説明

アライメント用光学系

【課題】 単一の撮像手段によって、2個のマークを高倍率で、確実に撮像して、相互の位置ずれを容易に検出できるようにする。
【解決手段】 結像用レンズ11の光軸Aと一致するようにテレビカメラ等からなる撮像手段13が配置されており、光路分離用反射ミラーユニット12として、この光軸Aを線対称となるように設けた第1の反射ミラー20L,20Rと、その後方に設けた第2の反射ミラー21L,21Rとからなり、第1の反射ミラー20L,20Rは、光軸Aに対して傾けられており、アライメントマークM1,M2からの反射光を含む一部分だけを反射するように配設され、第2の反射ミラー21L,21Rは、第1の反射ミラー20R,20Lと平行に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に回路部品を搭載する等に用いられ、2つの部材を相互に厳格に位置合わせするためのアライメント用光学系に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ用のパネル、例えば液晶パネル,プラズマパネル,有機ELパネル等は、ガラス等からなる透明基板に、その表示領域外の領域に集積回路を含む半導体装置が接続され、またこの半導体装置に印刷回路基板が接続されるようになっている。この半導体装置は、例えばテープキャリアパッケージ(TCP)として、フレキシブル基板に集積回路素子を実装したものから構成され、通常、このTCPは透明基板にTAB搭載される。また、フレキシブル基板を用いず、集積回路素子を透明基板の表面に直接搭載する、所謂COG方式等も実用化されている。
【0003】
いずれの方式を採用するにしろ、半導体装置は透明基板に対して正確にアライメントされた状態にして搭載しなければならない。特に、表示装置における高品位化等の観点で、ファインピッチ化が進んでいる現状から、前述したアライメントの精度は極めて高いものが要求される。一般的なアライメント方式としては、接続される2つの部材にそれぞれアライメントマークを形成しておき、両部材をそれぞれハンドリング手段で保持させて、光学的手段によりこれら2つのアライメントマークの位置を検出し、両アライメントマークに位置ずれがあると、いずれか一方の位置を調整する。これによって、半導体装置は透明基板に対して正確に搭載することができるようになる。
【0004】
前述のように、アライメントのためには2つの部材に設けたアライメントマークを光学的手段で認識して、位置ずれの有無が判定されることになる。このために、撮像手段によりアライメントマークを撮像するが、2個のアライメントマークの画像を取得しなければならない。
【0005】
単一の撮像手段を用いて、一方のアライメントマークを撮像して、画像認識により予め設定されている基準位置からの位置ずれ方向及びずれ量を検出し、次いで撮像手段を移動させて、他方のアライメントマークを撮像して、同様に、その基準位置からの位置ずれを検出するという方式は従来から広く用いられている。ただし、この方式では2つのアライメントマークの検出が長時間化することになる等の問題から、2個の撮像手段を用いて、これら各撮像手段によりそれぞれのアライメントマークを個別的に撮像する方式が、例えば特許文献1に提案されている。
【特許文献1】特開2001−326252号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したように、2個の撮像手段を用いて2つの部材に設けたそれぞれのアライメントマークを撮像する場合に、両アライメントマーク相互の位置を正確に検出するには、これら2個の撮像手段を高精度に組み付けられていなければならない。それぞれの撮像手段が許容誤差の範囲内で組み付けられていても、誤差の累積という点に配慮しなければならない。例えば、一方の撮像手段の組み付け誤差と他方の撮像手段の組み付け誤差との累積によって、許容誤差の範囲を超えてしまうことがある。特に、近年におけるファインピッチ化を勘案すれば、2個の撮像手段は、それぞれの組み付けを厳格に行うだけでなく、相互の撮像素子間の位置合わせを極めて高いレベルでの正確性が要求される。従って、撮像手段の組み付けが面倒になるという問題点がある。また、アライメントマークを撮影する撮像手段は所定の位置に配置しなければならず、また位置検出の後には2つの部材の位置調整を行う必要があるために、ハンドリング手段により保持される。従って、2個の撮像手段を設けると、ハンドリング手段の動きが制約されるという問題点もある。
【0007】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、単一の撮像手段によって、2個のマークを高倍率で、確実に撮像して、相互の位置ずれを容易に検出できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、本発明は、相互に位置合わされる2つの部材にそれぞれマークが形成されており、これら両マークの位置を検出するために、それぞれ拡大して1つの撮像手段に撮像するための光学系であって、前記2つの部材に設けた各々のマークを所定の倍率で結像させる結像用レンズと、この結像用レンズの光軸上に配置され、前記2つのマークを撮像するために、撮像面に2つの撮像領域が設定される撮像手段と、前記2つのマーク画像の光路を相互に分離させて、各々の撮像領域の画像が相互に干渉することなく結像させる光路分離手段とから構成したことをその特徴とするものである。
【0009】
2つの部材をアライメントするために、各部材をそれぞれハンドリング手段により保持させるが、両部材に設けたマークの位置等の関係で、高い結像倍率としたときには撮像手段にこれら2つのマークを撮像することができない場合がある。しかしながら、アライメントを行うためには、各ハンドリング手段にそれぞれの部材を保持させるときに、これらの部材は、通常、予め粗位置決めされており、極端に位置ずれしていることはない。従って、各マークを撮像するための視野をあまり広くする必要はない。そこで、単一の撮像手段の撮像領域を2つに分割し、各部材のマークを光路分離手段により分離して、それぞれ所定の光路を取るように引き回して、分割した各撮像領域にそれぞれ撮像させる。これによって、2つのマークの位置関係がどのようになっていても、小型の撮像手段を用いてこれら2つのマークを高倍率でこれら2つの撮像領域に結像させることができる。
【0010】
そして、例えば各撮像領域にそれぞれ座標軸を設定し、これらの撮像領域にそれぞれマークを結像させて、各々の座標位置を求めることによって、2部材の位置を検出することができる。通常は、2つの撮像領域を同じ広さとするが、例えばマークの大きさが極端に違っている等の事情があれば、2つの撮像領域の大きさを変えるようにしても良い。
【0011】
マークは結像用レンズを介して撮像手段の撮像領域に結像させるが、各々のマークを光路分離手段によって、独立の光路を通ってそれぞれの撮像領域に導かれるようにする。これによって、それぞれのマークの結像位置は、2つのマークの間隔に影響を受けることはない。つまり、2つのマークが近接している場合でも、また離間している場合でも、確実に各撮像領域に撮像することができる。
【0012】
光路分離手段の具体的な構成としては、光軸の両側に、この光軸に対して所定の角度をもって配設され、結像用レンズからの各マークの画像を反射させる第1の反射ミラーと、各第1の反射ミラーに対して光軸を挟んだ反対側に配置され、各第1の反射ミラーと平行に配設した第2の反射ミラーとから構成することができる。そして、これら第2の反射ミラーによる反射角は第1の反射ミラーへの入射角より大きい角度に設定する。
【0013】
そして、各マークの位置からの主光線は結像用レンズによりある程度の角度が曲折する必要がある。このためには、結像用レンズにおけるバックフォーカスを小さくする。各撮像領域に結像させたマークを鮮明なものとするために、光路分離手段により分離した各光路を一方の撮像領域に結像させるが、この一方の光路からの光が他の撮像領域に迷光として入り込むのを極力抑制する。このためには、両マークからの主光線の交差部より結像用レンズ側の位置にそれぞれ迷光をカットする遮光部材を配置するのが望ましい。また、結像側の光学系における開口数をできるだけ小さい値とすことによって、光の干渉を最小限に抑制することができる。
【0014】
また、一対のプリズムと4枚の反射ミラーとを用いて光路分離手段を構成することができる。即ち、結像用レンズと撮像手段とを結ぶ光軸上において、結像用レンズ側に頂点を向けた第1のプリズムを配置し、またこの第1のプリズムより後方位置に頂点を撮像手段側に向けた第2のプリズムを配置する。第1のプリズムは2つのマークの光路を分離するためのものであり、分離された光路には、第1,第2の反射ミラーを配置することにより、それぞれの光路を独立に引き回す。そして、第2のプリズムによって分離された光路がそれぞれの撮像領域に向けられる。第1の反射ミラーは第1のプリズムの反射面からの光を反射させ、この第1の反射ミラーからの反射光を第2の反射ミラーで反射させて、第2のプリズムに入射させるが、第2の反射ミラーから第2のプリズムへの入射角より第1の反射ミラーによる反射角の方を小さくする。この場合、第1のプリズムにより光路を分離させることから、プリズムへの入射角をある程度大きくすることが望ましく、このためにレンズの主光線は低角度となるように、つまり結像用レンズのバックフォーカスを大きくする。また、第2のプリズムからの反射光路は、光軸と平行な方向に導くようする。これによって、たとえ2つのマークの位置が離れていても、単一の撮像手段に設定されている2つの撮像領域に所定の結像倍率で鮮明に結像することになる。
【発明の効果】
【0015】
以上の構成を採用することによって、単一の撮像手段を用いて、2つのマークが離隔していても、高い結像倍率で撮像手段に鮮明に撮像させて、それらの位置を正確に検出できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。本発明によるアライメント用光学系は、例えば図1に示したように、液晶パネル1に半導体装置としてのTCP(テープキャリアパッケージ)2をTAB(テープオートメーテッドボンディング)搭載するための装置に用いられる。液晶パネル1は共にガラス製の方形薄板からなる下基板1aと上基板1bとから構成されており、下基板1aの少なくとも2辺は上基板1bから所定の幅にわたって突出しており、TCP2はこの下基板1aの突出部に搭載されるものである。TCP2は、フレキシブル基板2aに集積回路素子2bを実装したものであって、フレキシブル基板2aには集積回路素子2bからの配線パターン3が形成されている。また、下基板1aの表面にも配線パターン4が形成されており、TCP2を液晶パネル1にTAB搭載することによって、これら配線3,4間を電気的に導通させるようにする。このために、TCP2と液晶パネル1との接合は、周知のように、異方性導電シート(ACF)を用いて行われる。図1から明らかなように、液晶パネル1の下基板1aには、その配線パターン4が設けられている部位にACF5が貼り付けられており、TCP2はこのACF5を介して液晶パネル1に搭載される。
【0017】
前述したように、TCP2の液晶パネル1への搭載時には、配線3,4を確実に接続する。このために、TCP2と液晶パネル1との間をアライメントした後に接続されることになる。従って、図2に示したように、液晶パネル1は位置調整機構付きのテーブル6に真空吸着等の手段で固定されている。一方、TCP2は吸着ヘッド7に吸着保持されており、この吸着ヘッド7は搭載用ロボット8に装架されている。ここで、液晶パネル1をテーブル6に設置する際及びTCP2を吸着ヘッド7に吸着させる際には、それらはそれぞれ粗位置決めされる。しかしながら、テーブル6に固定されている液晶パネル1と吸着ヘッド7に保持されているTCP2との間には多少の位置ずれがある。このために、これらの位置ずれを補正して、両者を正確に位置合わせした上で搭載用ロボット8を作動させて、TCP2を液晶パネル1の下基板1aにおける所定の位置にTAB搭載させる。
【0018】
このために、図1から明らかなように、液晶パネル1及びTCP2には、それぞれアライメントマークM1,M2が形成されており、これらのアライメントマークM1,M2の位置を画像認識手段により検出して、基準位置からのずれを算出し、テーブル6及び搭載用ロボット8を駆動することによって、それらの位置ずれを補正するようにしている。このために、マーク撮像装置10が設けられている。このマーク撮像装置10は、図3に示したように、結像用レンズ11と、光路分離用反射ミラーユニット12及び撮像手段13から構成される。そして、図2に示したように、撮像手段13により撮像したアライメントマークM1,M2の基準位置からのずれを制御回路14で検出して制御信号が出力されることになる。この制御信号は駆動回路15に入力され、この駆動回路15によってテーブル6及び搭載用ロボット8が駆動されることになり、その結果液晶パネル1とTCP2とを正確にアライメントさせる。その後に、TCP2を液晶パネル1に熱圧着させることによりTAB搭載が実行される。
【0019】
図3にあるように、結像用レンズ11の光軸Aと一致するようにテレビカメラ等からなる撮像手段13が配置されており、光路分離用反射ミラーユニット12として、この光軸Aを線対称となるように各2枚の反射ミラーが配設されている。結像用レンズ11の後方側には、第1の反射ミラー20L,20Rが位置しており、また撮像手段13の前方側には第2の反射ミラー21L,21Rが位置している。結像用レンズ11の焦点位置をFとしたときに、第1の反射ミラー20L,20Rはこの焦点位置Fより後方位置に配置されている。これら第1の反射ミラー20L,20Rは、光軸Aに対して傾けられており、しかも結像用レンズ11からの出射光のうち、アライメントマークM1,M2からの反射光を含む一部分だけを視野とするように配設されている。この第1の反射ミラー20L,20Rの後方に位置する第2の反射ミラー21L,21Rは、第1の反射ミラー20L,20Rからの反射像をさらに反射させるものであって、第1の反射ミラー20Lからの反射像は第2の反射ミラー21Rに反射し、第1の反射ミラー20Rからの反射像は第2の反射ミラー21Lに反射するようになっている。
【0020】
従って、第1の反射ミラー20L,20RにアライメントマークM1,M2の像を反射させることによって、アライメントマークM1,M2の像の光路が相互に分離することになる。そして、このようにして分離した光路は第2の反射ミラー21L,21Rで反射し、これらの反射像は撮像手段13の撮像面に結像される。ここで、アライメントマークM1の像は第1の反射ミラー20Lと第2の反射ミラー21Rとに順次反射することになり、またアライメントマークM2は第1の反射ミラー20Rと第2の反射ミラー21Lに順次反射する。そして、第1の反射ミラー20Lと第2の反射ミラー21Rとは平行に配設され、また第1の反射ミラー20Rと第2の反射ミラー21Lとも同様に平行に配設されている。これによって、結像用レンズ11の合焦面と撮像手段13の撮像面が一致することになる。
【0021】
反射ミラーを上記のように配置することによって、液晶パネル1及びTCP2に設けたアライメントマークM1,M2の像は、それぞれ第1の反射ミラー20L,20Rにより分離されて、第2の反射ミラー21L,21Rで反射して撮像手段13に入射されることになる。この構成においては、結像用レンズ11から第1の反射ミラー20L,20Rに至る光路の途中で、また第1の反射ミラー20L,20Rから第2の反射ミラー21R,21Lまでの光路の途中位置で光路が交差する。これら各光路の交差位置の前側には撮像手段13に迷光が入り込むのを防止するための遮光部材22,23が配置されており、また撮像手段13への前側にも同様の遮光部材24が配置されている。さらに、撮像手段13における光学系は開口数を小さくして、撮像手段13に入射される光の干渉を最小限に抑制している。
【0022】
ここで、結像用レンズ11のバックフォーカスを小さくなし、主光線の光軸Aに対する角度をθ1としたときに、第1の反射ミラー20L,20Rの光軸Aに対する角度θ2をθ1より大きくしている。しかも、アライメントマークM1,M2の反射位置をこれら第1の反射ミラー20L,20Rの端部近傍に位置させており、その分だけ視野が制限される。そして、第2の反射ミラー21L,21Rの撮像手段13へは入射角度θ3で入射されることになる。
【0023】
次に、撮像手段13の撮像面を、図4に模式的に示す。図中において、Pは撮像面であり、この撮像面Pは2つの撮像領域PLとPRとに分けられている。撮像領域PLにはアライメントマークM1が結像され、またアライメントマークM2は撮像領域PRに結像される。ところで、液晶パネル1及びTCP2を図5に示した位置関係に配置したとする。この場合、両アライメントマークM1,M2を撮像手段13で同時に視野に取り込もうとすると、同図に一転鎖線で示した視野範囲が必要となる。ところで、液晶パネル1はテーブル6に真空吸着され、またTCP2は吸着ヘッド7に吸着されているが、これら液晶パネル1及びTCP2は既に粗位置決めされている。従って、これら液晶パネル1及びTCP2が位置ずれしていても、撮像面上においては、アライメントマークM1,M2が結像する範囲は二点鎖線で示した範囲内となる。つまり、アライメントのために撮像手段13の視野範囲として必要なのは、この二点鎖線の範囲であって、これら以外の領域については、アライメントのためには必要ではない。
【0024】
そこで、撮像手段13の撮像面Pにおいて、前述した必要な視野範囲を撮像領域PL,PRとすることによって、小型の撮像手段13によりこれら撮像領域PL,PRにアライメントマークM1,M2を高倍率にして撮像することができる。このために、光路分離用反射ミラーユニット12を構成する第1の反射ミラー20L,20Rによって、アライメントマークM1からの光路と、アライメントマークM2からの光路とを分離し、第2の反射ミラー21L,21Rで反射させて、この反射像をそれぞれ撮像手段13の撮像領域PL,PRに撮像させている。この場合、各撮像領域PL,PRには余分な光、つまり図5に二点鎖線で示した視野範囲以外からの光が取り込まれないようにする。遮光部材22〜24を設けることにより、また撮像手段13の光学系における開口数を小さくすることによって、これら撮像領域PL,PRに余分な迷光入り込むことがなくなり、各撮像領域PL,PRには鮮明なアライメントマークM1,M2の像を取得することができる。
【0025】
そこで、図4に示したように、これら撮像領域PL,PRにそれぞれXY直交座標軸を設定して、それらの座標中心からのアライメントマークM1,M2のずれ方向及びずれ量を演算回路14で演算することによりそれらの位置ずれが検出される。そして、この演算結果に基づいて、テーブル6及び搭載用ロボット8を駆動して、液晶パネル1とTCP2とを正確にアライメントすることができる。なお、このアライメントは、液晶パネル1及びTCP2のそれぞれの基準位置からのずれを補正するか、若しくは何れか一方、例えば液晶パネル1の位置を基準として、それに対するTCP2の位置ずれを演算して、搭載用ロボット8を駆動することによっても行うことができる。この搭載用ロボット8側で位置調整を行う構成とした場合には、テーブル6には必ずしも位置調整機構を持たせる必要はない。なお、実際にTCP2を液晶パネル1に搭載する際には、配線パターン3,4を挟んだ両側にアライメントマークを設けて、前後各対のアライメントマークの位置検出を行うことになる。従って、前述したマーク撮像装置10は2組設けられることになる。
【0026】
次に、図6に本発明における第2の実施の形態を示す。この実施の形態においては、その光路分離手段30として、2個のプリズム31,32と、各一対の反射ミラー33L,33R及び34L,34Rとが用いられる。第1のプリズム31は、その頂角が光軸Aにおいて、結像用レンズ35側に向けられており、第2のプリズム32は、その頂角が撮像手段36側に向けられている。そして、結像用レンズ35からの出射光のうち、アライメントマークM1,M2の光路は、それぞれ第1のプリズム31に反射することにより相互に分離され、それぞれの光路を第1,第2の反射ミラー33L,34L及び33R,34Rを通って第2のプリズム32に反射して、撮像手段36に入射されることになる。この場合、結像用レンズ35は、そのバックフォーカスを大とし、その主光線の光軸に対する角度は低角度となるようにする。
【0027】
そして、アライメントマークM1,M2の光路は、第1のプリズム31に反射するが、その光路は光軸と直交する方向に対して主光線の光軸に対する角度分だけずれることになる。第1のプリズム31で反射した光は、それぞれ第1の反射ミラー33L,33Rで反射し、さらに第2の反射ミラー34L,34Rで反射して第2のプリズム32に入射される。そして、この第2のプリズム32からの反射光が撮像手段36に入射されるが、前述した反射ミラーの角度を適宜設定することによって、この2つの光路は相互に平行で、撮像手段36の撮像面に対して直交する光路となるようにする。
【0028】
このように構成することによっても、小型の撮像手段36により、2つのアライメントマークM1,M2を高倍率で撮像することができる。しかも、これら2つの光路は、第2のプリズム32で反射して撮像手段36に向かう光路は相互に平行であり、かつ撮像面に対して直交する方向となるので、2つの光路が相互に干渉することがなくなる。従って、撮像手段36にはアライメントマークM1,M2の鮮明な画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明のアライメント用光学系により検出される対象としての液晶パネルとそれにTAB搭載されるTCPとを示す外観図である。
【図2】図1の液晶パネルとTCPとのアライメント機構の構成説明図である。
【図3】2つのアライメントマークのマーク撮像装置について、第1の実施の形態を示す構成説明図である。
【図4】撮像手段の撮像面を模式的に示す説明図である。
【図5】2つのアライメントマークの位置と撮像位置との関係を示す図である。
【図6】第2の実施の形態を示すアライメントマークのマーク撮像装置の構成説明図である。
【符号の説明】
【0030】
1 液晶パネル 2 TCP
5 ACF 6 テーブル
10 マーク撮像装置 11,35 結像用レンズ
12 光路分離用反射ミラーユニット
13,36 撮像手段
20L,20R,33L,33R 第1の反射ミラー
21L,21R,34L,34R 第2の反射ミラー
22〜24 遮光部材
30 光路分離手段
31 第1のプリズム
32 第2のプリズム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に位置合わされる2つの部材にそれぞれマークが形成されており、これら両マークの位置を検出するために、それぞれ拡大して1つの撮像手段に撮像するための光学系であって、
前記2つの部材に設けた各々のマークを所定の倍率で結像させる結像用レンズと、
この結像用レンズの光軸上に配置され、前記2つのマークを撮像するために、撮像面に2つの撮像領域が設定される撮像手段と、
前記2つのマーク画像の光路を相互に分離させて、各々の撮像領域の画像が相互に干渉することなく結像させる光路分離手段と
から構成したことを特徴とするアライメント用光学系。
【請求項2】
前記光路分離手段は、前記光軸の両側に、この光軸に対して所定の角度をもって配設され、前記結像用レンズからの各マークの画像を反射させる第1の反射ミラーと、各第1の反射ミラーに対して前記光軸を挟んだ反対側に配置され、各第1の反射ミラーと平行に配設した第2の反射ミラーとから構成され、これら第2の反射ミラーによる反射角は第1の反射ミラーへの入射角より大きい角度に設定する構成としたことを特徴とする請求項1記載のアライメント用光学系。
【請求項3】
前記光軸上において、前記結像用レンズの前記マークの位置での主光線が交差する部位より前記結像用レンズ側の位置と、前記撮像手段の前側にそれぞれ迷光をカットする遮光部材を配置する構成としたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のアライメント用光学系。
【請求項4】
前記光路分離手段は、前記光軸上に、頂点を前記結像用レンズ側に向けた第1のプリズムと、頂点を前記撮像手段側に向けて配設した第2のプリズムとを配置し、また第1のプリズムの各反射面からの光を反射させる第1の反射ミラーと、この第1の反射ミラーからの反射光を第2のプリズムに入射させる第2の反射ミラーとから構成され、前記第2のプリズムからの反射光路は、前記光軸と平行な方向に導くように構成したことを特徴とする請求項1記載のアライメント用光学系。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−19147(P2007−19147A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−197335(P2005−197335)
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】