説明

インドリン−2−オンピリジン誘導体、その調製及び治療上の使用

本発明は、水和物又は溶媒和物の状態の、塩基又は薬剤として許容される塩の状態の一般式(I)のインドリン−2−オン誘導体、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体及びこれらの混合物に関する。式中、R、R、R及びRは互いに独立にH、ハロゲン、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシであり、RはH、(C−C)アルキルであり、Zは酸素、(C−C)アルキル、テトラヒドロフラニル又はテトラヒドロピラニル基(前記基は置換されていてもよい。)であり、BはT−W基(式中、Tは−(CH−基であり、Wは−CONR基又は−NRCOR基である。)である。本発明は、前記誘導体を調製する方法及び治療におけるその使用にも関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、インドリン−2−オンピリジン誘導体、その調製及び治療へのその応用である。
【背景技術】
【0002】
オキシトシン受容体に関して活性を有する幾つかの化合物が知られている。インドリン−2−オン誘導体は、オキシトシン受容体リガンドであり、特に国際公開第01/74775号に開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、オキシトシン受容体に親和性を有し、オキシトシン受容体に選択的である新規リガンドを見出すことが依然として求められている。オキシトシン受容体に親和性を有し、オキシトシン受容体に選択的であるリガンドであるインドリン−2−オンピリジン誘導体を今回見出した。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一主題は、水和物又は溶媒和物の形の、塩基の形又は薬剤として許容される塩の形の式(I)に対応する化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体及びこれらの混合物である。
【0005】
【化3】

式中、
− Rは水素原子、ハロゲン原子、(C−C)アルキル基又は(C−C)アルコキシ基であり、
− Rは水素原子、ハロゲン原子、(C−C)アルキル基又は(C−C)アルコキシ基であり、
− Rは水素原子、ハロゲン原子、(C−C)アルキル基又は(C−C)アルコキシ基であり、
− Rは水素原子又は(C−C)アルキル基であり、
− Rは水素原子、ハロゲン原子、(C−C)アルキル基又は(C−C)アルコキシ基であり、
− Zは、
− 酸素原子、
− ヒドロキシル、(C−C)アルコキシ、−COOR(式中、Rは水素原子又は(C−C)アルキル基である。)又は−CONRR’(式中、R及びR’は互いに独立に水素原子若しくは(C−C)アルキル基であり、又はRとR’はそれらが結合している窒素原子と一緒にピロリジニル、ピペリジニル若しくはモルホリニル基を形成する。)から選択される1個以上の基で置換されていてもよい(C−C)アルキル基、
− テトラヒドロフラニル基又はテトラヒドロピラニル基(前記基は、1個以上の(C−C)アルキル、ヒドロキシル若しくはカルボキシル基又は−CHOH基で置換されていてもよい。)であり、
− BはT−W基であり、式中、
Tは−(CH−基であり、mは0又は1であってもよく、
Wは、
− −CONR基(式中、
・ Rは水素原子又は(C−C)アルキル基であり、
・ Rは(C−C)アルキレン基である。)
− −NRCOR基である(式中、
・ Rは水素原子又は(C−C)アルキル基であり、
・ Rは−(CH−基であり、nは0から3の値をとることができる。)。
【0006】
式(I)の化合物は、1個以上の不斉炭素原子を含むことができる。従って、式(I)の化合物は、鏡像異性体又はジアステレオ異性体の形で存在することができる。これらの鏡像異性体又はジアステレオ異性体並びにラセミ混合物を含めたその混合物は本発明の一部を形成する。
【0007】
本発明の化合物は、水和物又は溶媒和物の形の、塩基の形又は酸付加塩の形で存在することもできる。
【0008】
本発明では、
− 「ハロゲン原子」という用語は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味すると理解される。
【0009】
− 「(C−C)アルキル基」及び「(C−C)アルキル基」という用語は、それぞれ1から3個又は1から6個の炭素原子を含む飽和、線状又は分枝、脂肪族基を意味すると理解される。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル又はペンチル基を挙げることができる。前記アルキル基は置換されていてもよい。
【0010】
− 「(C−C)アルキレン基」という用語は、1から6個の炭素原子を含む飽和、線状又は分枝、二価アルキル基を意味すると理解される。例えば、メチレン、エチレン、1−メチルエチレン又はプロピレン基を挙げることができる。
【0011】
− 「(C−C)アルコキシ基」という用語は、酸素原子に結合した、上記1から6個の炭素原子を含む飽和、線状又は分枝、脂肪族基を意味すると理解される。例えば、メトキシ又はエトキシ基を挙げることができる。
【0012】
− 「テトラヒドロフラニル基」という用語は、テトラヒドロフラン−2−イル又はテトラヒドロフラン−3−イル基を意味すると理解される。前記基は置換されていてもよい。
【0013】
− 「テトラヒドロピラニル基」という用語は、テトラヒドロピラン−2−イル、テトラヒドロピラン−3−イル又はテトラヒドロピラン−4−イル基を意味すると理解される。上記基は置換されていてもよい。
【0014】
本発明の一主題である化合物としては、
− Rが(C−C)アルコキシ基、特にフェニルの2位のメトキシ基であり、
− Rが(C−C)アルコキシ基、特にフェニルの4位のメトキシ基であり、
− R、R、R、Z及びBが上記の通りである、
水和物又は溶媒和物の形の、塩基の形又は薬剤として許容される塩の形の式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体及びこれらの混合物の第1の群が挙げられる。
【0015】
本発明の一主題である化合物としては、
− Rが水素原子、ハロゲン原子、(C−C)アルキル基又は(C−C)アルコキシ基であり、
− Rが水素原子、ハロゲン原子、(C−C)アルキル基又は(C−C)アルコキシ基であり、
− R、R、R及びBが上記の通りであり、
− Zが酸素原子である、
水和物又は溶媒和物の形の、塩基の形又は薬剤として許容される塩の形の式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体及びこれらの混合物の第2の群が挙げられる。
【0016】
本発明の一主題である化合物としては、
− Rが水素原子、ハロゲン原子、(C−C)アルキル基又は(C−C)アルコキシ基であり、
− Rが水素原子、ハロゲン原子、(C−C)アルキル基又は(C−C)アルコキシ基であり、
− R、R、R及びBが上記の通りであり、
− Zが、
− ヒドロキシル、(C−C)アルコキシ、−COOR(式中、Rは水素原子又は(C−C)アルキル基である。)又は−CONRR’(式中、R及びR’は互いに独立に水素原子若しくは(C−C)アルキル基であり、又はRとR’はそれらが結合している窒素原子と一緒にピロリジニル、ピペリジニル若しくはモルホリニル基を形成する。)から選択される1個以上の基で置換されていてもよい(C−C)アルキル基、
− テトラヒドロフラニル基、特にテトラヒドロフラン−2−イル基、又はテトラヒドロピラニル基、特にテトラヒドロピラン−2−イル基(前記基は、1個以上の(C−C)アルキル基、ヒドロキシル若しくはカルボキシル基又は−CHOH基で置換されていてもよい。)である、
水和物又は溶媒和物の形の、塩基の形又は薬剤として許容される塩の形の式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体及びこれらの混合物の第3の群が挙げられる。
【0017】
本発明の一主題である化合物としては、
・ 3−[({4−クロロ−3−[5−クロロ−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−3−イル]ベンゾイル}(エチル)アミノ)メチル]−1−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムクロライド
− 1−カルボキシメチル−3−[({4−クロロ−3−[5−クロロ−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−3−イル]ベンゾイル}(エチル)アミノ)メチル]ピリジニウムクロライド、
・ 1−(β−D−グルコピラヌロノシル)−3−[({4−クロロ−3−[5−クロロ−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−3−イル]ベンゾイル}(エチル)アミノ)メチル]ピリジニウムクロライド、
・ 3−[({4−クロロ−3−[5−クロロ−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−3−イル]ベンゾイル}(エチル)アミノ)メチル]−1−(D−グルコピラノシル)ピリジニウムクロライド、
・ 3−[({4−クロロ−3−[5−クロロ−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−3−イル]ベンゾイル}(エチル)アミノ)メチル]−1−(D−ガラクトピラノシル)ピリジニウムクロライド、
・ 4−クロロ−3−[5−クロロ−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−3−イル]−N−エチル−N−(1−オキシピリダ−3−イルメチル)ベンズアミド、
・ 4−クロロ−3−[5−クロロ−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−3−イル]−N−エチル−N−(1−オキシピリダ−3−イルメチル)ベンズアミド塩酸塩、
・ (+)−4−クロロ−3−[5−クロロ−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−3−イル]−N−エチル−N−[3−(1−オキシピリジン−4−イル)プロピル]ベンズアミド
から選択される化合物の第4の群が挙げられる。
【0018】
本発明の別の主題は式(I)の化合物の調製法である。式(I)の化合物の一般的調製法によれば、次式(II)の化合物が過酸又は式Z−Xの化合物(式中、Zは上記の通りであり、Xは脱離基である。)と反応する。
【0019】
【化4】

式中、R、R、R、R、R及びBは上記の通りである。
【0020】
「脱離基」という用語は、例えば置換反応中に別の基で容易に置換することができる基を意味すると理解される。脱離基及び調製の例の参考文献は、”Advanced Organic Chemistry”, J. March, 3rd Edition, Wiley Interscience, pp.310−316である。例としては、ハロゲン原子又はメシラート、トシラート、トリフラート、アセタート、スルホナート、イミダートなどの活性化ヒドロキシル基が挙げられる。
【0021】
式(II)の前駆体化合物は、国際公開第01/74775号に記載されている。式(II)の化合物が国際公開第01/74775号に具体的に記載されていないときには、これらの化合物は、国際公開第01/74775号に記載の方法に従って同様に調製され、又は文献に記載され、当業者に公知の方法に従って調製される。
【0022】
従って、Zが酸素原子である式(I)の化合物を得るためには、上記式(II)の化合物を脂肪族有機過酸、芳香族過酸などの酸化誘導体と反応させる。脂肪族有機過酸としては、例えば、過酢酸、過ギ酸、過ラウリン酸又は過フタル酸が挙げられる。芳香族過酸としては、例えば、過安息香酸又は3−クロロ過安息香酸などのその誘導体が挙げられる。反応は0℃から90℃の温度、好ましくは50℃未満の温度で起こる。
【0023】
これらの酸は、安定であるときにはそのまま使用することができ、又は想定しているカルボン酸若しくは無水物と過酸化水素との反応によってその場で生成することができる。従って、過酢酸は、30−40%過酸化水素水溶液と氷酢酸との反応によって得られ、過フタル酸又は過マレイン酸は、過酸化水素と対応する無水物との反応によって得られる。”Heterocyclic N−oxides”, CRC Press(1991), Albini A. and Pietra S.に記載の方法に従って進めることも可能である。
【0024】
過酸は、特に無水過酸から選択され、脂肪族又は芳香族炭化水素、ハロゲン化溶媒、ジオキサン又はジメトキシエタン、脂肪族又は芳香族ニトリルなどの無水溶媒中で使用される。
【0025】
最終化合物は、そのまま単離されるか、又は例えば、エーテル、アルコール、これらの混合物などの溶媒中で、塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸などのスルホン酸などの強酸との反応によって塩に転化される。
【0026】
Zがヒドロキシル、(C−C)アルコキシ、−COOR(式中、Rは水素原子又は(C−C)アルキル基である。)又は−CONRR’(式中、R及びR’は互いに独立に水素原子若しくは(C−C)アルキル基であり、又はRとR’はそれらが結合している窒素原子と一緒にピロリジニル、ピペリジニル若しくはモルホリニル基を形成する。)から選択される1個以上の基で置換されていてもよい(C−C)アルキル基である式(I)の化合物を得るためには、式(II)の化合物をZの反応性誘導体Z−Xと反応させる(式中、Zは上記の通りであり、Xはハロゲン原子、トリフラート、スルホナートなどの脱離基である。)。反応は、芳香族炭化水素、脂肪族エーテル、アルコールなどの溶媒中で、好ましくはアセトンなどのケトン、ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性アミド、アセトニトリルなどの脂肪族ニトリル中で、0℃から110℃の温度で起こる。
【0027】
アミン、アルコール、カルボン酸などの反応性官能基は、当業者に周知の方法によって、保護基で保護され、次いで反応後に脱保護される。
【0028】
「保護基」という用語は、一方では、合成中にヒドロキシル、カルボキシル基、アミンなどの反応性官能基を保護することができ、他方で、合成の最後に完全な反応性官能基を再生することができる基を意味すると理解される。保護基並びに保護及び脱保護方法の例は、Protective Groups in Organic Synthesis, T.W. Greene and P.G.M. Wuts, 3rd Ed.(John Wiley and Sons Inc., New York, 1999)に記載されている。
【0029】
反応によって生成される対イオンは、例えば、イオン交換樹脂上で操作することによって保持又は交換することができる。
【0030】
”The Chemistry of Heterocyclic Compounds, Pyridine and its Derivatives”, Part two (Quaternary Pyridinium Compounds), Interscience Publishers(1962)に記載の方法によって進めることもできる。
【0031】
Zがテトラヒドロフラニル基又はテトラヒドロピラニル基(前記基は、1個以上の(C−C)アルキル、ヒドロキシル若しくはカルボキシル基又は−CHOH基で置換されていてもよい。)である式(I)の化合物を得るためには、操作を上記原理に従って、特に、G.S. Boons, Tetrahedron(1996), 52, pp.1095−1121に記載の方法に従って上記式(II)の化合物をZの反応性誘導体Z−X(式中、Zは上記の通りであり、Xはハロゲン、トリフラート、アセタート、イミダート、チオアルキル、チオアリール基などの脱離基である。)と反応させることによって、実施する。
【0032】
反応は、アセトニトリルなどの厳密な無水溶媒中で(JOC(2000), 65, pp.8197−8203)、又はJ. Med. Chem.(1983), 31, pp.1295−1305及びChem. Pharm. Bull.(1987), 35(9), pp.3975−3978に記載の通り炭酸カドミウムの存在下でニトロメタン中で、50から110℃の温度で起こる。
【0033】
Zがヒドロキシル官能基などの反応性官能基である場合には、反応性官能基は、当業者に公知の従来技術に従って、ベンゾイル基、アセチルなどのアシル基によって保護される。ヒドロキシル官能基は、続いて、酸性媒体中で臭化水素酸のアルコール溶液(JOC(2000), 65, pp.8197−8203)、テトラフルオロホウ酸のメタノール溶液(JACS(1988), 120(16), pp.3887−3893)若しくはトリフルオロメタンスルホン酸のアセトニトリル溶液(Bioorg. Med. Chem. Lett.(2002), 12(8), pp.1135−1138)を用いて、又は塩基性媒体中でアンモニアのメタノール溶液(Chem. Commun.(1999), 8, pp.729−730及びJ. Med. Chem.(1988), 31, pp.1295−1305)を用いて脱保護される。
【0034】
水酸化ナトリウム水溶液を含むアルコール中で従来法により鹸化し、続いて塩酸で酸性化することによって操作することもできる。
【0035】
反応によって生成される対イオンは、例えば、イオン交換樹脂上で操作することによって保持又は交換することができる。
【0036】
以下の実施例は本発明を説明するものであるが、その範囲を限定するものではない。
【0037】
以下では、
− M.p.=Koflerベンチで測定した融点(摂氏)。
【0038】
− MS=Platform LCZタイプ(Waters)又はZQ 4000タイプ(Waters)の四重極分光計の正エレクトロスプレーイオン化モードで得られた質量スペクトル。
【0039】
− NMR=そのスペクトルがフーリエ変換分光計(Bruker)を用いて温度300Kで得られた核磁気共鳴。
【0040】
− s=一重線、
− t=三重線、
− m=多重線、
− DMSO=ジメチルスルホキシド、
− CDCl=重水素化クロロホルム
【実施例1】
【0041】
3−[({4−クロロ−3−[5−クロロ−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−3−イル]ベンゾイル}(エチル)アミノ)メチル]−1−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムクロライド
(I):R=2−MeO;R=4−MeO;R=5−Cl;R=Me;R=4−Cl;
【0042】
【化5】

【0043】
段階1.1
4−クロロ−3−[5−クロロ−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−3−イル]−N−エチル−N−(ピリジン−3−イルメチル)ベンズアミド
ラセミ体の4−クロロ−3−[5−クロロ−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−メチル−2−オキソインドリン−3−イル]安息香酸をN−エチル−3−ピリジルメチルアミンで処理する(国際公開第01/074775号、実施例201a)及びb))。ラセミ体の4−クロロ−3−[5−クロロ−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−メチル−2−オキソインドリン−3−イル]安息香酸は、国際公開第01/074775号、実施例101に記載されている。シリカクロマトグラフィー後、ジクロロメタン/メタノール90/10混合物で溶出させ、ラセミ体の予想化合物をメタノールから結晶化して得る(白色粉末)。
【0044】
M.p.=98℃(0.5HO)
段階1.2:
3−[({4−クロロ−3−[5−クロロ−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−3−イル]ベンゾイル}(エチル)アミノ)メチル]−1−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムクロライド
【0045】
2−クロロエタノール0.54gのアセトニトリル2ml溶液の存在下で段階1.1で調製したアミド0.2gの混合物を不活性雰囲気下で3日間加熱還流させる。溶媒を減圧蒸発させた後、C18逆相シリカ分取クロマトグラフィーにかけ、20/80から80/20のアセトニトリル/水勾配で溶出させて精製し、得られる溶液を凍結乾燥する。
【0046】
予想生成物を白色粉末の形で得る。
【0047】
MS[(+)ESI、m/z]=648(M)。
【0048】
H NMR 250MHz(CDCl):1.35(t、3H);1.81(s、3H);3,61(m、2H);3.62(s、3H);3.90(s、3H);4.10(t、2H);4.70−5.2(m、6H);6.4−9(m、13H)。
【実施例2】
【0049】
1−カルボキシメチル−3−[({4−クロロ−3−[5−クロロ−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−3−イル]ベンゾイル}(エチル)アミノ)メチル]ピリジニウムクロライド
(I):R=2−MeO;R=4−MeO;R=5−Cl;R=Me;R=4−Cl;
【0050】
【化6】

【0051】
実施例1の段階1.1で調製したラセミ体の4−クロロ−3−[5−クロロ−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−3−イル]−N−エチル−N−(ピリジン−3−イルメチル)ベンズアミド及びクロロ酢酸から実施例1の条件と同じ条件下で予想化合物を得る。
【0052】
MS[(+)ESI、m/z]=662(M)。
【0053】
H NMR 400MHz(CDCl):1.27(t、3H);1.80(s、3H);3.52(m、2H);3.80(s、3H);3.88(s、3H);4.76(d、1H);4.90(s、2H);5.12(d、1H);5.47(s、2H);6.40−9.4(m、13H)。
【実施例3】
【0054】
1−(β−D−グルコピラヌロノシル)−3−[({4−クロロ−3−[5−クロロ−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−3−イル]ベンゾイル}(エチル)アミノ)メチル]ピリジニウムクロライド
(I) R=2−MeO;R=4−MeO;R=5−Cl;R=Me;R=4−Cl;
【0055】
【化7】

【0056】
段階3.1:
3−[({4−クロロ−3−[5−クロロ−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−3−イル]ベンゾイル}(エチル)アミノ)メチル]−1−(メチル−2,3,4−トリアセチル−β−D−グルコピラヌロノシル)ピリジニウムブロマイド
国際公開第01/074775号に記載の実施例201の化合物100mgを、ニトロメタン1ml中でメチルアセトブロモ−α−D−グルクロナート131mg及び炭酸カドミウム43mgの存在下で不活性雰囲気下で10分間加熱還流させる。溶媒を減圧蒸発させた後、残渣をシリカクロマトグラフにかけ、ジクロロメタン/メタノール95/5混合物で溶出させる。予想生成物をオレンジ色粉末の形で得る。
【0057】
MS[(+)ESI、m/z]=920(M)。
【0058】
段階3.2:
1−(β−D−グルコピラヌロノシル)−3−[({4−クロロ−3−[5−クロロ−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−3−イル]ベンゾイル}(エチル)アミノ)メチル]ピリジニウムクロライド
段階3.1で得た化合物100mgのメタノール1.6ml溶液を水酸化ナトリウム(2M)1mlの存在下で20℃で15分間撹拌する。塩酸(1N;pH=4)3.3mlを10℃で添加する。混合物を蒸発乾固させ、次いで残渣をC18逆相シリカ分取クロマトグラフィーにかけ、40/60から80/20のアセトニトリル/水勾配で溶出させて精製し、次いで、得られる溶液を凍結乾燥する。予想生成物を白色粉末の形で得る。
【0059】
MS[(+)ESI、m/z]=780(M)。
【0060】
H NMR 400MHz(d−DMSO):1.17(t、3H);1.75(s、3H);3.3−3.6(m、5H);3.75(s、3H);3.83(s、3H);4.65−5.5(m、5H);5.77(d、1H、J=8.51Hz);6.48−9.2(m、13H)。
【実施例4】
【0061】
3−[({4−クロロ−3−[5−クロロ−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−3−イル]ベンゾイル}(エチル)アミノ)メチル]−1−(D−グルコピラノシル)ピリジニウムクロライド
【0062】
(I):R=2−MeO;R=4−MeO;R=5−Cl;R=Me;R=4−Cl;
【0063】
【化8】

【0064】
段階1.1で調製したラセミ体の4−クロロ−3−[5−クロロ−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−3−イル]−N−エチル−N−(ピリジン−3−イルメチル)ベンズアミド及びアセトブロモ−α−D−グルコースから、本発明の実施例3に記載の条件と類似した操作条件下で予想生成物を得る。
【0065】
MS[(+)ESI、m/z]=766(M)。
【0066】
H NMR 400MHz(CDCl):1.21(m、3H);1.79(s、3H);3.45(s、2H);3.75−4.1(m、12H);4.70−5.15(m、4H);5.97(m、1H);6.40−9.50(m、13H)。
【実施例5】
【0067】
3−[({4−クロロ−3−[5−クロロ−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−3−イル]ベンゾイル}(エチル)アミノ)メチル]−1−(D−ガラクトピラノシル)ピリジニウムクロライド
【0068】
(I):R=2−MeO;R=4−MeO;R=5−Cl;R=Me;R=4−Cl;
【0069】
【化9】

【0070】
段階1.1で調製したラセミ体の4−クロロ−3−[5−クロロ−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−3−イル]−N−エチル−N−(ピリジン−3−イルメチル)ベンズアミド及びアセトブロモ−α−D−ガラクトースから、本発明の実施例3に記載の条件と類似した操作条件下で予想生成物を得る。
【0071】
MS[(+)ESI、m/z]=766(M)。
【0072】
H NMR 400MHz(CDCl):1.18(m、3H);1.77(s、3H);3.42(s、2H);3.76(s、3H);3.85(s、3H);2.86−4.3(m、6H);4.50−5.2(m、4H);5.83(m、1H);6.35−9.40(m、13H)。
【実施例6】
【0073】
4−クロロ−3−[5−クロロ−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−3−イル]−N−エチル−N−(1−オキシピリダ−3−イルメチル)ベンズアミド
【0074】
(I):R=2−MeO;R=4−MeO;R=5−Cl;R=Me;R=4−Cl;
【0075】
【化10】

【0076】
3−クロロ過安息香酸0.22gを国際公開第01/074775号の実施例201の化合物440mgに添加し(−10℃で1,2−ジメトキシエタン17mlの溶液中で)、混合物を約10℃で16時間撹拌する。媒体を炭酸水素ナトリウム水溶液に注ぎ、酢酸エチルで2回抽出する。混合有機相を硫酸ナトリウムを用いて脱水し、次いで蒸発乾固させる。残渣をシリカカラムのクロマトグラフにかけ、ジクロロメタン/メタノール99/1から96/4勾配で溶出させる。予想生成物を塩基の形で得る(白色樹脂)。
【0077】
M.p.=102℃
[α]20=+99.4°(c=1、MeOH中)。
【実施例7】
【0078】
4−クロロ−3−[5−クロロ−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−3−イル]−N−エチル−N−(1−オキシピリダ−3−イルメチル)ベンズアミド塩酸塩
【0079】
(I)・Cl:R=2−MeO;R=4−MeO;R=5−Cl;R=Me;R=4−Cl;
【0080】
【化11】

【0081】
塩酸(0.5M)のエタノール溶液1.8mlを実施例6で調製した生成物270mgに添加する。1時間撹拌後、生成物をろ過除去し、次いでエタノール3mlで洗浄し、続いて減圧乾燥させ、予想した塩を白色粉末の形で得る。
【0082】
M.p.=176℃。
【0083】
MS[(+)ESI、m/z]=620(MH)。
【0084】
H NMR 250MHz(d−DMSO):1.17(t、3H);1.75(s、3H);3.25−3.4(m、2H);3.77(s、3H);3.84(s、3H);4.60−5.1(m、4H);6.43−8.45(m、13H)。
【実施例8】
【0085】
(+)−4−クロロ−3−[5−クロロ−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−3−イル]−N−エチル−N−[3−1−オキシピリジン−4−イル)プロピル]ベンズアミド
【0086】
(I):R=2−MeO;R=4−MeO;R=5−Cl;R=Me;R=4−Cl;
【0087】
【化12】

【0088】
予想生成物を、本発明の実施例6の化合物の調製方法との類似性によって、国際公開第01/074775号の実施例204の化合物から出発して単離する。
【0089】
M.p.=95℃
[α]20=+97°(c=1、MeOH)。
【0090】
MS[(+)ESI、m/z]=648(MH)。
【0091】
H NMR 250MHz(d−DMSO):1.15(m、3H);1.74(s、3H);1.93(m、2H);2.40−2.80(m、2H);3.15−3.60(m、4H);3.77(s、3H);3.84(s、3H);4.65−5.01(m、2H);6.40−8.20(m、13H)。
【0092】
本発明による化合物は、生化学的及び薬理学的研究の対象を形成する。オキシトシン受容体に対する本発明による化合物の親和性をJ. Elands et al., Eur. J. Pharmacol.(1987), 147, pp.197−207に記載の方法によってインビトロでの結合試験で求めた。この方法は、ヒト子宮オキシトシン受容体の膜調製物中のオキシトシン受容体における放射ヨウ素標識オキシトシン類似体の置換をインビトロで試験するものである。IC50値(放射ヨウ素標識オキシトキシン(oxytoxin)類似体のその受容体への結合の50%を阻害する濃度)は低く、インビトロでの結合試験で10−10から10−6Mである。例として、実施例2の化合物は6.9nMのIC50を示す。
【0093】
本発明による化合物は、オキシトシン受容体に対して選択的である。
【0094】
ヒトバソプレッシンV1a受容体(M. Thibonnier et al., J. Biol. Chem.(1994), 269, pp.3304−3310に記載の方法)、V1b受容体(T. Sugimotoら, J. Biol. Chem.(1994), 269, pp.27088−27092に記載の方法)及びV受容体(T. Birnbaumerら, Nature (Lond.)(1992), 357, pp.333−335に記載の方法)に対するこれらの化合物の親和性も試験した。試験化合物は、V1a、V1b及びV受容体に対して殆ど又はまったく親和性を持たない。指標として、実施例7の化合物は、50nM未満のIC50を示し、濃度1μMで試験するとV1a、V1b及びV受容体に対して50%未満の阻害率である。
【0095】
化合物の作動物質又は拮抗物質としての性質は、Am. J. Physiol., 268及びHeart Circ. Physiol. (1995), 37, H404−H410に記載の一般的技術によって、ヒトオキシトシン受容体を発現する細胞に関して細胞内カルシウムを測定する試験でインビトロで求められる。
【0096】
本発明による化合物は拮抗物質として挙動し、そのIC50は有利には0.5μMから0.5nMである。例として、実施例3の化合物はIC50 3nMの拮抗物質である。
【0097】
本発明による化合物は、オキシトシン受容体の強力で選択的なリガンドであり、オキシトシン依存性障害の予防及び/又は治療に特に有利である。本発明による化合物は、オキシトシンの効力を抑制することができる。
【0098】
本発明による化合物は、治癒において、痛覚消失症及び不安緩解(とう痛及び不安の予防)、抑うつ、統合失調症、自閉症、強迫性症候群、攻撃性において、母性行動(母−子供の認識及び受容の促進)及び社会的行動、記憶、食物及び飲料摂取の調節、過食症、薬物依存症、離乳並びに性的動機づけにおいて特に有利である。本発明による化合物は、特に産科婦人科分野における泌尿生殖器領域の障害において、特に子宮弛緩剤若しくは子宮収縮抑制剤として、又は妊婦における早期若しくは成熟前分娩中の妊娠が満期になる前の子宮収縮の調整、分娩前の(prenatal labor)の調整、胎児仮死の場合の分娩時の子宮機能亢進の調整(Lurie et al., Journal of Perinal Medicine (2004), 32(2), pp.137−139)又は帝王切開のための偽性分娩(preparatory labor)の調整、不妊若しくは受胎能の問題の解決、出生の調整(特に獣医用途)、発情、母乳栄養停止、離乳若しくは胚の移植及び着床の調整、子宮内膜症、月経困難症、緊張性尿失禁、切迫尿失禁、良性前立腺肥大及び早発射精などの勃起不全、高血圧、低ナトリウム血症、心不全、アテローム性動脈硬化症若しくは血管新生の治療並びに脂肪細胞による脂肪貯蔵の調節に有利に使用することができる。
【0099】
また、黄体形成ホルモンの調整におけるオキシトシンの役割を考慮すれば(J.J. Evans, J. Endocrin.(1996), 151, pp.169−174)、本発明の化合物を使用して避妊を誘導することができる。
【0100】
また、本発明による化合物は、オキシトシン分泌腫ようにおけるその抗腫よう効果のために、特に乳癌、肺癌及び前立腺癌に使用することができる。従って、本発明による化合物は、オキシトシン受容体を過剰発現する腫ようの標識として使用することもできる(P. Cassoni, Annals of Oncology(2001), 12(2), S37−S39及びB. Chini, British J. of Cancer(2003), 89, pp.930−936)。
【0101】
オキシトシンが関与している上記症状の予防及び/又は治療並びにこれらの症状の治療用医薬品の調製への本発明による化合物の使用は、本発明の不可欠な部分を形成する。
【0102】
従って、本発明の別の主題は、本発明による少なくとも1種類の化合物と適切な賦形剤とを含む薬剤組成物である。前記賦形剤は、所望の剤形及び投与方法、すなわち、経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、局所、気管内、鼻腔内、経皮、直腸又は眼内に応じて選択される。特に、胎児仮死の場合の分娩時の子宮機能亢進などの産科婦人科の疾患の治療用の薬剤組成物の場合には静脈内投与方法を選択することができる。
【0103】
薬剤組成物は、当業者に公知の技術によって調製される。
【0104】
所望の予防又は治療効果を得るために、各単位用量は、薬剤ビヒクルと組み合わせて、活性成分0.5から1000mg、好ましくは1から500mgを含むことができる。0.5から5000mg、好ましくは1から2500mgの1日用量を投与するために、この単位用量を毎日1から5回投与することができる。
【0105】
それよりも多い又は少ない投与量が適切である特定の場合もあり得る。かかる投与量も本発明の範囲内である。通常の治療によれば、各患者に適切な投与量は、投与方法並びに前記患者の体重及び応答に応じて医師が決定する。
【0106】
本発明による化合物は、出生を調節する獣医用組成物の調製に使用することもできる。
【0107】
本発明による化合物は、化粧組成物の調製に使用することもできる。これらの製剤は、局所用クリームの形で提供することができ、脂肪分解(lypolysis)、脂肪貯蔵及び蜂か織炎を調整するように意図される。
【0108】
錠剤の固体組成物を調製するときには、主活性成分をゼラチン、デンプン、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、アラビアゴムなどの医薬品賦形剤と混合する。錠剤は、スクロース、セルロース誘導体又は他の材料で被覆することができる。錠剤は、様々な技術、すなわち、直接錠剤化、乾式造粒、湿式造粒又はホットメルトによって製造することができる。
【0109】
本発明は、その態様の別の態様によれば、本発明による化合物又は薬剤として許容されるその塩の1種類の投与を含む、上記病態の治療方法にも関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水和物又は溶媒和物の形の、塩基の形又は薬剤として許容される塩の形の式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体及びこれらの混合物。
【化1】

(式中、
− Rは水素原子、ハロゲン原子、(C−C)アルキル基又は(C−C)アルコキシ基であり、
− Rは水素原子、ハロゲン原子、(C−C)アルキル基又は(C−C)アルコキシ基であり、
− Rは水素原子、ハロゲン原子、(C−C)アルキル基又は(C−C)アルコキシ基であり、
− Rは水素原子又は(C−C)アルキル基であり、
− Rは水素原子、ハロゲン原子、(C−C)アルキル基又は(C−C)アルコキシ基であり、
− Zは、
− 酸素原子、
− ヒドロキシル、(C−C)アルコキシ、−COOR(式中、Rは水素原子又は(C−C)アルキル基である。)又は−CONRR’(式中、R及びR’は互いに独立に水素原子若しくは(C−C)アルキル基であり、又はRとR’はそれらが結合している窒素原子と一緒にピロリジニル、ピペリジニル若しくはモルホリニル基を形成する。)から選択される1個以上の基で置換されていてもよい(C−C)アルキル基、
− テトラヒドロフラニル基又はテトラヒドロピラニル基(前記基は、1個以上の(C−C)アルキル、ヒドロキシル若しくはカルボキシル基又は−CHOH基で置換されていてもよい。)であり、
− BはT−W基であり、式中、
Tは−(CH−基であり、mは0又は1であってもよく、
Wは、
− −CONR基(式中、
・ Rは水素原子又は(C−C)アルキル基であり、
・ Rは(C−C)アルキレン基である。)
− −NRCOR基である(式中、
・ Rは水素原子又は(C−C)アルキル基であり、
・ Rは−(CH−基であり、nは0から3の値をとることができる。)。)
【請求項2】
− Rが(C−C)アルコキシ基であり、
− Rが(C−C)アルコキシ基であり、
− R、R、R、Z及びBが、請求項1に定義した通りである、
水和物又は溶媒和物の形の、塩基の形又は薬剤として許容される塩の形の請求項1に記載の式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体及びこれらの混合物。
【請求項3】
− Rが水素原子、ハロゲン原子、(C−C)アルキル基又は(C−C)アルコキシ基であり、
− Rが水素原子、ハロゲン原子、(C−C)アルキル基又は(C−C)アルコキシ基であり、
− R、R、R及びBが、請求項1に定義した通りであり、
− Zが酸素原子である、
水和物又は溶媒和物の形の、塩基の形又は薬剤として許容される塩の形の請求項1に記載の式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体及びこれらの混合物。
【請求項4】
− Rが水素原子、ハロゲン原子、(C−C)アルキル基又は(C−C)アルコキシ基であり、
− Rが水素原子、ハロゲン原子、(C−C)アルキル基又は(C−C)アルコキシ基であり、
− R、R、R及びBが、請求項1に定義した通りであり、
− Zが、
− ヒドロキシル、(C−C)アルコキシ、−COOR(式中、Rは水素原子又は(C−C)アルキル基である。)又は−CONRR’(式中、R及びR’は互いに独立に水素原子若しくは(C−C)アルキル基であり、又はRとR’はそれらが結合している窒素原子と一緒にピロリジニル、ピペリジニル若しくはモルホリニル基を形成する。)から選択される1個以上の基で置換されていてもよい(C−C)アルキル基、
− テトラヒドロフラニル基又はテトラヒドロピラニル基(前記基は、1個以上の(C−C)アルキル基、ヒドロキシル若しくはカルボキシル基又は−CHOH基で置換されていてもよい。)である、
水和物又は溶媒和物の形の、塩基の形又は薬剤として許容される塩の形の請求項1に記載の式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体及びこれらの混合物。
【請求項5】
・ 3−[({4−クロロ−3−[5−クロロ−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−3−イル]ベンゾイル}(エチル)アミノ)メチル]−1−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムクロライド
・ 1−カルボキシメチル−3−[({4−クロロ−3−[5−クロロ−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−3−イル]ベンゾイル}(エチル)アミノ)メチル]ピリジニウムクロライド、
・ 1−(β−D−グルコピラヌロノシル)−3−[({4−クロロ−3−[5−クロロ−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−3−イル]ベンゾイル}(エチル)アミノ)メチル]ピリジニウムクロライド、
・ 3−[({4−クロロ−3−[5−クロロ−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−3−イル]ベンゾイル}(エチル)アミノ)メチル]−1−(D−グルコピラノシル)ピリジニウムクロライド、
・ 3−[({4−クロロ−3−[5−クロロ−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−3−イル]ベンゾイル}(エチル)アミノ)メチル]−1−(D−ガラクトピラノシル)ピリジニウムクロライド、
・ 4−クロロ−3−[5−クロロ−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−3−イル]−N−エチル−N−(1−オキシピリダ−3−イルメチル)ベンズアミド、
・ 4−クロロ−3−[5−クロロ−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−3−イル]−N−エチル−N−(1−オキシピリダ−3−イルメチル)ベンズアミド塩酸塩、
・ (+)−4−クロロ−3−[5−クロロ−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−3−イル]−N−エチル−N−[3−(1−オキシピリジン−4−イル)プロピル]ベンズアミド
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
次式(II)の化合物が過酸又は式Z−Xの化合物(式中、Zは請求項1に定義された通りであり、Xは脱離基である。)と反応することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の調製法。
【化2】

(式中、R、R、R、R、R及びBは上記の通りである。)
【請求項7】
請求項1から5のいずれか一項に記載の少なくとも1種類の式(I)の化合物を含むことを特徴とする、医薬品。
【請求項8】
請求項1から5のいずれか一項に記載の少なくとも1種類の式(I)の化合物を含むことを特徴とする、薬剤組成物。
【請求項9】
オキシトシン依存性障害の治療用及び予防用医薬品の調製における、請求項1から5のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項10】
子宮弛緩剤又は子宮収縮抑制薬の調製における、請求項1から5のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項11】
特に、治癒の促進、痛覚消失症、不安緩解、抑うつ、統合失調症、自閉症、強迫性症候群又は攻撃性の治療、母性行動及び社会的行動の改善、子供による母の認識及び受容の促進、記憶障害の治療、食物及び飲料摂取、薬物依存、離乳及び性的動機づけの調節、産科婦人科分野における泌尿生殖器領域の障害の治療、妊婦における成熟前又は早期分娩の治療、妊娠が満期になる前の子宮収縮の調整、分娩前の(prenatal labor)の調整、胎児仮死の場合の分娩時の子宮機能亢進、月経困難症の治療、帝王切開のための偽性分娩(preparatory labor)の調整、不妊又は受胎能の問題の解決、出生の調整、発情、母乳栄養停止、離乳又は胚の移植及び着床の調整、子宮内膜症、緊張性尿失禁、切迫尿失禁、良性前立腺肥大、勃起不全、早発射精、高血圧、低ナトリウム血症、心不全、アテローム性動脈硬化症又は血管新生の治療、脂肪細胞による脂肪貯蔵及び蜂か織炎(cellulitus)の調節並びに乳癌、肺癌又は前立腺癌の治療を意図した医薬品の調製における、請求項1から5のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項12】
オキシトシン受容体を過剰発現する腫ようの標識としての、請求項1から5のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。

【公表番号】特表2008−513422(P2008−513422A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531801(P2007−531801)
【出願日】平成17年9月19日(2005.9.19)
【国際出願番号】PCT/FR2005/002316
【国際公開番号】WO2006/032771
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(504456798)サノフイ−アベンテイス (433)
【Fターム(参考)】