説明

アンダーフィル材

【課題】優れたフラックス吸油性を有し、加熱硬化過程においてフラックス残渣を取り込むことができ、したがって、フラックス洗浄工程を省略することができるアンダーフィル材を提供すること。
【解決手段】(a)熱硬化性樹脂と、(b)硬化剤と、(c)溶解度パラメーターが8.0〜15.5、分子量が350以下、かつ、沸点が150℃以上である化合物とを含んでなり、該化合物(c)の含有量は、全体の3〜20重量%である、アンダーフィル材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半田ボール等の突起状電極を有している電子部品と、これが実装される電子回路基板との間隙に充填するアンダーフィル材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子部品は、小型化および実装密度向上の観点から、その電極が突起状に形成され、この突起状電極を介して、電子回路基板に実装されるようになってきている。突起状電極を有する電子部品の形態としては、BGA(Ball−Grid−Array)、CSP(Chip−Size−Package)、FC(Flip−Chip)、LGA(Land−Grid−Array package)、SON(Small−Outline−Non lead package)、QFN(Quad−Flatpack−Non lead package)、BCC(Bump−Chip−Carrier package)等が挙げられる。
【0003】
このような電子部品は、電子回路基板に実装される際の接続面積が小さいため、落下衝撃や電子回路基板への外力あるいは熱による変形で、接続不良を招くおそれがある。そのため、電子部品と、これが実装される電子回路基板との間隙に、アンダーフィル材を充填して硬化することにより、電子部品を電子回路基板に接着し、その接続信頼性を向上させる。
【0004】
ところで、電子部品が、半田ボール等の突起状電極を介して電子回路基板に実装される際には、まず、実装面側にフラックス(アビエチン酸等の松ヤニ成分が主成分)のアルコール溶液またはフラックス含有半田ペーストが塗布され、次いで、電子回路基板への半田接合が行われる。そして、接合された電子部品と電子回路基板との間隙に、アンダーフィル材を充填し、硬化する方法が採られている。
【0005】
しかしながら、接合された電子部品と電子回路基板との間隙にアンダーフィル材を充填して硬化する際、電子回路基板表面にフラックス残渣が存在していると、電子回路基板表面へのアンダーフィル材の浸透が阻害され、その結果、アンダーフィル材による電子部品と電子回路基板との間の十分な接着力を確保することができなくなる。そのため、半田接合後には、アンダーフィル材の充填前に、電子回路基板表面のフラックス残渣を除去するため、薬液を用いたフラックス洗浄が行われる。
【0006】
このフラックス洗浄においては、その薬液による処理に伴い、実装された電子部品の性能信頼性を低下させるおそれがあり、また、フラックス残渣の洗浄工程および洗浄後の基板乾燥工程が必要になることで、作業効率の低下を引き起こしていた。そして、このフラックス洗浄のための洗浄設備を必要とすることに加え、その洗浄に係る廃液の処理等、環境負荷を抑えるための管理費等も必要であった。
【0007】
上記のようなフラックス処理に関する問題を解消することができるアンダーフィル材として、(1)液状エポキシ樹脂、および硬化剤として分子中に2個以上のカルボキシル基をもつカルボン酸を必須成分とすることを特徴とする一液加熱硬化型エポキシ樹脂組成物が開発されている(特許文献1)。当該エポキシ樹脂組成物は、フラックス性能を発揮するので、電子部品を電子回路基板に実装する際に、上記フラックス処理を省略することができる。しかしながら、当該エポキシ樹脂組成物を使用した場合、必ずアンダーフィル材が未硬化状態でリフロー工程に入るため、基板やリフロー条件等を十分検討し、設定しないと基板の吸湿等によるボイドがアンダーフィル材に発生し、信頼性が低下するという問題があった。
【0008】
また、上記フラックス洗浄をすることなく、所望の電子部品と電子回路基板とを十分な強度で接着することのできる熱硬化性ポリウレタン組成物が開発されている(特許文献2)。しかしながら、当該ポリウレタン組成物を使用した場合、鉛フリー半田が使用された場合にフラックス残渣の取込み性能が不足するという問題があった。
【特許文献1】特開2002−293883号公報
【特許文献2】特開2003−246828号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、優れたフラックス吸油性を有し、加熱硬化過程においてフラックス残渣を取り込むことができ、したがって、フラックス洗浄工程を省略することができるアンダーフィル材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、フラックス残渣の主成分であるネオアビエチン酸と溶解度パラメーターが近い高沸点低分子量化合物、すなわち、溶解度パラメーターが8.0〜15.5、分子量が350以下、かつ、沸点が150℃以上である化合物を、フラックス相溶化剤として、熱硬化性樹脂と硬化剤を含んでなるアンダーフィル材に所定量(全体の3〜20重量%)含有させることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明には、以下のものが含まれる。
〔1〕 (a)熱硬化性樹脂と、
(b)硬化剤と、
(c)溶解度パラメーターが8.0〜15.5、分子量が350以下、かつ、沸点が150℃以上である化合物と
を含んでなり、
該化合物(c)の含有量は、全体の3〜20重量%である、
アンダーフィル材。
〔2〕 化合物(c)が、シラン化合物、(メタ)アクリル酸エステルおよびこれらの混合物からなる群から選ばれる、上記〔1〕に記載のアンダーフィル材。
〔3〕 さらに、(d)シリコーン分散剤を含む、上記〔1〕または〔2〕に記載のアンダーフィル材。
〔4〕 シリコーン分散剤(d)が、ウレタン変性シリコーンである、上記〔3〕に記載のアンダーフィル材。
〔5〕 熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂および/またはウレタン樹脂である、上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のアンダーフィル材。
〔6〕 フラックス吸油率は、1.5%以上である、上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のアンダーフィル材。
【発明の効果】
【0011】
本発明のアンダーフィル材は、優れたフラックス吸油性を有し、加熱硬化過程においてフラックス残渣を取り込むことができるので、フラックス洗浄工程を省略することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のアンダーフィル材における(a)熱硬化性樹脂としては、アンダーフィル材の主成分として従来使用される各種のエポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
【0013】
上記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂(ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型等);ノボラック型エポキシ樹脂(フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型等);ナフタレン型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;シクロペンタジエン型エポキシ樹脂等が挙げられ、さらに、各種変性エポキシ樹脂、例えば、植物油変性エポキシ樹脂(ひまし油変性、亜麻仁油変性、大豆油変性エポキシ樹脂等)、ゴム変性エポキシ樹脂(ポリイソプレン変性、ポリクロロプレン変性、ポリブタジエン変性、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体変性エポキシ樹脂等)、ダイマー酸変性エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0014】
上記ウレタン樹脂としては、例えば、末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーが挙げられる。この末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、ポリオールと過剰のポリイソシアネート化合物とを反応させることによって得られる。
【0015】
末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー生成に用いるポリオールとしては、アクリル系ポリオール、ポリブタジエン系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール等、主鎖がC−C結合よりなる炭化水素系ポリオールを必須成分として用いる。
また、ポリオールとしては、これらの炭化水素系ポリオールのほか、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリエーテルポリオール変性体、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリエーテルポリオールを、炭化水素系ポリオールと併用することができる。あるいは、縮合系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール等のポリエステルポリオールを、炭化水素系ポリオールと併用することもできる。
【0016】
一方、上記のポリオールと反応させるポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、水添キシレンジイソシアネートを用いることができる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0017】
通常、ポリオールとポリイソシアネート化合物とは、NCO/OH当量比が1.5から2.5、好ましくは1.9から2.2となる条件で反応させる。これにより、分子末端がイソシアネート基のウレタンプレポリマーである末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーが生成される。この反応により生成する末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの分子量は、好ましくは800〜50000、より好ましくは1000〜10000の範囲である。
【0018】
本発明のアンダーフィル材において、上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂および/またはウレタン樹脂が好ましく、特に耐リフロー性に優れ線膨張係数が低いことからからエポキシ樹脂が好ましい。
また、本発明のアンダーフィル材中の熱硬化性樹脂(a)の含有量は、通常、アンダーフィル材全体の10〜95重量%、好ましくは15〜90重量%である。
【0019】
本発明のアンダーフィル材における(b)硬化剤としては、例えば、酸無水物、イミダゾール、アミンアダクト、フッ化ホウ素、三級アミン、アミン化合物等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、本発明のアンダーフィル材中の硬化剤(b)の含有量は、通常、アンダーフィル材全体の0.2〜60重量%、好ましくはエポキシ系アンダーフィル材における酸無水物の場合10〜60重量%、それ以外の硬化剤の場合0.2〜30重量%、またウレタン系アンダーフィル材の場合10〜30重量%である。
【0020】
本発明のアンダーフィル材は、上記成分(a)および(b)に加えて、(c)溶解度パラメーターが8.0〜15.5、分子量が350以下、かつ、沸点が150℃以上である化合物を含有する。当該化合物(c)は、フラックス相溶性を有し、本発明のアンダーフィル材において、フラックス相溶化剤として作用する。
【0021】
上記化合物(c)の溶解度パラメーターは、8.0〜15.5、好ましくは8.0〜13.5、特に好ましくは8.0〜12.0である。溶解度パラメーターが8.0未満の化合物の場合も、15.5を超える化合物の場合もフラックスとの相溶性が低下することで、フラックス残渣が残り、アンダーフィル材の浸透が阻害され、その結果、アンダーフィル材による電子部品と電子回路基板との間の十分な接着力を確保することができなくなる虞がある。
【0022】
上記化合物(c)の分子量は、350以下、好ましくは100〜300、特に好ましくは200〜300である。分子量が350を超える化合物の場合、加熱硬化中における相溶化剤の分子運動が制限され、フラックス相溶化剤としての働きが低下することでフラックス残渣が残り、アンダーフィル材の浸透が阻害され、その結果、アンダーフィル材による電子部品と電子回路基板との間の十分な接着力を確保することができなくなる虞がある。
【0023】
上記化合物(c)は、アンダーフィル材の加熱硬化過程において液状である必要があり、また、硬化過程(70〜160℃)での揮発を防ぐため、その沸点は150℃以上、好ましくは200℃以上である。沸点が150℃未満であると硬化過程で揮発し、ボイドが発生する可能性がある。一方、化合物(c)の沸点の上限は、特に限定されない。
【0024】
上記化合物(c)の具体例としては、例えば、シラン化合物、(メタ)アクリル酸エステルおよびこれらの混合物が挙げられる。
上記シラン化合物としては、例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリスメタクリル酸ニトリロトリエチレン、メタクリル酸2,2−ビス(メタクリロイルオキシメチル)ブチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェネチル、メタクリル酸フェニル等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】
本発明のアンダーフィル材中の化合物(c)としては、加熱硬化中における相溶化剤の分子運動の点から、低粘度のものが好ましく、特にフェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
【0027】
また、本発明のアンダーフィル材中の化合物(c)の含有量は、通常、アンダーフィル材全体の3〜20重量%、好ましくは5〜10重量%である。含有量が3重量%未満の場合、フラックス相溶化剤としての働きが不足することでフラックス残渣が残り、アンダーフィル材の浸透が阻害され、その結果、アンダーフィル材による電子部品と電子回路基板との間の十分な接着力を確保することができなくなる虞があり、一方、20重量%を超える場合、アンダーフィル材に必要な基本性能を阻害する虞がある。
【0028】
本発明のアンダーフィル材は、上記成分(a)〜(c)に加えて、(d)シリコーン分散剤を含有することができる。本発明のアンダーフィル材中にシリコーン分散剤(d)を含有させた場合、アンダーフィル材中へのフラックス取り込み量を高めることができる。
上記シリコーン分散剤(d)としては、例えば、ウレタン変性シリコーン(特開平10−110023号公報)、シリコーン変性アクリル(特開平02−225509号公報)、シリコーン変性ポリエーテル(特開平01−268717号公報)、シリコーン変性エポキシ(特開平01−268721号公報)等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なかでも、フラックスとの相溶性の点から、ウレタン変性シリコーンが好ましい。
また、本発明のアンダーフィル材中のシリコーン分散剤(d)の含有量は、通常、アンダーフィル材全体の0.01〜5.0重量%、好ましくは0.2〜0.4重量%である。
【0029】
本発明のアンダーフィル材は、上記の成分に加えて、アンダーフィル材分野において使用される各種の助剤および添加剤、例えば、無機質充填剤(溶融シリカ、結晶シリカ、球状シリカ、アルミナ、ボロンナイトライド、窒化アルミニウム、窒化珪素、マグネシア、マグネシウムシリケート、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等)、消泡剤、カップリング剤、レベリング剤、染料、顔料、防錆剤、イオンキャッチャー剤等を本発明の目的が達成できる範囲の量で含有していてもよい。
【0030】
本発明のアンダーフィル材は、フラックスを塗布し、次いで半田接合した電子部品と電子回路基板との間隙に対して、フラックスを洗浄することなく、充填し、加熱硬化することができる。本発明のアンダーフィル材の加熱硬化過程(通常、70〜160℃、好ましくは90〜130℃)で、フラックス残渣は、上記化合物(c)および使用する場合には上記シリコーン分散剤(d)の作用により、本発明のアンダーフィル材中に拡散し、および取り込まれるので、フラックス残渣に基づく不良発生を防ぐことができる。
【0031】
本発明のアンダーフィル材は、フラックス吸油率が好ましくは1.5%以上、より好ましくは3.0%以上である。フラックス吸油率が1.5%未満の場合、フラックス残渣が残り、アンダーフィル材の浸透が阻害され、その結果、アンダーフィル材による電子部品と電子回路基板との間の十分な接着力を確保することができなくなる虞がある。
本明細書でいう「フラックス吸油率」は、下記実施例に記載した測定方法で算出される値である。
【実施例】
【0032】
次に、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、実施例および比較例で使用したフラックス吸油率の測定方法を以下に示す。
〔フラックス吸油率の測定方法〕
(フラックス)
フラックスとして、12重量%のロジン(CAS No.8050−09−7)のイソプロピルアルコール溶液(鉛フリー半田用フラックスH−722;ホーザン株式会社製)を使用する。
(試験方法)
(1)フラックスの塗布
ガラス板に上記フラックスを厚さ0.5mmとなるように塗布する。
(2)塗布フラックスの加熱処理
フラックスを塗布したガラス板をホットプレートに載せ、240℃で2分間加熱する。
(3)加熱処理フラックスの秤量添加
工程(2)で加熱処理したフラックスを、重量を測定した25mlのガラスビンに約1g秤量する。ここでガラスビンのみの測定重量をGとする。
(4)アンダーフィル材の秤量添加
工程(3)のガラスビンにアンダーフィル材を、体積が1.5mlとなるように比重換算から必要重量を計算し、重量測定後添加する。ここでアンダーフィル材の重量をUとする。
(5)アンダーフィル材の加熱硬化
工程(4)のガラスビンを120℃、30分間の条件下に置き、アンダーフィル材を硬化させる。
(6)残存フラックスの溶剤洗浄
工程(5)のガラスビンにトルエン10gを加え、残存フラックスを洗浄除去する。
(7)溶剤乾燥後秤量
工程(6)のガラスビンを80℃で1時間乾燥させ、重量を測定する。測定重量をGUとする。
(8)フラックス吸油率算出
以下の計算式により、アンダーフィル材の重量増加分からフラックス吸油率(%)を算出する。
【0033】
【数1】

【0034】
〔実施例1〜5および比較例1〜3〕
下記表1に示す部数(重量部)で各成分を配合して、一液加熱硬化型エポキシ樹脂組成物(アンダーフィル材)を調製した。得られたアンダーフィル材について、上記のようにフラックス吸油率を測定した。その結果を表1に併記する。
【0035】
【表1】

【0036】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(1):ジャパンエポキシレジン社製JER828
酸無水物(2):日立化成工業社製HN−2200
イミダゾール(3):四国化成工業社製2E4MZ−CN
溶融シリカ(4):旭電化工業社製FB−5N
カーボンブラック(5):三菱カーボン社製#30
フェニルトリエトキシシラン(6):信越化学社製KBE−103
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(7):信越化学工業社製KBM−403
トリメチロールプロパントリアクリレート(8):日本化薬社製TMPTA
α,ω−ヒドロキシポリジメチルシロキサン(9):東レ・ダウコーニング・シリコーン社製BY16−873
ビニルトリエトキシシラン(10):チッソ社製S−220
ウレタン変性シリコーン(11):特開平10−110023号公報に記載の実施例3にしたがって製造した。
シリコーン変性アクリル(12):特開平02−225509号公報に記載の実施例1にしたがって製造した。
【0037】
また、上記実施例および比較例に使用したフラックス相溶化剤(c)((6)〜(8))ならびに比較化合物((9)および(10))の物性を下記表2に示す。
【0038】
【表2】

【0039】
表1の結果からフラックス相溶化剤(c)およびシリコーン分散剤(d)を添加しない比較例1に比べ、実施例1、2および3からフラックス相溶化剤(c)の添加によるフラックス吸油率における改善効果が認められる。また実施例4および5よりフラックス相溶化剤(c)およびシリコーン分散剤(d)の併用による相乗効果が認められる。
なお、溶解度パラメーターが8.0未満である比較化合物を使用した比較例2および3の場合、フラックス吸油率において期待する改善効果が認められなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)熱硬化性樹脂と、
(b)硬化剤と、
(c)溶解度パラメーターが8.0〜15.5、分子量が350以下、かつ、沸点が150℃以上である化合物と
を含んでなり、
該化合物(c)の含有量は、全体の3〜20重量%である、
アンダーフィル材。
【請求項2】
化合物(c)が、シラン化合物、(メタ)アクリル酸エステルおよびこれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項1に記載のアンダーフィル材。
【請求項3】
さらに、(d)シリコーン分散剤を含む、請求項1または2に記載のアンダーフィル材。
【請求項4】
シリコーン分散剤(d)が、ウレタン変性シリコーンである、請求項3に記載のアンダーフィル材。
【請求項5】
熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂および/またはウレタン樹脂である、請求項1〜4のいずれかに記載のアンダーフィル材。
【請求項6】
フラックス吸油率は、1.5%以上である、請求項1〜5のいずれかに記載のアンダーフィル材。

【公開番号】特開2009−32732(P2009−32732A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−192217(P2007−192217)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(305032254)サンスター技研株式会社 (97)
【Fターム(参考)】