmと厚いため2条件に分けて行った。本実施の形態では、材料ガス(原料ガス)としてフォスフィン(PH3)を用い、ドーズ量を2×1013/cm2とし、加速電圧を90keVとして行った後、ドーズ量を5×1014/cm2とし、加速電圧を10keVとして行った。(図11(E))
【0169】
次いで、レジストからなるマスク33を除去した後、新たにレジストからなるマスク35を形成して第3のドーピング処理を行う。第3のドーピング処理により、pチャネル型TFTの活性層となる半導体膜に前記一導電型とは逆の導電型を付与する不純物元素が添加された不純物領域36を形成する。導電層30、31を不純物元素に対するマスクとして用い、p型を付与する不純物元素を添加して自己整合的に不純物領域36を形成する。本実施の形態では第3のドーピング処理においても、半導体膜の膜厚が150nmと厚いため2条件に分けて行った。本実施の形態では、材料ガスとしてジボラン(B2H6)を用い、ドーズ量を2×1013/cm2とし、加速電圧を90keVとして行った後、ドーズ量を1×1015/cm2とし、加速電圧を10keVとして行った。(図11(F))
【0170】
以上までの工程で、それぞれの半導体層に不純物領域34、36が形成される。
【0171】
次いで、レジストからなるマスク35を除去して、プラズマCVD法により第1の層間絶縁膜37として膜厚50nmの酸化窒化珪素膜(組成比Si=32.8%、O=63.7%、N=3.5%)を形成した。
【0172】
次いで、熱処理により、半導体層の結晶性の回復、それぞれの半導体層に添加された不純物元素の活性化を行う。本実施の形態ではファーネスアニール炉を用いた熱アニール法により、窒素雰囲気中にて550度4時間の熱処理を行った。
(図11(G))
【0173】
次いで、第1の層間絶縁膜37上に無機絶縁膜材料又は有機絶縁物材料から成る第2の層間絶縁膜38を形成する。本実施の形態では、CVD法により膜厚50nmの窒化珪素膜を形成した後、膜厚400nmの酸化珪素膜を形成した。
【0174】
そして、熱処理を行うと水素化処理を行うことができる。本実施の形態では、ファーネスアニール炉を用い、410度で1時間、窒素雰囲気中にて熱処理を行った。
【0175】
続いて、各不純物領域とそれぞれ電気的に接続する配線39を形成する。本実施の形態では、膜厚50nmのTi膜と、膜厚500nmのAl―Si膜と、膜厚50nmのTi膜との積層膜をパターニングして形成した。もちろん、二層構造に限らず、単層構造でもよいし、三層以上の積層構造にしてもよい。また、配線の材料としては、AlとTiに限らない。例えば、TaN膜上にAlやCuを形成し、さらにTi膜を形成した積層膜をパターニングして配線を形成してもよい。(図11(H))
【0176】
以上の様にして、チャネル長6μm、チャネル幅4μmのnチャネル型TFT51とpチャネル型TFT52が形成された。
【0177】
これらの電気的特性を測定した結果を図12に示す。nチャネル型TFT51の電気的特性を図12(A)に、pチャネル型TFT52の電気的特性を図12(B)に示す。電気的特性の測定条件は、測定点をそれぞれ2点とし、ゲート電圧Vg=−16〜16Vの範囲で、ドレイン電圧Vd=1V及び5Vとした。また、図12において、ドレイン電流(ID)、ゲート電流(IG)は実線で、電界効果移動度(μFE)は点線で示している。
【0178】
本実施の形態を用いて結晶化を行った半導体膜には大粒径の結晶粒が形成されているため、前記半導体膜を用いてTFTを作製すると、そのチャネル形成領域に含まれる結晶粒界の本数を少なくすることができる。さらに、形成された結晶粒は一方向に揃っているため、キャリアが結晶粒界を横切る回数を極端に減らすことができる。そのため、図12に示したように電気的特性の良いTFTが得られる。特に電界効果移動度が、nチャネル型TFTにおいて524cm2/Vs、pチャネル型TFTにおいて205cm2/Vsとなることがわかる。このようなTFTを用いてアクティブマトリクス型表示装置を作製すれば、その動作特性及び信頼性をも向上することが可能となる。
【0179】
(実施の形態8)
本実施の形態では、実施の形態7とは異なる方法で半導体膜の結晶化を行い、前記半導体膜を用いてTFTを作製した例について、図13を用いて説明し、それらTFTの電気的特性について図14〜図16を用いて説明する。
【0180】
半導体膜として非晶質珪素膜を形成するまでの工程は、実施の形態7と同様である。なお、非晶質珪素膜は、150nmの厚さで形成した。(図13(A))
【0181】
その後、特開平7−183540号公報に記載された方法を利用し、前記半導体膜上にスピンコート法にて酢酸ニッケル水溶液(重量換算濃度5ppm、体積10ml)を塗布して金属含有層41を形成する。そして、500℃の窒素雰囲気で1時間、550℃の窒素雰囲気で12時間の熱処理を行った。こうして半導体膜42を得た。(図13(B))
【0182】
続いて、レーザアニール法により、半導体膜42の結晶性の向上を行う。
【0183】
レーザアニール法の条件は、レーザ光として連続発振のYVO4レーザの第2高調波(波長532nm、5.5W)を用い、図7で示した光学系における凸レンズ703に対するレーザ光の入射角φを約20°として200μm×50μmの楕円状ビームを形成した。前記楕円状ビームを、基板を20cm/s又は50cm/sの速度で移動させながら照射して、半導体膜42の結晶性の向上を行った。こうして半導体膜43を得た。(図13(C))
【0184】
図13(C)の半導体膜の結晶化の後の工程は、実施の形態7において示した図11(C)〜図11(H)の工程と同様である。こうして、チャネル長6μm、チャネル幅4μmのnチャネル型TFT51とpチャネル型TFT52が形成された。これらの電気的特性を測定した。
【0185】
上記工程によって作製したTFTの電気的特性を、図14、図15、図16に示す。
【0186】
図14(A)及び図14(B)に、図13(C)のレーザアニール工程において、基板の速度を20cm/sで移動させて作製したTFTの電気的特性を示す。図14(A)に、nチャネル型TFT51の電気的特性を示す。また図14(B)に、pチャネル型TFT52の電気的特性を示す。また、図15(A)及び図15(B)に、図13(C)のレーザアニール工程において、基板の速度を50cm/sで移動させて作製したTFTの電気的特性を示す。図15(A)に、nチャネル型TFT51の電気的特性を示す。また図15(B)に、pチャネル型TFT52の電気的特性を示す。
【0187】
なお、電気的特性の測定条件は、ゲート電圧Vg=−16〜16Vの範囲で、ドレイン電圧Vd=1V及び5Vとした。また、図14、図15において、ドレイン電流(ID)、ゲート電流(IG)は実線で、電界効果移動度(μFE)は点線で示している。
【0188】
本発明を用いて結晶化を行った半導体膜には大粒径の結晶粒が形成されているため、前記半導体膜を用いてTFTを作製すると、そのチャネル形成領域に含まれる結晶粒界の本数を少なくすることができる。さらに、形成された結晶粒は一方向に揃っており、レーザ光の相対的な走査方向に対して交差する方向に形成される粒界が少ないため、キャリアが結晶粒界を横切る回数を極端に減らすことができる。
【0189】
そのため、図14及び図15に示したように電気的特性の良いTFTが得られる。特に電界効果移動度が、図14ではnチャネル型TFTにおいて510cm2/Vs、pチャネル型TFTにおいて200cm2/Vs、また、図15ではnチャネル型TFTにおいて595cm2/Vs、pチャネル型TFTにおいて199cm2/Vsと非常に優れていることがわかる。そして、このようなTFTを用いてアクティブマトリクス型表示装置を作製すれば、その動作特性及び信頼性をも向上することが可能となる。
【0190】
また、図16に、図13(C)のレーザアニール工程において、基板の速度を50cm/sで移動させて作製したTFTであって、図15と異なるTFTを測定した電気的特性を示す。図16(A)に、nチャネル型TFT51の電気的特性を示す。また図16(B)に、pチャネル型TFT52の電気的特性を示す。
【0191】
なお、電気的特性の測定条件は、ゲート電圧Vg=−16〜16Vの範囲で、ドレイン電圧Vd=0.1V及び5Vとした。
【0192】
図16に示したように電気的特性の良いTFTが得られる。特に電界効果移動度が、図16(A)に示したnチャネル型TFTにおいて657cm2/Vs、図16(B)に示したpチャネル型TFTにおいて219cm2/Vsと非常に優れていることがわかる。そして、このようなTFTを用いて半導体装置や半導体表示装置を作製すれば、その動作特性及び信頼性をも向上することが可能となる。
【0193】
(実施の形態9)
図17は対向基板1705上にロジック回路を形成したアクティブマトリクス型表示装置の一例を示したものである。
【0194】
図17に示した表示部を有するアクティブマトリクス型表示装置の動作について説明する。図17には、対向基板1705上に設けられた画像処理回路1700、ワークメモリ1701、ゲート信号線駆動回路1702、ソース信号線駆動回路1703、フレームメモリ1704、DSP(Digital Signal Processor)
1706を示す。そして、インターフェース回路を介して外部装置から受け取ったデータは、画像処理回路で画像データの処理を行う。デジタル信号の処理はDSP1706が行う。画像処理回路1700は制御信号あるいは画像データを作成する際のデータの一時的な格納場所であるワークメモリ1701との間で、随時データの読み書きを行う。さらに、画像処理回路1700はフレームメモリ1704に二次元的にアクセスし、ディスプレイに表示すべき画像データを書き込む。フレームメモリ1704に書き込まれた画像データは、ゲート信号線駆動回路1702及びソース信号線駆動回路1703により画素に表示される。
【0195】
本実施の形態において、実施の形態5乃至8で示した方法で形成した半導体膜を用いて対向基板1705上のTFTを作製することにより、DSP1706及び画像処理回路1700は5MHz以上の動作速度を実現できる。また、ワークメモリ1701やフレームメモリ1704として、SRAMやDRAMが用いられるが、SRAMの場合200nsec以下、DRAMの場合1μsec以下の読み出しサイクル時間が実現される。
【0196】
ただし、上記ロジック回路のうちの一部が外付けで実装されていてもよい。
【0197】
なお、本実施の形態のロジック回路は実施の形態1乃至4と組み合わせて実施することが可能である。
【0198】
(実施の形態10)
図18は対向基板1805上にロジック回路を形成したアクティブマトリクス型表示装置の一例を示したものである。
【0199】
図18に示した表示部を有する半導体装置の動作について説明する。タイミング生成回路(タイミングジェネレータ)1800で、ゲート信号線駆動回路1801及びソース信号線駆動回路1802の動作タイミングを決めるクロック信号を生成する。階調電源生成部1804で、階調基準を決める電圧を出力する。フォーマット変換部1803で、圧縮符号化された入力信号の伸長復号、画像の補間やリサイズなどの画像処理が行われる。フォーマット変換された画像データは、ゲート信号線駆動回路1801及びソース信号線駆動回路1802により画素に表示される。
【0200】
ただし、上記ロジック回路のうちの一部が外付けで実装されていてもよい。
【0201】
なお、本実施の形態のロジック回路のTFTは実施の形態5乃至8に記載の方法で作製すればよい。また本実施の形態のロジック回路は実施の形態1乃至4と組み合わせて実施することが可能である。
【0202】
(実施の形態11)
図19は対向基板1904上に第1のゲート信号線駆動回路1901、第2のゲート信号線駆動回路1903及び、第1のソース信号線駆動回路1900、第2のソース信号線駆動回路1902が、基板の4辺に沿うように形成された、アクティブマトリクス型表示装置の一例を示したものである。本実施の形態では、第1のゲート信号線駆動回路及び第1のソース信号線駆動回路で背景画の表示を行い、第2のゲート信号線駆動回路及び第2のソース信号線駆動回路で背景画の表示とは独立にテキストモードの表示を行う。
【0203】
なお、駆動回路の分割数や配置方法は上記の方法に限定されない。また、駆動回路のうちの一部が外付けで実装されていてもよい。
【0204】
なお、本実施の形態のロジック回路のTFTは実施の形態5乃至8に記載の方法で作製すればよい。また本実施の形態のロジック回路は実施の形態1乃至4と組み合わせて実施することが可能である。
【0205】
(実施の形態12)
図20は、本発明の表示装置を利用した携帯ゲーム機の表示部において、対向基板2008上に形成されたロジック回路のブロック図を示したものである。
【0206】
図20に示した表示部を有するアクティブマトリクス型表示装置の動作について説明する。インターフェース回路2001を介して、対向基板2008上にない外部装置からシステムバス2005にデータが送られる。外部装置としては、たとえばROMやキーボードなどが挙げられる。外部装置との通信はCPU2000で制御される。データはシステムバス2005を経由して、メモリ2002に格納される。さらに、データは画像処理回路2003により画像処理が施され、VRAM2004に格納される。VRAM2004に格納された画像データは、ゲート信号線駆動回路2006及びソース信号線駆動回路2007によって画素に表示される。
【0207】
本実施の形態において、実施の形態5乃至8で示した方法で形成した半導体膜を用いて対向基板2008上のTFTを作製することにより、5MHz以上の動作周波数をもつCPU2000を実現できる。また、メモリ2002及びVRAM2004として、SRAMやDRAMが用いられるが、SRAMの場合200nsec以下、DRAMの場合1μsec以下の読み出しサイクル時間が実現される。
【0208】
ただし、上記ロジック回路のうちの一部が外付けで実装されていてもよい。
【0209】
なお、本実施の形態のロジック回路は、実施の形態1乃至4と組み合わせて実施することが可能である。
【0210】
(実施の形態13)
本発明を用いた電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機又は電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。それらの電子機器の具体例を図21に示す。
【0211】
図21(A)は表示装置であり、筐体2101、支持台2102、表示部2103を含む。本発明は表示部2103を有する表示装置に適用が可能である。
【0212】
図21(B)はビデオカメラであり、本体2111、表示部2112、音声入力2113、操作スイッチ2121、バッテリー2115、受像部2116などによって構成されている。本発明は表示部2112を有する表示装置に適用が可能である。
【0213】
図21(C)はノート型のパーソナルコンピュータであり、本体2121、筐体2122、表示部2123、キーボード2124などによって構成されている。本発明は表示部2123を有する表示装置に適用が可能である。
【0214】
図21(D)は携帯情報端末であり、本体2131、スタイラス2132、表示部2133、操作ボタン2134、外部インターフェース2135などによって構成されている。本発明は表示部2133を有する表示装置に適用が可能である。
【0215】
図21(E)は音響再生装置、具体的には車載用のオーディオ装置であり、本体2141、表示部2142、操作スイッチ2143、2144などによって構成されている。本発明は表示部2142を有する表示装置に適用が可能である。
また、今回は車載用オーディオ装置を例に上げたが、携帯型もしくは家庭用オーディオ装置に用いてもよい。
【0216】
図21(F)はデジタルカメラであり、本体2151、表示部(A)2152、接眼部2153、操作スイッチ2154、表示部(B)2155、バッテリー2156などによって構成されている。本発明は表示部(A)2152及び表示部(B)2155を有する表示装置に適用が可能である。
【0217】
図21(G)は携帯電話であり、本体2161、音声出力部2162、音声入力部2163、表示部2164、操作スイッチ2165、アンテナ2166などによって構成されている。本発明は表示部2164を有する表示装置に適用が可能である。
【0218】
これらの電子機器に使われる表示装置はガラス基板だけでなく耐熱性のプラスチック基板を用いることもできる。それによってよりいっそうの軽量化を図ることができる。
【0219】
なお、本実施の形態に示した例はごく一例であり、これらの用途に限定するものではないことを付記する。
【0220】
本実施の形態は、実施の形態1乃至12に記載のTFTの作製方法やロジック回路を自由に組み合わせて実施することが可能である。
【0221】
(実施の形態14)
本実施の形態では、画素基板上に画素部、ソース信号線駆動回路及びゲート信号線駆動回路を一体形成し、対向基板にロジック回路を設ける場合を説明する。
【0222】
図22(A)には、画素基板500に画素部501、ソース信号線駆動回路502及びゲート信号線駆動回路503(以下、ソース信号線駆動回路及びゲート信号線駆動回路を駆動回路と表記する)が設けられている。また、対向基板505にロジック回路の一例であるCPU506が設けられている。
【0223】
また画素部501においてソース線とゲート線とが交差する各画素、ソース信号線駆動回路502、ゲート信号線駆動回路503、CPU505はそれぞれTFTが設けられており、実施の形態4乃至13のいずれかの記載を参照してTFTを作製すればよい。
【0224】
なお、画素基板500と対向基板505との間には液晶層が設けられているが、説明の便宜上図示しない。
【0225】
そして駆動回路とCPUとは、それぞれに設けられた電気パッド507を介し、配線508を用いたワイヤボンディング法により接続されている。CPUと駆動回路とに設けられる複数の電気バッド507は、TFTを保護するために形成されるパッシベーション膜に開口部(100μm×100μm程度)を設けて形成される。また、パッシベーション膜はSiN、SiNの応力を緩和するためにTEOSを混入させたSiN/TEOS、アクリル等の有機樹脂材料から形成すればよい。
【0226】
図22(B)には、図22(A)のA−A’での断面図を示す。図22(B)
には、画素基板500と対向基板505とを接着し、固定するためのシール剤509が設けられている。なお、シール剤509は画素基板と対向基板との間隔(ギャップ)を保持するためのスペーサを兼ねている。もちろんギャップを保持するために、適宜柱状スペーサや球状スペーサを設けても構わない。また、シール剤509を画素部の一部と駆動回路との一部とを覆うように設けてもよく、駆動回路上に設けてもよい。但しこのような場合、画素部や駆動回路に対するシール剤等による接着時の応力を考慮して配置する必要がある。
【0227】
更に、CPUの高さはスペーサと同程度であるため、シール剤509を設ける位置にCPUを設けてスペーサと機能させても構わない。この場合、駆動回路を設ける領域(辺)にCPUを設け、基板のその他の領域(その他の辺)にシール剤を設ければよい。また、駆動回路とCPUとは導電ペースト等を用いて接続すればよい。
【0228】
以上のような本発明では、駆動電圧の違いに基づいて画素部501、ソース信号線駆動回路502、ゲート信号線駆動回路503と、CPU505とを異なる基板に形成することを特徴とする。
【0229】
更に本発明は、画素基板と対向基板とで、TFTを形成するプロセスを異ならせることが可能となる。
【0230】
例えば、CPUが有するTFTの電気特性は、高移動度が要求されるため、対向基板上のTFTでは、レーザ、結晶化を助長させる金属元素を用い、更にはそれらを合わせた結晶化プロセスを採用すればよい。一方、画素基板上のTFTでも高移動度は必要であるが、CPUと比較すると、TFTの移動度は高くなくともよい。
【0231】
また高速動作が要求されるCPUでは、駆動電圧の低電圧化と、それに伴うゲート絶縁膜の薄膜化が求められる。しかしながら、画素部に用いられるTFT等では表示装置の駆動電圧の制約により、駆動電圧の低電圧化及びゲート絶縁膜の薄膜化は難しかった。
【0232】
本発明は、以上のように要求される特性が異なっている各TFTを、異なる基板に設け、TFTをそれぞれ作製することを特徴とする。
【0233】
また、図23には図22(B)と異なる接続方法の例を記載する。
【0234】
図23(A)に示すように、アクティブマトリクス型表示装置の外枠(一般的に樹脂等で形成される外枠)601に予め配線602を形成する。配線602は、外枠601に溝を形成し、該溝にリード線を形成して得ることができる。また、プリント基板のように導電性物質を印刷法により形成することも可能である。
更に、印刷法により形成された配線上に、電気パッドと接続される接続部を除き絶縁膜を印刷してもよい。このとき、配線の間隔は電気パッドの間隔と一致することが望ましい。またプリント基板と同様に配線を引き回し、他の半導体素子を実装させることも可能である。
【0235】
その後、外枠601にシール剤により固定された画素基板501と対向基板505とをはめ込み、駆動回路の電気パッドとCPUとの電気パッドを接続する。
このように外枠に配線を設けることは、各電気パッドをワイヤボンディング法により接続するよりも簡単であり、更に接続不良を低減することができる。図23に示す接続法以外としては、プリント基板の要領で開口部と電気パッドを接続したり、ソケットの要領で接続したりすればよい。
【0236】
本実施の形態では、CPUを駆動回路上、すなわち画素領域上以外に設けたり、シール剤領域に設けたりすることにより、反射型液晶表示装置に限定されることなく、透過型液晶表示装置とすることが可能である。
【0237】
このように、本発明の半導体装置や半導体表示装置は、対向基板上にTFTを作製することによって、従来は表示部を構成する基板とは異なる基板上に形成され実装されていたロジック回路を、対向基板上に形成することを特徴とする。その結果、小型の半導体装置や半導体表示装置を実現する事ができると共に、ICチップ等の実装を大幅に簡略化することが可能となり、実装面での信頼性を向上することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁表面を有する第1の基板と、
前記第1の基板に対向する絶縁表面を有する第2の基板と、
前記第1の基板及び前記第2の基板がはめ込まれた外枠と、を有し、
前記第1の基板には、信号線駆動回路、走査線駆動回路、及び画素領域が設けられ、
前記第2の基板には、ロジック回路が設けられ、
前記外枠には、溝、及び前記溝に形成された配線が設けられ、
前記外枠の溝に形成された配線を介して前記信号線駆動回路及び前記走査線駆動回路の電極パッドと前記ロジック回路の電極パッドとが電気的に接続され、
前記画素領域と、前記ロジック回路が設けられる領域とは重なることを特徴とするアクティブマトリクス型表示装置。
【請求項2】
絶縁表面上に第1のTFTを有する第1の基板と、
第2のTFTを有し、前記第1の基板に対向する絶縁表面を有する第2の基板と、
前記第1の基板及び前記第2の基板がはめ込まれた外枠と、を有し、
前記第1の基板には、信号線駆動回路、走査線駆動回路、及び前記第1のTFTを有する画素領域が設けられ、
前記第2の基板には、前記第2のTFTを有するロジック回路が設けられ、
前記外枠には、溝、及び前記溝に形成された配線が設けられ、
前記外枠の溝に形成された配線を介して前記信号線駆動回路及び前記走査線駆動回路の電極パッドと前記ロジック回路の電極パッドとが電気的に接続され、
前記画素領域と、前記ロジック回路が設けられる領域とは重なることを特徴とするアクティブマトリクス型表示装置。
【請求項3】
請求項2において、前記第1のTFTの駆動電圧は、前記第2のTFTの駆動電圧よりも高いことを特徴とするアクティブマトリクス型表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至3において、前記第1の基板と前記第2の基板との間には、液晶素子又は発光素子が設けられることを特徴とするアクティブマトリクス型表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一において、前記第1の基板はプラスチック基板、ガラス基板及び石英基板のいずれか一つであることを特徴とするアクティブマトリクス型表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一において、前記第2の基板はプラスチック基板、ガラス基板及び石英基板のいずれか一つであることを特徴とするアクティブマトリクス型表示装置。
【請求項1】
絶縁表面を有する第1の基板と、
前記第1の基板に対向する絶縁表面を有する第2の基板と、
前記第1の基板及び前記第2の基板がはめ込まれた外枠と、を有し、
前記第1の基板には、信号線駆動回路、走査線駆動回路、及び画素領域が設けられ、
前記第2の基板には、ロジック回路が設けられ、
前記外枠には、溝、及び前記溝に形成された配線が設けられ、
前記外枠の溝に形成された配線を介して前記信号線駆動回路及び前記走査線駆動回路の電極パッドと前記ロジック回路の電極パッドとが電気的に接続され、
前記画素領域と、前記ロジック回路が設けられる領域とは重なることを特徴とするアクティブマトリクス型表示装置。
【請求項2】
絶縁表面上に第1のTFTを有する第1の基板と、
第2のTFTを有し、前記第1の基板に対向する絶縁表面を有する第2の基板と、
前記第1の基板及び前記第2の基板がはめ込まれた外枠と、を有し、
前記第1の基板には、信号線駆動回路、走査線駆動回路、及び前記第1のTFTを有する画素領域が設けられ、
前記第2の基板には、前記第2のTFTを有するロジック回路が設けられ、
前記外枠には、溝、及び前記溝に形成された配線が設けられ、
前記外枠の溝に形成された配線を介して前記信号線駆動回路及び前記走査線駆動回路の電極パッドと前記ロジック回路の電極パッドとが電気的に接続され、
前記画素領域と、前記ロジック回路が設けられる領域とは重なることを特徴とするアクティブマトリクス型表示装置。
【請求項3】
請求項2において、前記第1のTFTの駆動電圧は、前記第2のTFTの駆動電圧よりも高いことを特徴とするアクティブマトリクス型表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至3において、前記第1の基板と前記第2の基板との間には、液晶素子又は発光素子が設けられることを特徴とするアクティブマトリクス型表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一において、前記第1の基板はプラスチック基板、ガラス基板及び石英基板のいずれか一つであることを特徴とするアクティブマトリクス型表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一において、前記第2の基板はプラスチック基板、ガラス基板及び石英基板のいずれか一つであることを特徴とするアクティブマトリクス型表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2009−151333(P2009−151333A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88808(P2009−88808)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【分割の表示】特願2002−339235(P2002−339235)の分割
【原出願日】平成14年11月22日(2002.11.22)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【分割の表示】特願2002−339235(P2002−339235)の分割
【原出願日】平成14年11月22日(2002.11.22)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
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