説明

エアバッグ装置

【課題】着座した乗員の遠近に応じてエアバッグの膨張完了形状を規制可能なエアバッグ装置を提供すること。
【解決手段】本発明のエアバッグ装置は、膨張完了時の乗員側壁部35の収納部位からの離隔距離を規制されるエアバッグ26を備える。乗員側テザー部41の結合部位45で囲まれる面が、乗員側壁部35において乗員拘束面35aの中央エリア35bを構成している。車体側テザー部47若しくは乗員側テザー部41に連結される牽引ベルト53が、係止部材56により収納部位側に係止可能とされている。係止解除時に、車体側・乗員側テザー部47・41が伸長状態となって、中央エリア35bの収納部位側からの離隔距離が長く設定された状態となり、係止維持時に、車体側・乗員側テザー部47・41が牽引ベルト35に牽引されて、中央エリア35bの収納部位側からの離隔距離が短く設定された状態となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納部位に折り畳まれて収納されるとともに、内部に膨張用ガスを流入させて、収納部位から突出して展開膨張する袋状のエアバッグを備える構成のエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エアバッグ装置では、エアバッグ内に、テザーとして、乗員側壁部側に結合されるループ状の乗員側テザー部と、収納部位側に結合されるループ状の車体側テザー部と、を、ループの部位で相互に連結させた構成のテザーを配設させたものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−286543号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のエアバッグ装置では、乗員側テザー部に破断可能な部位を設け、エアバッグの膨張途中に、この部位を破断させて乗員側テザー部と車体側テザー部との連結状態を解除する構成であった。具体的には、従来のエアバッグ装置では、エアバッグの膨張初期において、乗員側テザー部と車体側テザー部とを連結させた状態で乗員側壁部を広く展開させ、その後、乗員側テザー部を破断させて車体側テザー部との連結を解除し、広く展開した状態の乗員側壁部を、角度を変更させずに乗員側へ移動させるようにして、エアバッグの膨張を完了させる構成であった。しかし、従来のエアバッグ装置では、エアバッグの膨張途中において乗員側テザー部が破断してしまうことから、エアバッグの膨張完了時において、乗員側壁部が、エアバッグを収納する収納部位側からの離隔距離を規制されないこととなって、着座した乗員の遠近に応じてエアバッグを膨張完了させる点に課題があった。
【0004】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、着座した乗員の遠近に応じてエアバッグの膨張完了形状を規制可能であり、かつ、膨張を完了させたエアバッグにより乗員を的確に保護可能なエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るエアバッグ装置は、収納部位に折り畳まれて収納されるとともに、内部に膨張用ガスを流入させて、収納部位から突出して展開膨張する袋状のエアバッグを備える構成とされ、
エアバッグが、膨張完了時に乗員側に配置される乗員側壁部と、収納部位側に配置されて収納部位に取り付けられる車体側壁部と、を備えるとともに、内部に配設されて収納部位側と乗員側壁部とに結合されるテザーにより、膨張完了時における乗員側壁部の収納部位からの離隔距離を規制される構成のエアバッグ装置であって、
テザーが、長尺状とされて、乗員側壁部に結合される乗員側テザー部と、乗員側テザー部に連結されて収納部位側に結合される車体側テザー部と、を備える構成とされ、
乗員側壁部において、乗員側テザー部を結合させて構成される結合部位で囲まれる面により、エアバッグの膨張完了時に乗員を拘束可能な乗員拘束面の中央エリアが構成されるように、乗員側テザー部が、帯状とされて、両端側を、乗員側壁部に結合させるとともに、両端の間で車体側テザー部と連結させる構成とされ、
乗員側壁部が、車体側テザー部若しくは乗員側テザー部に連結されるとともに、乗員を受け止めるエアバッグの好適膨張モードを判断する制御装置によって作動を制御される牽引手段により、収納部位側に引き込むように牽引可能な構成とされ、
牽引手段が、車体側テザー部若しくは乗員側テザー部に連結される牽引ベルトと、牽引ベルトの一端側を収納部位側に係止可能とされるとともに制御装置により作動を制御される1つの係止部材と、から構成され、
係止部材の係止解除時に、車体側テザー部及び乗員側テザー部が伸長状態となって、乗員側壁部における乗員拘束面の中央エリアの収納部位側からの離隔距離が長く設定された状態でエアバッグが膨張し、係止部材の係止維持時に、車体側テザー部及び乗員側テザー部が伸長状態よりも長さ寸法を短くするように牽引ベルトに牽引されて、乗員側壁部における乗員拘束面の中央エリアの収納部位側からの離隔距離が短く設定された状態でエアバッグが膨張することを特徴とする。
【0006】
本発明のエアバッグ装置では、着座している乗員の遠近に応じて、エアバッグが、乗員側壁部における乗員拘束面の中央エリアの収納部位側からの離隔距離を変更した状態で、膨張を完了させることとなる。そのため、例えば、制御装置が、小柄な乗員がエアバッグ装置に接近して着座していることを検知した場合には、牽引ベルトが係止部材による収納部位側への係止を維持された状態でエアバッグを展開膨張させれば、牽引ベルトが、車体側テザー部及び乗員側テザー部を、伸長状態よりも長さ寸法を短くするように、牽引することとなって、エアバッグが、伸長状態よりも長さ寸法を短くされた車体側テザー部及び乗員側テザー部により、乗員側壁部における乗員拘束面の中央エリアの収納部位側からの離隔距離が短く設定された状態で、膨張を完了させることとなる。逆に、制御装置が、大柄な乗員がエアバッグ装置から離れた位置に着座していることを検知した場合には、牽引ベルトが係止部材による収納部位側への係止を解除された状態でエアバッグが展開膨張することとなり、エアバッグが、伸長状態となった車体側テザー部及び乗員側テザー部により、乗員側壁部における乗員拘束面の中央エリアの収納部位側からの離隔距離を長く設定された状態で、膨張を完了させることとなって、厚く膨張したエアバッグにより、運動エネルギーの高い大柄乗員を、クッション性を確保して受け止めることができる。
【0007】
また、本発明のエアバッグ装置では、乗員側テザー部が、帯状とされるとともに、両端側となる2箇所で乗員側壁部に結合され、この乗員側テザー部を結合させて構成される結合部位で囲まれる面により、エアバッグの膨張完了時に乗員を拘束可能な乗員拘束面の中央エリアが構成される構成であることから、エアバッグが、乗員側壁部における乗員拘束面の中央エリアの収納部位側からの離隔距離を短く設定された状態で膨張を完了させた場合にも、乗員側壁部における乗員拘束面の中央エリアの収納部位側からの離隔距離を長く設定された状態で膨張を完了させた場合にも、乗員拘束面の中央エリアを平面状に確保することができ、中央を平らにした乗員拘束面により、乗員を安定して保護することができる。
【0008】
したがって、本発明のエアバッグ装置では、着座した乗員の遠近に応じてエアバッグの膨張完了形状を規制可能であり、かつ、膨張を完了させたエアバッグにより乗員を的確に保護することができる。
【0009】
また、本発明のエアバッグ装置では、牽引ベルトを収納部位側に係止させる1つの係止部材を、制御装置からの作動信号を受けて、係止維持、あるいは、係止解除するように作動させることにより、乗員側壁部における乗員拘束面の中央エリアの収納部位側からの離隔距離を変更させた状態で、エアバッグを膨張させることができる。すなわち、本発明のエアバッグ装置では、1つの係止部材により、エアバッグの膨張完了形状を規制することができることから、簡便な構成とすることができ、装置の重量増加や、製造コストの増加を、極力抑えることができる。
【0010】
さらに、本発明のエアバッグ装置において、車体側テザー部を、エアバッグに膨張用ガスを供給可能にエアバッグ内に挿入されるインフレーターの側方を覆い可能な幅寸法を備える帯状とするとともに、両端の間で車体側テザー部を連結させて、両端側を、インフレーターの両側近傍となる位置において、収納部位側に結合させて、インフレーターから吐出された膨張用ガスを、エアバッグ内で車体側テザー部の幅方向に沿って流すように整流可能に構成すれば、車体側テザー部により、エアバッグ内に流入する膨張用ガスの流入方向を制御することができて好ましい。
【0011】
そして、この場合、車体側テザー部を、車両の左右方向に略沿って配置させれば、車体側テザー部により、エアバッグ内に流入する膨張用ガスの流入方向を、車体側テザー部の幅方向に沿った方向側となる前後方向側あるいは上下方向側に迅速に展開させることが可能となって、乗員の頭部や腹部の前方に前後あるいは上下に広く展開させるように、エアバッグを展開させることができ、乗員の頭部や腹部を迅速に保護することが可能となる。
【0012】
さらにまた、上記構成のエアバッグ装置を、運転席の前方に配設されるステアリングホイール用のエアバッグ装置として、
エアバッグを、係止手段による係止を解除させた状態で膨張を完了させた際に、乗員側壁部における乗員拘束面を、ステアリングホイールのリング面と略平行に位置させる構成とし、
乗員側テザー部若しくは車体側テザー部を、エアバッグの膨張完了時において前後方向に略沿って配置させて、前後両端側を乗員側壁部若しくは収納部位側に結合させるとともに、両端の間で前記車体側テザー部若しくは前記乗員側テザー部と連結させる構成とし、
牽引ベルトの一端側を、前後方向に沿って配置される乗員側テザー部若しくは車体側テザー部に対し、牽引解除時の乗員側・車体側テザー部相互の連結部位の後方側となる位置で、連結させて、牽引維持時に、乗員拘束面における前記中央エリアを、後端側を前端側に比べてステアリングホイール側に接近させるように、牽引可能な構成とすることが好ましい。
【0013】
上記構成のエアバッグ装置では、牽引ベルトが係止部材による収納部位側への係止を維持された状態でエアバッグを展開膨張させた場合には、エアバッグが、乗員側テザー部若しくは車体側テザー部において、牽引解除時の乗員側・車体側テザー部相互の連結部位の後方側に位置する部位を、ステアリングホイール側に接近させるように、乗員側テザー部又は車体側テザー部を、牽引ベルトにより牽引された状態で、膨張を完了させることとなる。すなわち、上記構成のエアバッグ装置では、牽引ベルトが係止部材による収納部位側への係止を維持させるような牽引維持状態でエアバッグを展開膨張させた場合には、乗員側壁部における乗員拘束面の中央エリアを、後端側をステアリングホイール側に位置させ、前端側をステアリングホイールから離れた側に位置させるように、ステアリングホイールのリング面と交差する方向に沿って、略鉛直面に接近させるように傾斜させた状態で、エアバッグを膨張させることができる。その結果、上記構成のエアバッグ装置では、牽引ベルトが係止部材による収納部位側への係止を維持させるような牽引維持状態でエアバッグを展開膨張させた場合には、エアバッグを、前端側の部位を厚くして、後端側の部位を薄くするように、膨張させることができることから、ステアリングホイールに小柄乗員が近接して着座している場合に、膨張を完了させたエアバッグの後端側の部位により、小柄乗員の腹部を不必要に強く押圧することを防止することができる。
【0014】
なお、ステアリングホイールのリング面とは、ステアリングホイールにおいて操舵時に把持するリング部により周囲を囲まれる面であり、ステアリングホイールを組み付けるステアリングシャフトの軸方向と直交するように配置される面である。また、前後の方向は、ステアリングシャフトの軸直交方向であって車両の前後と一致する方向である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜3に、本発明の一実施形態であるステアリングホイール用のエアバッグ装置Mを示す。
【0016】
なお、実施形態における前後・上下・左右方向は、特に断らない限り、車両に搭載させたステアリングホイールWの直進操舵時を基準とするものであり、ステアリングホイールWを組み付けるステアリングシャフトSS(図3の二点鎖線参照)の軸方向に沿った上下を上下方向とし、ステアリングシャフトSSの軸直交方向である車両の前後を前後方向とし、ステアリングシャフトSSの軸直交方向である左右を左右方向として、前後・上下・左右方向を示すものである。
【0017】
エアバッグ装置Mは、図2及び3に示すように、ステアリングホイールWの中央のボス部Bにおける上部に配置される構成である。ステアリングホイールWは、操舵時に把持するリング部Rと、中央に配置されてステアリングシャフトSSに連結されるボス部Bと、ボス部Bとリング部Rとを連結する4本のスポーク部Sと、を備えて構成されている。また、ステアリングホイールWは、構成部品上では、エアバッグ装置Mとステアリングホイール本体1とから構成されている。
【0018】
ステアリングホイール本体1は、リング部R,ボス部B,スポーク部Sの各部を連結するように配置されるアルミニウム合金等からなる芯金2と、リング部Rとリング部R側の各スポーク部Sとの芯金2を被覆する合成樹脂製の被覆層3と、ボス部Bの下部に配置される合成樹脂製のロアカバー4と、を備えて構成されている。
【0019】
エアバッグ装置Mは、図3に示すように、折り畳まれたエアバッグ26と、エアバッグ26に膨張用ガスを供給するインフレーター8と、エアバッグ26とインフレーター8とを収納して保持する収納部位としてのバッグホルダ11と、バッグホルダ11の開口11aを覆うように配設されるエアバッグカバーとしてのパッド22と、エアバッグ26の後述する乗員側壁部35を引き込み可能とされる牽引手段52と、を備えて構成されている。インフレーター8と牽引手段52との作動は、制御装置60により制御される。
【0020】
制御装置60は、図1に示すように、座席SEに着座した乗員(運転者)MDの体格や、ステアリングホイールWと乗員MDとの距離を検知可能な乗員検知センサとしての位置検知センサ61、乗員MDの重量を検知可能な乗員検知センサとしての重量センサ62、及び、車両の加速度や加速の方向等を検知可能な衝突検知センサ63等と、電気的に接続され、これらの乗員検知センサとしての位置検知センサ61や重量センサ62、あるいは、衝突検知センサ63等からの電気信号を入力させて、インフレーター8を作動させるとともに、牽引手段52の後述する係止部材56の作動を制御する。
【0021】
インフレーター8は、上部に膨張用ガスを吐出する複数のガス吐出口8bを備えた略円柱状の本体8aと、本体8aの外周面から突出して配置される略四角板状のフランジ部8cと、を備えて構成されている。
【0022】
リテーナ6は、略四角環状態の板金製として、四隅に、下方へ突出するボルト6aを備えて構成されている。このリテーナ6は、エアバッグ26の後述するガス流入口29の周縁30やバッグホルダ11を経て、インフレーター8のフランジ部8cから各ボルト6aを突出させ、各ボルト6aにナット7を締結することにより、エアバッグ26とインフレーター8とをバッグホルダ11に取り付ける構成である。
【0023】
バッグホルダ11は、図3に示すように、それぞれ、板金製とされるホルダ本体12と、保持プレート16と、から構成されている。ホルダ本体12は、略四角板状の底壁部13と、底壁部13の周縁から上方に延びるとともに上端側を開口させて構成される側壁部14と、を備えて構成されている。底壁部13における中央付近には、円形に開口してインフレーター8の本体8aを下方から上方へ挿入可能な挿通孔13aが、形成されている。底壁部13における挿通孔13aの周縁となる右縁側には、牽引手段52を構成する後述する牽引ベルト53の先端53b側に形成される連結部54のループ部54aを挿通可能とする貫通孔13bが、形成されている。また、底壁部13の下面における貫通孔13bの周縁であって、後述する係止部材56のアクチュエータ58と対向する縁部側には、図3に示すように、係止部材56の係止ピン57aの先端を支持して、係止時における係止ピン57aからのループ部54aの抜けを防止する支持台13cが、配設されている。
【0024】
ホルダ本体12に固着された保持プレート16は、左右両側のスポーク部Sにおけるリング部R近傍の被覆層3の部位付近まで延びる保持部16aを備え、各保持部16aには、ホーンスイッチ17が取り付けられている。そして、実施形態の場合、エアバッグ装置Mは、ホーンスイッチ17の下面側において芯金2に固定される連結板19に、ホーンスイッチ17を介在させて支持されることにより、ステアリングホイール本体1のボス部Bの上部に取り付けられることとなる。
【0025】
エアバッグカバーとしてのパッド22は、オレフィン系熱可塑性エラストマー等の合成樹脂製とされて、図2及び3に示すように、ボス部Bの上部側を覆う構成とされている。パッド22におけるバッグホルダ11の側壁部14で囲まれた開口11aを覆う部位には、エアバッグ26の膨張時に開く扉部23が、周囲に破断予定部24を設けて、配設されている。実施形態の場合、扉部23は、周囲に略H字形状の破断予定部24を配設させて、前後両側に開き可能に、前後方向に沿って2枚並設されている。このパッド22は、図示しないリベット等を用いて、バッグホルダ11の側壁部14に固定される構成である。
【0026】
エアバッグ26は、図5〜7に示すように、膨張用ガスを流入させて膨張する袋状のバッグ本体27と、バッグ本体27の膨張完了形状を規制するテザー40と、を備えて構成されている。
【0027】
バッグ本体27は、膨張完了時の外周壁が、ポリアミド糸やポリエステル糸等からなる可撓性を有した織布から形成されている。バッグ本体27の外周壁は、膨張完了時にステアリングホイールW側となる車体側壁部28と、膨張完了時に乗員MD側に配設される乗員側壁部35と、から構成されている。車体側壁部28の中央付近には、インフレーター8の本体8aを下方から挿入させて、インフレーター8から吐出される膨張用ガスを、バッグ本体27内に流入させるためのガス流入口29が、形成されている。ガス流入口29の周縁30には、リテーナ6に形成されたボルト6aを挿通させる取付孔31が、形成されており、エアバッグ26は、リテーナ6を利用して、ガス流入口29の周縁30を、バッグホルダ11に取り付けられる構成である。また、ガス流入口29の周縁30であって、右縁側となる部位には、牽引ベルト53の先端53b側に形成される連結部54のループ部54aを挿通可能とする貫通孔32が、形成されている。さらに、車体側壁部28の所定箇所には、余剰の膨張用ガスを排気するベントホール33が、形成されている。
【0028】
バッグ本体27は、図8に示すように、車体側壁部28を構成する円形の車体側基布37と、乗員側壁部35を構成する円形の乗員側基布38と、から構成されている。ガス流入口29は、車体側基布37の中央に形成されており、取付孔31、貫通孔32、及び、ベントホール33は、それぞれ、車体側基布37の所定位置に、形成されている。
【0029】
テザー40は、バッグ本体27と同様に、ポリアミド糸やポリエステル糸等からなる可撓性を有した織布から形成されるもので、乗員側壁部35に結合される乗員側テザー部41と、乗員側テザー部41に連結されて車体側壁部28に結合される車体側テザー部47と、から構成されている。
【0030】
乗員側テザー部41は、帯状とされるとともに、乗員側壁部35(乗員側基布38)の中心C1(図8参照)を中心として対称となる前後の2箇所に、端部41a,41b側を結合された前後方向に沿って配置されるループ状として、構成されている。具体的には、乗員側テザー部41は、略円形の連結布部43と、連結布部43の周縁から前後両側に突出するように延設される2つの帯状のテザー用部位44,44と、を有した乗員側テザー部用基布42から構成されるもので、中心C2(図8参照)を乗員側基布38の中心C1と一致させるように配置させた連結布部43の周縁を全周にわたって乗員側基布38に縫着させ、テザー用部位44,44の先端44a,44a相互を縫着させるようにして、構成されている。実施形態のエアバッグ26では、乗員側壁部35における中央付近の部位が、エアバッグ26の膨張完了時に乗員MDを拘束可能な乗員拘束面35aを構成し、乗員側壁部35における連結布部43との縫着部位(結合部位)45(乗員側テザー部41の端部41a,41b)で囲まれる部位が、乗員拘束面35aの中央エリア35bを、構成することとなる。
【0031】
車体側テザー部47は、帯状とされるとともに、車体側壁部28におけるガス流入口29の周縁30において、ガス流入口29の中心C3(図8参照)を中心として対称となる左右の2箇所に、端部47a,47bを結合された左右方向に沿って配置されるループ状として、構成されている。具体的には、車体側テザー部47は、略円形の連結布部49と、連結布部49の周縁から左右両側に突出するように延設される2つの帯状のテザー用部位50,50と、を有した車体側テザー部用基布48から、構成されている。連結布部49の中央には、ガス流入口29に対応して開口49aが形成され、開口49aの周縁における取付孔31及び貫通孔32に対応した位置に、取付孔49b及び貫通孔49cが、形成されている。そして、車体側テザー部47は、開口49aの中心C4(図8参照)をガス流入口29の中心C3と一致させるようにして、連結布部49の周縁を、全周にわたって車体側基布37に縫着させ、一方のテザー用部位50を乗員側テザー部41と乗員側壁部35との間に挿通させた状態で、テザー用部位50,50の先端50a,50a相互を縫着させるようにして、形成されている。そして、車体側テザー部47は、連結布部49の部位により、リテーナ6を利用してエアバッグ26の車体側壁部28とともに、バッグホルダ11側に結合される構成である。また、車体側テザー部47は、幅寸法W1を、インフレーター8の本体8aの外径寸法D1(ガス流入口29の内径寸法)よりも大きく設定されて、インフレーター8を覆い可能に、構成されている(図8参照)。この車体側テザー部47は、インフレーター8の近傍となる左右両側を覆うように前後方向に沿って配設されることとなり、インフレーター8のガス吐出口8bから吐出された膨張用ガスを、幅方向に沿った前後方向側に整流させて、前後方向に沿うように、エアバッグ26内に流入させることができる。
【0032】
実施形態では、乗員側テザー部41と車体側テザー部47とは、それぞれ、前後方向に沿って配置されるループ状と、左右方向に沿って配置されるループ状とされ、平面視において相互に略直交するように配置されて、相互に連結されている構成である。なお、乗員側テザー部41と車体側テザー部47とは、牽引ベルト53の先端53b側の係止を解除した際に、相互に接触するように連結されることとなる。
【0033】
牽引手段52は、図7に示すように、エアバッグ26内に配設される牽引ベルト53と、バッグホルダ11側に配設されて牽引ベルト53の先端53b側を係止可能とされる係止部材56と、から構成されている。
【0034】
牽引ベルト53は、帯状とされて、幅方向を前後方向に沿わせて配置されるとともに、元部53a側を、乗員側テザー部41の中央部位41cに縫着されて、乗員側テザー部41に連結されている。牽引ベルト53の先端53b側には、係止部材56に連結される連結部54が、形成されている。実施形態の場合、連結部54は、牽引ベルト53の先端53bに固着される2つの半割円環状のループ部54aから、形成されている。牽引ベルト53は、長さ寸法を、連結部54を係止部材56に連結させた状態でエアバッグ26が展開膨張した際に、車体側テザー部47及び乗員側テザー部41が伸長状態よりも長さ寸法を短くされるような寸法に設定されている。具体的には、牽引ベルト53は、長さ寸法L1を、伸長状態となった際の車体側テザー部47における乗員側テザー部41との連結部位47cから車体側壁部28までの離隔距離L2よりも小さくするように、設定されている(図9参照)。そして、実施形態の場合、連結部54を係止部材56に連結させた状態でエアバッグ26が膨張を完了させた場合には、車体側テザー部47が伸長状態とならず、乗員側テザー部41のみが、牽引ベルト53によりバッグホルダ11側に牽引されるような態様となる。そして、エアバッグ26は、車体側テザー部47と乗員側テザー部41とが伸長状態となって膨張を完了させた場合と比較して、乗員側壁部35をバッグホルダ11側に引き込まれて、乗員側テザー部41と牽引ベルト53とにより、乗員側壁部35のバッグホルダ11側からの離隔距離を小さく規制されるようにして、膨張完了形状を規制されることとなる。
【0035】
係止部材56は、図3,4に示すように、バッグホルダ11における底壁部13の下部側であって、貫通孔13bの近傍となる位置に、配設されている。係止部材56は、ループ部54aに挿通可能な2本の係止ピン57aを備えた作動片57と、底壁部13の下面側に固着されて作動片57を引き込み可能に作動するアクチュエータ58と、から構成されている。アクチュエータ58が作動片57を引き込ませるように作動すると、係止ピン57aがループ部54aを係止している状態から、係止を解除する状態に移行する。このアクチュエータ58は、制御装置からの電気信号により作動片57を移動できれば、油圧・水圧・空気圧、あるいは、インフレーター等の膨張するガス圧を発生させる場合を含めた流体圧を利用するピストンシリンダ、それらの流体圧や電気を利用したモータ、電磁ソレノイド、復元時の付勢力を利用するばね等を、使用することができる。
【0036】
次に、実施形態のエアバッグ26の製造について述べる。車体側基布37には、予め、ガス流入口29を形成しておく。また、車体側テザー部用基布48の連結布部49にも、予め、開口49aを形成しておく。まず、乗員側基布38の内表面側に乗員側テザー部用基布42を配置させ、連結布部43を縫合部位45の部位で縫着させ、テザー用部位44,44の先端44a,44a相互を縫着させて、乗員側テザー部41を形成する。乗員側テザー部41の中央部位41cに、牽引ベルト53の元部53aを縫着させる。次いで、車体側基布37の内表面側に、車体側テザー部用基布48を、ガス流入口29に開口49aを一致させるように配置させ、連結布部49の周縁を、車体側基布37に縫着させる。その後、ベントホール33、取付孔31,49b、及び、貫通孔32,49cの孔明け加工を、車体側基布37と車体側テザー部用基布48とに施す。勿論、この孔明け加工時に、同時にガス流入口29を設けるようにして、縫合前には、ガス流入口29と開口49aとが形成されていないようにしてもよい。
【0037】
次いで、乗員側基布38と車体側基布37とを、それぞれ、外表面側が対向するように重ねて、外周縁相互を縫着させる。外周縁の縫合作業後、外周縁の縫合代がエアバッグ26の外表面に表れないように、バッグ本体27を、ガス流入口29を利用して反転させる。そして、反転後に、車体側テザー部用基布48における一方のテザー用部位50を、乗員側テザー部41と乗員側壁部35(乗員側基布38)との間に挿通させた状態で、テザー用部位50,50をガス流入口29から引き出し、先端50a,50a相互を縫着させれば、車体側テザー部47を形成することができて、同時に、エアバッグ26を製造することができる。
【0038】
そして、上記のように製造したエアバッグ26を使用して、エアバッグ装置Mを組み立てる。まず、リテーナ6をガス流入口29からエアバッグ26内に挿入させ、各ボルト6aを取付孔31から突出させ、エアバッグ26を、バッグホルダ11内に収納可能なように、折り畳む。このとき、牽引ベルト53の先端53b側に配置されるループ部54aは、貫通孔32から突出させておく。次いで、各ボルト6aを底壁部13から突出させ、ループ部54aを貫通孔13bから突出させるようにして、折り畳まれたエアバッグ26を、予め係止部材56、ホーンスイッチ17、及び、連結板19を取り付けておいたバッグホルダ11内に収納させる。そして、係止部材56の作動片57に形成される係止ピン57aをループ部54aに挿通させ、係止ピン57aの先端側を支持台13cに支持させるようにして、連結部54を係止部材56に連結させる。その後、インフレーター8の本体8aを下方から底壁部13の挿通孔13a内に挿入させて、フランジ部8cから突出した各ボルト6aにナット7を締結させれば、バッグホルダ11に、エアバッグ26とインフレーター8とを保持させることができる。その後、エアバッグ26にパッド22を被せ、図示しないリベット等を用いて、バッグホルダ11の側壁部14にパッド22を連結させれば、エアバッグ装置Mを組み立てることができる。
【0039】
このようにして組み立てたエアバッグ装置Mは、車両に取付済みのステアリングホイール本体1の図示しない取付座に対し、所定のボルトを使用して、連結板19を連結させれば、ステアリングホイール本体1に組み付けることができ、このとき、ステアリングホイールWの組立と、車両へのステアリングホイールWの搭載と、が、完了することとなる。なお、エアバッグ装置Mの車両への搭載時には、制御装置60から延びる作動信号入力用のリード線を、インフレーター8と係止部材56とに接続させておく。
【0040】
エアバッグ装置Mの車両への搭載後、走行中の車両が衝突すれば、制御装置60がインフレーター8に作動信号を出力することとなって、インフレーター8が、膨張用ガスをガス吐出口8bから吐出させ、エアバッグ26が、膨張して、パッド22の扉部23を押し開き、ステアリングホイールWの上面側を覆うように展開膨張して、図1の二点鎖線に示すごとく、膨張を完了させることとなる。
【0041】
そして、実施形態のエアバッグ装置Mでは、着座している乗員MDに応じて、エアバッグ26が、乗員側壁部35における乗員拘束面35aの中央エリア35bのバッグホルダ(収納部位)11側からの離隔距離を変更した状態で、膨張を完了させることとなる。例えば、位置検知センサ61、重量センサ62、衝突検知センサ63からの信号を入力させている制御装置60が、ステアリングホイールWに接近した位置に着座している小柄乗員MD1を検知した場合には、エアバッグ26は、牽引ベルト53の先端53b側に配置される連結部54を係止部材56によってバッグホルダ11側へ係止を維持させた状態で展開膨張することとなる。そのため、牽引ベルト53が、車体側テザー部47及び乗員側テザー部41を、伸長状態よりも長さ寸法を短くするように、牽引することとなる。実施形態の場合、具体的には、車体側テザー部47が伸長状態とならず、牽引ベルト53が、乗員側テザー部41のみをバッグホルダ11側に牽引することとなる。その結果、図9のAに示すように、エアバッグ26が、伸長状態の車体側テザー部47よりも長さ寸法を短く設定された牽引ベルト53と、牽引ベルト53に牽引される乗員側テザー部41と、により、乗員側壁部35における乗員拘束面35aの中央エリア35bのバッグホルダ11側からの離隔距離DL1を短く設定された状態で、膨張を完了させることとなって、ステアリングホイールWに接近している小柄乗員MD1を、不必要に押圧することなく、的確に保護することができる。
【0042】
また、逆に、位置検知センサ61、重量センサ62、衝突検知センサ63からの信号を入力させている制御装置60が、ステアリングホイールWから離れた位置に着座している大柄乗員MD2を検知した場合には、エアバッグ26の展開膨張前に、予め、牽引ベルト53の先端53b側に配置される連結部54の係止部材56への係止状態が解除されることとなる。すなわち、アクチュエータ58を、作動片57を引き込むように作動させ、ループ部54aと係止ピン57aとの係止状態を解除した状態で、エアバッグ26が膨張することとなる。そのため、図9のBに示すように、エアバッグ26が、伸長状態となった車体側テザー部47及び乗員側テザー部41により、乗員側壁部35における乗員拘束面35aの中央エリア35bのバッグホルダ11側からの離隔距離DL2を長く設定された状態で、膨張を完了させることとなって、ステアリングホイールWから離れて着座している運動エネルギーの大きな大柄乗員MD2が車両前方側に移動してきても、厚く膨張を完了させたエアバッグ26により、クッション性を確保して、底付きを招くことなく的確に保護することができる。
【0043】
また、実施形態のエアバッグ装置Mでは、乗員側テザー部41が、帯状とされるとともに、前後両端側となる端部41a,41b側の2箇所で乗員側壁部35に結合され、この乗員側テザー部41を結合させて構成される結合部位(実施形態の場合、連結布部43を乗員側壁部35に縫合させる円環状の縫合部位45)で囲まれる面により、エアバッグ26の膨張完了時に乗員MDを拘束可能な乗員拘束面35aの中央エリア35bが構成される構成であることから、エアバッグ26が、乗員側壁部35における乗員拘束面35aの中央エリア35bのバッグホルダ11側からの離隔距離DL1を短く設定された状態で膨張を完了させた場合にも、乗員側壁部35における乗員拘束面35aの中央エリア35bのバッグホルダ11側からの離隔距離DL2を長く設定された状態で膨張を完了させた場合にも、乗員拘束面35aの中央エリア35bを平面状に確保することができ、中央を平らにした乗員拘束面35aにより、乗員MDを安定して保護することができる。
【0044】
なお、実施形態のエアバッグ26では、円形の連結布部43の周縁を、全周にわたって乗員側壁部35に縫着させることにより、乗員側テザー部41を乗員側壁部35に結合させているが、勿論、乗員側テザー部として、一枚の帯状の布材の両端を、直接乗員側壁部に縫着させる構成としてもよい。しかし、乗員側テザー部の乗員側壁部に対する結合強度を充分確保するためには、実施形態のエアバッグ26のごとく、円形の縫合部位45により結合される連結布部43により、乗員側壁部35に結合させることが好ましい。
【0045】
したがって、実施形態のエアバッグ装置Mでは、着座した乗員MDの遠近に応じてエアバッグ26の膨張完了形状を規制可能であり、かつ、膨張を完了させたエアバッグ26により乗員MDを的確に保護することができる。
【0046】
また、実施形態のエアバッグ装置Mでは、牽引ベルト53をバッグホルダ11側に係止させる1つの係止部材56を、制御装置60からの作動信号を受けて、係止維持、あるいは、係止解除するように作動させることにより、乗員側壁部35における乗員拘束面35aの中央エリア35bのバッグホルダ11側からの離隔距離を変更させた状態で、エアバッグ26を膨張させることができる。すなわち、実施形態のエアバッグ装置Mでは、1つの係止部材56により、エアバッグ26の膨張完了形状を規制することができることから、簡便な構成とすることができ、装置の重量増加や、製造コストの増加を、極力抑えることができる。
【0047】
さらに、実施形態のエアバッグ装置Mでは、車体側テザー部47が、インフレーター8を覆い可能な幅寸法を備える構成とされ、この車体側テザー部47を、インフレーター8の左右両側において、前後方向に沿うように配置させていることから、インフレーター8から吐出された膨張用ガスを、車体側テザー部47により、車体側テザー部47の幅方向側となる前後方向に沿って整流させて、エアバッグ26内に流入させることができる。そのため、エアバッグ26を、前後方向に迅速に展開させることが可能となって、乗員MDの頭部MHや腹部MBの前方に上下に広く展開させるように、エアバッグ26を展開させることができる。その結果、乗員MDの頭部MHや腹部MBを迅速に保護することが可能となる。特に、牽引ベルト53の先端53b側のループ部54aが係止部材56により係止された状態でエアバッグ26が展開膨張する際には、車体側テザー部47が伸長状態とならず、エアバッグ26の展開膨張時において、車体側テザー部47は、図9のBに示すように、インフレーター8の近傍において、インフレーター8の上方と左右両側とを覆うように配置されることから、整流効果が高く、エアバッグ26を、一層迅速に、前後方向に広く展開させることができる。そのため、小柄乗員MD1がステアリングホイールWに接近して着座している場合において、小柄乗員MD1の腹部MBとステアリングホイールWとの間の隙間が狭い場合にも、この狭い隙間に、迅速にエアバッグ26を侵入させることができて、好ましい。
【0048】
なお、実施形態では、車体側テザー部47を左右方向に沿って配設させているが、上記のような点を考慮しなければ、車体側テザー部を前後方向に沿って配設させ、乗員側テザー部を左右方向に沿って配設させる構成としてもよい。勿論、各車体側,乗員側テザー部は、帯状ではなく、紐状材等から構成してもよい。また、実施形態では、牽引手段52を構成する牽引ベルト53を、元部53a側を乗員側テザー部41に結合させ、先端53b側をバッグホルダ11側に配置される係止部材56に係止させている構成であるが、牽引ベルトとして、元部側(一端側)を車体側テザー部に結合させ、先端側(他端側)をバッグホルダ側に配置される係止部材に係止させる長尺状に構成されたものを使用してもよい。さらには、牽引ベルト66として、図10,11に示す構成のものを使用してもよい。
【0049】
図10,11に示す牽引ベルト66を使用するエアバッグ26Aは、前述のエアバッグ26と同様の構成であり、同一の部材には同一の図符号を付して説明を省略する。牽引ベルト66は、図10に示すように、長さ寸法L3を車体側テザー部47の長さ寸法(車体側テザー部47における端部47aからテザー用部位50の先端50aまでの長さ寸法L4と、端部47bからテザー用部位50の先端50aまでの長さ寸法L5と、の和)よりも短く設定される帯状とされるとともに、車体側テザー部47の内周側において、元部66a側をガス流入口29の左縁側に縫着させ、先端66b側に、係止部材56に係止される連結部54(ループ部54a)を配設させている構成である。そして、牽引ベルト66は、中間部位66cを、乗員側テザー部41に挿通させた状態で、先端66b側のループ部54aを、ガス流入口29の右縁側において、係止部材56により、バッグホルダ11側に係止されることとなる。すなわち、牽引ベルト66は、先端66b側のループ部54aを、係止部材56によりバッグホルダ11側に係止させた状態では、先端66b側と元部66a側とをガス流入口29の周縁30に結合させて左右方向に略沿って配置されるループ状とされて、車体側テザー部47よりも開口形状を小さくしたループ状とされている。この場合、牽引ベルト66は、中間部位66cにおいて、乗員側テザー部41に連結されることとなる。
【0050】
このような牽引ベルト66を使用したエアバッグ26Aでは、牽引ベルト66の先端66bのバッグホルダ11側への係止を維持させた状態で展開膨張する場合には、牽引ベルト66が、車体側テザー部47及び乗員側テザー部41を、伸長状態よりも長さ寸法を短くするように、牽引することとなる。具体的には、図11のAに示すごとく、乗員側テザー部41が、中間部位66cにおいて牽引ベルト66に連結されて、牽引ベルト66によりバッグホルダ11側に牽引されるような態様となることから、車体側テザー部47が伸長状態とならず、牽引ベルト66が、乗員側テザー部41のみをバッグホルダ11側に牽引することとなる。その結果、エアバッグ26Aが、伸長状態の車体側テザー部47よりも長さ寸法を短くされた牽引ベルト66に牽引された乗員側テザー部41により、乗員側壁部35における乗員拘束面35aの中央エリア35bのバッグホルダ11側からの離隔距離が短く設定された状態で、膨張を完了させることとなる。そして、牽引ベルト66の先端66bが、係止部材56によるバッグホルダ11側への係止を解除された状態で、エアバッグ26が膨張する場合には、牽引ベルト66の中間部位66cにおける乗員側テザー部41との連結状態も解除されることから、エアバッグ26Aが、伸長状態となった車体側テザー部47及び乗員側テザー部41により、乗員側壁部35における乗員拘束面35aの中央エリア35bのバッグホルダ11側からの離隔距離を長く設定された状態で、膨張を完了させることとなる。
【0051】
さらにまた、牽引ベルト68として、図12に示す構成のものを使用してもよい。この牽引ベルト68を使用するエアバッグ26Bも、前述のエアバッグ26と同様の構成であることから、同一の部材には同一の図符号を付して説明を省略する。
【0052】
牽引ベルト68は、帯状とされるとともに、幅方向を左右方向に沿わせるように配置されて、元部68a側を、車体側テザー部47との連結部位となる中央側部位41dの後方側となる位置、実施形態の場合、乗員側テザー部41における後方側に位置する端部41bと、中央側部位41dとの中間となる部位に、縫着させ、先端68b側に、係止部材56に連結される連結部54を配設させた構成とされている。このエアバッグ28Bでは、牽引ベルト68の先端68b側に配置される連結部54は、ループ部54aを、ガス流入口29の後縁側に配設される貫通孔32から突出させて、バッグホルダ11の底壁部13における挿通孔13aの後縁側に配設される係止部材56に係止させる構成である。牽引ベルト68は、長さ寸法を、伸長状態となった際の車体側テザー部47における乗員側テザー部41との連結部位47cから車体側壁部28までの離隔距離よりも小さくして、かつ、先端68bを係止部材56によってバッグホルダ11側への係止を維持させた状態で展開膨張する場合に、乗員側壁部35の乗員拘束面35aにおける中央エリア35bの後端35bb側を、ステアリングホイールW側に接近させるように、牽引可能な寸法に設定されている。
【0053】
このような牽引ベルト68を使用したエアバッグ26Bでは、牽引ベルト68の先端68bのバッグホルダ11側への係止を維持させた状態で展開膨張する場合には、車体側テザー部47が、図12のAに示すごとく、前縁47d側を伸長状態としつつも、後縁47e側をたるませるような態様となって、伸長状態とならず、牽引ベルト68が、乗員側テザー部41における後端側の端部41b側を、バッグホルダ11側に牽引することとなる。その結果、エアバッグ26Bが、乗員側壁部35における乗員拘束面35aの後端35ab側となる部位(中央エリア35bの後端35bb側の部位)を、牽引ベルト68に牽引された乗員側テザー部41により、バッグホルダ11側からの離隔距離が短く設定された状態で、膨張を完了させることとなる。そのため、図12のA及び図13に示すごとく、乗員拘束面35aが、後端35ab側をステアリングホイールW側に位置させ、前端35aa側をステアリングホイールWから離れた上方側に位置させるように、ステアリングホイールWのリング面Rfと交差する方向に沿って、略鉛直面に接近させるように傾斜された状態で、エアバッグ26Bを膨張させることができる。すなわち、上記構成のエアバッグ26Bでは、牽引ベルト68の先端68bのバッグホルダ11側への係止を維持させた状態では、エアバッグ26Bが、前端側部位26aを厚くし、後端側部位26bを薄くするようにして、膨張を完了させることとなる。また、牽引ベルト68の先端68bが、係止部材56によるバッグホルダ11側への係止を解除された状態で、エアバッグ26Bが膨張する場合には、エアバッグ26Bが、図12のBに示すごとく、伸長状態となった車体側テザー部47及び乗員側テザー部41により、乗員側壁部35における乗員拘束面35aの後端35ab側となる部位(中央エリア35bの後端35bb側の部位)のバッグホルダ11側からの離隔距離を長く設定された状態で、膨張を完了させることとなり、実施形態では、図13の二点鎖線に示すごとく、乗員拘束面35aを、ステアリングホイールWのリング面Rfと略平行に位置させるようにして、エアバッグ26Bは膨張を完了させることとなる。
【0054】
なお、実施形態のエアバッグ26Bでは、牽引ベルト68の先端68bのバッグホルダ11側への係止を維持させた状態で膨張を完了させた際の中央エリア35bのリング面Rfに対する傾斜角度θ1(図12のA参照)は、牽引ベルト68の長さ寸法と、牽引ベルト68の乗員側テザー部41への連結位置を変更することより、変更可能である。
【0055】
また、この牽引ベルト68を、図14に示す構成のエアバッグ26Cに使用してもよい。エアバッグ26Cは、テザー40Cを構成する乗員側テザー部41Cと車体側テザー部47Cとが、前述のエアバッグ26と向きを逆にするように、配設されている。すなわち、エアバッグ26Cでは、乗員側テザー部41Cが左右方向に沿って配置されるループ状とされ、車体側テザー部47Cが前後方向に沿って配置されるループ状とされて、平面視において相互に略直交するように配置されて、相互に連結されている構成である。エアバッグ26Cは、乗員側テザー部41C及び車体側テザー部47Cの向き以外は前述のエアバッグ26と同様の構成であり、同一の部材には同一の図符号を付して説明を省略する。
【0056】
牽引ベルト68は、元部68a側を、車体側テザー部47Cにおける乗員側テザー部41Cとの連結部位47cの後方側となる位置、実施形態の場合、連結部位47cの近傍となる部位47fに、縫着させており、長さ寸法を、車体側テザー部47Cにおける乗員側テザー部41Cとの連結部位47cから端部47bまでの長さ寸法よりも小さくして、構成されている。
【0057】
車体側テザー部47Cにおける乗員側テザー部41Cとの連結部位47cの前方側であって、連結部位47cの近傍となる位置には、ストッパ47gが、形成されている。このストッパ47gは、牽引ベルト68の先端68b側のバッグホルダ11側への係止を維持させた状態でエアバッグ26Cが展開膨張する際に、乗員側テザー部41における連結部位を構成する中央側部位41dが、相対的に前方移動することを防止して、乗員側テザー部41の前縁側部位41eを、車体側テザー部47Cにおける連結部位47cの前方側部位47hにより牽引可能とするために、配設されるもので、車体側テザー部47Cを構成するテザー用部位50の一部をつまんで縫着して、内周側に突出するように配置させたループ状とされている(図14のA参照)。
【0058】
このエアバッグ26Cでは、牽引ベルト68の先端68bのバッグホルダ11側への係止を維持させた状態で展開膨張する場合には、車体側テザー部47Cのストッパ47gにより、乗員側テザー部41における連結部位を構成する中央側部位41dが、相対的に前方移動することを防止して、乗員側テザー部41の前縁側部位41eを、乗員側テザー部41の中央側部位41dに対してのずれ移動を停止された状態で、エアバッグ26Cが展開膨張することとなる。すなわち、このとき、車体側テザー部47Cは、連結部位47cの前方側部位47h(連結部位47cと端部47aとの間の部位)を伸長状態としつつも、牽引ベルト68に牽引された連結部位47cの後方側部位47j(連結部位47cと端部47bとの間の部位)をたるませるような態様となって、伸長状態とならず、牽引ベルト68が、車体側テザー部47Cにおける連結部位47cの後端近傍に位置する部位47f(牽引ベルト68との連結部位)を、バッグホルダ11側に牽引して、乗員側テザー部41Cの後端側を大きくバッグホルダ11側に牽引することとなる。その結果、エアバッグ26Cが、図14のAに示すように、乗員側壁部35における乗員拘束面35aの後端35ab側となる部位(中央エリア35bの後端35bb側の部位)を、牽引ベルト68に牽引された乗員側テザー部41C及び車体側テザー部47Cにより、バッグホルダ11側からの離隔距離が短く設定された状態で、膨張を完了させることとなる。また、牽引ベルト68の先端68bが、係止部材56によるバッグホルダ11側への係止を解除された状態で、エアバッグ26Cが膨張する場合には、エアバッグ26Cが、図14のBに示すように、伸長状態となった車体側テザー部47C及び乗員側テザー部41Cにより、乗員側壁部35における乗員拘束面35aの後端35ab側となる部位(中央エリア35bの後端35bb側の部位)のバッグホルダ11側からの離隔距離を長く設定された状態で、膨張を完了させることとなる。すなわち、このような構成のエアバッグ26Cにおいても、牽引ベルト68の先端のバッグホルダ11側への係止を維持させた状態では、エアバッグ26Cは、乗員拘束面35aを、後端35ab側をステアリングホイール側に位置させ、前端35aa側をステアリングホイールから離れた上方側に位置させるように、リング面と交差する方向に沿って、略鉛直面に接近させるように傾斜された状態で膨張することとなり、牽引ベルト68の先端68bのバッグホルダ11側への係止を解除された状態では、エアバッグ26Bは、乗員拘束面35aを、ステアリングホイールのリング面と略平行に位置させるようにして、膨張することとなる。
【0059】
なお、実施形態のエアバッグ26Cでは、牽引ベルト68の先端68bのバッグホルダ11側への係止を維持させた状態で膨張を完了させた際の中央エリア35bのリング面Rfに対する傾斜角度θ2(図14のA参照)は、牽引ベルト68の長さ寸法と、ストッパ47gの配置位置を変更することより、変更可能である。
【0060】
上記構成のエアバッグ26B,26Cでは、牽引ベルト68の先端68bのバッグホルダ11側への係止を維持させた状態では、エアバッグ26B,26Cは、前端側部位26aを厚くして、後端側部位26bを薄くするようにして、膨張を完了させることとなることから、ステアリングホイールWに接近した位置に着座している小柄乗員MD1を検知した場合に、係止部材56を作動させない構成とすれば、厚さ寸法を薄くするように膨張した後端側部位26bにより、ステアリングホイールWに接近している小柄乗員MD1の腹部MBを不必要に強く押圧することを防止することができて、好ましい。特に、エアバッグ26Bでは、車体側テザー部47を、インフレーター8の左右両側において、前後方向に沿うように配置させていることから、インフレーター8から吐出された膨張用ガスを、車体側テザー部47により、車体側テザー部47の幅方向側となる前後方向に沿って整流させて、エアバッグ26内に流入させることができ、小柄乗員MD1の腹部MBとステアリングホイールWとの間の狭い隙間に、後端側部位26b迅速に侵入させることができて、好ましい。
【0061】
さらに、このような構成のエアバッグ26B,26Cの場合、例えば、制御装置に、シートベルトの着脱を検知可能な図示しない着脱検知センサを接続させ、制御装置が、シートベルトを着用している乗員を検知した場合に、係止部材56を作動させず、牽引ベルト68の先端68b側の係止部材56による係止を維持した状態で、エアバッグ26B,26Cを膨張させれば、シートベルトにより腰部付近を拘束された状態で前進移動してくる乗員の頭部を、厚く膨張させた前端側部位26aにより、クッション性よく保護することができる。そして、制御装置がシートベルトを着用していない乗員を検知した場合には、係止部材56を作動させて、牽引ベルト68の先端68b側の係止部材56による係止を解除させる構成とすれば、ステアリングホイールWのリング面Rfと略平行となるように、上半身を傾斜させた状態で前進移動してくる乗員の上半身全体を、厚さを略均等としてステアリングホイールWの上面側を覆うように膨張を完了させたエアバッグ26B,26Cにより、的確に保護することができる。
【0062】
なお、実施形態では、エアバッグ装置として、ステアリングホイール用のエアバッグ装置Mを例に採り説明したが、本発明を適用可能なエアバッグ装置はこれに限られるものではなく、本発明は助手席用のエアバッグ装置にも、好適である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態であるステアリングホイール用のエアバッグ装置が搭載されているステアリングホイールと乗員(運転者)との状態を示す側面図である。
【図2】実施形態のエアバッグ装置の搭載状態を示すステアリングホイールの部分平面図である。
【図3】実施形態のエアバッグ装置の概略断面図であり、図2のIII−III部位に対応する図である。
【図4】実施形態のエアバッグ装置の概略部分断面図であり、図3のIV−IV部位に対応する図である。
【図5】実施形態のエアバッグ装置に使用されるエアバッグを平らに展開した状態の平面図である。
【図6】図5のエアバッグを平らに展開した状態の底面図である。
【図7】図5のエアバッグの概略断面図であり、牽引ベルトの先端に配置されるループ部を貫通孔から突出させた状態を示す左右方向に沿った断面図である。
【図8】図5のエアバッグの構成部材を示す分解斜視図である。
【図9】図5のエアバッグを単体で膨張させた状態を示す左右方向に沿った概略断面図であり、エアバッグが、それぞれ、牽引ベルトの先端をバッグホルダ側に係止させた状態と、係止を解除させた状態と、で、膨張を完了させた状態の図である。
【図10】他の形態の牽引ベルトを使用したエアバッグの構成部材を示す分解斜視図である。
【図11】図10のエアバッグを単体で膨張させた状態を示す左右方向に沿った概略断面図であり、エアバッグが、それぞれ、牽引ベルトの先端をバッグホルダ側に係止させた状態と、係止を解除させた状態と、で、膨張を完了させた状態の図である。
【図12】他の形態の牽引ベルトを使用したエアバッグを単体で膨張させた状態を示す前後方向に沿った概略断面図であり、エアバッグが、それぞれ、牽引ベルトの先端をバッグホルダ側に係止させた状態と、係止を解除させた状態と、で、膨張を完了させた状態の図である。
【図13】図12のエアバッグをステアリングホイールに搭載させて膨張させた状態を示す概略側面図である。
【図14】図12の牽引ベルトを他の形態のエアバッグに適用し、エアバッグを単体で膨張させた状態を示す前後方向に沿った概略断面図であり、エアバッグが、それぞれ、牽引ベルトの先端をバッグホルダ側に係止させた状態と、係止を解除させた状態と、で、膨張を完了させた状態の図である。
【符号の説明】
【0064】
8…インフレーター、
11…バッグホルダ、
22…パッド、
26・26A・26B・26C…エアバッグ、
28…車体側壁部、
29…ガス流入口、
35…乗員側壁部、
35a…乗員拘束面、
35b…中央エリア、
40・40B…テザー、
41・41B…車体側テザー部、
41a・41b…端部、
45…縫着部位(結合部位)
47・47B…車体側テザー部、
47a・47b…端部、
52…牽引手段、
53・66・68…牽引ベルト、
54…連結部、
54a…ループ部、
56…係止部材、
60…制御装置、
MD(MD1・MD2)…乗員(運転者)、
W…ステアリングホイール、
M…エアバッグ装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納部位に折り畳まれて収納されるとともに、内部に膨張用ガスを流入させて、前記収納部位から突出して展開膨張する袋状のエアバッグを備える構成とされ、
該エアバッグが、膨張完了時に乗員側に配置される乗員側壁部と、前記収納部位側に配置されて前記収納部位に取り付けられる車体側壁部と、を備えるとともに、内部に配設されて前記収納部位側と前記乗員側壁部とに結合されるテザーにより、膨張完了時における前記乗員側壁部の前記収納部位からの離隔距離を規制される構成のエアバッグ装置であって、
前記テザーが、長尺状とされて、前記乗員側壁部に結合される乗員側テザー部と、該乗員側テザー部に連結されて前記収納部位側に結合される車体側テザー部と、を備える構成とされ、
前記乗員側壁部において、前記乗員側テザー部を結合させて構成される結合部位で囲まれる面により、前記エアバッグの膨張完了時に前記乗員を拘束可能な乗員拘束面の中央エリアが構成されるように、前記乗員側テザー部が、帯状とされて、両端側を、前記乗員側壁部に結合させるとともに、両端の間で前記車体側テザー部と連結させる構成とされ、
前記乗員側壁部が、前記車体側テザー部若しくは前記乗員側テザー部に連結されるとともに、前記乗員を受け止める前記エアバッグの好適膨張モードを判断する制御装置によって作動を制御される牽引手段により、前記収納部位側に引き込むように牽引可能な構成とされ、
前記牽引手段が、前記車体側テザー部若しくは前記乗員側テザー部に連結される牽引ベルトと、該牽引ベルトの一端側を前記収納部位側に係止可能とされるとともに前記制御装置により作動を制御される1つの係止部材と、から構成され、
前記係止部材の係止解除時に、前記車体側テザー部及び前記乗員側テザー部が伸長状態となって、前記乗員側壁部における前記乗員拘束面の中央エリアの前記収納部位側からの離隔距離が長く設定された状態でエアバッグが膨張し、前記係止部材の係止維持時に、前記車体側テザー部及び前記乗員側テザー部が伸長状態よりも長さ寸法を短くするように前記牽引ベルトに牽引されて、前記乗員側壁部における前記乗員拘束面の中央エリアの前記収納部位側からの離隔距離が短く設定された状態でエアバッグが膨張することを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項2】
前記車体側テザー部が、前記エアバッグに膨張用ガスを供給可能に前記エアバッグ内に挿入されるインフレーターの側方を覆い可能な幅寸法を備える帯状とされるとともに、両端の間で前記車体側テザー部を連結させて、両端側を、前記インフレーターの両側近傍となる位置において、前記収納部位側に結合されて、前記インフレーターから吐出された膨張用ガスを、前記エアバッグ内で前記車体側テザー部の幅方向に沿って流すように整流可能に、構成されていることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
【請求項3】
前記車体側テザー部が、車両の左右方向に略沿って配置されていることを特徴とする請求項2に記載のエアバッグ装置。
【請求項4】
運転席の前方に配設されるステアリングホイール用のエアバッグ装置であって、
前記エアバッグが、前記牽引手段による牽引を解除させた状態で膨張を完了させた際に、前記乗員側壁部における前記乗員拘束面を、ステアリングホイールのリング面と略平行に位置させる構成とされて、
前記乗員側テザー部若しくは前記車体側テザー部が、前記エアバッグの膨張完了時において前後方向に略沿って配置されて、前後両端側を前記乗員側壁部若しくは前記収納部位側に結合させるとともに、両端の間で前記車体側テザー部若しくは前記乗員側テザー部と連結させる構成とされ、
前記牽引ベルトが、一端側を、前後方向に沿って配置される前記乗員側テザー部若しくは前記車体側テザー部に対し、牽引解除時の前記乗員側・車体側テザー部相互の連結部位の後方側となる位置で、連結させて、牽引維持時に、前記乗員拘束面における前記中央エリアを、後端側を前端側に比べて前記ステアリングホイール側に接近させるように、牽引可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のエアバッグ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−261410(P2007−261410A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−88559(P2006−88559)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】