説明

エレベータのドア開閉制御装置

【課題】ドア開閉部乗客検出手段又は乗場側乗客検出手段の設置スペースを容易に確保することができると共に安価に設置でき、故障判定手段の誤検出を防止することができるエレベータのドア開閉制御装置の提供。
【解決手段】ドア1,2間に位置する乗客11を検出するドア開閉部乗客センサ4と、かご26内へ乗降する乗客11を検出する乗場側乗客センサ5と、ドア1,2の開閉位置を検出するドア開閉位置センサ6と、ドア開閉位置センサ6で検出したドア位置に基づいてドア1,2を開閉させる扉制御装置9と、ドア開閉部乗客センサ4又は乗場側乗客センサ5の異常を判定する故障判定手段14とを備え、この故障判定手段14は、扉制御装置9でドア1、2を乗場側乗客センサ5の検出範囲30aまで開かせた状態において、ドア開閉部乗客センサ4及び乗場側乗客センサ5で検出した情報に基づいて異常を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア開閉部乗客検出手段及び乗場側乗客検出手段を備えたエレベータのドア開閉制御装置に係り、特にドア開閉部乗客検出手段及び乗場側乗客検出手段の異常を判定する故障判定手段を備えたエレベータのドア開閉制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、エレベータのドア開閉制御装置は、ドア間に位置する乗客又は異物を検出するドア開閉部乗客検出手段と、乗場からかご内へ乗降する乗客又は異物を検出する乗場側乗客検出手段と、ドアの開閉位置を検出するドア開閉位置検出手段と、ドア開閉位置検出手段で検出したドア位置に基づいてドアを開閉させる扉制御装置とを備えている。
【0003】
そして、エレベータのドア開閉制御装置は、これらドア開閉部乗客検出手段又は乗場側乗客検出手段によって乗客又は異物を検出すると、扉制御装置でドアを開扉させてエレベータに乗降する際の乗客の安全性を確保している。
【0004】
そのため、ドア開閉部乗客検出手段又は乗場側乗客検出手段が故障した場合、乗客がドアに衝突したり、あるいは挟まれる危険がある。
【0005】
そこで、ドア開閉部乗客検出手段又は乗場側乗客検出手段として、エレベータの乗降口に複数のセンサを設置することによりエレベータの乗降客を検出して扉制御装置に扉の開閉状態を制御させ、これら複数のセンサからの情報を比較し、所定時間を越えて設定情報と異なる不一致情報を出力している少数のセンサがある場合に、この不一致情報をセンサの異常情報とみなし、この少数のセンサ以外の多数のセンサ情報を正常情報として採用する故障判定部、すなわち故障判定手段を備え、これら多数のセンサ情報に基づき扉制御装置を制御して通常のドア開閉を行うエレベータドアの乗降客検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、かごに乗降する乗客を検出する乗場側乗客検出手段としてのセンサを設置し、このセンサの動作に応じてかごのドアが全開状態でセンサが動作しないときにこのセンサの故障を検出する故障検出手段、すなわち故障判定手段を備えたエレベータのドア制御装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−188334号公報
【特許文献2】特開平10−265154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に開示された従来のエレベータドアの乗降客検出装置では、上述したように故障判定手段は、異常情報とみなされる少数の不一致情報と正常情報として採用される多数のセンサ情報とを比較するために、ドア開閉部乗客検出手段又は乗場側乗客検出手段として数多くのセンサを必要とし、構成が複雑となっている。そのため、これらドア開閉部乗客検出手段又は乗場側乗客検出手段の設置スペースを確保することが困難であり、さらにこれらドア開閉部乗客検出手段又は乗場側乗客検出手段を設置するのに多大なコストがかかる。
【0009】
また、特許文献2に開示された従来のエレベータのドア制御装置では、上述したようにかごのドアを全開にした状態で故障判定手段による乗場側乗客検出手段の故障の検出が行われている。そのため、間口の広いドアに検出範囲の狭い乗場側乗客検出手段が設置されている場合、乗客が乗降する際に乗場側乗客検出手段の検出範囲外、例えばドアの中央にこの乗場側乗客検出手段が設置されており、ドアの間口の両端を乗客が通過すると、ドア開閉部乗客検出手段では乗客が検出されるが乗場側乗客検出手段では乗客が検出されないので、故障判定手段が乗場側乗客検出手段の故障を誤検出する問題がある。
【0010】
本発明は、このような従来技術の実情からなされたもので、その目的はドア開閉部乗客検出手段又は乗場側乗客検出手段の設置スペースを容易に確保することができると共に安価に設置でき、故障判定手段の誤検出を防止することができるエレベータのドア開閉制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明のエレベータのドア開閉制御装置は、ドア間に位置する乗客又は異物を検出するドア開閉部乗客検出手段と、乗場からかご内へ乗降する乗客又は異物を検出する乗場側乗客検出手段と、前記ドアの開閉位置を検出するドア開閉位置検出手段と、前記ドア開閉位置検出手段で検出したドア位置に基づいて前記ドアを開閉させる扉制御装置とを備えたエレベータのドア開閉制御装置において、前記ドア開閉部乗客検出手段又は前記乗場側乗客検出手段の異常を判定する故障判定手段を備え、前記故障判定手段は、前記扉制御装置で前記ドアを前記乗場側乗客検出手段の検出可能範囲まで開かせた状態において、前記ドア開閉部乗客検出手段及び前記乗場側乗客検出手段で検出した情報に基づいて前記異常を判定することを特徴としている。
【0012】
このように構成した本発明は、故障判定手段がドア開閉部乗客検出手段及び乗場側乗客検出手段の2つの手段で検出した情報に基づいて異常を判定することができるので、乗場側乗客検出手段を数多く設置する必要がない。そのため、故障判定手段のドア開閉部乗客検出手段及び乗場側乗客検出手段の設置スペースを容易に確保することができ、これらの手段を安価に設置することができる。
【0013】
また、故障判定手段は、扉制御装置でドアを乗場側乗客検出手段の検出可能範囲まで開かせた状態で異常を判定することにより、間口の広いドアに適用されても乗客を乗場側乗客検出手段の検出範囲内を通過させることができるので、乗場側乗客検出手段で乗客を確実に検出することができる。これにより、故障判定手段が乗場側乗客検出手段の故障を誤検出することを防止することができ、従来に比して装置の精度を高めることができる。
【0014】
本発明に係るエレベータのドア開閉制御装置は、前記発明において、前記故障判定手段は、前記ドア開閉部乗客検出手段の前記異常を複数回検出した場合に、前記ドア開閉部乗客検出手段が異常であることを判定するドア開閉部異常回数判定手段を含むことを特徴としている。このように構成すると、故障判定手段でドア開閉部乗客検出手段の異常を1回よりも複数回検出したことによる信頼性の高い情報を得ることができるので、より装置の精度を高めることができる。
【0015】
本発明に係るエレベータのドア開閉制御装置は、前記発明において、前記故障判定手段は、前記乗場側乗客検出手段の前記異常を複数回検出した場合に、前記乗場側乗客検出手段が異常であることを判定する乗場側異常回数判定手段を含むことを特徴としている。このように構成すると、故障判定手段で乗場側乗客検出手段の異常を1回よりも複数回検出したことによる信頼性の高い情報を得ることができるので、より装置の精度を高めることができる。
【0016】
本発明に係るエレベータのドア開閉制御装置は、前記発明において、前記異常を検出した場合に、この異常を外部へ通報する通報手段を備えたことを特徴としている。このように構成すると、ドア開閉部乗客検出手段又は乗場側乗客検出手段の異常を判定したとき、迅速にドア開閉部乗客検出手段又は乗場側乗客検出手段を復旧させることができるので、乗客の高い安全性及びサービス性を維持することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のエレベータのドア開閉制御装置は、ドア開閉部乗客検出手段又は乗場側乗客検出手段の異常を判定する故障判定手段を備えており、故障判定手段が扉制御装置でドアを乗場側乗客検出手段の検出可能範囲まで開かせた状態で異常を判定することにより、間口の広いドアに適用されても乗客を乗場側乗客検出手段の検出範囲内を通過させることができるので、乗場側乗客検出手段で乗客を確実に検出することができる。これにより、故障判定手段が乗場側乗客検出手段の故障を誤検出することを防止することができ、従来に比して装置の精度を高めることができる。
【0018】
また、故障判定手段はドア開閉部乗客検出手段及び乗場側乗客検出手段の2つの手段で検出した情報に基づいて異常を判定することにより、これらドア開閉部乗客検出手段及び乗場側乗客検出手段の設置スペースを容易に確保することができる。さらに、故障判定手段はこのような簡単な構成でドア開閉部乗客検出手段及び乗場側乗客検出手段の故障を検出することができるので、これらのドア開閉部乗客検出手段及び乗場側乗客検出手段を安価に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るエレベータのドア開閉制御装置の一実施形態の構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に備えられる乗場側乗客センサの動作を説明する図である。
【図3】本発明の一実施形態に備えられるドア開閉部乗客センサの動作を説明する図である。
【図4】図1に示す乗場側乗客センサとドア開閉部乗客センサとの正常状態の関係を表す図である。
【図5】かご内の乗客が乗降する際における本発明の一実施形態の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るエレベータのドア開閉制御装置を実施するための形態を図に基づいて説明する。
【0021】
図1は本発明に係るエレベータのドア開閉制御装置の一実施形態の構成を示す図、図2は本発明の一実施形態に備えられる乗場側乗客センサの動作を説明する図、図3は本発明の一実施形態に備えられるドア開閉部乗客センサの動作を説明する図、図4は図1に示す乗場側乗客センサとドア開閉部乗客センサとの正常状態の関係を表す図、図5はかご内の乗客が乗降する際における本発明の一実施形態の処理手順を示すフローチャート、図6はドアが閉扉状態における本発明の一実施形態の処理手順を示すフローチャートである。
【0022】
図1に示すように、本発明に係るエレベータのドア開閉制御装置の一実施形態は、エレベータ25のドア1,2間に位置する乗客又は異物を検出するドア開閉部乗客検出手段、すなわちドア開閉部乗客センサ4と、乗場からかご26内へ乗降する乗客又は異物を検出する乗場側乗客検出手段、すなわち乗場側乗客センサ5と、ドア1,2の開閉位置を検出するドア開閉位置検出手段、すなわちドア開閉位置センサ6と、このドア開閉位置センサ6で検出したドア位置に基づいてドア1,2を開閉させる扉制御装置9とを備えている。
【0023】
また、本発明の一実施形態は、ドア開閉部乗客センサ4又は乗場側乗客センサ5の異常を判定する故障判定手段14を備え、この故障判定手段14は、ドア開閉部乗客センサ4、乗場側乗客センサ5、及び扉制御装置9とそれぞれ電気的に接続されて各種信号を送受信する。
【0024】
エレベータ25は、かご26側のドア1の中央上端のフレーム部分に閉端検出スイッチ8と、乗場側のドア2のフレームのうちドア2の開端位置の上端に開端検出スイッチ7と、乗場側のドア2の上方に乗場側のドア2を駆動させるドアモータ3とを備えている。
【0025】
そして、扉制御装置9はドアモータ3及びドア開閉部乗客センサ4とそれぞれ電気的に接続されて各種信号を送受信し、またエレベータ制御装置100が扉制御装置9及び故障判定手段14とそれぞれ電気的に接続され、エレベータ25の動作を制御している。
【0026】
ここで図2に示すように、乗場側乗客センサ5は、例えばかご26から乗場側へ赤外線を送出しており、この乗場側乗客センサ5の検出範囲30aは、ドア1,2が全開したときの間口、すなわち有効ドア間口31bよりも狭くなっている。この赤外線に乗客11がかご26内に乗降する際に接触すると、この赤外線の反射により乗客11を検出して乗場側検出信号20をオン状態として扉制御装置9及び故障判定手段14に送信する。
【0027】
一方、図3に示すように、ドア開閉部乗客センサ4は乗場側乗客センサ5と同様に赤外線を送出しており、ドア開閉部乗客センサ4の検出範囲30bはドア1,2の開閉部全体となっている。この赤外線に乗客11がかご26内に乗降する際に接触すると、この赤外線の反射により乗客11を検出してドア開閉部検出信号21をオン状態として扉制御装置9及び故障判定手段14に送信する。
【0028】
このようにして乗客11を検出するドア開閉部乗客センサ4及び乗場側乗客センサ5は、図4に示すように、ドア開閉部乗客センサ4及び乗場側乗客センサ5の検出信号によって以下の4つの状態Aないし状態Dが推測される。
【0029】
すなわち、ドア開閉部乗客センサ4がオフ、乗場側乗客センサ5がオフのとき、ドア1,2開時にかご26内に乗客11がいる状態Aと推測される。ドア開閉部乗客センサ4がオン、乗場側乗客センサ5がオンのとき、ドア1,2開時にドア開閉部に乗客11がいる状態Bと推測される。ドア開閉部乗客センサ4がオフ、乗場側乗客センサ5がオンのとき、ドア1,2開時に乗場側に乗客11がいる状態C又はドア1,2閉時の状態Dと推測される。
【0030】
また、故障判定手段14は、ドア開閉部乗客センサ4の異常を複数回検出した場合にドア開閉部乗客センサ4が異常であることを判定するドア開閉部異常回数判定手段と、乗場側乗客センサ5の異常を複数回検出した場合に、乗場側乗客センサ5が異常であることを判定する乗場側異常回数判定手段とを含んでいる。
【0031】
さらに、故障判定手段14は、ドア開閉部異常回数判定手段及び乗場側異常回数判定手段によって、ドア開閉部乗客センサ4又は乗場側乗客センサ5が異常であることを判定した場合に、この異常を外部の保守会社へ通報する通報手段を備えている。
【0032】
次に、本発明の一実施形態に備えられる故障判定手段14の動作を図2〜図4に基づいて説明する。
【0033】
図2、図3に示すように、乗場側乗客センサ5の検出範囲30aよりも有効ドア間口31bのほうが広い場合、ドア1,2の間口の両端を通過する乗客11aは乗場側乗客センサ5の検出範囲30a外を通過してしまう。そのため、まず扉制御装置9はドア開閉位置センサ6でドア1,2の位置を検出し、ドアモータ3を駆動させてドア1、2を乗場側乗客センサ5の検出範囲30a、すなわちドア間口31aまで開かせ、ドア位置情報33及びドア1、2の開閉信号32を故障判定手段14に送信する。
【0034】
そして、エレベータの制御装置100が、かご26内にいる乗客11による呼出しに応じてかご26を目的階へ到着させ、目的階到着信号34を故障判定手段14に送信する。故障判定手段14がこれらドア位置情報33、ドア1,2の開閉信号32及び目的階到着信号34を受信すると、図4に示すドア開閉部乗客センサ4と乗場側乗客センサ5との関係に基づいてこれらドア開閉部乗客センサ4及び乗場側乗客センサ5の異常を判定する。
【0035】
すなわち、故障判定手段14がドア位置情報33、ドア1,2の開閉信号32及び目的階到着信号34を受信することによって、ドア1,2開時にかご26内の乗客11が乗場側へ移動することが推測される。そして、ドア開閉部乗客センサ4又は乗場側乗客センサ5が所定時間内にオフからオンに変化すれば乗客11が乗場側へ移動するためにドア開閉部を通過していることが推測される。
【0036】
このとき、ドア開閉部乗客センサ4が所定時間内にオフからオンに変化したにもかかわらず、乗場側乗客センサ5が所定時間内にオフからオンに変化しないでオフのままであれば乗場側乗客センサ5が異常であると判定する。
【0037】
一方、ドア開閉部乗客センサ4がオフからオンに変化せず、乗場側乗客センサ5が所定時間内にオフからオンに変化すればドア開閉部乗客センサ4が異常であると判定する。
【0038】
次に、かご26内の乗客11が乗降する際における本発明の一実施形態の処理手順、すなわち上述した故障判定手段14における判定を含む処理手順の詳細な処理手順を図5に基づいて説明する。
【0039】
図5に示すように、まずかご26内の乗客11によって図示しないかご呼びボタンが押されると、エレベータの制御装置100がかご26を目的階へ到着させ、故障判定手段14に目的階到着信号34を送信すると共に、扉制御装置9にドア1、2の開閉指令35を送信する。そして、故障判定手段14がこの目的階到着信号34を受信すると、かご呼びで目的階に到着したかどうかを判定する(S1)。
【0040】
一方、扉制御装置9はこの開閉指令35を受信すると、ドア1,2を開かせると共にドア位置情報33を故障判定手段14へ送信する。そして、故障判定手段14がこのドア位置情報33を受信すると、所定位置までドア1,2が開いたかどうかを判定する(S2)。
【0041】
次に、故障判定手段14が所定時間内にドア開閉部乗客センサ4がオフからオンに変化したかどうかを判定する(S3)。故障判定手段14が所定時間内にドア開閉部乗客センサ4がオフからオンに変化したことを判定した場合、故障判定手段14は所定時間内に乗場側乗客センサ5がオフからオンに変化したかどうかを判定する(S4)。故障判定手段14が所定時間内に乗場側乗客センサ5がオフからオンに変化したと判定すると処理を終了する。
【0042】
一方、故障判定手段14が所定時間内に乗場側乗客センサ5がオフからオンに変化していないと判定すると、乗場側乗客センサ5の異常検出の回数をカウントし(S5)、乗場側異常回数判定手段が乗場側乗客センサ5の異常検出が所定回数以上、例えば5回以上かどうかを判定する(S6)。乗場側異常回数判定手段が乗場側乗客センサ5の異常検出の回数が5回以上と判定した場合、乗場側乗客センサ5が異常であると判定し(S7)、故障判定手段14が乗場側乗客センサ5の異常を通報手段を介して外部の保守会社へ通報して処理を終了する(S8)。
【0043】
また、手順S3において故障判定手段14が所定時間内にドア開閉部乗客センサ4がオフからオンに変化していないことを判定した場合、故障判定手段14は所定時間内に乗場側乗客センサ5がオフからオンに変化したかどうかを判定する(S9)。故障判定手段14が所定時間内に乗場側乗客センサ5がオフからオンに変化していないと判定すると処理を終了する。
【0044】
一方、故障判定手段14が所定時間内に乗場側乗客センサ5がオフからオンに変化したことを判定すると、故障判定手段14はドア開閉部乗客センサ4の異常検出の回数をカウントし(S10)、ドア開閉部異常回数判定手段がドア開閉部乗客センサ4の異常検出が所定回数以上、例えば5回以上かどうかを判定する(S11)。ドア開閉部異常回数判定手段がドア開閉部乗客センサ4の異常検出の回数が5回以上と判定した場合、ドア開閉部乗客センサ4が異常であると判定し(S12)、故障判定手段14がドア開閉部乗客センサ4の異常を通報手段を介して外部の保守会社へ通報して処理を終了する(S8)。
【0045】
このように構成した本発明の一実施形態によれば、故障判定手段14が手順S1〜S12の処理手順に従って、ドア開閉部乗客センサ4及び乗場側乗客センサ5の2つの手段で検出した情報に基づいてドア開閉部乗客センサ4又は乗場側乗客センサ5の異常をそれぞれ判定することができるので、乗場側乗客センサ5を数多く設置する必要がない。そのため、故障判定手段14に含まれるドア開閉部乗客センサ4及び乗場側乗客センサ5の設置スペースを容易に確保することができ、これらドア開閉部乗客センサ4及び乗場側乗客センサ5の異常を判定するのに必要なセンサを安価に設置することができる。
【0046】
また、故障判定手段14は、乗場側乗客センサ5の検出範囲30aよりも有効ドア間口31bのほうが広い場合に扉制御装置9でドア1,2を乗場側乗客センサ5の検出範囲30aまで開かせた状態でドア開閉部乗客センサ4及び乗場側乗客センサ5の異常を判定することにより、間口の広いドア1,2に適用されても乗客11を乗場側乗客センサ5の検出範囲30a内を通過させることができる。そのため、乗場側乗客センサ5で乗客11を確実に検出することができる。これにより、故障判定手段14が乗場側乗客センサ5の故障を誤検出することを防止することができ、従来に比して装置の精度を高めることができる。
【0047】
また、本発明の一実施形態は、故障判定手段14が、ドア開閉部異常回数判定手段及び乗場側異常回数判定手段を含んでいることにより、故障判定手段14でドア開閉部乗客センサ4又は乗場側乗客センサ5の異常を1回よりも複数回検出したことによる信頼性の高い情報を得ることができるので、より装置の精度を高めることができる。
【0048】
また、本発明の一実施形態は、故障判定手段14の通報手段で手順S12においてドア開閉部乗客センサ4が異常であることを判定した場合又は手順S7において乗場側乗客センサ5が異常であることを判定した場合に手順S8においてこの異常を外部の保守会社へ通報することにより、ドア開閉部乗客センサ4又は乗場側乗客センサ5の異常を検出しても迅速にドア開閉部乗客センサ4又は乗場側乗客センサ5を復旧させることができるので、乗客の高い安全性及びサービス性を維持することができる。
【0049】
また、本発明の一実施形態は、エレベータ制御装置100がドア開閉部乗客センサ4又は乗場側乗客センサ5が復旧するまでエレベータ25及びドア1,2の開閉動作を制御することにより、乗客がドア1,2に挟まれたりあるいはドア1,2の不要な開閉動作を防止することができ、乗客の安全性をさらに高めると共に消費電力を抑えることができる。
【符号の説明】
【0050】
1,2 ドア
3 ドアモータ
4 ドア開閉部乗客センサ(ドア開閉部乗客検出手段)
5 乗場側乗客センサ(乗場側乗客検出手段)
6 ドア開閉位置センサ(ドア開閉位置検出手段)
7 開端検出スイッチ
8 閉端検出スイッチ
9 扉制御装置
11,11a 乗客
14 故障判定手段
20 乗場側検出信号
21 ドア開閉部検出信号
25 エレベータ
26 かご
30a,30b 検出範囲
31a ドア間口
31b 有効ドア間口
32 開閉信号
33 ドア位置情報
34 目的階到着信号
35 開閉指令
36 異常処理信号
37 異常判定信号
100 エレベータ制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア間に位置する乗客又は異物を検出するドア開閉部乗客検出手段と、乗場からかご内へ乗降する乗客又は異物を検出する乗場側乗客検出手段と、前記ドアの開閉位置を検出するドア開閉位置検出手段と、このドア開閉位置検出手段で検出したドア位置に基づいて前記ドアを開閉させる扉制御装置とを備えたエレベータのドア開閉制御装置において、
前記ドア開閉部乗客検出手段又は前記乗場側乗客検出手段の異常を判定する故障判定手段を備え、前記故障判定手段は、前記扉制御装置で前記ドアを前記乗場側乗客検出手段の検出可能範囲まで開かせた状態において、前記ドア開閉部乗客検出手段及び前記乗場側乗客検出手段で検出した情報に基づいて前記異常を判定することを特徴とするエレベータのドア開閉制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエレベータのドア開閉制御装置において、
前記故障判定手段は、前記ドア開閉部乗客検出手段の前記異常を複数回検出した場合に、前記ドア開閉部乗客検出手段が異常であることを判定するドア開閉部異常回数判定手段を含むことを特徴とするエレベータのドア開閉制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載のエレベータのドア開閉制御装置において、
前記故障判定手段は、前記乗場側乗客検出手段の前記異常を複数回検出した場合に、前記乗場側乗客検出手段が異常であることを判定する乗場側異常回数判定手段を含むことを特徴とするエレベータのドア開閉制御装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のエレベータのドア開閉制御装置において、
前記異常を検出した場合に、この異常を外部へ通報する通報手段を備えたことを特徴とするエレベータのドア開閉制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−285258(P2010−285258A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−141335(P2009−141335)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【出願人】(000232955)株式会社日立ビルシステム (895)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】