説明

アクティブ型車台安定化システム

【課題】
【解決手段】 本発明は、液圧供給装置2と、前車軸と関係した液圧安定器組立体4と、後車軸と関係した液圧安定器組立体5と、制御装置6とを有するアクティブ型車台安定化システムに関する。アクティブ型車台安定化システムは、2通路システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液圧供給装置と、前車軸と関係した液圧安定器組立体と、後車軸と関係した液圧安定器組立体と、制御装置とを有するアクティブ型車台安定化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
汎用のアクティブ型車台安定化システムは、多くの自動車の製造メーカによってそのモデルの増加に伴って使用されている。走行するときの快適性の向上が要求されるため、また、安全性の要求が増し且つ、センサ装置の開発が増すに伴い、アクティブ型車台安定化システムは、車台のパッシィブ型構成要素を支えるため益々、普及しつつある。ばね要素又は減衰器のようなパッシィブ型構成要素は、車に作用する荷重又は力に対して単に反応するに過ぎない。アクティブ型車台には、通常、車台のパッシィブ型構成要素と連結された液圧又は空気圧アクチュエータが設置されている。これらのアクチュエータは、車軸と又は車の個々の車輪と関係させることができる。受け取った車のデータは、色々なセンサによって車の電子機器によってアクチュエータに対する作動信号に変換される。次に、これらの信号は、それぞれの運転状況に従って車台の動作に影響を与える。
【0003】
現在の先行技術に従ったかかる車台安定化システムは、国際出願明細書03/101768 A1号に開示されている。該明細書に記載された車台安定化システムは、液圧アクチュエータを前車軸及び後車軸とそれぞれ関係付ける。アクチュエータは、一体形制御装置を介して作動され、この制御装置は、車のセンサ装置と車台安定化システムの液圧回路との間の境界面を表わす。一体形制御装置は、小型の構成要素であり、液圧回路の制御弁の全てと、これらの弁を切り換える電子機器との双方を受け入れる。
【0004】
現在既知の車台安定化システムにおいて、前車軸の1つ/複数のアクチュエータを後車軸の1つ/複数のアクチュエータと並行に又は交差状に切り換え、前車軸及び後車軸が常時、同一の圧力にて制御されるようにすることができる。
【0005】
アクティブ型車台安定化システムは、例えば、カーブを曲がる結果としてローリングモーメント、すなわち車の長手方向軸線の回りのモーメントに反作用する。一部の実施の形態において、車のピッチング、すなわち車の横断軸線の回りの動きに反作用することができる。この場合、例えば、ローリングモーメントに反作用する制御モーメントが前車軸と後車軸との間にて強制的に半分に分割されないように、アクティブ型車台安定化システムの自由度を調節する程度を拡大することが望ましいであろう。前車軸の応力は、通常、強力であるから、この応力に対し車軸におけるよりも高い圧力にて反作用することも適しているであろう。
【0006】
前車軸及び後車軸に対して2つの別個の制御回路を使用することが当然、提案されよう。経済的な面、すなわち、かかる車台安定化システムに対して二重の配置とすることを別にして、利用可能なスペースが欠如することも、かかる解決策に反対することになろう。更に、国際出願明細書03/101768 A1号に示されたような、小型の制御装置を有する一体形の解決策とすることは考えられないであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このため、本発明の目的は、最小の追加的な技術的費用にて前車軸の制御が後車軸の制御から切り離される、アクティブ型車台安定化システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のため、本発明に従ったアクティブ型車台安定化システムは、2通路システムの構造とされる。この場合、第一の通路Aは、前車軸の安定器組立体と関係付けられ、第二の通路Bは、後車軸の安定器組立体と関係付けられる。後車軸の安定器組立体は、適宜な液圧弁と接続した2つの通路A、Bを介して前車軸の安定器組立体と独立的に取り扱うことができる。
【0009】
アクティブ型車台安定化システムの制御装置は、2つの制御通路に対する貫流路を決定する8/2ウェイ弁を有することができる。安定器組立体間の基本的調和に関して、このため、色々な運転状況におけるアクチュエータの全体的な動き方向に関して、先行技術と比較して何も相違しない。8/2ウェイ弁のため、この基本的な車台の調和状態は、以前と同様、1つの構成要素を有する本発明に従った2通路システムに対して調節することもできる。
【0010】
制御装置は、8/2ウェイ弁を切り換える2つの電磁作動サーボ弁を有することができる。安定器組立体を制御する流体の全体積は、8/2ウェイ弁を通って流れるため、この弁を直接切り換えることには困難さが伴う。電磁制御のためには相対的に大形のコイルが必要であろうし、このコイルは、作動されたとき、車の電気部品からこれに相応して多量の電力を引き出すであろう。サーボ弁は、小さい貫流量のみを有し、これに相応して簡単な態様にて電磁的に切り換えることができる。その場合、高貫流量を有する弁は、サーボ弁によって解放することのできる圧力接続部を介して切り換える。
【0011】
制御装置は、圧力制限弁を有することができる。これにより、アクティブ型車台安定化システムの液圧回路内にて望ましくない高圧力を回避することが可能である。
【0012】
1つの好ましい実施の形態において、圧力制限弁は、比例式圧力制限弁である。比例式弁の使用を通じて、この弁は、センサデータの結果として必要とされる圧力が正確に安定器組立体にて利用可能であるように既に、制御されたものとすることができる。
【0013】
制御装置は、この圧力制限弁を制御するため電磁作動式サーボ弁を有することが好ましい。上述した8/2ウェイ弁の場合と丁度同様に、圧力制限弁は、高貫流量を有する。このため、上述した理由のため、サーボ制御が適している。
【0014】
サーボ弁は、この場合、比例式2/2ウェイ弁とすることができる。比例式弁のサーボ制御は、同様に、比例式弁を通して適宜に行われる必要がある。比例式2/2ウェイ弁は、その小さい全体的な寸法のため、それ自体にて提供する。電磁サーボ制御の機能として、この弁は、この場合、圧力接続を連続的に自由にし、その後、この弁は、比例式圧力制限弁を連続的に切り換える。
【0015】
1つの実施の形態において、圧力制限弁は、前車軸及び後車軸の安定器組立体に対する圧力レベルを制御する。これにより、液圧回路の全体に必要とされる最高の圧力レベルが弁によって確立される。
【0016】
好ましくは、制御装置は、減圧弁も有している。かかる減圧弁を設置することは、液圧回路又はその一部分にて確立された圧力を減少させることができるという有利な効果を提供する。
【0017】
1つの好ましい実施の形態において、減圧弁は、比例式減圧弁である。このことは、減圧弁によって影響を受ける液圧回路又はその回路の一部分内の圧力を、連続的に且つ、必要条件に従って制御することができるという有利な効果を提供する。
【0018】
電磁作動サーボ弁は、同様に、減圧弁を制御するため設けることができる。減圧弁は、また、上述した理由のため、高体積吐出量に起因してその自体にて、サーボ制御を提供する。
【0019】
サーボ弁は、比例式2/2ウェイ弁とすることができる。圧力制限弁に対するのと同一の理由のため、減圧弁、特に、比例式減圧弁に対してそれ自体にて、比例式サーボ制御が提供される。
【0020】
1つの好ましい実施の形態において、減圧弁は、後車軸の安定器組立体に対する圧力レベルを制御する。これにより、前車軸及び後車軸の望ましい切り離し効果が得られる。この場合、後車軸の圧力レベルのみを所定の圧力レベルと比較して低下させることができる。
【0021】
圧力制限弁のサーボ弁及び減圧弁のサーボ弁は、同一とすることができる。このことは、製造メーカは、個々の構成要素をより少ない型式にて在庫すれば足りるという有利な効果を提供する。
【0022】
アクティブ型車台安定化システムの制御装置は、フェイルセーフティ弁であり、その4つの接続部を基本位置にて減衰した態様にて接続する4/2ウェイ弁である。この手段を通じて、本発明に従った2通路車台安定化システムは、システムが故障した場合、規定された状態とされ、車は、常時、直ちに作動可能な状態に保たれる。
【0023】
制御装置は、この4/2ウェイ弁を切り換える2つの電磁作動サーボ弁を有することができる。この場合にも、高貫流量のため、直接切り換えることは困難である。このため、電磁式に簡単に制御することのできる小型のサーボ弁は、4/2ウェイ弁に対する切り換え機能を果たす。
【0024】
4/2ウェイ弁は、手操作用の装置を有することができる。この機能は、液圧回路を流体にて充填することを容易にする。
【0025】
好ましくは、8/2ウェイ弁及び4/2ウェイ弁を切り換えるサーボ弁は、同一であるものとする。更に、これらの弁は、ブレーキ装置内のABS弁と構造の点にて同一とすることができ、この手段を通じて、製造メーカが在庫すべき多岐に亙る個別の構成要素の種類は少なくなる。
【0026】
アクティブ型車台安定化システムの1つの実施の形態において、制御装置は、1つの制御通路当たり少なくとも1つの圧力センサを有している。かかる圧力センサは、車の電子機器に対し相応する制御通路内にて付与された圧力の表示を提供する。次に、車の電子機器は、相応する実際の圧力を公称圧力と比較し、これに応じて反応する。
【0027】
好ましくは、8/2ウェイ弁の切り換え位置を確立するため圧力センサ又は位置センサが提供される。このセンサは、弁の位置、圧力状態及びセンサのデータが連続的に比較されるシステムのチェックも行う。
【0028】
特に好ましい実施の形態において、制御装置は、少なくとも1つの電磁作動弁と、制御装置の全ての液圧弁を受け入れ且つ連結する弁ハウジングとを有している。これにより、液圧回路の全ての制御装置は、1つの構成要素、すなわち弁ハウジング内に小型の態様にて組み合わされる。これは、故障発見、修理、メンテナンス等にとって極めて有益である。
【0029】
この弁ハウジングは、圧力供給装置と連結するための2つの圧力接続部と、安定器組立体と連結するための2つの作動接続部とをそれぞれ有している。これにより、制御装置の全ての液圧は、1つの小型の構成要素内にて組み合わされ且つ、作動不良の場合、利用可能な接続部によって極めて容易に完全に交換することができる。
【0030】
1つの実施の形態において、制御装置は、電子式切り換え装置を有している。これにより、制御装置は、車の電子機器と、車台の液圧装置との間の境界面へと発展する。
【0031】
電子式切り換え装置は、電流を供給し且つ、センサのデータを受け取る接続部を有することが好ましい。殆どの場合、電子式切り換え装置は、更に、電磁作動弁を作動させるコイルを有している。これにより、制御装置は、センサのデータを収集し且つ評価し、液圧制御指令に変換し且つ、液圧弁を切り換えるための中心的な箇所である。このことは、技術員、工場等が欠陥を発見することを簡単にする。
【0032】
1つの好ましい実施の形態において、電子式切り換え装置は、弁ハウジングと取り外し可能に接続される。このことは、液圧回路を妨害することなく、電子機器を交換することを容易にする。
【0033】
アクティブ型車台安定化システムは、安定器組立体に対する体積流量を制御する最大4つの主要弁を有することができる。サーボ弁又はパイロット弁と相違して、この点にて、高体積吐出量の弁を主要弁として表示する。好ましい実施の形態において、これら4つの弁は、圧力制限弁、減圧弁、フェイルセーフティ弁及び8/2ウェイ弁である。これにより、技術的費用は既知の1通路システムと比較して殆ど増大せず、しかも、前車軸及び後車軸の連結解除が可能である。
【0034】
本発明の更なる特徴及び有利な点は、添付図面に関する、1つの好ましい実施の形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
図1には、液圧供給装置2(図1a)と、前車軸と関係した液圧安定器組立体4(図1c)と、後車軸と関係した液圧安定器組立体5(図1d)と、制御装置6(図1b)とを有するアクティブ型車台安定化システムの回路図が示されている。液圧供給装置2は、液圧流体を圧力接続部Pを介して液圧回路内に圧送する液圧ポンプ8と、液圧ポンプ8がそこから流体を吸引し、また、液圧回路の戻り流体を圧力接続部Tを介して受け取る無圧力リザーバ10とを備えている。
【0036】
2つの安定器組立体4、5は図1の右側に見ることができる。安定器組立体の各々は、車軸と関係付けられ且つ、図1c及び図1dにおいて、安定器ロッド12と、線形アクチュエータ14とを備えている。線形アクチュエータ14は、複動型シリンダ−ピストン装置であり、ピストンはシリンダを2つの圧力チャンバに分割する。作動接続部が圧力チャンバの各々と関係付けられている。安定器組立体とその相応する液圧管との2つの作動接続部は、以下に制御通路としても表示されている。
【0037】
図1cには、前車軸と関係した安定器組立体4が示されており、その制御通路Aは作動接続部A1、A2を備えている。図1dには、後車軸に対する同一の配置が示されており、制御通路Bは、この場合、作動接続部B1、B2を備えている。
【0038】
図1の中央領域において、図1bには、本発明に従ったアクティブ型車台安定化システムの制御装置6が示されている。制御装置6は、圧力接続部P、Tを介して圧力供給装置2と連結され且つ、作動接続部A1、A2、B1、B2を介して前車軸及び後車軸に対する安定器組立体4、5と連結されている。
【0039】
制御装置6は、基本的に、主要弁と、1つのグループのサーボ弁とに分割することのできる複数の液圧弁を有している。該制御装置は、この場合、主要弁は、安定器組立体4、5をアクティブに作動させる高流体吐出体積を有することを特徴とする。これらの弁を通る高体積流のため、これらの弁を切り換えるためには相対的に大きい力が必要とされる。このため、主要弁を直接、電磁的に制御するためには相対的に大形のコイルが必要とされよう。コイルの寸法を別にして、これらのコイルは、主要弁を直接制御するため、車の電気部品から望ましくないほど多量の電力を吸引するであろう。これを回避するため、いわゆるサーボ弁又はパイロット弁が介在されている。サーボ弁は、低吐出体積流を有し、従って、電磁的に容易に切り換えることができる。実際の主要弁は、圧力を付与することによって作動され、圧力の付与はパイロット弁により制御される。
【0040】
主要弁の1つは、予め制御された比例式圧力制限弁16である。圧力制限弁16には、その閉じた位置まで動くようにばねの作用を受ける。ばねを支持するため、弁は、圧力にて更に作用させることができ、その圧力の程度は、サーボ弁18の位置に依存する。圧力制限弁16には、その開いた位置の方向に向けて液圧ポンプ8のポンプ圧力が更に作用する。圧力制限弁16は、制御装置6の液圧システムの全体の正面側にて接続され、このため、圧力の付与の関数としてシステム全体の圧力を連続的に調節し、特に、作動接続部A1、A2、B1、B2における圧力も調節する。この場合、圧力制限弁16と関係したサーボ弁18は、電磁作動型比例式2/2ウェイ弁であり、この2/2ウェイ弁には、圧力を両側部にて作用させることもできる。休止位置において、該弁は、リザーバ10と接続され、また、電磁作動によって妨害位置に変化させることができる。液圧流体がサーボ弁18及び圧力制限弁16の圧力接続部に達してばねを支持する前に、液圧流体はスロットル20を通って流れる。このスロットル20は、貫流する流れを減少させ且つ、最終的に圧力制限弁16の圧力作動接続部にて圧力差を提供することができる。サーボ弁がその開いた当初の位置にあるならば、次に、液圧流体は、スロットル20を通った後に無圧力状態となる。圧力制限弁16のばねは、それ自体、付与されたポンプ圧力に抗して圧力制限弁16をその妨害された位置から動かすのに十分強力ではない。サーボ弁18を連続的な態様にて電磁的に作動させる可能性を通じて、サーボ弁18は、益々閉じた位置に動かすことができる。これにより、圧力は、スロットル20の後方にて上昇し、従って、ばねを支持する圧力制限弁16の圧力作動接続部における圧力も上昇する。
このとき、サーボ弁18によって制御される上昇する圧力は、ばねと共に、ポンプ圧力に抗して作用する。このように、圧力制限弁16は、妨害位置まで益々動かされる。比例式圧力制限弁16及び比例式サーボ弁18を通じて、全ての作動接続部の最大圧力レベルが最終的に確立される。これらの2つの弁は、組立体を形成するか又は弁ハウジング内に別個に収容することができる。
【0041】
比例式弁の1つの代替例として、可変周期にて制御され、従って圧力を所望のレベルに制限することのできる非比例式弁を使用してもよい。
【0042】
同様に、主要弁と、サーボ弁21とから成る組立体は、上述した圧力制限弁16及びサーボ弁18の組立体と極めて類似している。この場合、主要弁は、比例式減圧弁22であり、サーボ弁21は、比例式2/2ウェイ弁である。減圧弁22のサーボ弁21は、圧力制限弁16のサーボ弁18と同一である。このため、減圧弁22を予め制御することは、圧力制限弁16を予め制御するのと同様の態様にて機能する。勿論、サーボ弁21と、減圧弁22とから成るこの弁組立体は、2つの別個の弁の形態にて設置することもできる。
【0043】
減圧弁22は、制御通路の分岐点の後方に設置され、該減圧弁は、後車軸と関係した通路Bの圧力レベルにのみ影響を与えることもできる。必要であれば、後車軸の安定器組立体に対して圧力制限弁16によって決定されたシステム圧力を更に低下させることが減圧弁22の機能である。
【0044】
2つの制御通路の圧力レベルは、圧力制限弁16及び減圧弁22によって確立される。これによって、制御チャネルの何れの圧力接続部又はアクチュエータの何れの作動チャンバを圧力状態に置くかは、更なる主要弁によって制御される。これは、最終的に、車が左カーブ又は右カーブを走行するかどうかに依存する。2つの制御通路のこの制御は、単一の8/2ウェイ弁24によって実行される。この弁は、ばねによってその基本的位置に作動され、このため、作動接続部A1、B1は液圧ポンプ8と接続され、作動接続部A2、B2はリザーバ10と接続される。8/2ウェイ弁は、2つのサーボ弁26、28の切り換えを通じて圧力を作用させることができ、また、該弁は、A2、B2がポンプと接続され、A1、B1がリザーバ10と接続される位置を取ることができる。サーボ弁26、28の各々は、妨害位置と貫通流れ位置との間にて電磁的に切り換えられる2/2ウェイ弁である。サーボ弁26は、その基本的位置にて妨害され、サーボ弁28は、その基本的位置にて開放する。2つのサーボ弁26、28は、同時に切り換えられて8/2ウェイ弁の圧力作動接続部を無圧力のリザーバ10と接続するか又は圧力制限弁16によって確立されるシステムの圧力と接続される。
【0045】
このため、2つのサーボ弁26、28の作動は、単に8/2ウェイ弁24の「オンオフ位置」すなわち作動位置と基本的位置とを生じさせるだけである。
【0046】
いわゆるフェイルセーフティ弁30は、制御装置6の更なる主要弁を構成する。フェイルセーフティ弁30は、予め制御された4/2ウェイ弁であり、好ましくは、同一のサーボ弁26、28によって8/2ウェイ弁と同様の態様にて予め制御されるものとする。フェイルセーフティ弁30は、前車軸と関係した制御通路A内に設置される。この当初の位置において、この弁には、ばねが作用し、該弁は、作動接続部A1、A2、液圧ポンプ8の接続部及びリザーバ10への接続部を互いに絞った態様にて接続する。この位置はシステムの故障に対して提供され、また、スロットルにより減衰されるアクティブな車台安定化システムは、規定された当初の状態に復帰し、また、車台安定化システムの特定のパッシィブな効果が保持されることを可能にする。勿論、全体として、フェイルセーフティ弁30のサーボ弁26、28は、作動され且つ、液圧ポンプ8及びリザーバ10が作動接続部A1、A2とそれぞれ接続される位置にフェイルセーフティ弁30を動かすことになろう。
【0047】
サーボ弁26、28は、サーボ弁26がその基本的位置にて閉じられ、サーボ弁28がその基本的位置にて開かれるという相違を除いて、それらの機能及び構造の型式の点にて同一である。更に、サーボ弁26、28は、車のブレーキ装置のABS弁と同一のものとしてもよい。
【0048】
電子機器が故障した場合、車台安定化システムの全体は、フェイルセーフティ弁30によって短絡される、すなわち液圧ポンプ8の圧力接続部Pは、リザーバ10と接続される。この短絡は、実際上、フェイルセーフティ弁内にて一体化されたスロットルによって行われるが、このスロットルは、システムの圧力が最小の「残留圧力」まで降下するような高体積流量とすることを可能にする。この残留圧力は、後車軸の安定器組立体5にとって重要ではなく、前車軸にて、この残留圧力は、作動接続部A1、A2の絞った連結と相俟って、パッシィブな減衰した安定器の性能を可能にする。システムの状態は、「妨害位置」すなわちアクチュエータチャンバを妨害する状態と、「浮動位置」すなわちアクチュエータチャンバのスロットル無しの短絡との間にある。
【0049】
液圧ポンプ8を含むシステムが故障したならば、液圧回路は、完全に無圧力状態となる。作動接続部A1、A2は、上述したように、フェイルセーフティ弁によってスロットルと連結される。このため、この場合にも、前車軸に対してパッシィブな減衰した安定器の性能が維持される。
【0050】
アクティブ型車台安定化システムの正確な作動を監視し且つ、車の電子機器のセンサデータを液圧回路と均衡させるため、センサシステムが提供される。センサシステムは、制御通路とそれぞれ関係付けられた2つの圧力センサ32と、8/2ウェイ弁の位置を認識する更なる圧力センサ34又は位置センサ36の何れかとを備えている。車の電子機器のセンサデータと液圧回路の液圧データとが不一致である場合、このことは、警報ランプにより車の運転者に表示され、アクティブ型車台安定化システムは、いわゆる「フェールセーフ」状態に切り換わる。この状態は、全ての弁がそれらの基本的位置にある、電子機器が故障した状況に実質的に相応する。
【0051】
図1c及び図1dには、線形アクチュエータ14がそれぞれ車軸と関係付けられた安定器組立体4、5がそれぞれ示されている。これらの安定器組立体の既知の代替例は、図3及び図4に示されている。図3には、線形アクチュエータ14が車の車軸の双方の車輪と関係付けられ、車軸の線形アクチュエータが交差状態にて接続された安定器組立体が示されている。図4には、回転アクチュエータ37又は回転駆動体が車の車軸と関係付けられた安定器組立体の更なる変形例による実施の形態が示されている。
【0052】
これらの安定器組立体の展開例及び組み合わせに従って、図2aないし図2cには、8/2ウェイ弁24の関係した変更例による実施の形態が示されている。図2dには、線形アクチュエータ14が断面線図にて示されており、8/2ウェイ弁24の実施の形態にとって重要である2つの面A1、A2が識別されている。面A2は、この場合、ピストン面を表示し、面A1は、ピストンロッドの断面を除いて、ピストン面を表示する。
【0053】
面積比A1:A2が約1:1の線形アクチュエータ14又はそれぞれ図4に従った回転アクチュエータ37が前車軸及び後車軸に対してそれぞれ使用されるならば、図1bに従った8/2ウェイ弁24を使用すべきである。
【0054】
面積比A1:A2が約1:2の2つの線形アクチュエータが両車軸にてそれぞれ図3に従って使用される場合、弁24は、図2aに従った構造とすべきである。
【0055】
面積比A1:A2が約1:1の線形アクチュエータ14又は図4に従った回転アクチュエータ37が前車軸に使用され、また、面積比A1:A2が約1:2の線形アクチュエータ14が後車軸に使用される場合、図2bに従った8/2ウェイ弁24を使用すべきである。
【0056】
これとは逆に、すなわち、面積比A1:A2が約1:2の線形アクチュエータ14が前車軸に使用され、面積比A1:A2が約1:1の線形アクチュエータ14が後車軸に対し使用され又は回転アクチュエータ37と共に使用される場合、図2cに従った8/2ウェイ弁24を使用すべきである。
【0057】
図2aないし図2cの弁経路を相違させ、単動線形アクチュエータのように、面積比A1:A2が約1:2の複動線形アクチュエータ14が制御可能であるようにすることができる。
【0058】
図5には、一体形構造のアクティブ型車台安定化システムの制御装置6が示されている。制御装置6は、この場合、弁ハウジング38と、ねじ42により弁ハウジング38と取り外し可能に接続された電子機器切り換え装置40とを備えている。
【0059】
2つの取り付けた主要弁は、弁ハウジング38の左側に見ることができる。右側の開口部は、圧力接続部P、Tであり、また、作動接続部A1、A2、B1、B2でもある。
【0060】
電子機器切り換え装置40は、電流を供給し且つセンサのデータを受け取る接続部44を有している。小型のサーボ弁18、26、28は、弁ハウジング38内に、すなわち電子機器切り換え装置40付近にて同様に一体化されている。サーボ弁を作動させるコイルは、実際上、電子機器切り換え装置40内に組み込まれている。メンテナンス及び故障の点にてより厳しい電子機器は、弁ハウジング38と電子機器切り換え装置40との間の取り外し可能な接続を通じ困難なく、また、液圧回路に介入することを必要とせずに、交換することができる。
【0061】
2通路システムとしてのアクティブ型車台安定化システムの構造であるにも拘らず、制御装置6は小型の構造が可能である。これにより、かかるアクティブ型車台安定化システムの不良箇所の発見は、主として、センサデータが受け取られ且つ電子的に処理され、電子コイルは、これに従って、サーボ弁を制御し、また、主要弁の全てはサーボ弁に並べて一体化される構成要素に限定される。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】1aないし1dは、本発明に従ったアクティブ型車台安定化システムの液圧回路の回路図である。
【図2】2aないし2dは、本発明に従ったアクティブ型車台安定化システムの8/2ウェイ弁の3つの変更実施の形態を示す図及び線形アクチュエータの線図的な縦断面図である。
【図3】安定器組立体の第一の代替的な実施の形態を示す図である。
【図4】安定器組立体の第二の代替的な実施の形態を示す図である。
【図5】本発明に従ったアクティブ型車台安定化システムに対する小型の構造の制御装置を示す斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧供給装置(2)と、前車軸と関係した液圧安定器組立体(4)と、後車軸と関係した液圧安定器組立体(5)と、制御装置(6)とを備えるアクティブ型車台安定化システムにおいて、2通路システムであることを特徴とする、アクティブ型車台安定化システム。
【請求項2】
請求項1に記載のアクティブ型車台安定化システムにおいて、制御装置(6)は、双方の制御通路に対する貫流路を決定する8/2ウェイ弁(24)を有することを特徴とする、アクティブ型車台安定化システム。
【請求項3】
請求項2に記載のアクティブ型車台安定化システムにおいて、制御装置(6)は、8/2ウェイ弁(24)を切り換える2つの電磁作動サーボ弁(26、28)を有することを特徴とする、アクティブ型車台安定化システム。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか1つの項に記載のアクティブ型車台安定化システムにおいて、制御装置(6)は、圧力制限弁(16)を有することを特徴とする、アクティブ型車台安定化システム。
【請求項5】
請求項4に記載のアクティブ型車台安定化システムにおいて、圧力制限弁(16)は、比例式圧力制限弁であることを特徴とする、アクティブ型車台安定化システム。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のアクティブ型車台安定化システムにおいて、制御装置(6)は、圧力制限弁(16)を制御する電磁作動式サーボ弁(18)を有することを特徴とする、アクティブ型車台安定化システム。
【請求項7】
請求項6に記載のアクティブ型車台安定化システムにおいて、サーボ弁(18)は、比例式2/2ウェイ弁であることを特徴とする、アクティブ型車台安定化システム。
【請求項8】
請求項4ないし7の何れか1つの項に記載のアクティブ型車台安定化システムにおいて、圧力制限弁(16)は、前車軸及び後車軸の安定器組立体(4、5)に対する圧力レベルを制御することを特徴とする、アクティブ型車台安定化システム。
【請求項9】
請求項1ないし8の何れか1つの項に記載のアクティブ型車台安定化システムにおいて、制御装置(6)は、減圧弁(22)を有することを特徴とする、アクティブ型車台安定化システム。
【請求項10】
請求項9に記載のアクティブ型車台安定化システムにおいて、減圧弁(22)は、比例式減圧弁であることを特徴とする、アクティブ型車台安定化システム。
【請求項11】
請求項9又は10に記載のアクティブ型車台安定化システムにおいて、制御装置(6)は、減圧弁(22)を制御する電磁作動サーボ弁(21)を有することを特徴とする、アクティブ型車台安定化システム。
【請求項12】
請求項11に記載のアクティブ型車台安定化システムにおいて、サーボ弁(21)は、比例式2/2ウェイ弁であることを特徴とする、アクティブ型車台安定化システム。
【請求項13】
請求項9ないし請求項12の何れか1つの項に記載のアクティブ型車台安定化システムにおいて、減圧弁(22)は、後車軸の安定器組立体(5)に対する圧力レベルを制御することを特徴とする、アクティブ型車台安定化システム。
【請求項14】
請求項6ないし11の何れか1つの項に記載のアクティブ型車台安定化システムにおいて、圧力制限弁(16)のサーボ弁(18、21)及び減圧弁(22)のサーボ弁は、同一であることを特徴とする、アクティブ型車台安定化システム。
【請求項15】
請求項1ないし14の何れか1つの項に記載のアクティブ型車台安定化システムにおいて、制御装置は4/2ウェイ弁を有することを特徴とする、アクティブ型車台安定化システム。
【請求項16】
請求項15に記載のアクティブ型車台安定化システムにおいて、4/2ウェイ弁は、フェイルセーフティ弁(30)であり、基本位置にて、その4つの接続部を減衰した態様にて接続することを特徴とする、アクティブ型車台安定化システム。
【請求項17】
請求項15又は16に記載のアクティブ型車台安定化システムにおいて、制御装置(6)は、この4/2ウェイ弁を切り換える2つの電磁作動サーボ弁(26、28)を有することを特徴とする、アクティブ型車台安定化システム。
【請求項18】
請求項15ないし17の何れか1つの項に記載のアクティブ型車台安定化システムにおいて、4/2ウェイ弁は、手動作動用の装置を有することを特徴とする、アクティブ型車台安定化システム。
【請求項19】
請求項3及び17に記載のアクティブ型車台安定化システムにおいて、8/2ウェイ弁(24)及び4/2ウェイ弁を切り換えるサーボ弁(26、28)は、同一であることを特徴とする、アクティブ型車台安定化システム。
【請求項20】
請求項1ないし19の何れか1つの項に記載のアクティブ型車台安定化システムにおいて、制御装置(6)は、1つの制御通路当たり少なくとも1つの圧力センサ(32)を有することを特徴とする、アクティブ型車台安定化システム。
【請求項21】
請求項2に記載のアクティブ型車台安定化システムにおいて、8/2ウェイ弁(24)の切り換え位置を確立するため圧力センサ又は位置センサ(34;36)が提供されることを特徴とする、アクティブ型車台安定化システム。
【請求項22】
請求項1ないし21の何れか1つの項に記載のアクティブ型車台安定化システムにおいて、制御装置(6)は、少なくとも1つの電磁作動弁と、制御装置(6)の全ての液圧弁を受け入れ且つ連結する弁ハウジング(38)とを有することを特徴とする、アクティブ型車台安定化システム。
【請求項23】
請求項22に記載のアクティブ型車台安定化システムにおいて、弁ハウジング(38)は、圧力供給装置(2)と連結するための2つの圧力接続部(P、T)と、安定器組立体(4、5)の各々と連結するための2つの作動接続部(A1、A2、B1、B2)と有することを特徴とする、アクティブ型車台安定化システム。
【請求項24】
請求項1ないし23の何れか1つの項に記載のアクティブ型車台安定化システムにおいて、制御装置(6)は、電子式切り換え装置(40)を有することを特徴とする、アクティブ型車台安定化システム。
【請求項25】
請求項24に記載のアクティブ型車台安定化システムにおいて、電子式切り換え装置(40)は、電流を供給し且つ、センサのデータを受け取る接続部(44)を有することを特徴とする、アクティブ型車台安定化システム。
【請求項26】
請求項24又は25に記載のアクティブ型車台安定化システムにおいて、電子式切り換え装置(40)は、電磁作動弁を作動させるコイルを有することを特徴とする、アクティブ型車台安定化システム。
【請求項27】
請求項22及び24に記載のアクティブ型車台安定化システムにおいて、電子式切り換え装置(40)は、弁ハウジング(38)と取り外し可能に接続されることを特徴とする、アクティブ型車台安定化システム。
【請求項28】
請求項1ないし27の何れか1つの項に記載のアクティブ型車台安定化システムにおいて、2つの安定器組立体(4、5)に対する体積流量を制御する最大4つの主要弁を有することを特徴とする、アクティブ型車台安定化システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−521692(P2008−521692A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543777(P2007−543777)
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【国際出願番号】PCT/EP2005/012842
【国際公開番号】WO2006/058747
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(504122767)ティーアールダブリュー・オートモーティブ・ゲーエムベーハー (36)
【Fターム(参考)】