説明

エクオールの製造方法、エクオール産生組成物、食品、食品添加物及び医薬品

【課題】単一の菌株を用いて、培地中におけるイソフラボン類の添加量を従来に比べ多くし、かつエクオールの生産量を大幅に増加させ、生産されたエクオールの回収が容易であり、かつエクオール得量が従来に比べ大幅に増大するエクオールの製造方法を提供することである。
【解決手段】エクオールの製造方法は、イソフラボン類を含む培地に、β−シクロデキストリンまたはβ−シクロデキストリン誘導体またはγ−シクロデキストリンと曇り点が50℃以上の界面活性剤とを添加し、エクオール生産能を有する偏性嫌気性微生物の一種を作用させることを特徴とするエクオールの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エクオールの製造方法、エクオール産生組成物、それを用いた食品、食品添加物及び医薬品に関する。
【背景技術】
【0002】
大豆、葛などのマメ科の植物に多く含まれているイソフラボン類はポリフェノールの分類のひとつであり、イソフラボンを基本骨格とするフラボノイドである。近年の調査により、イソフラボン類は女性ホルモン作用(エストロゲン)や抗酸化作用を有し、イソフラボン類を摂取することにより、乳癌、前立腺癌、骨粗しょう症、高コレステロール血症、心疾患、更年期障害などに対して予防効果があることが明らかとなっている(非特許文献1から非特許文献6を参照)。
【0003】
また、大豆に含まれるイソフラボン類は、主に糖と共有結合したダイセイン配糖体を含み、イソフラボンアグリコンを極少量含む。ダイセイン配糖体として、例えば、ダイジン(daidzin)、グリシチン(glycitin)、ゲニスチン(genistin)を含む。
【0004】
ここで、ダイゼイン配糖体は、マロニル化、アセチル化されているものも存在しており、これらの配糖体は、ヒトや動物の体内に入ると消化酵素又は腸内細菌の産生する酵素であるβグルコシダーゼ等の働きにより、それぞれダイゼイン(daidzein)、グリシテイン(glycitein)、ゲニステイン(genistein)となる。
【0005】
【化1】

【0006】
さらに、ダイゼインは腸内細菌の働きにより、ジヒドロダイゼイン(dihydrodaidzein)を経て、O−デスメチルアンゴレンシン(O−desmethylangolensin:O−DMA) 又はエクオール(equol)へと酵素的に変換されることが知られている。
【0007】
【化2】

【0008】
エクオールは、これらの代謝産物の中で最もエストロゲン活性が高いことが知られている(非特許文献7及び8)。しかしながら、人間の場合、イソフラボンの代謝には個人差があり、上記のようにダイゼインを発酵させてエクオールを産生する能力を有する腸内細菌を保有する人は少なく、その保有率は日本人で約5割、欧米人で約3割程度であることが明らかとなっている(非特許文献9及び10)。そのため、エクオール産生菌を保有しない人は、大豆等のマメ科食物を摂取してもエクオールを体内で産生することができない。
【0009】
そこで、近年、乳酸菌等の嫌気性微生物を用いて体外的にエクオールを産生させる試みがなされている(例えば、特許文献1から特許文献4を参照)。しかしながら、どのような発酵条件・発酵方法により、より効果的・実用的にエクオールが製造できるかについては、明らかとなっていなかった。また、いずれも生成したエクオール濃度が低く、大量生産することができなかった。
【0010】
また、シクロデキストリンに代表される包接化合物は、その包接化合物を利用して不安定な化合物の安定化や食品の苦みの緩和、脱臭、難溶な化合物の可溶化などに応用されている。近年、生物学的な化合物の製造において、培地中に、原料の可溶化剤としてシクロデキストリンを添加する製造方法が提案されている(例えば、特許文献5から特許文献7を参照)。
【0011】
また、特許文献8には、エクオール産生菌と、エスケリッチア(Escherichia)属、ラオウルテラ(Raoultella)属、ラクトバチルス (Lactobacillus)属、パントエア(Pantoea)属、サッカロマイセス(Saccharomyces)属、エンテロコッカス (Enterococcus)属、及びセラチア(Serratia)属に属する微生物から選択される少なくとも1種のエクオール非産生菌と、を含む混合微生物を、ダイセイン類を含む培地中で培養して、ダイゼイン代謝物を製造する際に、原料であるダイセイン類の可溶化剤として、(1)シクロデキストリン、又は、(2)ポリエチレングルコールグルコール鎖を有し、水及びエタノール溶解可能でありHLB値が11以上である界面活性剤を、培地中に添加することが記載されている。
【0012】
前述した通り特許文献8には、エクオール産生菌と少なくとも1種のエクオール非産生菌と、を含む混合微生物を、ダイゼイン類を含む培地中で培養する際に、β−シクロデキストリンあるいはポリエチレングルコールグルコール鎖を有する界面活性剤を、培地中に添加することによりエクオール生産量が増加することが記載されているが、シクロデキストリン類と界面活性剤を同時に添加した場合の効果は記載されていない。また、一般的に二種類以上の微生物を混合培養し、再現性の良い結果を得ることは極めて困難である。
【0013】
さらに、微生物による物の製造においては、Tweenのような非イオン性界面活性剤を培地中に添加すると、通常、培養中および培養後の発泡が激しく、培養操作、生産物質の回収が困難となることが知られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2006−204296号公報
【特許文献2】特表2006−504409号公報
【特許文献3】特開2008−61584号公報
【特許文献4】特開2010−104241号公報
【特許文献5】特許第3549594号明細書
【特許文献6】特許第3135740号明細書
【特許文献7】特開2000−295999号公報
【特許文献8】特開2010−187647号公報
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Adlercreutz, H., The Lancet Oncol., 3, 364−373 (2002)
【非特許文献2】Duncan, A. M. et al., Best Pract. Res. Clin. Endocrinol. Metab., 17, 253−271 (2003)
【非特許文献3】Wu, A. H. et al., Carcinogenesis, 23, 1491−1496 (2002)
【非特許文献4】Yamamoto, S. et al., J. Natl. Cancer Inst., 95,906−913 (2003)
【非特許文献5】Onozawa, M. et al., Jpn. J. Cancer Res., 90, 393−398 (1999)
【非特許文献6】Ridges, L. et al., Asia Pac. J. Clin. Nutr., 10, 204−211 (2001)
【非特許文献7】Schmitt, E. et al., Toxicol. In Vitro, 15, 433−439 (2001)
【非特許文献8】Sathyamoorthy, N. and Wang, T. T., Eur. J. Cancer, 33, 2384−2389 (1997)
【非特許文献9】Arai, Y. et al., J. Epidemiol., 10, 127−135 (2000)
【非特許文献10】Setchell, K. D. et al., J. Nutr., 133, 1027−1035 (2003)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、単一種の微生物を培養し、工業的に実施可能なレベルのエクオールの製造方法を提供することである。また、エクオール産生組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下に示す本発明に至った。
【0018】
(1)イソフラボン類を含む培地に、β−シクロデキストリンまたはβ−シクロデキストリン誘導体またはγ−シクロデキストリンと曇り点が50℃以上、好ましくは60℃以上100℃以下、更に好ましくは70℃以上100℃以下の界面活性剤とを添加し、エクオール生産能を有する偏性嫌気性微生物の一種を作用させるエクオールの製造方法である。
【0019】
(2)前記イソフラボン類は、イソフラボン、イソフラボンアグリコン、ダイゼイン配糖体、ダイゼイン、ジヒドロダイゼインからなる群から選択される少なくとも一種である上記(1)に記載のエクオールの製造方法である。
【0020】
(3)前記偏性嫌気性微生物は、アドレクラウチア(Adlercreutzia)属、アサッカロバクター(Asaccharobacter)属、エガセラ(Eggerthella)属、ユーバクテリウム(Eubacterium)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、シャーペア(Sharpea)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、スラッキア(Slackia)属、バクテロイデス(Bacteroides)属からなる群から選択される単一種である上記(1)または(2)に記載のエクオールの製造方法である。
【0021】
(4)前記界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミタート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアラート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、からなる群のエステルエーテル型非イオン界面活性剤から選択される少なくとも一種である上記(1)から(3)のいずれか1つに記載のエクオールの製造方法である。
【0022】
(5)イソフラボン類と、エクオール生産能を有する偏性嫌気性微生物の一種と、β−シクロデキストリンまたはβ−シクロデキストリン誘導体またはγ−シクロデキストリンと、エクオール生産能を有する偏性嫌気性微生物の一種と、曇り点が50℃以上、好ましくは60℃以上100℃以下、更に好ましくは70℃以上100℃以下の界面活性剤と、を含むエクオール産生組成物である。
【0023】
(6)イソフラボン類は、イソフラボン、イソフラボンアグリコン、ダイゼイン配糖体、ダイゼイン、ジヒドロダイゼインからなる群から選択される少なくとも一種である上記(5)に記載のエクオール産生組成物である。
【0024】
(7)前記偏性嫌気性微生物は、アドレクラウチア(Adlercreutzia)属、アサッカロバクター(Asaccharobacter)属、エガセラ(Eggerthella)属、ユーバクテリウム(Eubacterium)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、シャーペア(Sharpea)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、スラッキア(Slackia)属、バクテロイデス(Bacteroides)属からなる群から選択される単一種である上記(5)または(6)に記載のエクオール産生組成物である。
【0025】
(8)前記界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミタート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアラート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、からなる群のエステルエーテル型非イオン界面活性剤から選択される少なくとも一種である上記(5)から(7)のいずれか1つに記載のエクオール産生組成物である。
【0026】
(9)上記(5)から(8)に記載のエクオール産生組成物と、エクオールとを含む食品、食品添加物である。
【0027】
(10)上記(5)から(8)に記載のエクオール産生組成物と、エクオールとを含む医薬品である。
【発明の効果】
【0028】
本発明のエクオールの製造方法によれば、従来に比べ、エクオールの生産量が増大する。また、驚くべきことに界面活性剤による発泡が無く又はほとんど無く、発酵槽での生産および生産されたエクオールの回収が容易であり、さらにエクオール得量が従来に比べ増大する。
【0029】
本発明のエクオール産生組成物によれば、従来に比べ、エクオールの生産量が増大する。また、界面活性剤による発泡が無く又はほとんど無く、生産されたエクオールの回収が容易である。
【0030】
本発明の食品、食品添加物、医薬品によれば、エストロゲンの不足に伴う症状、例えば、乳癌、前立腺癌、骨粗しょう症、高コレステロール血症、心疾患、更年期障害等が予防または改善される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施例1〜2、比較例1〜4におけるエクオールの生産性を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の実施の形態におけるエクオールの製造方法、エクオール産生組成物、食品、食品添加物及び医薬品について、以下に説明する。
【0033】
[エクオールの製造方法]
本実施の形態におけるエクオールの製造方法は、イソフラボン類を含む培地に、β−シクロデキストリンまたはβ−シクロデキストリン誘導体またはγ−シクロデキストリンと曇り点が50℃以上、好ましくは60℃以上100℃以下、更に好ましくは70℃以上100℃以下の界面活性剤とを添加し、エクオール生産能を有する偏性嫌気性微生物の一種を作用させる製造方法である。
【0034】
本実施の形態におけるイソフラボン類は、主に大豆、クズ、レッドクローバー、カンゾウなどマメ科植物から得られるもので、イソフラボン、イソフラボンアグリコン、ダイゼイン配糖体、ダイゼイン、ジヒドロダイゼインからなる群から選択される少なくとも一種である。
【0035】
イソフラボンはそのままか、β−グルコシダーゼ等の酵素あるいは微生物を作用させ、イソフラボンアグリコンに変換して本培養に用いることができる。イソフラボンアグリコンは、例えば、大豆胚芽に麹菌を加え発酵させ、得られた発酵大豆胚芽から抽出することにより得られる。
【0036】
イソフラボンアグリコンは、主に、ダイゼイン(daidzein)、グリシテイン(glycitein)、ゲニステイン(genistein)からなる。
【0037】
【化3】

【0038】
ダイゼイン配糖体を、ヒトや動物の体内に入ると消化酵素又は腸内細菌の産生する酵素であるβグルコシダーゼ等の働きにより、それぞれ、上述したダイゼイン、グリシテイン、ゲニステインとなる。
【0039】
さらに、ダイゼインは、腸内細菌の働きにより、ジヒドロダイゼイン(dihydrodaidzein)を経て、O−デスメチルアンゴレンシン(O−desmethylangolensin:O−DMA) 又はエクオール(equol)へと酵素的に変換される。
【0040】
【化4】

【0041】
本実施の形態におけるイソフラボン類は、イソフラボン、イソフラボンアグリコン、ダイジン、ダイゼインが好ましい。ここで、イソフラボンは例えばフジッコ社製フジフラボンP40、P10などを用いることができる。イソフラボンアグリコンとして、例えば、AglyMax−30」(ニチモウバイオテックス社製)を用いることができる。
【0042】
本実施の形態における偏性嫌気性微生物は、アドレクラウチア(Adlercreutzia)属、アサッカロバクター(Asaccharobacter)属、エガセラ(Eggerthella)属、ユーバクテリウム(Eubacterium)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、シャーペア(Sharpea)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、スラッキア(Slackia)属、バクテロイデス(Bacteroides)属からなる群から選択される単一種である。
【0043】
本実施の形態における偏性嫌気性微生物として、以下の表1に示す微生物が好ましい。
【0044】
【表1】

【0045】
さらに、本実施の形態において、エクオールを生産する偏性嫌気性微生物として、アサッカロバクター・セラツス(Asaccharobacter celatus)DSM 18785がより好ましい。
【0046】
上記嫌気性微生物は、その寄託番号に示された寄託機関から入手することができる。各
受託番号は、当該嫌気性微生物が、それぞれ次の寄託機関に寄託されていることを示す。
FERM:特許生物寄託センター;International Patent Organism Depositary (IPOD)(http://unit.aist.go.jp/pod/ci/index.htmL)
ATCC:American Type Culture Collection
DSM:Deutsche SammLung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH
【0047】
本実施の形態では、シクロデキストリンのなかでも、β−シクロデキストリン(シクロヘプタミロード)またはβ−シクロデキストリン誘導体またはγ−シクロデキストリンが好ましい。
【0048】
本実施の形態におけるβ−シクロデキストリンまたはβ−シクロデキストリン誘導体の添加量は、培地中のダイゼインの0.5モル〜5モル倍好ましくは、1.0モル〜3モル倍である。
【0049】
本実施の形態におけるβ−シクロデキストリン誘導体としては、例えば、グルコシル−β−シクロデキストリン(6−O−a−D−Glucosyl−b−cyclodextrin)、マルトシル−β−シクロデキストリン(6−O−a−D−Maltosyl−b−cyclodextrin)、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(Hydroxypropyl−b−cyclodextrin)、メチル−β−シクロデキストリン(Methyl−b−cyclodextrin)、ポリ−β−シクロデキストリン(Poly−b−cyclodextrin)などを挙げることができる。
【0050】
本実施の形態における界面活性剤は、曇り点が50℃以上、好ましくは60℃以上100℃以下、更に好ましくは70℃以上100℃以下の界面活性剤である。
【0051】
曇り点は、日本工業規格(JIS)の K2269(原油および石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法)の規定に則り測定した。上記試験方法は、試料を予期曇り点より少なくとも 14℃高い温度に保ち、水分があるようなら乾燥濾紙でこすなどの適当な方法で除き、完全に透明にする。この試料を試験管に入れ、規定に従って冷却し、試料の温度が 1℃下がるごとに試験管内部を観察する。試料の底部に、最初に明らかな試料の曇りを認めた温度を曇り点とするものである。
【0052】
上記特性を有する界面活性剤として、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート(「Tween 20」ともいう)、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミタート(「Tween 40」ともいう)、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアラート(「Tween 60」ともいう)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(「Tween 80」ともいう)、からなる群のエステルエーテル型非イオン界面活性剤から選択される少なくとも一種が用いられる。
【0053】
さらに、上記エステルエーテル型非イオン界面活性剤として、例えば、Tween 20、Tween 40、Tween 60、Tween 80が好ましい。
【0054】
本実施の形態における界面活性剤の添加量は、0.01〜1.0質量/容量%(wt/vol%)、好ましくは、0.05〜0.5質量/容量%(wt/vol%)である。
【0055】
本実施の形態では、エクオール生産能を有する偏性嫌気性微生物が、エクオールの生産に適した条件でダイゼイン等のイソフラボン類と接触させられ、培養される。エクオールの生産に適した条件は、エクオール生成活性を持つ偏性嫌気性微生物の生存と活動が維持される条件をいう。より具体的には、偏性嫌気性微生物の生存が可能な気相条件(嫌気性条件)が維持され、偏性嫌気性微生物の活性と増殖を支持するための栄養素が与えられることをいう。
【0056】
ここで、偏性嫌気性微生物の生存に適した種々の培地組成として、公知の培養組成を用い、先に示したエクオール生産能を有する嫌気性微生物について、当業者が適宜培地組成を選択することができる。本実施の形態の培地として、例えば、日水製薬社製のGAMブイヨン培地や、Difco社製のBHI培地等が用いられる。
【0057】
例えば、本発明で用いられる培地には、水溶性の有機物を炭素源として加えられる。水溶性の有機物として、ソルボース、フラクトース、グルコース、メタノール、さらに吉草酸、酪酸、プロピオン酸、酢酸、ギ酸など有機酸類が挙げられる。
【0058】
炭素源としての培地に加える有機物の濃度は、効率的に培地中の嫌気性微生物を発育させるために適宜調節することができる。一般的には、0.1〜10wt/vol%の範囲から添加量を選択することによって、過不足が避けられる。
【0059】
上記の炭素源に加えて、培地には、窒素源が加えられる。本実施の形態において、窒素原としては、通常の発酵に用いうる各種の窒素化合物が用いられる。好ましい無機窒素源は、アンモニウム塩、及び硝酸塩である。好ましい有機窒素源はアミノ酸類、酵母エキス、ペプトン類、肉エキス、肝臓エキス、消化血清末などである。より好ましい無機窒素源は、硫安、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム、硝酸カリウム及び硝酸ソーダである。より好ましい窒素源はアルギニン、シトルリン、オルニチン、リジン、酵母エキス、ペプトン類である。
【0060】
さらに、炭素源や窒素源に加えて、偏性嫌気性微生物の培養に適した他の有機物あるいは無機物を培地に加えることもできる。例えば、ビタミンなどの補因子や各種の塩類等の無機化合物を培地に加えることによって、偏性嫌気性微生物の増殖や活性を増強できる場合もある。例えば、無機化合物、ビタミン類、動植物由来の微生物増殖補助因子として以下のものを挙げることができる。
【0061】
無機化合物として、例えば、リン酸二水素カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、塩化ナトリウム、塩化コバルト、塩化カルシウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、明ばん、モリブデン酸ソーダ、塩化カリウム、ホウ酸等、塩化ニッケル、タングステン酸ナトリウム、セレン酸ナトリウム、硫酸第一鉄アンモニウムが挙げられる。
【0062】
また、ビタミン類として、例えば、ビオチン、葉酸、ピリドキシン、チアミン、リボフラビン、ニコチン酸、パントテン酸、ビタミンB12、チオオクト酸、p−アミノ安息香酸が挙げられる。
【0063】
これらの無機化合物やビタミン類、あるいは増殖補助因子を添加して培養液を製造する方法は公知である。従って、適宜製造方法にしたがって、培養液を作製する。培地は、液体、半固体、あるいは固体とすることができる。本実施の形態におけるエクオールの製造方法において、好ましい培地の形態は、液体培地である。
【0064】
本実施の形態において、偏性嫌気性微生物は、公知の微生物の培養方法にしたがって培養することができる。工業的な製造には、培地や基質ガスを連続的に供給することができ、かつ培養物を回収するための機構を備えた連続培養システム (continuous fermentation system)も使用できる。
【0065】
偏性嫌気性微生物の培養において、連続培養システム内への酸素の混入を防ぐことが必要である。培養器は通常用いられる培養槽がそのまま利用できる。嫌気性微生物の培養にも利用することができる培養タンクは市販されており、培養槽内に混入する酸素を、窒素などの不活性気体あるいは基質ガスなどで置換することにより、嫌気的な雰囲気を作ることができる。
【0066】
例えば、嫌気培養ジャー(anaerobic jar)を、嫌気性微生物を培養するためのバイオリアクターとすることができる。嫌気培養ジャーは、金属、ガラス、あるいは合成樹脂製の気密容器で構成され、内部を大気中の酸素から遮断することができる。さらに、嫌気培養ジャーは、嫌気培養ジャー内部の空間や培養液中に含まれる分子状酸素を除去するための機構を備えることができる。例えば、窒素、ヘリウム、水素、炭酸ガスなどを底部から通気攪拌することで、内部を嫌気状態に維持することができる。
【0067】
本実施の形態において、培養槽に、付加的な機能を与えることができる。例えば、通常使用される撹拌混合槽のほか、気泡塔型、ドラフトチューブ型の培養槽も利用できる。液体培地に吹き込まれる混合気体によって微生物は遊離分散され、微生物と培地を十分に接触させることができる。また、バイオトリックリングフィルター(biotrickling filter)のように通気性の高いスラグ、その他セラミック系の無機充てん物、あるいはポリプロピレン等の有機合成物質の充てん層に、水分を滴らせながら微生物を生息させ、そこにガスを通気しながら培養することもできる。さらに、使用する微生物は常法によりカラギーナンゲル、アルギン酸ゲル、アクリルアミドゲル、キチン、セルロース、寒天などに固定化して用いることもできる。
【0068】
本実施の形態では、当業者が、生成した嫌気性微生物と培養生成液を分離するため、公知の方法を用いることができる。好ましい分離の方法は、濾過性能、濃縮性能を有するホローファイバー型限外濾過あるいは精密濾過膜を利用する方法である。また、微生物と該生成液の分離に十分な濾過速度を得るためには使用する微生物に応じて適当な分画分子量の膜を選択すれば良い。培養槽から限外濾過膜を通して分離された培養液からエクオールを回収することができる。回収されたエクオールの精製方法は公知であり、例えば、培養物を遠心分離などで菌体を除き、上清を減圧下に濃縮、乾固後、70%エタノールあるいはメタノールで抽出する。抽出液をさらにシリカゲルクロマトグラフィーや晶析などの操作を行うことで精製できる。培養槽の形状によっては、培地を十分撹拌するため、撹拌機等を利用することもできる。培養槽内の培養物を攪拌することによって、培地成分や必要なガスを嫌気性微生物に接触させる機会を増やして、エクオールの生成効率を最適化することができる。また水素、窒素、炭酸ガスなどの単一あるいは混合ガスをマイクロあるいはナノバブルとして供給することもできる。
【0069】
微生物の十分な生育のため、培養物のpHは、3.0〜9.0が好ましく、5.5〜8.5がより好ましい。また、エクオールの回収量を増加させるため、培養槽の温度は特に制限されるものではないが、37℃を好ましい温度として挙げることができる。
【0070】
[エクオール産生組成物]
本実施の形態におけるエクオール産生組成物は、と、エクオール生産能を有する偏性嫌気性微生物の一種と、β−シクロデキストリンまたはβ−シクロデキストリン誘導体またはγ−シクロデキストリンと、エクオール生産能を有する偏性嫌気性微生物の一種と、曇り点が50℃以上、好ましくは60℃以上100℃以下、更に好ましくは70℃以上100℃以下の界面活性剤と、を含む。
【0071】
なお、イソフラボン類と、エクオール生産能を有する偏性嫌気性微生物の一種と、β−シクロデキストリンまたはβ−シクロデキストリン誘導体またはγ−シクロデキストリンと、曇り点が50℃以上、好ましくは60℃以上100℃以下、更に好ましくは70℃以上100℃以下のの界面活性剤については、上述同様であるため、ここでの記載は省略する。
【0072】
[食品、食品添加物、医薬品]
本実施の形態における食品、食品添加物または医薬品は、上述したエクオール産生組成物と、エクオールとを含む。
【0073】
さらに、本実施の形態におけ食品、食品添加物または医薬品は、本実施の形態の製造方法により得られたエクオールを含有する。
【0074】
エクオールを医薬品として提供する場合、その製剤化には、エクオールに加え、一般的に製剤化に用いられる物質(例えば、デンプン、デキストリン、乳糖、コーンスターチ、無機塩類等)を用いることができる。医薬品として提供する場合の剤型としては、アンプル、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、輸液、ドリンク剤等を例示することができる。
【0075】
エクオールを食品添加物として添加してなる飲食物として、例えば、健康食品、清涼飲料、ミルク、プリン、ゼリー、飴、ガム、ヨーグルト、チョコレート、スープ、クッキー、スナック菓子、アイスクリーム、アイスキャンデー、パン、ケーキ、シュークリーム、ハム、ミートソース、カレー、シチュー、チーズ、バター、ドレッシング等が例示される。
【実施例】
【0076】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
【0077】
以下、各実施例においては、以下の方法により、ダイゼイン、ジヒドロダイゼイン、エクオール、グリシテイン、ゲニステインの定量を行った。
【0078】
ダイゼイン、ジヒドロダイゼイン、エクオール、グリシテイン、ゲニステインの定量:
培養液0.5mLに対し、酢酸エチル1.5mLを加えて、激しく攪拌した後、3000rpmで10秒遠心し、酢酸エチル層をパスツールピペットで可能な限り取り出した。同培養液に同様の操作をあと2回行い、それら酢酸エチル層を合わせてエクオール抽出液を得た。この抽出液をエバポレーターで減圧下に濃縮、乾固し、1.0mLのメタノールに溶解させた。これを0.45μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜で濾過し、不溶物を除去したものを高速液体クロマトグラフィー測定サンプルとした。
【0079】
[高速液体クロマトグラフィー条件]
カラム:Phenomenox Luna 5uC18,2.0mm×150mm(島津ジーエルシー)
移動相:水/メタノール[55:45,v/v]
流速:0.2mL/min
カラム温度:40℃
検出:UV280nm
保持時間:ジヒドロダイゼインが13.8分、ダイゼインが19.6分、グリシテインが22.5分、エクオールが25.6分、ゲニステインが35.0分である。
【0080】
以下の実施例で使用したダイゼイン(以下「DAI」と略す)はLKT Labotatories,Inc.社製を使用した。イソフラボンアグリコンはニチモウバイオテックス社製AglyMax−30を使用した。これの組成はDAI 21.2%、グリシテイン 9.8%、ゲニステイン 3.0%である(いずれもメーカー分析値、重量%)また、エクオールは「EQL」と略す。また、β−シクロデキストリンを以下「β−CD」ともいう。
【0081】
実施例1〜2,比較例1〜4:
GAMブイヨン培地(日水製薬製)5.9gとL−アルギニン塩酸塩1.21g(培地に対してアルギニンで1%)を純水100mLに溶かし、炭酸ガスを通じながら10.0 mLずつ嫌気性菌培養用100mLバイヤルビン(株式会社エルエム製)に分注し、ブチルゴム栓、アルミキャップをして115℃、15分間滅菌した。この培地に−80℃凍結保存していたアサッカロバクター・セラツス(Asaccharobacter celatus)DSM 18785株を0.2mL植菌し、無菌フィルターを通した水素/炭酸ガス(4:1,vol/vol)で気相を3分間以上置換した後、37℃、200spmで16時間振とう培養を行った。
【0082】
GAMブイヨン+1%アルギニン培地に表2に示す組成になるようにDAI、シクロデキストリン、Tween 20を加えた培地を調製し(ダイゼインとシクロデキストリンは等モルになるよう添加した)、115℃、15分間滅菌した。それらにこの種培養液を0.1mLずつ植菌し、水素/炭酸ガス(4:1,vol/vol)で無菌的に3分間以上置換した後、37℃、200spmの条件で振とう培養を行った。26,49時間後に培養液を取り出し、高速液体クロマトグラフィーにより生成したEQLを定量した。結果を図1に示す。
【0083】
【表2】

【0084】
β−シクロデキストリンとTween 20を同時に添加することで、それぞれ単独の添加よりもEQL生成量が増加することが分かった。
【0085】
実施例3〜5,比較例5〜9:
GAMブイヨン+1%アルギニン培地に表3に示す組成になるようにAglyMax−30、シクロデキストリン、Tween 20を加えた培地を調製し(ダイゼインとシクロデキストリンは等モルになるよう添加した)115℃、15分間滅菌した。実施例1と同様にして培養した種培養液をそれぞれ0.1mLずつ植菌し、水素/炭酸ガス(4:1,vol/vol)で無菌的に3分間以上置換した後、37℃、200spmの条件で振とう培養を行った。21,50時間後、培養液を取り出し、高速液体クロマトグラフィーにより生成したEQLを定量した。結果を表4に示す。
【0086】
【表3】

【0087】
【表4】

【0088】
イソフラボンアグリコンAglyMax−30においてもβ−シクロデキストリン、Tween 20同時添加で試薬DAI以上にEQL生産が促進され、6.25g/Lにまで達することが明らかとなった。このように本法では極めて高濃度にEQLを蓄積できる。
【0089】
実施例6〜7,比較例10〜11:β−シクロデキストリン誘導体とTween 20の使用;
GAMブイヨン+1%アルギニン培地に表5に示す組成になるようにAglyMax−30、β−シクロデキストリン、グルコシル−β−シクロデキストリン、マルトシル−β−シクロデキストリン、Tween 20を加えた培地を調製し(ダイゼインとシクロデキストリン類は等モルになるよう添加した)115℃、15分間滅菌した。実施例1と同様にして培養した種培養液をそれぞれ0.1mLずつ植菌し、水素/炭酸ガス(4:1,vol/vol)で無菌的に3分間以上置換した後、37℃、200spmの条件で振とう培養を行った。50時間後、培養液を取り出し、高速液体クロマトグラフィーにより生成したEQLを定量した。結果を表6に示す。
【0090】
【表5】

【0091】
【表6】

【0092】
グルコシル−β−シクロデキストリンにTween 20を同時添加してもEQL生成濃度は高まること、β−シクロデキストリンとTween 20の組み合わせよりEQL生成濃度は高くなることが明らかとなった。
【0093】
実施例12:発泡性の試験;
予め115℃、15分間滅菌したイソフラボンアグリコン35g/L、β−シクロデキストリン 32.9g/L、Tween 20 1g/Lを含むGAMブイヨン+1%アルギニン培地に、実施例1と同様にして培養したこの種培養液を0.1mL植菌し、水素/炭酸ガス(4:1,vol/vol)で無菌的に3分間以上置換した後、37℃、200spmの条件で振とう培養を行った。76時間後、培養液を取り出し、高速液体クロマトグラフィーにより生成したエクオールを定量した。その結果、5.83g/LのEQLが生成していた。なお、実施例6〜9と同様にイソフラボンアグリコンはニチモウバイオテックス社製Aglymax−30を用いた。
【0094】
この培養液50mLを100mL有栓形のメスシリンダーにとり、JIS K 3363(1990年)合成洗剤の生分解度試験方法の7.2を参考とし、泡容量を測定した。すなわち、Tween 20を添加した培養液50mLを有栓型試験管に取り、50回(毎秒約2回)上下に大きく振り混ぜて、30秒間静置した後の泡容量を測定した。その結果、β−シクロデキストリン、Tween 20を添加した培養液は振とうしても泡はすぐ消え、泡容量が0mLであった。一方、同様の条件で試験した標準のTween 20 1g/L水溶液の泡容量は40mLであった。
【0095】
本培養法ではβ−シクロデキストリン、Tween 20同時添加による発泡の問題が生じないことが明らかとなった。
【0096】
(参考例)
β−シクロデキストリン、Tween 20同時添加によるDAI溶解度の変化:
特開2010−187647号公報には、Tween添加によってDAI溶解量が増加し、それゆえEQL生成量も増加した旨が記載されている。このことを確かめるため、本培地におけるDAI溶解度を測定した。Tween 20 1g/L添加あるいは無添加の試薬DAI 7.4 g/Lまたはイソフラボンアグリコン Aglymax−30 25g/L、b−シクロデキストリン 22.7g/L、を含む10mLのGAMブイヨン+1%アルギニン培地をそれぞれ調製し、115℃、15分間滅菌した。室温に冷却後、培地を取り出し、遠心分離にて上清を分離し、上清中のDAIを高速液体クロマトグラフィーにより定量した。
【0097】
その結果を表7に示した。試薬DAI、イソフラボンアグリコンいずれもβ−シクロデキストリン添加が最も溶解度が高く、さらにTweenを添加した場合はかえってDAI濃度は低下していることが確かめられた。β−シクロデキストリンとTween 20を同時添加することによるEQL生産量の増加は、単にDAI溶解度が増加することによる効果でないことが明らかとなった。
【0098】
【表7】

【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明のエクオールの製造方法は、培地中におけるイソフラボン類の添加量を従来に比べ多くし、かつエクオールの生産量を大幅に増加させたので、生産されたエクオールの回収が容易であり、かつエクオール得量が従来に比べ大幅に増大する。
【0100】
本発明のエクオール産生組成物によれば、従来に比べ、エクオールの生産性が高く、また、従来に比べ、生産されたエクオールの回収が容易である。
【0101】
本発明の食品、食品添加物、医薬品によれば、エストロゲンの不足に伴う症状、例えば、乳癌、前立腺癌、骨粗しょう症、高コレステロール血症、心疾患、更年期障害、等が予防または改善される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソフラボン類を含む培地に、β−シクロデキストリンまたはβ−シクロデキストリン誘導体またはγ−シクロデキストリンと曇り点が50℃以上の界面活性剤とを添加し、エクオール生産能を有する偏性嫌気性微生物の一種を作用させることを特徴とするエクオールの製造方法。
【請求項2】
前記イソフラボン類は、イソフラボン、イソフラボンアグリコン、ダイゼイン配糖体、ダイゼイン、ジヒドロダイゼインからなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載のエクオールの製造方法。
【請求項3】
前記偏性嫌気性微生物は、アドレクラウチア(Adlercreutzia)属、アサッカロバクター(Asaccharobacter)属、エガセラ(Eggerthella)属、ユーバクテリウム(Eubacterium)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、シャーペア(Sharpea)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、スラッキア(Slackia)属、バクテロイデス(Bacteroides)属からなる群から選択される単一種であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエクオールの製造方法。
【請求項4】
前記界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミタート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアラート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、からなる群のエステルエーテル型非イオン界面活性剤から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のエクオールの製造方法。
【請求項5】
イソフラボン類と、エクオール生産能を有する偏性嫌気性微生物の一種と、β−シクロデキストリンまたはβ−シクロデキストリン誘導体またはγ−シクロデキストリンと、エクオール生産能を有する偏性嫌気性微生物の一種と、曇り点が50℃以上の界面活性剤と、を含むことを特徴とするエクオール産生組成物。
【請求項6】
前記イソフラボン類は、イソフラボン、イソフラボンアグリコン、ダイゼイン配糖体、ダイゼイン、ジヒドロダイゼインからなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項5に記載のエクオール産生組成物。
【請求項7】
前記偏性嫌気性微生物は、アドレクラウチア(Adlercreutzia)属、アサッカロバクター(Asaccharobacter)属、エガセラ(Eggerthella)属、ユーバクテリウム(Eubacterium)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、シャーペア(Sharpea)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、スラッキア(Slackia)属、バクテロイデス(Bacteroides)属からなる群から選択される単一種であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のエクオール産生組成物。
【請求項8】
前記界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミタート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアラート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、からなる群のエステルエーテル型非イオン界面活性剤から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載のエクオール産生組成物。
【請求項9】
請求項5から請求項8に記載のエクオール産生組成物と、エクオールとを含む食品、食品添加物。
【請求項10】
請求項5から請求項8に記載のエクオール産生組成物と、エクオールとを含む医薬品。

【図1】
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【公開番号】特開2012−135219(P2012−135219A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287914(P2010−287914)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000002901)株式会社ダイセル (1,236)
【Fターム(参考)】