説明

エンジン駆動式発電装置および空気調和装置の室外ユニット

【課題】簡単な構成でロータとステータとの接触を防止できるエンジン駆動式発電装置および空気調和装置の室外ユニットを提供すること。
【解決手段】ガスエンジン10のボディに当該ガスエンジン10の駆動軸を囲うように設けられた環状のステータ75と、このステータ75の内側に駆動軸に連結されたロータ80とを備え、このロータ80の回転時に、当該ロータ80の中心部Oの偏心を検出し、当該ロータ80がステータ75に接触しうる程度の偏心が検出された場合に、ロータ80の回転を停止する手段100を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン出力軸に発電機を直結したエンジン駆動式発電装置および空気調和装置の室外ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジン駆動式の空気調和装置では、冷媒を圧縮する圧縮機をガスエンジンなどのエンジンで駆動し、空調運転を行わせている。この種のものでは、ガスエンジンに発電機を連結し、この発電機で発電された電力を、例えば室外熱交換器への送風を行う送風機或いはエンジンを冷却する冷却水ポンプなどの負荷装置に供給し、電力供給レスの空調機の実現が模索されている。
また、近年、ガスエンジンのボディ外壁に当該エンジンの出力軸を囲うように発電機のステータを設けるとともに、この発電機のロータをエンジン出力軸に直結することにより、発電機の小型化を図ったものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−91155号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、発電機のロータをガスエンジンの出力軸に直結した場合、このロータはガスエンジンの出力軸の軸受に片持ち支持された状態となるため、当該ロータとステータとの隙間管理が重要となる。ここで、ロータが出力軸にオフセットして連結された場合には、連結後にロータとステータとの隙間を隙間ゲージ等で計測することにより、連結不良を発見できるが、出力軸の軸受の磨耗等により、ロータの中心部が偏心して回転する場合には、上記の方法では発見できず、ロータがステータに接触するおそれが想定される。
そこで、本発明は、上記した従来の課題を解消し、簡単な構成でロータとステータとの接触を防止できるエンジン駆動式発電装置および空気調和装置の室外ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、エンジンのボディ外壁に当該エンジンの出力軸を囲うように設けられた環状のステータと、このステータの内側に前記エンジン出力軸に連結されたロータとを備えるエンジン駆動式発電装置において、前記ロータの回転時に、当該ロータの中心部の偏心を検出する検出手段と、当該ロータが前記ステータに接触しうる程度の前記偏心が検出された場合に、前記ロータの回転を停止する停止手段とを備えることを特徴とする。
この構成によれば、ロータの回転時に、検出手段がロータの中心部の偏心を検出し、ロータがステータに接触しうる程度に、ロータの中心部が偏心した場合に、このロータの回転を停止するため、当該ロータがステータに接触することを防止することができる。
【0005】
この構成において、前記検出手段は、前記ロータ回転時における当該ロータと前記ステータとの間の磁束の変動に基づいて、当該ロータの中心部の偏心を検出する構成としても良い。この構成によれば、ロータの中心部の偏心を検出するために別途のセンサを設ける必要がなく、簡単な構成で当該偏心を検出することができる。
【0006】
前記ステータは、径方向内方に突出した複数のティースを有するステータコアと、各ティースの周囲に巻き回される巻線とを備えて構成され、前記検出手段は、前記ロータ回転時における当該ロータとステータとの間の磁束の変動を、対向するステータコアのティースに巻き回された巻線の各々に流れる電流値の差分値が所定値を超えたか否かで検出する構成としても良い。この構成によれば、対向する巻線に流れる電流値の差分値を見ることにより、簡単な構成で磁束の変動を確実に検出することができる。
【0007】
前記ステータは、径方向内方に突出した複数のティースを有するステータコアと、各ティースの周囲に巻き回される巻線とを備えて構成され、前記検出手段は、前記ロータ回転時における当該ロータとステータとの間の磁束の変動を、前記ステータから出力される電流値もしくは電圧値の変動値が所定値を超えたか否かで検出する構成としても良い。この構成によれば、ステータから出力される電流値もしくは電圧値の変動値を見ることにより、簡単な構成で確実に検出することができる。
【0008】
また、エンジンで駆動される圧縮機および室外熱交換器と、前記エンジンで駆動される発電機とを単一の筐体内に収納し、この発電機が前記エンジンのボディ外壁に当該エンジンの出力軸を囲うように設けられた環状のステータと、このステータの内側に前記エンジン出力軸に連結されたロータとを備えて構成された空気調和装置の室外ユニットにおいて、前記ロータの回転時に、当該ロータの中心部の偏心を検出する検出手段と、当該ロータが前記ステータに接触しうる程度の前記偏心が検出された場合に、前記ロータの回転を停止する停止手段とを備える構成としても良い。
【0009】
また、この構成において、前記検出手段は、前記ロータ回転時における当該ロータと前記ステータとの間の磁束の変動に基づいて、当該ロータの中心軸の偏心を検出する構成としても良い。
【0010】
また、前記ステータは、径方向内方に突出した複数のティースを有するステータコアと、各ティースの周囲に巻き回される巻線とを備えて構成され、前記検出手段は、前記ロータ回転時における当該ロータとステータとの間の磁束の変動を、対向する前記巻線の各々に流れる電流値の差分値が所定値を超えたか否かで検出する構成としても良い。
【0011】
また、前記ステータは、径方向内方に突出した複数のティースを有するステータコアと、各ティースの周囲に巻き回される巻線とを備えて構成され、前記検出手段は、前記ロータ回転時における当該ロータとステータとの間の磁束の変動を、前記ステータから出力される電流値もしくは電圧値の変動値が所定値を超えたか否かで検出する構成としても良い。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ロータの回転時に、検出手段がロータの中心部の偏心を検出し、ロータがステータに接触しうる程度に、ロータの中心部が偏心した場合に、このロータの回転を停止するため、当該ロータがステータに接触することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の形態について図を参照しながら以下に説明する。
図1は、ガスエンジン駆動式の空気調和装置1を示す。この空気調和装置1は、室外ユニット2と複数の室内ユニット3a〜3cとを有し、これらを液管4aおよびガス管4bからなるユニット間配管4で接続して構成されている。室外ユニット2には、ガスエンジン10と、このガスエンジン10の駆動力により発電を行う発電機(エンジン駆動式発電装置)11と、ガスエンジン10の駆動力により冷媒を圧縮する圧縮機12とが収容されている。このガスエンジン10は、燃料調整弁7を経て供給されるガスなどの燃料と、スロットル弁8を経て供給される空気との混合気を燃焼させて駆動力を発生する。
【0014】
圧縮機12は、大小異容量の圧縮機12a,12bで構成され、これら2台の圧縮機12a,12bは、それぞれ電磁クラッチ14a,14bを備え、こられ電磁クラッチ14a,14bとは、伝達ベルト60(図2参照)を介して連結されている。
これら圧縮機12a,12bの吐出管12cは、プレート式熱交換器31、四方弁15、室外熱交換器17の順に接続され、この室外熱交換器17には、液管4aを介して、各室内ユニット3の膨張弁19a〜19c、室内熱交換器21a〜21cが接続され、室内熱交換器21a〜21cには、ガス管4bを介して、四方弁15が接続され、この四方弁15には、吸込管12dを介して、圧縮機12a,12bが接続されている。また、この圧縮機12a,12bの吐出管12cおよび吸込管12dは、バイパス管18で接続され、このバイパス管18に、アンロード用のバイパス弁20が設けられている。本構成では、上記した各機器を備えて冷媒回路が形成されている。
【0015】
圧縮機12a,12bが駆動されると、四方弁15の切り替え状態で、それが暖房切り替えであれば、実線の矢印で示すように、圧縮機12a,12b、四方弁15、室内熱交換器21a〜21c、膨張弁19a〜19c、室外熱交換器17の順に冷媒が循環し、室内熱交換器21a〜21cでの冷媒凝縮熱により室内が暖房される。これとは反対に、四方弁15が冷房切り替えであれば、破線の矢印で示すように、圧縮機12a,12b、四方弁15、室外熱交換器17、膨張弁19a〜19c、室内熱交換器21a〜21cの順に冷媒が循環し、この室内熱交換器21a〜21cでの冷媒蒸発熱により室内が冷房される。
【0016】
つぎに、ガスエンジン10の冷却装置について説明する。
このガスエンジン10は水冷式であり、このガスエンジン10のウォータージャケットを循環した冷却水は、第1の三方弁22、逆潮流ヒータ23および第2の三方弁24を経て、ラジエータ25に供給される。このラジエータ25は、室外熱交換器17と併設されており、これらは同一の送風機26により送られる空気によって空冷され、このラジエータ25を経た冷却水は、冷却水ポンプ27、排ガス熱交換器29の順に流れて、ガスエンジン10のウォータージャケットに戻される。
排ガス熱交換器29には、ガスエンジン10の排気ガスが通され、この排気ガスは、排気トップ30を経て、室外ユニット2の外に排出される。
【0017】
上述した第1の三方弁22は冷却水温度で自動的に切り替えられる。すなわち、冷却水温度が所定温度よりも低い場合、ガスエンジン10のウォータージャケットからの冷却水を、ラジエータ25をバイパスし、直接、冷却水ポンプ27、排ガス熱交換器29の順に導いて、上記ウォータージャケットに戻す。
第2の三方弁24は、例えば暖房運転時に切り替えられ、この場合、冷却水はラジエータ25をバイパスし、プレート式熱交換器31を経て、冷却水ポンプ27、排ガス熱交換器29の順に流れ、ウォータージャケットに戻される。
【0018】
つぎに、発電機11による発電系統について説明する。
発電機11には、動力線32を介して、系統連系インバータ33が接続され、この系統連系インバータ33は、発電機11からの三相交流電力を、AC/DCコンバータを介して、直流電力に変換した後、200Vの三相交流の電力に再度変換して、商用系統35に出力する。この商用系統35は、商用電源36と、ブレーカ37と、需要家負荷38とを含み、系統連系インバータ33は、ブレーカ37と、需要家負荷38との間に接続されている。
【0019】
また、この系統連系インバータ33は、上述した逆潮流ヒータ23に適宜電力を供給すると共に、室外ユニット2の室外側コントローラ39に、通信線40を介して通信可能に接続されている。そして、この室外側コントローラ39は、商用系統35から電源線41を介して動作電源を得ると共に、通信線42を介して各室内ユニット3の室内側コントローラに通信可能に接続されている。
【0020】
この系統連系インバータ33には、商用電源36およびブレーカ37の間に設置された電力検出器43が接続されている。この電力検出器43は、商用系統35に供給される電力値をリアルタイムに取得し、この取得した電力値データが、系統連系インバータ33に入力され、通信線40を介して室外側コントローラ39に送られる。
また、系統連系インバータ33は、発電機11の発電量を制御する機能を有し、必要に応じ、発電量を減少または増大させる。このような構成において、例えば室内ユニット3側の空調要求に応じて、圧縮機12a,12bの負荷が増大すると共に、商用系統35の需要家負荷38の増大に応じて、発電要求が増大した場合、ガスエンジン10の負荷が増大する。需要家負荷38は、電力検出器43、系統連系インバータ33および室外側コントローラ39により常時監視されている。また、系統連系インバータ33は、電源線47を介して商用系統35に接続されており、この電源線47を通じて発電機11で発電された電力を商用系統35に出力可能となっている。この電力の一部は、室外ユニット2の送風機26、冷却水ポンプ27、室内ユニット3a〜3cの各送風機48a〜48cに出力され、電力供給レスの実現が図られている。
【0021】
次に、室外ユニット2の内部構成について説明する。
図2は、室外ユニット2を正面側から見た斜視図であり、図3は、室外ユニットの背面図である。これら図2および図3では、室外ユニット2の筐体の外側を覆うパネルの記載を省略している。
室外ユニット2は、図2および図3に示すように、略直方体形状に形成された筐体52を備え、この筐体52の内部は、略水平に延びる仕切り板53によって上下二段に画成されている。この上段部には、室外熱交換器17(図1参照)及び送風機26が設けられる熱交換室54が構成され、下段部には、ガスエンジン10、発電機11及び圧縮機12等が配置される機械室55が構成されている。
この仕切り板53は、送風機26や室外熱交換器17のフィンの隙間から熱交換室54内に入り込む雨水等が機械室55に入り込まないように、両室を隙間無く仕切っている。この仕切り板5には、熱交換室54と機械室55とを繋ぐ2つの通気口56が室外ユニット2の幅方向に間隔をあけて設けられている。この通気口56は、室外ユニット2内部の空気が両室を自由に移動できるようにするものである。また、この通気口56には、熱交換室54側から機械室55に雨水等が入り込まないように、屋根部56aがそれぞれ設けられている。すなわち、機械室55側の空気は、図3に示す矢印Xの経路を通って熱交換室54へ移動することになる。
【0022】
室外ユニット2の筐体52の天面52aには、図2および図3に示すように、2つの送風機26が幅方向に並べて配設されている。これら送風機26は、熱交換室54の正面側及び背面側にそれぞれ配置される室外熱交換器のフィンの隙間を通じて、この熱交換室54内に外気を取り込むことにより、この取り込んだ外気と室外熱交換器17(図1)を流れる冷媒とを熱交換させる。そして、熱交換された空気は、送風機26によって室外ユニット2の上方に向けて排出される。また、筐体52の天面52aには、ガスエンジン10での排気ガスを室外ユニット2の機外に排出するための排気トップ30が設けられている。
また、機械室55の正面、背面及び側面には、図示は省略したが、それぞれ前面パネル、背面パネル及び側面パネルを備える。本構成では、前面パネル及び背面パネルは左右一対の2枚のパネルで構成されており、これら2枚のパネルの間には、当該パネルを支持する縦フレーム57が設けられている。また、前面パネル、背面パネル及び側面パネル、筐体52の各フレームにねじ等で着脱自在(開閉自在)に取り付けられている。これら各パネルが取り付けられた状態では、室外ユニット2は機械室55内に雨水等が入り込まない水密な構造となっている。
さらに、機械室をメンテナンスする場合には、該当するパネルを取り外すことにより、メンテナンスの対象機器に簡単にアクセスすることができ、メンテナンス作業の軽減を図ることが可能となる。
【0023】
図4は、機械室55を上側から見た断面図である。なお、図4において、下側が正面側となる。
機械室55の内部には、底板55aの略中央部にガスエンジン10が配置され、このガスエンジン10の正面右側に発電機11が配置され、このガスエンジン10の正面左側に圧縮機12が配置されている。この圧縮機12の手前側であって、上記した縦フレーム57の左側には、室外側コントローラ39が配置されている。この室外側コントローラ39は、室外ユニット2内に配置された各機器(例えば、ガスエンジン10、電磁クラッチ14a,14b、四方弁15、送風機26など)の動作を制御する。
【0024】
また、発電機11の手前側であって、縦フレーム57の右側には、系統連系インバータ33が配置されている。この系統連系インバータ33には、発電機11で発電した電力が動力線32(図1)を介して送られる。そのため、発電機11の近くに系統連系インバータ33を配置している。
これら室外側コントローラ39及び系統連系インバータ33は、機械室55の正面側に、上記縦フレーム57によって左右振り分けられて配置されている。さらに、室外側コントローラ39及び系統連系インバータ33を収容する箱体39A、33Aは、ともに前面側が開口して形成されており、これら箱体39A、33Aの前面側の開口は、機械室55の前面パネルを取り付けた際に、この前面パネルによってそれぞれ塞がれるようになっている。すなわち、各前面パネルが室外側コントローラ39及び系統連系インバータ33の箱体39A,33Aの前面及び機械室55の前面を塞ぐ部材として兼用されている。
このため、室外側コントローラ39のメンテナンスを行う場合には、左側の前面パネルを外せば良く、同様に系統連系インバータ33のメンテナンスを行う場合には、右側の前面パネルを外せば良いため、メンテナンス時の作業を容易に行うことができる。
【0025】
ガスエンジン10は、図4に示すように、両端から略水平に出力軸となる駆動軸10aが突出している。この駆動軸10aの左方(一端側)の軸端部には、巻掛け伝動用の駆動プーリー58が取り付けられている。また、圧縮機12の従動軸にも駆動プーリー59(図3)が取り付けられており、これらの駆動プーリー58、59に伝達ベルト60が巻き掛けられている。これにより、ガスエンジン10の回転動力は伝達ベルト60を介して圧縮機12へと伝達され、圧縮機12が駆動されるようになる。
一方、駆動軸10aの右方(他端側)の軸端部には、発電機11のロータ(不図示)が連結されている。これにより、ガスエンジン10が駆動している場合には、この駆動力を利用して発電機11を動作させることができる。この場合、発電機11のロータ(不図示)が駆動軸10aに直結されているため、このロータを回転駆動させる際の機械ロスが低減し、発電効率の向上を図ることができる。
本構成では、ガスエンジン10の駆動軸10aの一端側に圧縮機12を設け、他端側に発電機11を設け、この発電機11のロータを駆動軸10aに直結したことにより、発電機11の小型化を図ることができ、ガスエンジン10、発電機11および圧縮機12を室外ユニット2の筐体52内にコンパンクトに配置することができる。
なお、図4において、符号61はアキュームレーター、62はオイルセパレータ、63はエアクリーナ、64は吸気ボックス、65は排気マフラー、66はオイルサブタンクである。このオイルサブタンク66は、図2に示すように、発電機11と筐体52の右側面開口部52bとの間に配置されている。このため、発電機11のメンテナンスをする場合には、側面パネルを取り外して右側面開口部52bを開放し、オイルサブタンク66の上方空間を通じて発電機11にアクセスすることになる。従って、発電機11に近接して他の機器が配置されるような構成では、発電機11のメンテナンスの頻度を低減して労力の低減を図ることが望ましい。
【0026】
次に、発電機11の構成について説明する。
ガスエンジン10は、図5に示すように、架台70に支持され、室外ユニット2の筐体の底板55a(図4)に固定されている。このガスエンジン10は、ピストン(不図示)の往復動作を回転動作に変えて出力する駆動軸10a(図4)を備え、この駆動軸10aの他端側にはフライホイール71が連結され、このフライホイール71の中央部にエンジンボス72がボルト止めされている。これらフライホイール71、エンジンボス72は、ガスエンジン10のボディ外壁10bで形成された凹部73内に収容される。
また、ガスエンジン10のボディ外壁10bには、当該ガスエンジン10の駆動軸10aに連結されたエンジンボス72を囲うように、環状のステータブラケット74が、複数本のボルトを介して取り付けられている。そして、このステータブラケット74には、発電機11を構成する環状のステータ75が複数本のボルトを介して固定されている。
このステータ75の内側には、発電機11を構成する環状のロータ80が配置され、このロータ80は、皿状のロータブラケット81に固定され、このロータブラケット81は、複数本のボルトを介して、上記エンジンボス72に固定されている。これにより、ロータ80は、ロータブラケット81、エンジンボス72及びフライホイール71を介して、駆動軸10aに連結され、この駆動軸10aを支持するガスエンジン10の軸受(不図示)によって、いわゆる片持ち状態で支持されている。
なお、この図5において、76は、ロータ80を覆うカバー体であり、このカバー体76は、ステータ75に固定されている。また、77は、ステータ75に設けられた端子台75aを覆う端子台カバーである。
【0027】
このように、ロータ80をガスエンジン10の駆動軸10aに直結した場合には、このロータとガスエンジンとを伝達ベルトを介して接続する場合に比べて、伝達ベルトの張りや磨耗をチェックする必要がなく、メンテナンス頻度の低減を図ることができる。
一方、ロータ80はガスエンジン10の駆動軸10aの軸受に片持ち支持された状態となるため、当該ロータ80とステータ75との隙間管理が重要となる。
本構成では、ロータ80が偏心して動作した場合に、このロータ80の中心部の偏心を検出し、当該ロータ80がステータ75の内面に接触しうる程度に偏心すると、ロータ80の回転を停止するように構成されている。
【0028】
図6は、ステータ75とロータ80とを示す側面図である。
ステータ75は、環状に形成されたステータ本体90と、このステータ本体90の径方向内方に突出した複数のステータコア91と、これらステータコア91のティース91Aにそれぞれ巻き回された巻線92とを備えて構成されている。また、ロータ80は、環状に形成されたロータ本体95と、このロータ本体95の外周面に沿って貼着された磁石96とを備えて構成されている。
このような構成において、ロータ80の中心部O(具体的には、ロータブラケット81の中心)が偏心すると、このロータ80の磁石96と、ステータ75の巻線92との隙間量が変化する。この場合、ロータ80の磁石96と、ステータ75の巻線92との隙間量の変化に伴い、ロータ80とステータ75との間に生じる空隙磁束が変動することが実験等で確認されている。
具体的には、隙間量が小さくなるにつれて、空隙磁束の値は大きくなり、隙間量が大きくなるにつれて、空隙磁束の値が小さくなる。この空隙磁束の変動は、巻線に流れる電流値にて検出することが可能である。
【0029】
本実施形態では、ロータ80の中心部Oを介して対向する一対の巻線92A,92Bに各々流れる電流値を検出し、各電流値の差分値が所定値を超えたか否かを判別する制御部100(検出手段)を備える。この制御部100には、室外側コントローラ39が接続され、この室外側コントローラ39にガスエンジン10が接続されている。
この構成では、ロータ80の中心部Oが偏心した場合、ロータ80は、その外周部の一点がステータ75の巻線92に接近する一方、中心部Oを挟んだ外周部の他点はステータ75の巻線92から離間する。このため、ロータ80の中心部Oを介して対向する巻線92A,92Bをそれぞれ流れる電流値を検出することにより、このロータ80の中心部Oが偏心した場合、ロータ80が接近した巻線92Aに流れる電流値が増大し、ロータ80が離間した巻線92Bに流れる電流値が減少する。よって、巻線92A,92Bに各々流れる電流値の差分値が所定値を超えたか否かで、ロータ80回転時における当該ロータ80の中心部Oの偏心を検出することができる。
上記した所定値は、ロータ80がステータ75の内面に接触しうる程度に偏心した際の値であり、本実施形態では、当該所定値は実験等により決定される。
【0030】
次に、本実施形態の動作を説明する。
ガスエンジン10が駆動されると、駆動軸10aに固定されたロータ80が回転し、巻線92に電流が流れて、この電力が系統連系インバータ33を介して商用系統35に出力される。
この場合、制御部100は、対向して配置される巻線92A,92Bに流れる各電流値を監視し、これら各電流値の差分値が所定値を超えたか否かを判別する。この判別において、差分値が所定値を超えなければ、電流値の監視を継続する。一方、差分値が所定値を超えた場合には、制御部100は、室外側コントローラ39に停止信号を出力し、この停止信号を受けた室外側コントローラ39はガスエンジン10の運転を停止する。本構成では、制御部100が停止手段としても機能する。
【0031】
以上、説明したように、本実施形態によれば、ガスエンジン10のボディ外壁10bに当該ガスエンジン10の駆動軸10aを囲うように設けられた環状のステータ75と、このステータ75の内側に駆動軸10aに連結されたロータ80とを備え、このロータ80の回転時に、当該ロータ80の中心部Oの偏心を検出し、当該ロータ80がステータ75に接触しうる程度の偏心が検出された場合に、ガスエンジン10の運転を停止する制御部100を備えるため、当該ロータ80の中心部Oの偏心が生じた場合であっても、当該ロータ80がステータ75に接触することを防止することができる。
この構成によれば、ロータ80をガスエンジン10の駆動軸10aに直結し、制御部100がロータ80の中心部Oの偏心を検出するため、発電機11の定期的なメンテナンスの労力を軽減することができる。従って、例えば、発電機11に近接してオイルサブタンク66等の他の機器を配置するレイアウトを採ることが可能となり、筐体52内へガスエンジン10及び発電機11をコンパクトに配置することができる。
【0032】
また、本実施形態によれば、制御部100は、ロータ80回転時における当該ロータ80とステータ75との間の磁束の変動に基づいて、当該ロータ80の中心部Oの偏心を検出するため、ロータ80の中心部Oの偏心を検出するために別途のセンサを設ける必要がなく、簡単な構成で当該偏心を検出することができる。
【0033】
また、本実施形態によれば、ステータ75は、径方向内方に突出した複数のティース91Aを有するステータコア91と、各ティース91Aの周囲に巻き回される巻線92とを備えて構成され、制御部100は、ロータ80回転時における当該ロータ80とステータ75との間の磁束の変動を、対向する巻線92A,92Bの各々に流れる電流値の差分値が所定値を超えたか否かで検出するため、簡単な構成で磁束の変動を確実に検出することができる。
【0034】
以上、本発明を実施するための最良の形態について述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。例えば、本実施形態では、制御部100は、対向する一対の巻線92A,92Bに流れる電流値を検出する構成としているが、複数対の巻線に流れる電流値を検出する構成としても良い。この構成によれば、ロータ80が回転する角度が小さくても当該ロータ80の中心部Oの偏心を検出することができ、より正確な偏心の検出が可能となる。
また、本実施形態では、ロータ80回転時における当該ロータ80とステータ75との間の磁束の変動を、対向する巻線92A,92Bの各々に流れる電流値の差分値が所定値を超えたか否かで検出する構成としているが、これに限るものではなく、当該巻線92A,92Bに印加される電圧値の差分値で見ても良いし、磁束の変動を直接検出する構成としても良い。
【0035】
また、本実施形態では、ロータ80回転時における当該ロータ80とステータ75との間の磁束の変動を、対向する巻線92A,92Bの各々に流れる電流値の差分値が所定値を超えたか否かで検出する構成としているが、これに限るものではなく、例えば、ステータ75から系統連系インバータ33に出力される電流値もしくは電圧値の変動値が所定値を超えたか否かで検出する構成としても良い。具体的には、ステータ75の端子台75aに、動力線32を介して不図示の制御部が接続され、この制御部には、室外側コントローラ39(図1)を介してガスエンジン10(図1)が接続される。
制御部は、動力線32のR相−S相、S相−T相、T相−R相のいずれかに印加される電圧値を継続的に検知し、この電圧値の変動値を検出するように構成されている。
この構成によれば、ステータ75から出力される電圧値の変動値を検出し、この変動地が所定値を超えたか否かを検出するといった簡単な構成で、ロータ80の中心部Oの偏心を検出することができる。なお、制御部は、各相に印加される電圧値を検出するものに限らず、各相の動力線を流れる電流値を検出する構成を備えてもよく、電流値と電圧値の一方を検出する構成、または、その両方を検出する構成としても良い。
【0036】
また、本実施形態では、ロータ80回転時における当該ロータ80とステータ75との間の磁束の変動に基づいて、当該ロータ80の中心部Oの偏心を検出する構成としているが、例えば、ロータ80とステータ75との隙間を検出する隙間センサを設け、この隙間センサにより、当該ロータ80の中心部Oの偏心を検出する構成としても良い。
また、本実施形態では、ロータ80の回転時に、当該ロータ80がステータ75に接触しうる程度の偏心が検出された場合に、ガスエンジン10の運転を停止する構成としているが、これに限るものではなく、例えば、駆動軸10aとロータ80との間に電磁クラッチを設け、この電磁クラッチを開放することにより、ロータ80の回転を停止する構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】ガスエンジン駆動式の空気調和機を示す回路図である。
【図2】室外ユニットを示す斜視図である。
【図3】室外ユニットの背面図である。
【図4】機械室を上側から見た断面図である。
【図5】発電機の分解斜視図である。
【図6】対向して配置される巻線に流れる各電流値からロータの中心部の偏心を検出する機構を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
1 空気調和装置(ガスエンジン駆動式空気調和装置)
2 室外ユニット
10 ガスエンジン
10a 駆動軸(出力軸)
10b ボディ外壁
11 発電機(エンジン駆動式発電装置)
12 圧縮機
17 室外熱交換器
29 排ガス熱交換器
33 系統連系インバータ
35 商用系統
36 商用電源
37 ブレーカ
39 室外側コントローラ
52 筐体
60 伝達ベルト
66 オイルサブタンク
71 フライホイール
72 エンジンボス
73 凹部
74 ステータブラケット
75 ステータ
75a 端子台
76 カバー体
80 ロータ
81 ロータブラケット
90 ステータ本体
91 ステータコア
91A ティース
92 巻線
92A 巻線
92B 巻線
95 ロータ本体
96 磁石
100 制御部(検出手段、停止手段)
O 中心部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンのボディ外壁に当該エンジンの出力軸を囲うように設けられた環状のステータと、このステータの内側に前記エンジン出力軸に連結されたロータとを備えるエンジン駆動式発電装置において、
前記ロータの回転時に、当該ロータの中心部の偏心を検出する検出手段と、当該ロータが前記ステータに接触しうる程度の前記偏心が検出された場合に、前記ロータの回転を停止する停止手段とを備えることを特徴とするエンジン駆動式発電装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記ロータ回転時における当該ロータと前記ステータとの間の磁束の変動に基づいて、当該ロータの中心部の偏心を検出することを特徴とする請求項1に記載のエンジン駆動式発電装置。
【請求項3】
前記ステータは、径方向内方に突出した複数のティースを有するステータコアと、各ティースの周囲に巻き回される巻線とを備えて構成され、前記検出手段は、前記ロータ回転時における当該ロータとステータとの間の磁束の変動を、対向する前記巻線の各々に流れる電流値の差分値が所定値を超えたか否かで検出することを特徴とする請求項2に記載のエンジン駆動式発電装置。
【請求項4】
前記ステータは、径方向内方に突出した複数のティースを有するステータコアと、各ティースの周囲に巻き回される巻線とを備えて構成され、前記検出手段は、前記ロータ回転時における当該ロータとステータとの間の磁束の変動を、前記ステータから出力される電流値もしくは電圧値の変動値が所定値を超えたか否かで検出することを特徴とする請求項2に記載のエンジン駆動式発電装置。
【請求項5】
エンジンで駆動される圧縮機および室外熱交換器と、前記エンジンで駆動される発電機とを単一の筐体内に収納し、この発電機が前記エンジンのボディ外壁に当該エンジンの出力軸を囲うように設けられた環状のステータと、このステータの内側に前記エンジン出力軸に連結されたロータとを備えて構成された空気調和装置の室外ユニットにおいて、
前記ロータの回転時に、当該ロータの中心部の偏心を検出する検出手段と、当該ロータが前記ステータに接触しうる程度の前記偏心が検出された場合に、前記ロータの回転を停止する停止手段とを備えることを特徴とする空気調和装置の室外ユニット。
【請求項6】
前記検出手段は、前記ロータ回転時における当該ロータと前記ステータとの間の磁束の変動に基づいて、当該ロータの中心部の偏心を検出することを特徴とする請求項4に記載の空気調和装置の室外ユニット。
【請求項7】
前記ステータは、径方向内方に突出した複数のティースを有するステータコアと、各ティースの周囲に巻き回される巻線とを備えて構成され、前記検出手段は、前記ロータ回転時における当該ロータとステータとの間の磁束の変動を、対向する前記巻線の各々に流れる電流値の差分値が所定値を超えたか否かで検出することを特徴とする請求項5に記載の空気調和装置の室外ユニット。
【請求項8】
前記ステータは、径方向内方に突出した複数のティースを有するステータコアと、各ティースの周囲に巻き回される巻線とを備えて構成され、前記検出手段は、前記ロータ回転時における当該ロータとステータとの間の磁束の変動を、前記ステータから出力される電流値もしくは電圧値の変動値が所定値を超えたか否かで検出することを特徴とする請求項2に記載の空気調和装置の室外ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−63296(P2010−63296A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−228036(P2008−228036)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】