説明

エピタキシャル膜形成のためのクラスターツール

【課題】選択的エピタキシープロセス及びAGSプロセスの両者に対して、効率的に実施するための装置を提供する。
【解決手段】エピタキシャル膜を形成する方法において、エピタキシャル膜を形成する前に、第1のガスを使用して第1の処理チャンバー108内で基板を前クリーニングするステップと、上記第1の処理チャンバーから真空下で移送チャンバー102を通して第2の処理チャンバー110へ基板を移送するステップと、上記第1のガスを使用せずに上記第2の処理チャンバー110内で基板上にエピタキシャル層を形成するステップと、上記第1のガスは上記第2の処理チャンバー内で使用するには不適当である、を備えた方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2006年4月7日に出願された“Cluster Tool For Epitaxial Film Formation”と題する米国仮特許出願第60/790,066号(管理番号10318/L)に基づく優先権を主張している。本願は、2005年1月28日に出願された米国特許出願第11/047,323号(管理番号9793)、2005年1月28日に出願された米国特許出願第11/047,323号(管理番号9793)、及び2004年12月1日に出願された米国特許出願第11/001,774号(管理番号9618)の一部継続出願でありそれに基づく優先権を主張している、2005年9月14日に出願された米国特許出願第11/227,974号(管理番号9618/P1)にも関連している。これら各出願は、ここにそのまま援用される。
【0002】
本発明は、一般的に、半導体デバイスの製造に関し、より特定すると、エピタキシャル膜形成中に使用するためのクラスターツールに関する。
【背景技術】
【0003】
従来の選択的エピタキシープロセスは、堆積反応及びエッチング反応を含む。これらの堆積及びエッチング反応は、エピタキシャル層及び多結晶層に対して相対的に異なる反応速度で同時に起こる。堆積プロセス中に、エピタキシャル層は、単結晶表面に形成され、一方、多結晶層は、既存の多結晶層及び/又はアモルファス層の如き少なくとも第2の層上に堆積される。しかしながら、その堆積された多結晶層は、一般的に、エピタキシャル層よりも速い速度でエッチングされる。従って、エッチングガスの濃度を変えることによって、正味の選択的プロセスとして、エピタキシー物質の堆積は生じるが、多結晶物質の堆積は制限されるか全く生じない。例えば、選択的エピタキシープロセスでは、単結晶シリコン表面上にシリコン含有物質のエピ層を形成するが、そのスペーサー上には堆積物が残されないことがある。
【0004】
選択的エピタキシープロセスは、一般的に、幾つかの欠点を有している。このようなエピタキシープロセス中に選択性を維持するために、先駆体の化学的濃度並びに反応温度を、その堆積プロセスを通して調節及び調整しなければならない。充分なシリコン先駆体が与えられない場合には、そのエッチング反応が優勢となり、プロセス全体が遅くなってしまうことがある。又、基板特徴部が有害なオーバエッチングを受けてしまうこともある。充分なエッチング先駆体が与えられない場合には、堆積反応が優勢となり、基板表面にわたり単結晶及び多結晶物質を形成するための選択性が減ぜられてしまうことがある。又、従来の選択的エピタキシープロセスは、通常、約800℃、1000℃又はそれ以上の高い反応温度を必要とする。このような高い温度は、熱履歴の観点から、又、基板表面に対する窒化反応をおそらく制御できないことから、製造プロセス中には望ましくない。
【0005】
従来の選択的エピタキシープロセスに代わるものとして、前述で援用した、2004年12月1日に出願された米国特許出願第11/001,774号(管理番号9618)明細書には、望ましい厚さのエピタキシャル層が形成されるまで、堆積プロセス及びエッチングプロセスのサイクルを繰り返すことを含む交互ガス供給(AGS)プロセスについて記載されている。AGS処理は、堆積ステップとエッチングステップを別々に使用するものであるので、エッチングステップ中には、堆積先駆体濃度を維持する必要がなく、又、堆積ステップ中には、エッチング先駆体濃度を維持する必要がない。ある場合には、より低い反応温度を使用してもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
選択的エピタキシープロセス及びAGSプロセスの両者に対して、そのようなプロセスを効率的に実施するための装置が要望され続けている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の幾つかの態様において、エピタキシャル膜形成の前に第1ガスを使用して第1の処理チャンバ内で基板を前洗浄するステップと、第1の処理チャンバから真空下で移送チャンバを通して第2の処理チャンバへ基板を移送するステップと、第1ガスを使用せずに第2の処理チャンバ内で基板上にエピタキシャル層を形成するステップとを備えたエピタキシャル膜形成のための第1の方法が提供される。
【0008】
本発明の更に別の態様において、エピタキシャル膜形成の前に水素ガスを使用して第1の処理チャンバ内で基板を前洗浄するステップと、第1の処理チャンバから真空下で移送チャンバを通して第2の処理チャンバへ基板を移送するステップと、水素以外のキャリヤガスを使用して第2の処理チャンバ内で基板上にエピタキシャル層を形成するステップとを備えたエピタキシャル膜形成のための第2の方法が提供される。
【0009】
本発明の更に別の態様において、エピタキシャル膜形成の前にClを使用して第1の処理チャンバ内で基板を前洗浄するステップと、第1の処理チャンバから真空下で移送チャンバを通して第2の処理チャンバへ基板を移送するステップと、水素キャリヤガスを使用して第2の処理チャンバ内で基板上にエピタキシャル層を形成するステップとを備えたエピタキシャル膜形成のための第3の方法が提供される。
【0010】
本発明の幾つかの他の態様において、エピタキシャル膜形成に使用するための第1のクラスターツールが提供される。この第1のクラスターツールは、エピタキシャル膜形成の前に第1ガスを使用して基板を洗浄するように適応される第1の処理チャンバと、第1ガスを使用せずに基板上にエピタキシャル層を形成するよう適応される第2の処理チャンバと、それら第1の処理チャンバ及び第2の処理チャンバに結合され、クラスターツール全体に真空を維持しながら第1の処理チャンバと第2の処理チャンバとの間で基板を移送するように適応される移送チャンバと、を備えている。
【0011】
本発明の他の態様において、エピタキシャル膜形成に使用するための第2のクラスターツールが提供される。この第2のクラスターツールは、エピタキシャル膜形成の前に水素を使用して基板を洗浄するように適応される第1の処理チャンバと、水素以外のキャリヤガスを使用して基板上にエピタキシャル層を形成するよう適応される第2の処理チャンバと、それら第1の処理チャンバ及び第2の処理チャンバに結合され、クラスターツール全体に真空を維持しながら第1の処理チャンバと第2の処理チャンバとの間で基板を移送するように適応される移送チャンバと、を備えている。
【0012】
本発明の更に別の態様において、エピタキシャル膜形成に使用するための第3のクラスターツールが提供される。この第3のクラスターツールは、エピタキシャル膜形成の前にClを使用して基板を洗浄するように適応される第1の処理チャンバと、水素キャリヤガスを使用して基板上にエピタキシャル層を形成するよう適応される第2の処理チャンバと、それら第1の処理チャンバ及び第2の処理チャンバに結合され、クラスターツール全体に真空を維持しながら第1の処理チャンバと第2の処理チャンバとの間で基板を移送するように適応される移送チャンバと、を備えている。
【0013】
本発明の他の特徴及び態様は、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、及び添付図面から充分に明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に基づくクラスターツールを例示する上面図である。
【図2】本発明の実施形態に基づきエピタキシャル膜を形成する第1の方法を例示するフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態に基づきエピタキシャル膜を形成する第2の方法を例示するフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態に基づきエピタキシャル膜を形成する第3の方法を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
シリコンエピタキシャル膜へ炭素を導入すると、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)のチャンネルの電気的特性を改善するといった有益な電気的特性を生じさせることができる。しかしながら、このような有益な電気的特性は、一般に、炭素がシリコン格子内に介在的ではなく置換的に合体されるときに達成される。
【0016】
約600℃以下の基板処理温度では、ほとんどの炭素原子は、エピタキシャル形成プロセス中にシリコン格子に置換的に合体される。約700℃以上の高い基板温度では、著しい介在的炭素合体が生じ得る。このため、約700℃より低い基板温度を使用するのが望ましく、又、炭素含有シリコンエピタキシャル膜を形成するときには、約600℃より低い基板温度を使用するのが更に好ましい。
【0017】
従来のシリコンエピタキシャル膜形成プロセスは、H、HCl、及びジクロロシランのようなシリコン源を使用して、(例えば、HCl及び/又はシリコン源を解離するために)約700℃より高い基板温度で遂行される。エピタキシャル膜形成温度を下げるための1つの解決策は、HClに代わってClを使用することである。というのは、Clは、低い温度(例えば、約600℃以下)で効率的に解離するからである。水素とClとの間の非適合性のために、水素以外のキャリヤガス、例えば、窒素を、Clと共に使用してもよい。同様に、解離温度の低いシリコン源(例えば、シラン、ジシラン、等)を使用してもよい。
【0018】
シリコンエピタキシャル膜形成プロセスに対してClをエッチングガスとして使用すると、得られるシリコンエピタキシャル膜の表面の形態学的悪化を招くことがある。特定の理論によって束縛することを望まないが、Clは、シリコンエピタキシャル膜表面を過剰に積極的に攻撃し、ピット等を形成することがある。Clの使用は、シリコンエピタキシャル膜が炭素を含むときに特に問題となることが分かった。
【0019】
前記で援用した2005年9月14日に出願された“USE OF CL2 AND/OR HCL DURING SILICON EPITAXIAL FILMFORMATION”と題する米国特許出願第11/227,974号は、シリコンエピタキシャル膜形成プロセス中にClをエッチングガスとして使用する方法であって、エピタキシャル膜表面を形態学的に改善できる方法を提供する。この方法は、例えば、2004年12月1日に出願された前記で援用された米国特許出願第11/001,774号(管理番号9618)に説明された交互ガス供給(AGS)プロセスと共に使用されてもよい。幾つかの実施形態では、シリコンエピタキシャル膜形成プロセスのエッチング段階中には、Cl及びHClの両方が使用される。HClの存在は、格子HClが解離し得る低い基板温度(例えば、約600℃以下)でも、Clの積極性を見掛け上減少する。更に、AGSプロセス中に、HClは、(例えば、表面を形態学的に改善するために)プロセスの堆積及びエッチング段階中に連続的に流れることができる。
【0020】
本発明の少なくとも1つの態様によれば、移送チャンバ及び少なくとも2つの処理チャンバを含むクラスターツールが提供される。第1の処理チャンバは、第2の処理チャンバ内でエピタキシャル膜形成を行う前に、基板を洗浄するのに使用できる。クラスターツールは、基板の取り扱い中にクラスターツール全体にわたり真空を維持するためにシールされる。クラスターツールに真空を維持することで、基板の汚染物(例えば、O、粒状物体、等)への露出を防止することができる。
【0021】
従来のエピタキシャル膜形成システムでは、基板がエピタキシャル堆積チャンバへロードされ、自然の二酸化シリコン層又は他の汚染物を基板から除去するためにエッチングが行われる。典型的に、水素を使用して、自然の二酸化シリコン層を除去する。その後、エピタキシャル堆積チャンバ内に選択的エピタキシーを使用して、基板上にエピタキシャル膜を形成する。
【0022】
本発明によれば、個別の洗浄チャンバを使用して、エピタキシャル膜形成の前に基板を洗浄する。より詳細には、基板は、第1の処理チャンバ内で洗浄されて、エピタキシャル膜形成のために(真空下で)第2の処理チャンバへ移送される。個別の洗浄チャンバを使用することで、エピタキシャル膜形成チャンバ内で使用するには不適であるかもしれない洗浄ガスを使用することが許される。例えば、従来、エピタキシャル膜形成の前にシリコン基板から二酸化シリコンを洗浄するために水素を使用している。しかしながら、上述したように、Clを使用する低温度のエピタキシープロセス中には、水素の使用が望ましくないことがある。個別の洗浄チャンバの使用を通して、エピタキシャル膜形成チャンバを水素(又は他の望ましくないガス)に露出せずに水素を使用して基板を洗浄することができる。本発明のこれら及び他の態様は、図1から4を参照して以下に説明する。
【0023】
図1は、本発明により提供されるクラスターツール100の上面図である。このクラスターツール100は、基板ハンドラー104を収容する移送チャンバ102を備えている。移送チャンバ102は、第1のロードロック106a、第2のロードロック106b、第1の処理チャンバ108、第2の処理チャンバ110、及び必要に応じて、(仮想線で示す)第3の処理チャンバ112に結合される。これより少数又は多数の処理チャンバが使用されてもよく、又、コントローラ113が各チャンバと通信し、及び/又は各チャンバ内で遂行されるプロセスを制御することができる。処理チャンバ108、110、112の1つ以上が、(以下に述べる)紫外線装置114a−cを(それに隣接して、それに取り付けて、及び/又はその中に固定して)含むことができる。
【0024】
移送チャンバ102は、基板が基板ハンドラー104によりロードロックチャンバ106a−bと、処理チャンバ108、110、112と、移送チャンバ102との間を通過されるときに、真空を維持するためにシールされる。クラスターツール100の全体にわたり真空を維持することで、汚染物(例えば、O、粒状物体、等)への基板の露出を防止することができる。
【0025】
ロードロックチャンバ106a−bは、ファクトリーインターフェイス116又は別のソースから移送チャンバ102へ基板を移送することのできるいずれの従来のロードロックチャンバを含んでもよい。
【0026】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、第1の処理チャンバ108は、エピタキシャル膜形成の前に基板を洗浄するように適応される。例えば、第1の処理チャンバ108は、Ar、He、H、又はNスパッタリングのような適当な前洗浄プロセスを使用して、エピタキシャル膜形成の前に自然酸化物を除去するか、さもなければ、基板の表面を洗浄する従来の前洗浄チャンバでよい。又、Clや他の塩素系洗浄プロセスを使用してもよい。
【0027】
第2の処理チャンバ110、及び/又はもし使用されれば、第3の処理チャンバ112は、いずれの適当なエピタキシャル膜形成チャンバを含んでもよい。例示的なエピタキシャル膜チャンバは、カリフォルニア州サンタクララに所在するアプライドマテリアルズ社から入手できるEpi Centura(登録商標)システム及びPoly Gen(登録商標)システムに見ることができるが、他のエピタキシャル膜形成及び/又はシステムを使用してもよい。
【0028】
各プロセスチャンバ108、110及び112は、エピタキシャル膜形成中に必要なガスを受け取るために適当なガス供給源に結合される。例えば、第1の処理チャンバ108は、水素源に結合され、第1の処理チャンバ108内で遂行される前洗浄プロセス中に水素を受け取ることができる。同様に、第2及び/又は第3の処理チャンバ110、112は、キャリヤガス(例えば、水素、窒素、等)源、エッチングガス(例えば、HCl、Cl、等)源、シリコン源(例えば、シラン、ジシラン、等)、炭素源、ゲルマニウム源、他のドープ剤源、等に結合されてもよい。
【0029】
本発明の幾つかの実施形態では、第1の処理チャンバ108は、第2の処理チャンバ110内でエピタキシャル膜形成を行う前に、水素を使用して基板を前洗浄するように適応される。第2の処理チャンバ110は、基板上にエピタキシャル膜を形成する間に水素以外のキャリヤガス、例えば、窒素を使用するように適応される。例えば、第2の処理チャンバ110は、窒素のキャリヤガスをCl及び/又はHCl並びに適切なシリコン源と共に使用して、基板上にエピタキシャル層を形成することができる(例えば、前記で援用した2005年9月14日に出願された米国特許出願第11/227,974号(管理番号9618/P1)に記載されたようにAGS又は他のエピタキシャルプロセスを経て)。又、炭素、ゲルマニウム及び/又は他のドープ剤を使用してもよい。必要に応じて、第3の処理チャンバ112内で、同様の又は他のエピタキシャルプロセスを遂行してもよい。
【0030】
個別の洗浄チャンバ(第1の処理チャンバ108)を使用することで、エピタキシャル膜形成チャンバ(第2及び/又は第3の処理チャンバ110、112)内で使用するのに適さないかもしれない洗浄ガスの使用が許される。上述した実施例において、第2の処理チャンバ110内でのエピタキシャル膜形成中にClがエッチング剤として使用されるときには、(例えば、水素とClとの間の不適合性のために)第2の処理チャンバ110内に水素を存在させることが望ましくない。従って、第1の処理チャンバ108のような個別の前洗浄チャンバを使用することで、エピタキシャル膜形成に使用される処理チャンバへ水素を導入せずに、水素を使用して基板を洗浄することが許される。
【0031】
別の態様として、第1の処理チャンバ108は、Clプロセスを使用し、例えば、Cl及び/又はHClを窒素キャリヤガスと共に(例えば、前記で援用した2005年9月14日に出願された米国特許出願第11/227,974号(管理番号9618/P1)に述べたように低温AGSエピタキシャル膜形成プロセス中に使用される同じエッチング化学物質)使用することにより、基板を前洗浄するのに使用されてもよい。その後、水素キャリヤガスを使用する従来の選択的エピタキシープロセスを使用して、第2及び/又は第3の処理チャンバ110、112内で基板上にエピタキシャル層を形成することができる。これら及び他の方法の実施例を、図2から4を参照して以下に説明する。
【0032】
図2は、本発明によるエピタキシャル膜形成の第1の方法200のフローチャートである。
【0033】
この方法200は、ステップ201で開始する。ステップ202において、エピタキシャル膜形成の前に、前洗浄チャンバ(例えば、第1の処理チャンバ108)内で基板を前洗浄することができる。前洗浄プロセスは、第1ガス(例えば、水素、窒素、塩素、等)を使用することができる。
【0034】
ステップ204において、基板は、前洗浄チャンバから堆積チャンバ(例えば、第2の処理チャンバ110)へ(例えば、基板ハンドラー104により)移送することができる。例えば、この移送は、真空に維持された移送チャンバ102を通して行うことができる。
【0035】
基板の移送(ステップ204)に続いて、ステップ206において堆積チャンバ内で基板上にエピタキシャル層を形成することができる。エピタキシャル層は、ステップ202において前洗浄チャンバで使用した第1ガスを使用せずに、基板上に形成することができる。(ステップ204でまだ使用されていないという条件で)使用できるガスは、例えば、窒素、水素、ヘリウム、アルゴン、等をキャリヤガスとして、HCl、Cl、その組合せ、等をエッチングガスとして、シラン、ジシラン、等をシリコン源として含み、又、種々の他のガス、例えば、ゲルマニウム源、炭素源又は他のドープ剤源を含む。
【0036】
もし必要であれば、前洗浄チャンバ又は堆積チャンバ内のCl含有種又は他の種を(例えば、紫外線装置114bにより)活性化してもよい。
【0037】
ステップ206においてエピタキシャル層を堆積した後に、ステップ208において、基板を(基板ハンドラー104により)第2の堆積チャンバ(例えば、第3の処理チャンバ112)へ移送することができる。基板は、真空下で(移送チャンバ102を通して)移送される。
【0038】
ステップ210において、適当なキャリヤガス、エッチングガス、シリコン源、ドープ剤源、等を使用して、第2の堆積チャンバ内で基板上に付加的なエピタキシャル層を形成することができる。
【0039】
第2の堆積チャンバ(例えば、第3の処理チャンバ112)内のCl含有種又は他の種を(例えば、紫外線装置114cにより)活性化してもよい。この方法200は、ステップ212において終了となる。
【0040】
図3は、本発明によるエピタキシャル膜形成の第2の方法300のフローチャートである。
【0041】
この方法300は、ステップ301で開始する。ステップ302において、エピタキシャル膜形成の前に、前洗浄チャンバ(例えば、第1の処理チャンバ108)内で基板を前洗浄することができる。前洗浄プロセスは、従来の水素プロセスを使用して基板から二酸化シリコン層を除去するために水素ガスを使用することができる。
【0042】
ステップ304において、基板は、前洗浄チャンバから堆積チャンバ(例えば、第2の処理チャンバ110)へ(例えば、基板ハンドラー104により)移送される。この移送は、真空下で(移送チャンバ102を通して)行われる。
【0043】
基板の移送(ステップ304)に続いて、ステップ306において、堆積チャンバ内で基板上にエピタキシャル層を形成することができる。エピタキシャル層は、前洗浄チャンバ(ステップ302)に使用された水素ガスを使用せずに、基板上に形成される。使用できるガスは、例えば、窒素、ヘリウム又はアルゴンのキャリヤガスを含み、HCl及び/又はClをエッチングガスとして含み、シラン、ジシラン、等をシリコン源として含み、更に、種々の他のガス、例えば、ゲルマニウム源、炭素源又は他のドープ剤源を含む。
【0044】
もし必要であれば、堆積チャンバ(例えば、第2の処理チャンバ110)内のCl含有種を、例えば、紫外線装置114bにより、活性化してもよい。
【0045】
ステップ306におけるエピタキシャル層の堆積の後に、ステップ308において、基板を第2の堆積チャンバ(例えば、第3の処理チャンバ112)へ(基板ハンドラー104により)搬送することができる。基板は、真空下で(移送チャンバ102を通して)移送される。
【0046】
ステップ310において、適当なキャリヤガス、エッチングガス、シリコン源、ドープ剤源、等を使用して、第2の堆積チャンバ内で基板上に付加的なエピタキシャル層を形成することができる。エピタキシャル層は、水素で形成されてもよいが、水素なしに形成されるのが好ましい。
【0047】
第2の堆積チャンバ(例えば、第3の処理チャンバ112)内のCl含有種又は他の種を、例えば、紫外線装置114cにより、活性化してもよい。この方法300は、ステップ312において終了となる。
【0048】
図4は、本発明によるエピタキシャル膜形成の第3の方法400のフローチャートである。
【0049】
この方法400は、ステップ401で開始する。ステップ402において、エピタキシャル膜形成の前に、前洗浄チャンバ(例えば、第1の処理チャンバ108)内で基板を前洗浄することができる。前洗浄プロセスは、Clを(洗浄ガスとして)使用することができる。例えば、Clは、HClを伴う場合も伴わない場合も、窒素キャリヤガスと共に使用して、二酸化シリコン又は他の汚染物を基板からエッチングすることができる。例示的なClエッチングプロセスが、参考としてここに全体を援用する2005年1月28日に出願された米国特許出願第11/047,323号(管理番号9793)に述べられている。例えば、キャリヤガス及びClは、シリコン源を伴う場合も伴わない場合も、約500から700℃の範囲の基板温度を使用してシリコン含有表面をエッチングするのに使用できる。もし望ましい場合には、紫外線装置114aを使用して、(例えば、低いCl流量及び/又は低い温度を許すために)基板の洗浄に必要なCl含有種又は他の種を活性化することができる。
【0050】
ステップ404において、例えば、基板ハンドラー104により、前洗浄チャンバから堆積チャンバ(例えば、第2の処理チャンバ110)へ移送される。この移送は、真空下で(移送チャンバ102を通して)行われる。
【0051】
基板の移送(ステップ404)に続いて、ステップ406において、堆積チャンバ内で基板上にエピタキシャル層を形成することができる。エピタキシャル層は、水素キャリヤガスを使用するAGS又は従来の選択的エピタキシーのような適当なエピタキシー形成方法を使用して基板上に形成することができる。
【0052】
ステップ406におけるエピタキシャル層の堆積の後に、ステップ408において、例えば、基板ハンドラー104により第2の堆積チャンバ(例えば、第3の処理チャンバ112)へ基板を移送することができる。基板は、真空下で(移送チャンバ102を通して)移送される。
【0053】
ステップ410において、第2の堆積チャンバ内で基板上にエピタキシャル層を形成することができる。エピタキシャル層は、適当なエピタキシー形成方法を使用して基板上に形成することができる。
【0054】
この方法は、ステップ412で終了となる。
【0055】
以上の説明は、本発明の例示のための実施形態を開示したに過ぎない。当業者であれば、以上に開示した装置及び方法の、本発明の範囲内に入る変更が容易に明らかであろう。例えば、ここに述べた洗浄及びエピタキシャル形成プロセスは、主として、水素及びClプロセスであったが、第1、第2、及び/又は第3の処理チャンバ108、110、112には、他のガスを使用してもよいことを理解されたい。
【0056】
従って、例示のための実施形態に関して本発明を開示したが、他の実施形態も、特許請求の範囲で規定された本発明の精神及び範囲内に包含されることを理解されたい。
【符号の説明】
【0057】
100…クラスターツール、102…移送チャンバ、104…基板ハンドラー、106a…第1ロードロック、106b…第2ロードロック、108…第1の処理チャンバ、110…第2の処理チャンバ、112…第3の処理チャンバ、113…コントローラ、114

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エピタキシャル膜を形成する方法において、
エピタキシャル膜を形成する前に、第1のガスを使用して第1の処理チャンバー内で基板を前クリーニングするステップと、
上記第1の処理チャンバーから真空下で移送チャンバーを通して第2の処理チャンバーへ基板を移送するステップと、
上記第1のガスを使用せずに上記第2の処理チャンバー内で基板上にエピタキシャル層を形成するステップと、上記第1のガスは上記第2の処理チャンバー内で使用するには不適当である、
を備えた方法。
【請求項2】
真空を維持しながら上記移送チャンバーを通して上記第2の処理チャンバーから第3の処理チャンバーへ基板を移送するステップと、
上記第1のガスを使用せずに上記第3の処理チャンバー内で基板上にエピタキシャル層を形成するステップと、
を更に備えた請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記第1のガスは水素であり、基板上にエピタキシャル層を形成する上記ステップは、窒素キャリヤガスを使用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
エピタキシャル膜を形成する方法において、
エピタキシャル膜を形成する前に、水素ガスを使用して、第1の処理チャンバー内で基板を前クリーニングするステップと、
上記第1の処理チャンバーから真空下で移送チャンバーを通して第2の処理チャンバーへ基板を移送するステップと、
水素以外のキャリヤガスを使用して上記第2の処理チャンバー内で基板上にエピタキシャル層を形成するステップと、水素は上記第2の処理チャンバー内で使用するには不適当である、
を備えた方法。
【請求項5】
真空を維持しながら上記移送チャンバーを通して上記第2の処理チャンバーから第3の処理チャンバーへ基板を移送するステップと、
水素以外のキャリヤガスを使用して上記第3の処理チャンバー内で基板上にエピタキシャル層を形成するステップと、
を更に備えた請求項4に記載の方法。
【請求項6】
エピタキシャル膜を形成する方法において、
エピタキシャル膜形成の前にClを使用して第1の処理チャンバー内で基板を前クリーニングするステップと、
上記第1の処理チャンバーから真空下で移送チャンバーを通して第2の処理チャンバーへ基板を移送するステップと、
水素キャリヤガスを使用して上記第2の処理チャンバー内で基板上にエピタキシャル層を形成するステップと、Clは上記第2の処理チャンバー内で使用するには不適当である、
を備えた方法。
【請求項7】
真空を維持しながら上記移送チャンバーを通して上記第2の処理チャンバーから第3の処理チャンバーへ基板を移送するステップと、
水素キャリヤガスを使用して上記第3の処理チャンバー内で基板上にエピタキシャル層を形成するステップと、
を更に備えた請求項6に記載の方法。
【請求項8】
エピタキシャル膜の形成に使用するためのクラスターツールにおいて、
エピタキシャル膜を形成する前に第1のガスを使用して基板をクリーニングするように適応される第1の処理チャンバーと、
上記第1のガスを使用せずに基板上にエピタキシャル層を形成するよう適応される第2の処理チャンバーと、上記第1のガスは上記第2の処理チャンバー内で使用するには不適当であり、
上記第1及び第2の処理チャンバーに結合され、クラスターツール全体に真空を維持しながら上記第1の処理チャンバーと第2の処理チャンバーとの間で基板を移送するように適応される移送チャンバーと、
を備えたクラスターツール。
【請求項9】
上記移送チャンバーに結合され、且つ基板上にエピタキシャル層を形成するように適応される第3の処理チャンバーを更に備えた、請求項8に記載のクラスターツール。
【請求項10】
上記第2の処理チャンバー内で反応性の種を活性化するように適応される紫外線装置を更に備えた、請求項8に記載のクラスターツール。
【請求項11】
上記第1の処理チャンバーは、前クリーニングチャンバーである、請求項8に記載のクラスターツール。
【請求項12】
エピタキシャル膜の形成に使用するためのクラスターツールにおいて、
エピタキシャル膜を形成する前に水素を使用して基板をクリーニングするように適応される第1の処理チャンバーと、
水素以外のキャリヤガスを使用して基板上にエピタキシャル層を形成するよう適応される第2の処理チャンバーと、水素は上記第2の処理チャンバー内で使用するには不適当であり、
上記第1及び第2の処理チャンバーに結合され、クラスターツール全体に真空を維持しながら上記第1の処理チャンバーと第2の処理チャンバーとの間で基板を移送するように適応される移送チャンバーと、
を備えたクラスターツール。
【請求項13】
上記移送チャンバーに結合され、且つ基板上にエピタキシャル層を形成するように適応される第3の処理チャンバーを更に備えた、請求項12に記載のクラスターツール。
【請求項14】
エピタキシャル膜の形成に使用するためのクラスターツールにおいて、
エピタキシャル膜を形成する前にClを使用して基板をクリーニングするように適応される第1の処理チャンバーと、
水素キャリヤガスを使用して基板上にエピタキシャル層を形成するよう適応される第2の処理チャンバーと、Clは上記第2の処理チャンバー内で使用するには不適当であり、
上記第1及び第2の処理チャンバーに結合され、クラスターツール全体に真空を維持しながら上記第1の処理チャンバーと第2の処理チャンバーとの間で基板を移送するように適応される移送チャンバーと、
を備えたクラスターツール。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−70068(P2013−70068A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−243584(P2012−243584)
【出願日】平成24年11月5日(2012.11.5)
【分割の表示】特願2009−504308(P2009−504308)の分割
【原出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】