説明

エラスターゼ阻害剤と血液凝固系および/または線溶系酵素阻害剤との組み合わせからなる医薬

【構成】エラスターゼ阻害剤と血液凝固系および/または線溶系酵素阻害剤との組み合わせからなる医薬に関する。例えば、一般式(IA)で示される化合物またはそれらの非毒性塩で示されるエラスターゼ阻害剤と一般式(IIB)、一般式(IIC)、一般式(IID)、一般式(IIE)で示される化合物、アプロチニン誘導体、アンチトロンビンIII誘導体、ヘパリン誘導体、ダナパロイドナトリウム、ヒルジン誘導体またはトロンボモジュリン誘導体またはそれらの非毒性塩で示される血液凝固系および/または線溶系酵素阻害剤との組み合わせからなる医薬に関する。
【化1】




【効果】これらの組み合わからなる医薬は、敗血症に伴う急性肺傷害や汎発性血管内血液凝固症だけでなく、肝・腎等の多臓器障害の予防および/または治療および患者の予後の改善に有用である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エラスターゼ阻害剤と血液凝固系および/または線溶系酵素阻害剤との組み合わせからなる医薬に関する。
【0002】
さらに詳しくは、一般式(IA)
【0003】
【化23】

【0004】
(式中、すべての記号は後記と同じ意味を表わす。)で示される化合物またはそれらの非毒性塩で示されるエラスターゼ阻害剤と一般式(IIB)
【0005】
【化24】

【0006】
(式中、すべての記号は後記と同じ意味を表わす。)で示される化合物、一般式(IIC)
【0007】
【化25】

【0008】
(式中、すべての記号は後記と同じ意味を表わす。)で示される化合物、一般式(IID)
【0009】
【化26】

【0010】
(式中、すべての記号は後記と同じ意味を表わす。)で示される化合物、一般式(IIE)
【0011】
【化27】

【0012】
(式中、すべての記号は後記と同じ意味を表わす。)で示される化合物、アプロチニン誘導体、アンチトロンビンIII誘導体、ヘパリン誘導体、ダナパロイドナトリウム、ヒルジン誘導体またはトロンボモジュリン誘導体またはそれらの非毒性塩で示される血液凝固系および/または線溶系酵素阻害剤との組み合わせからなる医薬に関する。
【0013】
【発明の背景】
敗血症は、グラム陰性菌の感染によって発症する全身性疾患であり、生命を脅かす疾患であるが、いまだ有用でかつ効果的な治療法が確立されていない。敗血症では、血圧降下などの初発症状に加え、肺、肝、腎臓などの各種臓器障害や汎発性血管内血液凝固症(以下、DICと略記する)などの諸臓器に続発する多臓器障害が、患者の予後を決定する重要因子となっている。これらの各種臓器を障害へと導く因子には、マクロファージや好中球などの免疫細胞由来の好中球エラスターゼ・各種サイトカインをはじめ、補体系酵素やトロンビン、プラスミンなどの凝固系・線溶系酵素を含む血液由来因子が考えられている。これらの因子が複雑に関与することにより、敗血症患者では、急性肺傷害による呼吸機能の低下に加え、各種臓器では灌流圧低下や血栓による虚血性の臓器障害や好中球浸潤による臓器組織破壊や凝固因子の枯渇による出血が同時に進行し、最終的に患者を死に至らしめるものと考えられる。従って、多臓器障害の発症や進展を抑制することが敗血症患者の予後を改善する上できわめて重要である。
【0014】
好中球エラスターゼは、エラスチン、コラーゲン、プロテオグリカンなどの生体基質構成成分のみならず、補体系、凝固・線溶系の各種酵素を分解することが可能であり、敗血症で頻発する急性肺傷害をもたらすだけでなく、好中球による各種臓器の傷害に重要な役割を演じている可能性が考えられる。一方、トロンビン、プラスミン、C1−エステラーゼは、DICに伴う血栓形成や出血を引き起こすだけでなく、補体の活性化、各種臓器における微小血栓の形成を介して肺・肝・腎などの各種臓器における虚血性障害に重要な役割を果たしている可能性が考えられる。従って、エラスターゼに加え、トロンビン、プラスミン、C1−エステラーゼ等の酵素を同時に抑制することができれば、急性肺傷害やDICだけでなく、肝・腎などの各種臓器障害を相乗的に抑制することが可能であり、患者の予後を改善する上で有用であると考えられる。
【0015】
従って、本発明は、エラスターゼ阻害剤と血液凝固および/または線溶系酵素阻害剤とを組み合わせることで、敗血症に伴う急性肺傷害やDICだけでなく、肝・腎等の多臓器障害の予防および/または治療、患者の予後の改善に優れた効果をもたすことが期待される。
【0016】
【従来技術】
本発明の活性成分の1つである一般式(IA)で示される化合物がエラスターゼ阻害剤として有用であることは既に開示されている。また、これらの化合物が、ヒト好中球エラスターゼを阻害することにより、肺気腫、アテローム性動脈硬化およびリウマチ性関節炎等の予防および/治療剤として用いられる可能性が示唆されている(特許文献1参照)。
【0017】
また、一般式(IA)で示される化合物と活性プロテインC(以下、APCと略記する。)の薬学組成物が、炎症疾患または呼吸器疾患の治療剤として有用であることが開示されている(特許文献2参照)。しかしながら、その開示は一般的な記載のみであり、効果を示す具体的データの記載は全くない。
【0018】
さらに、一般式(IA)で示される化合物と分泌ホスホリパーゼA(以下、sPLAと略記する。)の薬学組成物が、炎症疾患または呼吸器疾患の治療剤として有用であることが開示されている(特許文献3参照)。しかしながら、その開示は一般的な記載のみであり、効果を示す具体的データの記載は全くない。
【0019】
【特許文献1】欧州特許第347168号明細書
【特許文献2】国際公開第01/49315号パンフレット
【特許文献3】国際公開第01/49323号パンフレット
【発明が解決しようとする課題】
敗血症に伴う急性肺傷害やDICだけでなく、肝・腎等の多臓器障害の予防および/または治療、患者の予後の改善に優れた効果をもたす薬剤を見出すことは、非常に興味ある課題であった。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の問題点に鑑み鋭意検討した結果、エラスターゼ阻害剤と血液凝固系および/または線溶系酵素阻害剤とを組み合わせることにより新たな有用性(敗血症に伴う急性肺傷害やDICだけでなく、肝・腎等の多臓器障害の予防および/または治療、患者の予後の改善に優れた有用性)を示す医薬を見出し本発明を完成した。これらの阻害剤の組み合わせ投与することは、これまで全く試みられたことがなく、新規な組み合わせである。
【0021】
【発明の開示】
本発明は、
i)エラスターゼ阻害剤と血液凝固系および/または線溶系酵素阻害剤との組み合わせからなる医薬、
ii)前記記載の組み合わせからなる多臓器障害の予防および/または治療剤、
iii)前記記載の組み合わせを有効成分として含有する医薬組成物、
iv)前記記載の組み合わせを別々に投与することを特徴とする薬剤、
v)前記記載のエラスターゼ阻害剤が、一般式(IA)
【0022】
【化28】

【0023】
[式中、Yはスルホニル(−SO−)基またはカルボニル
【0024】
【化29】

【0025】
基を表わし、
(1)R1AおよびR2Aは、同じかまたは異なっていてもよく、(1)水素原子、(2)C1〜16アルキル基または(3)式
【0026】
【化30】

【0027】
(式中、Xは単結合、スルホニル(−SO−)基、C1〜4アルキレン基または−COOH基またはベンジルオキシカルボニル
【0028】
【化31】

【0029】
基で置換されていてもよいC1〜4アルキレン基を表わし、
【0030】
【化32】

【0031】
は炭素環または複素環を表わし、
nAは1〜5の整数を表わし、
4Aは同じかまたは異なっていてもよく、
(a)水素原子またはC1〜8アルキル基、
(b)C1〜14アルコキシ基、
(c)C1〜6アルキルチオ基、
(d)水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基またはトリハロメチル基、
(e)式−NR41A42A(式中、R41AおよびR42Aは同じかまたは異なっていてもよく、水素原子またはC1〜4アルキル基を表わす。)で示される基、
(f)テトラゾール基、
(g)スルホン酸(−SOH)基またはヒドロキシメチル(−CHOH)基、
(h)式−SONR41A42A(式中、R41AおよびR42Aは前記と同じ意味を表わす。)で示される基、
(i)式−Z41A−COOR43A(式中、Z41Aは単結合、C1〜4アルキレン基またはC2〜4アルケニレン基を表わし、R43Aは水素原子、C1〜4アルキル基またはベンジル基を表わす。)で示される基、
(j)式−CONR41A42A(式中、R41AおよびR42Aは前記と同じ意味を表わす。)で示される基、
(k)式−COO−Z42A−COOR43A(式中、Z42AはC1〜4アルキレン基を表わし、R43Aは水素原子、C1〜4アルキル基またはベンジル基を表わす。)で示される基、
(l)式−COO−Z42A−CONR41A42A(式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。)で示される基、
(m)式−OCO−R45A(式中、R45AはC1〜8アルキル基またはp−グアニジノフェニル基を表わす。)で示される基、
(n)式−CO−R46A(式中、R46AはC1〜4アルキル基を表わす。)で示される基、
(o)式−O−Z43A−COOR450A(式中、Z43AはC1〜6アルキレン基を表わし、R450Aは水素原子、C1〜8アルキル基またはp−グアニジノフェニル基を表わす。)で示される基、
(p)式
【0032】
【化33】

【0033】
(式中、
【0034】
【化34】

【0035】
はアミノ酸残基を表わし、
47Aは単結合またはC1〜4アルキル基を表わし、
48Aは水素原子またはC1〜4アルキル基を表わし、
49Aは水酸基、C1〜4アルコキシ基、アミノ基、1個ないしは2個のC1〜4アルキル基で置換されたアミノ基、カルバモイルメトキシ基またはカルバモイルの窒素原子に1個ないしは2個のC1〜4アルキル基が置換されているカルバモイルメトキシ基、または式中、
【0036】
【化35】

【0037】
は3〜6個の炭素原子を含む複素環を表わし、
47AおよびR49Aは前記と同じ意味を表わす。)で示される基。)を表わすか、
(2)R1AおよびR2Aはそれらが結合している窒素原子と一緒になって、−COOHで置換されている少なくとも1個の窒素原子を含む複素環かまたは無置換の少なくとも1個の窒素原子を含む複素環を表わし、
3Aは、(1)水素原子、(2)ヒドロキシ基、(3)C1〜6アルキル基、(4)ハロゲン原子、(5)C1〜4アルコキシ基または(6)C2〜5アシルオキシ基を表わし、mAは1から4の整数を表わす。]
で示される化合物またはそれらの非毒性塩である前記記載の医薬、
vi)前記記載の血液凝固系および/または線溶系酵素阻害剤が、一般式(IIB)
【0038】
【化36】

【0039】
[式中、Xは水素原子、ハロゲン原子、ニトロ、アルキル、アルコキシ、カルボキシ、ヒドロキシ、カルボエトキシ、6−グアニジノカプロイルオキシ基を表わす。]
で示される6−グアニジノカプロン酸フェニルエステル誘導体またはそれらの非毒性塩である前記記載の医薬、
vii)前記記載の血液凝固系および/または線溶系酵素阻害剤が、一般式(IIC)
【0040】
【化37】

【0041】
[式中、Z
(1)
【0042】
【化38】

(2)
【0043】
【化39】

(3)
【0044】
【化40】

(4)
【0045】
【化41】

【0046】
を表わし、
aCは0、1、2、3を表わし、
bCは0、1、2を表わし、
3CはC1〜4直鎖または分枝鎖アルキル基、C3〜6シクロアルキル基を表わし、
4Cは水素原子、C1〜4直鎖または分枝鎖アルキル基を表わし、
1CまたはR2Cは同一または異なり、
(1)水素原子、
(2)C1〜4直鎖または分枝鎖アルキル基、
(3)−O−R5C
(4)−S−R5C
(5)−COO−R5C
(6)−COR6C
(7)−O−COR7C
(8)−NHCOR7C
(9)
【0047】
【化42】

(10)
【0048】
【化43】

(11)
【0049】
【化44】

(12)NO
(13)CN、
(14)ハロゲン、
(15)CF
(16)メチレンジオキシ、
(17)
【0050】
【化45】

【0051】
を表わし、
cCは0、1、2を表わし、
5Cは水素原子、C1〜4直鎖または分枝鎖アルキル基、ベンジル基を表わし、
6Cは水素原子、C1〜4直鎖または分枝鎖アルキル基を表わし、
7CはC1〜4直鎖または分枝鎖アルキル基を表わし、
8CまたはR9Cは同一または異なり、水素原子、C1〜4直鎖または分枝鎖アルキル基またはアミノ基保護基を表わし、
10Cは水素原子、ジメチル、CFを表わす。]
で示されるアミジン誘導体およびそれらの非毒性塩である前記記載の医薬、
viii)前記記載の血液凝固系および/または線溶系酵素阻害剤が、一般式(IID)
【0052】
【化46】

【0053】
[式中、R1Dは水素原子または低級アルキル基を表わし、
2Dは水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシアルキル基またはアルコキシカルボニルアルキル基を表わし、
3Dは水素原子、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、、カルボキシアルコキシ基またはアルコキシカルボニルアルコキシ基を表わし、
4Dは、水素原子、水酸基、低級アルキル基または低級アルコキシ基を表わし、
nDは0〜4の整数を表わし、
は1〜2個のヒドロキシアルキル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、カルボキシアルキルまたはアルコキシカルボニルアルキル基が置換していてもよいC1〜4アルキレン基を表わし、
は単結合、酸素原子、硫黄原子またはカルボニル基を表わし、
は置換基を有していてもよい飽和または不飽和の5〜6員の複素環式基または環状炭化水素基、置換基を有していてもよいアミノ基または置換基を有していてもよいアミノアルキル基を表わし、
【0054】
【化47】

【0055】
で示される基はインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ナフチル、テトラヒドロナフチルおよびインダニルより選ばれる基を表わす。]
で示される芳香族アミジン誘導体およびそれらの非毒性塩である前記記載の医薬、
ix)前記記載の血液凝固系および/または線溶系酵素阻害剤が、一般式(IIE)
【0056】
【化48】

【0057】
[式中、Rは式
【0058】
【化49】

【0059】
を表わし、
1Eは水素原子あるいはC1〜C5アルキル基を表わし、
Arは3位がメチル基またはエチル基で置換された1,2,3,4−テトラヒドロ−8−キノリル基を表わす。]
で示されるN−アリールスルホニル−L−アルギニンアミド類またはそれらの非毒性塩である前記記載の医薬。
x)前記記載の血液凝固系および/または線溶系酵素阻害剤が、
(1)アプロチニン誘導体、
(2)アンチトロンビンIII誘導体、
(3)ヘパリン誘導体、
(4)ダナパロイドナトリウム、
(5)ヒルジン誘導体、または
(6)トロンボモジュリン誘導体
またはそれらの非毒性塩である前記記載の医薬に関する。
【0060】
本発明の活性成分の1つであるエラスターゼ阻害剤としては、特に限定されず、組み合わせることにより、新たな有用性(敗血症に伴う急性肺傷害やDICだけでなく、肝・腎等の多臓器障害の予防および/または治療、患者の予後の改善に優れた有用性)を示すようなものであればよい。好ましくは、一般式(IA)で示される化合物またはそれらの非毒性塩である。
【0061】
一般式(IA)で示される化合物のうち、好ましい化合物としては、欧州特許第347168号明細書において、具体的に特定された化合物(実施例に記載の化合物)等が挙げられる。
【0062】
好ましくは、以下の(1)〜(24)に示される化合物またはそれらの非毒性塩が挙げられる。
(1)N−[o−(4−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノベンゾイル]グリシン、
(2)N−[m−(3−メチル−4−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノベンゾイル]グリシン、
(3)N−[o−(3−メチル−4−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノベンゾイル]グリシン、
(4)N−[5−クロロ−2−(3−メチル−4−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノベンゾイル]グリシン、
(5)N−[2−(3−メチル−4−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノ−5−ペンチルオキシベンゾイル]グリシン、
(6)N−[5−デシルオキシ−2−(3−メチル−4−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノベンゾイル]グリシン、
(7)N−[2−(3−メチル−4−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノ−5−メチルベンゾイル]グリシン、
(8)N−[2−(p−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノ−5−クロロベンゾイル]グリシン、
(9)N−[5−メチルチオ−2−(p−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノベンゾイル]グリシン、
(10)N−[2−(3−メチル−4−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノ−4−トリフルオロメチルベンゾイル]グリシン、
(11)N−[2−(p−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノ−4−トリフルオロメチルベンゾイル]グリシン、
(12)N−[5−デシルオキシ−2−(p−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノベンゾイル]グリシン、
(13)N−[2−(3−メチル−4−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノ−5−メチルチオベンゾイル]グリシン、
(14)N−[2−(p−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノ−5−プロピルチオベンゾイル]グリシン、
(15)N−[o−(p−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノベンゾイル]−2R−フェニルグリシン、
(16)N−[o−(3−メチル−4−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノベンゾイル]−2R−フェニルグリシン、
(17)N−[5−メチル−2−(p−ピバロイルオキシベンゼンスルホニルアミノ)ベンゾイル]グリシン、
(18)N−[o−(p−ピバロイルオキシベンゼンスルホニルアミノ)ベンゾイルグリシン]メチルエステル、
(19)N−[5−ペンチルオキシ−2−(p−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノベンゾイル]グリシン、
(20)N−[o−(3−メチル−4−ピバロイルオキシベンゼンスルホニルアミノ)ベンゾイル]−dl−アラニン、
(21)N−[o−(3−メチル−4−ピバロイルオキシベンゼンスルホニルアミノ)ベンゾイル]−β−アラニン、
(22)N−[o−(3−メチル−4−ピバロイルオキシベンゼンスルホニルアミノ)ベンゾイル]−l−アラニン、
(23)N−[5−クロロ−2−(3−メチル−4−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノベンゾイル]−l−アラニン、または
(24)N−[5−クロロ−2−(3−メチル−4−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノベンゾイル]−β−アラニン。
【0063】
特に好ましくは、N−[o−(4−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノベンゾイル]グリシンが挙げられる。
【0064】
本発明の活性成分の1つである血液凝固系および/または線溶系酵素阻害剤としては、特に限定されず、組み合わせることにより、新たな有用性(敗血症に伴う急性肺傷害やDICだけでなく、肝・腎等の多臓器障害の予防および/または治療、患者の予後の改善に優れた有用性)を示すようなものであればよい。好ましくは、一般式(IIB)で示される化合物、一般式(IIC)で示される化合物、一般式(IID)で示される化合物、一般式(IIE)で示される化合物、アプロチニン誘導体、アンチトロンビンIII誘導体、ヘパリン誘導体、ダナパロイドナトリウム、ヒルジン誘導体またはトロンボモジュリン誘導体またはそれらの非毒性塩である。
【0065】
一般式(IIB)で示される化合物のうち、好ましい化合物としては、英国特許第1324714号明細書において、具体的に特定された化合物(実施例に記載の化合物)等が挙げられる。
【0066】
好ましくは、以下の(1)〜(9)に示される化合物またはそれらの非毒性塩が挙げられる。
(1)6−グアニジノカプロン酸 フェニルエステル、
(2)6−グアニジノカプロン酸 4−クロロフェニルエステル、
(3)6−グアニジノカプロン酸 4−ニトロフェニルエステル、
(4)6−グアニジノカプロン酸 4−メチルフェニルエステル、
(5)6−グアニジノカプロン酸 4−メトキシフェニルエステル、
(6)6−グアニジノカプロン酸 4−カルボキシフェニルエステル、
(7)6−グアニジノカプロン酸 4−ヒドロキシフェニルエステル、
(8)6−グアニジノカプロン酸 4−エトキシカルボニルフェニルエステル、または
(9)6−グアニジノカプロン酸 4−(6−グアニジノカプロイルオキシ)フェニルエステル。
【0067】
特に好ましくは、6−グアニジノカプロン酸 フェニルエステルが挙げられる。
【0068】
一般式(IIC)で示される化合物のうち、好ましい化合物としては、欧州特許第48433号明細書において、具体的に特定された化合物(実施例に記載の化合物)等が挙げられる。
【0069】
好ましくは、以下の(1)〜(38)に示される化合物またはそれらの非毒性塩が挙げられる。
(1)6−アミジノ−2−ナフチル 4−グアニジノベンゾエート、
(2)6−アミジノ−2−ナフチルベンゾエート、
(3)6−アミジノ−2−ナフチル 2−メチルベンゾエート、
(4)6−アミジノ−2−ナフチル 4−メチルベンゾエート、
(5)6−アミジノ−2−ナフチル 4−メトキシベンゾエート、
(6)6−アミジノ−2−ナフチル 4−ブチルオキシベンゾエート、
(7)6−アミジノ−2−ナフチル 3,4−メチレンジオキシベンゾエート、
(8)6−アミジノ−2−ナフチル 4−ヒドロキシベンゾエート、
(9)6−アミジノ−2−ナフチル 2−アセトキシベンゾエート、
(10)6−アミジノ−2−ナフチル 4−アセトキシベンゾエート、
(11)6−アミジノ−2−ナフチル 4−カルボメトキシベンゾエート、
(12)6−アミジノ−2−ナフチル 4−フルオロベンゾエート、
(13)6−アミジノ−2−ナフチル 4−クロロベンゾエート、
(14)6−アミジノ−2−ナフチル 4−ブロモベンゾエート、
(15)6−アミジノ−2−ナフチル 4−ニトロベンゾエート、
(16)6−アミジノ−2−ナフチル 4−シアノベンゾエート、
(17)6−アミジノ−2−ナフチル 4−アミノベンゾエート、
(18)6−アミジノ−2−ナフチル 4−ベンジルオキシカルボニルアミノメチルベンゾエート、
(19)6−アミジノ−2−ナフチル 4−アミノメチルベンゾエート、
(20)6−アミジノ−2−ナフチル 4−アセチルアミノベンゾエート、
(21)6−アミジノ−2−ナフチル 3−グアニジノベンゾエート、
(22)6−アミジノ−2−ナフチル 4−(Nα−メチル)グアニジノベンゾエート、
(23)6−アミジノ−2−ナフチル 4−メチルチオベンゾエート、
(24)6−アミジノ−2−ナフチル 4−ホルミルベンゾエート、
(25)6−アミジノ−2−ナフチル 4−アセチルベンゾエート、
(26)6−アミジノ−2−ナフチル 3−トリフルオロメチルベンゾエート、
(27)6−アミジノ−2−ナフチル 4−クロロフェニルアセテート、
(28)6−アミジノ−2−ナフチル 4−アセチルオキシフェニルプロピオネート、
(29)6−アミジノ−2−ナフチル 4−アミノフェニルプロピオネート、
(30)6−アミジノ−2−ナフチル 4−グアニジノフェニルプロピオネート、
(31)6−アミジノ−2−ナフチル 4−フェニルブチレート、
(32)6−アミジノ−2−ナフチルシンナメート、
(33)6−アミジノ−2−ナフチル 4−アセチルオキシシンナメート、
(34)6−アミジノ−2−ナフチル 4−アミノシンナメート、
(35)6−アミジノ−2−ナフチル 4−グアニジノシンナメート、
(36)6−アミジノ−2−ナフチル 3−トリフルオロメチルシンナメート、
(37)6−アミジノ−2−ナフチル 2−メトキシフェノキシアセテート、または
(38)6−アミジノ−2−ナフチル 2,4−ジクロロフェノキシアセテートである。
【0070】
特に好ましくは、6−アミジノ−2−ナフチル 4−グアニジノベンゾエートが挙げられる。
【0071】
一般式(IID)で示される化合物のうち、好ましい化合物としては、欧州特許第540051号明細書において、具体的に特定された化合物(実施例に記載の化合物)等が挙げられる。
【0072】
好ましくは、以下の(1)〜(25)に示される化合物またはそれらの非毒性塩が挙げられる。
(1)(2S)−2−[4−[((3S)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸、
(2)2−[4−[(1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸、
(3)(+)−2−[4−[((3S)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸、
(4)(2R)−2−[4−[((3R)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸、
(5)2−[4−[(1−アセトイミドイル−2−ピロリジニル)メトキシ]フェニル]−3−(5−アミジノベンゾ[b]チエン−2−イル)プロピオン酸、
(6)(+)−2−[4−[((2S)−1−アセトイミドイル−2−ピロリジニル)メトキシ]フェニル]−3−(5−アミジノベンゾ[b]チエン−2−イル)プロピオン酸、
(7)2−[4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジニル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸、
(8)(+)−2−[4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジニル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸、
(9)3−(5−アミジノ−2−ベンゾフラニル)−2−[4−[((3S)−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]プロピオン酸、
(10)2−(5−アミジノ−2−ベンゾフラニル)−3−[4−[((3S)−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]プロピオン酸、
(11)3−(5−アミジノベンゾ[b]チエン−2−イル)−2−[4−[((3S)−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]プロピオン酸、
(12)(+)−3−(6−アミジノ−2−インドリル)−2−[4−[((3S)−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]プロピオン酸、
(13)4−(5−アミジノベンゾ[b]チエン−2−イル)−3−[4−[((3S)−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]酪酸、
(14)3−(5−アミジノ−2−インドリル)−2−[4−[((3S)−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]プロピオン酸、
(15)3−(6−アミジノ−2−インドリル)−2−[4−[((3S)−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]プロピオン酸、
(16)3−(6−アミジノ−1−エチル−2−インドリル)−2−[4−[((3S)−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]プロピオン酸、
(17)2−[4−[((3S)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(5−アミジノベンゾ[b]チエン−2−イル)プロピオン酸、
(18)2−[4−[((3S)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(5−アミジノ−2−ベンゾチアゾリル)プロピオン酸、
(19)3−(5−アミジノベンゾ[b]チエン−2−イル)−2−[4−[((3S)−1−n−ヘキサンイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]プロピオン酸、
(20)3−(5−アミジノベンゾ[b]チエン−2−イル)−2−[4−[((3S)−1−シクロプロパンカルボキシイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]プロピオン酸、
(21)2−[4−[((2S)−1−アセトイミドイル−2−ピロリジニル)メトキシ]フェニル]−3−(5−アミジノベンゾ[b]チエン−2−イル)プロピオン酸、
(22)2−[4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジニル)オキシ]フェニル]−3−(6−アミジノ−1−エチル−2−インドリル)プロピオン酸、
(23)3−[4−[((3S)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−4−(5−アミジノベンゾ[b]チエン−2−イル)酪酸、
(24)2−[4−[((3S)−1−アセトイミドイル−3−ピペリジニル)オキシ]フェニル]−3−(6−アミジノ−1−エチル−2−インドリル)プロピオン酸、または
(25)3−[4−[((3S)−1−アセトイミドイル−3−ピペリジニル)オキシ]フェニル]−3−(5−アミジノベンゾ[b]チエン−2−イル)プロピオン酸。
【0073】
特に好ましくは、(2S)−2−[4−[((3S)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸が挙げられる。
【0074】
一般式(IIE)で示される化合物のうち、好ましい化合物としては、特開昭55−33499号明細書において、具体的に特定された化合物(実施例に記載の化合物)等が挙げられる。
【0075】
好ましくは、以下の(1)〜(6)に示される化合物またはそれらの非毒性塩が挙げられる。
(1)1−[N−(1,2,3,4−テトラヒドロ−8−キノリンスルホニル)−L−アルギニル]−4−メチル−2−ピペリジンカルボン酸
(2)1−[N−(1,2,3,4−テトラヒドロ−8−キノリンスルホニル)−L−アルギニル]−4−エチル−2−ピペリジンカルボン酸
(3)1−[N−(3−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−8−キノリンスルホニル)−L−アルギニル]−4−メチル−2−ピペリジンカルボン酸
(4)1−[N−(3−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−8−キノリンスルホニル)−L−アルギニル]−4−エチル−2−ピペリジンカルボン酸
(5)1−[N−(3−エチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−8−キノリンスルホニル)−L−アルギニル]−4−メチル−2−ピペリジンカルボン酸
(6)1−[N−(3−エチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−8−キノリンスルホニル)−L−アルギニル]−4−エチル−2−ピペリジンカルボン酸。
【0076】
より好ましくは、1−[N−(3−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−8−キノリンスルホニル)−L−アルギニル]−4−メチル−2−ピペリジンカルボン酸が挙げられる。
【0077】
最も好ましい化合物としては、上記1−[N−(3−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−8−キノリンスルホニル)−L−アルギニル]−4−メチル−2−ピペリジンカルボン酸の異性体であり水和物である式(IIE−1)
【0078】
【化50】

【0079】
で示される(2R,4R)−1−[N−(3−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−8−キノリンスルホニル)−L−アルギニル]−4−メチル−2−ピペリジンカルボン酸・一水和物が挙げられる。
【0080】
本発明のアプロチニン誘導体、アンチトロンビンIII誘導体、ヘパリン誘導体、ヒルジン誘導体またはトロンボモジュリン誘導体とは、哺乳類から精製した天然由来の蛋白質、遺伝子組換えDNA法により、哺乳類から精製した天然型の蛋白をコードするDNAおよび宿主細胞を用いて精製された遺伝子組換え蛋白質等を含有する。また、哺乳類から精製した天然型の蛋白をコードするDNAのフラグメントまたはそれが一部変換(置換、欠損、付加)されたものを用いて、遺伝子組換えDNA法によって得られた変異蛋白質を含有する。好ましくは、アプロチニン液、乾燥濃縮ヒトアンチトロンビンIII、ダルテパリンナトリウム、レピルジン、MR−33、ヒト遺伝子組換えトロンボモジュリン、CX−397等が挙げられる。
【0081】
アプロチニン液とは、牛の肺または耳下腺から抽出して得たアプロチニンを含む溶液である。
【0082】
乾燥濃縮ヒトアンチトロンビンIIIとは、ヒト血漿より精製されたもので、分子量は、約64000のα2グロブリンに属する糖蛋白である。
【0083】
ダルテパリンナトリウムとは、ブタ小腸粘膜由来のヘパリンを亜硝酸分解して得た解重合ヘパリンのナトリウム塩で平均相対分子量は約5000であり、国際公開第80/01383号明細書に記載されている。
【0084】
レピルジンとは、遺伝子組換えDNAを用いて、酵母菌を宿主として作られたヒルジンで、アミノ酸65個のペプチドからなり、欧州特許第324712号明細書に記載されている。
【0085】
MR−33とは、ヒトの尿中から抽出精製した天然型トロンボモジュリンであり、欧州特許第376251号明細書に記載されている。
【0086】
ヒト遺伝子組換えトロンボモジュリンとは、遺伝子組換えDNAを用いて、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を宿主として作られたトロンボモジュリンであり、国際公開第88/05053号明細書に記載されている。
【0087】
CX−397とは、薬用ヒル由来の遺伝子組換えヒルジン誘導体で、アミノ酸66個のペプチドからなり、国際公開第92/08736号明細書に記載されている。
【0088】
本発明のダナパロイドナトリウムとは、ブタの小腸粘膜から抽出した平均分子量6400の硫化グルコサミノグリカン混合物であり、欧州特許第66908号明細書に記載されている。
【0089】
本発明の用いられるエラスターゼ阻害剤や血液凝固系および/または線溶系酵素阻害剤には、メカニズムに基づいて、現在までに見出されているものだけでなく今後見出されるものをも含まれる。
【0090】
また、本発明の用いられるエラスターゼ阻害剤や血液凝固系および/または線溶系酵素阻害剤は、プロドラッグの形態となっているものをも含む。
【0091】
本発明の好ましい組み合わせとしては、一般式(IA)で示される化合物と一般式(IIB)で示される化合物、一般式(IIC)で示される化合物、一般式(IIE)で示される化合物またはアプロチニン誘導体との組み合わせである。
【0092】
より好ましい組み合わせは、N−[o−(4−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノベンゾイル]グリシンと6−グアニジノカプロン酸 フェニルエステル、6−アミジノ−2−ナフチル 4−グアニジノベンゾエート、(2R,4R)−1−[N−(3−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−8−キノリンスルホニル)−L−アルギニル]−4−メチル−2−ピペリジンカルボン酸・一水和物またはアプロチニン液である。
【0093】
本発明においては、特に指示しない限り異性体はこれをすべて包含する。例えば、アルキル基、アルコキシ基およびアルキレン基には直鎖のものおよび分枝鎖のものが含まれる。さらに、二重結合、環、縮合環における異性体(E、Z、シス、トランス体)、不斉炭素の存在等による異性体(R、S体、α、β体、エナンチオマー、ジアステレオマー)、旋光性を有する光学活性体(D、L、d、l体)、クロマトグラフ分離による極性体(高極性体、低極性体)、平衡化合物、これらの任意の割合の混合物、ラセミ混合物は、すべて本発明に含まれる。
[塩]
本発明においての非毒性塩とは、例えば、一般的な塩、酸付加塩等が挙げられる。
【0094】
本発明の化合物は、公知の方法で相当する塩に変換される。塩は毒性のない、水溶性のものが好ましい。適当な塩としては、アルカリ金属(カリウム、ナトリウム等)の塩、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)の塩、アンモニウム塩、薬学的に許容される有機アミン(テトラメチルアンモニウム、トリエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ピペリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミン、リジン、アルギニン、N−メチル−D−グルカミン等)の塩が挙げられる。
【0095】
本発明の化合物は、公知の方法で相当する酸付加塩に変換される。酸付加塩は毒性のない、水溶性のものが好ましい。適当な酸付加塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩のような無機酸塩、または酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、グルクロン酸塩、グルコン酸塩のような有機酸塩が挙げられる。
【0096】
また、本発明の化合物またはその塩は、公知の方法により、水和物に変換することもできる。
【0097】
一般式(IA)で示される化合物は、欧州特許第347168号明細書に記載された方法によって、製造することができる。
【0098】
一般式(IIB)で示される化合物は、英国特許第1324714号明細書に記載された方法によって、製造することができる。
【0099】
一般式(IIC)で示される化合物は、欧州特許第48433号明細書に記載された方法によって、製造することができる。
【0100】
一般式(IID)で示される化合物は、欧州特許第540051号明細書に記載された方法によって、製造することができる。
【0101】
一般式(IIE)で示される化合物は、特開昭55−33499号明細書に記載された方法によって、製造することができる。
【0102】
本発明の組み合わせ医薬の毒性は非常に低いものであり、医薬として使用するために十分安全であると判断できる。
【0103】
本発明においては、エラスターゼ阻害剤と血液凝固系および/または線溶系酵素阻害剤とを、1つの製剤に配合した形で、投与してもよく、別々の製剤にして投与、すなわち併用投与の形態をとってもよい。この併用投与は、同時投与でも、時間差による投与も包含する。また、時間差による投与は、エラスターゼ阻害剤を先に投与して、血液凝固系および/または線溶系酵素阻害剤を後に投与してもよいし、血液凝固系および/または線溶系酵素阻害剤を先に投与し、エラスターゼ阻害剤を後に投与してもかまわない。好ましくは、別々の製剤にして投与、すなわち併用投与の形態である。
【0104】
本発明を実施するための製剤としては、エラスターゼ阻害剤と血液凝固系および/または線溶系酵素阻害剤とを、1つの製剤に配合した製剤でもよく、それぞれの成分を別々に製剤化した製剤でもよい。これらの製剤化は、公知の方法によって行なうことができる。好ましくは、それぞれの成分を別々に製剤化した製剤である。
【0105】
本発明の目的で用いるには、通常、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与される。
【0106】
本発明の目的で化合物を投与する際には、経口投与のための内服用固形剤、内服用液剤および、非経口投与のための注射剤、外用剤、坐剤等として用いられる。
【0107】
経口投与のための内服用固形剤には、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等が含まれる。カプセル剤には、ハードカプセルおよびソフトカプセルが含まれる。
【0108】
このような内服用固形剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質はそのままか、または賦形剤(ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、デンプン等)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム等)、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸等)等と混合され、常法に従って製剤化して用いられる。また、必要によりコーティング剤(白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。さらにゼラチンのような吸収されうる物質のカプセルも包含される。
【0109】
経口投与のための内服用液剤は、薬剤的に許容される水剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含む。このような液剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質が、一般的に用いられる希釈剤(精製水、エタノールまたはそれらの混液等)に溶解、懸濁または乳化される。さらにこの液剤は、湿潤剤、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、保存剤、緩衝剤等を含有していてもよい。
【0110】
非経口投与のための注射剤としては、溶液、懸濁液、乳濁液および用時溶剤に溶解または懸濁して用いる固形の注射剤を包含する。注射剤は、ひとつまたはそれ以上の活性物質を溶剤に溶解、懸濁または乳化させて用いられる。溶剤として、例えば注射用蒸留水、生理食塩水、植物油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノールのようなアルコール類等およびそれらの組み合わせが用いられる。さらにこの注射剤は、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸、ポリソルベート80(登録商標)等)、懸濁化剤、乳化剤、無痛化剤、緩衝剤、保存剤等を含んでいてもよい。これらは最終工程において滅菌するか無菌操作法によって調製される。また無菌の固形剤、例えば凍結乾燥品を製造し、その使用前に無菌化または無菌の注射用蒸留水または他の溶剤に溶解して使用することもできる。
【0111】
非経口投与のためのその他の製剤としては、ひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、常法により処方される外用液剤、軟膏剤、塗布剤、吸入剤、スプレー剤、坐剤および膣内投与のためのペッサリー等が含まれる。
【0112】
スプレー剤は、一般的に用いられる希釈剤以外に亜硫酸水素ナトリウムのような安定剤と等張性を与えるような緩衝剤、例えば塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウムあるいはクエン酸のような等張剤を含有していてもよい。スプレー剤の製造方法は、例えば米国特許第2868691号および同第3095355号に詳しく記載されている。
【0113】
投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人一人あたり、1回につき、1mgから1000mgの範囲で、1日1回から数回経口投与されるか、または成人一人あたり、1回につき、1mgから100mgの範囲で、1日1回から数回非経口投与(好ましくは、静脈内投与)されるか、または1日1時間から24時間の範囲で静脈内に持続投与される。
【0114】
また、通常、成人一人あたり、1回につき、1mgから1000mgの範囲で、1日1回から数回経口投与されるか、または成人一人あたり、1回につき、1mgから100mgの範囲で、1日1回から数回非経口投与(好ましくは、静脈内投与)されるか、または1日1時間から24時間の範囲で静脈内に持続投与される。
【0115】
もちろん前記したように、投与量は、種々の条件によって変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて必要な場合もある。
【0116】
一般式(IA)で示される化合物を本発明の目的で用いるには、通常、全身的または局所的に、非経口の形で投与される。好ましくは注射剤であり、特に好ましくは、静脈内に持続投与することである。投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人(体重60kg)一人あたり、1日0.1〜100mgの範囲で、1回から数回非経口投与(好ましくは、静脈内投与)されるか、または1日1時間から24時間の範囲で静脈内に持続投与される。好ましくは、0.01〜1mg/kg/hで静脈内に24時間かけて持続投与されることである。より具体的には、N−[o−(4−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノベンゾイル]グリシン・ナトリウム塩・4水和物を成人一人あたり、0.2mg/kg/hで静脈内に24時間かけて持続投与されることである。
【0117】
一般式(IIB)で示される化合物を本発明の目的で用いるには、通常、全身的または局所的に、非経口の形で投与される。好ましくは注射剤であり、特に好ましくは、静脈内に持続投与することである。投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人(体重60kg)一人あたり、1日1〜1000mgの範囲で、1日1回から数回非経口投与(好ましくは、静脈内投与)されるか、または1日1時間から24時間の範囲で静脈内に持続投与される。好ましくは、1日2〜100mg/kgで静脈内に24時間かけて持続投与されることである。より具体的には、6−グアニジノカプロン酸フェニルエステル・メシル酸塩を成人一人あたり、1日20〜39mg/kgで静脈内に24時間かけて持続投与されることである。
【0118】
一般式(IIC)で示される化合物を本発明の目的で用いるには、通常、全身的または局所的に、非経口の形で投与される。好ましくは注射剤であり、特に好ましくは、静脈内に持続投与することである。投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人(体重60kg)一人あたり、1回につき、0.1〜100mgの範囲で、1日1回から数回非経口投与(好ましくは、静脈内投与)されるか、または1日1時間から24時間の範囲で静脈内に持続投与される。好ましくは、0.01〜1mg/kg/hで静脈内に24時間かけて持続投与されることである。より具体的には、6−アミジノ−2−ナフチル 4−グアニジノベンゾエート・2メシル酸塩を成人一人あたり、0.06〜0.2mg/kg/hで静脈内に24時間かけて持続投与されることである。
【0119】
一般式(IID)で示される化合物を本発明の目的で用いるには、通常、全身的または局所的に、非経口の形で投与される。好ましくは注射剤であり、特に好ましくは、静脈内に持続投与することである。投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人(体重60kg)一人あたり、1回につき、0.1〜100mgの範囲で、1日1回から数回非経口投与(好ましくは、静脈内投与)されるか、または1日1時間から24時間の範囲で静脈内に持続投与される。好ましくは、0.5〜30mg/kgで静脈内に24時間かけて持続投与されることである。より具体的には、(2S)−2−[4−[((3S)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸を成人一人あたり、0.5〜30mg/kgで静脈内に24時間かけて持続投与されることである。
【0120】
一般式(IIE)で示される化合物を本発明の目的で用いるには、通常、全身的または局所的に、非経口の形で投与される。好ましくは注射剤であり、特に好ましくは、静脈内に持続投与することである。投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人(体重60kg)一人あたり、1回につき、0.1〜100mgの範囲で、1日1回から数回非経口投与(好ましくは、静脈内投与)されるか、または1日1時間から24時間の範囲で静脈内に持続投与される。好ましくは、1〜80mg/kgで静脈内に24時間かけて持続投与されることである。より具体的には、(2R,4R)−1−[N−(3−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−8−キノリンスルホニル)−L−アルギニル]−4−メチル−2−ピペリジンカルボン酸・一水和物を成人一人あたり、0.01〜0.1mg/kg/hで静脈内に24時間かけて持続投与されることである。
【0121】
アプロチニン液を本発明の目的で用いるには、通常、全身的または局所的に、非経口の形で投与される。好ましくは注射剤であり、特に好ましくは、静脈内に持続投与することである。投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人(体重60kg)一人あたり、1日25〜100万単位の範囲で、1回から数回非経口投与(好ましくは、静脈内投与)されるか、または1日1時間から24時間の範囲で静脈内に持続投与される。好ましくは、成人一人あたり、25〜50万単位を1分間あたり5000〜10000単位の速度で静脈内に持続投与されることである。
【0122】
もちろん前記したように、投与量は、種々の条件によって変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて必要な場合もある。
【0123】
本発明によるエラスターゼ阻害剤と血液凝固系および/または線溶系酵素阻害剤との組み合わせによる効果は、現在まで知られている動物実験によって証明することができる。また、本発明の効果は、ヒトの臨床実験によっても確認することができる。
【0124】
例えば、一般式(IA)で示されるエラスターゼ阻害剤と一般式(IIB)、一般式(IIC)または一般式(IIE)で示される血液凝固系および/または線溶系酵素阻害剤との組み合わせによる効果は、ラットにおけるガラクトサミン負荷のエンドトキシン誘発多臓器障害モデルやラットにおけるトリプシンおよびタウロコール酸誘発膵炎モデルによって、確認することができる。また、以下に示す肺障害の実験モデルによっても確認することができる。
【0125】
ラット肺障害モデル
約24時間絶食したラットを、ペントバルビタール(40mg/kg)を腹腔内投与することにより麻酔する。両大腿静脈にカテーテル、尾静脈には翼状針を装着し、リポポリサッカライド(LPS;0.3mg/kg/h)および被験化合物、あるいはそれらの媒体を任意の静脈より持続投与する。尚、投与期間中は被験動物の覚醒状態に応じて適宜追加麻酔を行う。静脈内持続投与開始から6時間経過後、腹部大静脈より採血し、エラスターゼ活性および凝固線溶系のパラメータ(Fibrinogen、FDP等)を測定する。また、肺を摘出し、湿重量を測定することにより肺障害の指標とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラスターゼ阻害剤と血液凝固系および/または線溶系酵素阻害剤との組み合わせからなる医薬。
【請求項2】
請求項1記載の組み合わせからなる急性肺傷害、汎発性血管内血液凝固症、多臓器障害の予防および/または治療剤。
【請求項3】
請求項1記載の組み合わせを有効成分として含有する医薬組成物。
【請求項4】
請求項1記載の組み合わせを別々に投与することを特徴とする薬剤。
【請求項5】
エラスターゼ阻害剤が、一般式(IA)
【化1】

[式中、Yはスルホニル(−SO−)基またはカルボニル
【化2】

基を表わし、
(1)R1AおよびR2Aは、同じかまたは異なっていてもよく、(1)水素原子、(2)C1〜16アルキル基または(3)式
【化3】

(式中、Xは単結合、スルホニル(−SO−)基、C1〜4アルキレン基または−COOH基またはベンジルオキシカルボニル
【化4】

基で置換されていてもよいC1〜4アルキレン基を表わし、
【化5】

は炭素環または複素環を表わし、
nAは1〜5の整数を表わし、
4Aは同じかまたは異なっていてもよく、
(a)水素原子またはC1〜8アルキル基、
(b)C1〜14アルコキシ基、
(c)C1〜6アルキルチオ基、
(d)水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基またはトリハロメチル基、
(e)式−NR41A42A(式中、R41AおよびR42Aは同じかまたは異なっていてもよく、水素原子またはC1〜4アルキル基を表わす。)で示される基、
(f)テトラゾール基、
(g)スルホン酸(−SOH)基またはヒドロキシメチル(−CHOH)基、
(h)式−SONR41A42A(式中、R41AおよびR42Aは前記と同じ意味を表わす。)で示される基、
(i)式−Z41A−COOR43A(式中、Z41Aは単結合、C1〜4アルキレン基またはC2〜4アルケニレン基を表わし、R43Aは水素原子、C1〜4アルキル基またはベンジル基を表わす。)で示される基、
(j)式−CONR41A42A(式中、R41AおよびR42Aは前記と同じ意味を表わす。)で示される基、
(k)式−COO−Z42A−COOR43A(式中、Z42AはC1〜4アルキレン基を表わし、R43Aは水素原子、C1〜4アルキル基またはベンジル基を表わす。)で示される基、
(l)式−COO−Z42A−CONR41A42A(式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。)で示される基、
(m)式−OCO−R45A(式中、R45AはC1〜8アルキル基またはp−グアニジノフェニル基を表わす。)で示される基、
(n)式−CO−R46A(式中、R46AはC1〜4アルキル基を表わす。)で示される基、
(o)式−O−Z43A−COOR450A(式中、Z43AはC1〜6アルキレン基を表わし、R450Aは水素原子、C1〜8アルキル基またはp−グアニジノフェニル基を表わす。)で示される基、
(p)式
【化6】

(式中、
【化7】

はアミノ酸残基を表わし、
47Aは単結合またはC1〜4アルキル基を表わし、
48Aは水素原子またはC1〜4アルキル基を表わし、
49Aは水酸基、C1〜4アルコキシ基、アミノ基、1個ないしは2個のC1〜4アルキル基で置換されたアミノ基、カルバモイルメトキシ基またはカルバモイルの窒素原子に1個ないしは2個のC1〜4アルキル基が置換されているカルバモイルメトキシ基、または式中、
【化8】

は3〜6個の炭素原子を含む複素環を表わし、
47AおよびR49Aは前記と同じ意味を表わす。)で示される基。)を表わすか、
(2)R1AおよびR2Aはそれらが結合している窒素原子と一緒になって、−COOHで置換されている少なくとも1個の窒素原子を含む複素環かまたは無置換の少なくとも1個の窒素原子を含む複素環を表わし、
3Aは、(1)水素原子、(2)ヒドロキシ基、(3)C1〜6アルキル基、(4)ハロゲン原子、(5)C1〜4アルコキシ基または(6)C2〜5アシルオキシ基を表わし、mAは1から4の整数を表わす。]
で示される化合物またはそれらの非毒性塩である請求項1記載の医薬。
【請求項6】
エラスターゼ阻害剤が、
(1)N−[o−(4−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノベンゾイル]グリシン、
(2)N−[m−(3−メチル−4−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノベンゾイル]グリシン、
(3)N−[o−(3−メチル−4−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノベンゾイル]グリシン、
(4)N−[5−クロロ−2−(3−メチル−4−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノベンゾイル]グリシン、
(5)N−[2−(3−メチル−4−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノ−5−ペンチルオキシベンゾイル]グリシン、
(6)N−[5−デシルオキシ−2−(3−メチル−4−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノベンゾイル]グリシン、
(7)N−[2−(3−メチル−4−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノ−5−メチルベンゾイル]グリシン、
(8)N−[2−(p−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノ−5−クロロベンゾイル]グリシン、
(9)N−[5−メチルチオ−2−(p−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノベンゾイル]グリシン、
(10)N−[2−(3−メチル−4−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノ−4−トリフルオロメチルベンゾイル]グリシン、
(11)N−[2−(p−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノ−4−トリフルオロメチルベンゾイル]グリシン、
(12)N−[5−デシルオキシ−2−(p−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノベンゾイル]グリシン、
(13)N−[2−(3−メチル−4−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノ−5−メチルチオベンゾイル]グリシン、
(14)N−[2−(p−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノ−5−プロピルチオベンゾイル]グリシン、
(15)N−[o−(p−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノベンゾイル]−2R−フェニルグリシン、
(16)N−[o−(3−メチル−4−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノベンゾイル]−2R−フェニルグリシン、
(17)N−[5−メチル−2−(p−ピバロイルオキシベンゼンスルホニルアミノ)ベンゾイル]グリシン、
(18)N−[o−(p−ピバロイルオキシベンゼンスルホニルアミノ)ベンゾイルグリシン]メチルエステル、
(19)N−[5−ペンチルオキシ−2−(p−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノベンゾイル]グリシン、
(20)N−[o−(3−メチル−4−ピバロイルオキシベンゼンスルホニルアミノ)ベンゾイル]−dl−アラニン、
(21)N−[o−(3−メチル−4−ピバロイルオキシベンゼンスルホニルアミノ)ベンゾイル]−β−アラニン、
(22)N−[o−(3−メチル−4−ピバロイルオキシベンゼンスルホニルアミノ)ベンゾイル]−l−アラニン、
(23)N−[5−クロロ−2−(3−メチル−4−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノベンゾイル]−l−アラニンまたは
(24)N−[5−クロロ−2−(3−メチル−4−ピバロイルオキシベンゼン)スルホニルアミノベンゾイル]−β−アラニン
またはそれらの非毒性塩である請求項1記載の医薬。
【請求項7】
血液凝固系および/または線溶系酵素阻害剤が、一般式(IIB)
【化9】

[式中、Xは水素原子、ハロゲン原子、ニトロ、アルキル、アルコキシ、カルボキシ、ヒドロキシ、カルボエトキシ、6−グアニジノカプロイルオキシ基を表わす。]
で示される6−グアニジノカプロン酸フェニルエステル誘導体またはそれらの非毒性塩である請求項1記載の医薬。
【請求項8】
血液凝固系および/または線溶系酵素阻害剤が、
(1)6−グアニジノカプロン酸 フェニルエステル、
(2)6−グアニジノカプロン酸 4−クロロフェニルエステル、
(3)6−グアニジノカプロン酸 4−ニトロフェニルエステル、
(4)6−グアニジノカプロン酸 4−メチルフェニルエステル、
(5)6−グアニジノカプロン酸 4−メトキシフェニルエステル、
(6)6−グアニジノカプロン酸 4−カルボキシフェニルエステル、
(7)6−グアニジノカプロン酸 4−ヒドロキシフェニルエステル、
(8)6−グアニジノカプロン酸 4−エトキシカルボニルフェニルエステルまたは
(9)6−グアニジノカプロン酸 4−(6−グアニジノカプロイルオキシ)フェニルエステル
またはそれらの非毒性塩である請求項1記載の医薬。
【請求項9】
血液凝固系および/または線溶系酵素阻害剤が、一般式(IIC)
【化10】

[式中、Z
(1)
【化11】

(2)
【化12】

(3)
【化13】

(4)
【化14】

を表わし、
aCは0、1、2、3を表わし、
bCは0、1、2を表わし、
3CはC1〜4直鎖または分枝鎖アルキル基、C3〜6シクロアルキル基を表わし、
4Cは水素原子、C1〜4直鎖または分枝鎖アルキル基を表わし、
1CまたはR2Cは同一または異なり、
(1)水素原子、
(2)C1〜4直鎖または分枝鎖アルキル基、
(3)−O−R5C
(4)−S−R5C
(5)−COO−R5C
(6)−COR6C
(7)−O−COR7C
(8)−NHCOR7C
(9)
【化15】

(10)
【化16】

(11)
【化17】

(12)NO
(13)CN、
(14)ハロゲン、
(15)CF
(16)メチレンジオキシ、
(17)
【化18】

を表わし、
cCは0、1、2を表わし、
5Cは水素原子、C1〜4直鎖または分枝鎖アルキル基、ベンジル基を表わし、R6Cは水素原子、C1〜4直鎖または分枝鎖アルキル基を表わし、
7CはC1〜4直鎖または分枝鎖アルキル基を表わし、
8CまたはR9Cは同一または異なり、水素原子、C1〜4直鎖または分枝鎖アルキル基またはアミノ基保護基を表わし、
10Cは水素原子、ジメチル、CFを表わす。]
で示されるアミジン誘導体またはそれらの非毒性塩である請求項1記載の医薬。
【請求項10】
血液凝固系および/または線溶系酵素阻害剤が、
(1)6−アミジノ−2−ナフチル 4−グアニジノベンゾエート、
(2)6−アミジノ−2−ナフチルベンゾエート、
(3)6−アミジノ−2−ナフチル 2−メチルベンゾエート、
(4)6−アミジノ−2−ナフチル 4−メチルベンゾエート、
(5)6−アミジノ−2−ナフチル 4−メトキシベンゾエート、
(6)6−アミジノ−2−ナフチル 4−ブチルオキシベンゾエート、
(7)6−アミジノ−2−ナフチル 3,4−メチレンジオキシベンゾエート、
(8)6−アミジノ−2−ナフチル 4−ヒドロキシベンゾエート、
(9)6−アミジノ−2−ナフチル 2−アセトキシベンゾエート、
(10)6−アミジノ−2−ナフチル 4−アセトキシベンゾエート、
(11)6−アミジノ−2−ナフチル 4−カルボメトキシベンゾエート、
(12)6−アミジノ−2−ナフチル 4−フルオロベンゾエート、
(13)6−アミジノ−2−ナフチル 4−クロロベンゾエート、
(14)6−アミジノ−2−ナフチル 4−ブロモベンゾエート、
(15)6−アミジノ−2−ナフチル 4−ニトロベンゾエート、
(16)6−アミジノ−2−ナフチル 4−シアノベンゾエート、
(17)6−アミジノ−2−ナフチル 4−アミノベンゾエート、
(18)6−アミジノ−2−ナフチル 4−ベンジルオキシカルボニルアミノメチルベンゾエート、
(19)6−アミジノ−2−ナフチル 4−アミノメチルベンゾエート、
(20)6−アミジノ−2−ナフチル 4−アセチルアミノベンゾエート、
(21)6−アミジノ−2−ナフチル 3−グアニジノベンゾエート、
(22)6−アミジノ−2−ナフチル 4−(Nα−メチル)グアニジノベンゾエート、
(23)6−アミジノ−2−ナフチル 4−メチルチオベンゾエート、
(24)6−アミジノ−2−ナフチル 4−ホルミルベンゾエート、
(25)6−アミジノ−2−ナフチル 4−アセチルベンゾエート、
(26)6−アミジノ−2−ナフチル 3−トリフルオロメチルベンゾエート、
(27)6−アミジノ−2−ナフチル 4−クロロフェニルアセテート、
(28)6−アミジノ−2−ナフチル 4−アセチルオキシフェニルプロピオネート、
(29)6−アミジノ−2−ナフチル 4−アミノフェニルプロピオネート、
(30)6−アミジノ−2−ナフチル 4−グアニジノフェニルプロピオネート、
(31)6−アミジノ−2−ナフチル 4−フェニルブチレート、
(32)6−アミジノ−2−ナフチルシンナメート、
(33)6−アミジノ−2−ナフチル 4−アセチルオキシシンナメート、
(34)6−アミジノ−2−ナフチル 4−アミノシンナメート、
(35)6−アミジノ−2−ナフチル 4−グアニジノシンナメート、
(36)6−アミジノ−2−ナフチル 3−トリフルオロメチルシンナメート、
(37)6−アミジノ−2−ナフチル 2−メトキシフェノキシアセテート、または
(38)6−アミジノ−2−ナフチル 2,4−ジクロロフェノキシアセテートまたはそれらの非毒性塩である請求項1記載の医薬。
【請求項11】
血液凝固系および/または線溶系酵素阻害剤が、一般式(IID)
【化19】

[式中、R1Dは水素原子または低級アルキル基を表わし、
2Dは水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシアルキル基またはアルコキシカルボニルアルキル基を表わし、
3Dは水素原子、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、、カルボキシアルコキシ基またはアルコキシカルボニルアルコキシ基を表わし、
4Dは、水素原子、水酸基、低級アルキル基または低級アルコキシ基を表わし、nDは0〜4の整数を表わし、
は1〜2個のヒドロキシアルキル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、カルボキシアルキルまたはアルコキシカルボニルアルキル基が置換していてもよいC1〜4アルキレン基を表わし、
は単結合、酸素原子、硫黄原子またはカルボニル基を表わし、
は置換基を有していてもよい飽和または不飽和の5〜6員の複素環式基または環状炭化水素基、置換基を有していてもよいアミノ基または置換基を有していてもよいアミノアルキル基を表わし、
【化20】

で示される基はインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ナフチル、テトラヒドロナフチルおよびインダニルより選ばれる基を表わす。]
で示される芳香族アミジン誘導体またはそれらの非毒性塩である請求項1記載の医薬。
【請求項12】
血液凝固系および/または線溶系酵素阻害剤が、
(1)(2S)−2−[4−[((3S)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸、
(2)2−[4−[(1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸、
(3)(+)−2−[4−[((3S)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸、
(4)(2R)−2−[4−[((3R)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸、
(5)2−[4−[(1−アセトイミドイル−2−ピロリジニル)メトキシ]フェニル]−3−(5−アミジノベンゾ[b]チエン−2−イル)プロピオン酸、
(6)(+)−2−[4−[((2S)−1−アセトイミドイル−2−ピロリジニル)メトキシ]フェニル]−3−(5−アミジノベンゾ[b]チエン−2−イル)プロピオン酸、
(7)2−[4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジニル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸、
(8)(+)−2−[4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジニル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸、
(9)3−(5−アミジノ−2−ベンゾフラニル)−2−[4−[((3S)−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]プロピオン酸、
(10)2−(5−アミジノ−2−ベンゾフラニル)−3−[4−[((3S)−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]プロピオン酸、
(11)3−(5−アミジノベンゾ[b]チエン−2−イル)−2−[4−[((3S)−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]プロピオン酸、
(12)(+)−3−(6−アミジノ−2−インドリル)−2−[4−[((3S)−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]プロピオン酸、
(13)4−(5−アミジノベンゾ[b]チエン−2−イル)−3−[4−[((3S)−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]酪酸、
(14)3−(5−アミジノ−2−インドリル)−2−[4−[((3S)−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]プロピオン酸、
(15)3−(6−アミジノ−2−インドリル)−2−[4−[((3S)−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]プロピオン酸、
(16)3−(6−アミジノ−1−エチル−2−インドリル)−2−[4−[((3S)−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]プロピオン酸、
(17)2−[4−[((3S)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(5−アミジノベンゾ[b]チエン−2−イル)プロピオン酸、
(18)2−[4−[((3S)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(5−アミジノ−2−ベンゾチアゾリル)プロピオン酸、
(19)3−(5−アミジノベンゾ[b]チエン−2−イル)−2−[4−[((3S)−1−n−ヘキサンイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]プロピオン酸、
(20)3−(5−アミジノベンゾ[b]チエン−2−イル)−2−[4−[((3S)−1−シクロプロパンカルボキシイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]プロピオン酸、
(21)2−[4−[((2S)−1−アセトイミドイル−2−ピロリジニル)メトキシ]フェニル]−3−(5−アミジノベンゾ[b]チエン−2−イル)プロピオン酸、
(22)2−[4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジニル)オキシ]フェニル]−3−(6−アミジノ−1−エチル−2−インドリル)プロピオン酸、
(23)3−[4−[((3S)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−4−(5−アミジノベンゾ[b]チエン−2−イル)酪酸、
(24)2−[4−[((3S)−1−アセトイミドイル−3−ピペリジニル)オキシ]フェニル]−3−(6−アミジノ−1−エチル−2−インドリル)プロピオン酸、または
(25)3−[4−[((3S)−1−アセトイミドイル−3−ピペリジニル)オキシ]フェニル]−3−(5−アミジノベンゾ[b]チエン−2−イル)プロピオン酸
またはそれらの非毒性塩である請求項1記載の医薬。
【請求項13】
血液凝固系および/または線溶系酵素阻害剤が、一般式(IIE)
【化21】

[式中、Rは式
【化22】

を表わし、
1Eは水素原子あるいはC1〜C5アルキル基を表わし、
Arは3位がメチル基またはエチル基で置換された1,2,3,4−テトラヒドロ−8−キノリル基を表わす。]
で示されるN−アリールスルホニル−L−アルギニンアミド類またはそれらの非毒性塩である請求項1記載の医薬。
【請求項14】
血液凝固系および/または線溶系酵素阻害剤が、
(1)1−[N−(1,2,3,4−テトラヒドロ−8−キノリンスルホニル)−L−アルギニル]−4−メチル−2−ピペリジンカルボン酸
(2)1−[N−(1,2,3,4−テトラヒドロ−8−キノリンスルホニル)−L−アルギニル]−4−エチル−2−ピペリジンカルボン酸
(3)1−[N−(3−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−8−キノリンスルホニル)−L−アルギニル]−4−メチル−2−ピペリジンカルボン酸
(4)1−[N−(3−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−8−キノリンスルホニル)−L−アルギニル]−4−エチル−2−ピペリジンカルボン酸
(5)1−[N−(3−エチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−8−キノリンスルホニル)−L−アルギニル]−4−メチル−2−ピペリジンカルボン酸
(6)1−[N−(3−エチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−8−キノリンスルホニル)−L−アルギニル]−4−エチル−2−ピペリジンカルボン酸
(7)(2R,4R)−1−[N−(3−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−8−キノリンスルホニル)−L−アルギニル]−4−メチル−2−ピペリジンカルボン酸・一水和物
またはそれらの非毒性塩である請求項1記載の医薬。
【請求項15】
血液凝固系および/または線溶系酵素阻害剤が、
(1)アプロチニン誘導体、
(2)アンチトロンビンIII誘導体、
(3)ヘパリン誘導体、
(4)ダナパロイドナトリウム、
(5)ヒルジン誘導体、または
(6)トロンボモジュリン誘導体
またはそれらの非毒性塩である請求項1記載の医薬。

【公開番号】特開2006−96668(P2006−96668A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−324646(P2002−324646)
【出願日】平成14年11月8日(2002.11.8)
【出願人】(000185983)小野薬品工業株式会社 (180)
【Fターム(参考)】