説明

オープニングトリムウエザストリップ

【課題】装着時にカバーリップを容易に装飾部材の上面に位置させて、装飾部材との境界を覆うことができる、オープニングトリムウエザストリップを提供する。
【解決手段】オープニングトリムウエザストリップ10は、取付基部20と、シール部30を有する。シール部30は、シール壁32と、車体開口部周縁6を装飾する装飾部材の端部を覆うカバーリップ34を有する。カバーリップの内面、又はカバーリップの根元部の近傍のシール部又は取付基部に容易に切り離し可能な紐状部材36を形成する。カバーリップの外面の少なくとも1箇所に2片に分離可能なタブシート40を置き、紐状部材の一部をカバーリップの外面に引き出すとともに、タブシートの一方の1片に切断した紐状部材の一方をステープル45で固定し、タブシートの他方の1片に切断した紐状部材の他方をステープル46で固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車ドア、バックドア、スライディングルーフ等の車体開口部を開閉する車体開口部開閉部材と車体開口部周縁との間をシールする自動車用のオープニングトリムウエザストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、本発明について、図3に示すように、自動車のドア2と車体開口部周縁6との間をシールするオープニングトリムウエザストリップ10を例に取り説明する。
従来、自動車のドア2と車体開口部周縁6との間のシールは、図5に示すように、ドア2におけるドアフレーム等の外周のリテーナー4に取付けられるドアウエザストリップ160と、ドアフレーム等の内周のチャンネル3に取付けられるガラスラン150と、車体開口部周縁6のフランジ7に取付けられるオープニングトリムウエザストリップ110とによりなされる。
なお、上記のフランジ7は、車体開口部周縁6を規定しているアウターパネル9と車内側のインナーパネル8等とによって形成されている。
【0003】
ガラスラン150は、車外側側壁151、底壁152と車内側側壁153からなる断面略コ字形の内部にドアガラス5の端部を収納し、その端部を車外側側壁151と車内側側壁153の先端から延設した車外側シールリップ154と車内側シールリップ155によりシールしている。
【0004】
ドア2の外周に取付けられたドアウエザストリップ160は、取付基部161とその上部に一体に形成された中空シール部164とシールリップ部166から構成される。取付基部161は、ドアフレームの外周に設けられたリテーナー4に嵌め込まれてドアフレームに固定される。そして、ドア閉時にシールリップ部166が車体開口部周縁6のアウターパネル9の最も車外側の側端に当接し、ドア2の先端と車体開口部周縁6の車外側側端との間の隙間をシールする。そのとき、中空シール部164は、車体開口部周縁6のシールリップ部166が当接する部分よりも車内側の膨出部分に当接して、ドア2と車体開口部周縁6との間をシールしている。
【0005】
車体の開口部には、上記のフランジ7に取付けられたオープニングトリムウエザストリップ110があり、ドアウエザストリップ160が車体開口部周縁6をシールする部分よりもさらに車内側でドア2と車体開口部周縁6との間をシールしている。オープニングトリムウエザストリップ110は、断面略U字形の取付基部120により上記のフランジ7に取付けられ、中空シール部130がドアフレーム膨出部2aに当接してシールする。この取付基部120は、フランジ7を把持する力を強化するために、金属インサート等の芯材124が埋設され、その内部にフランジ保持リップを備えている。
【0006】
また、この種のオープニングトリムウェザストリップとして、図6,図7に示すように、オープニングトリムウエザストリップ210は、車体開口部周縁6の全周に亘り取付けられている。そして車体開口部周縁6の車内側には、装飾のため、オープニングトリムウエザストリップ210に接してインナーパネル8にガーニッシュ50が装着されている。このガーニッシュ50とオープニングトリムウエザストリップ210の境界の見栄えを向上させるために、オープニングトリムウエザストリップ210からカバーリップ234を延設させ、このカバーリップ234でその境界を覆うようにしているものがある。
【0007】
しかしながら、後からガーニッシュ50を装着するときに、カバーリップ234の先端をガーニッシュ50が押さえ込んで、ガーニッシュ50を覆うことができなくなる場合がある。そのため、図6に示すように、カバーリップ234の近傍のトリム部220の側面に、容易に引き離すことができる紐状部材236を一体的に形成し、図7に示すように、この紐状部材236の一端を引っ張って、カバーリップ234をガーニッシュ50の表面に引き出して、ガーニッシュ50との境界をカバーすることが行われている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
この紐状部材236を引っ張るためには、図7に示すように、紐状部材236の先端にタブシート240を取り付け、そのタブシート240をカバーリップ234の外まで出して、組付工程で引き出しやすいようにしている。しかし、この紐状部材236にタブシート240を取付けるためには、タブシート240に複数の孔をあけて、その孔に紐状部材236を通すようにしていた。このため、紐状部材236のタブシート240への取付に手間がかかるばかりでなく、1本の紐状部材236によってカバーリップ234をオープニングトリムウエザストリップの全周に亘り引き出すため、カバーリップ234のガーニッシュ50上への引き出しにも時間がかかっていた。
【0009】
【特許文献1】特開2006−69253号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このため、本発明は、装着時等にカバーリップを容易に装飾部材の上面に位置させて、装飾部材との境界を覆うことができる、装着が容易なオープニングトリムウエザストリップを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、自動車の車体開口部周縁に取付けられ、自動車の車体開口部開閉部材との間をシールするオープニングトリムウエザストリップにおいて、
オープニングトリムウエザストリップは、車体開口部周縁の先端に設けられたフランジに取付けられる取付基部と、取付基部に一体的に設けられ、車体開口部開閉部材に当接して車体開口部開閉部材と車体開口部周縁との間をシールするシール部を有し、
シール部は、車体開口部開閉部材に当接するシール壁と、車体開口部周縁を装飾する装飾部材の端部を覆うカバーリップを有し、カバーリップの内側においてカバーリップの根元部の近傍のシール部又は取付基部に容易に切り離し可能な紐状部材を形成し、
カバーリップの外面の少なくとも1箇所に2片に分離可能なタブシートを置き、紐状部材の一部をカバーリップの外面に引き出すとともに、タブシート上に置き切断し、タブシートの一方の1片に切断した紐状部材の一方をステイプルで固定し、タブシートの他方の1片に切断した紐状部材の他方をステイプルで固定したオープニングトリムウエザストリップである。
【0012】
請求項1の本発明では、オープニングトリムウエザストリップは、車体開口部周縁の先端に設けられたフランジに取付けられる取付基部と、取付基部に一体的に設けられ、車体開口部開閉部材に当接して車体開口部開閉部材と車体開口部周縁との間をシールするシール部を有する。このため、取付基部を車体開口部周縁のフランジに取付けると、シール部が車体開口部開閉部材の所定位置に確実に当接してシールすることができる。
【0013】
シール部は、車体開口部開閉部材に当接するシール壁と、車体開口部周縁を装飾する装飾部材の端部を覆うカバーリップを有する。このため、シール壁が車体開口部開閉部材と当接してシールするとともに、オープニングトリムウエザストリップと装飾部材の間の隙間をカバーリップが覆うことができ美観を向上させることができる。
カバーリップの内側において、又はカバーリップの根元部の近傍のシール部又は取付基部に容易に切り離し可能な紐状部材を形成したため、紐状部材を切り離して引っ張ることにより容易にカバーリップをともなって装飾部材と取付基部の間から引き出すことができ、カバーリップを装飾部材の上面に位置させることができる。
【0014】
カバーリップの外面の少なくとも1箇所に2片に分離可能なタブシートを置いたため、紐状部材をタブシートに固定することによりタブシートを引っ張って、容易に紐状部材を引き出すことができる。
紐状部材の一部をカバーリップの外面に引き出すとともに、タブシート上に置き切断したため、紐状部材をタブシート上で2本にすることができ、2本の紐状部材とタブシートをそれぞれ反対方向に引っ張るため、カバーリップを装飾部材の上に引き上げることが素早くできる。
【0015】
タブシートの一方の1片に切断した紐状部材の一方をステープルで固定し、タブシートの他方の1片に切断した紐状部材の他方をステープルで固定した。このため、分離可能なタブシートのそれぞれの片に簡単に、確実に2本の紐状部材を固定することができ、分離したタブシートをそれぞれ両側に引っ張ることにより、確実に紐状部材を引き出すことができる。
【0016】
請求項2の本発明は、紐状部材は、オープニングトリムウエザストリップの押出成形時に同時に形成し、断面形状が円形又は楕円形であり、カバーリップの内側においてシール部又は取付基部と薄膜で連続しているオープニングトリムウエザストリップである。
【0017】
請求項2の本発明では、紐状部材は、オープニングトリムウエザストリップの押出成形時に同時に形成したため、紐状部材を別途成形・配管する手間がかからなく、コストも増加しない。
紐状部材が、断面形状が円形又は楕円形であり、シール部又は取付基部と薄膜で連続しているため、手で引っ張ることにより容易にオープニングトリムウエザストリップから引き離すことができ、カバーリップの組付け作業の効率が向上する。
【0018】
請求項3の本発明は、紐状部材は、ソリッドゴムで形成されたオープニングトリムウエザストリップである。
【0019】
請求項3の本発明では、紐状部材は、ソリッドゴムで形成されたため、紐状部材を引き出すときに、切断することがなく確実にカバーリップを引き出すことができる。
【0020】
請求項4の本発明は、シール部は、円弧状のシール壁とシール壁を保持する保持壁とで中空状に形成され、シール壁の側部からカバーリップが形成され、紐状部材は、カバーリップの根元部近傍の保持壁に形成されたオープニングトリムウエザストリップである。
【0021】
請求項4の本発明では、シール部は、円弧状のシール壁とシール壁を保持する保持壁とで中空状に形成されたため、車体開口部開閉部材の建付けばらつきがあっても円弧状のシール壁が確実に車体開口部開閉部材に当接することができ、シール性を確保することができる。
シール壁の側部からカバーリップが形成され、紐状部材は、カバーリップの根元部近傍の保持壁に形成されたため、紐状部材を引っ張ると確実にカバーリップを装飾部材の上へ引き上げることができる。
【0022】
請求項5の本発明は、紐状部材が形成されたシールリップの根元部近傍の保持壁は、ソリッド材で形成されたオープニングトリムウエザストリップである。
【0023】
請求項5の本発明では、紐状部材が形成されたシールリップの根元部近傍の保持壁は、ソリッド材で形成されたため、紐状部材と同じ材料で成形することができ、成形が容易である。保持壁がソリッド材のため、シール壁がドア膨出部で押されて変形しても、シール壁を支えることができ、シール性を確保することができる。
【0024】
請求項6の本発明は、タブシートは、平面形状が略U字形に形成され、U字形の底部にミシン目の破談線が形成され2片に分離可能に形成されたオープニングトリムウエザストリップである。
【0025】
請求項6の本発明では、タブシートは、平面形状が略U字形に形成され、U字形の底部にミシン目の破断線が形成され2片に分離可能に形成されたため、U字形の左右の部分が底部のミシン目で容易に破断することができるとともに、破断した各片は短冊状になり、手で持ちやすく、紐状部材の引っ張り作業が容易である。
【発明の効果】
【0026】
本発明では、カバーリップの外面の少なくとも1箇所に2片に分離可能なタブシートを置き、紐状部材の一部をカバーリップの外面に引き出すとともに、切断してタブシートの一方の1片に切断した紐状部材の一方をステープルで固定し、タブシートの他方の1片に切断した紐状部材の他方をステープルで固定したため、紐状部材をタブシート上で2本にすることができ、2本の紐状部材にそれぞれ取付けられたタブシートの片を引っ張るため、カバーリップを装飾部材の上に引き上げることが素早くできる。
また、分離可能なタブシートのそれぞれの片に簡単に、確実に2本の紐状部材を固定することができ、分離したタブシートをそれぞれ両側に引っ張ることにより、確実にカバーリップをともなって紐状部材を引き出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の実施の形態を、車体開口部周縁6のフランジ7に取付けられるオープニングトリムウエザストリップ10を例にとり説明する。本発明は、オープニングトリムウエザストリップ10以外にも、スライディングルーフウエザストリップ、バックドアウエザストリップ等の自動車の車体開口部と、その開口部を閉じる開閉部材に使用されるシール部と、トリム部(取付基部)を有するウエザストリップにも使用することができる。
【0028】
本発明を、図1〜図4に基づき説明する。
図1は、本発明の実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップ10の図3における車体開口部周縁6に装着された状態の断面図である。
図2は、本発明の実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップ10において、タブシート40と紐状部材36の取付状態を示す斜視図である。
図3は自動車のドア2を開いた状態において、オープニングトリムウエザストリップ10の車体開口部周縁6への取付状態を示す後方から見た斜視図である。
図4は、車体開口部周縁6に装着されるオープニングトリムウエザストリップ10の全体の正面図である。
【0029】
図3に示すように、自動車の車体1は、車体開口部を有し、その車体開口部は、車体開口部開閉部材であるドア2により開閉される。車体開口部の周囲は、車体開口部周縁6を形成し、車体開口部周縁6には、車体1を構成するアウターパネル9やインナーパネル8等の先端が溶接されて、フランジ7(図1参照)が形成されている。このフランジ7に車体開口部周縁6とドア2との間をシールするオープニングトリムウエザストリップ10が装着される。
フランジ7は、車体1の車体開口部周縁6の部位により溶接されるパネルの数が2枚〜5枚程度まで変化するためその厚さが車体1の部位により変化する。
【0030】
オープニングトリムウエザストリップ10は、押出成形により直線状に成形される。この直線状に形成された1本のオープニングトリムウエザストリップ10は、図4に示すように、車体開口部周縁6の形状に沿って、環状となるようにフランジ7に装着される。装着は、オープニングトリムウエザストリップ10の一方の端末から順次、フランジ7に装着され、装着が完了すると、他方の端末が一方の端末と接合することとなる。この端末は、接続部11により型接合されて環状に形成される。
また、オープニングトリムウエザストリップ10の端末同士を装着前に接着シートや接着剤で接着した接続部11で環状にしてもよい。環状に形成すると、装着することが容易となる。
【0031】
次に、図1に基づき、実施の形態のオープニングトリムウエザストリップ10の断面形状について説明する。
オープニングトリムウエザストリップ10は、フランジ7に取付けられる、断面略U字形のトリム部(取付基部)20と、トリム部20から一体的に形成され、ドア2のドアフレーム膨出部2aに当接して、ドア2と車体開口部周縁6との間をシールする中空状のシール部30を有する。
【0032】
トリム部20は、車外側側壁21、車内側側壁22と底壁23からなる断面略U字形をなしている。車外側側壁21、車内側側壁22と底壁23の内部には、剛性を向上させるために板金や硬質合成樹脂製のインサート24が埋設されている。
車内側側壁22の内面には、斜め内部方向に車内側保持リップ26が1本形成され、車外側側壁21の内面には、斜め内部方向に車外側保持リップ25が複数本形成されている。
【0033】
このトリム部20の内部に車体開口部周縁6のフランジ7が挿入され、オープニングトリムウエザストリップ10が車体開口部周縁6に取付けられる。フランジ7の両側面には、車外側保持リップ25と車内側保持リップ26が当接し、トリム部20が倒れないように保持する。フランジ7の肉厚が増加すると、車内側保持リップ26が撓んで、挿入荷重を増加させなくすることができる。
【0034】
また、トリム部20は、その別実施態様として、車外側側壁21、底壁23からなる断面略L字形とすることもできる。この場合には、トリム部20は、フランジ7の肉厚の変化の柔軟に対応できるため、底壁23が所定の幅を有している。トリム部20の車外側側壁21と底壁23は一体的に連続して形成され、上述の断面形状がU字形の場合のように、フランジ7を挟持する挟持力を補強する金属板や硬質合成樹脂等で形成されたインサート24が埋設されていない。このためオープニングトリムウエザストリップ10を軽量化することができる。
【0035】
また、この場合、車外側側壁21は断面が略平板状に形成され、車外側側壁21の車内側面には両面接着テープが貼着されている。オープニングトリムウエザストリップ10は、両面接着テープによりフランジ7の側面に接着される。
両面接着テープを使用すると、フランジ7の車外側の面に接着するのみであるため、フランジ7の厚さが変化しても装着方法は同じであり、フランジ7への接着力は同様であり、装着が容易である。さらに、車外側側壁21に両面接着テープを貼着すると貼着面積も大きく、強固にトリム部20を接着することができる。
この場合に、シール部30は上述の実施の態様と同様に、車外側側壁21に形成することができる。
【0036】
さて、本実施の形態では、車外側側壁21の外面に、シール部30が形成されている。シール部30は、中空状の中空シール部31と中空シール部31の側部から延設されるカバーリップ34から形成されている。中空シール部31は、断面円弧状のシール壁32とシール壁32の側端を保持する保持壁33から形成されている。シール壁32は、一方の側端が車外側側壁21の先端外面から延設され、他方の側端は、保持壁33の先端に連結されている。保持壁33の根元は、車外側側壁21の底壁23寄りの外面と一体に連結されている。
【0037】
このため、ドア閉時には、シール壁32の頂点部分がドア膨出部に当接して、シール壁32と保持壁33が弾性的に変形して、シールすることができる。そして、ドア材の建付けばらつきがあっても円弧状のシール壁32が確実にドアに当接することができ、シール性を確保することができる。なお、シール壁32の変形を容易にするために通気孔35が形成されている。
【0038】
また、本実施の形態では、シール壁32の一方の側端に保持壁33が形成されたものを示したが、シール壁32の両方の側端に保持壁33を形成することもできる。
中空シール部31の代わりに中空状ではなく、リップ状のシール壁32を車外側側壁21の外面に設けてもよい。
【0039】
シール壁32と保持壁33が連結される部位からシール壁32を延長する方向にカバーリップ34が延設されている。カバーリップ34の先端は、車体開口部周縁6に取付けた後には、車体開口部周縁6の車内側に取付けられた装飾部材であるガーニッシュ50の側端上面を覆うようになる。
シール壁32とカバーリップ34は柔軟性を増加させるためにスポンジ材で形成されるが、その表面はソリッド材の表皮層37が形成され、表面が平滑になっている。
【0040】
保持壁33の外面に紐状部材36が形成される。紐状部材36は断面形状が円形又は楕円形に形成され、保持壁33とは薄膜で連続している。このため、紐状部材36は、保持壁33や他のオープニングトリムウエザストリップ10を成形するときに同時に押出成形で成形することができ、紐状部材36を成形する手間がかからなく、コストも増加しない。
紐状部材36が、保持壁33とは薄膜で連続しているため、手で引っ張ることにより容易にオープニングトリムウエザストリップ10から引き離すことができる。
【0041】
本実施の形態では、紐状部材36は、保持壁33のカバーリップ34の根元に近い部分に形成されている。このため、後述するように、紐状部材36を引っ張り、カバーリップ34を引き出すときに、カバーリップ34の根元から完全にカバーリップ34を引き出して、その先端部位をガーニッシュ50の上面に位置させることができる。
また、紐状部材36をカバーリップ34の内面に形成することもできる。この場合にも、紐状部材36を引っ張ると同時にカバーリップ34を引き出すことができる。
【0042】
なお、本発明では、カバーリップ34は、トリム部20の底壁23又は車内側側壁22の外面から延設させることができる。これにより、シール部30の形状とガーニッシュ50の取り付け位置に応じて、カバーリップ34の位置と形状を自由に選択することができる。この場合においても、紐状部材36はカバーリップ34の内側において、カバーリップ34又はトリム部20の外面に形成する。
【0043】
紐状部材36を形成し、後述するように合成ゴムの場合は加硫後に、紐状部材36の一部は図2に示すようにカバーリップ34の外面に引っ張り出される。
カバーリップ34の外面とトリム部20の外面の間の隙間を跨ぐようにタブシート40が置かれている。タブシート40は少なくともオープニングトリムウエザストリップ10の全周の1箇所に置かれる。その位置は、例えば、オープニングトリムウエザストリップ10を車体開口部周縁6に取付けたときに、センターピラーに位置する部分に設けることができる。その場合は、タブシート40の高さが組付け作業者の手の位置に近く、紐状部材36を引き出す作業が容易である。
【0044】
タブシート40の形状は、本実施の形態では、平面形状が略U字形に形成され、U字形の底部に2片に分離可能なようにミシン目の破断線43が形成されている。タブシート40は、分離した場合にU字形のタブシート40の2つの片となるそれぞれの部分の第1シート部41と第2シート部42と上記の破断線43から形成されている。
タブシート40上に引き出された紐状部材36は、切断されて一方が第1シート部41にステープル45で固定され、他方が第2シート部42にステープル46で固定されている。このため、分離可能な第1シート部41と第2シート部42に簡単に、確実に2本の紐状部材36を固定することができる。
【0045】
タブシート40は、カバーリップ34とトリム部20との間の凹部に入り込まない程度の剛性と破断線43で容易に分離できる程度の破断容易性を有する必要がある。このため例えば、紙(ダンボール紙、厚紙)、合成樹脂シート等を使用することができる。
また、平面形状は、U字形のみならず、V字形、長方形、ダンベル形等、適宜選択することができる。なお、タブシート40を長方形状に厚紙で形成し、引き出された紐状部材36をステープル45.46によって固定してから、ステープル45.46の間でタブシート40を端部を残して紐状部材36ごと切り欠き、紐状部材36を2分化し、タブシート40を2分割可能に構成してもよい。この場合、切り残されたタブシート40の端部には破断線は設けられないが、手で容易に分離できる程度の量が残される。
【0046】
このようにタブシート40を取付けたため、オープニングトリムウエザストリップ10を車体開口部周縁6に取り付けた後に、紐状部材36を引き出すことが容易になる。
即ち、第1シート部41と第2シート部42をそれぞれ手で持って、左右に引っ張れば、ミシン目の破断線43で、容易に破断することができるとともに、破断した第1シート部41と第2シート部42を手で持ちやすく、それを引っ張ることにより、紐状部材36を引っ張り出し、紐状部材36で、カバーリップ34を引き出し、ガーニッシュ50の上に位置させることができる。
【0047】
次に、オープニングトリムウエザストリップ10の製造方法を説明する。
このオープニングトリムウエザストリップ10は、押出成形により成形され、トリム部20、保持壁33と紐状部材36を構成するソリッドゴムと、シール部30のシール壁32とカバーリップ34を構成するスポンジゴムと、トリム部20のインサート24を押出成形機で一体に押出す。
【0048】
オープニングトリムウエザストリップ10の成形においては、成形材料は、ソリッド材または微発泡材の場合は、合成ゴム、熱可塑性エラストマーが使用され、例えば合成ゴムではEPDMゴム、熱可塑性エラストマーではポリオレフィン系エラストマー等が使用される。スポンジ材としてとしては、上記EPDMゴム、熱可塑性エラストマーを発泡させて使用する。
【0049】
合成ゴムの場合は、押出成形後に加硫槽に搬送されて、熱風や高周波等により加熱されて加硫や発泡が行われる。熱可塑性エラストマーの場合は、押出成形と同時にスポンジ材部分が発泡して、冷却され固化される。その後、所定の長さに切断されて、押出成形部分は製造される。
押出されたオープニングトリムウエザストリップ10は、環状に接続されてもよく、自動車の車体開口縁のフランジ7に取付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップが車体開口部周縁に装着された状態の断面図である。
【図2】本発明の実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップのタブシートを取り付けた部分の部分斜視図である。
【図3】自動車のドアを開いた状態における後方から見た斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態であるドアオープニングトリムウエザストリップの正面図である。
【図5】従来のオープニングトリムウエザストリップを自動車の開口縁に取付けた状態における断面図である。
【図6】従来の他のオープニングトリムウエザストリップを自動車の開口縁に取付けた状態における断面図である。
【図7】従来の他のオープニングトリムウエザストリップを自動車の開口縁に取付けた後、紐状部材を引っ張る状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0051】
6 車体開口部周縁
7 フランジ
10 オープニングトリムウエザストリップ
20 トリム部
30 シール部
31 中空シール部
32 シール壁
33 保持壁
34 カバーリップ
36 紐状部材
40 タブシート
45、46 ステープル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車体開口部周縁に取付けられ、自動車の車体開口部開閉部材との間をシールするオープニングトリムウエザストリップにおいて、
該オープニングトリムウエザストリップは、上記車体開口部周縁の先端に設けられたフランジに取付けられる取付基部と、該取付基部に一体的に設けられ、上記車体開口部開閉部材に当接して上記車体開口部開閉部材と上記車体開口部周縁との間をシールするシール部を有し、
該シール部は、上記車体開口部開閉部材に当接するシール壁と、上記車体開口部周縁を装飾する装飾部材の端部を覆うカバーリップを有し、該カバーリップの内側において、又はカバーリップの根元部の近傍のシール部又は取付基部に容易に切り離し可能な紐状部材を形成し、
上記カバーリップの外面の少なくとも1箇所に2片に分離可能なタブシートを置き、上記紐状部材の一部を上記カバーリップの外面に引き出すとともに、上記タブシート上に置き切断し、上記タブシートの一方の1片に切断した紐状部材の一方をステープルで固定し、上記タブシートの他方の1片に切断した紐状部材の他方をステープルで固定したことを特徴とするオープニングトリムウエザストリップ。
【請求項2】
上記紐状部材は、オープニングトリムウエザストリップの押出成形時に同時に形成し、断面形状が円形又は楕円形であり、上記カバーリップの内側においてシール部又は取付基部と薄膜で連続している請求項1に記載のオープニングトリムウエザストリップ。
【請求項3】
上記紐状部材は、ソリッドゴムで形成された請求項1又は請求項2に記載のオープニングトリムウエザストリップ。
【請求項4】
上記シール部は、円弧状のシール壁と該シール壁を保持する保持壁とで中空状に形成され、該シール壁の側部から上記シールリップが形成され、上記紐状部材は、上記シールリップの根元部近傍の上記保持壁に形成された請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のオープニングトリムウエザストリップ。
【請求項5】
上記紐状部材が形成された上記シールリップの根元部近傍の上記保持壁は、ソリッド材で形成された請求項4に記載のオープニングトリムウエザストリップ。
【請求項6】
上記タブシートは、平面形状が略U字形に形成され、U字形の底部にミシン目の破断線が形成され2片に分離可能に形成された請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のオープニングトリムウエザストリップ。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−30636(P2008−30636A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−206978(P2006−206978)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】