説明

エポキシ樹脂組成物

【課題】本発明は、柔軟性が高く、接着性および耐衝撃性に優れるエポキシ樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル(A)と、ポリオキシアルキレンジグリシジルエーテル(B)および/またはダイマー酸ジグリシジルエステル(C)と、ビスフェノール型エポキシ樹脂(D)および/またはグリシジルアミノ基を有する芳香族エポキシ樹脂(E)と、エポキシ樹脂と反応しうる硬化剤とを特定の割合で含有するエポキシ樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のルーフレール、各種ビラー等の部位において、車体剛性や強度の確保等を目的として、スポット溶接と接着剤を併用した工法(ウェルドボンド工法)が採用されている。このウェルドボンド工法に用いられる接着剤には、鋼板に対する高い接着強度と耐衝撃性が要求され、従来より1液加熱硬化型エポキシ樹脂組成物が使用されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
また、自動車のフード、ドア、トランクリッド等の開きもの(蓋もの)と呼ばれる部品は、基本的に外板(アウターパネル)と内板(インナーパネル)とから構成されており、その端部はほぼ全周にわたって「ヘミング」と呼ばれるかしめ構造が採用されている。強度保持(接着)や防錆性向上(シーリング)を目的として、上記ヘミング部の接着には、主に1液加熱硬化型エポキシ樹脂組成物が使用されている。
【0004】
しかしながら、従来のエポキシ樹脂組成物の硬化物は比較的硬く、接着部に負荷がかかった際に応力が分散されず一点に集中しやすい。そのため、接着部の剥離や破壊等が生じやすく、十分な接着強度が得られなかった。
【0005】
一方、エポキシ樹脂組成物の柔軟性等を改良することを目的として、エポキシ樹脂に、ビスフェノールA型の側鎖型エポキシ樹脂、ダイマー酸変性エポキシ樹脂、油変性エポキシ樹脂、ポリグリコール型エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂等を配合する方法が知られている(特許文献1〜3参照。)。
【0006】
【非特許文献1】自動車技術学会 学術講演前刷集、No.140−05、p1
【特許文献1】特開昭63−186786号公報
【特許文献2】特開昭63−189488号公報
【特許文献3】特開平3−137179号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記ビスフェノールA型の側鎖型エポキシ樹脂等を配合した場合、柔軟性を付与することはできるものの接着強度を低下させるので、これらの樹脂を単に配合しただけでは、接着性と柔軟性を同時に満足するものを得ることはできず、また、十分な耐衝撃性を得ることはできなかった。
【0008】
したがって、本発明は、柔軟性が高く、接着性および耐衝撃性に優れるエポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル(A)と、ポリオキシアルキレンジグリシジルエーテル(B)および/またはダイマー酸ジグリシジルエステル(C)と、ビスフェノール型エポキシ樹脂(D)および/またはグリシジルアミノ基を有する芳香族エポキシ樹脂(E)と、エポキシ樹脂と反応しうる硬化剤とを含有し、上記ジグリシジルエーテル(A)の含有量が全エポキシ樹脂中の20〜80質量%であり、上記ポリオキシアルキレンジグリシジルエーテル(B)および/または上記ダイマー酸ジグリシジルエステル(C)の含有量が全エポキシ樹脂中の5〜34質量%であり、上記エポキシ樹脂(D)および上記エポキシ樹脂(E)と、上記ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル(A)、上記ポリオキシアルキレンジグリシジルエーテル(B)、上記ダイマー酸ジグリシジルエステル(C)、上記エポキシ樹脂(D)および上記エポキシ樹脂(E)との質量比([(D)+(E)]/[(A)+(B)+(C)+(D)+(E)])が0.05〜0.45であるエポキシ樹脂組成物が、柔軟性が高く、接着性および耐衝撃性に優れることを見出した。本発明者は、更に、特定のエポキシ樹脂/ポリウレタン混合物(F)を含有すると、柔軟性および接着性が更に向上することを見出した。本発明者は、これらの知見に基づき、本発明を完成させた。
【0010】
即ち、本発明は、下記(1)〜(8)を提供する。
(1)ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル(A)と、
ポリオキシアルキレンジグリシジルエーテル(B)および/またはダイマー酸ジグリシジルエステル(C)と、
ビスフェノール型エポキシ樹脂(D)および/またはグリシジルアミノ基を有する芳香族エポキシ樹脂(E)と、
エポキシ樹脂と反応しうる硬化剤とを含有し、
前記ジグリシジルエーテル(A)の含有量が全エポキシ樹脂中の20〜80質量%であり、前記ポリオキシアルキレンジグリシジルエーテル(B)および/または前記ダイマー酸ジグリシジルエステル(C)の含有量が全エポキシ樹脂中の5〜34質量%であり、前記エポキシ樹脂(D)および前記エポキシ樹脂(E)と、前記ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル(A)、前記ポリオキシアルキレンジグリシジルエーテル(B)、前記ダイマー酸ジグリシジルエステル(C)、前記エポキシ樹脂(D)および前記エポキシ樹脂(E)との質量比([(D)+(E)]/[(A)+(B)+(C)+(D)+(E)])が0.05〜0.45であるエポキシ樹脂組成物。
(2)更に、エポキシ樹脂と前記エポキシ樹脂中に分散しているポリウレタンとを含有し、前記ポリウレタンが、前記エポキシ樹脂中で、ポリイソシアネート化合物と、前記ポリイソシアネート化合物と反応しうる硬化剤とを反応させて得られたポリウレタンである、エポキシ樹脂/ポリウレタン混合物(F)を含有する上記(1)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(3)前記ポリウレタンの含有量が、全樹脂成分中の5〜30質量%である上記(2)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(4)前記ポリイソシアネート化合物が、ウレタン結合を持たないポリイソシアネート化合物である上記(2)または(3)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(5)前記ウレタン結合を持たないポリイソシアネート化合物が、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートおよびノルボルナン骨格を有するジイソシアネートからなる群から選択される少なくとも1種である上記(4)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(6)前記ポリイソシアネート化合物と反応しうる硬化剤が、ポリオール化合物である上記(2)〜(5)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
(7)前記ポリオール化合物が、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオールからなる群から選択される少なくとも1種である上記(6)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(8)自動車用接着剤組成物である上記(1)〜(7)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、柔軟性が高く、接着強度および耐衝撃性に優れる。更に、本発明のエポキシ樹脂組成物は、従来のエポキシ樹脂組成物に比べてはるかに柔軟性が高く、耐衝撃性に優れることにより、自動車が衝突した際の衝撃を和らげ、衝突安全性を向上し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明のエポキシ樹脂組成物(以下、本発明の組成物という。)は、ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル(A)と、ポリオキシアルキレンジグリシジルエーテル(B)および/またはダイマー酸ジグリシジルエステル(C)と、ビスフェノール型エポキシ樹脂(D)および/またはグリシジルアミノ基を有する芳香族エポキシ樹脂(E)と、エポキシ樹脂と反応しうる硬化剤とを含有し、上記ジグリシジルエーテル(A)の含有量が全エポキシ樹脂中の20〜80質量%であり、上記ポリオキシアルキレンジグリシジルエーテル(B)および/または上記ダイマー酸ジグリシジルエステル(C)の含有量が全エポキシ樹脂中の5〜34質量%であり、上記エポキシ樹脂(D)および上記エポキシ樹脂(E)と、上記ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル(A)、上記ポリオキシアルキレンジグリシジルエーテル(B)、上記ダイマー酸ジグリシジルエステル(C)、上記エポキシ樹脂(D)および上記エポキシ樹脂(E)との質量比([(D)+(E)]/[(A)+(B)+(C)+(D)+(E)])が0.05〜0.45であるエポキシ樹脂組成物である。
【0013】
<ジグリシジルエーテル(A)>
本発明の組成物に用いられるビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル(A)としては、例えば、ビスフェノールAに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加したポリオール化合物をエポキシ化した構造のもの等が挙げられる。具体的には、下記式で表される化合物が例示される。
【0014】
【化1】

【0015】
上記式(1)中、R1は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基またはエチル基である。mおよびnは、それぞれ0以上の整数であり、m+nは2以上である。本発明の組成物の硬化後の柔軟性に優れ、硬化性も維持できる点から、mおよびnは、それぞれ、1〜3の整数であるのが好ましく、1であるのがより好ましい。同様の理由から、m+nは2〜6であるのが好ましく、2であるのがより好ましい。
【0016】
上記ジグリシジルエーテル(A)の含有量は、硬化物の柔軟性に優れる点から、全エポキシ樹脂中の20〜80質量%である。ここで、「全エポキシ樹脂」とは、ジグリシジルエーテル(A)等の2個以上のエポキシ基を有する化合物であって、本発明の組成物に含まれるもの全てを意味する。
上記ジグリシジルエーテル(A)の含有量は、硬化性、接着強度および硬化物の柔軟性に優れる点から、全エポキシ樹脂中の20〜75質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましい。
【0017】
上記ジグリシジルエーテル(A)の製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。また、市販品を用いてもよい。
市販品としては、例えば、旭電化工業社製のアデカレジンEP−4000等が挙げられる。
【0018】
<ポリオキシアルキレンジグリシジルエーテル(B)およびダイマー酸ジグリシジルエステル(C)>
本発明の組成物は、ポリオキシアルキレンジグリシジルエーテル(B)および/またはダイマー酸ジグリシジルエステル(C)を含有する。これらのエポキシ樹脂の硬化物は、通常、上記ジグリシジルエーテル(A)よりも更に柔軟性が高い。そのため、得られる組成物の柔軟性がより高くなり、接着強度および衝突安全性を更に向上することができる。
【0019】
上記ポリオキシアルキレンジグリシジルエーテル(B)としては、例えば、ポリプロピレングリコールをエピクロロヒドリンと反応させてエポキシ化したもの等が挙げられる。上記ポリオキシアルキレンジグリシジルエーテル(B)としては、具体的には、例えば、下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
【0020】
【化2】

【0021】
上記式(2)中、R2は、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基であり、他の成分との相溶性に優れる点からメチル基が好ましい。
pおよびqは整数である。pとqの和は2〜30の整数であり、5〜15の整数であるのが好ましい。
【0022】
上記ダイマー酸ジグリシジルエステル(C)としては、例えば、トール油脂肪酸等の不飽和脂肪酸を重合させて得られるダイマー酸をエポキシ化したもの等が挙げられる。
上記ダイマー酸ジグリシジルエステル(C)としては、具体的には、例えば、下記式(3)で表される化合物が挙げられる。
【0023】
【化3】

【0024】
上記ポリオキシアルキレンジグリシジルエーテル(B)および/または上記ダイマー酸ジグリシジルエステル(C)の含有量は、全エポキシ樹脂中の5〜34質量%であり、5〜30質量%であるのが好ましく、5〜25質量%であるのがより好ましく、5〜20質量%であるのが更に好ましい。含有量がこの範囲であると、組成物の硬化性と硬化物の柔軟性とのバランスに優れる。
なお、「上記ポリオキシアルキレンジグリシジルエーテル(B)および/または上記ダイマー酸ジグリシジルエステル(C)の含有量」とは、本発明の組成物がポリオキシアルキレンジグリシジルエーテル(B)およびダイマー酸ジグリシジルエステル(C)の両方を含有する場合はこれらの合計の含有量を意味し、いずれか一方のみを含有する場合はその含有量を意味する。
【0025】
<エポキシ樹脂(D)およびエポキシ樹脂(E)>
本発明の組成物は、ビスフェノール型エポキシ樹脂(D)および/またはグリシジルアミノ基を有する芳香族エポキシ樹脂(E)を含有する。エポキシ樹脂(D)および/またはエポキシ樹脂(E)を用いることによって、組成物の凝集力が高くなり、硬化性が向上し、ひいては接着性に優れる。
【0026】
上記エポキシ樹脂(D)としては、具体的には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が、強度と接着性に優れるという点から好ましい。
なお、上記エポキシ樹脂(D)には、上述したビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル(A)のようなビスフェニル骨格にアルキレンオキサイドが付加しているエポキシ樹脂は含まれない。
【0027】
上記エポキシ樹脂(D)のエポキシ当量は、組成物の凝集力と硬化物の柔軟性とのバランスに優れることにより、優れた接着性が得られる点から、50〜250が好ましく、50〜230がより好ましく、70〜200がより好ましい。
【0028】
上記エポキシ樹脂(E)は、分子内にグリシジルアミノ基を少なくとも1個有する芳香族エポキシ樹脂であればよく、特に限定されない。具体的には、例えば、N,N,N′,N′−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、N,N−ジグリシジルアニリン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、トリグリシジル−p−アミノフェノールが低粘度かつ高強度が得られる点から好ましい。
【0029】
上記エポキシ樹脂(E)のエポキシ当量は、組成物の凝集力と硬化物の柔軟性とのバランスに優れることにより、優れた接着性が得られる点から、50〜250が好ましく、50〜230がより好ましく、70〜200がより好ましい。
【0030】
本発明の組成物において、上記エポキシ樹脂(D)および上記エポキシ樹脂(E)と、上記ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル(A)、上記ポリオキシアルキレンジグリシジルエーテル(B)、上記ダイマー酸ジグリシジルエステル(C)、上記エポキシ樹脂(D)および上記エポキシ樹脂(E)との質量比([(D)+(E)]/[(A)+(B)+(C)+(D)+(E)])は、0.05〜0.45であり、0.10〜0.40であるのが好ましく、0.15〜0.40であるのがより好ましい。上記質量比がこの範囲であると、接着性と耐衝撃性を高い次元で両立できる。
【0031】
<エポキシ樹脂/ポリウレタン混合物(F)>
本発明の組成物は、更に、エポキシ樹脂と上記エポキシ樹脂中に分散しているポリウレタンとを含有し、上記ポリウレタンが、上記エポキシ樹脂中で、ポリイソシアネート化合物と、上記ポリイソシアネート化合物と反応しうる硬化剤とを反応させて得られたポリウレタンである、エポキシ樹脂/ポリウレタン混合物(F)を含有するのが好ましい。エポキシ樹脂/ポリウレタン混合物(F)により凝集力および靭性が付与される結果、本発明の組成物は更に接着性が向上し、耐衝撃性も優れる。
【0032】
上記エポキシ樹脂/ポリウレタン混合物(F)に用いられるエポキシ樹脂としては、エポキシ基を2個以上有するものであれば特に制限されない。具体的には、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型のようなビスフェニル基を有するエポキシ化合物、ポリアルキレングリコール型、アルキレングリコール型のエポキシ化合物、ナフタレン環を有するエポキシ化合物、フルオレン基を有するエポキシ化合物等の二官能型のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、三官能型、テトラフェニロールエタン型のような多官能型のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ダイマー酸のような合成脂肪酸のグリシジルエステル型エポキシ樹脂;N,N,N′,N′−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(TGDDM)、テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、N,N−ジグリシジルアニリンのようなグリシジルアミノ基を有する芳香族エポキシ樹脂;トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環を有するエポキシ化合物(例えば、ジシクロペンタジエンとm−クレゾールのようなクレゾール類またはフェノール類を重合させた後、エピクロルヒドリンを反応させる製造方法によって得られるエポキシ化合物)等が挙げられる。
【0033】
また、上記エポキシ樹脂としては、例えば、東レ・ファインケミカル社製のフレップ10のようなエポキシ樹脂主鎖に硫黄原子を有するエポキシ樹脂;ウレタン結合を有するウレタン変性エポキシ樹脂;ポリブタジエン、液状ポリアクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)のようなゴムを含有するゴム変性エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ソルビトール型エポキシ樹脂、ポリグリセロール型エポキシ樹脂、ペンタエリスリトール型エポキシ樹脂、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂のような分子内にアセトアセテート基を有するエポキシ樹脂等が挙げられる。
【0034】
上記エポキシ樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いられるエポキシ樹脂としては、取り扱いの容易さ、混合性の観点から、室温で液状であるものが好ましい。
また、上記エポキシ樹脂としては、ヒドロキシ基を有するものが好ましい。このエポキシ樹脂中でポリウレタンを製造する際に、エポキシ樹脂のヒロドキシ基がポリイソシアネート化合物と反応し、上記エポキシ樹脂とポリウレタンとが部分的に結合した混合物となるので、得られる組成物がより柔軟化され、接着強度が向上するからである。
【0035】
上記エポキシ樹脂は、上記ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル(A)、上記ポリオキシアルキレンジグリシジルエーテル(B)、上記ダイマー酸ジグリシジルエステル(C)、上記ビスフェノール型エポキシ樹脂(D)および上記グリシジルアミノ基を有する芳香族エポキシ樹脂(E)からなる群から選択される少なくとも1種のエポキシ樹脂であるのが好ましい。
上記エポキシ樹脂の一部または全部が上記ジグリシジルエーテル(A)であってもよい。また、上記エポキシ樹脂の一部または全部が上記エポキシ樹脂(D)および/または上記エポキシ樹脂(E)であるのが、得られる組成物の凝集力が高くなることにより硬化性が向上し、ひいては接着強度が向上する点から好ましい態様の1つである。
【0036】
上記エポキシ樹脂/ポリウレタン混合物(F)に用いられるポリウレタンは、上記エポキシ樹脂中で、ポリイソシアネート化合物と、上記ポリイソシアネート化合物と反応しうる硬化剤とを反応させて得られたポリウレタンである。
【0037】
上記ポリイソシアネート化合物は、通常のポリウレタンの製造に用いられるポリイソシアネート化合物であれば特に制限無く用いることができる。上記ポリイソシアネート化合物としては、得られる組成物が比較的低粘度になり、作業性に優れる点から、ウレタン結合を持たないポリイソシアネート化合物であるのが好ましい態様の1つである。
【0038】
上記ウレタン結合を持たないポリイソシアネート化合物としては、具体的には、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ノルボルナン骨格を有するジイソシアネート等が好適に挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのポリイソシアネート化合物の中でも、イソホロンジイソシアネートが低粘度(作業性)および物性のバランスという点からより好ましい。
【0039】
また、上記ポリイソシアネート化合物としては、チクソ性の高い組成物が得られる点から、ポリオール化合物と過剰のポリイソシアネート化合物とを反応させて得られるウレタンプレポリマーが好ましい態様の1つである。
ウレタンプレポリマーの原料として用いられるポリイソシアネート化合物は、特に限定されず、例えば、上述したポリイソシアネート化合物等を用いることができる。
また、ウレタンプレポリマーの原料として用いられるポリオール化合物は、特に限定されず、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、その他のポリオール、および、これらの混合ポリオール等が挙げられる。
【0040】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、4,4′−ジヒドロキシフェニルメタン、4,4′−ジヒドロキシフェニルプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールから選ばれる少なくとも1種に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等から選ばれる少なくとも1種を付加させて得られるポリオール;ポリオキシテトラメチレンオキサイド等が挙げられる。
【0041】
上記の多価アルコールから選ばれる少なくとも1種に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等から選ばれる少なくとも1種を付加させて得られるポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレントリオール、ポリグリセリン、ポリトリメチロールプロパン、ポリヘキサントリオール、ポリブタンジオール、ポリジヒドロキシフェニルメタン、ポリジヒドロキシフェニルプロパン等が挙げられる。
【0042】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、その他の低分子ポリオールの1種または2種以上と、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸、その他の低分子カルボン酸やオリゴマー酸の1種または2種以上との縮合重合体;プロピオンラクトン、バレロラクトン、カプロラクトンのような開環重合体等が挙げられる。
【0043】
その他のポリオールとしては、例えば、ポリマーポリオール;ポリカーボネートポリオール;ポリブタジエンポリオール、水素添加されたポリブタジエンポリオール;アクリルポリオール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオールのような低分子ポリオール等が挙げられる。
これらのポリオール化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0044】
上記ウレタンプレポリマーの原料として用いられるポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との組み合わせは、特に限定されない。ポリオール化合物のそれぞれと、ポリイソシアネート化合物のそれぞれとを任意の組み合わせで用いることができる。中でも、3官能以上のポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とから得られるウレタンプレポリマーが好ましく、1,1,1−トリメチロールプロパンとIPDI、HDIおよびXDIからなる群から選ばれる少なくとも1種のポリイソシアネート化合物とから得られるウレタンプレポリマーがより好ましい。また、HDIおよび/またはIPDIがイソシアヌレート結合により結合された3官能ウレタンプレポリマーが好ましい。
【0045】
上記ウレタンプレポリマーは、その製造方法について特に限定されない。例えば、反応温度を50〜100℃程度とし、常圧下でポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させてウレタンプレポリマーを得る方法が挙げられる。また、有機スズ化合物、有機ビスマス化合物のようなウレタン化触媒を用いることができる。
【0046】
ウレタンプレポリマーの製造において、ポリオール化合物のヒドロキシ基に対するポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)が1.2〜3.0であるのが好ましく、1.4〜2.5であるのがより好ましい。NCO/OHがこのような範囲である場合、ポリイソシアネート化合物の残存による発泡や、分子鎖の延長に起因するウレタンプレポリマーの粘度の増加がなく、得られる硬化物の物性が良好となる。
【0047】
ウレタンプレポリマーは、その官能基当量が3000g/当量以下であるのが好ましい。このような範囲の場合、ポリウレタンとエポキシ樹脂とがより相溶しにくく、エポキシ樹脂/ポリウレタン混合物がより均一となりやすい。このような効果により優れることから、ウレタンプレポリマーの官能基当量は50〜2000g/当量であるのがより好ましい。
【0048】
ウレタンプレポリマーは、ポリウレタンとエポキシ樹脂とがより相溶しにくく、エポキシ樹脂/ポリウレタン混合物がより均一となりやすいという観点から、3官能以上のものであるのが好ましい。
【0049】
上記ポリイソシアネート化合物と反応しうる硬化剤としては、イソシアネート基と反応しうる化合物であれば特に制限されず、具体的には、例えば、分子内にアミノ基を2つ以上有するポリアミン化合物、分子内にヒドロキシ基を2つ以上有するポリオール化合物、ポリメルカプタン系硬化剤、フェノール樹脂等が挙げられる。これらの中でも、エポキシ樹脂に対して不活性である硬化剤、またはエポキシ樹脂に対する反応性よりもポリイソシアネート化合物に対する反応性の方が大きい硬化剤が好ましい。このような硬化剤としては、具体的には、例えば、ポリオール化合物、ポリアミン化合物が好適に挙げられる。特に、得られる混合物が低粘度になることから、ポリオール化合物が好ましい。
【0050】
上記ポリイソシアネート化合物と反応しうる硬化剤としては、引張特性に優れる点から2官能のものが好ましく、より高いガラス転移温度の硬化物が得られる点から3官能のものが好ましい。
【0051】
ポリアミン化合物としては、例えば、分子内にアミノ基を2つ有するアミン化合物(脂肪族ジアミン、芳香族ジアミン等)、分子内にアミノ基を3つ以上有するアミン化合物等が挙げられる。
脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,14−テトラデカンジアミン、1,16−ヘキサデカンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、イミノビスプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1−シクロヘキシルアミノ−3−アミノプロパン、3−アミノメチル−3,3,5−トリメチル−シクロヘキシルアミン、ノルボルナン骨格のジメチレンアミン、メタキシリレンジアミン(MXDA)等が挙げられる。
【0052】
芳香族ジアミンとしては、例えば、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン(MOCA)、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、2,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジアミノジフェニルメタン、3,4′−ジアミノジフェニルメタン、2,2′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジアミノビフェニル、2,4−ジアミノフェノール、2,5−ジアミノフェノール、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,3−トリレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、2,5−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、3,4−トリレンジアミン等が挙げられる。
【0053】
分子内にアミノ基を3つ以上有するアミン化合物としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等が挙げられる。
また、ポリアミン化合物のアミノ基を、ケトンでブロックしたケチミンやアルデヒドでブロックしたアルジミンも使用することができる。このような場合、ケチミンまたはアルジミンを加水分解させるために必要な水を併用するのが好ましい。
【0054】
上記ポリオール化合物は、炭化水素の複数個の水素をヒドロキシ基で置換したアルコール類である。例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキサイドの少なくとも1種を、分子中に活性水素を2個以上有する活性水素含有化合物に付加重合させた生成物が挙げられる。
【0055】
上記活性水素含有化合物としては、例えば、多価アルコール類、アミン類、アルカノールアミン類、多価フェノール類等が挙げられる。
多価アルコール類としては、具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、グリセリン、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
アミン類としては、具体的には、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
アルカノールアミン類としては、具体的には、例えば、エタノールアミン、プロパノールアミン等が挙げられる。
多価フェノール類としては、具体的には、例えば、レゾルシン、ビスフェノール類等が挙げられる。
【0056】
上記ポリオール化合物としては、具体的には、例えば、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシブチレングリコール等のポリエーテル系ポリオール;ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等のポリオレフィン系ポリオール;アジペート系ポリオール;ラクトン系ポリオール;ヒマシ油等のポリエステル系ポリオール等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオールが、得られる硬化物の物性に優れ、また、比較的安価で入手しやすい点から好ましい。
【0057】
上記ポリオール化合物は、重量平均分子量が500〜10000程度であるのが好ましく、2000〜6000程度であるのがより好ましい。
なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法による標準ポリスチレン換算値である。
【0058】
上記ポリウレタンの製造時における上記硬化剤と上記ポリイソシアネート化合物とを混合する割合は、混合物の貯蔵安定性に優れるという点から、上記硬化剤の活性水素の数に対する上記ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の数の比(NCO/H)が、0.8〜1.2であるのが好ましく、0.95〜1.05であるのがより好ましい。
【0059】
上記ポリウレタンを製造する方法は、具体的には、例えば、上記エポキシ樹脂、上記ポリイソシアネート化合物、上記硬化剤、および必要に応じて硬化触媒を混合し、かくはんしてポリウレタンを得る方法が挙げられる。
【0060】
上記ポリウレタンの含有量は、上記エポキシ樹脂100質量部に対して、5〜80質量部であるのが好ましく、10〜50質量部であるのがより好ましい。
【0061】
また、上記ポリウレタンの含有量は、全樹脂成分中の5〜30質量%であるのが好ましく、5〜25質量%であるのがより好ましく、10〜20質量%であるのが更に好ましい。ポリウレタンの含有量がこの範囲であると、組成物の凝集力と柔軟性のバランスに優れ、硬化性および接着性が向上すると共に、硬化物の靭性に優れる。
【0062】
上記硬化触媒は、特に限定されないが、具体的には、例えば、ジメチルスズジラウレート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、オクチル酸スズ、ナフテン酸スズ等のスズカルボン酸塩類、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン酸エステル類、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物類、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物類、オクタン酸鉛、オクタン酸ビスマス等のオクタン酸金属塩等の金属触媒が挙げられる。
【0063】
このほかに、ブチルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン等のモノアミン類、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルプロパン−1,3−ジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミン等のジアミン類、N,N,N′,N″,N″−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N′,N″,N″−ペンタメチルジプロピレントリアミン等のトリアミン類、N−メチルモルホリン、N,N′−ジメチルピペラジン、N−メチル−N′−(2−ジメチルアミノ)−エチルピペラジン等の環状アミン類、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N′−トリメチルアミノエチルエタノールアミン等のアルコールアミン類、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、エチレングリコールビス(3−ジメチル)アミノプロピルエーテル等のエーテルアミン類等のアミン系触媒、またはこれらの塩化合物も挙げられる。
【0064】
上記ポリイソシアネート化合物と上記硬化剤とを反応させるときの反応温度は、特に限定されず、用いられる硬化剤の種類等に応じて適宜設定できる。例えば、上記ポリイソシアネート化合物と上記ポリオール化合物とを反応させるときの反応温度は、60〜100℃であるのが好ましく、70〜90℃であるのがより好ましい。反応温度がこの範囲であると、ポリオール化合物がエポキシ樹脂と反応せず、ポリイソシアネート化合物と効率よく反応することができる。
【0065】
上記エポキシ樹脂/ポリウレタン混合物(F)は、上記の各成分の他に、本発明の目的を損わない範囲で、充填剤、可塑剤、酸化防止剤、老化防止剤、無機顔料、有機顔料、接着付与剤、難燃剤、脱水剤、溶剤、シランカップリング剤、チクソトロピー付与剤、帯電防止剤等の各種添加剤を配合することができる。
【0066】
上記エポキシ樹脂と反応しうる硬化剤は、エポキシ樹脂と反応しうるものであれば特に制限されない。上記エポキシ樹脂と反応しうる硬化剤としては、具体的には、例えば、アミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物、チオール系化合物、イミダゾール、3フッ化ホウ素−アミン錯体、グアニジン誘導体等を使用することができ、アミン系化合物、酸無水物系化合物、チオール系化合物等が好ましい。中でも、得られる硬化物のガラス転移温度がより高く、耐熱性に優れるという観点から、芳香族ジアミンが好ましい。
【0067】
アミン系化合物としては、具体的には、例えば、メタキシリレンジアミン(MXDA)、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(1,3−BAC)、ノルボルナンジアミン(NBDA)、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン(IPDA)、ジシアンジアミド、ジメチルベンジルアミン、ケチミン化合物等のアミン系化合物、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド骨格のポリアミン、下記式(4)で表される化合物等が挙げられる。中でも、メタキシリレンジアミン(MXDA)、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(1,3−BAC)、ノルボルナンジアミン(NBDA)、トリエチレンテトラミン等が室温で液状であり、作業性が良く、硬化性も高いという点から好ましい。また、下記式(4)で表される化合物は芳香核を骨格内に有しているため、耐熱性が高く、可使時間が長いため好適であり、例えば、プリプレグ用途等に特に好適に用いられる。
【0068】
【化4】

【0069】
酸無水物系化合物としては、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。中でも、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等が、室温で液状であり、作業性が良く、硬化性も高いという点から好ましい。
【0070】
フェノール系化合物としては、具体的には、例えば、ビスフェノール類、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒドとの重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物との重合物、フェノール類と芳香族ジメチロールとの重縮合物、またはビスメトキシメチルビフェニルとナフトール類もしくはフェノール類との縮合物等、ビフェノール類およびこれらの変性物等が挙げられる。
【0071】
チオール系硬化剤としては、具体的には、例えば、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、1,10−デカンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,9−ノナンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパジチオール、トルエン−3,4−ジチオール、3,6−ジクロロ−1,2−ベンゼンジチオール、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール(トリメルカプト−トリアジン)、1,5−ナフタレンジチオール、1,2−ベンゼンジメタンチオール、1,3−ベンゼンジメタンチオール、1,4−ベンゼンジメタンチオール、4,4′−チオビスベンゼンチオール、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、1,5−ジメルカプト−3−チアペンタン、エポメートQX10(ジャパンエポキシレジン社製)、エポメートQX11(ジャパンエポキシレジン社製)等のジチオール;チオコール(東レ・ファインケミカル社製)、カップキュア3−800(ジャパンエポキシレジン社製)、エピキュアQX40(ジャパンエポキシレジン社製)等のポリチオール等のチオール化合物が挙げられる。中でも、エポメートQX10、エポメートQX11、カップキュア3−800、エピキュアQX40等が、市販の速硬化性ポリチオールとして好適に用いられる。
【0072】
上記エポキシ樹脂と反応しうる硬化剤の使用量は、組成物中のエポキシ基1当量に対して0.3〜1.2当量が好ましく、0.5〜1.1当量がより好ましい。
【0073】
本発明の組成物は、更に、エポキシ樹脂の硬化触媒を含有することができる。
上記エポキシ樹脂の硬化触媒としては、具体的には、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第三級アミン類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、オクチル酸スズ等の金属化合物、第四級ホスホニウム塩、3,4−ジクロロフェニル−1,1−ジメチルユリア(DCMU)等が挙げられる。中でも触媒作用が強い点から、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールが好ましい。
【0074】
硬化触媒の含有量は、全エポキシ樹脂100質量部に対して0.5〜10質量部が好ましく、1〜5質量部がより好ましい。
【0075】
本発明の組成物は、必要に応じて、本発明の目的を損わない範囲で、充填剤、反応遅延剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料(染料)、可塑剤、揺変性付与剤、紫外線吸収剤、難燃剤、溶剤、界面活性剤(レベリング剤を含む)、分散剤、脱水剤、接着付与剤、帯電防止剤等の各種添加剤等を含有することができる。
【0076】
充填剤としては、各種形状の有機または無機の充填剤が挙げられる。具体的には、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ;ケイソウ土;酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛;ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレー;カーボンブラック;これらの脂肪酸処理物、樹脂酸処理物、ウレタン化合物処理物、脂肪酸エステル処理物が挙げられる。
【0077】
反応遅延剤としては、具体的には、例えば、アルコール系等の化合物が挙げられる。
【0078】
老化防止剤としては、具体的には、例えば、ヒンダードフェノール系等の化合物が挙げられる。
酸化防止剤としては、具体的には、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)等が挙げられる。
【0079】
顔料としては、具体的には、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩等の無機顔料;アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、ジオキサジン顔料、アントラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、キノナフタロン顔料、アントラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、イソインドリン顔料、カーボンブラック等の有機顔料等が挙げられる。
【0080】
可塑剤としては、具体的には、例えば、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP);アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル;ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル;リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル;アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステル等が挙げられる。
【0081】
揺変性付与剤としては、具体的には、例えば、アエロジル(日本アエロジル(株)製)、ディスパロン(楠本化成(株)製)等が挙げられる。
【0082】
接着付与剤としては、具体的には、例えば、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂;アミノシラン、エポキシシラン等のシランカップリング剤等が挙げられる。
【0083】
難燃剤としては、具体的には、例えば、クロロアルキルホスフェート、ジメチル・メチルホスホネート、臭素・リン化合物、アンモニウムポリホスフェート、ネオペンチルブロマイド−ポリエーテル、臭素化ポリエーテル等が挙げられる。
帯電防止剤としては、一般的に、第四級アンモニウム塩;ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体等の親水性化合物等が挙げられる。
【0084】
本発明の組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、反応容器に上記の各必須成分と任意成分とを入れ、減圧下で混合ミキサー等のかくはん機を用いて十分に混練する方法を用いることができる。
【0085】
本発明の組成物は、柔軟性の高い上記ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル(A)と、より柔軟性に優れたポリオキシアルキレンジグリシジルエーテル(B)および/またはダイマー酸ジグリシジルエステル(C)と、凝集力の高い上記エポキシ樹脂(D)および/または上記エポキシ樹脂(E)を上述した割合で含有することにより、従来のエポキシ樹脂組成物に比べて、はるかに柔軟性が高く、接着性に優れたものとなる。更に、本発明の組成物の硬化物は、柔軟性が高く、耐衝撃性に優れるため、自動車用接着剤等として用いた場合、衝突時の衝撃を吸収できるので衝突安全性を向上し得る。
また、本発明の組成物は、上記エポキシ樹脂/ポリウレタン混合物(F)を含有する場合、凝集力が向上する結果、より接着性に優れる。
【0086】
本発明の組成物は、本発明の組成物が有する特性を活かして広範な用途に用いられる。用途としては、例えば、構造用接着剤等が挙げられ、特に、自動車用接着剤が好ましい。具体的には、ウェルドボンド用接着剤、ヘミング用接着剤が好適に挙げられる。
【実施例】
【0087】
以下、実施例を示して、本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
<エポキシ樹脂/ポリウレタン混合物の調製(合成例1〜3)>
(合成例1)
ヒドロキシ基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP−4100、旭電化工業社製、エポキシ当量188)100gとポリプロピレンジオール(エクセノール3020、旭硝子社製、数平均分子量3000)50gとを混合し、減圧下100℃で5時間脱水した。これに、IPDI(イソホロンジイソシアネート、デグッサヒュルス社製、以下同じ)をIPDIのイソシアネート基と、上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂のヒドロキシ基および上記ポリプロピレンジオールのヒドロキシ基とのモル比(NCO/OH)が1.0となる量添加し、スズ触媒下、80℃で15時間加熱かくはんし、FT−IRにより反応混合物のイソシアネート基の吸収が消失した点を反応終点とし、エポキシ樹脂/ポリウレタン混合物1(ポリウレタン含有量36.4質量%)を得た。
【0088】
(合成例2)
ポリプロピレンジオールとしてエクセノール1020(旭硝子社製、数平均分子量1000)50gを用いた以外は、合成例1と同様の方法で、エポキシ樹脂/ポリウレタン混合物2(ポリウレタン含有量40.0質量%)を得た。
【0089】
(合成例3)
ヒドロキシ基を有していないビスフェノールA型エポキシ樹脂(DER332、ダウケミカル社製、エポキシ当量172)100gとポリプロピレンジオール(エクセノール3020、旭硝子社製、数平均分子量3000)50gとを混合し、減圧下100℃で2時間脱水した。これに、IPDIをIPDIのイソシアネート基と上記ポリプロピレンジオールのヒドロキシ基とのモル比(NCO/OH)が1.0となる量添加し、スズ触媒下、80℃で5時間加熱かくはんし、FT−IRにより反応混合物のイソシアネート基の吸収が消失した点を反応終点とし、エポキシ樹脂/ポリウレタン混合物3(ポリウレタン含有量35.0質量%)を得た。
【0090】
<実施例1〜16および比較例1〜14>
下記第1表の各成分を、第1表に示す組成(質量部)で、かくはん機を用いて混合し、第1表に示される各組成物を得た。
得られた各組成物について、下記に示す方法により、第1表に示す各材料との接着性(剪断強度、剥離強度)を評価した。また、柔軟性、接着性および耐衝撃性を評価することを目的として、実施例2、6、9、10、12、13および15ならびに比較例1、2、6、8、10および14について、下記に示す方法により、ねじり剪断強度を測定した。
結果を第1表に示す。なお、第1表中、「ジグリシジルーエーテル(A)含有量(質量%)」は、全エポキシ樹脂中のジグリシジルーエーテル(A)の含有量(質量%)を意味し、「ポリオキシアルキレンジグリシジルエーテル(B)含有量(質量%)」は、全エポキシ樹脂中のポリオキシアルキレンジグリシジルエーテル(B)の含有量(質量%)を意味し、「ダイマー酸ジグリシジルエステル(C)含有量(質量%)」は、全エポキシ樹脂中のダイマー酸ジグリシジルエステル(C)の含有量(質量%)を意味する。また、第1表中、「[(D)+(E)]/[(A)+(B)+(C)+(D)+(E)]」は、第1表中のビスフェノールA型エポキシ樹脂(D)およびトリグリシジル−p−アミノフェノール(E)と、ジグリシジルエーテル(A)、ポリオキシアルキレンジグリシジルエーテル(B)、ダイマー酸ジグリシジルエステル(C)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(D)およびトリグリシジル−p−アミノフェノール(E)との質量比を意味する。また、「ポリウレタン含有量(質量%)」は、全樹脂成分中のポリウレタンの含有量(質量%)を意味する。
【0091】
以下、図1〜3を用いて、剪断強度試験、剥離強度試験、および、ねじり剪断強度試験の試験方法について説明する。
(剪断強度)
図1は、剪断強度試験に用いる試験体11の概念図である。
被着材12(100×25×1.6mm)の一方の端から10mmを脱脂したものを2枚準備した。脱脂した部分に接着部の長さが10mmとなるように接着剤(上記で得られた各組成物)13を塗布した。
次に、接着剤13の厚さが約0.15mmとなるように2枚の被着材12を圧着し、はみ出した接着剤13をかきとった後、クリップで固定した。
これを120℃で10分加熱後、更に140℃で40分加熱し、更にまた170℃で20分加熱して接着剤13を硬化させて試験体11を作成した。
試験体11を引張試験機に取り付けた後、試験体11の両端を引張速度5mm/分で図1に示す矢印方向に引張り、剪断強度(MPa)を測定した。
なお、被着材12として、合金化亜鉛溶融メッキ鋼板および鋼板を用いて、それぞれ試験を行った。
【0092】
(剥離強度)
図2は、剥離強度試験に用いる試験体21の概念図である。
被着材22(200×25×0.8mm)の一方の端から150mmを脱脂したものを2枚準備した。脱脂した部分に接着部の長さが150mmとなるように接着剤(上記で得られた各組成物)23を塗布した。
次に、接着剤23の厚さが約0.15mmとなるように2枚の被着材22を圧着し、はみ出した接着剤23をかきとった後、クリップで固定した。
これを120℃で10分加熱後、更に140℃で40分加熱し、更にまた170℃で20分加熱して接着剤23を硬化させた。
次に、被着材22の未接着部を約90度折り曲げてT型の試験体21を作成した。
試験体21を引張試験機に取り付けた後、被着材22の未接着部の両端を引張速度200mm/分で図2に示す矢印方向に引張り、剥離強度を測定した。得られた測定データにおいてはじめのピークを除いた部分の平均値を剥離強度(N/25mm)として第1表に示した。硬化が十分ではなく、簡単に手で剥がれてしまったものを「×」とした。
【0093】
なお、被着材22として、合金化亜鉛溶融メッキ鋼板および鋼板を用いて、それぞれ試験を行った。
【0094】
(ねじれ剪断強度)
図3は、ねじれ剪断強度試験の概念図である。
上記剪断強度試験と同様に試験体11を作成し、試験体11の一方の端部25mmを万力31で固定した。
次に、試験体11の他方の端部25mmをモンキーレンチ32でつかんで、一定の回転速度となるように反時計回り(図3の奥方向)に回転させて、破壊したときの角度を分度器で測定した。なお、所定の角度でも破壊しなかったものについては、その角度に「>」を付して第1表に示した。
【0095】
【表1】

【0096】
【表2】

【0097】
【表3】

【0098】
【表4】

【0099】
上記第1表に示す各成分は、下記のとおりである。
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂(D):EP−4100E、旭電化工業社製、エポキシ当量188
・トリグリシジル−p−アミノフェノール(E):MY−0510、ハンツマン・アドバンス・マテリアルズ社製、エポキシ当量101
・ジグリシジルエーテル(A)(ビスフェノールA−プロピレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル):EP−4000、旭電化工業社製、エポキシ当量317
・ポリオキシプロピレンジグリシジルエーテル(B):DY−238、大都産業社製、エポキシ当量430
・ダイマー酸ジグリシジルエステル(C):エピコート−871、ジャパンエポキシレジン社製、エポキシ当量421
・ジシアンジアミド:DICY15、ジャパンエポキシレジン社製
・DCMU(3,4−ジクロロフェニル−1,1−ジメチルユリア):保土谷化学工業社製
・アエロジル:RY−200S、日本アエロジル社製
・エポキシシラン:KBM−403、信越化学工業社製
【0100】
上記第1表に示す結果から明らかなように、比較例1〜12は剪断強度、剥離強度、ねじれ剪断強度(比較例3〜5、7、9および11〜12は未評価)のいずれも低かった。比較例13および14は、高いせん断強度を有していたが、硬化物の柔軟性が低いため、剥離強度が低く、比較例14はねじれ剪断強度も低かった。
一方、実施例1〜16は、比較例1〜12に比べて、剪断強度が高く、特に剥離強度が格段に優れていた。例えば、実施例3と比較例6の剥離強度を対比すると、驚くべきことに実施例3の剥離強度の方が10倍近く優れていた。
更に、実施例2、6、9、10、12、13および15は、比較例1、2、6、8、10および14に比べて、柔軟性が極めて高く、ねじり剪断強度が格段に優れていた。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】図1は、剪断強度試験に用いる試験体11の概念図である。
【図2】図2は、剥離強度試験に用いる試験体21の概念図である。
【図3】図3は、ねじれ剪断強度試験の概念図である。
【符号の説明】
【0102】
11、21 試験体
12、22 被着材
13、23 接着剤
31 万力
32 モンキーレンチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル(A)と、
ポリオキシアルキレンジグリシジルエーテル(B)および/またはダイマー酸ジグリシジルエステル(C)と、
ビスフェノール型エポキシ樹脂(D)および/またはグリシジルアミノ基を有する芳香族エポキシ樹脂(E)と、
エポキシ樹脂と反応しうる硬化剤とを含有し、
前記ジグリシジルエーテル(A)の含有量が全エポキシ樹脂中の20〜80質量%であり、前記ポリオキシアルキレンジグリシジルエーテル(B)および/または前記ダイマー酸ジグリシジルエステル(C)の含有量が全エポキシ樹脂中の5〜34質量%であり、前記エポキシ樹脂(D)および前記エポキシ樹脂(E)と、前記ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル(A)、前記ポリオキシアルキレンジグリシジルエーテル(B)、前記ダイマー酸ジグリシジルエステル(C)、前記エポキシ樹脂(D)および前記エポキシ樹脂(E)との質量比([(D)+(E)]/[(A)+(B)+(C)+(D)+(E)])が0.05〜0.45であるエポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
更に、エポキシ樹脂と前記エポキシ樹脂中に分散しているポリウレタンとを含有し、前記ポリウレタンが、前記エポキシ樹脂中で、ポリイソシアネート化合物と、前記ポリイソシアネート化合物と反応しうる硬化剤とを反応させて得られたポリウレタンである、エポキシ樹脂/ポリウレタン混合物(F)を含有する請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
前記ポリウレタンの含有量が、全樹脂成分中の5〜30質量%である請求項2に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
前記ポリイソシアネート化合物が、ウレタン結合を持たないポリイソシアネート化合物である請求項2または3に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
前記ウレタン結合を持たないポリイソシアネート化合物が、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートおよびノルボルナン骨格を有するジイソシアネートからなる群から選択される少なくとも1種である請求項4に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項6】
前記ポリイソシアネート化合物と反応しうる硬化剤が、ポリオール化合物である請求項2〜5のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項7】
前記ポリオール化合物が、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオールからなる群から選択される少なくとも1種である請求項6に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項8】
自動車用接着剤組成物である請求項1〜7のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−284467(P2007−284467A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−109685(P2006−109685)
【出願日】平成18年4月12日(2006.4.12)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】