説明

カチオン重合性モノマーのホモポリマーとコポリマー

【課題】少なくとも一種のカチオン重合性モノマーの単独重合体、ないし該モノマーとノルボルネン型モノマーとの共重合体を製造する方法、並びに該製造方法によって得られる重合体を提供する。
【解決手段】0.1〜99.9重量%の少なくとも1種のノルボルネン型モノマーおよび0.1〜99.9重量%の少なくとも1種のカチオン重合性モノマーとを、VIII族遷移金属イオン源を含む単一成分もしくは多成分触媒の存在下、溶媒中で重合する。該カチオン重合性モノマーとしては、オレフィン、イソオレフィン、分岐状α−オレフィン、共役オレフィン、二環性ビニルエーテル、環状エーテル、N−ビニルカルバゾールおよびラクトンモノマーよりなる群から選ばれるモノマーが好適に使用される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
背景技術
ポリマー化学において知られた4種の重合;カチオン、遊離ラジカル、アニオンおよび配位アニオン(チーグラー・ナッタ)型重合がある。これらの全てがある種の利益と不利益を有し、そしてそれらは、ある種の型のモノマーを重合することが知られている。また、各型の重合が持つある種の制限があり、そして如何なる公知の触媒系によっても重合され得ないある種のモノマーの組み合わせがある。
【0002】
オレフィン、ジエン、官能性オレフィンおよび還式エーテルを包含する、多くのモノマーがカチオン重合によって重合されるが、多くのその種のモノマーは低分子量のみの重合体を生成する。限定された数のモノマーのみが高分子量に重合され得、そしてこれらは−100℃まで低下されるような非常に低い温度で重合されなければならない。遊離ラジカル開始剤は、塩化ビニル、アクリル酸、エチレン、TFEの如きビニルモノマーを、ポリビニルクロライド、ポリアクリル酸、ポリスチレン、低密度ポリエチレン、ポリTFE等の如きポリマーを与えるように重合するのに用いられる。アニオン重合は、ジエン、スチレン、アクリレートおよびエポキシの如き環開環重合物を重合するのに用いられ、一方、チーグラー・ナッタ触媒(配位アニオン重合)は、オレフィン、ジエンおよび環式オレフィンを重合するのに用いられるが、官能性モノマーはその種の触媒を毒する。
【0003】
本発明は、新規な重合機構、配位カチオン性を取り扱う。配位カチオン触媒の使用は、オレフィン、イソオレフィン、分岐α−オレフィン、共役オレフィン、二環式オレフィン、ビニルエーテル、環式エーテル、ラクトンおよびN−ビニルカルバゾールを含むカチオン重合性モノマーの重合の如き幾つかの周知ポリマーの製造のためはもちろん、ノルボルネン型すなわちNB型のモノマーを含有する種々の新規なコポリマーすなわちビシクロ[2.2.1]ペプト−2−エンの付加重合誘導体から得られる繰り返し単位を含有することによって特徴づけられるポリマーの製造のための新規な方法を提供する。NBの付加重合は、次の如く図解される。
【0004】
【化1】

付加重合されたNB型モノマーの繰り返し単位がC=C不飽和を含有しないことは注目されるべきである。そのようなポリマー構造は、C=C不飽和を含有する繰り返し単位を持つポリマー鎖と比較してより良い熱性質を持つことが知られている。この付加重合は、下記の如く表されるNBの開環メタセシス重合(“ROMP”)と対比されるべきである。
【0005】
【化2】

ROMP重合の繰り返し単位は、ポリマー鎖中にC=C不飽和を含有する。
【0006】
ノルボルネン(NB)の如き環式オレフィンモノマーは、昔重合されたが(米国特許第2,721,189および3,330,815号)、得られる付加重合体は、低分子量でのみ取得された。NB型モノマーと非NBコモノマーとの非常に少ないコポリマーが報告されている。1980年代の初め、三井石化は、均質バナジウム触媒を用いて、テトラシクロドデセン/エチレンコポリマーを開発した。
しかしながら、この触媒は、低い触媒活性およびかなりのオリゴマー画分を含む、多くの制限をかかえていた。彼らは、ジルコノセン触媒を用いて、NB/エチレンコポリマーを同様に製造した。EP504,418Aにおいて、オカモトらは、実施例17(46頁)中に、シクロオレフィンをα−オレフィンとジルコニウム含有触媒を用いて共重合することを開示している。EP445,755Aにおいて、マエザワらは、遷移金属化合物とアルミノキサンからなる二成分触媒系を用いてポリノルボルネンを製造することを開示している。
【0007】
特開平4−45113号(1994年2月14日発行)は、NBと、スチレン、アルキルスチレンおよびハロスチレンのコポリマーを、Ni触媒とアルミノキサンを用いて製造することを開示している。明らかに、ノルボルネンの開環重合が幾らか起こっている。興味あることに、特開平4−45113号は、NBが他のモノマーと重合され得ることを示唆していず、さらにスチレン類に関してさえ、それは、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン(ビニルアニソール)の如きアルコキシスチレンおよびp−ジメチルアミノスチレンを包含していない。重合に関する限り、スチレン類の異なる種類間で実質的相違がある。
【0008】
カチオン法により重合されうるだけの、イソオレフィン、ビニルエーテル類およびN−ビニルカルバゾールの如き、本発明の触媒によって重合される多くのモノマーと対比して、スチレンは、多くの異なる経路を経て重合され得る。商業的には、大部分のポリスチレンは、遊離ラジカル重合によって製造され、狭い分子量分布を持つ幾つかのポリマーとブロックコポリマーが生長アニオン重合によって合成される。最近、均質チーグラー・ナッタ(“配位アニオン性”)重合の分野における進歩は、可活性チタン触媒をメタルミノキサンと一緒に用いてシンジオタクチックポリスチレンの工業的生産を達成していることである。これまでスチレンのカチオン重合は、漠然と定義された樹脂の製造に制限されていた。仮にスチレンのカチオン重合が、明瞭に定義されたポリスチレン類が製造されうるように制御されるなら、ブロックおよびグラフトコポリマーへの新しいルートのみならず、スチレンとイソブチレンあるいはスチレンとブタジエンのブロックおよびグラフトコポリマーの如き新規組成への新しいルートを開くことなろう。
【0009】
本発明の触媒(“配位カチオン重合”)を用いると、スチレンと他の“カチオン性モノマー”との共重合を先例のない程度にまで制御して、ノルボルネン単位の開環重合(これはポリマー主鎖中にオレフィン性不飽和とアリル性水素を生じ低熱および酸化安定性を結果として生じるであろう)なしに、ノルボルネン類とのコポリマーの如き非常に多くの種類の新規な高分子量ポリマーを製造することを可能とする。さらに、配位カチオン触媒のこの新しい領域の性質により、チーグラー・ナッタ触媒を用いて簡単には重合し得ないスチレン類すなわちα−メチルスチレン、パラ−メトキシスチレン(ビニルアニソール)およびパラジメチルアミノスチレンを、NBと共重合させることを可能とする。
【0010】
多くの異なるルートを経て重合可能な他のクラスのモノマーは、ブタジエンおよびイソプレンの如き共役ジエンである。本発明の新規触媒を用いる利点は、これらのジエンモノマーと他の“カチオン性モノマー”との共重合を制御することにある。例としては、慣用のカチオン開始剤を用いて達成し得るよりも高分子量のコポリマーを与えるイソブチレンを用いる共重合、および新規なコポリマー組成を与えるノルボルネンモノマーを用いる共重合がある。
発明の要約
本発明の主たる目的は、カチオン重合性オレフィンモノマー(以後、略して、“カチオン性オレフィンモノマー”または“カチオン性オレフィン”)、環式エーテルおよびラクトンを用いるNB型コポリマー、あるいは、如何なるNBコモノマーをも用いずに、カチオン性オレフィンおよびN−ビニルカルバゾールのホモもしくはコポリマーを、以下にさらに詳細に記載する如くして製造する新規方法を提供することにある。
【0011】
本発明の特定の目的は、NB型モノマーとカチオン重合性オレフィンモノマーとのコポリマーを製造する方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、他の如何なる公知方法によっても製造され得ないNB型モノマーとカチオン性オレフィンの新規なコポリマーを製造することにある。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、先行技術の重合法を越える多くの利点を与える新規な方法による、公知のカチオン重合性オレフィンモノマーのホモ重合もしくは共重合である。
本発明のこれらのおよび他の目的は、第VIII族遷移金属イオン源を含有する単一もしくは多成分触媒系の存在下で、上で注目したモノマーの重合を実施することによって達成されよう。
発明の詳細な開示
本発明は、ある種のポリマーおよびある種の新規なコポリマーを製造する方法に向けられている。
【0013】
1つの方法は、
a)0〜99.9重量%の少なくとも1種のノルボルネン型モノマー、および
b)0.1〜100重量%の少なくとも1種のカチオン重合性モノマー
からポリマーを製造するためのものである。
【0014】
他の方法は、カチオン重合性モノマーからホモポリマーおよびコポリマーを製造するためのものである。
この範疇のポリマーは、しばしばポリブテン系ポリマーといわれる、工業的に重要なクラスのポリマーを包含する。その種のポリマーは、低分子量または高分子量であり得るブチルゴムおよびポリイソブチレン群を包含するイソブチレン群を包含する。
【0015】
すなわち、ポリブテン系ポリマー特にブチルゴムを製造するためには、高純度モノマー特にイソブチレンが必要とされる。しかしながら、本発明の触媒はより高水準の不純物に耐性があり、そしてこの理由のために、本発明の方法は一層経済的となる。さらに、これらのポリマーの物理的性質を固定するための最も重要なパラメーターの1つは、分子量である。ポリ(1−ブテン)を除くこれらの材料の他の共通の特徴は、分子量が重合温度によって大きく決定されるということである−極低温(−100℃)は高分子量を与え、そしてより高い温度(−20℃)は低分子量を生ずる。さらに、本発明の方法は、本発明の触媒系を使用により、その種のポリマー特にポリイソブチレン(PIB)が、実質的により高い温度例えば約−50℃〜10℃、好ましくは−40℃と−10℃との間で製造され得るという理由で、当該技術水準の実質的改善を表している。
【0016】
PIBは、メチルクロライドの如きハロゲン化溶媒中に一般に製造される。そのような溶媒は本発明方法でも用いられるけれども、本発明の大きな利点は、シクロヘキサン、ヘキサン等の如き炭化水素溶媒中で、高分子量のブチルゴムが製造されうることである。これは、環境的に望ましくないハロゲン化溶媒を用いる必要性を排除するので、当該技術における重要な進歩である。
【0017】
ブチルゴムは、98〜99.6重量%のイソブチレンと0.4〜2.0重量%のイソプレンを含有するモノマー混合物から製造される。低分子量ポリイソブチレンは、一般に10℃と−40℃の間の温度で製造されるが、本発明方法を採用すると20℃と−10℃の間の温度で製造されうる。高分子量ポリイソブチレンは、先行技術の方法によって要求される約−100℃の温度と対照的に、本発明の方法を採用すると−50℃と10℃の間、好ましくは−40℃と10℃の間の温度で製造されうる。
【0018】
さらに他の方法は、
a)0.1〜99.9重量%の少なくとも1種のノルボルネン型モノマー、および
b)0.1〜99.9重量%の少なくとも1種のカチオン重合性モノマー
からコポリマーを製造するためのものである。
【0019】
さらに他の方法は、
a)0.1〜99重量%の芳香族オレフィン、
b)1〜99重量%のノルボルネン型モノマー、および
c)1〜99.9重量%のカチオン重合性モノマー
からコポリマーを製造するためのものである。
【0020】
他の方法は、1種もしくはそれ以上のカチオン重合性モノマーからポリマーを製造するためのものである。
上述した方法は、第VIII族遷移金属イオン源を含有する単一成分もしくは多成分触媒系の有効量を用いることによって実施され、そして重合は、約100℃〜120℃の範囲の温度でモノマー用の溶媒中で実施される。
【0021】
種々のホモポリマーおよびコポリマーを製造するために上記した種々の方法で本発明の触媒系と一緒に、予め決定された量で連鎖移動剤(CTA)を用いることができる。これらの触媒と一緒に使用されうるさらなる成分は、メタアルミノキサン化合物である。
【0022】
本発明で採用される触媒系は、該触媒が先行技術の触媒よりも有機もしくはプロトン性不純物の存在に対し遥かに不感性であるために、精製されたモノマーの使用を必要としないという点で顕著である。この特徴は、10ppmの如く僅かな量さえ水が存在しても完全に効果が無くなり、そしてモノマーの高価な精製を必要とする広範な反応性官能物に敏感であることがよく知られている、ジルコノセン、ハフノセンおよびチタノセン触媒の如き他の遷移金属を含有する触媒のそれと異なっている。本発明で採用される触媒は、“実質的に無水の”条件下でのみ用いられる必要がある。この条件は、重合反応混合物中に、1重量%を超えない量で、好ましくは0.1%以下で、水分が存在することを意味している。
【0023】
本発明のさらなる方法は、
a)1〜99重量%の少なくとも1種のノルボルネン型モノマーおよび
b)1〜99重量%の芳香族オレフィン
からコポリマーを製造するためのものである。
【0024】
この方法は、上記方法と同様にして、同じ単一もしくは多成分触媒系の存在下、モノマー用溶媒中で、−100℃と120℃の間の温度で実施される。CTAは同様に用いられてもよい。しかしながら、NB型/芳香族オレフィンコポリマーの製造に用いられうる有機アルミニウム成分は、メタアルミノオキサンとは異なる。
【0025】
本発明は、多くの新規組成にも向けられている。
1つのそのような新規な組成は、
a)0.1〜99.9重量%の少なくとも1種のノルボルネン型モノマー、または、5〜50重量%または40〜90重量%のNB型、および
b)0.1〜99.9重量%の少なくとも1種のカチオン重合性モノマー、または、50〜95重量%または10〜60重量%のそのようなモノマー
に由来する繰り返し単位を含有するコポリマーである。
【0026】
これらのコポリマーのうち、NB型モノマーは、付加型重合(開環型と対照的である)を起こして、C=C不飽和を欠如する繰り返し単位を与える。これらの繰り返し単位は、高いガラス転移温度と良好な熱、酸化安定性を持つポリマーを与える。
【0027】
上記したポリマーは、NB型モノマーが約50〜約90重量%および最も好ましくは50〜80重量%の量で用いられるとき好ましい。そのようなポリマーは、高水準のNBが生成するポリマーに高ガラス転移(熱変形)温度を与え、そしてカチオン重合性モノマーが良好な加工性と透明性を与えるので、好ましい。
【0028】
他の新規な組成は、
a)1〜99重量%のノルボルネン型モノマー、または、5〜25重量%または40〜90重量%のNB型、
b)1〜99.9重量%のカチオン重合性モノマー、または、25〜75重量%または5〜50重量%のそのようなモノマー、および
c)0.1〜99重量%の芳香族オレフィン、または、5〜70重量%または1〜55重量%のこの群のモノマー
に由来する繰り返し単位を含有するコポリマーである。
【0029】
さらに他の新規な組成は、
a)0.1〜99.9重量%の少なくとも1種のノルボルネン型モノマー、または、5〜50重量%または40〜90重量%のNB型、および
b)0.1〜99.9重量%のα−メチルスチレン、パラ−メトキシスチレンおよびパラ−N,N’−ジメチルアミノスチレンよりなる群から選ばれる芳香族オレフィン、または、50〜95重量%または10〜60重量%の1種もしくはそれ以上のこれらのモノマー
に由来する繰り返し単位を含有するポリマーである。
【0030】
これらの新規な組成は、ここに記述された方法によって製造される。NB型モノマーを重合して得られるこれらの新規な組成において、配位カチオン触媒は、NB型モノマーの実質的に専らの付加型重合により得られる繰り返し単位を含有するポリマーを与える。
【0031】
本発明の種々のポリマーの製造において本発明の方法で有用な触媒は、さらに特定的に以下に記述するように2つのカテゴリーに分かれる。

単一成分触媒
予備成形された単一成分有機金属錯体触媒は以下の構造式によって表される。
【0032】
【化3】

式中、Mは第VIII族の金属、特にNiとPdよりなる族から選ばれる金属を表す;そして、
1、L2、L3は、個々に、または2つまたは3つ全部で、最高3つまでのπ−結合と一つの単一金属−Cσ−結合をMに提供することができ;そして、L1、L2、L3はそれぞれ同種または異種でもよく、異種である場合、3つの独立した配位子を提供し;あるいは、3つの配位子のうちの2つは個々の配位子の一部でもよく;あるいは、3つすべての配位子が同じ配位子の一部でもよく;そしてCAは、すべての反応剤に対して不活性、つまり非反応性である補助溶剤に可溶化させるために選ばれた弱配位性カウンターイオン表す。
【0033】
“相溶性のある弱配位性アニオン”という言葉は、カチオンに対して弱配位性であるだけであり、それによって中性のルイス塩基によって充分に置換されやすくなっているアニオンを言及している。とりわけその言葉は、本発明の触媒系において安定化アニオンとして機能するときに、そのアニオン置換基または断片をカチオンへ移動することはなく、それによって中性の生成物を形成するアニオンを言及している。相溶性のあるアニオンとは、最初に予備成形された錯体が分解するときに中性まで分解されないアニオンのことである。
【0034】
反応混合物は、最も好ましくはコロイド溶液を含有しうる単一相から成る。もしくは、形成されたポリマーの形態学を制御するためにアルミニウムフルオリドのような“活性な”支持体に固着されることによって特に説明される、不均質触媒を用いる不均質系において反応は起こる。
【0035】
単一成分触媒は実質的に(i)もっとも好ましくは単一の“M”、好ましくはNiまたはPd原子から成る該有機“M”錯体のカチオン、および(ii)弱配位性カウンターアニオンから実質的に成り;カチオンが、単一金属−Cσ−結合によって、および少なくとも一つしかし3つ以下のπ−結合によって“M”に直接結合しているヒドロカルビル基を有する。ヒドロカルビルによって、炭素−金属σ結合と共役または非共役すなわち芳香族環である少なくとも一つのオレフィン性π−結合を提供することによって第VIII族の金属錯体を安定化できる基のことを意味する。代表的なヒドロカルビル基は、非環式の単環式または多環式でもよく、さらに分岐鎖状または非分岐鎖状(C1−C20)アルコキシ、(C6−C15)アリーロキシ、またはハロ基で置換されてもよい(C3−C20)アルケニル基である。任意に、カチオンは2つ以下のπ−結合または芳香族環によって弱配位性中性配位性配位子へと結合していてもよい。この錯体カチオンは、もっとも好ましくは(i)σ−結合およびπ−結合を提供する単一のアリル配位子、またはその標準型;または(ii)少なくとも2つの炭素−炭素単結合によって、どちらのオレフィン炭素原子からも空間をおいて離れている、末端炭素原子から少なくとも一つのオレフィン性金属へのπ−結合と金属へのσ−結合を提供する化合物から実質的に成る。弱配位性中性配位子は、例えばシクロオクタジエン(“COD”)、ジベンゾCOD、またはベンゼン、トルエン、キシレン、あるいはメシチレン等の芳香族化合物のようなキレート性2座配位子シクロ(C6−C12
ジオレフィンが好ましい。
【0036】
錯体カチオンの実施態様(i)は以下に示される。
【0037】
【化4】

式中、R1,R2,R3はそれぞれが独立に、水素原子、あるいはアルキル、アラルキル、または1から8の炭素数を有するシクロアルキル基である。任意に、R1,R2,R3のうちのいづれか2つが結合し、環状環構造を形成してもよい。
【0038】
錯体カチオンの実施態様(ii)は以下に示される。
【0039】
【化5】

本発明の特定の目的は、比較的不活性であり求核性に乏しく、且つトルエン、キシレン、または1,2−ジクロロエタンのような炭化水素やハロ炭化水素溶媒中に実質的な溶解性を持つカチオンを提供する、弱配位性または非配位性のカウンターアニオンを持つ上記説明された“M”の錯体カチオンを提供することにある。アニオンは、Ga、Al、Bのテトラフルオライド、またはP、Sb、ASのヘキサフルオライド、およびフェニル環がFまたはCF3置換基を有するホウ酸フェニルよりなる群から選ばれることが好ましい。
【0040】
そのような予備成形された単一成分錯体は溶液中で形成されてもよく、その場で形成されてもよく、そして一種類以上のモノマーに加えられてもよく;または、その予備成形された単一成分錯体は溶液から固体として回収されて、そのままモノマーへと加えられてもよい。溶液または固体のどちらの形状であっても、その予備成形された単一成分錯体は、不安定な二座配位子と組み合わせて第VIII族金属を有することが必要である。
【0041】
好適なアニオンのデザインに対する決め手は、そのアニオンが最終触媒種中でカチオン性金属錯体との反応に対して変わり易く且つ安定であるということでありそしてそのアニオンが単一成分触媒を本発明の炭化水素またはハロ炭化水素溶媒中に可溶解性とするということが必要である。水分やブレンステッド後との反応に対して安定であり、且つアニオン(例えば強酸や強塩基と反応しないアニオン錯体)の外部上に位置する酸性プロトンを持たないアニオンは、触媒系の安定なアニオンとして適切であるために必要とされる安定性を有する。最大不安定性に対して重要なアニオンの性質は全体の大きさ、形(例えば、大きい曲率半径)および求核性を含有する。
【0042】
概して、好適なアニオンは、任意の溶媒中に触媒を溶解させるいかなる安定なアニオンでもよく、且つ以下の属性を有するものである:(1)アニオンは上記ルイス酸、ブレンステッド酸、還元性ルイス酸、プロトンを付加されたルイス塩基、タリウムおよび銀カチオンを用いて安定な塩を形成すべきであり;(2)アニオン上の負の帯電は、アニオンの骨組み上で非局在化され、またはアニオンの核中で局在化されるべきである;(3)アニオンは比較的求核性に乏しくあるべきである;さらに(4)アニオンは強い還元または酸化剤であるべきではない。
【0043】
先の基準を満たすアニオンの例は以下の通りである:BF4-;PF6-;AlF33SCF3-;SbF6-;B[C63(CF324-;SbF5SO3-;およびB[C654-
【0044】
好ましい予備成形された単一触媒成分は公知のトリス−またはテトラキスオレフィンニッケル化合物(ピー.ダブリュー.ジョリーとジー.ウイルケ[P.W.Jolly and G.Wilke]のVOl I,同上、pgs252と338を参照)にプロトンを付加することによって成形され、このプロトンを付加した化合物は、重合されるべきNB−官能性モノマーに添加される前に溶液から分離される必要はない。トリスまたはテトラキスオレフィンニッケルを転化するための都合のよいプロトン源としてはN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ビス−3,5−トリフルオロメチル)フェニルボレートが挙げられる。前駆体としては(i)(t,t,t−1,5,9−シクロドデカトリエン)ニッケルまたはビス(シクロオクタジエン)ニッケル;および、(ii)反応生成物が以下の構造式で示される、ブタジエンと上記のうちの一つとの反応生成物から選ばれるのが最も好ましい:
【0045】
【化6】

ニッケルを含有する好ましい活性種としては、例えば“[アリル−ニッケル−COD]錯体”として参照される、π−アリル−ニッケル−シクロ−1,5−オクタジエンカチオンの如きπ−アリル−Ni−ジオレフィンカチオンと、錯体用の相溶性のある弱配位性カウンターアニオンとの組み合わせから成る予備成形された単一触媒成分が挙げられる。補助触媒は必要なく、まったく使用されなかった。しかしながら、補助触媒としてのアルキルアルミニム化合物の使用は試薬がプロトン性不純物において異常に多量である状況において好適である。例えば、モノマー中に存在する水分はアルキルアルミニウム化合物によって捕捉されうる。
【0046】
触媒は、各々が酸性水素原子(例えばプロトン)と反応する2つの配位子を含有する[π−(C6−C12)シクロアルカジエニル]M錯体;および、商業的に簡単に入手可能で且つ環境的に受け入れられる溶媒中での溶解性と、カチオンを提供する錯体用の相溶性のある弱配位性カウンターアニオンの両方を提供する塩とを組み合わせることになる、いかなる公知の合成法によって製造されてもよい。
【0047】
この組み合わせにおいて、BF4-のような第IIIA族のテトラフルオライド;またはPF6-アニオンのような第VA族のヘキサフルオライド;または複数のフルオロまたはトリフルオロメチル環置換基を有するフェニルボーレート;または複数のフルオロメチル置換基を有するアリールボーレートのアニオンを使用することが好ましい。そのようなアニオンは望ましい溶解性を提供し、形成されたNi−錯体アニオンと相溶性があり、且つそれに対して非配位性である。しかし、そのようなアニオンは、NB−官能性モノマーを重合するその能力に悪影響を及ぼすことなしに効果的にカチオンを安定化させる。
【0048】
特定の触媒:アリル−Ni−COD/弱配位性アニオンは、まず初めに中性のNi[COD]2錯体を形成し、錯体をアリルブロマイドと反応させてビス(アリルNiブロマイド)錯体を生成し、その後その錯体をハライドアブストラクト剤や、ヘキサフルオロ燐酸タリウムやヘキサフルオロアンチモン酸銀のようなアニオン供給塩を用いて分断に付される。その流れは以下の通りである。
【0049】
【化7】

分割されるとき、一つのCOD配位子のみが残り、それは二つのπ−結合によってニッケルへと結合されている。
多成分触媒
本発明の多成分触媒系の実施態様は、第VIII族遷移金属源、有機アルミニウム化合物、および任意の第三成分から成る。
【0050】
第VIII族遷移金属源は、周期律表の第VIII族遷移金属源から選ばれる少なくとも一種類の遷移金属を含有する化合物から選ばれる。該遷移金属化合物は反応媒体中において溶解性、もしくは溶解性に成るように調整されるのが好ましい。遷移金属化合物が触媒的に活性な第VIII族遷移金属イオンの源を提供する限り、遷移金属化合物に制限はない。第VIII族遷移金属化合物は反応媒体中において溶解性、もしくは溶解性に成るように調整されるのが好ましい。第VIII族遷移金属は、鉄、コバルト、ニッケル、ロジウム、ルテニウム、パラジウムおよびプラチナから選ばれることが好ましい。これらの中では、ニッケル、パラジウムおよびコバルトが特に好ましい。
【0051】
第VIII族遷移金属化合物は、第VIII族遷移金属に結合しているイオン性および/または中性の配位子から成っている。イオン性および中性の配位子は、様々な一座、ニ座、あるいは多座成分、もしくはそれらを組み合わせたものから選ばれる。
【0052】
第VIII族遷移金属化合物を形成するための第VIII族遷移金属に結合されるイオン性配位子の代表的なものとしては、クロリド、ブロミド、アイオダイド、またはフルオリドイオンのようなハライド;シアンニド、シアネート、チオシアネート、ハイドライドのようなプソイドハライド;分岐鎖状および非分岐鎖状(C1−C40)アルキルアニオン、フェニルアニオンのようなのようなカルバニオン;シクロペンタジエニリドアニオン;π−アリル群;アセチルアセトネート、2,4−ペンタンジオネートのようなβ−ジカルボニル化合物と1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオネート、1,1,1−トリフルオロ−2,4、ペンタンジオネートのようなハロゲン化アセチルアセトネートのエノレート;カルボキシレート、ハロゲン化カルボキシレート(例えば、アセテート、2−エチルヘキサノエート、ネオデカノエート、トルフルオロアセテート等)のような炭素の酸性酸化物、窒素のオキサイド(例えば、ナイトレート、ナイトライト等)、ビスマスのオキサイド(例えば、ビスムテート等)、アルミニウムのオキサイド(例えば、アルミネート等)、シリコンのオキサイド(例えば、シリケート等)、燐のオキサイド(例えば、フォスフェート、フォスファイト、フォスフィン等)、硫黄のオキサイド(例えば、トリフレート、p−トルエンスルフォネート、サルファイト等)のアニオン;イリド;アミド;イミド;オキサイド;フォスフィド;サルファイド;(C6−C24)アリールオキサイド、(C1−C20)アルコキシド、ヒドロキシド、ヒドロキシ(C1−C20)アルキル;カテコール;オキシレエート;キレート性アルコキシドおよびアリールオキシド;PF6-、AlF33SCF-3、SbF-6のような錯体アニオンおよび以下の構造式で表される化合物:
Al(R7-4、B(X)-4
式中R7とXは、それぞれがCl,F,IおよびBrから選択されるハロゲン原子、もしくは置換または非置換ヒドロカルビル基を表す。ヒドロカルビルの代表的なものとしては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラアコシル、ペンタコシル、およびそれらの異性体型のような(C1−C25)アルキル;ビニル、アリル、クロチル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、ペンタコセニル、およびそれらの異性体型のような(C2−C25)アルケニル;フェニル、トリル、キシリル、ナフチル等のような(C6−C25)アリール;ベンジル、フェネチル、フェンプロピル、フェンブチル、フェンヘキシル、ナフトオクチル等のような(C7−C25)アラルキル;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、2−ノルボニル、2−ノルボネニル等のような(C3−C8)シクロアルキルが挙げられる。上記の定義に加えて、Xは以下の基を表す。
【0053】
【化8】

置換ヒドロカルビルという用語は、先に定義されたように、一つ以上の水素原子がCl,F,Br,およびIのようなハロゲン原子(例えば、パーフルオロフェニル基中における如く);ヒドロキシル;アミノ;ニトロ;メルカプト等で置換されているヒドロカルビル基を意味している。
【0054】
イオン性配位子は、例えば、有機アルミニウム、有機アルソニウム、有機フォスフォニウム、および以下の構造式で表されるピリジニウム化合物から選択できる。
【0055】
【化9】

式中、Aは窒素、ヒ素、およびリンを表し、R8基はそれぞれが水素、分岐鎖状および非分岐鎖状(C1−C20)アルキル、分岐鎖状および非分岐鎖状(C2−C20)アルケニル、およびシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等の(C5−C16)シクロアルキルから選択される。R9およびR10はそれぞれが、上記のように定義されるように、水素、分岐鎖状および非分岐鎖状(C1−C50)アルキル、分岐鎖状および非分岐鎖状(C2−C50)アルケニルおよび上記定義の如き(C5−C16)シクロアルキル基から選択され;nは1から5、好ましくはnは3、もっとも好ましくはnは1である。R10基はピリジン環上の3,4および5の位置に結合されているのが好ましい。
【0056】
8基に含有されている炭素原子の量を増加すると、有機溶媒やNB−官能性モノマーのような有機媒体中における遷移金属化合物のよりよい溶解性を与える。R8基は、すべてのR8基に対する炭素原子の合計が15から72、好ましくは25から48、さらに好ましくは21から42である(C1−C18)アルキル基から選択されるのが好ましい。R9基は、分岐鎖状および非分岐鎖状(C1−C50)アルキル、さらに好ましくは(C10−C40)アルキルから選択されるのが好ましい。R10基は、分岐鎖状および非分岐鎖状(C1−C40)アルキル、さらに好ましくは(C2−C30)アルキルから選択されるのが好ましい。
【0057】
オルガノアンモニウムカチオンの特定の例としては、トリドデシルアンモニウム、メチルトリカプリルアンモニウム、トリス(トリデシル)アンモニウムおよびトリォクチルアンモニウムが挙げられる。オルガノアルソニウムとオルガノフォスフォニウムカチオンの特定の例としては、トリドデシルアルソニウムとフォスフォニウム、メチルトリカプリルアルソニウムとフォスフォニウム、トリス(トリデシル)アルソニウムとフォスフォニウム、およびトリオクチルアルソニウムとフォスフォニウムが挙げられる。特定のピリジニウムカチオンには、エイコシル−4−(1−ブチルペンチル)ピリジニウム、ドコシル−4−(13−ペンタコシル)ピリジニウム、およびエイコシル−4−(1−ブチルペンチル)ピリジニウムが挙げられる。
【0058】
第VIII族遷移金属に結合可能な好適な中性配位子としてはオレフィン;アセチレン;一酸化炭素;窒素酸化物;アンモニア、イソシアニド、イソシアネート、イソチオシアネートのような窒素化合物;ピリジンおよびピリジン誘導体(例えば、1,10−フェナンスロリン、2,2'−ジピリジル)、1,4−ジアルキル−1,3−ジアザブタジエン、以下の構造式で表されるアミン:
【0059】
【化10】

式中、R11は上記のように独立してヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、nは2から10である;尿素;アセトニトリル、ベンゾニトリル、およびそれらのハロゲン化誘導体であるニトリル;ジエチレングリコールのジメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、フランジアリルエーテル、ジエチルエーテル、ジエチレングリコール環式オリゴマーのような環式エーテル、のような有機エーテル;ジエチルスルフィドのような有機スルフィド;チオエーテル;アルシン類;スチビン類;トリアリルフォスフィン(例えばトリフェニルフォスフィン)、トリアルキルフォスフィン(例えば、トリメチル、トリエチル、トリプロピル、トリペンタコシル、およびそれらのハロゲン化誘導体)、ビス(ジフェニルフォスフィノ)エタン、ビス(ジフェニルフォスフィノ)プロパン、ビス(ジメチルフォスフィノ)プロパン、ビス(ジフェニルフォスフィノ)ブタン、(S)−(−)2,2'−ビス(ジフェニルフォスフィノ)−1,1'−ビナフチル、(R)−(+)2,2'−ビス(ジフェニルフォスフィノ)−1,1'−バイナフチル、およびビス(2−ジフェニルフオスフィノエチル)フェニルフォスフィンのようなフォスフィン類;フォスフィン酸化物、リンハライド;下記の構造式で表されるフォスファイト:
P(OR113
式中、R11は独立して上記のようなヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルを表す;リンオキシハライド;フォスフォネート;フォスフォナイト、フォスフィナイト、ケトン;(C1−C20)アルキルスルフォキニドのようなスルフォキシド;(C6−C20)アリールスルフォキシド、(C7−C40)アルカリールスルフォキサイド等、を挙げることができる。前記の中性配位子は、以下に説明されるように、任意の第三成分として使用できることを理解されたい。
【0060】
さらに具体的には、本発明の第VIII族遷移金属源は以下の構造式で表すことができる。
c'c[Mm'mx'xy'y1
式中、Cは上記に示されるようにカチオンを表す。
【0061】
Mは鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、パラジウム、および白金の群から選ばれる第VIII族遷移金属を表す。Mはニッケル、コバルトまたはパラジウムが好ましく;
XとYは、上記のように、独立にアニオン性配位子を表し;
Lは、上記のように、中性配位子を表し;
x、yおよびlは0から15であり、但し、x、yおよびlのすべてが同時に0であることはなく;
cは0、1、2、または3であり;
c'はCの電荷であり
mは1から4である。
【0062】
m'は、式=
【0063】
【化11】

で定められる第VIII族遷移金属Mの酸化状態であり、
x'はXの電荷の絶対値であり;
y'はYの電荷の絶対値である;
遷移金属イオン源として好適な第VIII族遷移金属化合物の例としては、
ニッケルアセチルアセトナート
ニッケルカルボキシレート
ニッケルジメチルグリオキシム
ニッケルエチルヘキサノエート
コバルトネオデカノエート
鉄ナフテネート
パラジウムエチルヘキサノエート
NiCl2(PPh32
NiCl2(PPh2CH22
ニッケル(II)ヘキサフルオロアセチルアセトネートテトラハイドレート
ニッケル(II)トリフルオロアセチルアセトネートジハイドレート
ニッケル(II)アセチルアセトネートテトラハイドレート
トランス−PdCl2(PPh32
パラジウム(II)ビス(トリフルオロアセテート)
パラジウム(II)ビス(アセチルアセトネート)
パラジウム(II)2−エチルヘキサノエート
Pd(アセテート)2(PPh32
パラジウム(II)ブロミド
パラジウム(II)クロリド
パラジウム(II)アイオダイド
パラジウム(II)オキサイド
モノアセトニトリルトリス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(II)
テトラフルオロボレート
テトラキス(アセトニトリル)パラジウム(II)テトラフルオロボレート
ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)
ジクロロビス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(II)
ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)
鉄(II)クロリド
鉄(III)クロリド
鉄(II)ブロミド
鉄(III)ブロミド
鉄(II)アセテート
鉄(III)アセチルアセトネート
フェロセン
ニッケロセン
ニッケル(II)アセテート
ニッケルブロミド
ニッケルクロリド
ジクロロヘキシルニッケルアセテート
ニッケルラクテート
ニッケルオキサイド
ニッケルテトラフルオロボレート
コバルト(II)アセテート
コバルト(II)アセチルアセトネート
コバルト(III)アセチルアセトネート
コバルト(II)ベンゾエート
コバルトクロリド コバルトブロミド
ジクロロヘキシルコバルトアセテート
コバルト(II)ステアレート
コバルト(II)テトラフルオロボレート
ビス(アリル)ニッケル
ビス(シクロペンタジエニル)ニッケル
パラジウムアセチルアセトネート
パラジウムビス(アセトニトリル)ジクロライド
パラジウムビス(ジメチルスルフオキシド)ジクロライド
白金ビス(トリエチルフォスフィン)ヒドロブロミド
ルテニウムトリス(トリフェニルフォスフィン)ジクロライド
ルテニウムトリス(トリフェニルフォスフィン)ヒドリドクロライド
ルテニウムトリクロリド
ルテニウムテトラキス(アセトニトリル)ジクロライド
ルテニウムテトラキス(ジメチルスルフォキシド)ジクロライド
ロジウムクロライド
ロジウムトリス(トリフェニルフォスフィン)トリクロライドが挙げられる。
【0064】
本発明の触媒系の有機アルミニウム成分は以下の構造式で表される。
AlR123-xx
式中、R12は独立に分岐鎖状または非分岐鎖状(C1−C20)アルキル、(C6−C24)アリール、(C7−C20)アラルキル、(C3−C10)シクロアルキルを表し;Qは塩素、フッ素、臭素、沃素の如きハライドまたはプソイドハライド、分岐鎖状または非分岐鎖状(C1−C20)アルコキシ、(C6−C24)アリールオキシを表し;さらに、xは0から2.5、好ましくは0から2である。
【0065】
代表的な有機アルミニウム化合物には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−2−メチルブチルアルミニウム、トリ−3−メチルブチルアルミニウム、トリ−2−メチルペンチルアルミニウム、トリ−3−メチルペンチルアルミニウム、トリ−4−メチルペンチルアルミニウム、トリ−2−メチルヘキシルアルミニウム、トリ−3−メチルヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリス−2−ノルボルニルアルミニウム等のようなトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド等のジアルキルアルミニウムハライド;メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジアイオダイド、プロピルアルミニウムジクロライド、イソプロピルアルミニウムジクロライド、ブチルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド等のようなモノアルキルアルミニウムジハライド;メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、プロピルアルミニウムセスキクロリド、イソブチルアルミニウムセスキクロリド等のアルキルアルミニウムセスキハライド、が挙げられる。
【0066】
大部分の共重合体の生成に関して、有機アルミニウム成分はメタアルミノキサンも含有する。しかしながら、メタアルミノキサンは、0.1から99.9重量%の芳香族オレフィンからの共重合体の生成に向けられた方法において有機アルミニウム成分としての使用が特に除外されている。
【0067】
本発明を実施するに当たり、第VIII族遷移金属源と有機アルミニウム成分から得られた触媒系は効果的に使用できるが、もし必要であれば、使用される触媒系は任意の第三成分または、複数の第三成分を含有していてもよい。
【0068】
そのような第三成分としては、BF3-エーテレート、TiCl4,SbF5,トリス(パーフルオロフェニル)ボロン、BCl3、B(OCH2CH33、SiCl4;ヘキサフルォロアンチモン酸(HSbF6)、HPF6ハイドレート、トリフルオロ酢酸(CF3CO2H)、およびFSO3H・SbF5、H2C(SO2CF32、CF3SO3H、およびパラトルエンスルフォン酸のような強ブレンシュテッド酸;ヘキサクロロアセトン、ヘキサフルオロアセトン、3−ブテン酸−2,2,3,4,4−ペンタクロロブチルエステル、ヘキサフルオログルタル酸、ヘキサフルオロイソプロパノール、および、例えば、
【0069】
【化12】

のようなクロラニルのようなハロゲン化化合物;フォスフィン類とフォスファイト類の如き電子供与体および、ブタジエン、シクロオクタジエン、およびノルボルナジエンのような(C4−C12)脂肪族および(C6−C12)環式脂肪族ジオレフィンから選択されるオレフィン性電子供与体が挙げられる。
【0070】
強ブレンシュテッド酸の酸度は、そのハメット酸度関数H0を定めることによって測定される。ハメット酸度関数の定義は、エフ.エー.コットンとジー.ウィルキンソン(F.A.Cotton and G.Wilkinson)のアドバンスド インオルガニック ケミストリ(Advanced Inorganic Chemistry)、ウイリー−インターサイエンス、1988、p.7に示されている。
【0071】
上記に記されるように、中性配位子は電子供与体化合物のように任意の第三成分として使用できる。
ある実施態様においては多成分触媒系は、例えば第VIII族遷移金属化合物、有機アルミニウム化合物、および(もし使用されるのであれば)第三成分のような触媒成分を、炭化水素またはハロ炭化水素溶媒中で一緒に混合し、次いで少なくとも一つのノルボルネン−官能性モノマーを含有する反応媒体中で予備混合された触媒系を混合することからなる方法によって生成できる。別法として、(第三成分が使用されたとして)、触媒成分のいずれかの二つを炭化水素またはハロ炭化水素溶媒中で予備混合し、次いで反応媒体に投入することもできる。残りの触媒成分は予備混合された成分の添加前あるいは後に反応媒体に加えられてもよい。
【0072】
もう一つの実施態様においては、触媒成分は、すべての触媒成分を反応媒体中で一緒に混合することによってその場で生成できる。
本発明の重合は、触媒系に悪い干渉を与えず、且つモノマーの溶媒である有機溶媒中で実施される。有機溶媒の例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンおよびデカンのような脂肪族(非極性)炭化水素;シクロペンタンやシクロヘキサンのような脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、およびキシレンのような芳香族炭化水素;メチレンクロライド、エチルクロライド、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、1−クロロプロパン、2−クロロプロパン、1−クロロブタン、2−クロロブタン、1−クロロ−2−メチルプロパン、1−クロロペンタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、およびp−ジクロロベンゼンの如きハロゲン化(極性)炭化水素が挙げられる。
【0073】
反応溶媒の選択は、触媒の選択やスラリーまたは溶液法として重合を行うことが望ましいかどうかということを含む多くの要因に基づいて決定される。重合を溶液中で行うためには、モノマーと得られるポリマーの両方と、好ましくは(均一系内の)触媒を溶解する溶媒、または複数の溶媒の組み合わせを使用することが必要である。ほとんどのポリマーは、例えばクロロベンゼンのような塩素化芳香族溶媒に溶解する。重合をスラリー中で行うためには、ポリマーは希釈剤に対して不溶解性である。通常そのような重合は塩素化された脂肪族希釈剤中で行ってもよい。ポリマーの溶解性は、通常組成(使用されたモノマーに関して)、分子量、およびポリマーのタクティシティーに依存するが、後者の二つは使用された触媒に大きく依存する。例えば、ニッケル触媒がNB/エチルビニルエーテル共重合体を製造するために使用された場合、生成物は塩素化ベンゼンのような熱い塩素化芳香族溶媒に溶解するだけである。しかしながら、エチルビニルエーテルホモポリマーは周囲温度でシクロヘキサンまたは塩素化ベンゼン中に溶解性である。少なくとも80モル%のNB/イソブチレンの共重合体は、もしニッケル触媒が使用された場合、シクロヘキサンに対しては高い溶解性を示すが、Pd触媒が使用された場合、高められた温度においてさえも、塩素化ベンゼンに対して僅かな溶解性しか示さない。
【0074】
単一または多成分触媒に対する全モノマー対第VIII族遷移金属のモル比は、1,000:1から100,000:1まで、好ましくは1,000:1から20,000:1まで、さらに好ましくは3,000:1から10,000:1までになる。メタアルミノキサンが補助触媒として使用される場合、第VIII族遷移金属に対するアルミニウム金属のモル比は50:1以上、好ましくは100:1以上の範囲となる。
【0075】
多成分触媒系において、第VIII族遷移金属に対するアルミニウム金属のモル比は100:1以下、好ましくは30:1以下、さらに好ましくは20:1以下の範囲となる。
任意の第三成分は、第VIII族遷移金属に対するモル比が0.25:1から20:1までの範囲で使用される。ブレンシュテッド酸が第三成分として使用される場合、第VIII族遷移金属に対する酸の範囲は、4:1以下、好ましくは2:1以下である。
【0076】
本発明の重合反応が行われる温度は、通常−100℃から120℃、好ましくは−40℃から90℃の範囲である。
本発明における最適温度は多くの変数、主としてモノマーの選択、触媒の選択および反応希釈剤の選択に依存する。よって、いかなる所与の重合においても、最適な温度とはこれらの変数を考慮し実験的に定められるものである。
【0077】
本発明の単一または多成分触媒系を用いて行われる重合反応の爆発的速度を制御するために、触媒に対するモノマーの好適なモル比が選択され、反応を遅らせるために反応装置を冷却してもよく、さらに反応は高温沸騰溶媒中で行われてもよい。高温沸騰溶媒とは、溶媒が重合温度よりも高い沸騰点を有するということを意味する。重合反応を収容するために加圧反応容器が使用される場合、上記の考慮点は考慮される必要はない。
【0078】
本発明の多成分触媒系の一つの実施態様において、代表的な触媒系は、ニッケルエチルヘキサノエートのような第VIII族遷移金属塩、トリエチルアルミニウムのような有機アルミニウム化合物、アルミニウム/BF3エーテレート/ニッケル/酸の好ましいモル比が10/9/1/0.5−2であるBF3エーテレートとヘキサフルオロアンチモン酸(HSbF6)のような任意の第三触媒の混合物から成る。反応順序を以下に示す。
【0079】
【化13】

本発明の多成分触媒系のもう一つの実施態様においては、任意の第三触媒として、様々なハロゲン化活性剤から選ばれるハロゲン化化合物が使用される。代表的な触媒系とは、以下の反応順序に示される第VIII族遷移金属塩、有機アルミニウム、および第三成分ハロゲン化化合物から成る。
【0080】
【化14】

本発明の多成分触媒系のさらにもう一つの実施態様においては、第三触媒が存在しない。触媒系は、以下の反応順序に示されるように炭化水素またはハロ炭化水素溶媒中の第VIII族遷移金属塩と、モノアルキルアルミニウムジハライド成分から成る。
【0081】
【化15】

先に述べたように、本発明は様々なポリマーの製造に関する新規な方法、および特定の新規な共重合体に関するものである。本発明の一つの特徴は、一つ以上のNB型のモノマーと一つ以上の炭素カチオン的に重合可能なオレフィン性モノマーとの共重合体を含有することである。
NB型モノマー
ノルボルネン型、またはNB型モノマーとは、以下の構造式によって同定されるような、置換または非置換のどちらでもよいノルボルナジエンを包含する、その構造中に少なくとも一つのノルボルネン分子片を含有することによって特徴づけられるモノマーを意味する。
【0082】
【化16】

式中、“a”は単結合または二重結合を表す。
【0083】
代表的なモノマーは以下の構造式VIIおよびVIIIによって表される。
【0084】
【化17】

式中、R4、R4'、R5、およびR5'は独立して水素、ハロゲン、分岐鎖状および非分岐鎖状(C1−C20)アルキル、分岐鎖状および非分岐鎖状(C1−C20)ハロアルキル、置換および非置換(C5−C12)シクロアルキル、(C1−C6)アルキリデニル、(C6−C40)アリール、(C6−C40)ハロアリール、(C7−C15)アラルキル、(C7−C15)ハロアラルキル、(C3−C20)アルキニル、分岐鎖状および非分岐鎖状(C3−C20)アルケニルを表す、ただしアルケニル基は末端二重結合を含有せず、つまりその基中の二重結合は内部オレフィン結合、またはビニルであり;R4およびR5は、それらが結合している2つの環炭素原子と一緒になって、炭素数4から12を有する飽和および不飽和環式基、あるいは炭素数6から17を有する芳香族環であることができる。“a”は単結合または二重結合を表し、Zは1から5である。R4、R4'、R5、およびR5'がアルキリデン基を表すとき、アルキリデン基が結合している炭素原子は他の置換基を持たず、“a”が二重結合であるとき、R4、R4'、R5、およびR5'はアルキリデニルではありえない。
【0085】
ノルボルネン型モノマーの例としては、ノルボルナジエン、2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−ヘキシル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、メチルテトラシクロドデセン、テトラシクロドデカジエン、ジメチルテトラシクロドデセン、エチルテトラシクロドデセン、エチリデニルテトラシクロドデセン、フェニルテトラシクロデセン、シクロペンタジエンのトリマー(例えば、対称または非対称トリマー)およびR4、R4'、R5、R5'がそれぞれ水素、ハロゲン(例えば、塩素、フッ素、ヨウ素、ブロミド)そしてnが1から20の炭素数を表す構造式Cn2n+1の完全にハロゲン化されたアルキル基であるハロゲン化ノルボルナジエンおよびノルボルネン型モノマー、が挙げられる。代表的な置換基はトリフルオロメチル、−C49、−C1021、および−C2041などである。
【0086】
ハロゲン化されたノルボルネン型モノマーは、以下の反応スキームに示されるように、好適なハロゲン化ジェノフィルを用いたシクロペンタジエンのデイールス・アルダー反応を経て合成できる。
【0087】
【化18】

式中、R6は独立に水素またはフッ素を表し、nは1から20である。
本発明において用いられてもよいNB型モノマーの別のクラスとは、以下の構造式で表される官能性NB型モノマーである。
【0088】
【化19】

式中、sは0から5であり、R15からR18は独立に水素原子;線状もしくは分岐鎖状(C1−C24)アルキル、(C6−C12)アリール、またはヒドロキシルおよび炭素数1から4を有するアルキル、特にフェノール基上の(第三ブチルのような)分岐鎖状アルキルで置換されたアリール、または−(CH2p−OH、−(CH2p−C(O)−OH、−(CH2p−C(O)OR'、−(CH2p−OR20、−(CH2p−OC(O)R20、−(CH2p−OC(O)OR20、−(CH2p−C(O)R20、−(CH2p−O−(CH2pOH、−(CH2pOR20より成る群から選ばれる官能性置換基であり、ここでpは独立に0から24もしくは0から10であり、そしてR20は線状もしくは分岐鎖状(C1−C10)アルキル、または基:
【0089】
【化20】

であり、ここでYは水素原子、Cr2r+1、C2r+1O、Cr2r+1OC(O)、または−CNであり、ここでrは1から12の整数であり;R15とR16またはR17とR18は一緒になって(C1−C10)アルキリデン基(例えば、=CH2,=CH−CH3等)を形成することができ;R15とR18は、それらが結合している環炭素原子と一緒になって、以下の構造式に示されるような無水物基またはジカルボキシイミド基を形成することができ;
【0090】
【化21】

ここで、nは上記に定義されたとおりで、R'''は線状もしくは分岐鎖状(C1−C20)アルキル、(C6−C12)アリール、(C7−C15)アラルキルであり、代表な置換基にはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、デシル、フェニル、およびベンジルが挙げられる、である。
【0091】
上記の式において、以下の構造式に示されるように、sは1から2が好ましい。
【0092】
【化22】

ここで、R1およびR4は上記に定義されたとおりである。好ましい置換基には、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アルキルカルボニル、並びにアルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アルキルカルボニル基、およびヒドロキシアルキルオキシ基を末端に有するメチレン(−CH2−)または線状ポリメチレン(−CH2−)m分子片などが挙げられる。代表的なモノマーとしては、5−ヒドロキシ−2−ノルボルネン、5−ヒドロキシメチル−2−ノルボルネン、5−メトキシ−2−ノルボルネン、5−t−ブトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−メトキシ−5−カルボキシ−2−ノルボルネン、5−カルボキシメチル−2−ノルボルネン、5−ノルボルネン−2−メタノールのデカン酸、5−メトキシ−カルボニル−2−ノルボルネン、5−ノルボルネン−2−メタノールのオクタン酸エステル、5−ノルボルネン−2−メタノールのフェニルシナミック酸エステル、N−フェニルノルボルネンジカルボキシイミド、および5−ノルボルネン−2、3−ジカルボン無水物が挙げられる。
カチオン重合性モノマー
NB型モノマーと共重合しうるか、または互いにホモ重合または共重合するかして、非NB含有ポリマーを形成し、配位カチオン性重合触媒を用いるモノマーは、ジョセフ ピー.ケネディーとアーネスト マーシャル(Joseph P.Kennedy and Ernest Marechal)の“カルボカチオン重合”(“Carbocationic Polymerization”)、Wiley Interscience、New York 1982に記載のカルボカチオン法を介して重合性し得るとして表にされたモノマーである。これらのオレフィン性モノマーにはイソオレフィン、分岐鎖状α−オレフィン、共役オレフィンと二環式オレフィンが挙げられる。
【0093】
イソオレフィンモノマーはCH2=CRR'によって表され、ここでRとR'は独立にメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、t−ブチル等のような炭素数12まで、もしくはそれ以上を有するアルキル基から選ばれる。例として、イソブチレン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ブテン、2、3−ジメチル−1−ブテン、2、3、3−トリメチル−1−ブテン、2,5−ジメチル−1,5-ヘキサジエン等が挙げられる。
【0094】
分岐鎖状α−オレフィンはCH2=CHRによって表され、ここでRは炭素数12まで、もしくはそれ以上を有する分岐鎖状アルキル基(環式アルキルを含む)である。例としては、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、6−メチル−1−ヘプテン、アリルシクロヘキサン等が挙げられる。
【0095】
共役オレフィンは、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、1,4−ジメチルブタジエン、トランス−2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,2−ジメチレンシクロヘキサン、シクロペンタジエン等のような炭素数12までを有する直鎖もしくは環式ジエンもしくは、トリエンを含有する共役ジエンおよびトリエンから成る。
【0096】
二環式オレフィンにはβ−ピネンのような化合物が含有される。
上記に説明されたオレフィンモノマーに加えて、我々発明者は配位カチオン性触媒がビニルエーテルモノマー族のホモ重合および共重合において非常に効果的であることを発見した。モノマーのこの群は、トシノブ ヒガシムラとミツオ サワモトによる“コンプリヘンシブ ポリマー サイエンス”(“Comprehensive Polymer Science”)、第三巻、ペルガモンプレス(Pergamon Press)、オックスフォード 1989の第42章に示されている“カルボカチオン性重合:ビニルエーテル”(“Carbocationic Polymerization:Vinyl Ethers”)によって開示されている。本発明の触媒を用いて重合可能なビニルエーテルとしては、アルキルビニルエーテル、アリールビニルエーテル、官能基置換されたビニルエーテル、ジビニルエーテル、α−置換およびβ−置換されたビニルエーテルが挙げられる。
【0097】
アルキルビニルエーテルはCH2=CHORによって表され、ここでRは炭素数が12まで或いはそれ以上の直鎖状、分岐鎖状、または環式アルキル基、もしくはアラルキル基である。
【0098】
例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソ−プロピルビニルエーテル、イソ−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル等が挙げられる。
【0099】
アリールビニルエーテルはCH2=CHOR'によって表され、ここでR'はフェニル基、置換フェニル基、もしくはナフチル基、もしくは(置換基が低級アルキル,ハロゲンである)置換ナフチル基である。例としては、フェニルビニルエーテル、パラートリルビニルエーテル、ナフチルビニルエーテル等が挙げられる。
【0100】
官能基置換されたビニルエーテルはCH2=CHOXによって表され、Xはヘテロ原子(例えば、ハロゲン、シリコン等)に結合された炭素数が20以下である、もしくはエーテル、エステルまたはアミン誘導基を有する、アルキルまたはアリール基である。例としてはパラ−アニシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、
CH2=CHOCH2CH22CCH3,CH2=CHOCH2CH22CC65
CH2=CHOCH2CH22CC(CH3)=CH,
CH2=CHOCH2CH22CCH=CH2
CH2=CHOCH2CH22CCH=CHC65
CH2=CHOCH2CH22CCH=CHCH=CHCH3
CH2=CHOCH2CH2O(CH2CH2O)n25
CH2=CHOCH2CH2OC65
CH2=CHOCH2CH2CH(CO2252
CH2=CHOCH2CH2C(CO2253
CH2=CHOCH2CH2OC64−P−C64−P−OCH3
CH2=CHOCH2CH2O(CH2CH2O)n64−P−C64−p−OCH3等が挙げられる。
【0101】
ジビニルエーテルは(CH2=CHOHC=CH2およびCH2=CHOXOCH=CH2)で表され、ここでXは−(CH2n−、−(CH2CH2O)nCH2CH2−、−CH2CH2OC(CH3264C(CH32OCH2CH2−等が挙げられ、ここでnは1から12である。
【0102】
α−置換されたビニルエーテルは(CH2=CR'OR)で表され、ここでRは12以下の炭素数を有する線状、分岐鎖状、または環式アルキル基であり、R'はα−メチルエチルビニルエーテルのような、メチルまたは12以下の炭素数を有するアルコキシル基または塩素である。
【0103】
β−置換されたビニルエーテル(R'CH=CHOR)で表され、ここでRは12以下の炭素数を有する線状、分岐鎖状、または環式アルキル基であり、R'はβ−メチルエチルビニルエーテルのような、メチルまたは12以下の炭素数を有するアルコキシル基または塩素である。さらに、本発明の触媒はN−ビニルカルバゾールのホモ重合および共重合に対しても好適な触媒である。
【0104】
さらに、本発明の配位カチオン性触媒はある種の環式エーテルのカチオン開環重合の触媒となりうる。これらの触媒を用いて重合可能な環式エーテルはオキシランとオキセタンである。
【0105】
オキシランまたはエポキシドはハロゲン化されていてもよく、炭素を12個まで含有する。例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、ビニルシクロヘキセンオキシド、ノルボルネンオキシド、エピクロヒドリン等が挙げられる。
【0106】
オキセタンはハロゲン化されていてもよく、炭素を12個まで含有する。例としては、オキセタン、3,3−ジメチルオキセタン、および3,3−ビス(クロロメチル)オキセタン等が挙げられる。
【0107】
我々発明者は、本発明の触媒はある種の環式エーテルのカチオン開環重合の触媒となりうることを発見した。本発明の触媒を用いて重合可能な環式エーテルはラクトンである。そのようなモノマーの例としては、β−プロピオラクトン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、およびα、α−ジメチル−β−プロピオラクトン、β−メチル−β−プロピオラクトン、およびβ、β−ジメチル−β−プロピオラクトンのように炭素数1から12のアルキル基で置換されるラクトンが挙げられる。
【0108】
本発明の目的に対して、芳香族オレフィンはカチオン的に重合可能なモノマーとしては考慮されない。しかしながら、芳香族オレフィンはある種の共重合体、特にNB型モノマーとのおよびカチオン的に重合可能なモノマーとのターポリマーを生成する際にも使用される。そのような芳香族オレフィンとしては、スチレン、パラメトキシスチレン(ビニルアニソール)、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、パライソプロピルスチレン、オルトメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、パラジメチルアミノスチレン、パラジイソプロペニルベンゼン、オルトジビニルベンゼン、インデン、1−メチルインデン、アセナフタレン、2−ビニルフルオレン等が挙げられる。
【0109】
本発明のポリマーは通常約10,000から1,000,000を超える分子量(Mw)で得られる。得られるポリマーのMwは、触媒、溶媒および重合温度の選択に依存する。シクロヘキサン、n−ヘプタン、またはイソオクタンのような炭化水素(非極性)希釈剤は通常高いMw重合ポリマーを生成するのに対し、メチレンクロライド、ジクロロエタンまたはクロロベンゼンのような極性希釈剤は比較的低いMwポリマーを生みだす。通常40℃以上の高温で実施された重合は低Mwのポリマーを生みだすが、その重合反応は加圧下で実施されなければならない場合もある。10℃以下の低温で実施された重合は、高いMwのポリマーを生みだす。さらに、5容量%以上のモノマーのような高モノマー濃度はより高いMwのポリマーを生みだすが、多成分触媒系においては、BF3エーテレートまたはB(C653のようなルイス酸の使用は高分子量を生み出す。低いMwのポリマーは通常、(ニッケル触媒と併用されたときに最も効率よく作用する)CTが使用された場合、アルミニウムの遷移金属に対する割合が増加したときに得られる。Mwが50,000から500,000までの間のポリマーは、そのようなポリマーが適度にバランスのとれた物質的性質と加工性を有するため、通常好ましい。しかしながら、例えば燃料、潤滑添加剤やマクロモノマーのような特定のアプリケーションにおいては、分子量が10,000(或いはそれ以下)から50,000までの間の低Mwのポリマーが好ましい。
【0110】
任意に、もし本発明のポリマーを約2,000から10,000までの間のようなかなり低い分子量で得ようとした場合、これは適切な連鎖移動剤(CTA)を用いて達成することができる。適切な連鎖移動剤には、モノマー1モルあたり約0.002から約0.01モルのアルミニウムアルキルといったような、通常触媒活性において使用されるよりも高い濃度で通常使用される、トリエチルアルミニウムやエチルアルミニウムジクロライドのようなアルキルアルミニウムが挙げられる。そのような高濃度のアルミニウムアルキルは実質的に得られるポリマーの分子量を減少させる。連鎖移動剤としてエチレン、プロピレン、1−ヘキセン、1−デセン等のα−オレフィンを用いた場合好結果が得られる。あるいは、官能基を有する様々なオレフィンがCTA化合物として利用できる。連鎖移動剤または分子量調節剤として有用なオレフィンの族を以下に示す。
【0111】
熱成形され、押出され、射出成形され、真空成形され、圧縮成形され、吸込成形され、加圧成形され、溶液から鋳型成形され、溶媒加工され、繊維形成され、そしてシンターされて、種々の形状物または成形物となり得る。最終用途の応用は、フード成分、ボディーパネル、バンパー、ダッシュボード等における照明や艶出しの如き自動車および輸送分野での応用;流体取扱い装置等の如き医療分野での応用;コンピューターハウジング、絶縁体等の如き電気および電子分野での応用;艶出し、被覆等の如き建築および建造分野での応用;器具のパネルやトリム;家庭用製品の如き消費者向製品;マイクロ波装置;包装;工業部品や成分;および光成分を包含する。任意の長さや断面のシート、チューブおよび他の形態がポリマーを押出しすることによって形成し得る。ポリマーの制御し得るMwの故に、そのような成形物は過蒸発膜におけるように、液体からガスを分離するための膜手段として用いるのに適している;或いはナノ濾過もしくは逆浸透膜におけるように、異なる分子量を持つ液体の分離に、使用するのに適している。本発明の低Mwのポリマー(オリゴマーまたはマクロモノマー)は、ワックス、添加剤、被覆剤、接着剤、シーラント等に利用できる。
【0112】
さらに詳しくは、NB型モノマーおよびオレフィンまたはイソオレフィンの共重合体は、照明、シグネージ、用具パネル、情報保管装置および艶だしのような光学的応用において使用される。該モノマー類および付加的な芳香族オレフィンの共重合体は、その光学的特性の故に、自動車のレンズおよび鏡に有用である。二環式オレフィン/NB型共重合体と同様に分岐α−オレフィン/NB型共重合は、熱ランプのレンズや調理器具等の加熱を伴う応用に有用である。ブタジエン、イソプレン、NB型モノマーの共重合体と同様に、共役オレフィンとNB型モノマーの共重合体は、高熱使用用ハロゲン化オレフィン用としての、あるいは自動車のシールおよびガスケット用の合成エラストマーとしての高温度使用用としての衝撃調整剤として使用可能である。そのような低分子量の共重合体は潤滑添加剤として使用されてもよい。NB型モノマー、イソプレン、および少量のエチリデンノルボルネンのようなアルキリデニルノルボルネンとの共重合体はブチルゴム型のエラストマーである。NB型モノマーと、α−メチルスチレン、パラ−メトキシスチレンおよびパラ−N,N−ジメチルアミノスチレンのような芳香族オレフィンとの共重合体は好適な硬度を有し、ゆえに被覆剤として、または成形部品の製造のために使用できる。ビニルエーテル/NB型共重合体は接着剤、被覆剤、および装飾用プラスチック製部品として使用できるのに対し、該モノマー類と、付加的に芳香族オレフィンからのポリマーは硬質ガラス表面を有さなければならない被覆として有用である。(塩素化ポリエーテルのようなオキセタン誘導体を含む)エポキシもしくはオキセタン/NB型共重合体は、パイプ、バルブ、およびライニング用の好適な耐腐食材料である。そのような材料は低水分吸収性と、その材料を封入剤、被覆などとして、および圧力容器中において有用にさせる好適な寸法安定性を有する。ラクトンとNB型モノマーの共重合体は、被覆として、包装において、およびウレタンが与えることができるよりも高い温度を要求するホース中において有用である。該モノマー類と、付加的に芳香族オレフィンからのポリマーは高光沢性表面の硬質被覆として使用可能である。NB型モノマーとα−メチルスチレン、パラ−メトキシスチレンおよびパラ−N,N−ジメチルアミノスチレンから選ばれる芳香族オレフィンとの共重合体は被覆用の改善された硬度を有し、接着剤的に結合および/または装飾できる。
本発明の様々な方法においては、連鎖移動剤(CTA)はポリマーの分子量を調整するために使用されてもよい。この連鎖移動剤すなわちCTAは以下の構造式によって表される。
【0113】
CH2=CHR'
ここで、R'は水素原子、非分岐鎖状(C1−C40)アルキル、非分岐鎖状(C2−C40)アルケニル、非置換(C7−C40)アラルキル、または炭素数1から5のアルキルまたはアルコキシ基、ハロゲンおよび他の一般的アリール置換基を有する置換基、ハロゲン、または基:
【0114】
【化23】

ここでR'''は分岐鎖状または非分岐鎖状(C1−C10)アルキル、好ましくはメチルまたはエチル、分岐鎖状または非分岐鎖状性(C3−C90)アルケニル、置換基がもし存在すれば、それが分岐鎖状または非分岐鎖状(C1−C10)アルキルまたはハロアルキル、およびハロゲンから選ばれる置換または非置換(C6−C15)アリールであり、Xは塩素、フッ素、臭素またはヨウ素であり、およびnは0から20、好ましくは1から5である。
【0115】
上記の連鎖移動剤の中では、例えばエチレン、プロピレン、1−デセン、1,7−オクタジエン、または1,6−オクタジエンである炭素数2から10であるα−オレフィンが好ましい。
【0116】
最適なオレフィン性連鎖移動剤の選択は、触媒の種類、製造条件(温度、溶媒等)、アルキルアルミニウム補助触媒の存在の有無、および得られるポリマー、オリゴマーまたはマクロモノマーに所望されるオレフィン性末端基の性質のような様々な要素に依存する。
【0117】
所定の分子量に対して要求されるオレフィン性連鎖移動剤のレベルは、選択されるオレフィン性連鎖移動剤の種類だけでなく上記のすべての変数に依存する。
所定のあらゆる結果に対する最適な条件とは、上記のすべての要素を考慮して当業者によって実験的に決定されるが、適切な場合において都合よく利用できる多くの一般的なガイドラインが存在する。我々発明者が行った観察の一つとは、あらゆる所定の連鎖移動剤の効果は触媒中において使用される第VIII族遷移金属の選択に大きく依存する、ということである。とりわけ、ニッケル触媒は他の金属よりも高感度である(例えば、オレフィンの所定のレベルは、例えばパラジウム触媒に対して適応されたときよりもニッケル触媒に対して適用されたときの方が分子量の低下が大きい)。さらに、我々発明者は、通常α−オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、1−デセン)が最も効果的な連鎖移動剤であることを見出した。
【0118】
CTAは、全モノマーのモルに関して約0.10モル%から50モル%を超える範囲の量で利用される。好ましくは、CTAは0.10から10モル%、さらに好ましくは0.1から5.0モル%の範囲の量で利用される。上記で説明されたように、触媒の種類と感度、CTA効果および所望の末端基によって、CTA濃度は、(存在する全モノマーを基準にして)50モル%以上、例えば60から80モル%である。より高いCTA濃度(例えば、100モル%以上)が、オリゴマーおよびマクロモノマーの応用におけるような本発明の低分子量実施態様を達成するために必要である。そのような高い濃度のCTAにおいてさえもポリマーの主鎖中では共重合せず、むしろ個々のポリマー鎖上の末端基として挿入することに注目することは重要であり、且つ驚くべきことである。連鎖移動の他に、本発明の方法は、分子端α−オレフィン性末端基がポリマー鎖の末端に置かれる方法を提供する。
【0119】
以下の実施例は本発明をさらに説明するために提供される。実施例に対して本発明の範囲を制限する意図はない。
実施例の第一部では、実施例の第二部で説明される重合反応において使用される様々な触媒の調整法を説明する。
実施例
触媒の調製法
触媒A
ヘキサフルオロアンチモン酸(HSbF6,0.708g、3mmole)を乾燥窒素が充填されている、磁気撹拌棒を含有するテフロン(登録商標)キャップ/バルブを備えるテフロン(登録商標)ボトル中に置いた。ボトルをアルコール/ドライアイス中で冷却し、エチルヘキサン酸ニッケル(ミネラルスピリット中の8重量%のニッケル、3.8ml、3mmole)を加えて、内容物を室温まで温めさせた。触媒Aは、目立った性能の劣化なしに、冷凍庫で数日間保存された。
触媒B
[(η3−クロチル)(シクロオクタ−1,5−ジエン)ニッケル]ヘキサフルオロフォスフェート
ビス(シクロオクタ−1,5−ジエン)ニッケル(2.75g、10mmol)を含有するフラスコに、トルエン(24ml)中のクロチルブロマイド(1.35g、10mmol)とブタジエン(2.5g)の溶液を加えた。(クロチル)ニッケルブロマイドダイマーの深紅の溶液が得られた。2時間後周囲温度で減圧下において溶媒を除去した。得られた粉末に、テトラヒドロフラン(32ml)中の1,5−シクロオクタジエン(3.6ml)の溶液を加えた。0℃まで冷却後、ヘクサフルオロ燐酸タリウム(3.5g、10mmol)を得られた溶液に加えて、次いでその溶液を周囲温度まで温めて、一時間撹拌した。
【0120】
溶媒を減圧下において取り除き、ジクロロメタン(24ml)を加えた。不溶性タリウムブロマイドを(窒素下において)ろ過によって取り除き、ジクロロメタン中の溶液として生成物を得た。この溶液の容積を減らし、次いでジエチルエーテルを加えて、オレンジ色の結晶として触媒{B、[(η3−クロチル)(シクロオクタ−1,5−ジエン)ニッケル]ヘキサフルオロフォスフェート}を得た。
触媒C
エチルヘキサン酸ニッケル(ミネラルスピリット中の8重量%のニッケル、0.01ml、13μmol)を、乾いた窒素が充填されている、磁気撹拌棒を含有する10mlのガラス製ビンに置いた。このビンに、1,2−ジクロロメタン(2ml)中のジメチルアニリニウムテトラキスパーフルオロフェニルボーレート(13μmol)の溶液を加えた。この触媒溶液は、使用前に周囲温度で5分間撹拌された。
触媒D
ヘキサフルオロアンチモン酸(HSbF6,0.764g、3.22mmole)
を乾いた窒素が充填されている、磁気撹拌棒を含有するテフロン(登録商標)キャップ/バルブを備えるテフロン(登録商標)ボトル中に置いた。ボトルをアルコール/ドライアイス中で冷却し、エチルヘキサン酸ニッケル(ミネラルスピリット中の8重量%、1.31ml、1.69mmole)を加えて、内容物を室温まで温めさせた。触媒Dは、目立った性能の劣化なしに、冷凍庫で数日間保存された。
触媒E
[(η3−クロチル)(シクロオクタ−1,5−ジエン)ニッケル]テトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)−フェニル)ボレート
ジエチルエーテル(150ml)中の3,5−ビス(トリフルオロメチル)ブロモベンゼン(50g、170mmol)を、(2時間以上かけて)ゆっくりとマグネシウム粉末(5.1g、210mmol)に加え、その後約3時間環流して暗灰色の溶液を得た。テトラフルオロホウ酸ナトリウム(3.4g、30mmol)を加えて、得られたスラリーを24時間環流した。反応混合物を炭酸ナトリウム(リッターあたり75g)の水溶性溶液に加えて、20分間撹拌し、その後ろ過した。水層が分離され、ジエチルエーテルで4回抽出した(各回200ml)。エーテル層を一緒にし、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、脱色用木炭で処理した。溶媒を高減圧下において除去し、琥珀色のスラッシ(slush)を得た。固形物が完全に湿潤するまで塩化メチレンを加え、その後クロロホルムを加えて、得られた個体をろ過し乾燥させた。回収された固形の、ナトリウムビス(トリフルオロメチル)−フェニル)ボレート(18g、実質的に定量的な収率)は、明るい淡褐色の結晶性の固形物の形状であった。
【0121】
テトラヒドロフラン(16ml)中のシクロオクタジエン(1.3ml)をクロチルニッケルブロマイドダイマー(0.5g、1.75mmol)に加えた。混合物を0℃まで冷却し、上記で説明されたナトリウムビス(トリフルオロメチル)フェニルボレート(3.1g、3.5mmol)を加えた。混合物を室温まで温めて一時間撹拌し、明澄で暗茶色の溶液を得た。減圧下において溶媒を除去し、塩化メチレンを加えて、かすかに曇った溶液を得た。溶液をろ過し、明澄で琥珀色の溶液を得た。溶媒を減圧下において除去し、ヘキサンを用いて3回洗浄し、ろ過し、高減圧下において乾燥させ、淡い黄色の粉末として生成物[(η3−クロチル)−(シクロオクタ−1,5−ジエン)ニッケル]テトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)−フェニル)ボレート(3.42g)を得た。
触媒F
不活性ガスが充満したグローブボックス内で、ジクロロエタン(1ml)中のη−アリルパラジウムクロライドダイマー(13μmol)のスラリーを、ジクロロエタン(1ml)中のヘキサフルオロアンチモン酸銀(13μmol)のスラリーに加えて、20分間撹拌した。沈殿した塩化銀は微孔性注入フィルターを用いて濾別し、ジクロロエタン中の溶液として触媒F[(μ3−アリルPd)+SbF6-](13μmol)を得た。
触媒G
バン アセルト(van Asselt)らのRecl.Trav.him.Pays−Bas 113,88−98(1994)の教示に従って配位子であるビス−2,6−ジイソプロピルフェニル−イミノ−アセナフテンをまず製造して、小さな淡いオレンジ色の結晶としてこの物質を得た。清潔で乾いている、磁気フォロアーを装備する25mlのケルダールフラスコに、ジクロロメタン(5ml)中の(1,2−ジメトキシエタン)ニッケルジクロライド(0.44g)2.0mmol)とジクロロメタン(10ml)中の配位子(1.0g、2.0mmol)を加えた。混合物を周囲温度で30分間撹拌したが、目立った反応は起こらなかった。ジクロロメタン(10mol)の大部分は減圧下において除去され、1,2−ジメトキシエタン(10ml)を加えた。深赤茶色への変色に見られるように、反応は直ちに進行した。60分後、反応混合物を50℃で15分間加熱し、反応を完全に終了させた。溶媒を除去し、固形物を1,2−ジクロロエタン中に再度溶解させて、ろ過された深紅の溶液を得た。溶媒を除去し、ドライボックスへとフラスコを移し、そこで触媒(触媒G)が実質的に定量的な収率で単離されていた。
触媒H
η322−ドデカ−2(E)、6(E)、10(Z)−トリエン−1−イルニッケルヘキサフルオロフォスフェート
構造が以下に示されるこの触媒の合成は、アール.タウベ(R.Taube)
らのMakromol.Chem.,Macromol.Symp.,66,(1993)245−260によって、およびタウベら中に引用されている引用例に説明されている。
【0122】
【化24】

ポリマーの製造
実施例1
NBとエチルビニルエーテルの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた100mlのガラス製ビンにノルボルネン(5g、53.1mol)、シクロヘキサン(35ml)およびエチルビニルエーテル(2.0ml、20.9mmol)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度でエチルヘキサン酸ニッケル(ミネラルスピリット中の8重量%のニッケル溶液0.01ml)、13μmol)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(石油ナフサ中で117μmol)、そして最後にトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.077ml、130μmol)を加えた。トリアルキルアルミニウムを加えると、発熱反応が続けて起こった。60分間反応させた後、メタノールを注入して反応を終了させ、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、乾燥させた。共重合体の収率は4.3gであった。同じ条件下で同じ触媒を使用して生成した二種類のホモポリマー(ポリノルボルネンとポリエチルビニルエーテル)と比較して、共重合体は延長して加熱した後にo−ジクロロベンゼン(o−DCB)やトリクロロベンゼンのような溶媒にしか溶解しなかったのに対し、その二種類のホモポリマーは周囲温度でこれらの溶媒に簡単に溶解し(さらに周囲温度でシクロヘキサン中にも溶解した)。
【0123】
共重合体のプロトンNMRは、共重合体はオレフィン不飽和が欠けており、両方のモノマーを鎖状に繋がった状態で含有することを示した。鎖状に繋がったエチルビニルエーテル中の酸素に隣接した炭素原子上に位置するプロトンが、TMS(重水素化されたo−DCB溶媒)に関して3.4から3.8ppmの範囲内で共鳴することが分かった。他のプロトンは0.7から2.6ppmの範囲内で共鳴した。NMRデータを基準として、共重合体が約90モル%のノルボルネンと約10モル%のエチルビニルエーテルからなることが計算された。2D−COZYと13CNMRの考察が、二つのモノマーが任意の形で同じポリマー主鎖中に鎖状に繋がっていることを確認した。GPC法は、共重合体が725,000の分子量(Mw)と1.86の多分散性を有することを示した。共重合体は、溶液からキャストされてホモポリノルボルネンと比較してかなり向上した強度を有する透明なフィルムを与えることができる。
実施例2
シクロヘキサン中におけるNBとイソブチレンの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた100mlのガラス製ビンにノルボルネン(5g、53.1mol)、シクロヘキサン(35ml)およびイソブチレン(2.0g、35.7mmol)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度で以下のように調整された触媒溶液を加えた。
【0124】
触媒A(0.012g、13μmol)、ボロントリフルオライドエーテレート(0.03ml、234μmol)およびトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.16ml、260μmol)を、添加前に約30秒間1,2−ジクロロエタン(0.6ml)中で周囲温度において混合した。
【0125】
60分後、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させた。その後、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、真空オーブン内で一晩乾燥させ、ノルボルネンとジイソブチレンの共重合体である生成物(2.9g)を得た。GPC分析法は、その共重合体が159300の分子量(Mw)、および2.38の多分散性を有することを示した。プロトンNMRのデータは、共重合体が約20mol%のジイソブチレンと80mol%のノルボルネンとから成ることを示した。
実施例3
NBとイソブチレンの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた100mlのガラス製ビンにノルボルネン(5g、53.1mmol)、クロロベンゼン(30ml)およびイソブチレン(2.0g、35.7mmol)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度で以下のように調整された触媒溶液を加えた。
【0126】
触媒A(0.012g、13μmol)、ボロントリフルオライドエーテレート(0.03ml、234μmol)およびトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.16ml、260μmol)を、添加前に約30秒間1,2−ジクロロエタン(0.6ml)中で周囲温度において混合した。
【0127】
60分後、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させた。その後、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内で一晩乾燥させ、ノルボルネンとジイソブチレンの共重合体である生成物(4.2g)を得た。GPC分析法は、その共重合体が32,300の分子量(Mw)、および2.17の多分散性を有することを示した。プロトンNMRのデータは、共重合体が約14mol%のジイソブチレンと86mol%のノルボルネンとから成ることを示した。
実施例4
NBとビニルアニソールの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた100mlのガラス製ビンにノルボルネン(5g、53.1mmol)、1,2−ジクロロエタン(35ml)およびビニルアニゾール(1.0ml、7.52mmol)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度でエチルヘキサン酸ニッケル(ミネラルスピリット中の8重量%のニッケル溶液の0.01ml、13μmol)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(石油ナフサ中で117μmol)、そして最後にトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.077ml、130μmol)を加えた。トリアルキルアルミニウムを加えると、発熱反応が続けて起こりそしてビンは生成したポリマーで固化した。60分間反応させた後、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させ、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、乾燥させた。共重合体の収率は6.1gであり、両モノマーが実質的に定量的に転化したことを示した。
【0128】
(重水素化クロロフォルム中で実施される)共重合体のプロトンNMRは、ポリマーがオレフィン性不飽和を持たずそして両方のモノマーを鎖状に繋がった状態で含有していることを示した。
【0129】
メトキシ基上に位置するプロトンが、TMSに関して3.7ppmで共鳴することが分かった。芳香族プロトンは6.4から6.9ppmの範囲内で共鳴し、他のプロトンは0.7から2.7ppmの範囲内で共鳴した。NMRデータを基準として、共重合体が約87モル%のノルボルネンと約13モル%のビニルアニソールからなることが計算された。共重合体の分子量はGPC分析法を用いて定められた(Mw290,300;Mn36,000)。
実施例5
NBとイソブチレンとの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた100mlのガラス製ビンにノルボルネン(5g、53.1mmol)、1,2−ジクロロエタン(35ml)およびイソブチレン(2.0g、35.7mmol)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度で1,2−ジクロロエタン(0.8ml)中の1,3−ビス(ジフェニルフォスフィノ)プロパンニッケルジクロライド(7mg、13μmol)、次いでトリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(石油ナフサ中の117μmol)、そして最後にトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.077ml、130μmol)を加えた。60分後、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させた。その後、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内で一晩乾燥させ、ノルボルネンとイソブチレンの共重合体である生成物(3.8g)を得た。GPC分析法は、その共重合体が17,000の分子量(Mw)、および2.0の多分散性を有することを示した。
実施例6
NBとイソブチレンとの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた100mlのガラス製ビンにノルボルネン(5g、53.1mmol)、1,2−ジクロロエタン(35ml)およびイソブチレン(2.0g、35.7mmol)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度で1,2−ジクロロエタン(0.8ml)中のビス(トリフェニルフォスフィン)ニッケルジクロライド(8mg、13μmol)、次いでトリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(石油ナフサ中の117μmol)、そして最後にトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.077ml、130μmol)を加えた。60分後、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させた。その後、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内で一晩乾燥させ、ノルボルネンとイソブチレンの共重合体である生成物(4.9g)を得た。GPC分析法は、その共重合体が17,000の分子量(Mw)、および2.5の多分散性を有することを示した。
実施例7
β−ピネンのホモ重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた100mlのガラス製ビンにβ−ピネン(5ml、31.8mmol)および1,2−ジクロロエタン(35ml)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度でエチルヘキサン酸ニッケル(ミネラルスピリット中の8重量%のニッケル溶液の0.01ml、13μmol)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(石油ナフサ中の117μmol)、そして最後にトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.077ml、130μmol)を加えた。トリアルキルアルミニウムを加えると、発熱反応が続けて起こった。60分間反応させた後、メタノールを注入して反応を終了させ、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内で一晩乾燥させ、重合性生成物(3.2g)を得た。GPC分析法は、その共重合体が20,500の分子量(Mw)と1.97の多分散性を有することを示した。
実施例8
β−ピネンのホモ重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた100mlのガラス製ビンにβ−ピネン(5ml、31.8mmol)および1,2−ジクロロエタン(35ml)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度で触媒A(0.012g、13μmol)、ボロントリフルオライドエーテレート(117μmol)、そして最後にトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.077ml、130μmol)を加えた。トリアルキルアルミニウムを加えると、発熱反応が続けて起こった。60分間反応させた後、メタノールを注入して反応を終了させ、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内で一晩乾燥させ、重合性生成物(4.1g)を得た。GPC分析法は、その共重合体が22,000の分子量(Mw)と1.9の多分散性を有することを示した。
実施例9
ビニルシクロヘキセンエポキシドとエチルビニルエーテルの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた50mlのガラス製ビンにビニルシクロヘキセン−エポキシド(2.5ml、19.2mmol)、1,2−ジクロロエタン(30ml)およびエチルビニルエーテル(2.5ml、26.1mmol)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度で以下のように調整された触媒溶液を加えた。
【0130】
触媒A(0.012g、13μmol)、ボロントリフルオライドエーテレート(0.015ml、117μmol)およびトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.08ml、130μmol)を、添加前に約30秒間1,2−ジクロロエタン(2ml)中で周囲温度において混合した。
【0131】
触媒を加えると、非常に発熱性のある反応が続いて起こった。60分間反応させた後、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させ、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、乾燥させた。共重合体の収率は3.3gであった。(重水素化クロロフォルム中で実施される)共重合体のプロトンNMRは、ポリマーが両方のモノマーを鎖状に繋がった状態で含有していることを示した。このNMRデータに基づいて、共重合体が約43モル%のビニルシクロヘキセン−エポキシドと約57モル%のエチルビニルエーテルから成ることが計算された。GPC分折法は、共重合体が28,500の分子量(Mw)と5の多分散性を有することを示した。
実施例10
NBとブタジエンの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた100mlのガラス製ビンにノルボルネン(5g、53.1mmol)、1,2−ジクロロエタン(35ml)およびブタジエン(2.0g、37mmol)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度で触媒A(0.012g、13μmol)、ボロントリフルオライドエーテレート(0.015ml、117μmol)およびトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.08ml、130μmol)を加えた。トリアルキルアルミニウムを加えると、(非常に発熱性のある)急速重合が続けて起こった。60分後、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させた。その後、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内で一晩乾燥させ、ノルボルネンとブタジエンの共重合体である生成物(4.9g)を得た。プロトンNMRデータは、共重合体が約17モル%のブタジエンと83モル%のノルボルネンから成ることを示した。GPC分析法は、共重合体が10,000の分子量(Mw)と2.2の多分散性を有することを示した。
実施例11
NBとブタジエンの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた100mlのガラス製ビンにノルボルネン(5g、53.lmmol)、1,2−ジクロロエタン(35ml)およびブタジエン(2.0g、37mmol)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度でエチルヘキサン酸ニッケル(13μmol)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(石油ナフサ中で117μmol)、そして最後にトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.077ml、130μmol)を加えた。トリアルキルアルミニウムを加えると、発熱反応が続けて起こった。60分反応させた後、メタノールを注入して反応を終了させ、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内で一晩乾燥させ、ノルボルネンとブタジエンの共重合体である生成物(4.8g)を得た。プロトンNMRデータは、共重合体が約13モル%のブタジエンと87モル%のノルボルネンから成ることを示した。GPC分析法は、共重合体が13,100の分子量(Mw)と2.5の多分散性を有することを示した。
実施例12
スチレンとブタジエンの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた100mlのガラス製ビンにスチレン(5ml、43.6mmol)、1,2−ジクロロエタン(35ml)およびブタジエン(2.0g、37mmol)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度でエチルヘキサン酸ニッケル(13μmol)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(石油ナフサ中で117μmol)、そして最後にトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.077ml、130μmol)を加えた。トリアルキルアルミニウムを加えると、発熱反応が続けて起こった。60分反応させた後、メタノールを注入して反応を終了させ、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内で一晩乾燥させ、スチレンとブタジエンの共重合体である生成物(1.7g)を得た。プロトンNMRデータは、共重合体が約75モル%のブタジエンと25モル%のスチレンから成ることを示した。GPC分析法は、共重合体が8,200の分子量(Mw)と3.5の多分散性を有することを示した。
実施例13
スチレンとブタジエンの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた100mlのガラス製ビンにスチレン(5ml、43.6mmol)、1,2−ジクロロエタン(35ml)およびブタジエン(2.0g、37mmol)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度で触媒A(0.012g、13μmol)、ボロントリフルオライドエーテレート(0.015ml、117μmol)およびトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.08ml、130μmol)を加えた。トリアルキルアルミニウムを加えると、(非常に発熱性のある)急速重合が続けて起こった。60分後、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させた。その後、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内で一晩乾燥させ、スチレンとブタジエンの共重合体である生成物(1.4g)を得た。プロトンNMRデータは、共重合体が約82モル%のブタジエンと18モル%のスチレンから成ることを示した。GPC分析法は、共重合体が8,000の分子量(Mw)と2.6の多分散性を有することを示した。
実施例14
ビニルシクロヘキセンエポキシドとビニルアニソールの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた100mlのガラス製ビンにビニルシクロヘキセン−エポキシド(2.5ml、19.2mmol)、1,2−ジクロロエタン(35ml)およびビニルアニソール(2.5ml、18.8mmol)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度でエチルヘキサン酸ニッケル(ミネラルスピリット中の8重量%のニッケル溶液の0.01ml、13μmol)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(石油ナフサ中で117μmol)、そして最後にトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.077ml、130μmol)を加えた。トリアルキルアルミニウムを加えると、非常に発熱性のある反応が続けて起こった。60分間反応させた後、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させ、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、乾燥させた。共重合体の収率は4.7gであった。
【0132】
(重水素化クロロフォルム中で実施される)共重合体のプロトンNMRは、ポリマーが両方のモノマーを鎖状に繋がった状態で含有していることを示した。このNMRデータに基づいて、共重合体が約53モル%のビニルシクロヘキセン−エポキシドと約47モル%のビニルアニソールから成ることが分かった。GPC分析法は、共重合体が36,800の分子量(Mw)と2.8の多分散性を有することを示した。
実施例15
NBとイソブチレンの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた100mlのガラス製ビンにノルボルネン(5g、53.1mmol)、1,2−ジクロロエタン(35ml)およびイソブチレン(5g、89mmol)を加えた。この撹拌された溶液に−7℃で触媒A(0.012g、13μmol)、ボロントリフルオライドエーテレート(0.015ml、117μmol)およびトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.08ml、130μmol)を加えた。
トリアルキルアルミニウムを加えると、急速重合が続けて起こった。60分後、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させた。その後、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内で一晩乾燥させ、ノルボルネンとイソブチレンの共重合体である生成物(3.9g)を得た。プロトンNMRデータは、共重合体が約41モル%のイソブチレンと59モル%のノルボルネンから成ることを示した。重量平均分子量(Mw)が11,000、多分散性が1.58であることが分かった。ガラス転移温度はDSC法を用いて測定され、その値は182℃であった。
実施例16
NBとイソブチレンの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた100mlのガラス製ビンにノルボルネン(5g、53.1mmol)、1,2−ジクロロエタン(35ml)およびイソブチレン(0.5g、9mmol)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度で触媒A(0.012g、13μmol)、ボロントリフルオライドエーテレート(0.015ml、117μmol)およびトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.08ml、130μmol)を加えた。トリアルキルアルミニウムを加えると、急速重合が続けて起こった。60分後、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させた。その後、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内で一晩乾燥させ、ノルボルネンとイソブチレンの共重合体である生成物(4.9g)を得た。プロトンNMRデータは、共重合体が約13モル%のイソブチレンと87モル%のノルボルネンから成ることを示した。重量平均分子量(Mw)が116,000、多分散性が2.9であることが分かった。ガラス転移温度はDSC法を用いて測定され、その値は245℃であった。
実施例17
N−ビニルカルバゾンのホモ重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた50mlのガラス製ビンにN−ビニルカルバゾール(5.13g、26.5mol)および1,2−ジクロロエタン(25ml)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度で触媒B(4.6mg、13μmol)を加えた。10分後、重合媒体の撹拌が全体的に極端に困難となったため、反応が高い転化率まで進行したことが明らかになった。60分後、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させた。その後、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内で一晩乾燥させ、生成物(4.95g、96.5%の転化率)を得た。重量平均分子量(Mw)はかなり高く、その値は448,000であり、多分散性は3.4であった。
実施例18
イソブチレンとブタジエンの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた200mlのガラス製ビンにヘプタン(90ml)、イソブチレン(9.7g、174mmol)およびブタジエン(0.19g、3.6mmol)を加えた。ビンは−40℃に保たれた。
この撹拌された溶液に−40℃でエチルヘキサン酸ニッケル(ミネラルスピリット中の8重量%のニッケル溶液の0.02ml、25μmol)とエチルアルミニウムジクロライド(シクロヘキサン中の3.4モル溶液の0.044ml、150μmol)を加えた。60分後、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させた。その後、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内で一晩乾燥させ、生成物(2.5g、25%の転化率)を得た。その共重合体はGPC分析法によって高分子量(Mw566,000とMn109,000)であることが分かった。
実施例19
イソブチレンのホモ重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた200mlのガラス製ビンにヘプタン(90ml)とイソブチレン(9.7g、174mmol)を加えた。ビンは−40℃に保たれた。この撹拌された溶液に−40℃でエチルヘキサン酸ニッケル(ミネラルスピリット中の8重量%のニッケル溶液の0.02ml、25μmol)とエチルアルミニウムジクロライド(シクロヘキサン中の3.4モル溶液の0.044ml、150μmol)を加えた。8分後、粘性のため撹拌が停止し、60分後、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させた。その後、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内(50℃)で一晩乾燥させ、生成物(9.55g、96%の転化率)を得た。そのポリイソブチレンはGPC分析法によって極端に高い分子量(Mw1,072,000とMn195,000)であることが分かった。
比較例
イソブチレンのホモ重合
この例ではニッケル触媒のMW増加効果を説明する。この場合、実施例22で使用されたニッケル塩は故意に省略される。
【0133】
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた200mlのガラス製ビンにヘプタン(95ml)とイソブチレン(5g、89mmol)を加えた。ビンは−40℃に保たれた。この撹拌された溶液に−40℃でエチルアルミニウムジクロライド(シクロヘキサン中の3.4モル溶液の0.044ml、150μmol)を加えた。60分後、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させた。
その後、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内(50℃)
で一晩乾燥させ、生成物(4.9g、98%の転化率)を得た。そのポリイソブチレンはGPC分析法によって極端に高い分子量(Mw228,000とMn59,000)であることが分かった。
実施例20
イソブチレンのホモ重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた200mlのガラス製ビンにヘプタン(90ml)とイソブチレン(10g、178mmol)を加えた。ビンは−40℃に保たれた。この撹拌された溶液に−40℃でエチルヘキサン酸ニッケル(ミネラルスピリット中の8重量%のニッケル溶液の0.014ml、18μmol)とエチルアルミニウムジクロライド(シクロヘキサン中の3.4モル溶液の0.026ml、90μmol)を加えた。60分後、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させた。その後、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内(50℃)で一晩乾燥させ、生成物(3.92g、39%の転化率)を得た。そのポリイソブチレンはGPC分析法によって極端に高い分子量(Mw1,040,000とMn504,000)であることが分かった。
比較例
イソブチレンのホモ重合
この例ではニッケル触媒のMW増加効果を説明する。この場合、実施例23で使用されたニッケル塩を故意に省略する。
【0134】
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた200mlのガラス製ビンにヘプタン(90ml)とイソブチレン(10g、178mmol)を加えた。
ビンは−40℃に保たれた。この撹拌された溶液に−40℃でエチルアルミニウムジクロライド(シクロヘキサン中の3.4モル溶液の0.0065ml、22μmol)を加えた。60分後、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させた。その後、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内(50℃)で一晩乾燥させ、生成物(4.6g、46%の転化率)を得た。そのポリイソブチレンはGPC分析法によって極端に高い分子量(Mw300,000とMn123,000)であることが分かった。
実施例21
イソブチレンのホモ重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた200mlのガラス製ビンにヘプタン(90ml)とイソブチレン(10g、178mmol)を加えた。
ビンは−40℃に保たれた。この撹拌された溶液に−40℃でエチルヘキサン酸ニッケル(ミネラルスピリット中の8重量%のニッケル溶液の0.020ml、25μmol)とエチルアルミニウムジクロライド(シクロヘキサン中の3.4モル溶液の0.037ml、125μmol)を加えた。60分後、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させた。その後、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内(50℃)で一晩乾燥させ、生成物(3.4g、34%の転化率)を得た。そのポリイソブチレンはGPC分析法によって極端に高い分子量(Mw1,413,000)であることが分かった。
実施例22
イソブチレンとイソプレンとの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた200mlのガラス製ビンにヘプタン(90ml)、イソブチレン(10g、178mmol)およびイソプレン(0.36ml、0.25g、3.6mmol)を加えた。ビンは−40℃に保たれた。この撹拌された溶液に−40℃でエチルヘキサン酸ニッケル(ミネラルスピリット中の8重量%のニッケル溶液の0.017ml、22μmol)とエチルアルミニウムジクロライド(シクロヘキサン中の3.4モル溶液の0.039ml、132μmol)を加えた。60分後、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させた。その後、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内(50℃)で一晩乾燥させ、生成物(6.4g、64%の転化率)を得た。得られたブチルゴムはGPC分析法によって高い分子量(Mw156,000とMn86,000)であることが分かった。イソプレンの含有量は0.73%1,4単位、および0.15%の枝分かれ単位(合計0.88%mole)であることが分かった。イソプレンの組込み型とレベルは、ホワイト(White)らのMacromolecules 1995、28、3290−3300の教示に従ってプロトンNMR法によって決定された。
実施例23
NBとイソブチレンとの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた50mlのガラス製ビンを−20℃まで冷却し、ノルボルネン(9g、9gの1,2−ジクロロエタン中に希釈された96mmol)、1,2−ジクロロエタン(40ml)およびイソブチレン(1g、18mmol)を加えた。この撹拌された溶液に40℃で触媒A(0.012g、13μmol)、ボロントリフルオライドエーテレート(0.015ml、121μmol)とエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.08ml、130μmol)を加えた。60分後、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させた。その後、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内で一晩乾燥させ、ノルボルネンとイソブチレンの共重合体である生成物(8.19g)を得た。プロトンNMRデータは、共重合体が約18モル%のイソブチレンと82モル%のノルボルネンからなることを示した。重量平均分子量(Mw)は115,000であり、数平均分子量(Mn)は55,000であった。ガラス転移温度はDSC法を用いて測定され、337℃であった。この共重合体のサンプルを、1,2−ジクロロエタン(ポリイソブチレン用の溶媒)を抽出剤として用いて24時間ソックスレー抽出にかけた。約8重量%のイソブチレンに富んだ(プロトンNMR)共重合体が抽出され、重量平均分子量(Mw)が113,000、数平均分子量(Mn)が54,000である11モル%のイソブチレンを含有する残渣が残った。抽出物は質量分析法を用いて分析され、ノルボルネンとイソブチレンの両方(例えば、2ノルボルネン類と1イソブチレン、1ノルボルネンと5イソブチレン類、2ノルボルネン類と2イソブチレン等)を含有する様々な断片を含有することが分かり、同じ主鎖中における両モノマーの連鎖を証明した。
実施例24
NBとイソブチレンとの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた100mlのガラス製ビンを−20℃まで冷却し、ノルボルネン(9g、9gの1,2−ジクロロエタン中に希釈された96mmol)、1,2−ジクロロエタン(40ml)およびイソブチレン(1g、18mmol)を加えた。この撹拌された溶液に20℃で触媒A(0.022g、18.5μmol)、ボロントリフルオライドエーテレート(0.020ml、166μmol)とトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.109ml、185μmol)を加えた。60分後、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させた。その後、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内で一晩乾燥させ、ノルボルネンとイソブチレンの共重合体である生成物(8.52g)を得た。プロトンNMRデータは、共重合体が約20モル%のイソブチレンと80モル%のノルボルネンからなることを示した。重量平均分子量(Mw)は201,000であり、数平均分子量(Mn)は71,000であった。この共重合体のサンプルを、1,2−ジクロロエタン(ポリイソブチレン用の溶媒)を抽出剤として用いて24時間ソックスレー抽出にかけた。重量平均分子量(Mw)が204,000、数平均分子量(Mn)が76,000である残留物を残して、約20重量%のイソブチレンに富んだ(プロトンNMR)共重合体を抽出した。抽出物は質量分析法を用いて分析され、ノルボルネンとイソブチレンの両方(例えば、2ノルボルネン類と1イソブチレン、1ノルボルネンと4イソブチレン類、2ノルボルネン類と2イソブチレン類等)を含有する様々な断片を含有することが分かり、同じ主鎖中における両モノマーの連鎖を証明した。
実施例25
NBとイソブチレンとの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた100mlのガラス製ビンを−20℃まで冷却し、ノルボルネン(5g、5gの1,2−ジクロロエタン中に希釈された53mmol)、1,2−ジクロロエタン(35ml)およびイソブチレン(5g、89mmol)を加えた。この撹拌された溶液に−20℃で触媒E(0.050g、45μmol)を加えた。60分後、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させた。その後、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内で一晩乾燥させ、ノルボルネンとイソブチレンの共重合体である生成物(4.0g)を得た。プロトンNMRデータは、共重合体が約16モル%のイソブチレンと84モル%のノルボルネンからなることを示し、(重水素化クロロフォルム中で)TMSに関して4.7ppmにおいて単一型のオレフィン末端基(ポリマー−NB−CH2C(CH3)=CH2)の存在を示した。重重平均分子量(Mw)は7,200、数平均分子量(Mn)は3,500であった。
実施例26
イソブチレンとイソプレンとの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた200mlのガラス製ビンにヘプタン(95ml)、イソブチレン(4.9g、87mmol)およびイソプレン(0.18ml、0.12g、1.8mmol)を加えた。ビンは−75℃に保たれた。この撹拌された溶液に−75℃でエチルヘキサン酸ニッケル(ミネラルスピリット中の8重量%のニッケル溶液の0.010ml、13μmol)とエチルアルミニウムジクロライド(シクロヘキサン中の0.5モル溶液の0.16ml、78μmol)を加えた。60分後、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させた。その後、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内(50℃)で一晩乾燥させ、生成物(2.8g、56%の転化率)を得た。得られたブチルゴムはGPC分析法によって高い分子量(Mw136,000とMn61,000)であることが分かった。イソプレンの含有量は1.37%1,4単位、および0.22%の枝分かれ単位(合計1.6%mole)であった。
実施例27
イソブチレンとイソプレンとの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた200mlのガラス製ビンにヘプタン(95ml)、イソブチレン(4.9g、87mmol)およびイソプレン(0.18ml、0.12g、1.8mmol)を加えた。ビンは−40℃に保たれた。この撹拌された溶液に−40℃でエチルヘキサン酸ニッケル(ミネラルスピリット中の8重量%のニッケル溶液の0.010ml、13μmol)
とイソブチルアルミニウムジクロライド(シクロヘキサン中の0.5モル溶液の0.16ml、78μmol)を加えた。60分後、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させた。その後、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内(50℃)で一晩乾燥させ、生成物(1.6g、32%の転化率)を得た。得られたブチルゴムはGPC分析法によって高い分子量(Mw105,000とMn48,000)であることが分かった。イソプレンの含有量は1.0%1,4単位、および0.3%の枝分かれ単位(合計1.3%mole)であった。
実施例28
β−ピネンのホモ重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた50mlのガラス製ビンにβ−ピネン(8.4ml、53.1mmol)および1,2−ジクロロエタン(35ml)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度でエチルヘキサン酸ニッケル(ミネラルスピリット中の8重量%のニッケル溶液の0.01ml、13μmol)とエチルアルミニウムジクロライド(ヘキサン中の50%溶液の0.035ml、78μmol)を加えた。60分間反応させた後、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させ、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内で一晩乾燥させ、重合性生成物(0.2g)を得た。GPC分析法は、その共重合体が20100の分子量(Mw)と2.7の多分散性を有することを示した。
実施例29
NBとβ−ピネンの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた50mlのガラス製ビンにβ−ピネン(4.2ml、26.5mmol)、ノルボルネン(2.5g、26.5mmol),およびヘプタン(35ml)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度でエチルヘキサン酸ニッケル(ミネラルスピリット中の8重量%のニッケル溶液の0.01ml、13μmol)とエチルアルミニウムジクロライド(ヘキサン中の50%溶液の0.035ml)を加えた。60分間反応させた後、メタノールを注入して反応を終了させ、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内で一晩乾燥させ、共重合体(3.5g)を得た。GPC分析法は、その共重合体が806,000の分子量(Mw)と2.5の多分散性を有することを示した。
実施例30
イソブチレンのホモ重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた100mlのガラス製ビンにシクロヘキサン(45ml)、ノルボルネン(5g、53mmol)、およびイソブチレン(5g、89mmol)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度でエチルヘキサン酸パラジウム(ミネラルスピリット中の3.07モル溶液の0.007ml、21μmol)、およびエチルアルミニウムジクロライド(ヘキサン中の50%溶液の0.023ml、78μmol)を加えた。2時間反応させた後、メタノールを注入して反応を終了させ、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内で一晩乾燥させ、共重合体(3.62g)を得た。GPC分析法は、その共重合体が107,000の重量平均分子量(Mw)と60,000の数平均分子量(Mn)を有することを示した。
実施例31
イソブチレンのホモ重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた100mlのガラス製ビンにシクロヘキサン(45ml)、ノルボルネン(5g、53mmol)、およびイソブチレン(5g、89mmol)を加えた。この撹拌された溶液に−20℃でエチルヘキサン酸パラジウム(ミネラルスピリット中の3.07モル溶液の0.013ml、38μmol)、およびエチルアルミニウムジクロライド(ヘキサン中の50%溶液の0.056ml、190μmol)を加えた。60分間反応させた後、メタノールを注入して反応を終了させ、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内で一晩乾燥させ、共重合体(5.98g)を得た。GPC分析法は、熱いo−ジクロロベンゼン中に溶解した共重合体が218,000の重量平均分子量(Mw)と177,000の数平均分子量(Mn)を有することを示した。
実施例32
NBとイソブチレンとの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた50mlのガラス製ビンにノルボルネン(5g、53.lmmol)、1,2−ジクロロエタン(35ml)およびイソブチレン(2.0g、35.7mmol)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度でエチルヘキサン酸ニッケル(ミネラルスピリット中の8重量%のニッケル溶液の0.01ml、13μmol)、ボロントリフルオライドエーテレート(0.015ml、117μmol)、およびトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.08ml、130μmol)を加えた。60分後、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させた。その後、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内で一晩乾燥させ、ノルボルネンとイソブチレンの共重合体である生成物(3.0g)を得た。プロトンNMRデータは、共重合体が約10モル%のイソブチレンと90モル%のノルボルネンからなることを示した。重量平均分子量(Mw)は28,300であり、多分散性は1.98であった。
実施例33
イソブチレンとブタジエンの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた50mlのガラス製ビンにイソブチレン(6.02g、107.5mmol)、1,2−ジクロロエタン(3ml)およびブタジエン(0.30g、5.6mmol)を加えた。ビンは−40℃に保たれた。この撹拌された溶液に−40℃でエチルヘキサン酸ニッケル(ミネラルスピリット中の8重量%のニッケル溶液の0.01ml、13μmol)およびエチルアルミニウムジクロライド(トルエン中の1.8モル溶液の0.044ml、68μmol)を加えた。60分後、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させた。その後、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内で一晩乾燥させ、生成物(3.2g、50%の転化率)を得た。共重合体の分子量はGPC(Mw37,300とMn4,000)によって定められた。
実施例34
ビニルシクロヘキセンエポキシドとエチルビニルエーテルの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた50mlのガラス製ビンにビニルシクロヘキセン−エポキシド(2.5ml、19.2mmol)、シクロヘキサン(35ml)およびエチルビニルエーテル(2.5ml、26.1mmol)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度でエチルヘキサン酸ニッケル(ミネラルスピリット中の8重量%のニッケル溶液の0.01ml、13μmol)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(石油ナフサ中で117μmol)、そして最後にトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.077ml、130μmol)を加えた。60分間反応させた後、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させ、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、乾燥させた。共重合体の収率は3.8gであった。
【0135】
(重水素化クロロフォルム中で実施される)共重合体のプロトンNMRは、ポリマーが両方のモノマーを鎖状に繋がった状態で含有していることを示した。このNMRデータに基づいて、共重合体が約52モル%のエチルビニルエーテルと約48モル%のシクロヘキセンエポキシドから成ることが計算された。GPC分析法は、共重合体が38900の分子量(Mw)と3.2の多分散性を有することを示した。
実施例35
エチルビニルエーテルのホモ重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた50mlのガラス製ビンにシクロヘキサン(35ml)およびエチルビニルエーテル(5ml、52.2mmol)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度でエチルヘキサン酸ニッケル(ミネラルスピリット中の8重量%のニッケル溶液の0.01ml、13μmol)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(石油ナフサ中で117μmol)、そして最後にトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.077ml、130μmol)を加えた。トリエチルアルミニウムを加えると、非常に発熱性のある反応が続いて起こった。60分間反応させた後、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させ、溶液をエチルビニルエーテルホモポリマーが溶解性である過剰なメタノール中に注ぎ込んだ。メタノールと他の揮発物は高減圧下において除去され、エチルビニルエーテルのホモポリマーとしてのプロトンNMRによって特徴づけられる粘着性のある半固体としてのホモポリマーを得た。
実施例36
NBとα−メチルスチレンの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた50mlのガラス製ビンにノルボルネン(4.6g、48.9mmol)、クロロベンゼン(35ml)およびα−メチルスチレン(2.5ml)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度でエチルヘキサン酸ニッケル(ミネラルスピリット中の8重量%のニッケル溶液の0.01ml、13μmol)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(石油ナフサ中で117μmol)、そして最後にトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.077ml、130μmol)を加えた。トリエチルアルミニウムを加えると、非常に発熱性のある反応が続いて起こった。60分間反応させた後、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させ、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、乾燥させた。共重合体の収率は4.9gであった。GPC分析法は、共重合体が69,400の分子量(Mw)と2.8の多分散性を有することを示した。
実施例37
エチルビニルエーテルとNBの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた50mlのガラス製ビンにノルボルネン(2.5g、26.5mmol)、シクロヘキサン(30ml)およびエチルビニルエーテル(5.0ml、52.2mmol)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度でエチルヘキサン酸ニッケル(ミネラルスピリット中の8重量%のニッケル溶液の0.01ml、13μmol)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(石油ナフサ中で117μmol)、そして最後にトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.077ml、130μmol)を加えた。トリアルキルアルミニウムを加えると、発熱反応が続いて起こった。60分間反応させた後、メタノールを注入して反応を終了させ、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、乾燥させた。共重合体の収率は2.5gであった。同じ条件下で同じ触媒を使用して生成した二種類のホモポリマー(ポリノルボルネンとポリエチルビニルエーテル)と比較して、共重合体が延長して加熱した後にo−ジクロロベンゼン(o−DCB)やトリクロロベンゼンのような溶媒にしか溶解しなかったのに対し、その二種類のホモポリマーは周囲温度でこれらの溶媒に簡単に溶解した(さらに周囲温度でシクロヘキサン中にも溶解した)。
実施例38
NBとN−ブチルビニルエーテルの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた50mlのガラス製ビンにノルボルネン(5g、53.1mmol)、シクロヘキサン(25ml)およびn−ブチルビニルエーテル(2.5ml)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度でエチルヘキサン酸ニッケル(ミネラルスピリット中の8重量%のニッケル溶液の0.01ml、13μmol)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(石油ナフサ中で117μmol)、そして最後にトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.077ml、130μmol)を加えた。トリアルキルアルミニウムを加えると、わずかに発熱反応が続いて起こった。60分間反応させた後、メタノールを注入して反応を終了させ、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、乾燥させた。共重合体の収率は2.1gであった。
実施例39
NBとN−ブチルビニルエーテルの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた50mlのガラス製ビンにノルボルネン(5g、53.1mmol)、クロロベンゼン(25ml)およびエチルビニルエーテル(2.5ml、26.1mmol)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度でエチルヘキサン酸ニッケル(ミネラルスピリット中の8重量%のニッケル溶液の0.01ml、13μmol)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(石油ナフサ中で117μmol)、そして最後にトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.077ml、130μmol)を加えた。トリアルキルアルミニウムを加えた直後に、非常に発熱性のある反応が続いて起こった。15分間反応させて、重合中の媒体がほとんど固形になったころに、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させ、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、乾燥させた。共重合体の収率は5.9gであった。同じ触媒を使用して生成した二種類のホモポリマー(ポリノルボルネンとポリエチルビニルエーテル)と比較して、共重合体は延長して加熱した後にトリクロロベンゼンに不溶解であったのに対し、その二種類のホモポリマーは周囲温度でこの溶媒に簡単に溶解した(さらに周囲温度でシクロヘキサン中にも溶解した)。
比較例
NBとエチルビニルエーテルの試験的共重合
この例では、重合がニッケル触媒(実施例42で使用されたニッケル化合物は故意に省略された)によって、さらにルイス酸を含む単純な炭素カチオン機構を介さないで開始されることを説明する。
【0136】
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた50mlのガラス製ビンにノルボルネン(5g、53.1mmol)、クロロベンゼン(25ml)およびエチルビニルエーテル(2.5ml、26.1mmol)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度でトリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(石油ナフサ中で117μmol)とトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.077ml、130μmol)を加えた。60分間反応させて、重合性沈殿物も目立った粘着性も消えたころに、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させ、得られた溶液を過剰なメタノール中に注入したが、いかなる生成物も得られなかった。
実施例40
NBとエチルビニルエーテルの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた50mlのガラス製ビンにノルボルネン(5g、53.1mmol)、クロロベンゼン(35ml)およびエチルビニルエーテル(2.5ml、26.1mmol)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度で触媒F(2ml中のジクロロエタン中の溶液として13μmol)を加えた。24時間反応させて、フラスコの中味が容易に撹拌できる乳濁の塊へと変化した。重合性の白い塊が過剰なメタノールに注入されて、濾過後、さらにメタノールで洗浄されて、乾燥された。共重合体の収率は4.5gであった。共重合体のプロトンNMRは、共重合体はオレフィン不飽和が欠けており、両方のモノマーを鎖状に繋がった状態で含有することを示した。鎖状に繋がったエチルビニルエーテル中の酸素に隣接した炭素原子上に位置するプロトンが、TMS(重水素化されたo−DCB溶媒)に関する3.4から3.8ppmの範囲内で共鳴することが分かった。他のプロトンは0.8から2.9ppmの範囲内で共鳴した。NMRデータを基準として、共重合体が約89モル%のノルボルネンと約11モル%のエチルビニルエーテルからなることが計算された。GPC法は共重合体力非常に高い分子量(1,000,000以上のMw)を有することを示した。
実施例41
エチルビニルエーテルのホモ重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた50mlのガラス製ビンに1,2−ジクロロエタン(35ml)およびエチルビニルエーテル(2.5ml、26.1mmol)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度で1,2−ジクロロエタン(2ml)中の触媒G(8.2mg、13μmol)、次にエチルアルミニウムジクロライド(トルエン中の1.8モル溶液の0.028ml、52μmol)を加えた。アルキルアルミニウムを加えると、直ちに(赤茶色への)変色が起こり、非常に発熱性のある反応が続けておこった。60分間反応させて、メタノール(3ml)を加えて反応を終了させた。
実施例42
イソブチレンのホモ重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた50mlのガラス製ビンに1,2−ジクロロエタン(40ml)およびイソブチレン(5g、89.2mmol)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度で1,2−ジクロロエタン(2ml)中の触媒G(8.2mg、13μmol)、次にエチルアルミニウムジクロライド(トルエン中の1.8モル溶液の0.028ml、52μmol)を加えた。アルキルアルミニウムを加えると、直ちに(赤色への)変色が起こり、60秒後(紫色への)第二変色が起こり、非常に発熱性のある反応が続けておこった。
60分間反応させて、メタノール(3ml)を加えて反応を終了させた。
実施例43
NBとβ−ピネンの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた50mlのガラス製ビンにβ−ピネン(2.5ml)、ノルボルネン(5g、53.1mmol)、およびクロロベンゼン(35ml)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度でエチルヘキサン酸ニッケル(ミネラルスピリット中の8重量%のニッケル溶液の0.01ml、13μmol)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(石油ナフサ中の117μmol)およびトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.077ml、130μmol)を加えた。アルキルアルミニウムを加えるとすぐに、反応混合物は黄色に変色し、発熱した。60分間反応させた後、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させ、得られた溶液を過剰なメタノール中に注入した。ポリマーをろ過し、過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内で一晩乾燥させ、共重合体(4.0g)を得た。GPC分析法は、その共重合体が39,800の分子量(Mw)と2.1の多分散性を有することを示した。
実施例44
NBとイソブチレンの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた100mlのガラス製ビンにノルボルネン(5g、53.1mmol)、シクロヘキサン(50ml),およびイソブチレン(5g、89mmol)を加えた。この撹拌された溶液に10℃で触媒A(0.024ml、28μmol)、ボロントリフルオライドエーテレート(0.031ml、252μmol)、最後にトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.165ml、280μmol)を加えた。
【0137】
60分後、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させた。その後、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内で一晩乾燥させ、ノルボルネンとイソブチレンの共重合体である生成物(2.28g)を得た。GPC分析法は、その共重合体が158,000の分子量(Mw)を有し、267℃のガラス転移温度を示した。
実施例45
NBとイソブチレンの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた100mlのガラス製ビンにノルボルネン(9g、96mmol)、クロロベンゼン(50ml)、およびイソブチレン(1g、18mmol)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度で触媒A(0.024ml、28μmol)、トリエチルボーレート(B(OEt)3)(0.043ml、252μmol)、最後にトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.165ml、280μmol)を加えた。
【0138】
60分後、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させた。その後、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内で一晩乾燥させ、ノルボルネンとイソブチレンの共重合体である生成物(8.17g、82%)を得た。GpC分析法は、その共重合体が62,000の分子量(Mw)を有することを示した。
実施例46
NBとイソブチレンの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた100mlのガラス製ビンにノルボルネン(5g、53.1mmol)、シクロヘキサン(50ml)、およびイソブチレン(5g、89mmol)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度で触媒A(0.024ml、28μmol)、トリエチルボーレート(B(OEt)3)(0.043ml、252μmol)、最後にトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.165ml、280μmol)を加えた。
【0139】
60分後、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させた。その後、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内で一晩乾燥させ、ノルボルネンとイソブチレンの共重合体である生成物(1.65g、17%)を得た。
GPC分析法は、その共重合体が284,000の分子量(Mw)を有することを示した。
実施例47
NBとエチルビニルエーテルの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた50mlのガラス製ビンにノルボルネン(5g、53.1mmol)、クロロベンゼン(35ml)、エチルビニルエーテル(0.5ml)および連鎖移動剤として1−ヘキセン(1.0ml)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度でエチルヘキサン酸ニッケル(ミネラルスピリット中の8重量%のニッケル溶液の0.01ml、13μmol)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(石油ナフサ中で117μmol)、そして最後にトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.077ml、130μmol)を加えた。トリアルキルアルミニウムを加えると、発熱反応が続いて起こった。60分間反応させて、メタノールを注入して反応を終了させ、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、乾燥させた。共重合体の収率は1.4gであった。GPC分析法は、その共重合体が217000の分子量(Mw)、3.1の多分散性を有することを示した。プロトンNMRスペクトルが(TMSに関して5.3から5.7ppmの範囲で共鳴する)オレフィン末端基の存在と、約13mol%のエチルビニルエーテルと87mol%のノルボルネンとから成る共重合体を示した。
実施例48
プロピレンオキシドのホモ重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた50mlのガラス製ビンにプロピレンオキシド(5ml、4.15g)およびクロロベンゼン(35ml)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度でエチルヘキサン酸ニッケル(ミネラルスピリット中の8重量%のニッケル溶液の0.01ml、13μmol)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(石油ナフサ中で117μmol)、そして最後にトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.077ml、130μmol)を加えた。トリアルキルアルミニウムを加えると、発熱反応が続いて起こった。60分間反応させて、メタノールを注入して反応を終了させた。液体生成物(4.1g、実質的に定量的に転化)は高減圧下において、乾燥するまで溶液を蒸発させて単離した。
実施例49
NBとプロピレンオキシドの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた50mlのガラス製ビンにノルボルネン(5g、53.1mmol)、プロピレンオキシド(2.5ml)およびクロロベンゼン(35ml)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度でエチルヘキサン酸ニッケル(ミネラルスピリット中の8重量%のニッケル溶液の0.01ml、13μmol)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(石油ナフサ中で117μmol)、そして最後にトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.077ml、130μmol)を加えた。トリアルキルアルミニウムを加えると、発熱反応が続いて起こった。60分間反応させて、メタノールを注入して反応を終了させた。粘着性のある半固体である生成物(1.6g)は高減圧下において、乾燥するまで溶液を蒸発させて単離した。プロトンNMR法は、共重合体が主鎖に組み込まれている低レベルのノルボルネン単位を有するプロピレンオキシドから主に成ることを明らかにした。
実施例50
NBとジイソブチレンの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた100mlのガラス製ビンにノルボルネン(5g、53.1mmol)、クロロベンゼン(35ml)およびジイソブチレン(5.6ml、35.7mol)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度で以下のように調整された触媒溶液を加えた。
【0140】
触媒A(0.012g、13μmol)、ボロントリフルオライドエーテレート(0.03ml、234μmol)およびトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.16ml、260μmol)を、添加前に約30秒間1,2−ジクロロエタン(0.6ml)中で周囲温度において混合した。
【0141】
60分後、メタノール(3ml)を注入して反応を終了させた。その後、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内で一晩乾燥させ、ノルボルネンとジイソブチレンの共重合体である生成物(4.2g)を得た。GPC分析法は、その共重合体が217700の分子量(Mw)、および1.95の多分散性を有することを示した。プロトンNMRデータは、共重合体が約6mol%のジイソブチレンと94mol%のノルボルネンとから成ることを示した。
実施例51
NBとトリイソブチレンの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた100mlのガラス製ビンにノルボルネン(5g、53.1mmol)、クロロベンゼン(35ml)およびトリイソブチレン(6.7ml、35.7mol)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度でエチルヘキサン酸ニッケル(13μmol)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(石油ナフサ中で117μmol)、そして最後にトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.077ml、130μmol)を加えた。トリアルキルアルミニウムを加えると、発熱反応が続いて起こった。60分間反応させて、メタノールを注入して反応を終了させ、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内で一晩乾燥させ、ノルボルネンとトリイソブチレンの共重合体である生成物(3.4g)を得た。プロトンNMRデータは、共重合体が約11mol%のトリイソブチレンと89mol%のノルボルネンとから成ることを示した。GPC分析法は、その共重合体が340,600の分子量(Mw)、および4.6の多分散性を有することを示した。
実施例52
NBとトリイソブチレンの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた100mlのガラス製ビンにノルボルネン(5g、53.1mmol)、クロロベンゼン(35ml)およびトリイソブチレン(5.6ml、35.7mol)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度でエチルヘキサン酸ニッケル(13μmol)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(石油ナフサ中で117μmol)、そして最後にトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.077ml、130μmol)を加えた。トリアルキルアルミニウムを加えると、発熱反応が続いて起こった。60分間反応させて、メタノールを注入して反応を終了させ、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、加熱真空オーブン内で一晩乾燥させ、ノルボルネンとトリイソブチレンの共重合体であるポリマー生成物(4.0g)を得た。プロトンNMRデータは、共重合体が約9mol%のトリイソブチレンと91mol%のノルボルネンとから成ることを示した。GPC分析法は、その共重合体が121,300の分子量(Mw)、および2.1の多分散性を有することを示した。
実施例53
NBとカプロラクトンの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた100mlのガラス製ビンにノルボルネン(5g、53.1mmol)、クロロベンゼン(40ml)およびε−カプロラクトン(2.5ml)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度でエチルヘキサン酸ニッケル(ミネラルスピリット中の8重量%のニッケル溶液の0.01ml、13μmol)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(石油ナフサ中で117μmol)、そして最後にトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.077ml、130μmol)を加えた。トリアルキルアルミニウムを加えると、発熱反応が続いて起こった。混合物の温度を少しづつ上げながら60分間反応させて、溶液から共重合体を沈殿させて、非常に粘性の高いスラリーを得た。メタノールを注入して反応を終了させ、ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、乾燥させた。共重合体の収率は4.9gであった。同じ条件下で同じ触媒を使用して生成した二種類のホモポリマー(ポリノルボルネンとポリ−ε−カプロラクトン)と比較して、共重合体が延長して加熱した後にo−ジクロロベンゼン(o−DCB)やトリクロロベンゼンのような溶媒にしか溶解しなかったのに対し、その二種類のホモポリマーは周囲温度でこれらの溶媒に簡単に溶解し(さらに周囲温度でシクロヘキサン中にも溶解した)。プロトンNMRデータを基準として、共重合体が約98モル%のノルボルネンと約2モル%のε−カプロラクトンからなることが計算された。
実施例54
カプロラクトンのホモ重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた50mlのガラス製ビンにε−カプロラクトン(5ml)およびクロロベンゼン(35ml)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度でエチルヘキサン酸ニッケル(ミネラルスピリット中の8重量%のニッケル溶液の0.01ml、13μmol)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(石油ナフサ中で117μmol)、そして最後にトリエチルアルミニウム(シクロヘキサン中の1.7モル溶液の0.077ml、130μmol)を加えた。トリアルキルアルミニウムを加えると、ゆっくりとした反応が続いて起こった。60分間反応させた後、メタノールを加えて反応を終了させ、乾燥するまで溶液を蒸発させ、加熱真空オーブン内で一晩乾燥させてポリマーをロウ質の固体として単離した(3.0gの収率)。
実施例55および56
実施例37の工程に沿って、同じ触媒、溶媒および様々な成分の同じモル比を用いて、以下のモノマーを重合し、分子量(Mw)を有する適当な共重合体を生じた。
【0142】
【表1】

実施例57−A〜Q
以下の表に、適切な共重合体を得るための様々な触媒系および溶媒を用いた様々なモノマーの重合を示す。個々の実施例のモノマーと触媒系を一覧にし、その工程が後に続く実施例番号は、異なる溶媒が示されない限り、様々な成分の同じモル比および溶媒を用いて言及される。
【0143】
【表2−1】

【0144】
【表2−2】

【0145】
【表2−3】

実施例58
5−ノルボルネン−2−メタノールのn−ブチルエステルとエチルビニルエーテルの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた50mlのガラス製ビンに5−ノルボルネン−2−メタノールのn−ブチルエステル(エキソ、エンド20/80)(23.5mmol)、1,2−ジクロロエタン(40ml)およびエチルビニルエーテル(5.3mmol)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度で、触媒成分であるメトキシノルボルネニルパラジウムクロライドダイマー(73mg、138μmol)を1,2−ジクロロエタン(3ml)中のヘキサフルオロアンチモン酸銀(95mg、277μmol)と30分間反応させそして微孔性フィルターでろ過することによって調製した触媒溶液を加えた。反応容器の中味が過剰なメタノール中に注がれるより以前に16時間反応させた。ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し乾燥させた。この工程に従って、上記の官能性NB、ビニルアニソール、およびブタジエンの共重合体も製造される。
実施例59
5−ノルボルネン−2−メタノールのフェニルシナメートエステルとエチルビニルエーテルの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた50mlのガラス製ビンに5−ノルボルネン−2−メタノールのフェニルシナメートエステル(23mmol)、1,2−ジクロロエタン(40ml)およびエチルビニルエーテル(5.3mmol)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度でノルボルナジエンパラジウムジクロライド(38mg、141μmol)を1,2−ジクロロエタン(3ml)中のヘキサフルオロアンチモン酸銀(96mg、279μmol)と30分間反応させそして微孔性フィルターでろ過することによって調製された触媒溶液を加えた。反応容器の中味が過剰なメタノール中に注がれるより以前に16時間反応させた。ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し乾燥させた。この工程に従って、上記の官能性NB、インデン、およびビニルアニソールの共重合体も製造される。
実施例60
5−ノルボルネン−2−メタノールのオクタン酸エステルとブタジエンの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた100mlのガラス製ビンに5−ノルボルネン−2−メタノールのオクタン酸エステル(44mmol)、1,2−ジクロロエタン(50ml)およびブタジエン(4.8mmol)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度でアリルパラジウムクロライドダイマー(9mg、25μmol)を1,2−ジクロロエタン(3ml)中のヘキサフルオロアンチモン酸銀(18mg、52μmol)と30分間反応させそして微孔性フィルターでろ過することによって調製した触媒溶液を加えた。反応容器の中味が過剰なメタノール中に注がれるより以前に20時間反応させた。ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し乾燥させた。この工程に従って、上記の官能性NB、ビニルシクロヘキセンエポキシド、およびイソブチレンの共重合体も製造される。
実施例61
5−ノルボルネン−2−メタノールのフェニルシナメートエステルとインデンの共重合
テフロン(登録商標)で被覆された撹拌棒を備えた100mlのガラス製ビンに5−ノルボルネン−2−メタノールのフェニルシナメートエステル(22.4mmol)、1,2−ジクロロエタン(30ml)およびインデン(4mmol)を加えた。この撹拌された溶液に周囲温度でアリルパラジウムクロライドダイマー(36.7mg、100μmol)を1,2−ジクロロエタン(3ml)中のヘキサフルオロアンチモン酸銀(76mg、208μmol)と30分間反応させそして微孔性フィルターでろ過することによって調製した触媒溶液を加えた。
反応容器の中味が過剰なメタノール中に注がれるより以前に3.5時間反応させた。ポリマーを過剰なメタノールで洗浄し、80℃で一晩加熱真空オーブン内で乾燥させた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)0〜99.9重量%の少なくとも1種のノルボルネン型モノマーおよびb)0.1〜100重量%の、共役ジエン以外の少なくとも1種のカチオン重合性モノマーから重合体を製造する方法であって、該モノマーをVIII族遷移金属イオン源を含む単一成分もしくは多成分触媒系の有効量の存在下、該モノマーに対する溶媒中で−100℃〜120℃の範囲の温度で重合することを特徴とする上記方法。
【請求項2】
a)該ノルボルネン型モノマーがi)下記式:
【化1】

ここでR、R4’、RおよびR5’は独立に水素、ハロゲン、分岐および非分岐(C〜C20)アルキル、(C〜C20)ハロアルキル、置換および非置換シクロアルキル、(C〜C)アルキリデニル、(C〜C40)アリール、(C〜C40)ハロアリール、(C〜C15)アラルキル、(C〜C15)ハロアラルキル、(C〜C20)アルキニル、ビニル、(C〜C20)アルケニル、ただしこのアルケニル基は末端二重結合を含まない、式 −C2n+1ここでnは1〜20である、のハロゲン化アルキルを表し、RとRはそれらが結合している2つの環員炭素原子と一緒になって炭素数4〜12の飽和および不飽和の環式基または炭素数6〜17の芳香族基を表し、“a”は単結合もしくは二重結合を表し、そして“Z”は1〜5である;R、R4’、RおよびR5’がアルキリデン基を表すとき、アルキリデン基が結合している炭素原子は他の置換基を持たずそして“a”が二重結合であるときRとRはアルキリデニルであることはない、
によって表される化合物並びに、ii)下記式
【化2】

ここでsは5〜10,000あるいは50〜5,000または10〜25であり、R15〜R18は独立に水素;線状および分岐状(C〜C24)アルキル、(C〜C12)アリールまたは水酸基および炭素数1〜4のアルキル特にフェノール基上の分岐アルキル(t−ブチルの如き)で置換されたアリールまたは−(CH−OH、−(CH−C(O)−OH、−(CH−C(O)OR’、−(CH−OR20、−(CH−OC(O)R20、−(CH−OC(O)OR20、−(CH−C(O)R20、−(CH−O−(CHOH、−(CHOR20の基から選ばれる官能性置換基から選ばれるヒドロカルビルを表し、ここでpは独立に0〜24または0〜10でありそしてR20は線状もしくは分岐状(C〜C10)アルキルもしくは基
【化3】

ここでYは水素、C2r+1、C2r+1O、C2r+1OC(O)または−CNであり、ここでrは1〜12の整数である;R15とR16またはR17とR18のいずれかは一緒になって(C〜C10)アルキリデン基(例えば=CH、=CH−CH等)を形成し得、R15とR18はそれらが結合している環員炭素原子と一緒になって無水物またはジカルボキシイミド基を形成することができる、を表す、
によって表されるノルボルネン型モノマーにおける官能性化合物、の一種もしくは混合物から選択され、そして
b)カチオン重合性モノマーがオレフィン、イソオレフィン、分岐状α−オレフィン、共役オレフィン、二環性ビニルエーテル、環状エーテル、N−ビニルカルバゾールおよびラクトンモノマーよりなる群から選ばれる、請求項1の方法。
【請求項3】
下記式
CH=CHR’
ここで、R’は水素、非分岐(C〜C40)アルキル、分岐または非分岐(C〜C40)アラルキル、非分岐(C〜C40)アルケニル、ハロゲンまたは基
【化4】

ここでR’’’は分岐または非分岐(C〜C10)アルキル、分岐または非分岐(C〜C40)アルケニル、置換もしくは非置換(C〜C15)アリールであり、Xは塩素、フッ素、臭素もしくは沃素でありそしてnは0〜20である、
である、
によって表される化合物である連鎖移動剤をさらに用いる請求項1の方法。
【請求項4】
該触媒が下記式
【化5】

ここでMはNiまたはPdであり、L、LおよびLはMに対する配位子を表し;1つの配位子のみがσ結合を持ちそして全ての配位子が一緒になって2または3つのπ結合を持つ;そしてCAは該溶媒に該カチオンを溶解させるように選ばれたカウンターアニオンを表す、
によって表される有機金属錯体である請求項2の方法。
【請求項5】
MがNiを表しそして該弱配位性中性供与性配位子がシクロ(C〜C12)アルカジエン、ノルボルナジエンおよびシクロ(C10〜C20)トリエンよりなる群から選ばれる、請求項4の方法。
【請求項6】
該弱配位性カウンターアニオンがBF、PF、AlFSCF、SbFおよびB[C(CFよりなる群から選ばれる、請求項4の方法。
【請求項7】
該触媒が第VIII族遷移金属源、有機アルミニウム化合物および第3任意成分からなる多成分触媒系である、請求項2の方法。
【請求項8】
第VIII族遷移金属がニッケル、ルテニウム、鉄、パラジウム、コバルトおよび白金よりなる群から選ばれそして第3任意成分がルイス酸、強ブレンステッド酸、ハロゲン化合物、電子供与性化合物およびこれらの混合物よりなる群から選ばれる、請求項7の方法。
【請求項9】
該ルイス酸がBF・エーテラート、TiCl、SbF、BCl、B(OCHCH、SiClおよびトリス(パーフルオロフェニル)ホウ素よりなる群から選ばれ、該強ブレンステッド酸はHSbF、HPF、CFCOH、FSOH・SbF、HC(SOCF、CFSOHおよびパラトルエンスルホン酸よりなる群から選ばれ、そして該ハロゲン化化合物はヘキサクロロアセトン、ヘキサフルオロアセトン、3−ブテン酸−2,2,3,4,4−ペンタクロロブチルエステル、ヘキサフルオログルタル酸、ヘキサフルオロイソプロパノール、クロラニルおよびこれらの混合物よりなる群から選ばれる、請求項8の方法。
【請求項10】
有機アルミニウム化合物はトリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライド、モノアルキルアルミニウムジハライド、アルキルアルミニウムセスキハライドおよびこれらの混合物よりなる群から選ばれる、請求項9の方法。
【請求項11】
第VIII族遷移金属化合物が1座配位、2座配位および多座配位のイオン性もしくは中性の配位子並びにこれらの混合物よりなる群から選ばれる1つまたはそれ以上の分子片に結合されている第VIII族遷移金属イオンからなる請求項11の方法。
【請求項12】
第VIII族遷移金属化合物がニッケルアセチルアセトナート、ニッケルカルボキシレート、ニッケルジメチルグリオキシム、ニッケルエチルヘキサノエート、コバルトネオデカノエート、鉄ナフテネート、パラジウムエチルヘキサノエート、NiCl(PPh、NiCl(PPhCH、ニッケル(II)ヘキサフルオロアセチルアセトナート4水和物、ニッケル(II)トリフルオロアセチルアセトナート2水和物、ニッケル(II)アセチルアセトナート4水和物、トランス−PdCl(PPh、パラジウム(II)ビス(トリフルオロアセテート)、パラジウム(II)ビス(アセチルアセトネート)、パラジウム(II)2−エチルヘキサノエート、Pd(アセテート)(PPh、パラジウム(II)ブロマイド、パラジウム(II)クロライド、パラジウム(II)アイオダイド、パラジウム(II)オキサイド、モノアセトニトリルトリス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(II)テトラフルオロボレート、テトラキス(アセトニトリル)パラジウム(II)テトラフルオロボレート、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(II)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、鉄(II)クロライド、鉄(III)クロライド、鉄(II)ブロマイド、鉄(III)ブロマイド、鉄(II)アセテート、鉄(III)アセチルアセトナート、フェロセン、ニッケロセン、ニッケル(II)アセテート、ニッケルブロマイド、ニッケルクロライド、ジクロロヘキシルニッケルアセテート、ニッケルラクテート、ニッケルオキサイド、ニッケルテトラフルオロボレート、コバルト(II)アセテート、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート、コバルト(II)ベンゾエート、コバルトクロライド、コバルトブロマイド、ジクロロヘキシルコバルトアセテート、コバルト(II)ステアレート、コバルト(II)テトラフルオロボレート、ビス(アリル)ニッケル、ビス(シクロペンタジエニル)ニッケル、パラジウムアセチルアセトナート、パラジウムビス(アセトニトリル)ジクロライド、パラジウムビス(ジメチルスルホキサイド)ジクロライド、白金ビス(トリエチルフォスフィン)ハイドロブロマイド、ルテニウムトリス(トリフェニルフォスフィン)ジクロライド、ルテニウムトリス(トリフェニルフォスフィン)ハイドリロクロライド、ルテニウムトリクロライド、ルテニウムテトラキス(アセトニトリル)ジクロライド、ルテニウムテトラキス(ジメチルスルホキシド)ジクロライド、ロジウムクロライド、ロジウムトリス(トリフェニルフォスフィン)トリクロライドおよびビス−2,3−ジイソプロピルフェニルイミノアセナフタレンニッケルジクロライドよりなる群から選ばれる請求項11の方法。
【請求項13】
1種もしくはそれ以上のカチオン重合性モノマーからポリマーを製造するための請求項1の方法。
【請求項14】
カチオン重合性モノマーがイソオレフィン、分岐α−オレフィン、共役オレフィン、二環式オレフィン、ビニルエーテル類、N−ビニルカルバゾール、環式エーテルおよびラクトンよりなる群から選ばれる、請求項13の方法。
【請求項15】
少なくとも2種の該モノマーからコポリマーを製造するための請求項14の方法。
【請求項16】
モノマーがイソブチレンおよびイソプレンよりなる群から選ばれる、請求項15の方法。
【請求項17】
モノマーがa)95〜99.6重量%のイソブチレンとb)0.4〜5重量%のイソプレンである請求項16の方法。
【請求項18】
モノマーがa)98〜99.6重量%のイソブチレンとb)0.4〜2重量%のイソプレンである請求項17の方法。
【請求項19】
下記式
CH=CHR’
ここで、R’は水素、非分岐(C〜C40)アルキル、置換または非置換(C〜C40)アラルキル、非分岐(C〜C40)アルケニル、ハロゲンまたは基
【化6】

ここでR’’’は分岐または非分岐(C〜C10)アルキル、分岐または非分岐(C〜C40)アルケニル、置換もしくは非置換(C〜C15)アリールであり、Xは塩素、フッ素、臭素もしくは沃素でありそしてnは0〜20である、である、によって表される化合物である連鎖移動剤をさらに用いる請求項13の方法。
【請求項20】
該触媒が下記式
【化7】

ここでMはNiまたはPdであり、L、LおよびLはMに対する配位子を表し;1つの配位子のみがσ結合を持ちそして全ての配位子が一緒になって2または3つのπ結合を持つ;そしてCAは該溶媒に該カチオンを溶解させるように選ばれたカウンターアニオンを表す、によって表される有機金属錯体である請求項18の方法。
【請求項21】
MがNiを表しそして該弱配位性中性供与性配位子がシクロ(C〜C12)アルカジエン、ノルボルナジエンおよびシクロ(C10〜C20)トリエンよりなる群から選ばれる、請求項20の方法。
【請求項22】
該弱配位性カウンターアニオンがBF、PF、AlFSCF、SbFおよびB[C(CFよりなる群から選ばれる、請求項20の方法。
【請求項23】
該触媒が第VIII族遷移金属源、有機アルミニウム化合物および第3任意成分からなる多成分触媒系である、請求項14の方法。
【請求項24】
第VIII族遷移金属がニッケル、ルテニウム、鉄、パラジウム、コバルトおよび白金よりなる群から選ばれそして第3任意成分がルイス酸、強ブレンステッド酸、ハロゲン化合物、電子供与性化合物およびこれらの混合物よりなる群から選ばれる、請求項23の方法。
【請求項25】
該ルイス酸がBF・エーテラート、TiCl、SbF、BCl、B(OCHCH、SiClおよびトリス(パーフルオロフェニル)ホウ素よりなる群から選ばれ、該強ブレンステッド酸はHSbF、HPF、CFCOH、FSOH・SbF、HC(SOCF、CFSOHおよびパラトルエンスルホン酸よりなる群から選ばれ、そして該ハロゲン化化合物はヘキサクロロアセトン、ヘキサフルオロアセトン、3−ブテン酸−2,2,3,4,4−ペンタクロロブチルエステル、ヘキサフルオログルタル酸、ヘキサフルオロイソプロパノール、クロラニルおよびこれらの混合物よりなる群から選ばれる、請求項24の方法。
【請求項26】
有機アルミニウム化合物はトリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライド、モノアルキルアルミニウムジハライド、アルキルアルミニウムセスキハライドおよびこれらの混合物よりなる群から選ばれる、請求項25の方法。
【請求項27】
第VIII族遷移金属化合物が1座配位、2座配位および多座配位のイオン性もしくは中性の配位子並びにこれらの混合物よりなる群から選ばれる1つまたはそれ以上の分子片に結合されている第VIII族遷移金属イオンからなる請求項24の方法。
【請求項28】
第VIII族遷移金属化合物がニッケルアセチルアセトナート、ニッケルカルボキシレート、ニッケルジメチルグリオキシム、ニッケルエチルヘキサノエート、コバルトネオデカノエート、鉄ナフテネート、パラジウムエチルヘキサノエート、NiCl(PPh、NiCl(PPhCH、ニッケル(II)ヘキサフルオロアセチルアセトナート4水和物、ニッケル(II)トリフルオロアセチルアセトナート2水和物、ニッケル(II)アセチルアセトナート4水和物、トランス−PdCl(PPh、パラジウム(II)ビス(トリフルオロアセテート)、パラジウム(II)ビス(アセチルアセトネート)、パラジウム(II)2−エチルヘキサノエート、Pd(アセテート)(PPh、パラジウム(II)ブロマイド、パラジウム(II)クロライド、パラジウム(II)アイオダイド、パラジウム(II)オキサイド、モノアセトニトリルトリス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(II)テトラフルオロボレート、テトラキス(アセトニトリル)パラジウム(II)テトラフルオロボレート、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(II)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、鉄(II)クロライド、鉄(III)クロライド、鉄(II)ブロマイド、鉄(III)ブロマイド、鉄(II)アセテート、鉄(III)アセチルアセトナート、フェロセン、ニッケロセン、ニッケル(II)アセテート、ニッケルブロマイド、ニッケルクロライド、ジクロロヘキシルニッケルアセテート、ニッケルラクテート、ニッケルオキサイド、ニッケルテトラフルオロボレート、コバルト(II)アセテート、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート、コバルト(II)ベンゾエート、コバルトクロライド、コバルトブロマイド、ジクロロヘキシルコバルトアセテート、コバルト(II)ステアレート、コバルト(II)テトラフルオロボレート、ビス(アリル)ニッケル、ビス(シクロペンタジエニル)ニッケル、パラジウムアセチルアセトナート、パラジウムビス(アセトニトリル)ジクロライド、パラジウムビス(ジメチルスルホキサイド)ジクロライド、白金ビス(トリエチルフォスフィン)ハイドロブロマイド、ルテニウムトリス(トリフェニルフォスフィン)ジクロライド、ルテニウムトリス(トリフェニルフォスフィン)ハイドリロクロライド、ルテニウムトリクロライド、ルテニウムテトラキス(アセトニトリル)ジクロライド、ルテニウムテトラキス(ジメチルスルホキシド)ジクロライド、ロジウムクロライド、ロジウムトリス(トリフェニルフォスフィン)トリクロライドおよびビス−2,3−ジイソプロピルフェニルイミノアセナフタレンニッケルジクロライドよりなる群から選ばれる請求項14、16、18および27の方法。
【請求項29】
重合が約150℃〜約−20℃の温度で実施される請求項27および28の方法。
【請求項30】
a)0.1〜99.9重量%の少なくとも1種のノルボルネン型モノマーおよびb)0.1〜99.9重量%の少なくとも1種のカチオン重合性モノマーのコポリマーを製造するための請求項1の方法。
【請求項31】
a)該ノルボルネン型モノマーがi)下記式:
【化8】

ここでR、R4’、RおよびR5’は独立に水素、ハロゲン、分岐および非分岐(C〜C20)アルキル、(C〜C20)ハロアルキル、置換および非置換シクロアルキル、(C〜C)アルキリデニル、(C〜C40)アリール、(C〜C40)ハロアリール、(C〜C15)アラルキル、(C〜C15)ハロアラルキル、(C〜C20)アルキニル、ビニル、(C〜C20)アルケニル、ただしこのアルケニル基は末端二重結合を含まない、式 −C2n+1ここでnは1〜20である、のハロゲン化アルキルを表し、RとRはそれらが結合している2つの環員炭素原子と一緒になって炭素数4〜12の飽和および不飽和の環式基または炭素数6〜17の芳香族基を表し、“a”は単結合もしくは二重結合を表し、そして“z”は1〜5である;R、R4’、RおよびR5’がアルキリデン基を表すとき、アルキリデン基が結合している炭素原子は他の置換基を持たずそして“a”が二重結合であるときRとRはアルキリデニルであることはない、
によって表される化合物並びに、ii)下記式
【化9】

ここでsは5〜10,000あるいは50〜5,000または10〜25であり、R15〜R18は独立に水素;線状および分岐状(C〜C24)アルキル、(C〜C12)アリールまたは水酸基および炭素数1〜4のアルキル特にフェノール基上の分岐アルキル(t−ブチルの如き)で置換されたアリールまたは−(CH−OH、−(CH−C(O)−OH、−(CH−C(O)OR’、−(CH−OR20、−(CH−OC(O)R20、−(CH−OC(O)OR20、−(CH−C(O)R20、−(CH−O−(CHOH、−(CHOR20の基から選ばれる官能性置換基から選ばれるヒドロカルビルを表し、ここでpは独立に0〜24または0〜10でありそしてR20は線状もしくは分岐状(C〜C10)アルキルもしくは基
【化10】

ここでYは水素、C2r+1、C2r+1O、C2r+1OC(O)または−CNであり、ここでrは1〜12の整数である;R15とR16またはR17とR18のいずれかは一緒になって(C〜C10)アルキリデン基(例えば=CH、=CH−CH等)を形成し得、R15とR18はそれらが結合している環員炭素原子と一緒になって無水物またはジカルボキシイミド基を形成することができる、を表す、によって表されるノルボルネン型モノマーにおける官能性化合物、の一種もしくは混合物から選択され、そして
b)カチオン重合性モノマーがオレフィン、イソオレフィン、分岐状α−オレフィン、共役オレフィン、二環性ビニルエーテル、環状エーテル、N−ビニルカルバゾールおよびラクトンモノマーよりなる群から選ばれる、
請求項30の方法。
【請求項32】
下記式
CH=CHR’
ここで、R’は水素、非分岐(C〜C40)アルキル、置換または非置換(C〜C40)アラルキル、非分岐(C〜C40)アルケニル、ハロゲンまたは基
【化11】

ここでR’’’は分岐または非分岐(C〜C10)アルキル、分岐または非分岐(C〜C40)アルケニル、置換もしくは非置換(C〜C15)アリールであり、Xは塩素、フッ素、臭素もしくは沃素でありそしてnは0〜20である、
である、
によって表される、非スチレン性、非ビニルエーテル性末端炭素−炭素二重結合を持つ化合物である連鎖移動剤をさらに用いる請求項30の方法。
【請求項33】
触媒が遷移金属錯体を含有する予め形成された単一成分系である請求項31の方法。
【請求項34】
該触媒が下記式
【化12】

ここでMはNiまたはPdであり、L、LおよびLはMに対する配位子を表し;1つの配位子のみがσ結合を持ちそして全ての配位子が一緒になって2または3つのπ結合を持つ;そしてCAは該溶媒に該カチオンを溶解させるように選ばれたカウンターアニオンを表す、
によって表される有機金属錯体である請求項33の方法。
【請求項35】
MがNiを表しそして該弱配位性中性供与性配位子がシクロ(C〜C12)アルカジエン、ノルボルナジエンおよびシクロ(C10〜C20)トリエンよりなる群から選ばれる、請求項34の方法。
【請求項36】
該弱配位性カウンターアニオンがBF、PF、AlFSCF、SbFおよびB[C(CFよりなる群から選ばれる、請求項35の方法。
【請求項37】
該触媒が第VIII族遷移金属源、有機アルミニウム化合物および第3任意成分からなる多成分触媒系である、請求項31の方法。
【請求項38】
第VIII族遷移金属がニッケル、ルテニウム、鉄、パラジウム、コバルトおよび白金よりなる群から選ばれそして第3任意成分がルイス酸、強ブレンステッド酸、ハロゲン化合物、電子供与性化合物およびこれらの混合物よりなる群から選ばれる、請求項37の方法。
【請求項39】
該ルイス酸がBF・エーテラート、TiCl、SbF、BCl、B(OCHCH、SiClおよびトリス(パーフルオロフェニル)ホウ素よりなる群から選ばれ、該強ブレンステッド酸はHSbF、HPF、CFCOH、FSOH・SbF、HC(SOCF、CFSOHおよびパラトルエンスルホン酸よりなる群から選ばれ、そして該ハロゲン化化合物はヘキサクロロアセトン、ヘキサフルオロアセトン、3−ブテン酸−2,2,3,4,4−ペンタクロロブチルエステル、ヘキサフルオログルタル酸、ヘキサフルオロイソプロパノール、クロラニルおよびこれらの混合物よりなる群から選ばれる、請求項38の方法。
【請求項40】
有機アルミニウム化合物はトリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライド、モノアルキルアルミニウムジハライド、アルキルアルミニウムセスキハライドおよびこれらの混合物よりなる群から選ばれる、請求項39の方法。
【請求項41】
第VIII族遷移金属化合物が1座配位、2座配位および多座配位のイオン性もしくは中性の配位子並びにこれらの混合物よりなる群から選ばれる1つまたはそれ以上の分子片に結合されている第VIII族遷移金属イオンからなる請求項40の方法。
【請求項42】
第VIII族遷移金属化合物がニッケルアセチルアセトナート、ニッケルカルボキシレート、ニッケルジメチルグリオキシム、ニッケルエチルヘキサノエート、コバルトネオデカノエート、鉄ナフテネート、パラジウムエチルヘキサノエート、NiCl(PPh、NiCl(PPhCH、ニッケル(II)ヘキサフルオロアセチルアセトナート4水和物、ニッケル(II)トリフルオロアセチルアセトナート2水和物、ニッケル(II)アセチルアセトナート4水和物、トランス−PdCl(PPh、パラジウム(II)ビス(トリフルオロアセテート)、パラジウム(II)ビス(アセチルアセトネート)、パラジウム(II)2−エチルヘキサノエート、Pd(アセテート)(PPh)2、パラジウム(II)ブロマイド、パラジウム(II)クロライド、パラジウム(II)アイオダイド、パラジウム(II)オキサイド、モノアセトニトリルトリス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(II)テトラフルオロボレート、テトラキス(アセトニトリル)パラジウム(II)テトラフルオロボレート、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(II)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、鉄(II)クロライド、鉄(III)クロライド、鉄(II)ブロマイド、鉄(III)ブロマイド、鉄(II)アセテート、鉄(III)アセチルアセトナート、フェロセン、ニッケロセン、ニッケル(II)アセテート、ニッケルブロマイド、ニッケルクロライド、ジクロロヘキシルニッケルアセテート、ニッケルラクテート、ニッケルオキサイド、ニッケルテトラフルオロボレート、コバルト(II)アセテート、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート、コバルト(II)ベンゾエート、コバルトクロライド、コバルトブロマイド、ジクロロヘキシルコバルトアセテート、コバルト(II)ステアレート、コバルト(II)テトラフルオロボレート、ビス(アリル)ニッケル、ビス(シクロペンタジエニル)ニッケル、パラジウムアセチルアセトナート、パラジウムビス(アセトニトリル)ジクロライド、パラジウムビス(ジメチルスルホキサイド)ジクロライド、白金ビス(トリエチルフォスフィン)ハイドロブロマイド、ルテニウムトリス(トリフェニルフォスフィン)ジクロライド、ルテニウムトリス(トリフェニルフォスフィン)ハイドリロクロライド、ルテニウムトリクロライド、ルテニウムテトラキス(アセトニトリル)ジクロライド、ルテニウムテトラキス(ジメチルスルホキシド)ジクロライド、ロジウムクロライド、ロジウムトリス(トリフェニルフォスフィン)トリクロライドおよびビス−2,3−ジイソプロピルフェニルイミノアセナフタレンニッケルジクロライドよりなる群から選ばれる請求項41の方法。
【請求項43】
ノルボルネン型モノマーが(a)ノルボルネン;(b)分岐および非分岐(C〜C20)アルキルノルボルネン;分岐および非分岐(C〜C20)ハロアルキルノルボルネン、(C〜C)アルキリデニルノルボルネン、ビニルノルボルネンよりなる群から選ばれる置換ノルボルネン;(c)テトラシクロドデセンおよび分岐および非分岐(C〜C20)アルキルテトラシクロドデセン、(C〜C)アルキリデニルテトラシクロドデセンよりなる群から選ばれる置換テトラシクロドデセン;(d)ジシクロペンタジエン;(e)ノルボルナジエン;(f)テトラシクロドデカジエン;(g)シクロペンタジエンの対称および非対称トリマー;およびそれらの混合物よりなる群から選ばれる、コポリマーを製造するための請求項34および38の方法。
【請求項44】
a)0.1〜99重量%の芳香族オレフィン、b)1〜99重量%のノルボルネン型モノマーおよびc)1〜99.9重量%のカチオン重合性モノマーの共重合体を製造する方法であって、該方法は該モノマーを第VIII族遷移金属イオン源を含有する単一成分もしくは多成分触媒系の存在下−100℃〜120℃の範囲の温度で重合させることからなる方法。
【請求項45】
a)該ノルボルネン型モノマーがi)下記式:
【化13】

ここでR、R4’、RおよびR5’は独立に水素、ハロゲン、分岐および非分岐(C〜C20)アルキル、(C〜C20)ハロアルキル、置換および非置換シクロアルキル、(C〜C)アルキリデニル、(C〜C40)アリール、(C〜C40)ハロアリール、(C〜C15)アラルキル、(C〜C15)ハロアラルキル、(C〜C20)アルキニル、ビニル、(C〜C20)アルケニル、ただしこのアルケニル基は末端二重結合を含まない、式 −C2n+1ここでnは1〜20である、のハロゲン化アルキルを表し、RとRはそれらが結合している2つの環員炭素原子と一緒になって炭素数4〜12の飽和および不飽和の環式基または炭素数6〜17の芳香族基を表し、“a”は単結合もしくは二重結合を表し、そして“z”は1〜5である;R、R4’、RおよびR5’がアルキリデン基を表すとき、アルキリデン基が結合している炭素原子は他の置換基を持たずそして“a”が二重結合であるときRとRはアルキリデニルであることはない、によって表される化合物並びに、ii)下記式
【化14】

ここでsは5〜10,000あるいは50〜5,000または10〜25であり、R15〜R18は独立に水素;線状および分岐状(C〜C24)アルキル、(C〜C12)アリールまたは水酸基および炭素数1〜4のアルキル特にフェノール基上の分岐アルキル(t−ブチルの如き)で置換されたアリールまたは−(CH−OH、−(CH−C(O)−OH、−(CH−C(O)OR’、−(CH−OR20、−(CH−OC(O)R20、−(CH−OC(O)OR20、−(CH−C(O)R20、−(CH)p−O−(CHOH、−(CHOR20の基から選ばれる官能性置換基から選ばれるヒドロカルビルを表し、ここでpは独立に0〜24または0〜10でありそしてR20は線状もしくは分岐状(C〜C10)アルキルもしくは基
【化15】

ここでYは水素、C2r+1、C2r+1O、C2r+1OC(O)または−CNであり、ここでrは1〜12の整数である;R15とR16またはR17とR18のいずれかは一緒になって(C〜C10)アルキリデン基(例えば=CH、=CH−CH等)を形成し得、R15とR18はそれらが結合している環員炭素原子と一緒になって無水物またはジカルボキシイミド基を形成することができる、を表す、によって表されるノルボルネン型モノマーにおける官能性化合物、の一種もしくは混合物から選択され、そしてb)カチオン重合性モノマーがオレフィン、イソオレフィン、分岐状α−オレフィン、共役オレフィン、二環性ビニルエーテル、環状エーテル、N−ビニルカルバゾールおよびラクトンモノマーよりなる群から選ばれる、請求項44の方法。
【請求項46】
下記式
CH=CHR’
ここで、R’は水素、非分岐(C〜C40)アルキル、置換または非置換(C〜C40)アラルキル、非分岐(C〜C40)アルケニル、ハロゲンまたは基
【化16】

ここでR’’’は分岐または非分岐(C〜C10)アルキル、分岐または非分岐(C〜C40)アルケニル、置換もしくは非置換(C〜C15)アリールであり、Xは塩素、フッ素、臭素もしくは沃素でありそしてnは0〜20である、である、によって表される、非スチレン性、非ビニルエーテル性末端炭素−炭素二重結合を持つ化合物である連鎖移動剤をさらに用いる請求項44の方法。
【請求項47】
触媒が遷移金属錯体を含有する予め形成された単一成分系である請求項45の方法。
【請求項48】
該触媒が下記式
【化17】

ここでMはNiまたはPdであり、L、LおよびLはMに対する配位子を表し;1つの配位子のみがσ結合を持ちそして全ての配位子が一緒になって2または3つのπ結合を持つ;そしてCAは該溶媒に該カチオンを溶解させるように選ばれたカウンターアニオンを表す、によって表される有機金属錯体である請求項47の方法。
【請求項49】
MがNiを表しそして該弱配位性中性供与性配位子がシクロ(C〜C12)アルカジエン、ノルボルナジエンおよびシクロ(C10〜C20)トリエンよりなる群から選ばれる、請求項48の方法。
【請求項50】
該弱配位性カウンターアニオンがBF、PF、AlFSCF、SbFおよびB[C(CFよりなる群から選ばれる、請求項49の方法。
【請求項51】
該触媒が第VIII族遷移金属源、有機アルミニウム化合物および第3任意成分からなる多成分触媒系である、請求項45の方法。
【請求項52】
第VIII族遷移金属がニッケル、ルテニウム、鉄、パラジウム、コバルトおよび白金よりなる群から選ばれそして第3任意成分がルイス酸、強ブレンステッド酸、ハロゲン化合物、電子供与性化合物およびこれらの混合物よりなる群から選ばれる、請求項51の方法。
【請求項53】
該ルイス酸がBF・エーテラート、TiCl、SbF、BCl、B(OCHCH、SiClおよびトリス(パーフルオロフェニル)ホウ素よりなる群から選ばれ、該強ブレンステッド酸はHSbF、HPF、CFCOH、FSOH・SbF、HC(SOCF、CFSOHおよびパラトルエンスルホン酸よりなる群から選ばれ、そして該ハロゲン化化合物はヘキサクロロアセトン、ヘキサフルオロアセトン、3−ブテン酸−2,2,3,4,4−ペンタクロロブチルエステル、ヘキサフルオログルタル酸、ヘキサフルオロイソプロパノール、クロラニルおよびこれらの混合物よりなる群から選ばれる、請求項52の方法。
【請求項54】
有機アルミニウム化合物はトリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライド、モノアルキルアルミニウムジハライド、アルキルアルミニウムセスキハライドおよびこれらの混合物よりなる群から選ばれる、請求項53の方法。
【請求項55】
第VIII族遷移金属化合物が1座配位、2座配位および多座配位のイオン性もしくは中性の配位子並びにこれらの混合物よりなる群から選ばれる1つまたはそれ以上の分子片に結合されている第VIII族遷移金属イオンからなる請求項51の方法。
【請求項56】
第VIII族遷移金属化合物がニッケルアセチルアセトナート、ニッケルカルボキシレート、ニッケルジメチルグリオキシム、ニッケルエチルヘキサノエート、コバルトネオデカノエート、鉄ナフテネート、パラジウムエチルヘキサノエート、NiCl(PPh、NiCl(PPhCH、ニッケル(II)ヘキサフルオロアセチルアセトナート4水和物、ニッケル(II)トリフルオロアセチルアセトナート2水和物、ニッケル(II)アセチルアセトナート4水和物、トランス−PdCl(PPh、パラジウム(II)ビス(トリフルオロアセテート)、パラジウム(II)ビス(アセチルアセトネート)、パラジウム(II)2−エチルヘキサノエート、Pd(アセテート)(PPh、パラジウム(II)ブロマイド、パラジウム(II)クロライド、パラジウム(II)アイオダイド、パラジウム(II)オキサイド、モノアセトニトリルトリス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(II)テトラフルオロボレート、テトラキス(アセトニトリル)パラジウム(II)テトラフルオロボレート、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(II)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、鉄(II)クロライド、鉄(III)クロライド、鉄(II)ブロマイド、鉄(III)ブロマイド、鉄(II)アセテート、鉄(III)アセチルアセトナート、フェロセン、ニッケロセン、ニッケル(II)アセテート、ニッケルブロマイド、ニッケルクロライド、ジクロロヘキシルニッケルアセテート、ニッケルラクテート、ニッケルオキサイド、ニッケルテトラフルオロボレート、コバルト(II)アセテート、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート、コバルト(II)ベンゾエート、コバルトクロライド、コバルトブロマイド、ジクロロヘキシルコバルトアセテート、コバルト(II)ステアレート、コバルト(II)テトラフルオロボレート、ビス(アリル)ニッケル、ビス(シクロペンタジエニル)ニッケル、パラジウムアセチルアセトナート、パラジウムビス(アセトニトリル)ジクロライド、パラジウムビス(ジメチルスルホキサイド)ジクロライド、白金ビス(トリエチルフォスフィン)ハイドロブロマイド、ルテニウムトリス(トリフェニルフォスフィン)ジクロライド、ルテニウムトリス(トリフェニルフォスフィン)ハイドリロクロライド、ルテニウムトリクロライド、ルテニウムテトラキス(アセトニトリル)ジクロライド、ルテニウムテトラキス(ジメチルスルホキシド)ジクロライド、ロジウムクロライド、ロジウムトリス(トリフェニルフォスフィン)トリクロライドおよびビス−2,3−ジイソプロピルフェニルイミノアセナフタレンニッケルジクロライドよりなる群から選ばれる請求項53の方法。
【請求項57】
a)0.1〜99.9重量%の少なくとも1種のノルボルネン型モノマーおよびb)0.1〜99.9重量%の少なくとも1種のカチオン重合性モノマーに由来する繰返し単位を含有するコポリマー。
【請求項58】
a)該ノルボルネン型モノマーがi)下記式:
【化18】

ここでR、R4’、RおよびR5’は独立に水素、ハロゲン、分岐および非分岐(C〜C20)アルキル、(C〜C20)ハロアルキル、置換および非置換シクロアルキル、(C〜C)アルキリデニル、(C〜C40)アリール、(C〜C40)ハロアリール、(C〜C15)アラルキル、(C〜C15)ハロアラルキル、(C〜C20)アルキニル、ビニル、(C〜C20)アルケニル、ただしこのアルケニル基は末端二重結合を含まない、式 −C2n+1ここでnは1〜20である、のハロゲン化アルキルを表し、RとRはそれらが結合している2つの環員炭素原子と一緒になって炭素数4〜12の飽和および不飽和の環式基または炭素数6〜17の芳香族基を表し、“a”は単結合もしくは二重結合を表し、そして“z”は1〜5である;R、R4’、RおよびR5’がアルキリデン基を表すとき、アルキリデン基が結合している炭素原子は他の置換基を持たずそして“a”が二重結合であるときRとRはアルキリデニルであることはない、
によって表される化合物並びに、ii)下記式
【化19】

ここでsは5〜10,000あるいは50〜5,000または10〜25であり、R15〜R18は独立に水素;線状および分岐状(C〜C24)アルキル、(C〜C12)アリールまたは水酸基および炭素数1〜4のアルキル特にフェノール基上の分岐アルキル(t−ブチルの如き)で置換されたアリールまたは−(CH−OH、−(CH−C(O)−OH、−(CH−C(O)OR’、−(CH)p−OR20、−(CH−OC(O)R20、−(CH−OC(O)OR20、−(CH−C(O)R20、−(CH−O−(CHOH、−(CHOR20の基から選ばれる官能性置換基から選ばれるヒドロカルビルを表し、ここでpは独立に0〜24または0〜10でありそしてR20は線状もしくは分岐状(C〜C10)アルキルもしくは基
【化20】

ここでYは水素、C2r+1、C2r+1O、C2r+1OC(O)または−CNであり、ここでrは1〜12の整数である;R15とR16またはR17とR18のいずれかは一緒になって(C〜C10)アルキリデン基(例えば=CH、=CH−CH等)を形成し得、R15とR18はそれらが結合している環員炭素原子と一緒になって無水物またはジカルボキシイミド基を形成することができる、を表す、
によって表されるノルボルネン型モノマーにおける官能性化合物、の一種もしくは混合物から選択され、そして
b)カチオン重合性モノマーがオレフィン、イソオレフィン、分岐状α−オレフィン、共役オレフィン、二環性オレフィン、ビニルエーテル、環状エーテル、N−ビニルカルバゾールおよびラクトンモノマーよりなる群から選ばれる、請求項57のコポリマー。
【請求項59】
ノルボルネン型モノマーが(a)ノルボルネン;(b)分岐および非分岐(C〜C20)アルキルノルボルネン;分岐および非分岐(C〜C20)ハロアルキルノルボルネン、(C〜C)アルキリデニルノルボルネン、ビニルノルボルネンよりなる群から選ばれる置換ノルボルネン;(c)テトラシクロドデセンおよび分岐および非分岐(C〜C20)アルキルテトラシクロドデセン、(C〜C)アルキリデニルテトラシクロドデセンよりなる群から選ばれる置換テトラシクロドデセン;(d)ジシクロペンタジエン;(e)ノルボルナジエン;(f)テトラシクロドデカジエン;(g)シクロペンタジエンの対称および非対称トリマー;およびそれらの混合物よりなる群から選ばれる、コポリマーを製造するための請求項56のコポリマー。
【請求項60】
カチオン重合性モノマーがイソオレフィンまたはジエンである請求項59のコポリマー。
【請求項61】
a)1〜25重量%の少なくとも1種のノルボルネン型モノマーおよびb)25〜99重量%の該イソオレフィンまたはジエンを含有する請求項60のコポリマー。
【請求項62】
a)75〜95重量%の少なくとも1種のノルボルネン型モノマーおよびb)5〜25重量%の該イソオレフィンまたはジエンを含有する請求項60のコポリマー。
【請求項63】
0.1〜5重量%の(C〜C)アルキリデンノルボルネンをさらに含有する請求項60のコポリマー。
【請求項64】
イソオレフィンがイソブチレンでありそしてコポリマーの重量平均分子量が少なくとも100,000である請求項63のコポリマー。
【請求項65】
コポリマーが約10,000〜約50,000の重量平均分子量(Mw)を持つ請求項60のコポリマー。
【請求項66】
オレフィンがイソオレフィンである請求項65のコポリマー。
【請求項67】
カチオン重合性モノマーがビニルエーテルである請求項58のコポリマー。
【請求項68】
ビニルエーテルがアルキルビニルエーテルである請求項67のコポリマー。
【請求項69】
ノルボルネン型モノマーに由来する繰返し単位が50〜90重量%の量である請求項57、60または67のコポリマー。
【請求項70】
a)0.1〜99.9重量%の少なくとも1種のノルボルネン型モノマーおよびb)0.1〜99.9重量%の、α−メチルスチレン、パラ−メトキシスチレンおよびパラ−N,N−ジメチルアミノスチレンに由来する繰返し単位を含有するコポリマー。
【請求項71】
ノルボルネン型モノマーが50〜90重量%の量で用いられる請求項67のコポリマー。
【請求項72】
a)0.1〜99.9重量%の少なくとも1種のカチオン重合性モノマーおよびb)0.1〜99.9重量%の芳香族オレフィンからコポリマーを製造する方法であって、該方法は該モノマーを第VIII族遷移金属イオン源を含有する単一成分または多成分触媒系の有効量の存在下に該モノマーのための溶媒中で−100℃〜120℃の範囲の温度で重合することからなる方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)0.1〜99.9重量%の少なくとも1種のノルボルネン型モノマーおよびb)0.1〜99.9重量%の少なくとも1種のカチオン重合性モノマーに由来する繰返し単位を含有し、該カチオン重合性モノマーがオレフィン、イソオレフィン、分岐状α−オレフィン、共役オレフィン、二環性オレフィン、ビニルエーテル、環状エーテル、N−ビニルカルバゾールおよびラクトンモノマーよりなる群から選ばれるコポリマー。
【請求項2】
該ノルボルネン型モノマーがi)下記式:
【化1】

ここでR4、R4'、R5およびR5'は独立に水素、ハロゲン、分岐および非分岐(C1〜C20)アルキル、(C1〜C20)ハロアルキル、置換および非置換シクロアルキル、(C1〜C6)アルキリデニル、(C6〜C40)アリール、(C6〜C40)ハロアリール、(C7〜C15)アラルキル、(C7〜C15)ハロアラルキル、(C2〜C20)アルキニル、ビニル、(C3〜C20)アルケニル、ただしこのアルケニル基は末端二重結合を含まない、式 −Cn2n+1ここでnは1〜20である、のハロゲン化アルキルを表し、R4とR5はそれらが結合している2つの環員炭素原子と一緒になって炭素数4〜12の飽和および不飽和の環式基または炭素数6〜17の芳香族基を表し、“a”は単結合もしくは二重結合を表し、そして“z”は1〜5である;R4、R4'、R5およびR5'がアルキリデン基を表すとき、アルキリデン基が結合している炭素原子は他の置換基を持たずそして“a”が二重結合であるときR4とR5はアルキリデニルであることはない、によって表される化合物並びに、ii)下記式
【化2】

ここでsは5〜10,000あるいは50〜5,000または10〜25であり、R15〜R18は独立に水素;線状および分岐状(C1〜C24)アルキル、(C6〜C12)アリールまたは水酸基および炭素数1〜4のアルキル特にフェノール基上の分岐アルキル(t−ブチルの如き)で置換されたアリールまたは−(CH2p−OH、−(CH2p−C(O)−OH、−(CH2p−C(O)OR’、−(CH2p−OR20、−(CH2p−OC(O)R20、−(CH2p−OC(O)OR20、−(CH2p−C(O)R20、−(CH2p−O−(CH2pOH、−(CH2pOR20の基から選ばれる官能性置換基から選ばれるヒドロカルビルを表し、ここでpは独立に0〜24または0〜10でありそしてR20は線状もしくは分岐状(C1〜C10)アルキルもしくは基
【化3】

ここでYは水素、Cr2r+1、Cr2r+1O、Cr2r+1OC(O)または−CNであり、ここでrは1〜12の整数である;R15とR16またはR17とR18のいずれかは一緒になって(C1〜C10)アルキリデン基(例えば=CH2、=CH−CH3等)を形成し得、R15とR18はそれらが結合している環員炭素原子と一緒になって無水物またはジカルボキシイミド基を形成することができる、を表す、
によって表されるノルボルネン型モノマーにおける官能性化合物、の一種もしくは混合物から選択される、請求項1のコポリマー。
【請求項3】
ノルボルネン型モノマーが(a)ノルボルネン;(b)分岐および非分岐(C1〜C20)アルキルノルボルネン;分岐および非分岐(C1〜C20)ハロアルキルノルボルネン、(C1〜C6)アルキリデニルノルボルネン、ビニルノルボルネンよりなる群から選ばれる置換ノルボルネン;(c)テトラシクロドデセンおよび分岐および非分岐(C1〜C20)アルキルテトラシクロドデセン、(C1〜C6)アルキリデニルテトラシクロドデセンよりなる群から選ばれる置換テトラシクロドデセン;(d)ジシクロペンタジエン;(e)ノルボルナジエン;(f)テトラシクロドデカジエン;(g)シクロペンタジエンの対称および非対称トリマー;およびそれらの混合物よりなる群から選ばれる、コポリマーを製造するための請求項1のコポリマー。
【請求項4】
カチオン重合性モノマーがイソオレフィンまたはジエンである請求項3のコポリマー。
【請求項5】
a)1〜25重量%の少なくとも1種のノルボルネン型モノマーおよびb)25〜99重量%の該イソオレフィンまたはジエンを含有する請求項4のコポリマー。
【請求項6】
a)75〜95重量%の少なくとも1種のノルボルネン型モノマーおよびb)5〜25重量%の該イソオレフィンまたはジエンを含有する請求項4のコポリマー。
【請求項7】
0.1〜5重量%の(C1〜C6)アルキリデンノルボルネンをさらに含有する請求項4のコポリマー。
【請求項8】
イソオレフィンがイソブチレンでありそしてコポリマーの重量平均分子量が少なくとも100,000である請求項7のコポリマー。
【請求項9】
コポリマーが約10,000〜約50,000の重量平均分子量(Mw)を持つ請求項4のコポリマー。
【請求項10】
オレフィンがイソオレフィンである請求項9のコポリマー。
【請求項11】
カチオン重合性モノマーがビニルエーテルである請求項2のコポリマー。
【請求項12】
ビニルエーテルがアルキルビニルエーテルである請求項11のコポリマー。
【請求項13】
ノルボルネン型モノマーに由来する繰返し単位が50〜90重量%の量である請求項1、4または11のコポリマー。
【請求項14】
a)0.1〜99.9重量%の少なくとも1種のノルボルネン型モノマーおよびb)0.1〜99.9重量%の、α−メチルスチレン、パラ−メトキシスチレンおよびパラ−N,N−ジメチルアミノスチレンに由来する繰返し単位を含有するコポリマー。
【請求項15】
ノルボルネン型モノマーが50〜90重量%の量で用いられる請求項11のコポリマー。

【公開番号】特開2006−28525(P2006−28525A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−248133(P2005−248133)
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【分割の表示】特願平8−535699の分割
【原出願日】平成8年5月20日(1996.5.20)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】