説明

アゾ金属色素、並びに、情報層中にそのようなアゾ金属色素を吸光性化合物として含有する光学データ記録媒体

有利に透明な、場合により既に1つ以上の反射層で被覆された基板を有し、前記の基板の表面上に光で書き込み可能な情報層、場合により1つ以上の反射層及び場合により保護層又はもう1つの基板又はカバー層が設けられており、青色光、赤色光又は赤外光、有利にレーザー光で書き込み及び読み出しが可能であり、その際、情報層は吸光性化合物及び場合によりバインダーを含有する光学データ記録媒体において、吸光性化合物として少なくとも1つのアゾ金属色素が使用されていることを特徴とする光学データ記録媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報層中に吸光性化合物としてアゾ金属色素を含有するライトワンス型光学データ記録媒体、並びにその製造方法に関する。
【0002】
特別な吸光性物質もしくはこの混合物を使用したライトワンス型光学データ記録媒体は、青色レーザーダイオード、特にGaN又はSHGレーザーダイオード(360〜460nm)を用いて作業する高密度で書き込み可能な光学データ記録において使用するために、及び/又は赤色(635〜660nm)もしくは赤外線(780〜830nm)レーザーダイオードを用いて作業するDVD−RもしくはCD−Rディスクにおいて使用するために、並びにポリマー基板、特にポリカーボネート上にスピンコーティング又は蒸着により上記の色素を適用するために特に適している。
【0003】
ライトワンス型コンパクトディスク(CD−R、780nm)は、最近では著しい量的成長を遂げていて、技術的に確立されたシステムである。
【0004】
次世代の光学データ記録のDVDは急速に市場に導入されている。短波長レーザー放射線(635〜660nm)並びに高い開口数NAを使用することにより、記録密度を高めることができる。この書き込み可能なフォーマットは、この場合、DVD−R(DVD−R、DVD+R)である。
【0005】
現在、高いレーザー効率を有する青色レーザーダイオード(GaNベース、JP08191171又は第2高調波発生(Second Harmonic Generation) SHG、JP09050629)(360nm〜460nm)を利用する光学データ記録フォーマットが開発されている。従って、書き込み可能な光学データ記録はこの世代でも使用される。達成可能な記録密度は、情報面でのレーザースポットの焦点合わせに依存する。この場合、このスポットサイズはレーザー波長λ/NAで測られる。NAは使用した対物レンズの開口数である。できる限り高い記録密度を達成するために、できる限り小さな波長λを使用するようにしなければならない。現在では半導体レーザーダイオードに基づき390nmが可能である。
【0006】
特許文献では、色素をベースとして書き込み可能な光学データ記録が記載されていて、この光学データ記録はCD−R及びDVD−R(DVD−R、DVD+R)システムにも同様に適している(JP−A11043481及びJP−A10181206)。この場合、読み取り信号の高い反射及び高い変調高さ、並びに書き込み時の十分な感度について、CD−RのIR波長780nmが色素の吸収ピークの長波長側の脚部にあり、DVD−R(DVD−R、DVD+R)の赤色波長635nmもしくは650nmが色素の吸収ピークの短波長側の脚部にあることを実際に使用する。この構想は、JP−A02557335、JP−A10058828、JP−A06336086、JP−A02865955、WO−A09917284及びUS−A5266699では、短波長側の作業波長は450nmの領域に拡張され、かつ吸収ピークの長波長側では赤色及びIR領域に拡張されている。
【0007】
上記の光学特性の他に、書き込み又は読み出し時の雑音信号をできる限り小さく保つために、吸光性有機物質からなる書き込み可能な情報層はできる限り非晶質の形態を示さなければならない。このため、物質を溶液からスピンコーティングにより適用する際、次に真空中で金属層又は誘電層で被覆する場合に蒸着により及び/又は昇華により適用する際に、吸光性物質の結晶化を抑制するのが特に有利である。
【0008】
吸光性物質からなる非晶質層は、有利に高い熱形状安定性を示すのが有利であり、それというのも、そうでないと吸光性情報層上にスパッタ又は蒸着によって設けられる有機又は無機材料からなる他の層は拡散によって不明瞭な界面が形成されてしまい、それにより反射に不利な影響を及ぼしてしまうためである。さらに、低すぎる熱形状安定性を示す吸光性物質は、ポリマーの記録媒体に対する境界面でその記録媒体内へ拡散し、またも反射に不利な影響を及ぼしかねない。
【0009】
吸光性物質の高すぎる蒸気圧は、前記した他の層を高真空中でスパッタもしくは蒸着する際に昇華し、それにより所望の層厚が減少してしまいかねない。これは、またも反射に不利に影響を及ぼす。
【0010】
従って、本発明の課題は、ライトワンス型光学データ記録媒体の情報層中に使用するための高い要求、特にレーザー波長領域340〜830nmで高密度で書き込み可能な光学データ記録−フォーマットのための高い要求(例えば光安定性、適切な信号−雑音−比、基板材料上での損傷のない被着等)を満たす適当な化合物を提供することである。
【0011】
意外にも、アゾ金属色素のグループからの吸光性化合物が特に良好に前記の要求を満たすことができることが見出された。
【0012】
従って、本発明は、有利に透明な、場合により既に1つ以上の反射層で被覆された基板を有し、前記の基板の表面上に光により書き込み可能な情報層、場合により1つ以上の反射層及び場合により保護層又はもう1つの基板又はカバー層が設けられており、青色光、赤色光又は赤外線、有利にレーザー光により書き込み及び読み出しが可能であり、前記の情報層は吸光性化合物及び場合によりバインダーを含有する光学データ記録媒体において、吸光性化合物として少なくとも1種のアゾ金属色素が使用されていることを特徴とする光学データ記録媒体に関する。
【0013】
この吸光性化合物は有利に熱により可変であるのが好ましい。熱による変化は、<600℃の温度、特に有利に<400℃の温度、さらに有利に<300℃の温度、殊に<200℃の温度で行うのが有利である。このような変化は、例えば吸光性化合物の発色中心の分解又は化学変化であることができる。
【0014】
従って本発明は、式(I)
【0015】
【化1】

[式中、
はO、S、N−R又はCHを表し、
AはX及びNと一緒に5員又は6員の芳香族複素環もしくは準芳香族複素環を表し、前記環は1〜4個のヘテロ原子を有してよく、及び/又はベンゾ縮合又はナフト縮合されていてよく、及び/又は非イオン性の基により置換されていてよく、
はO、S、N−R、COO、SO、N−CO−R又はN−SO−Rを表し、
Bは5員又は6員の炭素環式基もしくは複素環式環を表し、前記環は1〜4個のヘテロ原子を有してよく、及び/又はベンゾ縮合又はナフト縮合されていてよく、及び/又は非イオン性の基により置換されていてよく、
及びRは互いに無関係に水素、C〜C−アルキル、C〜C10−アリール又はC〜C12−アラルキルを表し、
はC〜C12−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルケニル、C〜C12−アラルキル、C〜C10−アリール、C〜C−アルコキシ又はモノ−又はビス−C〜C−アルキルアミノを表す]
のリガンドを少なくとも1つ有する金属錯体に関する。
【0016】
金属錯体は有利な実施態様において、金属:アゾ錯体=1:1又は1:2として存在する。
【0017】
金属は酸化数+3又は+4、有利に酸化数+3で存在する。
【0018】
式(I)の2つの同じか又は異なるリガンドを含有する金属錯体は明らかに有利である。
【0019】
金属錯体が式(Ia)
【0020】
【化2】

[式中、
式(I)の2つのリガンドは互いに無関係に上記の意味を有し、
Mは金属を表し、かつ
Anはアニオンを表す]
に相当することを特徴とする金属錯体は有利である。
【0021】
金属錯体が式(Ib)
【0022】
【化3】

[式中、
式(I)の2つのリガンドは互いに無関係に上記の意味を有し、
Mは金属を表し、
Zはハロゲン、CN、R−O−、R−S−、R−SO−、R−CO−O−、R−SO−O−、R−CO−NH−又はR−SO−NH−を表し、かつ
はC〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C12−アラルキル又はC〜C10−アリールを表す]
に相当することを特徴とする金属錯体は同様に有利である。
【0023】
同様に、式(I)の2つの異なるリガンドを含有することにより特徴付けられる金属錯体のランダム混合物は有利である。
【0024】
有利な金属は、三価の金属、遷移金属又は希土類元素、殊にB、Al、Ga、In、V、Co、Cr、Fe、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tbが該当する。B、Al、Coは有利である。Coは殊に有利である。
【0025】
非イオン性の基は、例えばハロゲン、アルキル、アルケニル、アラルキル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノ、ニトロ、アルコキシカルボニル、アルキルアミノ−又はジアルキルアミノカルボニル、アルカノイル、アロイル、アルキルスルホニル、アリールスルホニルである。
【0026】
アルキル−、アルコキシ−、アルキルチオ−、シクロアルキル−、アラルキル−、アリール−又は複素環式基の可能な置換基として、ハロゲン、殊にCl又はF、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、CO−NH、CO−O−アルキル又はアルコキシが該当する。アルキル基は直鎖又は分枝鎖であってよく、かつ部分ハロゲン化又は過ハロゲン化されていてよい。置換アルキル基のための例は、トリフルオロメチル、クロロエチル、シアノエチル、メトキシエチルである。分枝鎖アルキル基のための例は、イソプロピル、tert−ブチル、2−ブチル、ネオペンチルである。
【0027】
有利な場合により置換されたC〜C12−アルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ブチル、イソ−ブチル、tert.−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、過フッ素化メチル、過フッ素化エチル、3,3,3−トリフルオロエチル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、ペルフルオロブチル、シアンエチル、メトキシエチルである。
【0028】
有利なアラルキルとして、例えばベンジル、フェネチル又はフェニルプロピルが該当する。
【0029】
式(Ia)の金属錯体は、恐らく式(IIa)
【0030】
【化4】

の形で存在し、かつ、式(Ib)の金属錯体は恐らく式(IIb)
【0031】
【化5】

で存在し、ここで、
M、An、Z及びそれぞれのアゾリガンドの基は互いに無関係に上記の意味を有する。本願の範囲内では、式(IIa)及び(Ia)ないし(IIb)及び(Ib)が同一の化合物を特徴付けることを前提としている。
【0032】
式(I)、(Ia)、(Ib)、(IIa)又は(IIb)
[式中、

【0033】
【化6】

の環Aはベンゾチアゾール−2−イル、ベンゾオキサゾール−2−イル、ベンゾイミダゾール−2−イル、チアゾール−2−イル、チアゾール−4−イル、イミダゾール−2−イル、ピラゾール−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−イル、1,2,4−チアジアゾール−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル、1,3,4−トリアゾール−2−イル、2−ピリジル、2−キノリル、3−ピリダジニル、2−ピリミジル、1,3,5−トリアジン−2−イル又は2−ピラジニルを表し、これらはC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、−C(=NH)−O−C〜C−アルキル、ニトロ、C〜C−アルコキシカルボニル、C〜C−アルキルチオ、C〜C−アシルアミノ、ホルミル、C〜C−アルカノイル、C〜C10−アリール、C〜C10−アリールオキシ、C〜C10−アリールカルボニルアミノ、モノ−又はジ−C〜C−アルキルアミノ、N−C〜C−アルキル−N−C〜C10−アリールアミノ、ピロリジノ、モルホリノ、ピペラジノ又はピペリジノにより置換されていてよく、
ここで、
はO、S、N−R又はCHを表し、

【0034】
【化7】

の環Bは式
【0035】
【化8】

の基を表し、
は水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ベンジル又はフェネチルを表し、
及びRは互いに無関係に水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ベンジル、フェネチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、トリル、メトキシフェニル又はクロロフェニルを表し、
はシアノ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル又は式
【0036】
【化9】

の基を表し、
は水素、メチル、エチル、トリフルオロメチル、シアノ、メトキシカルボニル又はエトキシカルボニルを表し、
、R10、R12及びR13は互いに無関係に水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、シアンエチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、クロロエチル、ベンジル、フェネチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、トリル、メトキシフェニル又はクロロフェニルを表すか、又は
NR10及びNR1213は互いに無関係にピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ又はモルホリノを表し、
14及びR15は互いに無関係に水素、メチル、エチル、メトキシ又は塩素を表すか、又は
12;R15及びR13;R14は互いに無関係に−(CH−、−(CH−、−(CH−O−架橋を表し、前記架橋は3つまでのメチル基により置換されていてよく、
11は水素、メチル、エチル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、プロピオニル、ブタノイル、ベンゾイル、ピリドイル、メタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル、エタンスルホニル、2,2−ジフルオロエタンスルホニル、2,2,2−トリフルオロエタンスルホニル、ペルフルオロブタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、クロロベンゼンスルホニル又はトルエンスルホニルを表し、
Anはアニオンを表し、
Zはフッ素、塩素、臭素、CN、アセテート、ベンゾエート、メトキシ、メチルチオ又はベンゼンスルフィネートを表し、
MはB、Al、Ga、Co、Cr、Fe、Y、La又はCeを表し、
星印の付いた()結合はアゾ基を導き、かつ
「〜」で示される結合は金属Mを導く]
のアゾ金属色素は殊に有利である。
【0037】
殊に有利にZはフッ素を表す。
【0038】
式(III)
【0039】
【化10】

の環Aが、塩素、メチル、メトキシ、エトキシ、シアノ又はニトロの一連からの3個までの同じか又は異なる基により置換されていてよいベンゾチアゾール−2−イル、塩素、メチル、メトキシ、エトキシ、シアノ又はニトロの一連からの3個までの同じか又は異なる基により置換されていてよいベンゾイミダゾール−2−イル、塩素、フッ素、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、フェニル、シアノ、ニトロ、メトキシカルボニル、メタンスルホニル、ホルミル又は式−(CH−の二価の基の一連からの2個までの同じか又は異なる基により置換されていてよいチアゾール−2−イル、塩素、フッ素、メトキシ、メチルチオ、フェニル又はシアノの一連からの2個までの同じか又は異なる基により置換されていてよいトリアゾール−4−イル、フッ素、塩素、メチル、トリフロオロメチル、メトキシ、フェニル、シアノ、ニトロ、CHO−(C=NH)−、メトキシカルボニル又はエトキシカルボニルの一連からの2個までの同じか又は異なる基により置換されていてよいイミダゾール−2−イル、塩素、メチル、メトキシ、フェニル、シアノ又はニトロの一連からの2個までの同じか又は異なる基により置換されていてよいピラゾール−5−イル、塩素、臭素、メトキシ、フェノキシ、メタンスルホニル、メチルチオ、エチルチオ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジ−(イソ)−プロピルアミノ、N−メチル−N−シアンエチルアミノ、N,N−ビスシアンエチルアミノ、N−メチル−N−ヒドロキシエチルアミノ、N−メチル−N−ベンジルアミノ、N−メチル−N−フェニルアミノ、アニリノ、ピロリジノ、ピペリジノ又はモルホリノにより置換されていてよい1,3,4−チアジアゾール−2−イル、塩素、メチル、メトキシ、フェノキシ、メチルチオ、メタンスルホニル、フェニル、ジメチルアミノ又はアニリノにより置換されていてよい1,2,4−チアジアゾール−5−イル、メチル又はフェニルにより置換されていてよい1,2,4−チアジアゾール−3−イル、メチル又はフェニルにより置換されていてよい1,3,4−トリアゾール−2−イル、塩素、メチル、メトキシ、シアノ、メトキシカルボニル又はニトロにより置換されていてよい2−ピリジル、塩素、メチル、メトキシ、シアノ、メトキシカルボニル又はニトロにより置換されていてよい2−キノリル、塩素、メチル、メトキシ、シアノ、メトキシカルボニル又はニトロの一連からの3個までの同じか又は異なる基により置換されていてよい2−ピリミジル、1,3,5−トリアジン−2−イル又は2−ピラジニルを表し、
ここで、
はO、S、N−R又はCHを表す、式(I)、(Ia)、(Ib)、(IIa)又は(IIb)の金属錯体は極めて殊に有利である。
【0040】
アニオンAnとして、全ての一価のアニオン又は多価のアニオンの等価物又はオリゴマーもしくはポリマーのアニオンの等価物が挙げられる。無色のアニオンが有利である。適当なアニオンは、例えばクロリド、ブロミド、ヨージド、ニトレート、テトラフルオロボレート、ペルクロレート、ヘキサフルオロシリケート、ヘキサフルオロホスフェート、メトスルフェート、エトスルフェート、C〜C10−アルカンスルホネート、C〜C10−ペルフルオロアルカンスルホネート、場合により塩素、ヒドロキシ、C〜C−アルコキシにより置換されたC〜C10−アルカノエート、場合によりニトロ、シアノ、ヒドロキシ、C〜C25−アルキル、ペルフルオロ−C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシカルボニル又は塩素で置換されたベンゼン−又はナフタレン−又はビフェニルスルホネート、場合によりニトロ、シアノ、ヒドロキシ、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、C〜C−アルコキシカルボニル又は塩素で置換されたベンゼン−又はナフタレン−又はビフェニルジスルホネート、場合によりニトロ、シアノ、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、C〜C−アルコキシカルボニル、ベンゾイル、クロロベンゾイル又はトルオイルで置換されたベンゾエート、ナフタレンジカルボン酸のアニオン、ジフェニルエーテルジスルホネート、テトラフェニルボレート、シアノトリフェニルボレート、テトラ−C〜C20−アルコキシボレート、テトラフェノキシボレート、7,8−もしくは7,9−ジカルバ−ニド−ウンデカボレート(1−)もしくは(2−)、(前記基は場合によりB−及び/又はC−原子が1個又は2個のC〜C12−アルキル基又はフェニル基で置換されている)、ドデカヒドロ−ジカルバドデカボレート(2−)、B−C〜C12−アルキル−C−フェニル−ドデカヒドロ−ジカルバドデカボレート(1−)、ポリスチレンスルホネート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアリルスルホネートである。
【0041】
ブロミド、ヨージド、テトラフルオロボレート、ペルクロレート、ヘキサフルオロホスフェート、メタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、テトラデカンスルホネート、ポリスチレンスルホネートが有利である。
【0042】
更に、アニオンAnとして、全ての一価のアニオン又は色素の多価のアニオンの等価物を使用することができる。有利に、アニオン性色素Anはカチオン性アゾ金属塩と類似の吸収スペクトルを有する。適当な例は、アニオン性アゾ色素、アントラキノン色素、ポルフィリン、フタロシアニン、サブフタロシアニン、シアニン、メロシアニン、ローダミン、金属錯体並びにオキソノールである。
【0043】
適当なローダミン色素は、式(C)
【0044】
【化11】

[式中、
101及びR103は互いに無関係に水素、メチル又はエチルを表し、
102及びR104は互いに無関係にスルホ又はカルボキシにより置換されたフェニル基、ナフチル基、ベンゾチアゾリル基又はベンゾオキサゾリル基を表し、前記基は塩素、ヒドロキシ、メチル、メトキシ又はメチルチオにより置換されていてよく、
105、R106、R108及びR109は互いに無関係に水素、メチル又はメトキシを表すか、又は
101;R105;R102;R106;R103;R108及びR104;R109は互いに無関係に−(CH−、−(CH−、−C(CH−CH−CH(CH)−又は−O(CH−を表し、かつ
107は水素又はスルホを表す]
のローダミン色素である。
【0045】
適当なオキソノール色素は、式(CI)
【0046】
【化12】

[式中、
環C及びDは5員又は6員の単素環式環又は複素環式環を表す]
のオキソノール色素である。
【0047】
有利に式(CI)においてC及びDは同一である
有利に環Cは2つのC原子及び酸素原子と一緒に式
【0048】
【化13】

の基を表し、
かつ環Dは2つのC原子及び酸素原子と一緒に式
【0049】
【化14】

の基を表し、
ここで、
111及びR112は互いに無関係に水素又はメチルを表し、
113はメチル又はトリフルオロメチルを表し、
114はシアノ、メトキシカルボニル又はエトキシカルボニルを表し、
115はフェニル、クロロフェニル又はトリルを表す。
【0050】
適当なアゾ金属錯体色素は、式(CII)
【0051】
【化15】

[式中、
101及びY102は互いに無関係に−O−又は−COO−を表し、
101は二価又は三価の金属を表し、かつ
ベンゼン環はベンゾ縮合されており、かつ/又は非イオン性基により置換されていてよい]
のアゾ金属錯体色素である。
【0052】
非イオン性基は上記に定義されている。
【0053】
101は有利にNi、Co、Cr、Fe、Cuを表す。
【0054】
極めて殊に有利な実施態様において、使用されるアゾ金属色素は式(I)、(Ia)、(Ib)、(IIa)又は(IIb)
[式中、
式(III)
【0055】
【化16】

の環Aは、ベンゾチアゾール−2−イル、クロロベンゾチアゾール−2−イル、メチルベンゾチアゾール−2−イル、メトキシベンゾチアゾール−2−イル又はニトロベンゾチアゾール−2−イル、ベンゾイミダゾール−2−イル、チアゾール−2−イル、フェニルチアゾール−2−イル、シアノチアゾール−2−イル、ニトロチアゾール−2−イル、5−フルオロ−4−トリフルオロメチルチアゾール−2−イル、5−フェニル−4−トリフルオロメチルチアゾール−2−イル、2−メチルチオ−5−シアノ−チアゾール−4−イル、イミダゾール−2−イル、4,5−ジフェニルイミダゾール−2−イル、4,5−ジシアノイミダゾール−2−イル、4,5−ビス−メトキシカルボニルイミダゾール−2−イル又は4,5−ビス−エトキシカルボニルイミダゾール−2−イル、ピラゾール−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−イル、5−フェノキシ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル、5−メチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル、5−ジメチルアミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル、5−ジエチルアミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル、5−ジ−(イソ)−プロピルアミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル、5−N−メチル−N−シアンエチルアミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル、5−ピロリジノ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル、5−フェニル−1,3,4−チアジアゾール−2−イル、5−メチル−1,3,4−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール−5−イル、3−メチルチオ−1,2,4−チアジアゾール−5−イル、3−メタンスルホニル−1,2,4−チアジアゾール−5−イル、3−フェニル−1,2,4−チアジアゾール−5−イル、5−メチル−1,2,4−チアジアゾール−3−イル、1,3,4−トリアゾール−2−イル、2−ピリジル、2−キノリル、2−ピリミジル、4−シアノ−2−ピリミジル、4,6−ジシアノ−2−ピリミジル、1,3,5−トリアジン−2−イル又は2−ピラジニルを表し、
ここで、
はO、S、N−R又はCHを表し、
は水素、メチル、エチル又はベンジルを表し、
式(IV)
【0056】
【化17】

の環Bは式
【0057】
【化18】

の基を表し、
及びRは互いに無関係に水素、メチル又はエチルを表し、
はシアノ又はメトキシカルボニルを表し、
は水素、メチル、トリフルオロメチル又はシアノを表し、
、R10、R12及びR13は互いに無関係に水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、シアンエチル、メトキシエチル、クロロエチル、ベンジル、シクロヘキシル、フェニル、トリル又はメトキシフェニルを表すか、又は
NR10及びNR1213は互いに無関係にピロリジノ、ピペリジノ又はモルホリノを表し、
14及びR15は互いに無関係に水素、メチル又はメトキシを表すか、又は
12;R15及びR13;R14は互いに無関係に−(CH−又は−(CH−架橋を表し、
11は2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、アセチル、プロピオニル、ベンゾイル、ピリドイル、メタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル、エタンスルホニル、ペルフルオロブタンスルホニル又はベンゼンスルホニルを表し、
Anはテトラフルオロボレート、ペルクロレート、ヘキサフルオロホスフェート、ニトレート、メトキシアセテート、メタンスルホネート、エタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ブチルベンゼンスルホネート、クロロベンゼンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ナフタリンスルホネート、ポリスチレンスルホネートの等価物又は式
【0058】
【化19】

のアニオンを表し、
Zはフッ素を表し、
MはB、Al又はCoを表し、
星印の付いた()結合はアゾ基を導き、かつ
「〜」で示される結合は金属Mを導く]
のアゾ金属色素である。
【0059】
抜群に有利な実施態様において、使用されるアゾ金属色素は、
式(III)
【0060】
【化20】

の環Aが、4,5−ジシアノイミダゾール−2−イル、1−メチル−4,5−ジシアノイミダゾール−2−イル、1−エチル−4,5−ジシアノイミダゾール−2−イル、1−ベンジル−4,5−ジシアノイミダゾール−2−イル、1−(2,2,2−トリフルオロエチル)−4,5−ジシアノイミダゾール−2−イル、3−フェニル−1,2,4−チアジアゾール、3−メタンスルホニル−1,2,4−チアジアゾール、5−ジメチルアミノ1,3,4−チアジアゾール、5−ジイソプロピルアミノ−1,3,4−チアジアゾール、5−ピロリジノ−1,3,4−チアジアゾール、5−フェニル−1,3,4−チアジアゾール−2−イル、5−メチル−1,3,4−チアジアゾール、2−ピリジル、2−ピリミジル、4−シアノ−2−ピリミジルを表し、
式(IV)
【0061】
【化21】

の環Bが式
【0062】
【化22】

の基を表し、
12及びR13は互いに無関係に水素、メチル、エチル、プロピル、シアンエチル、ベンジル、シクロヘキシル又はフェニルを表すか、又は
NR1213はピロリジノ、ピペリジノ又はモルホリノを表し、
14及びR15は水素を表すか、又は
12;R15及びR13;R14は互いに無関係に−(CH−又は−(CH−架橋を表し、
11はメタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル又はペルフルオロブタンスルホニルを表し、
Anはテトラフルオロボレート、ペルクロレート、ヘキサフルオロホスフェート、ニトレート、トリフルオロメタンスルホネート又は式
【0063】
【化23】

のアニオンを表し、
MはCoを表し、
星印の付いた()結合はアゾ基を導き、かつ
「〜」で示される結合は金属Mを導く、式(I)、(Ia)又は(IIa)のアゾ金属色素である。
【0064】
本発明による金属錯体は殊に粉末又は顆粒として、又は少なくとも2質量%の固形分を有する溶液として市販される。顆粒形、殊に50μm〜10mm、殊に100〜800μmの平均粒径を有する顆粒は有利である。そのような顆粒は例えば噴霧乾燥により製造することができる。顆粒は殊にそのダスト欠乏が顕著である。
【0065】
本発明による金属錯体は良好な溶解性が顕著である。本発明による金属錯体は非フッ素化アルコール中で良好に可溶である。そのようなアルコールは、例えば3〜6個のC原子を有するアルコール、有利にプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ジアセトンアルコール、又は前記アルコールからの混合物、例えばプロパノール/ジアセトンアルコール、ブタノール/ジアセトンアルコール、ブタノール/ヘキサノールである。前記混合物のための有利な混合割合は、例えば80:20〜99:1、有利に90:10〜98:2である。
【0066】
濃縮された溶液も同様に有利である。濃縮された溶液は、本発明による金属錯体、殊に式(Ia)、(Ib)、(IIa)又は(IIb)の金属錯体の少なくとも1質量%、有利に少なくとも2質量%、殊に有利に少なくとも5質量%の溶液である。溶剤として、この場合有利に2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ジアセトンアルコール、ジブチルエーテル、ヘプタノン又はこれらの混合物が使用される。2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールは殊に有利である。ブタノールは同様に殊に有利である。90:10〜98:2の混合比でのブタノール/ジアセトンアルコールは同様に殊に有利である。
【0067】
本発明は更に、金属塩を、式(Ic)
【0068】
【化24】

[式中、
はO、S、N−R又はCHを表し、
AはX及びNと一緒に5員又は6員の芳香族複素環もしくは準芳香族複素環を表し、前記環は1〜4個のヘテロ原子を有してよく、及び/又はベンゾ縮合又はナフト縮合されていてよく、及び/又は非イオン性の基により置換されていてよく、
はO、S、N−R、COO、SO、N−CO−R又はN−SO−Rを表し、
Bは5員又は6員の単素環式環又は複素環式環を表し、前記環は1〜4個のヘテロ原子を有してよく、及び/又はベンゾ縮合又はナフト縮合されていてよく、及び/又は非イオン性の基により置換されていてよく、
及びRは互いに無関係に水素、C〜C−アルキル、C〜C10−アリール又はC〜C12−アラルキルを表し、
はC〜C12−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルケニル、C〜C12−アラルキル、C〜C10−アリール、C〜C−アルコキシ又はモノ−又はビス−C〜C−アルキルアミノを表す]
のアゾ化合物と反応させることを特徴とする、式(Ia)及び(Ib)の本発明による金属錯体の製造法に関する。
【0069】
前記の本発明による方法において、式(Ic)の2つ以上の異なるアゾ化合物を使用することもできる。その場合、式(I)の2つの同じリガンドを有する錯体と式(I)の2つの異なるリガンドを有する錯体とから成る金属錯体のランダム混合物が得られる。前記混合物は同様に本発明の対象である。
【0070】
全く同様に、金属錯体の製造の際に式Icのアゾ化合物からの混合物を使用する場合には、金属錯体の製造及び金属錯体自体も含まれる。
【0071】
本発明による反応は通常溶剤又は溶剤混合物中で、場合により塩基性物質の存在下で、室温〜溶剤の沸点で、例えば20〜100℃、有利に20〜50℃で行われる。金属錯体はこの場合直接沈殿し、かつ濾過により単離することができるか、又は例えば水を添加し、場合により溶剤を予め部分的又は完全に排出することにより沈殿し、濾過により単離される。反応を直接溶剤中で実施し、上記の濃縮溶液にすることも可能である。アニオンを有する塩、例えばアルカリ塩又はアンモニウム塩の添加により、アニオンAnを交換し、そのようにして所望の生成物特性、例えば溶解性、分解温度及び分解熱、溶融温度又はガラス転移温度又は被膜形成特性に影響を与えることができる。アニオンの前記の交換は単離後であっても個別の工程で実施することができる。
【0072】
金属塩とは、例えば塩化物、臭化物、硫酸塩、硝酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、水酸化物、酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、カルボン酸の塩、例えばギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸塩、スルホン酸の塩、例えばメタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート又は相応する金属のベンゼンスルホネートであると解釈すべきである。金属塩とは、同様に、式(I)のリガンドとは異なるリガンドを有する錯体、殊にアセチルアセトンの錯体又はアセチル酢酸エステルの錯体であると解釈すべきである。金属塩は(Ic)のアゾ化合物との反応の前又は間にも比較的低い酸化数から酸化数3へと移行することができる。
【0073】
直接使用することができる、本発明の意味での金属塩として、例えば以下のものが該当する:三フッ化ホウ素、三酢酸ホウ素、塩化アルミニウム、アルミニウム−アセチルアセトネート、塩化ガリウム、塩化ヘキサミンコバルト(III)、塩化クロム、塩化鉄、アセチルアセトネート鉄、ランタンアセテート、硝酸セリウム、塩化ネオジム、酢酸ユウロピウム、酢酸テルビウム並びにそれらの結晶水含有の変形。
【0074】
(Ic)のアゾ化合物との反応の前又は間にも酸化されねばならない、本発明の意味での金属塩として、例えば以下のものが該当する:酢酸コバルト、硫酸鉄並びにそれらの結晶水含有の変形。
【0075】
塩基性物質として、アルカリ金属酢酸塩、例えば酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属水酸化物、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム又はアミン、例えばアンモニア、ジメチルアミン、トリエチルアミン、ジエタノールアミンが該当する。そのような塩基性物質は、殊に、強酸の金属塩、例えば金属塩化物又は金属硫酸塩を使用する場合に有利である。
【0076】
適当な溶剤は、水、アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、エーテル、例えばジブチルエーテル、ジオキサン又はテトラヒドロフラン、非プロトン性溶剤、例えばジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、アセトニトリル、ニトロメタン、ジメチルスルホキシドである。メタノール、エタノール及び2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールは有利である。
【0077】
適当な酸化剤は、例えば硝酸、亜硝酸、過酸化水素、カロー酸、アルカリペルオキソジスルフェート、アルカリペルボレート、空気、酸素である。硝酸及び空気は有利である。
【0078】
式(Ia)の塩状の金属錯体の製造は、金属が比較的低い酸化数で存在する金属錯体、例えば式(Id)
【0079】
【化25】

の金属錯体の酸化によっても行うことができる。
【0080】
反応の条件は上記の通りである。
【0081】
本発明による金属錯体の製造のために必要な式(Ic)のアゾ化合物は、例えばUS5,208,325、US6,225,023、EP486995、EP849727、JP2002−114922の記載から十分に公知であるか、又は同様に製造することができる。
【0082】
本発明は、更に、上記の光学データ記録媒体の情報層における吸光性化合物としての本発明による金属錯体の使用に関する。
【0083】
有利に、光学データ記録媒体の前記の使用において、殊に360〜460nmの範囲内の波長を有する青色レーザー光を用いて書き込み及び読み込出しが行われる。
【0084】
同様に有利に、光学データ記録媒体の前記の使用において、殊に600〜700nmの範囲内の波長を有する赤色レーザー光を用いて書き込み及び読み出しが行われる。
【0085】
本発明は、更に、光学データ記録媒体が、殊に360〜460nmの範囲内の波長を有する青色レーザー光を用いて書き込み及び読み出し可能である、ライトワンス型光学データ記録媒体の情報層における吸光性化合物としてのアゾリガンドを有する金属錯体の使用に関する。
【0086】
本発明は、更に、有利に透明な、場合により既に1つ以上の反射層で被覆された基板を有し、前記の基板の表面上に光線で書き込み可能な情報層、場合により1つ以上の反射層及び場合により保護層又はもう1つの基板又はカバー層が設けられており、有利に360〜460nm、殊に390〜420nm、極めて殊に有利に400〜410nmの範囲内の波長を有する青色光、又は有利に600〜700nm、殊に620〜680nm、極めて殊に有利に630〜660nmの範囲内の波長を有する赤色光、有利にレーザー光で書き込み及び読み出しが可能であり、その際、情報層は吸光性化合物及び場合によりバインダーを含有する光学データ記録媒体において、吸光性化合物として少なくとも1つの本発明による金属錯体が使用されていることを特徴とする光学データ記録媒体に関する。
【0087】
この吸光性化合物は有利に熱により可変であるのが好ましい。熱による変化は、<600℃の温度、特に有利に<400℃の温度、さらに有利に<300℃の温度、殊に<200℃の温度で行うのが有利である。このような変化は、例えば吸光性化合物の発色中心の分解又は化学変化であることができる。
【0088】
本発明による光学データ記録媒体における吸光性化合物の有利な実施態様は、本発明による金属錯体の有利な実施態様に相応する。
【0089】
有利な実施態様において、使用される吸光性化合物は式(Ia)、(Ib)、(IIa)又は(IIb)
[式中、
はO、S、N−R又はCHを表し、
AはX及びNと一緒に5員又は6員の芳香族複素環もしくは準芳香族複素環を表し、前記環は1〜4個のヘテロ原子を有してよく、及び/又はベンゾ縮合又はナフト縮合されていてよく、及び/又は非イオン性の基により置換されていてよく、
はO、S、N−R、COO、SO、N−CO−R又はN−SO−Rを表し、
Bは5員又は6員の炭素環式基もしくは複素環式環を表し、前記環は1〜4個のヘテロ原子を有してよく、及び/又はベンゾ縮合又はナフト縮合されていてよく、及び/又は非イオン性の基により置換されていてよく、
及びRは互いに無関係に水素、C〜C−アルキル、C〜C10−アリール又はC〜C12−アラルキルを表し、
はC〜C12−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルケニル、C〜C12−アラルキル、C〜C10−アリール、C〜C−アルコキシ又はモノ−又はビス−C〜C−アルキルアミノを表し、
Mは金属を表し、
Anはアニオンを表し、
Zはハロゲン、CN、R−O−、R−S−、R−SO−、R−CO−O−、R−SO−O−、R−CO−NH−又はR−SO−NH−を表し、
はC〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C12−アラルキル又はC〜C10−アリールを表す]
の吸光性化合物である。
【0090】
殊に有利な実施態様において、使用される吸光性化合物は式(Ia)、(Ib)、(IIa)又は(IIb)
[式中、

【0091】
【化26】

の環Aはベンゾチアゾール−2−イル、ベンゾオキサゾール−2−イル、ベンゾイミダゾール−2−イル、チアゾール−2−イル、チアゾール−4−イル、イミダゾール−2−イル、ピラゾール−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−イル、1,2,4−チアジアゾール−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル、1,3,4−トリアゾール−2−イル、2−ピリジル、2−キノリル、3−ピリダジニル、2−ピリミジル、1,3,5−トリアジン−2−イル又は2−ピラジニルを表し、これらはC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、−C(=NH)−O−C〜C−アルキル、ニトロ、C〜C−アルコキシカルボニル、C〜C−アルキルチオ、C〜C−アシルアミノ、C〜C10−アリール、C〜C10−アリールオキシ、C〜C10−アリールカルボニルアミノ、モノ−又はジ−C〜C−アルキルアミノ、N−C〜C−アルキル−N−C〜C10−アリールアミノ、ピロリジノ、モルホリノ、ピペラジノ又はピペリジノにより置換されていてよく、
ここで、
はO、S、N−R又はCHを表し、

【0092】
【化27】

の環Bは式
【0093】
【化28】

【0094】
【化29】

の基を表し、
は水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ベンジル又はフェネチルを表し、
及びRは互いに無関係に水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ベンジル、フェネチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、トリル、メトキシフェニル又はクロロフェニルを表し、
はシアノ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル又は式
【0095】
【化30】

の基を表し、
は水素、メチル、エチル、トリフルオロメチル、シアノ、メトキシカルボニル又はエトキシカルボニルを表し、
、R10、R12及びR13は互いに無関係に水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、シアンエチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、クロロエチル、ベンジル、フェネチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、トリル、メトキシフェニル又はクロロフェニルを表すか、又は
NR10及びNR1213は互いに無関係にピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ又はモルホリノを表し、
14及びR15は互いに無関係に水素、メチル、エチル、メトキシ又は塩素を表すか、又は
12;R15及びR13;R14は互いに無関係に−(CH−、−(CH−、−(CH−O−架橋を表し、前記架橋は3つまでのメチル基により置換されていてよく、
11は水素、メチル、エチル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、プロピオニル、ブタノイル、ベンゾイル、ピリドイル、メタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル、エタンスルホニル、2,2−ジフルオロエタンスルホニル、2,2,2−トリフルオロエタンスルホニル、ペルフルオロブタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、クロロベンゼンスルホニル又はトルエンスルホニルを表し、
Anはアニオンを表し、
Zはフッ素、塩素、臭素、CN、アセテート、ベンゾエート、メトキシ、メチルチオ又はベンゼンスルフィネートを表し、
MはB、Al、Ga、Co、Cr、Fe、Y、La又はCeを表し、
星印の付いた()結合はアゾ基を導き、かつ
「〜」で示される結合は金属Mを導く]
の吸光性化合物である。
【0096】
極めて殊に有利な実施態様において、使用される吸光性化合物は式(Ia)、(Ib)、(IIa)又は(IIb)
[式中、
式(III)
【0097】
【化31】

の環Aは、ベンゾチアゾール−2−イル、クロロベンゾチアゾール−2−イル、メチルベンゾチアゾール−2−イル、メトキシベンゾチアゾール−2−イル又はニトロベンゾチアゾール−2−イル、ベンゾイミダゾール−2−イル、チアゾール−2−イル、フェニルチアゾール−2−イル、シアノチアゾール−2−イル、ニトロチアゾール−2−イル、5−フルオロ−4−トリフルオロメチルチアゾール−2−イル、5−フェニル−4−トリフルオロメチルチアゾール−2−イル、2−メチルチオ−5−シアノ−チアゾール−4−イル、イミダゾール−2−イル、4,5−ジフェニルイミダゾール−2−イル、4,5−ジシアノイミダゾール−2−イル、4,5−ビス−メトキシカルボニルイミダゾール−2−イル又は4,5−ビス−エトキシカルボニルイミダゾール−2−イル、ピラゾール−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−イル、5−フェノキシ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル、5−メチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル、5−ジメチルアミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル、5−ジエチルアミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル、5−ジ−(イソ)−プロピルアミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル、5−N−メチル−N−シアンエチルアミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル、5−ピロリジノ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル、5−フェニル−1,3,4−チアジアゾール−2−イル、5−メチル−1,3,4−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール−5−イル、3−メチルチオ−1,2,4−チアジアゾール−5−イル、3−メタンスルホニル−1,2,4−チアジアゾール−5−イル、3−フェニル−1,2,4−チアジアゾール−5−イル、5−メチル−1,2,4−チアジアゾール−3−イル、1,3,4−トリアゾール−2−イル、2−ピリジル、2−キノリル、2−ピリミジル、4−シアノ−2−ピリミジル、4,6−ジシアノ−2−ピリミジル、1,3,5−トリアジン−2−イル又は2−ピラジニルを表し、
ここで、
はO、S、N−R又はCHを表し、
は水素、メチル、エチル又はベンジルを表し、
式(IV)
【0098】
【化32】

の環Bは式
【0099】
【化33】

の基を表し、
及びRは互いに無関係に水素、メチル又はエチルを表し、
はシアノ又はメトキシカルボニルを表し、
は水素、メチル、トリフルオロメチル又はシアノを表し、
、R10、R12及びR13は互いに無関係に水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、シアンエチル、メトキシエチル、クロロエチル、ベンジル、シクロヘキシル、フェニル、トリル又はメトキシフェニルを表すか、又は
NR10及びNR1213は互いに無関係にピロリジノ、ピペリジノ又はモルホリノを表し、
14及びR15は互いに無関係に水素、メチル又はメトキシを表すか、又は
12;R15及びR13;R14は互いに無関係に−(CH−又は−(CH−架橋を表し、
11は2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、アセチル、プロピオニル、ベンゾイル、ピリドイル、メタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル、エタンスルホニル、ペルフルオロブタンスルホニル又はベンゼンスルホニルを表し、
Anはテトラフルオロボレート、ペルクロレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヨージド、ニトレート、メトキシアセテート、メタンスルホネート、エタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ブチルベンゼンスルホネート、クロロベンゼンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ナフタリンスルホネート、ポリスチレンスルホネートの等価物又は式
【0100】
【化34】

のアニオンを表し、
Zはフッ素を表し、
MはB、Al又はCoを表し、
星印の付いた()結合はアゾ基を導き、かつ
「〜」で示される結合は金属Mを導く]
の吸光性化合物である。
【0101】
抜群に有利な実施態様において、使用される吸光性化合物は式(Ia)又は(IIa)
[式中、
式(III)
【0102】
【化35】

の環Aは、4,5−ジシアノイミダゾール−2−イル、1−メチル−4,5−ジシアノイミダゾール−2−イル、1−エチル−4,5−ジシアノイミダゾール−2−イル、1−ベンジル−4,5−ジシアノイミダゾール−2−イル、1−(2,2,2−トリフルオロエチル)−4,5−ジシアノイミダゾール−2−イル、3−フェニル−1,2,4−チアジアゾール、3−メタンスルホニル−1,2,4−チアジアゾール、5−ジメチルアミノ1,3,4−チアジアゾール、5−ジイソプロピルアミノ−1,3,4−チアジアゾール、5−ピロリジノ−1,3,4−チアジアゾール、5−フェニル−1,3,4−チアジアゾール−2−イル、5−メチル−1,3,4−チアジアゾール、2−ピリジル、2−ピリミジル、4−シアノ−2−ピリミジルを表し、
式(IV)
【0103】
【化36】

の環Bは式
【0104】
【化37】

の基を表し、
12及びR13は互いに無関係に水素、メチル、エチル、プロピル、シアンエチル、ベンジル、シクロヘキシル又はフェニルを表すか、又は
NR1213はピロリジノ、ピペリジノ又はモルホリノを表し、
14及びR15は水素を表すか、又は
12;R15及びR13;R14は互いに無関係に−(CH−又は−(CH−架橋を表し、
11はメタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル又はペルフルオロブタンスルホニルを表し、
Anはテトラフルオロボレート、ペルクロレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヨージド、ニトレート、トリフルオロメタンスルホネート又は式
【0105】
【化38】

のアニオンを表し、
MはCoを表し、
星印の付いた()結合はアゾ基を導き、かつ
「〜」で示される結合は金属Mを導く]
の吸光性化合物である。
【0106】
青色レーザ光を用いて書き込み及び読み出しする本発明によるライトワンス型光学データ記録媒体のために、吸収極大λmax2が420〜550nmの範囲内にあり、その際、波長λ1/2(この場合、波長λmax2の吸収極大の短波長側での吸光度がλmax2での吸光値の半分である)と波長λ1/10(この場合、波長λmax2の吸収極大の短波長側での吸光度がλmax2での吸光値の10分の1である)とが有利に80nmより広く離れていないような吸光性化合物が有利である。有利に、このような吸光性化合物は波長350nmまで、特に有利に320nmまで、極めて殊に有利に290nmまで、より短波長の極大λmax1を示さない。
【0107】
430〜550nm、殊に440〜530nm、極めて殊に有利に450〜520nmの吸収極大λmax2を有する吸光性化合物は有利である。
【0108】
有利にこの吸光性化合物において、λ1/2とλ1/10とは上記に定義されている通り70nmより広く離れておらず、特に有利に50nmより広く離れておらず、極めて殊に有利に40nmより広く離れていない。
【0109】
赤色レーザ光を用いて書き込み及び読み出しする本発明によるライトワンス型光学データ記録媒体のために、吸収極大λmax2が500〜650nmの範囲内にあり、その際、波長λ1/2(この場合、波長λmax2の吸収極大の長波長側での吸光度がλmax2での吸光値の半分である)と波長λ1/10(この場合、波長λmax2の吸収極大の長波長側での吸光度がλmax2での吸光値の10分の1である)とが有利に60nmより広く離れていないような吸光性化合物が有利である。有利に、このような吸光性化合物は波長750nmまで、特に有利に800nmまで、極めて殊に有利に850nmまで、より短波長の極大λmax3を示さない。
【0110】
510〜620nmの吸収極大λmax2を有する吸光性化合物は有利である。
【0111】
530〜610nmの吸収極大λmax2を有する吸光性化合物は殊に有利である。
【0112】
550〜600nmの吸収極大λmax2を有する吸光性化合物は極めて殊に有利である。
【0113】
有利にこの吸光性化合物において、λ1/2とλ1/10とは上記に定義されている通り50nmより広く離れておらず、特に有利に40nmより広く離れておらず、極めて殊に有利に30nmより広く離れていない。
【0114】
吸光性化合物は吸収極大λmax2でモル吸光計数ε>30000 l/molcm、有利に>50000 l/molcm、特に有利に>70000 l/molcm、極めて殊に有利に>100000 l/molcmを示す。
【0115】
吸収スペクトルは例えば溶液中で測定される。
【0116】
必要とされるスペクトル特性を有する適当な吸光性化合物は、殊に、わずかなソルバトクロミズム(ジオキサン/DMF又は塩化メチレン/メタノール)を示す吸光性化合物である。そのソルバトクロミズムΔλDD=|λDMF−λジオキサン|、即ち溶剤のジメチルホルムアミド及びジオキサン中での吸収波長の正の差、もしくは、そのソルバトクロミズムΔλMM=|λメタノール−λ塩化メチレン|、即ち溶剤のメタノール及び塩化メチレン中での吸収波長の正の差が、<20nm、殊に有利に<10nm、極めて殊に有利に<5nmである金属錯体が有利である。
【0117】
有利に、赤色レーザー光又は青色レーザー光、殊に赤色レーザー光で書き込み及び読み出しされる本発明によるライトワンス型光学データ記録媒体は有利である。
【0118】
本発明によるアゾ金属錯体は、別の吸光性化合物と混合されてもよい。有利に、このために、類似のスペクトル特性を有する吸光性化合物が選択される。そのような吸光性化合物は例えば以下の色素クラスに由来してよい:シアニン、(ジアザ)−ヘミカニン、メロシアニン、ローダミン、アゾ色素、ポルフィリン、フタロシアニン、サブフタロシアニン、アゾ金属錯体。他のアゾ金属錯体は有利である。
【0119】
他のアゾ金属錯体は、例えばUS−B16,225,023から公知である。
【0120】
本発明により使用される吸光性物質は、書き込みしていない状態で光学データ記録媒体の十分に高い反射率(>10%、殊に>20%)を保証し、並びにフォーカスされた光で点状に照射した際に、光の波長が360〜460nm、600〜680nmの範囲内にある場合に、情報層の熱的変性のために十分に高い吸収を保証する。データ記録媒体上での書き込まれた箇所と書き込まれていない箇所との間のコントラストは、振幅の反射率の変化によって実現され、並びに入射光の相は情報層の熱分解後に変化した光学特性によって実現される。
【0121】
本発明により使用される吸光性化合物は、書き込まれていない光学データ記録媒体並びに光学データ記録媒体に書き込まれた情報の、昼光、日光に対する、又は昼光の模倣のための強化された人工的な照射下での高い光安定性を有する。
【0122】
本発明により使用される吸光性化合物は、同様に、光学データ記録媒体の、十分なエネルギーの青色レーザー光及び赤色レーザー光に対する高い敏感性を有するため、データ記録媒体に高速で(≧2x、≧4x)書き込むことができる。
【0123】
本発明により使用される吸光性化合物は十分に安定であるため、この吸光性化合物を用いて製造されたディスクは、必要とされる耐候試験を概して満足させる。
【0124】
本発明によるアゾ金属色素は、光学データ記録媒体上に有利にスピンコーティング又は真空蒸着により施与される。アゾ金属色素は、相互に混合できるか又は類似するスペクトル特性を示す他の色素と混合することができる。殊に種々のアニオンを有する色素を混合することもできる。情報層は、アゾ金属色素の他に添加物、例えばバインダー、湿潤剤、安定剤、希釈剤及び増感剤並びに他の成分を含有してよい。
【0125】
本発明による光学データ記録媒体は、情報層の他に他の層、例えば金属層、誘電層、バリア層並びに保護層を有していることができる。金属層及び誘電層及び/又はバリア層は、特に反射率の調整及び熱調整のために用いられる。金属はレーザー波長に応じて金、銀、アルミニウム等であってよい。誘電層は例えば二酸化ケイ素及び窒化ケイ素である。バリア層は誘電層又は金属層である。保護層は、例えば光硬化性の、塗料、接着層及び保護シートである。
【0126】
感圧接着層は主にアクリル接着剤からなる。特許JP−A11−273147に開示されたNitto Denko DA−8320又はDA−8310は、例えばこの目的のために使用することができる。
【0127】
本発明による光学データ記録媒体は例えば次の層構造を示す(図1参照):透明な基板(1)、場合による保護層(2)、情報層(3)、場合による保護層(4)、場合による接着層(5)、カバー層(6)。図1及び図2に示された矢印は入射光の経路を示している。
【0128】
有利に、光学データ記録媒体の構造は:
− 有利に透明な基板(1)を有してよく、前記の基板の表面上に光により書き込み可能であり、光で、有利にレーザー光で書き込み可能な情報層(3)、場合により保護層(4)、場合により接着層(5)及び透明なカバー層(6)が設けられている。
− 有利に透明な基板(1)を有してよく、前記の基板の表面上に、保護層(2)、少なくとも1つの、光で、有利にレーザー光で書き込み可能な情報層(3)、場合により接着層(5)及び透明なカバー層(6)が設けられている。
− 有利に透明な基板(1)を有してよく、前記の基板の表面上に、場合により保護層(2)、少なくとも1つの、光で、有利にレーザー光で書き込み可能な情報層(3)、場合により保護層(4)、場合により接着層(5)及び透明なカバー層(6)が設けられている。
− 有利に透明な基板(1)を有してよく、前記の基板の表面上に、少なくとも1つの、光で、有利にレーザー光で書き込み可能な情報層(3)、場合により接着層(5)及び透明なカバー層(6)が設けられている。
【0129】
それとは別に、光学データ記録媒体は例えば次の層構造を有する(図2参照):有利に透明な基板(11)、情報層(12)、場合により反射層(13)、場合により接着層(14)、もう1つの有利に透明な基板(15)。
【0130】
本発明は更に、青色光又は赤色光、殊にレーザー光、殊に赤色レーザー光で書き込みされる本発明による光学データ記録媒体に関する。
【0131】
次の実施例は本発明の対象を明確にする。
【実施例】
【0132】
実施例
実施例1
酢酸コバルト(II)四水和物1.2gをアセトニトリル20ml中に溶解させ、65%硝酸0.5mlと混合した。室温で1時間撹拌した後、この溶液を、アセトニトリル40ml中の(US6,225,023に従って製造された)式
【0133】
【化39】

のアゾ色素4.4gの溶液に添加した。60℃で5時間撹拌し、冷却し、水60ml中の過塩素酸リチウム2gの溶液中に注いだ。1時間撹拌した後、吸引濾過し、水20mlで2回洗浄し、真空中で40℃で乾燥させた。粗製金属錯体をトルエン25mlで室温で撹拌し、吸引濾過し、40℃で真空中で乾燥させた。式
【0134】
【化40】

の金属錯体4.14g(理論値の81%)が、融点265℃の紫色の粉末として得られた。
エレクトロスプレー質量スペクトル:m/e=965.15
λmax=556.584nm(ジクロロメタン中で)
ε=92575 l/mol cm (584nmで)
λ1/2−λ1/10(長波長端)=35nm
溶解度:TFP(2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール)中で>2%
ガラス状被膜
実施例2
a)3−フェニル−5−アミノ−1,2,4−チアジアゾール7.9gを、氷酢酸30ml及びギ酸15mlから成る混合物中にわずかに加熱しながら溶解させた。0℃に冷却した後、15分間で亜硝酸ナトリウム3.1gを装入した。0〜5℃で2時間撹拌した。その後、この温度で、これに、氷酢酸15ml中の3−メタンスルホニルアミノ−N,N−ジエチルアニリン15.9gの溶液を30分間で滴加した。室温にし、引き続き1時間で90℃に加熱した。この温度で1時間撹拌し、室温に冷却し、吸引濾過し、メタノール及び水各10mlで洗浄した。50℃で真空中で乾燥させた後、融点213℃の式
【0135】
【化41】

の赤色の粉末5.5g(理論値の29%)が得られた。
λmax=517nm(ジクロロメタン中で)
ε=50040 l/mol cm
b)酢酸コバルト(II)四水和物1.2gをアセトン20ml中に溶解させ、65%硝酸0.5mlと混合した。室温で1時間撹拌した後、この溶液をアセトン20ml中のa)からのアゾ色素4.16gの溶液に添加した。60℃で3時間撹拌し、冷却し、水60ml中に注いだ。1時間撹拌した後、吸引濾過し、水20mlで2回洗浄し、真空中で40℃で乾燥させた。粗製金属錯体をトルエン25mlで室温で撹拌し、吸引濾過し、40℃で真空中で乾燥させた。式
【0136】
【化42】

の金属錯体4.0g(理論値の80%)が、紫色の粉末として得られた。
λmax=548nm(メタノール中で)
ε=78980 l/mol cm
λ1/2−λ1/10(長波長端)=36nm
溶解度:TFP(2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール)中で>2%
ガラス状被膜
c)b)からの金属錯体1gを水20ml中に溶解させ、過塩素酸リチウム0.3gの添加により沈殿させた。式
【0137】
【化43】

の金属錯体0.7gが、紫色の粉末として得られた。
エレクトロスプレー質量スペクトル:m/e=917.17
λmax=548nm(メタノール中で)
ε=78972 l/mol cm
λ1/2−λ1/10(長波長端)=36nm
溶解度:TFP(2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール)中で>2%
ガラス状被膜
実施例3
酢酸コバルト(II)四水和物0.14g及び実施例2a)からのアゾ色素0.4gをN−メチルピロリドン20ml中に溶解させた。60℃で5時間撹拌下に、わずかな空気流を導通させた。冷却後、水100mlで希釈し、塩化メチレン20mlで2回抽出した。有機層を回転蒸発器上で蒸発させ、油状の残留物を水5ml中に取り出した。この際に生じる結晶を吸引濾過した。母液を過塩素酸リチウム0.5gと混合した。1時間撹拌し、吸引濾過し、40℃で真空中で乾燥させた。実施例2c)からの金属錯体0.3g(理論値の57%)が得られた。
【0138】
実施例4
水23ml中の式
【0139】
【化44】

のローダミン色素0.63gからの溶液中に、水20ml中の実施例2bからの金属錯体1gからの溶液を装入した。一晩室温で撹拌し、吸引濾過し、水50mlで2回洗浄した。式
【0140】
【化45】

の金属錯体0.9g(理論値の59%)が、紫色の粉末として得られた。
λmax=573nm(ジクロロメタン中で)
ε=174540 l/mol cm
λ1/2−λ1/10(長波長端)=41nm
Δλ=|λ塩化メチレン−λメタノール|=1nm
溶解度:TFP(2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール)中で>2%
ガラス状被膜
実施例5
実施例1と同様に行ったが、ただし、アセトニトリルの代わりにアセトンを溶剤として使用し、式
【0141】
【化46】

の金属錯体を紫色の粉末として収率62%で製造した。
λmax=553.580nm(ジクロロメタン中で)
ε=85738 l/mol cm (553nmで)
溶解度:TFP(2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール)中で>2%
ガラス状被膜
実施例6
実施例1と同様に行ったが、ただし、アセトニトリルの代わりにアセトンを溶剤として使用し、式
【0142】
【化47】

の金属錯体を紫色の粉末として収率80%で製造した。
エレクトロスプレー質量スペクトル:m/e=829
λmax=558.592nm(メタノール中で)
ε=71866 l/mol cm (558nmで)
溶解度:TFP(2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール)中で>2%
ガラス状被膜
実施例7
実施例1と同様に、式
【0143】
【化48】

の金属錯体を青色の粉末として収率78%で製造した。
溶解度:TFP(2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール)中で>2%
ガラス状被膜
同様に適当なアゾ金属色素を以下の表にまとめる:
【0144】
【表1】

【0145】
【表2】

【0146】
【表3】

【0147】
【表4】

【0148】
実施例41:
室温で、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール100ml中の実施例1からの色素2gの溶液を製造した。この溶液をスピンコーティングを用いてプレグルーブド(pregrooved)ポリカーボネート基板上に施与した。このプレグルーブドポリカーボネート基板を、射出成形によりディスクとして製造した。ディスクの寸法及びグルーブ構造の寸法は、通常DVD−Rのために使用されるものに相応していた。情報記録媒体としての色素層を有するディスクに銀100nmを蒸着させた。引き続き、UV硬化可能なアクリル塗料をスピンコーティングにより施与し、UVランプを用いて硬化させた。ディスクを、光学ベンチ上に構成され、直線偏光を発生させるためのダイオードレーザー(λ=656nm)、偏光に敏感なビームスプリッタ、λ/4小片、及び開口数NA=0.6を有する可動に懸吊された集束レンズ(アクチュエーターレンズ)からなる動的書き込み試験構造体を用いて試験した。ディスクの反射層から反射された光を、上記の偏光に敏感なビームスプリッターを用いてビーム路から偏光させ、非点収差(astigmatisch)レンズを通して4象限検出器上にピント調節した。線速度V=3.5m/s及び書き込み効率Pwrite=10mWの場合に、11T−ピットのために信号雑音比C/N=48.4dBを測定した。この場合、書き込み効率を振動パルスシーケンスとして適用し(図3参照)、この場合このディスクを交互に上記の書き込み効率Pwriteで及び読み出し効率Pread≒0.5mWで照射した。書き込みパルスシーケンスは11T−Pitに関して長さTtop=1.5T=60nsのリードパルスから成り、その際、T=40nsは基礎時間である(11T=440ns)。リードパルスが3T単位後に終了するようにリードパルスを配置する。その後、長さTmp=30nsのパルスが8回続き、その際、時間をTmp=0.75Tにより規定した。ここから、各書き込みパルスの間にΔT=10nsの期間が自由であることが明らかである。11Tの長さの書き込みパルスの後、11Tの長さの中断が続く。このディスクをそれ自体が1回回転するまで前記の振動パルスシーケンスで照射した。その後に、こうして得られたマークを読み出し効率Preadで読み出し、上記の信号雑音比C/Nを測定した。
【0149】
同様の結果が上記の別の実施例の金属錯体を用いて達成された。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】本発明による光学データ記録媒体の層構造を示す概略図。
【図2】本発明による光学データ記録媒体の層構造を示す概略図。
【図3】本発明による光学データ記録媒体のパルスシーケンスを示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属錯体において、式(I)
【化1】

[式中、
はO、S、N−R又はCHを表し、
AはX及びNと一緒に5員又は6員の芳香族複素環もしくは準芳香族複素環を表し、前記環は1〜4個のヘテロ原子を有してよく、及び/又はベンゾ縮合又はナフト縮合されていてよく、及び/又は非イオン性の基により置換されていてよく、
はO、S、N−R、COO、SO、N−CO−R又はN−SO−Rを表し、
Bは5員又は6員の炭素環式基もしくは複素環式環を表し、前記環は1〜4個のヘテロ原子を有してよく、及び/又はベンゾ縮合又はナフト縮合されていてよく、及び/又は非イオン性の基により置換されていてよく、
及びRは互いに無関係に水素、C〜C−アルキル、C〜C10−アリール又はC〜C12−アラルキルを表し、
はC〜C12−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルケニル、C〜C12−アラルキル、C〜C10−アリール、C〜C−アルコキシ又はモノ−又はビス−C〜C−アルキルアミノを表す]
のリガンドを少なくとも1つ有することを特徴とする金属錯体。
【請求項2】
式(I)の2つの同じか又は異なるリガンドを有する、請求項1記載の金属錯体。
【請求項3】
式(Ia)
【化2】

[式中、
式(I)の2つのリガンドは互いに無関係に上記の意味を有し、
Mは金属を表し、かつ
Anはアニオンを表す]
に相当する、請求項1記載の金属錯体。
【請求項4】
式(Ib)
【化3】

[式中、
式(I)の2つのリガンドは互いに無関係に上記の意味を有し、
Mは金属を表し、
Zはハロゲン、CN、R−O−、R−S−、R−SO−、R−CO−O−、R−SO−O−、R−CO−NH−又はR−SO−NH−を表し、かつ
はC〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C12−アラルキル又はC〜C10−アリールを表す]
に相当する、請求項1記載の金属錯体。
【請求項5】
金属が、三価の金属、遷移金属又は希土類元素、殊にB、Al、Ga、In、V、Co、Cr、Fe、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tbである、請求項1記載の金属錯体。
【請求項6】
金属がB、Al又はCoを表す、請求項1記載の金属錯体。
【請求項7】
式(I)において、

【化4】

の環Aがベンゾチアゾール−2−イル、ベンゾオキサゾール−2−イル、ベンゾイミダゾール−2−イル、チアゾール−2−イル、チアゾール−4−イル、イミダゾール−2−イル、ピラゾール−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−イル、1,2,4−チアジアゾール−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル、1,3,4−トリアゾール−2−イル、2−ピリジル、2−キノリル、3−ピリダジニル、2−ピリミジル、1,3,5−トリアジン−2−イル又は2−ピラジニルを表し、これらはC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、−C(=NH)−O−C〜C−アルキル、ニトロ、C〜C−アルコキシカルボニル、C〜C−アルキルチオ、C〜C−アシルアミノ、ホルミル、C〜C−アルカノイル、C〜C10−アリール、C〜C10−アリールオキシ、C〜C10−アリールカルボニルアミノ、モノ−又はジ−C〜C−アルキルアミノ、N−C〜C−アルキル−N−C〜C10−アリールアミノ、ピロリジノ、モルホリノ、ピペラジノ又はピペリジノにより置換されていてよく、
ここで、
はO、S、N−R又はCHを表し、

【化5】

の環Bは式
【化6】

の基を表し、
は水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ベンジル又はフェネチルを表し、
及びRは互いに無関係に水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ベンジル、フェネチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、トリル、メトキシフェニル又はクロロフェニルを表し、
はシアノ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル又は式
【化7】

の基を表し、
は水素、メチル、エチル、トリフルオロメチル、シアノ、メトキシカルボニル又はエトキシカルボニルを表し、
、R10、R12及びR13は互いに無関係に水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、シアンエチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、クロロエチル、ベンジル、フェネチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、トリル、メトキシフェニル又はクロロフェニルを表すか、又は
NR10及びNR1213は互いに無関係にピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ又はモルホリノを表し、
14及びR15は互いに無関係に水素、メチル、エチル、メトキシ又は塩素を表すか、又は
12;R15及びR13;R14は互いに無関係に−(CH−、−(CH−、−(CH−O−架橋を表し、前記架橋は3つまでのメチル基により置換されていてよく、
11は水素、メチル、エチル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、プロピオニル、ブタノイル、ベンゾイル、ピリドイル、メタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル、エタンスルホニル、2,2−ジフルオロエタンスルホニル、2,2,2−トリフルオロエタンスルホニル、ペルフルオロブタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、クロロベンゼンスルホニル又はトルエンスルホニルを表し、
Anはアニオンを表し、
Zはフッ素、塩素、臭素、CN、アセテート、ベンゾエート、メトキシ、メチルチオ又はベンゼンスルフィネートを表し、
MはB、Al、Ga、Co、Cr、Fe、Y、La又はCeを表し、
星印の付いた()結合はアゾ基を導き、かつ
「〜」で示される結合は金属Mを導く、請求項1から6までのいずれか1項記載の金属錯体。
【請求項8】
式(III)
【化8】

の環Aが、ベンゾチアゾール−2−イル、クロロベンゾチアゾール−2−イル、メチルベンゾチアゾール−2−イル、メトキシベンゾチアゾール−2−イル又はニトロベンゾチアゾール−2−イル、ベンゾイミダゾール−2−イル、チアゾール−2−イル、フェニルチアゾール−2−イル、シアノチアゾール−2−イル、ニトロチアゾール−2−イル、5−フルオロ−4−トリフルオロメチルチアゾール−2−イル、5−フェニル−4−トリフルオロメチルチアゾール−2−イル、2−メチルチオ−5−シアノ−チアゾール−4−イル、イミダゾール−2−イル、4,5−ジフェニルイミダゾール−2−イル、4,5−ジシアノイミダゾール−2−イル、4,5−ビス−メトキシカルボニルイミダゾール−2−イル又は4,5−ビス−エトキシカルボニルイミダゾール−2−イル、ピラゾール−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−イル、5−フェノキシ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル、5−メチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル、5−ジメチルアミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル、5−ジエチルアミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル、5−ジ−(イソ)−プロピルアミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル、5−N−メチル−N−シアンエチルアミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル、5−ピロリジノ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル、5−フェニル−1,3,4−チアジアゾール−2−イル、5−メチル−1,3,4−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール−5−イル、3−メチルチオ−1,2,4−チアジアゾール−5−イル、3−メタンスルホニル−1,2,4−チアジアゾール−5−イル、3−フェニル−1,2,4−チアジアゾール−5−イル、5−メチル−1,2,4−チアジアゾール−3−イル、1,3,4−トリアゾール−2−イル、2−ピリジル、2−キノリル、2−ピリミジル、4−シアノ−2−ピリミジル、4,6−ジシアノ−2−ピリミジル、1,3,5−トリアジン−2−イル又は2−ピラジニルを表し、
ここで、
はO、S、N−R又はCHを表し、
は水素、メチル、エチル又はベンジルを表し、
式(IV)
【化9】

の環Bは式
【化10】

の基を表し、
及びRは互いに無関係に水素、メチル又はエチルを表し、
はシアノ又はメトキシカルボニルを表し、
は水素、メチル、トリフルオロメチル又はシアノを表し、
、R10、R12及びR13は互いに無関係に水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、シアンエチル、メトキシエチル、クロロエチル、ベンジル、シクロヘキシル、フェニル、トリル又はメトキシフェニルを表すか、又は
NR10及びNR1213は互いに無関係にピロリジノ、ピペリジノ又はモルホリノを表し、
14及びR15は互いに無関係に水素、メチル又はメトキシを表すか、又は
12;R15及びR13;R14は互いに無関係に−(CH−又は−(CH−架橋を表し、
11は2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、アセチル、プロピオニル、ベンゾイル、ピリドイル、メタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル、エタンスルホニル、ペルフルオロブタンスルホニル又はベンゼンスルホニルを表し、
Anはテトラフルオロボレート、ペルクロレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヨージド、ニトレート、メトキシアセテート、メタンスルホネート、エタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ブチルベンゼンスルホネート、クロロベンゼンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ナフタリンスルホネート、ポリスチレンスルホネートの等価物又は式
【化11】

のアニオンを表し、
Zはフッ素を表し、
MはB、Al又はCoを表し、
星印の付いた()結合はアゾ基を導き、かつ
「〜」で示される結合は金属Mを導く、請求項1から7までのいずれか1項記載の金属錯体。
【請求項9】
式(III)
【化12】

の環Aは、4,5−ジシアノイミダゾール−2−イル、1−メチル−4,5−ジシアノイミダゾール−2−イル、1−エチル−4,5−ジシアノイミダゾール−2−イル、1−ベンジル−4,5−ジシアノイミダゾール−2−イル、1−(2,2,2−トリフルオロエチル)−4,5−ジシアノイミダゾール−2−イル、3−フェニル−1,2,4−チアジアゾール、3−メタンスルホニル−1,2,4−チアジアゾール、5−ジメチルアミノ1,3,4−チアジアゾール、5−ジイソプロピルアミノ−1,3,4−チアジアゾール、5−ピロリジノ−1,3,4−チアジアゾール、5−フェニル−1,3,4−チアジアゾール−2−イル、5−メチル−1,3,4−チアジアゾール、2−ピリジル、2−ピリミジル、4−シアノ−2−ピリミジルを表し、
式(IV)
【化13】

の環Bは式
【化14】

の基を表し、
12及びR13は互いに無関係に水素、メチル、エチル、プロピル、シアンエチル、ベンジル、シクロヘキシル又はフェニルを表すか、又は
NR1213はピロリジノ、ピペリジノ又はモルホリノを表し、
14及びR15は水素を表すか、又は
12;R15及びR13;R14は互いに無関係に−(CH−又は−(CH−架橋を表し、
11はメタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル又はペルフルオロブタンスルホニルを表し、
Anはテトラフルオロボレート、ペルクロレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヨージド、ニトレート、トリフルオロメタンスルホネート又は式
【化15】

のアニオンを表し、
MはCoを表し、
星印の付いた()結合はアゾ基を導き、かつ
「〜」で示される結合は金属Mを導く、請求項1から7までのいずれか1項記載の金属錯体。
【請求項10】
請求項1記載の金属錯体の製造法において、金属塩を、式(Ic)
【化16】

[式中、
はO、S、N−R又はCHを表し、
AはX及びNと一緒に5員又は6員の芳香族複素環もしくは準芳香族複素環を表し、前記環は1〜4個のヘテロ原子を有してよく、及び/又はベンゾ縮合又はナフト縮合されていてよく、及び/又は非イオン性の基により置換されていてよく、
はO、S、N−R、COO、SO、N−CO−R又はN−SO−Rを表し、
Bは5員又は6員の単素環式環又は複素環式環を表し、前記環は1〜4個のヘテロ原子を有してよく、及び/又はベンゾ縮合又はナフト縮合されていてよく、及び/又は非イオン性の基により置換されていてよく、
及びRは互いに無関係に水素、C〜C−アルキル、C〜C10−アリール又はC〜C12−アラルキルを表し、
はC〜C12−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルケニル、C〜C12−アラルキル、C〜C10−アリール、C〜C−アルコキシ又はモノ−又はビス−C〜C−アルキルアミノを表す]
のアゾ化合物と反応させることを特徴とする、請求項1記載の金属錯体の製造法。
【請求項11】
ライトワンス型光学データ記録媒体の情報層における吸光性化合物としての請求項1記載の金属錯体の使用。
【請求項12】
光学データ記録媒体が殊に360〜460nmの範囲内の波長を有する青色レーザー光を用いて書き込み及び読み出し可能である、請求項11記載の使用。
【請求項13】
光学データ記録媒体が殊に600〜700nmの範囲内の波長を有する赤色レーザー光を用いて書き込み及び読み出し可能である、請求項11記載の使用。
【請求項14】
光学データ記録媒体が殊に360〜460nmの範囲内の波長を有する青色レーザー光を用いて書き込み及び読み出し可能であるライトワンス型光学データ記録媒体の情報層における吸光性化合物としてのアゾリガンドを有する金属錯体の使用。
【請求項15】
請求項1記載の金属錯体の溶液において、前記溶液が前記金属錯体を少なくとも1質量%含有し、かつ、溶剤として2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ジアセトンアルコール、ジブチルエーテル、ヘプタノン又はこれらの混合物が使用されていることを特徴とする、請求項1記載の金属錯体の溶液。
【請求項16】
溶剤として、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ジアセトンアルコール又はこれらの混合物が使用されている、請求項15記載の金属錯体の溶液。
【請求項17】
溶剤としてプロパノール/ジアセトンアルコール又はブタノールから成る混合物が使用されている、請求項15記載の金属錯体の溶液。
【請求項18】
有利に透明な、場合により既に1つ以上の反射層で被覆された基板を有し、前記の基板の表面上に光により書き込み可能な情報層、場合により1つ以上の反射層及び場合により保護層又はもう1つの基板又はカバー層が設けられており、青色光又は赤色光、有利にレーザー光により書き込み及び読み出しが可能であり、前記の情報層は吸光性化合物及び場合によりバインダーを含有する光学データ記録媒体において、吸光性化合物として、請求項1から9までのいずれか1項記載の少なくとも1種の金属錯体が使用されていることを特徴とする、光学データ記録媒体。
【請求項19】
吸光性化合物が式(Ia)
【化17】

[式中、
式(I)の2つのリガンドは互いに無関係に上記の意味を有し、
Mは金属を表し、かつ
Anはアニオンを表す]
に相当するか、又は
吸光性化合物が式(Ib)
【化18】

[式中、
式(I)の2つのリガンドは互いに無関係に上記の意味を有し、
Mは金属を表し、
Zはハロゲン、CN、R−O−、R−S−、R−SO−、R−CO−O−、R−SO−O−、R−CO−NH−又はR−SO−NH−を表し、かつ
はC〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C12−アラルキル又はC〜C10−アリールを表す]
に相当する、請求項18記載の光学データ記録媒体。
【請求項20】
式(Ia)又は(Ib)における金属Mが、三価の金属、遷移金属又は希土類元素、殊にB、Al、Ga、In、V、Co、Cr、Fe、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tbを表す、請求項19記載の光学データ記録媒体。
【請求項21】
吸光性化合物として、式(I)
【化19】

[式中、
はO、S、N−R又はCHを表し、
AはX及びNと一緒に5員又は6員の芳香族複素環もしくは準芳香族複素環を表し、前記環は1〜4個のヘテロ原子を有してよく、及び/又はベンゾ縮合又はナフト縮合されていてよく、及び/又は非イオン性の基により置換されていてよく、
はO、S、N−R、COO、SO、N−CO−R又はN−SO−Rを表し、
Bは5員又は6員の炭素環式基もしくは複素環式環を表し、前記環は1〜4個のヘテロ原子を有してよく、及び/又はベンゾ縮合又はナフト縮合されていてよく、及び/又は非イオン性の基により置換されていてよく、
及びRは互いに無関係に水素、C〜C−アルキル、C〜C10−アリール又はC〜C12−アラルキルを表し、
はC〜C12−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルケニル、C〜C12−アラルキル、C〜C10−アリール、C〜C−アルコキシ又はモノ−又はビス−C〜C−アルキルアミノを表す]
のアゾリガンドを有する金属錯体が使用されている、請求項18から20までのいずれか1項記載の光学データ記録媒体。
【請求項22】
請求項18記載の光学データ記録媒体の製造法において、有利に透明な、場合により既に反射層で被覆された基板を、請求項1記載の金属錯体で、場合により適当なバインダー及び添加剤及び場合により適当な溶剤と組み合わせて被覆し、かつ場合により反射層、他の中間層及び場合により保護層又はもう1つの基板又はカバー層を備えることを特徴とする、請求項18記載の光学データ記録媒体の製造法。
【請求項23】
青色光又は赤色光、殊に赤色光、殊に赤色レーザー光で書き込まれた、請求項18記載の光学データ記録媒体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属錯体において、式(I)
【化1】

[式中、
はO、S、N−R又はCHを表し、
AはX及びNと一緒に5員又は6員の芳香族複素環もしくは準芳香族複素環を表し、前記環は1〜4個のヘテロ原子を有してよく、及び/又はベンゾ縮合又はナフト縮合されていてよく、及び/又は非イオン性の基により置換されていてよく、
はO、S、N−R、COO、SO、N−CO−R又はN−SO−Rを表し、
Bは5員又は6員の炭素環式もしくは複素環式環を表し、前記環は1〜4個のヘテロ原子を有してよく、及び/又はベンゾ縮合又はナフト縮合されていてよく、及び/又は非イオン性の基により置換されていてよく、
及びRは互いに無関係に水素、C〜C−アルキル、C〜C10−アリール又はC〜C12−アラルキルを表し、
はC〜C12−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルケニル、C〜C12−アラルキル、C〜C10−アリール、C〜C−アルコキシ又はモノ−又はビス−C〜C−アルキルアミノを表す]
のリガンドを少なくとも1つ有することを特徴とする金属錯体。
【請求項2】
請求項1記載の金属錯体の製造法において、金属塩を、式(Ic)
【化2】

[式中、
はO、S、N−R又はCHを表し、
AはX及びNと一緒に5員又は6員の芳香族複素環もしくは準芳香族複素環を表し、前記環は1〜4個のヘテロ原子を有してよく、及び/又はベンゾ縮合又はナフト縮合されていてよく、及び/又は非イオン性の基により置換されていてよく、
はO、S、N−R、COO、SO、N−CO−R又はN−SO−Rを表し、
Bは5員又は6員の素環式環又は複素環式環を表し、前記環は1〜4個のヘテロ原子を有してよく、及び/又はベンゾ縮合又はナフト縮合されていてよく、及び/又は非イオン性の基により置換されていてよく、
及びRは互いに無関係に水素、C〜C−アルキル、C〜C10−アリール又はC〜C12−アラルキルを表し、
はC〜C12−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルケニル、C〜C12−アラルキル、C〜C10−アリール、C〜C−アルコキシ又はモノ−又はビス−C〜C−アルキルアミノを表す]
のアゾ化合物と反応させることを特徴とする、請求項1記載の金属錯体の製造法。
【請求項3】
ライトワンス型光学データ記録媒体の情報層における吸光性化合物としての請求項1記載の金属錯体の使用。
【請求項4】
光学データ記録媒体が殊に360〜460nmの範囲内の波長を有する青色レーザー光を用いて書き込み及び読み出し可能であるライトワンス型光学データ記録媒体の情報層における吸光性化合物としてのアゾリガンドを有する金属錯体の使用。
【請求項5】
請求項1記載の金属錯体の溶液において、前記溶液が前記金属錯体を少なくとも1質量%含有し、かつ、溶剤として2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ジアセトンアルコール、ジブチルエーテル、ヘプタノン又はこれらの混合物が使用されていることを特徴とする、請求項1記載の金属錯体の溶液。
【請求項6】
有利に透明な、場合により既に1つ以上の反射層で被覆された基板を有し、前記の基板の表面上に光により書き込み可能な情報層、場合により1つ以上の反射層及び場合により保護層又はもう1つの基板又はカバー層が設けられており、青色光又は赤色光、有利にレーザー光により書き込み及び読み出しが可能であり、前記の情報層は吸光性化合物及び場合によりバインダーを含有する光学データ記録媒体において、吸光性化合物として、請求項1記載の少なくとも1種の金属錯体が使用されていることを特徴とする、光学データ記録媒体。
【請求項7】
請求項記載の光学データ記録媒体の製造法において、有利に透明な、場合により既に反射層で被覆された基板を、請求項1記載の金属錯体で、場合により適当なバインダー及び添加剤及び場合により適当な溶剤と組み合わせて被覆し、かつ場合により反射層、他の中間層及び場合により保護層又はもう1つの基板又はカバー層を備えることを特徴とする、請求項記載の光学データ記録媒体の製造法。
【請求項8】
青色光又は赤色光、殊に赤色光、殊に赤色レーザー光で書き込まれた、請求項記載の光学データ記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−521422(P2006−521422A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501683(P2006−501683)
【出願日】平成16年1月31日(2004.1.31)
【国際出願番号】PCT/EP2004/000882
【国際公開番号】WO2004/072185
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(504419760)ランクセス ドイチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (58)
【氏名又は名称原語表記】Lanxess Deutschland GmbH
【住所又は居所原語表記】D−51369 Leverkusen、 Germany
【Fターム(参考)】