説明

カルジオリピン類似体の合成及びそれらの使用



本発明は、様々な脂肪酸、及び/又は、様々な長さ及び飽和/不飽和の度合いを持つアルキル鎖を有する、カルジオリピン、転位カルジオリピン(カルジオリピンの1,2-位置異性体)並びにそれらの類似体を調製する、新規の合成手法を提供する。該方法は、(a)純粋な1,2-O-ジアシル-sn-グリセロール又は1,2-O-ジアルキル-sn-グリセロールを、1つ以上のホスホアミダイト試薬と反応させ、亜リン酸トリエステルを製造する工程;(b)(a)の生成物をグリセロールとカップリングさせ、保護カルジオリピンを製造する工程;及び(c)保護カルジオリピンを脱保護し、カルジオリピンを調製する工程を含む。本発明の方法により調製されるカルジオリピン及びそれらの類似体は、リポソーム(疎水性もしくは親水性薬物、アンチセンスヌクレオチド又は診断用薬のような活性剤も含有し得る)に組込まれ得る。そのようなリポソームは、疾患を治療するために用いられ得るか、又は診断及び/もしくは分析アッセイにおいて用いられ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2004年11月8日出願の米国仮特許出願No. 60/625,845の利益を請求し、該開示は本明細書中に組込まれるものとする。
【0002】
本発明は、大量のカルジオリピン類似体/バリアント、及びそれらを含有する組成物を調製する、新規の合成方法に関する。本発明はまた、活性剤もしくは薬物を含有するリポソーム製剤、複合体又は乳剤、並びに、ヒト及び動物の疾患の治療におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
リポソーム製剤は、水溶液中において疎水性薬物の溶解度を増加し得る。それらはしばしば、薬物治療に関する副作用を低減し、活性剤の新規の製剤を開発する適応性のある手段を提供する。
【0004】
リポソームは通常、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、及びホスファチジルイノシトールのような天然リン脂質から調製される。ホスファチジルグリセロール及びカルジオリピンのようなアニオン性リン脂質は、コロイド安定化を提供する正味の負の表面電荷を発生させるために加えられ得る。これらの成分はしばしば、自然源から精製され、場合によっては、それらは化学的に合成され得る。
【0005】
カルジオリピン(ジホスファチジルグリセロールとしても公知)は、複合アニオン性リン脂質の分類に属し、典型的に、高い代謝活性に関連する組織の細胞膜(心臓及び骨格筋のミトコンドリアを含む)から精製される。従って、カルジオリピンの負の表面電荷は、凝集による取込みに対抗して、リポソームを安定化する。動物組織及びミトコンドリアにおいて、カルジオリピンはリノール酸を90%まで含有する(18:2)。酵母カルジオリピンは、より多くのオレイン脂肪酸(18:1)及びパルミトレイン脂肪酸(16:1)を有する点で異なり、細菌の脂質は、14〜18炭素を有する、飽和なモノエン脂肪酸を含有する。
【0006】
一般的に、保護カルジオリピンの化学合成は、(1)半合成(酵素的)方法(例えば、Arrigo et al., J. Chem. Soc. Perkin Trans, 21, 2657-2660 (1996)を参照)、又は(2)トリイソプロピルベンゼンスルホニルクロリドの存在下、ホスファチジルグリセロール(PG)もしくは2-O-保護グリセロールとホスファチジン酸との縮合 (例えば、Keana et al., J. Org. Chem., 51, 2297- 2299 (1986)、Mishina et al., Bioorg. Khim. 13, 1110-1115 (1985)、Mishina et al., Bioorg. Khim. 11, 992-994 (1985)、Mishina et al., Zh. Org., Khim. 20, 985-988 (1984)を参照) のいずれかによる、PGの一級アルコール基の、ホスファチジン酸での選択的リン酸化を含む。他の合成アプローチは、環状エンジオール ピロリン酸 (例えば、Ramirez et al., Synthesis, 11, 769-770 (1976)、Ramirez et al., Tetrahedron, 33, 599-608 (1977)を参照)、ホスファチジン酸の銀塩(例えば、De Haas et al., Biochim. Biophys. Acta, 116, 114-124 (1966)、Inoue et al., Chem. Pharm. Bull. 11, 1150-1156 (1963)及びInoue et al., Chem. Pharm. Bull. 16, 76-81 (1968)を参照)、オキシ塩化リン(例えば、Saunders and Schwarz, J. Am. Chem. Soc. 88, 3844-3847 (1966)を参照)、並びに2-クロロフェニル ホスホロジ-(1,2,4-トリアゾリド) (例えば、Duralski et al., Tetrahedron Lett. 39, 1607-1610 (1998)を参照) のようなリン酸化剤の使用を開示する。カルジオリピン及びその類似体の合成に向けた我々の継続中の研究の一部として、我々は、カルジオリピンに基づくホスホアミダイト化学における便利な別の方法(例えば、Krishna et al., Tetrahedron Lett. 45, 2077-2079 (2004)、Krishna et al., Lipids, 39, 595-600 (2004)及びLin et al., Lipids, 39, 285-290 (2004)を参照)を報告した。具体的には、これらの方法は、ホスホアミダイト試薬又は縮合試薬と共に、2-O-保護グリセロール(ベンジル、シリル、レブリノイル)を用いる。しかし、これらの2-O-保護グリセロールの合成は、さらに3段階を含み(例えば、Dodd et al., J. Chem. Soc. Perkin Trans, 1, 2273-2277 (1976)及びChong and Sokoll, Organic preparations and Procedures int., 25, 639-647 (1993)を参照)、しばしば低収率及び保護基選択の限定を伴う、より費用のかかる工程をもたらす。さらに、2-O-シリル保護グリセロールは転位の傾向にある。従って、これらの方法は、グラム量のカルジオリピンの調製には適切であるが、追加の段階の数のために、より大量のカルジオリピンの調製には好ましくない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの障害を考慮すると、様々な脂肪酸鎖長を有する飽和及び不飽和カルジオリピンの種(特に短鎖カルジオリピン)を大量に調製し得る、新規の合成方法が必要とされる。そのような方法は、より多種多様なカルジオリピン種の入手可能性を増やし、活性剤を含有する新規のリポソーム製剤を開発するのに使用可能な脂質を多様化する。
【0008】
本発明は、そのような方法及び組成物を提供する。本発明は、Watanabeによって開発されたホスホニウム塩法による、簡潔で、完全なカルジオリピンの合成を開示する(例えば、Watanabe et al., Tetrahedron Lett. 35, 123-124 (1994)及びWatanabe et al., Tetrahedron Lett. 42, 7407-7410 (1997)を参照)。本方法の汎用性は、グリセロールの使用により実証され、3段階のみを含む。
【0009】
本発明の、これら及び他の有用性は、付加的な発明的特徴と共に、本明細書中に開示される本発明についての記載から明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本発明は、様々な脂肪酸、及び/又は、様々な長さ及び飽和/不飽和の度合いを持つアルキル鎖を有する、カルジオリピン、転位カルジオリピン並びにそれらの類似体を調製する、新規の合成手法を提供する。該方法は、(a)光学的に純粋な1,2-O-ジアシル-sn-グリセロール又は1,2-O-ジアルキル-sn-グリセロールを、1つ以上のホスホアミダイト試薬と反応させ、亜リン酸トリエステルを製造する工程;(b)(a)の生成物をグリセロールとカップリングさせ、保護カルジオリピンを製造する工程;及び(c)保護カルジオリピンを脱保護し、カルジオリピンを調製する工程を含む。本発明の方法により調製されるカルジオリピン及びそれらの類似体は、リポソーム(疎水性もしくは親水性薬物、アンチセンスヌクレオチド又は診断用薬のような活性剤も含有し得る)に組込まれ得る。そのようなリポソームは、疾患を治療するために用いられ得るか、又は診断及び/もしくは分析アッセイにおいて用いられ得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(発明の詳細な説明)
本発明は、一般式I及びII:
【0012】
【化1】

【0013】
【化2】

【0014】
のカルジオリピンバリアント並びに類似体の合成方法を開示する。
【0015】
本発明はまた、下記の一般式III:
【0016】
【化3】

【0017】
の構造を有するカルジオリピンバリアントを含有する組成物の合成方法を提供する。
【0018】
最後に、本発明は、該組成物、並びに、一般式IV及びV:
【0019】
【化4】

【0020】
【化5】

【0021】
の転位カルジオリピンバリアント(カルジオリピンの位置異性体)及び類似体の合成方法を開示する。
【0022】
式I、II、III、IV及びVにおいて、R1及びR2は同一又は異なって、H、飽和及び/もしくは不飽和アルキル基であり;
【0023】
式I、II、III及びIVにおいて、Xは水素イオン、アンモニウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、バリウムイオン又は任意の他の非毒性カチオンである。
【0024】
式III及びIVにおいて、Y1及びY2は同一又は異なって、-O-C(O)-、-O-、-S-、-NH-C(O)-等であり;
【0025】
R3は(CH2)n (n=0〜15) であり;
【0026】
R4は必要及び要望に応じて分子に任意に加えられ得るリンカーであり、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、約1〜約500アルキルオキシ長 (及び、少なくとも約50アルキルオキシ長のような少なくとも約10アルキルオキシ長、又は少なくとも約200アルキルオキシ長のような少なくとも約100アルキルオキシ長、又は少なくとも約300アルキルオキシ長、又は少なくとも約400アルキルオキシ長を有し得る) を含むペグ化エーテルのようなポリアルキルオキシ、置換ポリアルキルオキシ等、ペプチド、ジペプチド、ポリペプチド、タンパク質、糖(例、グルコース、マンノース、ガラクトース、多糖等)を含む。
【0027】
用語「アルキル」は、飽和又は不飽和の、直鎖及び分岐鎖炭化水素部分を含む。用語「置換アルキル」は、ヒドロキシ、アルコキシ(より低級アルキル基の)、メルカプト(より低級アルキル基の)、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、アミド、イミノ、チオ、-C(O)H、アシル、オキシアシル、カルボキシル等から選択される、1つ以上の置換基をさらに有するアルキル基を含む。
【0028】
最も好ましい実施形態において、式IIIのY1及びY2は、-O-C(O)-又は-O-である。さらに、式IIIにおいて、最も好ましくは、R3はCH2である。式I、II、及びIIIにおいて、R1及びR2は同一であり、C2〜C34飽和及び/又は不飽和アルキル基、より好ましくは4ないし14炭素原子である。さらに、式I、II及びIIIにおいて、最も好ましくは、Xは水素又はアンモニウムイオンである。リンカー(R4)が存在しない場合、式IIIはカルジオリピンの一般的な構造を表す。
【0029】
様々な脂肪酸鎖長を有する式I、II、III、IV及びVのカルジオリピンの合成の、典型的な反応順序は、(a)式VI:
【0030】
【化6】

【0031】
のアルコールを1つ以上の一般式VII:
【0032】
【化7】

【0033】
(式中、Xa及びXbはリン酸保護基である)のホスホアミダイト試薬と反応させ、亜リン酸トリエステルを製造する工程;(b)酸性触媒の存在下で、(a)の生成物を非保護グリセロールとカップリングさせ、保護カルジオリピンを製造する工程;及び(c)保護カルジオリピンを脱保護し、カルジオリピンを調製する工程、を含む。
【0034】
本発明の方法では、式VIのR1、R2、R3、Y1、及びY2は、式I、II、III、IV又はVについて上記に示すものであり得る。
【0035】
さらに、本発明の方法では、酸性触媒は該反応を促進し得る任意の適切な触媒であり得る。そのような触媒の例としては、4,5-ジクロロイミダゾール、1H-テトラゾール、5-(4-ニトロフェニル)-1H-テトラゾール、5-(3,5-ジニトロフェニル)-1H-テトラゾール、N-メチルイミダゾリウムトリフレート、及び過塩素酸N-メチルイミダゾリウムが挙げられる。好ましい触媒は、4,5-ジクロロイミダゾール又は1H-テトラゾールである。
【0036】
さらに、本発明の方法では、式VIIのXa及びXbは同一又は異なって、リン酸保護基、好ましくはベンジル基、2-シアノエチルもしくはシリル基である。他の適切な保護基の例としては、エチル、メチル、シクロヘキシル、t-ブチルを含むアルキル基;2-置換エチル(2-シアノエチル、4-シアノ-2-ブテニル、2-(メチルジフェニルシリル)エチル、2-(トリメチルシリル)エチル、2-(トリフェニルシリル)エチルを含む);ハロエチル(2,2,2-トリクロロエチル、2,2,2-トリブロモエチル、2,2,2-トリフルオロエチルを含む)及びベンジル基(4-クロロベンジルを含む)、フルオレニル-9-メチル、ジフェニルメチル並びにアミド化物が挙げられる。
【0037】
様々な脂肪酸鎖長を有する式I及びVのカルジオリピンの合成のための反応順序は、図2に示され、(a)光学的に純粋な1,2-O-ジアシル-sn-グリセロール2を、一般式VII(Xa及びXbは同一又は異なって、リン酸保護基、好ましくはベンジル基もしくはメチル基である)の1つ以上のホスホアミダイト試薬と反応させる工程;(b)塩素系溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム等)中で、ピリジニウムペルブロミド及びホスホニウム塩法(例えば、前記のWatanabe et al.を参照)を用いて、(a)の生成物3を非保護グリセロールとカップリングさせ、1,3-リン酸化生成物4(カルジオリピンの前駆体)及びより少量の1,2-リン酸化生成物5(カルジオリピンの位置異性体)を得る工程を含む。合成方法の本文脈における好ましいカップリング試薬は、ジベンジルジイソプロピルホスホアミダイトである。その後、保護カルジオリピンを脱保護し、アンモニウム塩に変換することにより、1,3-ジホスファチジルグリセロール1(カルジオリピン)及び1,2-ジホスファチジルグリセロール6(転位カルジオリピン又はカルジオリピンの位置異性体)の製造をもたらす。
【0038】
1,2-リン酸化生成物6(転位カルジオリピン)の同一性及び構造は、図3に示されるように、同一物の単独の合成によりさらに確認された。図3は、唯一の生成物としてカルジオリピン6の転位類似体(ホスファチジル基がグリセロールの1,2-位に与えられる)へと導く、本発明の他の実施形態を示す。従って、該順序は、(a)1,2-O-ジアシル-sn-グリセロール2をメチル クロロホスホアミダイト7で処理し、リン酸化剤を製造する工程;(b)リン酸化剤を3-O-保護グリセロール8と反応させ、その後酸化し、保護転位カルジオリピン9を製造する工程;及び(c)保護カルジオリピンを脱保護し、カルジオリピン6のアンモニウム塩として転位類似体を製造する工程を含む。
【0039】
開示の方法は、様々な新規のカルジオリピン分子を調製するのに用いられ得る。例えば、該方法は、カルジオリピンバリアントを短い又は長い脂肪酸側鎖を含む純粋型で調製するのに用いられ得る。好ましい脂肪酸は、約C2〜C34の炭素鎖長の範囲であり、好ましくは約C4ないし約C24であり、数ある中でも、テトラン酸(C4:0)、ペンタン酸(C5:0)、ヘキサン酸(C6:0)、ヘプタン酸(C7:0)、オクタン酸(C8:0)、ノナン酸(C9:0)、デカン酸(C10:0)、ウンデカン酸(C11:0)、ドデカン酸(C12:0)、トリデカン酸(C13:0)、テトラデカン(ミリスチン)酸(C14:0)、ペンタデカン酸(C15:0)、ヘキサデカン(パルミチン、palmatic)酸(C16:0)、ヘプタデカン酸(C17:0)、オクタデカン(ステアリン)酸(C18:0)、ノナデカン酸(C19:0)、エイコサン(アラキン)酸(C20:0)、ヘンエイコサン酸(C21:0)、ドコサン(ベヘン)酸(C22:0)、トリコサン酸(C23:0)、テトラコサン酸(C24:0)、10-ウンデセン酸(C11:1)、11-ドデセン酸(C12:1)、12-トリデセン酸(C13:1)、ミリストレイン酸(C14:1)、10-ペンタデセン酸(C15:1)、パルミトレイン酸(C16:1)、オレイン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)、リノレン酸(C18:3)、エイコセン酸(C20:1)、エイコサジエン(eicosdienoic)酸(C20:2)、エイコサトリエン酸(C20:3)、アラキドン酸(cis-5,8,11,14-エイコサテトラエン酸)、及びcis-5,8,11,14,17-エイコサペンタエン酸が挙げられる。エーテル類似体において、アルキル鎖はまた、C2〜C34の範囲であり、好ましくは約C4ないし約C24である。他の脂肪酸鎖はまた、R1及び/又はR2置換基として使用され得る。そのようなものの例としては、エタン(もしくは酢)酸、プロパン(もしくはプロピオン)酸、ブタン(もしくは酪)酸、ヘキサコサン(もしくはセロチン)酸、オクタコサン(もしくはモンタン)酸、トリアコンタン(もしくはメリシン)酸、ドトリアコンタン(もしくはラッセル)酸、テトラトリアコンタン(もしくはゲダ)酸、ペンタトリアコンタン(もしくはセロプラスチン)酸等のような飽和脂肪酸;trans-2-ブテン(もしくはクロトン)酸、cis-2-ブテン(もしくはイソクロトン)酸、2-ヘキセン(もしくはイソヒドロソルビン)酸、4-デカン(もしくはオブツシル(obtusilic))酸、9-デカン(もしくはカプロレイン)酸、4-ドデセン(もしくはリンデル)酸、5-ドデセン(もしくはデンチセチン(denticetic))酸、9-ドデセン(もしくはラウロレイン)酸、4-テトラデセン(もしくはツズ)酸、5-テトラデセン(もしくはフィゼテリン(physeteric))酸、6-オクタデセン(もしくはペトロセリン(petroselenic))酸、trans-9-オクタデセン(もしくはエライジン)酸、trans-11-オクタデセン(もしくはバクセン(vaccinic))酸、9-エイコセン(もしくはガドレイン)酸、11-エイコセン(もしくはゴンド)酸、11-ドコセン(もしくはセトレン)酸、13-デコセン(もしくはエルカ)酸、15-テトラコセン(もしくはネルボン)酸、17-ヘキサコセン(もしくはキシメン(ximenic))酸、21-トリアコンテン(triacontenoic)(もしくはルメクエン(lumequeic))酸等のようなモノエン不飽和脂肪酸;2,4-ペンタジエン(もしくはβ-ビニルアクリル)酸、2,4-ヘキサジエン(もしくはソルビン)酸、2,4-デカジエン(もしくはシチリンジン(stillingic))酸、2,4-ドデカジエン酸、9,12-ヘキサデカジエン酸、cis-9, cis-12-オクタデカジエン(もしくはα-リノール)酸、trans-9, trans-12-オクタデカジエン(もしくはリノレレイジン(linolelaidic))酸、trans-10, trans-12-オクタデカジエン酸、11,14-エイコサジエン酸、13,16-ドコサジエン酸、17,20-ヘキサコサジエン酸等のようなジエン不飽和脂肪酸;6,10,14-ヘキサデカトリエン(もしくはヒラゴニン(hiragonic))酸、7,10,13-ヘキサデカトリエン酸、cis-6, cis-9-cis-12-オクタデカトリエン(もしくはγ-リノール)酸、trans-8, trans-10- trans-12-オクタデカトリエン(もしくはβ-カレンジン)酸、cis-8, trans-10-cis-12-オクタデカトリエン酸、cis-9, cis-12-cis-15-オクタデカトリエン(もしくはα-リノレン)酸、trans-9, trans-12-trans-15-オクタデカトリエン(もしくはα- リノレンレイジン(linolenelaidic))酸、cis-9, trans-11-trans-13-オクタデカトリエン(もしくはα-エレオステアリン)酸、trans-9, trans-11-trans-13-オクタデカトリエン(もしくはβ-エレオステアリン)酸、cis-9, trans-11-cis-13-オクタデカトリエン(もしくはプニカ)酸、5,8,11-エイコサトリエン酸、8,11,14-エイコサトリエン酸等のようなトリエン不飽和脂肪酸;4,8,11,14-ヘキサデカテトラエン酸、6,9,12,15-ヘキサデカテトラエン酸、4,8,12,15-オクタデカテトラエン(もしくはモロクチン(moroctic))酸、6,9,12,15-オクタデカテトラエン酸、9,11,13,15-オクタデカテトラエン(又は、α-もしくはβ-パリナリン)酸、9,12,15,18-オクタデカテトラエン酸、4,8,12,16-エイコサテトラエン酸、6,10,14,18-エイコサテトラエン酸、4,7,10,13- ドコサテトラエン酸、7,10,13,16-ドコサテトラエン酸、8,12,16,19-ドコサテトラエン酸等のようなテトラエン不飽和脂肪酸;4,8,12,15,18-エイコサペンタエン(もしくはティムノドン(timnodonic))酸、4,7,10,13,16-ドコサペンタエン酸、4,8,12,15,19-ドコサペンタエン(もしくはクルパノドン)酸、7,10,13,16,19-ドコサペンタエン酸、4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸、4,8,12,15,18,21-テトラコサヘキサエン(もしくはニシン(nisinic))酸等のようなペンタ-及びヘキサ-エン不飽和脂肪酸;3-メチルブタン(もしくはイソ吉草)酸、8-メチルドデカン酸、10-メチルウンデカン(もしくはイソラウリン)酸、11-メチルドデカン(もしくはイソウンデシル)酸、12-メチルトリデカン(もしくはイソミリスチン)酸、13-メチルテトラデカン(もしくはイソペンタデシル)酸、14-メチルペンタデカン(もしくはイソパルミチン)酸、15-メチルヘキサデカン、10-メチルヘプタデカン酸、16-メチルヘプタデカン(もしくはイソステアリン)酸、18-メチルノナデカン(もしくはイソアラキン)酸、20-メチルヘンエイコサン(もしくはイソベヘン)酸、22-メチルトリコサン(もしくはイソリグノセリン)酸、24-メチルペンタコサン(もしくはイソセロチン)酸、26-メチルヘプタコサン(もしくはイソモナトン(isomonatonic))酸、2,4,6-トリメチルオクタコサン(又は、マイコセラン(mycoceranic)もしくはマイコセロシン(mycoserosic))酸、2-メチル-cis-2-ブテン(アンゲリカ)酸、2-メチル-trans-2-ブテン(もしくはチグリン)酸、4-メチル-3-ペンテン(もしくはピロテレビン)酸等のような分岐鎖脂肪酸が挙げられる。
【0040】
本発明はまた、本発明の方法で調製されるカルジオリピン又はカルジオリピン類似体、並びに、カルジオリピン及びカルジオリピン類似体の位置異性体を提供する。最も好ましくは、本発明の方法により調製されるカルジオリピンは、短脂肪酸鎖を含む(すなわち、「短鎖カルジオリピン」)。短脂肪酸鎖は、約2ないし約14炭素原子を含み、約4(又は約6)ないし約12炭素原子(例、約8ないし約10炭素原子)を有し得る。あるいは、本発明の方法により製造されるカルジオリピンは、長鎖脂肪酸鎖を含み得る(すなわち、「長鎖カルジオリピン」)。長脂肪酸鎖は、約14ないし約34炭素原子(例、約14(又は約20)ないし約24炭素原子)を含む。本発明の方法は、短鎖又は長鎖カルジオリピンの種の製造のみに限られない。実際、中間の長さの脂肪酸/アルキル鎖を含むカルジオリピンも本発明の方法により調製され得る。
【0041】
上述の本発明は、カルジオリピンを合成する的確かつ有効な方法である。経路は短く、良好な全収率で進行する。脱保護は、保護基に応じた方法により成され得る。例えば、ベンジル又はメチル基はNaI、2-シアノエチルでの処理により除去され得、及びフルオレニルメチル基はトリエチルアミンのような3級塩基での処理により除去され得、シリル基は、フッ化物イオン又は酸性媒質で脱保護され得る。本明細書中に記載の合成方法は、任意の適切な手法で修飾され得る。例えば、ホスホアミダイト及びリン酸エステルは、4,5-ジクロロイミダゾール、5-(4-ニトロフェニル)-1H-テトラゾール、5-(3,5-ジニトロフェニル)-1H-テトラゾール、N-メチルイミダゾリウムトリフレート、及び過塩素酸N-メチルイミダゾリウムを含む、様々な酸性触媒を用いて調製され得る。同様に、tert-ブチルヒドロペルオキシドは、代替の酸化剤として用いられ得る。記載の方法はさらに、当該分野で公知の任意の適切な手法で修飾され得る。
【0042】
本明細書中に記載のカルジオリピン類似体及びそれらの位置異性体は、ヒトの疾患の治療における薬用の活性剤として用いられ得、及び美容用の活性剤として用いられ得る。
【0043】
さらに、本明細書に記載のカルジオリピン分子、及び本発明の方法により製造されるカルジオリピン類似体は、リポソーム組成物のような脂質製剤中で使用され得る。本発明のカルジオリピンを含有する複合体、乳剤及び他の製剤もまた、本発明の範囲内である。本発明のそのような製剤は、任意の適切な技術により調製され得る。本発明は、リポソーム又は他の脂質組成物を調製する方法を提供し、該方法は、本明細書中に記載のカルジオリピン又はカルジオリピン類似体を調製する工程、及びリポソームのような脂質製剤中にカルジオリピン又はカルジオリピン類似体を組込む工程を含む。本発明はまた、本発明のカルジオリピン及び/又はカルジオリピン類似体を含有する、そのような脂質組成物を含む。
【0044】
さらに、本発明のカルジオリピンに加え、リポソーム組成物、複合体、乳剤等は、他の脂質を含有し得る。従って、例えば組成物は、1つ以上のホスファチジルコリン(例えば、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジオレイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジアラキドノイルホスファチジルコリン、卵ホスファチジルコリン、大豆ホスファチジルコリン、水素化大豆ホスファチジルコリン、及びそれらの混合物など)を含有し得る。あるいは又はさらに、組成物は1つ以上のホスファチジルグリセロール(ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファチジルグリセロール、ジオレイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジアラキドノイルホスファチジルグリセロール、及びそれらの混合物など)を含有し得る。あるいは又はさらに、組成物は、1つ以上のステロール(コレステロール、コレステロールの誘導体、コプロスタノール、コレスタノール、コレスタン、ヘミコハク酸コレステロール、硫酸コレステロール、及びそれらの混合物など)を含有し得る。好ましくは、カルジオリピン又はカルジオリピン類似体に加え、組成物はホスファチジルコリン、ステロール、及びトコフェロール(例、αトコフェロール)を含有する。
【0045】
さらに組成物はまた、カルジオリピン、カルジオリピンの位置異性体、及び任意に他の脂質に加え、いくつかある構成要素のうち特に安定化剤、吸収促進剤、抗酸化剤、リン脂質、生分解性ポリマー及び医学上の活性剤を含有し得る。いくつかの実施形態において、本発明の組成物、特にリポソーム組成物は、糖もしくはタンパク質、又は特定の基質に結合する他のリガンド(例えば、細胞受容体を認識する)のような1つ以上の標的化剤を含有することが好ましい。そのような剤(例、糖、又は、抗体、抗体フラグメント、ペプチド、ペプチドホルモン、細胞受容体に対する抗体のような受容体リガンド、及びそれらの混合物から成るタンパク質の群より選択される1つ以上のタンパク質)の含有は、所定の組織又は細胞型へのリポソームの標的化を促進し得る。
【0046】
医薬用に、組成物はまた、1つ以上の活性剤を含有し得る。単一の活性剤が含有され得るか、又は活性剤の混合物(例、2つ以上の活性剤)が組成物中に含有され得る。活性剤(又は「薬物」)は、組成物中に、任意の適切な手法で提供され得る。例えば、それらは組成物中で、カルジオリピン、又はカルジオリピンもしくはカルジオリピン類似体の位置異性体と複合体化され得る。さらに、他の実施形態において、組成物がリポソーム組成物である場合、1つ以上の活性剤がリポソーム内に封入され得る。
【0047】
本発明に適合する活性剤としては例えば、これらに限定されないが、末梢神経、アドレナリン受容体、コリン作動性受容体、骨格筋、心臓血管系、平滑筋、血管循環系、シナプス部位、神経効果器接合性部位、内分泌及びホルモン系、免疫系、生殖器系、骨格系、消化器系及び排泄系、ヒスタミン系、並びに中枢神経系に作用する剤が挙げられる。適切な剤としては、例えば、これらに限定されないが、タンパク質、酵素、ホルモン、ヌクレオチド(センス及びアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む(例えば、米国特許番号 6,126,965を参照))、ポリヌクレオチド、核タンパク質、多糖、糖タンパク質、リポタンパク質、ポリペプチド及びステロイドから選択され得る。活性剤は、鎮痛剤、麻酔剤、抗不整脈薬、抗生物質、抗アレルギー剤、抗真菌薬、抗癌剤、抗凝血剤、抗うつ剤、抗糖尿病薬、抗てんかん薬、抗炎症性コルチコステロイド、アルツハイマーもしくはパーキンソン病の治療剤、抗腫瘍薬、抗原虫剤、抗不安薬、甲状腺、抗甲状腺薬、抗ウイルス剤、食欲抑制剤、ビスホスホネート、心臓への変力薬、心血管治療薬、コルチコステロイド、利尿薬、ドーパミン作動薬、胃腸薬、止血薬、高コレステロール薬、降圧剤(例、ジヒドロピリジン)、抗うつ剤、及びcox-2阻害剤、免疫抑制剤、抗痛風薬、抗マラリア薬、ステロイド、テルピノイド、トリテルピン、レチノイド(retinoid);抗腫瘍H2-受容体拮抗薬、血糖降下薬、保湿剤、化粧品(例、脱毛症の治療薬)、抗偏頭痛薬、抗ムスカリン薬、抗炎症薬(リウマチ、関節炎、乾癬、炎症性大腸炎、クローン病の治療薬など);又は多発性硬化症を含む脱髄疾患の治療薬、眼薬、ワクチン(例、肺炎、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、コレラ毒素Bサブユニット、インフルエンザウイルス、腸チフス、熱帯熱マラリア原虫、ジフテリア、破傷風、HSV、結核、HIV、SARSウイルス、百日咳菌、はしか、おたふく風邪及び風疹のワクチン(MMV)、細菌性トキソイド、ワクチンウイルス、アデノウイルス、カナリア、ポリオウイルス、カルメットゲラン菌(BCG)、肺炎桿菌等に対する)、ヒスタミン受容体拮抗薬、睡眠薬、腎臓保護薬、脂質調整薬、筋肉弛緩剤、神経弛緩剤、向神経薬、オピオイド作用薬及び拮抗薬、副交感神経興奮薬、プロテアーゼ阻害剤、プロスタグランジン、鎮静剤、性ホルモン(例、エストロゲン、アンドロゲン)、興奮剤、交感神経興奮剤、血管拡張薬及びキサンチン、並びにこれらの種の合成類似体であり得る。治療薬は、シクロスポリン及びアムホテリシンBのような腎毒性、又はアムホテリシンB及びパクリタキセルのような心毒性であってもよい。典型的な抗癌剤としては、メルファラン、クロルメチン、リン酸エストラムスチン(extramustinephosphate)、ウラムスチン、イホスファミド、マンノムスチン、トリホスファミド、ストレプトゾトシン、ミトブロニトール、ミトキサントロン(例えば、公開国際特許出願WO 02/32400を参照)、メトトレキサート、フルオロウラシル、シタラビン、テガフール、イドキシド(dioxide)、タキサン(例えば、タキソール、パクリタキセル等、公開国際特許出願WO 00/01366を参照)、ダウノマイシン、ダウノルビシン、ブレオマイシン、アムホテリシン、カルボプラチン、シスプラチン、パクリタキセル、BCNU、ビンカアルカロイド(例、ビンクリスチン、ビノレルビン(例えば、公開国際特許出願WO 03/018018を参照)等)カンプトテシン及びそれらの誘導体(例、SN38(例えば、公開国際特許出願WO 02/058622を参照)、イリノテカン(例えば、公開国際特許出願WO 03/030864を参照)等)、アントラサイクリン、抗体、サイトキシン、ドキソルビシン、エトポシド、サイトカイン、リボザイム、インターフェロン、オリゴヌクレオチド、並びに前述のものの機能性誘導体が挙げられる。該方法で送達され得る薬物のさらなる例としては、エジシル酸プロクロルペラジン、硫酸鉄、アミノカプロン酸、塩酸メカミラミン、塩酸プロカインアミド、硫酸アンフェタミン、塩酸メタンフェタミン、塩酸ベンズアンフェタミン、硫酸イソプロテレノール、塩酸フェンメトラジン、塩化ベタネコール、塩化メタコリン、塩酸ピロカルピン、硫酸アトロピン、臭化スコポラミン、ヨウ化イソプロパミド、塩化トリジヘキセチル、塩酸フェンホルミン、塩酸メチルフェニデート、コリン酸テオフィリン(theophylline cholinate)、塩酸セファレキシン、ジフェニドール、塩酸メクリジン、マレイン酸プロクロルペラジン、フェノキシベンザミン、マレイン酸チエチルペラジン、アニシンジオン(anisindone)、ジフェナジオン 四硝酸エリトリチル、ジゴキシン、イソフルロフェート、アセタゾールアミド、メタゾールアミド、ベンドロフルメチアジド、クロロプロマイド(chloropromaide)、トラザミド、酢酸クロルマジノン、フェナグリコドール、アロプリノール、アスピリンアルミニウム、メトトレキサート、アセチルスルフイソキサゾール、エリスロマイシン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチコステロン、酢酸コルチゾン、デキサメタゾン及びその誘導体(例、ベタメタゾン)、トリアムシノロン、メチルテストステロン、17-S-エストラジオール、エチニルエストラジオール、エチニルエストラジオール3-メチルエーテル、プレドニゾロン、17a-酢酸ヒドロキシプロゲステロン、19-ノルプロゲステロン、ノルゲストレル、ノルエチンドロン、ノルエチステロン、ノルエチエデロン(norethiederone)、プロゲステロン、ノルゲステロン、ノルエチノドレル、アスピリン、インドメタシン、ナプロキセン、フェノプロフェン、スリンダク、インドプロフェン、ニトログリセリン、二硝酸イソソルビド、プロプラノロール、チモロール、アテノロール、アルプレノロール、シメチジン、クロニジン、イミプラミン、レボドーパ、クロルプロマジン、メチルドーパ、ジヒドロキシフェニルアラニン、テオフィリン、グルコン酸カルシウム、ケトプロフェン、イブプロフェン、セファレキシン、エリスロマイシン、ハロペリドール、ゾメピラク、乳酸鉄、ビンカミン、ジアゼパム、フェノキシベンザミン、ジルチアゼム、ミルリノン、マンドール、グアナベンズ(quanbenz)、ヒドロクロロチアジド、ラニチジン、フルルビプロフェン、フェヌフェン(fenufen)、フルプロフェン、トルメチン、アルクロフェナク、メフェナミック(mefenamic)、フルフェナミック(flufenamic)、ジフイナール(difuinal)、ニモジピン、ニトレンジピン、ニソルジピン、ニカルジピン、フェロジピン、リドフラジン、チアパミル、ガロパミル、アムロジピン、ミオフラジン、リシノプリル(lisinolpril)、エナラプリル、エナラプリラト カプトプリル、ラミプリル、ファモチジン、ニザチジン、スクラルファート、エチンチジン、テトラトロール(tetratolol)、ミノキシジル、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、アミトリプチリン、及びイミプラミンが挙げられる。さらなる例としては、これらに限定されないが、骨形態形成タンパク質、インスリン、コルヒチン、グルカゴン、甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone)、副甲状腺及び下垂体ホルモン、消化ホルモン、カルシトニン、レニン、プロラクチン、コルチコトロピン、甲状腺刺激ホルモン(thyrotropic hormone)、卵胞刺激ホルモン、絨毛性ゴナドトロピン、ゴナドトロピン放出ホルモン、ウシ成長ホルモン、ブタ成長ホルモン、オキシトシン、バソプレッシン、GRF、ソマトスタチン、リプレシン、パンクレオザイミン、黄体形成ホルモン、LHRH、LHRH作動薬及び拮抗薬、ロイプロリド、インターフェロン(例、コンセンサスインターフェロン、インターフェロンa-2a、インターフェロンa-2b、a-, b-, もしくはg-インターフェロン)、インターロイキン、成長ホルモン(例、ヒト成長ホルモン及びその誘導体(例、メチオニン-ヒト成長ホルモン及び脱フェニルアラニン ヒト成長ホルモン)、ウシ成長ホルモン並びにブタ成長ホルモン)、排卵抑制剤(例、プロスタグランジン)、妊娠促進剤、成長因子(例、インスリン様成長因子)、凝固因子、膵臓ホルモン放出因子、これらの化合物の類似体及び誘導体、並びにこれらの化合物の薬学的に許容される塩、又はそれらの類似体もしくは誘導体を含むタンパク質及びペプチドが挙げられる。治療薬は、リポソーム製剤中で有益に併用され得る薬物又は剤の混合物(例、2つ以上の剤)であってもよい。
【0048】
通常、リポソームは正味の中性、負又は正電荷を有し得る。例えば、正のリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール、カルジオリピン及びカルジオリピンの正味の負電荷に打ち勝つのに十分なステアリルアミンを含む溶液から形成され得る。負のリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール、及び/又は本明細書中に記載の方法により調製されるカルジオリピンバリアントを含む溶液から形成され得る。
【0049】
さらに、本発明のリポソームは、特定の組成物及びそれらを作成するために用いられる手段に依存して、多層又は単層ベシクルであり得る。リポソームは、選択された粒径範囲(例、約1ミクロン以下、又は約500nm以下、約200nm以下、もしくは約100nm以下)内で十分に均質な粒径を有するように調製され得る。1つの有効なサイジング方法は、リポソームの水性懸濁液を、選択された均一の細孔径を有する一連のポリカーボネート膜を通して押し出す工程を含む;膜の細孔径はその膜を通した押し出しにより製造されるリポソームの最大の粒径と大体一致するであろう。
【0050】
さらに、リポソーム(又は他の脂質)組成物は、任意の所望の型であり得る。例えば、医薬用には、組成物は患者への投与可能な状態であり得る。あるいは組成物は、乾燥型又は凍結乾燥型であり得る。組成物が乾燥又は凍結乾燥している場合、好ましくは、組成物は抗凍結剤も含有する。適切な抗凍結剤としては、例えば、糖(例、トレハロース、マルトース、ラクトース、スクロース、グルコース、及びデキストラン)が挙げられ、機能の観点から、最も好ましい糖はトレハロース及びスクロースである。他のより複雑な糖(例えば、ストレプトマイシン及びジヒドロストレプトマイシンを含むアミノグリコシドなど)もまた、用いられ得る。
【0051】
任意の適切な方法が、リポソームを形成するために用いられ得る。例えば、親油性リポソーム形成要素(例、ホスファチジルコリン、上述の方法により調製されるカルジオリピン、コレステロール及びα-トコフェロール)は、適切な溶媒もしくは溶媒の組み合わせ中で溶解又は分散され、乾燥され得る。適切な溶媒としては、任意の非極性又は弱極性溶媒(例、t-ブタノール、エタノール、メタノール、クロロホルム、又は薬学的に許容されない残留物を残さずに蒸発し得るアセトン) が挙げられる。乾燥は、凍結乾燥のような任意の適切な方法により行われ得る。脱水は典型的に、減圧下で成され、事前にリポソーム製剤を凍結してもしなくてもよい。親水性要素は、水を含む極性溶媒中に溶解され得る。
【0052】
乾燥した親油性要素を親水性混合物と混ぜることにより、リポソームを形成し得る。混合物を強力に均質化する任意の方法により、極性溶液を乾燥脂質薄膜と混合し得る。ボルテックス、マグネチック攪拌及び/又は超音波処理は、均質化をもたらし得る。
【0053】
活性剤(又は活性剤の混合物)がリポソームに含まれる場合、本発明は、リポソーム中に薬物を保有する方法を提供する。該方法では、カルジオリピン、又は、カルジオリピンもしくはカルジオリピン類似体の位置異性体は本明細書中に記載のように調製され、カルジオリピン、又は、カルジオリピンもしくはカルジオリピン類似体の位置異性体、及び薬物 (例、活性剤又は活性剤の混合物)が、リポソーム中に含まれ得る。例えば活性剤は、適切な溶媒中で溶解又は分散され、混ぜる前にリポソーム混合物へ加えられ得る。典型的に、親水性活性剤は、極性溶媒に直接加えられ、疎水性活性剤は、他の要素を溶解するために用いられる非極性溶媒 (これは必要とされないが) に加えられる。活性剤は、3番目の溶媒又は溶媒混合物中に溶解され、混合物を均質化する前に、極性溶媒と脂質薄膜との混合物に加えられ得る。
【0054】
リポソームは、生分解性ポリマー(例、スクロース、エピクロルヒドリン、スクロースの分岐親水性ポリマー、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、メトキシポリエチレングリコール、エトキシポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、酢酸セルロース、アルギン酸ナトリウム、N,N-ジエチルアミノアセテート、ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンのブロック共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリオキシエチレンX-ラウリルエーテル(Xは9〜20である)、並びにポリオキシエチレンソルビタンエステル)でコートされ得る。
【0055】
抗酸化剤は、リポソーム組成物又は他の脂質組成物中に含まれ得る。適切な抗酸化剤としては、アスコルビン酸、トコフェロール、及びデテロキサイム(deteroxime)メシレートのような化合物が挙げられる。
【0056】
吸収促進剤は、リポソーム組成物又は他の脂質組成物中に含まれ得る。適切な吸収促進剤としては、Na−サリチラート−ケノデオキシコレート、Naデオキシコレート、ポリオキシエチレン 9−ラウリルエーテル、ケノデオキシコレート−デオキシコレートおよびポリオキシエチレン 9−ラウリルエーテル、モノオレイン、Naタウロ−24,25−ジヒドロフシデート、Naタウロデオキシコレート、Naグリコケノデオキシコレート、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸が挙げられる。ポリマー吸収促進剤はまた、ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、ポリオキシエチレン10-ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン16-ラウリルエーテル及びアゾン(1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン)等を含み得る。
【0057】
本発明の脂質(例、リポソーム)組成物はまた、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含有し得る。例えば、薬学的に適切な賦形剤としては、固体、半固体又は液体希釈剤、注入剤及び全ての種類の製剤助剤が挙げられる。本発明はまた、用量単位中の医薬品を含む。これは、製剤が例えばバイアル、シリンジ、カプセル、ピル、坐剤、又はアンプルを含む個別部分の型であることを意味し、活性剤のリポソーム製剤の内容量は、個々の用量の一部又は倍数に相当する。単位用量は、例えば個々の用量の1,2,3,もしくは4倍、又は個々の用量の1/2、1/3、もしくは1/4を含み得る。個々の用量は好ましくは、1度の投与で与えられ、通常、一日量の全部、半分、1/3、又は1/4に相当する活性剤の量を含む。
【0058】
錠剤、糖衣錠、カプセル、ピル、粒剤、坐剤、溶剤、懸濁剤及び乳剤、ペースト剤、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、ローション剤、散剤及び散布剤は、適切な医薬品であり得る。坐剤は、リポソーム活性剤に加え、適切な水溶性又は不水溶性の賦形剤を含み得る。適切な賦形剤とは、その中で、本発明のリポソーム活性剤が治療での使用が可能なほど十分に安定であるもの(例えば、ポリエチレングリコール、特定の脂肪、及びこれらの物質のエステル又は混合物)である。軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、及びゲル剤もまた、その中でリポソーム活性剤が安定である、適切な賦形剤を含み得る。組成物はまた、注射に適切な1つ以上の賦形剤(例、緩衝食塩水)の含有により、注射用(例、静脈内、間質性、腫瘍内等)に処方され得る。
【0059】
活性剤又はその医薬品は、公知の又は開発されるような方法により、静脈内、皮下、局所、経口、非経口、腹腔内、及び/もしくは直腸内で、又は、腫瘍もしくは治療が必要な部位への直接注射により、投与され得る。カルジオリピン、又は、カルジオリピン及びカルジオリピン類似体の位置異性体ベースの製剤はまた、局所的に、例えばクリーム、皮膚軟膏、乾燥肌軟化剤、保湿剤等として、投与され得る。
【0060】
組成物が1つ以上の活性剤(例、活性剤の混合物)を含む場合、本発明は、疾患の治療用の薬物を調製するための、組成物の使用を提供する。この意味において、本発明はまた、ヒト又は動物の疾患を治療する方法を提供する。本発明の方法では、1つの活性剤又は活性剤の混合物を含有する本発明の組成物は、そのような治療を必要とするヒト又は動物患者に曝露(投与)される。このように、活性剤は患者に送達される。
【0061】
該方法は、1つ以上の活性剤を投与するために用いられ得る。該方法は、界面活性剤の存在下で安定な活性剤に一般的であることが意図される。親水性活性剤は適しており、それが無作為に体中に拡散するのを防ぐ拡散障壁を、リポソーム二重層が作るように、リポソームの内部に含まれ得る。疎水性活性剤は、毒性の減少を呈することで恩恵を受けるのみならず、それらがリポソームの脂質二重層によく溶ける傾向にあるために、本発明の方法での使用に特によく適すると考えられる。
【0062】
治療に適切な疾患は、本明細書中に記載されるような活性剤の選択に依存する。しかし、好ましい疾患は癌であり、その場合、組成物に組込まれる少なくとも1つの活性剤は抗癌剤である。化学療法剤は、そのような使用によく適する。化学療法剤を含有するリポソーム製剤は、化学療法剤の癌細胞への直接的な送達のため、腫瘍組織中に直接注射され得る。そのような場合には、特に腫瘍の切除後、その結果生じる空洞にリポソーム製剤が直接埋め込まれ得るか、又は、コーティングとして残存組織へ適用され得る。リポソーム製剤が手術後に投与される場合、それらは脈管構造を通過する必要がないので、より大きな直径(約1ミクロン)を有するリポソームを用いることが可能である。
【0063】
本発明はまた、活性剤(又は活性剤の混合物)を細胞に送達する方法を対象にする。該方法は、活性剤、及び上述の方法により合成されるカルジオリピンバリアント/類似体を含有するリポソームを調製することにより、実施され得る。リポソームはその後、所望によりin vitro又はin vivoであり得る細胞に送達される。in vinoでの投与は、本明細書中に記載のように、又は当業者に公知の他の方法で成され得る。in vitroでの使用において、活性剤の送達は、例えば組成物(例、リポソーム)を、細胞培養液に加えることにより実施され得る。
【0064】
下記の実施例により本発明をさらに説明するが、当然ながら、本発明の範囲は、これらによりなんら限定されるものと解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0065】
テトラミリストイルカルジオリピンの合成
1A. 1,3-ビス[(1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3)-ホスホリル]グリセロール ジベンジルエステル(カルジオリピンジベンジルエステル) 4
【0066】
【化8】

【0067】
l,2-ジミリストイル-sn-グリセロール(7.35g, 14.35mmol)及びテトラゾール(38.4mLの0.45Mアセトニトリル溶液, 17.22 mmol)の120mL無水CH2Cl2溶液に、ジベンジルジイソプロピルホスホアミダイト(5.45g, 15.79mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。内容物を100mLのCH2Cl2で希釈し、5%含水NaHCO3(2×50mL)、食塩水(2×5OmL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、減圧濃縮し、油状の残留物(10.8g)を減圧下、デシケーターで8時間乾燥し、次の反応でそのまま使用した。
【0068】
上記の亜リン酸塩、グリセロール(0.53g, 5.74mmol)、ピリジン(8.75mL, 108.4mmol)及びEt3N (9.4mL, 71.75mmol)のCH2Cl2(100mL)溶液を−40℃まで冷却し、三臭化ピリジニウム(6.88g, 21.52mmol)を一度に加えた。混合物を同温で1時間攪拌し、2時間にわたって徐々に室温まで放冷し、水(30 mL)で処理した。内容物をEtOAc (250 mL)で希釈し、有機層を5%含水NaHCO3 (2×50mL)、水(100mL)及び食塩水(100mL)で逐次洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、濃縮した。残留物をSiO2(CH2Cl2中、8%アセトン)上で精製し、無色のシロップとして所望の生成物、1,2-ビス[(1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3)-ホスホリル]グリセロール ジベンジルエステル(転位カルジオリピンジベンジルエステル) 4.2グラム(53%)を得た。
TLC(SiO2)ヘキサン/EtOAc (3:2) Rf〜0.44 (1,3-誘導体において), Rf〜0.47(1,2-誘導体において).
1H NMR δ (CDCl3, 500 MHz) 0.88 (t, J= 7.0 Hz, 12H), 1.22-1.34 (m, 80H), 1.54-1.63 (m, 8H), 2.24-2.31 (m, 8H), 3.86-4.19 (m, 11H), 4.25-4.31 (m, 2H), 5.02-5.11 (m, 4H), 5.14-5.21(m, 2H), 7.31-7.39 (m, 10H). 1H NMR (1,2-異性体において) 5δ(CDCl3, 500 MHz) 0.88 (t, J= 7.0 Hz, 12H), 1.22-1.34 (m, 80H), 1.54-1.62 (m, 8H), 2.23-2.31 (m, 8H), 4.02-4.31 (m, 12H), 4.60-4.64 (m, 1H), 5.02-5.11 (m, 4H), 5.14-5.21(m, 2H), 7.31-7.39 (m, 10H).
【0069】
1B. 1,3-ビス[(1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3)-ホスホリル]グリセロール ジアンモニウム塩 (1)
【0070】
【化9】

【0071】
保護カルジオリピン4(2.5g, 1.65mmol)のテトラヒドロフラン(40mL)溶液を、10% Pd/C (900mg)で、50psiで10時間水素化した。触媒をセライト層でろ去し、4mLの30%アンモニア溶液で処理し、濃縮し、残留物をCHCl3に溶解し、0.25μフィルターでろ過し、アセトンで沈殿してC14カルジオリピン(1.75g, 83%)を白色固体として得た。
TLC (SiO2) CHCl3/MeOH/NH4OH (6.5:2.5:0.5) Rf〜0.40.
1H NMR (1)δ (CDCl3, 500 MHz) 0.88 (t, J= 7.0 Hz, 12H), 1.22-1.34 (br s, 80H), 1.52-1.66 (m, 8H), 2.26-2.34 (m, 8H), 3.06 (bs, 1H), 3.82-3.98 (m, 9H), 4.12-4.18 (m, 2H), 4.35-4.42 (m, 2H), 5.14-5.24 (m, 2H), 7.41 (bs, 8H). 31P NMRδ(CDCl3, 161 MHz, 85% H3PO4外部標準として) 0.78. FTIR (ATR) 3214, 3041, 2956, 2917, 2873, 2849, 1737, 1467, 1417, 1378, 1343, 1328, 1304, 1279, 1255, 1202, 1181, 1091, 1066, 987, 836, 721, 539, 530 cm-1. ESI-MS (negative), m/z 1239.9 (M-2NH4++H+), 1011.9 (M-2NH4+-RCOO-), 619.6 (M-2NH4+)2-. 1H NMR (1,2-異性体において) (6) 1H NMRδ(CDCl3, 500 MHz) 0.88 (t, J= 7.0 Hz, 12H), 1.22-1.34 (m, 80H), 1.52-1.63 (m, 8H), 2.25-2.33 (m, 8H), 2.92 (bs, 1H), 3.59-3.69 (m, 2H), 3.86- 3.98 (m, 6H), 4.12-4.18 (m, 2H), 4.28-4.39 (m, 3H), 5.16-5.23 (m, 2H), 7.43 (br s, 8H). 31P NMR δ(CDCl3, 161 MHz, 85% H3PO4 外部標準として) 0.34, 0.68. FTIR (ATR) 3220, 3034, 2957, 2919, 2872, 2851, 1737, 1466, 1416, 1378, 1345, 1328, 1293, 1279, 1255, 1202, 1181, 1093, 1063, 980, 836, 764, 721, 530 cm-1. ESI-MS (negative), m/z 1239.9 (M-2NH4++H+), 1011.6 (M-2NH4+-RCOO-), 619.5 (M-2NH4+)2-.
【実施例2】
【0072】
(転位テトラミリストイルカルジオリピン(カルジオリピンの位置異性体)の合成)
2A. 3-ベンジル-1,2-ビス[(1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3)ホスホリル]グリセロールジメチルエステル(9)
【0073】
【化10】

【0074】
塩化N,N-ジイソプロピルメチルホスホンアミド 7(2.08g, 10.63mmol)及び無水N,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.85mL, 10.63mmol)のCH2Cl2(20mL)溶液に、l,2-0-ジミリストイル-sn-グリセロール(4.95g, 9.66mmol)のCH2Cl2(45mL)溶液を、室温で30分かけて滴下した。添加後、反応混合物を室温で1.5時間攪拌し、その後、1H-テトラゾールの3wt%アセトニトリル溶液(25.76mL, 11.59mmol)を加えた。この反応混合物に、3-O-ベンジルグリセロール8(0.703g, 3.86mmol)のCH2Cl2(10mL)溶液を滴下した。反応混合物を室温で2時間攪拌した。その後、反応混合物を−40℃まで冷却し、tert-ブチルヒドロペルオキシド(2.9mLの5.5Mデカン溶液, 14.49mmol)溶液を加えた。混合物を25℃まで昇温し、200mLのCH2Cl2で希釈し、水(2×100mL)、及び食塩水(2×100mL)で洗浄した。有機相を無水Na2SO4で乾燥し、減圧濃縮して油状残留物を得た。残留物をフラッシュクロマトグラフィーによりシリカゲル上で精製し、ヘキサン/酢酸エチル(2:1 から1:1)で溶出して9を無色の油状物として得た。
収率4.19g(80%). TLC (ヘキサン/EtOAc 1:1) Rf0.46.
1H NMR δ (CDCl3, 500 MHz) 0.88 (t, J= 7.0 Hz, 12H), 1.22-1.34 (m, 80H), 1.52-1.66 (m, 8H), 2.22-2.29 (m, 8H), 3.67-3.78 (m, 2H), 3.75 (dt, J= 11.4, 3.0 Hz, 6H), 4.11-4.37 (m, 10H), 4.55 (d, J = 11.8 Hz, 2H), 4.64- 4.67 (m, 1H), 5.20-5.28 (m, 2H), 7.28-7.36 (m, 5H).
【0075】
2B. 1,2-ビス[(1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3)ホスホリル]グリセロール ジアンモニウム塩 (カルジオリピンの位置異性体)(6)
【0076】
【化11】

【0077】
化合物9(2.45g, 1.8mmol) の2-ブタノン(40mL)攪拌溶液に、NaI(0.811g, 5.4mmol)を加え、反応混合物を3時間還流し、その後25℃まで冷却した。揮発性物を蒸発させ、残留物をSiO2(1%のアンモニアを含有する、CH2Cl2中の10%メタノール)上で精製して1.92グラム(72%)の生成物を無色の半固体として得た。
TLC (SiO2) CHCl3/MeOH/NH4OH (6.5:2.0:0.5) Rf〜 0.64.
1H NMR δ (CDCl3, 500 MHz) 0.88 (t, J= 7.0 Hz, 12H), 1.22-1.34 (m, 80H), 1.52- 1.66 (m, 8H), 2.22-2.29 (m, 8H), 3.50-3.58 (m, 2H), 3.84-3.98 (m, 6H), 4.06-4.16 (m, 2H), 4.26-4.37 (m, 2H), 4.44-4.56 (m, 3H), 5.16-5.23 (m, 2H), 7.28-7.36 (m, 5H), 7.48 (br s, 8H).
【0078】
上記の3-O-ベンジル-1,3-ビス[(1,2-O-ジミリストイル-sn-グリセロ-3)ホスホリル]グリセロール ジアンモニウム塩(1.75g, 1.28mmol)をTHF(40mL)に溶解し、10% Pd-C(600mg)で、50psiの圧力下、4時間水素化した。セライトでのろ過により触媒を除去した後、溶液を蒸発乾固した;残留物をクロロホルム(8mL)に溶解し、アセトン(60mL)を用いて沈殿させた。混合物を終夜冷凍庫で保存し、白色固体をろ過し、少量の冷アセトンで洗浄して6を得た。
収率1.39g (85%). TLC (CHCl3/MeOH/NH4OH 65:25:5) Rf〜 0.43.
1H NMR (1,2-異性体において) (6) 1H NMR δ (CDCl3, 500 MHz) 0.88 (t, J= 7.0 Hz, 12H), 1.22-1.34 (m, 80H), 1.52-1.63 (m, 8H), 2.25-2.33 (m, 8H), 2.92 (bs, 1H), 3.59-3.69 (m, 2H), 3.86-3.98 (m, 6H), 4.12-4.18 (m, 2H), 4.28-4.39 (m, 3H), 5.16-5.23 (m, 2H), 7.43 (br s, 8H). 31P NMR δ (CDCl3, 161 MHz, 85% H3PO4 外部標準として) 0.34, 0.68. FTIR (ATR) 3220, 3034, 2957, 2919, 2872, 2851, 1737, 1466, 1416, 1378, 1345, 1328, 1293, 1279, 1255, 1202, 1181, 1093, 1063, 980, 836, 764, 721, 530 cm−1. ESI-MS (negative), m/z 1239.9 (M-2NH4++H+), 1011.6 (M-2NH4+-RC00), 619.5 (M-2NH4+)2−.
【実施例3】
【0079】
本実施例は、本発明のカルジオリピン含有リポソーム組成物の調製を示す。適切な溶媒中で、19.1μmolのカルジオリピン(本明細書中に記載の方法で製造した)、96.2μmolのホスファチジルコリン及び64.6μmolのコレステロールを混合することにより、小さい単層ベシクルを形成する。十分に攪拌した後、混合物を50mlの丸底フラスコ中で、回転式蒸発装置を用いて蒸発乾固する。その結果生じた乾燥脂質薄膜を10ml滅菌非発熱性水中に再懸濁する。30分の膨張時間後、結果として得た懸濁液を恒温漕中で、25℃で15分間超音波処理する。その後、リポソームの調製品をトレハロースと共に凍結乾燥する。
【0080】
本明細書で引用した出版物、特許出願、及び特許を含む全ての参考文献が、各参考文献が参照することにより本明細書中に組込まれることが個々にかつ明確に示され、本明細書中にその全体が示された場合と同じ程度まで、参照することにより本明細書中に組込まれるものとする。
【0081】
本発明を説明する上で(とりわけ添付した特許請求の範囲に関して)、用語「a」、「an」及び「the」並びに同様な指示対象の使用は、別段本明細書中で示される場合又は内容により明らかに矛盾する場合を除き、単数形及び複数形の両方をカバーすると解釈されるものとする。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含む(containing)」は、別段注意書きされる場合を除き、制限のない単語(すなわち、「〜を含むがこれに限定されるものではない」を意味する)として解釈されるものとする。本明細書中の値の範囲の列挙は、別段本明細書中で示される場合を除き、単に、該範囲内に収まる各離れた値に個々に言及する簡便な方法として働くことを意図し、さらに、あたかもそれらが本明細書中に個々に列挙されるかのように、各離れた値が本明細書に組込まれる。本明細書に記載の全ての方法は、別段示される場合又は内容により明らかに矛盾する場合を除き、任意の適切な順序によりなされ得る。本明細書中に提供される、任意の及び全ての例、又は例示的な語(例えば「such as」)の使用は、単に本発明をよりよく説明することを意図し、別段要求されない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中のいかなる語も、任意の請求されていない構成要素を本発明の実施に不可欠なものとして示すものと解釈されるべきではない。
【0082】
本発明の好ましい実施形態は、本発明者らが知りうる中で本発明を実施する最良の形態を含め、本明細書中に記載される。それら好ましい実施形態のバリエーションは、前述の説明を読むことにより当業者に明らかとなり得る。本発明者らは当業者がそのようなバリエーションを必要に応じて用いることを予期し、かつ本発明者らは、本発明が本明細書記載の具体例とは別の態様で実施されることを意図する。従って、本発明は、準拠法の許す限り、本明細書添付の特許請求の範囲記載の対象の、全ての修飾物及び等価物を含む。さらに、本明細書中で別段示される場合又は内容により明らかに矛盾する場合を除き、その可能な全バリエーションにおける上記の構成要素の任意の組み合わせが、本発明に含まれるものとする。
【0083】
(参考文献)
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【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】図1は、カルジオリピン(1,3-ジホスファチジルグリセロール)の一般構造を示す。
【図2】図2は、本発明に従ってカルジオリピンを合成する一般的なスキームを示す。
【図3】図3は、本発明に従って転位カルジオリピン(1,2-ジホスファチジルグリセロール)を合成する、別の合成スキームを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I、II、III、IV又はV:
【化1】


【化2】


【化3】


【化4】


【化5】


のカルジオリピン類似体を調製する方法であって、酸性触媒の存在下で、
式VI:
【化6】


のアルコールを、1つ以上のホスホアミダイト試薬及び脱保護グリセロールと反応させ、保護カルジオリピンを形成する工程を含む、方法。
【請求項2】
ホスホアミダイト試薬が式VII:
【化7】


である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
式I、II、III、IV又はVのカルジオリピン類似体を調製する方法であって、酸性触媒の存在下で、脱保護グリセロールを1つ以上の亜リン酸トリエステルと反応させ、保護カルジオリピンを形成する工程を含む、方法。
【請求項4】
1つ以上の亜リン酸トリエステルが、式VIのアルコールを一般式VIIのホスホアミダイトと反応させることにより製造される、請求項3記載の方法。
【請求項5】
式中、R1及びR2が同一又は異なって、H、C2〜C34飽和もしくは不飽和アルキル基であり;
Xが非毒性カチオンであり;
Y及びY2が同一又は異なって、-O-C(O)-、-0-、-S-、もしくは-NH-C(O)-等であり;並びに、
R3が(CH2)n(n=0〜15)である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
式中、R4が、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルオキシ、ポリアルキルオキシ、置換ポリアルキルオキシ、ペプチド、ジペプチド、ポリペプチド、タンパク質、糖等を含むリンカーである、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
式中、R4がCH2である、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
非毒性カチオンが、水素イオン、アンモニウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン及びバリウムイオンから成る群より選択される、請求項5記載の方法。
【請求項9】
式中、R1及び/又はR2の少なくとも1つが、4ないし14炭素を有する飽和もしくは不飽和アルキル基である、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
式中、R1及び/又はR2が、2ないし14炭素を有する飽和もしくは不飽和アルキル基である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
式中、R1及び/又はR2が、4ないし12炭素を有する飽和もしくは不飽和アルキル基である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
式中、R1及び/又はR2の少なくとも1つが、14ないし34炭素を有する飽和もしくは不飽和アルキル基である、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
式中、R1及び/又はR2が、14ないし24炭素を有する飽和もしくは不飽和アルキル基である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
式VIIのXa及びXbがリン酸保護基である、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
Xa及びXbが同一又は異なって、アルキル基、ベンジル基及びシリル基から成る群より選択される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
アルキル基が、エチル、メチル、シクロヘキシル、t-ブチル、2-置換エチル及びハロエチルから成る群より選択される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
2-置換エチルが、2-シアノエチル、4-シアノ-2-ブテニル、2-(メチルジフェニルシリル)エチル、2-(トリメチルシリル)エチル、2-(トリフェニルシリル)エチルから成る群より選択される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
ハロエチルが、2,2,2-トリクロロエチル、2,2,2-トリブロモエチル、2,2,2-トリフルオロエチルから成る群より選択される、請求項16記載の方法。
【請求項19】
ベンジル基が、4-クロロベンジル、フルオレニル-9-メチル、ジフェニルメチル及びアミド化物から成る群より選択される、請求項15記載の方法。
【請求項20】
酸性触媒が、4,5-ジクロロイミダゾール、1H-テトラゾール、5-(4-ニトロフェニル)-1H-テトラゾール、5-(3,5-ジニトロフェニル)-1H-テトラゾール、N-メチルイミダゾリウムトリフレート、及び過塩素酸N-メチルイミダゾリウムから成る群より選択される、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
保護カルジオリピンを脱保護する工程をさらに含む、請求項1〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれかに記載の方法により調製される、式IVの転位カルジオリピン(カルジオリピンの位置異性体)。
【請求項23】
請求項1〜21のいずれかに記載の方法により調製される、式Vの転位カルジオリピン(カルジオリピンの位置異性体)。
【請求項24】
請求項1〜21のいずれかに記載の方法により調製されるカルジオリピン類似体であって、ヒトの疾患の治療に用いられる活性剤である、カルジオリピン類似体。
【請求項25】
請求項1〜21のいずれかに記載の方法により調製されるカルジオリピン類似体であって、美容上の目的で使用される活性剤である、カルジオリピン類似体。
【請求項26】
カルジオリピン類似体を調製する方法であって、酸性触媒の存在下で、式VIのアルコールを1つ以上のホスホアミダイト試薬及び3-O-保護グリセロールと反応させ、保護カルジオリピンを形成する工程を含む、方法。
【請求項27】
ホスホアミダイト試薬が式VIIで表される、請求項26記載の方法。
【請求項28】
カルジオリピン類似体を調製する方法であって、酸性触媒の存在下で、3-O-保護グリセロールを1つ以上のリン酸化剤と反応させ、保護カルジオリピンを形成する工程を含む、方法。
【請求項29】
1つ以上のリン酸化剤が、式VIのアルコールを一般式VIIのホスホアミダイトと反応させることにより製造される、請求項28記載の方法。
【請求項30】
式中、R1及び/又はR2の少なくとも1つが、4ないし14炭素を有する飽和もしくは不飽和アルキル基である、請求項26〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
式中、R1及び/又はR2が、2ないし14炭素を有する飽和もしくは不飽和アルキル基である、請求項30記載の方法。
【請求項32】
式中、R1及び/又はR2が、4ないし12炭素を有する飽和もしくは不飽和アルキル基である、請求項31記載の方法。
【請求項33】
式中、R1及び/又はR2の少なくとも1つが、14ないし34炭素を有する飽和もしくは不飽和アルキル基である、請求項26〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
式中、R1及び/又はR2が、14ないし24炭素を有する飽和もしくは不飽和アルキル基である、請求項33記載の方法。
【請求項35】
式VIIのXa及びXbがリン酸保護基である、請求項26〜34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
Xa及びXbが同一又は異なって、アルキル基、ベンジル基及びシリル基から成る群より選択される、請求項35記載の方法。
【請求項37】
アルキル基が、エチル、メチル、シクロヘキシル、t-ブチル、2-置換エチル及びハロエチルから成る群より選択される、請求項36記載の方法。
【請求項38】
2-置換エチルが、2-シアノエチル、4-シアノ-2-ブテニル、2-(メチルジフェニルシリル)エチル、2-(トリメチルシリル)エチル、2-(トリフェニルシリル)エチルから成る群より選択される、請求項37記載の方法。
【請求項39】
ハロエチルが、2,2,2-トリクロロエチル、2,2,2-トリブロモエチル及び2,2,2-トリフルオロエチルから成る群より選択される、請求項37記載の方法。
【請求項40】
ベンジル基が、4-クロロベンジル、フルオレニル-9-メチル、ジフェニルメチル及びアミド化物から成る群より選択される、請求項36記載の方法。
【請求項41】
酸性触媒が、4,5-ジクロロイミダゾール、1H-テトラゾール、5-(4-ニトロフェニル)-1H-テトラゾール、5-(3,5-ジニトロフェニル)-1H-テトラゾール、N-メチルイミダゾリウムトリフレート及び過塩素酸N-メチルイミダゾリウムから成る群より選択される、請求項26〜40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
保護カルジオリピンを脱保護する工程をさらに含む、請求項26〜41のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
請求項26〜42のいずれかに記載の方法により調製される、カルジオリピン又はカルジオリピン類似体。
【請求項44】
カルジオリピン類似体がヒトの疾患の治療に用いられる活性剤である、請求項43記載のカルジオリピン類似体。
【請求項45】
カルジオリピン類似体が美容上の目的で使用される活性剤である、請求項43記載のカルジオリピン類似体。
【請求項46】
リポソームを調製する方法であって、カルジオリピン又はカルジオリピン類似体を請求項1〜45に記載の方法により調製する工程、及びカルジオリピン又はカルジオリピン類似体をリポソーム中に組込む工程を含む、方法。
【請求項47】
リポソーム中に1つ以上の活性剤を保有する方法であって、カルジオリピン又はカルジオリピン類似体を請求項1〜45に記載の方法により調製する工程、並びにカルジオリピン又はカルジオリピン類似体、及び1つ以上の活性剤をリポソーム中に組込む工程を含む、方法。
【請求項48】
少なくとも1つの該活性剤が、カルジオリピン又はカルジオリピン類似体と複合体化される、請求項47記載の方法。
【請求項49】
少なくとも1つの該活性剤が、リポソーム内に封入される、請求項47記載の方法。
【請求項50】
請求項46〜49のいずれかに記載の方法により調製されるリポソーム組成物。
【請求項51】
ホスファチジルコリン、ステロール、及びトコフェロールをさらに含む、請求項50記載の組成物。
【請求項52】
ジミリストイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジオレイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジアラキドノイルホスファチジルコリン、卵ホスファチジルコリン、大豆ホスファチジルコリン、水素化大豆ホスファチジルコリン及びそれらの混合物から成る群より選択されるホスファチジルコリンをさらに含有する、請求項50又は51に記載の組成物。
【請求項53】
ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファチジルグリセロール、ジオレイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジアラキドノイルホスファチジルグリセロール及びそれらの混合物から成る群より選択されるホスファチジルグリセロールをさらに含有する、請求項50〜52のいずれかに記載の組成物。
【請求項54】
コレステロール、コレステロールの誘導体、コプロスタノール、コレスタノール、コレスタン、ヘミコハク酸コレステロール、硫酸コレステロール、及びそれらの混合物から成る群より選択されるステロールをさらに含有する、請求項50〜53のいずれかに記載の組成物。
【請求項55】
リポソーム組成物が正味の正電荷を有する、請求項50〜54のいずれかに記載の組成物。
【請求項56】
リポソーム組成物が正味の負電荷を有する、請求項50〜54のいずれかに記載の組成物。
【請求項57】
リポソーム組成物が中性電荷を有する、請求項50〜54のいずれかに記載の組成物。
【請求項58】
1つ以上の標的化剤をさらに含有する、請求項50〜57に記載の組成物。
【請求項59】
標的化剤がタンパク質である、請求項58記載の組成物。
【請求項60】
タンパク質が、抗体、抗体フラグメント、ペプチド、ペプチドホルモン、受容体リガンド及びそれらの混合物から成るタンパク質の群より選択される、請求項59記載の組成物。
【請求項61】
リポソーム組成物が単層ベシクル、多層ベシクル又はそれらの混合物を含有する、請求項50〜60のいずれかに記載の組成物。
【請求項62】
リポソーム組成物が約1ミクロン以下の直径を有する、請求項50〜61のいずれかに記載のリポソーム組成物。
【請求項63】
リポソーム組成物が約500nm以下の直径を有する、請求項62記載のリポソーム組成物。
【請求項64】
リポソーム組成物が約200nm以下の直径を有する、請求項63記載のリポソーム組成物。
【請求項65】
リポソーム組成物が約100nm以下の直径を有する、請求項64記載の組成物。
【請求項66】
リポソーム組成物が生分解性ポリマーでコートされる、請求項50〜65のいずれかに記載の組成物。
【請求項67】
抗酸化剤をさらに含有する、請求項50〜66のいずれかに記載の組成物。
【請求項68】
吸収促進剤をさらに含有する、請求項50〜67のいずれかに記載の組成物。
【請求項69】
リポソーム組成物が凍結乾燥型である、請求項50〜68のいずれかに記載の組成物。
【請求項70】
抗凍結剤をさらに含有する、請求項69記載の組成物。
【請求項71】
薬学的に許容される賦形剤をさらに含有する、請求項50〜70のいずれかに記載の組成物。
【請求項72】
疾患の治療用の薬物を調製するための、請求項50〜71のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項73】
疾患が癌である、請求項72に記載の使用。
【請求項74】
活性剤又は活性剤の混合物を細胞に送達する方法であって、請求項46〜49のいずれかに記載の方法により組成物を調製する工程、及び該組成物を細胞に曝露する工程を含む、方法。
【請求項75】
細胞がin vitroである、請求項74記載の方法。
【請求項76】
細胞がin vivoである、請求項74記載の方法。
【請求項77】
送達方法が静脈内である、請求項76記載の方法。
【請求項78】
送達方法が皮下である、請求項76記載の方法。
【請求項79】
送達方法が経口的である、請求項76記載の方法。
【請求項80】
送達方法が非経口的である、請求項76記載の方法。
【請求項81】
送達方法が腹腔内である、請求項76記載の方法。
【請求項82】
送達方法が直腸的である、請求項76記載の方法。
【請求項83】
送達方法が局所的である、請求項76記載の方法。
【請求項84】
送達方法が腫瘍への直接注射である、請求項76記載の方法。
【請求項85】
ヒト又は動物の疾患を治療する方法であって、請求項46〜49のいずれかに記載の方法により組成物を調製する工程、及びそれらを必要とするヒト又は動物に該組成物を曝露し、活性剤がヒト又は動物患者に送達されるようにする工程を含む、方法。
【請求項86】
疾患が癌であり、該活性剤の少なくとも1つが抗癌剤である、請求項85記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−519058(P2008−519058A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540142(P2007−540142)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/040325
【国際公開番号】WO2006/052906
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(507143358)ネオファーム、インコーポレイティッド (2)
【出願人】(507148766)
【出願人】(507148777)
【出願人】(507148755)
【出願人】(507143406)
【Fターム(参考)】