説明

イオン注入装置用黒鉛部材

【課題】イオン注入装置内部部品、例えば、フライトチューブ、各種スリット、電極、電極カバー、ガイドチューブ、ビームストップ等に使用される黒鉛部材から黒鉛粒子が脱落したり、該部材上に堆積した熱分解炭素が剥離したりするのを防止し、イオン注入装置内の発塵を低減する。
【解決手段】イオン注入装置用黒鉛部材の耐熱衝撃係数を54〜96kW/mにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はイオン注入装置用黒鉛部材に関し、さらに詳しくいえばイオンビームの照射による消耗(エロージョン)が少なく、黒鉛粒子が脱落した場合でも黒鉛粒子のサイズが小さなイオン注入装置用黒鉛材料を用いたイオン注入装置用黒鉛部材に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスを製造するため工程には、基板となるシリコン、炭化珪素(SiC)、ガリウム砒素(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)等の半導体ウエハー基板に不純物元素をイオン注入する工程がある。イオン注入装置の概略図を図1に示す。
【0003】
イオン注入装置は目的の不純物元素をイオン化して数十〜数百eVのエネルギーに加速し、これをウエハー基板に打ち込むための装置である。イオン注入装置は、目的の不純物元素を含んだ気体をプラズマ状態にしてイオンを発生させるイオン発生部、発生したイオンを引き出すためのイオン引き出し部、引き出したイオンを目的のイオンに選別するイオン分析部、イオンを加速するイオン加速部、加速したイオンを収束するイオン収束部、イオンビームをウエハー基板に打ち込むイオン打ち込み部から構成されている。
【0004】
イオン注入装置の各部分を構成する材料としては、耐熱性、熱伝導性に優れ、イオンビームによる消耗(エロージョン)が少なく、不純物含有量が少ない高純度の材料が要求される。通常は高純度黒鉛材料、高純度黒鉛材料の表面に熱分解炭素やガラス状炭素の被膜を形成した黒鉛材料が用いられることが特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−302568号公報
【0006】
【特許文献2】特開平8−171883号公報
【0007】
【特許文献3】特開2000−128640号公報
【0008】
【特許文献4】特開2000−323052号公報
【0009】
イオン注入装置内部部品としては、例えば、フライトチューブ、各種スリット、電極、電極カバー、ガイドチューブ、ビームストップ等に黒鉛材料が使用されている。
【0010】
ところが、上述した黒鉛材料は骨材となるコークスと結合剤とを焼結したものであるため、イオン注入装置用部材として使用すると、イオンビームにより黒鉛粒子が脱落してイオン注入装置内部を汚染したり、ウエハー基板中に混入して半導体デバイスの歩留まりが低下するという問題がある。また、イオンビームの照射により黒鉛部材が消耗してしまうという問題もある。
【0011】
特に、近年では集積回路(IC)の集積度が向上しパターニングの際の線幅も細くなってきている。しかも砒素(As)のような重金属イオンビームをウエハー基板に照射するケースが増加している。このときに生じる黒鉛粒子がウエハー基板上に付着しイオン注入を阻害したり、シリコンと黒鉛粒子が複合化した高硬度の微粒子によるウエハー基板の損傷等が従来にも増して大きな問題となってきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明はイオンビームによる消耗や黒鉛粒子の脱落が少なく、黒鉛粒子が脱落した場合でも黒鉛粒子サイズが小さいイオン注入装置用黒鉛材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る発明は、黒鉛部材の耐熱衝撃係数が54〜96kW/m以上である、前記黒鉛部材に堆積した熱分解炭素の脱落を防止し、イオン注入装置内の発塵を低減したイオン注入装置用黒鉛部材を要旨とする。本発明者らは、消耗あるいは脱落した黒鉛粒子がイオンビームによって熱分解炭素として黒鉛部品上に堆積し、この熱分解炭素堆積物と黒鉛部品の熱膨張係数とのミスマッチにより黒鉛部品から再び熱分解炭素が剥離し発塵することが判明した。この熱分解炭素堆積物は黒鉛部品の消耗が少ないほど発生量が少なく、また黒鉛部品の熱膨張係数と熱分解炭素の熱膨張係数が近似するほど付着した熱分解炭素が剥離しにくいことを見い出した。さらに、イオンビームに照射される黒鉛部品は瞬時に高温に加熱されるので熱衝撃及び熱放散性が高いことが求められる。このような各物理特性を総括的にあらわすものとして耐熱衝撃係数がある。耐熱衝撃係数は(引っ張り強さ×熱伝導率)/(弾性係数×熱膨張係数)で表される。耐熱衝撃係数を50kW/m以上にすることにより黒鉛部品の表面に堆積した熱分解炭素微粒子の脱落防止、熱衝撃抵抗を向上させることができる。耐熱衝撃係数は60kW/m以上がさらに好ましく、70kW/m以上とすることが特に好ましい。
【0014】
また、本発明に係る発明は、黒鉛部材の灰分含有量が20ppm以下であるイオン注入装置内の発塵を低減したイオン注入装置用黒鉛部材であることが好ましい。
【0015】
また、本発明に係る発明は、平均粒子径を3〜5μmとなるように粉砕したフィラーに結合材を添加し、混練して得た混練物を最大粒子径が100μm以下となるように粒子径をそろえて粉砕し、前記粉砕された粉砕粉を成形、焼成、黒鉛化して得られる、イオン注入装置内の発塵を低減したイオン注入装置用黒鉛部材であることが好ましい。特に、平均粒子径を3μmとなるように粉砕した石炭ピッチコークスにコールタールピッチを添加し、混練して得た混練物を最大粒子径が50μm以下となるように粉砕し、前記粉砕された粉砕粉を冷間静水圧法で成形、焼成、黒鉛化して得られる、イオン注入装置内の発塵を低減したイオン注入装置用黒鉛部材であることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明では各粉砕工程の粒子径を制御したので、黒鉛粒子間の結合力が強い黒鉛材料が得られる。その結果、黒鉛部材の消耗が少なく、しかも脱落する黒鉛粒子径を小さくできる。したがって、ウエハー基板あるいはイオン注入装置内部の発塵を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】イオン注入装置の概略図である。
【図2】ACT−JP法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明者らはイオン注入装置用黒鉛部材の消耗原因及び脱落粒子の大きさを調査した。その結果、粉砕粉の中に粒子径の大きな粗粒が混入するとこの粒子間結合力が大幅に低下し消耗原因となりやすいことを突き止めた。また、黒鉛粒子の脱落は、混練後粉砕された粉砕粉(以下、粉砕粉という。)の単位で起こることを突き止めた。そこで、各工程の粒子サイズの均一化を行うことにより、消耗が少なく脱落する黒鉛粒子の粒子径が小さい黒鉛材料を得られることを見い出した。この際、黒鉛粒子間の結合力は、ACT−JP法による測定値として表すことができ、この測定値を考慮することによって上記課題を解決できる黒鉛材料を製造できることを見い出し本発明を完成するに至ったものである。特に、アルミナ粒子を照射角度90°の条件で吹きつけて行うACT−JP法による測定値が0.2g/mm以上であるイオン注入装置用黒鉛材料が好ましい。
【0019】
ACT−JP法は、荒田式被膜評価法(Arata Coating Test withJet Particles method)といい、噴射式試験方法の一種である。例えば溶射被膜に照射速度や照射角度を変えてセラミック粒子を吹き付け、各々の条件下における摩耗の度合い(重量減少)を測定することによって被膜の摩耗速度を利用して溶射被膜の粒子間結合力を評価する方法である。図2にACT−JP法の模式図を示す。一般的な黒鉛材料と溶射被膜とでは作製方法は異なるが、粒子が結合したものとみると、これらは同様とみなすことができる。ACT−JP法における摩耗機構から試験片の摩耗速度は粒子間結合力として検出される。そして、粒子間結合力が大きいほど摩耗速度は減少する。ACT−JP法においては、以下のようにACT−JP値を定義し、この値により評価を行った。試験片の摩耗量は噴射速度により変化し、ここでいうACT−JP値も一定の角度においてのみ対応する。すなわち、アルミナ粒子の試験片への入射角が90°よりも小さくなるとアルミナ粒子と試験片との間で摩耗を生じる。本来試験片となる黒鉛材料を構成している黒鉛粒子の粒子間結合力を評価するためにはアルミナ粒子の運動エネルギーがすべて試験片である黒鉛試験片を構成する黒鉛粒子の開裂に費やされなければならない。したがって、アルミナ粒子の試験片への入射角(θ)は90°とすることが好ましい。
ACT−JP値=1/M・・・(1)
=(1000・W)/(ρ・W)・・・(2)
:定常摩耗状態での試験片の摩耗速度(mm/g)
ρ:試験片黒鉛基材のかさ密度(g/cm
:ACT−JP試験に用いた噴射剤(60メッシュのアルミナ粉末)の量(g)
:定常摩耗状態での試験片(黒鉛基材)の摩耗量(g)
ACT−JP値が0.2g/mmよりも小さいと、黒鉛粒子間の結合力が十分でないためイオン注入装置用黒鉛部材として使用したときに黒鉛粒子が脱落してウエハー基板に混入したり、イオン注入装置内部部品を汚染するので好ましくない。したがって、ACT−JP法による測定値は0.23g/mm以上とすることがさらに好ましく、0.25g/mm 以上とすることが特に好ましい。
【0020】
本発明に係るACT−JP値が0.2g/mm 以上のイオン注入装置用黒鉛材料の製造方法の一例としては、数μm〜数十μmに粉砕した石油系もしくは石炭系の生またはか焼コークス等をフィラーとし、これにピッチ、コールタール、コールタールピッチ、フェノール樹脂、フラン樹脂等の熱硬化性樹脂を結合剤として添加し、混練する。この場合、黒鉛材料の強度を向上させる上で石油系あるいは石炭系の生コークスあるいは自己焼結性を有するメソカーボンマイクロビーズをフィラーとして使用することが好ましい。これらフィラーの少なくとも一種以上を結合剤と混練する。
【0021】
上述した方法で得られた混練物を数μm〜数十μmに粉砕して粉砕物を得る。粒子径が100μmを超えるような大きな粒子(粗粒)は除去し、粒子の粒子径はできるだけ揃えることが好ましい。粉砕粉の最大粒子径を数μm〜数十μmに制御することによって、イオン注入装置用部材として使用した場合に脱落する黒鉛粒子のサイズを小さくできる。
【0022】
上述した粉砕粉を成形、焼成、黒鉛化し黒鉛材料とする。黒鉛化は通常2500℃以上で行われるが、特に2800℃以上で黒鉛化を実施して熱伝導率を向上させることによってイオン注入装置部品として使用した場合にイオンビームによる黒鉛材料の消耗低減と耐熱衝撃性を向上させることができる。
【0023】
この黒鉛材料をイオン注入装置用部材の形状に加工後、ハロゲンガスあるいはハロゲン含有ガスを使用して高純度化処理を行い、黒鉛部材中の灰分含有量を20ppm以下にすることによってウエハー基板中に不要な不純物元素が混入せず、しかも黒鉛材料の消耗を低減できる。
【0024】
さらに付言すると、高純度化処理後の黒鉛部材の表面あるいは気孔中に含まれる加工粉(切削時の粉)を純水で超音波洗浄することによりイオン注入装置用黒鉛材料として一層適したものにできる。本発明に係る黒鉛材料の表面あるいは内部に熱分解炭素やガラス状炭素あるいはセラミック被膜を形成することによって黒鉛粒子の脱落や黒鉛部品の消耗を低減させられることはいうまでもない。
【0025】
本発明では各粉砕工程の粒子径制御を行なったので黒鉛粒子間の結合力が高くなり、そのため黒鉛粒子が脱落を起こしにくくなる。しかも上述した方法では熱膨張係数が低い黒鉛材料を製造することができるようになるので、消耗した黒鉛粒子がイオンビームによって熱分解炭素に変化し黒鉛部品上に堆積しても剥離するのを防止できるので発塵を低減させることができる。
【実施例】
【0026】
本発明を以下の実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0027】
(実施例1)
石炭ピッチコークスを平均粒子径3μmに粉砕した。この粉砕粉100重量部に結合剤としてコールタールピッチ100重量部を添加し、常法により混練した。この混練物を粉砕機で最大粒子径が30μm以下になるように粉砕した。この粉砕物を冷間静水圧成形法で150×450×1000(mm)に成形した。この成形体を1000℃で焼成後、2500℃で黒鉛化処理を行った。この黒鉛化品のACT−JP値と耐熱衝撃係数を測定した。その結果を表1に示す。この黒鉛化品を機械加工してイオン注入装置用黒鉛部材とし、減圧下、2000℃、ハロゲン含有ガス中で高純度化処理を行って、灰分含有量が10ppm以下にまで低減させた。このイオン注入装置用高純度黒鉛部材をさらに純水で超音波洗浄した。このイオン注入装置用高純度黒鉛部材をシリコンウエハーへAsイオンの注入に使用した。
【0028】
(実施例2)
石炭ピッチコークスを3μmに粉砕した。この粉砕粉100重量部に結合剤としてコールタールピッチを90重量部添加し、常法により混練した。この混練物を粉砕機で最大粒子径が50μmとなるように粉砕した。この粉砕物を冷間静水圧成形法で180×450×1000(mm)に成形した。この成形体を1000℃で焼成後、ピッチ含浸と焼成を1回ずつ繰り返した後、2500℃で黒鉛化処理を行った。この黒鉛化品のACT−JP値と耐熱衝撃係数を測定した。その結果を表1に示す。この黒鉛化品を機械加工して、イオン注入装置用黒鉛部材とし、減圧下、2000℃、ハロゲンガス雰囲気中で高純度化処理を行い灰分含有量を10ppm以下にまで低減させた。このイオン注入装置用高純度黒鉛部材をさらに純水で超音波洗浄した。このイオン注入装置用黒鉛部材をシリコンウエハーへAsイオンの注入に使用した。
【0029】
(実施例3)
石炭ピッチコークスを5μmに粉砕した。この粉砕粉100重量部にコールタールピッチ90重量部を添加し常法により混練した。この混練物を粉砕機で最大粒子径が70μm以下となるように粉砕した。この粉砕物を冷間静水圧成形法で実施例1と同じ寸法に成形した。この成形体を1000℃で焼成後、2500℃で黒鉛化を行った。この黒鉛化品を100×150×50(mm)に機械加工後、フェノール樹脂を含浸し、1500℃で焼成した。このフェノール樹脂含浸焼成品のACT−JP値と耐熱衝撃係数を測定した。その結果を表1に示す。このフェノール樹脂含浸焼成品を機械加工後、減圧下、2000℃、ハロゲンガス雰囲気中で高純度化処理して灰分含有量が10ppm以下にまで低減したイオン注入装置用高純度黒鉛部材を得た。このイオン注入装置用高純度黒鉛部材をさらに純水で超音波洗浄後、イオン注入装置に組み込んでシリコンウエハーへAsイオンの注入に使用した。
【0030】
(比較例1)
石炭ピッチコークスを平均粒子径が8μmに粉砕した。この粉砕粉100重量部に結合剤としてコールタールピッチ80重量部を添加し常法により混練した。この混練物を粉砕機で最大粒子径が50μm以下となるように粉砕した。この粉砕物を冷間静水圧成形法で120×400×800(mm)に成形した。この成形体を1000℃で焼成後、2500℃で黒鉛化処理を行った。この黒鉛化品のACT−JP値と耐熱衝撃係数を測定した。その結果を表1に示す。この黒鉛化品を機械加工してイオン注入用黒鉛部材とし、減圧下、2000℃、ハロゲンガス雰囲気中で高純度化処理を行って灰分含有量を10ppm以下にまで低減したイオン注入装置用高純度黒鉛部材を得た。このイオン注入装置用高純度黒鉛部材をさらに純水で超音波洗浄した。このイオン注入装置用高純度黒鉛部材をシリコンウエハーへAsイオンの注入に使用した。
【0031】
(比較例2)
石炭ピッチコークスを平均粒子径10μmに粉砕した。この粉砕粉100重量部に結合剤としてコールタールピッチ70重量部を添加し、常法により混練した。この混練物を粉砕機で最大粒子径が150μm以下となるように二次粉砕した。この粉砕物を冷間静水圧成形法で230×540×1000(mm)に成形した。この成形体を1000℃で焼成後、ピッチ含浸と焼成を1回ずつ繰り返した後、3000℃で黒鉛化処理を行った。この黒鉛化品のACT−JP値と耐熱衝撃係数を測定した。その結果を表1に示す。この黒鉛化品を機械加工して、イオン注入装置用黒鉛部材とし、減圧下、2000℃、ハロゲンガス雰囲気中で高純度化処理を行って灰分含有量を10ppm以下に低減させた。このイオン注入装置用高純度黒鉛部材をさらに純水で超音波洗浄した。このイオン注入装置用高純度黒鉛部材をシリコンウエハーへAsイオンの注入に使用した。
【0032】
上記実施例1乃至3及び比較例1、2に係る高純度黒鉛部材を使用したときの脱落した黒鉛粒子の大きさとイオン注入装置内の発塵性を測定した。その結果も併せて表1に示す。
【0033】
【表1】

【0034】
表1中、耐熱衝撃係数(kW/m)は引張り強さ(MPa)、熱伝導率(W/m・K)、室温〜400℃までの熱膨張係数(×10−6/℃)、弾性係数(GPa)から算出した。
熱伝導率はレーザーフラッシュ法(熱拡散率熱定数測定装置(真空理工(株)製))で熱拡散定数を測定し、この測定値と室温における比熱0.695J/g・Kとから算出した。
熱膨張係数(×10−6/℃)は理学電機株式会社製熱機械分析装置(TMA8310)で室温〜400℃までの熱膨張係数を求めた。
弾性係数(GPa)は日本工業規格(JIS)R−7222−1997に準じて求めた。
弾性係数(GPa)はJIS R7202−1979に準じて求めた。
脱落した黒鉛粒子の大きさは走査型電子顕微鏡で観察し求めた。
イオン注入装置中の発塵性はパーティクルカウンターで測定し、黒鉛粒子の数の多いものから順に×、△、○、◎とした。
【0035】
表1から本発明に係る黒鉛材料は比較例の黒鉛材料に比べて消耗する黒鉛粒子が少なく、脱落する黒鉛粒子径もが小さい。しかも黒鉛部材から脱落した黒鉛粒子によるイオン注入装置内の発塵も少ないことが判る。
【0036】
以上、本発明の実施形態及び実施例について説明したが、本発明は上述の実施形態及び実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。
【符号の説明】
【0037】
1 制御用マイクロコンピューター
2 ウエハー装着
3 カセット
4 分離用電源
5 分離用電磁石
6 加速電極
7 シャッタ
8 シリコンウエハー基板
9 ビームストップ
10 偏向用電極
11 引き出し電極
12 電流計
13 イオン源
14 高圧電源
15 真空ポンプ
21 黒鉛材料試験片
22 噴射ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒鉛部材の耐熱衝撃係数が 54〜96kW/mである、
前記黒鉛部材に堆積した熱分解炭素の脱落を防止し、イオン注入装置内の発塵を低減したイオン注入装置用黒鉛部材。
【請求項2】
前記黒鉛部材の灰分含有量が20ppm以下である請求項1に記載のイオン注入装置内の発塵を低減したイオン注入装置用黒鉛部材。
【請求項3】
平均粒子径を3〜5μmとなるように粉砕したフィラーに結合材を添加し、混練して得た混練物を最大粒子径が100μm以下となるように粒子径をそろえて粉砕し、前記粉砕された粉砕粉を成形、焼成、黒鉛化して得られる請求項1又は2に記載のイオン注入装置内の発塵を低減したイオン注入装置用黒鉛部材。
【請求項4】
平均粒子径を3μmとなるように粉砕した石炭ピッチコークスにコールタールピッチを添加し、混練して得た混練物を最大粒子径が50μm以下となるように粉砕し、前記粉砕された粉砕粉を冷間静水圧法で成形、焼成、黒鉛化して得られる請求項1〜3のいずれかに記載のイオン注入装置内の発塵を低減したイオン注入装置用黒鉛部材。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−200048(P2009−200048A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−92332(P2009−92332)
【出願日】平成21年4月6日(2009.4.6)
【分割の表示】特願2002−320699(P2002−320699)の分割
【原出願日】平成14年11月5日(2002.11.5)
【出願人】(000222842)東洋炭素株式会社 (198)
【Fターム(参考)】