説明

イソシアネート系断熱フォーム

プロピレンオキシド、エチレンオキシド、又はプロピレンオキシド/エチレンオキシド混合物を、1,2−フェニレンジアミンと反応させて、ヒドロキシル基及びアミノ基を有する付加物を形成する。該1,2−フェニレンジアミン付加物は、硬質ポリウレタンフォーム、特に現場注入用途のためのフォームを製造する際に有用であり、そこでその付加物は低いk因子及び短い離型時間の良好な組合せをもたらす。このポリオールはまた、当初予想されたよりも低い粘度を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年1月17日出願の米国特許仮出願第61/021,682号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、硬質イソシアネート系フォームを製造するために有用なポリオール、及び、それらのポリオールから製造される硬質フォームに関する。
【背景技術】
【0003】
硬質イソシアネート系フォームは、家庭用電化製品及びその他の用途、並びに多様なその他の使用のための絶縁フォームとして、数十年間の間広く使用されている。これらのフォームは、ポリイソシアネートと1又はそれ以上のポリオール、ポリアミン又はアミノアルコール化合物の反応において作製される。このポリオール、ポリアミン又はアミノアルコール化合物は、イソシアネート反応基あたりの当量が約300までの範囲であり、1分子あたり平均3個より多くのヒドロキシル基及び/又はアミノ基を有すると特徴付けることができる。この反応は、反応が進行するにつれてガスを発生させる発泡剤の存在下で実施される。このガスは反応混合物を膨張させ、気泡構造を付与する。
【0004】
当初、最適な発泡剤は、「硬質」クロロフルオロカーボン(CFC)、例えばトリクロロフルオロメタン又はジクロロジフルオロメタンなどであった。これらのCFCは非常に容易に加工され、非常に良好な断熱性を有するフォームを製造した。しかし、CFC発泡剤は環境への懸念のために段階的に廃止されてきている。
【0005】
CFCは、その他の発泡剤、例えばヒドロフルオロカーボン、低沸点炭化水素、ヒドロクロロフルオロカーボン、エーテル化合物及び水(水はイソシアネートと反応して二酸化炭素を発生させる)などに置き換えられてきた。ほとんどの場合、これらの代替発泡剤は、そのCFC先行物質よりも効果の弱い断熱材である。フォームが断熱をもたらす能力は、しばしば「k因子」という用語で表され、これは、単位時間あたり単位面積あたりにフォームの中を移動する熱の量の尺度であり、フォームの厚さと全体にわたってフォームの厚さに加えられた温度の差を考慮に入れる。代替発泡剤を用いて製造されるフォームは、「硬質」CFC発泡剤を用いて製造されたフォームよりも高いk因子を有する傾向がある。これにより、硬質フォーム製造業者らは、発泡剤の変化から生じる断熱値の損失を補償するために、そのフォーム配合物をその他の方法で改質することを強いられてきた。これらの改質の多くは、フォーム内の気泡サイズを減少させることに焦点を当てている。気泡のサイズが小さいほど、より良好な断熱性を提供する傾向がある。
【0006】
k因子を改善する、硬質フォーム配合物に対する改質は、多くの場合、望ましくない方法で配合物の加工特性に影響を及ぼす傾向があることが見出された。配合物の加工特性は、特に現場注入(pour-in-place)用途、例えば家庭用電化製品のフォームなどにおいて、重要である。例として、冷蔵庫及び冷凍庫のキャビネットは、通常、外部シェル及び内部ライナーを部分的に組み立て、それらを所定位置に保持して、それらの間にキャビティが形成されるようにすることによって絶縁される。これは、ジグ又はその他の装置を使用して行われる場合が多い。フォーム配合物をキャビティの中に導入し、そこで膨張させてキャビティを満たす。フォームは、断熱をもたらし、集成体(assembly)に構造強度を付与する。フォーム配合物が硬化する方法は、少なくとも2つの観点で重要である。第一に、フォーム配合物は、完成したキャビネットをジグから取り外すことができるように、寸法の安定したフォームを形成するために迅速に硬化する必要がある。この特徴は一般に「離型」時間と呼ばれ、キャビネットを製造することのできる速度に直接影響を及ぼす。
【0007】
その上、この系の硬化特性は、「フローインデックス」、又は単に「フロー」として公知の特性に影響を及ぼす。フォーム配合物は、最小限の制約に対して膨張が可能であるならば、ある種の密度(「自由上昇密度」として公知)まで膨張する。配合物が冷蔵庫又は冷凍庫のキャビネットを満たさなければならない場合、その膨張は、いくつかの方法によっていくらかの制約を受ける。フォームは、狭いキャビティ内で、主に(水平ではなく)垂直方向に膨張しなければならない。その結果、配合物は、その自重のかなりの量に対して膨張する必要がある。また、フォーム配合物は、コーナー及び壁キャビティの全ての部分にも流れなければならない。その上、キャビティは通気が制限されているか又は無い場合が多く、したがってキャビティ内の雰囲気は、膨張するフォームにさらなる圧力を及ぼす。これらの制約のために、自由上昇密度のみから予測されるよりも大量のフォーム配合物が、キャビティを満たすために必要とされる。キャビティを最小限満たすために必要とされるフォーム配合物の量は、最小充填密度(配合物の重量をキャビティ体積で除算したもの)として表すことができる。最小充填密度の自由上昇密度に対する比が、フローインデックスである。フローインデックスは、理想的には1.0であるが、商業的に実用的な配合物では、およそ1.2〜1.8程度である。フローインデックスは、その他全てのものは等しい状態で、低いほうが好ましい。なぜなら、原料コストは、より少ない重量のフォームが必要な場合に、より低くなるからである。
【0008】
低いk因子を好むフォーム配合物への改質は、離型時間、フローインデックス又はその両方に悪影響を与える傾向がある。そのために、k因子において従来のCFC系配合物にかなり匹敵する配合物が開発されたが、これらの配合物を使用する総コストは、より低い生産性(離型時間がより長いため)、より高い原料コスト(フローインデックスがより高いため)又はその両方に起因して、高い場合が多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
低いフローインデックス及び短い離型時間をもつ、低いk因子のフォームを提供する硬質フォーム配合物が望まれている。
【0010】
多くの用途に関して、ポリオールが合理的に低粘度であることも望まれている。硬質フォーム用途のためのアミン開始ポリオールは、非常に粘度が高い場合が多く、それはそれらの取り扱い及び加工を困難とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、一態様において、1,2−フェニレンジアミン及びプロピレンオキシド、エチレンオキシド又は、プロピレンオキシドとエチレンオキシドの混合物の付加物であり、付加物は、1分子あたり平均2.8〜4.0個のヒドロキシル基、1分子あたり0.0〜1.0個の第二級アミノ基、1分子あたり0〜0.2個の第一級アミノ基を有し、且つ1活性水素原子あたりの当量が約60〜250である。
【0012】
本発明はまた、
a)少なくとも、
1)本発明の1,2−フェニレンジアミン付加物、又は該付加物と少なくとも1種類のその他のポリオールとの混合物(但し、該ポリオール混合物は少なくとも5重量%の1,2−フェニレンジアミン付加物を含む);
2)少なくとも1種類の炭化水素、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ジアルキルエーテル又はフッ素置換ジアルキルエーテル物理的発泡剤;及び
3)少なくとも1種類のポリイソシアネート;
を含有する反応混合物を形成すること;並びに
b)反応混合物が膨張し、硬化して硬質なフォームを形成するような条件に、この反応混合物を供すること
を含む、硬質イソシアネート系フォームを作製するための方法である。
【0013】
もう一つの態様では、本発明は、前述の方法に従って製造された硬質フォームである。
【0014】
本発明の1,2−フェニレンジアミン付加物を含む硬質フォーム配合物は、多くの場合望ましい硬化特性(1.8より低いフローインデックスで示される)及び短い離型時間を示し、硬化して優れた断熱特性(すなわち低いk因子)を有するフォームを形成することが見出された。これらの利点は、本発明の1,2−フェニレンジアミン付加物を1又はそれ以上のその他のポリオールと混合して使用する場合に特に見られる。その上、本発明の1,2−フェニレンジアミン付加物は、同様の分子量の多くのその他のアミン開始ポリオールと比較して、驚くほど低粘度である。低粘度であることは、付加物及び付加物を含有する配合物の取り扱い及び加工を非常に平易にする。本発明のポリオールは、非常に近縁のアミン開始ポリオール、例えば1,3−フェニレンジアミンなどと比べても、より低いk因子、より短い離型時間及びより低いポリオール粘度を提供する。
【0015】
1,2−フェニレンジアミン付加物は、1,2−フェニレンジアミンと、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、又はプロピレンオキシドとエチレンオキシドの混合物との反応において作製されるポリエーテルである。エチレンオキシドとプロピレンオキシドの混合物は、酸化物を任意の割合で含んでもよい。例えば、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの混合物は、少なくとも10モルパーセントのプロピレンオキシド、少なくとも30モルパーセントのプロピレンオキシド、又は少なくとも45モルパーセントのプロピレンオキシド、最大で99.5モルパーセントまでのプロピレンオキシドを含んでもよい。
【0016】
1,2−フェニレンジアミンは高度に精製された材料であってもよいが、最大10重量%までのその他のアミン化合物を有する市販等級を使用することができる。商用銘柄に存在するその他のアミン化合物としては、1,3−及び/又は1,4−フェニレンジアミン、並びにその他のアミン化合物を挙げることができる。1,2−フェニレンジアミンは、約5重量パーセント以下のその他のアミン化合物を含むことが好ましい。
【0017】
アルコキシル化反応は、アルキレン酸化物(1又は複数)と1,2−フェニレンジアミンの混合物を形成すること、及び、その混合物を高温及び過圧の条件に供することにより便宜に行われる。重合温度は、例えば、110〜170℃であってもよく、圧力は、例えば、2〜10バール(200〜1000kPa)であってもよい。特に、開始剤化合物のアミン水素1当量あたり1モルより多いアルキレン酸化物(1又は複数)を添加する場合には、触媒を使用してもよい。適したアルコキシル化触媒としては、強塩基、例えばアルカリ金属水酸化物(例として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム)など、ある種の第三級アミン化合物、例えばジメチルエチルアミンなど、及びいわゆる二重金属シアン化物触媒(その中で、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛錯体が最も有名である)が挙げられる。この反応は、2又はそれ以上の段階で行われてもよく、最初の段階では触媒は使用されず、1モルの1,2−フェニレンジアミンあたり1〜3モルのアルキレン酸化物が添加され、1又はそれ以上の後の段階がそれに続き、その段階では記載される触媒の存在下でさらなるアルキレン酸化物が添加される。反応が完了した後、触媒は失活させ、且つ/又は除去してもよい。生成物中に残っているアルカリ金属水酸化物触媒は除去してもよいし、又は酸及び生成物中に残っている残渣で中和させてもよい。二重金属シアン化物触媒の残渣は、生成物中に残っていてもよいが、所望であればそうせずに除去してもよい。
【0018】
1,2−フェニレンジアミン付加物は、1分子あたり4.0個までのヒドロキシル基を含んでもよい。しかしながら、1,2−フェニレンジアミンの一部のアミノ水素は、多くの場合、典型的なアルコキシル化条件下でアルコキシル化されないことが見出された、このことは、平均して、ヒドロキシル基、一部の第二級アミン基及びおそらくは少量の第一級アミノ基を有する、付加物の形成を引き起こす。従って、付加物は、1分子あたり平均2.8〜4.0個のヒドロキシル基、1分子あたり0〜1.2個の第二級アミン基、及び、1分子あたり0〜0.2個の第一級アミノ基を有し得る。より一般的に、付加物は、1分子あたり平均2.8〜3.8個のヒドロキシル基、1分子あたり0.2〜1.2個の第二級アミノ基、及び、1分子あたり0〜0.2個の第一級アミノ基を有する。好ましい付加物は、1分子あたり3.1〜3.6個のヒドロキシル基、1分子あたり0.4〜0.8個の第二級アミノ基、及び、1分子あたり0〜0.1個の第一級アミノ基を含む。さらにより好ましくは、付加物は、1分子あたり3.25〜3.6個のヒドロキシル基、1分子あたり0.4〜0.75個の第二級アミノ基、及び、1分子あたり0〜0.05個の第一級アミノ基を含む。
【0019】
アルキレン酸化物及び1,2−フェニレンジアミンの比は、結果として得られる付加物が、約60〜250の1活性水素原子あたりの当量を有するように選択される。本発明の目的において、活性水素原子は、第二級アミノ基又は第一級アミノ基のヒドロキシル酸素又は窒素原子に結合している原子である。好ましい付加物の当量は、80〜175であり、さらにより好ましい付加物の当量は、90〜175である。特に好ましいものは、1モルの1,2−フェニレンジアミン及び4.8〜10モルのプロピレンオキシド、又はプロピレンオキシド/エチレンオキシド混合物の付加物である。
【0020】
1,2−フェニレンジアミン付加物は、一般に、50℃で10,000cps未満の粘度を有する。好ましくは、その粘度は50℃で7,500cps未満であり、より好ましくは50℃で6,000cps未満である。
【0021】
本発明の1,2−フェニレンジアミン付加物は、硬質なポリウレタンフォームを作製する際に有用である。硬質なポリウレタンフォームは、少なくとも(1)所望により1又はそれ以上のその他のポリオールと組み合わせた、1,2−フェニレンジアミン付加物、(2)少なくとも1種類の有機ポリイソシアネート、及び(3)下により詳細に記載される、少なくとも1種類の発泡剤を含む、ポリウレタン形成組成物から作製される。
【0022】
本発明の1,2−フェニレンジアミン付加物は、ポリウレタン形成組成物中に存在する全ポリオールの少なくとも5重量パーセントを適宜に構成する。このレベルより低いと、ポリオールを使用する利益はわずかである。本発明の1,2−フェニレンジアミン付加物は、ポリウレタン形成組成物中唯一のポリオールであってもよい。しかしながら、多くの場合、少なくとも1種類のその他のポリオールを含有する混合物中で使用されることが予期され、本発明の1,2−フェニレンジアミン付加物は、約5〜約75重量%のポリオール混合物を構成する。例えば、本発明の1,2−フェニレンジアミン付加物は、ポリオール混合物の10〜約60重量%を構成するか、又はポリオール混合物の約10〜約50重量%を構成してもよい。
【0023】
ポリオールの混合物を使用する場合、ポリオール混合物は、好ましくは1分子あたり平均3.5〜約7個のヒドロキシル基及び/又は第一級若しくは第二級アミノ基、並びに、約90〜約175の、ヒドロキシル基及び/又は第一級若しくは第二級アミノ基あたりの平均重量を有する。混合物の中のいずれの個々のポリオールも、もしその混合物が全体としてこれらのパラメータを満たすならば、その範囲外の官能価及び/又は当量を有する可能性がある。存在する可能性のある水はいずれも、ポリオール混合物の官能価又は当量を決定する際に考慮されない。
【0024】
ポリオール混合物のより好ましい平均官能価は、1分子あたり約3.8〜約6個のヒドロキシル基及び/又は第一級若しくは第二級アミノ基である。ポリオール混合物のさらにより好ましい平均官能価は、1分子あたり約3.8〜約5個のヒドロキシル基及び/又は第一級若しくは第二級アミノ基である。ポリオール混合物のより好ましい平均当量は、ヒドロキシル、第一級アミノ及び第二級アミノ基あたり約110〜約130の原子質量単位である。
【0025】
本発明の1,2−フェニレンジアミン付加物と同時に使用することのできる適切なポリオールとしては、ポリエーテルポリオールが挙げられ、これは複数の活性水素原子を有する開始剤化合物(又は開始剤化合物の混合物)上のアルキレン酸化物を重合することにより便宜に製造される。開始剤化合物(1又は複数)としては、アルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及び同類のもの)、グリコールエーテル(例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール及び同類のもの)、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ソルビトール、スクロース、グルコース、フルクトース又はその他の糖類、及び同類のものを挙げることができる。開始剤化合物の一部分は、第一級及び/又は第二級アミノ基、例えばエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ピペラジン、アミノエチルピペラジン、ジイソプロパノールアミン、モノイソプロパノールアミン、メタノールアミン、ジメタノールアミン、トルエンジアミン(すべての異性体)及び同類のものを含有するものであってもよい。これらの種類のアミン開始ポリオールは、多少自己触媒である傾向がある。さらなるポリオール(1又は複数)を製造するために使用するアルキレン酸化物は、本発明の1,2−フェニレンジアミン付加物に関して前に記載したとおりである。最適なアルキレン酸化物は、プロピレンオキシド、又はプロピレンオキシドとエチレンオキシドの混合物である。
【0026】
ポリエステルポリオール(下に記載される再生可能資源ポリオール以外のもの)も、追加のポリオールとして用いてもよい。適したポリエステルポリオールは、1分子あたり2〜4個のヒドロキシル基及び75〜560のヒドロキシル当量を含んでもよい。ポリエステルポリオールには、ポリオール、好ましくはジオールと、ポリカルボン酸又はその無水物、好ましくはジカルボン酸又はジカルボン酸無水物との反応生成物が含まれる。ポリカルボン酸又は無水物は、脂肪族、脂環式、芳香族及び/又は複素環式であってもよく、且つ、例えばハロゲン原子などで置換されていてもよい。ポリカルボン酸は不飽和であってもよい。これらのポリカルボン酸の例としては、コハク酸、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸及びフマル酸が挙げられる。ポリエステルポリオールを製造する際に使用されるポリオールとしては、エチレングリコール、1,2−及び1,3−プロピレングリコール、1,4−及び2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、キニトール(quinitol)、マンニトール、ソルビトール、メチルグリコシド、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコール及び同類のものが挙げられる。
【0027】
本発明の一部の実施形態では、ポリオール混合物は、1分子あたり2〜6個のヒドロキシル基及び75〜1000のヒドロキシル当量を有する少なくとも1種類の再生可能資源ポリオールを含む。それらの実施例における再生可能資源ポリオールは、ポリオール混合物の少なくとも1重量%を構成し、好ましくはその1〜15重量%を構成する。
【0028】
「再生可能資源ポリオール」は、本発明の目的において、再生可能な生物学的資源、例えば動物性脂肪、植物性脂肪、リグノセルロース系材料又は炭水化物、例えばデンプンなどであるか、又はそれらから製造されたポリオールである。再生可能資源ポリオールの質量の少なくとも50%は、再生可能な生物学的資源に由来するべきである。様々な種類の再生可能資源ポリオールが有用であり、それには、Ionescu, Chemistry and Technology of Polyols for Polyurethanes, Rapra Publishers 2005に記載されるものが挙げられる。
【0029】
これらには次のものが挙げられる:
1.ヒマシ油。
【0030】
2.国際公開第2004/096882号及び国際公開第2004/096883号に記載されるヒドロキシメチル基含有ポリオール。かかるポリオールは、12〜26個の炭素原子を有するヒドロキシメチル基含有脂肪酸、或いは、そのようなヒドロキシメチル基含有脂肪酸のエステルを、平均して少なくとも2個のヒドロキシル基、第一級アミン基及び/又は第二級アミン基を有する、ポリオール又はポリアミン開始剤化合物と反応させて、ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが、開始剤化合物上のヒドロキシル基、第一級アミン基及び第二級アミン基の総数あたり、平均して少なくとも1.3の、ヒドロキシメチル基含有脂肪酸又はエステルに由来する反復単位を含み、且つ、ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが少なくとも400から15,000までの当量を有するようにすることにより作製される。好ましいかかるポリオールは次の平均構造を有する:
【化1】

{式中、Rは、n個のヒドロキシル基及び/又は第一級若しくは第二級アミン基を有する開始剤化合物の残基であり、この際、nは少なくとも2である;各々のXは、独立に、−O−、−NH−又は−NR’−であり(式中、R’は不活性に置換されたアルキル、アリール、シクロアルキル、又はアラルキル基であり)、pは、ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオール1分子あたりの[X−Z]基の平均数を表す1〜nまでの数であり、Zは、1分子あたりのA基の平均数が1.3×nより大きいという条件で、1又はそれ以上のA基を含有する直鎖又は分枝鎖であり、且つ、各々のAは、少なくとも一部のA基がA1、A2又はA3であるという条件で、独立に、A1、A2、A3、A4及びA5からなる群より選択され、この際、A1は:
【化2】

〔式中、Bは、Hであるか、又は別のA基のカルボニル炭素原子との共有結合であり;mは、3より大きい数であり、nは、0以上であり、且つ、m+nは、11〜19である〕であり;A2は:
【化3】

〔式中、Bは、上と同様であり、vは、3より大きい数であり、r及びsは、各々0以上の数であり、且つ、v+r+sは10〜18である〕であり、A3は:
【化4】

〔式中、B、v、各r及びsは、前に定義されるとおりであり、tは、0以上の数であり、且つ、v、r、s及びtの合計は、10〜18である〕であり;A4は
【化5】

〔式中、wは10〜24である〕であり、且つ、A5は
【化6】

〔式中、R’は、少なくとも1個の環状エーテル基及び所望により1個又はそれ以上のヒドロキシル基又はその他のエーテル基で置換されている、線状若しくは分枝状アルキル基である〕である}。
【0031】
3.国際公開第2007/019063号に記載されるようなアミド基含有ポリオール。これらの中には、ヒドロキシメチル基を有するアミド化合物が含まれ、それらは便宜に(1)少なくとも1個のヒドロキシル基を含む第一級若しくは第二級アミン化合物と(2)少なくとも1個のヒドロキシメチル基を含む脂肪酸のアミドと記載される。この種類のアミドは、少なくとも1個の、アミド窒素に結合したヒドロキシル置換有機基を有する。その上、C7−23炭化水素基は、アミド基のカルボニル炭素に結合している。このC7−23炭化水素基はそれ自体が少なくとも1個のヒドロキシメチル基で置換されている。その他のアミド基含有ポリオールは、脂肪酸基が修飾されて1個又はそれ以上の(N−ヒドロキシアルキル)アミノアルキル基が導入されている、脂肪酸(又はエステル)及びヒドロキシル含有第一級若しくは第二級アミンのアミドとして便宜に記載される。
【0032】
4.国際公開第2007/019051号に記載されるようなヒドロキシルエステル置換脂肪酸エステル。これらの材料は、少なくとも2個の異なる種類のエステル基を含む。1個の種類のエステル基は、脂肪酸のカルボン酸基の2個又はそれ以上のヒドロキシル基を有する化合物との反応生成物に相当する。これらの第2の種類のエステル基は、脂肪酸鎖から垂下しており、エステル基の−O−原子を通じて脂肪酸鎖に結合されている。このペンダントエステル基は、脂肪酸を(脂肪酸鎖中の炭素−炭素不飽和部位で)エポキシ化すること、それに続いてヒドロキシ酸又はヒドロキシ酸前駆体と反応させることにより便宜に形成される。ペンダントエステル基には、少なくとも1個の遊離ヒドロキシル基が含まれる。これらの材料は、次の構造
【化7】

〔式中、Rは、p個のヒドロキシル基を有する化合物からのヒドロキシル基を除去した後の残基を表し、Rは、脂肪酸の炭化水素部分を表し、且つ、xは、1〜pの数字である〕により表される。pは前に述べたとおり、2又はそれ以上である。各々の−R−O−C(O)−結合は、上で述べた第1の種類のエステル基を表す。R鎖の少なくとも一部分は、
【化8】

〔式中、Rは、不活性置換されていてもよいヒドロカルビル基であり、且つ、yは、1又はそれ以上、好ましくは1又は2である〕で表される、少なくとも1個のヒドロキシル含有エステル基で置換されている。構造の左側に示される結合は、脂肪酸鎖の炭素原子に結合する。本明細書において、不活性置換基は、材料の形成又はポリウレタンを製造する際のその使用に干渉しない置換基をさす。
【0033】
5.米国特許出願公開第2002/0121328号、同第2002/0119321号及び同第2002/0090488号に記載されるような「ブローン」ダイズ油。
【0034】
6.国際公開第06/116456号に記載されるようなオリゴマー化された(oligomerized)植物油又は動物性脂肪。この油又は脂肪は、出発物質中の炭素−炭素二重結合の一部又は全部をエポキシ化すること、その後にオリゴマー化を促進する条件下で開環反応を行うことによりオリゴマー化される。一部の残留エポキシド基は、これらの材料に残る場合が多い。ヒドロキシル官能価が約4.4であり、分子量が約1100のこの種類の材料は、BiOHの商標名でCargill Inc.より入手可能である。
【0035】
7.ヒドロキシル含有セルロース−リグニン材料。
【0036】
8.ヒドロキシル含有修飾デンプン。
【0037】
その他の実施形態では、ポリオール混合物は、ポリオール混合物の重量に基づいて1〜15重量%の、1分子あたり2〜4個のヒドロキシル基及び75〜560のヒドロキシル当量を有する、少なくとも1種類の芳香族アミン開始ポリオール(1,2−フェニレンジアミン付加物以外)を含む。芳香族アミンは、例として、トルエンジアミン(例えばo−トルエンジアミンなど)の任意の異性体、フェニレンジアミンの任意の異性体、2,2’−、2,4’−及び/又は2,6’−ジアミノジフェニルメタン、ジエチルトルエンジアミン、及び同類のものであってもよい。
【0038】
もう一つの実施形態では、本発明の1,2−フェニレンジアミン付加物は、1分子あたり4.5〜7個のヒドロキシル基の平均官能価及び100〜175のヒドロキシル当量を有する、少なくとも1種類のその他のポリエーテルポリオールとの混合物として使用される。その他のポリエーテルポリオールは、例として、ソルビトール−若しくはスクロース/グリセリン開始ポリエーテルであってもよい。本発明の1,2−フェニレンジアミン付加物は、この場合混合物の重量の10〜70%を構成してもよい。使用することのできる、適したソルビトール−若しくはスクロース/グリセリン開始ポリエーテルの例としては、Voranol(登録商標)360、Voranol(登録商標)RN411、Voranol(登録商標)RN490、Voranol(登録商標)370、Voranol(登録商標)446、Voranol(登録商標)520、Voranol(登録商標)550及びVoranol(登録商標)482ポリオールが挙げられ、それらは全てDow Chemical Companyより入手可能である。
【0039】
もう一つの実施形態では、本発明の1,2−フェニレンジアミン付加物は、1分子あたり4.5〜7個のヒドロキシル基官能価及び100〜175のヒドロキシル当量を有する少なくとも1種類のその他のポリエーテルポリオールも含み、且つアミンによって開始されないポリオール混合物中に存在し、少なくとも1種類のその他のアミン開始ポリオールは、2.0〜4.0(好ましくは3.0〜4.0)官能価及び100〜225のヒドロキシル当量を有する。その他のアミン開始ポリオールは、例として、アンモニア、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ピペラジン、アミノエチルピペラジン、ジイソプロパノールアミン、モノイソプロパノールアミン、メタノールアミン、ジメタノールアミン、トルエンジアミン(あらゆる異性体)及び同類のものによって開始されてもよい。エチレンジアミン−及びトルエンジアミン開始ポリオールがこの場合好ましい。ポリオール混合物は、5〜50重量%の本発明の1,2−フェニレンジアミン付加物;20〜70重量%の非アミン開始ポリオール及び2〜20重量%のその他のアミン開始ポリオールを含んでもよい。ポリオール混合物は、15重量%のまでのさらに別のポリオールを含んでもよく、それはアミンによって開始されず、2.0〜3.0のヒドロキシル官能価及び90〜500、好ましくは200〜500のヒドロキシル当量を有する。このようなポリオール混合物の具体例としては、5〜50重量%の本発明の1,2−フェニレンジアミン付加物、1分子あたり4.5〜7のヒドロキシル基の平均官能価及び100〜175のヒドロキシル当量を有する20〜70%のソルビトール又はスクロース/グリセリン開始ポリエーテルポリオール、当量が100〜225である2〜20重量%のエチレンジアミン開始ポリオール、2.0〜3.0の官能価及び200〜500のヒドロキシル当量を有する、0〜15重量%の非アミン開始ポリオールの混合物が挙げられる。
【0040】
好ましいポリオール混合物は、
a)ポリオール混合物の重量に基づいて5重量%〜40重量%の、3.0より大きく4.0までの平均官能価及び75〜560のヒドロキシル当量を有する、1,2−フェニレンジアミン開始ポリオール(1,2−フェニレンジアミン開始ポリオールは少なくとも1種類のC−Cアルキレンオキシドと1,2−フェニレンジアミンの反応生成物である)、
b)ポリオール混合物の重量に基づいて30〜70重量%の、4.5〜7の平均ヒドロキシル官能価及び100〜175のヒドロキシル当量を有する、非アミン開始ポリエーテルポリオール、及び
c)c1)、c2)及びc3)のうちの少なくとも1種類を含み、この際:
c1)は、1分子あたり2〜6個のヒドロキシル基及び75〜1000のヒドロキシル当量を有し、存在する場合には、ポリオール混合物の重量に基づいて2〜15重量部の量で存在する、少なくとも1種類の再生可能資源ポリオールであり、
c2)は、1分子あたり2〜4個のヒドロキシル基及び75〜560のヒドロキシル当量を有し、存在する場合には、ポリオール混合物の1〜15重量%の量で存在する、(本発明の1,2−フェニレンジアミン付加物以外の)少なくとも1種類の芳香族アミン開始ポリオールであり;且つ
c3)は、1分子あたり2〜4個のヒドロキシル基及び75〜560のヒドロキシル当量を有し、存在する場合には、ポリオール混合物の1〜10重量%の量で存在する、(再生可能資源ポリオール以外の)少なくとも1種類のポリエステルポリオールである。
【0041】
これらのポリオール混合物において、成分bは、好ましくはスクロース/グリセリン開始ポリオールである。これらのポリオール混合物において、成分c2)は好ましくはトルエンジアミン開始ポリオール、さらにより好ましくは、オルト−トルエンジアミン開始ポリオールである。
【0042】
記載されるポリオール混合物は、成分ポリオールを個別に製造し、その後それらを一緒に混合することにより作製することができる。或いは、ポリオール混合物は、それぞれの開始剤化合物の混合物を形成し、その後その開始剤混合物をアルコキシル化してポリオール混合物を直接形成することにより作製することができる。これらのアプローチの組合せを用いてもよい。特に、1,2−フェニレンジアミンと記載される少なくとも1種類のその他の開始剤の混合物は、ブレンドされ、同時にアルコキシル化されて、1,2−フェニレンジアミン付加物と、その他の1又は複数の開始剤から形成されるポリオールのブレンドを形成することができることが企図される。その他の開始剤は、例として、2個又はそれ以上のヒドロキシル基を有する化合物、或いは2個又はそれ以上の第一級及び/又は第二級アミン基であってもよい。同時に開始される(co-initiated)ポリオール生成物を作製するために使用することのできるその他の開始剤の例としては、例えば、グリセリン、スクロース、ソルビトール、水、トルエンジアミン及びエチレンジアミンが挙げられる。
【0043】
ポリウレタン形成組成物は、少なくとも1種類の有機ポリイソシアネートを含む。有機ポリイソシアネート又はその混合物は、平均して1分子あたり少なくとも2.5個のイソシアネート基を有利に含む。好ましいイソシアネート官能価は、約2.5〜約3.6又は約2.6〜約3.3イソシアネート基/分子である。ポリイソシアネート又はその混合物は、約130〜200のイソシアネート当量を有利に有する。これは、好ましくは130〜185、より好ましくは130〜170である。これらの官能価及び当量値は、その混合物が全体としてこれらの値を満たすならば、混合物中の任意の単一のポリイソシアネートに関して、適合する必要はない。
【0044】
適したポリイソシアネートとしては、芳香族、脂肪族及び脂環式ポリイソシアネートが挙げられる。芳香族ポリイソシアネートが一般に好ましい。例となるポリイソシアネートとしては、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び/又は2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の様々な異性体、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、水素化MDI(H12 MDI)、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、メトキシフェニル−2,4−ジイソシアネート、4,4'−ビフェニレンジイソシアネート、3,3'−ジメチオキシ(dimethyoxy)−4,4'−ビフェニルジイソシアネート、3,3'−ジメチルジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、4,4',4”−トリフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、水素化ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート及び4,4'−ジメチルジフェニルメタン−2,2',5,5'−テトライソシアネートが挙げられる。好ましいポリイソシアネートは、いわゆるポリマーMDI生成物であり、それはモノマーMDI中のポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートの混合物である。特に適したポリマーMDI生成物は、5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%の遊離MDI含量を有する。かかるポリマーMDI生成物は、PAPI(登録商標)及びVoranate(登録商標)の商標名でThe Dow Chemical Companyから入手可能である。
【0045】
カルボジイミド、ビウレット、尿素、アロホネート(allophonate)又はイソシアヌレート基を含むポリイソシアネートも使用することができる。
【0046】
特に好ましいポリイソシアネートは、2.6〜3.3個のイソシアネート基/分子の平均イソシアネート官能価及び130〜170のイソシアネート当量を有するポリマーMDI生成物である。適した市販のその種類の生成物としては、PAPI(商標)27、Voranate(商標)M229、Voranate(商標)220、Voranate(商標)290、Voranate(商標)M595及びVoranate(商標)M600が挙げられ、全てDow Chemical製である。
【0047】
イソシアネート末端プレポリマー及び準プレポリマー(プレポリマーとモノマーポリイソシアネート化合物との混合物)も使用することができる。これらは、化学量論的に過剰の有機ポリイソシアネートとポリオール、例えば上記のポリオールの1又はそれ以上のポリオールを反応させることにより作製される。これらのプレポリマーを作成するために適した方法は周知である。そのようなプレポリマー又は準プレポリマーは、好ましくは2.5〜3.6のイソシアネート官能価及び130〜200のイソシアネート当量を有する。
【0048】
ポリイソシアネートは、80〜1000のイソシアネート指数を得るために十分な量で使用される。イソシアネート指数は、反応性イソシアネート基の数として算出され、ポリイソシアネート成分を、ポリウレタン形成組成物中のイソシアネート反応基の数(イソシアネート反応性発泡剤、例えば水などに含まれるものも含む)で除算し、100を乗算することにより得られる。水は、イソシアネート指数を計算するために、1分子あたり2個のイソシアネート反応基を有すると考えられる。好ましいイソシアネート指数は90〜400、より好ましいイソシアネート指数は100〜150である。
【0049】
ポリウレタン形成組成物中で使用される発泡剤には、水及び/又は少なくとも1種類の物理的発泡剤が含まれてもよい。この物理的発泡剤は、炭化水素、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ジアルキルエーテル又はフッ素置換ジアルキルエーテル、或いはそれらの2又はそれ以上の混合物である。これらの種類の物理的発泡剤としては、プロパン、イソペンタン、n−ペンタン、n−ブタン、イソブテン、イソブテン、シクロペンタン、ジメチルエーテル、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(HCFC−141b)、クロロジフルオロメタン(HCFC−22)、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン(HCFC−142b)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)が挙げられる。炭化水素及びヒドロフルオロカーボン発泡剤が好ましい。物理的発泡剤に加えて、配合物中に水をさらに含めることは一般に好ましい。
【0050】
発泡剤(1又は複数)は、配合物が硬化して、16〜160kg/m、好ましくは16〜64kg/m、特に20〜48kg/mの成形密度を有するフォームを形成するために十分な量で使用することが好ましい。これらの密度を達成するため、炭化水素又はヒドロフルオロカーボン発泡剤は、ポリオール(1又は複数)重量100部あたり約10〜約40、好ましくは約12〜約35重量部の範囲の量で便宜に使用される。水はイソシアネート基と反応して二酸化炭素を生成し、それが膨張ガスとして作用する。水は、ポリオール(1又は複数)の重量100部あたり0.5〜3.5、好ましくは1.5〜3.0重量部の範囲内の量で適切に使用される。
【0051】
ポリウレタン形成組成物は、一般に、ポリオール(1又は複数)及び/又は水とポリイソシアネートとの反応のための少なくとも1種類の触媒を含む。適したウレタン形成触媒としては、両方とも参照により本明細書に援用される、米国特許第4,390,645号及び国際公開第02/079340号に記載される触媒が挙げられる。代表的な触媒としては、第三級アミン及びホスフィン化合物、様々な金属のキレート、強酸の酸性金属塩;強塩基、様々な金属のアルコラート及びフェノラート、有機酸と多様な金属との塩、四価のスズ、三価及び五価のAs、Sb及びBiの有機金属誘導体並びに鉄及びコバルトの金属カルボニルが挙げられる。
【0052】
第三級アミン触媒は一般に好ましい。第三級アミン触媒の中には、ジメチルベンジルアミン(例えばRhine Chemie製Desmorapid(登録商標)DBなど)、1,8−ジアザ(5,4,0)ウンデカン−7(例えばAir Products製Polycat(登録商標)SA−1など)、ペンタメチルジエチレントリアミン(例えばAir Products製Polycat(登録商標)5など)、ジメチルシクロヘキシルアミン(例えばAir Products製Polycat(登録商標)8など)、トリエチレンジアミン(例えばAir Products製Dabco(登録商標)33LVなど)、ジメチルエチルアミン、n−エチルモルホリン、N−アルキルジメチルアミン化合物、例えばN−エチルN,N−ジメチルアミン及びN−セチルN,N−ジメチルアミンなど、N−アルキルモルホリン化合物、例えばN−エチルモルホリン及びN−ココモルホリンなど、及び同類のものがある。その他の有用な第三級アミン触媒としては、Air ProductsによりDabco(登録商標)NE1060、Dabco(登録商標)NE1070、Dabco(登録商標)NE500、Dabco(登録商標)TMR−2、Dabco(登録商標)TMR 30、Polycat(登録商標)1058、Polycat(登録商標)11、Polycat(登録商標)15、Polycat(登録商標)33 Polycat(登録商標)41及びDabco(登録商標)MD45の商標名で販売されている触媒、並びにHuntsmanによりZR50及びZR70の商標名で販売されている触媒が挙げられる。その上、ある種のアミン開始ポリオールを本明細書において触媒材料として使用することができ、それには、国際公開第01/58976A号に記載されるものが挙げられる。2又はそれ以上の前述の触媒の混合物も使用することができる。
【0053】
触媒は、触媒的に十分な量で使用される。好ましい第三級アミン触媒に関して、触媒の適量は、ポリオール(1又は複数)の重量100部あたり約1〜約4部、特に約1.5〜約3部の第三級アミン触媒(1又は複数)である。
【0054】
三量化触媒は、イソシアヌレート基の形成を促進することを望む場合に使用することができる。三量化触媒は、一般に150又はそれより大きい、特に200又はそれより大きいイソシアネート指数と併せて使用される。強塩基、例えばアルカリ金属化合物などは有用な三量化触媒である。
【0055】
ポリウレタン形成組成物はまた、少なくとも1種類の界面活性剤を含むことが好ましく、界面活性剤はガスが発生して気泡を形成しフォームを膨張させる時に、組成物の気泡を安定化させるために役立つ。適した界面活性剤の例としては、アルカリ金属及び脂肪酸のアミン塩、例えばナトリウムオレエート、ナトリウムステアレートナトリウムリシノレート、ジエタノールアミンオレエート、ジエタノールアミンステアレート、ジエタノールアミンリシノレート、及び同類のものなど:アルカリ金属及びスルホン酸のアミン塩、例えばドデシルベンゼンスルホン酸及びジナフチルメタンジスルホン酸など;リシノール酸;シロキサン−オキシアルキレンポリマー又は共重合体及びその他の有機ポリシロキサン/オルガノポリシロキサン;オキシエチル化アルキルフェノール、例えば、The Dow Chemical Company製のTergitol NP9及びTriton X100など;オキシエチル化脂肪アルコール、例えば、The Dow Chemical Company製のTergitol 15−S−9など;パラフィン油;ヒマシ油;リシノール酸エステル;トルコ赤油;ピーナッツ油;パラフィン;脂肪アルコール;ポリオキシアルキレン及びフルオロアルカン側基を含む、ジメチルポリシロキサン及びオリゴマーアクリレートが挙げられる。これらの界面活性剤は、一般に、100重量部のポリオールに基づいて、0.01〜6重量部の量で使用される。
【0056】
有機シリコーン界面活性剤が一般に好ましい種類である。幅広い種類のこれらの有機シリコーン界面活性剤は市販されており、それには、GoldschmidtによりTegostab(登録商標)の名称で販売されているもの(例えばTegostab B−8462、B8427、B8433及びB−8404界面活性剤など)、OSi SpecialtiesによりNiax(登録商標)の名称で販売されているもの(例えばNiax(登録商標)L6900及びL6988界面活性剤など)並びにAir Products and Chemicalsより市販されている様々な界面活性剤製品、例えばDC−193、DC−198、DC−5000、DC−5043及びDC−5098界面活性剤が挙げられる。
【0057】
前述の配合剤に加えて、このポリウレタン形成組成物には、様々な補助成分、例えば充填剤、着色剤、臭気マスク(odor masks)、難燃剤、殺生物剤、酸化防止剤、UV安定剤、帯電防止剤、粘度調整剤、及び同類のものが含まれてもよい。
【0058】
適した難燃剤の例としては、リン化合物、ハロゲン含有化合物及びメラミンが挙げられる。
【0059】
充填剤及び色素の例としては、炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、アゾ/ジアゾ染料、フタロシアニン、ジオキサジン、再生硬質ポリウレタンフォーム及びカーボンブラックが挙げられる。
【0060】
UV安定剤の例としては、ヒドロキシベンゾトリアゾール、ジブチルチオカルバミン酸亜鉛、2,6−ジターシャリブチルカテコール、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒンダードアミン及び亜リン酸塩が挙げられる。
【0061】
充填剤を除いて、前述の添加剤は一般に少量、例えば0.01パーセント〜3パーセント(各々ポリウレタン配合物の重量による)で使用される。充填剤はポリウレタン配合物の50重量%程度の量で使用されてもよい。
【0062】
ポリウレタン形成組成物は、ポリオール(1又は複数)及びイソシアネート(1又は複数)が反応し、発泡剤がガスを発生し、組成物が膨張し、硬化するような条件下で様々な成分を一緒にすることにより作製される。ポリイソシアネートを除く全ての成分(又はその任意の下位の組合せ)は、所望であれば配合したポリオール組成物に予めブレンドしてもよく、次にフォームを作製する時にそれをポリイソシアネートと混合する。成分は所望であれば予熱してもよいが、これは通常必要ではない、そして、大体室温(約22℃)で成分を一緒にして反応を導くことができる。通常、硬化を推進するために組成物に熱を加える必要はないが、所望であればこれを行ってもよい。
【0063】
本発明は、ポリウレタン形成組成物がキャビティの中に分配され、キャビティ内部で泡立ってそれを満たし、集成体に構造特性及び/又は断熱特性をもたらす、いわゆる「現場注入(pour-in-place)」用途において特に有用である。「現場注入」という命名は、フォームが一つの工程で作り出され、後に別の製造工程で所定の位置に組み立てられるのではなく、必要とされる場所で作り出されるという事実をさす。現場注入プロセスは、家庭用電化製品、例えば冷蔵庫、冷凍庫、及びクーラーなど、並びに断熱フォームを含む壁を有する同様の製品を製造するために一般に使用されている。ポリウレタン形成組成物中に1,2−フェニレンジアミン付加物が存在することにより、配合物に良好な流動性及び短い離型時間がもたらされる傾向があり、それと同時にk因子の低いフォームが製造される。
【0064】
家庭用電化製品、例えば冷蔵庫、冷凍庫、及びクーラーなどの壁は、本発明に従って、最初に、外殻とライナーとの間にキャビティが形成されるように、外殻及び内部ライナーを一緒に組み立てることにより最も便宜に絶縁される。キャビティは、絶縁される空間並びに製造されるフォームの寸法及び形状を規定する。一般に、外殻及びライナーは、フォーム配合物を導入する前に何らかの方法で、例えば、溶接、溶融結合又は何らかの接着剤(又はこれらの何らかの組合せ)の使用により、一緒に接合される。ほとんどの場合、外殻及びライナーを、ジグ又はその他の装置を用いて正確な相対位置に支持又は保持することができる。キャビティへの1又はそれ以上の入口が設けられ、それを通じてフォーム配合物を導入することができる。通常、キャビティにフォーム配合物が充満し、フォーム配合物が膨張するときに、キャビティ内の空気を逃すために、1又はそれ以上の出口が設けられる。
【0065】
外殻及びライナーの構成材料は、それらがフォーム配合物の硬化及び膨張反応の条件に耐えることができるならば、特に重要ではない。ほとんどの場合、そのために、構成材料は、最終製品に望まれる特定の性能特性に関して選択される。金属、例えば鋼などは、シェルとして、特に大型の家庭用電化製品、例えば冷凍庫又は冷蔵庫などにおいて一般に使用される。プラスチック、例えばポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレンスチレン−アクリロニトリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂又は高衝撃ポリスチレンなどは、より小型の家庭用電化製品(例えばクーラーなど)、又は低重量であることが重要な製品においてより多く使用される。ライナーは金属であってもよいが、先ほど記載したようなプラスチックがより一般的である。
【0066】
次に、フォーム配合物をキャビティの中に導入する。フォーム配合物の様々な成分を一緒に混合し、混合物を素早くキャビティ内に導入し、そこで成分を反応及び膨張させる。ポリオール(1又は複数)は、水及び配合されたポリオールを製造するために用いてもよい任意の物理的発泡剤(しばしば触媒及び/又は界面活性剤とも)と一緒に予備混合することが一般的である。配合されたポリオールは、フォームを作成する時点まで保存することができ、その時点でポリオールはポリイソシアネートと混合され、キャビティ内に導入される。通常、成分をキャビティ内に導入するよりも前に加熱する必要はなく、硬化を推進するためにキャビティ内の配合物を加熱する必要もないが、所望であればこれらの工程の一方又は両方を行ってもよい。外殻及びライナーは、一部の例では冷却用放熱器の役割を果たし、反応フォーム配合物から熱を除去することができる。必要に応じて、外殻及び/又はライナーを若干か(例えば最大50℃まで、より一般に35〜40℃)加熱してこの冷却用放熱器としての効果を低減させるか、又は効果を推進させてもよい。
【0067】
配合物が膨張した後に生じるフォームが、フォームが求められるキャビティの部分を満たすように、十分な量のフォーム配合物を導入する。最も一般的に、基本的にキャビティ全体がフォームで満たされる。キャビティを満たすために最小限必要とされるよりも多くのフォーム配合物を導入することにより、キャビティをわずかに「過剰充填」し、それによりフォーム密度をわずかに増大させることが一般に好ましい。過剰充填により、利益、例えば、特に離型の後の期間の、より良好なフォームの寸法安定性などがもたらされる。一般に、キャビティは4〜20重量%過剰充填される。大部分の家庭用電化製品用途のための最終フォーム密度は、28〜40kg/mの範囲内であることが好ましい。
【0068】
所望であれば、このプロセスは、様々な真空支援による型充填法(vacuum assisted mold-filling methods)、例えば減圧下の密閉金型キャビティの中に反応混合物を注入する真空支援注入(VAI)などと併せて実行することができる。かかる方法は、例えば、国際公開第07/058793号に記載されている。
【0069】
フォーム配合物が膨張し、寸法的に安定するまで十分に硬化した後、結果として得られる集成体を、外殻及びライナーをそれらの正確な相対位置に保持するために使用するジグ又はその他の支持体から除去することにより「離型する」ことができる。離型時間が短いほど、単位時間あたりにより多くの部品を製造することができるので、短い離型時間は、家電工業に重要である。
【0070】
離型時間は、次の通り査定することができる:離型剤をコーティングした28リットルの「ジャンボ」Brett型を45℃の温度に状態調節する。32kg/m密度のフォームを得るために、896g±4gのフォーム配合物を型の中に注入する。6分間後、フォームを型から除去し、フォームの厚さを測定する。さらに24時間後、フォーム厚さを再び測定する。24時間後の厚さと最初の厚さとの間の差が、フォームの離型後膨張を示す。この試験で離型後膨張が4mm以下であるならば、離型時間は十分に長いとみなされる。
【0071】
上述のように、流動性は、フォーム配合物のもう一つの重要な特性である。本発明の目的において、流動性は、寸法が200cm×20cm×5cm(約6'6”×8”×2”)の長方形の「Brett」型を用いて査定される。ポリウレタン形成組成物が形成されると、直ちにBrett型に注入し、それを垂直方向に配置し(すなわち200cm方向を垂直方向に配置し)、45±5℃まで予熱する。組成物をその自重に逆らって膨張させ、型の内部で硬化させる。ポリウレタン形成組成物の量は、結果として得られるフォームがちょうど型を満たすように選択する。次に、結果として得られるフォームの密度を測定し、同じ配合物から(配合物を、気圧に対して垂直及び水平に自由に膨張することのできるプラスチック製バッグ又は開いたボール箱の中に注入することにより)製造された自由上昇フォームの密度と比較する。Brett型フォーム密度の自由上昇密度に対する比は、配合物の「フローインデックス」を表すと考えられる。本発明によって、フローインデックス値は、一般に1.8より低く、好ましくは1.2〜1.5である。
【0072】
本発明のポリウレタンフォームは有利に低いk因子を示す。フォームのk因子は、数個の変数によって決まり得るが、その中でも密度が重要な変数である。多くの適用に関して、28.8〜40kg/m(1.8〜2.5ポンド/立方フィート)の密度を有する硬質ポリウレタンフォームは、物理的特性、寸法安定性、及びコストの良好な組合せを示す。その範囲内の密度を有する、本発明に従うフォームは、10℃のk因子が22以下、好ましくは20以下、より好ましくは19.5mW/m−°K以下を示すことが好ましい。より高密度のフォームのほうが、やや高いk因子を示す可能性がある。
【0073】
上記の家庭用電化製品断熱フォームに加えて、本発明は、車両騒音を減衰するフォーム、積層ボードの1又はそれ以上の層、管用断熱材、及びその他のフォーム製品を製造するためにも有用である。本発明は、迅速な効果が求められる場合、及び又はフォームにおいて良好な断熱特性が求められる場合に特に注目される。
【発明を実施するための形態】
【0074】
以下の実施例は本発明を例証するために提供されるものであり、その範囲を制限することを意図するものではない。全ての部分及び百分率は、特に指定のない限り重量による。
【実施例】
【0075】
実施例1
1,2−フェニレンジアミン(3990g、37モル)を、窒素でパージしたガラス反応器に添加し、125℃まで加熱する。フラスコをプロピレンオキシドで約4500kPaに加圧し、合計6428g(111モル)のプロピレンオキシドがフラスコに供給されるまでその圧力を維持する。次に、反応物を125℃にて2時間蒸解させ、その後86gの45%水酸化カリウム水溶液を添加する。水を真空下115℃で除去し、反応器を再び125℃に加熱する。さらなる5392g(93モル)のプロピレンオキシドが添加されるまで、より多くのプロピレンオキシドを反応器内に供給する。次に、反応物を再び2時間蒸解させ、その時に70%酢酸水溶液を添加する。結果として得られるポリオールの当量は127.5であり、粘度は50℃でたった4,320センチポアズである。ポリオールは、1分子あたり約3.4個のヒドロキシル基、1分子あたり約0.6個の第二級アミノ基及び1分子あたり0.05個未満の第一級アミノ基を含む。この付加物は、1モルの1,2−フェニレンジアミン及び約5.6モルのプロピレンオキシドに相当する。
【0076】
実施例2
1,2−フェニレンジアミン(3983g、37モル)を、窒素でパージしたガラス反応器に添加し、107℃まで加熱する。フラスコをプロピレンオキシドで約4500kPaに加圧し、合計6428g(111モル)のプロピレンオキシドがフラスコに供給されるまでその圧力を維持する。次に、反応物を107℃にて2時間蒸解させ、その後86gの45%水酸化カリウム水溶液を添加する。水を真空下115℃で除去し、その後反応器を115℃に加熱する。さらなる5315g(92モル)のプロピレンオキシドが添加されるまで、より多くのプロピレンオキシドを反応器内に供給する。次に、反応物を再び2時間蒸解させ、その時に70%酢酸水溶液を添加する。結果として得られるポリオールの当量は127.2であり、粘度は50℃でたった4,920センチポアズである。ポリオールは、1分子あたり約3.4個のヒドロキシル基、1分子あたり約0.6個の第二級アミノ基及び1分子あたり0.05未満個の第一級アミノ基を含む。この付加物は、1モルの1,2−フェニレンジアミン及び約5.6モルのプロピレンオキシドに相当する。
【0077】
実施例3、4及び比較例A
硬質ポリウレタンフォーム実施例3、4及び比較例Aを、表1に記載される成分から製造する。フォーム加工は、175−225g/秒の処理量で動作するHi Tech CS−50高圧機を用いて行う。フォーム配合物をバッグ(自由上昇密度を測定するため)及び45℃に予熱した垂直なBrett型に注入する。混合する前の成分温度は約21℃である。
【0078】
比較例Aで使用した1,3−フェニレンジアミンポリオールの粘度は、50℃で150,000cpsを超過する。これは、取り扱い及び加工を非常に困難とする。
【表1】

【0079】
クリーム時間、ゲル時間、不粘着時間、自由上昇密度、最小充填密度及び平均圧縮強度を、すべて、各々のフォームについて測定する。10℃k因子は、上部低温プレート温度が−3℃であり、下部保温プレート温度が23℃であるLaser Comp Fox 200装置を用いて、8”×1”×1”(20×2.5×2.5cm)サンプルで測定し、19.15mW/m−°Kであることが見出される。離型後膨張は、ジャンボBrett型内で6及び7分の硬化時間の後に測定する。結果は下の表2の通りである。
【表2】

【0080】
実施例3及び4は、比較例Aよりも低いk因子及び短い離型時間(6及び7分での離型膨張が低いことにより示される)を有する。フローインデックス及びフォーム密度は非常に一致している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1,2−フェニレンジアミン及びプロピレンオキシド、エチレンオキシド又は、プロピレンオキシドとエチレンオキシドの混合物の付加物であって、前記付加物は、1分子あたり平均2.8〜4.0個のヒドロキシル基、1分子あたり0〜1.0個の第二級アミノ基、1分子あたり0〜0.2個の第一級アミノ基を有し、且つ活性水素原子あたりの当量が約60〜250である。
【請求項2】
1分子あたり2.8〜3.8個のヒドロキシル基、1分子あたり0.2〜1.2個の第二級アミノ基及び、1分子あたり0〜0.2個の第一級アミノ基を含む、請求項1に記載の付加物。
【請求項3】
1分子あたり3.1〜3.6個のヒドロキシル基、1分子あたり0.4〜0.8個の第二級アミノ基及び、1分子あたり0〜0.1個の第一級アミノ基を含む、請求項1に記載の付加物。
【請求項4】
1分子あたり3.25〜3.6個のヒドロキシル基、1分子あたり0.4〜0.7個の第二級アミノ基及び、1分子あたり0〜0.05個の第一級アミノ基を含む、請求項1に記載の付加物。
【請求項5】
80〜175の当量を有する請求項1に記載の付加物。
【請求項6】
50℃で10,000cps未満の粘度を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の付加物。
【請求項7】
硬質イソシアネート系フォームを作製するための方法であって、
a)少なくとも、
1)請求項1から6のいずれか一項に記載の1,2−フェニレンジアミン付加物、又は該付加物と少なくとも1種類のその他のポリオールとの混合物(但し、該混合物は、少なくとも5重量%の1,2−フェニレンジアミン付加物を含む);
2)少なくとも1種類の発泡剤;及び
3)少なくとも1種類のポリイソシアネート;を含有する反応混合物を形成する段階と
b)前記反応混合物が膨張し、硬化して硬質なフォームを形成するような条件に、前記反応混合物を供する段階と
を含む、方法。
【請求項8】
前記発泡剤に水が含まれる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記発泡剤に物理的発泡剤が含まれる、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記物理的発泡剤に、少なくとも1種類の炭化水素、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ジアルキルエーテル又はフッ素置換ジアルキルエーテルが含まれる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記反応混合物が、前記1,2−フェニレンジアミン付加物と、4.5〜7のヒドロキシル官能価及び100〜175のヒドロキシル当量を有する、少なくとも1種類のその他のポリエーテルポリオールの混合物を含む、請求項7から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記反応混合物が、2.0〜4.0の平均ヒドロキシル官能価及び100〜225のヒドロキシル当量を有する、少なくとも1種類のさらなるアミン開始ポリオールをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記反応混合物が、2.0〜3.0のヒドロキシル官能価及び90〜500のヒドロキシル当量を有する、非アミン開始ポリオールをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記反応混合物が、前記1,2−フェニレンジアミン付加物と少なくとも1種類の再生可能資源ポリオールの混合物を含む、請求項7から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記反応混合物が、前記1,2−フェニレンジアミン付加物と少なくとも1種類のポリエステルポリオールを含む、請求項7から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記イソシアネート指数が90〜400である、請求項7から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記反応混合物が、キャビティの中に分配され、キャビティ内部で発泡して前記キャビティを満たし、且つ、構造特性又は断熱特性を集成体に提供する、請求項7から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記集成体が家庭用電化製品であり、前記硬質フォームが断熱フォームである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記反応混合物が、減圧下のキャビティの中に分配される、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
請求項7から19のいずれか一項に従って作製した硬質イソシアネート系フォーム。
【請求項21】
家庭用電化製品絶縁フォーム、積層ボードの層、管用断熱材又は車両用減衰部材である、請求項20に記載のフォーム。
【請求項22】
a)成分a)及びb)の総合重量に基づいて10〜70%の、請求項1から6のいずれか一項に記載の1,2−フェニレンジアミン付加物と;
b)成分a)及びb)の総合重量に基づいて30〜90%の、4.5〜7の平均ヒドロキシル官能価及び100〜175のヒドロキシル当量を有する非アミン開始ポリエーテルポリオールと
を含むポリオール混合物。
【請求項23】
a)成分a)、b)、c)及びd)の総合重量に基づいて10〜50%の、請求項1から6のいずれか一項に記載の1,2−フェニレンジアミン付加物と;
b)成分a)、b)、c)及びd)の総合重量に基づいて20〜70%の、4.5〜7の平均ヒドロキシル官能価及び100〜175のヒドロキシル当量を有する非アミン開始ポリエーテルポリオールと;
c)成分a)とは異なる、2.0〜4.0の平均ヒドロキシル官能価及び100〜225のヒドロキシル当量を有する、2〜20%の別のアミン開始ポリオールと、
d)2.0〜30のヒドロキシル官能価及び200〜500のヒドロキシル当量を有する0〜15%の非アミン開始ポリオール
を含むポリオール混合物。

【公表番号】特表2011−511856(P2011−511856A)
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543179(P2010−543179)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/030794
【国際公開番号】WO2009/091705
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】