カメラモジュール及びその製造方法
【課題】製造歩留まりを向上させ得るCSPカメラモジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】受光部がそれぞれ形成された複数のセンサ形成領域とセンサ周辺領域とを有する主面と主面と対向する裏面とを具えた半導体ウエハ101と、レンズ部121がそれぞれ形成された複数のレンズ形成領域とレンズ周辺領域とを有するレンズ形成面とレンズ形成面と対向し平坦面であるレンズ非形成面とを具えたレンズウエハ4であって少なくとも1枚の透光性光学ウエハで構成されたレンズウエハ4と、スペーサ部151を介して空間を隔てて接合された半導体ウエハ101とレンズウエハ4とからなる貼着体を形成する工程と、レンズ非形成面を介して貼着体を保持して半導体ウエハの裏面を研磨する工程と、貼着体をセンサ周辺領域及びレンズ周辺領域にて切断することにより、各々がスペーサ部にて接合されたセンサチップ及びレンズチップからなるカメラモジュールに個片化する。
【解決手段】受光部がそれぞれ形成された複数のセンサ形成領域とセンサ周辺領域とを有する主面と主面と対向する裏面とを具えた半導体ウエハ101と、レンズ部121がそれぞれ形成された複数のレンズ形成領域とレンズ周辺領域とを有するレンズ形成面とレンズ形成面と対向し平坦面であるレンズ非形成面とを具えたレンズウエハ4であって少なくとも1枚の透光性光学ウエハで構成されたレンズウエハ4と、スペーサ部151を介して空間を隔てて接合された半導体ウエハ101とレンズウエハ4とからなる貼着体を形成する工程と、レンズ非形成面を介して貼着体を保持して半導体ウエハの裏面を研磨する工程と、貼着体をセンサ周辺領域及びレンズ周辺領域にて切断することにより、各々がスペーサ部にて接合されたセンサチップ及びレンズチップからなるカメラモジュールに個片化する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズチップとセンサチップとこれらを接合するスペーサ部とを備えたカメラモジュール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話用のカメラモジュールや、セキュリティ監視用カメラに代表される、小型のカメラモジュールの需要が急増している。このようなカメラを構成する部品の中では、画像を電気信号に変換する撮像素子のコストが一番大きい。撮像素子はCMOSイメージセンサを用いることが一般的であり、CMOSイメージセンサは通常の半導体製造プロセスで作製可能であるため、センササイズを小さくすることで、センサのコストが急激に低下する。そのため、カメラモジュール全体の寸法と、そこで使用される光学レンズの寸法が、近年急激に縮小している。より一層のコストダウンを実現するための方法として、カメラモジュールをウエハレベルで組立するチップサイズパッケージ(CSP)タイプの製造方法が提案されている(特許文献1、参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−063751
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、一括形成した複数レンズ付きガラス基板と一括形成した複数のセンサを含む半導体基板とを用意して、ウエハレベルでおのおののレンズとセンサについて該基板同士を位置合わせすることで一括して光軸のアライメントを実現し、両基板の固定後、接合された各レンズチップとセンサチップへダイシング(個片化)することで、カメラモジュールを作製している。
【0005】
カメラモジュールは、その搭載が一般的な携帯電話の薄型化の要望に伴い、小型、低背化が要求されており、センサの半導体基板すなわちウエハの薄化も必要である。
【0006】
一方、従来の一般的なウエハ薄化方法はバックグラインド(裏面研磨)方法であり、これは、ウエハの一方の片面であるウエハ保持面をウエハホルダに保持し、ウエハの他方の片面であるウエハ研磨面を回転する研磨定盤上に押圧し、研磨剤を滴下しつつ摺動させて研磨する。ウエハ研磨の際に用いられる研磨剤等を除去する洗浄方法は、アルカリ性の洗浄液により洗浄をする方法である。
【0007】
ウエハを薄くするには、ウエハの裏面を砥石で削って薄くしていく研削と、削った面を磨いて鏡面にする化学的機械的研磨(CMP=Chemical Mechanical Polishing)という2つの工程が一般に使われる。
【0008】
ウエハの裏面研削の場合、裏面全体を均一に削らなければならないので、どのようにウエハをホルダに対して動かないように固定するか、センサなどの電子回路が形成されたウエハ保持面に削り滓や研磨液が触れるとセンサが壊れてしまうため、どのようにセンサを保護するか、さらに、削っていくとウエハが内部応力でだんだん反ってくるので、どのように反りを矯正するか、がダイシング後の半導体チップの製造歩留まりを上げるために問題となる。
【0009】
これらを解決するために、バックグラインド用粘着シートとステンレス製のガイドリングと呼ばれる冶具を用いる。ガイドリングはシリコンウエハ直径より大きい穴のあいたステンレスリングで、これに粘着シートを貼りつけ、さらに、穴の中央の粘着シートにウエハを貼りつける。この際、ウエハのセンサが形成されている面を粘着面側にして密着させる。粘着面にウエハを密着させることでウエハを固定し、同時にウエハ表面に異物が触れるのを防ぎ、ウエハ表面のセンサを保護することができる。この際、粘着シート粘着力が弱すぎると研削中にウエハが動いてしまったり、ウエハの反りではがれてしまったりし、粘着力が逆に強すぎると、研削後にウエハが粘着シートから剥がれなくなったり、剥がす際にウエハにダメージを与えてしまう。そのため適正な粘着力が必要である。
【0010】
この状態で、ガイドリングを研削装置に取り付け、ガイドリングと研磨定盤を互いに回転させて、研磨定盤へ適当な力で押し付けていくことでウエハの裏面を削り取っていく。このとき、ウエハは粘着力でシートに固定され、形を矯正されているため、ウエハが薄くなっても曲がることはない。目標の厚さまで削り終わったら、次に、この面を磨いて鏡面にする。この工程では、研磨布と研磨液が使われる、ガイドリングと研磨布を互いに自転させて、ウエハを適当な力で研磨布に押し付けることでウエハ研磨面が磨かれる。
【0011】
特許文献1では半導体ウエハのバックグラインドについて説明は行われていないが、CSPカメラモジュール製造においても、半導体ウエハのバックグラインド工程やダイシング工程でセンサが汚染されることを懸念して、ウエハのセンサ面(ウエハ保持面)をカバーガラスで覆ってから上記工程を行うことが通常である。
【0012】
しかしながら、特許文献1に示される外側に凸レンズを作製した透光性基板をカバーガラスとして用いてセンサ部に蓋をしてバックグラインドした場合、半球状(凸状)となっている凸レンズ面先端だけが粘着シートに触れるためバックグラインド工程での粘着力の不足、接着安定性に問題があった。
【0013】
そこで、本発明は以上の従来の技術問題に鑑みて考案されたものであり、製造工程数を抑え製造歩留まりを向上させ得るCSPカメラモジュール及びその製造方法を提供することが課題の一つとして挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によるカメラモジュールの製造方法は、光電変換素子の受光部がそれぞれ形成された複数のセンサ形成領域とセンサ形成領域の各々を囲むセンサ周辺領域とを有する主面と主面と対向する裏面とを具えた半導体ウエハと、レンズ部がそれぞれ形成された複数のレンズ形成領域とレンズ形成領域の各々を囲むレンズ周辺領域とを有するレンズ形成面とレンズ形成面と対向し平坦面であるレンズ非形成面とを具えたレンズウエハであって少なくとも1枚の透光性光学ウエハで構成されたレンズウエハと、を準備する工程と、各々の受光部と各々のレンズ部とがそれぞれ対向するようにセンサ周辺領域とレンズ周辺領域とがスペーサ部を介して空間を隔てて固着されることにより、スペーサ部を介して接合された半導体ウエハとレンズウエハとからなる貼着体を形成する工程と、レンズ非形成面を介して貼着体を保持して半導体ウエハの裏面を研磨する工程と、貼着体をセンサ周辺領域及びレンズ周辺領域にて切断することにより、各々がスペーサ部にて接合されたセンサチップ及びレンズチップからなる複数のカメラモジュールに個片化する工程と、を含むことを特徴とする。本発明によれば、レンズウエハと半導体ウエハの貼着体の裏面(半導体ウエハ)のグラインド時にレンズ部が外力を受けず、さらに、半導体ウエハへ貫通電極を作製する際のエッチング材料によってレンズ部が変形、変質しない。
【0015】
本発明によるカメラモジュールは、光電変換素子の受光部が形成されたセンサ形成領域とセンサ形成領域を囲むセンサ周辺領域とを有する主面と主面と対向する裏面とを具えたセンサチップと、レンズ部が形成されたレンズ形成領域とレンズ形成領域を囲むレンズ周辺領域とを有するレンズ形成面とレンズ形成面と対向し平坦面であるレンズ非形成面とを具えたレンズチップであって少なくとも1つの透光性光学チップで構成されたレンズチップと、受光部とレンズ部が空間を隔てて対向するようにセンサ周辺領域とレンズ周辺領域を接合するスペーサ部と、からなり、センサチップ、レンズチップ及びスペーサ部の側面が共通な外部平坦面であること、並びに、レンズ部と受光部に外部から光を通過させる開口を有するレンズ非形成面及び外部平坦面とを覆うカバーを備えたこと、を特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明による実施形態のカメラモジュールについて添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、各図において、同一の構成要素については別の図に示している場合でも同一の符号を与え、その詳細な説明を省略する。さらに、実施形態は例示に過ぎずこれらに本発明は制限されないことはいうまでもない。
【0017】
図1は、概略として、センサチップ10とレンズチップ40がスペーサ部151を介して貼り合わされている実施例のカメラモジュールの断面図である。
【0018】
カメラモジュール100は、光電変換素子の受光部11が形成された第1主面とこれと対向する裏面とを具えたシリコン基板であるセンサチップ10と、レンズ部121が形成されたレンズ形成面とレンズ形成面と対向し平坦面であるレンズ非形成面とを具えたレンズチップ40と、受光部11とレンズ部121が空間を隔てて対向するようにセンサチップ10とレンズチップ40を接合するスペーサ部151と、から構成される。レンズチップ40はガラス平板4とその内面に形成されたレンズ部121とからなり、レンズウエハ(透光性光学ウエハ)から、センサチップと共に個片化されたものである。
【0019】
レンズ部121をなす透光性樹脂は紫外線硬化型でも熱硬化型でもどちらでも良い。またレンズ部121は内部の片面にのみ形成される。
【0020】
スペーサ部151は、フランジバックを規定する所定厚のスペーサ9とその両面の接着剤層91からなる。接着剤の材料としては、紫外線硬化型や熱硬化型などが用いられる。
【0021】
センサチップ10の第1主面のセンサ形成領域には、たとえば、CMOSイメージセンサなどの受光素子を含む受光部11が形成されている。受光部11上には、光電変換素子のそれぞれに搭載されるオンチップマイクロレンズを設けてもよい。センサチップ10の受光部11周囲のセンサ周辺領域にはこれに接続された内部配線15及び金属パッド8が形成されている。
【0022】
また、センサチップ10の第1主面とは反対側の第2主面(裏面)の所定の位置には外部配線15及び外部端子7が形成されており、外部端子7以外の部分上には絶縁膜14が形成されている。
【0023】
このセンサチップ10は、その第1主面外周近傍に設けられた金属パッド8下に貫通電極6が設けられおり、これは第1及び第2主面の配線15を電気的に接続している。第1及び第2主面間を貫通する貫通電極6により、受光部11への電気的接続はセンサチップ側面に電導体を引き出すことなく、裏面の外部配線15を介して可能となる。なお、貫通電極6は、チップ裏面全体及び貫通孔内面に予め被覆された絶縁膜16によりセンサチップ10の材料からは電気的に絶縁されている。
【0024】
レンズチップ40は、レンズ部121が形成されたレンズ形成領域とこれを囲むレンズ周辺領域とを有するレンズ形成面とレンズ形成面と対向し平坦面であるレンズ非形成面とを具えている。受光部11との間に空間が設けられるように、受光部11の周囲のセンサ周辺領域においてスペーサ部151を介してセンサチップ10の第1主面に固着された後に、レンズウエハからダイシングにより個片化されたものなので、レンズチップ40、センサチップ10及びスペーサ部151の側面が共通な外部平坦面となる。
【0025】
最後に、レンズ部121と受光部11に外部から光を通過させる開口を有するように、レンズチップ40側面全体及びレンズ非形成面の周縁部に黒色などの遮光性樹脂からなるカバー5を設け、側面からの光の進入を防ぐことで、カメラモジュールができる。カバー5は、レンズ部反対側の平坦面を露出させつつ、レンズチップ40、センサチップ10及びスペーサ部151の側面が共通な外部平坦面とを覆うので、カバー材料の節約の効果を奏する。
【0026】
第1の実施例であるカメラモジュールの製造方法の概略プロセスフローを図に基づいて説明する。
【0027】
<半導体ウエハ作製工程>
図2は半導体ウエハ101の概略平面図である。図2に示すように、6インチもしくは8インチの半導体ウエハ101(厚さ625μm〜725μm)の表面に、半導体プロセスによりマトリクス状にセンサ形成領域111の複数すなわちアレイが形成される。図3は1つのカメラモジュールとなるべき半導体ウエハ101のセンサ形成領域の部分の概略部分拡大断面図である。
【0028】
まず、図3に示すように、センサ形成領域111の各々では、半導体ウエハ101の第1主面上に、光電変換素子を含む受光部11と、その周囲の金属パッド8とを形成する。受光部11には、画素の複数をマトリクス配列(たとえば、30万個程度)したCMOSイメージセンサを形成する。受光部11の受光素子毎にマイクロレンズを設けることもできる。各画素には受光素子(埋込型フォトダイオード)毎に数個のCMOS(相補性金属酸化膜半導体)トランジスタで構成したアンプを設ける。金属パッド8は、導電性の優れたたとえばアルミニウム(Al)などの金属が用いられる。
【0029】
次に、内部配線15を形成して、受光素子を含む受光部11とその周囲の金属パッド8と接続する。このようにして、図2に示すように、後工程のダイシング領域となる格子状のスペースを空けて半導体ウエハ101の第1主面にセンサ形成領域111の複数がアレイとしてマトリクス配列される。
【0030】
<透光性光学ウエハ作製工程>
上記半導体ウエハと同じサイズ、6インチもしくは8インチの300〜500μm厚のガラスウエハ(ガラス平板4)を準備する。図4はかかるガラスウエハ4の概略平面図である。以下の工程で、半導体ウエハのマトリクス状センサ形成領域のアレイと一致するように、ガラスウエハにレンズ部の複数からなるアレイを形成して、透光性光学ウエハ(レンズウエハ)を作製する。
【0031】
次に、図5に示すように、ガラスウエハ4の裏面上にレンズ用透光性樹脂を塗布し、レンズ形成用のモールド型MLを用いて、モールド型MLの凹部を樹脂に押圧して、下地レンズ部120を形成する。下地レンズ固化後、図6に示すように、ガラスウエハ4の下地レンズ部120上に第2のレンズ用透光性樹脂を塗布し、レンズ形成用のモールド型ML2を用いて、モールド型ML2の凹部を樹脂に押圧して、レンズ部121を固化させて完成させる。このように、樹脂を、あらかじめ作製しておいたレンズのモールド型によって成型し、加熱、あるいはUV照射等の方法によって、2種のモールド型を用いて2種の樹脂の成型を用いて同一の位置に重ねて2回以上の樹脂成型を行うことにより、よりパワーの大きいレンズ部を形成できる。透光性樹脂は紫外線硬化型でも熱硬化型でもどちらでも良い。なお、このレンズ形成工程において、1つのモールド型を用いて1つの樹脂の1回の成型を行うこともでき、さらに、3種のモールド型を用いて3種の樹脂の成型を用いて同一の位置に重ねて3回以上の樹脂成型を行うことにより、更によりパワーの大きいレンズ部を形成できる。
【0032】
図7はかかるガラスウエハ4の一括成型されたレンズ部から見た概略平面図である。また凸レンズ部の反対側の主面は平坦面として維持する。これらモールド型はナノインプリント技術に用いられるものを利用できる。たとえば、レンズ部2層構造の場合は、ガラス板側の1層目には比較的柔軟で収縮の影響が低いポリジメチルシロキサンなど樹脂を用い、2層目にはエポキシ樹脂などの1層目より硬度の高い樹脂を用いることが、リフロー時の熱抵抗向上において好ましい。レンズ部を多層構造とすることで、異なる熱膨張係数を補償し合うように、或いは、光硬化又は熱硬化後の変形などを相殺し合うように、適切な樹脂物質を選択する幅が拡大する。レンズの作製は個別のレンズを順次作製してもかまわないが、基板上に上記の手段で一括して作製することが望ましい。このような作製方法によるレンズは、ガラスと樹脂の組み合わせで構成されているため、ハイブリッドレンズと呼ばれ、レンズ部に使われる樹脂量が微量なため、リフローに耐えうる樹脂素材を使用できる、樹脂に固有な固化後の形状変動が最小化される効果がある。
【0033】
<貼り合わせ工程>
次に、図8に示すように、半導体ウエハ101のセンサ形成領域の受光部11にレンズの焦点を固定するためのスペーサ部151を接着剤を用いて接合する。スペーサ部151は半導体ウエハの第1主面上のセンサ形成領域の受光部11の各々を囲むような所定の位置にダイシング領域として配置される。スペーサ部151は、フランジバックを規定する所定厚のスペーサ9とその両面の接着剤層91からなる。接着剤の材料としては耐熱性のある、たとえばベンゾシクロブテン(Benzocyclobutene:BCB)、ポリイミドなどの感光性ポリマー材料が使用でき、紫外線硬化型或いは熱硬化型が用いられる。図9に示すように、半導体ウエハのダイシング領域の格子状のスペーサ部151に囲まれた受光部11がガラスウエハのレンズ部の各々に対応する。
【0034】
次に、図10に示すように、レンズ部121が内面にのみ位置するようにレンズ部121とセンサ形成領域111を対向させて位置合わせしつつ、半導体ウエハ101と透光性光学ウエハ(ガラスウエハ4)を貼り付け、圧着固定する。ここで、半導体ウエハ101上の受光部11がガラスウエハ4の裏面に形成された格子状のスペーサ部151に囲まれるように、ガラスウエハ4及び半導体ウエハ101が位置合わせされる。図10は半導体ウエハ101と透光性光学ウエハ4からなる貼着体の概略斜視図である。感光性接着剤を用いた場合、ガラスウエハ側から光照射を行い、スペーサ部151が光硬化することにより接合を実行してもよい。スペーサ部151は、半導体ウエハ101とガラスウエハ4間の所定距離維持の接合と共に、以後のグラインディング工程、貫通電極形成工程、ダイシング工程などの、個々のセンサ形成領域111の封止機能を果たす。
【0035】
このような工程を経て完成した半導体ウエハと透光性光学ウエハの貼着体は、薄い半導体ウエハ上に厚いガラスウエハが貼り付けられた構造をしているので、従来の半導体ウエハ強度補強用カバーガラスすなわち保護ガラス相当のコストを省くことが出来、カメラモジュールの高さをより低くすることが出来るというメリットがある。
【0036】
透光性光学ウエハの最上面にはレンズが形成されていないため、後工程の研磨装置の基板固定治具にレンズ面が接触することでレンズ形状が変形する問題は発生しない。また、樹脂で構成されたレンズは半導体ウエハ、透光性光学ウエハ、スペーサ部により覆われているため、後工程の貫通電極をエッチングする工程の高温、化学物質によってレンズが変質するといった問題を解決できる。
【0037】
<グラインディング工程>
次に、図11に示すように、レンズ保護用シート例えばバックグラインド用粘着シートBGSに透光性光学ウエハ4の平坦面を貼り付け、一体となった半導体ウエハ101の裏面を研削する。たとえば半導体ウエハ101を50〜100μm厚の所定厚にまでバックグラインドし、ウエハの第2主面を平坦化する。本実施例ではレンズ保護用シートとしては一般的な、紫外線(UV)露光により剥離可能な粘着材が塗布された柔軟性シートいわゆる公知のUVシートを利用できるが、薬品耐性を有するシートであれば、特にUVシートに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0038】
<電極形成工程>
ガラスウエハ4と一体となった半導体ウエハ101の第2主面に貫通電極、外部配線及び外部端子を形成する。概要は、貫通穴を深堀エッチングを用いて設け、Cuメッキなどにより配線を引きだし、電極パッドを形成するのである。
【0039】
まず、図12に示すように、半導体ウエハ101の裏面(第2主面)から各金属パッド8に至る貫通孔61(直径=100〜200μm)を形成する。半導体ウエハ101の裏面を通じて半導体ウエハ101の各金属パッド8の位置に各金属パッド8のサイズよりやや小さいサイズの貫通孔61を反応性イオンエッチング法を利用して形成する。反応性イオンエッチング法は、貫通孔61を形成すべき部分に開口を有する金属又はレジストのマスク(図示せず)を、予め、半導体ウエハ101の第2主面に形成し、その後、たとえばCF4などの混合ガス雰囲気中のSiF4生成反応を通じて、開口を介して、Siウエハをエッチングして、貫通孔61を形成する。
【0040】
その後、図13に示すように、たとえば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を使用して、貫通孔61の内壁及び底部(金属パッド8)並びに半導体ウエハ101の第2主面に、たとえばSiO2などの絶縁膜16を形成する。ここで、絶縁膜16は、その膜厚が貫通孔61の底部(金属パッド8)上の方が半導体ウエハ101の第2主面上より薄くなるように形成される。これにより、再度の反応性イオンエッチングにより、貫通孔61の底部において絶縁膜16の開口62が形成され金属パッド8が露出するが、貫通孔61の内壁及び半導体ウエハ101の第2主面の絶縁膜16は維持される。
【0041】
その後、金属パッド8が露出した貫通孔及びその周囲の貫通電極を形成すべき部分や、貫通電極に接続する外部配線を形成すべき部分に開口を有する所定パターンのマスク(図示せず)を、予め、半導体ウエハ101の第2主面の絶縁膜16上に形成し、電気メッキ法にて、図14に示すように、外部配線15及び貫通電極6を形成する。
【0042】
その後、図15に示すように、絶縁膜14を半導体ウエハ101の裏面全体に塗布して、リソグラフィー工程を実施して、外部回路との連結のために外部端子7を形成すべき部分の電極が露出されるようにパターニングして、そして、スクリーン印刷法によって、半導体ウエハ101の裏面の露出電極上にはんだペーストを塗布してリフローする。その後、残留フラックスを除去して、図16に示すように、外部端子7が形成される。なお、外部端子7を形成する前に、下地金属膜(図示せず)を形成することもできる。
【0043】
また、絶縁膜14材料としては、SiO2の他、SiN、PI(ポリイミド)が、また、配線材料としてはCu、Al、Ag、Ni、Auなどの中から選択される一種以上の導電材料が、外部端子7材料としてはSnAg、NiAuが用いられ得る。
【0044】
<ダイシング工程>
図17に示すように、ガラスウエハ4と一体となった半導体ウエハ101を、所定のダイシングブレード52により、スペーサ部151の中央に沿って厚さ方向に個別のカメラモジュールに分割する。ガラスウエハ4及びウエハの貼着体のガラスウエハ4側にダイシングテープ200を貼着してダイシング装置に装着し、実行する。
【0045】
以上のように、所定のサイズにガラスウエハ4と半導体ウエハ101をフルカットして図18に示すような、レンズチップ40、スペーサ部151及びセンサチップ10からなるカメラモジュールが得られる。
【0046】
<カバー被覆工程>
ダイシング加工後、個別のカメラモジュールに遮光用のカバーをかぶせ、カバーを樹脂などの接着剤を用いて固定をする。図1に示すようなセンサチップ10、スペーサ部151及びレンズチップ40側面全体並びにレンズ部周りに黒色などの遮光性樹脂からなるカバー5を設け、側面からの光の進入を防ぐことで、カメラモジュールができる。先のダイシング工程において一時期に、レンズチップ40及びスペーサ部151を切断しているので、それらの側面が共通な外部平坦面で形成できることにより、カバー樹脂との接合が良好に達成できる。
【0047】
以上の実施例1によれば、凸レンズ部の場合よりも比較的大きな面積で、バックグラインド時にガラスウエハ4の外側の平坦レンズ部が粘着シートと接着できるため、接着安定性が向上し、クラックや割れの発生がない効果が得られる。
【0048】
以上の製造方法は、センサ回路にCMOSイメージセンサの他に、CCDセンサ回路などの画像センサ用回路や、照度センサ回路、紫外線センサ回路、赤外線センサ回路、温度センサ回路を含む各種カメラモジュールに適用可能である。
【0049】
<実施例2>
実施例1では、レンズ部はセンサに対向する透光性光学ウエハ内面に設け、最外面はガラス平面とするレンズチップの1ピース及び1面構造であるが、この実施例では、レンズチップは2ピースで3面構造である。カメラモジュール製造は、透光性光学ウエハ作製工程において第2の透光性光学ウエハを更に作製し、貼り合わせ工程において第2の透光性光学ウエハを、先の半導体ウエハ101と平凸レンズの透光性光学ウエハ4との間に挿入した以外、実施例1と同様に実行される。
【0050】
実施例2の透光性光学ウエハ作製工程では、図19に示すように、同インチ径のガラスウエハ(ガラス平板4)上にレンズ用透光性樹脂を塗布し、レンズ成型用モールド型ML3、ML4を用いてレンズ部122を形成して、複数のレンズ部のアレイを有する第2の透光性光学ウエハ4Bを作製する。
【0051】
貼り合わせ工程においては、半導体ウエハ101にスペーサ部152を介して第2の透光性光学ウエハ4Bを位置合わせしつつ、圧着固定し、さらに、実施例2同様にスペーサ部151を介して透光性光学ウエハ4を位置合わせしつつ、圧着固定する。
【0052】
最終的に作製されたカメラモジュールは、図20に示すように、スペーサ部152を介して第2の透光性光学ウエハ4Bを平凸レンズチップ40とセンサチップ10の間に挿入した以外、実施例1のものと同様である。
【0053】
<実施例3>
実施例2では、レンズは各々2ピース3面構造であるが、この実施例では、レンズチップは3ピースで5面構造である。カメラモジュール製造は、透光性光学ウエハ作製工程において第3の透光性光学ウエハを更に作製し、貼り合わせ工程において第3の透光性光学ウエハを、先の半導体ウエハ101と両凸レンズの透光性光学ウエハ4Bとの間に挿入した以外、実施例2と同様に実行される。
【0054】
実施例3の透光性光学ウエハ作製工程では、同インチ径のガラスウエハ(ガラス平板4)上にレンズ用透光性樹脂を塗布し、所定のレンズ成型用モールド型を用いてレンズ部123を形成して、複数のレンズ部のアレイを有する第3の透光性光学ウエハ4Cを作製する。ここでも、レンズ部は両面に形成するが、レンズ成型前にあらかじめガラス平板上にIRカットフィルタなど機能フィルタを蒸着形成することもできる。
【0055】
貼り合わせ工程においては、半導体ウエハ101にスペーサ部153を介して第3の透光性光学ウエハ4Cを位置合わせしつつ、圧着固定し、さらに、実施例2同様にスペーサ部151、152を介して透光性光学ウエハ4、4Bを位置合わせしつつ、圧着固定する。
【0056】
最終的に作製されたカメラモジュールは、図21に示すように、それぞれ、スペーサ部152、153を介して第2及び第3の透光性光学ウエハ4B、4Cを、平凸レンズチップ40とセンサチップ10の間に挿入した以外、実施例1のものと同様である。
【0057】
このように、本発明はレンズチップの1〜3ピースに限定されるものではなく、更なる多ピースの多面構造においても等しく効果を持つことはいうまでもない。本発明によれば、レンズはイメージセンサと最上面(外面)の透光性光学ウエハの内側にのみ存在し、最上面には凸部が存在しない。そのため、この最上面を保護シートで大きな面積をもって固定することにより、イメージ半導体ウエハ裏面を安定に研磨加工することが可能になる。この場合、内面の各レンズに外力が及ぶことはないので、レンズ形状が半導体ウエハの裏面加工によって変形することもない。さらに、各レンズが積層された基板群の内側に存在するため、半導体ウエハ裏面を研磨後に、貫通電極を形成するウエハプロセスに投入しても、製造工程で使用されるプラズマや化学薬品がレンズに到達することはなく、各レンズの材質が劣化することはない。なお、最上面の透光性光学ウエハ以外の内側の透光性光学ウエハは、ガラスウエハにレンズ部を設けたレンズウエハの他に、IRカットフィルタや絞りを作り込んだ光学ウエハとすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明による第1の実施例のカメラモジュールを示す断面図である。
【図2】本発明による第1の実施例における半導体ウエハの概略平面図である。
【図3】本発明による第1の実施例における処理工程を示す半導体ウエハの概略部分拡大断面図である。
【図4】本発明による第1の実施例におけるガラスウエハの概略平面図である。
【図5】本発明による第1の実施例のレンズ部成型工程を示すガラスウエハ及びモールド型の概略部分拡大断面図である。
【図6】本発明による第1の実施例のレンズ部成型工程を示すガラスウエハ及びモールド型の概略部分拡大断面図である。
【図7】本発明による第1の実施例のレンズ部成型工程を示すガラスウエハのレンズ部から見た概略平面図である。
【図8】本発明による第1の実施例におけるスペーサ形成工程を示す半導体ウエハの概略部分拡大断面図である。
【図9】本発明による第1の実施例におけるスペーサ形成工程を示す半導体ウエハの概略平面図である。
【図10】本発明による第1の実施例における貼着工程を示す透光性光学ウエハ及び半導体ウエハの貼着体の概略斜視図である。
【図11】本発明による第1の実施例におけるバックグラインド工程を示す透光性光学ウエハ及び半導体ウエハの貼着体の部分拡大断面図である。
【図12】本発明による第1の実施例における貫通穴深堀工程を示す透光性光学ウエハ及び半導体ウエハの貼着体の部分拡大断面図である。
【図13】本発明による第1の実施例における絶縁処理工程を示す透光性光学ウエハ及び半導体ウエハの貼着体の部分拡大断面図である。
【図14】本発明による第1の実施例における電極形成工程を示す透光性光学ウエハ及び半導体ウエハの貼着体の部分拡大断面図である。
【図15】本発明による第1の実施例における第2絶縁処理工程を示す透光性光学ウエハ及び半導体ウエハの貼着体の部分拡大断面図である。
【図16】本発明による第1の実施例における外部端子形成工程を示す透光性光学ウエハ及び半導体ウエハの貼着体の部分拡大断面図である。
【図17】本発明による第1の実施例におけるダイシング工程を示す透光性光学ウエハ及び半導体ウエハの貼着体の部分拡大断面図である。
【図18】本発明による第1の実施例におけるダイシング工程を示す透光性光学ウエハ及び半導体ウエハの貼着体の部分拡大断面図である。
【図19】本発明による第2の実施例のレンズ部成型工程を示すガラスウエハ及びモールド型の概略部分拡大断面図である。
【図20】本発明による第2の実施例のカメラモジュールを示す断面図である。
【図21】本発明による第3の実施例のカメラモジュールを示す断面図である。
【符号の説明】
【0059】
4、4B、4C ガラスウエハ、ガラス平板
6 貫通電極
7 外部端子
8 金属パッド
10 センサチップ
11 受光部
14、16 絶縁膜
15 内部配線、外部配線
52 ダイシングブレード
62 開口
91 接着層
100 カメラモジュール
101 半導体ウエハ
111 センサ形成領域
121 レンズ部
151、152、153 スペーサ部
200 ダイシングテープ
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズチップとセンサチップとこれらを接合するスペーサ部とを備えたカメラモジュール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話用のカメラモジュールや、セキュリティ監視用カメラに代表される、小型のカメラモジュールの需要が急増している。このようなカメラを構成する部品の中では、画像を電気信号に変換する撮像素子のコストが一番大きい。撮像素子はCMOSイメージセンサを用いることが一般的であり、CMOSイメージセンサは通常の半導体製造プロセスで作製可能であるため、センササイズを小さくすることで、センサのコストが急激に低下する。そのため、カメラモジュール全体の寸法と、そこで使用される光学レンズの寸法が、近年急激に縮小している。より一層のコストダウンを実現するための方法として、カメラモジュールをウエハレベルで組立するチップサイズパッケージ(CSP)タイプの製造方法が提案されている(特許文献1、参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−063751
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、一括形成した複数レンズ付きガラス基板と一括形成した複数のセンサを含む半導体基板とを用意して、ウエハレベルでおのおののレンズとセンサについて該基板同士を位置合わせすることで一括して光軸のアライメントを実現し、両基板の固定後、接合された各レンズチップとセンサチップへダイシング(個片化)することで、カメラモジュールを作製している。
【0005】
カメラモジュールは、その搭載が一般的な携帯電話の薄型化の要望に伴い、小型、低背化が要求されており、センサの半導体基板すなわちウエハの薄化も必要である。
【0006】
一方、従来の一般的なウエハ薄化方法はバックグラインド(裏面研磨)方法であり、これは、ウエハの一方の片面であるウエハ保持面をウエハホルダに保持し、ウエハの他方の片面であるウエハ研磨面を回転する研磨定盤上に押圧し、研磨剤を滴下しつつ摺動させて研磨する。ウエハ研磨の際に用いられる研磨剤等を除去する洗浄方法は、アルカリ性の洗浄液により洗浄をする方法である。
【0007】
ウエハを薄くするには、ウエハの裏面を砥石で削って薄くしていく研削と、削った面を磨いて鏡面にする化学的機械的研磨(CMP=Chemical Mechanical Polishing)という2つの工程が一般に使われる。
【0008】
ウエハの裏面研削の場合、裏面全体を均一に削らなければならないので、どのようにウエハをホルダに対して動かないように固定するか、センサなどの電子回路が形成されたウエハ保持面に削り滓や研磨液が触れるとセンサが壊れてしまうため、どのようにセンサを保護するか、さらに、削っていくとウエハが内部応力でだんだん反ってくるので、どのように反りを矯正するか、がダイシング後の半導体チップの製造歩留まりを上げるために問題となる。
【0009】
これらを解決するために、バックグラインド用粘着シートとステンレス製のガイドリングと呼ばれる冶具を用いる。ガイドリングはシリコンウエハ直径より大きい穴のあいたステンレスリングで、これに粘着シートを貼りつけ、さらに、穴の中央の粘着シートにウエハを貼りつける。この際、ウエハのセンサが形成されている面を粘着面側にして密着させる。粘着面にウエハを密着させることでウエハを固定し、同時にウエハ表面に異物が触れるのを防ぎ、ウエハ表面のセンサを保護することができる。この際、粘着シート粘着力が弱すぎると研削中にウエハが動いてしまったり、ウエハの反りではがれてしまったりし、粘着力が逆に強すぎると、研削後にウエハが粘着シートから剥がれなくなったり、剥がす際にウエハにダメージを与えてしまう。そのため適正な粘着力が必要である。
【0010】
この状態で、ガイドリングを研削装置に取り付け、ガイドリングと研磨定盤を互いに回転させて、研磨定盤へ適当な力で押し付けていくことでウエハの裏面を削り取っていく。このとき、ウエハは粘着力でシートに固定され、形を矯正されているため、ウエハが薄くなっても曲がることはない。目標の厚さまで削り終わったら、次に、この面を磨いて鏡面にする。この工程では、研磨布と研磨液が使われる、ガイドリングと研磨布を互いに自転させて、ウエハを適当な力で研磨布に押し付けることでウエハ研磨面が磨かれる。
【0011】
特許文献1では半導体ウエハのバックグラインドについて説明は行われていないが、CSPカメラモジュール製造においても、半導体ウエハのバックグラインド工程やダイシング工程でセンサが汚染されることを懸念して、ウエハのセンサ面(ウエハ保持面)をカバーガラスで覆ってから上記工程を行うことが通常である。
【0012】
しかしながら、特許文献1に示される外側に凸レンズを作製した透光性基板をカバーガラスとして用いてセンサ部に蓋をしてバックグラインドした場合、半球状(凸状)となっている凸レンズ面先端だけが粘着シートに触れるためバックグラインド工程での粘着力の不足、接着安定性に問題があった。
【0013】
そこで、本発明は以上の従来の技術問題に鑑みて考案されたものであり、製造工程数を抑え製造歩留まりを向上させ得るCSPカメラモジュール及びその製造方法を提供することが課題の一つとして挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によるカメラモジュールの製造方法は、光電変換素子の受光部がそれぞれ形成された複数のセンサ形成領域とセンサ形成領域の各々を囲むセンサ周辺領域とを有する主面と主面と対向する裏面とを具えた半導体ウエハと、レンズ部がそれぞれ形成された複数のレンズ形成領域とレンズ形成領域の各々を囲むレンズ周辺領域とを有するレンズ形成面とレンズ形成面と対向し平坦面であるレンズ非形成面とを具えたレンズウエハであって少なくとも1枚の透光性光学ウエハで構成されたレンズウエハと、を準備する工程と、各々の受光部と各々のレンズ部とがそれぞれ対向するようにセンサ周辺領域とレンズ周辺領域とがスペーサ部を介して空間を隔てて固着されることにより、スペーサ部を介して接合された半導体ウエハとレンズウエハとからなる貼着体を形成する工程と、レンズ非形成面を介して貼着体を保持して半導体ウエハの裏面を研磨する工程と、貼着体をセンサ周辺領域及びレンズ周辺領域にて切断することにより、各々がスペーサ部にて接合されたセンサチップ及びレンズチップからなる複数のカメラモジュールに個片化する工程と、を含むことを特徴とする。本発明によれば、レンズウエハと半導体ウエハの貼着体の裏面(半導体ウエハ)のグラインド時にレンズ部が外力を受けず、さらに、半導体ウエハへ貫通電極を作製する際のエッチング材料によってレンズ部が変形、変質しない。
【0015】
本発明によるカメラモジュールは、光電変換素子の受光部が形成されたセンサ形成領域とセンサ形成領域を囲むセンサ周辺領域とを有する主面と主面と対向する裏面とを具えたセンサチップと、レンズ部が形成されたレンズ形成領域とレンズ形成領域を囲むレンズ周辺領域とを有するレンズ形成面とレンズ形成面と対向し平坦面であるレンズ非形成面とを具えたレンズチップであって少なくとも1つの透光性光学チップで構成されたレンズチップと、受光部とレンズ部が空間を隔てて対向するようにセンサ周辺領域とレンズ周辺領域を接合するスペーサ部と、からなり、センサチップ、レンズチップ及びスペーサ部の側面が共通な外部平坦面であること、並びに、レンズ部と受光部に外部から光を通過させる開口を有するレンズ非形成面及び外部平坦面とを覆うカバーを備えたこと、を特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明による実施形態のカメラモジュールについて添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、各図において、同一の構成要素については別の図に示している場合でも同一の符号を与え、その詳細な説明を省略する。さらに、実施形態は例示に過ぎずこれらに本発明は制限されないことはいうまでもない。
【0017】
図1は、概略として、センサチップ10とレンズチップ40がスペーサ部151を介して貼り合わされている実施例のカメラモジュールの断面図である。
【0018】
カメラモジュール100は、光電変換素子の受光部11が形成された第1主面とこれと対向する裏面とを具えたシリコン基板であるセンサチップ10と、レンズ部121が形成されたレンズ形成面とレンズ形成面と対向し平坦面であるレンズ非形成面とを具えたレンズチップ40と、受光部11とレンズ部121が空間を隔てて対向するようにセンサチップ10とレンズチップ40を接合するスペーサ部151と、から構成される。レンズチップ40はガラス平板4とその内面に形成されたレンズ部121とからなり、レンズウエハ(透光性光学ウエハ)から、センサチップと共に個片化されたものである。
【0019】
レンズ部121をなす透光性樹脂は紫外線硬化型でも熱硬化型でもどちらでも良い。またレンズ部121は内部の片面にのみ形成される。
【0020】
スペーサ部151は、フランジバックを規定する所定厚のスペーサ9とその両面の接着剤層91からなる。接着剤の材料としては、紫外線硬化型や熱硬化型などが用いられる。
【0021】
センサチップ10の第1主面のセンサ形成領域には、たとえば、CMOSイメージセンサなどの受光素子を含む受光部11が形成されている。受光部11上には、光電変換素子のそれぞれに搭載されるオンチップマイクロレンズを設けてもよい。センサチップ10の受光部11周囲のセンサ周辺領域にはこれに接続された内部配線15及び金属パッド8が形成されている。
【0022】
また、センサチップ10の第1主面とは反対側の第2主面(裏面)の所定の位置には外部配線15及び外部端子7が形成されており、外部端子7以外の部分上には絶縁膜14が形成されている。
【0023】
このセンサチップ10は、その第1主面外周近傍に設けられた金属パッド8下に貫通電極6が設けられおり、これは第1及び第2主面の配線15を電気的に接続している。第1及び第2主面間を貫通する貫通電極6により、受光部11への電気的接続はセンサチップ側面に電導体を引き出すことなく、裏面の外部配線15を介して可能となる。なお、貫通電極6は、チップ裏面全体及び貫通孔内面に予め被覆された絶縁膜16によりセンサチップ10の材料からは電気的に絶縁されている。
【0024】
レンズチップ40は、レンズ部121が形成されたレンズ形成領域とこれを囲むレンズ周辺領域とを有するレンズ形成面とレンズ形成面と対向し平坦面であるレンズ非形成面とを具えている。受光部11との間に空間が設けられるように、受光部11の周囲のセンサ周辺領域においてスペーサ部151を介してセンサチップ10の第1主面に固着された後に、レンズウエハからダイシングにより個片化されたものなので、レンズチップ40、センサチップ10及びスペーサ部151の側面が共通な外部平坦面となる。
【0025】
最後に、レンズ部121と受光部11に外部から光を通過させる開口を有するように、レンズチップ40側面全体及びレンズ非形成面の周縁部に黒色などの遮光性樹脂からなるカバー5を設け、側面からの光の進入を防ぐことで、カメラモジュールができる。カバー5は、レンズ部反対側の平坦面を露出させつつ、レンズチップ40、センサチップ10及びスペーサ部151の側面が共通な外部平坦面とを覆うので、カバー材料の節約の効果を奏する。
【0026】
第1の実施例であるカメラモジュールの製造方法の概略プロセスフローを図に基づいて説明する。
【0027】
<半導体ウエハ作製工程>
図2は半導体ウエハ101の概略平面図である。図2に示すように、6インチもしくは8インチの半導体ウエハ101(厚さ625μm〜725μm)の表面に、半導体プロセスによりマトリクス状にセンサ形成領域111の複数すなわちアレイが形成される。図3は1つのカメラモジュールとなるべき半導体ウエハ101のセンサ形成領域の部分の概略部分拡大断面図である。
【0028】
まず、図3に示すように、センサ形成領域111の各々では、半導体ウエハ101の第1主面上に、光電変換素子を含む受光部11と、その周囲の金属パッド8とを形成する。受光部11には、画素の複数をマトリクス配列(たとえば、30万個程度)したCMOSイメージセンサを形成する。受光部11の受光素子毎にマイクロレンズを設けることもできる。各画素には受光素子(埋込型フォトダイオード)毎に数個のCMOS(相補性金属酸化膜半導体)トランジスタで構成したアンプを設ける。金属パッド8は、導電性の優れたたとえばアルミニウム(Al)などの金属が用いられる。
【0029】
次に、内部配線15を形成して、受光素子を含む受光部11とその周囲の金属パッド8と接続する。このようにして、図2に示すように、後工程のダイシング領域となる格子状のスペースを空けて半導体ウエハ101の第1主面にセンサ形成領域111の複数がアレイとしてマトリクス配列される。
【0030】
<透光性光学ウエハ作製工程>
上記半導体ウエハと同じサイズ、6インチもしくは8インチの300〜500μm厚のガラスウエハ(ガラス平板4)を準備する。図4はかかるガラスウエハ4の概略平面図である。以下の工程で、半導体ウエハのマトリクス状センサ形成領域のアレイと一致するように、ガラスウエハにレンズ部の複数からなるアレイを形成して、透光性光学ウエハ(レンズウエハ)を作製する。
【0031】
次に、図5に示すように、ガラスウエハ4の裏面上にレンズ用透光性樹脂を塗布し、レンズ形成用のモールド型MLを用いて、モールド型MLの凹部を樹脂に押圧して、下地レンズ部120を形成する。下地レンズ固化後、図6に示すように、ガラスウエハ4の下地レンズ部120上に第2のレンズ用透光性樹脂を塗布し、レンズ形成用のモールド型ML2を用いて、モールド型ML2の凹部を樹脂に押圧して、レンズ部121を固化させて完成させる。このように、樹脂を、あらかじめ作製しておいたレンズのモールド型によって成型し、加熱、あるいはUV照射等の方法によって、2種のモールド型を用いて2種の樹脂の成型を用いて同一の位置に重ねて2回以上の樹脂成型を行うことにより、よりパワーの大きいレンズ部を形成できる。透光性樹脂は紫外線硬化型でも熱硬化型でもどちらでも良い。なお、このレンズ形成工程において、1つのモールド型を用いて1つの樹脂の1回の成型を行うこともでき、さらに、3種のモールド型を用いて3種の樹脂の成型を用いて同一の位置に重ねて3回以上の樹脂成型を行うことにより、更によりパワーの大きいレンズ部を形成できる。
【0032】
図7はかかるガラスウエハ4の一括成型されたレンズ部から見た概略平面図である。また凸レンズ部の反対側の主面は平坦面として維持する。これらモールド型はナノインプリント技術に用いられるものを利用できる。たとえば、レンズ部2層構造の場合は、ガラス板側の1層目には比較的柔軟で収縮の影響が低いポリジメチルシロキサンなど樹脂を用い、2層目にはエポキシ樹脂などの1層目より硬度の高い樹脂を用いることが、リフロー時の熱抵抗向上において好ましい。レンズ部を多層構造とすることで、異なる熱膨張係数を補償し合うように、或いは、光硬化又は熱硬化後の変形などを相殺し合うように、適切な樹脂物質を選択する幅が拡大する。レンズの作製は個別のレンズを順次作製してもかまわないが、基板上に上記の手段で一括して作製することが望ましい。このような作製方法によるレンズは、ガラスと樹脂の組み合わせで構成されているため、ハイブリッドレンズと呼ばれ、レンズ部に使われる樹脂量が微量なため、リフローに耐えうる樹脂素材を使用できる、樹脂に固有な固化後の形状変動が最小化される効果がある。
【0033】
<貼り合わせ工程>
次に、図8に示すように、半導体ウエハ101のセンサ形成領域の受光部11にレンズの焦点を固定するためのスペーサ部151を接着剤を用いて接合する。スペーサ部151は半導体ウエハの第1主面上のセンサ形成領域の受光部11の各々を囲むような所定の位置にダイシング領域として配置される。スペーサ部151は、フランジバックを規定する所定厚のスペーサ9とその両面の接着剤層91からなる。接着剤の材料としては耐熱性のある、たとえばベンゾシクロブテン(Benzocyclobutene:BCB)、ポリイミドなどの感光性ポリマー材料が使用でき、紫外線硬化型或いは熱硬化型が用いられる。図9に示すように、半導体ウエハのダイシング領域の格子状のスペーサ部151に囲まれた受光部11がガラスウエハのレンズ部の各々に対応する。
【0034】
次に、図10に示すように、レンズ部121が内面にのみ位置するようにレンズ部121とセンサ形成領域111を対向させて位置合わせしつつ、半導体ウエハ101と透光性光学ウエハ(ガラスウエハ4)を貼り付け、圧着固定する。ここで、半導体ウエハ101上の受光部11がガラスウエハ4の裏面に形成された格子状のスペーサ部151に囲まれるように、ガラスウエハ4及び半導体ウエハ101が位置合わせされる。図10は半導体ウエハ101と透光性光学ウエハ4からなる貼着体の概略斜視図である。感光性接着剤を用いた場合、ガラスウエハ側から光照射を行い、スペーサ部151が光硬化することにより接合を実行してもよい。スペーサ部151は、半導体ウエハ101とガラスウエハ4間の所定距離維持の接合と共に、以後のグラインディング工程、貫通電極形成工程、ダイシング工程などの、個々のセンサ形成領域111の封止機能を果たす。
【0035】
このような工程を経て完成した半導体ウエハと透光性光学ウエハの貼着体は、薄い半導体ウエハ上に厚いガラスウエハが貼り付けられた構造をしているので、従来の半導体ウエハ強度補強用カバーガラスすなわち保護ガラス相当のコストを省くことが出来、カメラモジュールの高さをより低くすることが出来るというメリットがある。
【0036】
透光性光学ウエハの最上面にはレンズが形成されていないため、後工程の研磨装置の基板固定治具にレンズ面が接触することでレンズ形状が変形する問題は発生しない。また、樹脂で構成されたレンズは半導体ウエハ、透光性光学ウエハ、スペーサ部により覆われているため、後工程の貫通電極をエッチングする工程の高温、化学物質によってレンズが変質するといった問題を解決できる。
【0037】
<グラインディング工程>
次に、図11に示すように、レンズ保護用シート例えばバックグラインド用粘着シートBGSに透光性光学ウエハ4の平坦面を貼り付け、一体となった半導体ウエハ101の裏面を研削する。たとえば半導体ウエハ101を50〜100μm厚の所定厚にまでバックグラインドし、ウエハの第2主面を平坦化する。本実施例ではレンズ保護用シートとしては一般的な、紫外線(UV)露光により剥離可能な粘着材が塗布された柔軟性シートいわゆる公知のUVシートを利用できるが、薬品耐性を有するシートであれば、特にUVシートに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0038】
<電極形成工程>
ガラスウエハ4と一体となった半導体ウエハ101の第2主面に貫通電極、外部配線及び外部端子を形成する。概要は、貫通穴を深堀エッチングを用いて設け、Cuメッキなどにより配線を引きだし、電極パッドを形成するのである。
【0039】
まず、図12に示すように、半導体ウエハ101の裏面(第2主面)から各金属パッド8に至る貫通孔61(直径=100〜200μm)を形成する。半導体ウエハ101の裏面を通じて半導体ウエハ101の各金属パッド8の位置に各金属パッド8のサイズよりやや小さいサイズの貫通孔61を反応性イオンエッチング法を利用して形成する。反応性イオンエッチング法は、貫通孔61を形成すべき部分に開口を有する金属又はレジストのマスク(図示せず)を、予め、半導体ウエハ101の第2主面に形成し、その後、たとえばCF4などの混合ガス雰囲気中のSiF4生成反応を通じて、開口を介して、Siウエハをエッチングして、貫通孔61を形成する。
【0040】
その後、図13に示すように、たとえば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を使用して、貫通孔61の内壁及び底部(金属パッド8)並びに半導体ウエハ101の第2主面に、たとえばSiO2などの絶縁膜16を形成する。ここで、絶縁膜16は、その膜厚が貫通孔61の底部(金属パッド8)上の方が半導体ウエハ101の第2主面上より薄くなるように形成される。これにより、再度の反応性イオンエッチングにより、貫通孔61の底部において絶縁膜16の開口62が形成され金属パッド8が露出するが、貫通孔61の内壁及び半導体ウエハ101の第2主面の絶縁膜16は維持される。
【0041】
その後、金属パッド8が露出した貫通孔及びその周囲の貫通電極を形成すべき部分や、貫通電極に接続する外部配線を形成すべき部分に開口を有する所定パターンのマスク(図示せず)を、予め、半導体ウエハ101の第2主面の絶縁膜16上に形成し、電気メッキ法にて、図14に示すように、外部配線15及び貫通電極6を形成する。
【0042】
その後、図15に示すように、絶縁膜14を半導体ウエハ101の裏面全体に塗布して、リソグラフィー工程を実施して、外部回路との連結のために外部端子7を形成すべき部分の電極が露出されるようにパターニングして、そして、スクリーン印刷法によって、半導体ウエハ101の裏面の露出電極上にはんだペーストを塗布してリフローする。その後、残留フラックスを除去して、図16に示すように、外部端子7が形成される。なお、外部端子7を形成する前に、下地金属膜(図示せず)を形成することもできる。
【0043】
また、絶縁膜14材料としては、SiO2の他、SiN、PI(ポリイミド)が、また、配線材料としてはCu、Al、Ag、Ni、Auなどの中から選択される一種以上の導電材料が、外部端子7材料としてはSnAg、NiAuが用いられ得る。
【0044】
<ダイシング工程>
図17に示すように、ガラスウエハ4と一体となった半導体ウエハ101を、所定のダイシングブレード52により、スペーサ部151の中央に沿って厚さ方向に個別のカメラモジュールに分割する。ガラスウエハ4及びウエハの貼着体のガラスウエハ4側にダイシングテープ200を貼着してダイシング装置に装着し、実行する。
【0045】
以上のように、所定のサイズにガラスウエハ4と半導体ウエハ101をフルカットして図18に示すような、レンズチップ40、スペーサ部151及びセンサチップ10からなるカメラモジュールが得られる。
【0046】
<カバー被覆工程>
ダイシング加工後、個別のカメラモジュールに遮光用のカバーをかぶせ、カバーを樹脂などの接着剤を用いて固定をする。図1に示すようなセンサチップ10、スペーサ部151及びレンズチップ40側面全体並びにレンズ部周りに黒色などの遮光性樹脂からなるカバー5を設け、側面からの光の進入を防ぐことで、カメラモジュールができる。先のダイシング工程において一時期に、レンズチップ40及びスペーサ部151を切断しているので、それらの側面が共通な外部平坦面で形成できることにより、カバー樹脂との接合が良好に達成できる。
【0047】
以上の実施例1によれば、凸レンズ部の場合よりも比較的大きな面積で、バックグラインド時にガラスウエハ4の外側の平坦レンズ部が粘着シートと接着できるため、接着安定性が向上し、クラックや割れの発生がない効果が得られる。
【0048】
以上の製造方法は、センサ回路にCMOSイメージセンサの他に、CCDセンサ回路などの画像センサ用回路や、照度センサ回路、紫外線センサ回路、赤外線センサ回路、温度センサ回路を含む各種カメラモジュールに適用可能である。
【0049】
<実施例2>
実施例1では、レンズ部はセンサに対向する透光性光学ウエハ内面に設け、最外面はガラス平面とするレンズチップの1ピース及び1面構造であるが、この実施例では、レンズチップは2ピースで3面構造である。カメラモジュール製造は、透光性光学ウエハ作製工程において第2の透光性光学ウエハを更に作製し、貼り合わせ工程において第2の透光性光学ウエハを、先の半導体ウエハ101と平凸レンズの透光性光学ウエハ4との間に挿入した以外、実施例1と同様に実行される。
【0050】
実施例2の透光性光学ウエハ作製工程では、図19に示すように、同インチ径のガラスウエハ(ガラス平板4)上にレンズ用透光性樹脂を塗布し、レンズ成型用モールド型ML3、ML4を用いてレンズ部122を形成して、複数のレンズ部のアレイを有する第2の透光性光学ウエハ4Bを作製する。
【0051】
貼り合わせ工程においては、半導体ウエハ101にスペーサ部152を介して第2の透光性光学ウエハ4Bを位置合わせしつつ、圧着固定し、さらに、実施例2同様にスペーサ部151を介して透光性光学ウエハ4を位置合わせしつつ、圧着固定する。
【0052】
最終的に作製されたカメラモジュールは、図20に示すように、スペーサ部152を介して第2の透光性光学ウエハ4Bを平凸レンズチップ40とセンサチップ10の間に挿入した以外、実施例1のものと同様である。
【0053】
<実施例3>
実施例2では、レンズは各々2ピース3面構造であるが、この実施例では、レンズチップは3ピースで5面構造である。カメラモジュール製造は、透光性光学ウエハ作製工程において第3の透光性光学ウエハを更に作製し、貼り合わせ工程において第3の透光性光学ウエハを、先の半導体ウエハ101と両凸レンズの透光性光学ウエハ4Bとの間に挿入した以外、実施例2と同様に実行される。
【0054】
実施例3の透光性光学ウエハ作製工程では、同インチ径のガラスウエハ(ガラス平板4)上にレンズ用透光性樹脂を塗布し、所定のレンズ成型用モールド型を用いてレンズ部123を形成して、複数のレンズ部のアレイを有する第3の透光性光学ウエハ4Cを作製する。ここでも、レンズ部は両面に形成するが、レンズ成型前にあらかじめガラス平板上にIRカットフィルタなど機能フィルタを蒸着形成することもできる。
【0055】
貼り合わせ工程においては、半導体ウエハ101にスペーサ部153を介して第3の透光性光学ウエハ4Cを位置合わせしつつ、圧着固定し、さらに、実施例2同様にスペーサ部151、152を介して透光性光学ウエハ4、4Bを位置合わせしつつ、圧着固定する。
【0056】
最終的に作製されたカメラモジュールは、図21に示すように、それぞれ、スペーサ部152、153を介して第2及び第3の透光性光学ウエハ4B、4Cを、平凸レンズチップ40とセンサチップ10の間に挿入した以外、実施例1のものと同様である。
【0057】
このように、本発明はレンズチップの1〜3ピースに限定されるものではなく、更なる多ピースの多面構造においても等しく効果を持つことはいうまでもない。本発明によれば、レンズはイメージセンサと最上面(外面)の透光性光学ウエハの内側にのみ存在し、最上面には凸部が存在しない。そのため、この最上面を保護シートで大きな面積をもって固定することにより、イメージ半導体ウエハ裏面を安定に研磨加工することが可能になる。この場合、内面の各レンズに外力が及ぶことはないので、レンズ形状が半導体ウエハの裏面加工によって変形することもない。さらに、各レンズが積層された基板群の内側に存在するため、半導体ウエハ裏面を研磨後に、貫通電極を形成するウエハプロセスに投入しても、製造工程で使用されるプラズマや化学薬品がレンズに到達することはなく、各レンズの材質が劣化することはない。なお、最上面の透光性光学ウエハ以外の内側の透光性光学ウエハは、ガラスウエハにレンズ部を設けたレンズウエハの他に、IRカットフィルタや絞りを作り込んだ光学ウエハとすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明による第1の実施例のカメラモジュールを示す断面図である。
【図2】本発明による第1の実施例における半導体ウエハの概略平面図である。
【図3】本発明による第1の実施例における処理工程を示す半導体ウエハの概略部分拡大断面図である。
【図4】本発明による第1の実施例におけるガラスウエハの概略平面図である。
【図5】本発明による第1の実施例のレンズ部成型工程を示すガラスウエハ及びモールド型の概略部分拡大断面図である。
【図6】本発明による第1の実施例のレンズ部成型工程を示すガラスウエハ及びモールド型の概略部分拡大断面図である。
【図7】本発明による第1の実施例のレンズ部成型工程を示すガラスウエハのレンズ部から見た概略平面図である。
【図8】本発明による第1の実施例におけるスペーサ形成工程を示す半導体ウエハの概略部分拡大断面図である。
【図9】本発明による第1の実施例におけるスペーサ形成工程を示す半導体ウエハの概略平面図である。
【図10】本発明による第1の実施例における貼着工程を示す透光性光学ウエハ及び半導体ウエハの貼着体の概略斜視図である。
【図11】本発明による第1の実施例におけるバックグラインド工程を示す透光性光学ウエハ及び半導体ウエハの貼着体の部分拡大断面図である。
【図12】本発明による第1の実施例における貫通穴深堀工程を示す透光性光学ウエハ及び半導体ウエハの貼着体の部分拡大断面図である。
【図13】本発明による第1の実施例における絶縁処理工程を示す透光性光学ウエハ及び半導体ウエハの貼着体の部分拡大断面図である。
【図14】本発明による第1の実施例における電極形成工程を示す透光性光学ウエハ及び半導体ウエハの貼着体の部分拡大断面図である。
【図15】本発明による第1の実施例における第2絶縁処理工程を示す透光性光学ウエハ及び半導体ウエハの貼着体の部分拡大断面図である。
【図16】本発明による第1の実施例における外部端子形成工程を示す透光性光学ウエハ及び半導体ウエハの貼着体の部分拡大断面図である。
【図17】本発明による第1の実施例におけるダイシング工程を示す透光性光学ウエハ及び半導体ウエハの貼着体の部分拡大断面図である。
【図18】本発明による第1の実施例におけるダイシング工程を示す透光性光学ウエハ及び半導体ウエハの貼着体の部分拡大断面図である。
【図19】本発明による第2の実施例のレンズ部成型工程を示すガラスウエハ及びモールド型の概略部分拡大断面図である。
【図20】本発明による第2の実施例のカメラモジュールを示す断面図である。
【図21】本発明による第3の実施例のカメラモジュールを示す断面図である。
【符号の説明】
【0059】
4、4B、4C ガラスウエハ、ガラス平板
6 貫通電極
7 外部端子
8 金属パッド
10 センサチップ
11 受光部
14、16 絶縁膜
15 内部配線、外部配線
52 ダイシングブレード
62 開口
91 接着層
100 カメラモジュール
101 半導体ウエハ
111 センサ形成領域
121 レンズ部
151、152、153 スペーサ部
200 ダイシングテープ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換素子の受光部がそれぞれ形成された複数のセンサ形成領域と前記センサ形成領域の各々を囲むセンサ周辺領域とを有する主面と前記主面と対向する裏面とを具えた半導体ウエハと、レンズ部がそれぞれ形成された複数のレンズ形成領域と前記レンズ形成領域の各々を囲むレンズ周辺領域とを有するレンズ形成面と前記レンズ形成面と対向し平坦面であるレンズ非形成面とを具えたレンズウエハであって少なくとも1枚の透光性光学ウエハで構成された前記レンズウエハと、を準備する工程と、
各々の前記受光部と各々の前記レンズ部とがそれぞれ対向するように前記センサ周辺領域と前記レンズ周辺領域とがスペーサ部を介して空間を隔てて固着されることにより、前記スペーサ部を介して接合された前記半導体ウエハと前記レンズウエハとからなる貼着体を形成する工程と、
前記レンズ非形成面を介して前記貼着体を保持して前記半導体ウエハの前記裏面を研磨する工程と、
前記貼着体を前記センサ周辺領域及び前記レンズ周辺領域にて切断することにより、各々がスペーサ部にて接合されたセンサチップ及びレンズチップからなる複数のカメラモジュールに個片化する工程と、を含むことを特徴とするカメラモジュールの製造方法。
【請求項2】
前記センサ形成領域に電気的に接続されかつ前記貼着体の前記半導体ウエハを貫通して前記裏面に露出する貫通電極を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュールの製造方法。
【請求項3】
前記半導体ウエハの前記裏面にて前記貫通電極に電気的に接続される外部配線を形成する工程を含むことを特徴とする請求項2に記載のカメラモジュールの製造方法。
【請求項4】
前記レンズ非形成面にあらかじめレンズ保護用のシートを貼付する工程を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載のカメラモジュールの製造方法。
【請求項5】
前記レンズウエハがガラス平板と前記ガラス平板主面に接合されたレンズ部とからなり、前記レンズ部が樹脂からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載のカメラモジュールの製造方法。
【請求項6】
光電変換素子の受光部が形成されたセンサ形成領域と前記センサ形成領域を囲むセンサ周辺領域とを有する主面と前記主面と対向する裏面とを具えたセンサチップと、
レンズ部が形成されたレンズ形成領域と前記レンズ形成領域を囲むレンズ周辺領域とを有するレンズ形成面と前記レンズ形成面と対向し平坦面であるレンズ非形成面とを具えたレンズチップであって少なくとも1つの透光性光学チップで構成された前記レンズチップと、
前記受光部と前記レンズ部が空間を隔てて対向するように前記センサ周辺領域と前記レンズ周辺領域を接合するスペーサ部と、からなり、
前記センサチップ、前記レンズチップ及び前記スペーサ部の側面が共通な外部平坦面であること、並びに、
前記レンズ部と前記受光部に外部から光を通過させる開口を有する前記レンズ非形成面及び前記外部平坦面とを覆うカバーを備えたこと、を特徴とするカメラモジュール。
【請求項7】
前記センサ形成領域に電気的に接続されかつ前記センサチップを貫通して露出する貫通電極を備えたことを特徴とする請求項6に記載のカメラモジュール。
【請求項8】
前記貫通電極に電気的に接続された外部配線を備えたことを特徴とする請求項7に記載のカメラモジュール。
【請求項9】
前記レンズチップがガラス平板と前記ガラス平板主面に接合されたレンズ部とからなり、前記レンズ部が樹脂からなることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1に記載のカメラモジュール。
【請求項1】
光電変換素子の受光部がそれぞれ形成された複数のセンサ形成領域と前記センサ形成領域の各々を囲むセンサ周辺領域とを有する主面と前記主面と対向する裏面とを具えた半導体ウエハと、レンズ部がそれぞれ形成された複数のレンズ形成領域と前記レンズ形成領域の各々を囲むレンズ周辺領域とを有するレンズ形成面と前記レンズ形成面と対向し平坦面であるレンズ非形成面とを具えたレンズウエハであって少なくとも1枚の透光性光学ウエハで構成された前記レンズウエハと、を準備する工程と、
各々の前記受光部と各々の前記レンズ部とがそれぞれ対向するように前記センサ周辺領域と前記レンズ周辺領域とがスペーサ部を介して空間を隔てて固着されることにより、前記スペーサ部を介して接合された前記半導体ウエハと前記レンズウエハとからなる貼着体を形成する工程と、
前記レンズ非形成面を介して前記貼着体を保持して前記半導体ウエハの前記裏面を研磨する工程と、
前記貼着体を前記センサ周辺領域及び前記レンズ周辺領域にて切断することにより、各々がスペーサ部にて接合されたセンサチップ及びレンズチップからなる複数のカメラモジュールに個片化する工程と、を含むことを特徴とするカメラモジュールの製造方法。
【請求項2】
前記センサ形成領域に電気的に接続されかつ前記貼着体の前記半導体ウエハを貫通して前記裏面に露出する貫通電極を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュールの製造方法。
【請求項3】
前記半導体ウエハの前記裏面にて前記貫通電極に電気的に接続される外部配線を形成する工程を含むことを特徴とする請求項2に記載のカメラモジュールの製造方法。
【請求項4】
前記レンズ非形成面にあらかじめレンズ保護用のシートを貼付する工程を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載のカメラモジュールの製造方法。
【請求項5】
前記レンズウエハがガラス平板と前記ガラス平板主面に接合されたレンズ部とからなり、前記レンズ部が樹脂からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載のカメラモジュールの製造方法。
【請求項6】
光電変換素子の受光部が形成されたセンサ形成領域と前記センサ形成領域を囲むセンサ周辺領域とを有する主面と前記主面と対向する裏面とを具えたセンサチップと、
レンズ部が形成されたレンズ形成領域と前記レンズ形成領域を囲むレンズ周辺領域とを有するレンズ形成面と前記レンズ形成面と対向し平坦面であるレンズ非形成面とを具えたレンズチップであって少なくとも1つの透光性光学チップで構成された前記レンズチップと、
前記受光部と前記レンズ部が空間を隔てて対向するように前記センサ周辺領域と前記レンズ周辺領域を接合するスペーサ部と、からなり、
前記センサチップ、前記レンズチップ及び前記スペーサ部の側面が共通な外部平坦面であること、並びに、
前記レンズ部と前記受光部に外部から光を通過させる開口を有する前記レンズ非形成面及び前記外部平坦面とを覆うカバーを備えたこと、を特徴とするカメラモジュール。
【請求項7】
前記センサ形成領域に電気的に接続されかつ前記センサチップを貫通して露出する貫通電極を備えたことを特徴とする請求項6に記載のカメラモジュール。
【請求項8】
前記貫通電極に電気的に接続された外部配線を備えたことを特徴とする請求項7に記載のカメラモジュール。
【請求項9】
前記レンズチップがガラス平板と前記ガラス平板主面に接合されたレンズ部とからなり、前記レンズ部が樹脂からなることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1に記載のカメラモジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2010−56292(P2010−56292A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−219647(P2008−219647)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(308033711)OKIセミコンダクタ株式会社 (898)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(308033711)OKIセミコンダクタ株式会社 (898)
【Fターム(参考)】
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