説明

インターホン装置

【課題】1台又は複数台の子機のカメラ監視映像から得られる輪郭画像をもとに、親機にて住戸外における不審者等の物体の存在の検知動作の迅速化を図り、親機に接続される子機の台数に対応させて監視映像の間欠送信/受信動作及びフレームレートの可変動作を行う。
【解決手段】子機1a、1b、1c、1dのカメラ101の監視映像のうち当該子機の輪郭画像データ生成部105にて得られる輪郭画像データについて、来訪者映像データよりも小さいデータ量で子機データ伝送部109から伝送路Lを経由して親機2に間欠送信する。親機では、親機データ伝送部209にて間欠受信された輪郭画像データをもとに物体検知部211bにて存在が検知される住戸外における不審者等の物体の移動速度を移動速度識別部211eにて識別し、この移動速度に対応させてフレームレート可変部211fが子機データ伝送部及び親機データ伝送部のフレームレートを可変する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、子機のカメラにて撮像された映像を親機のモニタに出画させるインターホン装置に係り、特に、モニタへの出画が非能動状態である監視時において、カメラにて撮像された映像の画像処理により住戸外における不審者等の物体の存在を検知することができるインターホン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種のインターホン装置として、玄関子機のカメラにて撮像された来訪者の映像を居室親機のモニタに出画する構成の各種インターホン装置が提案されている。
【0003】
具体的には、玄関子機のカメラで取り込んだ画像をデジタル処理して画像圧縮した後、台所リモコンの送受信用端末機にて伸張(解凍)し、表示部に表示させる画像伝送装置及びインターホン装置が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)
また、人体検知手段が人の存在を検知した際に、時間軸に対して圧縮された過去画像データをその撮像時刻順にモニタ装置に伝送してから、撮像手段により撮像中のリアルタイム画像データをモニタ装置に伝送し、モニタ装置では、カメラ装置から伝送された画像データに基づく画像を順次録画するとともに画像表示手段に表示する監視システムが開示されている(例えば、特許文献2を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−128157号公報
【特許文献2】特開2007−194863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、背景技術に記載した特許文献1の当該装置において、玄関子機のカメラにて監視映像を撮像する監視時によれば、この監視映像は、来訪者の映像と同様、例えば、1フレーム毎で居室親機のモニタに出画されることとなり、監視映像として住戸外における不審者等の物体が存在していない場合であっても出画状態が継続されるため、この監視映像の伝送動作及び当該出画状態の継続のために必要な電力が増大する難点があった。
【0006】
また、特許文献2の監視システムによれば、モニタ装置の画像表示手段に表示される画像の時系列が前後することがなくなり、違和感がない画像表示を行えるようになるものの、カメラ装置から伝送された画像データに基づく画像を順次録画するとともに画像表示手段に表示する動作は、人体検知手段が人の存在を検知した際に限定されていた。
【0007】
本発明は、これらの難点を解消するためになされたもので、1台又は複数台の子機のカメラにて撮像された監視映像から得られる輪郭画像をもとに、親機にて実行される住戸外における不審者等の物体の存在の検知動作の迅速化を図るとともに、親機に接続される子機の台数に対応させて監視映像の間欠送信/受信動作及びフレームレートの可変動作を行うことで消費電力を低減させたインターホン装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の目的を達成するため、本発明の第1の態様であるインターホン装置は、来訪者からの呼出時における来訪者映像又は住戸外の様子を監視する監視時における監視映像を撮像するためのカメラを有する子機と、伝送路を経由して接続される子機のカメラにて撮像された映像を出画するためのモニタを有する親機とを備えるインターホン装置である。子機は、カメラにて撮像される監視映像データの輝度成分を抽出するための輝度成分抽出回路及び輝度成分抽出回路にて抽出された輝度成分をもとに監視映像データの低周波数帯域を遮断して輪郭画像データを生成するためのフィルタを有する輪郭画像データ生成部と、カメラにて撮像される来訪者映像データ及び輪郭画像データ生成部にて生成される輪郭画像データをそれぞれ圧縮するための圧縮部と、圧縮部から伝送路への信号伝送ラインを形成するための子機データ伝送部とを備えている。親機は、子機の圧縮部にて圧縮され子機データ伝送部、伝送路を経由して伝送されてくる来訪者映像データ及び輪郭画像データをそれぞれ受信するための親機データ伝送部と、親機データ伝送部にて受信された来訪者映像データ及び輪郭画像データをそれぞれ伸張するための伸張部と、監視時に伸張部にて伸張された輪郭画像データをもとに住戸外における不審者等の物体の存在を検知するための物体検知部とを備えている。
【0009】
また、本発明の第2の態様であるインターホン装置は、本発明の第1の態様において、子機は、監視時に圧縮部にて圧縮された輪郭画像データを間欠動作で子機データ伝送部から伝送路に送信するための子機伝送制御部を備えている。親機は、親機データ伝送部における輪郭画像データの受信を間欠動作させるための親機伝送制御部と、子機伝送制御部及び親機伝送制御部をそれぞれ制御して間欠動作を能動とするための間欠動作制御部とを備えている。
【0010】
また、本発明の第3の態様であるインターホン装置は、本発明の第1の態様において、子機は、監視時に圧縮部にて圧縮された輪郭画像データを、来訪者画像データよりも低いフレームレートで子機データ伝送部から伝送路に送信するための子機伝送制御部を備えている。親機は、子機伝送制御部のフレームレートに対応させて親機データ伝送部のフレームレートを制御するための親機伝送制御部と、物体検知部にて検知された物体の移動速度を識別するための移動速度識別部と、移動速度識別部にて識別された移動速度に対応させてフレームレートが可変されるように子機伝送制御部及び親機伝送制御部をそれぞれ制御するためのフレームレート可変部とを備えている。
【0011】
また、本発明の第4の態様であるインターホン装置は、本発明の第1の態様乃至第3の態様のうち何れか1の態様において、親機の親機データ伝送部は、1台又は複数台の当該子機の子機データ伝送部が伝送路を経由して接続されている。物体検知部は、親機データ伝送部に接続される当該子機毎に物体の存在を検知するものである。
【0012】
また、本発明の第5の態様であるインターホン装置は、本発明の第1の態様乃至第4の態様のうち何れか1の態様において、親機は、物体検知部にて物体の存在が検知されてから所定の時間を計時し、計時のタイムアップ検出後、子機の圧縮部にて圧縮され子機データ伝送部、伝送路を経由して伝送されてくる物体の映像データを記憶部に記憶するための親機CPUを備えている。
【発明の効果】
【0013】
本発明のインターホン装置によれば、子機のカメラにて撮像された監視映像のうち当該子機の輪郭画像データ生成部にて得られる輪郭画像データについて、来訪者映像データよりも小さいデータ量で子機データ送信部から伝送路を経由して親機に間欠送信することができ、親機では、親機データ伝送部にて間欠受信された輪郭画像データをもとに物体検知部にて存在が検知される住戸外における不審者等の物体の移動速度を移動速度識別部にて識別し、この移動速度に対応させてフレームレート可変部が子機データ伝送部及び親機データ伝送部のフレームレートを可変することができる。
【0014】
これにより、子機から伝送路を経由して親機に伝送される映像データのフォーマットである1フレーム毎で1台の子機に割り当てられるスロット以外の空スロットに対して、データ送信/受信動作を割り当てることが不要となり当該データ送信が停止するため、データ送信/受信動作のために必要とされる消費電力を低減することができるばかりでなく、空スロットを使用して複数台の子機のカメラからの映像データの間欠送信/受信が可能となるため、親機によれば、住戸外における不審者等の物体の存在を同時監視することができる。
【0015】
また、同様な1フレーム毎で1台の子機に割り当てられるスロット以外の空スロットを増やすことができるため、間欠送信/受信動作と併用することにより、データ送信/受信動作のために必要とされる消費電力をより低減することができる。
【0016】
さらに、親機によれば、子機の輪郭画像データ生成部にて得られる輪郭画像データをもとに住戸外における不審者等の物体の存在を検知することができるため、物体検知のための画像処理が不要となり、検知動作の迅速化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の実施例によるインターホン装置の全体構成を示すシステム説明図である。
【図2】図2は、本発明の実施例によるインターホン装置の具体的な構成を示すブロック図である。
【図3】図3(A)、(B)、(C)はそれぞれ、本発明の実施例によるインターホン装置において、子機から伝送路を経由して親機に伝送される映像データのフォーマット例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のインターホン装置を適用した最良の実施の形態例について、図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施例によるインターホン装置の全体構成を示すシステム説明図である。このインターホン装置は、住戸外の例えば、住戸玄関、勝手口等の複数の異なる場所にそれぞれ設置される子機、ここでは、4台の子機(以下、第1〜第4の子機という。)1a、1b、1c、1dと、住戸内に設置され、伝送路Lを経由して第1〜第4の子機1a、1b、1c、1dにバス接続される親機2とで構成されている。なお、子機の台数は、前述のような4台に限定されるものではなく、1台又は複数台で任意に設けることができる。
【0020】
図1に示す第1〜第4の子機1a、1b、1c、1dはそれぞれ同一の構成であり、子機操作部100、カメラ101、子機マイク102及び子機スピーカ103が備えられている。
【0021】
この子機1a、1b、1c、1dにおいて、子機操作部100は、住戸外の例えば、住戸玄関、勝手口等に居る来訪者が住戸内に在室中の居住者を呼出すために操作するものであり、例えば、呼出ボタンにて構成されている。
【0022】
カメラ101は、前述の呼出時における呼出操作を行った来訪者の映像(以下、来訪者映像という。)や自子機が設置される住戸外の周囲近傍の様子を監視する監視時における映像(以下、監視映像という。)を撮像するためのものであり、例えば、CCD、CMOS等の各種の撮像素子にて構成されている。
【0023】
子機マイク102及び子機スピーカ103は、来訪者が居住者との間で通話を成立させるための音声(送話音声、受話音声)を入出力するものであり、この子機マイク102は、前述の監視時において住戸外の周囲近傍音を集音することもできる。
【0024】
また、図1に示す親機2には、モニタ200、親機マイク201、親機スピーカ202及び親機操作部203が備えられている。
【0025】
この親機2において、モニタ200は、第1〜第4の子機1a、1b、1c、1dのカメラ101にて撮像された映像(来訪者映像、監視映像)を出画するためのものであり、例えば、LCD、有機ELディスプレイ等の各種の出画表示媒体にて構成されている。なお、モニタ200には、来訪者による第1〜第4の子機1a、1b、1c、1dからの呼出時において、その旨の文字メッセージや絵データ等を表示することもできる。
【0026】
親機マイク201及び親機スピーカ202は、居住者が来訪者との間で通話を成立させるための音声(送話音声、受話音声)を入出力するものであり、この親機スピーカ202は、来訪者による第1〜第4の子機1a、1b、1c、1dからの呼出時において、その旨の呼出音や音声メッセージ等を出力することもできる。
【0027】
親機操作部203は、来訪者による第1〜第4の子機1a、1b、1c、1dからの呼出時において居住者が応答し、親機マイク201及び親機スピーカ202の使用による通話を開始するための応答操作と、前述の通話を終了するための終話操作と、第1〜第4の子機1a、1b、1c、1dのカメラ101にて監視映像を撮像させるための監視起動操作等を行うものであり、例えば、通話ボタンやカメラボタンにて構成されている。
【0028】
次に、図1に示すインターホン装置の具体的な構成について、図2のブロック図を参照して説明する。
【0029】
図2に示す第1〜第4の子機1a、1b、1c、1dには、前述の子機操作部100、カメラ101、子機マイク102及び子機スピーカ103と、子機映像処理部104、輪郭画像データ生成部105、圧縮部106、子機映像ライン切換部107、子機音声処理部108、子機データ伝送部109、子機伝送制御部110及び子機CPU111が備えられている。
【0030】
この子機1a、1b、1c、1dにおいて、子機映像処理部101は、カメラ101にて撮像された映像(来訪者映像、監視映像)データについて所定の信号処理を行う、例えば、A/D(アナログ/デジタル)変換やゲイン調整するためのものである。
【0031】
輪郭画像データ生成部105は、カメラ101にて撮像された監視映像であって子機映像処理部101からの出力である監視映像データの輝度成分を抽出するための輝度成分抽出回路105aと、輝度成分抽出回路105aにて抽出された輝度成分をもとに監視映像データの低周波数帯域を遮断して(当該監視映像データの)輪郭画像データを生成するためのフィルタ105bとを有している。
【0032】
圧縮部106は、カメラ101にて撮像された来訪者映像であって子機映像処理部101からの出力である来訪者映像データ、及び輪郭画像データ生成部105(のフィルタ105b)からの出力である輪郭画像データをそれぞれ、後述する所定の方式で圧縮するためのものである。
【0033】
子機映像ライン切換部107は、子機映像処理部104から圧縮部106への信号伝送ライン、又は子機映像処理部104から輪郭画像データ生成部105(の輝度成分抽出回路105a)への信号伝送ラインを切換えて形成するためのものである。
【0034】
子機音声処理部108は、子機マイク102及び子機スピーカ103にて入出力される来訪者の音声(送話音声、受話音声)データについて所定の信号処理を行う、例えば、4線/2線変換又は2線/4線変換やゲイン調整するためのものである。
【0035】
子機データ伝送部109は、圧縮部106から伝送路Lへの信号伝送ライン、子機音声処理部108及び伝送路Lの間の信号伝送ライン、子機CPU111及び伝送路Lの間の信号伝送ラインをそれぞれ形成するためのものである。
【0036】
子機伝送制御部110は、監視時に圧縮部106にて圧縮された輪郭画像データを間欠送信で子機データ伝送部109から伝送路Lに送出するために当該子機データ伝送部を制御するとともに、同様な監視時に圧縮部106にて圧縮された輪郭画像データを来訪者画像データよりも低いフレームレートで子機データ伝送部109から伝送路Lに送出するために当該子機データ伝送部を制御するものである。
【0037】
子機CPU111は、子機1a、1b、1c、1dの構成各部を制御するためのものである。具体的には、来訪者による子機操作部100を使用した呼出操作を検出し、その旨の呼出データを生成して子機データ伝送部109に送出するための機能と、来訪者による呼出時においてカメラ101から子機映像処理部104、子機映像ライン切換部107を経由して圧縮部106への信号伝送ラインを形成する一方、監視時においてカメラ101から子機映像処理部104、子機映像ライン切換部107、輪郭画像データ生成部105を経由して圧縮部106への信号伝送ラインを形成する機能と、監視時において子機伝送制御部110を制御し、子機データ伝送部109による間欠送信動作及び低いフレームレートでの送信動作をそれぞれ能動とする機能とを有している。
【0038】
また、図2に示す親機2には、前述のモニタ200、親機マイク201、親機スピーカ202及び親機操作部203と、伸張部204、記憶部205、親機映像処理部206、親機映像ライン切換部207、親機音声処理部208、親機データ伝送部209、親機伝送制御部210及び親機CPU211が備えられている。
【0039】
この親機2において、伸張部204は、第1〜第4の子機1a、1b、1c、1dの圧縮部106にて圧縮され子機データ伝送部109、伝送路L、親機データ伝送部209を経由して伝送されてくる来訪者映像データ及び監視映像データをそれぞれ、後述する所定の方式で伸張するためのものである。また、記憶部205は、同様に伝送されてくる来訪者映像データ及び監視映像データをそれぞれ記憶するためのものであり、例えば、RAM、EEPROM等の各種の記憶媒体にて構成されている。
【0040】
親機映像処理部206は、伸張部204にて伸張された来訪者映像データについて所定の信号処理を行う、例えば、D/A(デジタル/アナログ)変換やゲイン調整してモニタ200に出画させるためのものである。
【0041】
親機映像ライン切換部207は、伸張部204から親機映像処理部206への信号伝送ライン、又は伸張部204から親機CPU211への信号伝送ラインを切換えて形成するためのものである。
【0042】
親機音声処理部208は、親機マイク201及び親機スピーカ202にて入出力される居住者の音声(送話音声、受話音声)データについて所定の信号処理を行う、例えば、4線/2線変換又は2線/4線変換やゲイン調整するためのものである。
【0043】
親機データ伝送部209は、伝送路Lから伸張部204への信号伝送ライン、伝送路Lから記憶部205への信号伝送ライン、親機音声処理部208及び伝送路Lの間の信号伝送ライン、親機CPU211及び伝送路Lの間の信号伝送ラインをそれぞれ形成するためのものである。
【0044】
親機伝送制御部210は、監視時に親機データ伝送部209における輪郭画像データの受信を間欠受信で動作させるために当該親機データ伝送部を制御するとともに、同様な監視時に親機データ伝送部209のフレームレートを低いフレームレートに制御するためのものである。
【0045】
親機CPU211は、親機2の構成各部を制御するためのものであり、呼出検出部211a、物体検知部211b、タイマ211c、間欠動作制御部211d、移動速度識別部211e及びフレームレート可変部211fを有している。
【0046】
この親機CPU211において、呼出検出部211aは、来訪者による子機操作部100の呼出操作を検出し、モニタ200及び/又は親機スピーカ202の使用による呼出報知を能動とするためのものである。また、物体検知部211bは、監視時に伸張部204にて伸張された輪郭画像データをもとに住戸外における不審者等の物体の存在を検知するためのものである。また、タイマ211cは、物体検知部211bにて前述の物体の存在が検知される監視状態の所定時間を計時するためのものである。また、間欠動作制御部211dは、第1〜第4の子機1a、1b、1c、1dのうち何れか1の当該子機の子機データ伝送部109及び自親機の親機データ伝送部209が間欠動作(間欠送信、間欠受信)するように子機伝送制御部110及び親機伝送制御部210を制御するためのものである。また、移動速度識別部211eは、物体検知部211bにて検知された物体の移動速度を識別するためのものである。さらに、フレームレート可変部211fは、移動速度識別部211eにて識別された移動速度に対応させて前述の子機データ伝送部109及び親機データ伝送部209のフレームレートが可変されるように子機伝送制御部110及び親機伝送制御部210をそれぞれ制御するためのものである。
【0047】
なお、呼出検出部211a、物体検知部211b、タイマ211c、間欠動作制御部211d、移動速度識別部211e及びフレームレート可変部211fについては、親機CPU211内に設けられる態様に限定されるものではなく、親機CPU211により制御される構成部211a、211b、211c、211d、211e、211fとして当該親機CPUに接続させて設けてもよい(図示せず。)。
【0048】
このように構成された本発明の実施例によるインターホン装置において、以下、具体的な動作について説明する。
【0049】
最初に、本発明の実施例による第1の動作として、図1、図2に示す第1〜第4の子機1a、1b、1c、1dが待受状態のとき、例えば、来訪者から居住者への呼出時でなく通話も成立していないとき、及びカメラ101による監視映像データの撮像が停止しているとき、子機映像ライン切換部107は、子機CPU111の制御によって通常、子機映像処理部104から圧縮部106への信号伝送ラインが形成されるように切換えられており、親機2の親機映像ライン切換部207についても、親機CPU211の制御によって通常、伸張部204から親機映像処理部206への信号伝送ラインが形成されるように切換えられているものとする。
【0050】
このよう待受状態において、第1〜第4の子機1a、1b、1c、1dのうち、ここでは、第1の子機1aが設置された住戸外の場所に居る来訪者が子機操作部100を使用して所定の呼出操作を行うと、この操作を検出した子機CPU111にて呼出データが生成される。また、子機CPU111にて生成された呼出データは、子機データ伝送部109、伝送路L、親機2の親機データ伝送部209を経由して親機CPU211に伝送される。
【0051】
親機2において、親機CPU211の呼出検出部211aは、受信した呼出データをもとに、来訪者による第1の子機1aからの呼出しがあることを検出し、その旨の呼出音や音声メッセージ等を親機スピーカ202から出力させるとともに、モニタ200、伸張部204、記憶部205及び親機映像処理部206がそれぞれ、所定の来訪者映像撮像モードで能動となるように制御し、また、第1の子機1aの来訪者映像撮像・処理機能を能動とするための来訪者映像制御データを生成し、前述の呼出データと逆の信号伝送ラインを経由して第1の子機1aの子機CPU111に送出する。
【0052】
第1の子機1aの子機CPU111は、親機2からの来訪者映像制御データを受信すると、カメラ101、子機映像処理部104及び圧縮部106がそれぞれ、所定の来訪者映像撮像モードで能動となるように制御する。この制御により、カメラ101は、呼出操作を行った来訪者映像の撮像を開始し、圧縮部106は、子機映像処理部104を経由して信号処理された来訪者映像データについて、例えば、JPEG、MPEG等のカラー映像方式で圧縮して来訪者映像圧縮データを生成する。また、圧縮部106にて生成された来訪者映像圧縮データは、子機データ伝送部109にて図3(A)に示すフォーマットに処理された後、1フレーム毎の当該圧縮データとして、伝送路L、親機2の親機データ伝送部209を経由して伸張部204及び記憶部205にそれぞれ伝送される。
【0053】
親機2の伸張部204は、受信した来訪者映像圧縮データについて、例えば、JPEG、MPEG等のカラー映像方式で伸張して親機映像処理部206に送出することにより、モニタ200には、親機映像処理部206を経由して信号処理された来訪者映像データ、すなわち、第1の子機1aにて呼出操作を行った来訪者映像が出画される。また、記憶部205には、受信した来訪者映像圧縮データが記憶され、この記憶データには、親機CPU211のタイマ211cにて計時されるリアルタイムの撮像時刻を付加することができる。
【0054】
なお、親機2のモニタ200には、前述の来訪者映像のみならず、親機CPU211の制御によって来訪者による第1の子機1aからの呼出しがあることの文字メッセージや絵データ等を併せて表示することもできる。
【0055】
次に、前述のような呼出報知及び来訪者映像の出画を確認した居住者が、親機2の親機操作部203を使用して所定の応答操作を行うと、この操作を検出した親機CPU211及び第1の子機1aの子機CPU111の制御により、居住者が使用する親機マイク201から親機音声処理部208、親機データ伝送部209、伝送路L、第1の子機1aの子機データ伝送部109、子機音声処理部108を経由して来訪者が使用する子機スピーカ103までの信号伝送ライン(下り通話ライン)と、来訪者が使用する第1の子機1aの子機マイク102から子機音声処理部108、子機データ伝送部109、伝送路L、親機2の親機データ伝送部209、親機音声処理部208を経由して居住者が使用する親機スピーカ202までの信号伝送ライン(上り通話ライン)とがそれぞれ形成され、形成された当該各ラインを経由して音声データを送受信することにより通話が成立し、特に、居住者にとっては、来訪者映像を確認しながらの通話が可能となる。
【0056】
なお、前述のような来訪者映像圧縮データの伝送時及び通話時において、第1の子機1aの子機データ伝送部109が有するフレームレート及び親機2の親機データ伝送部209が有するフレームレートはそれぞれ、所定のフレームレートで固定されている。
【0057】
また、親機2の記憶部205に記憶された来訪者映像圧縮データは、居住者による親機操作部201を使用した読出操作を親機CPU211が検出することで、この親機CPU211の制御によって読出され、伸張部204、親機映像ライン切換部207、親機映像処理部206を経由してモニタ200に送出することもできる。この態様によれば、前述の呼出時において居住者が外出等で不在であり、モニタ200に出画される来訪者映像を確認できなかった場合であっても、例えば、帰宅時において、その来訪者映像をモニタ200に出画させて容易に確認できる。
【0058】
次に、本発明の実施例による第2の動作として、前述のような待受状態であるとき、居住者が親機2の親機操作部203を使用して第1の子機1aが設置された住戸外の周囲環境の様子を監視するための所定の監視起動操作を行うと、この操作を検出した親機CPU211は、モニタ200、伸張部204がそれぞれ、所定の監視映像モードで能動となるように制御するとともに、親機映像ライン切換部207を切換えて伸張部204から当該親機CPUへの信号伝送ラインを形成し、また、第1の子機1aの監視映像撮像・処理機能を能動とするための監視映像制御データを生成し、前述の来訪者映像制御データと同様な信号伝送ラインを経由して第1の子機1aの子機CPU111に送出する。
【0059】
また、親機2の親機CPU211は、前述の監視起動操作を検出すると、親機データ伝送部209によるデータ受信動作が間欠動作となるように間欠動作制御部211dが親機伝送制御部210を制御するとともに、この間欠動作制御部211dは、第1の子機1aの子機データ伝送部109によるデータ送信動作が間欠動作となるように子機伝送制御部110を制御するための子機間欠送信制御データを生成し、前述の来訪者映像制御データ及び監視映像制御データと同様な信号伝送ラインを経由して第1の子機1aの子機CPU111に送出する。
【0060】
第1の子機1aの子機CPU111は、親機2からの監視映像制御データを受信すると、子機映像ライン切換部107を切換えて子機映像処理部104から輪郭画像データ生成部105への信号伝送ラインを形成するとともに、カメラ101、子機映像処理部104、輪郭画像データ生成部105及び圧縮部106がそれぞれ、所定の監視映像撮像モードで能動となるように制御し、さらには、同様に受信した子機間欠送信制御データをもとに、子機データ伝送部109によるデータ送信動作が間欠動作となるように子機伝送制御部110を制御する。これらの制御により、カメラ101は、第1の子機1aが設置された住戸外の周囲近傍の監視映像の撮像を開始し、輪郭画像データ生成部105の輝度成分抽出回路105aは、子機映像処理部104を経由して信号処理された監視映像データの輝度成分を抽出する。また、輪郭画像データ生成部105のフィルタ105bは、輝度成分抽出回路105aにて抽出された輝度成分をもとに監視映像データの低周波数帯域を遮断して(当該監視映像データの)輪郭画像データを生成し、圧縮部106は、フィルタ105bにて生成された輪郭画像データについて、例えば、JPEG、MPEG等の白黒映像方式で圧縮し、前述の来訪者画像データよりもデータ量が小さい監視映像圧縮データを生成する。また、圧縮部106にて生成された輪郭画像圧縮データは、子機データ伝送部109にて図3(B)に示すフォーマットに処理され、間欠送信で伝送路Lを経由して親機2の親機データ伝送部209に伝送され、この親機データ伝送部209にて間欠受信された後、伸張部204に送出される。
【0061】
なお、前述のような輪郭画像圧縮データの伝送時において、第1の子機1aの子機データ伝送部109が有するフレームレート及び親機2の親機データ伝送部209が有するフレームレートはそれぞれ、所定のフレームレートで固定されている。
【0062】
このような間欠送信/受信動作によれば、図(B)に示すように、第1の子機1aから伝送路Lを経由して親機2に伝送される映像データのフォーマットである1フレーム毎で当該第1の子機に割り当てられるスロット以外の空スロットに対して、データ送信/受信動作を割り当てることが不要となり当該データ送信が停止するため、データ送信/受信動作のために必要とされる消費電力を低減することができる。
【0063】
親機2の伸張部204は、受信した輪郭画像圧縮データについて、例えば、JPEG、MPEG等の白黒映像方式で伸張して親機CPU211に送出する。
【0064】
親機2において、親機CPU211の物体検知部211aは、伸張部204にて伸張された輪郭画像データをもとに住戸外における不審者等の物体の存在を検知し、タイマ211bにて所定の監視時間の計時を開始させる一方、その存在が検知されるまでの間は、前述の監視状態を継続する。
【0065】
また、親機2の親機CPU211において、移動速度識別部211eは、物体検知部211bにて検知された物体の移動速度を識別し、フレームレート可変部211fは、移動速度識別部211eにて識別された移動速度に対応させ、その移動速度が所定の速さと比較して遅い場合には、親機データ伝送部209のフレームレートが下がるように親機伝送制御部210を制御するとともに、同様なフレームレート制御を第1の子機1aで実行するためのフレームレート制御データを生成し、前述の来訪者映像制御データ、監視映像制御データ及び子機間欠送信制御データと同様な信号伝送ラインを経由して第1の子機1aの子機CPU111に送出する。
【0066】
第1の子機1aの子機CPU111は、親機2からのフレーム制御データを受信すると、親機データ伝送部209のフレームレートが下がるように親機伝送制御部210を制御する。
【0067】
このようなフレームレート可変動作によれば、第1の子機1aから伝送路Lを経由して親機2に伝送される映像データのフォーマットである1フレーム毎で当該第1の子機に割り当てられるスロット以外の空スロットを増やすことができるため、前述の間欠送信/受信動作と併用することにより、データ送信/受信動作のために必要とされる消費電力をより低減することができる。
【0068】
さらに、親機2の親機CPU211は、タイマ211cにて計時されている所定の監視時間がタイムアップになると、物体検知部211bにて検知された物体が不審者等であると検出する。この親機CPUは、伸張部204、記憶部205及び親機映像処理部206がそれぞれ、所定の不審者等検出時撮像モードで能動となるように制御し、また、第1の子機1aの来訪者映像撮像・処理機能を能動とするための来訪者映像制御データを生成し、前述の第1の実施例と同様な信号伝送ラインを経由して第1の子機1aの子機CPU111に送出する。
【0069】
第1の子機1aの子機CPU111は、親機2からの来訪者映像制御データを受信すると、カメラ101、子機映像処理部104及び圧縮部106がそれぞれ、所定の来訪者映像撮像モードで能動となるように制御する一方、画像輪郭データ制御部105が非能動となるように制御するとともに、子機映像データ切換部107を切換えて子機映像処理部104から圧縮部106への信号伝送ラインを形成する。これらの制御により、カメラ101は、不審者等であると認識された物体映像の撮像を開始し、圧縮部106は、子機映像処理部104を経由して信号処理された物体映像データについて、例えば、JPEG、MPE等のカラー映像方式で圧縮して映像圧縮データを生成する。また、圧縮部106にて生成された物体映像圧縮データは、子機データ伝送部109にて図3(A)に示すフォーマットに処理された後、1フレーム毎の当該データとして、伝送路L、親機2の親機データ伝送部209を経由して記憶部205に伝送され、親機CPU211のタイマ211cにて計時される所定の時間内、記憶されることとなり、この記憶データには、タイマ211cにて計時されるリアルタイムの撮像時刻を付加することができる。
【0070】
また、親機2の記憶部205に記憶された物体映像圧縮データは、居住者による親機操作部201を使用した読出操作を親機CPU211が検出することで、この親機CPU211の制御によって読出され、伸張部204、親機映像ライン切換部207、親機映像処理部206を経由してモニタ200に送出して出画させることもできる。
【0071】
なお、前述までの第2の動作によれば、親機2の親機操作部203の監視起動操作により選択された監視先の当該子機を、第1の子機1aのみ1台の当該子機として説明したが、例えば、第1〜第4の子機1a、1b、1c、1dのように、全ての子機が選択された場合であっても、これら子機1a、1b、1c、1cの子機データ伝送部110と親機2の親機データ伝送部210とは伝送路Lを経由してバス接続されており、各伝送部110、210が図3(C)に示すフォーマットで間欠送信/受信動作を行うことにより、第1〜第4の子機1a、1b、1c、1dの圧縮部106にてそれぞれ圧縮された画像輪郭データを同一フレーム内の該当スロットに割り当てて親機2の伸張部204に伝送することができ、特に、親機CPU211の物体検知部211bによれば、伸張部204にて同時のタイミングで伸張される第1〜第4の子機1a、1b、1c、1d毎の輪郭画像データをもとに、住戸外における不審者等の物体の存在を同時監視することができる。
【0072】
最後に、本発明のインターホン装置においては、特定の実施の形態をもって説明してきたが、この形態に限定されるものでなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られた如何なる構成の当該装置であっても採用できるということはいうまでもないことである。
【符号の説明】
【0073】
1a、1b、1c、1d……第1〜第4の子機(子機)
101……カメラ
105……輪郭画像データ生成部
105a……輝度成分抽出回路
105b……フィルタ
106……圧縮部
109……子機データ伝送部
110……子機伝送制御部
2……親機
200……モニタ
204……伸張部
205……記憶部
209……親機データ伝送部
210……親機伝送制御部
211……親機CPU
211b……物体検知部
211d……間欠動作制御部
211e……移動速度識別部
211f……フレームレート可変部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
来訪者からの呼出時における来訪者映像又は住戸外の様子を監視する監視時における監視映像を撮像するためのカメラ(101)を有する子機(1a、1b、1c、1d)と、伝送路(L)を経由して接続される前記子機のカメラにて撮像された映像を出画するためのモニタ(200)を有する親機(2)とを備えるインターホン装置であって、
前記子機は、前記カメラにて撮像される監視映像データの輝度成分を抽出するための輝度成分抽出回路(105a)及び前記輝度成分抽出回路にて抽出された前記輝度成分をもとに前記監視映像データの低周波数帯域を遮断して輪郭画像データを生成するためのフィルタ(105b)を有する輪郭画像データ生成部(105)と、前記カメラにて撮像される来訪者映像データ及び前記輪郭画像データ生成部にて生成される前記輪郭画像データをそれぞれ圧縮するための圧縮部(106)と、前記圧縮部から前記伝送路への信号伝送ラインを形成するための子機データ伝送部(109)とを備え、
前記親機は、前記子機の前記圧縮部にて圧縮され前記子機データ伝送部、前記伝送路を経由して伝送されてくる前記来訪者映像データ及び前記輪郭画像データをそれぞれ受信するための親機データ伝送部(209)と、前記親機データ伝送部にて受信された前記来訪者映像データ及び前記輪郭画像データをそれぞれ伸張するための伸張部(204)と、前記監視時に前記伸張部にて伸張された前記輪郭画像データをもとに前記住戸外における不審者等の物体の存在を検知するための物体検知部(211b)とを備えることを特徴とするインターホン装置。
【請求項2】
前記子機は、前記監視時に前記圧縮部にて圧縮された前記輪郭画像データを間欠動作で前記子機データ伝送部から前記伝送路に送信するための子機伝送制御部(110)を備え、
前記親機は、前記親機データ伝送部における前記輪郭画像データの受信を間欠動作させるための親機伝送制御部(210)と、前記子機伝送制御部及び前記親機伝送制御部をそれぞれ制御して前記間欠動作を能動とするための間欠動作制御部(211d)とを備えることを特徴とする請求項1記載のインターホン装置。
【請求項3】
前記子機は、前記監視時に前記圧縮部にて圧縮された前記輪郭画像データを、前記来訪者画像データよりも低いフレームレートで前記子機データ伝送部から前記伝送路に送信するための子機伝送制御部(110)を備え、
前記親機は、前記子機伝送制御部のフレームレートに対応させて前記親機データ伝送部のフレームレートを制御するための親機伝送制御部(210)と、前記物体検知部にて検知された前記物体の移動速度を識別するための移動速度識別部(211e)と、前記移動速度識別部にて識別された移動速度に対応させて前記フレームレートが可変されるように前記子機伝送制御部及び前記親機伝送制御部をそれぞれ制御するためのフレームレート可変部(211f)とを備えることを特徴とする請求項1記載のインターホン装置。
【請求項4】
前記親機の前記親機データ伝送部は、1台又は複数台の当該子機の前記子機データ伝送部が前記伝送路を経由して接続され、
前記物体検知部は、前記親機データ伝送部に接続される当該子機毎に前記物体の存在を検知することを特徴とする請求項1乃至請求項3のうち何れか1項記載のインターホン装置。
【請求項5】
前記親機は、前記物体検知部にて前記物体の存在が検知されてから所定の時間を計時し、前記計時のタイムアップ検出後、前記子機の前記圧縮部にて圧縮され前記子機データ伝送部、前記伝送路を経由して伝送されてくる前記物体の映像データを記憶部(205)に記憶するための親機CPU(211)を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうち何れか1項記載のインターホン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−70209(P2012−70209A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213125(P2010−213125)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】