説明

イヌ変形性関節症食餌製剤

イヌおよびその他の動物において変形性関節症の発症を治療、予防および遅延させるための食餌製剤および方法が開示されている。本製剤はn−3脂肪酸が豊富であり、n−6脂肪酸が制限されている。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001]本願は、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる2004年7月1日に出願された米国仮出願第60/584,703号の利益を主張する。
【発明の分野】
【0002】
[0002]本発明は、変形性関節症のイヌおよびその他の動物を治療する方法、ならびにイヌおよびその他の動物において変形性関節症の発症を治療、予防し、または遅延させるために、および動物において健全な関節を維持するために特別に処方された食品、サプリメントおよび薬剤に関する。
【発明の背景】
【0003】
[0003]変形性関節疾患とも呼ばれる変形性関節症(OA)は、ヒトおよび動物において最もよく見られる関節障害である(Romich,J.A.(1994)Top.Vet.Med.5、16〜23頁;Brooks,P.(2003)Bull World Health Org.81、689〜690頁)。成犬の20%もがOAに罹患しており、結果として疼痛および身体障害に苦しんでいる(Roushら、(2002)Vet.Med.97、108〜112頁)。OAは、関節軟骨の関連変質、骨棘形成および骨のリモデリングならびに関節周囲組織における変化を伴う、可動関節の障害と定義できる。この状態は非炎症性関節障害に分類されているが、軽度の非化膿性炎症はよく起こり、数種の炎症成分がOAと強く関連している(Johnstonら(1997)Vet.Clin.N.Am.Sm.Anim.Pract.27、699〜723頁;Aminら、(1997)J.Clin.Invest.99、1231〜1237頁;Brooksら、(2003)Bull.World Health Org.81、689〜690頁;Haynesら、(2002)Clin.Immunol.105、315〜325頁)。細胞および生化学レベルでは、OAは、炎症性サイトカインに応じて軟骨細胞から放出される分解酵素(特に、マトリックスメタロプロテイナーゼ)の増加を伴う。OA患者の滑液では、インターロイキン−1β(IL−1)、インターロイキン−6(IL−6)および腫瘍壊死因子α(TNFα)などの炎症性サイトカインならびにその他の炎症性メディエーターが増加している。
【0004】
[0004]軟骨細胞、白血球および繊維芽細胞から不定に産生されるマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)には、コラゲナーゼ、ストロメライシン、ゼラチナーゼ、エラスターゼなどが含まれる。これらの酵素はすべて、何らかの方法で軟骨マトリックスを分解し、軟骨およびその他の結合組織の生理的リモデリングにおいて重要な役割を果たしている。OAでは、MMPはマトリックス糖タンパク質をはじめとするグリコサミノグリカンおよびコラーゲンを分解する。MMPはまた、滑液中のヒアルロン酸濃度を低下させ、それによって粘性が減少した滑液となり、関節が潤滑であることが損なわれる。正常な状態では、MMPの分解プロセスは、組織性メタロプロテイナーゼ阻害因子(TIMP)の阻害機能によって適当に平衡が保たれている。しかし、OAでは、この平衡に混乱が生じ、MMPが不均衡に増加する。さらに、炎症性サイトカイン、特に、IL−1およびTNFαが、MMPの活性化および放出を刺激する。
【0005】
[0005]イヌおよびその他の種における多数の研究により、OAにおける活性MMPの増加、TIMPの減少またはその双方が証明されている。例えば、膝OAにおける軟骨分解の程度は、MMP−2およびMMP−13の活性、ならびにTIMP−2のMMP−2に対する阻害作用の低下と強く関連していたことが関節鏡検査によって調べられ、実証されている。OAが自然に発生したイヌから得た滑液は、健常な対照と比較して、MMP−2活性がより高く、MMP−9活性が劇的に増加していることがわかっている(Volk S.W.ら、(2003)Am.J.Vet.Res.64(10)、1225〜1233頁)。MMP−9は、人工股関節全置換術を受けている女性の股関節の急速破壊性OAと相関性があるとされてきた。同様に、MMP−3およびMMP−9は、血中で増加していることがわかり、MMP−1、MMP−3、MMP−9およびTIMP−1はすべて、この重症型OAの患者から得た組織サンプルにおいて増加していることがわかった。
【0006】
[0006]OAにおけるMMPの重要な役割をかんがみて、MMPは、軟骨破壊の寛解を目的とする薬剤の治療標的として役立ち得るだけでなく、OAの進行の診断およびモニタリングにとっての有用なマーカーとしても役立つ可能性があるということが示唆されてきた。MMP活性の増加は、プロスタグランジンE(PGE)をはじめとするプロスタグランジンによって刺激され、PGE産生を減少させる非ステロイド系抗炎症薬またはその他の化合物によって阻害され得る。
【0007】
[0007]OAにおいて最も重要であると考えられるサイトカインとして、IL−1、IL−6およびTNFαが挙げられる。OAでは、サイトカインおよびその他の炎症性メディエーターは、マクロファージ、リンパ球、繊維芽細胞、滑膜細胞および軟骨細胞から生じる。IL−1およびTNFαの濃度の上昇は、MMPの活性化を通じて、滑膜性炎症ならびに軟骨およびプロテオグリカンの分解を引き起こす。IL−1は、繊維芽細胞からのPGEの放出を刺激し、これが続いて疼痛受容体を刺激する。さらに、これらのサイトカインは、炎症性フリーラジカル、特に、一酸化窒素(NO)の生成を刺激する。
【0008】
[0008]OAを患っているイヌおよびヒトの双方において、滑液中のIL−6の活性は大幅に高まっている。IL−6は、OAにおいて、MMP活性化の阻害およびマトリックス合成の促進を通じてタンパク同化活性を促進できる。他方、IL−6はMMP−2、MMP−9およびMMP−13を刺激できる。したがって、この多面的サイトカインは、OAの急性期にはプロテオグリカン喪失を低減するのに役立つが、慢性期には骨棘形成を促進する。IL−6−/−ノックアウトマウスモデルを用いたいくつかの研究によって、IL−6は関節炎の病変の進行に重要であることが示されている。
【0009】
[0009]OAの発症機序に関与しているその他の炎症性物質として、アラキドン酸からシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)または5−リポオキシゲナーゼ(lipooxygenase)(LOX)酵素を経由して生じる、エイコサノイドPGE、トロンボキサンA(TXA)およびロイコトリエンB(LTB)が挙げられる。OAでは、これらの酵素の活性および結果として生じるエイコサノイドが高まっている。骨関節炎軟骨は、正常な軟骨と比較して50倍より多いPGE2を自発的に放出する。LTB4は、IL−1およびTNFαの合成および放出を促進する。さらに、LTB4は強力な走化性物質であり、局部組織の好中球誘発性損傷を増大し得る。TXA2は、単球がTNFαおよびIL−1を放出するのを刺激し、これが続いてMMP産生および関節破壊を促進する。PCE2は、局部炎症および疼痛を促進する。PGE2は骨破壊性骨再吸収を促進でき、II型コラーゲンの破壊およびプロテオグリカンの喪失を増大させる。PGE2は、繊維芽細胞からのIL−6放出を刺激し、また、軟骨細胞をフリーラジカルNOの作用に対して感作させる。COX−2酵素を阻害すると、PGE2が減少し、ならびにIL−6が低減されることとなる。
【0010】
[0010]OAの治療法はわかっていないので、治療は疼痛を制御すること、関節機能を改善することおよび関節内での変性プロセスを遅延させることに的を絞っている。治療には、通常、体重管理、管理された運動ならびに抗炎症薬および鎮痛剤の投薬が含まれる。また、炎症性メディエーターを減少させ、軟骨細胞の健康および修復を促進し、酸化的損傷を減少させるのに役立つ栄養補給剤を治療に含める場合もある。
【0011】
[0011]PGE2産生に関与するCOX−2酵素を阻害することは、OA患者に軽減をもたらす1つの手段である。PGE2産生を減少させる別の手段として、COXおよびLOX酵素の基質としてアラキドン酸と競合する食餌性長鎖ω−3(n−3)ポリ不飽和脂肪酸(PUFA)の使用によるものがある。食餌性長鎖n−3 PUFAはまた、軟骨組織において炎症誘発性メディエーターIL−1、IL−2およびTNFを抑制する(Curtis,C.L.ら、(2000)J.Biol.Chem.275(2)、721〜724頁)。
【0012】
[0012]n−6およびn−3両ファミリー中のポリ不飽和脂肪酸は、免疫調節作用を有し得る。イヌ細胞膜中の主なn−6脂肪酸は、アラキドン酸(AA;20:4n−6)であり、これはPGE2、TXA2およびLTB4、すなわち、OAにおける強力な炎症性メディエーターの生成の前駆体として働く。
【0013】
[0013]ω−3(n−3)またはω−6(n−6種)ポリ不飽和脂肪酸は、動物組織では新規合成されないが、正常な細胞機能にとって必要なものである。したがって、それらは必須であると考えられる。必須ポリ不飽和脂肪酸としては、リノール酸(LA:18:2n−6)およびα−リノレン酸(ALA;18:3n−3)がある。動物に、18:2n−6、18:3n−3、20:5n−3、22:5n−3および22:6n−6をはじめとするn−3またはn−6ポリ不飽和脂肪酸の供給源を与えると、対応して、n−3およびn−6高度不飽和脂肪酸(HUFA)、具体的には20:4n−6、20:5n−3、22:5n−3、22:6n−3が循環へ濃縮され、組織に濃縮される。n−3およびn−6HUFAの前駆体は食餌性供給源からしか得ることができないので、組織中の相対存在量は、食餌中のこれらの前駆体の利用可能性によって制限される。
【0014】
[0014]食餌が、長鎖n−3 PUFA、具体的には、エイコサペンタエン酸(EPA;20:5n−3)およびドコサヘキサエン酸(DHA;22:6n−3)に富んでいれば、細胞膜中のAAの一部は、これらの長鎖n−3脂肪酸で置き換えられる。EPAは、COX−2および5−LOX酵素の代替基質として働くことができ、その結果、異なる、あまり炎症性でない化合物のセット、例えば、PGE、TXAおよびLTBの代わりにPGE、TXAおよびLTBが生じる。
【0015】
[0015]関節炎において長鎖n−3 PUFAを評価する臨床研究の大部分は、関節リウマチのヒト患者におけるものであった。それらの研究のほとんどは、長鎖n−3 PUFA補給からの明確な利益を示した。患者は、疼痛や関節の硬直を経験することなく非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)の使用を減らすか中止することができた。有益な応答は、長鎖n−3 PUFA補給を受ける投与量および期間と直接結び付いていると思われた。OAのイヌにおいて同様の効果が示されている。股関節のOAのイヌ22匹に、炎症性皮膚状態のイヌ用に販売されている脂肪酸サプリメントを与えた(DVM Derm Caps、DVM Pharmaceuticals、Miami、FL)(Millerら、(1992)Canine Pract.17、6〜8頁)。製造業者の推奨にしたがって投薬すると、22匹のイヌのうち13匹が、2週間以内に関節炎の症状に目覚ましい改善を示した(Millerら、1992、前掲)。
【0016】
[0016]グルコサミン、アミノ糖は、結合組織においてマトリックスを形成するO−結合型およびN−結合型グリコサミノグリカン(GAG)の主成分である。ヒアルロン酸およびケラタン硫酸は、一部は、アセチルグルコサミンの反復単位からなっている。軟骨細胞によるグルコサミン合成の減少は、OAにおいて見られるマトリックスGAGの減少に関与しているとされてきた。OAの管理ではグルコサミンを用いる経口補給が評価されている。原則的に、グルコサミンを評価するすべての試験は、硫酸グルコサミンまたは塩酸グルコサミンなどの精製塩を用いて行われてきた。天然供給源(動物または家禽軟骨)から得たグルコサミンへのこれらのデータの適用性は記載されていない。
【0017】
[0017]経口投与されたグルコサミンの50%より多くは、小腸の生理学的pHで非イオン化のものであり、小分子として容易に吸収される。ほとんどの経口投与されたグルコサミンは酸化され、結合している放射標識の70%が呼気CO中に検出される。しかし、約10%は組織中に保持される。グルコサミンは、軟骨細胞に対して刺激作用を有し、細胞外マトリックスのプロテオグリカンおよびコラーゲンに組み込まれる。
【0018】
[0018]膝のOAを患うヒト患者におけるグルコサミン補給を評価するいくつかの短期および長期、二重盲検ランダム化試験が、最近、メタ分析によって再検討された。これらの研究から、1日あたり1500mgのグルコサミンを用いてOAの臨床的徴候の有意な改善が実証された。2つの研究では患者を3年間追跡し、経口グルコサミンがOAの長期進行を効率的に阻害することを実証した。イヌにおけるグルコサミン単独に関する同様の研究は不足している。しかし、いくつかのin vitroおよびin vivoイヌ研究によりグルコサミンとコンドロイチン硫酸の組合せの利益が示された。
【0019】
[0019]酸化的ストレスは、関節炎において炎症および組織破壊の双方で重要な役割を果たしている。関節炎患者は、血清ビタミンA、EおよびCならびにその他の抗酸化物質の濃度が低下しており、ならびに酸化的損傷のマーカーが上昇している。これらの異常を抗酸化物質補給で逆転することができた。いくつかの研究が、OAにおいて酸化的損傷を制御するための抗酸化物質の補給の利益を支持している。
【0020】
[0020]イヌには、OAと関連している変化に対応するのに直接役立ち得る栄養改善に加え、正常な維持および再生を支持するために適当にバランスのとれた栄養分が必要である。抗酸化栄養素、ビタミンB、亜鉛、カルシウム、マグネシウムおよびセレンの食餌性欠乏が報告されている。これらの栄養素はそれぞれ、軟骨およびその他の組織の正常な維持において役割を果たす。したがって、OAのイヌは、完全で、バランスのとれた栄養分を提供する食餌を与えられることが重要である。
【0021】
[0021]食餌性タンパク質は、プロテオグリカンおよびコラーゲン合成のためのアミノ酸の供給源を提供することに加え、最適な身体状態の維持を補助する役割のために重要である。タンパク質は、体重管理にとって有益であり得るいくつかの生理学的作用を有する。タンパク質は代謝およびタンパク質ターンオーバーを刺激し、熱産生を誘導し、満腹を促す。体重減少およびその後の体重維持の間、タンパク質摂取量を増加することによって、除脂肪体重を保持しながらの体脂肪の低下が促進される。タンパク質のこれらの特徴は、OAのイヌにおいて過剰な体重に対応するのに役立ち有益であり得る。
【0022】
[0022]関節炎のイヌのための標準的な医療には、体重管理、管理された運動ならびに抗炎症薬および鎮痛剤の投薬が含まれる。当技術分野には、変形性関節症のイヌおよびその他の動物のためのさらなる治療方法ならびに変形性関節症の作用を低減するためのヒトのための治療方法が必要である。
【発明の概要】
【0023】
[0023]本発明は変形性関節症のイヌおよびその他の動物を治療するための食餌製剤および方法を提供する。本発明の一態様は、製剤重量の少なくとも約0.1〜1.5%の量の、長鎖n−3脂肪酸、例えばα−リノレン酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸(DPA)またはドコサヘキサエン酸(DHA)を含む食餌製剤を特徴とする。特定の実施形態では、長鎖n−3脂肪酸は食餌製剤の少なくとも約0.2%〜0.6%または食餌製剤の少なくとも約0.3%〜0.4%の量で存在する。特定の実施形態では、本食餌製剤は約0.2〜0.6%のEPAまたはDHAを含む。
【0024】
[0024]いくつかの実施形態では、食餌製剤は、食餌製剤の約3%未満の量のn−6脂肪酸を含む。特定の実施形態では、本製剤は約0.125%未満のアラキドン酸を含む。その他の実施形態では、本製剤は約1〜2%未満のリノール酸を含む。
【0025】
[0025]いくつかの実施形態では、本食餌製剤は少なくとも約1:2の比のn−3およびn−6脂肪酸を含む。特定の実施形態では、n−3対n−6脂肪酸の比は少なくとも約1:1または少なくとも約2:1である。
【0026】
[0026]本食餌製剤には、グルコサミン、コンドロイチン、抗酸化物質および非ステロイド系抗炎症薬から独立に選択されるさらなる成分を含めてもよい。
【0027】
[0027]特定の実施形態では、本食餌製剤は、イヌもしくはネコ用のペットフードまたはペットトリート製品である。このようなペットフード製品はドライフード(キブル)、セミモイストフードまたはモイストフード(缶フード)製品であり得る。その他の実施形態では、本食餌製剤は栄養補給剤であり得る。
【0028】
[0028]本発明のもう1つの態様は、哺乳類に上記の種類の食餌製剤を投与することを含む、哺乳類において関節炎の発症を治療、予防し、または遅延させる方法を特徴とする。種々の実施形態において、関節炎は、変形性関節症または関節リウマチである。本方法の特定の実施形態では、哺乳類はコンパニオンアニマル、例えば、イヌまたはネコである。その他の実施形態では、哺乳類はヒトであり得る。
【0029】
[0029]特定の実施形態では、本方法は、哺乳類において体重減少を促進する成分をさらに含む食餌製剤を利用する。本方法はまた、哺乳類をカロリー制限に付して体重減少を促進することまたは哺乳類に、管理された運動を提供することをさらに含み得る。
【0030】
[0030]本発明のもう1つの態様は、哺乳類に、本明細書に記載される、製剤重量の少なくとも約0.1%〜1.5%の量の長鎖n−3脂肪酸を含む食餌製剤を投与することを含む、哺乳類の滑液において少なくとも1種のマトリックスメタロプロテイナーゼの産生を減少させる方法を特徴とする。特定の実施形態では、マトリックスメタロプロテイナーゼはMMP−2またはMMP−9である。
【0031】
[0031]本発明のもう1つの態様は、哺乳類に、本明細に記載される、製剤重量の少なくとも約0.1%〜1.5%の量の長鎖n−3脂肪酸を含む食餌製剤を投与することを含む、哺乳類において炎症性サイトカインの産生を減少させる方法を特徴とする。特定の実施形態では、炎症性サイトカインはインターロイキン−1、インターロイキン−6または組織壊死因子αである。
【0032】
[0032]本発明のもう1つの態様は、哺乳類に、本明細書に記載される、食餌製剤重量の少なくとも約0.1%〜1.5%の量の長鎖n−3脂肪酸を含む食餌製剤を投与することを含む、in vivoで哺乳類の膜中のアラキドン酸を低減する方法を特徴とする。
【0033】
[0033]本発明のその他の特徴および利点は、添付の図面を併せて考慮し、以下の説明および添付の特許請求の範囲から明らかとなろう。
【例示的実施形態の詳細な説明】
【0034】
[0044]本明細書において参照される参考資料、特許、特許出願および科学文献は、参照によりその全文が、各々が参照により組み込まれるよう具体的に、個別に示されている場合には同程度に、本明細書に組み込まれる。本明細書に引用されたいずれかの参照文献と、本明細書の具体的な教示との間の何らかの対立は、後者を支持して解決されなければならない。
【0035】
[0045]種々の定義は本明細書全体にわたってなされる。ほとんどの単語は、当業者によってそれらの単語に帰属させられる意味を有する。本明細書において以下または他の箇所のいずれかで具体的に定義される単語は、総じて本発明との関連で提供され、通常、当業者に理解される意味を有する。単語または語句の当技術分野で理解されている定義と、本明細書において具体的に教示される単語または語句の定義の間の何らかの対立は、後者を支持して解決されなければならない。本明細書に用いられる見出しは便宜のためであって、制限と解釈されるべきではない。
【0036】
[0046]本発明は、いずれかの動物、好ましくは哺乳類、特に、ネコおよびイヌに関する。当業者には明らかであろうが、いくつかの実施形態では、本明細書に示される方法および食餌製剤は、ヒトに適用可能である。
【0037】
[0047]本明細書において、関節炎などの炎症状態に関連して、「発症を治療、予防し、または遅延させること」とは、状態または状態と関連している1つまたは複数の症状を部分的または完全に寛解させること、状態の発生を完全に阻害すること、または状態の提示もしくは進行を遅延させることを指す。
【0038】
[0048]本発明はn−3脂肪酸が豊富な、イヌおよびその他の動物用の食餌製剤を提供する。ω−3脂肪酸とも呼ばれるこの種類の脂肪酸は、通常、1つまたは複数の炭素−炭素二重結合を含む、12〜26個の炭素原子を含む。本発明において用いるのに好ましいものとして、長鎖(18個以上の炭素原子)ポリ不飽和n−3脂肪酸(LPUFA)がある。このようなn−3脂肪酸の例として、それだけには限らないが、必須n−3脂肪酸、α−リノレン酸(LNAまたはALA)、およびその他のn−3脂肪酸、例えば、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸(DPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)が挙げられる。n−3脂肪酸の食餌性供給源としては、それだけには限らないが、亜麻仁、亜麻油、クルミ、コールドプレスカノーラ油、コムギ胚芽、緑黄色の葉もの野菜および脂肪分の多い冷水魚が挙げられる。
【0039】
[0049]以下により詳細に論じるように、本製剤は、製剤中に存在するあらゆる長鎖n−6脂肪酸量の約半分より多い長鎖n−3脂肪酸量を含むことが好ましい。n−6脂肪酸の例としては、必須n−6脂肪酸リノール酸(LA)およびその他のn−6脂肪酸、例えば、アラキドン酸(AA)およびγ−リノール酸(GLA)が挙げられる。n−6脂肪酸の食餌性供給源としては、それだけには限らないが、ダイズ油、ヒマワリ種子、ベニバナ種子、カボチャ種子、ゴマ種子、練りゴマ、トウモロコシ油、ピーナッツおよびほとんどのナッツが挙げられる。通常、n−6脂肪酸の量は制限される。例えば、本製剤中のアラキドン酸量は約0.125重量%未満である。さらに、本製剤のリノール酸含量は約1〜2重量%の範囲である。
【0040】
[0050]本発明の製剤は、有効量の長鎖n−3脂肪酸を含む。本明細書において、「有効量」とは、それだけには限らないが、疼痛、跛行、軟骨喪失、関節腫脹、捻髪音、排便または排尿する姿勢をとることが困難なこと、こわばり、歩行異常、関節弛緩、関節滲出液、滑液量の増加などをはじめとする変形性関節症の徴候または症状のうち少なくとも1つを寛解させる長鎖n−3脂肪酸量を指す。
【0041】
[0051]いくつかの実施形態では、本製剤はおよそ少なくとも約20mg/体重1kg/日を動物に送達する量の長鎖n−3脂肪酸を含む。その他の実施形態では、本製剤は、少なくとも約30mg/kg/日を動物に送達する量の長鎖n−3脂肪酸を含む。その他の実施形態では、本製剤は、少なくとも約40mg/kg/日を動物に送達する量の長鎖n−3脂肪酸を含む。その他の実施形態では、本製剤は、少なくとも約50mg/kg/日を動物に送達する量の長鎖n−3脂肪酸を含む。その他の実施形態では、本製剤は、少なくとも約60mg/kg/日を動物に送達する量の長鎖n−3脂肪酸を含む。その他の実施形態では、本製剤は、少なくとも約70mg/kg/日を動物に送達する量の長鎖n−3脂肪酸を含む。その他の実施形態では、本製剤は、少なくとも約80mg/kg/日を動物に送達する量の長鎖n−3脂肪酸を含む。その他の実施形態では、本製剤は、少なくとも約90mg/kg/日を動物に送達する量の長鎖n−3脂肪酸を含む。その他の実施形態では、本製剤は、少なくとも約100mg/kg/日を動物に送達する量の長鎖n−3脂肪酸を含む。その他の実施形態では、本製剤は、少なくとも約110mg/kg/日を動物に送達する量の長鎖n−3脂肪酸を含む。その他の実施形態では、本製剤は、少なくとも約120mg/kg/日を動物に送達する量の長鎖n−3脂肪酸を含む。本発明のいくつかの実施形態では、長鎖n−3脂肪酸は、α−リノレン酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸(DPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)から選択される1種または複数のn−3脂肪酸である。
【0042】
[0052]食餌処方のパーセンテージとしての長鎖n−3脂肪酸量は、乾物ベースで食餌製剤の約0.1〜1.5%の範囲であるが、より多くのパーセンテージも提供され得る。種々の実施形態では、量は、乾物ベースで食餌製剤の約0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%または1.5%である。本発明のいくつかの実施形態では、長鎖n−3脂肪酸はエイコサペンタエン酸(EPA)である。いくつかの実施形態では、長鎖n−3脂肪酸はドコサペンタエン酸(DPA)である。その他の実施形態では、長鎖n−3脂肪酸はドコサヘキサエン酸(DHA)である。さらにその他の実施形態では、長鎖n−3脂肪酸はα−リノレン酸(ALA)である。その他の実施形態では、本食餌製剤は、これらのn−3脂肪酸のうち2種以上の混合物を含む。
【0043】
[0053]平均的な食餌には、約1:10の比のn−3:n−6脂肪酸が含まれ得る。本製剤では、平均的食餌よりもより高い割合のn−3脂肪酸に有利に働くn−3:n−6の比を達成するよう、n−6脂肪酸(特に、AAおよびLA)が制限されている。いくつかの実施形態では、n−3:n−6の比は、約1:9、1:8、1:7または1:6よりも高い。その他の実施形態では、n−3:n−6の比は、約1:5、1.4または1:3よりも高い。もう1つの実施形態では、n−3:n−6の比は、約1:2よりも高い。その他の実施形態では、脂肪酸の比はn−3脂肪酸の割合がn−6脂肪酸と等しいか、n−6脂肪酸よりも大きいようなものである。例えば、n−3:n−6の比は約1:1〜約15:1であり得る。いくつかの実施形態では、この比は約2:1〜約3:1であるが、より大きなもの、例えば、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1または14:1である場合もある。
【0044】
[0054]実現性についていずれか特定の理論に拘束されることを望むものではないが、処方中の長鎖n−3脂肪酸は、動物によって消費されると、細胞膜中のアラキドン酸の代わりとなり、抗炎症性エイコサノイドの産生に用いられ、PGE、TXAおよびLTBではなくプロスタグランジンE(PGE)、トロンボキサンA(TXA)およびロイコトリエンB(LTB)のような化合物を産生させると考えられる。PGEの低減は、プロMMP−2およびプロMMP−9の減少をもたらし、それによって、これらのメタロプロテイナーゼのタンパク質分解活性が低下し、その結果、関節の炎症および疼痛が減少することとなる。さらに、長鎖n−3脂肪酸の増加は、MMP−2およびMMP−9の第1の活性化ステップに必須であると考えられているその他のMMP(例えば、膜1型マトリックスメタロプロテイナーゼ)の結合部位を飽和することによってMMP−2およびMMP−9の活性化を妨げる、組織性メタロプロテイナーゼ−2阻害因子(TIMP−2)の増加の一因となると考えられる。図10は、これらの機構の一部を図によって説明するものである。
【0045】
[0055]実際、本発明により、n−3脂肪酸が豊富な食餌製剤は、TIMP−1の増加およびゼラチナーゼの分解に関与している2種のマトリックスメタロプロテイナーゼ:MMP−2(ゼラチナーゼ−A)およびMMP−9(ゼラチナーゼB)の減少を促進することが実証されている(図7、8および9を参照しながら実施例2を参照のこと)。本発明の製剤は、それだけには限らないが、(1)間質性コラゲナーゼ(MMP−1)、好中球コラゲナーゼ(MMP−8)およびコラゲナーゼ3(MMP−13)などのコラゲナーゼ、(2)ストロメライシン−1(MMP−3)、ストロメライシン−2(MMP−10)およびマトリライシン(MMP−7)などのストロメライシンならびに(3)MMP−14およびMT1−MMPなどの膜型MMPをはじめとする、これらおよびその他のマトリックスメタロプロテイナーゼレベルを低下させることに実用性を見い出すことが期待される。
【0046】
[0056]また、本発明の処方には、それだけに限らないが、グルコサミンおよびコンドロイチン硫酸などの関節の健康を支持するさらなる因子を含めることができる。
【0047】
[0057]いくつかの実施形態では、グルコサミンは食品の500〜1000ppmの量で提供される。その他の実施形態では、グルコサミンは少なくとも約1000〜1500ppmの量で提供される。その他の実施形態では、グルコサミンは、グルコサミンの投与に起因する有害作用がないならば、少なくとも約1500〜2000ppmまたはそれ以上の量で提供される。
【0048】
[0058]いくつかの実施形態では、コンドロイチン硫酸は約100〜300mg/日を送達する量で提供される。その他の実施形態では、コンドロイチン硫酸は少なくとも約300〜500mg/日を送達する量で提供される。その他の実施形態では、コンドロイチン硫酸は、コンドロイチン硫酸の投与に起因する有害作用がないならば、少なくとも約500〜700mg/日またはそれ以上を送達する量で提供される。
【0049】
[0059]また、本製剤には、抗酸化物質、例えば、それだけには限らないが、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、リボフラビン、セレンおよびピリドキシンを含めてもよい。
【0050】
[0060]いくつかの実施形態では、セレンは0.5〜0.7mg/食品1kgの量で提供される。その他の実施形態では、セレンは少なくとも約0.7〜0.9mg/kgの量で提供される。その他の実施形態では、セレンはセレンの投与に起因する有害作用がないならば、少なくとも約0.9〜1.1mg/kgまたはそれ以上の量で提供される。
【0051】
[0061]いくつかの実施形態では、ビタミンAは少なくとも約20〜30IU/食品1gの量で提供される。その他の実施形態では、ビタミンAは少なくとも約30〜40IU/食品1gの量で提供される。その他の実施形態では、ビタミンAは、ビタミンAの投与に起因する有害作用がないならば、少なくとも約40〜50IU/食品1gまたはそれ以上の量で提供される。
【0052】
[0062]いくつかの実施形態では、ビタミンEは少なくとも約0.5〜1IU/食品1gの量で提供される。その他の実施形態では、ビタミンEは少なくとも約1〜1.5IU/食品1gの量で提供される。その他の実施形態では、ビタミンEは、ビタミンEの投与に起因する有害作用がないならば、少なくとも約1.5〜2.5IU/食品1gまたはそれ以上の量で提供される。
【0053】
[0063]いくつかの実施形態では、ビタミンCは食品の少なくとも約50〜150ppmの量で提供される。その他の実施形態では、ビタミンCは少なくとも約150〜250ppmの量で提供される。その他の実施形態では、ビタミンCは、ビタミンCの投与に起因する有害作用がないならば、少なくとも約250〜350ppmまたはそれ以上の量で提供される。
【0054】
[0064]いくつかの実施形態では、リボフラビンは少なくとも約5〜15mg/食品1kgの量で提供される。その他の実施形態では、リボフラビンは少なくとも約15〜25mg/kgの量で提供される。その他の実施形態では、リボフラビンは、リボフラビンの投与に起因する有害作用がないならば、少なくとも約25〜35mg/kgまたはそれ以上の量で提供される。
【0055】
[0065]いくつかの実施形態では、ピリドキシンは少なくとも約5〜15mg/食品1kgの量で提供される。その他の実施形態では、ピリドキシンは少なくとも約15〜25mg/kgの量で提供される。その他の実施形態では、ピリドキシンは、ピリドキシンの投与に起因する有害作用がないならば、少なくとも約25〜35mg/kgまたはそれ以上の量で提供される。
【0056】
[0066]本製剤は、変形性関節症に対する有益な効果を提供することに加え、動物が減量するのを可能にする食事療法のための製剤に適応させることができる。動物を適切に体重管理することによって関節に対する直接の治療効果に加え、緩和効果の増大を促進することができる。
【0057】
[0067]それだけに限らないが、品種、年齢、大きさ、体重および全身の健康状態、例えば、変形性関節症、関節リウマチまたは動物において炎症反応を引き起こすその他の疾患の程度または病期などのパラメータを考慮して、動物の特定の要求のために製剤を調整することが望ましい場合がある。膜および組織におけるn−3およびn−6脂肪酸の濃縮を算出する方法は、当技術分野では周知であり、この方法を用いて食餌中のn−3およびn−6脂肪酸レベルを調整することができる。例えば、このような算出は、Bauer,J.E.ら(2002)J.Nutr.132、1642S〜1645S頁およびPCT公開番号国際公開第03/092405号パンフレットに記載されている。
【0058】
[0068]本発明の食餌製剤は、ドライフード、ソフト/モイストフードまたは缶フードの形であり得る。一般に、乾燥食品のタンパク質含量は、約15〜30重量%の範囲である。一般に、乾燥食品の全脂肪含量は、約5〜20重量%の範囲である。乾燥食品の炭水化物含量は、約30〜60重量%の範囲である。一般に、乾燥食品の含水量は、約15重量%未満である。タンパク質、炭水化物および脂肪の含量は、当技術分野では周知である、種々の品種のイヌの特定の要求に合うよう調整することができる。
【0059】
[0069]一般に、ソフト/モイストフードのタンパク質含量は、約10〜30重量%の範囲である。ソフト/モイストフードの全脂肪含量は、一般に、約2〜15重量%の範囲である。ソフト/モイストフードの炭水化物含量は、約20〜40重量%の範囲である。一般に、乾燥食品の含水量は、約20〜50重量%未満である。タンパク質、炭水化物および脂肪の含量は、当技術分野では周知である、種々の品種のイヌの特定の要求に合うよう調整することができる。
【0060】
[0070]一般に、缶フードのタンパク質含量は、約5〜20重量%の範囲である。缶フードの全脂肪含量は、一般に、約1〜20重量%の範囲である。缶フードの炭水化物含量は約15〜40重量%の範囲である。缶フードの含水量は、一般に、約80重量%未満である。タンパク質、炭水化物および脂肪の含量は、当技術分野では周知である、種々の品種のイヌの特定の要求に合うよう調整することができる。
【0061】
[0071]本発明の食餌製剤はまた、食品もしくは水と混合して投与できるか、または薬剤投与形として別個に提供される、栄養補給剤の形でもあり得る。サプリメントおよび投与形としては、それだけには限らないが、錠剤(丸剤、チュアブル錠、即溶錠、多層錠、二層錠などを含む)、散剤、エリキシル剤、液剤、溶液剤、懸濁剤、エマルション、カプセル剤、カプレット、トローチ剤、チュアブルトローチ剤、ビーズ、散剤、顆粒剤、粒子剤、ゲル剤、ペースト剤、溶けるフィルム、微粒子剤、分散性顆粒剤、ヘルスバー、アニマルトリートおよびそれらの組合せが挙げられる。上記の投与形の製造は当業者には周知である。
【0062】
[0072]本発明はまた、イヌに本発明の食餌製剤を与えて変形性関節症の症状を軽減することによって、イヌにおいて変形性関節症を治療する方法を提供する。食餌製剤中の栄養素量は、イヌの品種の特定の要求および動物が起こしている変形性関節症の程度または病期にしたがって調整できる。獣医ならば、動物に投与されるべき食餌製剤について、ならびに食餌のその他のパラメータの調整について(例えば、体重管理を提供するために)の指導を行うことができ、また、その他の治療(例えば、疼痛管理、運動など)の種類および期間についての指導を行うことができる。
【0063】
[0073]一般に、体重管理ならびに変形性関節症の治療が必要なイヌには、変形性関節症の症状のうち少なくとも1つの軽減を促進するために、増加させた長鎖n−3脂肪酸量を維持しながら、カロリーが減らされ、体重減少を促進する食餌が与えられる。また、食餌製剤には、上記で詳細に説明したその他の成分、例えば、抗酸化物質、非ステロイド系抗炎症薬、グルコサミンおよびコンドロイチン硫酸も含めてよい。
【0064】
[0074]本発明はまた、関節の健康を支持するためにOAの発症が遅延できるか予防できるような健康な動物に対応する方法を提供する。したがって、本発明の食餌製剤および/または栄養補給剤は、イヌなどの動物に、OAの発症を予防するか遅延させるための、および健康な関節を維持するための予防対策として提供できる。本製剤、サプリメントまたは薬剤は、乾物ベースで、製剤の少なくとも約0.1〜1.5%の量の長鎖n−3脂肪酸を含み、本製剤はまた、本明細書に記載される量のn−6脂肪酸、ならびに、抗酸化物質、グルコサミン、コンドロイチンおよび/またはNSAIDを含み得る。食餌製剤中の栄養素量は、イヌの品種の特定の要求、および例えば、動物の年齢により、標準手順にしたがって調整できる。
【0065】
また、変形性関節症を治療および予防するための本明細書に提供される方法および食餌製剤を使用してその他の炎症状態を治療または予防できる。詳しくは、本製剤および方法は、同様に関節リウマチの治療にとって、その状態の炎症の性質を考慮して有利であると予想される。
【0066】
[0075]本発明はまた、哺乳類に本発明の食餌製剤を投与することを含む、哺乳類、特にイヌの細胞膜中のアラキドン酸を低減する方法を提供する。食餌製剤中の長鎖n−3脂肪酸量は、イヌの細胞膜中のアラキドン酸を置換するのに十分なものとする。一般に、長鎖n−3脂肪酸量は、乾物ベースで、食餌製剤の約0.1〜1.5%である。
【0067】
[0076]本発明はまた、増加した量の長鎖n−3脂肪酸を含む食餌製剤を投与することを含む、哺乳類において変形性関節症の作用を低減する方法を提供する。いくつかの実施形態では、長鎖n−3脂肪酸は、乾物ベースで、食餌製剤の少なくとも約0.1〜1.5%の量である。いくつかの実施形態では、その量は、乾物ベースで、食餌製剤の約0.3%である。いくつかの実施形態では、その量は、乾物ベースで、食餌製剤の約0.4%である。いくつかの実施形態では、その量は、乾物ベースで、食餌製剤の約0.5%である。いくつかの実施形態では、食餌製剤は哺乳類、特にイヌ用である。その他の実施形態では、食餌製剤はヒト用である。
【0068】
[0077]いくつかの実施形態では、ヒト用食餌製剤は、当技術分野で周知のように栄養補強品の形である。
【0069】
[0078]本発明はさらに、本発明の食餌製剤を投与することによって、イヌおよびその他の哺乳類においてマトリックスメタロプロテイナーゼの産生を減少させる方法を提供する。マトリックスメタロプロテイナーゼとしては、それだけには限らないが、MMP−2およびMMP−9が挙げられる。一般に、長鎖n−3脂肪酸量は、乾物ベースで製剤の約0.1〜1.5%の範囲である。いくつかの実施形態では、製剤中のアラキドン酸量は、0.125%未満であるよう制限されている。その他の実施形態では、リノール酸量が、食餌製剤のわずか1〜2%に制限されている。本製剤にはまた、抗酸化物質、グルコサミンおよび少なくとも1種のNSAIDを追加してもよい。
【0070】
[0079]本発明はまた、本発明の食餌製剤を投与することによって、イヌおよびその他の哺乳類において炎症性サイトカインの産生を減少させる方法を提供する。炎症性サイトカインとしては、それだけには限らないが、IL−1、IL−6およびTNFαが挙げられる。一般に、長鎖n−3脂肪酸量は、製剤の約0.1〜1.5%の範囲である。いくつかの実施形態では、製剤中のアラキドン酸量は0.125%未満であるよう制限されている。その他の実施形態では、リノール酸量が、食餌製剤のわずか1〜2%に制限されている。本製剤にはまた、抗酸化物質、グルコサミンおよび少なくとも1種のNSAIDを追加してもよい。本食餌製剤はまた、マトリックスメタロプロテイナーゼの産生を減少させるおよび/または炎症性サイトカインの産生を減少させるために使用できる。
【実施例】
【0071】
[0080]以下の実施例は、本発明をより詳細に説明するために提供する。それらは本発明を例示しようとするものであって、制限しようとするものではない。
【0072】
実施例1
実験計画
[0081]この実施例は、n−3脂肪酸が豊富な食餌の、イヌにおいてOAと関連している生化学的パラメータに対する効果を調べるためのプロトコールを示す。二重盲検ランダム化およびプラセボ対照計画を用いた。
【0073】
[0082]この研究には、24匹の、変形性骨関節炎の結果、急性前十字靭帯(ACL)損傷(前十字靭帯の断裂)が臨床上確認されたイヌを用い、治療食餌か対照食餌のいずれかに無作為に割り当てた(n=12)。イヌをOAおよび靭帯損傷の程度によって層別化した。研究に先立って、イヌに、外科医によって通常の身体診察を行い、X線写真を撮影した。
【0074】
[0083]イヌを無作為に各12匹のイヌからなる2群にわけた。
群1:n−3 LC PUFAサプリメント(魚油3.5%添加)
群2(対照):長鎖n−3脂肪酸は含まないが、添加脂肪供給源として獣脂を含めた。
【0075】
[0084]イヌには63日間サプリメントを与えた(矯正外科手術の前7日間および矯正外科手術後56日間)。
【0076】
[0085]TIMP−2、PGE2およびMMP分析のための滑液および血清は、以下の時点で、それぞれ無菌関節穿刺および静脈穿刺によってニードルおよびシリンジにより採取した:−7日目、0日目、7日目、14日目、28日目および56日目。滑液は、すべてのイヌの罹患(ACLが断裂した)関節および反対側の関節から採取した。
【0077】
[0086]HP5890ガスクロマトグラフを用いるガスクロマトグラフィーを実施して被験体の血清脂肪酸を評価し、血清中のN−3 LC PUFAを測定した。
【0078】
[0087]血清および滑液サンプル中のプロ型および活性型MMP−2およびMMP−9の分析は、ゼラチンを埋め込んだゲルを用いる電気泳動によって実施した。ゲル分析には、ノベックスザイモグラム(NOVEX Zymogram)(San Diego、CA)ゲル、バッファー、染色液および装置を用いた。ザイモグラフィー(Zymography)は、標準ノベックス(NOVEX)使用説明書の指示通りに流した。ゲルはデンシトメーター(Molecular Dynamics、Sunnyvale、CA)でスキャンした。各サンプルバンドを比較し、各ゲルに流した標準に対して定量化した。
【0079】
[0088]Caymen(Ann Arbor、MI)から入手できる市販の酵素結合免疫測定法(ELISA)キットを用いて血清ビシクロ−PGE2、PGE2の安定な代謝産物、の分析を実施した。
【0080】
実施例2
イヌ変形性関節症に関連する生化学的パラメータに対するn−3脂肪酸が豊富な食餌の効果
[0089]以下の結果は、先の実施例に示されるプロトコールおよび評価手順を用いて得た。まず、血漿中のAA、EPAおよびDHAの量を測定した。ここで、図について記載すると、図1は、対照食餌を与えられた動物と比較して、n−3脂肪酸が豊富な食餌を提供された動物において血漿AAが減少したことを示す。図2および3はそれぞれ、対照食餌を与えられた動物と比較して、n−3脂肪酸が豊富な食餌を与えられた動物において血漿EPAおよびDHAが増加したことを示す。さらに、図6に示されるように、血漿ビシクロPGE2は、n−3脂肪酸が豊富な食餌を与えられた動物において約10%減少した(プロトコールの完了に入ってから)が、対照食餌を与えられた動物では20%よりも多く増加した。
【0081】
[0090]滑液の脂肪酸組成も調べた。図4および5にそれぞれ示されるように、手術の前後にn−3脂肪酸が豊富な食餌を与えられた動物は、対照食餌を与えられた動物と比較して、滑液n−6脂肪酸の減少および滑液n−3脂肪酸の増加を示した。さらに、図7および8に示されるように、n−3脂肪酸が豊富な食餌を与えられた動物の滑液において、対照食餌を与えられた動物のものと比較して、プロおよび活性MMP−2およびMMP−9が減少した。図9に示されるように、TIMP−2は、n−3脂肪酸が豊富な食餌を与えられた動物の滑液において、対照食餌を与えられた動物のものと比較して増加した。
【0082】
[0091]以上に記載された結果から、n−3脂肪酸を食餌に豊富にすることによって、イヌ変形性関節症と関連しているいくつかの生理学的および生化学的パラメータが改善されることが実証される。
【0083】
実施例3
例示的食餌製剤
[0092]本発明の例示的であるが、それだけには限らない食餌製剤として、以下の通りのものがある。
【0084】
【表1】

【0085】
[0093]本発明は、記載された実施形態および上記で例示される実施形態に制限されるものではなく、添付の特許請求の範囲内の変法および改変が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】断裂した十字靭帯を修復するための矯正外科手術の前後に、n−3脂肪酸が豊富な食餌(TRT)を提供された動物または対照食餌(CTL)を提供された動物における、血漿アラキドン酸の濃度(mg/dl)を示すヒストグラムである。p<0.05。白抜きバー(TRT);点描バー(CTL)。
【図2】断裂した十字靭帯を修復するための矯正外科手術の前後に、n−3脂肪酸が豊富な食餌(TRT)を提供された動物または対照食餌(CTL)を提供された動物における、血漿エイコサペンタエン酸(eicosopentaenoic acid)の濃度(mg/dl)を示すヒストグラムである。−7日目を除くすべての日数でp<0.05。白抜きバー(TRT);点描バー(CTL)。
【図3】断裂した十字靭帯を修復するための矯正外科手術の前後に、n−3脂肪酸が豊富な食餌(TRT)を提供された動物または対照食餌(CTL)を提供された動物における、血漿ドコサヘキサエン酸の濃度(mg/dl)を示すヒストグラムである。−7日目を除くすべての日数でp<0.05。白抜きバー(TRT);点描バー(CTL)。
【図4】断裂した十字靭帯を修復するための矯正外科手術の前後に、n−3脂肪酸が豊富な食餌(TRT)を提供された動物または対照食餌(CTL)を提供された動物における、滑液n−6脂肪酸(AA−アラキドン酸、LA−リノレン酸)(g/サンプル100g)の量を示すヒストグラムである。サンプルは術後28日目に採取した。p<0.005。白抜きバー(TRT);点描バー(CTL)。
【図5】断裂した十字靭帯を修復するための矯正外科手術の前後に、n−3脂肪酸が豊富な食餌(TRT)を提供された動物または対照食餌(CTL)を提供された動物における、滑液n−3脂肪酸(EPA−エイコサペンタエン酸(eicosopentaenoic acid)、DHA−ドコサヘキサエン酸)(g/サンプル100g)の量を示すヒストグラムである。サンプルは術後28日目に採取した。p<0.005。白抜きバー(TRT);点描バー(CTL)。
【図6】断裂した十字靭帯を修復するための矯正外科手術の前後に、n−3脂肪酸が豊富な食餌(TRT)を提供された動物または対照食餌(CTL)を提供された動物における、血漿ビシクロPGE2レベルのパーセント変化を示すヒストグラムである。パーセント変化は、研究の開始から終了までの変化として測定した。p<0.05。斜線バー(TRT)、点描バー(CTL)。
【図7】断裂した十字靭帯を修復するための矯正外科手術の前後に、n−3脂肪酸が豊富な食餌(TRT)を提供された動物または対照食餌(CTL)を提供された動物の、手術をしていない関節の滑液中のプロMMP−2および活性MMP−2の濃度(ng/10μl)を示すヒストグラムである。食事によってp<0.05。白抜きバー(TRT)、点描バー(CTL)。
【図8】断裂した十字靭帯を修復するための矯正外科手術の前後に、n−3脂肪酸が豊富な食餌(TRT)を提供された動物または対照食餌(CTL)を提供された動物の、手術をしていない関節の滑液中のプロMMP−9および活性MMP−9の濃度(ng/10μl)を示すヒストグラムである。食事によってp<0.05。白抜きバー(TRT)、点描バー(CTL)。
【図9】断裂した十字靭帯を修復するための矯正外科手術の前後に、n−3脂肪酸が豊富な食餌(TRT、黒四角)を提供された動物または対照食餌(CTL、黒ダイヤモンド)を提供された動物の、滑液中のTIMP−2濃度(ng/10μl)の経時変化を示すグラフである。p<0.05。
【図10】n−3脂肪酸が関節破壊に影響を及ぼしている可能性がある機構を例示する図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製剤重量の少なくとも約0.1〜1.5%の量の長鎖n−3脂肪酸を含む食餌製剤。
【請求項2】
長鎖n−3脂肪酸が、α−リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸またはドコサヘキサエン酸のうち少なくとも1種を含む、請求項1に記載の食餌製剤。
【請求項3】
長鎖n−3脂肪酸が、食餌製剤の少なくとも約0.2%〜0.6%の量で存在する、請求項1記載の食餌製剤。
【請求項4】
長鎖n−3脂肪酸が、食餌製剤の少なくとも約0.3%〜0.4%の量で存在する、請求項3に記載の食餌製剤。
【請求項5】
約0.2〜0.6%のエイコサペンタエン酸を含む、請求項2に記載の食餌製剤。
【請求項6】
約0.2〜0.6%のドコサヘキサエン酸を含む、請求項2に記載の食餌製剤。
【請求項7】
食餌製剤の約3%未満の量のn−6脂肪酸を含む、請求項1に記載の食餌製剤。
【請求項8】
食餌製剤の約0.125%未満の量のアラキドン酸を含む、請求項7に記載の食餌製剤。
【請求項9】
食餌製剤の約2%未満の量のリノール酸を含む、請求項7に記載の食餌製剤。
【請求項10】
少なくとも約1:2の比のn−3およびn−6脂肪酸を含む、請求項1に記載の食餌製剤。
【請求項11】
n−3対n−6脂肪酸の比が少なくとも約1:1である、請求項10に記載の食餌製剤。
【請求項12】
n−3対n−6脂肪酸の比が少なくとも約2:1である、請求項10に記載の食餌製剤。
【請求項13】
グルコサミンまたはコンドロイチンのうち少なくとも一方をさらに含む、請求項1に記載の食餌製剤。
【請求項14】
少なくとも1種の抗酸化物質をさらに含む、請求項1に記載の食餌製剤。
【請求項15】
少なくとも1種の抗酸化物質が、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンE、セレン、リボフラビン、ピリドキシンおよびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項14に記載の食餌製剤。
【請求項16】
非ステロイド系抗炎症薬をさらに含む、請求項1に記載の食餌製剤。
【請求項17】
イヌもしくはネコ用ペットフードまたはペットトリート製品として製剤された、請求項1に記載の食餌製剤。
【請求項18】
栄養補給剤として製剤された、請求項1に記載の食餌製剤。
【請求項19】
哺乳類において関節炎の発症を治療、予防し、または遅延させるための栄養製品、機能性食品または医薬の製造における、食餌製剤重量の少なくとも約0.1%〜1.5%の量の長鎖n−3脂肪酸を含む食餌製剤の使用。
【請求項20】
関節炎が変形性関節症である、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
関節炎が関節リウマチである、請求項19に記載の使用。
【請求項22】
哺乳類がイヌまたはネコである、請求項19に記載の使用。
【請求項23】
食餌製剤が、α−リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸またはドコサヘキサエン酸のうち少なくとも1種を含む、請求項19に記載の使用。
【請求項24】
食餌製剤が、食餌製剤の約3%未満の量のn−6脂肪酸を含む、請求項19に記載の使用。
【請求項25】
食餌製剤が、食餌製剤の約0.125%未満の量のアラキドン酸を含む、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
食餌製剤が、食餌製剤の約2%未満の量のリノール酸を含む、請求項24に記載の使用。
【請求項27】
食餌製剤が少なくとも約1:2の比のn−3およびn−6脂肪酸を含む、請求項19に記載の使用。
【請求項28】
食餌製剤がグルコサミンまたはコンドロイチンのうち少なくとも1種をさらに含む、請求項19に記載の使用。
【請求項29】
食餌製剤が少なくとも1種の抗酸化物質をさらに含む、請求項19に記載の使用。
【請求項30】
食餌製剤が少なくとも1種の非ステロイド系抗炎症薬をさらに含む、請求項19に記載の使用。
【請求項31】
食餌製剤が栄養補助食品の形である、請求項19に記載の使用。
【請求項32】
製剤が、イヌもしくはネコ用ペットフードまたはペットトリートの形である、請求項22に記載の使用。
【請求項33】
食餌製剤が哺乳類において体重減少を促進する成分をさらに含む、請求項19に記載の使用。
【請求項34】
哺乳類をカロリー制限に付して体重減少を促進することをさらに含む、請求項19に記載の使用。
【請求項35】
哺乳類に、管理された運動を提供することをさらに含む、請求項19に記載の使用。
【請求項36】
哺乳類の滑液において少なくとも1種のマトリックスメタロプロテイナーゼの産生を減少させるための栄養製品、機能性食品または医薬の製造における、製剤重量の少なくとも約0.1%〜1.5%の量の長鎖n−3脂肪酸を含む食餌製剤の使用。
【請求項37】
マトリックスメタロプロテイナーゼがMMP−2またはMMP−9である、請求項36に記載の使用。
【請求項38】
哺乳類において炎症性サイトカインの産生を減少させるための栄養製品、機能性食品または医薬の製造における、製剤重量の少なくとも約0.1%〜1.5%の量の長鎖n−3脂肪酸を含む食餌製剤の使用。
【請求項39】
炎症性サイトカインがインターロイキン−1、インターロイキン−6または組織壊死因子αである、請求項38に記載の使用。
【請求項40】
哺乳類の膜中のアラキドン酸を低減するための栄養製品、機能性食品または医薬の製造における、食餌製剤重量の少なくとも約0.1%〜1.5%の量の長鎖n−3脂肪酸を含む食餌製剤の使用。
【請求項41】
哺乳類において関節炎の発症を治療、予防し、または遅延させる方法であって、哺乳類に食餌製剤重量の少なくとも約0.1%〜1.5%の量の長鎖n−3脂肪酸を含む食餌製剤を投与することを含む方法。
【請求項42】
関節炎が変形性関節症である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
関節炎が関節リウマチである、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
哺乳類がイヌまたはネコである、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
食餌製剤がα−リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸またはドコサヘキサエン酸のうち少なくとも1種を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
食餌製剤が、食餌製剤の約3%未満の量のn−6脂肪酸を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項47】
食餌製剤が、食餌製剤の約0.125%未満の量のアラキドン酸を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
食餌製剤が、食餌製剤の約2%未満の量のリノール酸を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
食餌製剤が少なくとも約1:2の比のn−3およびn−6脂肪酸を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項50】
食餌製剤がグルコサミンまたはコンドロイチンのうち少なくとも一方をさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項51】
食餌製剤が少なくとも1種の抗酸化物質をさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項52】
食餌製剤が少なくとも1種の非ステロイド系抗炎症薬をさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項53】
食餌製剤が栄養補助食品の形である、請求項41に記載の方法。
【請求項54】
製剤がイヌもしくはネコ用ペットフードまたはペットトリートの形である、請求項44に記載の方法。
【請求項55】
食餌製剤が哺乳類において体重減少を促進する成分をさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項56】
哺乳類をカロリー制限に付して体重減少を促進することをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項57】
哺乳類に、管理された運動を提供することをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項58】
哺乳類の滑液において少なくとも1種のマトリックスメタロプロテイナーゼの産生を減少させる方法であって、哺乳類に、製剤重量の少なくとも約0.1%〜1.5%の量の長鎖n−3脂肪酸を含む食餌製剤を投与することを含む方法。
【請求項59】
マトリックスメタロプロテイナーゼがMMP−2またはMMP−9である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
哺乳類において炎症性サイトカインの産生を減少させる方法であって、哺乳類に、製剤重量の少なくとも約0.1%〜1.5%の量の長鎖n−3脂肪酸を含む食餌製剤を投与することを含む方法。
【請求項61】
炎症性サイトカインがインターロイキン−1、インターロイキン−6または組織壊死因子αである、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
in vivoで哺乳類の膜中のアラキドン酸を低減する方法であって、哺乳類に、食餌製剤重量の少なくとも約0.1%〜1.5%の量の長鎖n−3脂肪酸を含む食餌製剤を投与することを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−504336(P2008−504336A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−518556(P2007−518556)
【出願日】平成17年7月1日(2005.7.1)
【国際出願番号】PCT/EP2005/007222
【国際公開番号】WO2006/002976
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】