説明

エンボス加工ウェブの作製プロセス

エンボス加工ウェブの作製プロセス。前駆体ウェブを成形構造体と静圧プレナムとの間に供給する。成形構造体は複数の離散型突出要素を有する。圧力は、前駆体ウェブを成形構造体の離散型突出要素と適合させるために、前駆体ウェブ及び成形構造体に対して静圧プレナムによって提供されて、エンボス加工ウェブを形成する。得られるエンボス加工ウェブは、開口近位端部を有する複数の離散型伸長要素を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の離散型伸長要素を備えるエンボス加工ウェブの作製プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性フィルムのようなウェブ材料は、吸収性物品の構成要素材料(トップシート及びバックシートなど)、包装材(フローラップ、シュリンクラップ、及びポリバッグなど)、ゴミ袋、食品用ラップ、デンタルフロス、拭き取り用品、電子部品などを含む様々な用途を有する。ウェブ材料のこれらの用途の多くにとって、所望の感触、視覚的印象、及び/又は聴覚的印象を有するウェブ材料の表面を提供することができる非平坦化された表面をウェブ材料が有することは有益であり得る。
【0003】
柔らかく絹のような触感を呈する高分子ウェブは、真空成形プロセス又はハイドロフォーミングプロセスによって作製され得る。典型的な真空成形プロセスでは、前駆体ウェブを加熱し、成形構造体に被せる。次いで、真空の力によって前駆体ウェブを成形構造体のテクスチャーに適合させる。得られる高分子ウェブは、成形構造体のテクスチャー及び適合の程度に依存する、柔らかく絹のような触感を提供することができるテクスチャーを有する。真空成形プロセスは、柔らかく絹のような高分子ウェブの作製に好適であり得るが、真空成形プロセスは、典型的には、前駆体ウェブ上に課されることが可能な圧力の量に関して制限される。結果的に、通常は、成形構造体に対して前駆体フィルムを真空成形するために、成形構造体上に配置する前に前駆体フィルムを加熱して、前駆体フィルムをかなり柔らかくする又は溶解する必要がある。真空成形プロセスは、したがって、プロセスがどれだけ速く実行され得るかという観点からは、プロセスによってもたらされる加熱工程及び制限された圧力のために、非効率的なプロセスである。
【0004】
典型的なハイドロフォーミングプロセスでは、前駆体ウェブを成形構造体に被せて、高圧及び高温の水ジェットによって成形構造体のテクスチャーと適合させる。得られる高分子ウェブは、成形構造体のテクスチャーに依存する、柔らかく絹のような触感を提供することができるテクスチャーを有することができる。ハイドロフォーミングプロセスは、柔らかく絹のような高分子ウェブを製造する能力は有するが、典型的には、高圧及び高温の水ジェット、並びにその後の脱水工程を含む乾燥工程の使用が関わる高価で非効率的なプロセスである。
【0005】
エンボス加工は、典型的には、基材を機械的に加工して、エンボスロール上に彫られた又は何らかの方法で形成されたパターンの深さ及び輪郭に圧力下で基材を適合させる作用が関わるプロセスである。エンボス加工は消費者用品の生産に広く使用されている。製造業者はエンボス加工プロセスを用いて、布地、紙、合成材、プラスチック材、金属、及び木材で作製された製品にテクスチャー又はレリーフのパターンを付与する。
【0006】
エンボス加工プロセスは、高分子フィルムにテクスチャーをもたらすために使用されてきた。しかし、そのようなエンボス加工プロセスは、典型的には、エンボス加工ウェブを生産するためにエンボス加工をする前に、成形構造体上に溶融樹脂を押出して成形すること、又は、成形構造体に定置する前に前駆体ウェブを加熱することを要求する。次いで、エンボス加工ウェブを、典型的には、加熱された前駆体ウェブ又は溶融樹脂をエンボス加工するために使用されるエンボスロール又はプレートを冷却することによって冷却する。この冷却工程は、しばしば、エンボス加工ウェブにテクスチャーを定着させるために使用される。しかし、これらの加熱工程及び冷却工程は、不要なコスト及び非効率性並びに複雑さをプロセスに追加する。加えて、そのようなエンボス加工プロセスには、典型的には、遅く非効率的なプロセスを結果的にもたらし得る比較的多大な保持時間が関与する。
【0007】
また、典型的には、従来のエンボス加工プロセスを用いて前駆体ウェブに比較的小規模のテクスチャーを付与することは困難である。更に、典型的なエンボス加工プロセスは、ウェブ全体に比較的均一の厚さを有するエンボス加工ウェブを生産する傾向がある。
【0008】
例えば、米国特許第5,972,280号は、刻み込まれたエンボス加工ロールの熱い表面及びチャンバ内で印加される静圧を利用して、ウェブを加熱しエンボス加工ロールの表面に被せて変形させるエンボス加工プロセスを開示している。このプロセスは、典型的にはウェブの軟化温度より高い高温及び約0.007MPa〜約0.7MPaの比較的低い圧力を使用する。結果として、ウェブの1つの表面のみに配置される凹みとしてエンボス加工パターンが形成され、ウェブの反対側の表面は影響されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,972,280号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
当該技術分野における知識にも関わらず、所望の感触、視覚的印象、及び/又は聴覚的印象を有するエンボス加工ウェブ、特に、エンボス加工ウェブの所望の区域が薄化されているエンボス加工ウェブを作製するためのより効率的なプロセスの開発を求める要求はなおある。特定の態様では、所望のプロセスは、プロセスが要求するエネルギー及び資源に関して効率的である。特定の態様では、所望のプロセスは、高速で運転することが可能である。特定の態様では、所望のプロセスは、周囲温度のような比較的低温で運転することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施形態では、エンボス加工ウェブの作製プロセスは、静圧ガスプレナムと、複数の離散型突出要素を有する成形構造体との間に前駆体ウェブを供給する工程を含む。この方法は、更に、成形構造体に対向する前駆体ウェブに対して静圧ガスプレナムからの圧力を印加する工程であって、前駆体ウェブを成形構造体の離散型突出要素に適合させるために十分な差圧を前駆体ウェブにわたって生成して、それにより、開口近位端部を有する複数の離散型伸長要素を備えるエンボス加工ウェブを形成する、工程を含む。
【0012】
本発明の追加的な特徴は、図、実施例、及び添付の特許請求の範囲とともに以下の詳細な説明を評価することによって当業者には明らかとなり得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本開示の実施形態による成形構造体の一部分の斜視図。
【図2】図1に示した成形構造体の一部分の拡大斜視図。
【図3】本開示の実施形態による成形構造体の平面図。
【図4】本開示の実施形態による成形構造体の突出要素の側面図。
【図5】本開示の実施形態による成形構造体の側面図を示す顕微鏡写真。
【図6】本開示の実施形態によるプロセスによって形成されたエンボス加工ウェブの一部分の斜視図。
【図7】本開示の実施形態によるプロセスによって形成されたエンボス加工ウェブの一部分の断面図。
【図8】本開示の実施形態によるプロセスによって形成された、開口遠位端部を有する離散型伸長要素を有するエンボス加工ウェブの一部分の斜視図。
【図9】本開示の実施形態によるプロセスの略図であり、静圧ガスプレナムを図示する。
【図10A】本開示の実施形態によるプロセスによって形成されたエンボス加工ウェブの底面の顕微鏡写真。
【図10B】本開示の実施形態によるプロセスによって形成されたエンボス加工ウェブの底面の顕微鏡写真。
【0014】
本明細書は、本発明と見なされる主題を特定して指摘し明確に請求する特許請求の範囲をもって結論とするが、本発明は、添付の図面と関連させた次の説明から更によく理解されると考えられる。いくつかの図は、他の要素をより簡潔に示すため、選択された要素を省略することで簡易化されてもよい。いくつかの図中のかかる要素の省略は、対応する明細書の中で明確に述べられている場合を除き、代表的な実施形態のいずれかにおいて必ずしも特定要素の有無を暗示するものではない。いずれの図面も必ずしも縮尺どおりではない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書に開示されるのは、先行技術の前述の欠点の1つ以上を克服するエンボス加工ウェブの形成プロセスである。具体的には、このプロセスの実施形態によって、より効率的なウェブエンボス加工プロセスが可能になる。例えば、このプロセスの実施形態によって、比較的小規模のテクスチャーをウェブに付与することができるようになる。更に、このプロセスの実施形態によって、先行技術で要求された面倒な加熱工程及び冷却工程を回避することができるようになる。なお更に、このプロセスの実施形態は、先行技術のプロセスで必要とされた多大な保持時間を必要としない。加えて、先行技術の静圧プロセスと比較して、このプロセスの実施形態は、開口近位端部及び、開口又は閉口遠位端部を有する、3次元の離散型伸長要素の形成を可能にすることができる。特定の実施形態では、このプロセスを使用して、例えばバブルラップのような包装材に使用するためのマクロスケールの構造体を形成することができる。
【0016】
このプロセスは、概して、静圧プレナムと成形構造体との間に前駆体ウェブを供給する工程を含む。成形構造体は複数の離散型突出要素を含む。このプロセスは、更に、前駆体ウェブ及び成形構造体に対して、前駆体ウェブを成形構造体の離散型突出要素に適合させるために十分な静圧プレナムからの圧力を印加して、開口近位端部を有する複数の離散型伸長要素を備えるエンボス加工ウェブを形成することを含む。プロセスのこれらの態様を、以下に更に詳細に説明する。
【0017】
成形構成体
本発明のプロセスで有用な成形構造体は、複数の離散型突出要素と、離散型突出要素を完全に取り囲むランドとを備える。本発明の成形構造体の離散型突出要素は、エンボス加工プロセスでダイに使用される典型的なパターンと比べて規模が小さい。成形構造体の離散型突出要素はまた、比較的高いアスペクト比も有する。特性のこの組み合わせは、前駆体ウェブを加熱しなくとも、及び高速でさえも、薄化された遠位端部を有する比較的高いアスペクト比の伸長要素を備えるエンボス加工ウェブを本発明のプロセスによって生産することを可能にすることができる。
【0018】
図1に関して参照した成形構造体8のような本発明の成形構造体は、本発明のプロセスでエンボス加工ウェブを作製するために使用される。成形構造体は、成形スクリーンとも呼ばれる。図1は、本発明の成形構造体8の一部分を、部分斜視図で図示する。図1の離散型突出要素10は、成形構造体の第1の表面12から伸長しており、概ね円柱状の柱のような形状を有する。
【0019】
図2は、図1に示した成形構造体8を更に拡大した部分斜視図であり、図7のエンボス加工ウェブ18の類似の図と比較する。離散型突出要素10は、第1の表面12から遠位端部14まで伸長するように、以下に説明する方法によって作製することができる。図2に示すように、離散型突出要素10は、隣接する突出部の間の第1の表面12から遠位端部14にかけて測定される最小振幅から測定される高さ(「hp」)を有することができる。したがって、第1の表面12は、離散型突出要素10を完全に取り囲むランド区域を構成する。突出要素の高さhpは、少なくとも約30マイクロメートル、少なくとも約50マイクロメートル、少なくとも約75マイクロメートル、少なくとも約100マイクロメートル、少なくとも約150マイクロメートル、少なくとも約250マイクロメートル、又は少なくとも約380マイクロメートルであることができる。突出要素10は直径(「dp」)を有し、概ね円筒形の構造体では、これは外径である。不均一の断面及び/又は非円筒形構造体の突出要素10では、直径dpは図2に示すように、突出要素10の高さhpの2分の1での突出要素の平均断面寸法として測定される。突出要素は、約10マイクロメートル〜約5,000マイクロメートルであり得る直径dpを有することができる。他の好適な直径としては、例えば、約50マイクロメートル〜約500マイクロメートル、約65マイクロメートル〜約300マイクロメートル、約75マイクロメートル〜約200マイクロメートル、約100マイクロメートル〜約25,000マイクロメートル、約500マイクロメートル〜約5000マイクロメートル、又は約800マイクロメートル〜約2,500マイクロメートルが挙げられる。特定の実施形態では、突出要素は、マクロスケールの離散型伸長要素を形成するために、より大きい直径を有することができる。例えば、突出要素は、最高約2.5センチメートル、最高約2センチメートル、最高約1.5センチメートル、最高約1センチメートル、最高約0.5センチメートル、又は最高約0.1センチメートルの直径を有することができる。一実施形態では、成形構造体の突出要素は、約500マイクロメートル未満又は約300マイクロメートル未満の直径を有することになる。
【0020】
それぞれの突出要素10に関して、hp/dpとして定義される突出要素のアスペクト比を決定することができる。突出要素10は、少なくとも約0.5、少なくとも約0.75、少なくとも約1、少なくとも約1.5、少なくとも約2、少なくとも約2.5、又は少なくとも約3以上のアスペクト比hp/dpを有することができる。突出要素10は、約100マイクロメートル〜約1,020マイクロメートル、約100マイクロメートル〜約640マイクロメートル、約150マイクロメートル〜約500マイクロメートル、又は約180マイクロメートル〜約430マイクロメートルの中心間距離Cpを2つの隣接する突出要素10の間に有することができる。
【0021】
概して、2つの隣接する要素10の間の実距離(すなわち「縁間」寸法)は、隣接する突出要素10の間の前駆体ウェブの十分な変形を確保するために、前駆体ウェブの厚さtの2倍より大きくなくてはならない。離散型突出要素10は、典型的には、約30マイクロメートル〜約800マイクロメートル、約30マイクロメートル〜約650マイクロメートル、約50マイクロメートル〜約500マイクロメートル、又は約60マイクロメートル〜約300マイクロメートルの縁間距離を有することになる。
【0022】
概して、本発明の成形構造体は、その成形構造体の所与の部分に1平方センチメートル当たり少なくとも約95個の離散型突出要素、1平方センチメートル当たり少なくとも約240個の離散型突出要素、1平方センチメートル当たり少なくとも約350個〜10,000個の離散型突出要素、1平方センチメートル当たり少なくとも約500〜5,000個の離散型突出要素、又は1平方センチメートル当たり少なくとも約700〜3,000個の離散型突出要素を含むことになる。
【0023】
特定の実施形態では、成形構造体の所与の部分は、前の文節に記載したような離散型突出要素及び離散型突出要素を全く含まない成形構造体の他の部分の面密度を含むことができる。他の実施形態では、成形構造体の離散型突出要素は、成形構造体の異なる水平面に位置づけられ得る。
【0024】
概して、個々の突出要素10のそれぞれの実際の高さhpは変化してもよく、複数の突出要素10の平均高さ(「hpavg」)は、成形構造体8の既定の区域にかけての突出要素の平均最小振幅(「Apmin」)及び突出要素の平均最大振幅(「Apmax」)を決定することによって決定することができる。同様に、変化する断面寸法では、複数の突出部8の平均突出直径(「dpavg」)を決定することができる。そのような振幅及び他の寸法測定は、コンピューター支援走査顕微鏡及び関係するデータプロセシングのような、当該技術分野で既知の任意の方法によって行うことができる。したがって、成形構造体8の既定の部分の突出要素10の平均アスペクト比(「ARpavg」)は、hpavg/dpavgとして表すことができる。突出要素10の寸法hp及びdpは、以下に詳細に開示するように、成形構造体8を作製するための既知の仕様に基づいて間接的に決定することができる。
【0025】
一実施形態では、離散型突出要素の平均高さhpavgと前駆体ウェブの厚さとの比率は、少なくとも約21:1、少なくとも約2:1、少なくとも約3:1、少なくとも約4:1、又は少なくとも約5:1である。この比率は、特に所望のプロセス条件及び速度で、本発明の前駆体が十分に伸張し永久変形してエンボス加工ウェブを生成することを確実にするために重要であり得る。
【0026】
図3は、本発明の成形構造体の一実施形態の平面図である。成形構造体は、ランド区域16によって完全に取り囲まれた複数の離散型突出要素10を備える。
【0027】
成形構造体の離散型突出要素は、開口遠位端部(成形構造体上のより鋭い突出要素を必要とする)又は閉口遠位端部(成形構造体上のより丸い突出要素を必要とする)のどちらを有する離散型伸長要素を有するエンボス加工ウェブを生産することが望まれるかによって、平らな又は丸い又は鋭い遠位端部を有することができる。成形構造体の離散型突出要素の丸い遠位端部は、約5マイクロメートル〜約150マイクロメートル、約10マイクロメートル〜約100マイクロメートル、約20マイクロメートル〜約75マイクロメートル、又は約30マイクロメートル〜約60マイクロメートルのような特定の先端半径を有することができる。
【0028】
離散型突出要素の側壁は、完全に垂直でもよく、又はテーパーされていてもよい。テーパーされた側壁は、エンボス加工後に、ウェブを成形構造体から分離することをより容易にすることができるので、一実施形態では、離散型突出要素はテーパーされた側壁を有する。一実施形態では、側壁は、典型的には約0度〜約50度、約2度〜約30度、又は約5度〜約25度のテーパー度を有することになる。
【0029】
図4は、成形構造体8の離散型突出要素10の一実施形態の断面図を示し、離散型突出要素10の丸い遠位端部14は約46マイクロメートル(0.0018インチ)の先端半径を有する。離散型突出要素10の側壁は、約11度のテーパー度を有する。
【0030】
図5は、図4に図示されているような寸法を有する複数の離散型突出要素を備える成形構造体の顕微鏡写真である。
【0031】
一実施形態では、突出要素10の直径は一定であるか、又は増加する振幅とともに減少する。図2に示すように、例えば、突出要素10の直径又は最大横断面寸法は、第1の表面12の近くで最大であり、遠位端部14に向かって徐々に減少する。この構造体は、エンボス加工ウェブを成形構造体8から確実に容易に取り外すことができるようにするのを助けるために、望ましいと考えられる。
【0032】
成形構造体の離散型突出要素は、円形、楕円形、正方形、三角形、六角形、台形、隆起、三角錐、雪だるま形、きのこ形、球形、砂時計形などを含む、概ね円柱形又は非円柱形のような、様々な異なる断面形で構成されることができる。
【0033】
成形構造体8は、本発明のエンボス加工ウェブを作製するために必要な寸法を有する突出要素10を有するように形成可能、成形構造体8が経験する範囲のプロセス温度にかけて寸法的に安定、かつ少なくとも約30MPa、少なくとも約100MPa、少なくとも約200MPa、少なくとも約400MPa、少なくとも約1,000MPa、又は少なくとも約2,000MPaの引張係数と、少なくとも約2MPa、少なくとも約5MPa、少なくとも約10MPa、又は少なくとも約15MPaの降伏強度と、少なくとも約1%、少なくとも約5%、又は少なくとも約10%の破壊ひずみ(strain at break)を有する、任意の材料で作製することができる。比較的背の高い、高いアスペクト比の突出要素は成形構造体の材料の弾性率を増すので、破壊しない程度に十分な破壊ひずみを有する(すなわち脆すぎない)限りは、より良いエンボス加工ウェブを形成することが見出された。弾性率及び降伏強度のデータに関し、値は、既知の方法による試験によって決定することができ、100%/分のひずみ速度で標準のTAPPI条件で試験することができる。
【0034】
一実施形態では、突出要素10は、成形構造体8と一体に作製される。すなわち、成形構造体は、材料を除去することによって又は材料を蓄積することによって、一体化構造として作製される。例えば、必要とされる比較的小規模の突出要素10を有する成形構造体8は、化学エッチング若しくは機械的エッチングによって、又は放電加工機(EDM)若しくはレーザーのような高エネルギー源を使用するアブレーションによって、又は電子ビーム(e−ビーム)によって、又は電気化学加工(ECM)によって、局所的、選択的に材料を除去することにより作製することができる。一実施形態では、成形構造体は、概して米国特許第4,342,314号の教示によるフォトエッチングラミネートプロセスによって構築することができる。
【0035】
成形構造体8を作製する1つの方法では、レーザーで修正しやすいベース材料をレーザー「エッチング」して材料を選択的に除去し、突出要素10を形成する。「レーザーで修正しやすい」とは、最適な結果のためにはレーザープロセスで使用される光の波長及び動力のレベルが材料と(又は材料が動力のレベルと)一致している必要があることを鑑み、その材料が制御されたやり方でレーザー光線によって選択的に除去され得ることを意味する。レーザーエッチングは、所望の突出要素の寸法を生成するために必要な波長、動力、及び時間のパラメータを選択して既知のレーザー技術によって達成され得る。レーザーで修正しやすい現在既知の材料としては、ポリプロピレンのような熱可塑性樹脂、DuPont(米国デラウェア州Wilmington)のDELRIN(登録商標)のようなアセタール樹脂、架橋されたポリエステル若しくはエポキシのような熱硬化性樹脂、又は場合によってはアルミニウム、銅、真鍮、ニッケル、ステンレススチール、若しくはそれらの合金のような金属が挙げられる。所望により、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂材料を微粒子又は繊維充填剤で充填して、特定の光の波長のレーザーとの適合性を増すこと及び/又は弾性率若しくは強靱性を改善し、より耐久性のある突出要素10を作製することができる。例えば、PEEKのような特定のポリマーを、十分な量の中空のカーボンナノチューブ繊維でポリマーを均一に充填することによって、より高い分解能及びより高い速度でレーザー加工することができる。
【0036】
一実施形態では、成形構造体を連続プロセスでレーザー加工することができる。例えば、DELRIN(登録商標)のような高分子材料を、中心長手方向軸と、外面と、内面とを有するベース材料として円筒形状で提供することができ、ベース材料の厚さはその外面及び内面によって画定される。また、固体ロールとしても提供することができる。移動可能なレーザー源を、外面に対して概して直交に方向づけることができる。移動可能なレーザー光源は、ベース材料の中心長手方向軸に対して平行方向に移動可能である。円筒形ベース材料は、レーザー光源がベース材料の外面を加工、すなわちエッチングする間に中心長手方向軸の周囲を回転して、複数の離散型突出要素を画定するパターンでベース材料の選択された部分を除去することができる。突出要素のそれぞれは、本明細書に開示されているような概ね円柱形及び柱様の形を有することができる。円筒形ベース材料が回転するにつれて、円筒形ベース材料の長手方向軸に対して平行にレーザー光源を移動することによって、相対移動、すなわち回転とレーザーの移動を同期し、それにより、円筒形ベース材料のそれぞれの完全回転の際に、ねじの「ねじ山」に似た、突出要素の既定のパターンが連続プロセスで形成され得る。
【0037】
本発明の成形構造体は、平坦なプレート、ロール、ベルト、継目なしベルト、スリーブなどの形状であってもよい。一実施形態では、成形構造体はロールの形状である。
【0038】
成形構造体の底面は、例えば、多孔質でも非多孔質であってもよい。例えば、底面は、前駆体ウェブが開口部内に入り込んで変形することがないよう十分に小さい幅を有する、成形構造体を空気が通過することを可能にして成形構造体を通気させる開口部を含むことができる。一実施形態では、ウェブの下に捉えられた空気をすべて逃がすことを可能にするように手段が提供される。例えば、真空支援を提供して、例えば成形構造体の通気開口部を通して空気を引くことによりウェブの下の空気を除去することによって、エンボス加工ウェブを生産するために必要な要求される圧力が増加しないようにすることができる。
【0039】
成形構造体の底面は、例えば、多孔質でも非多孔質であってもよい。例えば、底面は、前駆体ウェブが開口部内に入り込んで変形することがないよう十分に小さい幅を有する、成形構造体を空気が通過することを可能にして成形構造体を通気させる開口部を含むことができる。一実施形態では、ウェブの下に捉えられた空気をすべて逃がすことを可能にするように手段が提供される。例えば、真空支援を提供して、例えば成形構造体の通気開口部を通して空気を引くことによりウェブの下の空気を除去することによって、エンボス加工ウェブを生産するために必要な要求される圧力が増加しないようにすることができる。
【0040】
本発明の成形構造体は、所望により、窪み又は孔を更に備えることができる。成形構造体が窪み又は孔を更に備える場合、本発明のプロセスで静圧プレナムとの組み合わせで使用されるとき、前駆体ウェブを静圧プレナムによって成形構造体の窪み又は孔内に押し込むことにより、成形構造体の突出要素によって離散型突出要素が形成された前駆体ウェブの表面の反対側の前駆体ウェブの表面から伸長する離散型伸長要素を前駆体ウェブに形成することができる。結果的に、エンボス加工ウェブのそれぞれの面に異なるパターン又は寸法の伸長要素を有する両面エンボス加工ウェブが作り出される。成形構造体と静圧プレナムとの間に生成される圧力、並びに成形構造体の突出要素及び所望の窪み又は孔に依存して、エンボス加工ウェブの離散型伸長要素は、閉口又は開口遠位端部を有することができる。
【0041】
静圧プレナム
図9を参照すると、静圧プレナム36は、前駆体ウェブ34に対する力を提供して前駆体ウェブ34を成形構造体8の離散型突出要素10に適合させるために使用される。好ましくは、静圧プレナム36は、静圧ガスプレナムである。このガスは空気、窒素、二酸化炭素などであってもよく、これらの組み合わせてあってもよい。
【0042】
静圧ガスプレナム36は前駆体ウェブ34上に圧力を課する。静圧ガスプレナム36は、前駆体ウェブ34に隣接するプレナム40を画定するフード38を含むことができる。フード38は、少なくとも1つの高圧ガス入口42を含み、高圧ガス又は他の流体がフード38内に入って静圧条件を作り出すのを可能にすることができる。静的ガス圧条件下では、エンボス加工されていない前駆体ウェブ34上にかかる、エアナイフのような速度圧力源に伴うような速度及び密度はない。むしろ、静的な高いガスの圧力がフード38内で維持され、前駆体ウェブ34の表面に面する静圧プレナム36と、前駆体ウェブ34の表面に面する成形構造体8との間で、前駆体ウェブにわたる圧力差が作り出される。一実施形態では、フード38は前駆体ウェブより幅広くてもよく、フード38とともに形成するシールを補強することができる。圧力差は、前駆体ウェブ34を成形構造体8の離散型突出要素10と適合させるために十分である。圧力差は、例えば、前駆体ウェブ34の表面に面する成形構造体8上に真空を印加することによって高めることができる。
【0043】
好適な静圧ガスプレナムとしてはまた、2010年3月11日付で出願された「APPARATUS FOR EMBOSSING A WEB」(P&G事例第11639P号)と題する米国仮特許出願第__/__,__号及び米国特許第5,972,280号に記載されているものが含まれる。
【0044】
前駆体ウェブ
前駆体ウェブ34は、本開示のプロセスに従ってエンボス加工ウェブ16に変換される。好適な前駆体ウェブとしては、前駆体ウェブ34が成形構造体8の離散型突出要素10に適合してエンボス加工ウェブ16を生産するように、前駆体ウェブ34にわたって静圧プレナム36によって生成される圧力差によって変形され得る材料が含まれる。
【0045】
前駆体ウェブ34は、典型的には、合成材料、金属材料、生物学的材料(特に動物由来の材料)、又はそれらの組み合わせを含む。前駆体ウェブ34は、セルロース系材料を所望により含むことができる。一実施形態では、前駆体ウェブ34はセルロース系材料を含まない。好適な前駆体ウェブの非限定的な例としては、高分子フィルム又は熱可塑性フィルムのようなフィルム、金属フォイル(例えばアルミニウム、真鍮、銅など)のようなフォイル、持続可能なポリマー、発泡体、合成繊維含有繊維状不織布ウェブ(例えばTYVEK(登録商標))、コラーゲンフィルム、キトサンフィルム、レーヨン、セロファンなどを含むウェブが挙げられる。好適な前駆体ウェブとしては、更に、積層体又はこれらの材料の配合物が挙げられる。
【0046】
前駆体が繊維状ウェブの場合は、繊維状ウェブは、典型的には、フィルム材料と同様の機能を示すように、高密度を有することになる。そのような高密度の繊維状ウェブの一例は、TYVEK(登録商標)である。
【0047】
一実施形態では、前駆体ウェブ34は高分子フィルムである。好適な高分子フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリビニールアルコール(PVA)、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(例えば、TEFLON)又はそれらの組み合わせのような熱可塑性フィルムが挙げられる。好適な高分子フィルムは、高分子の配合物又は混合物を含むことができる。
【0048】
特定の実施形態では、前駆体ウェブ34は、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリサッカライド、ポリカプロラクトンなど又はそれらの混合物のような持続可能なポリマーを含むウェブであってもよい。
【0049】
エンボス加工前の前駆体ウェブ34の厚さは、典型的には、約5〜約300マイクロメートル、約5マイクロメートル〜約150マイクロメートル、約5マイクロメートル〜約100マイクロメートル、又は約15マイクロメートル〜約50マイクロメートルの範囲であろう。他の好適な厚さとしては、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、又は300マイクロメートルが挙げられる。
【0050】
高分子ウェブのような前駆体ウェブは、典型的には、約−100℃〜約120℃、又は約−80℃〜約100℃、又は他の好適な範囲のガラス転移温度を有することになる。高分子ウェブのような前駆体ウェブは、約100℃〜約350℃の融点を有することができる。例えば、LDPE、又はLDPEとLLDPEとの配合物で形成された前駆体ウェブ34は、約110℃〜約122℃の融点を有する。ポリプロピレンで形成された前駆体ウェブ34は、約165℃の融点を有する。ポリエステルで形成された前駆体ウェブ34は、約255℃の融点を有する。ナイロン6で形成された前駆体ウェブ34は、約215℃の融点を有する。PTFEで形成された前駆体ウェブ34は、約327℃の融点を有する。
【0051】
一実施形態では、プロセスは、前駆体ウェブの融点より低い温度で実行される。例えば、プロセスは、前駆体ウェブの融点より10℃低い温度で実行され得る。別の実施形態では、プロセスは、前駆体ウェブの融点とほぼ等しい温度で実行される。一実施形態では、プロセスは、前駆体ウェブのガラス転移温度を超える温度で実行される。
【0052】
所望により、プロセスでエンボス加工される前に、前駆体ウェブ34を可塑化して脆性を下げることができる。
【0053】
一実施形態では、前駆体ウェブ34はひずみ硬化である。前駆体ウェブ34のひずみ硬化性は、前駆体ウェブ34が成形構造体8の離散型突出要素10に適合することを容易にするために望ましい場合がある。これは、エンボス加工ウェブ16の伸長要素22の閉口遠位端部24が望まれるエンボス加工ウェブを生産するために好ましい場合がある。
【0054】
前駆体ウェブ34は、本開示のエンボス加工プロセスによって本明細書に記載されている、エンボス加工ウェブ16を形成するために十分な材料特性を有する高分子フィルムのような任意の材料であることができる。前駆体ウェブ34は、典型的には、降伏点を有し、前駆体ウェブ34は、好ましくは、その降伏点を越えて伸張されてエンボス加工ウェブ16を形成する。すなわち、前駆体ウェブ34は、所望の閉口遠位端部24を有する離散型伸長要素22を生成するまで前駆体ウェブ34を破裂させずに歪めることができるように、又は、開口遠位端部24を有する離散型伸長要素22を含むエンボス加工ウェブの場合は、開口遠位端部24を形成するように破裂するように歪めることができるように、十分な降伏特性を有さなくてはならない。下記に開示するように、所与のポリマーを破裂を伴って又は破裂を伴わずに伸張させて、所望の離散型伸長要素22を有するエンボス加工ウェブ16を形成することができるように、所与のポリマーに関して温度のようなプロセス条件を変化させることができる。したがって、概して、エンボス加工ウェブ16を生産するための前駆体ウェブ34として使用するのに好ましい出発原料は、低い降伏点及び高い延伸性を呈することが見出された。加えて、既に述べたように、前駆体ウェブは好ましくはひずみ硬化される。前駆体ウェブ34として使用するのに好適なフィルムの例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、及び線状低密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとの配合物(LLDPE/LDPE)を含むフィルムが挙げられる。
【0055】
前駆体ウェブ34はまた、十分に変形可能でなくてはならず、前駆体ウェブ34として使用するために十分な延性も有さなくてはならない。本明細書で使用するとき、用語「変形可能」は、その弾性限度を越えて伸張されたときにその新しく形成された形態を実質的に保持するとともに、得られたエンボス加工ウェブ16の離散型伸長要素22の遠位端部24で、及び/又は得られたエンボス加工ウェブ16の離散型伸長要素22の側壁に沿って、薄化を呈する材料を説明する。
【0056】
前駆体ウェブ34としての使用に適していることが見出された1つの材料は、Dow Chemical Company(ミシガン州Midland)から入手可能なDOWLEX 2045Aポリエチレン樹脂である。20マイクロメートルの厚さを有するこの材料のフィルムは、少なくとも12MPaの引張降伏、少なくとも53MPaの最大引張、少なくとも635%の最大延伸、及び少なくとも210MPaの引張係数(2%正割)を有することができる(上記のそれぞれの測定値はASTM D 882に従って決定された)。他の好適な前駆体ウェブとしては、RKW US,Inc.(ジョージア州Rome)から入手可能な厚さ約25マイクロメートル(1.0ミル)、坪量約24グラム/平方メートル(「gsm」)のポリエチレンフィルム、及びRKW US,Inc.から入手可能な坪量約14gsm、厚さ約15マイクロメートルのポリエチレン/ポリプロピレンフィルムが挙げられる。
【0057】
前駆体ウェブ34は、2つ以上のウェブの積層体であってもよく、共押出し成形された積層体であってもよい。例えば、前駆体ウェブ34は2層を含んでもよく、前駆体ウェブ34は3層を含んでもよく、その最も内側の層はコア層と呼ばれ、最も外側の2層はスキン層と呼ばれる。一実施形態では、前駆体ウェブ34は約25マイクロメートル(0.001インチ)の全体厚を有し、そのコア層の厚さは約18マイクロメートル(0.0007インチ)であり、それぞれのスキン層の厚さは約3.5マイクロメートル(0.00015インチ)である。一実施形態では、それらの層は異なる応力−ひずみ特性及び/又は弾性特性を有するポリマーを含むことができる。
【0058】
前駆体ウェブ34は、従来の共押出し成形フィルム製造装置で多層フィルムを製造するための従来の手順を用いて作製され得る。配合物を含む層が必要とされる場合は、上記構成成分のペレットをまず乾燥配合してから押出し機で溶融混合してその層を供給することができる。あるいは、押出し機内での混合が不十分である場合は、ペレットをまず乾燥配合し、次いで、予複合する押出し機内で溶融混合した後に再びペレット化してからフィルム押出しすることができる。前駆体ウェブ34の作製に好適な方法は、米国特許第5,520,875号及び同第6,228,462号に開示されている。
【0059】
概して、高い面密度(又は小さい平均中心間距離)の離散型伸長要素22をエンボス加工ウェブ16上に形成する能力は、前駆体ウェブ34の厚さによって制限され得る。
【0060】
特定の実施形態では、前駆体ウェブ34は界面活性剤を所望により更に含むことができる。使用される場合、好ましい界面活性剤は非イオン類のものを含み、例えば、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、カルボン酸エステル、グリセロールエステル、脂肪酸のポリオキシエチレンエステル、アビエチン酸と関係する脂肪族カルボン酸のポリオキシエチレンエステル、無水ソルビトールエステル、エトキシル化無水ソルビトールエステル、エトキシル化天然脂肪、油、及びろう、脂肪酸のグリコールエステル、カルボン酸アミド、ジエタノールアミン凝縮物、及びポリアルキレンオキシドブロックコポリマーなどである。選択される界面活性剤の分子量は、約200グラム/モル〜約10,000グラム/モルの範囲であることができる。好ましい界面活性剤は、約300〜約1,000グラム/モルの分子量を有する。
【0061】
使用する場合、前駆体ウェブ34に最初に配合される界面活性剤のレベルは、前駆体ウェブ34の総重量の最高10重量百分率までであることができる。好ましい分子量範囲(300〜1,000グラム/モル)の界面活性剤は、前駆体ウェブ34の総重量の概ね5重量百分率以下の、より低いレベルで加えてもよい。
【0062】
特定の実施形態では、前駆体ウェブ34はまた、そのポリマー配合物内に二酸化チタンも含むことができる。二酸化チタンは、エンボス加工ウェブ16の不透明度を増すために提供することができる。二酸化チタンは、低密度ポリエチレンのような前駆体ウェブ34の最高約10重量百分率まで加えることができる。
【0063】
例えば粒子状皮膚処理剤又は保護剤のような粒子状物質、又は例えばゼオライトのような匂い吸収活性物質のようなその他の添加物を、前駆体ウェブ34の1つ以上の層に所望により加えてもよい。いくつかの実施形態では、粒子状物質を含むエンボス加工ウェブは、皮膚と接触する用途で使用されるとき、活性物質が皮膚と非常に直接的かつ効率的なやり方で接触することを可能にすることができる。具体的には、いくつかの実施形態では、離散型伸長要素22のフォーメーションは、その遠位端部24で又はその近くで粒子状物質を露出することができる。したがって、エンボス加工ウェブ16が皮膚と接触する用途で使用されるときは、スキンケア剤のような活性物質を離散型伸長要素22の遠位端部24に又はその近くに局部集中させて、そのようなスキンケア剤と皮膚との直接接触を可能にすることができる。
【0064】
前駆体ウェブ34に粒子状物質を使用する場合、その平均粒径は、典型的には0.2〜約200マイクロメートル、又は約5マイクロメートル〜約100マイクロメートルであろう。雲母干渉粒子のような特定の粒子状物質の使用は、エンボス加工ウェブ16の外観を劇的に改善することができる。
【0065】
前駆体ウェブ34はまた、エンボス加工ウェブ16の外観を改善するために、顔料、レーキ、トナー、染料、インク、又は他の薬剤のような、材料に色を付与するために使用される着色剤を所望により含んでもよい。
【0066】
本明細書で好適な顔料としては、無機顔料、真珠光沢顔料、干渉顔料などが挙げられる。好適な顔料の非限定的な例としては、タルク、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、シリカ、二酸化チタン、酸化亜鉛、ベンガラ、鉄黄、黒酸化鉄、カーボンブラック、ウルトラマリン、ポリエチレンパウダー、メタクリレートパウダー、ポリスチレンパウダー、シルクパウダー、結晶質セルロース、デンプン、雲母チタン、酸化鉄雲母チタン、オキシ塩化ビスマスなどが挙げられる。
【0067】
好適な着色ウェブは、2010年3月11日付で出願された「COLORED WEB MATERIAL COMPRISING A PLURALITY OF DISCRETE EXTENDED ELEMENTS」(P&Gの事例11634号)と題する同時係属の米国特許出願第__/__,__号、及び2010年3月11日付で出願された「WEB MATERIAL EXHIBITING VIEWING−ANGLE DEPENDENT COLOR AND COMPRISING A PLURALITY OF DISCRETE EXTENDED ELEMENTS」(P&Gの事例11635号)と題する同時係属の米国特許出願第__/__,__号に記載されている。
【0068】
前駆体ウェブ34はまた、充填剤及び可塑剤などを所望により含んでもよい。
【0069】
エンボス加工ウェブ
前駆体ウェブ34は、望ましい柔らかい手触り及び審美的に快い外観のような様々な望ましい構造的特徴及び特性を有することができるエンボス加工ウェブ16を形成するために、本開示のプロセスに従ってプロセスされる。前駆体ウェブ34は、成形構造体8と、前駆体ウェブ34を成形構造体8の離散型突出要素10に適合させるために提供される静圧プレナム36との間に位置づけられる。図6を参照すると、それによって生成される離散型伸長要素22を有するエンボス加工ウェブ16を示す。図7に示すように、離散型伸長要素22は、(図8に示すような)開口近位端部30、及び(図6及び7に示すような)開口又は閉口遠位端部24を有する。
【0070】
一実施形態では、本明細書に記載されるプロセスから得られるエンボス加工ウェブ16は、米国特許第7,402,723号又は同第7,521,588号に記載されているのと同様の構造体10を有することができる。
【0071】
この3次元のエンボス加工ウェブ16は、前述したように、単層のウェブ材料であっても多層の共押出し成形若しくは積層体のウェブ材料であってもよい前駆体ウェブ34から生産される。積層体フィルム材料は、スキン層を含むフィルムを包含する積層体フィルムを製造するために当該技術分野において既知のように共押出し成形されてもよい。図6に図示する実施形態では、前駆体ウェブ34は、第1の層18と第2の層20とを含む2層積層体フィルムである。
【0072】
離散型伸長要素22は、概して、ウェブの第1の表面26に突出したウェブ伸長部として形成される。エンボス加工ウェブ16上の離散型伸長要素22の数、サイズ、及び分布は、望まれるソフト感、音の効果、及び視覚効果に基づいて予め決定することができる。使い捨て吸収性物品のトップシート、バックシート若しくは剥離包装紙、又は包装材のような用途では、離散型伸長要素22がエンボス加工ウェブ16の一面からのみ突出するのが望ましい場合がある。したがって、エンボス加工ウェブ16が使い捨て吸収性物品のトップシートとして使用されるとき、エンボス加工ウェブ16は、特に優れたソフト感のための皮膚接触を離散型伸長要素22が与えるように配向され得る。更に、閉口遠位端部24を有する離散型伸長要素22を有することは、再湿潤の低減、すなわち、トップシートの孔から下の吸収層にいったん通過した後に、トップシートの表面に再び戻る流体の量の低減をもたらすことができる。
【0073】
図7を参照すると、離散型伸長要素22は、エンボス加工ウェブ16の第1の表面28から突出するものとして説明され得る。したがって、離散型伸長要素22は、前駆体ウェブ34と一体化されており、前駆体ウェブ34の永久の局所塑性変形によって形成されたものとして説明され得る。離散型伸長要素22は、開口近位部30及び閉口又は開口遠位端部24を画定する側壁28を有するものとして説明され得る。離散型伸長要素22は、それぞれ、隣接する伸長要素の間の最小振幅Aminから、閉口又は開口遠位端部24における最大振幅Amaxまでを測定した高さhを有する。離散型伸長要素22は、直径dを有し、概ね円筒形の構造体10では、これは横断面の外径である。「横」は、第1の表面26の平面と概ね平行であることを意味する。不均一の横断面を有する概ね円柱形の離散型伸長要素22、及び/又は非円筒形構造体である離散型伸長要素22では、直径dは、離散型伸長要素の高さhの2分の1での平均横断面寸法として測定される。したがって、それぞれの離散型伸長要素に関して、h/dとして定義されるアスペクト比を決定することができる。離散型伸長要素は、少なくとも約0.2、少なくとも約0.3、少なくとも約0.5、少なくとも約0.75、少なくとも約1、少なくとも約1.5、少なくとも約2、少なくとも約2.5、又は少なくとも約3のアスペクト比h/dを有することができる。離散型伸長要素22は、典型的には、少なくとも約30マイクロメートル、少なくとも約50マイクロメートル、少なくとも約65マイクロメートル、少なくとも約80マイクロメートル、少なくとも約100マイクロメートル、少なくとも約120マイクロメートル、少なくとも約150マイクロメートル、又は少なくとも約200マイクロメートルの高さhを有することになる。伸長要素は、典型的には、前駆体ウェブの厚さと少なくとも同じ高さか、又は前駆体ウェブの厚さの少なくとも2倍、又は好ましくは前駆体ウェブの厚さの少なくとも3倍の高さになることになる。離散型伸長要素22は、典型的には、約50マイクロメートル〜約5,000マイクロメートル、約50マイクロメートル〜約3,000マイクロメートル、約50マイクロメートル〜約500マイクロメートル、約65マイクロメートル〜約300マイクロメートル、又は約75マイクロメートル〜約200マイクロメートルの直径dを有することになる。特定の実施形態では、離散型伸長要素22は、最高約2.5センチメートル、最高約2センチメートル、最高約1.5センチメートル、最高約1センチメートル、最高約0.5センチメートル、又は最高約0.1センチメートルの、より大きい直径dを有することができる。
【0074】
概して非円柱形又は不規則な形を有する離散型伸長要素22では、離散型伸長要素の直径は2分の1の高さでの離散型伸長要素の回転半径の2倍として定義され得る。
【0075】
伸長要素が開口した伸長要素の側壁の一部分を有するようにウェブ材料全体にわたって長手方向に伸びる、隆起のような形を有する離散型伸長要素では、離散型伸長要素の直径は、伸長要素の2分の1の高さでの2つの対向する側壁の間の平均最小幅として定義され得る。
【0076】
概して、任意の個々の離散型伸長要素の実際の高さhを決定することは難しい場合があり、かつ実際の高さは変化する場合があるので、複数の離散型伸長要素22の平均高さhavgは、エンボス加工ウェブ16の既定の区域にかけての平均最小振幅Amin及び平均最大振幅Amaxを決定することによって決定され得る。そのような平均高さhpavgは、典型的には、上述した高さの範囲内に収まることになる。同様に、変化する断面寸法では、平均直径davgは複数の離散型伸長要素22に関して決定され得る。そのような平均直径davgは、典型的には、上述の直径の範囲内に収まることになる。そのような振幅及び他の寸法測定は、コンピューター支援走査顕微鏡及びデータプロセシングのような、当該技術分野で既知の任意の方法によって行うことができる。したがって、エンボス加工ウェブ16の既定の部分の離散型伸長要素22の平均アスペクト比ARavgは、havg/davgとして表現され得る。
【0077】
一実施形態では、離散型伸長要素の直径は、一定であるか、又は、振幅の増加(振幅は増し、閉口又は開口遠位端部24で最大になる)とともに減少する。離散型伸長要素22の直径又は平均横断面寸法は、近位部分で最大となり得、横断面寸法は遠位端部に向かって徐々に減少する。この構造体10は、エンボス加工ウェブ16を成形構造体8から確実に容易に取り外すことができるようにするのを助けるために望ましいと考えられる。別の実施形態では、離散型伸長要素22の直径は、増加する振幅とともに増加する。例えば、離散型伸長要素22は、きのこ形を有することができる。
【0078】
前駆体ウェブ34の薄化は、高いアスペクト比の離散型伸長要素22を形成するために必要な比較的深い引き伸ばし(drawing)のために生じ得る。例えば、薄化は閉口又は開口遠位端部24で、及び/又は側壁に沿って、観察され得る。「観察される」とは、拡大された断面において観察されたときに、その薄化が明確であることを意味する。そのような薄化は、触れられたときの圧縮又はせん断に対してその薄化されている部分がほとんど抵抗を示さないので、有益であり得る。例えば、エンボス加工ウェブ16の離散型伸長要素22を示している側面上に人が触れたとき、その人の指先は、まず離散型伸長要素22の閉口又は開口遠位端部24に接触する。離散型伸長要素22の高いアスペクト比のために、及び遠位端部24で及び/又は側壁に沿っての前駆体ウェブ34の壁の薄化のために、離散型伸長要素22は、その人の指によってエンボス加工ウェブ16に課される圧縮又はせん断に対する抵抗をほとんど示さない。この抵抗の欠如は、ベロア布地の触感によく似た柔らかな触感として感じ取られる。
【0079】
閉口又は開口遠位端部24で及び/又は側壁に沿っての前駆体ウェブ34の薄化は、前駆体ウェブ34の厚さに対して、又はエンボス加工ウェブ16の離散型伸長要素22を完全に取り囲むランド区域の厚さに対して測定され得る。前駆体ウェブ34は、典型的には、前駆体ウェブ34の厚さに対して少なくとも約25%、少なくとも約50%、又は少なくとも約75%の薄化を呈することになる。前駆体ウェブ34は、典型的には、エンボス加工ウェブ16の離散型伸長要素22を取り囲むランド区域の厚さに対して少なくとも約25%、少なくとも約50%、又は少なくとも約75%、少なくとも約85%の薄化を呈することになる。
【0080】
本明細書に開示されているような離散型伸長要素22のみを有し、巨視的な孔又は開口遠位端部24を有する離散型伸長要素22を有さない液体不透過性のウェブは、液体透過性が要求されない任意の用途に柔らかさを提供することができることに注目すべきである。したがって、一実施形態では、プロセスは、エンボス加工ウェブ16の少なくとも1つの面上に柔らかく絹のような触感を呈するエンボス加工ウェブ16を生産し、エンボス加工ウェブ16のこの絹のような感触の表面は離散型伸長要素22のパターンを呈し、離散型伸長要素22のそれぞれはウェブ表面の突出した伸長部であり、かつ開口近位部分30及び閉口又は開口遠位端部24を画定する側壁を有し、離散型伸長要素22は開口近位部分30で又はその近くで最大横断面寸法を有する。
【0081】
エンボス加工ウェブ16はまた、改善された音の効果も呈することができる。例えば、取扱い又は手動操作されているとき、エンボス加工ウェブ16は前駆体ウェブ34と比べて小さい音を発する。所望により、特定のエンボス加工パターンは、触れた又は擦ったときに明確な望ましい音を発することができる。
【0082】
第1の表面26の単位面積当たりの離散型伸長要素22の数である、離散型伸長要素22の「面密度」を最適化することが可能であり、エンボス加工ウェブ16は、典型的には、1平方センチメートル当たり約4〜約10,000、約95〜約10,000、約240〜約10,000、約350〜約10,000、約500〜約5,000、又は約700〜約3,000の離散型伸長要素22を含むことになる。概して、中心間距離は、十分な触感のために最適化することができると同時に、離散型伸長要素22の間に液体のような物質を閉じ込めることを可能な限り減らすことができる。隣接する離散型伸長要素22の間の中心間距離は、約100マイクロメートル〜約1,000マイクロメートル、約30マイクロメートル〜約800マイクロメートル、約150マイクロメートル〜約600マイクロメートル、又は約180マイクロメートル〜約500マイクロメートルであり得る。
【0083】
エンボス加工ウェブ16を使い捨て吸収性物品のトップシートとして用いるとき、エンボス加工ウェブ16は、更に、エンボス加工ウェブ16を液体が流れて通過することを可能にするマクロ孔を含むことができる。
【0084】
エンボス加工ウェブの作製プロセス
再び図9を参照すると、エンボス加工ウェブ16の形成プロセスは、静圧プレナム36と成形構造体8との間に前駆体ウェブ34を供給する工程と、前駆体ウェブ34の部分を成形構造体8の離散型突出要素10に適合させるために十分な、前駆体ウェブ34及び成形構造体8に対して静圧プレナム36からのガス圧力を印加する工程であって、それにより、離散型伸長要素22を有するエンボス加工ウェブ16を形成する、工程とを含む。成形構造体8への前駆体ウェブ34の適合は、生成される圧力及び成形構造体8のトポグラフィーに依存して、部分適合であっても、実質的適合であっても、又は完全適合であってもよい。理論による束縛はしないが、開口遠位端部24は、前駆体ウェブ34を局所的に破裂させながら前駆体ウェブ34を成形構造体8の離散型突出要素10と適合させることによって形成され得ると考えられる。
【0085】
エンボス加工ウェブ16を形成するために前駆体ウェブ34の永久変形を得るために、印加される圧力は、前駆体をその降伏点を越えて伸張させるために概ね十分な圧力である。
【0086】
プロセスは、バッチプロセスであっても連続プロセスであってもよい。バッチプロセスは、成形構造体8と静圧プレナム36との間に置かれる前駆体ウェブ34材料の個々のシートを提供する工程を含むことができる。
【0087】
連続プロセスは、巻きを解かれて成形構造体8と静圧プレナム36との間に供給される、前駆体ウェブ34材料のロールを提供する工程を含むことができる。成形構造体8は、例えば、ロールの形状であることができる。前駆体ウェブ34が成形構造体8のロールと静圧プレナム36との間を通過するにつれて、エンボス加工ウェブ16が形成される。
【0088】
このプロセスは、比較的短い保持時間を有することができる。本明細書で使用するとき、用語「保持時間」は、前駆体ウェブ34の所与の部分に圧力が印加される時間を指し、通常、前駆体ウェブ34の所与の部分が成形構造体8と静圧プレナム36との間に位置づけられている時間である。圧力は、典型的には、約5秒未満、約1秒未満、約0.5秒未満、約0.1秒未満、約0.01秒未満、又は約0.005秒未満の保持時間の間、前駆体ウェブ34に印加される。例えば、保持時間は約0.5ミリ秒〜約50ミリ秒であり得る。そのような比較的短い保持時間であっても、本明細書に記載されている所望の構造的特徴を有するエンボス加工ウェブを生産することができる。結果的に、本開示のプロセスは、エンボス加工ウェブの高速生産を可能にする。
【0089】
前駆体ウェブ34は、少なくとも毎秒約0.01メートル、少なくとも毎秒約1メートル、少なくとも毎秒約5メートル、又は少なくとも毎秒約10メートルの速度で成形構造体8と静圧プレナム36との間に供給され得る。他の好適な速度としては、例えば、少なくとも毎秒約0.01、0.05、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10メートルが挙げられる。
【0090】
成形構造体8の離散型突出要素10及び印加される圧力の形のような因子に依存して、本開示のプロセスによって生産されるエンボス加工ウェブ16の伸長要素の遠位端部24は、閉口又は開口しているかのいずれかであることができる。
【0091】
プロセスは周囲温度で実行することが可能であり、すなわちそれは、成形構造体8、及び/又は前駆体ウェブ34に熱を意図的に印加することはないことを意味する。しかし、特に連続プロセスでは、成形構造体8と静圧プレナム36との間の圧力によって熱が生成され得ることを認識されたい。したがって、プロセス条件を例えば周囲温度のような所望の温度で維持するために、成形構造体8及び/又は静圧ガスプレナムのガスを冷却してもよい。
【0092】
プロセスはまた、高温を有する前駆体ウェブ34を用いて実行してもよい。例えば、前駆体ウェブ34の温度を前駆体ウェブ34の融点より低くすることができる。例えば、前駆体ウェブ34の温度を、前駆体ウェブ34の融点より少なくとも約10℃低くすることができる。前駆体ウェブ34、特にポリエチレンを含む前駆体ウェブ34は、プロセスの間に約10℃〜約200℃、約10℃〜約120℃、約20℃〜約110℃、約10℃〜約80℃、又は約10℃〜約40℃の温度を有することができる。静圧プレナム36のための加熱された流体圧力源を使用して前駆体ウェブ34を加熱することによって、及び/又は成形構造体8を加熱することによって、前駆体ウェブ34をプロセス中に加熱することができる。例えば、静圧プレナム36のための圧力源として、加熱されたガスを使用することができる。
【0093】
一実施形態では、前駆体ウェブは、成形構造体と適合基材との間に提供される前は加熱されない。別の実施形態では、前駆体ウェブ、成形構造体、及び適合基材は、成形構造体と適合基材との間に前駆体ウェブが提供される前は加熱されない。
【0094】
概して、本発明のプロセスは、約10℃〜約200℃、約10℃〜約120℃、約10℃〜約80℃、又は約10℃〜約40℃の温度で実行され得る。温度は、静圧プレナムと成形構造体8との間のニップで温度を測定するように、例えば、赤外線温度計又はレーザー温度計のような非接触式の温度計によって測定することができる。また、温度は、Paper Thermometer Companyから入手可能なThermolabelのような温度感知材料を用いて決定してもよい。
【0095】
平均圧力は、静圧プレナム36によって提供される。平均圧力は、成形構造体8と静圧プレナム36との間に位置づけられる前駆体ウェブ34を成形構造体8の離散型突出要素10に適合させて、エンボス加工ウェブ16を形成するために十分な圧力である。概して、成形構造体8と静圧プレナム36との間に提供される平均圧力は、約0.1MPa〜約25MPa、約1MPa〜約20MPa、約0.5MPa〜約10MPa、約10MPa〜約25MPa、又は約0.5MPa〜約5MPaである。
【0096】
このプロセスは更に、前駆体ウェブ34を成形構造体8と静圧プレナム36との間に提供する前に、スリップ剤を前駆体ウェブ34及び/又は成形構造体8に適用する工程を所望により含むことができる。これは、特に連続プロセスでは、前駆体ウェブ34と成形構造体8との間の摩擦を低減するために有益であり得る。好適なスリップ剤の非限定的な例としては、シリコーン、タルク、潤滑油などが挙げられる。
【0097】
このプロセスは、エンボス加工ウェブ16を更に操作するために、所望により他のプロセスと組み合わせることができる。一実施形態では、そのような追加的プロセスを同じプロセス製造ラインでこのプロセスと組み合わせて、例えば吸収性物品を生産することができる。一実施形態では、このプロセスを、米国特許第2006/0087053 A1号又は同第2005/0064136 A1号に記載されているプロセスのような、エンボス加工ウェブ16にマクロ孔を付与することができるプロセスと組み合わせる。そのようなプロセスの組み合わせは、吸収性物品のトップシートとしての使用に好適であり得るマクロ孔を有するエンボス加工ウェブ16を生産することができる。そのようなマクロ孔を有するエンボス加工ウェブ16を、次いで、好ましくは同じプロセス製造ラインで、吸収性コア及びバックシートなどのような他の吸収性物品構成要素と組み合わせることによって、吸収性物品に変換することができる。
【0098】
上で説明したプロセスのほかに、エンボス加工ウェブを作製するための代替プロセスも企図される。プロセスは、更に、第2の圧力源からの圧力を印加する工程を含む。第2の圧力源は、静的液圧プレナム、静的ガス圧プレナム、エアナイフのような高速ガス圧源(velocity gas pressure)、従来のハイドロフォーミングプロセスに用いられているような高速液圧源、及び適合基材からなる群から選択可能である。米国仮特許出願第61/159,906号は、本開示のプロセスでの使用に好適な適合基材を開示している。第2の圧力源によって前駆体ウェブ34に印加される圧力は、典型的には、前述の静圧プレナム36によって前駆体ウェブ34に印加される圧力と同程度となる。第2の圧力源は、静圧プレナムの前又は後に、前駆体ウェブに圧力を印加することができる。例えば、プロセスは、複数の静圧プレナムの使用を含むことができる。一実施形態では、少なくとも2つの静圧プレナムが提供され、圧力は成形構造体8と第1の静圧プレナムとの間の前駆体ウェブ34の第1の部分に印加される。次いで、成形構造体8と第2の静圧プレナムとの間の前駆体ウェブ34の第1の部分に圧力を印加することができる。これは、成形構造体の同じ離散型突出要素と位置合わせされた前駆体ウェブの部分を更に適合させることができる。これは、プロセスによって形成される離散型伸長要素の補強を可能にすることができる。
【0099】
エンボス加工ウェブの使用
エンボス加工ウェブは、吸収性物品(トップシート、バックシート、又は剥離包装紙など)、包装材(フローラップ、シュリンクラップ、又はポリバッグなど)、ゴミ袋、食品用ラップ、デンタルフロス、拭き取り用品、電子部品、壁紙、衣類、エプロン、ウィンドウシェード、プレースマット、ブックカバーなどの構成要素材料としての使用を含む多くの異なるやり方で使用され得る。
【実施例】
【0100】
以下は、本発明のエンボス加工ウェブを作製するためのプロセスの非限定的な例である。
【0101】
(実施例1)
エンボス加工ウェブは、静圧ガスプレナム、及び1平方センチメートル当たり約1550個の離散型突出要素(2.54平方cm(インチ)当たり約10,000個の離散型突出要素、100メッシュ)を有する成形構造体を用いて製造される。成形構造体はDELRINアセタールで作製されており、約1mmの厚さを有する。離散型突出要素は、約250マイクロメートルの高さ、約105マイクロメートルの直径(2分の1の高さで測定)、及び約270マイクロメートルの中心間距離を有する。離散型突出要素の側壁は約8度の角度でテーパーされる。突出要素の遠位端部は約88マイクロメートルの直径を有する。離散型突出要素は、隣接する突出要素に対してオフセットされる。
【0102】
前駆体ウェブ34としては、厚さ約15マイクロメートル、坪量約14.2グラム/平方メートル(「gsm」)の、RKW US,Inc.から入手したポリエチレンフィルムを使用した。
【0103】
エンボス加工プロセスは、約20℃の周囲温度で成形構造体を用いて高速リサーチプレスを用いて行う。高速リサーチプレスは、米国特許公開第2009/0120308号に詳述されており、前駆体ウェブ34をエンボス加工するための連続生産ラインプロセスのシミュレーションをするように設計されている。このプレスは、ゴム(40Aジュロメータのネオプレン)によって囲まれた25mm×25mmの穴を有するマニホールドプレートを含み、高圧源に接続されて、静圧ガスプレナムのための圧力を送達する。成形構造体は、約1.8mmの圧縮距離までマニホールドプレートのゴムと係合し、成形構造体とゴムとの間で前駆体ウェブを密封する。それにより、前駆体ウェブの成形構造体に面する側に大気圧が存在し、前駆体ウェブのその反対の側には約2MPaの、静圧ガスプレナムからの圧力が存在することになり、前駆体ウェブにわたって静圧ガスプレナムによって圧力差が生成される。プレスは、直径205mmの成形構造体ロール直径をシミュレートするように動作される。前駆体ウェブ34は、約2.74m/秒のシミュレーション速度で成形構造体8と静圧ガスプレナムとの間に供給される。保持時間は約0.19秒である。得られたエンボス加工ウェブは、約100マイクロメートルの平均高さ及び開口遠位端部(図10Aに示すような)又は閉口遠位端部(図10Bに示すような)を有する離散型伸長要素を含む。
【0104】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図している。
【0105】
特に明記しない限り、一実施形態に関する技術的特徴が本明細書で開示されるとき、その特徴は他の実施形態又は請求項に開示されている任意の他の特徴と組み合わせることができる。
【0106】
「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に関して先行技術であることを容認するものとして解釈すべきではない。本書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれた文献における同一の用語のいずれかの意味又は定義と相反する限りにおいては、本書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0107】
本発明の特定の実施形態が例示され、記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の「特許請求の範囲」で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンボス加工ウェブの作製プロセスであって、
静圧ガスプレナムと、複数の離散型突出要素を備える成形構造体との間に前駆体ウェブを供給する工程であって、前記離散型突出要素が、前記前駆体ウェブの厚さと少なくともほぼ等しい高さを有する、工程と、
前記成形構造体に対向する前記前駆体ウェブに対して前記静圧ガスプレナムからの圧力を印加する工程であって、前記前駆体ウェブを前記成形構造体の離散型突出要素に適合させるために十分な差圧を前記前駆体ウェブにわたって生成して、それにより、開口近位端部を有する複数の離散型伸長要素を備えるエンボス加工ウェブを形成する、工程と、を含む、プロセス。
【請求項2】
少なくとも毎秒約1メートルの速度で、前記静圧ガスプレナムと前記成形構造体との間に前記前駆体ウェブを供給する工程を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
約1ミリ秒〜約5ミリ秒の保持時間の間、圧力を印加する工程を含む、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記プロセスの間の前記前駆体ウェブの温度が、前記前駆体ウェブの融点より低い温度である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記前駆体ウェブの温度が、前記前駆体ウェブの融点より少なくとも約10℃低い、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記プロセスの間の前記前駆体ウェブの温度が約20℃〜約110℃である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記ガスが、窒素、二酸化炭素、及びそれらの混合物からなる群から選択されるガスを少なくとも1つ含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記ガスが空気を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記エンボス加工ウェブの前記伸長要素が、開口遠位端部を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記エンボス加工ウェブの前記伸長要素が、閉口遠位端部を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記エンボス加工ウェブの前記伸長要素が、少なくとも約0.2のアスペクト比を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記印加される圧力が、約0.1MPa〜約25MPaであり、好ましくは約0.5MPa〜約5MPaである、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記伸長要素の厚さが、前記前駆体ウェブの厚さと比べて薄化されている、請求項1〜12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記印加される圧力が、前記前駆体ウェブを前記前駆体ウェブの降伏点を越えて伸張させるために十分である、請求項1〜13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記前駆体ウェブが、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜14のいずれか一項に記載のプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【公表番号】特表2012−519616(P2012−519616A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−554183(P2011−554183)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/026918
【国際公開番号】WO2010/105017
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】