説明

エアロゾル生成を低減する製剤

本発明は高分子ポリマーとりわけポリエチレンオキサイドポリマーを含む組成物に関係する。
ここで、該高分子量ポリマーは望ましい環境で使用されたときに組成物から生成するエアロゾル生成の可能性を減らすための霧抑制因子として提供される。
本発明はさらに、高分子量ポリマーを含むパーソナルケアまたはクリーニング製品から酵素露出を減らす方法に関係する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2002年6月30日に申請されたU.S. Provision Application No. 60/399,600、2002年11月15日に申請されたU.S. Provision Application No.60/426,714、2002年12月13日に申請されたU.S. Provision Application No.60/433,413、2003年3月12日に申請されたProvision Application No.60/454,237に対し優先権を主張する。
【0002】
本願発明は、高分子量ポリマー、特にポリエチレンオキサイドポリマーから成る組成物に関係する。高分子量ポリマーは、目的とする環境において使用されたときに、組成物からエアロゾル生成の可能性を減らすために、高分子量ポリマーが霧抑制因子として働く。霧抑制因子として高分子量ポリマーから成っている組成は、エアロゾル生成を減らすためにパーソナルケア製品とクリーニング製品の使用のためにさらに調剤される。1つの好ましい実施例の中で、本発明の組成物は、効果量の酵素を含むことが明らかである。
【背景技術】
【0003】
エアロゾルまたは霧を生成させるスプレー式またはポンプ式のクリーニングおよびパーソナルケア製品はそれら製品がタンパク質のようなアレルゲンを含んでいる場合、ヒトにおいて呼吸困難、感作反応またはアレルギー反応を潜在的に引き起こすことはよく知られている。
【0004】
この呼吸困難に寄与している2つの成分がある。 第一の成分は製品が供給される現場で作られるエアロゾルそのものである。製品が細かく分割された噴霧によって分配される時に、粒子は空中に迅速に散乱する。第二の成分は反射または跳ね返りの産物である。製品が分配されたら、製品は目的物質から跳ね返る。目的物質は極めて多様である。例えば、皮膚、ガラス表面、および織物はすべて目的物質である。 呼吸困難または他の望ましくない生物学的反応のリスクを最小にするために、いくつかの製品はさまざまな無機あるいは有機の組成物を含めたり、取り除いたりして調剤された。他の製品は、さらに、エアロゾルの粒度を調整するために調剤されている。
【0005】
Choy (U. S.Pat.No.4,310,434)らは、ポリエチレンオキサイド樹脂、界面活性剤、および水溶性の塩を含む組成物を公表した。これらの成分は固体のケーキに添加される。 この公表された組成物は分子量が約500,000から約7,000,000である5-20%のポリエチレンオキサイド樹脂、好ましくは、5-12%の樹脂から成る。 この樹脂はトイレを水を勢いよく流して洗浄する際に発生するエアロゾルを低減する。水溶性の塩はレジンの溶解度を抑制する、その結果溶解したレジンのゲル化も抑制する。
【0006】
ルッソら(U. S.Pat.No.4,935,224)は揮発性の低粘性流体とシリコーンポリマーを含むエアロゾル制汗剤組成物を教唆する。シリコーンポリマーはこの組成物に完全に溶解する。この組成物は、エアロゾル弁が埃にまみれになること及び目詰まりを起こすことを回避し、組成物の噴霧においては製品の跳ね返りを低くする。
【0007】
Lentschetら(U. S.Pat.No.5,364,551)は、酸またはアルカリの固体表面クリーナー、特にアルカリオーブンクリーナーにおいて、スプレーヘッドを通り噴霧された霧の水滴の平均粒度が約170pmより大きくなることによりミスト形成が減少したことを教唆した。この組成物は強酸及び強塩基、有機界面活性剤、及び有機水溶性の高分子の増粘剤を含んでいる。様々な増粘剤はビニルポリマーを含むことが知られている。アルカリ性組成物に対する好ましい増粘剤はキサン増粘剤を含み、酸組成物に対する好ましい増粘剤はポリビニルアルコールシックナーを含む。
【0008】
Choy ら(U. S.Pat.No.5,462,689)は固表面に対する増粘されたクリーニング組成物はその成分が噴霧されたときに、漂白剤の臭気を低減することを教唆した。このクリーニング組成物を噴霧すると、漂白臭気の放出を結果として生じている粒子を放出する。 これらの組成物は、アルカリ金属の次亜塩素酸水溶液及びヘキサデシル ジアルキル アミン オキシドと有機対イオンを含む増粘システム(a thickening system)を含む。
【0009】
Grissoら(U.S. Pat. No.6,372,842)は、水溶性の合成ポリマーを含む水溶性の組成物を開示した。この組成物は、99,000から1,000,000 s-1の剪断速度と30,000から500,000パスカルの剪断応力にさらされる時に、結果組成物に対する剪断安定性と共にエアロゾル生成を抑制する。
【0010】
結果として生じた組成物は農業用の噴霧組成物、インキ組成物、防氷または凍結防止の組成物、ハイドロ冶金(hydro-metallurgy)または電解採取の組成物(electro-winning compositions)、クリーナーの組成物、接着剤の組成物、丹毒を消す組成物、オルガノシラン組成物、パーソナルケア組成物、ゴム製品(latex)または他の水性組成物(water borne compositions)、繊維加工仕上げ組成物、水硬性組成物(water−based hydraulic compositions)及び粉塵制御組成物を含む。
【0011】
水溶性の合成高分子はアルキルを置換したアクリルアミド化合物及び親水性の単量体の重合によって成形される。
【0012】
酵素の使用、とりわけ細菌由来のものは、例えば洗浄剤産業、パーソナルケア産業、および製薬工業を含むいくつかの産業の中で一般的である。酵素が潜在的なアレルゲンであるという事実は、多くの消費者及び産業上の酵素の使用について工業的に重要な問題である。
【0013】
従って数多くの方法が、酵素の免疫原の性質を減らすために試みられた。これらは、ダスト粒子または浮遊するエアロゾルの職場での濃度を抑制または最小化することにより、酵素との接触を低くするという改善されたプロセス、実際の酵素製品から生産されるダストまたはエアロゾルの量を減らすという改善された造粒プロセス、最終製品の中におけるアレルゲン性のレベルを減らすという改善されたプロセス、および酵素自体のアレルゲン性を減らす試みなどが含まれる。これらの方法のすべてはまずまずの成功をした。それに応じて、酵素に曝される個人に対しては、酵素の感作およびアレルギー反応のリスクを最小化する必要性がいまだ存在する。
【0014】
さらに、酵素はパーソナルケア製品とクリーニング製品の中に添加物として含まれており、これらの製品を使用する際にエアロゾルは生成されることから、これらの製品のエアロゾル生成能を低くするという改善された製剤およびその用途が提供されなければならない。
【0015】
本発明の目的は、エアロゾル生成物を減らすことができるパーソナルケア製品およびクリーニング製品に用いられる高分子量ポリマーを含む霧抑制組成物を提供することである。
【0016】
本発明の他の目的は、好ましい環境下で使用されたときまたは目的物質に対して使用された際にエアロゾル粒子を減らす霧抑制酵素組成物を供給することである。
【0017】
本発明の更なる目的は、パーソナルケア製品またはクリーニング製品の調剤に用いられる酵素のアレルゲンとしての能力を減らすことである。
【0018】
さらに、本発明の更なる目的はシャワー環境でのシャワーゲルの霧生成を減らすことまたは洗濯用前処理液の霧生成を減らすことである。
【発明の概要】
【0019】
本発明の1の実施様態においては、本発明は高分子量ポリマーを含むパーソナルケアまたはクリーニング製品のエアロゾル生成の低減および上記ポリマーが霧を抑制し、ポリマーが添加されたパーソナルケア製品又はクリーニング製品のDv50が、対応するポリマーが添加されていないパーソナルケア又はクリーニング製品のDv50に対して10%-200%高くなる1以上のパーソナルケア又はクリーニング製品の組成物に関係する。
【0020】
別の実施態様において、本発明は、分子量が約0.8x 106から 4.0x107の高分子量ポリマーを含む前記製品に取り入れられた水溶性組成物を含んだパーソナルケア又はクリーニング製品からエアロゾル生成を減らす方法に関係がある。この水溶性組成物を含んだ調剤製品のDv50は、対応する該水溶性組成物を含んでいないいパーソナルケアまたは、クリーニング製品のDv50より10から200%の間で高くなる。
【0021】
さらなる実施態様において、本発明は1またはそれ以上の酵素と、霧抑制因子として働く分子量約0.8 x106から 4.0×106のポリエチレンオキサイドポリマーとを含む水溶性組成物を含む再調剤したパーソナルケア製品の酵素被爆を減少させる方法に関係する。
【0022】
また別の実施態様において、本発明は1以上の高い分子量ポリマーの約1x10-4から25wt%及び1以上の酵素の有効量の約1x10-3から25wt%を含む水溶性霧抑制因子に関係する。
【0023】
まださらなる実施態様において、本発明は、シャワーゲルであって、分子量が約0.8×106から4.0×107であり、シャワーゲルの約0.0001%から約10%の高分子量ポリマー; シャワーゲルの約0.0001%から約10%のプロテアーゼ; 及び前記シャワーゲルのDv50が対応する高分子量ポリマーを欠いたシャワーゲルよりも10%から200%高い、1以上の更なるパーソナルケア製品成分を含むシャワーゲルに関係する。
【0024】
本発明はさらに、分子量約0.8 x10 6 から 約4.0 x107の高分子量ポリマーと酵素との結合により得られたポリマー/酵素の配合からなる、エアロゾル生成物が低減された製品の製造方法に関係する。
【0025】
加えて、本発明は分子量約0.8×106から約4.0×107の高分子量ポリマーとポリマー/酵素組成物から得られる酵素の結合を含むエアロゾル生成を低くする組成物の製造方法に関係する。ここで、このポリマー/酵素組成物はパーソナルケア又はクリーニング製品に添加することができ、得られた調剤パーソナルケア又はクリーニング製品組成物は好ましい環境下で使用される。この調剤製品によるエアロゾル生成は、対応するポリマー/酵素組成物が調剤されていない製品と比較して低減する。
【0026】
本発明の他の実施態様は、エアロゾル生成を減らす方法であって、分子量約0.8×106から約4×107の高分子量ポリマーとポリマー/酵素組成物から得られる酵素との組み合わせ;このポリマー/酵素組成物とパーソナルケア又はクリーニング製品製剤との組み合わせ;及びこの製剤を好ましい環境下で使用し、この製剤のエアロゾル粒子サイズの平均が65から150μmの間である、エアロゾル生成を減らす方法と関係する。
【0027】
さらに別の実施態様において、本発明は、約0.8×10から約4×106の分子量を持つポリエチレンオキサイドポリマーであって、この製剤の約0.0001%から10%の組成物を含んでいる再調合されたパーソナル製剤又はクリーニング製剤を含んでいる製剤のエアロゾル生成を低める方法に関係する。このポリマーの添加はパーソナルケア製品又は、クリーニング製剤のDv50を10−200%増させ、その結果として、このパーソナルケア又はクリーニング製剤からのエアロゾル生成を減らす。
【発明の詳細な説明】
【0028】
ここにおいて、および添付の請求項において、単数形の「1の(a)」,「1の(an)」及び「この(the)」は文中で明らかに他のことを指し示していない限り、複数の対象を含むものとする。実際に例えば、「一つの粒子」はそのような粒子の多数を含む。他に定義がされていない限り、ここで使用されるすべての技術的なおよび科学的な言語は当該発明に関係する分野において通常の知識を有する者に通常理解されるような意味を持つ。ここで言及する全ての特許及び文献、並びに当該特許及び文献に開示される全ての配列はここに明示的に引用するものとする。
【0029】
I. 定義
ここで用いる「高分子量ポリマー」とは、モノマーあるいはメアーズ(mers)と呼ばれる多くの繰り返し部分からなる水溶性の有機分子で、分子量が少なくとも200,000より多く、好ましくは400,000より大きいものをいう。 高分子量ポリマーの分子量は既知の化学的及び物理的方法により測定される。これらの方法は束一性測定(colligative property measurement)、光散乱技術、GPC分析、超遠心分離、およびそのようなものを含む。
【0030】
「霧抑制因組成物」という用語は、ここで本発明に関係する高分子量ポリマー組成物および酵素/高分子量ポリマー組成物を言う。高分子量ポリマーを組成物へ添加すると、この組成物または調剤された成分はエアロゾル粒子を生成するのを減らす。
【0031】
本発明と関係する高分子量ポリマーは、ここでは、与えられた環境においてエアロゾル生成を減らすという能力から、霧抑制因子として定義される。ここで使われる霧抑制組成物は調剤されたか、再調剤されたパーソナルケアまたはクリーニングの製品の組成物を含む。
【0032】
「調剤又は再調剤されたパーソナルケア製品」または「パーソナルケア製品と調剤された」という句は、本発明に関係する高分子量ポリマー組成物単体で、または酵素及び酵素製剤との組み合わせで、さらにはパーソナルケア製品の成分との組み合わせを言う。
【0033】
「調剤または再調剤されたクリーニング製品」または「クリーニング製剤に調合された」という句は、本発明に関係する高分子量ポリマーに関係し、単体または酵素との結合において、あるいは酵素製剤、さらにクリーニング製剤の成分との組み合わせをいう。
【0034】
「対応する組成」は、ここで開示している高分子量ポリマーを含んでいない、組成物、パーソナルケア製品、クリーニング製品をいう。
【0035】
エアロゾル粒子は、大気中に放出され浮遊した状態のときの小さい粒子または粒が浮遊して分散していること、あるいは、大気中に以下の時間連続して移動していることをいう。その時間とは、分散後、少なくとも15秒間、より一般製には30秒間、で10分以内、あるいはそれ以降である。エアロゾルは溶液、懸濁液、乳液、半固体プレパラート、ゲル、およびそのようなものから生成される。
【0036】
エアロゾルまたはエアロゾルスプレーは広い粒度分布を持つ。エアロゾル粒子は一般に50μmか、それより少なく、一般に0.1μmから100μmの範囲である。 エアロゾル粒子は、また、肺に入るような粒子である呼吸できる範囲と鼻骨の通路を通過する粒子である吸うことができる範囲に再分割されるかもしれない。 呼吸域粒子は一般に約0.1μmから25μmであり、吸うことができる粒子は一般に100μmかそれ以下である。発明の1つの実施態様において、高い分子量ポリマーは呼吸域粒子を減らす。
【0037】
「エアロゾル」、「エアロゾル粒子」、「ミスト」、および「ミスト液滴」という語はここでは区別なく使われる。
【0038】
Dvは粒子または液滴の直径の測定値である。Dv10は、噴霧されたエアロゾル粒子分布の下限10%が含まれる粒子直径を表す。(Dv5oは、噴霧体積の中央値の直径(vmd)であって、エアロゾル粒子径分布の下限25%及び上限25%を除いた範囲の中央値を表す。)Dv90は、噴霧されたエアロゾル粒子分布の上限10%が含まれる粒子直径を表す。
【0039】
本発明の1の実施態様において、霧抑制組成物のDv50は約50μm-250μmの間にある。 別の実施態様の中で、DV50は約55μm-200μmの間にある。 また別の実施態様の中で、Dv50は約65μm−約150 μmの間にあり、さらなる実施例においてDv50は、約75μm−約125μmの間にあるであろう。 好ましい実施態様ではDv5oは約100μmである。エアロゾル粒子分布が分配手段によって影響されるであろうことは当該技術分野でよく知られている。従って、別の実施態様では、本発明に関係する霧抑制組成物のDv50は、高分子量ポリマーが添加されている組成物とこれに対応する高分子量ポリマーが添加されていない組成物を実質的に同じ条件下でテストした際には、対応する高分子量ポリマーが添加されていない組成物のDv50より少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、125%、150%、200%、またはそれより大きい。
【0040】
他の実施態様においては、本発明に関係する霧抑制組成物のDv50は、高分子量ポリマーが添加されている組成物とこれに対応する高分子量ポリマーが添加されていない組成物を実質的に同じ条件下でテストした際には、10%から200%の間、10%から150%の間、20%から150%の間および40%-から80%の間、またはそれより大きい。
【0041】
酵素があるかどうかにかかわらず高分子量ポリマーを含む本発明に関係する霧抑制組成物は容器の開口部を通して様々な手段によって分配される。これらの分配手段が、十分な剪断(shear)速度を持つ液体の流れの中に導入されると、エアロゾル粒子を生成する液体の流れの中に導入される。そのような手段は、霧吹き、汲み上げ、霧化、噴出(squirting)、脱気(degassing)、ガッシング(gassing)、プロペリング(propelling)、あわ立て(effervescing)または、十分な剪断速度が液体の流れに伝えられ、エアロゾルに変化する流れの崩壊を生じるような任意の手段を含むがこれらにかぎられない。当該技術分野でよく知られているように、組成分の分散に用いられる開口部または弁の開き方の形状および圧力は、分散粒子の大きさに影響する。
【0042】
「製品の跳ね返り(Product bounce-off)」または「製品の再跳ね返り(product re-bounding)」は調剤された製品の空中に浮遊する粒子崩壊および、特に、エアロゾルから目的物に衝撃を与える粒子の崩壊を言う。一の実施例においては、高分子量ポリマーは目的物からの粒子の跳ね返りのDV50を増やす。他の実施例においては、高分子量ポリマーは目的物から跳ね返る粒子の量を減らす。
【0043】
ここで使われる「目的物質」とはガラス、金属、セラミック、磁器、材、フォーミカ(FORMICA)及びコリアン(CORIAN)を含むプラスチック、およびそのようなものなどの硬い表面; 綿、羊毛、絹、人絹、ポリエステル、ライクラ、ナイロン、スパンデックス、などの自然にあるまたは合成の織物表面; そして毛、皮膚、または歯などの体表を含む。
【0044】
「粘度」という語は、流動体の流れに対する抵抗力を意味し、2つの型がある。剪断粘度(ηs)および伸延粘度(ηe)である。剪断粘度はお互いの上を滑る液体中の近接した層の抵抗を表し、伸延粘度は引き伸ばされたまたは縮められた流れの抵抗力を示している。
【0045】
「効果的な量の酵素」または「効果的な量の酵素製剤」の語は、意図された使用に対して効果的な組成物中のまたは製剤中の酵素の量を意味する。この量は、最終的な処方の使用に依存しで異なるであろう。1の実施態様において、本発明に従って1つ以上の酵素が混合物に含められている時には、酵素活性は高い分子量ポリマーにより本質的に影響されない。
【0046】
違った形で指定されない限り、ここで述べるすべてのパーセンテージと比率は重量による。
【0047】
II. 発明の詳細な記載説明
本発明の組成物および製剤は一般に高分子量ポリマーを含んでいて、ここでは、霧抑制組成物と言われる。1つの実施態様において、霧抑制組成物は溶液中の酵素と結合された高分子量ポリマーを含む。以下で説明されるように、発明の霧抑制組成物はさまざまな他の任意の成分を含む:
A. 成分
高分子量ポリマー
さまざまな高分子量ポリマーの例は、a)ダウケミカル社、(Dow Chemical Co. Midland Michigan)により供給されたポリオックス(ポリオックス(POLYOX))のようなポリエチレンオキサイド; b) 分子量が2.5×107 から4.0×107 の間で、ラブランド産業(Loveland Industries Greeley,Co.)によって供給されたTARGET LCのようなポリアクリルアミド; c)ロディア(Rhodia, French )により供給されたAgRHO DR2000のような、ヒドロキシプロピル グア ガム; d)クラリエント シャーロット(Clarient, Charlotte NC)により供給されPOLYMER2000として知られているポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)などのスルホン酸エステルグループを含んでいる置換されたアクリルアミド; e) ポリ(アクリルアミド/アクリル酸)などの他のアクリルアミドコポリマー; f) 他のガム質(例えばローカストビーンガム及びグアガム); g)それらの混合物を、含む。
【0048】
1つの好ましい実施態様において、高い分子量ポリマーはポリエチレンオキサイドである。ポリエチレンオキサイド(PEOs)はポリエチレン・グリコール(PEGs)として技術分野の中で知られている。実用的なPEOsはここに0.4x106から7x106; 0.8x106から4x106、及び1×106から3.0 x 106の分子量を持っている。 最も好ましくは、分子量は1.5 x 106から2.5 x 106である。
【0049】
これらの物質は、例えば、ダウケミカル社によるポリオックス(POLYOX)という名前のものが使用可能である。1の好ましいポリオックス(POLYOX)はINCI名でPEG-45Mとして知られている。このポリマーはアルカリ土類金属酸を触媒としたエチレンオキサイドの重合により調製することができる。1つの好ましい実施態様において、組成物中のPEOのレベルは約1.0 x10-4 % から 約 10%, 約 1.0 x10-4 % から約 5%, 約 1.0 x10-4 % から約 2%, 約 1.0 x10-4 % から約 1.5%, 約1.0 x10-3 % から 約 10%, 約 1.0 x 10-2 %から 約 10%, 約 1. 0 x 10-2 % から 約5%, 約 0.1 % から 約 5%, 約 0.1 % から 約 2% 及び 約 0.5% から 約 5%である。他の好ましい実施態様においては、高分子量ポリマーはポリアクリルアミドである。
【0050】
典型的なポリアクリルアミドはラブランド産業 によってTARGET LCという名で売られているのもで、分子量は2.5 ×107 から 4.0 ×107である。これらのポリマーはアクリルアミドの重合により作られる。それらの調整方法だけでなくアクリルアミドポリマーの一般特性は、THE ENCYCLOPEDIA OF POLYMER SCIENCE AND ENGINEERING vol.1、ジョンウイリー&サンズ、(1985)169-211頁において開示されている。
【0051】
ある好ましい態様においては、ポリアクリルアミドまたはコポリマーのレベルは約1.0 x10-4 % から約 25%; 約 1.0 x10-4 % から 約10%, 約 1.0 x10-4 % から 約5%, 約 1.0 x10-4 % から 約 2%, 約 1.0 x10-4 % から 約 1.5%, 約 1.0 x10-3 % から 約 10%, 約 1.0 x10-2 % から 約 10%, 約 1.0 x10-2 % から 約 5%, 約 0.1 % から 約 5%, 約 0.1% から 約 2% および 約 0.5% から 約 5%である。
【0052】
水の液滴が速度(V1)で目的物質に向けられる時に、液滴分解に関係している2つの段階がある。一段階は固着および膨張段階である。この段階では、液滴破壊の程度は、液体の密度(p)、液体の衝突時の速度(V1)および初期の液滴直径(Do)のような慣性の要因に正比例し、表面張力(σ)及び粘度(η)のような抵抗要因に反比例する。より高い表面張力(σ)及びより高い粘度は崩壊において小さな液滴を成形する傾向はより少ない。粘性は2つの型、剪断粘性率(η)、および伸延粘度(ηe)を呈することができる。本発明の柔軟な水溶性高分子の規定は、少なくとも伸延粘度を高めると考えられている。
【0053】
第二の段階は、崩壊過程の中における反応段階であり、そこでは水滴が最大直径(Dmax)に達した後に、この水滴が反応し、付随的な小さな水滴の形成が引き起こされる。この反応速度は、伸延粘度に反比例し、表面張力に正比例する。 分配されたミスト液滴の崩壊をコントロールするような他の要因は表面の粗さ振幅、表面の粗さ波長、および液体と目的表面の間に進行し(advancing)及び低下する(receding)接触角が含まれる。
【0054】
これらの性質のさらなる理解のために以下の参考文献がある;Riobooら、(2001年)Atomization and Sprays, 11:155-165およびBergeron ら、Nature(2000年)405: 722-775。
【0055】
どのような特定の理論にも制限されることを意図しない一方で、霧抑制因子としての高分子量ポリマーの作用機序が剪断粘性率または伸延粘度のどちらかまたは両者の増加と関係していることは明らかである。
【0056】
酵素と酵素製剤
本発明の混合物に含まれる1つ以上の酵素は、澱粉分解酵素、蛋白分解酵素、セルロース分解酵素、および酸化還元酵素から選択される。これらの酵素の例はアミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、ラクターゼ、フェノールオキシダーゼ、オキシダーゼ、セルラーゼ、エステラーゼ、ペルオキシダーゼ、フィターゼ、イソメラーゼ、マンナーゼ及びぺクチナーゼを含むがこれらに限定されない。好ましくは、パーソナルケア用品及びクリーニング製品に添加される組成物中の霧抑制因子に含められる酵素はプロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、及びアミラーゼであり、とりわけプロテアーゼである。
【0057】
プロテアーゼは自然に分泌されるプロテアーゼ及び組換え体のプロテアーゼである。2のタイプのプロテアーゼが良く知られており、それらは中性(金属タンパク分解酵素)およびアルカリ性(セリンプロテアーゼ)を含む。セリンプロテアーゼは、活性部位に必須のセリン残留物があるペプチド結合の加水分解に触媒作用を及ぼす酵素である。セリンプロテアーゼは分子量25000から30000である(Priest (1977) Bacteriol. Rev. 41: 711)。好ましいセリンプロテアーゼはサブチリシンである。 多種多様なのスブチリシンが確認され、細菌及び真菌源から配列が決定された。スブチリシンのバクテリア源の例はB. subtilis, B. licheniformis, B. lentus, 及びB. amyloliquefaciensなどのバシルス種を含む。よく知られているスブチリシンはsubtilisin 168, subtilisin BPN', subtilisin 147, subtilisin 309, subtilisin PB92, and subtilisinCarlsberg であるが、これらに限られない。セリンプロテアーゼに関するスブチリシンについての概説はSiezenらによって報告されており((1991) Protein Engineering 4: 719)、およびSiezenらのより最近の報告は(1997) Protein Sci. 6: 501 and P. N. Bryan (2000) Biochim. Et. Biophy. Acta. 1543: 203. である。
【0058】
当業者においては、スブチリシンメンバーのアミノ酸配列が完全に相同ではないことが知られているけれども、セリンプロテアーゼのこのクラスは、他の関連したクラスからそれらを特徴づけている触媒作用の三幅対を定義する共通なアミノ酸配列を共有する。これらのアミノ酸の相対オーダーは、アミノからカルボキシ末端まで読んで、アスパラギン−酸塩−ヒスチジンセリンである。従って、ここでは、スブチリシンはスブチリシンに関係するプロテアーゼの触媒作用を持つセリンプロテアーゼのことを言う。
【0059】
「組換え体」、「組換え体のサブチリシン」、または「組換え体のプロテアーゼ」は、酵素、サブチリシン、またはプロテアーゼをエンコードしているDNAシーケンスが、自然に起こるアミノ酸配列順序の中で1つ以上のアミノ酸の置換、欠失、または挿入をエンコードする変異体(または突然変異体)DNAシーケンスを生み出すように修正される酵素、サブチリシン、またはプロテアーゼを言うものとする。 以下は、変異体のプロテアーゼについての参考文献である: USP 4,760, 025 (US RE 34、606) ; USP 5,185, 258; USP 5,204, 015; USP 5,441, 882; USP 5,631,217; USP 5,665, 587; USP 5,700, 676; USP 5,741, 694; USP 5,880, 080; USP 6,197, 567; USP 6,218, 165; WO 89/06279; WO 92/10755; WO99/49056及びWO01/07579。好ましい実施例においては、組成のサブチリシンの中に、さらに修正されているネイティブタイプまたは組換え体のサブチリシンがある。
【0060】
プロテアーゼは多くの製品の中で使われている。市販されているプロテアーゼは商品名MAXACAL、MAXAPEM、MULTIFECT、PROPERASE、PURAFECT、OPTICLEAN、およびOPTIMASE(Genencor International Inc.,Palo Alto、CA)とALCALASE、SAVINASE PRIMASE、DURAZYM ESPERASE(Novozymes A/S Denmark)下で市販されたそれらを含む。
【0061】
市販されているアミラーゼ酵素は商品名MAXAMYLとPURAFECT(Genencor International Inc.,Palo Alto、CA)とTERMAMYLとBAN(Novozymes A/S Denmark)で市販されたそれらを含む。アミラーゼ酵素はWO96/23873においても開示されている。
【0062】
市販されているリパーゼは商品名LIPOMAXとLUMAFECT(Genencor International Inc.,)とLIPOLASE(Novozymes A/S、デンマーク)で市販されたそれらを含む。 リパーゼ酵素はEP-B-0218272においてまた説明される。
【0063】
市販されているセルラーゼは商品名CAREZYMEとCELLUZYME(NovozymesA/S、Denmark)とPURADAXと界面活性剤のセルラーゼL(Genencor International Inc.)で市販されたそれらを含む。
【0064】
1つの実施態様において、霧抑制組成物は高い分子量ポリマーと結合した1以上の酵素を含んだ組成物を含む。この実施態様において、組成物を含む酵素の量は約1.0×10-4%から約25%の間;約1.0 x10-3から約20%までの間; 約1.0x10-3%から約15%までの間;約1.0x10-3%から約10%までの間; そして約1.0x10-3%から約5%の酵素の間である。霧抑制因子組成物からなる高分子量ポリマーの量は、該組成物に酵素が含まれるか否かを問わず、約1.0 x10-4 % から約 25%; 約1.0 x10-4 % から 約10%; 約 1.0 x10-4 % から 約 5% 又は約 1.0 x10-4 % から約 1 %である。1以上の酵素含が含まれた組成物中の酵素対ポリマーの割合は、約1:250〜約250:1;約1:100〜約100:1;約1:50〜約50:1;約1:25〜約25:1;約1:10〜約10:1;約1:5〜5:1;約1:1〜約4:1;及び約1:1〜約2:1である。
【0065】
他の成分
1以上の酵素及び/または高分子量ポリマーを含む霧抑制因子組成物はさらに他の適切な成分を含む。これらの成分は(以下のものを)を含むがこれらに限定されない。 a)安定剤、例えば、ポリマーが低分子量の種になるような劣化を防ぐためのもの;b)カルシウム、カリウム及びナトリウム塩のようなアルカリ金属塩; c)以下のような酵素の保護剤、共同因子、抑制剤;プロピレングリコール、グリセロール、ルビトール、スクロース(蔗糖)、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、ベタイン、硫酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、尿素、塩酸グアニジン、炭酸グアニジン、スルファミン酸グアニジン、二酸化チオ尿素、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、グリシングルタミン酸ナトリウムのようなアミノ酸及び同種のもの、フェニルボロン酸、フェニル硼素誘導体、ペプタイドインヒビター及び同種のもの、塩化カルシウム、ギ酸カルシウムのようなカルシウム塩及び同種のもの;d)酵素に有害な塩素、次亜塩素酸、過酸化水素、及び他の前酸化体のスカベンジャー例えば、硫酸アンモニウム、アミノ酸、アスコルビン酸、クエン酸ナトリウム、イオン及び他の重金属の塩、及び同種のもの; 及びe) プロテインのような他の微量成分、例えばウシ血清アルブミン、カゼイン及び同種のもの; 陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン界面活性剤、および長鎖脂肪酸塩を含む界面活性剤; 例えば、分配器具の中でのポリマーの過度のゲル化を防ぐための金属塩;原材料;アルカリ触媒または無機触媒;非イオン性界面活性剤及およびハイドロトロプス(hydrotropes)のような固化抑制剤及び可溶化剤;活性剤;抗酸化剤;色素;漂白剤;青味漂白剤;抑制剤;結合剤;及び香料。McCutcheon's, DETERGENTS AND EMULSIFIERS, Vol. 1およびFUNCTIONAL MATERIALS, Vol. 2 International and North American Editions (1999)、MC Publishing Co.; U. S. Pat. No. 4,421, 769およびWO 00/24372参照のこと。
【0066】
表1は本発明に関する霧抑制因子組成物の限定されない例を挙げる。
【表1】

【0067】
酵素及び/または高分子量ポリマーを含んだこれら濃縮された組成物はさらに以下で述べるようにパーソナルケア製品及びクリーニング製品に処方される。
【0068】
B. 発明の製法
本発明に関する霧抑制因子の調製は当該技術分野で知られている装置及び技術を用いることができる。様々な一般的実施態様は下で説明する。
【0069】
第1の実施態様において、高い分子量ポリマーは、ポリマーが完全に拡散するまでのプロピレングリコールまたはグリセロールなどの混和性の有機溶媒で水とともに混合される。水は該混合物に加えられ、その後に、カルシウム、ギ酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム又は他の酵素安定剤のような固体成分が加えられる。酵素又は酵素処方はそれから該混合物に加えられ、必要に応じて賦形剤が加えられる。均一になるまで、すべての成分は混合される。酵素を欠いた、似たような組成物が調製されることは当該技術分野において良く知られている。
【0070】
第2の実施態様においては、本発明に関する高分子重量ポリマーははじめに2−5%の水溶液として調製され、該水溶液はそれから、プロピレングリコールまたはグリセロールのような水混和性有機溶媒及び上記の他の固形成分を加えることができる。もし、酵素が含まれるのならば、それはこの時点で加えられ、均質になるまで混合される。
【0071】
第3の実施態様においては、プロピレングリコールまたはグリセロールのような水混和性有機溶媒ははじめに均質になるまで水と混合される。酵素が加えられ、その後に、高分子量ポリマー及びすべての成分が均質になるまで混合される。
【0072】
4番目の実施態様において、酵素が高分子量ポリマーと結合されるならば、酵素は直接ポリマー混合に添加される。もしくは、酵素組成物は最初に調製され、それから、ポリマー混合は酵素組成に添加される。
【0073】
5番目の実施態様においては、高分子量ポリマーは水溶液(例えば2‐5%)として調製され、水溶性ポリオール溶液に添加される(例えば5‐50%スクロース、ルビトール、トレハロースまたは他の糖)。塩化カルシウムのような他の組成分が添加されその後に、アミラーゼのような酵素が添加される。組成物は均質になるまで混合される。
【0074】
この分野におけるこれらの技術について、本発明の霧抑制調剤の調製は、選択されたポリマーの分子量を維持するような条件を有する手順で実施される。そのような条件は、例えば、選択されたポリマーの結合を粉砕しない混合法、攪拌時間、および温度を含む。 ポリエチレンオキサイドの適切な調製方法はダウ・ケミカル社(Midland, Michigan)によるポリオックス(POLYOX)の製造仕様書及び、The Encyclopedia of Polymer Science and Engineering vol. 1 (previously cited)に記載の引用方法があるが、それらに限られない。
【0075】
好ましくは、上記で述べられているように、一度該組成物は調製されて、それらは、さらに該組成物の製剤化のために、パーソナルケア製品またはクリーニング製品に添加される。それはさらに、本発明に関する高分子量ポリマー組成物生物が酵素を含まない高分子量ポリマー組成物が、パーソナルケア製品及びクリーニング製品に添加される場合もある。さらに、酵素組成は、直接的に高い分子量ポリマー・コンパウンドと結合されて、それからパーソナルケアまたはクリーニング製品に添加される場合もある。加えて、酵素組成物は高分子量ポリマー組成物から分離して貯蔵され、分離してパーソナルケア製品及びクリーニング製品に添加される場合もある。
【0076】
C. 発明の使用方法
高分子量ポリマーは上で述べたように、組成物を製造する間の酵素の露出を減らすという好ましい霧抑制効果を与える。そして、該組成物は、さらなる組成物または製剤に添加されたときに好ましい霧抑制効果を示す。本発明に関する組成は、製剤の用途に応じて、各技術分野の中で知られている他の成分を含み、それらの成分が望ましい効果を奏する量を含み、提供される。本発明に関する組成物は、高分子量ポリマーによって調剤に先がけて組成物に含められている1以上の酵素を含む。
【0077】
本発明に応じた結果として生じている霧抑制組成物は技術分野の中でよく知られているポンプ噴霧装置、圧力をかたエアロゾル噴霧、および様々なコンテナの中で梱包される。
【0078】
発明の結果として生じている霧抑制組成物は、一般的に、ポンプ噴霧を用いて目的物質の上に分配される。通常、開口部及びスプレーヘッドバルブが開かれると、水溶性の内容物の圧力が開口部に通る。分配手段の圧力と口弁の形状はエアロゾル噴霧型と粒度分布に影響するであろう。汲み上げ、霧吹きは、そのあとに続くエアロゾルの形成に寄与している主要な手段である一方、本発明の霧抑制組成物は、手作業による注入で使用することができる。さらに本発明の霧抑制組成物は、繊維布、ふき取り用布(ティッシュ)、または直接拭いたり、目的物に直接触れるような固形の製剤物質または目的物質の上に適用される。 このような適用形態の中で、エアロゾルの生成は、水洗、霧吹き、水を浴びせること、または霧抑制組成物がすでに塗られたか、覆われた目的物質の上の水または水溶液との直接的な衝突のような、その後の処理によっても起こる。
【0079】
本発明の最終的な霧抑制組成物は、通常2のグループに分けられる。パーソナルケア製品及びクリーニング製品である。
【0080】
(1)パーソナルケア製剤
本発明に関する水溶性の高分子量ポリマー組成物はエアロゾル生成を抑制するためにパーソナルケア製剤に組込まれる。
【0081】
パーソナルケア製品は以下のものを含むが、それらに限定されない;シャワー及びバスのゲル;シェービングクリームおよびゲル;シャンプー、コンディショナー、クリームリンス及びヘアスプレーなどの整髪製品;固形石鹸;液体ハンドソープ;身体または顔用のローションおよびクリーム;顔のマスク;歯磨きペースト;およびマウスウォッシュ。特にこれらの製品がシャワー環境に用いられる時に、エアロゾル生成の可能性、特に製品の跳ね返りによるエアロゾル生成の可能性が生ずる。
【0082】
一般的に、パーソナルケア製剤は製品のために通常の方法に従って調製される。例えば、もし、霧抑制組成物がシャワーゲルに含まれるなら、このシャワーゲルは最初に調剤され、続いて、霧抑制組成物がシャワーゲル製剤に添加される。しかし、霧抑制組成物は、また、最終製品を成形するためにシャワーゲルの成分と同時に調剤される。 最終製品の製剤の完成において、製剤は適切な形態に梱包される。
【0083】
霧抑制組成物分がパーソナルケア製品に調剤されるとき、該製剤は約0.0001%〜約10%の高分子量ポリマーを最終濃度として含む。好ましくは、約0.0001%から約5.0%の高分子量ポリマー、約0.001%から約1.0%、約0.001%から約0.5%;及び約0.01%から約0.1%の高分子量ポリマーを最終濃度として含む。霧抑制因子組成物は酵素及び高分子量ポリマーの両方を含む。該製剤は約0.0001%から約20%の酵素;約0.0001%から約10%の酵素;約0.001%から約10%の酵素;約0.01%から約10%の酵素;約0.01%から約5%の酵素;約0.1%から約10%の酵素;または約0.1%から5%の酵素を含む。
【0084】
加えて、ある実施態様においては、製剤組成物のDv50は高分子量ポリマーを含まない類似の製剤のDv50より10−200%で大きくなる。
【0085】
直接噴霧された製品の霧の体積、プラスマイナス跳ね返り(plus/minus rebound)は5%から95%;約10%から90%、約10%から80%または約10%から50%に減少する。高分子量ポリマー組成物がパーソナルケア製品に添加された前後に、酵素が、空気サンプルによって収集された酵素の合計を測定することによって、直接噴霧した製品の霧の体積(プラスマイナス跳ね返り(plus/minus rebound))が容易に測定できる。
【0086】
パーソナルケア製品に含められうる成分の包括的なリストは、国際化粧品成分辞書、ハンドブック、第9版(2002)化粧品化粧用品および香料協会(the International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook, 9th Ed. (2002) Cosmetic, Toiletry and Fragrance Association)である。 USP 5、863、597も、参考文献である。本発明に関する霧抑制組成物分を含むパーソナルケア製剤の非限定的な例は以下のものを含む:
【表2】

【0087】
この例において、シャワーゲル製剤はプロテアーゼ/PEO 組成物と10対1の割合で結合させられる。マイナーズ(Minors)はPH調整剤、防腐剤、粘度調整剤、色素、及び香料を含む。合計はおおよその重量パーセントを表し、特に示さない限り有効数字を示すことを意図するものではない。
【表3】

【0088】
(2)クリーニング製剤
本発明に関する水溶性高分子量ポリマー組成物が組み込まれたクリーニング製品はエアロゾルを制御する。クリーニング製剤は以下のものを含むがこれらに限定されない。液体洗濯用洗剤および高級繊維用洗剤;塗装面クリーニング製剤、ガラス用、木用、セラミック及び金属のカウンター甲板及び窓;カーペット用洗剤;オーブン用洗剤;ファブリックフレッシュナ―;ファブリック柔軟剤;及び布地用及び洗濯用前処理剤。
【0089】
これらの製品が要求された環境に用いられる時に、目的物質の上に製品を分配することによる、そして製品の跳ね返りによる、2つのエアロゾル生成の可能性がある。例えば、ガラスクリーニング製剤がカウンター甲板の上で使用される場合、ある人がカウンター甲板の上に該製剤をスプレーすることにより生じたエアロゾルに曝され、ある人はまたカウンター甲板から跳ね返った該製剤のエアロゾル生成物に曝される。
【0090】
前述の例において、洗濯用前処理剤が綿布などの目的物質の上で使われる時に、ある人は綿布の跳ね返りにより生じたエアロゾル生成物に曝される。本発明は、これらの製剤製品からエアロゾル生成を減らすことについて述べる。上で述べたように、典型的に、クリーニング製剤は製品にたいする慣例的な手法によって調製されるだろう。 例えば、霧抑制組成物が前処理剤クリーニング製品に含められているならば、前処理剤は最初に調剤され、それから、霧抑制組成物は前処理剤に添加される。 もし、クリーニング製剤がいくつかの成分の溶解を目的として、熱せられなければいけないとしたら、霧抑制組成物分は前処理剤の調剤が終了した後に添加される。しかし、霧抑制組成物は、また、最終製品を成形するために前処理剤を構成する成分と同時に調剤される場合もある。 製剤の完成後、最終製品は適当な形態に梱包される。
【0091】
霧抑制組成物はクリーニング製剤に処方されると、該製剤は約0.0001%から10%;約0.0001%から約5.0%;約0.001%から約1.0%;約0.001%から約0.5%;及び約0.01%から約0.1%の高分子量ポリマーを最終濃度として含む。
【0092】
霧抑制組成物は酵素及び高分子量ポリマーの両方を含むとき、該製剤は約0.001%から約10%;約0.001%から約5.0%;約0.01%から約10%;約0.01%から、約5.0%;約0.1%から約5%;約0.1%から約1.0%;約0.5%から約5%の酵素もまた含む。
【0093】
さらに、1つの実施態様において、添加された組成物のDv50は高分子量ポリマーが添加されていない対応する製剤のDv50より約10-200%大きくなる。直接噴霧による製品の霧の容積は、目的物のplus/minus 跳ね返りは約5〜95%;約10から90%;約10から80%または10から50%に減少するだろう。
【0094】
酵素が、高い分子量ポリマー・コンパウンドがクリーニング処方に追加される前後に空気サンプルによって収集された酵素の量を測定することによって直接的な噴霧(プラスマイナス跳ね返り(plus/minus bounce-off))からの製品の霧の体積は容易に測定される。
【0095】
本発明に関する霧抑制組成物を含むクリーニング製剤の非限定的な例は以下のものを含む:
【表4】

【表5】

【0096】
ここで参照されるすべての出版物および特許は、引用によって完全に本明細書に組込む。以下は、例の方法で表しており、請求項の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0097】
例1
対象となるポリマーは水中で混合され、その後、その後、0.001%から0.1%(wt/wt)の濃度に連続的に希釈された。蒸留水と対象ポリマーの溶液は重要な液体の剪断応力にさらされて、エアロゾル生成は、RTSizerソフトウェアによってマルベンスプラテックレーザー回折システム(Malvern Instruments Limited、UK)の液滴サイズ分光分析を用いて決定された。このシステムは、直径0.5から1000μmの液滴を検出することが可能である。液体溶液への剪断応力は開口部の直径が0.15mmのBete PJ6 fog nozzleを通じて液体を強制排出することにより生じる。テスト溶液はポンプ作動がポリマーの生成を断ち切るのを防ぐために、圧縮ガス(80pounds/in2)を用いてノズルに供給された。テストノズルからの噴霧雲は可変速度制御によって3.5kWの電動機によって動かされる低速風洞で発生した。
【0098】
使われた空気速度は4.2m/sであった。表6中の報告された結果は液滴サイズスペクトルについてのもので、収集されたデータセットの平均値である。
【表6】

【0099】
Dv10、Dv5o およびDv90は上で定義されたとおりである。 %Tはレーザーを通る相対的透過率である。 より高い透過率の値(%T)は、より少ないしぶきがビームを覆い隠していることを示す(それはエアロゾルの総体積が減少したことを示す)。 例えば、98%から99%の%Tの増加はビームを覆い隠しているエアロゾルの体積の著しい減少を表している。 霧抑制ポリマーを含んでいる溶液は高い透過率の値を有し、これは、ポリマーが呼吸に適する液滴の生成を減らすであろうという仮説と一致する。 さらに、噴霧溶液への霧抑制ポリマーの付加は、噴霧雲の中で液滴サイズ全体を増大させた。
【0100】
例2−ポリオックス(POLYOX)およびTARGET LCポリマーを含むシャワーゲル
シャワーゲル(Zest and Olay, Procter and Gamble, Cincinnati, Ohio)製剤およびポリオックス(POLYOX)およびTARGET LCはさまざまな濃度で調製された。試験は例1で述べたように、RTSizerソフトウェアによってマルベンスプラテックレーザー回折システム(Malvern Instruments Limited、UK)及び Bete PJ6 fog nozzle を用い、500 kPa (80 psi) の圧力で行われた。はじめに、希釈された製品のベースライン挙動を設定するためにポリマー無添加のシャワーゲルについて行われた。シャワーゲルの中の界面活性剤の存在による表面張力の低下は粒度を低くすることはなかった。表7は高分子量ポリマーの添加により、エアロゾル生成が減らされることを示す。これらのデータはシャワーゲルへのポリマーの添加は対応するシャワーゲル単独と比較した場合、溶液中の粒子サイズを増やすことを示す。
【表7】

【0101】
1%のZet 及び Olay + 0.01%のポリオックス (表8) のサンプルについて、剪断粘性率は蒸留水の上で約10%増大した。しかし、相当なDv50の増加があっても、ノズルを通しての流量の減少またはルートメーター測定値の増加は観察されなかった。 どのような方法でも発明を制限することを意図されていない一方、Dv50の増加は伸延粘性の増加によることは明らかである。
【0102】
1%のZet または Olay + 0.01%の Target LC (表8) のサンプルでは、剪断粘性率は蒸留水に比べて30-70%増大した。 この場合では、ノズルを流れる割合は大幅に低めら、ルートメーター測定値は増えた。両者はDv50の大幅な増加とともに引きずり(drag along)を増加していることを示している。どのような方法でも発明を制限することを意図されていない一方、Dv50の増加は剪断粘性率の増加によるものであると考えられている。
【0103】
結果は、エアロゾルを減らすことについて、剪断粘性率と伸延粘性の両方が役割を果たしていることを示す。
【表8】

【0104】
例3A−洗濯用スプレー前処理剤霧抑制酵素組成物
この例は、表5に示された組成物の前処理剤の空気中の酵素の濃度幅を決定する。前処理剤は洗濯前の衣類の前処理をするものとして使用される。この前処理剤は、酵素、Purafect 4000Lとして市販されているプロテアーゼがふくまれており、ポリマーポリオックス(POLYOX)が含まれる場合と含まれない場合がある。 プレスポッターは白い綿100%の男性用アンダーシャツに噴霧された。このアンダーシャツは実験に先立ち、酵素が含まれていない洗剤で、あらゆるサイズの物質を洗い落とした。噴霧製剤は0.03%のポリオックスがあるかどうかにかかわらず0.3%の酵素を含んでいた。
【0105】
実験の間、サンプリングは20-25 立法メートル(cubic meter)のテストルームで機械的な喚起をせずに行われた。しかし、後に続くサンプルに、エアロゾルの残留の影響を最小限にするため、サンプル間において8分間の浄化サイクルが実施された。部屋の温度は65-68 oFにコントロールされた。
【0106】
サンプリングは、大流量サンプリングポンプ(グレイスバイ)(GraysbyHV2000P)を使って、実施された。酵素エアロゾルは11 cm2ガラス繊維フィルタ上で収集されて、ポンプは440リットル/分で目盛り設定された。
【0107】
製剤は上記標準状態の下で噴霧され、手動操作により、1テストあたり、5回のスプレーを行い、3回のテストを行い、1処置と見なした。スプレーは、10秒間のインターバルの後、毎秒1回で5秒間吹きかけられた。トータルスプレー時間は、約40秒で、個々の製剤についてのサンプリング時間は2分間であった。
【0108】
製剤は、水平で平らな表面に置かれ、スプレーされた。試料は製剤から20インチのところで収集されました。 スプレー〈市販の洗濯用前処理剤にノズルを装備したもの〉は、目的物質 から最低5インチのところで45度の角度から噴霧した。酵素: 分光測光を利用する基質相互作用検査法は、試料を分析するために使われた。 空気立方メートルあたりのナノグラム(ng/M3)中の時間加重平均(TWA)で空気中を漂う酵素濃度は決定され、結果は表9Aに示される。 71%の酵素回収率によって、値は平均された。ポリオックスは酵素の濃度を約53%減らした。
【表9a】

例3B−洗濯用前処理剤霧抑制組成物分
洗濯用前処理剤における酵素へのポリマー添加の第2の実験は、「Characterization of Aerosols Generated from a Consumer Spray Product-Phase II」, The Soap and Detergent Association, Battelle Study No. N003043B, Battelle, Richland, Washington. (2/2000)に記載の手法を用いて行われた。テストプロトコルは自動化されたソレノイドを用いた制動器操作により行われた。スプレーボトルはSaint-Gobain Calmar TS-800-1 spray nozzleが用いられ、テスト衣料に対して垂直位に設置された。ノズルはテスト衣料6インチのところ、およびテーブル表面から10.25インチのところに置かれた。該実験は機械的喚起をしていない7.75Mのチャンバー内で実施された。室内の温度は20-27℃であり、テスト製剤は温度20-23℃に維持された。
【0109】
ポリマーは、酵素濃度への付加に先がけて、2.0グラムのPEO粉(ポリオックス(POLYOX))WSR N60K)を、水混和性非溶媒(プロピレングリコールまたは飽和した塩化ナトリウム)の8.0グラムに溶かすことによって調製された。200gのバッチを調製するために、PEO紛体および非溶剤は、約50mlの位置にプロペラが設置されている400mlビーカーに内に投入された。ビーカーの直径およびプロペラの直径はそれぞれ、2.75および2.50インチであった。プロペラの操作により流体はビーカーの底に押された。 ポリマーバッチは190グラムのPurafect400Lの酵素濃縮物に添加された。 混合率は約60rpmであり、攪拌時間は約4時間であり、温度は約35 ℃であった。
【0110】
糊剤と他の残留物を取り除くために酵素を含んでいない界面活性剤によりあらかじめ洗浄されたホワイト100%の綿Tシャツは各前処理剤について1秒の間隔で5回の噴霧によって処理された。 410リットル/分で目盛り設定された大流量サンプリングポンプ(グレイスバイ)は、11 cm2ガラス繊維フィルタについて酵素エアロゾルを収集するために使われた。 酵素: 分光測光を利用している基質相互作用検定は、試料を分析するために使われた。個々のテストされた製剤の反復サンプルは集められ、個々の繰り返しサンプルのセットの前後にバックグラウンドのサンプルが含められた。
【0111】
表9bは、表5の一般製前処理剤と酵素及びポリマーの様々な量を比較したサンプルの第一セットについての結果を示す。具体的に、前処理剤の酵素の内容物は1%および0.5%Purafect 4000L、およびポリマーは0.01%および0.005%ポリオックス(POLYOX)であった。
【0112】
酵素の濃度は0.005%PEOがプレスポッターに加えられたとき、約95%に減らされ、この減少は0.01%PEOが加えられたときは約99%だった。
【0113】
表9Cは5つの一般製前処理製剤を用いた第二セットのサンプルの結果を示す。全ては、0.5%Purafect 4000Lおよび0%, 0.0025%, 0.0050%, 0.0100% and 0.0150% ポリオックス(POLYOX)を含んでいる。この結果は0.0025%、0.0050%、0.0100%および0.0150%のポリオックス(POLYOX)が製剤中に含まれるときの噴霧内容物中の酵素がそれぞれ約27%、84%、91%および95%以上減少していたことを示す。
【表9b】

【表9C】

例4−ポリマー添加およびポリマー無添加の洗剤に対する液滴平均直径
例1において説明されたマルベンスプラテックレーザー回折システム及び市販の液状の洗濯用洗剤(Purex)のポリマー添加及び無添加のサンプルを吹きかけるために、空気霧化ノズルが使用された。デュアルポートノズル(Spraying Systems Co. , Wheaton, lllinois, 1/4 JBC nozzle, #60100 fluid cap, and #1401110 air cap)は30 psiで1のポートをとおり液体を供給し、隣接する第二のポートで60 psiで空気を圧縮する。テストノズルからのスプレー雲は、可変のスピードコントロールによって3.5kW電気モーターにより動かされた風洞で生成した。空気スピードは7m/sで設定された。
【0114】
液体洗剤への0.5%の霧抑制ポリマー(PEO)添加は、下の表10に例示するように噴霧雲の中で液滴の全体のサイズを増大させた。
【表10】

【0115】
例5−ポリマー添加およびポリマー無添加の洗濯用前処理剤
表5の一般の洗濯用前処理剤であって、酵素が添加されておらず、78.18%の水(G)の代わりに、78.48%の水を含む洗濯用前処理剤及び市販の4つの洗濯用前処理剤がテストされた。市販の前処理剤は、(B)Zout、(C)Safeway Prewash、(D)Shout、および(E)Spray'n Washであった。個々のプレスポッターに添加されたPEO濃度は、それぞれ、0.00%、0.01%、0.03%、および0.10%の幅であった。
【0116】
さまざまな量のPEOを含む5つのサンプルはSaint-Gobain Calmar (TS-800-1, TS-800-2, TS-800-3, TS-800-4, and TS-800-5)から用いられた5つのノズルから12cmの距離からthe Malvern Spraytec Laser Systemのビームの中にスプレーされた。
【0117】
粒度分配における結果は、与えられた値がマイクロメーターである所の下の表11において示された。
【表11】

【0118】
表11は、ポリマーの付加は液滴サイズを有意に大きくし、全ての製品及びノズルにおける粒度分布はポリマーを添加していないものに比較して、おおむね近似していた。似たような粒度分布であることは、DV50とDv90の値から明らかである。製品のほとんどにおいて、ポリマーの添加は、Dv10の価を増大させ、それは、エアロゾルが減少したことを示している。
【0119】
前処理剤の流動的な特性は、粒度分布の結果を参照し、関係付けるために測定された。表12は、BからGまでの製品のための表面張力と切断粘度値を示す。
【表12】

【0120】
伸延粘性は、ポリマーなしで、そしてポリマーの量を増やした一般の前処理剤と市販されている液体の洗濯用洗剤について測定された。H. Zhuらによる「Effects of Polymer Composition and Viscosity on Droplet Size of Recirculated Spray Solutions」, J. Agric. Eng. Res. (1997) 67,35-45,に記載の方法を用いて、伸延流動度はポリエチレンオキサイド(PEO)の量が増やされた一般スプレー処理剤及び一部地域で販売されている液体洗濯用洗剤に対して測定された。本方法は底の出口から5つのパックされた100メッシュスクリーンを通した25mLをピペットから分配し、流れ時間を測定することを含む。 流れ時間は伸延粘度の間接測定である。
【0121】
図1及び図2に示すように、プレスポッター及び液体洗剤の伸延流動度は、ポリマーレベルが増加するに連れて増加した。流れ時間の増加は伸延粘性の増加と関係している。 前処理剤の増大した伸延流動度は表11中の前処理剤の増大したDv50値と一致している。
【0122】
例6−質量移動調査
実験は、噴霧またはしぶきが起こっている間の液滴の移動を測定するためおよび、水滴サイズと実際に前処理剤が布に適応される際のエアロゾルの空気中の移動との関係を明らかにするために実施された。質量移動は噴霧する場所から噴霧により生じた粒子が最終的に到達する場所までの移動である。
【0123】
トレーサ(tracer)である0.01%フルオレセイン(fluoroscein)は、酵素の代わりに一般の前処理剤(G)の試料に添加された。フルオレセインは製品の粒度分布に影響しない。 フルオレセインは高感度で容易に測定でき、従って、この適用において酵素に対する合理的な代理となる。
【0124】
ターナー450蛍光光度計(Barnstead/Thermolyne Corporation、Dubuque,lowaによる45F00-05型 )は、エアロゾルが集まる部位に到達するあらゆるフルオレセインを検出し、測定するために使用された。蛍光光度計は狭い幅の励起フィルター(490 nm)と発光フィルタ(520nm)を装備された。
【0125】
11cm2径のガラス繊維フィルタを持つエアサンプラーは、収集部位にフルオレセイントレーサーを含んでいるあらゆるエアロゾル粒子を収集するために使われた。 エアサンプラーは、分配スペクトル微粉粒子を収集するために風洞の端部の下流に設置され、前処理剤は風洞の上流の端部に設置された市販の手動ポンプスプレーノズルから分配された。 製品試料はトンネルの床の中央の上に、トンネルの最も風上の端部から吹きかけた。床は、跳ね返りを最小化し、どのような過剰の試料をも貯蔵するために綿布で覆われていた。その位置は噴霧位置から1.07m及びトンネルの風下の端部から1.33mであった。風洞ファンとエアサンプラーはそれぞれ7.0m/sと1.7m/sで操作された。エアサンプラーとフィルタはマルベンスプレーテックレーザー装置のビームの正面の中で設置された。
【0126】
収集に続いて、フィルタは、サンプラーから取り除かれて、30.0グラムの蒸留水が含まれる60mlのコンテナの中に置かれた。 このコンテナは、フルオロセインを抽出するために、2時間蓋をして振られた。 抽出された溶液試料の10mlは遠心管の中に静かに注がれて、4100rpmで6分間遠心分離された。 上澄み液は蛍光光度計のサンプルチューブにピペットによって移された。
【0127】
2回の測定がサンプルの中の0.01%PEOによってあるいはなしで、TS-800-1からTS-800-5まで各ノズルのために行われた。 エアサンプラーに達している粒子の粒度分布及びエアサンプラーに達している粒子の質量が測定された。表13に示した結果は、0.01%PEOを含んでいるサンプル中のフルオロセインの回収が有意に減少していることを示す。このことは、サンプラーに到達したエアロゾルの全質量の有意な減少を示している。この結果はさらに、エアサンプラーに達した粒子が60ミクロン未満のサイズであることを証明する。
【表13】

【0128】
Dv10の値とエアロゾルの風下における移動との間に相関が見られた。ポリマーの添加は、物質移動を、84%乃至96%減少させた。
【0129】
例7−跳ね返り表面における液滴サイズ質量移動調査
質量移動は例6に示すように粒度に依存しており、粒子サイズを増加させるためにポリマーを用いると、質量移動の減少が結果として生じる。質量移動調査は、跳ね返り表面における液滴サイズに対するポリマーの効果を決定するために行われた。
【0130】
噴霧実験は、自動分散スタンド(an automatic dispersing stand)を使って、風洞で実施された。反復実験においてボトルトリガーを機械的に押し下げる間、分散スタンドは、固定位置において噴霧ボトルを固定するために設置された。様々なレベルのポリエチレンオキサイド(PEO)を含む一般の前処理剤(表5、0.01%フルオロセイン トラクター)は、風洞の風上の端部で様々な表面(ガラス、綿、ポリエステル/綿)の上に、30回(Saint-Gobain Calmar TS-800-1 および TS-800-3 の2つの異なったノズルを用いて)吹きかけられた。 噴霧ボトルノズルは、表面位置に固定された(2.75インチが垂直に表面の上で、そして45の度で表面に歪曲する)。風洞の床は、跳ね返りをこの表面から取り除くために綿布で覆われた。エアサンプラー及びマルベルンスプレイテック粒度分析器は風洞の風下の端で設置された。 風洞とエアサンプラーはそれぞれ7.0m/sと1.7m/sで動作していた。 実験は定位置の表面で実施され、綿布が取り除かれた。 綿布が取り除かれると、噴霧全体が風洞の床にあたる。これらの実験の結果は表14中で示される。 表面が設置されたときには、エアサンプラーに達している液滴は噴霧と表面からの跳ね返りの両方のであった。しかし、表面が取り除かれた時に、エアサンプラーに達している液滴は噴霧のだけであった。
【表14】

【0131】
表14中の結果は、ポリマーなしで、そして跳ね返り表面なしで、45mgの一般の前処理剤がTS-800-1ノズルからエアサンプラーに達し、11.1mgがTS-800-3ノズルからエアサンプラーに達したことを示す。TS- 800-3ノズルは、60ミクロン未満の液滴しか発生させないTS-800-1ノズルと比較して、60μm未満であってより少ない液滴を、ジェットのようなスプレーで生み出す。すべての液滴は跳ね返り表面がない状態でノズルから分散噴霧として生み出された。跳ね返り表面が設置されていた時に、エアサンプラーに達した液滴は2頂の粒度分布を示した(それらは、スプレーからの60μm未満の液滴及びTS800-1ノズルによる60-300μmの幅の跳ね返りイベント(Ivent))であった。跳ね返り表面がコットンからポリエステル/コットン(65/35)からガラスに変更され、表面の硬さが増すにつれて、 2頂分布は、60μm未満サイズ分画から60−300μmのサイズ分画まで、より重量が重くされる方向に移動した。液滴はそれぞれ、スプレー及び跳ね返りイベントの結果として生成された。
【0132】
表面がないところから、綿からポリエステル/綿からガラスへと表面が変更されると、TS-880-1ノズルからエアサンプラーに到達する一般前処理剤の質量は45mgから91.9mgまで、112.5mgまで、166mgまでに増加した。質量におけるこれらの移動は2頂分布における量的な移動と一致していた。
【0133】
TS-800-3のために、表面がないところから、綿からポリエステル/綿からガラスへと表面が変更されると、TS-880-1ノズルからエアサンプラーに到達する一般前処理剤の質量は11.1mgから69.6mgまで、82.6mgまで、113.5mgまでに増加した。TS-800-3ノズルから生成される粒子サイズはマルベンスプレーテック粒子サイズ分析器(the Malvern Spraytec Particle Size Analyzer)の値域を越えていたために、液滴は検出されなかった。
【0134】
0.01%のPEOが一般製前処理剤に添加されたときに、TS-800-1ノズルからエアサンプラーに達している質量は96%(綿)、98%(ポリエステル/綿)、および95%(ガラス)92%(無跳ね返り表面)に減らされていて、どの液滴もマルベンスプレーテック粒子サイズ分析器(the Malvern Spraytec Particle Size Analyzer)によって検出されなかった。 TS-800-3ノズルからエアサンプラに達している一般製の前処理剤の質量は95%(綿)、94%(ポリエステル/綿)、および94%(ガラス) 47%(無跳ね返り表面)に減らされた。 どの液滴も液滴もマルベンスプレーテック粒子サイズ分析器(the Malvern Spraytec Particle Size Analyzer)によって検出されなかった。
【0135】
2つの付加的なテストが、無跳ね返り表面及びガラスの跳ね返り表面について、0.03%のPEOを用いて、ジェットのような噴霧をすることができるTS-800-3ノズルで実施された。無跳ね返り表面では、わずか1.8 mgの一般製前処理剤がエアサンプラーに到達した。これに対して、0.01%PEOを含む試料では11.1 mgであった。ガラス表面については、わずか0.8 mgの一般前処理剤がエアサンプラーに到達した。これに対して、0.01%PEOを含む試料では6.9 mgであった。どの液滴もマルベンスプレーテック粒子サイズ分析器(the Malvern Spraytec Particle Size Analyzer)によって検出されなかった。 より分散したスプレーパターンを有するTS-800の他のシリーズと比較して最も噴射に近いスプレーパターンを有するTS-800-3ノズルを用い、この噴射を高める最も高いPEO濃度を持ってしても、ガラス表面から跳ね返る粒子質量は実質的に0であったことは注目すべきことである。
【0136】
例8―ポリマー製剤の安定性
貯蔵環境下においてのポリマーの安定性を測定するため、初期の伸延粘度の値が、ポリマーを添加したプレスポッターおよび0.01、0.03、および0.1%のPEOを含んでいる市販の前処理剤Eについて測定された。伸延粘度価値は、試料を4.5ヶ月の間室温で固定した後に繰り返された。 市販の前処理剤Eにおいては貯蔵による伸延粘度の値への影響は見られなかったが、一般製前処理剤においては伸延粘度の値が有意に減少した。
【0137】
本発明に従って、高分子量ポリマー抗ミスティング組成物作るための上で説明された方法の多くのバリエーションは当該技術分野で知られている。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】図1は一般製の前処理液製剤の伸延粘度流動度におけるポリマー添加の効果のグラフである。
【図2】図2は市販されている液体洗剤製剤の伸延粘度流動度におけるポリマー添加の効果のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性霧抑制酵素組成物であって、
a)約1x 10-4乃至10wt%の1以上の高分子量ポリマー;及び
b)約1x 10-4から10wt%の有効量の1以上の酵素
を含む組成物。
【請求項2】
高分子量ポリマーがポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、置換されたアクリルアミド、アクリルアミドコポリマーおよびゴムから選択される請求項1の霧抑制酵素組成物。
【請求項3】
高分子量ポリマーが分子量約1x106乃至3.0 x106のポリエチレンオキサイドまたは分子量約2.5x10乃至4.0 x10のポリアクリルアミドである請求項1の霧抑制酵素組成物。
【請求項4】
組成物がパーソナルケア製品に組込まれている請求項1の霧抑制酵素組成物。
【請求項5】
パーソナルケア製品がシャワーまたはバスのゲル、洗顔料、ローション、ヘアシャンプー、固形石鹸 及び液体石鹸から選択される請求項4の霧抑制組成物。
【請求項6】
パーソナルケア製品に組込まれた組成物のDv50が60μmより大きい請求項4の霧抑制組成物。
【請求項7】
組成物がさらにクリーニング製品に組み込まれている請求項1の霧抑制酵素組成物。
【請求項8】
クリーニング製品が洗剤, 固表面用クリーナー, 洗濯用前処理剤, 及び カーペットクリーナーから成る群より選択される請求項7の霧抑制組成物。
【請求項9】
クリーニング製品に組込まれた組成物のDv50が60μmより大きい請求項7の霧抑制組成物。
【請求項10】
酵素安定剤をさらに含む請求項1の霧抑制組成物。
【請求項11】
酵素安定剤がプロピレングリコールである請求項10の霧抑制組成物。
【請求項12】
酵素がプロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、オキシダーゼ、リパーゼおよびそれらの混合物から選択される請求項1の霧抑制酵素組成物。
【請求項13】
パーソナルケア製剤の酵素の濃度が約0.001%乃至約10%である請求項4の霧抑制酵素組成物。
【請求項14】
クリーニング製剤の酵素の濃度が約0.001%から約10%である請求項7の霧抑制酵素組成物。
【請求項15】
請求項4の霧抑制酵素組成物であって、調剤されたパーソナルケア製品のDv50が、対応する調剤されていないパーソナルケア製品のDv50よりも、10乃至200%高くなる調剤されたパーソナルケア製品を、結果として生ずる、前期霧抑制組成物。
【請求項16】
請求項7の霧抑制酵素組成物であって、調剤されたパーソナルケア製品のDv50が、対応する調剤されていないパーソナルケア製品のDv50よりも、10乃至200%高くなる調剤されたパーソナルケア製品を、結果として生ずる、前期霧抑制組成物。
【請求項17】
エアロゾル生成を低める組成物の生産方法であって、分子量約0.8 x10 6 乃至 約4 x 107を有する高分子量ポリマーと酵素の結合により得られる、エアロゾル生成を低める、ポリマー/酵素組成物を含み、低められたエアロゾル生成が酵素の暴露を低める、上記組成物の生産方法。
【請求項18】
さらにポリマーを酵素と結合することに先がけて水混和性非溶剤の中でポリマーを分散する請求項17の方法。
【請求項19】
該結合が約35℃で実施される請求項17の方法。
【請求項20】
さらに、以下のことを含む請求項17の方法
a) パーソナルケア製品またはクリーニング製品に組み込まれたポリマー/酵素組成物;及び
b) 前記調剤製品が、好ましい環境下で使用されたとき製品からのエアロゾル生成が、対応する調剤されていない製品と比較して減らされている、得られた調剤されたパーソナルケア製品またはクリーニング製品組成物。
【請求項21】
製剤のエアロゾル生成物を減らす方法であって、
分子量約0.8×106乃至4.0×107を有するポリマーを製剤の約0.0001%乃至10.0%含む組成物と再調剤された、パーソナルケア及びクリーニング製品であって、
ポリマーの添加がパーソナルケア又はクリーニング製品のDv50を10乃至200%増加させる結果、製剤のエアロゾル生成を減らす、上記製剤のエアロゾル生成を減らす方法。
【請求項22】
再調剤されたパーソナル又はクリーニング製剤がさらに1以上の酵素を含む請求項21に関する方法。
【請求項23】
高分子量ポリマーを含むパーソナルケア製品であって、前記ポリマーは分子量約0.8×106乃至4.0×107を有し、製剤に0.0001%乃至10.0%含まれており;パーソナルケア製品の約0.0001%乃至約10%のプロテアーゼ;及び1以上のさらなるパーソナルケア製品成分を含み、上記パーソナルケア製品は高分子量ポリマーのない対応するパーソナルケア製品より10乃至200%高いDv50を有する、高分子量ポリマーを含むパーソナルケア製品。
【請求項24】
高分子量ポリマーを含むクリーニング製品であって、前記ポリマーは分子量約0.8×106乃至4.0×107を有し、該製剤に0.0001%乃至10.0%を含まれており;クリーニング製品の約0.0001%乃至約10%のプロテアーゼ;及び1以上のさらなるクリーニング製品成分を含み、上記クリーニング製品は該高分子量ポリマーのない対応するクリーニング製品より10乃至200%高いDv50を有する、高分子量ポリマーを含むクリーニング製品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−511685(P2006−511685A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−505616(P2005−505616)
【出願日】平成15年7月23日(2003.7.23)
【国際出願番号】PCT/US2003/023244
【国際公開番号】WO2004/010930
【国際公開日】平成16年2月5日(2004.2.5)
【出願人】(500284580)ジェネンコー・インターナショナル・インク (67)
【Fターム(参考)】