説明

ウエハ搬送装置

【課題】複数の検査室によって共有することによりフットプリントを削減することができるウエハ搬送装置を提供する。
【解決手段】本発明のウエハ搬送装置10は、筐体Fを収納するウエハ収納室11と、ウエハ収納室11の下側に配置されたプリアライメント室12と、ウエハ収納室11及びプリアライメント室12に沿って上下方向に配置され且つウエハ収納室11とプリアライメント室12との間で半導体ウエハを搬送する第1のウエハ搬送機構13を有する第1のウエハ搬送室14と、第1のウエハ搬送室14とでプリアライメント室12を挟む位置に配置されアライメント室15と、第1のウエハ搬送室14、プリアライメント室12及びアライメント室15の配列方向に沿って移動すると共に上下方向に移動する第2のウエハ機構16を有する第2のウエハ搬送室17と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハの電気的特性検査を行うウエハ検査装置に用いられるウエハ搬送装置に関し、更に詳しくは、フットプリントを削減することができるウエハ搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエハ検査装置としては、例えばウエハをそのままの状態で複数のデバイスについて電気的特性検査を行うプローブ装置や、ウエハ状態のまま加速検査を行うバーンイン検査装置等がある。
【0003】
プローブ装置は、通常、ウエハを搬送するローダ室と、ウエハの電気的特性検査を行う検査室と、を備え、ローダ室及び検査室内の各種の機器を制御装置によって制御し、ウエハの電気的特性検査を行うように構成されている。ローダ室は、ウエハをカセット単位で載置するカセット載置部と、カセットと検査室との間でウエハを搬送するウエハ搬送機構と、ウエハ搬送機構でウエハを搬送する間にウエハのプリアライメントを行うプリアライメント機構と、を備えている。検査室は、ローダ室からのウエハを載置し、X、Y、Z及びθ方向に移動する載置台と、載置台の上方に配置されたプローブカードと、載置台と協働してプローブカードの複数のプローブとウエハの複数の電極とのアライメントを行うアライメント機構と、を備え、載置台とアライメント機構とが協働してウエハとプローブカードのアライメントを行った後、ウエハの電気的特性検査を行うように構成されている。
【0004】
また、バーイン検査装置の場合には、例えば特許文献1において開示されているように、ウエハトレイで保持されたウエハの複数の電極とプローブシートの複数のバンプの位置合わせを行った後、ウエハトレイ、ウエハ及びプローブシート等を真空吸着により一体化して一枚のカードとして組み立て、このカードを搬送してバーインユニット内に装着し、バーンインユニット内で所定の高温下でウエハの加速検査を行う。
【0005】
【特許文献1】特開平11−186349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のプローブ装置の場合には例えば次のような問題があった。例えばプローブ装置の場合には検査室内の載置台が半導体ウエハのアライメント時にX、Y、Z及びθ方向へ移動するウエハ搬送機構として機能しているため、一つの検査室に対するウエハ搬送装置としてローダ室内のウエハ搬送機構と検査室内のX、Y、Z及びθ方向へ移動可能な載置台とを備えており、ウエハ搬送装置としての専有スペースが広くなっている。デバイスの生産能力に応じてプローブ装置を複数台設置すると、従来のプローブ装置ではウエハ搬送装置の専用スペースがローダ室と検査室の双方に及ぶため、プローブ装置の設置台数の増加に伴ってウエハ搬送装置としてのフットプリントが格段に広くなり、設置コストも高くなる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、複数の検査室によって半導体ウエハの搬送スペースを共有し、フットプリントを格段に削減することができるウエハ搬送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に記載のウエハ搬送装置は、半導体ウエハの電気的特性検査を行うために複数の検査室との間で筐体内に収納された上記半導体ウエハを搬送するウエハ搬送装置であって、上記筐体を収納するウエハ収納室と、上記ウエハ収納室の上下方向にいずれか一方に配置され且つ上記電気的特性検査に先立って上記半導体ウエハのプリアライメントを行なうプリアライメント室と、上記ウエハ収納室と上記プリアライメント室に沿って上下方向に配置され且つ上記ウエハ収納室から上記プリアライメント室へ上記半導体ウエハを搬送する第1のウエハ搬送室と、上記第1のウエハ搬送室とで上記プリアライメント室を挟む位置に配置され且つ上記半導体ウエハのアライメントを行なうアライメント室と、上記第1のウエハ搬送室、上記プリアライメント室及び上記アライメント室の配列方向に沿って配置され且つ上記プリアライメント室、上記アライメント室及び上記各検査室との間で上記半導体ウエハを搬送する第2のウエハ搬送室と、を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の請求項2に記載のウエハ搬送装置は、請求項1に記載の発明において、上記ウエハ収納室、上記プリアライメント室、上記アライメント室及び上記第2のウエハ搬送室が上記第1のウエハ搬送室を境として左右対称に配置されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の請求項3に記載のウエハ搬送装置は、請求項1または請求項2に記載の発明において、上記第1のウエハ搬送室は、上記ウエハ収納室から上記プリアライメント室へ上記半導体ウエハを搬送する第1のウエハ搬送機構を備えていることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の請求項4に記載のウエハ搬送装置は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明において、上記プリアライメント室は、上記半導体ウエハのプリアライメントを行なうプリアライメント機構を備えていることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の請求項5に記載のウエハ搬送装置は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の発明において、上記第2のウエハ搬送室は、上記プリアライメント室、上記アライメント室及び上記各検査室との間で上記半導体ウエハを搬送する第2のウエハ搬送機構を備えていることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の請求項6に記載のウエハ搬送装置は、請求項5に記載の発明において、上記プリアライメント室は、上記プリアライメント機構を介してプリアライメントされた上記半導体ウエハを上記第2のウエハ搬送機構へ移載するウエハ移載機構を備えていることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の請求項7に記載のウエハ搬送装置は、請求項5または請求項6に記載の発明において、上記第2のウエハ搬送機構は、上記半導体ウエハを搬送するために上記半導体ウエハを保持する保持板を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の検査室によって半導体ウエハの搬送スペースを共有し、フットプリントを格段に削減することができるウエハ搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のウエハ搬送装置が適用されたウエハ検査装置の一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示すウエハ搬送装置を示す正面図である。
【図3】図1に示すウエハ搬送装置を示す背面図である。
【図4】図1に示すウエハ搬送装置のプリアライメント室に用いられるウエハ移載機構及びアームの要部を示す斜視図である。
【図5】図1に示すウエハ搬送装置の第2のウエハ搬送機構のアームを示す斜視図である。
【図6】図1に示すウエハ搬送装置のアライメント室のアライメント機構とアームとの関係を説明するための説明図である。
【図7】図1に示すウエハ搬送装置に隣接する検査室とアド2の搬送アームとの関係を説明するための説明図である。
【図8】(a)〜(c)はそれぞれ図4に示すウエハ移載機構の動作を説明するための説明図である。
【図9】(a)、(b)はそれぞれ図6に示すアライメント室でのアライメント工程を示す図である。
【図10】(a)、(b)はそれぞれ図9に続くアライメント工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1〜図10に示す実施形態に基づいて本発明を説明する。
本実施形態のウエハ搬送装置10は、例えば図1に示すように、横方向に延びる検査領域50に沿って併設され、検査領域50内に複数列、複数段に渡って配列された検査室51との間で半導体ウエハWを搬送するように構成されている。これらの検査室51ではウエハ搬送装置10から搬送されるアライメント後の半導体ウエハWの電気的特性検査のみを行い、従来のようなアライメント時の半導体ウエハの搬送スペースを省略して構成されている。
【0018】
ウエハ搬送装置10は、図1〜図3に示すように、複数の半導体ウエハWが収容されたFOUP等の筐体Fを収納する上下二段のウエハ収納室11と、ウエハ収納室11の下方に配置されたプリアライメント室12と、上下二段のウエハ収納室11及びプリアライメント室12に沿って上下方向に移動可能に隣接して配置された第1のウエハ搬送機構13を有する第1のウエハ搬送室14と、第1のウエハ搬送室14とでプリアライメント室12を挟む位置に配置されたアライメント室15と、第1のウエハ搬送室14、プリアライメント室12及びアライメント室15の配列方向に沿って移動する第2のウエハ機構16を有する第2のウエハ搬送室17と、を備えている。
【0019】
そして、上下二段のウエハ収納室11、その下方のプリアライメント室12及びその右隣のアライメント室15は、図1、図2に示すように第1のウエハ搬送室14を境に左右対称に配置されている。第2のウエハ搬送室17内には左右の各室との間で半導体ウエハを搬送する2つの第2のウエハ搬送機構16が設けられている。第2のウエハ搬送室17は、図1、図3に示すように他の部屋から隔壁Pによって区画され、隔壁Pには半導体ウエハを搬出入する開口部Oが形成されている。
【0020】
ウエハ収納室11には筐体Fの蓋体を開閉する開閉機構(図示せず)が設けられ、第1のウエハ搬送室14内の第1のウエハ搬送機構13が筐体Fとの間で半導体ウエハWの搬出入する際に開閉機構を介して筐体Fの蓋体が開かれる。
【0021】
プリアライメント室12は、図2に示すように、第1のウエハ搬送機構13によって搬送される半導体ウエハWのプリアライメントを行なうプリアライメント機構18と、プリアライメント機構18から第2のウエハ搬送機構16へプリアライメント後の半導体ウエハWを移載するウエハ移載機構19と、ウエア移載機構19の上方に配置されたバッファ室20と、を備えている。バッファ室20内にはプローブカード(図示せず)を研磨する研磨板の収納棚及び半導体ウエハWを一時的に収納する収納棚が設けられている。
【0022】
而して、第1のウエハ搬送機構13は、図2に示すように、基台13Aと、基台13A上に回転軸を介して正逆回転可能に設けられた回転体13Bと、回転体13B上で一方向に往復移動するアーム13Cと、基台13Aを昇降させる昇降機構13Dと、を備え、アーム13Cが半導体ウエハWを真空吸着してウエハ収納室11及びプリアライメント室12に対して半導体ウエハWを搬出入するように構成されている。昇降機構13Dは、例えば、第1のウエハ搬送室14内の左右両壁に沿って設けられたボールネジ13Dと、各ボールネジ13Dとそれぞれ螺合するように基台13Aの両側に固定されたナット部材(図示せず)と、各ボールネジ13Dを回転駆動させるモータ(図示せず)と、を備え、基台13A及びアーム13Cを昇降させるように構成されている。
【0023】
プリアライメント室12内に設けられたプリアライメント機構18は、図2に示すように、第1のウエハ搬送機構13によって搬送される半導体ウエハWを真空吸着して正逆回転するサブチャック18Aと、サブチャック18Aを正逆回転させる駆動機構を内蔵する基台18Bと、サブチャック18Aを介して回転する半導体ウエハWのオリフラやノッチ等の目印を検出するセンサ(図示せず)と、を備え、サブチャック18Aを介して半導体ウエハWが回転している間にセンサで半導体ウエハWの目印を検出し、サブチャック18Aが半導体ウエハWを一定の向きに向けて停止するように構成されている。
【0024】
プリアライメント室12内に設けられたウエハ移載機構19は、図2、図4に示すように、半導体ウエハを把持するために互いに周方向に120°隔てて放射状に設けられた3本の把持棒19Aと3本の把持体19Aの下側で互いに周方向に180°隔てて設けられた2本の位置決め棒19Bと、これら両者に連結され且つ3本の把持棒19Aを伸縮させる伸縮機構を内蔵する駆動体19Cと、駆動体19Cを先端部で支持するアーム19Dと、アーム19Dを昇降可能に水平に支持する支持体19E(図2参照)と、を備え、3本の把持棒19Aが伸縮してプリアライメント後の半導体ウエハを把持して下降し、図4に示す第2のウエハ搬送機構16へ半導体ウエハを移載するように構成されている。把持棒19Aの先端部には側面形状がコ字状に折り返された支持部が形成されており、支持部19Aによって半導体ウエハの外周縁部を支持する。この支持部19Aは、半導体ウエハの外周縁部を真空吸着して支持するようになっている。従って、ウエハ移載機構19は、3本の把持棒19A先端の支持部19Aで半導体ウエハを吸着し、水平に把持すると共にアーム19Dを介して昇降することができる。また、2本の位置決め棒19Bの先端にはそれぞれピン19Bが垂下し、ピン19Bを介して第2のウエハ搬送機構13に対して位置決めするように構成されている。
【0025】
第2のウエハ搬送機構16は、図1、図3、図4に示すように、基台16Aと、基台16A上に回転軸を介して正逆回転可能に設けられた回転体16Bと、回転体16B上で一方向に往復移動する上下二枚のアーム16C、16Dと、基台16A及びアーム16C、16Dをプリアライメント室12及びアライメント室15の配列方向に往復移動させる移動機構16Eと、基台16A及びアーム16C、16Dを昇降させる昇降機構16Fと、を備え、基台16A及びアーム16C、16Dがプリアライメント室12及びアライメント室15に対して半導体ウエハWを搬出入するように構成されている。移動機構16Eは、第2のウエハ搬送室17の底面の両脇に配置されたボールネジを有し、基台16Aとアーム16C、16Dをレール16Gに従って横方向へ移動させるように構成されている。昇降機構16Eは、第1のウエハ搬送機構13の昇降機構13Dと同様に基台16A及びアーム16Cを上下方向へ移動させる。
【0026】
上下二枚のアーム16C、16Dは、図4に示す未検査の半導体ウエハを搬送する略矩形状の上アーム16Cと検査済みの半導体ウエハを搬送する略矩形状の下アーム16Dからなる。上アーム16Cは、図4に示すようにプリアライメント室12内でプリアライメント後の半導体ウエハを、ウエハ保持板21を介して吸着保持し、アライメント室15へ搬送するものである。上アーム16Cからウエハ保持体21を取り除くと、上アーム16Cは図5に示す下アーム16Dと実質的に同一形態で形成され、図5に示す下アーム16Dを同様に中央から先端寄りに矩形状の大きな孔16C(図6参照)が形成されている。上下のアーム16C、16Dは、実質的に同一形態を有するため、図5に示す下アーム16Dには上アーム16Cに準じた符号が付されている。
【0027】
ウエハ保持板21は、図4に示すように半導体ウエハと実質的に同一外径に形成されている。ウエハ保持板21の外周縁部の6箇所には周方向に等間隔を隔てて切欠部21Aが形成され、これらのうちの3箇所の切欠部21Aが半導体ウエハを把持する3本の把持棒19Aの支持部19Aが通り抜けるように形成されている。また、アーム16Cにはウエハ保持板21の切欠部21Aに対応する小孔16Cが形成されている。従って、ウエハ移載機構19は、3本の把持棒19Aの支持部19Aでプリアライメント後の半導体ウエハを把持し、サブチャック18Aからウエハ保持板21上に半導体ウエハを移載する時に3本の把持棒19Aの支持部19Aがウエハ保持板21の切欠部21A及び小孔16Cを通り抜ける。
【0028】
また、図4に示すように、ウエハ保持板21の外周にはウエハ移載機構19の2本の位置決め棒19Bのピン19Bがそれぞれ嵌入する孔21Bを有する張り出し部21Bが周方向に180°隔てて形成されている。一方の孔21Bは、ピンより若干大径の円形状に形成され、他方の孔(図示せず)は、ウエハ保持板21の径方向に延びる長孔状に形成されている。
【0029】
アライメント室15内には、例えば図6に示すようにアライメント機構22が設けられている。このアライメント機構22は、同図に示すように、床面(図示せず)上に設けられ且つ上下方向及び水平方向へ移動するように構成された移動体22Aと、移動体22Aを囲んで床面上に固定され且つアーム16Cを所定の位置に位置決めする環状の位置決め部材22Bと、移動体22Aと協働して第2のウエハ搬送機構16の上アーム16C上に載置されたウエハ保持体21を介して半導体ウエハWをアライメントする第1、第2のカメラ22C、22Cと、第1、第2のカメラ22C、22Cが固定されたブリッジ22Dと、を備え、第1、第2のカメラ22C、22Cがそれぞれの焦点位置(アライメント高さ)で半導体ウエハWの上面を撮像するように構成されている。第1のカメラ22Cは、アライメント室13内のXY座標の中心(XY座標の原点)に配置されて半導体ウエハの中心(図示せず)を撮像するように配置され、第2のカメラ22CはXY座標の座標軸上に配置されて半導体ウエハWの周縁部のターゲットマーク(図示せず)を撮像するように配置されている。そして、第1、第2のカメラ22C、22Cは、それぞれ半導体ウエハWの中心とターゲットマークを撮像し、制御装置はこれらの位置情報に基づいて半導体ウエハの中心とターゲットマークの結ぶラインを求め、ラインの座標軸に対する傾きを求めると共に予め登録されているプローブカードの複数のプローブに対応する半導体ウエハWの電極からの位置ズレを補正するようにしてある。
【0030】
位置決め部材22Bは、図6に示すように移動体22Aの外径より大きな内径を有する円環状の板部材として形成され、その上面には周方向に所定間隔を空けて複数(例えば3個)の突起22Bが形成されている。複数の突起22Bは、第1のカメラ22Cを中心とする円周上に配置され、それぞれのXY座標値がXY座標の原点から等距離を隔てた位置に予め設定されている。また、アライメント室15では、そのXY座標が検査室51内のプローブカードの複数のプローブの針先のXY座標値に対応する半導体ウエハWのXY座標が設定される。つまり、アライメント室内のXY座標は、検査室51内のXY座標と同一の関係に設定されている。
【0031】
また、上アーム16Cの下面には位置決め部材22Bの複数の突起22Bとそれぞれ嵌合する凹部16Cが形成されており、上アーム16Cがアライメント室15内に進出し、凹部16Cを位置決め部材22Bの突起22Bに嵌合させて着座するように構成されている。そして、移動体22Aが上アーム16Cの孔16Cを通り抜け、孔16C内でXY方向に移動できるようになっている。
【0032】
ウエハ保持体21の中央部真下には移動体22Aが位置している。移動体22Aは、ウエハ保持体21の真下から鉛直方向に上昇し、ウエハ保持体21と接触し上アーム16Cの孔16Cを通り抜けてウエハ保持板21を上アーム16Cからアライメント高さまで持ち上げるようになっている。また、移動体22Aは、アライメント高さにおいて上アーム16Cの孔16Cの範囲内でXY方向へ移動し、第1、第2のカメラ22C、22Cと協働して半導体ウエハWのアライメントを行うようになっている。更に、移動体22Aは、アライメント後には元の位置に戻る間にアライメント後の半導体ウエハWをウエハ保持板21と一緒に上アーム16C上に戻すようにしてある。アライメント後の半導体ウエハWは、上アーム16Cによってウエハ保持体21と一緒にアライメント室15から退室し、検査室51へ搬送される。
【0033】
また、検査領域50には、その領域50に沿って複数(本実施形態では5箇所)の検査室51が配列されており、これらの検査室51では第2のウエハ搬送機構16によってウエハ保持体21と一緒に搬送されるアライメント済みの半導体ウエハWについて電気的特性検査を行うように構成されている。また、検査室51は、検査領域50の各配列位置において上下方向に複数段に渡って積層されている。各層の検査室51は、いずれも同一構造を備えている。そこで、以下では一つの検査室51を例に挙げて、例えば図7を参照しながら説明する。
【0034】
検査室51は、図7に示すように、ヘッドプレート52に円環状の固定リング53を介して固定されたプローブカード54と、プローブカード54をテスタ(図示せず)に接続するためにヘッドプレート52で保持された複数のポゴピンブロック55と、ウエハ保持体21を半導体ウエハWと一緒に第2のウエハ搬送アーム16の上アーム16Cから持ち上げる昇降体56と、昇降体56を囲み上アーム16Cの位置決めを行うリング状の位置決め部材57と、を備えている。プローブカード54の外周縁部の下面には複数のプローブ54Aを囲む所定幅のリング状に形成されたウエハ吸着用シール部材(以下、単に「シール部材」と称す。)58が配置され、プローブカード54の外周縁部がその下面のシール部材58を介してヘッドプレート52と固定リング53によって弾力的に挟持されている。
【0035】
プローブカード54の外周縁部にはシール部材58の内周面と複数のプローブ54Aの間に位置する排気通路(図示せず)の開口部が形成されている。この排気通路には真空ポンプ等の排気手段が接続され、図7に矢印で示すように排気通路を介してプローブカード54の外周縁部から排気するようにしてある。
【0036】
また図7に示すように、位置決め部材57の上面には検査室51内に進出する上アーム16Cの凹部16Cと嵌合する複数の突起57Aが周方向に所定間隔を空けて形成されている。これらの突起57Aは、アライメント室15内の位置決め部材22Bに形成された複数の突起22Bに対応させて同一のXY座標となる位置に配置されている。つまり、検査室51内のXY座標とアライメント室15のXY座標が鏡像関係にあって、上アーム16Cが位置決め部材57上に位置決めされて着座し、アライメント室15においてアライメントされたウエハ保持板21上の半導体ウエハWが昇降体56によって持ち上げられると、半導体ウエハWの複数の電極がプローブカード54の複数のプローブ52Aと確実に接触するようになっている。ここで、昇降体56及び位置決め部材57は、アライメント室15内のものに準じて構成されている。
【0037】
昇降体56は、位置決め部材57の複数の突起57Aにおいて支持する上アーム16Cからウエハ保持体21をプローブカード54に向けて鉛直方向に持ち上げ、半導体ウエハWの周縁部をシール部材21に接触させて密閉空間を作ることができる。ここで真空ポンプが排気通路を介して密閉空間を真空引きすることにより、半導体ウエハWがシール部材21に真空吸着され、半導体ウエハWの複数の電極と対応するプローブカード54の複数のプローブ54Aが互いに接触する。また、昇降体56は、真空吸着後の半導体ウエハWをプローブカード54側に残して下降してウエハ保持体21を半導体ウエハWから分離し、上アーム16Cへ戻すことができる。そのため、上アーム16Cがウエハ保持体21を載せて検査室51から退出し、昇降体56が再び上昇して半導体ウエハWと複数のプローブを圧接させることにより、半導体ウエハWの検査を行うことができる。検査後には、検査済みの半導体ウエハWが第2のウエハ搬送機構16の下アーム16Dを介して検査室51からプリアライメント室12内のバッファ室20へ搬送される。バッファ室20内の検査済み半導体ウエハWは、第1のウエハ搬送機構13を介してバッファ室20からウエハ収納室11内の筐体F内の元の場所へ搬送される。
【0038】
次に、動作について説明する。まず、ウエハ搬送装置10の各ウエハ収納室11内にFOUP等の筐体Fが載置される。半導体ウエハWの検査を行う時には、第1のウエハ搬送室14では第1のウエハ搬送機構13が駆動し、アーム13Cを介して筐体Fから半導体ウエハWを一枚ずつ搬出し、図8の(a)に示すようにプリアライメント室12内のプリアライメント機構18へ半導体ウエハWを搬送し、ここで半導体ウエハWのプリアライメントが行われる。その後、ウエハ移載機構19が作動し、図8の(b)に示すように3本の把持棒19Aによって半導体ウエハWを把持して持ち上げる。この時、第2のウエハ搬送室17内で第2のウエハ搬送機構16が作動し、上アーム16Cがウエハ保持体21を吸着した状態でプリアライメント機構18とウエハ移載機構19の間に進出し、半導体ウエハWの中心とウエハ保持体21の中心が一致する地点で停止する。
【0039】
引き続き、ウエハ移載機構19の3本の把持棒19Aがアーム19Dを介して下降し、3本の把持棒19Aの支持部19Aがそれぞれウエハ保持体21の切欠部21A及び上アーム16Cの小孔16Cを通り抜け、半導体ウエハWをウエハ保持体21上に載置する。3本の把持棒19Aは上アーム16Cの小孔16C内で伸びて半導体ウエハWを開放した後、3本の把持棒19Aが図8の(c)に示すようにアーム19Dを介して上昇して初期位置へ戻る。半導体ウエハWが第2のウエハ搬送機構16へ移載されると、上アーム16Cがプリアライメント室14から退出し、下アーム16Cがアライメント室15と対峙する位置まで移動する。
【0040】
第2のウエハ搬送機構16の上アーム16Cが図9の(a)に示すようにアライメント室15内の位置決め部材22Bの真上まで進出し、下降すると、上アーム16Cの凹部16Cと位置決め部材22Bの突起22Bが嵌合し、アライメント室15における上アーム16Cの位置決めが自動的に行われる。位置決め後、同図の(b)に矢印で示すように移動体22Aが上昇する。
【0041】
移動体22Aが上昇してウエハ保持板21と接触し、更に図10の(a)に示すようにアライメント高さまで上昇して停止する。この位置で第1、第2のカメラ22C、22Cが作動し、第1のカメラ22Cが半導体ウエハを撮像して半導体ウエハWの中心を認識する。第1のカメラ22Cが半導体ウエハWの中心を認識できない時には、上アーム16Cの孔16Cの範囲内でXY方向へ移動する間に第1のカメラ22Cが半導体ウエハWの中心を探し、第1のカメラ22Cで中心を認識する。次いで、第2のカメラ22Cが半導体ウエハWの周縁部のターゲットを撮像し、中心とターゲットを結ぶラインと座標軸とから半導体ウエハWのθ方向の傾きを認識する。第2のカメラ22Cが半導体ウエハWの傾きを認識すると、移動体22Aがθ方向に回転して半導体ウエハWの傾きを補正する。引き続き、第1のカメラ22Cが半導体ウエハWの中心を再度確認し、半導体ウエハWの中心を確認するという一連の動作によって半導体ウエハWのアライメントを終了する。
【0042】
アライメント後には、移動体22Aが元の位置まで下降するが、その途中でウエハ保持板21がアライメント後の半導体ウエハWと一緒に上アーム16C上に載置される。その後、上アーム16Cが図10の(b)に矢印で示すようにアライメント後の半導体ウエハWをウエハ保持体21と一緒にアライメント室15から退出し、所定の検査室51までアライメント後の半導体ウエハWを搬送する。
【0043】
第2のウエハ搬送機構16の上アーム16Cが図7に示すように検査室51内に進出し、位置決め部材57を介して検査室51内でアライメント室15内でのアライメントされたXY座標位置を再現する。その後、昇降体22が上昇してウエハ保持体21を鉛直方向に持ち上げると、半導体ウエハWは外周縁部がシール部材58と弾力的に接触すると共に半導体ウエハWの複数の電極とプローブカード54の複数のプローブ54Aとが一括して接触し、プローブカード54と半導体ウエハWとの間に密閉空間が形成される。この時、排気手段によって密閉空間を減圧すると半導体ウエハWがシール部材58と密着した状態になる。この状態で昇降体56がウエハ保持体21を保持したまま下降し、上アーム16C上にウエハ保持体21を引き渡す。その後、上アーム16Cが検査室51から退出すると共に、昇降体56が再度上昇して半導体ウエハWをプローブカード54側へ押圧して半導体ウエハWの複数の電極と複数のプローブ54Aとを電気的に接触させると、半導体ウエハWの電気的検査が行われる。
【0044】
検査を終了すると、排気手段による真空吸着を解除し、密閉空間を常圧に戻した後、昇降体56が検査済みの半導体ウエハWを伴って元の位置に戻る間に、下アーム16Dが昇降体22から検査済みの半導体ウエハWを受け取って検査室51から退出し、バッファ室20へ検査済みの半導体ウエハWを収納する。引き続き、第1のウエハ搬送機構13が駆動して検査済み半導体ウエハWをバッファ室20からウエハ収納室11内の筐体F内へ戻す。これらの一連の動作によって半導体ウエハWの検査を終了する。他の半導体ウエハWについても同様に検査が行われる。
【0045】
以上説明したように本実施形態によれば、上下左右方向にウエハ収納室11、プリアライメント室12及びアライメント室15を配列し、上下に配列されたウエハ収納室11とプリアライメント室12に沿って第1のウエハ搬送機構13を有する第1のウエハ搬送室14を設けると共に、横方向に配列されたプリアライメント室12とアライメント室15に沿って第2のウエハ機構16を有する第2のウエハ搬送室17を設けてウエハ搬送装置10を構成し、このウエハ搬送装置10を複数の検査室51によって共用するため、従来と比較してウエハ搬送装置10のフットプリントを格段に削減することができ、検査システムとしてのコストを格段に低減することができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、ウエハ収納室11、プリアライメント室12、アライメント室15及び第2のウエハ搬送室17が第1のウエハ搬送室14を境として左右対称に配置されているため、検査システムを更にコンパクトに纏めることができ、フットプリントを更に削減し、コストを更に低減することができる。
【0047】
また、プリアライメント室12は、半導体ウエハWのプリアライメントを行なうプリアライメント機構18と、プリアライメント機構18を介してプリアライメントされた半導体ウエハWを第2のウエハ搬送機構16へ移載するウエハ移載機構19と、を備えているため、プリアライメント機構18から第2のウエハ搬送機構16へプリアライメント後の半導体ウエハWを正確且つ迅速に移載することができる。
【0048】
また、第1のウエハ搬送機構13は、上下方向に移動する基台13Aと、基台13A上に水平方向に移動可能に配置されたアーム13Bと、を有し、アーム13Bを介して上下のウエハ収納室11とプリアライメント室12との間で上記半導体ウエハを搬送するようにしたため、第1のウエハ搬送室14、ウエハ収納室11及びプリアライメント室12のフットプリントを削減することができる。
【0049】
第2のウエハ搬送機構16は、プリアライメント室12及びアライメント室15の配列方向に沿って移動すると共に上下方向に移動する基台16Aと、基台16A上に水平方向に移動可能に配置された上下二枚のアーム16C、16Dと、を有し、少なくともプリアライメント室12、アライメント室15及び検査室51との間で半導体ウエハWを搬送するため、プリアライメント室12、アライメント室15及び検査室51との間で半導体ウエハWを効率よく搬送することができる。
【0050】
本発明は、上記実施形態に何ら制限されるものではなく、必要に応じて各構成要素を設計変更することができる。
【符号の説明】
【0051】
10 ウエハ搬送装置
11 ウエハ収納室
12 プリアライメント室
13 第1のウエハ搬送機構
14 第1のウエハ搬送室
15 アライメント室
16 第2のウエハ搬送機構
16C 上アーム
17 第2のウエハ搬送室
19 ウエハ移載機構
W 半導体ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウエハの電気的特性検査を行うために複数の検査室との間で筐体内に収納された上記半導体ウエハを搬送するウエハ搬送装置であって、上記筐体を収納するウエハ収納室と、上記ウエハ収納室の上下方向にいずれか一方に配置され且つ上記電気的特性検査に先立って上記半導体ウエハのプリアライメントを行なうプリアライメント室と、上記ウエハ収納室と上記プリアライメント室に沿って上下方向に配置され且つ上記ウエハ収納室から上記プリアライメント室へ上記半導体ウエハを搬送する第1のウエハ搬送室と、上記第1のウエハ搬送室とで上記プリアライメント室を挟む位置に配置され且つ上記半導体ウエハのアライメントを行なうアライメント室と、上記第1のウエハ搬送室、上記プリアライメント室及び上記アライメント室の配列方向に沿って配置され且つ上記プリアライメント室、上記アライメント室及び上記各検査室との間で上記半導体ウエハを搬送する第2のウエハ搬送室と、を備えていることを特徴とするウエハ搬送装置。
【請求項2】
上記ウエハ収納室、上記プリアライメント室、上記アライメント室及び上記第2のウエハ搬送室が上記第1のウエハ搬送室を境として左右対称に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のウエハ搬送装置。
【請求項3】
上記第1のウエハ搬送室は、上記ウエハ収納室から上記プリアライメント室へ上記半導体ウエハを搬送する第1のウエハ搬送機構を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のウエハ搬送装置。
【請求項4】
上記プリアライメント室は、上記半導体ウエハのプリアライメントを行なうプリアライメント機構を備えていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のウエハ搬送装置。
【請求項5】
上記第2のウエハ搬送室は、上記プリアライメント室、上記アライメント室及び上記各検査室との間で上記半導体ウエハを搬送する第2のウエハ搬送機構を備えていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のウエハ搬送装置。
【請求項6】
上記プリアライメント室は、上記プリアライメント機構を介してプリアライメントされた上記半導体ウエハを上記第2のウエハ搬送機構へ移載するウエハ移載機構を備えていることを特徴とする請求項5に記載のウエハ搬送装置。
【請求項7】
上記第2のウエハ搬送機構は、上記半導体ウエハを搬送するために上記半導体ウエハを保持する保持板を有することを特徴とする請求項5または請求項6に記載のウエハ搬送装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−33809(P2013−33809A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168421(P2011−168421)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】