説明

エッチング方法

【課題】 有機Si系低誘電率膜をマスクとして被処理体のSiC部分をエッチングガスのプラズマによりエッチングする場合に、エッチングレートおよび有機Si系低誘電率膜に対するエッチング選択比を高くしてエッチングすることができるエッチング方法を提供すること。
【解決手段】 SiC膜61と、その上に形成された有機Si系低誘電率膜62とを有する構造において、有機Si系低誘電率膜62をマスクとしてSiC膜61をエッチングガスのプラズマによりエッチングするに際し、エッチングガスとして、CHを含有するガスまたはCHFを含有するガスを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SiC部分またはSiN部分を有する被処理体、例えば、バリア層としてのSiC膜またはSiN膜とその上に形成された層間絶縁膜とを有する半導体ウエハを処理容器内に収容し、被処理体のSiC部分またはSiN部分をエッチングガスのプラズマによりエッチングするエッチング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの配線工程では、配線層間には層間絶縁膜が形成されており、配線層を導通させるために層間絶縁膜をエッチングする。この場合に、層間絶縁層の下にはバリア層としてSiC膜やSiN膜が形成される。そして、配線パターンを形成するために、層間絶縁膜に引き続いてSiC膜やSiN膜をエッチングする場合には、これらは層間絶縁膜をマスクとしてエッチングされることとなる。
【0003】
一方、半導体デバイスにおいては、さらなる高速化の要求から、層間絶縁膜として低誘電率材料が用いられつつある。このような低誘電率材料としては有機Si系のものが知られている。
【0004】
ところで、SiC膜をエッチングする技術としては、特許文献1にはCFおよびOを用いる技術が開示されており、特許文献2にはCF、CHFおよびOを用いる技術が開示されており、特許文献3にはCHFおよびArを用いる技術が開示されているが、これらの技術ではエッチングレートがいずれも10nm/min程度であり必ずしも十分とはいえない。また、これらの技術で有機Si系低誘電率膜をマスクとしてSiC膜をエッチングする場合には、エッチングレートが小さいことに加えて上層の有機Si系低誘電率膜に対する選択比が十分ではないという問題がある。
【0005】
また、SiN膜についても十分なエッチングレートを維持しつつ有機Si系低誘電率膜に対するエッチング選択比を高くしてエッチングする技術は未だ得られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭57−124438号公報
【特許文献2】特開昭62−216335号公報
【特許文献3】特開平4−293234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、十分なエッチングレートで被処理体のSiC部分をエッチングすることができるエッチング方法を提供することを目的とする。また、有機Si系低誘電率膜をマスクとして被処理体のSiC部分をエッチングする場合に、エッチングレートおよび有機Si系低誘電率膜に対するエッチング選択比を高くしてエッチングすることができるエッチング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、SiC膜等のSiC部分を含む被処理体を処理容器に収容し、そのSiC部分をエッチングガスのプラズマによりエッチングする際に、高いエッチングレートでSiC部分をエッチングすることができるエッチングガスについて検討を重ねた結果、CHを含むガス、CHFを含むガスが有効であることを見出した。また、CHを含むガス、CHFを含むガスはSiCの有機Si系低誘電率膜に対するエッチング選択比を高める作用があることを見出した。
【0009】
本発明はこのような知見に基づいてなされたものであり、本発明の第1の観点によれば、SiC部分を含む被処理体を処理容器内に収容し、被処理体のSiC部分をエッチングガスのプラズマによりエッチングするエッチング方法であって、エッチングガスとしてCHを含むガスを用いることを特徴とするエッチング方法が提供される。
【0010】
上記本発明の第1の観点において、前記ガスとしてさらにOを含むものを用いることができ、また、さらにArを含むものを用いることができる。
【0011】
本発明の第2の観点によれば、SiC部分を含む被処理体を処理容器内に収容し、被処理体のSiC部分をエッチングガスのプラズマによりエッチングするエッチング方法であって、エッチングガスとしてCHFを含むガスを用いることを特徴とするエッチング方法が提供される。
【0012】
上記本発明の第2の観点において、前記ガスとしてさらにOを含むものを用いることができる。また、Oに代えてまたはOに加えてCFガスを含むものを用いることができる。さらに、これらのいずれかにおいてさらにArを含むものを用いることができる。
【0013】
上記第1の観点、第2の観点において、被処理体のSiC部分を有機Si系低誘電率膜をマスクとしてSiCのエッチングを行うことにより、上述のように有機Si系低誘電率膜に対するエッチング選択比を高くすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、CHを含むガスまたはCHFを含むガスでSiCをエッチングすることにより、高いエッチングレートを得ることができる。また、CHを含むガスまたはCHFを含むガスで有機Si系低誘電率膜をマスクとしてSiCをエッチングすれば、エッチングレートおよび有機Si系低誘電率膜に対するエッチング選択比を高くしてエッチングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のエッチング方法を実施するためのドライエッチング装置の一例を示す概略断面図。
【図2】配線層の上にSiC膜が形成され、さらにその上に有機Si系低誘電率膜が形成された構造体、およびその構造体において有機Si系低誘電率膜に引き続いてSiC膜をエッチングする状態を示す断面図。
【図3】配線層の上にSiN膜が形成され、さらにその上に有機Si系低誘電率膜が形成された構造体、およびその構造体において有機Si系低誘電率膜に引き続いてSiN膜をエッチングする状態を示す断面図。
【図4】SiN膜のエッチングにおいて、Ar量およびガス圧力と、SiN膜のエッチングレートおよびSiN膜の有機Si系低誘電率膜に対するエッチング選択比との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明を実施するためのドライエッチング装置を示す概略断面図である。
【0017】
このエッチング装置1は、電極板が上下平行に対向し、一方にプラズマ形成用電源が接続された容量結合型平行平板エッチング装置として構成されている。
【0018】
このエッチング処理装置1は、例えば表面がセラミック溶射処理されたアルミニウムからなる円筒形状に成形されたチャンバー2を有しており、このチャンバー2は保安接地されている。前記チャンバー2内には例えばシリコンからなり、その上に所定の膜が形成された半導体ウエハ(以下単に「ウエハ」と記す)Wを水平に載置し、下部電極として機能するサセプタ3が支持部材4に支持された状態で設けられている。この支持部材4はセラミックなどの絶縁板5を介して、図示しない昇降装置の支持台6により支持されており、この昇降機構によってサセプタ3が昇降可能となっている。支持台6の下方中央の大気部分は、ベローズ7で覆われており、チャンバー2内と大気部分とが分離されている。
【0019】
前記支持部材4の内部には、冷媒室8が設けられており、この冷媒室8には、例えばガルデンなどの冷媒が冷媒導入管8aを介して導入されて循環し、その冷熱が前記サセプタ3を介して前記ウエハWに対して伝熱され、これによりウエハWの処理面が所望の温度に制御される。また、被処理体であるウエハWの裏面に、伝熱媒体、例えばHeガスなどを供給するためのガス通路9が設けられており、この伝熱媒体を介してサセプタ3の冷熱がウエハWに伝達されウエハWが所定の温度に維持される。
【0020】
前記サセプタ3は、その上中央部が凸状の円板状に成形され、その上に絶縁材の間に電極12が介在されてなる静電チャック11が設けられており、電極12に接続された直流電源13から直流電圧が印加されることにより、例えばクーロン力によってウエハWを静電吸着する。前記サセプタ3の上端周縁部には、静電チャック11上に載置されたウエハWを囲むように、エッチングの均一性を向上させるための環状のフォーカスリング15が配置されている。
【0021】
前記サセプタ3の上方には、このサセプタ3と平行に対向して上部電極として機能するシャワーヘッド21が設けられている。このシャワーヘッド21は、絶縁材22を介して、チャンバー2の上部に支持されており、サセプタ3との対向面24には多数の吐出孔23を有している。なお、サセプタ3とシャワーヘッド21とは、例えば25〜55mm程度離間され、この距離は前記昇降機構により調節可能である。
【0022】
前記シャワーヘッド21の中央にはガス導入口26が設けられ、さらにこのガス導入口26には、ガス供給管27が接続されており、さらにこのガス供給管27には、バルブ28を介して、エッチングガス供給源30が接続されている。そして、エッチングガス供給源30から、所定のエッチングガスが供給される。
【0023】
このエッチングガス供給源30は、SiC膜をエッチングする場合には、CHFまたはCHガス源、CFガス源、Oガス源、およびArガス源から、それぞれCHFガスまたはCHガス、CFガス、Oガス、およびArガスを供給するような構成にされる。一方、SiN膜をエッチングする場合には、CHガス源、Oガス源、およびArガス源から、それぞれCHガス、Oガス、およびArガスを供給するような構成にされる。
【0024】
前記チャンバー2の側壁底部近傍には排気管31が接続されており、この排気管31には排気装置35が接続されている。排気装置35はターボ分子ポンプなどの真空ポンプを備えており、これによりチャンバー2内を所定の減圧雰囲気、例えば1Pa以下の所定の圧力まで真空引き可能なように構成されている。また、チャンバー2の側壁にはゲートバルブ32が設けられており、このゲートバルブ32を開にした状態でウエハWが隣接するロードロック室(図示せず)との間で搬送されるようになっている。
【0025】
上部電極として機能するシャワーヘッド21には、高周波電源40が接続されており、その給電線には整合器41が介在されている。この高周波電源40は、例えば60MHzの周波数の高周波を供給する。また、シャワーヘッド21にはローパスフィルター(LPF)42が接続されている。
【0026】
下部電極として機能するサセプタ3には、高周波電源50が接続されており、その給電線には整合器51が介在されている。この高周波電源50は、例えば2MHzの周波数の高周波を供給する。また、このサセプタ3にはハイパスフィルター(HPF)16が接続されている。
【0027】
次に、上記エッチング装置を用いてSiC膜をエッチングする方法について説明する。ここでは、図2の(a)に示すように、例えばCuからなる配線層60上にバリア層としてのSiC膜61を形成し、その上に有機Si系低誘電率膜からなる層間絶縁膜62を形成した構造体において、レジスト層63をマスクとして層間絶縁膜62をエッチングして図2の(b)に示す構造を作成した後、層間絶縁膜62をマスクとしてSiC膜をエッチングする。
【0028】
ここで、有機Si系低誘電率膜を構成する材料の典型例としては、以下に示す化学式を有するポリオルガノシロキサンを挙げることができる。
【化1】

ただし、化学式中、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、もしくはそれらの誘導体、またはフェニル基等のアリル基、もしくはその誘導体である。
【0029】
このエッチングに際しては、上記エッチング装置1のサセプタ3とシャワーヘッド21とのギャップを例えば80mmに設定し、ゲートバルブ32を開放して、図2の(b)に示すSiC膜61上に所定パターンにエッチングされた有機Si系低誘電率膜(low−k膜)からなる層間絶縁膜62を有するウエハWをチャンバー2内へ搬入し、サセプタ3上に載置する。そして、直流電源13からウエハWに直流電圧を印加してウエハWを静電チャック11によって静電吸着させる。次いで、ゲートバルブ32を閉じ、排気装置35によって、チャンバー2内を所定の真空度まで真空引きする。
【0030】
この状態でエッチングガス供給源30から所定のエッチングガスをチャンバー2内へ供給する。ここではSiC膜61をエッチングするために、エッチングガス供給源30は、CHFまたはCHガス源、CFガス源、Oガス源、およびArガス源を有しており、これらから、それぞれCHFガスまたはCHガス、CFガス、Oガス、およびArガスをチャンバー2内へ供給する。そして、高周波電源40からシャワーヘッド21に所定の周波数の高周波電力を印加し、これにより、上部電極としてのシャワーヘッド21と下部電極としてのサセプタ3との間に高周波電界を生じさせ、上記CHFガスまたはCHガス、CFガス、Oガス、およびArガスをプラズマ化し、図2の(c)に示すように、これらをSiC膜61に作用させてSiC膜61のエッチングを進行させる。このとき、高周波電源50から下部電極であるサセプタ3に所定の周波数の高周波電力を印加してプラズマ中のイオンをサセプタ3側へ引き込むようにする。
【0031】
この際に、CHFを用いた場合にはCHF、CF、O、およびArの相乗効果により高いエッチングレートが得られるとともに、主にCHFおよびArの作用により、SiC膜61のlow−k膜62に対するエッチング選択比を高いものとすることができる。具体的には、SiC膜のエッチングレートを20nm/min以上、low−k膜に対するエッチング選択比を10以上とすることができる。また、CHFの代わりにCHを用いた場合には、CHFを用いた場合よりもエッチング選択比は多少劣るが、同様に高いエッチングレートを得ることができる。これらのガスの中で、CHFはSiC膜を選択的にエッチングしてエッチング選択比を高める効果を有する。CHはCHFと同様の作用を及ぼすが、CHFよりもエッチング選択比を高める効果は多少劣る。また、Arもショルダー部分のエッチング選択比を高める効果を有する。
【0032】
次に、実際にポリメチルシロキサンを主成分とするlow−k膜をマスクとしてSiC膜をエッチングした結果について説明する。まず、図1に示した装置を用い、チャンバー内の圧力を6.65Paとし、シャワーヘッドにプラズマ形成用の60MHzの高周波電力を供給し、サセプタにイオン引き込み用の2MHzの高周波電力を供給し、エッチングガス組成および流量、ならびに高周波電力を表1のように種々変化させてエッチングを行った。なお、サセプタとシャワーヘッドとのギャップは35mmとした。
【0033】
【表1】

【0034】
その結果、表1に示すように、エッチングガスとしてCHまたはCHFを含むものを用いることにより、エッチングレートが20nm/min以上となることが確認された。また、これらはいずれもlow−k膜に対するエッチング選択比がlow−k膜のショルダー部分で10以上であった。
【0035】
次いで、エッチング装置として、図1とは異なり、サセプタのみに高周波電力を供給し、サセプタとシャワーヘッドとの間の空間に水平磁界を形成するダイポールリングマグネットを具備し、マグネトロンプラズマエッチングを行う装置を用い、チャンバー内の圧力を9.98Paとし、サセプタに13.56MHzの高周波電力を供給し、エッチングガスを表1のNo.5と同様にCHFおよびOガスのみとし、これらガスの流量および高周波電力を表2のように変化させてエッチングを行った。なお、サセプタとシャワーヘッドとのギャップは27mmとした。
【0036】
【表2】

【0037】
その結果、表2に示すように、エッチングレートが130nm/min以上、エッチング選択比が10.7以上という値が得られた。
【0038】
次に、上記エッチング装置を用いてSiN膜をエッチングする方法について説明する。ここでは、上記SiC膜の代わりにSiN膜を設けた構造、すなわち図3の(a)に示すように、例えばCuからなる配線層60上にバリア層としてのSiN膜64を形成し、その上に有機Si系低誘電率膜からなる層間絶縁膜62を形成した構造体において、レジスト層63をマスクとして層間絶縁膜62をエッチングして図3の(b)に示す構造を作成した後、層間絶縁膜62をマスクとしてSiN膜をエッチングする。
【0039】
このエッチングに際しては、上記エッチング装置1のサセプタ3とシャワーヘッド21とのギャップを例えば80mmに設定し、ゲートバルブ32を開放して、図3の(b)に示すSiN膜64上に所定パターンにエッチングされた有機Si系低誘電率膜(low−k膜)からなる層間絶縁膜62を有するウエハWをチャンバー2内へ搬入し、サセプタ3上に載置し、静電チャック11にて静電吸着させた後、ゲートバルブ32を閉じ、排気装置35によって、チャンバー2内を所定の真空度まで真空引きする。
【0040】
この状態でエッチングガス供給源30から所定のエッチングガスをチャンバー2内へ供給する。ここではSiN膜64をエッチングするために、エッチングガス供給源30は、CHガス源、Oガス源、およびArガス源を有しており、これらから、それぞれCHガス、Oガス、およびArガスをチャンバー2内へ供給する。そして、高周波電源40からシャワーヘッド21に所定の周波数の高周波電力を印加し、これにより、上部電極としてのシャワーヘッド21と下部電極としてのサセプタ3との間に高周波電界を生じさせ、上記CHガス、Oガス、およびArガスをプラズマ化し、図3の(c)に示すように、これらをSiN膜64に作用させてSiN膜64のエッチングを進行させる。このとき、高周波電源50から下部電極であるサセプタ3に所定の周波数の高周波電力を印加してプラズマ中のイオンをサセプタ3側へ引き込むようにする。この際に、Ar量に応じてチャンバー2内のガス圧力を調整してエッチングを行う。
【0041】
このようにエッチングガスとしてCHおよびOを上記所定比率で導入し、Ar量に応じてチャンバー2内のガス圧力を調整することにより、エッチングレートを高く維持したまま、SiN膜のlow−k膜に対するエッチング選択比を上昇させることができる。
【0042】
具体的には、図4に示すような関係が得られる。図4は、CHを0.01L/min、Oを0.01L/minの流量に固定し、Ar流量をAr/(CH+O)が0〜15に対応する0〜0.3L/minの範囲、チャンバー内ガス圧力を好ましい範囲である1.3〜12.0Paの間で変化させてSiN膜をエッチングした結果を示す図である。ここでは、シャワーヘッドに60MHz、1500Wの高周波電力を印加し、サセプタに2MHz、100Wの高周波電力を印加した。この図に示すように、図4の斜線の領域でSiN膜のエッチングレートが100nm/min以上でlow−k膜に対するエッチング選択比が10以上となった。すなわち、Ar流量が0〜0.3L/min、チャンバー内ガス圧力が1.3〜12.0Paの範囲において、Ar流量に応じて適正なガス圧力があることがわかる。
【0043】
また、上部電極であるシャワーヘッド21における高周波電圧のピークトゥピーク(peak to peak)値Vppの値が300V以下であることが好ましい。このようにVppを規定することによりlow−k膜に対するエッチング選択比30以上という高い値を得ることができる。
【0044】
次に、好ましい条件の範囲内で実際にlow−k膜をマスクとしてSiN膜をエッチングした結果について説明する。ここでは、low−k膜としてポリメチルシロキサンを主成分とするものを用い、エッチングガスとして、CHを0.01L/min、Oを0.01L/min、Arを0.1L/minの流量でチャンバー内に導入し、チャンバー内の圧力を6.65Paとし、シャワーヘッドにプラズマ形成用の60MHz、1500Wの高周波電力を供給し、サセプタにイオン引き込み用の2MHz、100Wの高周波電力を供給してエッチングを行った。なお、サセプタとシャワーヘッドとのギャップは35mmとした。その結果、エッチングレートは、センターで232.5nm/min、エッジで250.0nm/minであり、エッチング選択比はlow−k膜のショルダー部分で10以上であった。この際のVppの値は252Vであった。
【0045】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく種々変形が可能である。例えば上記実施の形態ではSiC膜のエッチングについて有機Si系低誘電率膜の下層に形成されたもののエッチングについて示したが、これに限るものではない。また、有機Si系低誘電率膜としてポリオルガノシロキサンを用いたがこれに限るものではない。さらに、上記実施形態では、エッチング装置として、チャンバー内に上部電極としてのシャワーヘッドおよび下部電極としてのサセプタを対向するように設け、サセプタにウエハを支持させた状態で、エッチングガスを導入しつつ、シャワーヘッドにプラズマ形成用の高周波電力を印加し、サセプタにイオン引き込み用の高周波電力を印加する構成のものを用いたが、これに限るものではなく、例えば、上部電極および下部電極のいずれか一方に高周波電力を印加する構造のものであってもよいし、また、磁界を重畳させたマグネトロンプラズマエッチングを行うものであってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1;エッチング装置
2;チャンバー
3;サセプタ
21;シャワーヘッド
30;エッチングガス供給源
40,50;高周波電源
61;SiC膜
62;層間絶縁膜(有機Si系低誘電率膜)
64;SiN膜
W;半導体ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SiC部分を含む被処理体を処理容器内に収容し、被処理体のSiC部分をエッチングガスのプラズマによりエッチングするエッチング方法であって、エッチングガスとしてCHを含むガスを用いることを特徴とするエッチング方法。
【請求項2】
前記ガスはさらにOを含むことを特徴とする請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項3】
前記ガスはさらにArを含むことを特徴とする請求項2に記載のエッチング方法。
【請求項4】
SiC部分を含む被処理体を処理容器内に収容し、被処理体のSiC部分をエッチングガスのプラズマによりエッチングするエッチング方法であって、エッチングガスとしてCHFを含むガスを用いることを特徴とするエッチング方法。
【請求項5】
前記ガスはさらにOを含むことを特徴とする請求項4に記載のエッチング方法。
【請求項6】
前記ガスはさらにCFを含むことを特徴とする請求項4または請求項5に記載のエッチング方法。
【請求項7】
前記ガスはさらにArを含むことを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項に記載のエッチング方法。
【請求項8】
有機Si系低誘電率膜をマスクとして被処理体のSiC部分をエッチングすることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のエッチング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−114463(P2012−114463A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−49271(P2012−49271)
【出願日】平成24年3月6日(2012.3.6)
【分割の表示】特願2001−264500(P2001−264500)の分割
【原出願日】平成13年8月31日(2001.8.31)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】