説明

アミド誘導体

式(I)


[式中、Aは、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、Xは窒素原子またはCR17、YはNRa、−(CRbRb’)m−など、mは0〜4、R1〜R17はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、ホルミル基、ヒドロキシル基、アンモニウム基、置換基を有してもよいアルキル基、ZR18など、Zは−O−,−S(O)p−,−S(O)pO−,−NH−,−NR19−などを表す。R1とR2は一緒になって環を形成してもよい。]で表されるアミド誘導体、その薬学的に許容される塩、水和物、又は溶媒和物を、抗炎症及び鎮痛作用などの医薬用途に供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、優れた抗炎症及び鎮痛作用を有するアミド誘導体、及びそのアミド誘導体を有効成分とする医薬組成物に関する。
【背景技術】
疼痛は、様々な外的要因に基づく組織の損傷侵害による直接的な刺激によって発生し、組織損傷に伴い産生される種々の内因性発痛物質により増幅されて、炎症症状へと至るとされている(田中ら編:NEW薬理学 株式会社南江堂、2002年4月15日、p354〜355)。ほかに、組織損傷に基づかず、末梢神経系又は中枢神経系の機能異常の結果として生じる疼痛があり、これは神経因性疼痛と称される。
これらの疼痛に対する治療薬としては、既に多種類のものが知られていて、それらは作用メカニズム面から、モルヒネ、コデイン、アヘンアルカロイド、ブプレノルフィン、ペンタゾシンなどの麻薬性鎮痛剤を含むオピオイド性鎮痛剤とアスピリン、インドメタシン、アセトアミノフェンなどの解熱性鎮痛剤(非麻薬性鎮痛剤)に大別される。前者は中枢神経のオピオイド受容体に作用して強い鎮痛作用をもたらすが、重篤な副作用や依存性のために使用には制約がある。また、後者は末梢組織に作用して抗炎症及び鎮痛作用をもたらすが、その作用の程度は弱く、多様な副作用が発現する場合がある。さらに、糖尿病性神経障害、三叉神経障害、帯状疱疹などに伴う神経因性の疼痛に対して有効な治療薬は未だ見出されておらず、これらの疼痛を含めた、広範な痛みに対して有効な薬剤の開発が待望されている。
近年、発痛のメカニズムに関する研究の過程で、発痛物質として知られるカプサイシン(赤トウガラシの辛み成分)の受容体がクローニングされ、バニロイド受容体(以下、「VR1」と称する。)と名付けられた(Nature,389,p816,(1997))。
カプサイシン感受性知覚神経に存在するVR1は、カプサイシン様物質だけでなく、熱や酸(H)などによっても活性化されることから、種々の病態での疼痛や炎症に関与するものと考えられている。
すなわち、カプサイシンなどの刺激によってVR1が活性化されると、カチオンチャンネルが開口し、膜が脱分極され神経ペプチドの遊離が起こり、疼痛や炎症が惹起される。したがって、VR1に拮抗する物質は疼痛や炎症の優れた治療薬になる可能性があり、現に、VR1受容体拮抗薬として知られているカプサゼピンが動物モデルで顕著な鎮痛作用を示すという報告(Life Science,69,p2911,(2001))がなされている。
一方、VR1のアゴニストであるカプサイシンも、強烈な刺激(疼痛)を発生した後、鎮痛作用や抗炎症作用を惹起するものとされている。その理由は、カプサイシンが受容体に結合して持続的にVR1カチオンチャネルを開口する結果、知覚神経が刺激に不応答になることによると考えられている(Pharmacol.Rev.51,p159,(1999))。実際、カプサイシンは糖尿病性神経障害や関節リウマチなどの疾患における疼痛に対する鎮痛剤として有効に使用されていることから、カプサイシン様の作用機序を有する化合物(VR1アゴニスト)もまた、疼痛や炎症の治療薬として期待される。
また、疼痛ばかりでなく炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎等)患者においてVR1が高発現しているという報告があり、カプサイシン様の作用機序またはカプサイシンの応答に拮抗するような作用機序を有する化合物は、炎症性腸疾患の良い治療薬としても期待される。
さらに、カプサイシン感受性知覚神経の関与する疾病として、そう痒症、アレルギー性及び非アレルギー性の鼻炎、膀胱過活動型の頻尿、尿失禁、卒中、過敏性腸症候群、呼吸器系疾患(喘息、慢性閉塞性肺疾患等)、皮膚炎、胃、十二指腸潰瘍、などが知られており、また、カプサイシンに抗肥満作用があるという報告もあることから、カプサイシン様の作用機序またはカプサイシンの応答に拮抗するような作用機序を有する化合物は、これらの疾病や症状の治療薬としても有用である。
以上のとおり、カプサイシン様の作用機序又はカプサイシンの応答に拮抗するような作用機序を有する化合物は、既存の鎮痛剤が奏効しない糖尿病性神経障害などの神経因性疼痛をはじめ、関節リウマチなどさまざまな疾病に起因する疼痛に対する治療薬、さらには疼痛に限られず潰瘍性大腸炎などのVR1が関与する各種疾病の治療薬として大いに期待される。
カプサイシンリガンド受容体として、次式(a)の化合物が文献に記載されている。
式(a)

(式中、Aは単結合、O、S、NR、CRB’など、ZはO又はS、R及びRはH又はアルキル、R及びRはH、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノなど、又は隣接するR及びRは結合してアリール環などを形成する。Ar及びArは、置換されていてもよいシクロアルキルなどを示す。)
(国際公開第02/08221号パンフレット)
また、バニロイド受容体アンタゴニストとしてウレア結合を有する複素環化合物(国際公開第02/072536号パンフレット,国際公開第02/090326号パンフレット,国際公開第03/022809号パンフレット)、チオカルバミン酸誘導体(国際公開第02/16317号パンフレット)、チオウレア誘導体(国際公開第02/16318号パンフレット,国際公開第02/16319号パンフレット)、トリアルキルグリシン誘導体(国際公開第02/28885号パンフレット)、あるいはピリジン誘導体(国際公開第02/076946号パンフレット)が知られている。
さらに、式(b)

(式中、A環は、置換されていてもよい4〜8員飽和ヘテロ環、Z又はZは、CH又は窒素原子、Xは酸素原子、C(R)Rなど、Rはシアノ又はニトロ基、R1はH、ハロゲン、シアノ、ハロゲノ低級アルキルなどを示す。)
のシアノフェニル誘導体がアンドロゲン アンタゴニストとして知られている(特開2002−88073号公報)。
しかし、これらの化合物は、いずれも、後記する式(I)の化合物の構造上の特徴を有していない。
【発明の開示】
本発明が解決しようとする課題は、優れた抗炎症及び鎮痛作用を有するアミド誘導体の提供と、該アミド誘導体を有効成分とする医薬組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究の結果、特定の化学構造を有するアミド誘導体が、優れた抗炎症及び鎮痛作用を有し、医薬として有用であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は下式(I)で表されるアミド誘導体と、該アミド誘導体を有効成分とする医薬組成物、とくに、抗炎症及び鎮痛作用を有する薬剤として、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎等)、膀胱過活動型の頻尿、尿失禁、過敏性腸症候群、呼吸器系疾患(喘息、慢性閉塞性肺疾患等)、糖尿病性神経障害、あるいは関節リウマチなどの治療剤として有用な医薬組成物に関する。
式(I)

[式中、Aは、シクロアルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を示し、
Xは、窒素原子、又はCR17を示し、
Yは、−NRa−,−(CRbRb’)m−,−NRa−(CRbRb’)m−,−NRa−(CRbRb’)m−O−,又は−NRa’−(CRbRb’)m−NRa−
mは0〜4の整数を示す。
Ra,Ra’,Rb,Rb’,R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8,R9,R10,R11,R12,R13,R14,R15,R16,及びR17はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲノ基、シアノ基、ニトロ基、アンモニウム基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)、置換基を有してもよいシクロアルキルアルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリールアルキル基、又は−ZR18を示し、
Zは−O−,−S(O)p−,−S(O)pO−,−NH−,−NR19−,−C(=O)−,−C(=O)O−,−C(=O)NH−,−C(=O)NR19−,−S(O)pNH−,−S(O)pNR19−,−NHC(=O)−,−NR19C(=O)−,−NHS(O)p−,又は−NR19S(O)p−
pは0〜2の整数を示す。
R18及びR19はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)、置換基を有してもよいシクロアルキルアルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリールアルキル基、又はアシル基を示し、また、R18及びR19は結合して環を形成してもよい。
また、R3及びR4が結合し、炭素原子間結合を形成してもよい。
また、R8,R9,R10,R11,R12,R13,R14,R15,及びR16のうち、隣接する炭素原子に結合しているもの同士は結合して環Aの構成炭素原子と共に飽和又は不飽和の環を形成してもよく、形成した環中に1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい。
また、Yが−NRa−を表す場合には、RaはR12,R13,R14,R15,及びR16のうちの1つと結合して環Aの構成炭素原子と共に環を形成してもよい。
R1及びR2は一緒になって下式(II)のように、環を形成してもよく、この場合には、

nは1〜3の整数を示し、
Rc,Rc’は、Raについて示したと同義であり、
R10は、上で挙げた置換基から、ニトロ基、シアノ基、及びトリフルオロメチル基を除いた置換基を示す。]
で表されるアミド誘導体、その薬学的に許容される塩、水和物、又は溶媒和物。
【図面の簡単な説明】
図1は、酢酸ライジング法による本発明の化合物のライジング回数を表すグラフである。
図2は、酢酸ライジング法によるインドメタシンのライジング回数を表すグラフである。
図3は、マスタードオイル誘発熱的過敏モデル法による本発明の化合物(実施例83)の効果を表すグラフである。
図4は、マスタードオイル誘発熱的過敏モデル法による本発明の化合物(実施例84)の効果を表すグラフである。
図5は、マスタードオイル誘発熱的過敏モデル法による本発明の化合物(実施例102)の効果を表すグラフである。
図6は、マスタードオイル誘発熱的過敏モデル法による本発明の化合物(実施例76)の効果を表すグラフである。
発明の詳細な説明
式(I)における、Aの「シクロアルキル基」としては、シクロプロピル、シクロプロペニル、シクロブチル、シクロブテニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、シクロオクチルなどの飽和及び不飽和の炭素数3〜8のシクロアルキル基が、同「アリール基」としては、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、アントラニル、フェナントリルなどの単環及び多環のアリール基が、同「ヘテロアリール基」としては、イミダゾリル、ピラゾリル、フリル、チエニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、インダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリル、イソキノリル、及びフタラジルなどのベンゼン環又は同一又は異なる複素環と縮合していてもよい5員及び6員芳香族複素環基が挙げられる。
Ra,Ra’,Rb,Rb’,Rc,Rc’,R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8,R9,R10,R11,R12,R13,R14,R15,R16,及びR17における、「ハロゲノ基」としては、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素が挙げられる。
Rε,Ra’,Rb,Rb’,Rc,Rc’,R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8,R9,R10,R11,R12,R13,R14,R15,R16,R17、R18、及びR19における、「置換基を有していてもよいアルキル基」におけるアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、n−オクチル、イソオクチル、及びn−ノニルなどの炭素数1〜9の直鎖及び分枝アルキル基が挙げられる。
「置換基を有していてもよいアルケニル基」におけるアルケニル基としては、ビニル、アリル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、及びヘプテニルなどの各異性体を含む炭素数2〜9のアルケニル基が挙げられる。
「置換基を有していてもよいアルキニル基」におけるアルキニル基としては、エチニル、プロピニル、ブチニル、及びペンチニルなどの各異性体を含む炭素数2〜9のアルキニル基が挙げられる。
「置換基を有していてもよいシクロアルキル基」、「置換基を有していてもよいシクロアルキルアルキル基」におけるシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロプロペニル、シクロブチル、シクロブテニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、及びシクロオクチルなどの飽和及び不飽和の炭素数3〜8のシクロアルキル基が挙げられる。シクロプロピル環の炭素原子は1個又は2個の同種又は異種の窒素、酸素、又は硫黄から選ばれるヘテロ原子によって置換されていてもよい。
「置換基を有していてもよいシクロアルキルアルキル基」におけるアルキル部分としては、メチレン、エチレン、及びプロピレンなどの、炭素数1〜6のアルキレンが挙げられる。
「置換基を有していてもよいアリール基」におけるアリール基としては、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、アントラニル、及びフェナントリルなどの単環及び多環のアリール基が挙げられる。
「置換基を有していてもよいアラルキル基」におけるアラルキル基としては、ベンジル、フェネチル、及びナフチルメチルなどの、前記したアリール環に炭素数1〜5のアルキレン基を有するアラルキル基が挙げられる。
「置換基を有していてもよいヘテロアリール基」、「置換基を有していてもよいヘテロアリールアルキル基」におけるヘテロアリール基としては、イミダゾリル、ピラゾリル、フリル、チエニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、インダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリル、イソキノリル、及びフタラジルなどのベンゼン環又は同一又は異なる複素環と縮合していてもよい5員及び6員芳香族複素環が挙げられる。ベンゼン環と縮合している場合、Yとの結合部位はヘテロアリール環あるいはベンゼン環のいずれであってもよい。
「置換基を有していてもよいヘテロアリールアルキル基」におけるアルキル部分としては、メチレン、エチレン、及びプロピレンなどの、炭素数1〜6のアルキレンが挙げられる。
これらの「置換基を有していてもよい・・・」における置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基(環内にヘテロ原子を含んでも良い)、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルオキシ基(環内にヘテロ原子を含んでも良い)、シクロアルキルチオ基(環内にヘテロ原子を含んでも良い)、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アリールチオ基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールアルキルオキシ基、ヘテロアリールチオ基、ハロゲノアルキル基、ハロゲノアルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、モノもしくはジアルキルアミノ基、アルキルオキシカルボニル基、アルカノイル基、アロイル基、アルキルスルホニル基、スルファモイル基、カルバモイル基、モノもしくはジアルキルカルバモイル基、スルファモイル基、モノもしくはジスルファモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、ヒドロキシル基、ハロゲノ基、シアノ基、オキソ基、カルボキシル基などが挙げられる。
R18及びR19における「アシル基」としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリル、ピバロイル、サクシニル、アクリロイル、クロトノイル、ベンゾイル、ナフトリル、及びトルオイルなどの、飽和、不飽和の脂肪族及び芳香族アシル基が挙げられる。
R18及びR19が結合して形成する環としては、窒素原子のほかに、さらに窒素、酸素、硫黄から選ばれるヘテロ原子を1〜3個有していてもよい5〜7員環が挙げられる。
R8,R9,R10,R11,R12,R13,R14,R15,及びR16のうちの隣接する炭素原子に結合しているもの同士が環Aの構成炭素原子と共に形成する飽和又は不飽和の環としては、窒素、酸素、硫黄から選ばれるヘテロ原子を1〜3個環構成原子として有していてもよい5〜7員環が挙げられる。
Yが−NRa−を表す場合にRaはR12,R13,R14,R15,及びR16のうちの1つと結合して環Aの構成炭素原子と共に形成する環としては、窒素原子のほかに、さらに窒素、酸素、硫黄から選ばれるヘテロ原子を1〜3個環構成原子として有していてもよい5〜7員環が挙げられる。
式(I)または式(II)において、式中、[Aがシクロアルキル基、フェニル基、イソキノリル基、ピリジル基、インダゾリル基又はベンゾチアゾリル基のいずれか]を示す化合物が好ましい。
式(II)において、式中、[R3及びR4が結合し、炭素原子間結合を形成した]を示す化合物が好ましい。
式(II)において、特に好ましい化合物は、式中、
[Aが、フェニル基、イソキノリル基、ピリジル基、インダゾリル基、ベンゾチアゾリル基又はシクロアルキル基のいずれかであり、
Xが、窒素原子、又はCH、
Yが、−NH−、又は−NH−CH−、
nが2、
Rc,Rc’,R3,R4,R5,R6,R7,R9,R10,及びR11が水素原子、
R8がトリフルオロメチル基、クロロ基、ニトロ基、又はシアノ基、
R12,R13,R14,R15,及びR16が、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、メチル基、エチル基、ビニル基、イソプロピル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−オクチル基、メトキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、チオール基、メトキシカルボニル基、ヒドロキシメチル基、メタンスルホニルアミノ基、アミノエトキシ基、又はベンゾイル基、
又は、R3及びR4が結合して炭素原子間結合を形成しているもの]を示す化合物であり、そのうち、Aが、[フェニル基、イソキノリル基、ピリジル基、インダゾリル基又はベンゾチアゾリル基のいずれか]である態様がより好ましい。
上式(I)で表されるアミド誘導体のうち、下式(III)及び(IV)で表される化合物が、鎮痛消炎活性に優れていて好ましい。
式(III)

[式中、Aは、アリール基、ヘテロアリール基又はシクロアルキル基のいずれかを示し、
Xは、窒素原子、CR17を示し
Yは、−NRa−,又は−NRa−(CRbRb’)m−,
nは2、mは1を示し、
Ra,Rb,Rb’,Rc,及びRc’は水素原子、R3,R4,R5,R6,及びR7は水素原子、R8は置換基を有してもよいアルキル基、ハロゲノ基、ニトロ基、又はシアノ基、R9,R10及びR11は水素原子、R12,R13,R14,R15,R16,及びR17はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲノ基、シアノ基、ニトロ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、又は−ZR18を示し、
Zは−NR19−,−NHC(=O)−,−O−,−C(=O)−,−NH−,−NHS(O)−,−C(=O)O−,又は−S−を示し、
R18及びR19はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基を示し、
また、R3及びR4が結合して炭素原子間結合を形成してもよい。]
で表されるアミド誘導体、その薬学的に許容される塩、水和物、又は溶媒和物。
式(III)における、Aの「アリール基」、「ヘテロアリール基」及び「シクロアルキル基」、R8,R12,R13,R14,R15,R16,R17,R18,及びR19における「置換基を有してもよいアルキル基」、R12,R13,R14,R15,R16,及びR17における「置換基を有してもよいアルケニル基」、及びR18及びR19における「置換基を有してもよいアリール基」は、式(I)について例示したと同様である。
式(III)において、式中、[Aがアリール基又はヘテロアリール基]を示す化合物が好ましい。
式(III)において、式中、[R3及びR4が結合し、炭素原子間結合を形成した]を示す化合物が好ましい。
式(III)において、特に好ましい化合物は、式中、
[Aが、フェニル基、イソキノリル基、ピリジル基、インダゾリル基、又はベンゾチアゾリル基、
Xが、窒素原子、又はCH、
Yが、−NH−、又は−NH−CH−、
nは2、
Rc,Rc’,R3,R4,R5,R6,R7,R9,R10,及びR11が水素原子、
R8がトリフルオロメチル基、クロロ基、ニトロ基、又はシアノ基、
R12,R13,R14,R15,及びR16が、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、メチル基、エチル基、ビニル基、イソプロピル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−オクチル基、メトキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、チオール基、メトキシカルボニル基、ヒドロキシメチル基、メタンスルホニルアミノ基、アミノエトキシ基、又はベンゾイル基、
又は、R3及びR4が結合して炭素原子間結合を形成しているもの]を示す化合物である。
式(IV)

[式中、Aは、アリール基、又はヘテロアリール基を示し、
Xは、CR17を示し
Yは、−NRa−を示し、
Raは水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基を示し、
R2は置換基を有してもよいアルキル基、
R1,R3,R4,R5,R6,R7,R8,R10,R11,及びR17は水素原子、
R9は置換基を有してもよいアルキル基、
R12,R13,R14,R15,及びR16はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲノ基、置換基を有してもよいアルキル基、又は−ZR18を示し、
Zは−O−を示し、
R18は置換基を有してもよいアルキル基を示す。
R12,R13,R14,R15,及びR16のうち、隣接する炭素に結合しているもの同士は結合して環Aの構成炭素原子と共に飽和または不飽和の環を形成してもよく、形成した環中に1つ以上のヘテロ原子を含んでもよい。
R12,R13,R14,R15,及びR16のうち1つとRaは結合して環Aの構成炭素原子と共に環を形成してもよい。]
で表されるアミド誘導体、その薬学的に許容される塩、水和物、又は溶媒和物。
式(IV)における、Aの「アリール基」及び「ヘテロアリール基」、Ra,R2,R9,R12,R13,R14,R15,R16,及びR18における「置換基を有してもよいアルキル基」、R12,R13,R14,R15及びR16のうちの隣接する炭素原子に結合しているもの同士が環Aの構成炭素原子と共に形成する飽和又は不飽和の環、及び、R12,R13,R14,R15,及びR16のうち1つとRaが結合して環Aの構成炭素原子と共に形成する環は、式(I)について例示したと同様である。
式(IV)において、特に好ましい化合物は、式中、
[Aが、フェニル基、キノリル基、又はナフチル基、
Xが、CH、
Yが、−NH−であるか、又は、式(V)

が、式(VI)

であり、
R2がエチル基、
R1,R3,R4,R5,R6,R7,R8,R10,R11,及びR17が水素原子、
R9がメチル基、
R12,R13,R14,R15,及びR16がそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、フルオロ基、ブロモ基、トリフルオロメトキシ基、メトキシ基、又はt−ブチル基、
又は、R12,R13,R14,R15,及びR16のうち、隣接する炭素に結合しているもの同士は結合して環Aの環構成炭素原子と共に飽和または不飽和の環を形成してもよく、形成した環中に1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい。]を示す化合物である。
本発明において、特に好ましい化合物の具体例は、

に示す化合物、その薬学的に許容される塩、水和物、又は溶媒和物である。
本発明において、薬学的に許容される塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸の塩、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、リチウムなどの無機塩基の塩、ギ酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸の塩、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジベンジルエチレンジアミン、ジシクロヘキシルアミン、プロカインなどの有機塩基の塩、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、オルニチンなどのアミノ酸塩などが挙げられる。
式(I)〜(IV)の化合物には、光学異性体、幾何異性体、あるいは、それらの任意比率による混合物が包含される。
式(I)〜(IV)の化合物は、例えば、次の反応式にしたがって製造することができる。

[式中、各符号は前記と同じ。]
対応するピリジン化合物(1)を例えば、溶媒としてジメチルホルムアミド等を用い、塩基として例えば、炭酸カリウム等を用い、例えば、(2)のようなイソニペコチン酸誘導体を作用させた後、例えば、溶媒としてエタノール等を用い、例えば、塩基として水酸化ナトリウム水溶液等を用い、加水分解を行い、(3)を得ることが出来る。その後、例えば、塩化チオニル等を用い、酸ハロゲンに変換後、例えば、溶媒としてジクロロメタン等を用い、塩基として例えば、トリエチルアミン等を用い、(4)のような種々のアミン誘導体と縮合させることにより、アミド誘導体(Ia)を得る。
式(I)において、XがCR17を示し、YがNH、R2がアルキル基である誘導体(Ib)は次の反応式にしたがって合成される。

[式中、PROTは低級アルキル基、他の符号は前記と同じ。]
所望の置換基を有するN−アルキルアニリン(5)に対して、DMFなどの溶媒中、炭酸カリウムなどの塩基存在下、PROTが低級アルキルで表される(6)に示す臭化物を作用させることによって、ジアルキルアニリン(7)が得られる。得られた(7)を、例えばTHF(テトラヒドロフラン)などの溶媒中、水酸化リチウム水溶液で処理するか、あるいは、含水条件下、塩化水素の1,4−ジオキサン溶液などで処理する等の、適切な条件で加水分解することによって、カルボン酸(8)が得られる。得られた(8)を、DMF、ジクロロメタンなどの溶媒中で必要に応じてHOAt(1−ヒドロキシ−7−アザ−ベンゾトリアゾール)、HOBt(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)等の適切な添加剤と共にDIC(ジイソプロピルカルボジイミド)等の縮合剤の存在下、アミン(9)と縮合させることなどにより、(Ib)が得られる。
式(I)において、Xが窒素原子を示し、YがNH、R1およびR2が一緒になって環を形成し、かつR3およびR4が炭素原子間結合を形成する誘導体(Ic)は次の反応式にしたがって合成される。

対応するピリジン化合物(10)を例えば、溶媒としてジメチルホルムアミド等を用い、塩基として例えば、炭酸カリウム等を用い、例えば、(11)のようなピペリジン誘導体を作用させた後、例えば、溶媒としてエタノール等を用い、例えば、酸として塩酸等を用い、加水分解を行い、(12)を得ることが出来る。(12)を例えば、溶媒としてテトラヒドロフラン等を用い、リチウムジイソプロピルアミド等の適切な塩基の存在下トリフロオロメタンスルホン酸無水物等を作用させた後、例えば溶媒としてジメチルホルムアミド等を用い、例えば酢酸パラジウム等の触媒と、塩基として例えばトリエチルアミン等の共存下で、一酸化炭素と例えばエタノール等のアルコールを作用させて(13)を得ることができる。(13)を例えば、塩基として水酸化ナトリウム水溶液等を用い、加水分解を行い、その後、塩化チオニル等を用い、酸ハロゲンに変換後、例えば、溶媒としてジクロロメタン等を用い、塩基として例えば、トリエチルアミン等を用い、(13)のような種々のアミン誘導体と縮合させることにより、アミド誘導体(Ic)を得ることができる。

もしくは(12)を例えば、溶媒としてジエチルエーテル、水等を用い、炭酸水素ナトリウム等の適切な塩基の存在下、シアン化ナトリウム等を作用させた後、例えば溶媒として硫酸等を用い、加水分解を行い、例えば溶媒としてエタノール等を用い、酸として例えば硫酸等の存在下で、エステル化を行い、例えば溶媒としてピリジン等を用い、例えばオキシ塩化リンを用い、脱水反応を行うことによっても(13)を得ることができる。(13)は上記反応に従い、アミド誘導体(Ic)を得ることが出来る。
A環部位の一般的な合成法

対応するイソニペコチン酸誘導体(15)を、例えば、溶媒としてジクロロメタン等を用い、塩基として例えば、トリエチルアミン等を用い、必要に応じてHOAt(1−ヒドロキシ−7−アザ−ベンゾトリアゾール)、HOBt(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)等の適切な添加剤と共にDIC(ジイソプロピルカルボジイミド)等の縮合剤の存在下、(16)のような種々のアミン誘導体と縮合させることにより、(17)を得ることができる。(17)を例えば、溶媒としてジオキサン等を用い、酸として例えば、塩酸等を用い、(18)を得ることができる。(18)を例えば、溶媒としてエタノール等を用い、例えば、溶媒としてエタノール等を用い、塩基として例えば、トリエチルアミン等を用い、例えば、(19)のようなピリジン誘導体を作用させアミド誘導体(Ia)を得ることができる。
上記製法により得られた種々の本発明化合物及び中間体は、更に、アルキル化、アシル化、ハロゲン化、求核置換等の各反応に付すことにより、置換基を有しているアミノ基をもつ種々の本発明化合物及び中間体へと変換できる。アルキル化、求核置換反応は、例えば日本化学会編「実験化学講座(第4版)」20巻(1992年)(丸善)等に記載の方法により、アシル化は、例えば日本化学会編「実験化学講座(第4版)」22巻(1992年)(丸善)等に記載の方法により、ハロゲン化は例えば日本化学会編「実験化学講座(第4版)」19巻(1992年)(丸善)等に記載の方法により行うことができる。
式(I)のアミド誘導体は、優れた抗炎症および鎮痛作用を有し、また、カプサイシン様の作用物質、又は、カプサイシンの作用に拮抗する物質であることから、頭痛、歯痛、筋肉痛、生理痛、創傷痛など一般の疼痛治療のほか、糖尿病性神経障害、三叉神経障害、帯状疱疹、痛覚過敏症などに伴う神経因性の疼痛、あるいは、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎等)、関節リウマチ、変形性関節症、レイノー病、そう痒症、アレルギー性及び非アレルギー性の鼻炎、膀胱炎、頻尿、尿失禁、卒中、過敏性腸症候群、呼吸器系疾患(喘息、慢性閉塞性肺疾患等)、皮膚炎、胃、十二指腸潰瘍などの治療剤として適し、特に、炎症性腸疾患、頻尿、尿失禁、喘息に対する治療剤として有用である。
本発明の化合物の投与量は、疾患の種類、病態、年齢、投与形態によって異なるが、通常、成人1人あたり1日0.001〜1000mg、好ましくは0.01〜500mg、さらに好ましくは0.1〜200mgであり、これを1回又は数回に分けて投与することができる。
本発明の治療剤の投与形態は、固形製剤や液剤による経口投与、皮下、筋肉、又は静脈内用の注射剤、貼付剤、坐剤、吸入剤などの製剤による非経口投与のいずれでもよい。固形製剤としては、内服用の散剤、顆粒剤、錠剤、丸剤、カプセル剤などやトローチ剤が、液剤としては、溶液剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤などが挙げられ、いずれも、自体公知の方法により製造することができる。
本発明の治療剤は、製剤上の必要に応じて、適宜の薬学的に許容されるベヒクル、担体、例えば、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、コーティング剤、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、乳化剤、等張化剤などを配合して製剤化される。必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、香味剤などの添加剤を配合することができる。これらの組成物又は製剤中の有効成分の量は、指示された範囲の適当な用量が得られるように適宜決められる。
賦形剤としては、ラクトース、マンニトール、グルコース、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどが、結合剤としては、α化デンプン、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、トレハロース、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどが、滑沢剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカなどが、崩壊剤としては、繊維素グリコール酸カルシウム、乳糖、白糖、デンプン、カルボキシメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、結晶セルロースなどが、コーティング剤としては、白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートなどが挙げられる。
溶剤としては、精製水、生理的食塩水、リンゲル液、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、マクロゴールなどの親水性溶剤や、オリーブ油、ラッカセイ油、ゴマ油、ツバキ油、ナタネ油、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、高級脂肪酸エステル、流動パラフィンなどの油性溶剤が、溶解補助剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、トレハロース、安息香酸ベンジル、エタノール、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、グルタミン酸、アスパラギン酸などが、懸濁化剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、レシチン、モノステアリン酸グリセリン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリソルベート類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アラビアゴム、ベントナイトなどが、乳化剤としては、アラビアゴム、ゼラチン、レシチン、卵黄、セタノール、モノステアリン酸グリセリン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ステアリン酸などが、等張化剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グルコース、フルクトース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、サッカロース、グリセリン、尿素などが挙げられる。
防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが、また。抗酸化剤としては、亜硫酸塩、アスコルビン酸などが挙げられる。
その他、本発明の治療剤の製造には、製薬上の如何なる添加剤も使用可能であり、所望により、徐放性製剤とすることができる。
本発明の医薬製剤は、該医薬製剤の使用に関する説明を記載した記載物とともに包装したパッケージとすることができる。
本発明のアミド誘導体は、他の鎮痛剤、抗炎症剤、あるいは前記した各疾患の治療薬と併用することが可能であり、この場合、併用薬は、アミド誘導体と同じ製剤中に含有させてもよく、また、別製剤として、同時ないし適宜の時間差で関連づけて投与してもよい。
以下、本発明を実施例によって具体的且つ詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。また、各実施例で製造される化合物の構造は表1−8に記載する。
【実施例】
実施例1 3’−トリフルオロメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]−ビピリジニル−4−カルボン酸(4−イソプロピルフェニル)アミドの合成
工程1: 3’−トリフルオロメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]−ビピリジニル−4−カルボン酸エチルエステル
2−クロロ−3−トリフルオロメチルピリジン(2g,11mmol)、イソニペコチン酸エチル(2g,12.7mmol)、炭酸カリウム(2.6g,18.8mmol)にジメチルホルムアミド100mlを加え、100℃で一晩攪拌した。酢酸エチルを抽出溶媒とし常法に従って処理し粗製物を得た。続いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製しエステル中間体(1.17g、3.9mmol)を得た。
工程2: 3’−トリフルオロメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]−ビピリジニル−4−カルボン酸
工程1で得られたエステル中間体(1.17g、3.9mmol)を濃塩酸10ml、ジオキサン10mlに溶解し、60℃で4時間攪拌した。溶媒を留去してカルボン酸中間体を得た。
工程3: 3’−トリフルオロメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]−ビピリジニル−4−カルボン酸(4−イソプロピルフェニル)アミド
工程2で得られた化合物(20mg)に、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(15mg)、ジクロロメタン(2ml)、4−イソプロピルアニリン(11mg)、トリエチルアミン(20μl)を加え、室温にて17時間撹拌した。溶媒を留去して得られた組成物を逆相高速液体クロマトグラフィー(逆相HPLC)(水−アセトニトリル、それぞれ0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)入り)にて精製し表題化合物を得た。
実施例2−51
表1〜6に示した実施例2−51の化合物は、実施例1の工程3における4−イソプロピルアニリンを対応するアミンに代えて実施することにより実施例1と同様の工程を経て合成した。また、実施例1における工程1のピリジン誘導体やピペリジン誘導体を種々変更することによりピリジンピペリジンカルボン酸誘導体を合成することが可能である。最終化合物の精製は、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)あるいは、逆相高速液体クロマトグラフィー(逆相HPLC)(水−アセトニトリル、それぞれ0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)入り)にて行った。








実施例52 N−(2−ブロモフェニル)−4−(エチル−3−メチルアニリノ)ブタンアミドの合成
工程1: 4−(エチル−3−メチルアニリノ)酪酸エチルエステル
N−エチル−m−トルイジン(8g)に、4−ブロモ酪酸エチルエステル(17.1ml)、炭酸カリウム(20.5g)、DMF(80ml)を加え、95℃にて17時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し溶媒を留去し、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製することにより表題化合物(14.1g)を得た。
MS(ESI)m/z:250(M+H)+;1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ 1.14(3H,t),1.26(3H,t),1.91(2H,m),2.27−2.37(5H,m),3.26−3.38(4H,m),4.14(2H,q),6.47−6.53(3H,m),7.07−7.12(1H,m).
工程2: 4−(エチル−3−メチルアニリノ)酪酸
工程1で得られた化合物(14.1g)に、塩化水素の4規定ジオキサン溶液(100ml)、水(20ml)を加え、95℃にて12時間撹拌した。溶媒を留去し表題化合物(13.7g)を得た。
MS(ESI)m/z:222(M+H)+.
工程3: N−(2−ブロモフェニル)−4−(エチル−3−メチルアニリノ)ブタンアミド
工程2で得られた化合物(100mg)に、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(150mg)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(106mg)、ジクロロメタン(2ml)、2−ブロモアニリン(134μl)、トリエチルアミン(162μl)を加え、室温にて17時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し溶媒を留去し、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製することにより表題化合物(56mg)を得た。
MS(ESI)m/z:375(M+H)+;1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ 1.14(3H,t,J=7.2Hz),2.03(2H,m),2.29(3H,s),2.47(2H,t,J=7.2Hz),3.37(4H,m),6.51−6.58(3H,m),6.96(1H,t,J=7.7Hz),7.11(1H,t,J=8.2Hz),7.31(1H,t,J=7.9Hz),7.52(1H,d,J=8.1Hz),7.59(1H,brs),7.33(1H,brd).
実施例53−64の合成
表7〜8に示した実施例53−64の化合物は、実施例52の工程3における2−ブロモアニリンを対応するアミンに代えて実施することにより実施例52と同様の工程を経て合成した。最終化合物の精製は、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)あるいは、逆相高速液体クロマトグラフィー(逆相HPLC)(水−アセトニトリル、それぞれ0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)入り)にて行った。


実施例65〜68の合成
表9に示した実施例65〜68の化合物は、実施例52と同様に合成した。

実施例69〜82の合成
表10に示す実施例69〜82の化合物は、実施例51と同様に合成した。
下記に、実施例51の合成法をより詳細に示す。
実施例51 3’−トリフルオロメチル−5,6−ジヒドロ−2H−[1,2’]−ビピリジニル−4−カルボン酸(4−tert−ブチルフェニル)アミドの合成
工程1:
2−クロロ3−トリフルオロメチルピリジン(5ml,46mmol)、1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン(8.3ml,65mmol)、トリエチルアミン(38ml,0.28mmol)にエタノール(38ml)を加え、160℃で一晩封かんした。酢酸エチルを抽出溶媒とし常法に従って処理しアセタール中間体(13g)を得た。
工程2:
工程1で得られたアセタール中間体(10g)にp−トルエンスルホン酸一水和物(0.2gl)、アセトン(80ml)、水(20ml)を加え、60℃で一晩攪拌した。酢酸エチルを抽出溶媒とし常法に従って処理し粗製物を得た。ケトン中間体(8.2g、39mmol)を得た。
工程3:
工程2で得られた化合物(8.2g、39mmol)をジエチルエーテル(160ml)、水(96ml)に溶解させ、シアン化ナトリウム(2.1g、43mmol)、炭酸水素ナトリウム(6.6g、78mmol)を加え、一晩攪拌した。酢酸エチルを抽出溶媒とし常法に従って処理し得られた粗製物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製することによりシアノ中間体(7.1g、30mmol)を得た。
工程4:
工程3で得られたシアノ中間体(7.1g、30mmol)に50%(W/W)硫酸水溶液(10ml)を加え、100℃で6時間攪拌した。溶液を中性にした後、酢酸エチルを抽出溶媒とし常法に従って処理し得られた粗製物をエタノール(200ml)、濃硫酸(2ml)を加え、6時間加熱還流した。溶液を中性にした後、酢酸エチルを抽出溶媒とし常法に従って処理し得られた粗製物にピリジン(20ml)、オキシ塩化リン(1.8ml)を加え、一晩攪拌した。酢酸エチルを抽出溶媒とし常法に従って処理し粗製物を得た。続いてシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製することによりエステル中間体(3.1g、12mmol)を得た。
工程5:3’−トリフルオロメチル−5,6−ジヒドロ−2H−[1,2’]−ビピリジニル−4−カルボン酸
工程4で得られたエステル中間体(3.1g、12mmol)を濃塩酸(25ml)、水(25ml)、ジオキサン(50ml)に溶解し、100℃で3時間攪拌した。溶媒を留去してカルボン酸中間体を得た。
工程6:3’−トリフルオロメチル−5,6−ジヒドロ−2H−[1,2’]−ビピリジニル−4−カルボン酸(4−tert−ブチルフェニル)アミド
工程5で得られたカルボン酸(90mg、0.33mmol)を塩化チオニル(12ml)に溶解し、70℃で2時間攪拌した。過剰の塩化チオニルを留去した後、ジクロロメタン(2ml)、4−tert−ブチルアニリン(0.046ml、0.29mmol)、トリエチルアミン(0.071ml、0.51mmol)を加え2時間攪拌した。溶媒を留去して粗製物を得た。続いて、逆相高速液体クロマトグラフィー(逆相HPLC)(水−アセトニトリル、それぞれ0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)入り)で精製することにより表題化合物を得た。

実施例83 3’−クロロ−5,6−ジヒドロ−2H−[1,2’]−ビピリジニル−4−カルボン酸(4−tert−ブチルフェニル)アミドの合成
工程1:
2,3−ジクロロピリジン(10g,68mmol)、1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン(12ml,95mmol)、トリエチルアミン(53ml,0.41mol)にエタノール(53ml)を加え、160℃で一晩封かんした。酢酸エチルを抽出溶媒とし常法に従って処理しアセタール中間体を得た。
工程2:
工程1で得られたアセタール中間体にp−トルエンスルホン酸一水和物(3.2g、17mmol)、アセトン(100ml)、水(20ml)を加え、70℃で一晩攪拌した。酢酸エチルを抽出溶媒とし常法に従って処理し粗製物を得た。メタノールを溶媒として再結晶にて精製しケトン中間体(7.1g、34mmol)を得た。
工程3:
テトラヒドロフラン(60ml)とジイソプロピルアミン(1.6ml、12mmol)およびノルマルブチルリチウム(1.6mol/l ノルマルヘキサン溶液、7.1ml、11mmol)から常法に従ってリチウムジイソプロピルアミド(LDA)のテトラヒドロフラン溶液を調製した。工程2で得られた化合物(2.1g、10mmol)をテトラヒドロフラン(30ml)に溶解させ、アルゴン雰囲気下−78℃にて先に調製したLDAの溶液に加えた。低温下で30分間攪拌した後、2−(N,N−ビストリフルオロメチルスルホニルアミノ)−5−クロロピリジン(4.3g、11mmol)のテトラヒドロフラン(10ml)溶液を加え、さらに1時間攪拌を続けた。溶媒を留去して得られた粗製物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製することによりエノールトリフラート中間体(2.8g、8.2mmol)を得た。
MS(ESI)m/z:343(M+H)+;1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ 2.65(2H,brs),3.61(2H,t,J=5.4Hz),4.05(2H,brd,2.7Hz),5.88(1H,brs),6.86(1H,dd,J=7.5,4.2Hz),7.61(1H,d,J=7.5Hz),8.17(1H,d,J=4.2Hz).
工程4:
工程3で得られたトリフラート中間体(2.6g、7.7mmol)、酢酸パラジウム(0.10g、0.46mmol)、トリフェニルホスフィン(0.24g、0.92mmol)、トリエチルアミン(6.0ml、43mmol)、エタノール(15ml、0.26mol)にN,N−ジメチルホルムアミド(130ml)を加え、一酸化炭素雰囲気下で一晩攪拌した。酢酸エチルを抽出溶媒とし常法に従って処理し粗製物を得た。続いてシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製することによりエステル中間体(1.5g、5.6mmol)を得た。
MS(ESI)m/z:267(M+H)+;1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ 1.26(3H,t,J=8.1Hz),2.59(2H,m),3.51(2H,t,J=4.1Hz),4.08(2H,m),4.23(2H,q,J=8.1Hz),6.84(1H,dd,J=7.5,4.1Hz),7.03(1H,brs),7.62(1H,d,J=7.5Hz),8.20(1H,d,J=4.1Hz).
工程5:3’−クロロ−5,6−ジヒドロ−2H−[1,2’]−ビピリジニル−4−カルボン酸
工程4で得られたエステル中間体(1.5g、5.7mmol)を濃塩酸(25ml)、水(25ml)、ジオキサン(50ml)に溶解し、100℃で3時間攪拌した。溶媒を留去してカルボン酸中間体を得た。
工程6:3’−クロロ−5,6−ジヒドロ−2H−[1,2’]−ビピリジニル−4−カルボン酸(4−tert−ブチルフェニル)アミド
工程5で得られたカルボン酸(400mg、1.68mmol)を塩化チオニル(12ml)に溶解し、70℃で2時間攪拌した。過剰の塩化チオニルを留去した後、ジクロロメタン(12ml)、4−tert−ブチルアニリン(0.294ml、1.85mol)、トリエチルアミン(0.469ml、3.36mmol)を加え2時間攪拌した。溶媒を留去して粗製物を得た。続いてシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製することにより表題化合物(255mg、0.691mmol)を得た。
MS(ESI)m/z:370(M+H)+;1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ 1.28(9H,s),2.67(2H,m),3.54(2H,t,J=5.7Hz),4.06(2H,dd,J=6.0,2.9Hz),6.75(1H,m),6.83(1H,dd,J=7.8,5.8Hz),7.34(2H,d,J=9.6Hz),7.48(1H,d,J=9.6Hz),7.60(1H,dd,J=7.8,1.7Hz),8.16(1H,dd,J=5.8,1.7Hz).
実施例84〜96の合成
表11に示す実施例84〜96の化合物は、実施例83と同様に合成した。

実施例97〜110の合成
表12に示す実施例97〜101の化合物は、実施例51と同様に合成し、表13に示す実施例102〜110の化合物は、実施例83と同様に合成した。


実施例111〜119の合成
表14に示す実施例111〜119の化合物は、実施例83と同様に合成した。

実施例120 6’−メトキシ−3’−ニトロ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]−ビピリジニル−4−カルボン酸(4−t−ブチルフェニル)アミド
工程1:ピペリジン−4−カルボン酸−4−t−ブチルフェニルアミド
ピペリジン1,4−ジカルボン酸モノt−ブチルエステル(10.6g)をジクロロメタン(100mlに溶解し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(8.8g)、t−ブチルアニリン(7.3ml)、トリエチルアミン(12.9ml)を加え一晩攪拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し溶媒を留去し、得られた残留物を4規定塩酸ジオキサン溶液(140ml)、ジオキサン(60ml)を加え室温で2時間攪拌した。溶媒を留去し、表題化合物の粗製物を得た。
工程2:6’−メトキシ−3’−ニトロ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]−ビピリジニル−4−カルボン酸(4−t−ブチルフェニル)アミド
工程1で得られた粗製物(44mg)をエタノール(2ml)に溶解し、2−クロロ−3−ニトロ−6−メトキシピリジン(34mg)、トリエチルアミン(125μl)を加え一晩封かんした。溶媒を留去して得られた組成物を逆相高速液体クロマトグラフィー(逆相HPLC)(水−アセトニトリル、それぞれ0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)入り)にて精製し表題化合物を得た。
実施例121〜123は、実施例120(上記実施例)の工程2にて、対応するピリジン誘導体を用いて合成した。最終化合物の精製は、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)あるいは、逆相高速液体クロマトグラフィー(逆相HPLC)(水−アセトニトリル、それぞれ0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)入り)にて行った。
実施例120〜123の構造および物性データを表15に示す。

試験例1: 酢酸ライジング法
酢酸で誘発される身もだえ(ライジング)試験法に対する試験化合物の効果をICR雄性マウス(4週齢)を用いて検討した。試験化合物及び標準品を腹腔内投与する場合には5%DMSOおよび5%Tween80を含有する生理食塩水に試験化合物を適当な濃度に溶解した。試験化合物は0.8%酢酸溶液(生理食塩水で希釈)の腹腔内投与の30分前に投与し、酢酸投与の5分後から15分間のライジング回数を測定した。いずれの対照群(vehicle投与群)にも5%DMSOおよび5%Tween80を含有する生理食塩水を腹腔内投与した。また、標準品として、インドメタシン(indomethacin)を用い同様に実施した。
各試験化合物によるライジング回数は図1に、また、インドメタシンによるライジング回数は図2に示すとおりである。
ライジング回数に対する各化合物投与群のライジング回数を、抑制率として表16に示した。

試験例2:マスタードオイル誘発熱的過敏モデル法
雄性ICRマウスを使用した。マスタードオイル10%(蒸留水にて希釈)を両後肢皮下に注入し、30分後にホットプレートテストを行った。ホットプレートに動物を置いてから疼痛行動が起こるまでの時間を測定し、指標とした。化合物はホットプレート試験を行う1時間前に0.5%CMCに懸濁し、5ml/kgの用量で経口投与を行った。なお、グラフは投与前値を測定し、その値を100%として算出した。結果を図3〜6に示す。
【産業上の利用可能性】
本発明は、新規なアミド誘導体を提供する。本発明のアミド誘導体は、優れた抗炎症および鎮痛作用を有し、また、カプサイシン様の作用物質、又は、カプサイシン作用に拮抗する物質であることから、頭痛、歯痛、筋肉痛、生理痛、創傷痛など一般の疼痛治療のほか、糖尿病性神経障害、三叉神経障害、帯状疱疹、痛覚過敏症などに伴う神経因性の疼痛、あるいは、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎等)、関節リウマチ、変形性関節症、レイノー病、そう痒症、アレルギー性及び非アレルギー性の鼻炎、膀胱炎、頻尿、尿失禁、卒中、過敏性腸症候群、呼吸器系疾患(喘息、慢性閉塞性肺疾患等)、皮膚炎、胃、十二指腸潰瘍の治療剤として適し、炎症性腸疾患、頻尿、尿失禁、喘息に有用である。
本出願は、日本で出願された特願2003−142681を基礎としており、その内容は本明細書にすべて包含されるものである。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)

[式中、Aは、シクロアルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を示し、
Xは、窒素原子、又はCR17を示し、
Yは、−NRa−,−(CRbRb’)m−,−NRa−(CRbRb’)m−,−NRa−(CRbRb’)m−O−,又は−NRa’−(CRbRb’)m−NRa−
mは0〜4の整数を示す。
Ra,Ra’,Rb,Rb’,R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8,R9,R10,R11,R12,R13,R14,R15,R16,及びR17はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲノ基、シアノ基、ニトロ基、アンモニウム基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)、置換基を有してもよいシクロアルキルアルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリールアルキル基、又は−ZR18を示し、
Zは−O−,−S(O)p−,−S(O)pO−,−NH−,−NR19−,−C(=O)−,−C(=O)O−,−C(=O)NH−,−C(=O)NR19−,−S(O)pNH−,−S(O)pNR19−,−NHC(=O)−,−NR19C(=O)−,−NHS(O)p−,又は−NR19S(O)p−
pは0〜2の整数を示す。
R18,R19はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)、置換基を有してもよいシクロアルキルアルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリールアルキル基、又はアシル基を示し、また、R18,R19は結合して環を形成してもよい。
また、R3及びR4が結合し、炭素原子間結合を形成してもよい。
また、R8,R9,R10,R11,R12,R13,R14,R15,及びR16のうち、隣接する炭素原子に結合しているもの同士は結合して環Aの構成炭素原子と共に飽和又は不飽和の環を形成してもよく、形成した環中に1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい。
また、Yが−NRa−を表す場合には、RaはR12,R13,R14,R15,及びR16のうちの1つと結合して環Aの構成炭素原子と共に環を形成してもよい。
R1及びR2は一緒になって下式(II)のように、環を形成してもよく、この場合には、

nは1〜3の整数を示し、
Rc及びRc’は、Raについて示したと同義であり、
R10は、上で挙げた置換基から、ニトロ基、シアノ基、及びトリフルオロメチル基を除いた置換基を示す。]
で表されるアミド誘導体、その薬学的に許容される塩、水和物、又は溶媒和物。
【請求項2】
式(I)または式(II)において、Aがシクロアルキル基、フェニル基、イソキノリル基、ピリジル基、インダゾリル基又はベンゾチアゾリル基のいずれかである請求項1記載のアミド誘導体、その薬学的に許容される塩、水和物、又は溶媒和物。
【請求項3】
式(III)

[式中、Aは、アリール基、ヘテロアリール基又はシクロアルキル基のいずれかを示し、
Xは、窒素原子、又はCR17を示し
Yは、−NRa−,又は−NRa−(CRbRb’)m−,
nは2、mは1を示し、
Ra,Rb,Rb’,Rc,及びRc’は水素原子、R3,R4,R5,R6,及びR7は水素原子、またはR3及びR4が結合して炭素原子間結合を形成してもよい。R8は置換基を有してもよいアルキル基、ハロゲノ基、ニトロ基、又はシアノ基、R9,R10,及びR11は水素原子、R12,R13,R14,R15,R16,及びR17はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲノ基、シアノ基、ニトロ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、又は−ZR18を示し、
Zは−NR19−,−NHC(=O)−,−O−,−C(=O)−,−NH−,−NHS(O)−,−C(=O)O−,又は−S−を示し、
R18,及びR19はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基を示す。]
で表されるアミド誘導体、その薬学的に許容される塩、水和物、又は溶媒和物。
【請求項4】
式(III)において、Aがアリール基、又はヘテロアリール基である請求項3記載のアミド誘導体、その薬学的に許容される塩、水和物、又は溶媒和物。
【請求項5】
式(IV)

[式中、Aは、アリール基、又はヘテロアリール基を示し、
Xは、CR17を示し
Yは、−NRa− を示し、
Raは水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基を示し、
R2は置換基を有してもよいアルキル基、
R1,R3,R4,R5,R6,R7,R8,R10,R11,及びR17は水素原子、
R9は置換基を有してもよいアルキル基、
R12,R13,R14,R15,及びR16はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲノ基、置換基を有してもよいアルキル基、又は−ZR18を示し、
Zは−O−を示し、
R18は置換基を有してもよいアルキル基を示す。
R12,R13,R14,R15,及びR16のうち、隣接する炭素に結合しているもの同士は結合してA環の構成炭素原子と共に飽和または不飽和の環を形成してもよく、形成した環中に1つ以上のヘテロ原子を含んでもよい。
R12,R13,R14,R15,及びR16のうち1つとRaは結合してA環の構成炭素原子と共に環を形成してもよい。]
で表されるアミド誘導体、その薬学的に許容される塩、水和物、又は溶媒和物。
【請求項6】
式(II)において、
[Aが、フェニル基、イソキノリル基、ピリジル基、インダゾリル基、ベンゾチアゾリル基又はシクロアルキル基のいずれかであり、
Xが、窒素原子、又はCH、
Yが、−NH−、又は−NH−CH−、
nが2、
Rc,Rc’,R3,R4,R5,R6,R7,R9,R10,及びR11が水素原子、
R8がトリフルオロメチル基、クロロ基、ニトロ基、又はシアノ基、
R12,R13,R14,R15,及びR16が、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、メチル基、エチル基、ビニル基、イソプロピル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−オクチル基、メトキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、チオール基、メトキシカルボニル基、ヒドロキシメチル基、メタンスルホニルアミノ基、アミノエトキシ基、又はベンゾイル基、
又は、R3及びR4が結合して炭素原子間結合を形成しているもの]である請求項1記載のアミド誘導体、その薬学的に許容される塩、水和物、又は溶媒和物。
【請求項7】
式(II)において、Aが、フェニル基、イソキノリル基、ピリジル基、インダゾリル基又はベンゾチアゾリル基のいずれかである請求項6記載のアミド誘導体、その薬学的に許容される塩、水和物、又は溶媒和物。
【請求項8】
式(I)において、
[Aが、フェニル基、キノリル基、又はナフチル基、
Xが、CH、
Yが、−NH−であるか、又は、式(V)

が、式(VI)

であり、
R2がエチル基、
R1,R3,R4,R5,R6,R7,R8,R10,R11,及びR17が水素原子、
R9がメチル基、
R12,R13,R14,R15,及びR16がそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、フルオロ基、ブロモ基、トリフルオロメトキシ基、メトキシ基、又はt−ブチル基、
又は、R12,R13,R14,R15,及びR16のうち、隣接する炭素に結合しているもの同士は結合して環Aの環構成炭素原子と共に飽和または不飽和の環を形成してもよく、形成した環中に1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい。]である請求項1記載のアミド誘導体、その薬学的に許容される塩、水和物、又は溶媒和物。
【請求項9】
式(II)、(III)において、R3及びR4が結合し、炭素原子間結合を形成した、請求項1、2又は6記載のアミド誘導体、その薬学的に許容される塩、水和物、又は溶媒和物。
【請求項10】
下記に示す化合物、その薬学的に許容される塩、水和物、又は溶媒和物。

【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のアミド誘導体、その薬学的に許容される塩、水和物、又は溶媒和物を含有する医薬組成物。
【請求項12】
抗炎症及び鎮痛作用を有する請求項11記載の医薬組成物。
【請求項13】
炎症性腸疾患治療剤である請求項11記載の医薬組成物。
【請求項14】
頻尿、尿失禁治療剤である請求項11記載の医薬組成物。
【請求項15】
喘息治療剤である請求項11記載の医薬組成物。
【請求項16】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のアミド誘導体、その薬学的に許容される塩、水和物、又は溶媒和物を含有する医薬組成物、及び該医薬組成物の使用に関する説明を記載した記載物を含むパッケージ。

【国際公開番号】WO2004/103954
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【発行日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−506402(P2005−506402)
【国際出願番号】PCT/JP2004/007221
【国際出願日】平成16年5月20日(2004.5.20)
【出願人】(000000066)味の素株式会社 (887)
【Fターム(参考)】