説明

インモールドラベル容器およびその製造方法

【課題】成形加工コストが安く、また、熱湯などの高温の内容物を入れた時でも、手で持ちやすく、さらに、高い美粧性を有するインモールドラベル容器を提供する。
【解決手段】本発明は、容器の側壁となる筒状の外周壁と、該外周壁の内面に対して間隙を設けて連結された内周壁で形成された収容部とを備えた容器であって、前記外周壁の外面にラベルが一体的に形成されていることを特徴とするインモールドラベル容器およびその製造方法である。また、前記外周壁の外面に、リブ状突起が形成されていることを特徴とし、前記間隙に、前記外周壁の内面と前記内周壁の外面を連結する補強リブが形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱湯などの内容物を入れた時に、手で持ちやすく、また、美粧性を有するインモールドラベル容器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、プラスチック製の容器で、中に高温の内容物を入れた時に、手で持ちやすくした形態のものは、種々利用されている。例えば、内側容器と外側容器とを嵌合し、内側容器と外側容器との間に間隙を断熱層として設けた形態の二重容器、容器の外周に断熱性のある材料を巻き付けた形態の容器、さらに、容器の外周に縦に細かいリブ状突起を設けた形態の容器などがある。これらの容器に絵柄などの美粧性を付与するためには、二重容器、あるいは断熱性部材を巻き付けた形態の容器では、外側の部材に絵柄などの印刷を施こしている。また、リブ状突起を設けた形態の容器では、容器を成形した後に、容器のリブ状突起以外の部分に直接ドライオフセット印刷を行うか、印刷したラベルを貼る方法などを行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の別々に作成した内側容器と外側容器とを嵌合し、内側容器と外側容器との間隙を断熱層とした形態の二重容器、あるいは、容器の外周に断熱性のある材料を巻き付けた形態の容器では、容器の外周に直接印刷するか、印刷した断熱性のある材料を巻くことによって、外側に絵柄を設けているが、加工コストが高くなるという問題がある。また、容器本体の外周に細かく縦に複数のリブ状突起を設けた形態の容器では、直接印刷するためには、プラスチックの表面処理をする必要があること、印刷方法もドライオフセット、あるいはシルクスクリーン印刷などに限られ、調子のある絵柄に印刷が難しいという問題がある。さらに、直接ラベルを貼る方法は、貼付する加工工程が必要な上、ラベルの端面が露出しているため、剥がれやすく、外観上好ましくないという問題がある。
【0004】したがって、本発明は、容器の筒状の外周壁と有底のカップ形状容器とを一体として成形し、その間に断熱効果のある間隙を設けた断熱性容器であり、単一の成形品であるため、成形加工コストが安く、また、外周壁の外面の上部に複数のリブ状突起を設けたことによって、熱湯などの高温の内容物を入れた時でも、手で持ちやすく、さらに、容器の外周壁の外面に絵柄、文字などを施したラベルを容器本体と一体化して成形していることにより、高い美粧性を有するインモールドラベル容器を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための、本発明は、容器の側壁となる筒状の外周壁と、該外周壁の内面に対して間隙を設けて連結された内周壁で形成された収容部とを備えた容器であって、前記外周壁の外面にラベルが一体的に形成されていることを特徴とするインモールドラベル容器である。また、前記外周壁の外面に、リブ状突起が形成されていることを特徴とし、前記間隙に、前記外周壁の内面と前記内周壁の外面を連結する補強リブが形成されていることを特徴とする。
【0006】また、上記のインモールドラベル容器を製造する方法であって、容器成形用金型のキャビティの内面にラベルを載置し、前記キャビティに熱可塑性樹脂を射出して、少なくとも前記外周壁と前記収容部とを備えた容器を一体的に成形すると共に、その成形と同時に前記外周壁の外面にラベルを一体的に形成することを特徴とするインモールドラベル容器の製造方法である。
【0007】また、容器成形用金型のキャビティの内面にラベルを載置し、前記キャビティに熱可塑性樹脂を射出して、少なくとも前記外周壁と前記外周壁の内面同志を連結した連結部分とを一体的に成形すると共に、その成形と同時に前記外周壁の外面にラベルを一体的に形成し、その後、前記連結部分をブロー成形して、前記収容部に成形することを特徴とするインモールドラベル容器の製造方法である。
【0008】この発明によれば、容器の側壁となる筒状の外周壁と、該外周壁の内面に対して間隙を設けて連結された内周壁で形成された収容部とを一体として成形し、その間に断熱効果のある間隙を設けた断熱性を有する容器であり、単一の成形品であるため、成形加工コストが安く、また、外周壁の外面の上部に複数のリブ状突起を設けたことによって、熱湯などの高温の内容物を入れた時でも、手で持ちやすく、さらに、容器の外周壁の外面に絵柄、文字などを施したラベルを容器本体と一体化して成形していることにより、外観において美粧性の高いインモールドラベル容器を得ることができる。
【0009】また、絵柄、文字など施してあるラベルを外周壁の外面のリブ状突起とリブ状突起の間の部分、あるいはリブ状突起の外側を含む部分にも施すことができることによって、外周壁の外面での絵柄の選択の幅が広がり、さらに外観の美粧性の高いインモールドラベル容器を得ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態について、図面を基に説明する。なお、説明を簡単にするため、各図の対応する部位には同じ符号を付してある。
【0011】図1は、本発明のインモールドラベル容器の第一の実施の形態を示す一実施例の斜視図およびその断面図である。図に示すように、インモールドラベル容器Aは、外周壁1とカップ形状の収容部2とを連結部3で連結した円形のカップ形状のプラスチック容器であり、外周壁1の上端にフランジ4を有し、そして、外周壁1の外面5の少なくとも一部にラベル6を一体化して設けている。この外周壁1の内面における連結部3において、外周壁1と収容部2とが連結しており、その位置は、外周壁1の上端に近い方が、外周壁1と収容部2との間隙の部分が広くなり、好ましい。本発明のインモールドラベル容器Aの形状は、角形のカップ形状であってもよい。このインモールドラベル容器Aの外周壁1の収容部2と連結部3より下の部分を手に持って使用することによって、この容器の中に熱湯などの熱い内容物を入れた場合でも、熱さを感じにくく、持つことができる。
【0012】図2は、本発明のインモールドラベル容器の第二の実施の形態を示す一実施例の斜視図およびその断面図である。図に示すように、インモールドラベル容器Bは、インモールドラベル容器A同様に、外周壁1と収容部2とを連結部3で連結した円形のカップ形状のプラスチック容器であり、外周壁1の上端にフランジ4を有し、そして、外周壁1の外面5にラベル6を一体化して設けている。さらに、外周壁1の外面5の少なくとも一部にリブ状突起7を設けている。この外周壁1の内面における連結部3において、外周壁1と収容部2とを連結しており、その位置は、外周壁1の上端に近い方が、外周壁1と収容部2との間隙の部分が広くなり、好ましいが、外周壁1の収容部2と連結部3より上の部分、つまり外周壁1と収容部2との間隙ない外周壁1だけの部分がある場合でも、この部分の一部あるいは全部分にリブ状突起7を設けることによって、この容器の中に熱湯などの熱い内容物を入れた場合でも、このリブ状突起7の部分を手に持って使用することによって、この容器の中に熱湯などの熱い内容物を入れた場合でも、熱さを感じにくく、持つことができる。
【0013】このリブ状突起7の形状は、直線状、波線状、ジグザグ状などいずれの形状でもよい。また、方向も、上下方向、左右方向、斜め方向などいずれの方向であってもよいが、製造上は上下方向が好ましい。リブ状突起7の間隔は、指が直接外周壁1の外面5の部分に触れないように、間隔を適度に細かく設定することが好ましい。
【0014】図3は、本発明のインモールドラベル容器のリブ状突起の位置について示す斜視図であり、このリブ状突起7を設ける全体的な位置については、手の指で持つことができる形状であればよく、特に限定されるものではない。図3−aに示すように、外周壁1の外面5の全面に設ける形状、図3−bに示すように、外面5の上部に設ける形状、図3−cに示すように、縦状に一部に設ける形状などとすることができる。上部に設けた場合、上部からの長さは、指で持てる範囲の幅であればよく、15〜50mmの範囲が好ましい。また、下端あるいは上端を直線状に揃える必要はなく、図3−dに示すように、波線状などにしてもよい。
【0015】図4は、本発明のインモールドラベル容器のリブ状突起の横断面の形状について示す概略断面図であり、このリブ状突起7の横断面の形状については、図4R>4−aに示すようなリブ状突起7の側面が外周壁1の外面5から略90度の鋭利な角度で立ち上っている角形状と、図4−bに示すようなリブ状突起7と外周壁1の外面5とが鋭利な角を持たない波形状とがある。
【0016】本発明のインモールドラベル容器は、金型内に予め表面に絵柄、文字など施して美粧性を持たせたラベル6をセットし、射出成形と同時にこのラベル6と容器本体1とを一体化する、いわゆるインモールドラベル成形で作成される。
【0017】図5は、本発明のインモールドラベル容器の外周壁1の外面5に設けたラベル6とリブ状突起7との位置関係を示す図である。ラベル6の形状および位置は、外周壁1に設けることで、特に限定されるものではない。ラベル6とリブ状突起7との位置関係としては、ラベル6を設ける位置が、図5−aに示すように、リブ状突起7以外の位置でリブ状突起7とリブ状突起7の間を含む外面5の位置に設ける形状、図5−bに示すように、リブ状突起7の外面を含む外面5の位置に設ける形状、図5−cに示すように、リブ状突起7以外の位置でリブ状突起7とリブ状突起7の間を含まない外面5の位置に設ける形状、図5−dに示すように、リブ状突起7以外の位置でリブ状突起7とリブ状突起7の間を含まない外面5の一部に設ける形状とがある。
【0018】図6は、本発明のインモールドラベル容器の第三の実施の形態を示す一実施例の斜視図およびその断面図である。図に示すように、インモールドラベル容器Cは、インモールドラベル容器A、Bと同様に、外周壁1と収容部2とを連結部3で連結した円形のカップ形状のプラスチック容器であり、外周壁1の上端にフランジ4を有し、そして、外周壁1の外面5にラベル6を一体化して設けている。このインモールドラベル容器Cでは、外周壁1の内面における連結部3において、外周壁1と収容部2とを連結し、その外周壁1と収容部2との間隙に複数の補強リブ8を設けている。この補強リブ8により、外周壁1と収容部2との間が固定され、容器として強度があるインモールドラベル容器となっている。
【0019】容器本体1に使用する樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリルニトリルブタジエンスチレン(ABS)などの単一あるいは複合した樹脂があげられる。
【0020】本発明に用いられるラベル6の構成としては、印刷基材層の一層の場合、印刷基材層と接着層とからなる二層の場合、印刷基材層とガスバリアー層と射出樹脂との接着層とから成る三層の場合、さらに、ガスバリアー層を多層にした四層以上の場合がある。
【0021】印刷基材層としては、合成紙あるいはプラスチックフィルムを使用することができる。一般に印刷可能なものであれば特に限定されず、例えば、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ナイロンフィルム等が適宜使用できる。
【0022】多層にする場合には、一般に、印刷基材層、ガスバリアー層、射出樹脂との接着層から成る構成が基本であり、これら各層は、それぞれ独立して製膜し接着剤を介して貼合(ドライラミネーション)するか、または、その一部もしくは全層を溶融押出(EC、共押出)することで形成することもできる。
【0023】ガスバリアー層としては、例えば、(a)アルミ箔(7〜25μm)、(b)金属又は金属酸化物を蒸着等でプラスチックフィルム等に積層したもの、例えば、酸化珪素蒸着プラスチックフィルム、酸化アルミ蒸着プラスチックフィルム、アルミ蒸着プラスチックフィルム、(c)その他、ポリアクリロニトリル系樹脂、EVOH(エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)フィルム、PVDCコート二軸延伸プラスチックフィルム等が挙げられ、所望の性能に応じて適宜選択され得る。
【0024】接着層としては、射出樹脂と接着するものであれば特に限定されないが、通常、射出樹脂と同材質のプラスチックや、EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合体)を含有するポリエチレン等接着性を有する樹脂、又はそれら樹脂が共押し出し加工、あるいは、コーティング加工されたプラスチックフィルム等が好適に使用できる。
【0025】なお、上記各層は常法に従い、ドライラミネーション法、押出ラミネーション法、押出コーティング法その他のコーティング法によって形成される。
【0026】次に、本発明のインモールドラベル容器の成形の製造方法について説明する。
【0027】図7は、射出成形用の金型10の部分を示す概略断面図であり、図において、キャビティ11は、外周壁1の形状に対応した凹部を有しており、この凹部の底部の中心の位置に、ゲート部13を設けている。キャビティ11に対応するコア12は、凸部を有し、可動である。また、キャビティ11にはラベル6の真空吸引孔としてバキュームスリット14を設けることもできる。
【0028】次に、図8によって、本発明のインモールドラベル容器の射出成形だけによる製造方法を説明する。
【0029】まず、金型10を開き、予めラベル6を巻き付けた疑似コア15をキャビティ11、コア12の間に挿入し(a)、インモールドラベル容器Aを取り出す(b)。次に、予めラベル6が巻き付けられた疑似コア15をキャビティ11に装填する(c)。次いで、疑似コア15がキャビティ11の間から離脱し(d)、コア12が移動し、金型10が閉まる(e)。その際、コア12がラベル6を押し込みラベル6が所定の位置に装填される。さらに、射出成形機から溶融した樹脂を射出する。射出された樹脂は、ゲート部13から金型10内、つまりキャビティ11とコア12との間を流動し、外周壁1とラベル6とを一体化し、成形される(f)。最後に、金型10を開いて、成形されたインモールドラベル容器を取り出す。
【0030】次に、本発明のインモールドラベル容器の射出成形にブロー成形あるいは延伸ブロー成形を加えた製造方法を説明する。
【0031】まず、射出成形によって、図9に示すように、外周壁1と外周壁1の内面同志を連結した連結部分9Aとを一体的に成形して一次成形品9を成形する。この成形において、上記の製造方法と同様に、外周壁1とラベル6とを一体化する。次に、一次成形品9の外周壁1と外周壁1の内面同志を連結した連結部分9Aを、ブロー成形あるいは延伸ブロー成形でカップ形状の収容部2と連結部3とに成形し、外周壁1および有底の収容部2とが一体となった断熱容器を形成する。
【0032】
【実施例】以下、本発明の実施例について具体的に説明する。
【0033】〔実施例1〕本発明の第1の実施例は、円形状の外周壁と収容部とが連結された形態である。射出樹脂の材料としてポリプロピレン樹脂(商品名:ブロックポリマーBJ4H−1440株式会社グランドポリマー製)を用いた。
【0034】ラベルは、図1に示すように、外周壁の外面にラベルを一体として設けている。ラベルの材料構成は、ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)/アルミ箔(15μm)/ポリプロピレンフィルム(60μm)の3層が順に積層されたフィルムを用いた。このラベルは、最外層である、PETフィルムに文字、絵柄等を印刷した後、接着剤を用いてバリアー層であるアルミ箔をラミネートした後、最内層であるポリプロピレンフィルムを接着剤を用いてラミネートした3層フィルムで形成され、この積層フィルムを所定の形状(外周壁の外面に対応する形状)に打ち抜いてラベルを作成した。
【0035】次いで、図8に示すように、このラベルを疑似コアを使用してキャビティの側面に配置し、コアを上方から押し込んだ後、ゲート部を通じて樹脂をキャビティに注入しインモールドラベル容器の射出成形を行った。
【0036】得られた図1に示すようなインモールドラベル容器は、外周壁の外面に美麗で鮮明な絵柄、文字を施してあるラベルが一体化された美粧性のあるインモールドラベル容器を得ることができた。同時に、外周壁と収容部との間に間隙があることから、熱湯などの熱い内容物であっても、外周壁を持つことができた。
【0037】〔実施例2〕本発明の第2の実施例は、円筒状の外周壁と収容部とが連結された形態であり、図4−aに示すような横断面の形状が、リブ状突起の側面が外周壁の外面から略90度の鋭利な角度で立ち上っているリブ状突起を、図3−bに示すように、外面の外周上部に設けた。射出樹脂の材料としてポリプロピレン樹脂(商品名:ブロックポリマーBJ4H−1440 株式会社グランドポリマー製)を用いた。
【0038】ラベルはリブ状突起の部分を含まないが、リブ状突起とリブ状突起との間を含む外面全周で外周壁と一体化する形状とした。ラベルの材料として、厚さ75μmの合成紙(商品名:ユポ 王子油化合成紙株式会社製)を用いた。この合成紙の表面に絵柄、文字などの印刷をした後、裏面に接着剤をコーティングし、所定の形状(外周壁の外面全体に対応する扇形)に打ち抜いて、ラベルを作成した。
【0039】次いで、図8に示すように、このラベルをキャビティの側面に配置し、コアを上方から押し込んだ後、ゲート部を通じて樹脂をキャビティに注入し、型10内を樹脂が流動し、成形時の型内のリブ状突起を成形する部分に流れ込むことにより、ラベルを切断し、外周壁のリブ状突起の間の表面にラベルが一体化して成形されるが、リブ状突起の前面にはラベルが形成されない形態のインモールドラベル容器の射出成形を行った。
【0040】この実施例2では、リブ状突起の横断面の形状が、図4−aに示すように、リブ状突起7の外面5が外周壁1の外面5から略90度の鋭利な角度で立ち上っていることを特徴としていることから、ラベル6を型10内の側面に装填し、ゲート部13から樹脂を射出し、型10内を流動し、成形時の型10内のリブ状突起5を成形する部分に流れ込むことにより、ラベル6を切断し、外周壁1のリブ状突起7の間の表面にラベル6が一体化して成形されるが、リブ状突起7の前面にはラベル6が形成されていない。
【0041】得られた図2に示すようなインモールドラベル容器Bは、円形状の外周壁のリブ状突起とリブ状突起との間を含むがリブ状突起の部分を含まない外面全周に美麗で鮮明な絵柄、文字を施してあるラベルが一体化された美粧性のあるインモールドラベル容器を得ることができた。同時に、外周壁の外面にリブ状突起を設けてあるため、熱湯などの熱い内容物であっても持つことができた。
【0042】〔実施例3〕本発明の第3の実施例は、円筒状の外周壁と収容部とが連結された形態であり、その外周壁1と収容部2との間隙に複数の補強リブ8を設けた。図4−bに示すような横断面の形状が、鋭利な角を持たない波形状であるリブ状突起を、図3−bに示すように、外面の外周上部に設けた。射出樹脂の材料としてポリプロピレン樹脂(商品名:ブロックポリマーBJ4H−1440 株式会社グランドポリマー製)を用いた。
【0043】ラベルはリブ状突起の部分を含む外面全周で外周壁と一体化する形状とした。ラベルの材料構成はポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)/アルミ箔(15μm)/ポリプロピレンフィルム(60μm)の3層が順に積層されたフィルムを用いた。このラベルは、最外層である、PETフィルムに文字、絵柄等を印刷した後、接着剤を用いてバリアー層であるアルミ箔をラミネートした後、最内層であるポリプロピレンフィルムを接着剤を用いてラミネートした3層フィルムで形成され、この積層フィルムを所定の形状(外周壁の外面全体に対応する扇形)に打ち抜いてラベルを作成した。
【0044】次いで、図8に示すように、このラベルをキャビティの側面に配置し、コアを上方から押し込んだ後、ゲート部を通じて樹脂をキャビティに注入することによって、ラベルが伸ばされ、外周壁の外面のリブ状突起とリブ状突起の間だけではなく、リブ状突起にも一体化するインモールドラベル容器の射出成形を行った。
【0045】この実施例3では、リブ状突起7の横断面の形状が、図4−bに示すように、鋭利な角を持たない波形状であることを特徴としていることから、ラベル6を型10内の側面に装填し、成形時の型10内のリブ状突起7を成形する部分において、樹脂を流し込むことにより、ラベル6が伸ばされ、外周壁1の外面5のリブ状突起7とリブ状突起7の間だけではなく、リブ状突起7の表面にも一体化して成形された。
【0046】得られた図6に示すようなインモールドラベル容器Cは、円筒状の外周壁のリブ状突起を含んだ外面全体に美麗で鮮明な絵柄、文字を施してあるラベルが一体化された美粧性のあるインモールドラベル容器を得ることができた。同時に、外周壁の外周にリブ状突起を設けてあるため、熱湯などの熱い内容物であっても持つことができた。また、ラベルを構成するガスバリアー層にアルミ箔を使用しているため、酸素バリアー性に優れているインモールドラベル容器を得ることができた。
【0047】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明のインモールドラベル容器によれば、容器の筒状の外周壁と有底の収容部とを一体として成形し、その間に断熱効果のある間隙を設けた断熱性容器であり、単一の成形品であるため、成形加工コストが安く、また、外周壁の外面の上部に複数のリブ状突起を設けたことによって、熱湯などの高温の内容物を入れた時でも、外周壁の外面を手で持つことができ、さらに、外面に絵柄、文字など施して美粧性を持たせたラベルと外周壁が一体化されて形成されているインモールドラベル容器をを得ることができる。また、ラベルにバリア性を有する基材を用いることによって、バリア性に優れているインモールドラベル容器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインモールドラベル容器の第一の実施の形態を示す一実施例の斜視図および概略断面図である。
【図2】本発明のインモールドラベル容器の第二の実施の形態を示す一実施例の斜視図および概略断面図である。
【図3】本発明のインモールドラベル容器のリブ状突起の位置について示す斜視図である。
【図4】本発明のインモールドラベル容器のリブ状突起の横断面の形状について示す概略断面図である。
【図5】本発明のインモールドラベル容器のリブ状突起とラベルとの位置関係を示す斜視図である。
【図6】本発明のインモールドラベル容器の補強リブについて示す斜視図および概略断面図である。
【図7】本発明のインモールドラベル容器を製造する射出成形用の金型部分を示す概略断面図である。
【図8】本発明のインモールドラベル容器を製造する成形工程を説明する射出成形用の金型部分を示す概略断面図である。
【図9】本発明のインモールドラベル容器を製造する射出成形で成形した一次成形品の概略断面図である。
【符号の説明】
A 本発明のインモールドラベル容器(第一の実施の形態)
B 本発明のインモールドラベル容器(第二の実施の形態)
C 本発明のインモールドラベル容器(第三の実施の形態)
1 外周壁
2 収容部
3 連結部
4 フランジ
5 外面
6 ラベル
7 リブ状突起
8 補強リブ
9 一次成形品
9A 連結部分
10 金型
11 キャビティ
12 コア
13 ゲート部
14 バキュームスリット
15 疑似コア

【特許請求の範囲】
【請求項1】容器の側壁となる筒状の外周壁と、該外周壁の内面に対して間隙を設けて連結された内周壁で形成された収容部とを備えた容器であって、前記外周壁の外面にラベルが一体的に形成されていることを特徴とするインモールドラベル容器。
【請求項2】前記外周壁の外面に、リブ状突起が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインモールドラベル容器。
【請求項3】前記間隙に、前記外周壁の内面と前記内周壁の外面を連結する補強リブが形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のインモールドラベル容器。
【請求項4】請求項1乃至3のいずれかに記載のインモールドラベル容器を製造する方法であって、容器成形用金型のキャビティの内面にラベルを載置し、前記キャビティに熱可塑性樹脂を射出して、少なくとも前記外周壁と前記収容部とを備えた容器を一体的に成形すると共に、その成形と同時に前記外周壁の外面にラベルを一体的に形成することを特徴とするインモールドラベル容器の製造方法。
【請求項5】請求項1乃至3のいずれかに記載のインモールドラベル容器を製造する方法であって、容器成形用金型のキャビティの内面にラベルを載置し、前記キャビティに熱可塑性樹脂を射出して、少なくとも前記外周壁と前記外周壁の内面同志を連結した連結部分とを一体的に成形すると共に、その成形と同時に前記外周壁の外面にラベルを一体的に形成し、その後、前記連結部分をブロー成形して、前記収容部に成形することを特徴とするインモールドラベル容器の製造方法。

【図9】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図7】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【公開番号】特開2000−335543(P2000−335543A)
【公開日】平成12年12月5日(2000.12.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−147591
【出願日】平成11年5月27日(1999.5.27)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】