説明

アルキルピペラジン−及びアルキルホモピペラジン−カルボキシラートの誘導体、その調製方法及びFAAH酵素阻害剤としての同使用

本発明は、一般式(I)を有し


(一般式(I)の式中、nは1又は2;pは1ないし7の整数を表し、Aは、1以上の基X,Y及び又はZから選択され、Xは、場合により置換されたメチレン基;Yは、C−アルケニレン基(場合により置換される)又はC−アルキニレン基;ZはC3−7シクロアルキル基;Gは、単結合、O、S、SO,SO2、C=O又はCH(OH)基;Rは、アリール又はヘテロアリール型基を表し、Rは、水素原子又はC1−6アルキル基を表し、Rは、水素原子、又はC1−6アルキル基、C3−7シクロアルキル基、C3−7シクロアルキル−C1−3アルキル基を表す)、塩基、酸付加塩、水和物又は溶媒和物の形状を採る化合物に関する。本発明は、痛み、炎症、神経変性疾患などの治療用のFAAH酵素阻害剤としての使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルボン酸アルキルピペラジン及びカルボン酸アルキルホモピペラジンの誘導体、それらの調製及び治療への適用に関する。
【背景技術】
【0002】
酵素FAAH(脂肪酸アミド加水分解酵素)の阻害剤である、カルバミン酸フェニルアルキル、カルバミン酸ジオキサン−2−アルキル及びカルボン酸−1−ピペラジン−及びカルボン酸−1−ホモピペラジンの誘導体は、公知であり、それぞれ、文書WO 2004/067498 A,WO 2004/020430 A及びPCT/FR2004/00328に記載されている。
【0003】
酵素FAAHを阻害する製品の発見と開発の必要性は、依然として存在する。本発明の化合物は、この目的に適合する。
【発明の開示】
【0004】
本発明の化合物は、一般式(I)
【0005】
【化7】

nは、1又は2の整数を表し、
pは、1ないし7の整数を表し、
Aは、1以上の基X,Y及び/又はZから選択され、
Xは、1又は2個の、C1−6アルキル基、C3−7シクロアルキル基又はC3−7シクロアルキル−C1−3−アルキレン基によって場合により置換されたメチレン基を表し、
Yは、1又は2個の、C1−6−アルキル基、C3−7−シクロアルキル基もしくは、C3−7シクロアルキル−C1−3アルキレン基によって場合により置換されたC−アルケニレン基、又は、C−アルキニレン基の何れかの基を表し、
Zは、式:
【0006】
【化8】

の基を表し、
oは、1ないし5の整数を表し、
r及びsは、整数を表し、r+sが1ないし5の数字であるように定義され、
Gは、単結合、酸素原子もしくは硫黄原子、又は、SO基、SO基、C=O基もしくはCH(OH)基を表し、
は、1以上の基R及び/又はRによって場合により置換された基Rを表し、
は、フェニル基、ピリジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、ピロリル基、フラニル基、チエニル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピラゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ナフタレニル基、ジフェニルメチル基、キノリニル基、テトラヒドロキノリニル基、イソキノリニル基、テトラヒドロイソキノリニル基、キナゾリニル基、キナキサリニル基、フタラジニル基、シンノリニル基、ナフチリジニル基、ベンゾフラニル基、ジヒドロベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、ジヒドロベンゾチエニル基、インドリル基、インドリニル基、インダニル基、インダゾリル基、イソインドリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ピロロピリジニル基、フロピリジニル基、チエノピリジニル基、イミダゾピリジニル基、オキサゾピリジニル基、チアゾロピリジニル基、ピラゾロピリジニル基、イソオキサゾロピリジニル基及びイソチアゾロピリジニル基から選択される基を表し、
は、ハロゲン原子又はシアノ基、ニトロ基、C1−6−アルキル基、C1−6アルコキシ基、水酸基、C1−6チオアルキル基、C1−6−フルオロアルキル基、C1−6フルオロアルコキシ基もしくはC−C−フルオロチオアルキル基、NR基、NRCOR基、NRCO基、NRSO基、COR基、CO基、CONR基、SO基もしくはSONR基、又は、−O−(C1−3−アルキレン)−O基を表し、
は、フェニル基、フェニルオキシ基、ベンジルオキシ基、ナフタレニル基、ピリジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基もしくはピラジニル基、互いに同一または異別の1以上の基Rによって場合により置換された1以上の基Rを表し、
及びRは、互いに独立に、水素原子もしくはC1−6アルキル基を表すか、又は、それらを担う1以上の原子とともに、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、モルフォリン、チオモルフォリン、アゼピン及びピペラジンから選択され、C1−6アルキル基もしくはベンジル基によって場合により置換された環を形成し、
は、水素原子又はC1−6アルキル基を表し、
は、水素原子又はC1−6アルキル基、C3−7−シクロアルキル基もしくはC3−7−シクロアルキル−C1−3アルキル基を表す。)
の化合物である。
【0007】
本発明において、一般式(I)の化合物は、従って、互いに同一又は異別の2個以上の基Aを含むことが可能である。
【0008】
一般式(I)の化合物のなかで、化合物の第一の亜群は、式中、
nは、1又は2の整数を表し、
pは、1ないし7の整数を表し、
Aは、1以上の基X及び/又はYから選択され、
Xは、1又は2個のC1−6アルキル基によって場合により置換されたメチレン基、さらに詳しくは、メチル基を表し、
Yは、C−アルケニレン基又はC−アルキニレン基の何れかを表し、
Gは、単結合、酸素原子又はC=O基を表し、
は、1以上の反応基R及び/又はRによって場合により置換された反応基Rを表し、
は、フェニル基、ナフタレニル基、ジフェニルメチル基、キノリニル基、インドリル基、ピラゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリミジニル基及びチアゾリル基から選択される反応基を表し、
は、ハロゲン原子、さらに詳しくは、塩素、フッ素、臭素もしくはヨウ素、又はシアノ基、C1−6−アルキル基、さらに詳しくは、メチル基、イソプロピル基もしくは第三ブチル基、C1−6アルコキシ基、さらに詳しくは、メトキシ基、C1−6フルオロアルキル基、さらに詳しくは、トリフロロメチル基、C1−6フルオロアルコキシ基、さらに詳しくは、トリフロロメトキシ基、もしくは、−O−(C1−3−アルキレン)−O基、さらに詳しくは、−OCHO−基を表し、
は、フェニル基、ナフタレニル基又はベンジルオキシ基を表し、
は、水素原子又はC1−6−アルキル基を表し、
は、水素原子又はC1−6−アルキル基、C3−7シクロアルキル基もしくはC3−7シクロアルキル−C1−3−アルキル基を表す化合物で構成される。
【0009】
一般式(I)の化合物のなかで、化合物の第2の亜群は、以下の
nは、整数1を表し、
pは、1ないし4の整数を表し、
Aは、1以上の反応基X及び/又はYから選択され、
Xは、1又は2個のC1−6−アルキル基、さらに詳しくはメチル基、によって場合により置換されたメチレン基を表し、
Yは、C−アルキニレン基を表し、
Gは、単結合又は酸素原子を表し、
は、1以上の反応基R及び/又はRによって場合により置換された反応基Rを表し、
は、フェニル基、ナフタレニル基又はイソオキサゾリル基から選択される反応基を表し、
は、ハロゲン原子、さらに詳しくは、塩素もしくはフッ素、又はシアノ基、C1−6アルコキシ基、さらに詳しくは、メトキシ基、もしくはC1−6フルオロアルキル基、さらに詳しくは、トリフルオロメチル基を表し、
は、フェニル基を表し、
は、水素原子又はC1−6−アルキル基を表し、
は、水素原子又はC1−6−アルキル基、C3−7シクロアルキル基もしくはC3−7シクロアルキル−C1−3−アルキル基を表す化合物で構成される。
【0010】
一般式(I)の化合物のなかで、化合物の第3の亜群は,式中、n、p、A、X、Y、Z、o、r、s、G、R、R、R、R、R及びRは、一般式(I)又は上記亜群において定義されているとおりであり、
は、水素原子を表し、
は、水素原子又はC1−6−アルキル基、さらに詳しくは、メチル基、C3−7シクロアルキル基、さらに詳しくは、シクロプロピル基、もしくはC3−7シクロアルキル−C1−3−アルキル基、さらに詳しくは−CH−シクロプロピル基を表す化合物から構成される。
【0011】
一般式(I)の化合物のなかで、以下の化合物があげられる:
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−(2−ビフェニル−3−イルエチル)−ピペラジン−1−カルボキシラート
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−(2−ビフェニル−4−イルエチル)−ピペラジン−1−カルボキシラート
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−[2−(1−ナフチル)エチル]−ピペラジン−1−カルボキシラート
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−{2−[3−(4−クロロフェニル)−イソオキサゾル−5−イル]エチル}ピペラジン−1−カルボキシラート
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−{2−[5−(4−クロロフェニル)−イソオキサゾル)−3−イル]エチル}ピペラジン−1−カルボキシラート
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−(3−ビフェニル−3−イルプロピル)−ピペラジン−1−カルボキシラート
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−(3−ビフェニル−4−イルプロピル)−ピペラジン−1−カルボキシラート
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−(3−ビフェニル−3−イル−1,1−ジメチルプロピル)ピペラジン−1−カルボキシラート
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−[3−(3’−クロロビフェニル−3−イル)プロピル)]ピペラジン−1−カルボキシラート
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−[3−(4’−クロロビフェニル−3−イル)プロピル]ピペラジン−1−カルボキシラート
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−[3−(3’−メトキシビフェニル−3−イル)プロピル]ピペラジン−1−カルボキシラート
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−[3−(4’−メトキシビフェニル−3−イル)プロピル]ピペラジン−1−カルボキシラート
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−[3−(3’−クロロビフェニル−4−イル)プロピル]ピペラジン−1−カルボキシラート
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−[3−(4’−クロロビフェニル−4−イル)プロピル]ピペラジン−1−カルボキシラート
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−[3−(2−ナフチル)プロピル]ピペラジン−1−カルボキシラート
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−{3−[5−(4−クロロフェニル)−イソオキサゾル−3−イル]プロピル}ピペラジン−1−カルボキシラート
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−{3−[3−(4−クロロフェニル)−イソオキサゾル−5−イル]プロピル}ピペラジン−1−カルボキシラート
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−[4−(3−クロロフェニル)−ブチル]ピペラジン−1−カルボキシラート
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−[4−(4−クロロフェニル)ブチル]−ピペラジン−1−カルボキシラート
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−{4−[3−トリフロロメチル)−フェニル]ブチル}ピペラジン−1−カルボキシラート
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−{4−[4−(トリフロロメチル)フェニル]ブチル}ピペラジン−1−カルボキシラート
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−{4−[4−(トリフロロメチル)フェニル]ブター3−イン−1−イル}ピペラジン−1−カルボキシラート
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−[5−(3−クロロフェニル)ペンター4−イン−1−イル]ピペラジン−1−カルボキシラート
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−[5−(2,4−ジクロロフェニル)ペンター4−イン−1−イル]ピペラジン−1−カルボキシラート
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−[5−(2,5−ジクロロフェニル)ペンター4−イン−1−イル]ピペラジン−1−カルボキシラート
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−[5−(3,4−ジクロロフェニル)ペンター4−イン−1−イル]ピペラジン−1−カルボキシラート
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−[5−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)ペンター4−イン−1−イル]ピペラジン−1−カルボキシラート
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−[3−(2−クロロフェノキシ)プロピル]ピペラジン−1−カルボキシラート
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−[3−(3−クロロフェノキシ)プロピル]ピペラジン−1−カルボキシラート
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−[3−(4−クロロフェノキシ)プロピル]ピペラジン−1−カルボキシラート
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−[3−(2,3−ジクロロフェノキシ)プロピル]ピペラジン−1−カルボキシラート
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−[3−(2,4−ジクロロフェノキシ)プロピル]ピペラジン−1−カルボキシラート
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−[3−(2,5−ジクロロフェノキシ)プロピル]ピペラジン−1−カルボキシラート
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−[3−(2,6−ジクロロフェノキシ)プロピル]ピペラジン−1−カルボキシラート
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−[3−(3,5−ジクロロフェノキシ)プロピル]ピペラジン−1−カルボキシラート。
【0012】
一般式(I)の化合物は、1以上の不斉炭素を含むことが可能である。この化合物は、鏡像異性体又はジアステレオ異性体の形で存在可能である。一般式(I)の化合物は、また、シス型(Z)又はトランス型(E)立体異性体の形で存在可能である。これらの立体異性体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体及びこれらの混合物(ラセミ混合物を含む。)は、本発明の一部を形成する。
【0013】
式(I)の化合物は、塩基又は酸付加塩の形で存在可能である。この種の付加塩は、本発明の一部を形成する。
【0014】
一般式(I)の化合物を、例えば、精製又は単離するために有用な他の酸の塩は、同様に、本発明の一部を形成するが、これらの塩は、薬学的に許容できる酸を用いて有利に調製される。
【0015】
一般式(I)の化合物は、水和物又は溶媒和物の形態、すなわち、水の分子の1もしくは複数又は溶媒との会合物又は結合物の形態のことが出来る。この種の水和物及び溶媒和物は、同様に本発明の一部を形成する。
【0016】
本発明に関連して、用語は以下の意味を有する。
【0017】
−Ct−z(tおよびzは、1から7までの値をとることが可能である。)は、tないしz個の炭素原子を有し得る炭素鎖、例えば、C1−3は、1ないし3個の炭素原子を有し得る炭素鎖であり、
−アルキルは、直鎖又は分枝飽和脂肪族基である。例えば、C1−6アルキル基は、1ないし6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝の炭素鎖、さらに詳しくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第三ブチル、ペンチル又はヘキシルである。
【0018】
−アルキレンは、直鎖又は分枝の飽和二価アルキルである。例えば、C1−3−アルキレン基は、1ないし3個の炭素原子を有する直鎖又は分枝の二価の炭素鎖、さらに詳しくは、メチレン、エチレン、1−メチルエチレン又はプロピレンを表す。
【0019】
−シクロアルキルは、環状アルキル基である。例えば、C3−7シクロアルキル基は、3ないし7個の炭素原子をもつ環状炭素基、さらに詳しくは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルを表す。
【0020】
−アルケニレンは、2個の炭素原子を有する二価飽和脂肪族基、さらに詳しくは、エチレンである。
【0021】
−C−アルキニレンは、−C≡C−基である。
【0022】
−アルコキシは、直鎖又は分枝の飽和脂肪族鎖を有する、−O−アルキル基である。
【0023】
−チオアルキルは、直鎖又は分枝の飽和脂肪族鎖を有する、−S−アルキル基である。
【0024】
−フルオロアルキルは、1以上の水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基である。
【0025】
−フルオロアルコキシは、1以上の水素原子がフッ素原子で置換されたアルコキシ基である。
【0026】
−フルオロチオアルキルは、1以上の水素原子がフッ素原子で置換されたチオアルキル基である。
【0027】
−ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素である。
【0028】
本発明の化合物は、以下に図解されている様々な方法によって調製することができる。
【0029】
このようにして、第一の方法(スキーム1)により、一般式(I)の化合物は、一般式(IV)のアミン(R、G、A、p及びnは、一般式(I)で定義されたとおりである。)を、一般式(IIIa)の炭酸塩(Vは、水素原子又はニトロ基、Rは、一般式(I)で定義されたとおりであり、Rは、メチル基又はエチル基を表す。)と反応させることによって調製することができる。上記で得られた一般式(II)のカルバミン酸エステルは、次に、一般式 RNHのアミン(Rは、一般式(I)で定義されたとおりである。)を使用するアミノ分解によって、一般式(I)の化合物に変換される。アミノ分解反応は、メタノールもしくはエタノールなどの溶媒中、又は、メタノールとテトラヒドロフランなどの溶媒混合物中で、実施することが出来る。
【0030】
【化9】

【0031】
一般式(I)の化合物を得る他の方法(スキーム2)は、一般式(VII)のピペラジン又はホモピペラジン誘導体(PGは、第三−ブチルオキシカルボニル(Boc)などの保護基を表す。)を、一般式(IIIb)(Vは、水素原子又はニトロ基を表し、R及びRは、一般式(I)で定義されたとおりである。)の炭酸塩と反応させ、次いで、例えば、イソプロパノールなどの溶媒中の塩酸溶液の存在下で、得られた化合物を脱保護することを含む。次に、得られた一般式(V)のカルバミン酸アミドは、一般式(VI)(R、G、p及びAは、一般式(I)で定義されたとおりであり、Wは、塩素、臭素もしくはヨウ素原子又はメシラートもしくはトシラートを表す。)の誘導体との反応により一般式(I)の化合物に変換される。nーアルキル化反応は、炭酸カリウム又はジイソプロピルエチルアミンなどの塩基の存在下で、アセトニトリル又はトルエンなどの溶媒中で実施することができる。
【0032】
【化10】

【0033】
が、アリール−アリール、アリール−ヘテロアリール、ヘテロアリール−アリール又はヘテロアリール−ヘテロアリール型の基を表す、一般式(I)、(II)及び(IV)の化合物は、Rは、基Rが導入されるべき位置において、塩素、臭素もしくはヨウ素原子又はトリフラート基によって置換された、一般式(I)、(II)又は(IV)の対応する化合物を、鈴木反応条件(Chem.Rev.1995,95,2457−2483)に従ってアリールもしくはヘテロアリール−ボロン酸誘導体と反応させることによって、又は、スチレ反応条件(Angew.Chem.Int.Ed.1986,25,504−524)に従ってアリールもしくはヘテロアリール−トリアルキルスタンナン誘導体との反応によって、同様に調製される。
【0034】
一般式(IIIa)及び(IIIb)の炭酸塩は、文献に記載された任意の方法に従って、例えば、トリエチルアミン又はジイソピルエチルアミンなどの塩基の存在下で、それぞれ、一般式 HOCHRCOOR(Rは、メチル基もしくはエチル基を表す。)、又は、一般式 HOCHRCONHR(Rは、一般式(I)で定義されたとおりである。)のアルコールと、フェニルクロロフォルメート又は4−ニトロフェニルクロロフォルメートとの反応によって、調製することができる。
【0035】
それらの調製方法が記載されていない場合には、一般式(IV),(VI)及び(VII)の化合物、及び一般式 RNHのアミンも、市販されているか、もしくは、文献に記載されているか、又は、文献に記載され又は当業者に既知の様々な方法に従って調製することができる。
【0036】
本発明のその他の態様に従って、本発明は同様に、式(II)及び(V)の化合物を提供する。これらの化合物は、式(I)の化合物の合成における中間体として有用である。
【0037】
以下の実施例で、本発明のいくつかの化合物の調製を説明する。これらの実施例は、これらに限定するものでなく、単に本発明を例示するものにすぎない。微量分析、IR及びNMRスペクトル及び/又はLCMS(質量分析と連結した液体クロマトグラフィ)は、得られた化合物の構造及び純度を確認する。
【0038】
m.p.(℃)は、摂氏温度での融点を表す。
【0039】
実施例の表題中の括弧間に表示された数は、後述の表の第一欄の数と一致する。
【実施例1】
【0040】
(化合物85)
2−(メチルアミノ)−2−オキソセチル−トランス−4−(3−フェニルプロパ−2−エン−1−イル)ピペラジン−1−カルボキシラート
【0041】
【化11】

【0042】
1.1 2−(エトキシ)−2−オキソエチル トランス−4−(3−フェニルプロパ−2−エン−1−イル)ピペラジン−1−カルボキシラート
トランス−1−シンアミルピペラジン1.40g(6.93mmol)及びエチル−{[(フェノキシ)カルボニル]オキシ}アセテ−ト1.74g(7.76mmol)(J.Med.Chem.,1999,42,277−290)をトルエン15ml中に溶解した溶液を、80℃で一晩加熱する。蒸発乾固し、残渣を酢酸エチル50mlに溶解する。蒸留水20mlで2回洗浄し、飽和塩化ナトリウム水溶液10mlで1回洗浄する。硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発乾固する。残渣をシリカゲル上で、シクロヘキサン及び酢酸エチルの50/50の混合物で、その後、酢酸エチルで溶出するクロマトグラフにより精製し、淡黄色油状の生成物0.814gを得る。
【0043】
1.2. 2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル トランス−4−(3−フェニルプロパ−2−エン−1−イル)ピペラジン−1−カルボキシラート
工程1.1.で得た、2−(エトキシ)−2−オキソエチル トランス−4−(3−フェニルプロパ−2−エン−1−イル)ピペラジン−1−カルボキシラート0.8g(2.4mmol)をメタノール中のメチレアミン(20mmol)の2M溶液10mlに溶解する。この溶液を常温で1時間半放置して反応させてから、蒸発乾固する。残渣をシリカゲル上で、先ず、酢酸エチルで溶出し、次に、酢酸エチルとメタノールの90/10混合物で溶出するクロマトグラフにより精製し、これにより、白粉0.548gを得る。
【0044】
融点(℃):109−111
LC−MS:M+H=318
H NMR (DMSO−d)δ(ppm):7.80(ブロードs,1H);7.50−7.15(m,5H);6.55(d,1H);6.25(td,1H);4.40(s,2H);3.40(m,4H);3.10(d,2H);2.60(d,3H);2.40(m,4H).
【実施例2】
【0045】
(化合物99)
2−アミノ−2−オキソエチル 4−{3−[3−(トリフロロメチル)フェニル]プロパ−2−インーイル}−1,4−ジアゼパン−カルボキシラート
【0046】
【化12】

【0047】
2.1. 4−{3−[3−(トリフロロメチル)フェニル]プロパ−2−イン−1−イル}−1,4−ジアゾパン−1−カルボアルデヒド
ジオキサン13ml中に溶解された、1,4−ジアゾパン−1−カルボアルデヒド1.28g(10mmol)及びパラホルムアルデヒド0.33g(11mmol)との混合物を、均一溶液になるまで、80℃で加熱する。ジオキサン7ml中に溶解された、3−トリフロロメチルフェニルアセチレン1.70g(10mmol)溶解液及び酢酸第二銅1.81g(10mmol)を加える。混合物を80℃で4時間加熱する。常温まで冷却し、酢酸エチル75mlで希釈する。有機相を30%アンモニア溶液25mlで洗浄し、次に、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄する。それを、硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発乾固する。残渣をシリカゲル上で、ジクロロメタン、メタノール及び30%アンモニアの混合比98/2/0.2、96/4/0.4及び94/6/0.6の混合物で溶出するクロマトグラフにより精製し、黄色油状の生成物2.67gを得る。
【0048】
2.2. 4−{3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパ−2−イン−1−イル}−1,4−ジアゼパン
工程2.1で得た、4−{3−[3−(トリフロロメチル)フェニル]プロパ−2−イン−1−イル}−1,4−ジアゾパン−1−カルボアルデヒド2.63g(8.48mmol)をメタノール7.5ml中に溶解する。35%の水酸化ナトリウム水溶液3.5ml(30mmol)を加え、この混合物を3時間還流加熱する。常温まで冷却する。蒸留水20mlで希釈し、つぎに、ジクロロメタンで希釈する。相が分離したら、水相をジクロロメタン25mlで2回抽出する。有機相を蒸留水25mlで洗浄し、次いで、飽和塩化ナトリウム水溶液25mlで洗浄する。それらを硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発乾固して、赤色油状の生成物2.25gを得る。これは、以下の工程でそのまま使用する。
【0049】
2.3. 2−(エチルオキシ)−2−オキソエチル 4−{3−[3−(トリフロロメチル)フェニル]プロパ−2−イン−1−イル}−1,4−ジアゼパン−1−カルボキシラート
工程2.2で得た、4−{3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパ−2−イン−1−イル}−1,4−ジアゼパン2.25g(7.95mmol)及びエチル{[(フェニルオキシ)カルボニル]オキシ}アセテート2.68g(11.9mmol)をトルエンに溶解した溶液を60℃で一晩加熱する。シリカ5gを加え、その混合物を蒸発乾固する。残渣をシリカゲル上で、シクロヘキサン及び酢酸エチルの混合比60/40,次に、40/60の混合物で溶出し、次いで、酢酸エチルで溶出するクロマトグラフにより精製し、オレンジ色油状の生成物2.42gを得る。
【0050】
2.4. 2−アミノ−2−オキソエチル 4−{3−[3−(トリフロロメチル)フェニル]プロパ−2−イン−1−イル}−1,4−ジアゼパン−1−カルボキシラート
工程2.3で得た、2−(エチルオキシ)−2−オキソエチル 4−{3−[3−(トリフロロメチル)フェニル]プロパ−2−イン−1−イル}−1,4−ジアゼパン−1−カルボキシラート0.77g(1.87mmol)をメタノールに溶解した7Mアンモニア水14ml(98mmol)に溶解する。該溶液を常温で一晩放置して反応させ、次に、シリカ2gを加え、蒸発乾固する。残渣をシリカゲル上で、ジクロロメタン、メタノール及び30%アンモニアの混合比97/3/0.3,次いで、95/5/0.5及び93/7/0.7の混合物で溶出するクロマトグラフにより精製する。次に、その溶出液を酢酸エチル及びジイソピルエーテルとの混合物から再結晶させて、白結晶0.57gを得る。
【0051】
融点(℃):102−104
LCMS:M+H=384
H NMR(CDCl)δ(ppm):7.70(s,1H);7.55(m,2H);7.45(d,1H);6.15(ブロードm,1H);5.50(ブロードm,1H);4.65(s,2H);3.65(m+s,6H);2.85(m,4H);1.95(m,2H)。
【実施例3】
【0052】
(化合物130)
2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−{2−[(4−クロロフェニル)−オキシ]エチル}ピペラジン−1−カルボキシラート
【0053】
【化13】

【0054】
3.1. 4−ニトロフェニル 2−(メチルアミノ)−2−オキソエチルカルボナート
ジクロロメタン250ml中の、2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド2.62g(29.4mmol)及び支持体に結合されたジイソプロピルエチルアミン(アルゴノートからのPs−DIEA、ローディング=3.56mmol/g)16.5g(58.7mmol)の懸濁液を、常温で、4−ニトロフェニルクロロギ酸エステル5.93g(29.4mmol)と少しずつ混合する。常温で16時間、回転攪拌を続ける。樹脂をろ過し、ジクロロメタン150mlですすぎ、ろ過液は減圧下で濃縮する。これにより、薄黄色固体の生成物6gを得る。これは、以下の工程でそのまま使用する。
【0055】
3.2. 1,1−ジメチルエチル 2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル ピペラジン−1,4−ジカルボキシラート
工程3.1で調製した4−ニトロフェニル 2−(メチルアミノ)−2−オキソエチルカルボネート1.1g(3mmol)を1,2−ジクロロエタン10ml中に溶解した0℃冷却溶液を、1,1−ジメチルエチル ピペラジン−1−カルボキシラート0.53g(2.85mmol)を1,2−ジクロロエタン5mlに溶解した溶液に、約0℃で滴加混合する。0℃で1時間、次に、常温で3時間攪拌を続ける。
【0056】
混合物を減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲル上で、酢酸エチル及びシクロヘキサンの混合比20/80の混合物で溶出し、次に、酢酸エチルで徐々に溶解勾配を大きくして終点に達するまで溶出するクロマトグラフにより精製し、溶出物は、ジイソプロピルエーテル中で粉末にし、白色固体の生成物0.61gを得る。これは、そのまま、以下の工程で使用する。
【0057】
3.3 2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル ピペラジン−1−カルボキシラート塩酸塩
工程3.2により得られた、1,1−ジメチルエチル 2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル ピペラジン−1,4−ジカルボキシラート2.68g(8.9mmol)をジクロロメタンに溶解した溶液を、6N塩酸25mlのイソプロパノール溶液と混合する。常温で1時間、攪拌を続ける。有機相を、疎水性カートリッジを通すろ過によって分離し、減圧下で濃縮する。ジイソプロピルエーテル中で粉末にし、生成物2.05gを得る。
融点(℃):167−169℃
【0058】
3.4. 2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−{2−[(4−クロロフェニル)オキシ]エチル}ピペラジン−1−カルボキシラート
工程3.3で調製した、2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル ピペラジン−1−カルボキシラート塩酸塩0.073g(0.3mmol)、炭酸カリウム0.13g(0.9mmol)及び1−(2−ブロモエトキシ)−4−クロロベンゼン0.069g(0.3mmol)をアセトニトリル3mlに溶解した溶液を、85℃で16時間加熱する。常温まで冷却した後、フリットが取り付けられ、セライトを含むカートリッジを通して、その有機物成分をろ過する。カートリッジをアセトンですすぎ、ろ過液を減圧下で濃縮する。シリカゲル上でジクロロメタン及びメタノールの混合比95/5の混合物で溶出するクロマトグラフを実施し、続いて、ジイソプロピルエーテルから結晶化して、白色固体の生成物0.089gを得る。
【0059】
LC−MS:M+H=356
融点(℃):159−161
H NMR (CDCl)δ(ppm):7.25(dd,2H);6.85(dd,2H);6.05(ブロードs,1H);4.60(s,2H);4.10(t,2H);3.55(m,4H);2.90(d,3H);2.85(t,2H);2.60(m,4H)。
【実施例4】
【0060】
(化合物25)
2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−(2−ナフタレン−2−イルエチル)−ピペラジン−1−カルボキシラート
【0061】
【化14】

【0062】
2−ナフタレン−2−イルエタノール0.13g(0.75mmol)及び、ジイソプロピルエチアミン0.19ml(1.13mmol)の、0℃まで冷却されたジクロロメタン溶液7.5mlを、塩酸メタンスルフォニル0.07ml(0.09mmol)と混合する。低温で0.5時間、ついで、常温で2時間、攪拌を続ける。溶液を減圧下で濃縮する。
【0063】
アセトニトリル5ml及び実施例3.3により調製した2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル ピペラジン−1−カルボキシラート塩酸塩0.12g(0.5mmol)中に、残渣を溶解し、炭酸カリウム0.20g(1.5mmol)を加える。この混合物を70℃で16時間加熱する。常温まで冷却後、減圧下で濃縮する。残渣をジクロロメタンに懸濁、飽和重炭酸ナトリウム溶液、次いで、蒸留水で洗浄する。有機相を疎水膜のろ過によって再生し、減圧下で濃縮する。シリカゲル上でクロマトグラフを実施し、ジクロロメタン及びメタノールの混合比95/5の混合物で溶出し、続いて、ジイソプロピルエーテルで結晶化して、白色固体の生成物0.069gを得る。
【0064】
LC−MS:M+H=356
融点:133−135℃
H NMR (CDCl)δ(ppm):7.85(m,3H);7.65(s,1H);7.55−7.30(m,3H);6.05(ブロードs,1H);4.60(s,2H);3.55(m,4H),3.05−2.65(m,7H);2.55(m,4H)。
【実施例5】
【0065】
(化合物50)
2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−(3−ビフェニル−3−イル−1,1−ジメチルプロピル)ピペラジン−1−カルボキシラート塩酸塩
【0066】
【化15】

【0067】
5.1 1−(2,2−ジメチルプロパノイル)−4−(1,1−ジメチルプロパ−2−イン−1−イル)ピペラジン
1,1−ジメチルプロパ−2−イン−1−イル−アセテート(J.Org.Chem. 1994,59,2282−4)0.756g(6mmol)及び1,1−ジメチルエチル ピペラジン−1−カルボキシラート2.235g(12mmol)をテトラヒドロフラン9ml中に溶解し、次いで、塩化第一銅0.059g(0.6mmol)を加える。この混合物を、還流下で3時間加熱する。常温に冷却後、酢酸エチル100ml、1N水酸化ナトリウム水溶液10ml及び30%アンモニア水2mlを加える。有機相を分離し、蒸留水10mlで2回、次いで、飽和塩酸ナトリウム水溶液10mlで洗浄する。硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させる。生成物をシリカゲル上で、シクロヘキサン及び酢酸エチルの混合比85/15,ついで、75/25及び65/35の混合物で溶出するクロマトグラフにより精製し、薄黄色固体の生成物1.19g(4.71mmol)を得る。
融点:106−109℃
【0068】
5.2 1−(3−ビフェニル−3−イル−1,1−ジメチルプロパ−2−イン−1−イル)−4−(2,2−ジメチルプロパノイル)ピペラジン
3−ブロムビフェニル1.05g(4.5mmol)、工程5.1で調製した1−(2,2−ジメチルプロパノイル)−4−(1,1−ジメチルプロパ−2−イン−1−イル)ピペラジン0.9g(3.6mmol)、トリエチルアミン0.75ml(5.38mmol)及びトリフェニルフォスフィン0.028g(0.11mmol)を、テトラヒドロフラン8ml中に溶解する。アルゴン雰囲気の下で、ビス(トリフェニルフォスフィン)パラジウムの二塩化物複合体0.126g(0.18mmol)を加える。混合物を15分間攪拌し、次いで、ヨウ化第一銅0.014g(0.07mmol)を加える。混合物を常温で4時間、次いで、60℃で一晩攪拌する。冷却後、酢酸エチル25mlで希釈し、ろ紙でろ過する。固体は、酢酸エチル10mlで4回すすぐ。ろ過液にシリカ4gを加え、蒸発乾固する。残渣をシリカゲル上で、シクロヘキサン及び酢酸エチルの混合比90/10、次いで、80/20及び70/30の混合物で溶出するクロマトグラフにより精製し、オレンジ色油状の生成物0.90g(2.22mmol)を得る。
【0069】
5.3. 1,1−ジメチルエチル 4−(3−ビフェニル−3−イル−1,1−ジメチルプロピル)ピペラジン−1−カルボキシラート
工程5.2で調製した1−(3−ビフェニル−3−イル−1,1−ジメチルプロパ−2−イン−1−イル)−4−(2,2−ジメチルプロパノイル)ピペラジン0.87g(2.15mmol)を、メタノール5ml及び酢酸エチル15mlの混合物中に溶解する。酸化白金0.2gを加え、前記混合物を40psiの水素雰囲気下で6時間攪拌する。ろ紙でろ過し、ろ過生成物を酢酸エチル10mlで3回すすぐ。ろ過液にシリカ2gを加え、蒸発乾固する。残渣をシリカゲル上で、シクロヘキサン及び酢酸エチルの混合比90/10次いで85/15及び80/20の混合物で溶出するクロマトグラフにより精製し、無色油状の生成物0.36g(0.88mmol)を得る。
【0070】
5.4 1−(3−ビフェニル−3−イル−1,1−ジメチルプロピル)−ピペラジン
トリフロロ酢酸0.65ml(8.4mmol)を、工程5.3で調製した、1,1−ジメチルエチル 4−(3−ビフェニル−3−イル−1,1−ジメチルプロピル)ピペラジン−1−カルボキシラート0.35g(0.86mmol)をジクロロメタン5mlに溶解した溶液に加える。混合物を2時間攪拌し、次いで、トリフルオロ酢酸0.65mlを加える。2時間以上攪拌し、次いで、1,2−ジクロロエタン10mlで希釈し、蒸発乾固する。残渣をジクロロメタン50ml及び15%水酸化ナトリウム水溶液20mlの混合物に溶解する。相を分離し、水相をジクロロメタン20mlで2回抽出する。有機相を蒸留水10ml、次いで、飽和塩酸水溶液20mlで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥、蒸発して、黄色油状の生成物0.25g(0.81mmol)を得る。
【0071】
5.5 2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−(3−ビフェニル−3−イル−1,1−ジメチルプロピル)ピペラジン−1−カルボキシラート塩酸塩
工程5.4で調製した、1−(3−ビフェニル−3−イル−1,1−ジメチルプロピル)−ピペラジン0.25g(0.81mmol)溶液及びエチル{[(フェニルオキシ)カルボニル]オキシ}アセテート1.5g(1.22mmol)を60℃で一晩加熱し、次いで、蒸発乾固する。残渣をテトラヒドロフランに溶解した2Mメチルアミン溶液4ml(8mmol)及びメタノール2mlの混合物に溶解する。溶液を一晩放置して反応させ、シリカ1gを加え、混合物を蒸発させる。生成物をシリカゲル上で、ジクロロメタン及びメタノールの混合比98/2次いで96/4及び94/6の混合物で溶出するクロマトグラフにより精製し、無色ゴム状の生成物0.23g(0.54mmol)を得る。
【0072】
生成物を酢酸エチル5mlに溶解し、イソプロパノールに溶解した5N塩酸溶液1mlを加える。混合物を蒸発乾固する。残渣を熱酢酸エチル15mlに溶解する。固体をろ過し、酢酸エチル3mlで2回すすぎ、白色粉末の生成物0.215g(0.46mmol)を得る。
【0073】
LC―MS:M+H=424
融点:212−216℃(dec.)
H NMR (CDCl)δ(ppm):12.50(ブロードs,1H);7.55(d,2H);7.40(m,6H);7.20(d,1H);6.05(ブロードs,1H);4.60(s,2H);4.30−4.10(m,4H);3.55(ブロードd,2H);3.05−2.75(m+d,5H);2.15(m,2H);1.70(s,8H)。
【実施例6】
【0074】
(化合物29)
2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−{2−[3−(4−クロロフェニル)イソオキサゾル−5−イル]エチル}ピペラジン−1−カルボキシラート
【0075】
【化16】

【0076】
6.1 2−{3−(4−クロロフェニル)イソオキサゾル−5−イル}エタノール
トリエチルアミン1.63ml(11.58mmol)を、ブター4−イン−1−オール1.18ml(15.57mmol)及び4−クロロ−N−ヒドロキシベンゼンカルボキシイミドイル クロライド2.0g(10.52)(J.Med.Chem.1998,41,4556−66)のジクロロメタン30ml溶液に滴加し、氷浴で冷却する。混合物を常温で一晩放置して反応させる。混合物にジクロロメタン50mlを加え、蒸留水50mlで2回、次いで、飽和塩酸ナトリウム水溶液50mlで洗浄する。硫化ナトリウム上で乾燥後、その系を蒸発する。残渣を、シリカゲル上で、シクロヘキサン及び酢酸エチルの混合比80/20次いで70/30の混合物で溶出するクロマトグラフにより精製し、白色固体の生成物1.1g(4.91mmol)を得る。
融点:65−67℃
【0077】
6.2 2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−{2−〔3−(4−クロロフェニル)イソオキサゾル−5−イル〕エチル}ピペラジン−1−カルボキシラート
工程6.1で調製した、2−{3−(4−クロロフェニル)イソオキサゾル−5−イル}エタノール0.100g(0.447mmol)及びジイソプロピルエチルアミン0.082ml(0.47mmol)のジクロロメタン5ml溶液を、塩酸メタンスルフォニル0.036ml(0.469mmol)に混合する。混合物を常温で4時間攪拌し、次いで、飽和塩化アンモニウム水溶液及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄する。減圧下で濃縮する。残渣をアセトニトリル5mlに溶解し、実施例3.3に従って調製した、2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル ピペラジン−1−カルボキシラート塩酸塩0.107g(0.45mmol)及び炭酸カリウム0.186g(1.35mmol)を加える。混合物を75℃で16時間加熱する。常温までに冷却後、減圧下で濃縮する。残渣を酢酸エチルに溶解し、蒸留水で、次に、飽和塩酸ナトリウム水溶液で洗浄する。混合物を蒸発させ、残渣をシリカゲル上で、ジクロロメタンで、次に、ジクロロメタン及びメタノールの混合比90/10の混合物で溶出するクロマトグラフにより精製し、これによって、白色固体の生成物0.054g(0.132mmol)を得る。
【0078】
LC―MS:M+H=407
融点:130−132℃
H NMR(DMSO−d)δ(ppm):7.85(d,2H);7.75(未分解複合体,1H);7.55(d,2H);6.85(s,1H);4.40(s,2H);3.40(m,4H);2.95(t,2H);2.70(t、2H);2.55(d、3H);2.40(m,4H)。
【実施例7】
【0079】
(化合物52)
2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−〔3−(3´−クロロビフェニル−3−イル)プロピル〕ピペラジン−1−カルボキシラート
【0080】
【化17】

【0081】
7.1. 3−(3−ブロムフェニル)プロパン−1−オール
3−(3−ブロムフェニル)プロピオン酸1.84g(8mmol)及びホウ化水素ナトリウム0.91g(24mmol)のTHF20ml中の0℃に冷却した懸濁液を、トリフロロボラン−ジエチルエーテル錯体3.2ml(25mmol)に少しずつ混合する。冷却状態で1時間、次いで、常温で16時間攪拌を続ける。反応混合物を0℃に冷却し、1N水酸化ナトリウム水溶液を加えて、pHを7ないし8に調整する。減圧下で濃縮し、残渣を蒸留水で溶解する。それを、ジクロロメタンで抽出し、硫化ナトリウム上で乾燥する。ろ過後、有機相を減圧下で濃縮する。これにより、油状生成物1.62g(7.53mmol)を得る。これを、そのまま、以下の工程で使用する。
【0082】
7.2 2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−〔3−(3−ブロモ−フェニル〕プロピル〕ピペラジン−1−カルボキシラート
工程7.1.で調製した、3−(3−ブロモフェニル)プロパン−1−オール1.57g(6.7mmol)及びジイソプロピルエチルアミン1.73ml(10.1mmol)の、0℃に冷却下ジクロロメタン溶液38mlを、塩化メタンスルフォニル0.63ml(8.14mmol)と混合する。冷却状態で30分間、次いで、常温で2時間、攪拌を続ける。混合物を減圧下で濃縮し、残渣をアセトニトリル35mlで担持する。実施例3.3に従って調製した、2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル ピペラジン−1−カルボキシラート塩酸塩1.34g(5.35mmol)及び炭酸カリウム2.2g(16mmol)を加える。この混合物を75℃で16時間加熱する。常温に冷却後、減圧下で濃縮し、残渣を蒸留水に溶かす。酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。ろ過後、有機相を減圧下で濃縮する。シリカゲル上で、ジクロロメタン及びメタノールの混合比が98/2の混合物で溶出するクロマトグラフにより精製する。ジイソプロピルエーテルによる結晶化で、白色結晶0.84g(2.10mmol)を得る。
【0083】
7.3. 2−(メチルアミノ)−2オキソエチル 4−〔3−(3´−クロロビフェニル−3−イル)プロピル〕ピペラジン−1−カルボキシラート
工程7.2で調製した、2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル 4−〔3−(3−ブロモ−フェニル)プロピル〕ピペラジン−1−カルボキシラート0.14g(0.35mmol)を、トルエン4ml及びエタノール0.6mlの混合物中に溶解した懸濁液を、テトラキス(トリフェニルホスファイン)パラジウム錯体0.08g(0.07mmol)、2M炭酸ナトリウム水溶液1.05ml(2.1mmol)及び3−クロロベンゼンボロン酸0.22g(1.4mmol)と混合する。混合物を、マイクロ波照射下、150℃で5時間加熱し、フリットを備え、セライト及び硫化ナトリウムを含むカートリッジでのろ過によって有機相を回収する。カートリッジをトルエンで洗浄し、ろ液を減圧下で濃縮する。生成物をシリカゲル上で、酢酸エチル及びメタノールの混合比90/10の混合物で溶出するクロマトグラフにより精製する。次に、溶出液を、n−ヘプタンに溶解し、白色結晶の生成物0.086g(0.18mmol)を得る。
【0084】
LC−MS:M+H=430
融点:82−85℃
H NMR δ(ppm):7.35(m、8H);6.05(ブロードs,1H);4.6(s,2H);3.55(m,4H);2.85(d,3H);2.75(t,2H);2.45(m,6H);1.9(m,2H)。
【0085】
下記の表1は、本発明による化合物の化学構造及び物理的特性を示す。「塩基又は塩」の欄において、「塩基」は遊離塩基の形状をとる化合物を表し、一方、「塩酸」は、塩酸塩型の化合物を表す。
【0086】
【表1】










【0087】
本発明の化合物を、酵素FAAH(脂肪酸アミド加水分解酵素)への阻害効果の判定を認める薬理的試験に供した。
【0088】
阻害活性は、FAAHによるアナンドアミド[1−Hエタノ−ルアミン]の加水分解産物([1−H]エタノールアミン)の測定に基づいた放射酵素測定法において示された(Life Sciences(1995),56,1999−2005、および Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics(1997),283,729−34)。これに従って、マウスの脳(小脳を除く)を摘出し、−80℃で保存した。膜ホモジェネートは、150mM 塩化ナトリウム及び1mM EDTAを含む10mM トリス塩酸緩衝液(pH8)中で、ポリトロン中の組織を均質化することによって、使用時に調製する。次に、脂肪酸(1mg/ml)を含まないウシ血清アルブミンを含有する緩衝液70μl中で酵素反応を実施する。つづいて、種々の濃度の試験化合物に、非放射性アナンドアミドで10μMに希釈したアナンドアミド[1−Hエタノ−ルアミン](比活性:15−20 Ci/mmol)及び膜画分(1アッセイにつき、凍結組織400μg)を加える。25℃で15分経過後、クロロホルム/メタノール(2:1)140μlを加えて、酵素反応を停止させる。混合物を10分間攪拌し、次に、15分間、3500gで遠心分離する。1−Hエタノ−ルアミンを含有する水相の部分標本(30μl)を、液体シンチレーションで計数する。
【0089】
これらの条件の下で、本発明の最も活性な化合物は、0.001ないし1μMのIC50値(FAAHの対照酵素活性の50%を阻害する濃度)を示す。
【0090】
以下の表2は、本発明によるいくつかの化合物のIC50を表す。
【0091】
【表2】

【0092】
従って、本発明による化合物が、FAAHへの阻害効果を有することは、自明である。
【0093】
本発明の化合物のインビボ活性は、鎮痛試験において評価された。
【0094】
従って、PBQ(5%エタノールを含有する0.9%塩化ナトリウム溶液中のフェニルベンゾキノン2mg/kg)を、体重25ないし30gの雄のOF1マウスに腹腔内(i.p.)投与すると、注射後5ないし15分間に平均30回のよじれ又は収縮をする腹部伸張を引き起こす。試験化合物は、PBQの投与前60分又は120分に、0.5%でTween80中の懸濁液中、経口(p.o.)又は腹腔内(i.p.)投与する。これらの条件下で、本発明の最も効力のある化合物は、1ないし30mg/kgの用量範囲内で、PBQによって誘発された伸張の数が35ないし70%減少する。例えば、表の化合物49及び69は、120分に10mg/kgの投与で、PBQで誘発された伸張の数を、それぞれ、43%及び47%減少させる。
【0095】
FAAH酵素(Chemistry and Physics of Lipids,(2000),108,107−21)は、N−アラキドニルエタノールアミン(アナンドアミド)、N−パルミトイルエタノールアミン、N−オレオイルエタノールアミン、オレアミド又は2−アラキドノイルグリセロールなどの種々の脂肪酸のアミド及びエステルの内在的誘導体の加水分解を触媒する。これらの誘導体は、とりわけ、カンナビノイド及び/又はバニロイド受容体と相互作用することによって、種々の薬理的活性を発揮する。
【0096】
本発明の化合物は、この分解経路を遮断し、これらの内在的物質の組織内濃度を増やす。本発明の化合物は、この点に関して、内在的なカンナビノイド及び/又はFAAH酵素によって代謝されたその他の物質が含まれる病状の予防又は治療において使用することが出来る。例えば、以下の疾病及び病気を挙げることができる。
【0097】
痛み、特に神経性の急性又は慢性の痛み:偏頭痛、ヘルペスウィルス及び糖尿病に関連する型を含む神経因性疼痛、炎症性疾患に関連する急性又は慢性の痛み:関節炎、リューマチ性関節炎、骨関節症、脊髄炎、痛風、脈管炎、クローン病、神経性腸症候群;急性又は慢性の末梢痛、眩暈、嘔吐、吐き気、特に、化学療法の後での吐き気;摂食障害、特に、食欲不振及び種々の悪液質;神経性及び精神医学的病状:震え、運動障害、失調、痙縮、脅迫神経性行動、トゥーレット症候群、あらゆる種類のうつ病及びある種の不安と要因、気分障害、妄想;急性及び慢性神経変性疾患:パーキンソン病、アルツハイマー病、老人性痴呆症、ハンチントン舞踏病、脳虚血及び頭蓋に関連する損傷及び延髄外傷;癲癇;睡眠時無呼吸を含む睡眠障害;心臓血管疾患、特に高血圧、心臓不整脈、動脈硬化、心臓麻痺、心臓虚血;腎虚血;癌:両性皮膚腫瘍、乳頭腫及び脳腫瘍、前立腺癌、脳腫瘍(グリア芽腫、骨様上皮腫、髄腫瘍、神経芽細胞腫、胚細胞起源腫瘍、アストロチトーム、星状芽細胞腫、上衣細胞腫、希突起神経膠腫、叢腫瘍、神経上皮腫、骨端腫瘍、上衣芽細胞腫、悪性髄膜腫、肉腫症、悪性メラノーマ、神経鞘症);免疫系障害、特に自己免疫疾患:乾癬、紅斑性狼瘡、結合組織疾患又は膠原病、Sjogrer症候群、強直性脊髄関節炎、未分化脊髄関節炎、ベーチェット病、溶血性自己免疫貧血、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、穀粉症、移植片拒絶反応、形質細胞増加系に影響する疾患;アレルギー疾患、直接的又は遅延型過敏症、アレルギ鼻炎又は結膜炎、接触性皮膚炎、寄生虫、ウィルス又は細菌感染症:エイズ、髄膜炎;炎症性疾患、特に、関節疾患:関節炎、リュウマチ性関節炎、骨関節炎、脊髄炎、痛風、脈管炎、クローン病、過敏性腸症候群、骨粗鬆症;眼科疾患:高眼圧症、緑内障;肺疾患:気道疾患、気管支痙攣、咳、喘息、慢性気管支炎、気道閉塞症、気腫;胃腸病:過敏性腸症候群、腸炎症性疾患、潰瘍、下痢;尿失禁及び膀胱炎。
【0098】
上述の病状の治療用医療品を調製するための、塩基、塩、水和物又は薬学的に許容できる溶媒和物の形態の本発明による化合物の使用は、本発明の不可欠な部分を形成する。
【0099】
同様に、本発明は、式(I)の化合物、又は、式(I)の化合物の酸付加塩又は水和物又は薬学的に許容できる溶媒和物を含む医薬品を提供する。これらの医薬品は、治療、特に、上述の病状の治療に採用される。
【0100】
本発明の他の態様によると、本発明は、本発明による少なくとも1つの化合物を活性成分として含む薬学的組成物を提供する。これらの薬学的組成物は、本発明による化合物の有効量、又は、該化合物の酸付加塩、水和物もしくは薬学的に許容できる溶媒和物、及び、場合により1もしくは複数の薬学的に許容できる賦形剤を含む。
【0101】
該賦形剤は、薬学的形状及び投与に必要な形態に従って、当業者既知の通常の賦形剤から選択される。
【0102】
経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、局所、局部、髄腔内、鼻腔内、経皮、肺、眼又は直腸投与用の本発明の薬学的組成物において、上記の式(I)の活性成分は、又は、適宜、その酸付加塩、溶媒和物もしくは水和物は、上記の疾患及び病気の予防又は治療のために、動物及びヒトに、従来の薬学的賦形剤との混合物の状態で、単回投与の形で投与できる。適切である単位投与形状は、錠剤、軟質もしくは硬質ゼラチンカプセル、粉末、顆粒、チューインガム及び経口液剤もしくは懸濁液などの経口用形状、舌下、口腔、気管内、眼球内及び鼻腔内投与、並びに吸入による投与のための形状、皮下、筋肉内又は静脈内投与のための形状、及び、直腸又は膣投与用の形状を含む。局所用として、本発明による化合物は、クリーム状、軟膏又はローション状で使用できる。
【0103】
一例として、本発明による化合物の錠剤の形での単回投与の形態は、以下の成分を含むことが出来る:
本発明による化合物 50.0 mg
マンニトール 223.75 mg
クロスカルメロースナトリウム 6.0 mg
トウモロコシデンプン 15.0 mg
ヒドロキシプロピル−メチルセルロース 2.25 mg
ステアリン酸マグネシウム 3.0 mg
前記単回投与形状は、薬学的形状に応じて、体重1kg当たり0.01ないし20mgの活性成分の毎日投与を許容する1回の投与量を含有する。
【0104】
より高い又は低い投与量が当てられる特殊なケースも可能である。このような投与もまた本発明に属する。一般的な方法によれば、各患者に適切な投与量は、投与方法、体重及び該患者の反応により、医師によって決定される。
【0105】
本発明の他の態様によれば、本発明は、本発明の化合物の有効量、薬学的に許容できる酸を付加した本発明の化合物の塩又は、該化合物の溶媒和物もしくは水和物の有効量を投与することを含む、上記の病状の治療方法も提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩基、酸付加塩、水和物又は溶媒和物の形態の、式(I)の化合物
【化1】

(式中、
nは、1又は2の整数を表し、
pは、1ないし7の整数を表し、
Aは、1以上の基X,Y及び/又はZから選択され、
Xは、1又は2個の、C1−6アルキル、C3−7シクロアルキル又はC3−7シクロアルキル−C1−3−アルキレン基によって場合により置換されたメチレン基を表し、
Yは、1又は2個の、C1−6−アルキル、C3−7−シクロアルキルもしくは、C3−7シクロアルキル−C1−3アルキレン基によって場合により置換されたC−アルケニレン基、又は、C−アルキニレン基の何れかを表し、
Zは、式:
【化2】

の基を表し、
oは、1ないし5の整数を表し、
r及びsは、整数を表し、r+sが1ないし5の数字であるように定義され、
Gは、単結合、酸素もしくは硫黄原子、又は、SO、SO、C=OもしくはCH(OH)基を表し、
は、1以上の基R及び/又はRによって場合により置換された基Rを表し、
は、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ナフタレニル、ジフェニルメチル、キノリニル、テトラヒドロキノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、キナゾリニル、キナキサリニル、フタラジニル、シンノリニル、ナフチリジニル、ベンゾフラニル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチエニル、インドリル、インドリニル、インダニル、インダゾリル、イソインドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ピロロピリジニル、フロピリジニル、チエノピリジニル、イミダゾピリジニル、オキサゾピリジニル、チアゾロピリジニル、ピラゾロピリジニル、イソオキサゾロピリジニル及びイソチアゾロピリジニルから選択される基を表し、
は、ハロゲン原子又はシアノ、ニトロ、C1−6−アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシル、C1−6チオアルキル、C1−6−フルオロアルキル、C1−6フルオロアルコキシもしくはC−C−フルオロチオアルキル基、基NR、NRCOR、NRCO、NRSO、COR、CO、CONR、SOもしくはSONR、又は、−O−(C1−3−アルキレン)−O基を表し、
は、フェニル、フェニルオキシ、ベンジルオキシ、ナフタレニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニルもしくはピラジニル基、互いに同一または異別の1以上の基Rによって場合により置換された1以上の基Rを表し、
及びRは、互いに独立に、水素原子もしくはC1−6アルキル基を表すか、又は、それらを担う1以上の原子とともに、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、モルフォリン、チオモルフォリン、アゼピン及びピペラジンから選択され、C1−6アルキル基もしくはベンジル基によって場合により置換された環を形成し、
は、水素原子又はC1−6アルキル基を表し、
は、水素原子又はC1−6アルキル、C3−7−シクロアルキルもしくはC3−7−シクロアルキル−C1−3アルキル基を表す。)。
【請求項2】
nが、1又は2の整数を表し、
pが、1ないし7の整数を表し、
Aが、1以上の基X及び/又はYから選択され、
Xが、1又は2個のC1−6アルキル基によって場合により置換されたメチレン基を表し、
Yが、C−アルケニレン基又はC−アルキニレン基の何れかを表し、
Gが、単結合、酸素原子又はC=O基を表し、
が、1以上の基R及び/又はRによって場合により置換された基Rを表し、
が、フェニル、ナフタレニル、ジフェニルメチル、キノリニル、インドリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、ピリミジニル及びチアゾリルから選択される基を表し、
が、ハロゲン原子又はシアノ基、C1−6−アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6フルオロアルキル基、C1−6フルオロアルコキシ基もしくは−O−(C1−3−アルキレン)−O基を表し、
が、フェニル、ナフタレニル又はベンジルオキシ基を表し、
が、水素原子又はC1−6−アルキル基を表し、
が、水素原子又はC1−6−アルキル、C3−7シクロアルキルもしくはC3−7シクロアルキル−C1−3−アルキル基を表す
ことを特徴とする、塩基、酸付加塩、水和物又は溶媒和物の形態の、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
nが、整数を表し、
pが、1ないし4の整数を表し、
Aが、1以上の基X及び/又はYから選択され、
Xが、1又は2個のC1−6−アルキル基によって場合により置換されたメチレン基を表し、
Yが、C−アルキニレン基を表し、
Gが、単結合又は酸素原子を表し、
が、1以上の基R及び/又はRによって場合により置換された基Rを表し、
が、フェニル、ナフタレニル又はイソオキサゾリルから選択される基を表し、
が、ハロゲン原子又はシアノ基、C1−6アルコキシ基、C1−6フルオロアルキル基を表し、
が、フェニル基を表し、
が、水素原子又はC1−6−アルキル基を表し、
が、水素原子又はC1−6−アルキル、C3−7シクロアルキルもしくはC3−7シクロアルキル−C1−3−アルキル基を表す
ことを特徴とする、塩基、酸付加塩、水和物又は溶媒和物の形態の、請求項1又は2に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
は、水素原子を表し、
は、水素原子又はC1−6−アルキル、C3−7シクロアルキルもしくはC3−7シクロアルキル−C1−3−アルキル基を表す
ことを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
一般式RNH(Rは、一般式(I)において定義されているとおりである。)のアミンを使用するアミノ分解により、一般式(II)
【化3】

(式中、R1、2、G、A、p及びnは、請求項1に記載の一般式(I)において定義されているとおりであり、Rは、メチル又はエチル基を表す。)
のカルバミン酸エステルを変換する工程を含む、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物を調製する方法。
【請求項6】
一般式R−G−[A]−W(VI)(R、G、p及びAは、一般式(I)において定義されているとおりであり、Wは、塩素、臭素もしくはヨウ素原子、又はメシラートもしくはトシラート基を表す。)の誘導体との反応により、一般式(V)
【化4】

(式中、R、R及びnは、請求項1に記載の一般式(I)において定義されているとおりである。)
のカルバミン酸アミドを変換する工程を含む、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の調製方法。
【請求項7】
一般式(II)
【化5】

(式中、R1、2、G、A、p及びnは、請求項1に記載の一般式(I)に定義されているとおりであり、Rはメチル又はエチル基を表す。)
の化合物。
【請求項8】
一般式(V)
【化6】

(式中、R、R及びnは、請求項1に記載の一般式(I)において定義されたとおりである。)
の化合物。
【請求項9】
医薬品としての使用のための、塩基、酸付加塩、水和物又は薬学的に許容できる溶媒和物の形態の、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項10】
塩基、酸付加塩、水和物又は薬学的に許容できる溶媒和物の形態の請求項1ないし4のいずれか一項に記載の式(I)の少なくとも1つの化合物を含み、及び、場合により薬学的に許容できる1以上の賦形剤を含む、薬学的組成物。
【請求項11】
内在性カンナビノイド及び/又は酵素FAAHによって代謝されるその他の任意の基質が関与する病状の予防又は治療用の医薬品を調製するための、塩基、酸付加塩、水和物又は薬学的に許容できる溶媒和物の形態の請求項1ないし4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項12】
急性もしくは慢性の痛み、眩暈、嘔吐、吐き気、摂食障害、神経的及び精神的病状、急性もしくは慢性の神経変性疾患、癲癇、睡眠障害、心血管疾患、腎虚血、癌、免疫系障害、アレルギー性疾患、寄生虫、ウィルスもしくは細菌感染疾患、炎症性疾患、骨粗しょう症、眼病、肺病、消化器疾患又は尿失禁の予防又は治療用の医薬品を調製するための、塩基、塩、水和物又は薬学的に許容できる溶媒和物の形態の請求項1ないし4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。

【公表番号】特表2007−524704(P2007−524704A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500259(P2007−500259)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【国際出願番号】PCT/FR2005/000450
【国際公開番号】WO2005/090322
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(504456798)サノフイ−アベンテイス (433)
【Fターム(参考)】