説明

カンナビノイド受容体調整剤としてのチアゾール誘導体

【化1】


本発明はチアゾール誘導体の群、これらの化合物の製法、有効成分としてこれらの化合物の少なくとも1種を含有する製薬学的組成物並びにカンナビノイドCB神経伝達に関与する精神疾患及び神経学的障害及び他の疾患の処置のためのこれらの組成物の使用、に関する。本発明のチアゾール誘導体はカンナビノイド(CB)受容体アンタゴニスト、CB受容体アンタゴニスト、CB受容体インバースアゴニスト又はCB受容体部分アゴニストのいずれかである。化合物は一般式(I)(ここでR、R及びXは明細書中に与えられる意味をもつ)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はチアゾール誘導体の群、これらの化合物の製法、有効成分としてこれらの化合物の少なくとも1種を含有する製薬学的組成物並びにカンナビノイドCB神経伝達に関与する精神疾患及び神経学的障害及び他の疾患の処置に対するこれらの組成物の使用、に関する。
【0002】
本発明のチアゾール誘導体はカンナビノイド(CB)受容体アンタゴニスト、CB受容体アゴニスト、CB受容体インバースアゴニスト又はCB受容体部分アゴニストのいずれかである。本発明のチアゾール誘導体はCB受容体上又はCB受容体上又はCB及びCB受容体双方上のいずれかに結合する。
【背景技術】
【0003】
本発明は有益な効果を与える医薬の製造のための、本明細書に開示される化合物の使用に関する。有益な効果は本明細書に開示されるか又は明細書及び当該技術分野における一般的知識から当業者に明白である。本発明はまた、疾患又は状態を処置又は予防するための医薬の製造のための本発明の化合物の使用に関する。更に特には、本発明は本明細書に開示される又は明細書及び当該技術分野における一般的知識から当業者に明白な疾患又は状態の処置のための新規の使用に関する。本発明の態様において、本明細書に開示される特定の化合物が医薬の製造に使用される。
【0004】
チアゾールはトリグリセリド阻害剤として特許文献1に請求された(特許文献1参照)。特許文献2は形質転換成長因子(TgF)阻害剤としてのチアゾール誘導体を記載している(特許文献2参照)。4,5−ジアリールチアゾール誘導体は血栓症、高血圧症、アレルギー及び炎症の処置のための5−リポキシゲナーゼ阻害剤として特許文献3及び4に記載された(特許文献3及び4参照)。その中に例示された構造物はすべてメトキシ、フルオロ、メチルチオ又はメチルスルフィニル基でp−置換された2個のフェニル環を含有する。特許文献5は炎症関連障害として、炎症及び疼痛、関節炎又は熱に対するスルホニルアリール−アリールチアゾールを記載している(特許文献5参照)。特許文献6はアセチルコリンエステラーゼ阻害剤としての4,5−ジアリールチアゾールに関連し、そして特許文献7は鎮痛、抗炎症及び解熱作用を有する4,5−ジアリールチアゾールにつき記載している(特許文献6及び7参照)。
【特許文献1】国際公開第0127094号パンフレット
【特許文献2】国際公開第0426863号パンフレット
【特許文献3】欧州特許第388909号明細書
【特許文献4】欧州特許第377457号明細書
【特許文献5】国際公開第9603392号パンフレット
【特許文献6】特開平05−345772号公報
【特許文献7】特開平04−154773号公報
【発明の開示】
【0005】
今や驚くべきことには、式(I)
【0006】
【化1】

【0007】
[式中、
−R及びRは同一であるか又は異なり、そして、場合により1〜3個の置換基Yで置換されてもよいフェニル又はピリジニルを表わし、ここで、Yはメチル、エチル、プロピル、メトキシ、エトキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メチルスルホニル、メチルスルファニル、トリフルオロメチルスルホニル、フェニル又はシアノの群からの1置換基を表わし、但しXはサブ基(ii)を表わさないこととするか、あるいは
部分R及びRの一方が、場合により1〜3個の置換基Yで置換されてもよいフェニル又はピリジニル基を表わし、ここでYは前記の意味を有し、そして他方の部分が水素原子又はC1−8分枝鎖もしくは直鎖状アルキル基、(N、O、S)の群からの1ヘテロ原子を含むC3−8分枝鎖もしくは直鎖状ヘテロアルキル基、C3−7シクロアルキル基、C3−7シクロアルキル−C1−3−アルキル基、C3−7ヘテロシクロアルキル−C1−3−アルキル基を表わし、それらの基がヒドロキシ、メトキシ、メチル、トリフルオロメチルスルホニル又はトリフルオロメチル基又はフルオロ原子で置換されてもよく、そしてC3−7−ヘテロシクロアルキル−C1−3−アルキル基が(O、N、S)の群からの1又は2個のヘテロ原子を含み、あるいは、
前記の他方の部分が、場合により1〜3個の置換基Yでフェニル環上で置換されてもよいベンジルを表わし、ここでYは前記の意味を有し、
Xはサブグループ(i)又は(ii)の一方を表わし、
【0008】
【化2】

【0009】
ここで、
−RはC1−8分枝鎖もしくは直鎖状アルキル基、C3−7シクロアルキル基、C3−7−シクロアルキル−C1−2−アルキル基、C3−7−ヘテロシクロアルキル−C1−2−アルキル基を表わし、それらの基がヒドロキシ、メチル又はトリフルオロメチル基又はフルオロ原子で置換されてもよく、そしてそのC3−7−ヘテロシクロアルキル−C1−2−アルキル基が(O、N、S)の群からの1又は2個のヘテロ原子を含み、あるいは
がフェニル、ベンジル、フェネチル又はフェニルプロピル基を表わし、それらが1〜3個の置換基Y(ここでYは前記の意味を有する)でそれらのフェニル環上で置換されてもよく、あるいは
がピリジル、チエニル又はナフチル基を表わし、そのナフチル基がハロゲン原子、メチル基又はメトキシ又はトリフルオロメチル基で置換されてもよく、
−Rは水素原子又は分枝鎖もしくは直鎖状C1−3アルキル基を表わし、
−Rは水素、分枝鎖もしくは直鎖状C1−10アルキル又はC3−8−シクロアルキル−C1−2−アルキル基、分枝鎖もしくは直鎖状C1−10アルコキシ、C3−8シクロアルキル、C5−10ビシクロアルキル、C5−10−ビシクロアルキル−C1−2−アルキル、C6−10トリシクロアルキル、C6−10トリシクロアルキル−メチル、分枝鎖もしくは直鎖状C3−10アルケニル、C5−8シクロアルケニルを表わし、それらの基が(O、N、S)の群からの1又は複数のヘテロ原子を含んでもよく、そしてそれらの基がヒドロキシ基、1〜3個のメチル基、エチル基又は1〜3個のフルオロ原子で置換されてもよく、あるいは
が、場合により1〜3個の置換基Yでフェニル環上で置換されてもよいフェニル、フェニルアミノ、フェノキシ、ベンジル、フェネチル又はフェニルプロピル基を表わし、ここでYは前記の意味を有し、あるいは、
がピリジル又はチエニル基を表わし、あるいは、
が基NRを表わし、ここで
及びRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって4〜10個の環原子をもつ、飽和又は不飽和の単環式又は二環式の、複素環式基を形成し、その複素環式基が(O、N、S)の群からの1又は複数のヘテロ原子を含み、そしてその複素環式基が分枝鎖もしくは直鎖状C1−3アルキル、フェニル、ヒドロキシ又はトリフルオロメチル基又はフルオロ原子で置換されてもよく、あるいは
及びRが、それらが結合している窒素原子と一緒になって4〜10個の環原子をもつ、飽和又は不飽和の単環式又は二環式の、複素環式基を形成し、その複素環式基が(O、N、S)の群からの1又は複数のヘテロ原子を含み、そしてその複素環式基が分枝鎖もしくは直鎖状C1−3アルキル、フェニル、アミノ、ヒドロキシ、メトキシ、シアノ又はトリフルオロメチル基又はフルオロもしくはクロロ原子で置換されてもよい]
のチアゾール誘導体、それらのプロドラッグ及びそれらの塩がカンナビノイドCB受容体の調整剤であることが見いだされた。
【0010】
式(I)を有するすべての化合物、ラセミ体、ジアステレオマー及び個々の立体異性体の混合物が本発明に属する。従って、潜在的に不斉炭素原子上の置換基がR−立体配置又はS−立体配置のいずれかにある化合物は本発明に属する。更にプロドラッグ、すなわち任意の知られた経路によりヒトに投与される時に式(I)を有する化合物に代謝される化合物、は本発明に属する。プロドラッグは親の薬剤分子の利用能に対する何かのバリヤーを克服するために使用される薬剤分子の生体内可逆的な誘導体である。これらのバリヤーには、それらに限定はされないが、溶解度、透過性、安定性、前全身代謝及びターゲティングの制約(targeting limitations)が含まれる(J.Stella,“Prodrugs as therapeutics”,Expert Opin.Ther.Patents,14(3),277−280,2004)。とりわけこれは、第一級又は第二級アミノ又はヒドロキシ基をもつ化合物に関連する。このような化合物は有機酸と反応して、投与後容易に除去される更なる基、それらに限定はされないが例えば、アミジン、エナミン、マンニッヒ塩基、ヒドロキシ−メチレン誘導体、O−(アシルオキシメチレンカルバメート)誘導体、カルバメート、エステル、アミド又はエナミノンが存在する、式(I)を有する化合物を生成することができる。プロドラッグは不活性な化合物であり、吸収されると、活性形態に転化される(Medicinal Chemistry:Principles and Practice,1994,ISBN
0−85186−494−5,Ed.:F.D.King,p.216)。
【0011】
CB受容体活性により、本発明に従う化合物は、精神医薬障害(例えば、精神疾患、不安症、抑鬱症、注意欠陥障害、記憶障害、認知障害、食欲障害、肥満、依存症、強度欲望、薬剤依存症)及び神経学的障害(例えば、神経変性障害、痴呆、筋失調症、筋肉痙縮、振顫、癲癇、多発性硬化症、外傷性脳障害、発作(stroke)、パーキンソン病、アルツハイマー病、癲癇、ハンチントン病、トゥーレット症候群、脳虚血、脳卒中、頭蓋大脳外傷、発作(stroke)、脊髄障害、神経炎症障害、プラーク硬化症、ウイルス性脳炎、脱髄関連障害)の処置における、並びに疼痛障害(神経因性疼痛障害を含む)及びカンナビノイド神経伝達に関与する他の疾患の処置(敗血症性ショック、緑内障、癌、糖尿病、嘔吐、嘔気、喘息、呼吸疾患、胃腸障害、性的障害、胃潰瘍、下痢及び心臓血管障害の処置を含む)のための使用に適する。
【0012】
薬理学的方法
ヒトのカンナビノイドCB受容体に対するインビトロの親和性
カンナビノイドCB受容体に対する本発明の化合物の親和性を、放射性リガンドとして[H]CP−55,940と一緒に、ヒトのカンナビノイドCB受容体を安定に移植されたチャイニーズ・ハムスターの卵巣(CHO)細胞の膜プレパラートを使用して決定することができる。本発明の化合物を添加された又は添加されない、[H]−リガンドを含む新鮮に調製された細胞膜プレパラートのインキュベート後、結合リガンドと遊離リガンドの分離をガラス繊維フィルター上の濾過により実施する。フィルター上の放射活性を液体シンチレーション計数法により測定する。
【0013】
ヒトのカンナビノイドCB受容体のインビトロ親和性
カンナビノイドCB受容体に対する本発明の化合物の親和性を、放射性リガンドとして[H]CP−55,940と一緒に、ヒトのカンナビノイドCB受容体を安定に移植されたチャイニーズ・ハムスターの卵巣(CHO)細胞の膜プレパラートを使用して決定することができる。本発明の化合物を添加された又は添加されない、[H]−リガンドを含む新鮮に調製された細胞膜プレパラートのインキュベート後、結合リガンドと遊離リガンドの分離をガラス繊維フィルター上濾過により実施する。フィルター上の放射活性を液体シンチレーション計数法により測定する。
【0014】
ヒトのカンナビノイドCB受容体に対するインビトロのアンタゴニスム
インビトロのCB受容体アンタゴニスムをチャイニーズ・ハムスターの卵巣(CHO)細胞中でクローン形成されたヒトCB受容体で算定することができる。CHO細胞は10%の熱不活性化されたウシ胎子血清を追加されたダルベッコの変性イーグルの培地(DMEM)の培養培地中で生長させる。培地は通気され、ウシ胎仔血清を含まないが[H]−アラキドン酸を含有するDMEMで置き換え、細胞培養ストーブ(5%CO/95%空気、37℃、水飽和雰囲気)中で1晩インキュベートする。この期間に[H]−アラキドン酸が膜のリン脂質中に取り込まれる。試験当日に、培地に通気させ、細胞を0.2%の仔ウシ血清アルブミン(BSA)を含有する0.5mLのDMEMを使用して3回洗浄する。WIN55,212−2によるCB受容体の刺激がPLAの活性化をもたらし、次に[H]−アラキドン酸を培地中に放出させる。このWIN55,212−2誘発の放出はCB受容体アンタゴニストにより濃度依存性に拮抗される。試験化合物のCB拮抗作用の強度はpA値として表わされる。
【0015】
ヒトのカンナビノイドCB受容体に対するインビボのアンタゴニスム
インビボのCBアンタゴニスムはラットにおけるCP−55,940−誘発降圧試験で算定することができる。雄の正常血圧ラット(225〜300g;Harlan,Horst,オランダ)をペントバルビタール(80mg/kg腹腔内投与)で麻酔する。血圧をSpectramed DTX−プラス圧力トランスジューサー(Spectramed,B.V.,Bilthoven,オランダ)により左頸動脈中に挿入されたカニューレにより測定する。Nihon Kohden Carrier Amplifier(Type AP−621G;Nihon Kohden B.V.,Amsterdam,オランダ)による増幅後、血圧信号をPo−Ne−Mahデータアクイジションプログラム(Po−Ne−Mah Inc.Storrs,USA)によりパーソナルコンピューター(Compaq Deskpro 386s)上に登録する。心拍を脈圧信号から誘導する。CB受容体アゴニストCP−55,940投与の60分前の、麻酔導入30分前に、すべての化合物を1%メチルセルロース中微細懸濁液として経口投与する。注射用量は10mLkg−1である。血液動態安定後、CB受容体アゴニストCP−55,940(0.1mgkg−1静脈内投与)を投与し、降圧効果を確立する(Wagner,J.A.等、Hemodynamic effects of cannabinoids:coronary and cerebral vasodilation mediated by cannabinoid CB1 receptors(カンナビノイドの血液動態効果:カンナビノイドCB受容体により仲介される冠状血管及び脳血管拡張).Eur.J.Pharmacol.2001,423,203−210)。
【0016】
この降圧試験はまた化合物のCB受容体アゴニスト効果を算定するために使用することができる。血圧に対するこのようなCBアゴニスト効果はリモナバント(rimonabant)のような選択的CB受容体アンタゴニストにより拮抗されることができる。
【0017】
本発明の化合物のカンナビノイド受容体のアゴニスト作用又は部分的アゴニスト作用はインビボのカンナビノイド疑似効果の算定のような公開された方法に従って決定することができる(Wiley,J.L.等、J.Pharmacol.Exp.Ther.2001,296,1013)。
【0018】
本発明の化合物は補助物質及び/又は液体又は固体担体物質を使用する通常の方法により、投与に適する形態にもたらすことができる。
【0019】
本発明の化合物は概括的に、化合物、より特には本明細書に開示される特定の化合物の存在のために、本発明の重要なそして新規な態様である製薬学的組成物として投与される。使用することができる製薬学的組成物の種類には、それらに限定はされないが、錠剤、咀嚼錠、カプセル、液剤、非経口液剤、座薬、懸濁液及び本明細書に開示される、あるいは明細書及び当該技術分野における一般的知識から当業者に明白な他の種類が含まれる。
【0020】
本発明の態様において、本発明の製薬学的組成物の1又は複数の成分を充填された1又は複数の容器を含んでなる製薬学的パック又はキットが提供される。このような1又は複数の容器には、様々な書類物質(例えば、使用説明書、その情報がヒト又は家畜投与のための製造、使用又は販売の機関による認可を反映する、医薬品の製造、使用又は販売を統制する政府機関により記載された形態の情報)を添付することができる。
【0021】
合成の概括的状況
チアゾール誘導体は例えば、既知の方法により得ることができる。
a)Organic Reactions,Vol.VI,(1951),p.367−409,Ed.R.Adams,John Wiley and Sons Inc.,New York
b)J.S.Carter等,Bioorg.Med.Chem.Lett.(1999),9,1167−1170
c)T.T.Sakai等,Bioorg.Med.Chem.(1999),7,1559〜1566
d)A.Tanaka等,J.Med.Chem.(1994),37,1189−1199
e)J.J.Talley等,国際公開第9603392号パンフレット:Chem.Abstr.125,33628
f)V.Cecchetti等,Bioorg.Med.Chem.(1994),2,799−806
g)T.Eicher等,The Chemistry of Heterocycles,(1995)p.149−155,Georg Thieme Verlag,Stuttgart,1995,ISBN 313−100511−4及びその中に引用された文献
h)Gilchrist,T.L.,Heterocyclic Chemistry,
3th Ed.1997,p.319−327,Longman,UK,ISBN 0−582−27843−0。
【0022】
アルファハロケトンは対応するケトンのハロゲン化により得ることができる。アルファ−ハロカルボニル化合物とチオアミドの反応は広範なチアゾール誘導体を生成することができる。よりとりわけ、アルファ−ブロモケトンのエチルチオオキサメートとの縮合は一般式(II)の(2−エトキシ−カルボニル)チアゾールを与える。
【0023】
【化3】

【0024】
式(II)の化合物は対応するN−メトキシ−N−メチルアミド(III)に転化させ、次にアルキルリチウム又はアリールリチウム試薬と反応させて、一般式(I)(ここでXはサブ基(i)を表わす)の化合物を与えることができる。
【0025】
一般式(II)の化合物は一般式RNHのアミンとともにアミド化させて、一般式(I)の化合物(ここでXはサブ基(ii)を表わす)に転化することができる。このようなアミド化は(CHAlにより触媒することができる。(アミドへのエステルのアルミニウム仲介転化の更なる情報にはJ.I.Levin,E.Turos,S.M.Weinreb,Synth.Commun.(1982),12,989−993を参照されたい)。あるいはまた、式(II)をもつ化合物を対応するカルボン酸に転化させ、次に例えば、チオニルクロリド(SOCl)のようないわゆるハロゲン化剤と反応させる。この反応は対応するカルボニルクロリドを与え、次にそれを式RNH(ここでR及びRは前記の意味をもつ)をもつ化合物と反応させる。あるいはまた、(II)中のエステル基を対応するカルボン酸に転化させることができる。このカルボン酸は活性エステルの形成のような活性化及びカップリング法により、又はいわゆるカップリング試薬(例えば、DCC、HBTU、HOAT(N−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール)、BOP、CIP(2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム・ヘキサフルオロホスフェート)、PyAOP(7−アザベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ピロリジノ)−ホスホニウム・ヘキサフルオロホスフェート)等)の存在下で式RNH(ここでR及びRは前記の意味をもつ)をもつ化合物と反応させることができる。(活性化及びカップリング法についての更なる情報については、a)M.Bodanszky,A.Bodanszky:The Practice of Peptide Synthesis,Springer−Verlag,New York,1994,ISBN:0−387−57505−7,b)K.Akaji等,Tetrahedron Lett.(1994),35,3315−3318、c)F.Albericio等,Tetrahedron Lett.(1997),38,4853−4856を参照されたい)。
【0026】
これらの方法に従うと、以下の化合物を調製することができる。それらは本発明をより詳細に説明することが意図され、従って、いかなる方法でも本発明の範囲を限定するとは判断されない。
【0027】
特定の実施例の合成
H NMRスペクトルを内部基準としてテトラメチルシランを使用してVarian
UN400装置(400MHz)上で記録した。化学シフトはテトラメチルシランからのppm(d?スケール)のダウンフィールド(downfield)で与えられる。カップリング定数(J)はHzで表わされる。薄層クロマトグラフィーをMerckの予備コート60 F254プレート上で実施し、UV光線でスポットを可視化させた。フラッシュクロマトグラフィーをシリカゲル60(0.040〜0.063mm、Merck)を使用して実施した。カラムクロマトグラフィーをシリカゲル60(0.063〜0.200mm、Merck)を使用して実施した。融点はBuechi B−545融点装置上に記録され、補正されていない。
【0028】
実施例1
パートA:1−(2,4−ジクロロフェニル)−2−フェニルエタノン(54.35グラム、0.205モル)の溶液(220mLのベンゼン中)に、臭素(10.6mL、0.205モル)を緩徐に添加し、そして生成される溶液を室温で1時間撹拌する。5%NaHCO水溶液を緩徐に添加する。有機層を分離し、MgSO上で乾燥し、濾過し、真空蒸発させると粗2−ブロモ−1−(2,4−ジクロロフェニル)−2−フェニルエタノン(69.4g、98%収率)を油として与える。H−NMR(400MHz,CDCl):d6.20(s,1H),7.26(dd,J=8及び2Hz,1H),7.31−7.50(m,7H)。
パートB:2−ブロモ−1−(2,4−ジクロロフェニル)−2−フェニルエタノン(25.83グラム、0.075モル)及びエチルチオオキサメート(15.0グラム、0.112モル)を無水エタノール(200mL)に溶解する。生成される混合物を還流温度で16時間加熱する。真空蒸発後、粗製物質を水及びジクロロメタンの混合物中に溶解する。ジクロロメタン層を分離し、水層をジクロロメタンで3回抽出する。収集した有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、濃縮する。生成される物質をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル/ジクロロメタン)により精製するとエチル4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−フェニルチアゾール−2−カルボキシレート(10.5グラム、37%収率)与える。H−NMR(400MHz,CDCl):d1.46(t,J=7Hz,3H),4.53(q,J=7Hz,2H),7.24−7.38(m,7H),7.43(d,J=2Hz,1H)。
パートC:エチル4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−フェニルチアゾール−2−カルボキシレート(10.5g、0.028モル)の溶液(170mLのメタノール中)にKOH(8.9g、0.0896モル)の水溶液(170mLの水中)を緩徐に添加する。生成される溶液を90℃で2時間加熱し、室温に冷却する。濃厚HCl及び氷の混合物を添加する。形成される沈殿物を収集し、水及びジエチルエーテルで洗浄し、乾燥すると、4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−フェニルチアゾール−2−カルボン酸(8.99グラム、92%収率)を与える。融点:105℃。
パートD:4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−フェニルチアゾール−2−カルボン酸(4.2g、0.012モル)の磁気撹拌懸濁液(170mlの無水ジクロロメタン中に)に7−アザ−1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOAT)(4.083グラム、0.030モル)、7−アザベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウム・ヘキサフルオロホスフェート(PyAOP)(15.64グラム、0.03モル)、ジイソプロピルエチルアミン(6.26ml、0.036モル)及びN−メトキシ−N−メチルアミン.HCl(2.925グラム、0.030モル)を連続的に添加し、生成される溶液を室温で16時間撹拌する。5%NaHCO水溶液を緩徐に添加し、生成される混合物をジクロロメタンで抽出(3×)する。収集される有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、そして濃縮すると、粗製油(18.9グラム)を与える。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル/酢酸エチル/石油エーテル=1/1)により精製するとN−メチル−N−メトキシ−4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−フェニルチアゾール−2−カルボキサミド(4.0グラム、85%収率)を与える。H−NMR(400MHz,CDCl):d3.60(br s,3H),3.90(s,3H),7.21−7.33(m,7H),7.45(d,J=2Hz,1H).同様に:N−メチル−N−メトキシ−4−(2−クロロフェニル)−5−フェニルチアゾール−2−カルボキサミドを調製した。H−NMR(400MHz,CDCl):d3.62(br s,3H),3.90(s,3H),7.22−7.45(m,9H).
パートE:N下でN−メチル−N−メトキシ−4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−フェニルチアゾール−2−カルボキサミド(2.0グラム、0.005モル)の冷却(−70℃)、撹拌溶液(20mlのTHF中)にn−BuLi(3.13ml、ヘキサン中1.6M溶液、0.005モル)を添加する。30分間撹拌後、溶液を放置して室温にさせ、16時間撹拌する。HCl水溶液(20ml、1N)を添加し、生成される混合物をジエチルエーテルで抽出する。ジエチルエーテル層を水で洗浄し(2×)、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして濃縮すると粗製油(2.03グラム)を与える。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル/ジクロロメタン)により精製すると1−[4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−フェニルチアゾール−2−イル]ペンタン−1−オン(0.6グラム、31%収率)を与える。H−NMR(400MHz,CDCl):d0.95(t,J=7Hz,3H),1.38−1.48(m,2H),1.72−1.80(m,2H),3.16(t,J〜7Hz,2H),7.20−7.35(m,7H),7.46(d,J=2Hz,1H).
【0029】
【化4】

【0030】
同様に調製された:
【0031】
【化5】

【0032】
実施例2:H−NMR(400MHz,CDCl):d0.93(t,J=7Hz,3H),1.26−1.44(m,6H),1.73−1.82(m,2H),3.15(t,J〜7Hz,2H),7.21−7.34(m,7H),7.47(d,J=2Hz,1H).
【0033】
【化6】

【0034】
実施例3:融点:78〜80℃。
【0035】
【化7】

【0036】
実施例4:H−NMR(400MHz,CDCl):d0.93(t,J=7Hz,3H),1.25−1.44(m,6H),1.73−1.82(m,2H),3.17(t,J〜7Hz,2H),7.22−7.40(m.8H),7.47(dd,J=8及び2Hz,1H).
【0037】
【化8】

【0038】
実施例5:融点:131〜132℃。
【0039】
実施例6
パートA:1−フェニルヘプタン−1−オン(23.7グラム、0.125モル)の磁気撹拌溶液(160mLのベンゼン中)に臭素(7.0mL、0.125モル)を緩徐に添加し、そして生成される溶液を1時間にわたり室温で反応させる。5%NaHCO水溶液を緩徐に添加し、次にジクロロメタンを添加する。有機層を分離し、MgSO上で乾燥し、濾過し、そして真空蒸発させると、油として粗2−ブロモ−1−フェニルヘプタン−1−オン(41.8g、定量的収率)を与える。H−NMR(400MHz,CDCl):d?0.90(t,J=7Hz,3H),1.28−1.78(m,6H),2.04−2.25(m,2H),5.11−5.16(m,1H),7.42−7.62(m,3H),8.00−8.04(m,2H).
パートB:2−ブロモ−1−フェニルヘプタン−1−オン(20.17グラム、0.075モル)及びエチルチオオキサメート(15.0グラム、0.112モル)を無水エタノール(200mL)に溶解する。生成される混合物を還流温度で16時間加熱する。真空蒸発後、粗製物質を水及びジクロロメタンの混合物に溶解する。ジクロロメタン層を分離し、水層をジクロロメタンで3回抽出する。収集される有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、濃縮する。生成される物質をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル/ジクロロメタン/石油エーテル=1/1)により精製すると、緩徐に固化する油として、エチル・5−(n−ペンチル)−4−フェニルチアゾール−2−カルボキシレート(12.09グラム、53%収率)を与える。融点:51〜52℃。
パートC:エチル・5−(n−ペンチル)−4−フェニルチアゾール−2−カルボキシレート(12.09グラム、0.039モル)の磁気撹拌溶液(240mlのメタノール中)にKOH(8.9g)の溶液(240mlの水中)を緩徐に添加する。生成される溶液を還流温度で2時間加熱し、次に室温に冷却する。濃HClと氷の混合物を添加する。形成される沈殿物を回収し、水及び冷却ジエチルエーテルで連続して洗浄し、乾燥すると、5−(n−ペンチル)−4−フェニルチアゾール−2−カルボン酸(3.54グラム、32%収率)を与える。H−NMR(400MHz,CDCl):d?0.87(t,J=7Hz,3H),1.28−1.40(m,4H),1.66−1.76(m,2H),2.93−3.00(m,2H),4.00(br s,1H),7.35−7.46(m,3H),7.58−7.64(m,2H).
パートD:5−(n−ペンチル)−4−フェニルチアゾール−2−カルボン酸(1.18グラム、0.0043モル)の磁気撹拌懸濁液(35mlの無水ジクロロメタン中)に7−アザ−1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOAT)(1.46グラム、0.0107モル)、7−アザベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ピロリジノ)−ホスホニウム・ヘキサフルオロホスフェート(PyAOP)(5.59グラム、0.0107モル)、ジイソプロピルエチルアミン(2.24ml、0.0129モル)及びアニリン(0.98ml、0.0107モル)を連続的に添加し、生成される溶液を室温で16時間撹拌する。生成される混合物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル/ジクロロメタン)により精製するとN−フェニル−5−(n−ペンチル)−4−フェニルチアゾール−2−カルボキサミド(0.89グラム、59%収率)を与える。H−NMR(400MHz,CDCl):d0.98(t,J=7Hz,3H),1.26−1.41(m,4H),1.68−1.78(m,2H),2.97(t,J=7Hz,2H),7.12−7.18(m,1H),7.34−7.52(m,5H),7.60−7.64(m,2H),7.69−7.74(m,2H),9.10(br s 1H).
【0040】
【化9】

【0041】
同様に調製された:
【0042】
5−(n−ペンチル)−4−フェニルチアゾール−2−カルボン酸及び1−アミノアダマンタンから。
【0043】
【化10】

【0044】
実施例7:融点:90〜92℃。
【0045】
5−(n−ペンチル)−4−フェニルチアゾール−2−カルボン酸及びシス−マータニルアミン(CAS 38235−68−6)から。
【0046】
【化11】

【0047】
実施例8:H−NMR(400MHz,CDCl):d0.89(t,J=7Hz,3H),1.08(s,3H),1.20(s,3H),1.26−1.38(m,4H),1.50−1.62(m,1H),1.66−1.74(m,2H),1.82−2.04(m,5H),2.28−2.40(m,2H),2.94(t,J=7Hz,2H),3.39−3.50(m,2H),7.29(br t,J〜7Hz,1H),7.37−7.60(m,5H).
【0048】
実施例9
パートA:1−ブロモ−1−フェニルヘプタン−2−オン(19.98グラム、0.074モル)及びエチルチオオキサメート(15.0グラム、0.112モル)を無水エタノール(200mL)に溶解する。生成される混合物を還流温度で2時間加熱する。真空蒸発後、粗製物質を水及びジクロロメタンの混合物に溶解する。ジクロロメタン層を分離し、水層をジクロロメタンで3回抽出する。収集される有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、そして濃縮する。生成される物質をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル/ジクロロメタン/石油エーテル=1/1)により精製するとエチル・4−(n−ペンチル)−5−フェニルチアゾール−2−カルボキシレート(5.24グラム、23%収率)を油として与える。H−NMR(400MHz,CDCl):d0.89(t,J=7Hz,3H),1.24−1.32(m,4H),1.44(t,J=7Hz,3H),1.70−1.78(m,2H),2.81−2.87(m,2H),4.48(q,J=7Hz,2H),7.40−7.48(m,5H).
同様に調製された:
油としてエチル・4−ベンジル−5−フェニルチアゾール−2−カルボキシレート。
エチル・5−(n−ペンチル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)チアゾール−2−カルボキシレート。融点:92〜93℃。
パートB:1−アミノアダマンタン(1.607グラム、0.0086モル)の磁気撹拌溶液(10mlの無水ジクロロメタン中)にAl(CH(4.3mL、ヘキサン中2M溶液、0.0086モル)を添加し、生成される溶液を室温で10分間反応させる。5%NaHCO水溶液を緩徐に添加する。ジクロロメタンで抽出し、MgSO上で乾燥し、濾過及び真空濃縮し、次にカラムクロマトグラフィー(シリカゲル/ジクロロメタン)により、N−(アダマント−1−イル)−4−(n−ペンチル)−5−フェニルチアゾール−2−カルボキサミド(1.17g、72%収率)を与える。H−NMR(400MHz,CDCl):d?0.88(t,J=7Hz,3H),1.26−1.34(m,4H),1.68−1.78(m,8H),2.08−2.18(m,9H),2.71−2.76(m,2H),7.02(br s,1H),7.36−7.45(m,5H).
【0049】
【化12】

【0050】
同様に調製された:
【0051】
エチル・4−(n−ペンチル)−5−フェニルチアゾール−2−カルボキシレート及びシス−マータニルアミン(CAS 38235−68−6)から。
【0052】
【化13】

【0053】
実施例10:H−NMR(400MHz,CDCl):d?0.89(t,J=7Hz,3H),1.10(s,3H),1.22(s,3H),1.25−1.34(m,4H),1.54−1.78(m,3H),1.84−2.06(m,5H),2.31−2.42(m,2H),2.72−2.78(m,2H),3.44−3.50(m,2H),7.24−7.28(m,1H),7.37−7.46(m,5H).
【0054】
エチル・4−(n−ペンチル)−5−フェニルチアゾール−2−カルボキシレート及びシクロヘキシルアミンから
【0055】
【化14】

【0056】
実施例11:融点:84〜85℃。
【0057】
エチル・5−(n−ペンチル)−4−フェニルチアゾール−2−カルボキシレート及びエクソ−2−アミノビシクロ[2.2.1]ヘプタンから
【0058】
【化15】

【0059】
実施例12:融点:64〜65℃。
【0060】
エチル・5−(n−ペンチル)−4−フェニルチアゾール−2−カルボキシレート及びエンド−2−アミノビシクロ[2.2.1]ヘプタンから
【0061】
【化16】

【0062】
実施例13:融点:80〜82℃。
【0063】
エチル・5−(n−ペンチル)−4−フェニルチアゾール−2−カルボキシレート及び4−イソプロピルピペラジンから
【0064】
【化17】

【0065】
実施例14:融点:84〜85℃。
【0066】
エチル・5−(n−ペンチル)−4−フェニルチアゾール−2−カルボキシレート及びインダン−2−イルアミンから
【0067】
【化18】

【0068】
実施例15:H−NMR(400MHz,CDCl):d0.85(t,J=7Hz,3H),1.26−1.38(m,4H),1.65−1.75(m,2H),2.90−3.01(m,4H),3.36−3.44(m,2H),4.86−4.96(m,1H),7.15−7.27(m,4H),7.35−7.47(m,4H),7.52−7.56(m,2H).
【0069】
エチル・5−(n−ペンチル)−4−フェニルチアゾール−2−カルボキシレート及び3−アミノ−3−アザビシクロ[3.3.0]オクタンから
【0070】
【化19】

【0071】
実施例16:融点:86〜87℃。
【0072】
エチル・5−(n−ペンチル)−4−フェニルチアゾール−2−カルボキシレート及び
1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンから
【0073】
【化20】

【0074】
実施例17:融点:50〜51℃。
【0075】
エチル・5−(n−ペンチル)−4−フェニルチアゾール−2−カルボキシレート及びR−(+)−ボルニルアミン(CAS 32511−34−5)から
【0076】
【化21】

【0077】
実施例18:H−NMR(400MHz,CDCl):d0.90−1.02(m,13H),1.22−1.47(m,6H),1.60−1.84(m,5H),2.36−2.45(m,1H),2.94(t,J=7Hz,2H),4.36−4.44(m,1H),7.32(br d,J〜7Hz,1H),7.38−7.50(m,3H),7.58−7.63(m,2H).
【0078】
エチル・4−ベンジル−5−フェニルチアゾール−2−カルボキシレート及びシクロヘキシルアミンから。
【0079】
【化22】

【0080】
実施例19:融点:104〜106℃。
【0081】
エチル・5−(n−ペンチル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)チアゾール−2−カルボキシレート及びシクロヘキシルアミンから。
【0082】
【化23】

【0083】
実施例20:H−NMR(400MHz,CDCl):d0.85(t,J=7Hz,3H),1.31−1.46(m,8H),1.55−1.68(m,4H),1.71−1.80(m,2H),1.96−2.06(m,2H),2.67(t,J=7Hz,2H),3.86−3.98(m,1H),7.05(br d,J=7Hz,1H),7.26−7.37(m,2H),7.53(d,J=2Hz,1H).
【0084】
エチル・5−(n−ペンチル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)チアゾール−2−カルボキシレート及びシクロペンチルアミンから。
【0085】
【化24】

【0086】
実施例21:H−NMR(400MHz,CDCl):d0.85(t,J=7Hz,3H),1.20−1.30(m,4H),1.48−1.77(m,8H),2.01−2.10(m,2H),2.67(t,J=7Hz,2H),4.31−4.41(m,1H),7.09(br d,J=7Hz,1H),7.25−7.37(m,2H),7.53(d,J=2Hz,1H).
【0087】
エチル・4−ベンジル−5−フェニルチアゾール−2−カルボキシレート及びn−ペンチルアミンから。
【0088】
【化25】

【0089】
実施例22:H−NMR(400MHz,CDCl):d0.89(t,J=7Hz,3H),1.33−1.40(m,4H),1.59−1.67(m,2H),3.40−3.47(m,2H),4.16(s,2H),7.15−7.32(m,6H),7.39−7.42(m,5H).
【0090】
エチル・5−(n−ペンチル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)チアゾール−2−カルボキシレート及び1−アミノピペリジンから。
【0091】
【化26】

【0092】
実施例23:H−NMR(400MHz,CDCl):d0.85(t,J=7Hz,3H),1.20−1.28(m,4H),1.39−1.46(m,2H),1.56−1.64(m,2H),1.71−1.79(m,4H),2.66(t,J=7Hz,2H),2.82−2.88(m,4H),7.29(d,J=8Hz,1H),7.35(dd,J=8及び2Hz,1H),7.53(d,J=2Hz,1H),7.88(b rs,1H).
【0093】
エチル・5−(n−ペンチル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)チアゾール−2−カルボキシレート及び4−アミノモルホリンから。
【0094】
【化27】

【0095】
実施例24:H−NMR(400MHz,CDCl):d0.85(t,J=7Hz,3H),1.21−1.29(m,4H),1.57−1.66(m,2H),2.67(t,J=7Hz,2H),2.93−2.98(m,4H),3.82−3.88(m,4H),7.29(d,J=8Hz,1H),7.35(dd,J=8及び2Hz,1H),7.54(d,J=2Hz,1H),7.95(br s,1H).
【0096】
エチル・5−(n−ペンチル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)チアゾール−2−カルボキシレート及びN−メチルアニリンから。
【0097】
【化28】

【0098】
実施例25:H−NMR(400MHz,CDCl):δ0.80(br t,J〜7Hz,3H),1.14−1.28(m,4H),1.50−1.62(m,2H),2.56−2.66(m,2H),3.56(br s,3H),6.80−7.45(m,8H).
【0099】
薬理学的結果
前記のプロトコールに従って得られたカンナビノイド受容体親和性のデータは以下の表に示される。
【0100】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンナビノイド神経伝達に関与する障害、例えば、精神疾患、不安症、抑鬱症、注意欠乏障害、記憶障害、認知障害、食欲障害、肥満、依存症、強度欲望、薬剤依存症、並びに神経学的障害、例えば、神経変性障害、痴呆、筋失調症、筋肉痙縮、振顫、癲癇、多発性硬化症、外傷性脳障害、発作、パーキンソン病、アルツハイマー病、癲癇、ハンチントン病、トゥーレット症候群、脳虚血、脳卒中、頭蓋大脳外傷、発作、脊髄障害、神経炎症障害、プラーク硬化症、ウイルス性脳炎、脱髄関連障害、の処置のため、並びに神経因性疼痛障害を含む疼痛障害、並びにカンナビノイド神経伝達に関与する他の疾患、例えば敗血症性ショック、緑内障、癌、糖尿病、嘔吐、嘔気、喘息、呼吸疾患、胃腸障害、性的障害、胃潰瘍、下痢及び心臓血管障害、の処置用の製薬学的組成物の調製のための、
式(I)
【化1】

[式中、
−R及びRは同一であるか又は異なり、そして、場合により1〜3個の置換基Yで置換されてもよいフェニル又はピリジニルを表わし、ここで、Yはメチル、エチル、プロピル、メトキシ、エトキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メチルスルホニル、メチルスルファニル、トリフルオロメチルスルホニル、フェニル又はシアノの群からの1置換基を表わす、但しXがサブ基(ii)を表わさないこととし、あるいは
R及びR部分の一方が、場合により1〜3個の置換基Yで置換されてもよいフェニル又はピリジニル基を表わし、ここでYは前記の意味を有し、そして他方の部分が水素原子又はC1−8分枝鎖もしくは直鎖状アルキル基、(N、O、S)の群からの1つのヘテロ原子を含むC3−8分枝鎖もしくは直鎖状ヘテロアルキル基、C3−7シクロアルキル基、C3−7シクロアルキル−C1−3−アルキル基、C3−7ヘテロシクロアルキル−C1−3−アルキル基を表わし、それらの基がヒドロキシ、メトキシ、メチル、トリフルオロメチルスルホニル又はトリフルオロメチル基又はフルオロ原子で置換されてもよく、そして該C3−7−ヘテロシクロアルキル−C1−3−アルキル基が(O、N、S)の群からの1又は2個のヘテロ原子を含み、あるいは
前記の他方の部分が、場合により1〜3個の置換基Yでそのフェニル環上で置換されてもよいベンジルを表わし、ここでYは前記の意味を有し、
Xはサブグループ(i)又は(ii)の一方を表わし、
【化2】

ここで、
−RはC1−8分枝鎖もしくは直鎖状アルキル基、C3−7シクロアルキル基、C3−7−シクロアルキル−C1−2−アルキル基、C3−7−ヘテロシクロアルキル−C1−
−アルキル基を表わし、それらの基がヒドロキシ、メチル又はトリフルオロメチル基又はフルオロ原子で置換されてもよく、そして該C3−7−ヘテロシクロアルキル−C1−2−アルキル基が(O、N、S)の群からの1又は2個のヘテロ原子を含み、あるいは
がフェニル、ベンジル、フェネチル又はフェニルプロピル基を表わし、それらが1〜3個の置換基Yでそれらのフェニル環上で置換されてもよく、ここでYは前記の意味を有し、あるいは
がピリジル、チエニル又はナフチル基を表わし、該ナフチル基がハロゲン原子、メチル基又はメトキシ又はトリフルオロメチル基で置換されてもよく、
−Rは水素原子又は分枝鎖もしくは直鎖状C1−3アルキル基を表わし、
−Rは水素、分枝鎖もしくは直鎖状C1−10アルキル又はC3−8−シクロアルキル−C1−2−アルキル基、分枝鎖もしくは直鎖状C1−10アルコキシ、C3−8シクロアルキル、C5−10ビシクロアルキル、C5−10−ビシクロアルキル−C1−2−アルキル、C6−10トリシクロアルキル、C6−10トリシクロアルキル−メチル、分枝鎖もしくは直鎖状C3−10アルケニル、C5−8シクロアルケニルを表わし、それらの基が(O、N、S)の群からの1又は複数のヘテロ原子を含んでもよく、そしてそれらの基がヒドロキシ基、1〜3個のメチル基、エチル基又は1〜3個のフルオロ原子で置換されてもよく、あるいは
が、場合により1〜3個の置換基Yでそれらのフェニル環上で置換されてもよいフェニル、フェニルアミノ、フェノキシ、ベンジル、フェネチル又はフェニルプロピル基を表わし、ここでYは前記の意味を有し、あるいは、
がピリジル又はチエニル基を表わし、あるいは、
が基NRを表わし、ここで
及びRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって4〜10個の環原子をもつ、飽和又は不飽和の単環式又は二環式の、複素環式基を形成し、その複素環式基が(O、N、S)の群からの1又は複数のヘテロ原子を含み、そしてその複素環式基が分枝鎖もしくは直鎖状C1−3アルキル、フェニル、ヒドロキシ又はトリフルオロメチル基又はフルオロ原子で置換されてもよく、あるいは
及びRが、それらが結合されている窒素原子と一緒になって4〜10個の環原子をもつ、飽和又は不飽和の単環式又は二環式の、複素環式基を形成し、その複素環式基が(O、N、S)の群からの1又は複数のヘテロ原子を含み、そしてその複素環式基が分枝鎖もしくは直鎖状C1−3アルキル、フェニル、アミノ、ヒドロキシ、メトキシ、シアノ又はトリフルオロメチル基又はフルオロもしくはクロロ原子で置換されてもよい。]
の化合物及び製薬学的に許容できるその塩、並びにプロドラッグの使用。
【請求項2】
式(I)
【化3】

[式中、
−R及びRは同一であるか又は異なり、そして、場合により1〜3個の置換基Yで置換されてもよいフェニル、3−ピリジニル又は4−ピリジニルを表わし、ここで、Yはメチル、エチル、プロピル、メトキシ、エトキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メチルスルホニル、メチルスルファニル、トリフルオロメチルスルホニル、フェニル又はシアノの群からの1置換基を表わし、但しXはサブ基(ii)を表わさないこととし、あるいは
部分R及びRの一方が、場合により1〜3個の置換基Yで置換されてもよいフェニル、3−ピリジニル又は4−ピリジニル基を表わし、ここでYは前記の意味を有し、そして他方の部分がC2−8分枝鎖もしくは直鎖状アルキル基、(N、O、S)の群からの1ヘテロ原子を含むC3−8分枝鎖もしくは直鎖状ヘテロアルキル基、C3−7シクロアルキル基、C3−7シクロアルキル−C1−3−アルキル基、C3−7ヘテロシクロアルキル−C1−3−アルキル基を表わし、それらの基がヒドロキシ、メトキシ、メチル、トリフルオロメチルスルホニル又はトリフルオロメチル基又はフルオロ原子で置換されてもよく、そしてそのC3−7−ヘテロシクロアルキル−C1−3−アルキル基が(O、N、S)の群からの1又は2個のヘテロ原子を含み、あるいは
前記の他方の部分が、場合により、1〜3個の置換基Yでそのフェニル環上で置換されてもよいベンジルを表わし、ここでYは前記の意味を有し、
−Xはサブ基(i)又は(ii)の一方を表わし、
【化4】

ここで、
−RはC3−8分枝鎖もしくは直鎖状アルキル基、C3−7シクロアルキル基、C3−7−シクロアルキル−C1−2−アルキル基、C3−7−ヘテロシクロアルキル−C1−2−アルキル基を表わし、それらの基がヒドロキシ、メチル又はトリフルオロメチル基又はフルオロ原子で置換されてもよく、そしてそのC3−7−ヘテロシクロアルキル−C1−2−アルキル基が(O、N、S)の群からの1又は2個のヘテロ原子を含み、あるいは
がフェニル、ベンジル、フェネチル又はフェニルプロピル基を表わし、それらが1〜3個の置換基Yでフェニル環上で置換されてもよく、ここでYは前記の意味を有し、あるいは
がピリジル、チエニル又はナフチル基を表わし、そのナフチル基がハロゲン原子、メチル基又はメトキシ又はトリフルオロメチル基で置換されてもよく、但し、Rがフェニルを表わす時は、Rは4−クロロフェニル基ではないこととし、
−Rは水素原子又は分枝鎖もしくは直鎖状C1−3アルキル基を表わし、
−Rは分枝鎖もしくは直鎖状C1−10アルキル又はC3−8−シクロアルキル−C1−2−アルキル基、分枝鎖もしくは直鎖状C1−10アルコキシ、C3−8シクロアルキル、C5−10ビシクロアルキル、C5−10−ビシクロアルキル−C1−2−アルキル、C6−10トリシクロアルキル、C6−10トリシクロアルキル−メチル、分枝鎖もしくは直鎖状C3−10アルケニル、C5−8シクロアルケニルを表わし、それらの基が(O、N、S)の群からの1又は複数のヘテロ原子を含んでもよく、そしてそれらの基がヒドロキシ基、1〜3個のメチル基、エチル基又は1〜3個のフルオロ原子で置換されてもよく、あるいは、
が、場合により1〜3個の置換基Yでそれらのフェニル環上で置換されてもよいフェニル、フェニルアミノ、フェノキシ、ベンジル、フェネチル又はフェニルプロピル基を表わし、ここでYは前記の意味を有し、あるいは、
がピリジル又はチエニル基を表わし、あるいは、
が基NRを表わし、ここで
及びRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって4〜10個の環原子をもつ、飽和又は不飽和の単環式又は二環式の、複素環式基を形成し、その複素環式基が(O、N、S)の群からの1又は複数のヘテロ原子を含み、そしてその複素環式基が分枝鎖もしくは直鎖状C1−3アルキル、フェニル、ヒドロキシ又はトリフルオロメチル基又はフルオロ原子で置換されてもよく、あるいは
及びRが、それらが結合している窒素原子と一緒になって−4〜10個の環原子をもつ、飽和又は不飽和の単環式又は二環式の、複素環式基を形成し、その複素環式基が(O、N、S)の群からの1又は複数のヘテロ原子を含み、そしてその複素環式基が分枝鎖もしくは直鎖状C1−3アルキル、フェニル、アミノ、ヒドロキシ、メトキシ、シアノ又はトリフルオロメチル基又はフルオロもしくはクロロ原子で置換されてもよい]
の化合物及び製薬学的に許容できるその塩、並びに、そこにアミジン、エナミン、マンニッヒ塩基、ヒドロキシル−メチレン誘導体、O−(アシルオキシメチレンカルバメート)誘導体、カルバメート又はエナミノンのような、投与後に容易に除去される基が存在する、式(I)を有する化合物の誘導体である、プロドラッグ。
【請求項3】
医薬としての使用のための請求項2記載の化合物又はその塩。
【請求項4】
有効成分として、請求項2記載のような少なくとも1化合物を含有する製薬学的組成物。
【請求項5】
カンナビノイド神経伝達に関与する障害(例えば、精神疾患、不安症、抑鬱症、注意欠乏障害、記憶障害、認知障害、食欲障害、肥満、依存症、強度欲望、薬剤依存症)及び神経学的障害(例えば、神経変性障害、痴呆、筋失調症、筋肉痙縮、振顫、癲癇、多発性硬化症、外傷性脳障害、発作、パーキンソン病、アルツハイマー病、癲癇、ハンチントン病、トゥーレット症候群、脳虚血、脳卒中、頭蓋大脳外傷、発作、脊髄障害、プラーク硬化症、ウイルス性脳炎、脱髄関連障害)の処置のため、並びにカンナビノイド神経伝達に関与する他の疾患の処置(敗血症性ショック、緑内障、癌、糖尿病、嘔吐、嘔気、喘息、呼吸疾患、胃腸障害、胃潰瘍、下痢及び心臓血管障害の処置を含む)のための製薬学的組成物の調製のための、請求項2記載の化合物の使用。
【請求項6】
一般式(IV)
【化5】

[式中、
R及びRの一方が、場合により1〜3個の置換基Yで置換されてもよいフェニル又は3−ピリジニル又は4−ピリジニル基を表わし、ここでYは前記の意味を有し、そして他方の部分がC2−8分枝鎖もしくは直鎖状アルキル基、(N、O、S)の群からの1ヘテロ原子を含むC3−8分枝鎖もしくは直鎖状ヘテロアルキル基又はSO基、C3−7シクロアルキル基、C3−7シクロアルキル−C1−3−アルキル基、C3−7ヘテロシクロアルキル−C1−3−アルキル基を表わし、それらの基がヒドロキシ、メトキシ、メチル、トリフルオロメチルスルホニル又はトリフルオロメチル基又はフルオロ原子で置換されてもよく、そしてそのC6−7−ヘテロシクロアルキル−C1−3−アルキル基が(O、N、S)の群からの1又は2個のヘテロ原子を含み、あるいは
前記の他方の部分が、場合により1〜3個の置換基Y(ここでYは前記の意味を有する)でそのフェニル環上で置換されたベンジルを表わし、そしてRがヒドロキシ、C1−4分枝鎖もしくは直鎖状アルコキシ基又はベンジルオキシ基又はクロロ原子又はN−メトキシ−N−メチルアミノ基を表わし、ここでこれらの化合物が一般式(I)の化合物の合成に有用である]
の化合物。

【公表番号】特表2007−533621(P2007−533621A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526643(P2006−526643)
【出願日】平成16年9月20日(2004.9.20)
【国際出願番号】PCT/EP2004/052239
【国際公開番号】WO2005/028456
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(501439149)ソルベイ・フアーマシユーチカルズ・ベー・ブイ (71)
【Fターム(参考)】