説明

ウエハ加工用粘着テープ及びその製造方法並びに使用方法

【課題】 ウエハをチップに切断加工する際に、欠けや亀裂の大きさを極小化し、その発生も抑制できるウエハ加工用粘着テープを提供する。また、環境に優しい該粘着テープの製造方法を提供する。さらには、ウエハ加工用粘着テープの性能を最大限に発揮できる使用方法を提供する。
【解決手段】 基材層の片面にプロピレン、1−ブテン及び炭素原子数5〜12のα−オレフィンを単位成分とするα−オレフィン共重合体1種または2種以上の混合物を30重量%で含有する粘着層を有する粘着テープであって、該粘着層の15〜35℃における貯蔵弾性率G'が1MPa以上であり、損失弾性率G''の貯蔵弾性率G'に対する比であるtanδが、0.05以上であることを特徴とするウエハ加工用粘着テープ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハ加工用粘着テープ及びその製造方法並びに使用方法に関し、より詳細には、主に半導体製造工程において、ウエハをチップに切断加工する際ウエハを固定保持するために用いるウエハ加工用粘着テープ及びその製造方法並びに使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン、ガリウムヒ素、ゲルマニウムケイ素などの半導体ウエハは、大きな径を有するウエハの状態で回路パターンを形成した後、ウエハの裏面を研削して、このウエハをチップに切断加工する(ダイシング)工程を経て、マウント工程に移され実装される。このダンシング工程においては、半導体ウエハを固定保持するためにウエハ加工用粘着テープが用いられている。
【0003】
このウエハ加工用粘着テープには、感圧型の粘着テープのほか、粘着力を制御する紫外線硬化型または電子線硬化型の粘着テープが使用されているが、何れの場合にも、ウエハをチップに切断加工する際に、欠けや亀裂が発生するという問題がある。
【0004】
この感圧型や紫外線または電子線硬化型の粘着剤を有するウエハ加工用粘着テープでは、ウエハを加工したのちチップをウエハ加工用粘着テープから剥離した時に、粘着剤或いは基材の切削屑がチップ表面に付着することがある。その切削屑は、チップの回路部分を腐食したり、チップと樹脂モールドとの密着性を悪化させ、チップの不良原因とになり得る場合がある。
【0005】
また、感圧型や紫外線または電子線硬化型の粘着剤を有するウエハ加工用粘着テープは、製造時の加工安定性や長期保存安定性に劣るため、管理された製造環境や、輸送および保管環境を必要とし、使用可能期間が短いという問題がある。また、このタイプのウエハ加工用粘着テープでは、製造条件或いは保存条件等の何らかの変動要因により粘着層の劣化が進行すると、ウエハ加工用粘着テープを原因とするチップの不良品が大量に発生することがあった。
【0006】
さらに、感圧型や紫外線または電子線硬化型の粘着剤を有するテープの製造法は、基材層用のフィルムを製造した後に表面処理を施し、溶剤に溶解した粘着層用の組成物を塗布し、溶剤を乾燥する方法が一般的である。この方法では、塗布する際に有機溶剤を使う点や、溶剤の乾燥工程等に、より多くのエネルギーを使用する点で環境に負荷が大きい上、高コストとなる。
【0007】
一方、切断加工時の欠けや亀裂の発生を防ぐ方法として、ウエハをワックスで固定してチップに切断加工する方法が知られているが、生産性が非常に低いため、脆いウエハや高精度の加工面を要求される場合を除いて、一般に半導体製造工程で回路パターンを形成したウエハの加工には使われていない。
【0008】
欠けや亀裂の拡大によるチップの損壊を防ぐための方法として、特開平5−335411号公報には、ウエハの表面側から所定深さの溝を形成した後、これを裏面側から研削する半導体チップの製造方法が開示されている。特開2000−68237号公報には、回路パターンを形成されたウエハ表面からそのウエハ厚さよりも浅い切れ込み深さの溝を形成した後、ウエハ裏面を研削してチップに分割加工する際に用いられる表面保護シートに、40℃における弾性率が1.0×105Pa以上である粘着層を有するものを用いることが開示されている。しかし、研削時に発生すると考えられるチップの欠けや亀裂の大きさは明示されていない。
【0009】
特開平10−242086号公報には、0〜10℃の範囲における貯蔵弾性率が3×106〜1×1010dye/cm2である粘着層を持つ保持シートが開示されている。しかし、ダイシング加工時、チップに発生した欠けまたは亀裂の大きさを75μm以下で合格とする非常に緩やかな評価条件で、欠けや亀裂の抑制効果を判断しているにすぎない。
このように、ウエハ加工時に発生する欠けや亀裂の大きさを、ワックスによる固定法と同程度に極小化できるウエハ加工用粘着テープは得られていなかった。
【0010】
特公平3−39524号公報には、25℃で測定した動的弾性率E'が3×107〜5×109dye/cm2の範囲にあり、かつ損失係数tanδが0.4以上である特定のα−オレフィン系共重合体が開示され、この共重合体を金属と積層すると制振性能を示すことが開示されていが、ウエハ加工用粘着テープとしての具体的な用途記載はない。
【0011】
さらに、特開平7−233354号公報、特開平10−298514号公報、特開平11−43655号公報、特開平11−21519号公報、特開平11−106716号公報には、いずれも粘着層に特定のα−オレフィン共重合体を含む表面保護フィルムが開示されている。しかし、性能要求の厳しいウエハ加工用粘着テープに関する記載はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平5−335411号公報
【特許文献2】特開2000−68237号公報
【特許文献3】特開平10−242086号公報
【特許文献4】特公平3−39524号公報
【特許文献5】特開平7−233354号公報
【特許文献6】特開平10−298514号公報
【特許文献7】特開平11−43655号公報
【特許文献8】特開平11−21519号公報
【特許文献9】特開平11−106716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、ウエハをチップに切断加工する際に、欠けや亀裂の大きさを極小化し、その発生も抑制できるウエハ加工用粘着テープを提供することにある。さらには、特別な装置を用いることなくウエハを加工してもチップへの汚染を少なくでき、長期保存安定性に優れ、環境への負荷が少ない材料からなるウエハ加工用粘着テープを提供することにある。
【0014】
また、本発明の目的は、安定な品質が得られ、製造工程において発生する有害物質や廃棄物、或いはエネルギー等を最小限にできる環境に優しいウエハ加工用粘着テープの製造方法を提供することにある。
【0015】
また、本発明の目的は、ウエハ加工用粘着テープの性能を最大限に発揮できる使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ウエハを加工する温度域において特定の弾性率を有する粘着層、或いはさらにその温度域において特定のtanδを有する粘着層を介してウエハを粘着テープに貼着し固定保持することにより、ウエハ加工する際に発生する内部応力や振動を大幅に低減できることを見出し、また、その様な特定の粘着テープを用いることにより、チップの欠けや亀裂の大きさを、従来のウエハ加工用粘着テープでは達成し得なかったレベルまで小さくできることを見出して本発明に至った。
【0017】
即ち、本発明においては、基材層の片面に粘着層を有する粘着テープであって、該テープの粘着層に貼着されたシリコンウエハを、ダイサーによりダイシング速度70mm/minでフルカットしてチップに切断加工するとき、チップの欠けまたは亀裂の最大長さが30μm以下であることを特徴とするウエハ加工用粘着テープが提供される。
【0018】
本発明に係るウエハ加工用粘着テープの好適な態様においては、前記チップの欠けまたは亀裂の最大長さが、好ましくは10μm以下である。
【0019】
また、本発明においては、基材層の片面に粘着層を有する粘着テープであって、該粘着層の15〜35℃における貯蔵弾性率G'が1MPa以上であることを特徴とするウエハ加工用粘着テープが提供される。
【0020】
本発明に係るウエハ加工用粘着テープの好適な態様においては、さらに、前記粘着層の15〜35℃における、損失弾性率G"の貯蔵弾性率G'に対する比であるtanδが0.05以上であることが好ましい。
【0021】
本発明においては、前記した粘着層が、オレフィン系重合体を主成分として含有するものであることが好ましい。
【0022】
また、前記粘着層が、プロピレン、1−ブテン及び炭素原子数5〜12のα−オレフィンを単位成分とするα−オレフィン共重合体1種または2種以上の混合物を30重量%で含有するものであることが好ましい。
【0023】
また、前記粘着層が、前記α−オレフィン共重合体と、熱可塑性エラストマーと、エチレンと他のα−オレフィンとのコオリゴマーとからなり、α−オレフィン共重合体が連続相を形成し、熱可塑性エラストマーが分散相を形成しているものであることが好ましい。
【0024】
前記熱可塑性エラストマーは、一般式A−B−AまたはA−B(Aは芳香族ビニル重合体ブロックまたは結晶性を示すオレフィン重合体ブロックを示し、Bはジエン重合体ブロック、またはこれを水素添加してなるオレフィン重合体ブロックを示す)で表されるブロック共重合体であることが好ましい。
【0025】
また、前記α−オレフィン共重合体は、プロピレン、1−ブテン及び炭素原子数が5〜12のα−オレフィンを共重合してなるα−オレフィン共重合体であることが好ましい。
【0026】
前記炭素原子数5〜12のα−オレフィンは、4−メチル−1−ペンテンであることが好ましい。
【0027】
本発明においては、前記した基材層が、1層または複数の層からなり、オレフィン系共重合体を主成分として含有するものであることが好ましい。
【0028】
また、前記基材層が、表面層と中間層とからなり、表面層、中間層、粘着層の順に3層積層されてなるウエハ加工用粘着テープであることが好ましい。
【0029】
また、前記中間層が、オレフィン系重合体と熱可塑性エラストマーとからなり、オレフィン系重合体が連続相を形成し、熱可塑性エラストマーが分散相を形成しているものであることが好ましい。
【0030】
また、前記中間層が複数の層からなり、そのうちの少なくとも1層が、オレフィン系重合体と熱可塑性エラストマーとからなり、オレフィン系重合体が連続相を形成し、熱可塑性エラストマーが分散相を形成しているものであることが好ましい。
【0031】
前記熱可塑性エラストマーは、一般式A−B−AまたはA−B(Aは芳香族ビニル重合体ブロックまたは結晶性を示すオレフィン重合体ブロックを示し、Bはジエン重合体ブロック、またはこれを水素添加してなるオレフィン重合体ブロックを示す)で表されるブロック共重合体であることが好ましい。
【0032】
前記表面層が、オレフィン系重合体を主成分として含有するものであることが好ましい。
【0033】
また、本発明に係るウエハ加工用粘着テープにおいては、20〜80℃の温度範囲において、JIS Z0237(参考)に準拠して測定されるプローブタック力が、0.01〜1N/5mmφの範囲にあるものが好ましい。
【0034】
また、本発明に係るウエハ加工用粘着テープでは、共押出成形法によって成形されてなるものが好ましい。
【0035】
本発明によれば、1層または複数の層からなる基材層と、該基材層の片面に積層される粘着層とを有する粘着テープの製造方法であって、基材層及び粘着層を構成する重合体のメルトフローレート(MFR、ASTM D1238に準拠し温度230℃荷重2.16kgによる測定値)が5〜40g/10分、かつ隣合う層でのMFR差が10g/10分以下であり、溶融温度が200〜260℃で、かつ隣合う層の溶融温度差が30℃以下になるようにして多層ダイを用い共押出成形法により成形することを特徴とする前記したウエハ加工用粘着テープの製造方法が提供される。
【0036】
また、本発明によれば、前記したウエハ加工用粘着テープとウエハとを20〜80℃で圧着したのち、15〜35℃でウエハをチップに切断加工し、次いで該粘着テープを40〜80℃で拡張し、その後、室温でチップをピックアップして粘着テープから剥離することを特徴とするウエハ加工用粘着テープの使用方法が提供される。
【0037】
本発明に係るウエハ加工用粘着テープの使用方法においては、前記ウエハが、表面に回路パターンが形成された半導体ウエハであり、前記切断加工がダイシングであることが好ましい。
【発明の効果】
【0038】
本発明のウエハ加工用粘着テープは、ウエハのダイシングによる切断加工時に、ウエハの欠けや亀裂の大きさを30μm以下に小さくし、その発生率も極小化させることができるので、加工時のチップ不良発生を画期的に防止することができる。また、低プローブタック力でウエハを固定保持することができるため、光や電子線硬化装置等の特別な装置を用いることなく切断加工ができる。
本発明の製造方法によれば、異なる材料で構成される各層の厚み均一性と表面性が良好で、異物の発生が無い多層構造の本発明の粘着テープを、簡単な製造工程で生産性良く製造できる。
本発明のウエハ加工用粘着テープの使用方法によれば、粘着力を低下させる特別な装置を使わずにチップを本発明の粘着テープから剥離ができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明のウエハ加工用粘着テープの一実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明のウエハ加工用粘着テープの別の実施形態を示す断面図である。
【図3】本発明のウエハ加工用粘着テープの他の実施形態を示す断面図である。
【図4】本発明のウエハ加工用粘着テープの他の実施形態を示す断面図である。
【図5】本発明のウエハ加工用粘着テープの他の実施形態を示す断面図である。
【図6】本発明のウエハ加工用粘着テープの他の実施形態を示す断面図である。
【図7】本発明のウエハ加工用粘着テープをロール状に巻き取った状態を示す側面図である。
【図8】本発明のウエハ加工用粘着テープをロール状に巻き取った状態を示す別の側面図である。
【図9】チップ上面の垂直方向から見た模式図である。
【図10】チップのコーナー部に発生した欠け或いは亀裂についてチップ上面の垂直方向から見た模式図である。
【図11】チップのコーナー部に発生した欠け或いは亀裂についてチップ上面の垂直方向から見た別の模式図である。
【図12】粘着層の貯蔵弾性率G'、損失弾性率G"、tanδの測定結果を示す図である。
【図13】粘着層の流れ方向に垂直な電子顕微鏡断面写真である。
【図14】粘着層の流れ方向に平行な電子顕微鏡断面写真である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明のウエハ加工用粘着テープ(以下「本発明の粘着テープ」という)及びその製造方法(以下「本発明の製造方法」という)並びにその使用方法(以下「本発明の使用方法」という)について、添付図面を参照して具体的に説明する。
なお、全図において同一又は相当部分については、同一の符号を付すこととする。
【0041】
図1は、本発明の粘着テープの一実施形態を示す断面図である。同図に示されるように、本発明の粘着テープ10は、基材層1と、基材層1の片面に積層された粘着層2とからなる。
【0042】
基材層1の構成成分は、特に限定されず、種々の薄層品、例えば、合成樹脂、紙、金属、天然樹脂などを用いることができる。中でも、本発明においては、耐水性、耐熱性、廃棄処理性等から、非ハロゲン系合成樹脂を主成分とするものが好ましく、具体例としては、オレフィン系重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリウレタンなどが挙げられる。特に、オレフィン系重合体、ポリエステル、ポリエーテルなどの様に、例えば、使用後に焼却処理する場合に硫黄酸化物、窒素酸化物或いはダイオキシンに代表されるハロゲン化合物等の有毒ガスが発生しない炭素、水素、酸素からなる合成樹脂、即ち、環境に対して負荷が少ない合成樹脂が好ましい。
【0043】
基材層1としては、ウエハを固定保持する強さ、チップに切断加工後の拡張性、そのものの生産性、保存安定性等の要求に対して、多種多様な特性を持ち、他材料と複合化により機能を付与することができる点、環境に優しい点、複数の層からなる場合に相互に強固な接着を形成し易い点から、その構成成分としては、とりわけ、オレフィン系重合体を主成分とするものが好ましい。
【0044】
オレフィン系重合体としては、具体的には、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、また、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィン、スチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、アイオノマー等の各種ビニル化合物との共重合体等のエチレン系重合体が挙げられ、さらに、プロピレン単独の重合体、ブロック型のプロピレン・エチレン共重合体、ランダム型のプロピレン・エチレン共重合体、ブロック型のプロピレン・エチレン・ブチレン共重合体、ランダム型のプロピレン・エチレン・ブチレン共重合体、超高分子量ポリプロピレン等のプロピレン系重合体が挙げられ、さらにまた、ポリブテン、ポリメチルペンテン、超高分子量ポリブテン、超高分子量ポリメチルペンテン等炭素数4以上のα−オレフィン重合体を挙げることができる。
本発明において主成分とは、それ以外の含まれている構成成分に比べて、相対的に最も大きな割合で含まれる構成成分を言う。
【0045】
基材層が2層以上の複数層から構成される場合には、各層にウエハ加工用粘着テープとして要求される各種の特性を分担して受け持たせるように構成することができる。例えば、中間層には加工時の伸び特性や、引き裂き耐性を付与し、また、耐候安定剤を添加して耐候性を付与し、最外層には表面疵の耐性や、巻き上げた保護フィルムが簡単に巻戻せるように粘着層との剥離性を付与した態様が挙げられる。また、隣合う層は、その構成成分が、溶融共押出しによって強固に接着できるものであれば、いずれのものからなる層であってもよい。好ましい態様としては、その粘着層と反対側の最外層(表面層)の主成分を、エチレン系共重合体とする態様である。
【0046】
図2は、本発明の粘着テープの、別の実施形態を示す断面図である。同図に示されるように、本発明の粘着テープ10は、中間層3と表面層4からなる基材層1と、中間層3の片面に積層された粘着層2とからなる。
【0047】
中間層の構成成分としては、オレフィン系重合体を主成分とするものが好ましい。また、中間層の構成成分としては、前記のオレフィン系重合体と熱可塑性エラストマーとからなり、オレフィン系重合体が連続相を形成し、熱可塑性エラストマーが分散相を形成しているものであることが好ましい。このようにすることにより、ウエハを弛みなく固定保持できる強度が高められるとともに、ウエハ加工時、中間層の一部にまで切削され形成される溝が拡大せず、加工後にテープを拡張した際に溝が裂けず、テープの弛みもない(いわゆるネッキングが生じない)。また、チップ間隔(溝間隔)がチップの縦横方向ともに均一に十分拡張されるという特長がある。
【0048】
オレフィン系重合体としては、前記のものと同様なものが挙げられる。
また、熱可塑性エラストマーとしては、例えばポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマーなどが挙げられる。このうちポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマーは、例えば、使用後に焼却処理する場合に硫黄酸化物、窒素酸化物或いはダイオキシンに代表されるハロゲン化合物等の有毒ガスが発生しない炭素、水素、酸素からなる熱可塑性エラストマーである点、即ち環境に対する負荷が少ない熱可塑性エラストマーである点で好ましい。
【0049】
なかでも、一般式A−B−AまたはA−B(Aは芳香族ビニル重合体ブロックまたは結晶性を示すオレフィン重合体ブロックを示し、Bはジエン重合体ブロック、またはこれを水素添加してなるオレフィン重合体ブロックを示す)で表されるブロック共重合体であると、前記オレフィン系重合体からなる連続相に分散した相を形成し易いため望ましい。
【0050】
ポリスチレン系エラストマーとしては、硬質部(結晶部)となるポリスチレンブロックと、軟質部となるジエン系モノマー重合体ブロックとのブロック共重合体またはその水素添加重合体が挙げられ、より具体的には、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)などを例示することができる。これらは、1種単独でも2種以上を組み合わせても用いられる。
【0051】
前記ポリオレフィン系エラストマーとして、硬質部となるポリプロピレン等の結晶性の高いポリマーを形成するポリオレフィンブロックと、軟質部となる非晶性を示すモノマー共重合体ブロックとのブロック共重合体が挙げられ、具体的には、オレフィン(結晶性)・エチレン・ブチレン・オレフィン(結晶性)ブロック共重合体、ポリプロピレン・ポリエチレンオキシド・ポリプロピレンブロック共重合体、ポリプロピレン・ポリオレフィン(非晶性)・ポリプロピレンブロック共重合体等を例示することができる。
【0052】
前記ポリエステル系エラストマーとして具体的には、ポリブチレンテレフタレート・ポリエーテル・ポリブチレンテレフタレートブロック共重合体等を例示することができる。
【0053】
図3は、本発明の粘着テープの、他の実施形態を示す断面図である。同図に示されるように、本発明の粘着テープ10は、第一中間層3a、第二中間層3b、表面層4の順に積層された基材層1と、第一中間層3aの片面に積層された粘着層2とからなる。
基材層1が、3層の場合には、第一中間層3aと第二中間層3bのどちらかの層或いは2層が、連続相を形成するオレフィン系重合体と、分散相を形成する熱可塑性エラストマーであることが望ましい態様である。この場合、第二中間層3bが、連続相を形成するオレフィン系重合体と、分散相を形成する熱可塑性エラストマーであることがより望ましい態様である。なお、中間層3aの厚さは、例えば10〜200μm程度であり、好ましくは30〜150μmである。また、中間層3bの厚さは、例えば1〜100μm程度であり、好ましくは5〜50μmである。
【0054】
基材層のうち、粘着層に接する側の中間層(図3では第一中間層3a)は、前記のα−オレフィンを含む重合体の1種単独または2種以上の混合物を主成分として含有していてもよい。また、この粘着層に接する側の中間層は、α−オレフィンを含む重合体以外に、ブリードアウトして粘着層への影響を与えるものでなければ、炭化水素以外の酸素原子含有基などの官能基を分子内に有する樹脂を副成分として含んでいてもよい。
前記粘着層に接する中間層における前記α−オレフィンを含む重合体の含有量は、通常、50〜100重量%程度であり、好ましくは70〜100重量%程度である。
【0055】
本発明の粘着テープにおいて、基材層1の最外層である表面層4の主成分は、オレフィン系重合体であることが好ましい。なかでも、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体が好適である。この場合、基材層1の最外層となる表面層4における前記エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体の含有量は、通常、50〜100重量%程度であり、好ましくは70〜100重量%程度であり、主成分以外の成分としては、α−オレフィン(共)重合体などが挙げられる。
【0056】
また、表面層の主成分としては、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体とともに、ポリエチレン、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体の金属イオン架橋樹脂とを含む混合物を主成分とするもの、または、前記α−オレフィンを含む重合体に加えて、ポリビニルアルコールまたはエチレン・ビニルアルコール共重合体と長鎖アルキルイソシアナートとの反応物(剥離剤)等の少量を含有するものが好ましく、巻き戻し力が5N/25mm以下である粘着テープを得ることができる。
【0057】
本発明の粘着テープにおいて、基材層1の最外層である表面層4が、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体とともに、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体の金属イオン架橋樹脂を含む層である場合、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体の金属イオン架橋樹脂の含有割合は、1〜50重量%、中でも特に3〜40重量%が好ましい。
【0058】
また本発明の粘着テープにおいて、基材層1の最外層である表面層4が、α−オレフィンを含む重合体を主成分とする場合、これらの他に、少量のポリビニルアルコールまたはエチレン・ビニルアルコール共重合体と長鎖アルキルイソシアナートとの反応物等の剥離剤を配合することが望ましいが、その剥離剤の含有割合は、基材層1の当該層の通常0.5〜20重量%、中でも特に、1〜10重量%が好適である。
【0059】
基材層1は、この種のウエハ加工用粘着テープの基材層に一般に用いられる各種添加剤を含有していてもよい。例えば、各種の充填剤、顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、滑剤等をウエハ加工やチップに影響を与えない程度に含有していてもよい。
【0060】
本発明の粘着テープにおいて、基材層1の厚さは、好ましくは10〜200μm程度であり、より好ましく疵防止性、貼付け作業性および価格の点で、30〜150μm程度が好ましい。また、基材層が中間層と表面層からなる場合、中間層の厚さは、好ましくは10〜200μm程度、より好ましくは30〜150μm程度であり、表面層は、好ましくは1〜100μm程度、より好ましくは5〜50μm程度である。
【0061】
本発明の粘着テープは、基材層と、該基材層の片面に積層された粘着層とを有する2層以上の多層構造の積層フィルムであって、被着体であるシリコンウエハが粘着層を介してウエハ加工用粘着テープに貼着された後、該ウエハをダイサーによりダイシング速度70mm/minでフルカットして矩形のチップに切断加工するとき、該チップの加工面から発生しうる欠けまたは亀裂の最大長さが30μm以下、好ましくは10μm以下である。このレベルであれば、ウエハ加工時の欠けや亀裂を原因とするチップ不良が無くなり、ワックス固定法に近い品質を達成することができる。
【0062】
なお、本発明において、チップの欠けまたは亀裂の最大長さ測定方法は、シリコンウエハをウエハ加工用粘着テープによりフレームに貼り付けて固定し、ダイサーによりダイヤモンド切削刃により特定の加工速度で、一回でフルカットして矩形のチップに切断加工するとき、チップ加工面から発生しうる欠けまたは亀裂の距離を測定する方法による。測定方法の例を次に示す。
【0063】
図9は、チップ20の直線加工面に発生した欠け22或いは亀裂23について、チップ上面の垂直方向から見た模式図である。欠け22は、チップから剥がれ落ちた部分を斜線で示し、亀裂23は、チップに発生した割れであり太い実線で示す。
【0064】
図10と図11は、チップ20のコーナー加工面に発生した欠け22或いは亀裂23について、チップ上面の垂直方向から見た模式図である。コーナー部分の加工では、縦と横の切断加工方向が交差するため、欠け或いは亀裂が最大になる傾向が強い。図10は、コーナー部の欠け22が長辺形状を示す一例であり、縦或いは横の加工面からの距離の長い方を、その欠けの最大長さ24とする。図11は、コーナー部分の亀裂23についての一例であり、縦或いは横の加工面からの距離の長い方を、その欠けの最大長さ24とする。
【0065】
本発明の粘着層2は、ウエハ加工する環境である15〜35℃の範囲において、貯蔵弾性率G'が1MPa以上、好ましくは1〜200MPaとなるものである。さらには、損失弾性率G"の貯蔵弾性率G'に対する比であるtanδが0.05以上の範囲にあることが望ましい。これにより、切断する回転刃によってウエハに発生する内部応力の共振現象による増幅を抑えて、チップの欠けまたは亀裂の発生率を極小化させるとともに、その大きさを最小限度にとどめることができる。
【0066】
本発明の粘着テープの粘着層2は、前記基材層1の片面に積層され、その主成分としてオレフィン系重合体を含有するものが好ましい。さらには、炭素原子数2〜12のα−オレフィンから選ばれる少なくとも2種のα−オレフィンを主な単位成分とするα−オレフィン共重合体の1種または2種以上の混合物を主成分とするものが好ましい。特に、前記α−オレフィン共重合体と、熱可塑性エラストマー、エチレンと他のα−オレフィンとのコオリゴマーからなり、α−オレフィン共重合体が連続相を形成し、熱可塑性エラストマーが分散相を形成しているものが好ましい。
【0067】
α−オレフィン共重合体が連続相を形成し、熱可塑性エラストマーが分散相を形成していることは、図13及び図14の粘着層の断面写真により明らかである。図13は粘着層の流れ方向に垂直な断面写真であり、図14は粘着層の流れ方向に平行な断面写真である。このようにすることにより、粘着層のガラス転移温度が低下するので、貼付け温度を低くしても、本発明の粘着テープとウエハとを互いに隙間なく密着させることができ、プローブタック力で示される初期粘着強度を適正な範囲に調整することができる。すなわち、低温粘着特性を改善できる。加えて、α−オレフィン共重合体が連続層を形成しているので、貯蔵弾性率G'とtanδの高い粘着層が得られる。
【0068】
炭素原子数2〜12のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられる。これらのα−オレフィンから選ばれる少なくとも2種の単量体からなる共重合体を、粘着層2の主成分とする場合、粘着層2中に占めるこのα−オレフィン共重合体の総含有割合は、通常、30重量%以上、なかでも特に50重量%以上とすることが好ましい。
【0069】
これらのα−オレフィン共重合体の中でも、プロピレン、1−ブテンおよび炭素原子数5〜12のα−オレフィンの3成分を共重合してなる共重合体を含有する粘着層が好ましい。特に、プロピレン10〜85モル%、1−ブテン3〜60モル%および炭素原子数5〜12のα−オレフィン10〜85モル%の構造単位組成を有する共重合体を含有する粘着層は、常温付近での粘着特性に優れる点で好ましく、さらに、プロピレン15〜70モル%、1−ブテン5〜50モル%およびα−オレフィン15〜70モル%の構造単位組成の割合で含む共重合体を含有する粘着層が好ましい。炭素原子数5〜12のα−オレフィンとしては、4−メチル−1−ペンテンが好ましい。
【0070】
また、このプロピレン、1−ブテンおよび炭素原子数5〜12のα−オレフィンの3成分を共重合してなる共重合体を粘着層に含有する場合、粘着層中に占めるこの共重合体の含有割合は、通常、20重量%以上、好ましくは30重量%以上である。
【0071】
前記の熱可塑性エラストマーの具体例としては、ポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマーなどが挙げられる。
この熱可塑性エラストマーの好ましい構造としては、構造要素であるブロック共重合体が、一般式A−B−AまたはA−Bで表されるものである。ここで、Aは芳香族ビニル重合体ブロックまたは結晶性を示すオレフィン重合体ブロックを示し、Bはジエン重合体ブロック、またはこれを水素添加してなるオレフィン重合体ブロックを示す。
【0072】
ポリスチレン系エラストマーとしては、硬質部(結晶部)となるポリスチレンブロックと、軟質部となるジエン系モノマー重合体ブロックとのブロック共重合体またはその水素添加重合体が挙げられ、より具体的には、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)などを例示することができる。これらは、1種単独でも2種以上を組み合わせても用いられる。
【0073】
例えばスチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体は、スチレン系重合体ブロックを平均分子量に換算して12000〜100000程度、イソプレン重合体ブロックを平均分子量に換算して10000〜300000程度含むものである。このSISにおけるスチレン重合体ブロック/イソプレン重合体ブロックの含有割合は、通常、重量比で5〜50/50〜95であり、好ましくは10〜30/70〜90である。
【0074】
スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体は、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体を水素添加してなるものである。
このSISの具体例としては、JSR株式会社から商品名:JSR SISとして、またはシェル化学社から商品名:クレイトンDとして市販されているものなどが挙げられる。また、SEPSの具体例としては、株式会社クラレから商品名:セプトンとして市販されているものなどが挙げられる。
【0075】
前記ポリオレフィン系エラストマーとして、硬質部となるポリプロピレン等の結晶性の高いポリマーを形成するポリオレフィンブロックと、軟質部となる非晶性を示すモノマー共重合体ブロックとのブロック共重合体が挙げられ、具体的には、オレフィン(結晶性)・エチレン・ブチレン・オレフィン(結晶性)ブロック共重合体、ポリプロピレン・ポリエチレンオキシド・ポリプロピレンブロック共重合体、ポリプロピレン・ポリオレフィン(非晶性)・ポリプロピレンブロック共重合体等を例示することができる。具体例としては、SR株式会社から商品名:DYNARONとして市販されているものが挙げられる。
【0076】
前記ポリエステル系エラストマーとして具体的には、ポリブチレンテレフタレート・ポリエーテル・ポリブチレンテレフタレートブロック共重合体等を例示することができる。
【0077】
本発明の粘着テープの、粘着層の成分として、前記熱可塑性エラストマーを用いる場合、粘着層に占める熱可塑性エラストマーの含有割合は、通常、0〜60重量%で、好ましくは、5〜50重量%である。
【0078】
本発明の粘着テープにおいて、粘着層2のプローブタック力で示される粘着性能を向上させるため、前記炭素原子数2〜12のα−オレフィンの3成分を共重合してなるα−オレフィン共重合体に加えて、他のα−オレフィン共重合体を含有させた粘着層とすることができる。このとき、前記のプロピレン、1−ブテンおよび炭素原子数5〜12のα−オレフィンの3成分からなる共重合体と、他のα−オレフィン共重合体の粘着層中に占める合計の含有量は、50重量%以上であることが好ましい。
【0079】
前記他のα−オレフィン共重合体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテンおよび1−ヘキセンから選ばれる少なくとも2種のα−オレフィンからなる共重合体が好ましい。このα−オレフィン共重合体としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ヘキセン共重合体、1−ブテン・1−ヘキセン共重合体等を例示できる。この共重合体の具体例としては、三井化学株式会社から商品名:タフマーA、タフマーP等で市販されているものなどを挙げることができる。
【0080】
また、前記のエチレンと他のα−オレフィンとのコオリゴマーは、エチレンと他のα−オレフィンとの低分子量共重合体であって、常温で液体状のものである。α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素数3〜20のα−オレフィンが挙げられる。これらの中でも、炭素数3〜14のα−オレフィンが好ましい。
【0081】
このコオリゴマーは、下記式
【化1】

で表される構造単位を有するものである。前記式中、RはCnH2n+1(nは正の整数である)で表される基であり、x、yおよびpは正の整数である。
【0082】
このコオリゴマーは、通常、数平均分子量が100〜10000の範囲のものであり、好ましくは数平均分子量が200〜5000の範囲のものである。また、このコオリゴマー中のエチレン単位含有量は、通常、30〜70モル%、好ましくは40〜60モル%である。
【0083】
本発明の粘着テープの、粘着層の構成成分中に、前記コオリゴマーを用いる場合、このコオリゴマーの粘着層に占める含有割合は、通常0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%である。
【0084】
本発明の粘着テープにおいて、粘着層の構成成分として、前記炭素原子数2〜12のα−オレフィンの3成分を共重合してなるα−オレフィン共重合体に加えて、前記の他のα−オレフィン共重合体を用いると、ガラス転移温度が低下し、初期粘着強度を適正な範囲に調整できるとともに、低温粘着特性を改善できる点で有利である。
【0085】
また、粘着層の構成成分として、前記α−オレフィン系共重合体とエチレンと他のα−オレフィンとのコオリゴマーの組み合わせからなる混合樹脂を用いると、ガラス転移温度が低下し、初期粘着強度を適正な範囲に調整することができるとともに、粘度を適正な範囲に調整できる点で有利である。
【0086】
また、粘着層の構成成分として、前記α−オレフィン系共重合体と熱可塑性エラストマーとからなる混合樹脂を用いると、ガラス転移温度が低下し、初期粘着強度を適正な範囲に調整することができるとともに、低温粘着特性を改善できる点で有利である。
【0087】
本発明の粘着テープの粘着層には、前記α−オレフィン系共重合体、熱可塑性エラストマー、およびエチレンと他のα-オレフィンとのコオリゴマー以外に、さらに各種の副成分を、本発明の目的を損ねない範囲で含んでいてもよい。例えば、液状ブチルゴム等の可塑剤、ポリテルペン等のタッキファイヤーなどを含んでいてもよい。本発明において、これらの副成分のうち接着性の官能基、不飽和結合を有するものは、貼り付けた後での粘着強度の経時変化(加温、加圧、湿度、紫外線等による)を起こさせないように、その種類、配合量等を調整することが好ましい。
【0088】
また、本発明の粘着テープの粘着層には、この種の粘着層の素材に一般的に配合される各種添加剤を含有していてもよい。例えば、各種の充填剤、顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、滑剤等を含有していてもよい。
【0089】
本発明の粘着テープにおいて、粘着層の厚さは、通常、1〜50μm程度であり、好ましくは、5〜30μm程度である。
また、粘着テープの全体の厚さは、通常、30〜200μm程度であり、疵防止性、貼り付け作業性および価格の点で、好ましくは60〜180μm程度である。
【0090】
本発明の粘着テープは、引張弾性率が100〜500MPaの範囲にある。
さらにまた、本発明の粘着テープの粘着力については、粘着テープを20〜60℃の範囲に調整した後、JIS Z0237(参考)に準拠して測定されるプローブタック力が、0.01〜1N/5mmφの範囲に入ることが好ましい。通常粘着テープの粘着力は、23℃で貼着して測定されるが、本発明の粘着テープの場合、被着体との密着性を高めるために20〜60℃の範囲に加熱調整されることが好ましい。
【0091】
また、プローブタック力が0.01N/5mmφを越えて小さくなり過ぎると、チップフライの発生を防止することが困難になることがあり好ましくない。また、プローブタック力が1N/5mmφを越えて大きくなり過ぎると、ピックアップ性が悪化することがあり好ましくない。プローブタック力が0.01N/5mmφ以上の場合、本発明の粘着テープとウエハとが確実に密着できるため、ウエハ加工時のチップフライが無くなる点、欠けまたは亀裂の長さと発生率を極小化できる点、切削屑の付着が無くなる点等に良好な効果を与えると考えられる。プローブタック力が1N/5mmφ以下の場合、本発明の粘着テープとチップとが容易に剥離できるため、ピックアップ性に良好な効果を与える。
【0092】
本発明の粘着テープは、粘着後、ピール剥離する場合に、光や電子線を用いて粘着層を硬化させて粘着力を低下させる方法におけるような特別な装置を使うことが無く、テープからの剥離が容易である。
また、剥離した後、チップへの糊残りが無く、その後工程のボンディング工程とモールディング工程を阻害する成分等の付着の無いものである。
【0093】
図4は、本発明のウエハ加工用粘着テープの、他の実施形態を示す断面図である。同図に示すように、本発明のウエハ加工用粘着テープ10は、基材層1と、基材層1の表面に積層された粘着層2と、粘着層2側に離型テープ5が設けられる。
【0094】
図5は、本発明のウエハ加工用粘着テープの、他の実施形態を示す断面図である。同図に示すように、本発明のウエハ加工用粘着テープ10は、中間層3と表面層4からなる基材層1と、中間層3の表面に積層された粘着層2とからなり、その粘着層2側に、離型テープ5が設けられる。
【0095】
図6は、本発明のウエハ加工用粘着テープの、他の実施形態を示す断面図である。同図に示すように、本発明のウエハ加工用粘着テープ10は、第一中間層3a、第二中間層3b、表面層4の順に積層された基材層1と、中間層3aの表面に積層された粘着層2とからなり、その粘着層2側に、離型テープ5が設けられる。
【0096】
図7は、本発明のウエハ加工用粘着テープ10をそのままロール6に巻いて保管される状態を示す図であり、図8は、本発明のウエハ加工用粘着テープ10の粘着層側に離型テープ5を貼り付けて、ロール6に巻いて保管される状態を示す図である。
【0097】
離型テープとしては、例えば熱可塑性フィルムにUV硬化型のシロキサン系架橋化合物からなる離型層を有するものが用いられる。離型テープの凹凸が粘着層の表面に転写されるため、表面粗さが1μm以下の平滑性を有するものが好ましい。また。離型テープの厚さは、ロール巻きに支障のない厚さで、廃棄処理量を減らす観点から出来るだけ薄いものが良く、例えば5〜200μmであり、好ましくは10〜100μmである。
【0098】
本発明の粘着テープの製造方法としては、基材層(表面層及び中間層)および粘着層を構成する素材を、それぞれ溶融加熱して共押出し成形し、所定の厚さを有する多層構造の積層フィルムを製造する方法が、高効率でしかも省エネルギーため安価に本発明の粘着テープを製造できる点で、好ましい。また、基材層に粘着層を溶融押出ラミネートする等の方法にしたがって行うこともできる。
【0099】
また、本発明の製造方法は、1層または複数の層からなる基材層と、該基材層の片面に積層される粘着層とを有する粘着テープの製造方法であって、基材層及び粘着層を構成する重合体のメルトフローレート(MFR、ASTM D1238に準拠し温度230℃荷重21.18Nによる測定値)が5〜40g/10分、かつ隣合う層でのMFR差が10g/10分以下であり、溶融温度が200〜260℃で、かつ隣合う層の溶融温度差が30℃以下になるようにして多層ダイを用いた共押出成形法により成形すると、好ましい。
【0100】
多層ダイを用いた共押出成形法として、例えば、各層の溶融物をあらかじめ層状に組み合わせて一体としたものをフラットダイに送り込みダイ内で接着させる方法(フィードブロック法)、各層の溶融物をフラットダイ内の別のマニホールドに送り込み、ダイ内の共通の場所(一般にはダイリップ入り口前)にて、各層を層状に接合して一体としたものをフラットダイに送り込みダイ内で接着させる方法(多数マニホールド法)、さらにフィードブロック法と多数マニホールド法の組み合わせた方法等が挙げられる。
【0101】
前記MFRが5〜40g/10分、かつ隣合う層でのMFR差が10g/10分以下であると、異なる材料で構成される各層の厚みが均一になる点、表面性が良好で多層構造を形成できので、好ましい。また、溶融温度が200〜260℃で、かつ隣合う層の溶融温度差が30℃以下であると、異なる材料で構成される各層の厚み均一になる点、表面性が良好で異物の発生も無く多層構造を形成できる点等で、好ましい。
【0102】
また、本発明の使用方法は、前記したウエハ加工用粘着テープとウエハとを20〜80℃で圧着したのち、15〜35℃でウエハをチップに切断加工し、次いで該粘着テープを40〜80℃で拡張し、その後、室温でチップをピックアップして粘着テープから剥離することからなる。
【0103】
ウエハとしては、一般的な固体のものであればいずれのものでもよく、例えば絶縁体としては、ガラス、セラミック、硬質プラスチックなど、半導体としては、シリコン、ゲルマニウム、セレン、テルル等の元素半導体;GaAs、GaP、InSb等の2元系化合物半導体;AlGaAs等の3元系化合物半導体;AlGaInAs等の4元系化合物半導体;SnO2、ZnO、TiO2、Y25等の金属酸化物半導体など、その他の金属酸化物からなるものなどが挙げられる。ウエハの厚さは数10μm〜数mm、ウエハの面積は、数10mm2〜数10000mm2であるものが使用でき、形状は円形、正方形、長方形などのいずれでもよい。
【0104】
本発明の粘着テープとウエハとを20〜80℃で圧着することにより、テープとウエハを互いに隙間なく密着することができ、テープ及びウエハの加熱による変質を防げる。また、15〜35℃でウエハをチップに切断加工すれば、特別な冷却装置や加熱装置が不要であり、粘着テープを40〜80℃で拡張することにより、テープの切削溝から裂けが発生することなく、チップ間隔を均一に拡大することができる。
【0105】
本発明の使用方法の好ましい態様では、前記ウエハが、表面に回路パターンが形成された半導体ウエハであり、前記切断加工がダイシングである場合である。 また、本発明の粘着テープは、回路パターンが形成された半導体ウエハの表面からウエハ厚みよりも浅い切り込み深さの溝を形成し、その後半導体ウエハの裏面研削をすることで、ウエハの厚みを薄くするとともに最終的に個々のチップへ分割するウエハ裏面研削において用いられる表面保護シートにも応用可能である。
【実施例】
【0106】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでない。
なお、以下の実施例および比較例において、粘弾性、MFR、プローブタック力、粘着力の温度依存性、巻き戻し力、チップフライ、欠け及び亀裂の長さと発生率、切削屑汚染性、拡張性、ピックアップ性を下記に示す測定方法により試験し、評価した。
【0107】
(1)粘弾性
レオメトリック・サイエンティフィック社製メカニカルスペクトロメーターRMS−800を用いて、直径8mmのパラレルプレートを使用し、プレート間のギャップを1.5mmとし、試験片には8mmφ×1.5mm(厚さ)の円板を用い、周波数ω=100rad/secで、−50℃〜350℃の範囲を3℃/minの昇温速度で、貯蔵弾性率G'(Pa)と損失弾性率G"(Pa)の測定を行った値を使用した。tanδは、測定された貯蔵弾性率G'と損失弾性率G"を関係式tanδ=G"/G'に代入して算出した。
【0108】
(2)メルトフローレート(MFR)
ASTM D1238に記載のMFR試験に準拠して、温度230℃、荷重21.18N(2.16kgf)の試験条件により測定した値を用いた。
(3)プローブタック力
JIS Z0237-1991(参考)に記載のプローブタック試験に準拠して、(株)東洋精機製作所製のプローブタックテスターMODEL TM1を用いて測定した。測定温度23℃、湿度50%(RH)下、直径5mmのプローブを、試験片の粘着面に10gfの荷重を10秒間接触させた後、プローブを垂直方向に速度10mm/秒で引きはがし、そのときの要する力(単位:N/5mmφ)を測定した。試験は、5枚の試験片について繰り返し行い、その平均値をプローブタック力とした。
【0109】
(4)粘着力の温度依存性
JIS Z0237-1991に記載されている粘着力測定法に準拠して測定した。ただし、シリコンミラー面に試験片を23℃で貼り付け、23℃、50℃の環境下に30分間置いてから、シリコンミラー面に対する180度引きはがし粘着力(単位:N/25mm)として測定し、次の基準により温度依存性の評価を行った。(50℃の粘着力)/(23℃の粘着力)が、0.7以上〜1.3以下の範囲を合格(○で示す)とし、(50℃の粘着力)/(23℃の粘着力)が、0.7未満1.3を越えるものを不合格(×で示す)とした。
【0110】
(5)巻き戻し力
JIS Z0237-1991に記載されている高速巻き戻し力の測定法に準拠して測定した。ただし、試験片であるロール状に巻かれたウエハ加工用粘着テープを、30m/分の速度で巻き戻した時の抵抗力を、高速巻き戻し力(単位:N/25mm)として測定した。
【0111】
(6)チップフライ
マウンター(ヒューグル・エレクトロニクス製 HS-7800)を用いて、貼り付け温度20℃、40℃、60℃の3条件において、試験片であるウエハ加工用粘着テープを介して、シリコンウエハ(P型、厚さ400μm、直径6インチ)をフレーム(ディスコ製 MDFTF-2-6-1-H)に張りつけ固定した後、ダイサー(ディスコ製 DAD320)にセットし、ブレード(NBC-ZH-2500、サイズ:27HEDD)の回転速度30000回転/min、切断速度70mm/min、切り込み量はフルカットでフィルムを30μm深さまで切り込む様にし、切削水量(20℃の恒温水使用)はウエハ面へのノズルから1.5L/min、回転ブレード落射ノズルから1.0L/minとし、0.50mm角と1mm角サイズのチップにダイシング加工した。
【0112】
貼り付け温度20℃、40℃、60℃のうち、少なくとも一つ以上の貼り付け温度において、上記シリコンウエハからダイシング加工して得られる0.50mm角或いは1.0mm角のチップを全て観察し、飛散した個数を調査して次の飛散率の基準によりチップフライを評価した。チップサイズ5mm角、1mm角共に飛散率0.3%以下である場合を合格(○で示す)とし、チップサイズ0.5mm角、1mm角のどちらか一方だけが飛散率0.3%以下である場合を準合格(△で示す)とし、チップサイズ0.5mm角、1mm角のどちらも飛散率0.3%を越える場合を不合格(×で示す)とした。
【0113】
(7)欠けまたは亀裂の長さと発生率
マウンター(ヒューグル・エレクトロニクス製 HS-7800)を用いチップフライが発生しない貼り付け温度にて、試験片であるウエハ加工用粘着テープの粘着層をシリコンウエハ(P型、厚さ400μm、直径6インチ)のミラー面に貼付け、粘着テープを介してシリコンウエハをフレーム(ディスコ製 MDFTF-2-6-1-H)に張りつけ固定した後、ダイサー(ディスコ製 DAD320)にセットし、ブレード(NBC-ZH-2500、サイズ:27HEDD)の回転速度30000回転/min、切断速度70mm/min、切り込み量はフルカットでフィルムを30μm深さまで切り込む様にし、切削水量(20℃の恒温水使用)はウエハ面へのノズルから1.5L/min、回転ブレード落射ノズルから1.0L/minとし、3mm角サイズのチップにダイシング加工した。
【0114】
チップの切削加工面から発生しうる欠けまたは亀裂は、図9に示すように切断加工面から欠けまたは亀裂の先端までの垂直方向の距離を、欠けまたは亀裂の長さとして測定し、その内の最大値をチップに発生した欠けまたは亀裂の最大長さ(μm)とした。ただし、コーナー部に発生する欠けまたは亀裂については、図10aと図10bに模式的示す様な方法で長さを測定した。
また、10μmを越える欠けまたは亀裂が3mm角のチップ内に一箇所でも発生した場合、欠けまたは亀裂が発生したチップとして数を計量し、6インチウエハ内のチップ総数に対するその数の割合を、欠け亀裂の発生率(%)とした。
【0115】
(8)切削屑汚染性
マウンター(ヒューグル エレクトロニクス製 HS-7800)を用いチップフライが発生しない貼り付け温度にて、試験片であるウエハ加工用粘着テープを介してシリコンウエハ(P型、厚さ400μm、直径6インチ)をフレーム(ディスコ製 MDFTF-2-6-1-H)に張りつけ固定した後、ダイサー(ディスコ製 DAD320)にセットし、ブレード(NBC-ZH-2500、サイズ:27HEDD)の回転速度30000回転/min、切断速度70mm/min、切り込み量はフルカットでフィルムを30μm深さまで切り込む様にし、切削水量(20℃の恒温水使用)はウエハ面へのノズルから1.5L/min、回転ブレード落射ノズルから1.0L/minとし、3mm角サイズのチップにダイシング加工した。
【0116】
次いで、6インチウエハからダイシング加工される全ての3mm角サイズのチップについて、光学顕微鏡(倍率100倍)により切削屑の有無を観察し、切削屑が付着しているチップの数の、全体のチップ数に対する発生率を調査し、次の基準により切削屑汚染性を評価した。発生率が0.3%以下を合格(○で示す)とし、0.3%を越えるものを不合格(×で示す)とした。
【0117】
(9)拡張性
マウンター(ヒューグル・エレクトロニクス製 HS-7800)を用いチップフライが発生しない貼り付け温度にて、試験片であるウエハ加工用粘着テープを介してシリコンウエハ(P型、厚さ400μm、直径6インチ)をフレーム(ディスコ製 MDFTF-2-6-1-H)に張りつけ固定した後、ダイサー(ディスコ製 DAD320)にセットし、ブレード(NBC-ZH-2500、サイズ:27HEDD)の回転速度30000回転/min、切断速度70mm/min、切り込み量はフルカットでフィルムを30μm深さまで切り込む様にし、切削水量(20℃の恒温水使用)はウエハ面へのノズルから1.5L/min、回転ブレード落射ノズルから1.0L/minとし、3mm角サイズのチップにダイシング加工した。
【0118】
次に、ウエハ拡張機(ヒューグル エレクトロニクス製 HS-1800)を用いて、ダイシング加工後のウエハ加工用粘着テープを60℃に加熱し、そのウエハの貼着された粘着テープ部分を直径180mmの円柱状の押圧具で上方にストローク20mmまで押し上げることで、粘着テープ上に貼着されたチップ間隔を拡張した。拡張性の評価は、次の3項目の基準(a)〜(c)を全て満たす場合を合格(○で示す)として、何れか一項目でも達成できない場合を不合格(×で示す)とした。
基準(a):前記押圧具の端部部分に接触した粘着テープ厚さが、非接触部の厚さに対して90%以上であること。即ち、ネッキングしないこと。
基準(b):拡張されたチップ間隔が、200μm以上であること。
基準(c):チップ間隔の縦方向と横方向の比が、0.7以上1.3以下であること。
【0119】
(10)ピックアップ性
マウンター(ヒューグル・エレクトロニクス製 HS-7800)を用いチップフライが発生しない貼り付け温度にて、試験片であるウエハ加工用粘着テープを介してシリコンウエハ(P型、厚さ400μm、直径6インチ)をフレーム(ディスコ製 MDFTF-2-6-1-H)に張りつけ固定した後、ダイサー(ディスコ製 DAD320)にセットし、ブレード(NBC-ZH-2500、サイズ:27HEDD)の回転速度30000回転/min、切断速度70mm/min、切り込み量はフルカットでフィルムを30μm深さまで切り込む様にし、切削水量(20℃の恒温水使用)はウエハ面へのノズルから1.5L/min、回転ブレード落射ノズルから1.0L/minとし、3mm角サイズのチップにダイシング加工した。ただし、UV硬化タイプの粘着テープは、ダイシング加工後、UV照射装置(ディスコ製 DUV100)を用いて60秒間光を粘着テープへ照射した(約360mJ/cm2の光量)。
【0120】
さらに、ピックアンドプレース装置(ヒューグル・エレクトロニクス製 DE35)を用いて、ダイシング加工後のウエハ加工用粘着テープを60℃に加熱し、チップの間隔を拡張した後、ピン突き上げてから0.3秒後にピックアップする条件における捕獲率(%)を調査し、次に基準によりピックアップ性を評価した。チップ49個(1トレー)のピックアップを3回実施して、全てピックアップできる場合は合格(○で示す)とし、1個でもピックアップできない場合は不合格(×で示す)とした。
【0121】
(実施例1)
粘着テープ10を構成する各層の材料として、以下の材料を用いた。すなわち、基材層1を構成する成分として、プロピレン・エチレン・1-ブテンランダム共重合体(r-PP;エチレン成分5モル%、1-ブテン成分5モル%)80重量部と、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS;旭化成工業(株)製タフテックTMH1052)20重量部を用い、粘着層2を構成する成分として、プロピレン・1-ブテン・4-メチル-1-ペンテン共重合体(PB(4-MP);プロピレン成分50モル%、1-ブテン成分20モル%、4-メチル-1-ペンテン成分30モル%)100重量部を用いた。図12は、前記粘弾性の測定方法に従って測定した粘着層の貯蔵弾性率G'、損失弾性率G"、tanδの結果を示した。
【0122】
各層のMFRは、異なるMFRの同一樹脂を混合して調整し、粘着層:15g/10min、基材層:15g/10minとした。次いで、各層の材料をフルルライト型のスクリューを備えた押し出し機により溶融した。成形条件(溶融温度)は、粘着層:230℃、基材層:230℃であり、この2層の溶融樹脂を多層ダイ内で積層させた(共押出温度:230℃)。押し出された粘着テープを冷却し、離型テープ(東セロ(株)製、トーセロセパレータTMSP T-18、厚さ37μm)を粘着層面に設けた後、スリットして巻き取った。
【0123】
このようにして得られた粘着テープは、1層からなる基材層と粘着層が積層され、離型テープが粘着層側に設けられたものであり、各層の厚さは、粘着層:20μm、基材層:70μmで、合計厚さ90μmであった。
【0124】
得られたウエハ加工用粘着テープのプローブタック力は、貼り付け温度60℃で0.1N/5mmφ、40℃で0.01N/5mmφ、20℃で0N/5mmφであった。その結果、60℃を最適な貼り付け温度とした。
180度引き剥がし粘着力の温度依存性については、試験温度23℃で1N/25mm、50℃で1N/25mmとなり、(50℃の引き剥がし粘着力)/(23℃の引き剥がし粘着力)が、1であり温度依存性が無かった。
ロールからの巻き戻し力は、0.05N/25mmであり、軽く扱いやすい巻物であった。以上の測定または評価した結果を表3に示す。
【0125】
さらに、得られたウエハ加工用粘着テープの加工性を評価するために、粘着テープを60℃に加温してウエハに貼り付け、チップフライ、欠けまたは亀裂の最大長さと発生率、切削屑汚染性、拡張性、ピックアップ性について試験した結果を表4に示す。
チップフライについては、チップの飛散は発生せず、チップフライによる不良の発生が無いことを示した。
欠けまたは亀裂の最大長さと発生率については、ワックス固定法(欠けまたは亀裂の最大長さ5μm以下、発生率0)とほぼ同等レベルとなった。
切削屑汚染性については、チップに付着した切削屑が全く観察されなかった。
拡張性については、基準(a)が98%、基準(b)が400μm、基準(c)が1.1であり、全ての基準について合格し、拡張性に優れていることを示した。
ピックアップ性については、全てのチップを拾い落とすことなく剥離でき、ピックアップ性に優れていることを示した。
【0126】
(実施例2)
粘着テープ10を構成する各層の材料として、基材層1の成分として、実施例1と同じr-PP80重量部と、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEPS;(株)クラレ製セプトンTM2063)20重量部を用い、粘着層2の成分として、実施例1と同じPB(4-MP)95重量部と、エチレンとα−オレフィンのコオリゴマー(LEO;三井化学(株)製ルーカントTMHC−20)5重量部とを用いた。粘着層の粘弾性の測定結果を、15℃、25℃、35℃の3点について表3に示す。
【0127】
表1に示される条件により、実施例1と同様にして粘着テープを成形し、離型テープ(東セロ(株)製、トーセロセパレータTMSP T-18、厚さ37μm)を粘着層面に設けた後、スリットして巻き取った。
得られたウエハ加工用粘着テープの測定・評価結果を表3、表4に示す。
【0128】
(実施例3)
粘着テープ10を構成する各層の材料として、基材層1のうち表面層4の成分として、低密度ポリエチレン(LDPE;密度0.92g/cm3)を用い、基材層1の中間層3の成分として、実施例1と同じr-PP80重量部と、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEPS;(株)クラレ製セプトンTM2063)20重量部を用い、粘着層2の成分として、実施例1と同じPB(4-MP)80重量部と、LEO 5重量部と、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS;JSR(株)製SIS5229N)15重量部を用いた。
【0129】
表1に示される条件により、表面層、中間層、共押出温度を220℃にした以外は実施例1と同様にして粘着テープを成形し、離型テープ(東セロ(株)製、トーセロセパレータTMSP T-18、厚さ37μm)を粘着層面に設けた後、スリットして巻き取った。
得られたウエハ加工用粘着テープの測定・評価結果を表3、表4に示す。
【0130】
(実施例4)
粘着テープ10を構成する各層の材料として、基材層1のうち表面層4の成分として、実施例3と同じLDPEを用い、基材層1の中間層3の成分として、実施例1と同じr-PP 90重量部と、スチレン・ブタジエン共重合体の水素添加物(HSBR;JSR(株)製DYNARONTM1321P)10重量部を用い、粘着層2の成分として、実施例3と同じPB(4-MP)60重量部と、SIS 15重量部と、LEO 5重量部と、エチレン・プロピレン共重合体(EP-A;密度0.87g/cm2)20重量部を用いた。
【0131】
表1に示される条件により、実施例1と同様にして粘着テープを成形し、離型テープ(東セロ(株)製、トーセロセパレータTMSP T-18、厚さ37μm)を粘着層面に設けた後、スリットして巻き取った。
得られたウエハ加工用粘着テープの測定・評価結果を表3、表4に示す。
【0132】
(実施例5)
粘着テープ10を構成する各層の材料として、基材層1のうち表面層4の成分として、実施例3と同じLDPE 95重量部と、エチレン・メタアクリル酸共重合体の金属イオン架橋樹脂(アイオノマー;三井・デュポンポリケミカル(株)製ハイミランTM1652)5重量部を用い、基材層1の中間層3の成分として、実施例4と同じr-PP 80重量部と、HSBR 10重量部と、高密度ポリエチレン(HDPE;密度0.96g/cm3)を用い、粘着層2の成分として、実施例3と同じPB(4-MP)50重量部と、SIS 15重量部と、LEO 5重量部と、オレフィン結晶・エチレン・ブチレン・オレフィン結晶ブロック共重合体(CEBC:JSR(株)製DYNARONTM6200P)30重量部を用いた。
【0133】
表1に示される条件により、実施例1と同様にして粘着テープを成形し、スリットして巻き取った。
得られたウエハ加工用粘着テープの測定・評価結果を表3、表4に示す。
【0134】
(実施例6)
粘着テープ10を構成する各層の材料として、基材層1のうち表面層4の成分として、実施例5と同じLDPE 85重量部と、アイオノマー5重量部、エチレン・メタアクリル酸共重合体(EMAA;三井・デュポンポリケミカル(株)製ニュクレルTMN1108C)10重量部を用い、基材層1の中間層3の成分として、上記のLDPE 60重量部と、EMAA 20重量部と、実施例4と同じEP-A 20重量部とを用い、粘着層2の成分として、実施例4と同じPB(4-MP)40重量部と、EP-A 30重量部と、SIS 20重量部と、LEO 10重量部を用いた。
【0135】
表1に示される条件により、実施例1と同様にして粘着テープを成形し、スリットして巻き取った。
得られたウエハ加工用粘着テープの測定・評価結果を表3、表4に示す。
【0136】
(実施例7)
粘着テープ10を構成する各層の材料として、基材層1のうち表面層4の成分として、実施例3と同じLDPEを用い、基材層1の中間層3の成分として、実施例4と同じHSBR 15重量部と、実施例1と同じr−PP 85重量部を用い、粘着層2の成分として、実施例4と同じPB(4-MP)50重量部と、EP-A 30重量部と、実施例5と同じCEBC 20重量部を用いた。
【0137】
表1に示される条件により、実施例1と同様にして粘着テープを成形し、離型テープ(東セロ(株)製、トーセロセパレータTMSP T-18、厚さ37μm)を粘着層面に設けた後、スリットして巻き取った。
得られたウエハ加工用粘着テープの測定・評価結果を表3、表4に示す。
【0138】
(実施例8)
粘着テープ10を構成する各層の材料として、基材層1のうち表面層4の成分として、実施例3と同じLDPEを用い、基材層1の中間層3の成分として、実施例1と同じr−PP 90重量部と、実施例5と同じCEBC 10重量部を用い、粘着層2の成分として、実施例4と同じPB(4-MP)40重量部と、EP-A 35重量部と、SIS 20重量部とLEO 5を用いた。
【0139】
表1に示される条件により、実施例1と同様にして粘着テープを成形し、離型テープ(東セロ(株)製、トーセロセパレータTMSP T-18、厚さ37μm)を粘着層面に設けた後、スリットして巻き取った。
得られたウエハ加工用粘着テープの測定・評価結果を表3、表4に示す。
【0140】
(実施例9)
粘着テープ10を構成する各層の材料として、基材層1のうち表面層4及び第一中間層3aの成分として、実施例6と同じLDPE 90重量部と、EMAA 10重量部を用い、基材層1の第二中間層3bの成分として、実施例7と同じr-PP 60重量部と、HSBR 40重量部を用い、粘着層2の成分として、実施例3と同じPB(4-MP)85重量部と、SIS 10重量部と、LEO 5重量部を用いた。
【0141】
表1に示される条件により、実施例1と同様にして粘着テープを成形し、スリットして巻き取った。
得られたウエハ加工用粘着テープの測定・評価結果を表3、表4に示す。
【0142】
(実施例10)
粘着テープ10を構成する各層の材料として、基材層1のうち表面層4及び第一中間層3aの成分として、実施例3と同じLDPEを用い、基材層1の第二中間層3bの成分として、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE;密度:0.94g/cm3)60重量部と、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA;三井・デュポンポリケミカル(株)製エバフレックスTMP−1407)40重量部を用い、粘着層2の成分として、実施例5と同じPB(4-MP)80重量部と、CEBC 15重量部と、LEO 5重量部を用いた。
【0143】
表1に示される条件により、実施例1と同様にして粘着テープを成形し、離型テープ(東セロ(株)製、トーセロセパレータTMSP T-18、厚さ37μm)を粘着層面に設けた後、スリットして巻き取った。
得られたウエハ加工用粘着テープの測定・評価結果を表3、表4に示す。
【0144】
(比較例1)<感圧型粘着剤の例>
粘着テープの基材層として厚さ70μmのポリ塩化ビニルフィルム(PVC)を用い、アクリル酸メチル70重量部、アクリル酸ブチル30重量部、アクリル酸5重量部をトルエン中で共重合させて得られた数平均分子量30万のアクリル系共重合体を含有する溶液に、そのアクリル系共重合体100重量部あたり70重量部のウレタンオリゴマーと5重量部の多官能イソシアネート化合物を加えてアクリル系粘着剤を調製し、それを前記ポリ塩化ビニルフィルムの片面に塗工し130℃で3分間加熱して厚さ15μmの粘着層を形成して粘着テープを得た。この粘着テープの測定・評価結果を表3、表4に示す。
【0145】
(比較例2)<感圧型粘着剤の例>
粘着テープの基材層として比較例1と同じポリ塩化ビニルフィルムを用い、ポリカーボネートジオール80重量部とアジピン酸20重量部とジブチルチンオキサイド0.5重量部をトルエン中で共重合させて得られた数平均分子量58万のポリエステルを含有する溶液に、そのポリエステル100重量部あたり5重量部の多官能イソシアネート化合物を加えて調製したポリエステル系粘着剤を、前記ポリ塩化ビニルフィルムの片面に塗工し130℃で3分間加熱して厚さ15μmの粘着層を形成して粘着テープを得た。この粘着テープの測定・評価結果を表3、表4に示す。
【0146】
(比較例3)<感圧型粘着剤の例>
粘着テープの基材層として比較例1と同じポリ塩化ビニルフィルムを用い、アクリル酸ブチル90重量部と、アクリロニトリル5重量部と、アクリル酸5重量部をトルエン中で共重合させて得た数平均分子量50万のアクリル系共重合体を含有する溶液に、そのアクリル系共重合体100重量部あたり50重量部の多官能アクリル系モノマーと、5重量部の多官能イソシアネート化合物と、5重量部の光重合開始剤を加えてアクリル系粘着剤を調製し、それを前記ポリ塩化ビニルフィルムの片面に塗工し130℃で3分間加熱して厚さ15μmの粘着層を形成した。次いで、それを80W/cm2の高圧水銀灯の下で60秒間放置して紫外線照射処理して粘着テープを得た。この粘着テープの測定・評価結果を表3、表4に示す。
【0147】
(比較例4)<UV硬化型粘着剤の例>
粘着テープの基材層として、厚さ80μmのエチレン・メチルメタクリレート共重合体(EMMA;メチルメタクリレート成分含量10重量%、融点100℃)を用い、粘着層として、アクリル系共重合体(n-ブチルアクリレートとアクリル酸との共重合体)100重量部と分子量8000のウレタンアクリレート系オリゴマー120重量部と、硬化剤(ジイソシアネート系)10重量部と、紫外線硬化反応開始剤(ベンゾフェノン系)5重量部とを混合した粘着剤組成物を厚さ10μmとなるように塗布して粘着テープを得た。この粘着テープの測定・評価結果を表3、表4に示す。
【0148】
(比較例5)<UV硬化型粘着剤の例>
粘着テープの基材層として、厚さ140μmのエチレン・メチルメタクリレート共重合体(EMMA;メチルメタクリレート成分含量10重量%、融点100℃)を用い、粘着層として、アクリル系共重合体(n-ブチルアクリレートとアクリル酸との共重合体)100重量部と分子量8000のウレタンアクリレート系オリゴマー70重量部と、硬化剤(ジイソシアネート系)5重量部と、紫外線硬化反応開始剤(ベンゾフェノン系)5重量部とを混合した粘着剤組成物を厚さ10μmとなるように塗布して粘着テープを得た。この粘着テープの測定・評価結果を表3、表4に示す。
【0149】
【表1】

【0150】
【表2】

【0151】
【表3】

【0152】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明のウエハ加工用粘着テープは、ウエハのダイシングによる切断加工時に、ウエハの欠けや亀裂の大きさを30μm以下に小さくし、その発生率も極小化させることができるので、加工時のチップ不良発生を画期的に防止することができる。また、低プローブタック力でウエハを固定保持することができるため、光や電子線硬化装置等の特別な装置を用いることなく切断加工ができる。
本発明の製造方法によれば、異なる材料で構成される各層の厚み均一性と表面性が良好で、異物の発生が無い多層構造の本発明の粘着テープを、簡単な製造工程で生産性良く製造できる。
本発明のウエハ加工用粘着テープの使用方法によれば、粘着力を低下させる特別な装置を使わずにチップを本発明の粘着テープから剥離ができる。
【符号の説明】
【0154】
1 基材層
2 粘着層
3 中間層
3a 第一中間層
3b 第二中間層
4 表面層
5 離型テープ
6 ロール
10 ウエハ加工用粘着テープ
20 チップ
22 欠け
23 亀裂
24 欠け或いは亀裂の長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層の片面にプロピレン、1−ブテン及び炭素原子数5〜12のα−オレフィンを単位成分とするα−オレフィン共重合体1種または2種以上の混合物を30重量%で含有する粘着層を有する粘着テープであって、該粘着層の15〜35℃における貯蔵弾性率G'が1MPa以上であり、損失弾性率G"の貯蔵弾性率G'に対する比であるtanδが、0.05以上であることを特徴とするウエハ加工用粘着テープ。
【請求項2】
前記粘着層が、前記α−オレフィン共重合体と、熱可塑性エラストマーと、エチレンと他のα−オレフィンとのコオリゴマーとからなり、α−オレフィン共重合体が連続相を形成し、熱可塑性エラストマーが分散相を形成していることを特徴とする請求項1に記載のウエハ加工用粘着テープ。
【請求項3】
前記熱可塑性エラストマーが、一般式A−B−AまたはA−B(Aは芳香族ビニル重合体ブロックまたは結晶性を示すオレフィン重合体ブロックを示し、Bはジエン重合体ブロック、またはこれを水素添加してなるオレフィン重合体ブロックを示す)で表されるブロック共重合体であることを特徴とする請求項2に記載のウエハ加工用粘着テープ。
【請求項4】
前記α−オレフィン共重合体の1種が、プロピレン、1−ブテン及び炭素原子数が5〜12のα−オレフィンを共重合してなるα−オレフィン共重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のウエハ加工用粘着テープ。
【請求項5】
前記炭素原子数5〜12のα−オレフィンが、4−メチル−1−ペンテンであることを特徴とする請求項に記載のウエハ加工用粘着テープ。
【請求項6】
前記基材層が、1層または複数の層からなり、オレフィン系重合体を主成分として含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のウエハ加工用粘着テープ。
【請求項7】
前記基材層が、表面層と中間層とからなり、表面層、中間層、粘着層の順に3層積層されてなることを特徴とする請求項6に記載のウエハ加工用粘着テープ。
【請求項8】
前記中間層が、オレフィン系重合体と熱可塑性エラストマーとからなり、オレフィン系重合体が連続相を形成し、熱可塑性エラストマーが分散相を形成していることを特徴とする請求項7に記載のウエハ加工用粘着テープ。
【請求項9】
前記中間層が複数の層からなり、そのうちの少なくとも1層が、前記オレフィン系重合体と熱可塑性エラストマーとからなり、オレフィン系重合体が連続相を形成し、熱可塑性エラストマーが分散相を形成していることを特徴とする請求項7に記載のウエハ加工用粘着テープ。
【請求項10】
前記熱可塑性エラストマーが、一般式A−B−AまたはA−B(Aは芳香族ビニル重合体ブロックまたは結晶性を示すオレフィン重合体ブロックを示し、Bはジエン重合体ブロック、またはこれを水素添加してなるオレフィン重合体ブロックを示す)で表されるブロック共重合体であることを特徴とする請求項8または9に記載のウエハ加工用粘着テープ。
【請求項11】
前記表面層が、オレフィン系重合体を主成分として含有することを特徴とする請求項7〜10のいずれか一項に記載のウエハ加工用粘着テープ。
【請求項12】
20〜80℃の温度範囲において、JIS Z0237(参考)に準拠して測定されるプローブタック力が、0.01〜1N/5mmφの範囲にあることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のウエハ加工用粘着テープ。
【請求項13】
共押出成形法によって成形されてなるものであることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載のウエハ加工用粘着テープ。
【請求項14】
1層または複数の層からなる基材層と、該基材層の片面に積層される炭素原子数2〜12のα−オレフィンから選ばれる少なくとも2種のα−オレフィンを主な単位成分とするα−オレフィン共重合体の、1種または2種以上の混合物を主成分として含有する粘着層とを有する粘着テープの製造方法であって、基材層及び粘着層を構成する重合体のメルトフローレート(MFR、ASTM D1238に準拠し温度230℃荷重2.16kgによる測定値)が5〜40g/10分、かつ隣合う層でのMFR差が10g/10分以下であり、溶融温度が200〜260℃で、かつ隣合う層の溶融温度差が30℃以下になるようにして多層ダイを用い共押出成形法により成形することを特徴とする請求項6〜11のいずれか一項に記載のウエハ加工用粘着テープの製造方法。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか一項に記載のウエハ加工用粘着テープとウエハとを20〜80℃で圧着したのち、15〜35℃でウエハをチップに切断加工し、次いで該粘着テープを40〜80℃で拡張し、その後、室温でチップをピックアップして粘着テープから剥離することを特徴とするウエハ加工用粘着テープの使用方法。
【請求項16】
前記ウエハが、表面に回路パターンが形成された半導体ウエハであり、前記切断加工がダイシングであることを特徴とする請求項15に記載のウエハ加工用粘着テープの使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−36374(P2012−36374A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124009(P2011−124009)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【分割の表示】特願2000−356807(P2000−356807)の分割
【原出願日】平成12年11月22日(2000.11.22)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】