説明

アンドロゲン受容体アンタゴニストとしてのキノリンおよびクロメンの6−スルホンアミド誘導体

本発明は、請求項1によるM、R1、R2、AおよびBの定義を有する式(I)のキノリンおよびクロメンの6−スルホンアミド誘導体、およびアンドロゲンアンタゴニストとしてのその使用を対象とする。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キノリン−2−オンおよびクロメン−2−オン(以下、「キノリンおよびクロメン」)の新規クラス、アンドロゲン受容体アンタゴニストとしてのその使用、これらの化合物を含む医薬、ならびにアンドロゲン受容体の不適切な活性化に伴う状態を緩和するためのその使用を対象とする。
【背景技術】
【0002】
アンドロゲン受容体(AR)は、アンドロゲンにより伝達されたシグナル伝達情報を伝達する、転写調節タンパク質のステロイド受容体(SR)ファミリーに属する(Changら、1995、およびWilsonら、1991)。アンドロゲンが結合すると、アンドロゲン受容体は、Hsp90系調節複合体の抑圧的作用から解放されるため、受容体は、標的遺伝子の転写をホルモンに依存して活性化または阻害する(Suinaら、1996;Fangら、1996;Fangら、1998;Picardら、1990;Segnitzら、1997;Jensterら、1991;およびJensterら、1992)。アンドロゲン受容体は、性別を男性に決定するという役割を果たすだけでなく、その活性化は、前立腺肥大症、前立腺癌、脂漏症、ざ瘡、月経前症候群、肺癌、多嚢胞卵巣症候群、男性型多毛症、および脱毛を発症および進行させるうえで決定的な役割を果たす。したがって、アンドロゲン受容体は、薬物送達の複数の領域において重要な標的である。
【0003】
米国特許第6,017,924号では、アンドロゲン受容体に親和性を有する非ステロイド化合物のクラス、ピリジノキノリン類が開示されている。‘924特許では、これらの化合物がアゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニスト、および部分アンタゴニストなどであるとして記載されている。‘924特許は、特定の生物学的作用(例えばアゴニスト対アンタゴニスト)を実現する方法に関して教示していない。アゴニストは女性を男性化する能力を有し、アンタゴニストは男性を女性化する。このような副作用のため、アンドロゲン療法の適用可能性が制限される。
【0004】
PCT願書WO01/16133号およびWO01/16139号でも、アンドロゲン受容体に親和性を有する非ステロイド化合物が開示されている。このような構造の例には、ピラジノキノリン、オキサジノキノリン、およびピリジノキノリンを含む。このPCT願書では、6−スルホンアミド−キノリン−2−オンまたは6−スルホンアミド−クロメン−2−オンは開示されていない。
【0005】
PCT願書WO01/16108号では、アンドロゲン受容体に親和性を有する非ステロイド化合物が開示されている。上記‘924特許と同様、この化合物はアゴニストとアンタゴニストの両方の作用を有するものとして記載されている。このPCT願書の化合物の一部は、キノリン−2−オン誘導体である。このPCT願書では、6−スルホンアミド−キノリン−2−オンまたは6−スルホンアミド−クロメン−2−オンは開示されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術では、アンドロゲン受容体に親和性を有する化合物が記載されているが、この親和性(例えば、アゴニストまたはアンタゴニスト)に関する選択性を実現する方法は記載されていない。この親和性による生理的影響は、患者の性別によっては、しばしば望ましくない副作用となる。そのため、当技術分野では、アンドロゲン受容体アンタゴニストが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に従って、アンドロゲンアンタゴニストの新規クラスが見出された。これらの化合物は下記式の化合物
【0008】
【化1】

(式中、
a.MはNZまたはOであり、
b.ZはHまたはC〜Cアルキルを表し、
c.Rは、水素、1個または複数のハロゲンで置換されていてもよい(C〜C)アルキル、あるいは1個または複数のハロゲンで置換されていてもよい(C〜C)アルコキシを表し、
d.Rは、存在しないか、あるいはハロゲン、ニトリル、ヒドロキシ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)アルコキシ、1個または複数のハロゲンで置換されている(C〜C)アルキル、1個または複数のハロゲンで置換されている(C〜C)アルコキシ、SR、およびNRからなる群から選択される最大2個の置換基を表してもよく、
e.Rは、水素、置換されていてもよいフェニル、(C〜C)アルキル、または置換されていてもよいベンジルを表し、
f.Rは、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいヘテロアリール、または置換されていてもよい複素環を表し、
g.AおよびBはそれぞれ独立に、水素、1個または複数のハロゲンで置換されていてもよい(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、置換されていてもよい(C〜C)シクロアルキル、置換されていてもよい(C〜C)シクロアルケニル、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいシクロアルキルフェニル、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよいヘテロアリール、(C〜C)アルキルR、−(CH−R−Y[−CH−X−R、−(CHCHXからなる群から選択される置換基を表し、
h.Rは、ニトリル、OH、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいシクロアルキルフェニル、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよい(C〜C)シクロアルキル、置換されていてもよい(C〜C)シクロアルケニル、SR、NRからなる群から選択される置換基を表し、
i.Rは、存在しないか、あるいは置換されていてもよい(C〜C)シクロアルキル、置換されていてもよい(C〜C)シクロアルケニル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよい複素環、および置換されていてもよいフェニルからなる群から選択される置換基を表し、
j.Rは、存在しないか、あるいは1個または複数のハロゲンで置換されていてもよい(C〜C)アルキル、置換されていてもよい(C〜C)シクロアルキル、置換されていてもよい(C〜C)シクロアルケニル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよいフェニル、および置換されていてもよいシクロアルキルフェニルからなる群から選択される置換基を表し、
k.mは0、1、2、3、または4から選択される整数であり、
l.Yは、存在しないか、あるいはO、C(O)、C(O)O、CHC(O)O、OH、SH、またはSを表し、
m.nは0、1、2、3、または4から選択される整数を表し、
n.Xは、存在しないか、あるいはO、C(O)、C(O)O、−CHC(O)O、OH、SH、またはSを表し、
o.qは0、1、2、3、または4から選択される整数を表し、
p.Xは、置換されていてもよい(C〜C)シクロアルキル、置換されていてもよい(C〜C)シクロアルケニル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよいフェニル、および置換されていてもよいシクロアルキルフェニルからなる群から選択される置換基を表し、
q.Xは、置換されていてもよい(C〜C)シクロアルキル、置換されていてもよい(C〜C)シクロアルケニル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよいフェニル、および置換されていてもよいシクロアルキルフェニルからなる群から選択される置換基を表す)、ならびに
r.薬学的に許容できるその塩、溶媒和物、およびプロドラッグで表されることができる。
【0009】
式Iの化合物は、アンドロゲン受容体アンタゴニストである。本化合物は、アンドロゲンによるアンドロゲン受容体の活性化を阻害するか減少させる。本化合物は、アンドロゲン受容体の不適切な活性化に伴う状態を治療または緩和するのに用いることができる。このような状態の例には、ざ瘡、脂漏症過剰分泌、脱毛症、前立腺癌、男性型多毛症などを含むが、それだけに限定されない。
【0010】
本発明はまた、式Iの化合物の少なくとも1つを、アンドロゲン受容体の活性化を減少させるのに有効な量で含む医薬組成物を対象とする。さらなる一実施形態では、本発明は、式Iの化合物を含む、小売用に包装された製品であって、前記化合物を用いてアンドロゲン受容体の不適切な活性化に伴う状態を緩和する方法を消費者に教示する説明書を備えた製品を対象とする。さらなる一実施形態は、式Iの化合物の、アンドロゲン受容体の不適切な活性化を検出する診断剤としての使用を対象とする。
【0011】
さらなる一実施形態では、式Iの化合物を局所使用して、育毛を誘発および/または促進、ならびに/あるいは脱毛を遅延させる。本化合物は、過脂漏症および/またはざ瘡の治療において局所使用してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本明細書内の見出しは、読者が本明細書を検討する便宜を図るためにのみ用いられる。いかなる方法によっても、本発明または請求項を限定するものではない。
【0013】
定義および例証
請求項を含む本願を通して、下記の用語は、特記なき場合、以下に定義した意味を有するものとして用いられる。単数および複数は、数の表示以外は、互換的に扱うものとする。
【0014】
a.「C〜Cアルキル」および「低級アルキル」とは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルなど、1〜4個の炭素原子を含む分岐鎖または直鎖アルキル基を意味する。
【0015】
b.「C〜Cアルキル」とは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、イソペンチル、n−ヘキシルなど、1〜6個の炭素原子を含む分岐鎖または直鎖アルキル基を意味する。
【0016】
c.「ハロゲン」とは、塩素原子、フッ素原子、または臭素原子を意味する。
【0017】
d.「1個または複数のハロゲン原子で置換されているC〜Cアルキル」とは、少なくとも1個の水素原子がハロゲンで置換されている、1または2個の炭素原子を含む直鎖アルキル基、すなわちメチルまたはエチルを意味する。例には、クロロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチルなどを含む。
【0018】
e.「低級アルコキシ基」および「C〜Cアルコキシ」とは、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシなど、1〜4個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖アルコキシ基を意味する。
【0019】
f.「C〜Cアルケニル」とは、2〜4個の炭素原子および1個または複数の炭素−炭素二重結合を含む、直鎖または分岐鎖炭化水素基を意味する。アルケニル基としては例えば、エテニル、プロペニル、1,4−ブタジエニルなどが挙げられる。
【0020】
g.「C〜Cアルケニル」とは、2〜6個の炭素原子および1個または複数の炭素−炭素二重結合を含む、直鎖または分岐鎖炭化水素基を意味する。アルケニル基の例には、エテニル、プロペニル、1,4−ブタジエニル、ペンテニル、ヘキセニルなどを含む。
【0021】
h.「C〜Cアルキニル」とは、2〜4個の炭素原子を含み、1個または複数の炭素−炭素三重結合を有する、直鎖または分岐鎖炭化水素基を意味する。アルキニル基の例には、エチニル、プロピニル、ブチニルなどを含む。
【0022】
i.「C〜Cアルキニル」とは、2〜6個の炭素原子を含み、1個または複数の炭素−炭素三重結合を有する、直鎖または分岐鎖炭化水素基を意味する。アルキニル基の例には、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどを含む。
【0023】
j.「(C〜C)アルキルニトリル」とは、少なくとも1個の水素原子がC≡N部分で置換されている、1〜4個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖アルキル基を意味する。
【0024】
k.「(C〜C)アルカノール」とは、少なくとも1個の水素原子がヒドロキシ官能基で置換されている、炭素原子数が1〜4個の基を含む直鎖または分岐鎖アルキル基を意味する。
【0025】
l.「置換されていてもよいフェニル」とは、最大3個の置換基で置換されてもよいフェニル(C)であって、各置換基がハロゲン、ニトリル、ヒドロキシ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)アルコキシ、1個または複数のハロゲンで置換されている(C〜C)アルキル、1個または複数のハロゲンで置換されている(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキルニトリル、(C〜C)アルカノール、SR、およびNRからなる群から独立に選択されるフェニルを意味する。これらの置換基は同一または異なっていてもよく、オルト位、メタ位、またはパラ位のどこにあってもよい。
【0026】
m.「置換されていてもよいベンジル」とは、最大3個の置換基で置換されてもよいベンジル、−CH−(C)であって、各置換基がハロゲン、ニトリル、ヒドロキシ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)、アルキニル(C〜C)アルコキシ、1個または複数のハロゲンで置換されている(C〜C)アルキル、1個または複数のハロゲンで置換されている(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキルニトリル、(C〜C)アルカノール、SR、およびNRからなる群から独立に選択されるベンジルを意味する。これらの置換基は同一または異なっていてもよく、オルト位、メタ位、またはパラ位のどこにあってもよい。
【0027】
n.1個または複数のハロゲン原子で置換されている(C〜C)アルコキシとは、少なくとも1個の水素原子がハロゲンで置換されている、1または2個の炭素原子を含む直鎖アルコキシ基、すなわちメトキシまたはエトキシを意味する。
【0028】
o.「ヘテロアリール」とは、酸素、窒素、および硫黄から選択される1個または複数のヘテロ原子を有する芳香環を意味する。より具体的には、1、2、または3個の窒素原子;1個の酸素原子;1個の硫黄原子;1個の窒素および1個の硫黄原子;1個の窒素および1個の酸素原子;2個の窒素原子および1個の酸素原子;あるいは2個の窒素原子および1個の硫黄原子を含む5または6員環を意味する。5員環は2個の二重結合を有し、6員環は3個の二重結合を有する。ヘテロアリールという用語はまた、ヘテロアリール環がベンゼン環、複素環、シクロアルキル環、または別のヘテロアリール環と縮合している二環式基も含む。このようなヘテロアリール環系の例には、ピロリル、ベンゾチエニル、ベンゾフリル、キノリル、イソキノリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、インドリル、チアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、プリニル、キノリニル、およびイソキノリニルを含むが、それだけに限定されない。
【0029】
p.「置換されていてもよいヘテロアリール」とは、ヘテロアリール部分の最大2個の炭素原子が置換基で置換されていてもよい、直前で定義したヘテロアリール部分であって、各置換基がハロゲン、ニトリル、ヒドロキシ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)アルコキシ、1個または複数のハロゲンで置換されている(C〜C)アルキル、1個または複数のハロゲンで置換されている(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキルニトリル、(C〜C)アルカノール、SR、およびNRからなる群から独立に選択されるヘテロアリール部分を意味する。さらに、複素環の窒素原子はいずれも(C〜C)アルキルで置換されていてもよい。
【0030】
q.「複素環」(「heterocycle」または「heterocyclic ring」)は、酸素、窒素、および硫黄から選択されるヘテロ原子を含む任意の3または4員環、あるいは、1、2、または3個の窒素原子;1個の酸素原子;1個の硫黄原子;1個の窒素および1個の硫黄原子;1個の窒素および1個の酸素原子;隣接していない位置にある2個の酸素原子;隣接していない位置にある1個の酸素および1個の硫黄原子;または隣接していない位置にある2個の硫黄原子を含む5、6、7、8、9、または10員環を意味する。5員環は0〜1個の二重結合を有し、6および7員環は0〜2個の二重結合を有し、8、9、または10員環は0、1、2、または3個の二重結合を有していてもよい。「複素環」(「heterocyclic」)という用語は、上記複素環のいずれかがベンゼン環、シクロヘキサンもしくはシクロペンタン環、または別の複素環(例えばテトラヒドロキノリル、ジヒドロベンゾフリルなど)と縮合している二環式基をも含む。複素環には、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピペリジニル、ピペラジニル、アゼパン、アゾカン、モルホリニル、およびキノリニルを含む。
【0031】
r.「置換されていてもよい複素環」とは、複素環部分の最大2個の炭素原子が置換基で置換されていてもよい、直前で定義した複素環部分であって、各置換基がハロゲン、ニトリル、ヒドロキシ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)アルコキシ、1個または複数のハロゲンで置換されている(C〜C)アルキル、1個または複数のハロゲンで置換されている(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキルニトリル、(C〜C)アルカノール、(=O)、SR、およびNRからなる群から独立に選択される複素環部分を意味する。さらに、複素環の窒素原子はいずれも(C〜C)アルキルで置換されていてもよい。
【0032】
s.「C〜Cシクロアルキル」とは、各環状部分が約3〜約8個の炭素原子を有する、飽和または部分飽和単環式、二環式、または三環式アルキル基を意味する。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニルなどを含む。
【0033】
t.「置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル」とは、シクロアルキル部分の最大3個の水素原子が置換基で置換されていてもよい、直前で定義したシクロアルキル部分であって、各置換基がハロゲン、ニトリル、ヒドロキシ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)アルコキシ、1個または複数のハロゲンで置換されている(C〜C)アルキル、1個または複数のハロゲンで置換されている(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキルニトリル、(C〜C)アルカノール、SR、およびNRからなる群から独立に選択されるシクロアルキル部分を意味する。
【0034】
u.「C〜Cシクロアルケニル」とは、各環状部分が約5〜約8個の炭素原子を有する、1個または複数の炭素−炭素二重結合を含む部分飽和単環式、二環式、または三環式アルキル基を意味する。シクロアルケニル基の例には、シクロペンテニル、シクロヘキセニルなどを含む。
【0035】
v.「置換されていてもよいC〜Cシクロアルケニル」とは、シクロアルケニル部分の最大3個の水素原子が置換基で置換されていてもよい、直前で定義したシクロアルケニル部分であって、各置換基がハロゲン、ニトリル、ヒドロキシ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)アルコキシ、1個または複数のハロゲンで置換されている(C〜C)アルキル、1個または複数のハロゲンで置換されている(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキルニトリル、(C〜C)アルカノール、SR、およびNRからなる群から独立に選択されるシクロアルケニル部分を意味する。
【0036】
w.「シクロアルキルフェニル」とは、フェニル環の2個の炭素原子がシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチル環を形成するフェニル環を意味する。そのようなシクロアルキルフェニル部分の例には、インダニル、テトラヒドロナフチルなどを含む。
【0037】
x.「置換されていてもよいシクロアルキルフェニル」とは、シクロアルキルフェニル部分の最大3個の水素原子が置換基で置換されていてもよい、上記のシクロアルキルフェニル部分であって、各置換基がハロゲン、ニトリル、ヒドロキシ、(C〜C)アルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、(C〜C)アルコキシ、1個または複数のハロゲンで置換されている(C〜C)アルキル、1個または複数のハロゲンで置換されている(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキルニトリル、(C〜C)アルカノール、SR、およびNRからなる群から独立に選択されるシクロアルキルフェニル部分を意味する。
【0038】
y.「アンドロゲン」とは、ジヒドロテストステロンを含むがそれだけに限定されない、テストステロン、その前駆体および代謝産物、ならびに5α還元アンドロゲンを意味する。アンドロゲンとは、精巣、副腎、および卵巣に由来するアンドロゲン、ならびにすべての形態の天然、合成および置換または修飾アンドロゲンを意味する。
【0039】
z.「薬学的に許容できる塩」とは、化合物の実際の構造に応じて、「薬学的に許容できる酸付加塩」または「薬学的に許容できる塩基付加塩」のいずれかを意味するものとする。
【0040】
aa.「薬学的に許容できる酸付加塩」とは、式Iで表される塩基化合物の任意の無毒の有機または無機酸付加塩、あるいはその中間体のいずれかに当てはまるものとする。適切な塩を形成する例示的な無機酸には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、およびリン酸、ならびにオルトリン酸一水素ナトリウムおよび硫酸水素カリウムなどの酸金属塩を含む。適切な塩を形成する例示的な有機酸には、モノ、ジ、およびトリカルボン酸を含む。このような酸としては例えば、酢酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、桂皮酸、サリチル酸、2−フェノキシ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ならびにメタンスルホン酸および2−ヒドロキシエタンスルホン酸などのスルホン酸が例示できる。このような塩は、水和物の形態、または実質的に無水物の形態で存在することができる。一般に、これらの化合物の酸付加塩は水および各種親水性有機溶媒に可溶性であり、その遊離塩基の形態と比較して、一般に融点が高い。
【0041】
bb.「薬学的に許容できる塩基付加塩」とは、式Iで表される化合物の任意の無毒の有機または無機塩基付加塩、あるいはその中間体のいずれかに当てはまるものとする。適切な塩を形成する例示的な塩基には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、または水酸化バリウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物、アンモニア、ならびにメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、およびピコリンなどの脂肪族、脂環式、または芳香族有機アミンを含む。
【0042】
cc.「プロドラッグ」とは、例えば血液中の加水分解により、インビボで急速に転換して、上記式の親化合物を産生する化合物を意味する。T.HiguchiおよびV.Stella、「Pro−drugs as Novel Delivery Systems」、A.C.S.Symposium Series、Vol.14、およびBioreversible Carriers in Drug Design、Edward B.Roche編、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press、1987に十分な議論が提供され、いずれも参照により本明細書に組み込む。
【0043】
dd.「式Iの化合物」「本発明の化合物」および「本化合物」とは、本願を通して互換的に用いられ、同義語として扱うものとする。
【0044】
ee.「患者」とは、例えばモルモット、マウス、ラット、スナネズミ、ネコ、ウサギ、イヌ、サル、チンパンジー、およびヒトなどの温血動物を意味する。
【0045】
ff.「治療する」とは、患者の疾患(または状態)あるいは疾患に伴う任意の組織損傷を軽減、緩和するか、あるいはその進行を遅くする化合物の能力を意味する。
【0046】
式Iの化合物の一部は光学異性体として存在する。式Iで表される化合物の1種に対する本願での言及は、(明らかに除外されない限り)特定の光学異性体または光学異性体の混合物を含むものとする。特定の光学異性体は、キラル固定相を用いたクロマトグラフィーまたはキラル塩形成を介した分割、および引き続く選択的結晶化による分離など、当技術分野で公知の技術により分離、回収される。あるいは、出発材料として特定の光学異性体を用いることで、対応する異性体が最終生成物として生成される。
【0047】
さらに、本発明の化合物は、非溶媒和物の形態で、ならびに水、エタノールなどの薬学的に許容できる溶媒との溶媒和物の形態で存在する。一般に、溶媒和物の形態は、本発明では非溶媒和物の形態と等価であると見なされる。
【0048】
式Iの化合物の一部は、6−スルホンアミド−キノリン−2−オン核をベースとする。本発明をさらに例証するため、以下、この環を、その付番方式と共に説明する。
【0049】
【化2】

【0050】
キノリン核の1位は窒素原子を含む。この窒素原子は上記の低級アルキル基で置換されていてもよい。キノリン環の6位は、図1に示すSO部分で常に置換されている。キノリン核の3、5、7、または8位のいずれかは、Rについて記載したリストの置換基で置換されていてもよい。これらの位置のうち最大2つが置換されていてもよい。キノリン核の4位は、上記でRについて記載したハロゲン化低級アルキルまたはアルコキシ部分のうち1つで置換されていてもよい。通常、4位がトリフルオロメチル官能基で置換されている。
【0051】
残りの式Iの化合物は、6−スルホンアミド−2−オキソ−クロメン核をベースとする。本発明をさらに例証するため、以下、この環を、その付番方式と共に説明する。
【0052】
【化3】

【0053】
クロメン核の1位は酸素原子を含む。クロメン環の6位は、図1に示すSO部分で常に置換されている。クロメン核の3、5、7、または8位のいずれかは、Rについて記載したリストの置換基で置換されていてもよい。これらの位置のうち最大2つが置換されていてもよい。クロメン核の4位は、上記でRについて記載したハロゲン化低級アルキルまたはアルコキシ部分のうち1つで置換されていてもよい。通常、4位がトリフルオロメチル官能基で置換されている。
【0054】
本発明のより具体的な実施形態は式Iの化合物を対象とし、式中、
a.MはNZ(式中、ZはH)であり、Rはトリフルオロメチルであり、Rは存在せず、Bは水素であり、Aは置換されていてもよいフェニルを表す。
b.MはNZ(式中、ZはH)であり、Rはトリフルオロメチルであり、Rは存在せず、Bは水素またはC〜Cアルキルであり、AはC〜Cアルキル、より典型的にはC〜Cアルキルである。
c.MはNZ(式中、ZはH)であり、Rはトリフルオロメチルであり、Rは存在せず、Bは水素であり、AはC〜CアルキルR、より具体的にはC〜Cアルキルフェニル環である。
d.MはNZ(式中、ZはH)であり、Rはトリフルオロメチルであり、Rは存在せず、Bは水素であり、AはC〜CアルキルRであり、RはトリフルオロメチルまたはC〜Cアルキル、より具体的にはエチルで置換されているフェニルである。
e.MはNZ(式中、ZはH)であり、Rはトリフルオロメチルであり、Rは存在せず、Bは水素であり、AはC〜CアルキルRであり、Rはシクロアルケニル、典型的にはシクロヘキセニルである。
f.MはNZ(式中、ZはH)であり、Rはトリフルオロメチルであり、Rは存在せず、Bは水素であり、AはC〜CアルキルRであり、Rはシクロアルキルフェニルである。
g.MはNZ(式中、ZはH)であり、Rはトリフルオロメチルであり、Rは存在せず、Bは水素であり、AはC〜CアルキルRであり、Rは複素環である。
h.MはNZ(式中、ZはH)であり、Rはトリフルオロメチルであり、Rは存在せず、Bは水素であり、AはC〜CアルキルRであり、Rはヘテロアリールである。
【0055】
合成
上記式の化合物は、当技術分野で公知のスルホンアミドの調製方法にならった方法で調製できる。このような合成に関する詳細な議論は、J.March、Advanced Organic Chemistry、3rd edition、page 445、John Wiley & Sons(1985)を参照されたい。下記のスキームIに概略を示す。
【0056】
【化4】

【0057】
上述の通り、出発材料のうち1つは、塩化スルホニル部分で6位が官能化された、適切に置換されたキノリン−2−オンまたは2−オキソ−クロメン(すなわち、R、R、およびMは所望の化合物中のものと同じである)である(式II)。これらの化合物は、クロロスルホン酸を用い約140℃でクロロスルホン化してキノリン−2−オンおよび2−オキソ−クロメンの6位に塩化スルホニル部分を導入することにより生成されることができる。これらの反応は実施例で詳述する。このような反応が詳述されているFurnissら、Vogel’s Textbook of Practical Organic Chemistry、5th Edition、pages 877−879も参照されたい。
【0058】
もう1つの出発材料は、式IIIで表される適切に置換されたアミンである(すなわち、AおよびBは最終化合物中のものと同じである)。これらのアミンは通常、米国ミズーリ州セントルイスに本社を置くAldrich社から購入できる。詳しい情報はwww.sigmaaldrich.comでAldrich社から入手可能である。
【0059】
式Iのスルホンアミド誘導体は、式IIの塩化スルホニル誘導体と、式IIIで表される適切なアミンを、ピリジンまたはジイソプロピルエチルアミンなどの非求核性塩基の存在下、およそ室温で、N,N’−ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性溶媒中で反応させることで調製される。反応は、通常2〜24時間かけて進行して完了する。必要に応じて、抽出およびフラッシュクロマトグラフィーなどの当技術分野で公知の技術を用いて、本化合物を単離、精製することができる。これらの反応は実施例で詳述する。
【0060】
医療および化粧品用途
式Iの化合物は、アンドロゲン受容体アンタゴニストである。アンドロゲン受容体の不適切な活性化に伴う任意の状態を緩和するのに用いられる。そのような状態の例には、前立腺癌、前立腺肥大症、ざ瘡、男性型多毛症、脂漏症、脱毛症、月経前症候群、肺癌、および思春期早発症を含む。
【0061】
上述の治療特性を発揮するために、本化合物は、アンドロゲン受容体の活性化を阻害するのに十分な量で投与する必要がある。このアンタゴニストとしての量は、治療される特定の疾患/状態、患者の疾患/状態の重症度、患者、投与される特定の化合物、投与経路、および患者内の他の潜在する疾患状態の存在などに応じて異なる。全身投与の場合、本化合物は通常、上記で列挙した疾患または状態のいずれかに対して、約0.1mg/kg/日〜約100mg/kg/日の範囲の投与量で作用する。1日複数回投与することが望ましいことがあるが、上記で概説した状態に応じて異なる。
【0062】
本発明の化合物は様々な経路で投与される。経口投与が効果的である。本化合物は、非経口(すなわち、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、またはくも膜下腔内)投与、直腸投与、あるいは局所投与してもよい。
【0063】
典型的な一実施形態では、本化合物は局所投与される。局所投与は、男性型多毛症、脱毛症、ざ瘡および過脂漏症に特に適している。投与量は異なるが、一般的な指針として、本化合物は皮膚科学的に許容できる担体中、0.1〜10重量%の量で存在し、外皮用剤は患部に1日1〜4回適用する。「皮膚科学的に許容できる」とは、皮膚または毛髪に適用でき、薬物が作用部位に拡散するのを可能にする担体を意味する。より具体的には、作用部位とは、アンドロゲン受容体の活性化の阻害が望ましい部位を意味する。さらなる一実施形態では、本化合物は、脱毛症、特に円形脱毛症を軽減するのに局所使用される。アンドロゲンは、育毛と脱毛の両方に著しい作用を有する。あごひげや恥骨上皮膚など大部分の身体部位で、アンドロゲンは、毛周期の増殖相(発育相)を延長し、濾胞径を大きくすることで育毛を促進する。頭皮上の育毛にアンドロゲンは必要ないが、逆説的なことに、発育相の期間と毛濾胞のサイズの低下が進行する、遺伝的素因を有する個人の頭皮上における脱毛(アンドロゲン性脱毛症)には、アンドロゲンを必ず伴う。思春期前に去勢した男性では、あごひげが生えず、禿げることもない。その後テストステロンで治療すると、被去勢男性の3分の1が禿げる。アンドロゲン性脱毛症は女性でも一般的であり、男性におけるパターンと異なり、女性では通常広範囲で脱毛する。
【0064】
本願では、「脱毛症」は頭皮上の部分または完全脱毛を意味するものとして用いる。本化合物は通常、アンドロゲン性脱毛症を緩和するのに用いられる。この状態は男性と女性の両方の悩みである。男性では、脱毛は外側前頭部または頭頂部全体から始まる。女性では通常、脱毛によって前頭部および頭頂部の毛髪が薄くなる。女性で完全に脱毛することは稀である。
【0065】
本化合物は最も典型的には、アンドロゲン性脱毛症を緩和するのに用いられるが、本発明はこの特定の状態に限定されない。本化合物は任意の種類の脱毛症の緩和に用いられる。非アンドロゲン性脱毛症としては例えば、円形脱毛症、放射線療法または化学療法による脱毛症、瘢痕性脱毛症、ストレス関連脱毛症などが挙げられる。
【0066】
したがって、本化合物を頭皮および毛髪に局所適用して、脱毛を予防または緩和することができる。さらに、本化合物を局所適用して、頭皮上の毛髪の成長を誘発または促進することができる。
【0067】
本発明のさらなる一実施形態では、式Iの化合物を局所適用して、そのような育毛が望ましくない部位での毛髪の成長を防ぐ。そのような使用の1つは、男性型多毛症を緩和するための使用である。男性型多毛症とは、通常は毛髪を有さない部位(例えば女性の顔)における過度の育毛のことである。そのような不適切な育毛は最も一般的には女性に生じ、閉経期に頻繁にみられる。本化合物を局所投与することでこの状態が緩和され、この不適切または望ましくない育毛が減少するかまたは排除される。
【0068】
本化合物を局所使用して、脂漏産生を減少、より具体的には過脂漏症(脂性肌)を緩和することもできる。また、本化合物を局所使用して、ざ瘡を緩和することもできる。
【0069】
製剤
必要に応じて、本化合物は担体なしで直接投与できる。ただし、投与を容易にするため、通常は医薬担体に製剤化される。また、最も典型的には、皮膚科学的担体または化粧品担体に製剤化される。本願では、「皮膚科学的担体」および「化粧品」担体という用語は互換的に用いる。これら担体は、皮膚または毛髪に直接投与するための製剤を意味する。
【0070】
医薬および化粧品組成物は、当技術分野で公知の技術を用いて製造される。通常、本化合物のアンタゴニストとしての量を薬学的/化粧品的に許容できる担体と混合する。
【0071】
経口投与では、本化合物は、カプセル剤、丸剤、錠剤、舐剤、メルト剤、散剤、懸濁液剤、または乳剤などの固体または液体製剤に製剤化することができる。固体単位剤形は、例えば界面活性剤、滑沢剤、ならびにラクトース、スクロース、およびコーンスターチなどの不活性充填剤を含む普通のゼラチン型のカプセルであるか、あるいは徐放性製剤である。
【0072】
別の一実施形態では、式Iの化合物は、ラクトース、スクロース、およびコーンスターチなど従来の錠剤基剤と、アラビアゴム、コーンスターチ、またはゼラチンなどの結合剤、ポテトスターチまたはアルギニン酸などの崩壊剤、およびステアリン酸またはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤との組み合わせを用いて錠剤化される。液体製剤は、水性または非水性の薬学的に許容できる溶媒に活性成分を溶解させることで調製され、当技術分野で公知の懸濁化剤、甘味剤、香味剤および防腐剤を含んでいてもよい。
【0073】
非経口投与では、本化合物は、生理的に許容できる医薬担体に溶解し、溶液剤または懸濁液剤として投与される。適切な医薬担体としては、水、生理食塩水、デキストロース溶液、フルクトース溶液、エタノール、あるいは動物、植物、または合成起源の油が例示される。医薬担体はまた、当技術分野で公知の防腐剤、緩衝剤などを含んでいてもよい。本化合物をくも膜下腔内に投与する際に、当技術分野で公知の脳脊髄液に溶解してもよい。
【0074】
通常、本発明の化合物は局所投与される。本明細書では、局所の(topical)とは、化合物(および場合によって担体)を皮膚または毛髪に直接適用することを意味するものとして用いる。本発明の局所用組成物は、溶液、ローション、軟膏(salve)、クリーム、軟膏(ointment)、リポソーム、スプレー、ゲル、ローラースティック、またはミセルおよび薬学的に許容できる浸透促進剤を用いた任意の他の方法の形態である。
【0075】
したがって、さらなる一実施形態は、上記の式Iに対応する化合物の少なくとも1種を含む、化粧品または医薬組成物、特に皮膚科用組成物に関する。このような皮膚科用組成物は、0.001〜10重量%の本化合物と皮膚科学的に許容できる担体との混合物、より典型的には0.1〜5重量%の本化合物を含む。このような組成物は通常1日1〜4回適用される。
【0076】
本発明の組成物はまた、クレンジングソープまたはバーを構成する固形製剤からなることもある。これらの組成物は常法に従って調製される。
【0077】
本化合物はまた、頭髪用に、水溶液、アルコール溶液または水−アルコール溶液の形態で、あるいはクリーム、ゲル、エマルションまたはムースの形態で、あるいは加圧下噴霧剤をも含むエアロゾル組成物の形態でも用いることができる。本発明の組成物はまた、ヘアケア組成物、特にシャンプー、ヘアセットローション、トリートメントローション、スタイリングクリームまたはゲル、染色シャンプーの形態であってもよい染料組成物(特に酸化染料組成物)、頭髪再構築用ローション、パーマ用組成物(特にパーマ操作の第1段階用の組成物)、脱毛防止用のローションまたはゲルなどでもありうる。本発明の皮膚科用組成物中の各種構成成分の量は、対象分野で慣習的に使用される量である。
【0078】
通常、本発明の化合物を含む医薬および化粧品は、小売用に包装(すなわち製品化)される。そのような物品は、製品の使用法を患者に指示するようラベリングおよび包装される。そのような指示には、治療の対象となる状態、治療期間、投与スケジュールなどが含まれる。
【0079】
式Iの化合物を任意の不活性担体と混合し、当技術分野で公知のような、患者の血清、尿などにおける本化合物の濃度を測定するための研究室アッセイに使用してもよい。本化合物は研究ツールとして用いてもよい。
【0080】
本発明をその具体的実施形態について説明したが、本発明はさらなる変形が可能であると理解されたい。本願は、本発明の原理に一般的に従い、また、当発明が属する技術分野での公知または慣行の範囲内にあるような本開示からの逸脱を含む、本発明の任意の変形、使用、または適合を包含するものとする。以下の実施例および生物学的データを、本発明をさらに説明するために提示する。本開示は、いかなる方法によっても本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0081】
材料および方法
カラムクロマトグラフィーをSiO(40〜63メッシュ)上で行った。LCMSデータは、Phenomenex Mercury Luna 3μ C18カラム(2×10mm、流量=1.5mL/分−1)を用い、0.1%HCOHを含有する5% MeCNのHO−MeCN溶液(4:1〜1:4)で2.55分にわたって溶出し、ダイオードアレイ検出することで得た。マススペクトルは、正(ES)および負(ES)イオンモードのエレクトロスプレーイオン源を用いて得た。分取液体クロマトグラフィーによる質量分析用精製は、Waters Xterra 5μ C18カラムを用いて、HCOHを0.1%含む5% MeCNのHO−MeCN溶液(4:1〜1:4)で7分にわたって溶出し、ダイオードアレイ検出を行うことで行った。H NMRスペクトルは、400MHzで、Varian Mercury分光計を用いて27℃で記録した。重水素化した溶媒をロックとして用い、残りの溶媒のピークを内部標準として用いた。頭字語:DMAP=4−ジメチルアミノピリジン、HATU=O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサウルオロホスフェート、NMP=1−メチル−2−ピロリジノン、PE=石油エーテル(沸点=60〜80℃)、RT=保持時間。
【0082】
出発材料の調製
調製例1:塩化1−メチル−2−オキソ−4−トリフルオロメチル−1,2−ジヒドロキノリン−6−スルホニル
【0083】
【化5】

4−トリフルオロメチル−1H−キノリン−2−オン(4.00g、18.8mmol)のDMF(160mL)溶液にKOH(10.54g、188.0mmol)を加えた。1時間後、混合物をMeI(11.7mL、188.0mmol)で処理した後、終夜攪拌を続けた。EtOAc(200mL)を加えた後、飽和NHCl水溶液を加えて水溶液のpHを6.5に調整した。層分離後、水相をさらにEtOAc(2×200mL)で抽出した。混合有機抽出物をHO(200mL)および食塩水(200mL)で洗浄した後、乾燥した(MgSO)。濾過、溶媒留去、およびカラムクロマトグラフィー(PE−EtOAc、4:1〜7:3)により1−メチル−4−トリオフルオロメチル−1H−キノリン−2−オン(4.00g、94%)を得た。δ((CDSO)=3.65(s,3H)、7.10(s,1H)、7.40(t,1H)、7.65〜7.80(m,3H)。発煙性HSO(発煙硫酸30%、17.5mL)に、この化合物(8.70g、38.3mmol)を区分けして、20分にわたって攪拌しながら84℃で加えた。浴温度を1時間かけて120℃に上昇させた後、20℃に再び冷却した。その後すぐ、混合物を飽和NaCl水溶液(60mL)にゆっくりと加え、30分間攪拌した。生成した固形物を回収、減圧下50℃で乾燥して1−メチル−2−オキソ−4−トリフルオロメチル−1,2−ジヒドロキノリン−6−スルホン酸ナトリウムを得た。δ((CDSO)=3.65(s,3H)、7.10(s,1H)、7.65(d,1H)、7.95(dd,1H)、8.00(d,1H)。この化合物をMeCN−スルホラン(1:1、52mL)に懸濁した後、POCl(18.8mL、201.7mmol)で処理した。混合物を1.5時間かけて88℃に加熱した後、0.5時間にわたって20℃に冷却した。5℃未満に冷却したとき、氷冷HO(128mL)を加え、温度を7℃未満に維持した。混合物を0℃で20分間攪拌した後、形成された固形物を回収し、HOで洗浄し、乾燥後、標記化合物(9.62g、73%)を得た。δ(CDCl)=3.80(s,3H)、7.25(s,1H)、7.65(d,1H)、8.25(dd,1H)、8.50(d,1H)。
【0084】
調製例2:塩化2−オキソ−4−トリフルオロメチル−2H−クロメン−6−スルホニル
【0085】
【化6】

4−トリフルオロメチルクロメン−2−オン(5.00g、23.3mmol)をスルホン化した後、実施例1に記載のようにNaCl処理を行って、2−オキソ−4−トリフルオロメチル−2H−クロメン−6−スルホン酸ナトリウムを得た。δ((CDSO)=7.10(s,1H)、7.45(d,1H)、7.90(dd,1H)、7.95(d,1H)。この化合物をPOCl(10.3mL、110.5mmol)と反応させて標記化合物(5.48g、75%)を得た。δ(CDCl)=7.00(s,1H)、7.70(d,1H)、8.30(dd,1H)、8.40(d,1H)。
【0086】
調製例3:塩化2−オキソ−4−トリフルオロメチル−1,2−ジヒドロキノリン−6−スルホニル
【0087】
【化7】

4−トリフルオロメチル−1H−キノリン−2−オン(5.00g、23.5mmol)を、ClSOH(3.1mL,47.0mmol)を用いて0℃で処理した。次に、混合物を攪拌しながら7時間かけて140℃に加熱した。氷冷HO(50mL)を加えて冷却した。生成した固形物を回収、乾燥して標記化合物(2.93g、41%)を得た。δ(CDCl)=7.20(s,1H)、7.60(d,1H)、8.20(dd,1H)、8.50(d,1H)。
【0088】
式Iの化合物の調製
(実施例1)
1−メチル−2−オキソ−4−トリフルオロメチル−1,2−ジヒドロキノリン−6−スルホン酸フェニルアミド
【0089】
【化8】

ピリジン(17μL、220μmol)を塩基として用い、塩化1−メチル−2−オキソ−4−トリフルオロメチル−1,2−ジヒドロキノリン−6−スルホニル(調製例1、65mg、200μmol)の無水DMF(1.5mL)溶液をPhNH(19μL、210μmol)と接触させた後、N下で終夜攪拌した。反応混合物をEtOAc(70mL)で希釈した後、HO(30mL)、1M HCl(30mL)、HO(30mL)、飽和NaHCO水溶液(30mL)、HO(30mL)、および食塩水(30mL)で洗浄した。乾燥(MgSO)後、有機相を濾過、濃縮して残渣を得、それをEtOAc−PEから再結晶して標記化合物(39mg、50%)を得た。δ((CDSO)=3.60(s,3H)、7.00(s,1H)、7.10(d,2H)、7.15〜7.20(m,3H)、7.80(d,1H)、8.00〜8.05(m,2H);m/z(ES)=383.1[M+H]
【0090】
(実施例2)
2−オキソ−4−トリフルオロメチル−1,2−ジヒドロキノリン−6−スルホン酸フェニルアミド
【0091】
【化9】

実施例1と同様の手順に従って、ピリジン(14μL、168μmol)を塩基として用い、塩化2−オキソ−4−トリフルオロメチル−1,2−ジヒドロキノリン−6−スルホニル(調製例3、50mg、160μmol)をPhNH(15μL、168μmol)と縮合して標記化合物(11mg、17%)を得た。δ((CDSO)=7.00(s,1H)、7.05〜7.10(m,3H)、7.20(m,2H)、7.50(d,1H)、7.90(dd,1H)、8.00(d,1H);m/z(ES)=369.1[M+H]
【0092】
(実施例3)
2−オキソ−4−トリフルオロメチル−1,2−ジヒドロキノリン−6−スルホン酸ベンジルアミド
【0093】
【化10】

実施例1で述べたような塩基としてNEt(8μL、57μmol)を用い、塩化2−オキソ−4−トリフルオロメチル−1,2−ジヒドロキノリン−6−スルホニル(調製例3、16mg、51μmol)をBnNH(7μL、54μmol)と縮合して標記化合物(18mg、90%)を得た。δ((CDSO)=4.00(d,2H)、7.05(s,1H)、7.10〜7.20(m,5H)、7.50(d,1H)、7.95(dd,1H)、8.00(d,1H)、8.30(t,1H);m/z(ES)=381.0[M−H]
【0094】
(実施例4〜67)
1−メチル−2−オキソ−4−トリフルオロメチル−1,2−ジヒドロキノリン−6−スルホン酸アミド、2−オキソ−4−トリフルオロメチル−2H−クロメン−6−スルホン酸アミド、(表1)
【0095】
【化11】

これらの化合物は溶液相並列合成により調製した。式IIIで表される適切なアミン(0.33M NMP溶液30μL、9.9μmol)、i−PrNEt(0.50M NMP溶液20μL、10.0μmol)、および式IIの塩化スルホニル(0.20M NMP溶液50μL、10.0μmol)を、自動リキッドハンドラーを用いて、96ウェルプレートの1ウェル中で混合した。66時間攪拌後、溶媒を減圧下で留去し、DMF(50μL)を加えた。溶解を確実にするために、混合物を振とうした後、EtOAc(450μL)で処理した。自動液−液抽出装置を用い、溶液をHO(150μL)および1%NaHCO水溶液(150μL)で洗浄した。有機層を濃縮して表1に示す化合物を得た。
【0096】
【表1−1】

【0097】
【表1−2】

【0098】
【表1−3】

【0099】
【表1−4】

【0100】
【表1−5】

【0101】
【表1−6】

【0102】
【表1−7】

【0103】
(実施例68〜160)
2−オキソ−4−トリフルオロメチル−1,2−ジヒドロキノリン−6−スルホン酸アミド(表2)
【0104】
【化12】

実施例4〜67について上記した手順を用い、式IIIの適切なアミン(0.33M NMP溶液120μL、39.6μmol)と、塩化2−オキソ−4−トリフルオロメチル−1,2−ジヒドロキノリン−6−スルホニル(0.20M NMP溶液200μL、40.0μmol)を、i−PrNEt(0.50M NMP溶液80μL、40.0μmol)の存在下で反応させた。NMPを留去した後、残渣をDMSO(450μL)に溶解し、次いで分取液体クロマトグラフィーによる質量分析用精製をして表2に示す化合物を得た。
【0105】
【表2−1】

【0106】
【表2−2】

【0107】
【表2−3】

【0108】
【表2−4】

【0109】
【表2−5】

【0110】
【表2−6】

【0111】
【表2−7】

【0112】
【表2−8】

【0113】
【表2−9】

【0114】
【表2−10】

【0115】
【表2−11】

【0116】
(実施例162)
生物学的データ
アンドロゲン受容体上でのアンドロゲンの作用と拮抗する本化合物の能力を、すぐ下に記載のプロトコルで測定した。結果を表3に示す。
【0117】
ARアンタゴニスト細胞アッセイの実験手順
細胞系:MDA−MB453−MMTVクローン54−19。この細胞系は、MDA−MB453細胞バックグラウンド(高レベルのアンドロゲン受容体を発現するヒト乳房腫瘍細胞)を有する、安定な形質移入細胞系である。まず、ARE含有MMTV最小プロモーターを、ホタルルシフェラーゼレポーター遺伝子の前にクローニングした。次に、そのカスケードを形質移入ベクターpUV120puroにクローニングした。電気穿孔法を用いてMDA−MB−453細胞に形質移入した。ピューロマイシン耐性安定細胞系を選択した。
【0118】
細胞培養培地および試薬
培養培地:DMEM(高グルコース、Gibcoカタログ番号:11960−044)、FBS10%、L−グルタミン1%
播種培地:DMEM(フェノールレッドを含まず)、木炭処理HyClone血清10%、L−グルタミン1%
アッセイ培地:DMEM(フェノールレッドを含まず)、木炭処理HyClone血清1%、L−グルタミン1%、およびペニシリン/ストレプトマイシン1%
3Xルシフェラーゼ緩衝液:細胞溶解用緩衝液中β−メルカプトエタノール2%、ATP0.6%、ルシフェリン0.0135%
【0119】
アッセイ手順
1.細胞を培養培地中に保ち、集密度が80〜90%に達した時点で細胞を分割
2.本化合物を試験するため、10,000細胞/ウェルを、100μl/ウェル播種培地中の不透明96細胞培養プレートに播種し、細胞培養インキュベーター中で終夜、37℃で培養
3.注意深く播種培地を除去した後、予め加熱したアッセイ培地80μl/ウェルを加え、試験化合物10μl/ウェル(最終濃度10μMまたは1μM)を加え、37℃で30分間インキュベート
4.新たに調製したDHT10μl/ウェル(最終濃度100pM)を各ウェルに加え、37℃で17時間(終夜)インキュベート
5.3Xルシフェラーゼ緩衝液50μl/ウェルを加え、室温で5分間インキュベート後、ルミノメーターを用いてカウント
【0120】
試験化合物が存在しない条件でのDHT100pMによるバックグラウンドに対する誘導倍率を100%として標準化し、実験結果を試験化合物による阻害百分率として表す。
【0121】
【表3−1】

【0122】
【表3−2】

【0123】
【表3−3】

【0124】
【表3−4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式の化合物
【化1】

(式中、
a.MはNZまたはOであり、
b.ZはHまたは(C〜C)アルキルを表し、
c.Rは、水素、1個または複数のハロゲンで置換されていてもよい(C〜C)アルキル、あるいは1個または複数のハロゲンで置換されていてもよい(C〜C)アルコキシを表し、
d.Rは、存在しないか、あるいはハロゲン、ニトリル、ヒドロキシ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)アルコキシ、1個または複数のハロゲンで置換されている(C〜C)アルキル、1個または複数のハロゲンで置換されている(C〜C)アルコキシ、SR、およびNRからなる群から選択される最大2個の置換基を表してもよく、
e.Rは、水素、置換されていてもよいフェニル、(C〜C)アルキル、または置換されていてもよいベンジルを表し、
f.Rは、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいヘテロアリール、または置換されていてもよい複素環を表し、
g.AおよびBはそれぞれ独立に、水素、1個または複数のハロゲンで置換されていてもよい(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、置換されていてもよい(C〜C)シクロアルキル、置換されていてもよい(C〜C)シクロアルケニル、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいシクロアルキルフェニル、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよいヘテロアリール、(C〜C)アルキルR、−(CH−R−Y[−CH−X−R、および−(CHCHXからなる群から選択される置換基を表し、
h.Rは、ニトリル、OH、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいシクロアルキルフェニル、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよい(C〜C)シクロアルキル、置換されていてもよい(C〜C)シクロアルケニル、SR、およびNRからなる群から選択される置換基を表し、
i.Rは、存在しないか、あるいは置換されていてもよい(C〜C)シクロアルキル、置換されていてもよい(C〜C)シクロアルケニル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよい複素環、および置換されていてもよいフェニルからなる群から選択される置換基を表し、
j.Rは、存在しないか、あるいは1個または複数のハロゲンで置換されていてもよい(C〜C)アルキル、置換されていてもよい(C〜C)シクロアルキル、置換されていてもよい(C〜C)シクロアルケニル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよいフェニル、および置換されていてもよいシクロアルキルフェニルからなる群から選択される置換基を表し、
k.mは0、1、2、3、または4から選択される整数であり、
l.Yは、存在しないか、あるいはO、C(O)、C(O)O、CHC(O)O、OH、SH、またはSを表し、
m.nは0、1、2、3、または4から選択される整数を表し、
n.Xは、存在しないか、あるいはO、C(O)、C(O)O、CHC(O)O、OH、SH、またはSを表し、
o.qは0、1、2、3、または4から選択される整数を表し、
p.Xは、置換されていてもよい(C〜C)シクロアルキル、置換されていてもよい(C〜C)シクロアルケニル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよいフェニル、および置換されていてもよいシクロアルキルフェニルからなる群から選択される置換基を表し、
q.Xは、置換されていてもよい(C〜C)シクロアルキル、置換されていてもよい(C〜C)シクロアルケニル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよいフェニル、および置換されていてもよいシクロアルキルフェニルからなる群から選択される置換基を表す)、ならびに
r.薬学的に許容できるその塩、溶媒和物、およびプロドラッグ。
【請求項2】
がトリフルオロメチルを表し、Rが水素であり、MがNZ(式中、Zは水素またはCH)である、請求項1または3から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項3】
Aが置換されていてもよいフェニル、(C〜C)アルキル、C〜Cアルカノール、または(C〜C)アルキルR(式中、Rは置換されていてもよいフェニル)を表す、請求項1、2または4から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項4】
Bが水素または(C〜C)アルキルである、請求項1、2、3、または5から10のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物の、医薬としての使用。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物の、アンドロゲン受容体の活性化を阻害する薬物の製造における使用。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物の、脱毛症、ざ瘡、脂性肌、前立腺癌、男性型多毛症、および前立腺肥大症からなる群から選択される状態を緩和するための薬物の製造における使用。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物と1つまたは複数の薬学的に許容できる賦形剤との混合物を含む医薬組成物。
【請求項9】
請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物と1つまたは複数の薬学的に許容できる賦形剤との混合物を含む、皮膚適用に適した局所用医薬製剤。
【請求項10】
請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物を含む、小売用に包装された製品であって、前記化合物を用いてざ瘡、脱毛症、および脂性肌からなる群から選択される状態を緩和する方法を消費者に教示する製品。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式の化合物
【化1】

(式中、
a.MはNZであり、
b.ZはHまたは(C〜C)アルキルを表し、
c.Rは、水素、1個または複数のハロゲンで置換されていてもよい(C〜C)アルキル、あるいは1個または複数のハロゲンで置換されていてもよい(C〜C)アルコキシを表し、
d.Rは、存在しないか、あるいはハロゲン、ニトリル、ヒドロキシ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)アルコキシ、1個または複数のハロゲンで置換されている(C〜C)アルキル、1個または複数のハロゲンで置換されている(C〜C)アルコキシ、SR、およびNRからなる群から選択される最大2個の置換基を表してもよく、
e.Rは、水素、置換されていてもよいフェニル、(C〜C)アルキル、または置換されていてもよいベンジルを表し、
f.Rは、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいヘテロアリール、または置換されていてもよい複素環を表し、
g.AおよびBはそれぞれ独立に、水素、1個または複数のハロゲンで置換されていてもよい(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、
h.置換されていてもよい(C〜C)シクロアルキル、置換されていてもよい(C〜C)シクロアルケニル、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいシクロアルキルフェニル、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよいヘテロアリール、(C〜C)アルキルR、−(CH−R−Y[−CH−X−R、および−(CHCHXからなる群から選択される置換基を表し、
i.Rは、ニトリル、OH、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいシクロアルキルフェニル、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよい(C〜C)シクロアルキル、置換されていてもよい(C〜C)シクロアルケニル、SR、およびNRからなる群から選択される置換基を表し、
j.Rは、存在しないか、あるいは置換されていてもよい(C〜C)シクロアルキル、置換されていてもよい(C〜C)シクロアルケニル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよい複素環、および置換されていてもよいフェニルからなる群から選択される置換基を表し、
k.Rは、存在しないか、あるいは1個または複数のハロゲンで置換されていてもよい(C〜C)アルキル、置換されていてもよい(C〜C)シクロアルキル、置換されていてもよい(C〜C)シクロアルケニル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよいフェニル、および置換されていてもよいシクロアルキルフェニルからなる群から選択される置換基を表し、
l.mは0、1、2、3、または4から選択される整数であり、
m.Yは、存在しないか、あるいはO、C(O)、C(O)O、CHC(O)O、OH、SH、またはSを表し、
n.nは0、1、2、3、または4から選択される整数を表し、
o.Xは、存在しないか、あるいはO、C(O)、C(O)O、CHC(O)O、OH、SH、またはSを表し、
p.qは0、1、2、3、または4から選択される整数を表し、
q.Xは、置換されていてもよい(C〜C)シクロアルキル、置換されていてもよい(C〜C)シクロアルケニル、
r.置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよいフェニル、および置換されていてもよいシクロアルキルフェニルからなる群から選択される置換基を表し、
s.Xは、置換されていてもよい(C〜C)シクロアルキル、置換されていてもよい(C〜C)シクロアルケニル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよいフェニル、および置換されていてもよいシクロアルキルフェニルからなる群から選択される置換基を表す)、ならびに
薬学的に許容できるその塩、溶媒和物、およびプロドラッグ。
【請求項2】
がトリフルオロメチルを表し、Rが水素であり、MがNZ(式中、Zは水素またはCH)である、請求項1または3から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項3】
Aが置換されていてもよいフェニル、(C〜C)アルキル、C〜Cアルカノール、または(C〜C)アルキルR(式中、Rは置換されていてもよいフェニル)を表す、請求項1、2または4から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項4】
Bが水素または(C〜C)アルキルである、請求項1、2、3、または5から10のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物の、医薬としての使用。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物の、アンドロゲン受容体の活性化を阻害する薬物の製造における使用。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物の、脱毛症、ざ瘡、脂性肌、前立腺癌、男性型多毛症、および前立腺肥大症からなる群から選択される状態を緩和するための薬物の製造における使用。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物と1つまたは複数の薬学的に許容できる賦形剤との混合物を含む医薬組成物。
【請求項9】
請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物と1つまたは複数の薬学的に許容できる賦形剤との混合物を含む、皮膚適用に適した局所用医薬製剤。
【請求項10】
請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物を含む、小売用に包装された製品であって、前記化合物を用いてざ瘡、脱毛症、および脂性肌からなる群から選択される状態を緩和する方法を消費者に教示する製品。

【公表番号】特表2006−520780(P2006−520780A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506374(P2006−506374)
【出願日】平成16年3月17日(2004.3.17)
【国際出願番号】PCT/IB2004/000856
【国際公開番号】WO2004/083204
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(503181266)ワーナー−ランバート カンパニー リミティド ライアビリティー カンパニー (167)
【Fターム(参考)】