説明

インクジェットプリントヘッド及びインクジェットプリントヘッドの製造方法

【課題】均一な形状を有する圧電アクチュエータを容易に形成することができ、駆動電圧に比べて駆動効率が良いインクジェットプリントヘッド及びインクジェットプリントヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】流入されたインクをノズル45に吐出するためにインクを貯蔵する圧力チャンバ50と、圧力チャンバ50に対応する外部面において圧力チャンバ50の方向に凹溝形成される圧電アクチュエータ収容部20と、圧電アクチュエータ収容部20に粘度がある圧電体液が充填されて固化され、圧力チャンバ50にインクの吐出駆動力を提供する圧電アクチュエータ200と、を含むインクジェットプリントヘッド100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリントヘッド及びインクジェットプリントヘッドの製造方法に関し、さらに詳しくは、低電圧駆動性能の具現が可能で、駆動効率を増加させるインクジェットプリントヘッド及びインクジェットプリントヘッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にインクジェットヘッドは電気信号を物理的な力に変換し、小さいノズルを通じてインクが液滴の形態で吐出されるようにする構造体である。
【0003】
最近、圧電方式のインクジェットヘッドは産業用インクジェットプリンタにおいても使用されている。例えば、フレキシブル印刷回路基板(PCB)上に金、銀等の金属インクを噴射して回路パターンを直接形成させるか、または、産業グラフィックや液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)の製造、太陽電池等に使用される。
【0004】
このようなインクジェットヘッドは、カートリッジからインクを流入及び流出する流入口及び流出口、流入されるインクを貯蔵するマニホールド、並びに上記マニホールド内のインクをノズルに移動させるためにアクチュエータの駆動力を伝達するチャンバ等が形成され、上記チャンバのインクを外部に吐出させるために圧電体で製造される圧電アクチュエータが表面に取り付けられる。
【0005】
従来には、圧電アクチュエータをインクジェットヘッドに取り付ける方式のスクリーンプリンティング方式またはバルクセラミックのエポキシ接合方式を用いた。
【0006】
しかし、上記のような方式で製造された圧電アクチュエータは、肉厚であるため、駆動時に高電圧が必要となる。
【0007】
そのため、低電圧では駆動できず、駆動電圧に比べて駆動効率が低くなるという問題点がある。
【0008】
さらに、従来のスクリーンプリンティング方式及びバルクセラミックのエポキシ接合方式は、高コストで圧電体の幅と高さを一定に制御することができず、均一な形状を有する圧電アクチュエータを形成し難いという問題もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、均一な形状を有する圧電アクチュエータを容易に形成することができ、駆動電圧に比べて駆動効率が良いインクジェットプリントヘッド及びインクジェットプリントヘッドの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施例によるインクジェットプリントヘッドは、流入されたインクをノズルに吐出するために上記インクを貯蔵する圧力チャンバと、上記圧力チャンバに対応する外部面において上記圧力チャンバの方向に凹溝形成される圧電アクチュエータ収容部と、上記圧電アクチュエータ収容部に粘度がある圧電体液が充填されて固化され、上記圧力チャンバに上記インクの吐出駆動力を提供する圧電アクチュエータと、を含むことができる。
【0011】
本発明の一実施例によるインクジェットプリントヘッドの上記圧電アクチュエータ収容部の周面のうち少なくとも一面は、テーパ状に形成されることを特徴とすることができる。
【0012】
本発明の一実施例によるインクジェットプリントヘッドの上記圧電アクチュエータは、上記圧電体液がインクジェットプリンティングされて形成されることを特徴とすることができる。
【0013】
本発明の一実施例によるインクジェットプリントヘッドの上記圧電アクチュエータは、駆動電圧を提供する上部及び下部電極を備え、上記上部及び下部電極のうち少なくとも一方は、電極物質がインクジェットプリンティングされて形成されることを特徴とすることができる。
【0014】
本発明の一実施例によるインクジェットプリントヘッドの上記下部電極は、電源を供給するフレキシブル印刷回路基板と連結されるために形成される配線が備えられたことを特徴とすることができる。
【0015】
本発明の一実施例によるインクジェットプリントヘッドの上記下部電極の上記配線は、電極物質がインクジェットプリンティングされて形成されることを特徴とすることができる。
【0016】
本発明の一実施例によるインクジェットプリントヘッドの上記圧電アクチュエータは、上記圧電体液が上記圧力チャンバの外部面と反応することを防止するために形成される拡散防止膜を備えることを特徴とすることができる。
【0017】
本発明の一実施例によるインクジェットプリントヘッドの上記拡散防止膜は、電子ビームエバポレータ、化学的蒸着(CVD:Chemical Vapor Deposition)、物理的蒸着(PVD:Physical Vapor Deposition)、メッキ及びスクリーンプリンティングのいずれかの工程を用いて蒸着したことを特徴とすることができる。
【0018】
本発明の他の一実施例によるインクジェットプリントヘッドは、流入されたインクをノズルに吐出するために上記インクを貯蔵する圧力チャンバが形成される上部基板と、上記圧力チャンバに対応する上記上部基板が上記圧力チャンバの方向に凹溝形成される圧電アクチュエータ収容部と、上記圧電アクチュエータ収容部に粘度がある圧電体液が充填されて固化され、上記圧力チャンバに上記インクの吐出駆動力を提供する圧電アクチュエータと、上記圧力チャンバと連通され、上記インクを吐出するためのノズルを備える下部基板と、を含むことができる。
【0019】
本発明の他の一実施例によるインクジェットプリントヘッドの上記圧電アクチュエータ収容部の周面のうち少なくとも一面は、テーパ状に形成されることを特徴とすることができる。
【0020】
本発明の他の一実施例によるインクジェットプリントヘッドの上記圧電アクチュエータは、上記圧電体液がインクジェットプリンティングされて形成されることを特徴とすることができる。
【0021】
本発明の他の一実施例によるインクジェットプリントヘッドの上記圧電アクチュエータは、上記基板と同一平面をなすことを特徴とすることができる。
【0022】
本発明の他の一実施例によるインクジェットプリントヘッドの上記圧電アクチュエータは、駆動電圧を提供する上部及び下部電極を備え、上記上部及び下部電極のうち少なくとも一方は、電極物質がインクジェットプリンティングされて形成されることを特徴とすることができる。
【0023】
本発明の他の一実施例によるインクジェットプリントヘッドの上記下部電極は、電源を供給するフレキシブル印刷回路基板と連結されるために形成される配線が備えられたことを特徴とすることができる。
【0024】
本発明の他の一実施例によるインクジェットプリントヘッドの上記下部電極の上記配線は、電極物がインクジェットプリンティングされて形成されることを特徴とすることができる。
【0025】
本発明の他の一実施例によるインクジェットプリントヘッドの上記圧電アクチュエータは、上記圧電体液が上記メンブレンと反応することを防止するために形成される拡散防止膜を備えることを特徴とすることができる。
【0026】
本発明の他の一実施例によるインクジェットプリントヘッドの上記拡散防止膜は、電子ビームエバポレータ、化学的蒸着(CVD)、物理的蒸着(PVD)、メッキ及びスクリーンプリンティングのいずれかの工程を用いて蒸着したことを特徴とすることができる。
【0027】
本発明のさらに他の一実施例によるインクジェットプリントヘッドの製造方法は、流入されたインクをノズルに吐出するために上記インクを貯蔵する圧力チャンバを基板に備えるステップと、上記圧力チャンバに対応する基板が上記圧力チャンバの方向に凹溝形成される圧電アクチュエータ収容部を形成するステップと、上記圧電アクチュエータ収容部に粘度がある圧電体液が充填されて固化され、上記圧力チャンバに上記インクの吐出駆動力を提供する圧電アクチュエータを位置させるステップと、を含むことができる。
【0028】
本発明のさらに他の一実施例によるインクジェットプリントヘッドの製造方法の上記圧電アクチュエータ収容部は、周面のうち少なくとも一面は、テーパ状に形成されることを特徴とすることができる。
【0029】
本発明のさらに他の一実施例によるインクジェットプリントヘッドの製造方法の上記圧電アクチュエータは、駆動電圧を提供する上部及び下部電極を備え、上記上部電極と上記下部電極の間に駆動力を提供する圧電体で形成されたことを特徴とすることができる。
【0030】
本発明のさらに他の一実施例によるインクジェットプリントヘッドの製造方法は、上記圧電アクチュエータの下部に上記圧電体液が上記圧力チャンバの外部面と反応することを防止するために形成される拡散防止膜を備えるステップをさらに含むことができる。
【0031】
本発明のさらに他の一実施例によるインクジェットプリントヘッドの製造方法の上記拡散防止膜は、電子ビームエバポレータ、化学的蒸着(CVD)、物理的蒸着(PVD)、メッキ及びスクリーンプリンティングのいずれかの工程を用いて蒸着したことを特徴とすることができる。
【0032】
本発明のさらに他の一実施例によるインクジェットプリントヘッドの製造方法の上記上部及び下部電極のうち少なくとも一方は、電極物質がインクジェットプリンティングされて形成されることを特徴とすることができる。
【0033】
本発明のさらに他の一実施例によるインクジェットプリントヘッドの製造方法の上記圧電体は、圧電体液をインクジェットプリンティングし固化することによって形成することを特徴とすることができる。
【0034】
本発明のさらに他の一実施例によるインクジェットプリントヘッドの製造方法の上記圧電体は、上記圧電体液を上記圧電アクチュエータ収容部に一度に満たして焼結するか、または、一部を満たして焼結した後、再び満たす過程を繰り返すかいずれかの方法で行われることを特徴とすることができる。
【0035】
本発明のさらに他の一実施例によるインクジェットプリントヘッドの製造方法の上記下部電極は、電源を供給するフレキシブル印刷回路基板と連結されるために形成される配線が備えられたことを特徴とすることができる。
【0036】
本発明のさらに他の一実施例によるインクジェットプリントヘッドの製造方法の上記下部電極の上記配線は、電極物質がインクジェットプリンティングされて形成されることを特徴とすることができる。
【0037】
本発明のさらに他の一実施例によるインクジェットプリントヘッドの製造方法は、上記アクチュエータのダイポールの方向を一致させるために上記上部及び下部電極の間に電圧を印加するポーリングステップをさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によるインクジェットプリントヘッド及びインクジェットプリントヘッドの製造方法によると、均一な形状を有する圧電アクチュエータを製造することができ、低電圧で駆動が可能で、駆動効率及びノズルの密度を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施例によるインクジェットプリントヘッドを示した概略切開斜視図である。
【図2】本発明の一実施例によるインクジェットプリントヘッドを示した概略断面図である。
【図3】本発明の一実施例によるインクジェットプリントヘッドを示した概略平面図である。
【図4】本発明の他の一実施例によるインクジェットプリントヘッドを示した概略断面図である。
【図5】本発明のさらに他の一実施例によるインクジェットプリントヘッドの製造方法を示した概略断面流れ図である。
【図6】本発明のさらに他の一実施例によるインクジェットプリントヘッドの製造方法を示した概略断面流れ図である。
【図7】本発明のさらに他の一実施例によるインクジェットプリントヘッドの製造方法を示した概略断面流れ図である。
【図8】本発明のさらに他の一実施例によるインクジェットプリントヘッドの製造方法を示した概略断面流れ図である。
【図9】本発明のさらに他の一実施例によるインクジェットプリントヘッドの製造方法を示した概略断面流れ図である。
【図10】本発明のさらに他の一実施例によるインクジェットプリントヘッドのポーリング工程を示した概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下では図面を参照し本発明の具体的な実施形態を詳細に説明する。但し、本発明の思想は提示される実施例に制限されず、本発明の思想を理解する当業者は同一の思想の範囲内において他の構成要素を追加、変更、削除等を通じ、退歩的な他の発明や本発明の思想の範囲内に含まれる他の実施例を容易に提案することができるが、これも本願発明の思想の範囲内に含まれる。
【0041】
また、各実施例の図面に示す同一の思想の範囲内で機能が同一の構成要素は同一の参照符号を用いて説明する。
【0042】
図1は、本発明の一実施例によるインクジェットプリントヘッドを示した概略切開斜視図であり、図2は、本発明の一実施例によるインクジェットプリントヘッドを示した概略断面図であり、図3は、本発明の一実施例によるインクジェットプリントヘッドを示した概略平面図である。
【0043】
図1から図3を参照すると、本発明の一実施例によるインクジェットプリントヘッド100は、上部基板10、圧電アクチュエータ収容部20、中間基板30、下部基板40及び圧電アクチュエータ200を含むことができる。
【0044】
上部基板10は、複数の圧力チャンバ50が規則的に形成され、インクが流入されるためのインク流入口15が設けられる。この際、上記インク流入口15は、マニホールド60と直接的に連結されるように提供され、上記マニホールド60は、リストリクタ70を介して圧力チャンバ50にインクを供給する役割をする。
【0045】
この際、上記マニホールド60は、1つの大きい空間として形成され、複数の上記圧力チャンバ50にそれぞれ連結されることができるが、これに限らず、各上記圧力チャンバ50に対応するように複数が形成されてもよい。
【0046】
また、上記マニホールド60は、上記中間基板30及び下部基板40に内部空間を有する溝が形成されて設けられることができる。
【0047】
上記インク流入口15も同様に、1つの上記マニホールド60に対応して1つのみ形成できるが、複数の上記マニホールド60が形成される場合には上記マニホールド60それぞれに対応するように複数形成されてもよい。
【0048】
そして、圧力チャンバ50は、後述する圧電アクチュエータ200が取り付けられる位置の下部に設けられる。即ち、上記上部基板10の内部に形成され、流入されたインクをノズル45に吐出させるために上記インクを貯蔵する。
【0049】
この際、上記上部基板10のうち上記圧力チャンバ50の天井をなす部分はメンブレン80の役割をする。
【0050】
ここで、上記圧力チャンバ50の外壁の外部面、即ち、上記メンブレン80上に上記圧力チャンバ50の方向に凹溝形成される上記圧電アクチュエータ収容部20が備えられることができ、上記圧電アクチュエータ収容部20に後述する圧電アクチュエータ200が収容されることができる。
【0051】
上記圧電アクチュエータ収容部20の深さは、後述する圧電アクチュエータ200と略同一の高さに形成して全体的に上記インクジェットプリントヘッド100の体積を減少させることが好ましい。
【0052】
このため、インクの吐出のために上記圧電アクチュエータ200に駆動信号を印加すると、上記圧電アクチュエータ収容部20に収容された上記圧電アクチュエータ200と共に、その下のメンブレン80が変形されながら上記圧力チャンバ50の体積が減少するようになる。
【0053】
これによる上記圧力チャンバ50内の圧力増加により、上記圧力チャンバ50内のインクはダンパ35とノズル45を介して外部に吐出される。
【0054】
上記上部基板10は、上記圧力チャンバ50の高さを正確に設定するためにエッチング停止層の役割をする中間酸化膜が形成されるSOI(silicon on insulator)基板を使うことができる。
【0055】
上記中間基板30は、長さ方向に長く形成される上記マニホールド60と、上記ノズル45と上記圧力チャンバ50を連結するダンパ35とを含むことができる。
【0056】
上記マニホールド60は、上記インク流入口15からインクの供給を受けて上記圧力チャンバ50にインクを供給するが、上記マニホールド60及び上記圧力チャンバ50は、リストリクタ70により互いに連結される。
【0057】
そして、ダンパ35は、上記圧力チャンバ50から上記圧電アクチュエータ200によって吐出されるインクの伝達を受けて、上記ノズル45を介して外部に吐出させる。
【0058】
また、ダンパ35は、多段状に形成されることができ、このような構造により、上記圧力チャンバ50から受け入れるインクの量と、上記ノズル45に進行するインクの量を調節することができるようになる。
【0059】
この際、上記ダンパ35は選択事項であるため削除することができ、この場合は上記上部基板10と後述する下部基板40のみでインクジェットプリントヘッド100を構成することができる。
【0060】
下部基板40は各圧力チャンバ50と対応するように形成し、上記ダンパ35を通るインクが外部に吐出されるように上記ノズル45を形成する。そして、上記下部基板40は上記中間基板30の下部に接着される。
【0061】
上記ノズル45は、上記インクジェットプリントヘッド100内に形成された流路を介して移動するインクを液滴として噴射するようになる。
【0062】
この際、上記上部基板10、中間基板30及び下部基板40には、半導体集積回路に広く使われるシリコン基板を用いることができる。しかし、上記上部基板10、上記中間基板30及び上記下部基板40の材質はシリコン基板に限らず、多様な材料を適用することができる。
【0063】
上記圧電アクチュエータ200は、上記圧電アクチュエータ収容部20に収容され、粘度がある圧電体液が充填されて固化され、上記圧力チャンバ50に上記インクの吐出駆動力を提供することができる。
【0064】
ここで、上記圧電アクチュエータ200は、上記圧電アクチュエータ収容部20に収容されることによって上記上部基板10と同一平面をなすようにすることができ、これは上記メンブレン80の厚さを薄くすることによって駆動効率が増加することができる。
【0065】
また、上記圧電アクチュエータ収容部20によって上記圧電アクチュエータ200の幅及び高さを一定に維持することができるため、均一な形状を有する上記圧電アクチュエータ200を形成することができ、これは上記インクジェットプリントヘッド100のノズルの密度を高めるという効果がある。
【0066】
上記圧電アクチュエータ200は、下部電極220、圧電体230及び上部電極240を含むことができ、上記下部電極220は、上記圧力チャンバ50に駆動力を提供するための駆動電圧を提供し、上記上部基板10上に電極物質をインクジェットプリンティングして形成されることができる。
【0067】
上記下部電極220は、Pt、Au、Ag、Ni、Ti及びCu等の物質のうちいずれかであることができる。
【0068】
上記下部電極220は、電源を供給するフレキシブル印刷回路基板(不図示)と連結されるために形成される配線235を備えることができ、上記配線235は、電極物質がインクジェットプリンティングされて形成されることができる。
【0069】
上記圧電体230は、上記下部電極220及び後述する上部電極240の間で粘度がある圧電体液がインクジェットプリンティング方式によって固化して形成されることができる。
【0070】
上記圧電体230は、電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換、またはその逆に変換できる要素であり、その材料はチタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O:PZT)セラミック材料からなることができる。
【0071】
上記圧電体230に電圧が印加されると、上記メンブレン80の上下変形で駆動力が垂直方向に伝達される。このときの駆動力により、上記圧力チャンバ50内のインクが上記ノズル45を介して外部に吐出されることができる。
【0072】
上記ノズル45は幅方向に上記下部基板40の側面に向かうように形成されるため、上記インクは、上記圧力チャンバ50内の駆動力の伝達方向に垂直した方向に吐出されることができる。
【0073】
上記上部電極240は、上記下部電極220と同様に、上記圧力チャンバ50に駆動力を提供するための駆動電圧を提供し、Pt、Au、Ag、Ni、Ti及びCu等の物質のうちいずれかであることができる。
【0074】
また、上記上部電極240は、上記圧電体230の上部面にインクジェットプリンティング、電子ビームエバポレータ、化学的蒸着(CVD)、スパッタリング(Sputtering)、スクリーンプリンティング及びメッキ等の工程を用いて形成することができる。
【0075】
上記圧電アクチュエータ200は、上記圧電体液が上記圧力チャンバ50の外部面と反応することを防止するために上記圧電アクチュエータ200と上記メンブレン80の間に拡散防止膜210を備えることができる。
【0076】
ここで、上記拡散防止膜210は、電子ビームエバポレータ、化学的蒸着(CVD)、物理的蒸着(PVD)、メッキ及びスクリーンプリンティングのいずれかの工程を用いて蒸着することができる。
【0077】
図4は、本発明の他の一実施例によるインクジェットプリントヘッドを示した概略断面図である。
【0078】
図4を参照すると、本発明の他の一実施例によるインクジェットプリントヘッド100は、上記圧電アクチュエータ収容部20の周面のうち少なくとも一面をテーパ状に形成することができ、それ以外の構成は、上記一実施例と同様であるため省略する。
【0079】
本発明の他の一実施例のように、上記圧電アクチュエータ収容部20の周面のうち少なくとも一面をテーパ状に形成することによって、インクジェットプリンティングによる上記圧電アクチュエータ200を構成する過程で気孔度が低減できるという効果がある。
【0080】
図5から図10は、本発明のさらに他の一実施例によるインクジェットプリントヘッドの製造方法を示した概略断面流れ図である。
【0081】
図5を参照すると、流入されたインクをノズル45に吐出するために上記インクを貯蔵する圧力チャンバ50を備え、上記圧力チャンバ50に対応する外部面から上記圧力チャンバ50の方向に凹溝を形成することができる。
【0082】
つまり、上記圧力チャンバ50に対応する上記上部基板10の上記メンブレン80上に上記圧力チャンバ50の方向に凹溝を形成することができるものである。
【0083】
上記凹溝は、上記圧電アクチュエータ200を収容する圧電アクチュエータ収容部20であることができ、図5(b)のように上記圧電アクチュエータ収容部20の周面のうち少なくとも一面をテーパ状に形成することができる。
【0084】
図6を参照すると、上記圧電アクチュエータ収容部20の上部面に上記圧電体230の焼結時に上記上部基板10と反応することを防止するために拡散防止膜210を形成することができる。
【0085】
上記拡散防止膜210は、電子ビームエバポレータ、化学的蒸着(CVD)、物理的蒸着(PVD)、メッキ及びスクリーンプリンティングのいずれかの工程を用いて蒸着することができる。
【0086】
但し、上記拡散防止膜210は、上記上部基板10と反応することを防止するために形成するもので、上記拡散防止膜210を備えることが好ましいが、必ずしも要求される工程ではない。
【0087】
図7から図9を参照すると、上記拡散防止膜210の上部面、または、上記上部基板10のメンブレン80の上部面に上記圧電アクチュエータ200を位置させることができる。
【0088】
上記圧電アクチュエータ200は、図7のように下部電極220を位置させ、図8のように圧電体230を固定し、図9のように上記圧電体230の上部面に上部電極240を結合することができる。
【0089】
上記下部電極220は、電極物質がインクジェットプリンティングされて形成されることができ、電源を供給するフレキシブル印刷回路基板(不図示)と連結されるために形成される配線235を備えることができ、上記配線235は、電極物質がインクジェットプリンティングされて形成されることができる。
【0090】
上記圧電体230は、上記圧電体液をインクジェットプリンティングし固化することによって形成することができ、上記圧電体液を上記圧電アクチュエータ収容部20に一度に満たして焼結するか、または、一部を満たして焼結した後、再び満たす過程を繰り返して形成することができる。
【0091】
この場合に、満たして焼結する過程を繰り返すことで気孔度を低減することができるため、一度に満たして焼結する方法より好ましい。
【0092】
上記上部電極240は、上記圧電体230の上部面に形成されることができ、インクジェットプリンティング、電子ビームエバポレータ、化学的蒸着(CVD)、スパッタリング、スクリーンプリンティング及びメッキ等の工程を用いて形成することができる。
【0093】
図10は、本発明のさらに他の一実施例によるインクジェットプリントヘッドのポーリング工程を示した概略断面図である。
【0094】
図10を参照すると、上記上部電極240及び下部電極220の間に電圧を印加するポーリング工程を通じて上記圧電アクチュエータ200のダイポールの方向を一致させることができる。
【0095】
ポーリングとは、上記上部電極240と上記下部電極220の間に電圧を印加して電場を発生させ、この電場によって隣接したダイポールの方向が次第に一致するようになる過程のことで、上記ポーリング工程を通じて上記圧電体230は緻密になり、電気的な特性を有するようになる。
【0096】
従って、上記圧電体230は、上記ポーリング工程を通じて上記圧電アクチュエータ200の機能を行うことができる。
【0097】
以上の実施例を通じて、凹溝で形成された上記圧電アクチュエータ収容部20を利用して上記メンブレン80の厚さを薄くして低電圧駆動性能の具現が可能で、駆動効率を増加させることができる。
【0098】
また、凹溝で形成された上記圧電アクチュエータ収容部20により圧電体230の大きさ及び体積を一定に維持することができるため、均一な形状を有する圧電アクチュエータ200を容易に形成することができ、上記インクジェットプリントヘッド100のノズルの密度を高めることができる。
【符号の説明】
【0099】
100 インクジェットプリントヘッド
10 上部基板
20 圧電アクチュエータ収容部
30 中間基板
35 ダンパ
40 下部基板
50 圧力チャンバ
80 メンブレン
200 圧電アクチュエータ
210 拡散防止膜
220 下部電極
230 圧電体
240 上部電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入されたインクをノズルに吐出するために前記インクを貯蔵する圧力チャンバと、
前記圧力チャンバの外壁の外部面において前記圧力チャンバの方向に凹溝形成された圧電アクチュエータ収容部と、
前記圧電アクチュエータ収容部に圧電体液が充填されて固化された、前記圧力チャンバに前記外壁を介して前記インクの吐出駆動力を提供する圧電アクチュエータと
を含むインクジェットプリントヘッド。
【請求項2】
前記圧電アクチュエータは、前記圧電体液が前記圧力チャンバの外部面と反応することを防止するために形成される拡散防止膜を備えることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項3】
流入されたインクをノズルに吐出するために前記インクを貯蔵する圧力チャンバが形成される上部基板と、
前記上部基板の前記圧力チャンバに対応する領域に前記圧力チャンバの方向に凹溝形成された圧電アクチュエータ収容部と、
前記圧電アクチュエータ収容部に圧電体液が充填されて固化された、前記圧力チャンバに前記上部基板を介して前記インクの吐出駆動力を提供する圧電アクチュエータと、
前記圧力チャンバと連通され、前記インクを吐出するためのノズルを備える下部基板と
を含むインクジェットプリントヘッド。
【請求項4】
前記圧電アクチュエータは、前記基板と同一平面をなすことを特徴とする請求項3に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項5】
前記圧電アクチュエータは、前記圧電体液が前記上部基板と反応することを防止するために形成される拡散防止膜を備えることを特徴とする請求項3または4に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項6】
前記圧電アクチュエータ収容部の周面のうち少なくとも一面は、テーパ状に形成されることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項7】
前記圧電アクチュエータは、前記圧電体液がインクジェットプリンティングされて形成される圧電体を備えることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項8】
前記圧電アクチュエータは、駆動電圧を提供する上部及び下部電極を備え、前記上部及び下部電極のうち少なくとも一方は、電極物質がインクジェットプリンティングされて形成されることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項9】
前記下部電極は、電源を供給するフレキシブル印刷回路基板と連結されるために形成される配線が備えられたことを特徴とする請求項8に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項10】
前記配線は、電極物質がインクジェットプリンティングされて形成されることを特徴とする請求項9に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項11】
前記拡散防止膜は、電子ビームエバポレータ、化学的蒸着(CVD)、物理的蒸着(PVD)、メッキ及びスクリーンプリンティングのいずれかの工程を用いて蒸着したことを特徴とする請求項2または5に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項12】
流入されたインクをノズルに吐出するために前記インクを貯蔵する圧力チャンバを基板に形成するステップと、
前記圧力チャンバに対応する基板が前記圧力チャンバの方向に凹溝形成される圧電アクチュエータ収容部を形成するステップと、
前記圧電アクチュエータ収容部に粘度がある圧電体液が充填されて固化され、前記圧力チャンバに前記インクの吐出駆動力を提供する圧電アクチュエータを位置させるステップと
を含むインクジェットプリントヘッドの製造方法。
【請求項13】
前記圧電アクチュエータ収容部は、周面のうち少なくとも一面は、テーパ状に形成されることを特徴とする請求項12に記載のインクジェットプリントヘッドの製造方法。
【請求項14】
前記圧電アクチュエータは、駆動電圧を提供する上部及び下部電極を備え、前記上部電極と前記下部電極の間に駆動力を提供する圧電体で形成されたことを特徴とする請求項12または13に記載のインクジェットプリントヘッドの製造方法。
【請求項15】
前記圧電アクチュエータの下部に前記圧電体液が前記圧力チャンバの外部面と反応することを防止するために形成される拡散防止膜を備えるステップをさらに含むことを特徴とする請求項12から14の何れか1項に記載のインクジェットプリントヘッドの製造方法。
【請求項16】
前記拡散防止膜は、電子ビームエバポレータ、化学的蒸着(CVD)、物理的蒸着(PVD)、メッキ及びスクリーンプリンティングのいずれかの工程を用いて蒸着したことを特徴とする請求項15に記載のインクジェットプリントヘッドの製造方法。
【請求項17】
前記上部及び下部電極のうち少なくとも一方は、電極物質がインクジェットプリンティングされて形成されることを特徴とする請求項14に記載のインクジェットプリントヘッドの製造方法。
【請求項18】
前記圧電体は、圧電体液をインクジェットプリンティングし固化することによって形成することを特徴とする請求項14または17に記載のインクジェットプリントヘッドの製造方法。
【請求項19】
前記圧電体は、前記圧電体液を前記圧電アクチュエータ収容部に一度に満たして焼結するか、または、一部を満たして焼結した後、再び満たす過程を繰り返すかいずれかの方法で行われることを特徴とする請求項18に記載のインクジェットプリントヘッドの製造方法。
【請求項20】
前記下部電極は、電源を供給するフレキシブル印刷回路基板と連結されるために形成される配線が備えられたことを特徴とする請求項14および17から19の何れか1項に記載のインクジェットプリントヘッドの製造方法。
【請求項21】
前記配線は、電極物質がインクジェットプリンティングされて形成されることを特徴とする請求項20に記載のインクジェットプリントヘッドの製造方法。
【請求項22】
前記圧電アクチュエータのダイポールの方向を一致させるために前記上部及び下部電極の間に電圧を印加するポーリングステップをさらに含むことを特徴とする請求項14および17から21の何れか1項に記載のインクジェットプリントヘッドの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−173408(P2011−173408A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233269(P2010−233269)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】