説明

ウエハ検査装置

【課題】 回路パターンが形成されたウエハの欠陥の種類を分類するウエハ検査装置を提供する。
【解決手段】 検査の対象となるウエハがウエハ欠陥検査部11で検査され、該ウエハ欠陥検査部11から座標値データS11 が出力される。座標値データS11 は画像データ生成部12に入力され、該画像データ生成部12でウエハの欠陥を表す図形が各チップ毎に作成されて画像データS12 が生成される。画像データS12 はパターン重なり評価部13に入力され、該パターン重なり評価部13で該画像データS12 に対応した第1の画像と回路の配線情報に基づいた回路パターンを表す第2の画像との重なりの状態が解析されて解析データS13 が出力される。解析データS13 は欠陥種自動分類部14に入力され、該欠陥種自動分類部14で各チップの被検査面上に存在する欠陥の種類が分類される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回路パターンが形成されたウエハの被検査面の欠陥の種類を例えばCAD(Computer Aided Design) 装置等を用いて分類するウエハ検査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図2は、従来のウエハ検査装置の一例を示す概略の構成図である。このウエハ検査装置は、パターン付きウエハ欠陥検査部1を有している。パターン付きウエハ欠陥検査部1は、回路の配線情報に基づいて回路パターンが各チップ毎に形成されたウエハの被検査面の画像を該各チップ毎に取り込み、該被検査面上に存在する欠陥の位置及び大きさを表す座標値データS1を該各チップ毎に生成して出力する機能を有している。パターン付きウエハ欠陥検査部1の出力側には、ウエハマップ表示部2が接続されている。ウエハマップ表示部2は、座標値データS1を入力し、前記各チップの被検査面上に存在する欠陥の位置及び大きさ等をウエハマップを用いて表示するものである。
【0003】このウエハ検査装置では、検査の対象となるウエハがウエハ欠陥検査部1で検査され、該ウエハ欠陥検査部1から座標値データS1が出力される。座標値データS1はウエハマップ表示部2に入力され、該ウエハマップ表示部2で該座標値データS1に対応したウエハマップが表示される。図3は、図2中のウエハマップ表示部2における表示画面の一例を示す模式図である。
【0004】この表示画面では、欠陥の数が対応する場所に数字で表示され、欠陥の形状が例えば“○”印等で表示されている。そして、このウエハ検査装置では、担当者の目視によって図3のウエハマップにおける欠陥分布、欠陥数及び欠陥の大きさの欠陥管理が行われ、サンプリング手法を用いて欠陥解析が行われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の図2のウエハ検査装置では、次の(i)〜(ii)のような課題があった。
(i) 図2のウエハ検査装置では、表示画面に欠陥が表示されるのみであり、欠陥と回路パターンとの相関を考慮した欠陥解析が不可能である。
【0006】(ii) 図2のウエハ検査装置では、回路パターンと欠陥位置及び欠陥の大きさとの相関関係を表現することができない。そのため、例えば2本のパターンが短絡している場合、致命的な欠陥になるか否かの判別が不可能であった。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するために、本発明のうちの請求項1に係る発明は、ウエハ検査装置において、回路の配線情報に基づいて回路パターンが各チップ毎に形成されたウエハの被検査面の画像を該各チップ毎に取り込み、該被検査面上に存在する欠陥の位置及び大きさを表す座標値データを該各チップ毎に生成して出力するウエハ検査手段と、前記各座標値データに基づいて前記各欠陥を表す図形を前記各チップ毎に作成して該図形に対応した画像データを生成する画像データ生成手段と、前記画像データを入力し、該画像データに対応した第1の画像と前記配線情報に基づいた回路パターンを表す第2の画像との重なりの状態を解析して解析データを出力する解析手段と、前記解析データを入力し、該解析データに基づいて前記各欠陥の種類を分類する分類手段とを、備えている。
【0008】このような構成を採用したことにより、ウエハがウエハ検査手段にかけられて該ウエハの被検査面の画像が各チップ毎に取り込まれ、該ウエハ検査手段から欠陥の位置及び大きさを表す座標値データが出力される。座標値データは画像データ生成手段に入力され、該画像データ生成手段から画像データが出力される。画像データは解析手段に入力され、該解析手段で該画像データに対応した第1の画像と回路パターンを表す第2の画像のうちの前記座標値データに対応する部分との重なりの状態が解析されて解析データが出力される。解析データは分類手段に入力され、該分類手段で前記各欠陥の種類が分類される。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施形態を示すウエハ検査装置の概略の構成図である。このウエハ検査装置は、ウエハ検査手段(例えば、パターン付きウエハ欠陥検査部)11を有している。パターン付きウエハ欠陥検査部11は、例えば、走査型電子顕微鏡(Scanning Electronic Microscope、以下、「SEM」という)等を備え、回路の配線情報に基づいて回路パターンが各チップ毎に形成されたウエハの被検査面の画像を該各チップ毎に取り込み、該被検査面上に存在する欠陥の位置及び大きさを表す座標値データS11 を該各チップ毎に生成して出力する機能を有している。パターン付きウエハ欠陥検査部11の出力側には、画像データ生成手段(例えば、画像データ生成部)12が接続されている。画像データ生成部12は、例えばCAD装置等で構成され、各座標値データS11 に基づいて前記各欠陥を表す図形を前記各チップ毎に作成して画像データS12 を生成するものである。画像データ生成部12の出力側には、解析手段(例えば、パターン重なり評価部)13が接続されている。パターン重なり評価部13は、例えばCAD装置等で構成され、画像データS12 を入力し、該画像データS12 に対応した第1の画像と前記配線情報に基づいた回路パターンを表す第2の画像との重なりの状態を解析して解析データS13 を出力する機能を有している。パターン重なり評価部13の出力側には、分類手段(例えば、欠陥種自動分類部)14が接続されている。欠陥種自動分類部14は、例えばCAD装置等で構成され、解析データS13 を入力し、該解析データS13 に基づいて前記各欠陥の種類を分類するものである。
【0010】図4、図5及び図7は、図1中の欠陥種自動分類部14で分類されたパターンの重なりの状態の例を示す模式図である。これらの図を参照しつつ、図1の動作を説明する。このウエハ検査装置では、検査の対象となるウエハがウエハ欠陥検査部11で検査され、該ウエハ欠陥検査部11から座標値データS11 が出力される。座標値データS11 は画像データ生成部12に入力され、該画像データ生成部12でウエハの欠陥を表す図形(例えば、CAD図形)が各チップ毎に作成されて画像データS12 が生成される。画像データS12 はパターン重なり評価部13に入力され、該パターン重なり評価部13で該画像データS12 に対応した第1の画像と回路の配線情報に基づいた回路パターンを表す第2の画像との重なりの状態が解析されて解析データS13 が出力される。この場合、解析データS13 は、例えば、回路パターンが占有する領域の座標値と異物が占有する領域の座標値との大小関係が比較されて求められる。解析データS13 は欠陥種自動分類部14に入力され、該欠陥種自動分類部14で各チップの被検査面上に存在する欠陥の種類が分類される。この分類のカテゴリは、例えば、次の(a)〜(d)のようなものがある。
【0011】(a) 電気的条件(例えば、回路パターン、ゲート、ビア等と異物との関係)に基づく分類(b) 異物の形状(例えば、異物のサイズやオーバラップ量)に基づく分類(c) 領域条件(即ち、異物の存在する領域)に基づく分類(d) 検査工程(即ち、異物が発生した工程)に基づく分類パターンの重なりの状態の分類は、例えば、次の(例1)〜(例5)のようなものがある。
【0012】(例1) パターンの重なりの本数に基づく分類例えば図4(a)では、パターンPと異物Qとが重なっていることが示され、欠陥種自動分類部14でパターンPの切断として分類される。図4(b)では、パターンP1が異物Qを介してパターンP2と接続されていることが示され、欠陥種自動分類部14で「ショートレベル1」として分類される。図4(c)では、パターンP1,P2,P3が異物Qを介して接続されていることが示され、欠陥種自動分類部14で「ショートレベル2」として分類される。
【0013】(例2) ゲート付近における異物に基づく分類例えば図4(d)では、パターンP上に形成されたゲートパターンG1,G2が異物Qを介して接続されていることが示され、欠陥種自動分類部14で「ゲート付近における異物」として分類される。
(例3) 重なりに基づく分類例えば図5(e)では、パターンP上に異物Qが重なっている部分が1箇所あることが示され、欠陥種自動分類部14で重なり1箇所として分類される。図5(f)では、パターンP1,P2上に異物Qが重なっている部分がそれぞれ1箇所あることが示され、欠陥種自動分類部14で「重なり2箇所」として分類される。
【0014】(例4) 包含に基づく分類例えば図5(g)では、パターンPの端部にビアHが接続され、該パターンP内に異物Qが包含されていることが示され、欠陥種自動分類部14で「包含1箇所」として分類される。
(例5) 接触に基づく分類例えば図5(h)では、パターンPの端部にビアHが接続され、該パターンPに異物Qが接触していることが示され、欠陥種自動分類部14で接触1箇所として分類される。図6(i)では、パターンP1,P2の端部にビアH1,H2がそれぞれ接続され、該ビアH1,H2に異物Qが接触していることが示され、欠陥種自動分類部14で「接触2箇所」として分類される。
【0015】ウエハの製造工程の途中でこのウエハ検査装置を用いてウエハを検査すれば、パターンの重なりの状態が(例1)〜(例5)のように分類され、次工程の製造作業の可否が判定される。以上のように、この実施形態では、欠陥種自動分類部14で異物Qと回路パターンP,P1,P2やビアH1,H2との相関関係の分類を行うようにしたので、致命的な欠陥になるか否かの判別が高速で行われる。そして、致命的な欠陥が判別された場合は、次工程の製造作業が行われないので、ウエハの歩留まりが向上し、効率的な製造作業が行われる。
【0016】尚、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。その変形例としては、例えば次のようなものがある。
(a) パターン付きウエハ欠陥検査部11は、SEMの他、ウエハの被検査面の画像を取り込んで欠陥の座標値データS11 を出力するものであれば、任意の装置でよい。
【0017】(b) 画像データ生成部12は、CAD装置に限らず、画像データS12 を生成するものであれば、任意の装置でよい。
(c) パターン重なり評価部13は、CAD装置に限らず、解析データS13 を生成するものであれば、任意の装置でよい。
(d) 欠陥種自動分類部14は、CAD装置等に限らず、解析データS13 を入力して各欠陥の種類を分類するものであれば、任意の装置でよい。
【0018】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、請求項1に係る発明によれば、分類手段で欠陥と回路パターンとの相関関係の分類を行うようにしたので、致命的な欠陥になるか否かの判別を高速で行うことができる。そして、致命的な欠陥が判別された場合は、次工程の製造作業が行われないので、ウエハの歩留まりを向上でき、効率的な製造作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のウエハ検査装置の構成図である。
【図2】従来のウエハ検査装置の構成図である。
【図3】図2における表示画面の模式図である。
【図4】図1におけるパターンの重なりの状態を示す模式図である。
【図5】図1におけるパターンの重なりの状態を示す模式図である。
【図6】図1におけるパターンの重なりの状態を示す模式図である。
【符号の説明】
11 パターン付きウエハ欠陥検査部(ウエハ検査手段)
12 画像データ生成部(画像データ生成手段)
13 パターン重なり評価部(解析手段)
14 欠陥種自動分類部(分類手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 回路の配線情報に基づいて回路パターンが各チップ毎に形成されたウエハの被検査面の画像を該各チップ毎に取り込み、該被検査面上に存在する欠陥の位置及び大きさを表す座標値データを該各チップ毎に生成して出力するウエハ検査手段と、前記各座標値データに基づいて前記各欠陥を表す図形を前記各チップ毎に作成して該図形に対応した画像データを生成する画像データ生成手段と、前記画像データを入力し、該画像データに対応した第1の画像と前記配線情報に基づいた回路パターンを表す第2の画像との重なりの状態を解析して解析データを出力する解析手段と、前記解析データを入力し、該解析データに基づいて前記各欠陥の種類を分類する分類手段とを、備えたことを特徴とするウエハ検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2000−294611(P2000−294611A)
【公開日】平成12年10月20日(2000.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−96853
【出願日】平成11年4月2日(1999.4.2)
【出願人】(000002325)セイコーインスツルメンツ株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】