説明

イオン注入装置及びイオン注入方法

【課題】イオン電流量の低下を抑えつつ、原料ガスの使用量を低減させることが可能なイオン注入装置及びイオン注入方法を提供する。
【解決手段】イオン注入装置10は、イオンビ−ムを引き出すイオン源12と、半導体基板30(ターゲット)にイオン注入を行う注入室20と、注入室20へガスを導入するガス導入部11を備えている。そして、注入室20へ導入されるガスは、原料ガスと不活性ガスとの混合ガスであり、原料ガスのみを注入室20へ導入したときのイオン電流量が最大となる流量をXaとしたときに、混合ガスの総流量が0.7Xa以上、且つ、原料ガスの流量が0.4Xa以上(原料ガスがBFを主体として構成される場合は、原料ガスの流量が0.3Xa以上)となるように設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン注入装置及びイオン注入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体基板などのターゲットに所定のイオンを注入するイオン注入装置が知られている。イオン注入装置は、イオンビ−ムを引き出すイオン源と、ターゲットにイオン注入を行う注入室と、注入室へ原料ガスを導入するガス導入部を備えている。例えば、このようなイオン注入装置としては、特許文献1、2に示すものが知られている。
【0003】
特許文献1には、半導体デバイス製造用のイオン注入装置等に用いられるイオン源が記載されている。そして、このイオン源は、プラズマ生成容器(2)の壁面に設けられた2つのガス導入口(6)と、この各ガス導入口(6)にそれぞれ接続されていて、各ガス導入口(6)を経由して有機金属ガス(28)及び不活性ガス(32)をプラズマ生成容器(2)内にそれぞれ導入するガス導入管(26)、(30)とを備えている。
【0004】
特許文献2には、注入するイオンを発生させるアークチャンバー(5)と、該アークチャンバー(5)に接続されたガス導入管(4)と、該ガス導入管(4)にイオンソースガスを供給するイオンソースガスボンベ(1a)〜(1c)と、該ガス導入管(4)に、該イオンソースガスに対して20Vol%以下のアルゴンガスを供給するアルゴンガスボンベ(2)とを備えたイオン注入装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−35401号公報
【特許文献2】特開2000−306543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、製造コストを削減するために、原料ガスの使用量をできるだけ少なく抑えたいという要望がある。しかしながら、注入室へ導入する原料ガスの流量を減らしてしまうと、プラズマが不安定になりやすく、所望のイオン電流量が得られ難いといった問題がある。
【0007】
一方で、上記特許文献1では、原料ガスである有機金属ガスとともに不活性ガスをプラズマ生成容器内に導入することで、有機金属ガスの流量を少なくするようにしている。しかし、この特許文献1では、原料ガスに有機金属ガスを使用するがゆえ、この有機金属ガスをプラズマ化することにより発生する強い反応性を持つ活性分子や活性原子によってプラズマ生成容器内のフィラメントや電極などの部品が変質してしまうのを抑えるために、有機金属ガスの流量を少なくして不活性ガスを導入しているのであり、製造コストを削減することを目的としておらず、また、所望のイオン電流量を得るための設定など何ら記載されていなかった。
【0008】
また、上記特許文献2では、イオン発生源からイオンを引き出す経路に汚れが付着するのを抑制するために、原料ガス(イオンソースガス)にアルゴンガス(不活性ガス)を混合しているが、原料ガスの流量を変えずにさらにアルゴンガスを添加しているため、原料ガスの使用量を減らすことはできず、また、アークチャンバー内の圧力が増加してプラズマが不安定になりやすく、イオン電流量の低下が避けられなかった。
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、イオン電流量の低下を抑えつつ、原料ガスの使用量を低減させることが可能なイオン注入装置及びイオン注入方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、イオンビ−ムを引き出すイオン源と、ターゲットにイオン注入を行う注入室と、前記注入室へガスを導入するガス導入部を備えたイオン注入装置であって、前記注入室へ導入されるガスは、原料ガスと不活性ガスとの混合ガスであり、前記原料ガスのみを前記注入室へ導入したときのイオン電流量が最大となる流量をXaとしたときに、前記混合ガスの総流量が0.7Xa以上、且つ、前記原料ガスの流量が0.4Xa以上となるように設定されていることを特徴とする。
【0011】
また、第2の発明は、イオンビ−ムを引き出すイオン源と、ターゲットにイオン注入を行う注入室と、前記注入室へガスを導入するガス導入部を備えたイオン注入装置であって、前記注入室へ導入されるガスは、BFを主体とした原料ガスと、不活性ガスとの混合ガスであり、前記原料ガスのみを前記注入室へ導入したときのイオン電流量が最大となる流量をXaとしたときに、前記混合ガスの総流量が0.7Xa以上、且つ、前記原料ガスの流量が0.3Xa以上となるように設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明では、ガス導入部により注入室へ導入されるガスは、原料ガスと不活性ガスとの混合ガスとなっている。そして、原料ガスのみを注入室へ導入したときのイオン電流量が最大となる流量をXaとしたときに、混合ガスの総流量が0.7Xa以上、且つ、原料ガスの流量が0.4Xa以上となるように設定されている。
【0013】
本発明者が鋭意研究した結果、原料ガスのみを注入室へ導入したときのイオン電流量が最大となる流量(Xa)を基準として、混合ガスの総流量及び原料ガスの流量を適切に設定することで、イオン電流量の低下を抑えることができることを見いだした。すなわち、原料ガスのみを注入室へ導入したときのイオン電流量が最大となる流量(Xa)と略同程度以上(0.7Xa以上)となるように混合ガスの総流量を設定することで、プラズマを安定化でき、イオン電流量の低下を抑えることができる。
また、原料ガスの流量を少なくするとプラズマが不安定になってイオン電流量が低下しやすくなるが、このように、混合ガスの総流量が0.7Xa以上、且つ、原料ガスの流量が0.4Xa以上となるように設定すれば、原料ガスの使用量を所定量よりも減少させた場合でもイオン電流量の低下を抑えることができる(すなわち、イオン電流量の低下を抑えつつ、原料ガスの使用量を低減させることが可能となる。)。
【0014】
請求項2の発明では、原料ガスに、PH、若しくは、AsHのいずれかを主体としたガスを用いるようにしている。
このように、一般的に、シリコンなどの半導体の不純物導入に用いられるPH、若しくは、AsHを用いることで、より汎用性を高めることができる。
【0015】
請求項3の発明では、注入室へ導入されるガスは、BFを主体とした原料ガスと、不活性ガスとの混合ガスとなっている。そして、原料ガスのみを注入室へ導入したときのイオン電流量が最大となる流量をXaとしたときに、混合ガスの総流量が0.7Xa以上、且つ、原料ガスの流量が0.3Xa以上となるように設定されている。
このように、原料ガスのみを注入室へ導入したときのイオン電流量が最大となる流量(Xa)と略同程度以上(0.7Xa以上)となるように混合ガスの総流量を設定することで、プラズマを安定化でき、イオン電流量の低下を抑えることができる。また、原料ガスの流量を少なくするとプラズマが不安定になってイオン電流量が低下しやすくなるが、混合ガスの総流量が0.7Xa以上、且つ、原料ガスの流量が0.3Xa以上となるように設定することで、原料ガスの使用量を所定量よりも減少させた場合でもイオン電流量の低下を抑えることができる(すなわち、イオン電流量の低下を抑えつつ、原料ガスの使用量を低減させることが可能となる。)。さらに、一般的に、シリコンなどの半導体の不純物導入に用いられるBFを用いることで、より汎用性を高めることができる。
【0016】
請求項4の発明では、混合ガスの総流量が0.9Xa以上となるようにしている。
このように、混合ガスの総流量を0.9Xa以上とすることで、注入室内の圧力の低下が抑えられ、プラズマが安定しやすくなり、イオン電流量の低下をより抑制できる。
【0017】
請求項5の発明では、混合ガスの総流量が1.1Xa以下となるようにしている。
このように、混合ガスの総流量を1.1Xa以下とすることで、注入室内の圧力の増加が抑えられ、プラズマが安定しやすくなり、イオン電流量の低下をより抑制できる。
【0018】
請求項6のイオン注入方法では、上記いずれかのイオン注入装置を用いてターゲットにイオン注入を行うことで、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、第1実施形態に係るイオン注入装置の構成概要を示す説明図である。
【図2】図2は、原料ガスにPHを用いた場合のイオン電流量とガス流量の関係を説明する説明図である。
【図3】図3は、原料ガスにBFを用いた場合のイオン電流量とガス流量の関係を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
以下、本発明のイオン注入装置及びイオン注入方法を詳細に説明する。
なお、図1は、第1実施形態に係るイオン注入装置の構成概要を示す説明図である。図2は、原料ガスにPHを用いた場合のイオン電流量とガス流量の関係を説明する説明図である。図3は、原料ガスにBFを用いた場合のイオン電流量とガス流量の関係を説明する説明図である。
【0021】
イオン注入装置10は、原料ガスと不活性ガスの混合ガスを導入するガス導入部11と、混合ガスをプラズマ化し、引出し電極に電圧を印加することによってイオンビ−ムIBとして引き出すイオン源12と、イオンビームIBの通過経路13と、通過経路13を排気する排気ポンプ14と、通過経路13に設けられ、イオン源12から引き出されたイオンビームIBから特定のイオン種を選別する質量分析マグネット16と、質量分析マグネット16から導出されたイオンビームIBの一部を遮蔽してイオンビームIBを整形する可変アパチャー17と、質量分析マグネット16から導出されたイオンビームIBを所定のエネルギーとなるように加減速する加減速管18と、注入イオン数を計測するファラデーカップ19と、ターゲット(半導体基板30)を保持、走査し、イオン注入を行う注入室20と、注入室20の排気を行う排気ポンプ21とを備えている。
【0022】
ガス導入部11は、原料ガスを供給するガスボトル11a及び不活性ガスを供給するガスボトル11bと、ガスボトル11a、11bに接続されたガス管40、バルブ42a〜42d、マスフローコントローラ44、45を備えている。ガスボトル11a側のガス経路には、バルブ42a及び42bとマスフローコントローラ44が設けられており、原料ガスの流量を所望の値に調整できるようになっている。また、ガスボトル11b側のガス経路には、バルブ42c及び42dとマスフローコントローラ45が設けられており、不活性ガスの流量を所望の値に調整できるようになっている。さらに、バルブ42b及び42dの下流で、原料ガスと不活性ガスとが混合されるようになっている。
【0023】
イオン注入するイオン種としては、例えば、ホウ素、リン、ヒ素などを用いることができ、原料ガスとしては、PH、AsH、BFを主体としたガスを用いることができる。また、不活性ガスとしては、例えば、He、Ne、Ar,Kr、Xeなどの希ガスや窒素、及びこれらを混合したガスを用いることができる。
【0024】
そして、本発明では、原料ガスのみを注入室20へ導入したときのイオン電流量(イオン収率)が最大となる流量(Xa)(具体的に例えば、2cc/min程度)を基準として、原料ガスと不活性ガスとが混合された混合ガスの総流量及び原料ガスの流量を所定の値に設定するようにしている。
【0025】
具体的に、例えば、原料ガスにPH、若しくは、AsHのいずれかを主体としたガスを用いた場合、混合ガスの総流量(Ya)が0.7Xa以上、且つ、原料ガスの流量(Xb)が0.4Xa以上となるように設定する。より具体的には、イオン電流量が最大となる原料ガス流量(Xa)から、所定量の原料ガス流量を減少させた後、混合ガスの総流量が0.7Xa以上となるように不活性ガスを添加する(すなわち、添加された不活性ガス流量=Ya−Xb)。
【0026】
なお、図2は、原料ガスにPH、不活性ガスにArを用いた場合のイオン電流量とガス流量の関係を示した図である。縦軸はイオン電流量(相対値)であり、横軸はガス流量を示している。そして、白丸(○)は原料ガスのみを流したとき、白三角(△)はイオン電流量が最大となる流量(Xa)から原料ガス流量が0.3Xaとなるまで減少させた後不活性ガスを各流量添加して流したとき、白逆三角(▽)はイオン電流量が最大となる流量(Xa)から原料ガス流量が0.4Xaとなるまで減少させた後不活性ガスを各流量添加して流したとき、黒三角(▲)はイオン電流量が最大となる流量(Xa)から原料ガス流量が0.5Xaとなるまで減少させた後不活性ガスを各流量添加して流したときを示している。原料ガス流量が0.4Xa以上であって、混合ガスの総流量が0.7Xa以上であれば、比較的高いイオン電流量が得られていることが確認できる。すなわち、イオン電流量の低下を抑えつつ、原料ガスの使用量(使用流量)を0.4Xa程度まで減らすことができる。
【0027】
また、原料ガスにBFを主体としたガスを用いる場合には、混合ガスの総流量(Ya)が0.7Xa以上、且つ、原料ガスの流量(Xb)が0.3Xa以上となるように設定する。図3は、原料ガスにBF、不活性ガスにArを用いた場合のイオン電流量とガス流量の関係を示した図である。縦軸はイオン電流量(相対値)であり、横軸はガス流量を示している。そして、白丸(○)は原料ガスのみを流したとき、白菱形(◇)はイオン電流量が最大となる流量(Xa)から原料ガス流量が0.2Xaとなるまで減少させた後不活性ガスを各流量添加して流したとき、白三角(△)はイオン電流量が最大となる流量(Xa)から原料ガス流量が0.3Xaとなるまで減少させた後不活性ガスを各流量添加して流したとき、白逆三角(▽)はイオン電流量が最大となる流量(Xa)から原料ガス流量が0.4Xaとなるまで減少させた後不活性ガスを各流量添加して流したとき、黒三角(▲)はイオン電流量が最大となる流量(Xa)から原料ガス流量が0.5Xaとなるまで減少させた後不活性ガスを各流量添加して流したときを示している。このように、原料ガスにBFを主体としたガスを用いる場合には、原料ガス流量が0.3Xa以上であって、混合ガスの総流量が0.7Xa以上であれば、比較的高いイオン電流量が得られていることが確認できる。すなわち、イオン電流量の低下を抑えつつ、原料ガスの使用量(使用流量)を0.3Xa程度まで減らすことができる。
【0028】
さらに、図2及び図3から、混合ガスの総流量は、原料ガスのみを注入室20へ導入したときのイオン電流量が最大となる流量(Xa)と近いほど、イオン電流量の低下をより抑制できることがわかる。そのため、混合ガスの総流量は、0.9Xa以上であることが好ましく、また、1.1Xa以下であることが好ましい。
そして、このように規定した流量で原料ガスと不活性ガスとを混合した混合ガスを、注入室20へ導入し、半導体基板30にイオン注入を行うことができる。
【0029】
以上説明したように、本第1実施形態に係るイオン注入装置10によれば、ガス導入部11により注入室20へ導入されるガスは、原料ガスと不活性ガスとの混合ガスとなっている。そして、原料ガスのみを注入室20へ導入したときのイオン電流量が最大となる流量をXaとしたときに、混合ガスの総流量が0.7Xa以上、且つ、原料ガスの流量が0.4Xa以上となるように設定されている。
【0030】
このように、原料ガスのみを注入室20へ導入したときのイオン電流量が最大となる流量(Xa)と略同程度以上(0.7Xa以上)となるように混合ガスの総流量を設定することで、プラズマを安定化でき、イオン電流量の低下を抑えることができる。
また、原料ガスの流量を少なくするとプラズマが不安定になってイオン電流量が低下しやすくなるが、このように、混合ガスの総流量が0.7Xa以上、且つ、原料ガスの流量が0.4Xa以上となるように設定すれば、原料ガスの使用量を所定量よりも減少させた場合でもイオン電流量の低下を抑えることができる(すなわち、イオン電流量の低下を抑えつつ、原料ガスの使用量を低減させることが可能となる。)。
【0031】
また、一般的に、シリコンなどの半導体の不純物導入に用いられるPH、若しくは、AsHを原料ガスに用いることで、より汎用性を高めることができる。
【0032】
また、注入室20へ導入されるガスは、BFを主体とした原料ガスと、不活性ガスとの混合ガスでもよく、この場合、原料ガスのみを注入室20へ導入したときのイオン電流量が最大となる流量をXaとしたときに、混合ガスの総流量が0.7Xa以上、且つ、原料ガスの流量が0.3Xa以上となるように設定されている。
【0033】
このように、原料ガスのみを注入室20へ導入したときのイオン電流量が最大となる流量(Xa)と略同程度以上(0.7Xa以上)となるように混合ガスの総流量を設定することで、プラズマを安定化でき、イオン電流量の低下を抑えることができる。また、原料ガスの流量を少なくするとプラズマが不安定になってイオン電流量が低下しやすくなるが、混合ガスの総流量が0.7Xa以上、且つ、原料ガスの流量が0.3Xa以上となるように設定することで、原料ガスの使用量を所定量よりも減少させた場合でもイオン電流量の低下を抑えることができる(すなわち、イオン電流量の低下を抑えつつ、原料ガスの使用量を低減させることが可能となる。)。さらに、一般的に、シリコンなどの半導体の不純物導入に用いられるBFを用いることで、より汎用性を高めることができる。
【0034】
また、混合ガスの総流量が0.9Xa以上となるようにしている。
このように、混合ガスの総流量を0.9Xa以上とすることで、注入室20内の圧力の低下が抑えられ、プラズマが安定しやすくなり、イオン電流量の低下をより抑制できる。
【0035】
また、混合ガスの総流量が1.1Xa以下となるようにしている。
このように、混合ガスの総流量を1.1Xa以下とすることで、注入室20内の圧力の増加が抑えられ、プラズマが安定しやすくなり、イオン電流量の低下をより抑制できる。
【0036】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0037】
上記実施形態では、原料ガスを供給するガスボトル11aと不活性ガスを供給するガスボトル11bとをそれぞれ設けた構成としたが、これらガスボトル11a、11bを用いる代りに、原料ガスと不活性ガスとが所定割合であらかじめ混合されたガスボトルを用いることもできる。
【符号の説明】
【0038】
10…イオン注入装置
11…ガス導入部
11a、11b…ガスボトル
12…イオン源
13…通過経路
16…質量分析マグネット
17…可変アパチャー
18…加減速管
20…注入室
30…半導体基板(ターゲット)
40…ガス管
42a、42b、42c、42d…バルブ
44、45…マスフローコントローラ
IB…イオンビーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンビ−ムを引き出すイオン源と、ターゲットにイオン注入を行う注入室と、前記注入室へガスを導入するガス導入部を備えたイオン注入装置であって、
前記注入室へ導入されるガスは、原料ガスと不活性ガスとの混合ガスであり、
前記原料ガスのみを前記注入室へ導入したときのイオン電流量が最大となる流量をXaとしたときに、前記混合ガスの総流量が0.7Xa以上、且つ、前記原料ガスの流量が0.4Xa以上となるように設定されていることを特徴とするイオン注入装置。
【請求項2】
前記原料ガスは、PH、若しくは、AsHのいずれかを主体としたガスであることを特徴とする請求項1に記載のイオン注入装置。
【請求項3】
イオンビ−ムを引き出すイオン源と、ターゲットにイオン注入を行う注入室と、前記注入室へガスを導入するガス導入部を備えたイオン注入装置であって、
前記注入室へ導入されるガスは、BFを主体とした原料ガスと、不活性ガスとの混合ガスであり、
前記原料ガスのみを前記注入室へ導入したときのイオン電流量が最大となる流量をXaとしたときに、前記混合ガスの総流量が0.7Xa以上、且つ、前記原料ガスの流量が0.3Xa以上となるように設定されていることを特徴とするイオン注入装置。
【請求項4】
前記混合ガスの総流量が0.9Xa以上であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のイオン注入装置。
【請求項5】
前記混合ガスの総流量が1.1Xa以下であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のイオン注入装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のイオン注入装置を用いてターゲットにイオン注入を行うことを特徴とするイオン注入方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−98115(P2013−98115A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242195(P2011−242195)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】