説明

カルボニル化抑制剤

【課題】皮膚の変色、特に皮膚の黄色化を抑制するために、タンパク質のカルボニル化を抑制する作用を有する種々の有効成分を含んで成る新規の医薬的又は美容学的な薬剤の提供。
【解決手段】オリーブ葉エキス、加水分解エンドウタンパク及びレモンエキスから選ばれる1種又は2種以上の有効成分を含んで成る、タンパク質カルボニル化抑制剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オリーブ葉エキス、加水分解エンドウタンパク及びレモンエキスから選ばれる1種又は2種以上の有効成分を含んで成る、タンパク質カルボニル化抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
生体は、酸化ストレス(空気中の酸素、紫外線、大気中の有害物質、食物中の刺激物など)に常に曝されている。本来、生体には活性酸素を消去するメカニズムが備わっているが、消去能を上回った活性酸素の生成や消去能の低下によって、生体内で酸化が進行することが知られている。なかでもタンパク質は、生体の構造を決定するだけでなく、酵素等の生体機能をつかさどる重要な分子であることから、生体タンパク質の酸化についての研究が盛んに行われている。また、生体タンパク質の酸化は臓器の機能低下に関与していると考えられており、老化に伴った酸化タンパク質の増加が知られている(Tahara S et al., Mech Ageing Dev. 2001 Apr 15;122(4):415-26)。
【0003】
生体タンパク質の「酸化」は、活性酸素によって生じる様々な反応を包括しており、タンパク質のみならず、糖、脂質、核酸が関与した多様な反応を含んで定義される。これに対して、狭義でのタンパク質の酸化は、糖、脂質、核酸などが関与しない、活性酸素によるタンパク質の直接的な酸化反応を意味する。
【0004】
また、糖が関与するタンパク質の修飾反応は「糖化」と呼ばれており、糖の酸化が関与したタンパク質の修飾反応を意味する。例えば、グルコースが酸化分解することによって生じる、グリオキサール、メチルグリオキサール、グリコールアルデヒドなどのアルデヒド基やカルボニル基を有する物質は、タンパク質を修飾することが知られている(Glomb MA et al. J Biol Chem. 1995 Apr 28;270(17):10017-26, Thornalley PJ et al. Biochem J. 1999 Nov 15;344 Pt 1:109-16)。糖が関与するタンパク質の修飾反応は、この経路以外にも多岐に渡っており、最終的に生じる生成物が多く同定されている。
【0005】
一方で、脂質が関与するタンパク質の修飾反応は「脂質過酸化反応に関連するタンパクの修飾反応」等と呼ばれている。脂質が活性酸素に曝されると、アクロレイン、4−ハイドロキシー2−ノネナール、マロンジアルデヒドなどの反応性の高いアルデヒド(カルボニル化合物)が生じる。これらの中間生成物質がタンパク質を修飾する反応は「カルボニル化」とも称される。
【0006】
生体タンパク質のカルボニル化は、多様な疾患や症状に関与することが報告されている。カルボニル化タンパク質は、生体内の様々な組織において検出されることが知られており、例えば、肝臓や脳などでは一般的に加齢とともに増加することが報告されている (Stadtman E.R. et al., EXS. 62:64-72, 1992, Levine RL et al. Free Radic Biol Med. 2002 May 1;32(9):790-6)。また、加齢現象が促進されて現れる早老症などでは、カルボニル化タンパクが増加することが報告されており(Stadtman E.R. et al., J biol Chem. 262:5488-5491, 1987)、その因果関係が研究されている。皮膚においても、カルボニル化タンパク質の存在が知られており、露光部の角層や光老化部位の真皮での蓄積が報告されている (Fujita H. et al., Skin Res Tech. 13:84-90, 2007;Sander, C.S. et al., J Invest Dermatol. 118:618-25, 2002)。具体的には、露光部角層のカルボニル化タンパク質は光学的透過性を低下させるなどの物性変化をもたらすことが報告されており(Iwai I. et al., Int J Cosmet Sci. 30:41-46, 2008)、また真皮のカルボニル化タンパク質は、光線性弾力線維症の重症度に応じて蓄積することが報告されている(Tanaka, N. et al., Arch Dermatol Res. 293:363-367, 2001;Sander, C.S. et al., J Invest Dermatol. 118:618-25, 2002)。
【0007】
このように、タンパク質のカルボニル化は、非酵素的、非特異的に生じるため、あらゆる組織における老化の原因となる。皮膚では、シワやたるみ、くすみなどの原因となり、内臓や脳では、機能低下を引き起こし、さらには多様な疾患の原因になりうると考えられている。このような背景から、タンパク質のカルボニル化を抑制する作用を有する種々の医薬的又は美容学的な薬剤の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Tahara S et al., Mech Ageing Dev. 2001 Apr 15;122(4):415-26
【非特許文献2】Glomb MA et al. J Biol Chem. 1995 Apr 28;270(17):10017-26
【非特許文献3】Thornalley PJ et al. Biochem J. 1999 Nov 15;344 Pt 1:109-16
【非特許文献4】Stadtman E.R. et al., EXS. 62:64-72, 1992
【非特許文献5】Levine RL et al. Free Radic Biol Med. 2002 May 1;32(9):790-6
【非特許文献6】Stadtman E.R. et al., J biol Chem. 262:5488-5491, 1987
【非特許文献7】Fujita H. et al., Skin Res Tech. 13:84-90, 2007
【非特許文献8】Sander, C.S. et al., J Invest Dermatol. 118:618-25, 2002
【非特許文献9】Iwai I. et al., Int J Cosmet Sci. 30:41-46, 2008
【非特許文献10】Tanaka, N. et al., Arch Dermatol Res. 293:363-367, 2001
【非特許文献11】Sander, C.S. et al., J Invest Dermatol. 118:618-25, 2002
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
生体タンパク質のカルボニル化は非酵素的、非特異的に生じるため、あらゆる組織における老化の原因となる。皮膚では、シワやたるみ、くすみなどの原因となり、内臓や脳では、機能低下を引き起こし、さらには多様な疾患の原因になりうると考えられている。したがって、本発明は、タンパク質のカルボニル化を抑制する作用を有する種々の有効成分を含む新規の医薬的又は美容学的な薬剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このたび、本発明者は、オリーブ葉エキス、加水分解エンドウタンパク及びレモンエキスが、タンパク質のカルボニル化を有意に抑制するという驚くべき知見に基づき、本発明を完成するに至った。
【0011】
本願は以下の発明を包含する:
[1] オリーブ葉エキス、加水分解エンドウタンパク及びレモンエキスから選ばれる1種又は2種以上の有効成分を含んで成る、タンパク質カルボニル化抑制剤。
[2] 生体タンパク質のカルボニル化に関係する症状又は疾患を予防又は治療するための[1]に記載のタンパク質カルボニル化抑制剤。
[3] 生体タンパク質のカルボニル化に関係する症状又は疾患が、皮膚の黄色化であることを特徴とする[2]に記載のタンパク質カルボニル化抑制剤。
【発明の効果】
【0012】
生体タンパク質のカルボニル化を抑制し、これにより、生体タンパク質のカルボニル化に関係する多様な症状又は疾患を予防又は治療することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】対照(リン酸緩衝液)、D−リボース、グリオキサール、4−ヒドロキシ−2−ノネナール及びアクロレインによる真皮モデルの黄色化に対する影響を示す。
【図2】塩酸ピリドキシンによる真皮モデルの黄色化を抑制する作用を示す。
【図3】オリーブ葉エキスによる真皮モデルの黄色化を抑制する作用を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本願明細書において、タンパク質の「カルボニル化」とは、脂質の過酸化等で生じたアルデヒドなどのカルボニル化合物が、タンパク質を非特異的に、非酵素的に修飾する反応を意味する。脂質が活性酸素に曝されると、過酸化脂質が形成され、さらに分解されることで、アクロレイン、4−ハイドロキシー2−ノネナール、マロンジアルデヒドなどの反応性の高いアルデヒド(カルボニル化合物)が生じる。これらの中間生成物質は極めて反応性が高いため、タンパク質を修飾する。修飾によって生じる様々な物質は、脂質過酸化最終産物(ALEs)と称されている。これに対して糖の酸化が関与するタンパク質の修飾反応は「糖化」と呼ばれており、糖を由来とする反応であることから、カルボニル化反応とは異なる。「糖化」として知られる反応経路としては、例えば、グルコースが酸化分解することによって生じる、グリオキサール、メチルグリオキサール、グリコールアルデヒドによるタンパク質の修飾等が知られている(Glomb MA et al. J Biol Chem. 1995 Apr 28;270(17):10017-26, Thornalley PJ et al. Biochem J. 1999 Nov 15;344 Pt 1:109-16)。糖が関与するタンパク質の修飾反応は、この経路以外にも多岐に渡っており、最終的に生じる生成物が多く同定されている。これらは、最終糖化産物(AGEs)と称されている。
【0015】
ALEsにはAGEsと一部共通する物質も見つかっているが、ALEsが「糖」が関連しない反応である点で、AGEsとは異なる。
【0016】
活性酸素によって「糖」や「脂質」からアルデヒド基やカルボニル基を有する物質が生成した状態をカルボニルストレスと呼ぶことから、広義においては、「カルボニル化」を「酸化」と同等の意味で用いられることがあるが、本願明細書で用いられる「カルボニル化」は、脂質の過酸化および分解等で生じたアルデヒドが関与したタンパク質の修飾反応(ALEsが生成する反応)のことを称し、糖が関連した反応(「糖化」)とは区別される。
【0017】
なお、AGEsとして知られている物質が生成する反応の全てを、広義において糖化と称する場合がある。AGEsとして古くに同定された化合物と同様の化合物が、脂質が関連する反応経路からも生成することが見つかったことから、「糖化」を広義での「酸化」と同様の意味において使用されることもあるが、本願明細書で用いられる「糖化」とは、糖が関与したタンパク質の修飾反応のことを称し、「カルボニル化」とは区別される。
【0018】
本発明は、このようなタンパク質のカルボニル化が、オリーブ葉エキス、加水分解エンドウタンパク及びレモンエキスによって有意に抑制される、という驚くべき知見に基づくものである。
【0019】
オリーブ葉エキス
オリーブ(学名:Olea europaea Linne)は、モクレン科オリーブ属に属し、現在では世界各地の比較的気温が高いところに分布しており、日本では小豆島を中心に栽培されている常緑高木である。熟した果実を絞って得たオリーブ油は食用、薬用、化粧品用途に幅広く使用されており、またオリーブ葉については防腐作用、解熱・降圧作用が知られており、近年では茶の原料とされている。
【0020】
オリーブ葉からの有効成分の抽出方法は特に限定されるものではないが、溶媒を用いた抽出法が好ましい。抽出を行う際には、オリーブ葉をそのまま使用することもできるが、粉末状に粉砕・細断して抽出に供した方が、穏和な条件で短時間に高い抽出効率で有効成分の抽出を行うことができる。
【0021】
抽出温度は特に限定されるものではなく、オリーブ葉の粉砕物の大きさや溶媒の種類等に応じて適宜設定すればよい。通常は、室温から溶媒の沸点までの範囲内で設定される。また、抽出時間も特に限定されるものではなく、オリーブ葉の粉砕物の大きさ、溶媒の種類、抽出温度等に応じて適宜設定すればよい。さらに、抽出時には、撹拌を行ってもよいし、撹拌せず静置してもよいし、超音波を加えてもよい。
【0022】
例えば、オリーブ葉エキスは、オリーブ葉を溶媒中に浸漬し、室温又は80℃〜100℃にて抽出することができる。抽出処理により得られた抽出液をろ過後、そのまま又は必要に応じて濃縮若しくは乾固したものを、タンパク質糖化抑制剤に使用することができる。なお、この抽出処理の際には、オリーブ葉は細断又は粉砕したものを用いてもよい。また、生のオリーブ葉又は乾燥したオリーブ葉を用いてもよいし、あるいは焙煎したオリーブ葉を用いてもよい。焙煎方法は特に限定されるものではないが、80℃〜120℃で0.5時間〜2時間焙煎する方法が挙げられる。
【0023】
抽出に使用される溶媒の種類は特に限定されるものではないが、水(熱水等を含む)、アルコール(例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール)、グリコール(例えば1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール)、グリセリン、ケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例えばジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、プロピルエーテル)、アセトニトリル、エステル(例えば酢酸エチル、酢酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例えばヘキサン、ヘプタン、流動パラフィン)、芳香族炭化水素(例えばトルエン、キシレン)、ハロゲン化炭化水素(例えばクロロホルム)、又はこれらのうち2種以上の混合溶媒が好ましい。
【0024】
このような抽出操作により、オリーブ葉から有効成分が抽出され、溶媒に溶け込む。抽出物を含む溶媒は、そのままタンパク質カルボニル化抑制剤に使用してもよいが、数日静置して熟成させてから用いても良い。さらに滅菌、洗浄、濾過、脱色、脱臭等の慣用の精製処理を加えてからタンパク質カルボニル化抑制剤に使用してもよい。また、必要により濃縮又は希釈してからタンパク質カルボニル化抑制剤に使用してもよい。さらに、溶媒を全て揮発させて固体状(乾燥物)としてからタンパク質カルボニル化抑制剤に使用してもよいし、該乾燥物を任意の溶媒に再溶解してタンパク質カルボニル化抑制剤に使用してもよい。
【0025】
なお、オリーブ葉エキスの抽出方法として、超臨界流体を用いた抽出法を採用することも可能である。超臨界流体の種類は特に限定されるものではなく、二酸化窒素、アンモニア、エタン、プロパン、エチレン、メタノール、エタノール等が挙げられる。なお、オリーブ葉エキスは、丸善製薬株式会社から市販されているので、これを使用してもよい。
【0026】
レモンエキス
レモン(学名:Citrus limon Burmann fil (Rutaceae))は、ミカン科ミカン属に属する常緑灌木である。本発明のタンパク質糖化抑制剤に用いられるレモンエキスとしては、レモンの果実(果肉及び/又は果皮)の抽出物が最も好ましいが、レモンの葉、茎、枝、花、樹皮、根等にも有効成分が含まれているので、これらのうちいずれか1又は複数の抽出物を使用することもできる。
【0027】
例えば、レモンの果実には、ビタミンC、クエン酸等が多く含まれているが、レモンからの有効成分の抽出方法は特に限定されるものではない。しかしながら、溶媒を用いた抽出法が好ましい。抽出を行う際には、レモンをそのまま使用することもできるが、顆粒状や粉末状に粉砕して抽出に供した方が、穏和な条件で短時間に高い抽出効率で有効成分の抽出を行うことができる。
【0028】
抽出温度は特に限定されるものではなく、レモンの粉砕物の粒径や溶媒の種類等に応じて適宜設定すればよい。通常は、室温から溶媒の沸点までの範囲内で設定される。また、抽出時間も特に限定されるものではなく、レモンの粉砕物の粒径、溶媒の種類、抽出温度等に応じて適宜設定すればよい。さらに、抽出時には、撹拌を行ってもよいし、撹拌せず静置してもよいし、超音波を加えてもよい。
【0029】
抽出に使用される溶媒の種類は特に限定されるものではないが、水(熱水等を含む)、アルコール(例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール)、グリコール(例えば1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール)、グリセリン、ケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例えばジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、プロピルエーテル)、アセトニトリル、エステル(例えば酢酸エチル、酢酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例えばヘキサン、ヘプタン、流動パラフィン)、芳香族炭化水素(例えばトルエン、キシレン)、ハロゲン化炭化水素(例えばクロロホルム)、又はこれらのうち2種以上の混合溶媒が好ましい。
【0030】
このような抽出操作により、レモンから有効成分が抽出され、溶媒に溶け込む。抽出物を含む溶媒は、そのままタンパク質カルボニル化抑制剤に使用してもよいが、滅菌、洗浄、濾過、脱色、脱臭等の慣用の精製処理を加えてからタンパク質カルボニル化抑制剤に使用してもよい。また、必要により濃縮又は希釈してからタンパク質カルボニル化抑制剤に使用してもよい。さらに、溶媒を全て揮発させて固体状(乾燥物)としてからタンパク質カルボニル化抑制剤に使用してもよいし、該乾燥物を任意の溶媒に再溶解してタンパク質カルボニル化抑制剤に使用してもよい。
【0031】
なお、レモンの抽出物は、香栄興業株式会社から市販されているので(商品名:ホーモフルーツ レモン)、これを用いることもできる。また、レモンを圧搾することにより得られる圧搾液にも抽出物と同様の有効成分が含まれているので、抽出物の代わりにレモンの圧搾液を使用することもできる。
【0032】
ここで、レモンから抽出物を抽出する方法を、一例を挙げて説明する。レモンの果実から抽出物を抽出する場合は、前述したオリーブ葉から抽出物を抽出する方法と同様の方法を採用することもできるが、圧搾法を採用することが好ましい。葉、茎等の果実以外の部位から抽出物を抽出する場合は、前述したオリーブ葉から抽出物を抽出する方法と同様の方法を採用することが好ましい。なお、葉、茎等からの抽出処理の際には、レモンは細断又は粉砕したものを用いてもよい。また、生又は乾燥したものを用いてもよいし、焙煎したものを用いてもよい。
【0033】
加水分解エンドウタンパク
加水分解エンドウタンパクは、エンドウ豆のタンパク質を加水分解して得られるポリペプチドであり、極性の高い酸性アミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸)や塩基性のアミノ酸(アルギニン、ヒスチジン、リジン)を多く含む。エンドウ(学名:Pisum sativum L.)は、広く食用として栽培されているマメ科の一・二年草で、これを加水分解することで、様々な加水分解溶液を得ることができる。プロモイスWJ(商品名)は、株式会社成和化成から市販されている、平均分子量約500のエンドウ豆タンパク質の加水分解溶液であり、これを加水分解エンドウタンパクとして用いることもできる。
【0034】
本発明のタンパク質カルボニル化抑制剤においては、オリーブ葉抽出物、レモンエキス、及び加水分解エンドウタンパクの配合比は特に限定されるものではなく、任意に設定可能である。ただし、本発明のタンパク質カルボニル化抑制剤のカルボニル化抑制能をより優れたものとするためには、抽出物の配合比は、タンパク質カルボニル化抑制剤全体に対して0.00001質量%以上10質量%以下とすることが好ましく、0.001質量%以上5質量%以下とすることがより好ましく、そして0.01質量%以上1質量%以下とすることがさらに好ましい。
【0035】
本発明のタンパク質カルボニル化抑制剤は、その使用目的に合わせて用量、用法、剤型を適宜決定することが可能である。例えば、本発明のタンパク質カルボニル化抑制剤の投与形態は、経口、非経口、外用等であってよい。剤型としては、例えば錠剤、粉剤、カプセル剤、顆粒剤、エキス剤、シロップ剤等の経口投与剤、又は注射剤、点滴剤、若しくは坐剤等の非経口投与剤軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、浴用剤等の外用剤を挙げることができる。
【0036】
また、本発明のタンパク質カルボニル化抑制剤中には、有効成分以外に、例えば、美容学的又は医薬的に許容される賦形剤、防湿剤、防腐剤、強化剤、増粘剤、乳化剤、酸化防止剤、甘味料、酸味料、調味料、着色料、香料等、化粧品等に通常用いられる美白剤、保湿剤、油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、粉末成分、色剤、水性成分、水、各種皮膚栄養剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0037】
さらに、本発明のタンパク質カルボニル化抑制剤を皮膚外用剤として使用する場合、皮膚外用剤に慣用の助剤、例えばエデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属封鎖剤、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸およびその誘導体、甘草抽出物、グラブリジン、カリンの果実の熱水抽出物、各種生薬、酢酸トコフェロール、グリチルリチン酸およびその誘導体またはその塩等の薬剤、ビタミンC、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ酸等の美白剤、グルコース、フルクトース、マンノース、ショ糖、トレハロース等の糖類、レチノイン酸、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等のビタミンA類なども適宜配合することができる。
【0038】
生体タンパク質のカルボニル化は、多様な症状又は疾患に関係していることが知られており、これらの症状又は疾患としては、例えば老化、内蔵や脳の機能低下、早老症、光線性弾力線維症、乾癬、アトピー性皮膚炎、シワ、シミ、皮膚のたるみ等が挙げられる。したがって、本発明のカルボニル化抑制剤は、生体タンパク質のカルボニル化に関係するこれらの症状又は疾患を予防又は治療するために極めて有効である。
【0039】
さらに、本発明者らは、生体タンパク質、特に真皮中に存在するタンパク質のカルボニル化が、皮膚の変色、特に皮膚の黄色化と密接に関与しているという驚くべき知見を得た。皮膚の色は、重要な美容要素の1つであり、皮膚を構成する組織の光学特性とメラニンやヘモグロビンといった皮膚組織中の様々な色素成分によって決定されることが知られている。皮膚の黄色化は、肌の透明感を喪失させる黄ぐすみとしても知られており、美容上の悩みの原因となっている。しかしながら、生体タンパク質のカルボニル化と皮膚の変色、特に皮膚の黄色化との関係性については、これまでに知られていない。
【0040】
したがって、本発明のタンパク質カルボニル化抑制剤は、皮膚の変色、特に皮膚の黄色化を抑制するために極めて有用である。
【実施例】
【0041】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明する。
【0042】
例1.抽出物のカルボニル化抑制効果の評価
試験には、I型コラーゲンが予めコーティングされている96ウェルプレートを用いた(コーニング株式会社 コード番号:NCO3585)。カルボニル化を誘導する試薬としては、過酸化脂質由来のアルデヒドであるアクロレイン(AccuStandard社)を用いた。タンパク質にアクロレインを作用させると、カルボニル基が導入される。導入されたカルボニル基は、カルボニル基と結合する、ヒドラジノ基(−NHNH2)とビオチンが結合したビオチン−ヒドラジド(PIERCE社 コードNo.21339)を用いて検出した。レモン果汁エキス、オリーブ葉エキス及び加水分解エンドウタンパクの各抽出物のカルボニル化抑制効果は、これらの抽出物存在下と、非存在下におけるカルボニル基検出効率を比較して、どの程度、カルボニル基導入が抑えられるかについて検討した。
【0043】
具体的には、300μMアクロレイン及び各抽出物を溶解して試料溶液を調製した。各抽出物の濃度は、0.01%〜0.3%に設定した。抽出物を含まない試料溶液には、300μMアクロレイン及び抽出物と同量の溶媒を溶解させた(ポジティブコントロール)。これらの試料溶液を、コラーゲンプレートの各ウェルに100μLずつ分注して37℃で一昼夜反応させた。なお、アクロレインを含まず、抽出物と同量の溶媒を含む溶液についても、同様に試験を行った(ネガティブコントロール)。
【0044】
一昼夜反応させたプレートは、界面活性剤(0.1%Tween20)を含むリン酸緩衝液(PBS−T)を用いて洗浄した。その後100mMの2−モルホリノエタンスルホン酸・一水和物(MES)緩衝液で調製した0.1μMビオチン−ヒドラジド溶液を各ウェルに100μLずつ分注して室温で2時間反応させた。反応後、PBS−T緩衝液を用いて洗浄した。その後0.1μg/mLの西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)標識アビジン(ベクター社 A−2004)を各ウェルに100μLずつ分注して37℃で1時間反応させた。さらにPBS−T緩衝液を用いて洗浄した後、HRPの基質である3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンに塩酸塩(TMB)を含有する基質溶液(バイオ・ラッド社 製品番号172−1066)で発色させた。発色反応を止めるため、1M 硫酸溶液で反応を止めた。その後、波長450nmにおける吸光度を測定して、カルボニル基が導入されたタンパクの量を定量した。
【0045】
カルボニル化抑制効果は、(サンプルの吸光度−ネガティブコントロールの吸光度)/(ポジティブコントロールの吸光度−ネガティブコントロールの吸光度)で表した。各試料の各濃度についてn=5で評価を行った。これらの平均値ならびに標準偏差値を求め、独立2群に対してt検定を行い、P値を求め有意差の検定を行った。統計的有意差は「*」をp<0.05の有意差あり、「**」をp<0.01の有意差ありとした。
【表1】

【0046】
上記の結果から、レモン果汁エキス、オリーブ葉エキス及び加水分解エンドウタンパクの各抽出物は、それぞれタンパク質のカルボニル化を有意に抑制することがわかる。なお、レモン果汁エキスの評価には、香栄興業株式会社から市販されている、ホーモフルーツ レモン(商品名)を用いた。オリーブ葉エキスの評価には、丸善製薬株式会社から市販されているオリーブ葉エキスを用いた。加水分解エンドウタンパクの評価には、株式会社成和化成から市販されているプロモイスWJ(商品名)を用いた。
【0047】
例2.タンパク質のカルボニル化と皮膚の黄色化の関係性の検討
真皮モデルの作製
ヒト真皮より単離した真皮線維芽細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS)を含有するダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)にて培養した。真皮線維芽細胞はトリプシン−EDTA処理によって回収した。最終濃度として、1.0×105細胞/mLの線維芽細胞を含有する0.1%I型コラーゲン溶液となるようにコラーゲン溶液(高研社)を培地で希釈して、コラーゲンを中和ゲル化させた。I型コラーゲンはウシ真皮より酢酸で抽出した溶液を用いた。中和ゲル化後、2〜3日に一度培地交換を行い、7日間培養を行った。真皮線維芽細胞は周囲のコラーゲン線維をたぐり寄せる性質があるため、培養中にコラーゲンゲルは濃縮して、元の1/3程度の大きさまで収縮した。十分に高密度化された収縮コラーゲンゲルを滅菌水に浸漬して、低張処理によってゲル中に生存している線維芽細胞を死滅させた。滅菌水は10回以上交換して、培地や可溶成分を十分に除去し、生細胞を含まない真皮成分のみで形成されたゲルを作製し、これを真皮モデルとした。
【0048】
黄色化要因の検討
上記真皮モデルを使用して、真皮タンパク質における糖化及びカルボニル化による真皮モデルの黄色化に対する影響を比較した。真皮モデル中のタンパク質の糖化は、グルコースよりも反応性の高い還元糖であるD−リボース(和光純薬社)及び、グルコースの自動酸化より生じるグリオキサール(Alfa Aesar社)を用いた。カルボニル化は、皮膚に存在することが知られている、過酸化脂質由来のアルデヒドであるアクロレイン(AccuStandard社)及び、4−ヒドロキシ−2−ノネナール(Oxis international社)を用いた。リン酸緩衝液で調製した200mM D−リボース、10mM グリオキサール、10mM アクロレインと、10mM 4HNEをそれぞれ含む溶液2.5mLの中に、上記において作製した真皮モデルを浸漬して、37℃で5日間、インキュベートを行い、実験的に糖化、カルボニル化を誘導した。真皮モデルの色変化は、コニカミノルタ 分光測色器CM−2600d 拡散照明・8°方向受光φ3mmにて測定した。測定の際、真皮モデルを溶液から取り出し、リン酸緩衝液で十分に洗浄した後、白色校正用タイル(CR−A43(1849−701))上に乗せて測定した。得られた分光反射スペクトルより算出されるCIE L***表色系によるb*を黄味の指標とした。黄味の変化(黄色化)は、リン酸緩衝液に浸漬した真皮モデルを対照として評価した。
得られた結果を図1に示す。図1からもわかるとおり、真皮モデル中のタンパク質のカルボニル化を誘導した場合、これまで皮膚の黄色化の大きな要因の1つであると考えられていた糖化よりも、著しい黄変(黄色化)を誘導することが示された。
【0049】
塩酸ピリドキシンによる真皮モデルの黄色化の抑制
カルボニル化の抑制によって、真皮モデル中のタンパク質の黄色化が抑制されるか検討を行った。リン酸緩衝液で調製した1mMアクロレインのみを含む溶液(対照)と、1mMアクロレインと候補物質を含む溶液2.5mLの中に、上記において作製した真皮モデルを浸漬した。候補物質としては、カルボニル化抑制効果が知られている塩酸ピリドキシン10mMを用いた。その後、上記のとおり処理した真皮モデルを37℃で5日間インキュベートを行った。溶液は1日毎に調整し直したものに交換した。真皮モデルの色の変化は、コニカミノルタ 分光測色器CM−2600d 拡散照明・8°方向受光φ3mmにて測定した。測定の際、真皮モデルを溶液から取り出し、白色校正用タイル(CR−A43(1849−701))上に乗せて測定した。得られた分光反射スペクトルより算出されるCIE L***表色系によるb*(黄味)を黄色化の指標とした。得られた結果を図2に示す。
【0050】
図2からもわかるとおり、真皮タンパク質のカルボニル化を抑制することにより、皮膚の黄色化が抑制されることが示された。
【0051】
例3.オリーブ葉エキスによる皮膚の黄色化抑制作用の評価
評価の一例として、オリーブ葉エキス(丸善製薬株式会社)の黄色化抑制について評価した。オリーブ(Olea europaea Linne)は、モクレン科オリーブ属に属し、現在では世界各地の比較的気温が高いところ、日本では小豆島を中心に栽培されている常緑高木である。熟した果実を絞って得たオリーブ油は食用、薬用、化粧品用途に幅広く使用されており、またオリーブ葉については防腐作用、解熱・降圧作用が知られており、近年では茶の原料とされている。しかしながら、オリーブ葉エキスがカルボニル化抑制作用を有することはこれまでに知られていない。オリーブ葉エキスはエキス自体が着色しているため、色の評価の妨げとならないよう、活性炭を用いて色素成分を取り除いたものを使用し、例2と同様の実験を行った。具体的には、リン酸緩衝液で調製した1mMアクロレインのみを含む溶液(対照)と、1mMアクロレインとオリーブ葉エキス10%を含む溶液2.5mLの中に、上記において作製した真皮モデルを浸漬した。その後、上記のとおり処理した真皮モデルを37℃で6日間インキュベートを行った。溶液は1日毎に調整し直したものに交換した。真皮モデルの色の変化は、コニカミノルタ 分光測色器CM−2600d 拡散照明・8°方向受光φ3mmにて測定した。測定の際、真皮モデルを溶液から取り出し、白色校正用タイル(CR−A43(1849−701))上に乗せて測定した。得られた分光反射スペクトルより算出されるCIE L***表色系によるb*(黄味)を黄色化の指標とした。
【0052】
図3からもわかるとおり、真皮モデルの黄色化は抑制され、b*上昇の有意な抑制が見られた。このことは、オリーブ葉エキスが、皮膚の黄色化を抑制する作用を有する可能性が極めて高いことを示す。
【0053】
処方例
以下に本願のカルボニル化抑制剤を配合した処方例を示す。なお、本処方例はあくまでも一例であり、本発明は本処方例に限定されるものではない。
【0054】
処方例1:バニシングクリーム(O/W型、石けん+ノニオン界面活性剤併用)
薬剤:本願のカルボニル化抑制剤(加水分解エンドウタンパク) 0.1質量%
油分: ステアリン酸 8.0
ステアリルアルコール 4.0
ステアリン酸ブチル 6.0
保湿剤: プロピレングリコール 5.0
界面活性剤:モノステアリン酸グリセリン 2.0
アルカリ: 水酸化カリウム 0.4
防腐剤: 適量
酸化防止剤: 適量
香料: 適量
精製水: 74.5
【0055】
製法
精製水に薬剤、保湿剤、アルカリを加えて水相を調製し、70℃に加熱調整する。油分を加熱溶解後、界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、香料を加え、70℃に調整する。これを先の水相に加え、予備乳化を行う。ホモミキサーにて乳化粒子を均一にした後、脱気、濾過、冷却を行う。
【0056】
処方例2:エモリエントクリーム(O/W型)
薬剤:本願のカルボニル化抑制剤(オリーブ葉エキス) 0.1質量%
油分: ステアリルアルコール 6.0
ステアリン酸 2.0
水添ラノリン 4.0
スクワラン 9.0
オクチルドデカノール 10.0
保湿剤: 1,3 ブチレングリコール 6.0
PEG1500 4.0
界面活性剤:POE(25)セチルアルコールエーテル 3.0
モノステアリン酸グリセリン 2.0
防腐剤: 適量
酸化防止剤: 適量
香料: 適量
精製水: 53.9
【0057】
製法
精製水に薬剤、保湿剤を加えて水相を調製し、70℃に加熱調整する。油分を加熱溶解後、界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、香料を加え、70℃に調整する。これを先の水相に加え、ホモミキサーにて乳化粒子を均一にして、脱気、濾過、冷却を行う。
【0058】
処方例3:エモリエントクリーム(O/W型)
薬剤: 本願のカルボニル化抑制剤(加水分解エンドウタンパク) 0.1質量%
油分: セチルアルコール 5.0
ステアリン酸 3.0
ワセリン 5.0
スクワラン 10.0
グリセロールトリ 2-エチルヘキサン酸 7.0
エステル
保湿剤: ジプロピレングリコール 5.0
グリセリン 5.0
界面活性剤:プロピレングリコールモノステアリン酸 3.0
エステル
POE(25)セチルアルコールエーテル 3.0
アルカリ: トリエタノールアミン 1.0
防腐剤: 適量
酸化防止剤: 適量
香料: 適量
精製水: 52.9
【0059】
製法
精製水に薬剤、保湿剤、アルカリを加えて水相を調製し、70℃に加熱調整する。油分を加熱溶解後、界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、香料を加え、70℃に調整する。これを先の水相に加え、予備乳化を行う。ホモミキサーにて乳化粒子を均一にして、脱気、濾過、冷却を行う。
【0060】
処方例4:マッサージクリーム(O/W型)
薬剤: 本願のカルボニル化抑制剤(レモンエキス) 0.1質量%
油分: 固形パラフィン 5.0
ミツロウ 10.0
ワセリン 15.0
流動パラフィン 41.0
保湿剤: 1,3 ブチレングリコール 4.0
界面活性剤:モノステアリン酸グリセリン 2.0
POE(25)ソルビタンモノラウリン酸 2.0
エステル
アルカリ: ホウ砂 0.2
防腐剤: 適量
酸化防止剤: 適量
香料: 適量
精製水: 20.7
【0061】
製法
精製水に薬剤、保湿剤、ホウ砂を加えて水相を調製し、70℃に加熱調整する。油分を加熱溶解後、界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、香料を加え、70℃に調整する。これを先の水相に徐々に加え、予備乳化を行う。ホモミキサーにて乳化粒子を均一にして、脱気、濾過、冷却を行う。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリーブ葉エキス、加水分解エンドウタンパク及びレモンエキスから選ばれる1種又は2種以上の有効成分を含んで成る、タンパク質カルボニル化抑制剤。
【請求項2】
生体タンパク質のカルボニル化に関係する症状又は疾患を予防又は治療するための請求項1に記載のタンパク質カルボニル化抑制剤。
【請求項3】
生体タンパク質のカルボニル化に関係する症状又は疾患が、皮膚の黄色化であることを特徴とする請求項2に記載のタンパク質カルボニル化抑制剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−31106(P2012−31106A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172371(P2010−172371)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】