説明

カード用コネクタ装置

【課題】第1カードと、この第1カードよりも長さ、幅および厚さのすべての寸法が短い第2カードとの選択的な装着が可能であるとともに、こじりにより第2カードがケースの奥に入りすぎることが起こりにくいカード用コネクタ装置を提供すること。
【解決手段】カードの挿入および排出方向に移動可能なスライド部材20に、可動部材40と第1,第2ロック部材60,70が設けられている。第2カード100の挿入時、可動部材40を第1,第2ロック部材60,70で、ケース2の幅方向において第2カード100の挿入軌道内に突出する位置にロックする。第1カード90の挿入時、第2ロック部材70は第1カード90で壁部70A側に方向に押圧され、カム面62,72の作用で第1ロック部材60を第1カード90の挿入方向に移動させながら側壁70A側に移動する。これに伴い第1ロック部材60の突出部61が可動部材40の溝43の位置に配置されロックが解除される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寸法の異なる第1,第2カードが選択的に装着されるカード用コネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のカード用コネクタ装置としては、特許文献1で開示された従来技術がある。この従来技術は、種類の異なる第1,第2カードが選択的に挿入されるケースを備えている。
【0003】
第2カードは、ケースへの挿入方向における長さ寸法が第1カードよりも短く、幅寸法が第1カードとほぼ等しく、端部の一方の側部の形状が第1カードと異なっている。
【0004】
ケース内には、ケースに装着された第1カードや第2カードを排出方向に移動させるカード排出機構が設けられている。このカード排出機構は、第1カードの挿入軌道を含むケース内の空間を、第1,第2カードの挿入方向およびこの挿入方向と反対方向である排出方向にスライド可能なスライド部材と、排出方向にスライド部材を付勢する弾性部材を備えている。また、このカード排出機構は、ケースに第1カードが装着された状態において第1カードが占めるケース内の装着領域から外れた位置にスライド部材を停止させたり、その停止状態を解除したりすることができるようになっている。
【0005】
スライド部材には、可動部材が設けられている。この可動部材は、第1,第2カードの幅方向に対応するケースの幅方向に回動可能で、第2カードの挿入軌道内に突出可能な可動部材になっている。この可動部材は、第2カードの挿入軌道内に突出する方向に、弾性部材で付勢されている。この可動部材はさらに、挿入方向に移動する第1カードの前端部の一方の側部によって第1カードの挿入軌道から退く方向に押し退けられ、挿入方向に移動する第2カードの前端部の一方の側部に引っ掛かる形状になっている。
【0006】
このように構成された従来技術では、ケースに第1カードが挿入されたとき、挿入方向に移動する第1カードの前端部の一方の側部が可動部材を弾性部材の弾性力に抗して押し退けるから、第1カードの前端部は挿入方向における可動部材の位置を通過して、スライド部材に当接する。そして、第1カードはスライド部材を弾性部材に抗して挿入方向にスライドさせながら移動していく。その後、スライド部材が停止し、第1カードの装着が完了する。
【0007】
一方、ケースに第2カードが挿入されたとき、第2カードの前端部の一方の側部が可動部材に引っ掛かる。そして、第2カードは可動部材を押圧することでスライド部材を弾性部材に抗して挿入方向にスライドさせながら移動していく。その後、スライド部材が停止し、第2カードの装着が完了する。
【0008】
つまり、第2カードがスライド部材を押し動かす位置は、可動部材によって第1カードよりも手前に設定されている。これにより、装着完了時の第1カードの位置よりも手前に、装着完了時の第2カードが位置決めされる。つまり、第2カードがケースの奥に入りすぎることが防止される。
【特許文献1】特開2005−190984公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、カード用コネクタ装置に対しては、第1カードと、この第1カードよりも長さ、幅および厚さのすべての寸法が短い第2カードとが選択的に装着できるようにすることが要望されている。
【0010】
前述した従来技術では、可動部材によって第1,第2カードのそれぞれの挿入方向における位置決めを行っているが、第2カードを幅方向にこじることで弾性部材の弾性力に抗して可動部材を押し退けることができるため、第2カードがケースの奥に入りすぎるおそれがある。前記要望に応えるためのカード用コネクタ装置に、従来技術における可動部材および弾性部材を含む機構と同様ものを採用すると、その要望では第2カードの幅寸法が第1カードよりも短いことから、こじりによりケースの奥に第2カードが入りすぎるという事態がさらに起こりやすくなることが考えられる。
【0011】
本発明は、前述の実状を考慮してなされたものであり、その目的は、第1カードと、この第1カードよりも長さ、幅および厚さのすべての寸法が短い第2カードとが選択的に装着でき、かつ、こじりにより第2カードがケースの奥に入りすぎる事態を防止できるカード用コネクタ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述の目的を達成するために、本発明は次のように構成されている。
【0013】
〔1〕本発明は、第1カードと、この第1カードよりも長さ、幅および厚さのすべての寸法が短い第2カードとが選択的に挿入されるケースと、前記第1カードの挿入軌道を含む前記ケース内の空間を前記第1,第2カードの挿入方向およびこの挿入方向と反対方向である排出方向にスライド可能なスライド部材、および、前記排出方向に前記スライド部材を付勢する弾性部材を有するカード排出機構と、前記第1,第2カードの幅方向に対応する前記ケースの幅方向において、前記第2カードの挿入軌道内に突出する規制位置と、前記第2カードの挿入軌道外である退避位置との間を移動できるように前記スライド部材に設けられた可動部材とを備えたカード用コネクタ装置であって、前記ケースに設けられた前記第1,第2カードの挿入口と前記可動部材との間にあって、前記ケースに前記第1,第2カードのどちらが挿入されたかを、前記第1,第2カードの厚さ寸法の差から判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果が前記第2カードの挿入であるときに前記第2カードの挿入軌道内に前記可動部材を突出させた状態でロックさせ、前記判定手段による判定結果が前記第1カードの挿入であるときにロックを解除して、前記第1カードの挿入方向への移動に前記可動部材の前記退避位置への移動を連動させるロック手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
このように構成された本発明には、次のようにして第1,第2カードが装着される。
【0015】
<第1カードの装着>
判定手段は、ケースに挿入されたカードが第1カードの挿入であると判定する。これに伴い、ロック手段は可動部材のロックを解除し、可動部材は第1カードの挿入方向への移動に連動して退避位置に移動する。これにより、第1カードの前端部は可動部材よりもケースの奥側まで移動してスライド部材に当接する。そして、第1カードはスライド部材を弾性部材の弾性力に抗して挿入方向にスライドさせながら、ケースの奥に向かって移動していく。その後、スライド部材が停止すると、ケースへの第1カードの装着が完了する。
【0016】
<第2カードの装着>
判定手段は、ケースに挿入されたカードが第2カードの挿入であると判定する。これに伴い、ロック手段は、第2カードの挿入軌道内に可動部材を突出させた状態でロックさせたままにする。これにより、ケース内を挿入方向に移動する第2カードの前端は、可動部材に当接する。そして、第2カードは可動部材を押圧することでスライド部材を弾性部材の弾性力に抗して挿入方向にスライドさせながら、ケースの奥に向かって移動していく。その後、スライド部材が停止すると、ケースへの第2カードの装着が完了する。
【0017】
このようにして第2カードが装着された状態では、可動部材がロックされているから、第2カードがこじられても可動部材が移動することはなく、したがって、こじりにより第2カードがケースの奥に入りすぎることを防止できる。
【0018】
〔2〕 本発明は、「〔1〕」に記載の発明において、前記判定手段が前記ケースに移動可能に設けられた判定部材を備え、この判定部材の可動範囲が、前記第1,第2カードの厚さ方向に対応する前記ケースの厚さ方向において前記第2カードの挿入軌道を含む前記第1カードの挿入軌道内にあり前記第2カードの挿入軌道外にある初期位置と、前記第1カードの挿入軌道外である第1カード検出位置との間であり、前記ロック手段が、前記スライド部材に移動可能に設けられた第1,第2ロック部材と、前記判定部材に設けられた阻止部とを備え、前記第1ロック部材が、前記ケースの幅方向において前記可動部材を基準にした前記第1カードの挿入軌道側とは反対側に配置され、前記第1ロック部材の可動範囲が、前記挿入方向および前記排出方向において、前記可動部材の前記退避位置に向かう方向の移動を阻止するロック位置と、前記退避位置に向かう方向への移動を許容する解除位置との間であり、前記第2ロック部材の可動範囲が、前記ケースの幅方向において、前記第1カードの挿入軌道内に突出した突出位置と前記第1カードの挿入軌道外の引込み位置との間であり、前記阻止部が、前記判定部材が前記初期位置にあり前記第2ロック部材が突出位置にあるときに、前記引込み位置に向かう方向への前記第2ロック部材の移動を阻止し、前記判定部材が前記第1カード検出位置にあるときに、前記第2ロック部材に対する移動の阻止を解除するよう形成され、前記第1,第2ロック部材はカム機構を構成し、このカム機構が、前記ロック位置から前記解除位置に向かう方向への前記第1ロック部材の移動に、前記引込み位置から前記突出位置に向かう方向へ前記第2ロック部材の移動を連動させ、かつ、前記突出位置から引込み位置に向かう方向への前記第2ロック部材の移動に、前記ロック位置から前記解除位置に向かう方向への前記第1ロック部材の移動を連動させることを特徴とするものであってもよい。
【0019】
このように構成された本発明では、第1カードと、この第1カードよりも長さ、幅および厚さのすべての寸法が短い第2カードとが選択的に装着でき、かつ、こじりにより第2カードがケースの奥に入りすぎる事態を防止できるカード用コネクタ装置を確実に実現できる。
【0020】
〔3〕 本発明は、「〔2〕」に記載の発明において、前記突出位置にあるときの前記第2ロック部材と、この第2ロック部材と幅方向において対向する前記ケースの側壁の間隔寸法が、前記第2カードの幅寸法とほぼ等しく設定され、前記引込み位置にあるときの前記第2ロック部材と前記側壁の間隔寸法が、前記第1カードの幅寸法とほぼ等しく設定されたことを特徴とするものであってもよい。
【0021】
このように構成された本発明によれば、第2ロック部材が突出位置にあるときには、第2ロック部材とケースの側壁の間で第2カードの幅方向への移動を阻止でき、第2ロック部材が引込み位置にあるときには、第2ロック部材とケースの側壁の間で第1カードの幅方向の移動を阻止できる。これにより、第1カードや第2カードの挿入時におけるそのカードの幅方向のブレを防止することができる。
【0022】
〔4〕 本発明は、「〔2〕」に記載の発明において、前記判定部材が前記挿入口の近傍に設けられ、この判定部材には、前記ケースの厚さ方向における前記第2カードの移動をガイドするガイド面が形成されたことを特徴とするものであってもよい。
【0023】
このように構成された本発明によれば、ケースの厚さ方向における第2カードのガイド機能を判定部材が兼ねるから、そのガイド機能を備えることに伴うカード用コネクタ装置の部品点数の増加が生じない。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、第1カードと、この第1カードよりも長さ、幅および厚さのすべての寸法が短い第2カードとが選択的に装着できるから、カード用コネクタ装置の用途の自由度の向上に貢献できる。また、こじりにより第2カードがケースの奥に入りすぎる事態を防止できるから、カード用コネクタ装置やカードの故障の低減に貢献できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明のカード用コネクタ装置の一実施形態について図を用いて説明する。
【0026】
図1は本発明のカード用コネクタ装置の一実施形態の外観を示す斜視図である。図2は第1カードの外観を示す3面図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は裏面図である。図3は第2カードの外観を示す3面図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は裏面図である。図4は図1に示した実施形態が分解された状態を左側面側から見た分解斜視図である。図5は図1に示した実施形態が分解された状態の右側面側から見た分解斜視図である。図6は図4,5に示したスライド体の分解斜視図である。図7は図6に示したスライド部材のガイド溝と第1ロック部材の摺動突起とを示す斜視図である。図8は図4,5に示した可動部材と第1ロック部材と第2ロック部材と判定部材との位置関係を示す平面図である。
【0027】
本実施形態は、図1に示すカード用コネクタ装置1である。このカード用コネクタ装置1は、ケース2を備えている。このケース2は、2種類のカード、すなわち図2に示す第1カード90と、図3に示す第2カード100とが選択的に挿入される空洞を形成している。図1における3は空洞の一端に形成された開口、すなわち、第1,第2カード90,100の挿入口である。
【0028】
第1カード90は、ケース2に対する挿入方向および排出方向(挿入方向とは反対方向)における長さ寸法A、幅寸法B、厚さ寸法Cに形成されている。第1カード90の裏面の前端部には複数の端子91が設けられている。これらの端子91は第1カード90の幅方向に並んでいる。第1カード90の前端部の一方の側部(図2(a)の右側)には、面取り部92が形成されている。この面取り部92は、平面視における第1カード90の他の3つの角よりも大きく面取りされている。
【0029】
第2カード100は、挿入方向および排出方向における長さ寸法a(<A)、幅寸法b(<B)、厚さ寸法c(<C)に形成されている。つまり、第2カード100は、第1カード90よりも長さ、幅および厚さのすべての寸法が短く形成されている。第2カード100の裏面の前端部には複数の端子101が設けられている。これらの端子101は第2カード100の幅方向に並んでいる。第2カード100の前端部の一方の側部(図3(a)の右側)には、面取り部102が形成されている。この面取り部102は、平面視における第2カード100の他の3つの角よりも大きく面取りされている。
【0030】
図1,4,5に示すように、ケース2は、ケース本体4と、ケース本体4に固定されたカバー10とから構成されている。ケース本体4は、図4,5に示すように、第1,第2カード90,100の裏面に対向することになる底部5と、第1,第2カード90,100の幅方向に対応するケース2の幅方向において対向するケース2の内壁面を形成する側壁6A,6Bと、ケース2の奥側の内壁面を形成する前壁7とから形成されている。底部5には、第1カード90の複数の端子91に対応する複数の第1カード用端子8と、第2カード100の複数の端子101に対応する複数の第2カード用端子9とが設けられている。ケース2内において、第2カード用端子9は、第1カード用端子8よりも手前(挿入方向における後側)に配置されている。
【0031】
カバー10は、底部5に対向して配置され、側壁6A,6Bおよび前壁7に囲まれる空間を覆う平板部11と、側壁6A,6Bおよび前壁7のそれぞれに外側から対向するように配置される側板部12A,12Bおよび前板部13とから形成されている。第1,第2カード90,100が挿入される前記空洞は、カバー10の平板部12、ケース本体4の底部5、側壁6A,6Bおよび前壁8により形成されている。
【0032】
本実施形態は、ケース2に装着された第1カード90や第2カード100を排出方向に移動させるためのカード排出機構を備えている。このカード排出機構は、スライド体14を備えている。スライド体14はスライド部材20を本体としている。このスライド部材20は、ケース本体4の側壁6Aと底部5によりガイドされることによって、第1カード90の挿入軌道を含むケース2内の空間を、第1,第2カード90,100の挿入方向および排出方向に移動可能になっている。ケース本体4の前壁7とスライド部材20との間には、スライド部材20を排出方向に付勢する弾性部材、すなわちコイルスプリング15が配置されている。
【0033】
カード排出機構はさらに、ケース2に第1カード90が装着された状態において第1カード90が占めるケース2内の装着領域から外れた位置にスライド部材20を停止させたり、その停止状態を解除したりすることを可能にするはハートカム機構を備えている。このハートカム機構は、スライド部材20に形成されたハート型カム溝31(図6に示す)と、ケース2の前壁7に回動可能に支持され、ハート型カム溝31に挿入されるピン32(図4,図5に示す)と、カバー10の平板部11に設けられ、ピン32をハート型カム溝31の底部に押し付ける片持ちバネ33(図4,5に示す)とから構成されている。
【0034】
図6に示すように、スライド部材20には、可動部材40を備えている。スライド部材20には、可動部材40が配置される平坦面21が設けられている。この平坦面21には、ケース2の幅方向に延びたガイド溝22,23が形成されている。可動部材40には、それらのガイド溝22,23のそれぞれに挿入される突起部41,42が設けられている。これらガイド溝22,23と突起部41,42とによって、可動部材40の可動範囲が、第1,第2カード90,100の幅方向に対応するケース2の幅方向において、第2カード100の挿入軌道内に突出する規制位置と、第2カード100の挿入軌道外である退避位置との間に設定されている。可動部材40には、挿入方向に移動する第1カード90の面取り部92から受ける挿入方向の押圧力を、ケース2の幅方向においてケース2の内部から外部に向かう方向の押圧力に変換する第1カード用傾斜面46が設けられている。
【0035】
本実施形態は、ケース2に第1,第2カード90,100のどちらが挿入されたかを、第1,第2カード90,100の厚さ寸法の差から判定する判定手段を備えている。この判定手段は、ケース2の挿入口3と可動部材40との間における挿入口3の近傍に設けられた判定部材50(図4,5に示す)を備えている。この判定部材50は側壁6A,6B間に架渡され、これらの側壁6A,6Bに回動可能に支持されている。判定部材50の回動範囲は、第1,第2カード90,100の厚さ方向に対応するケース2の厚さ方向において第2カード100の挿入軌道を含む第1カード90の挿入軌道内にあり第2カード100の挿入軌道外にある初期位置と、第1カード90の挿入軌道外である第1カード検出位置との間に設定されている。判定部材50はトーションスプリング55によって、第1カード検出位置から初期位置に回動する方向に付勢されている。トーションスプリング55は判定部材50とケース本体4の間で保持されている。
【0036】
本実施形態は、判定手段による判定結果が第2カード100の挿入であるときに第2カード100の挿入軌道内に可動部材40を突出させた状態でロックさせ、判定手段による判定結果が第1カード90の挿入であるときにロックを解除して、第1カード90の挿入方向への移動に可動部材40の退避位置への移動を連動させるロック手段を備えている。このロック手段は、スライド部材20に設けられた第1,第2ロック部材60,70を備えている。
【0037】
第1ロック部材60は、ケース2の幅方向において可動部材40を基準にした第1カード90の挿入軌道側とは反対側に位置するよう、スライド部材20の平坦面21に配置されている。また、スライド部材20には、平坦面21にケース2の厚さ方向と奥行方向に広がったガイド面24が形成されていて、このガイド面24に第1ロック部材60が当接している。可動部材40には、この可動部材40をケース2の幅方向に貫通する溝43が設けられている。スライド部材20には、ケース2の幅方向におけるケース2の外部から内部に向かう方向に突出し、溝43に挿入可能な突出部61が設けられている。これらにより、第1ロック部材60の可動範囲は、挿入方向および排出方向において、第1カード90の挿入軌道とは反対側の可動部材40の側部に突出部61が当接して可動部材40の退避位置に向かう方向への移動を阻止するロック位置と、突出部と溝43の位置が一致して可動部材40の退避位置に向かう方向への移動を許容する解除位置とに設定されている。
【0038】
第2ロック部材70も、スライド部材20の平坦面21に配置されている。平坦面21よりもケース2の後端部側に位置するスライド部材20には、ケース2の幅方向においてケース2の外部から内部に向かう方向に延びたガイド部25が設けられている。このガイド部25には、ケース2の幅方向に延びたガイド孔26が設けられている。第2ロック部材70には、ケース2の底部5からカバー10の平板部11に向かう方向に突起した突起部71が設けられていて、この突起部71がガイド孔26にケース2の幅方向に摺動可能に嵌め込まれている。これらにより、第2ロック部材70の動作範囲は、ケース2の幅方向において、第1カード90の挿入軌道内に突出した突出位置と第1カード90の挿入軌道外の引込み位置との間に設定されている。
【0039】
第1,第2ロック部材60,70間はカム機構を構成している。このカム機構は、第1,第2ロック部材60,70のそれぞれに設けられた傾斜面からなるカム面62,72により実現されている。これらのカム面62,72は、前方の部分ほど、幅方向におけるケース2の中央に近くなるように傾斜している。これらのカム面62,72の傾斜角度は、ケース2の奥行方向(挿入方向および排出方向)と厚さ方向に平行な想像上の面(図示していない)を基準にした場合、例えば45°傾斜に設定されている。
【0040】
第2ロック部材70には、挿入方向に移動する第1カード90の面取り部92から受ける挿入方向の押圧力を、ケース2の幅方向においてケース2の内部から外部に向かう方向の押圧力に変換する第1カード用傾斜面73も設けられている。第1ロック部材60にも、挿入方向に移動する第1カード90の面取り部92から受ける挿入方向の押圧力を、ケース2の幅方向においてケース2の内部から外部に向かう方向の押圧力に変換する第1カード用傾斜面63が設けられている。
【0041】
第1ロック部材60は、自身がロック位置から解除位置に向かう方向へ移動したときに、カム面62,72によって第2ロック部材70を引込み位置から突出位置に向かう方向へ移動させることになる。また、第2ロック部材70は、自身が突出位置から引込み位置に向かう方向への移動したときに、カム面62,72によって第1ロック部材60をロック位置から解除位置に向かう方向へ移動させることになる。
【0042】
突出位置にあるときの第2ロック部材70と、この第2ロック部材70と幅方向において対向するケース2の側壁6Bとの間の間隔寸法は、第2カード100の幅寸法とほぼ等しく設定されている。また、引込み位置にあるときの第2ロック部材70と側壁6Bの間隔寸法は、第1カード90の幅寸法とほぼ等しく設定されている。
【0043】
ロック手段はさらに、判定部材50に設けられた阻止部51を備えている。この阻止部51は、図4,5に示すように、判定部材50の側部において、ケース2の手前から奥に向かう方向に突出している。また、図8に示すように、判定部材50が初期位置にあるとき、阻止部51は、ロック位置にある第1ロック部材60と突出位置にある第2ロック部材60,70との間に形成された空間内に突出するよう形成されている。このように阻止部51が設けられたことによって、判定部材50が初期位置にあり第2ロック部材70が突出位置にあるときに、引込み位置に向かう方向への第2ロック部材70の移動が阻止され、判定部材50が第1カード検出位置にあるときに、第2ロック部材70に対する移動の阻止が解除されるようになっている。
【0044】
判定部材50にはさらに、ケース2の厚さ方向における第2カード100の移動をガイドする第2カード用ガイド面52が設けられている。この第2カード用ガイド面52は、判定部材50が初期位置にあるとき、挿入方向においてケース本体4の底部5から離れる方向に傾斜する傾斜面53と、底部5と平行な方向に広がる平坦面54とから構成されている。平坦面54とカバー10の平板部11との間隔寸法は、第1カード90の厚さ寸法よりも十分短く、第2カード100の厚さ寸法よりも若干長く設定されている。
【0045】
本実施形態は、可動部材40を突出位置に向かう方向に付勢する付勢手段、第1ロック部材60をロック位置に向かう方向に付勢する付勢手段を兼ねるトーションスプリング30を備えている。スライド部材20の平坦面21には円柱部27が設けられていて、トーションスプリング30に挿通されている。可動部材40には、ケース2の幅方向においてケース2の内部から外部に向かう方向に広がった段違いの第1,第2鍔部44,45が、この順番で挿入方向に並んでいる。第2鍔部45は第1鍔部44よりもケース2の底部5から離れていて、トーションスプリング30の一端部30aが第1鍔部44と第2鍔部45との間でケース2の厚さ方向に挟まれた状態で、可動部材40に引っ掛けられている。スライド部材20には突起部28が設けられていて、この突起部28にトーションスプリング30の他端部30bが引っ掛けられている。
【0046】
スライド部材20には、第1カード90の側部に設けられた切欠き93(図2に示す)に嵌合可能なバネ部材80が設けられている。第2ロック部材70には、第2カード100の側部に設けられた切欠き103(図3に示す)に嵌合可能なバネ部材81が設けられている。
【0047】
ケース本体4の底部5には、板体82がケース2の厚さ方向に回動可能に支持されている。この板体82は、ケース2の厚さ方向においてすべての第2カード用端子9と重なっている。この板体82には、この板体82が複数の第2カード用端子9の弾性力により底部5から浮かされた状態において、複数の第2カード用端子9のそれぞれ接点を突出させる複数のスリット83が設けられている。
【0048】
本実施形態の動作について説明する。
【0049】
<第1カードの装着>
第1カード90が装着されるときの本実施形態の動作について説明する。
【0050】
図9は第1カードの前端部がケースの挿入口に挿入された初期の状態であって、第1カードの挿入が判定部材により検出される前のケース内の状態を、カバーを取り除いて示す平面図である。図10−1は図9に示した状態から第1カードの挿入が進行し、判定部材が第1カードの前端部の挿入を検出して第2ロック部材に対する移動の阻止を解除したときのケース内の状態を平面図である。図10−2は図10−1に示した状態における判定部材および第1,第2ロック部材の側面図である。
【0051】
図9に示す状態から図10−1に示すように第1カード90の挿入が進行すると、第1カード90の前端部は判定部材50をトーションスプリング55の弾性力に抗して第1カード検出位置まで回動させる。これにより、図10−2に示すように、阻止部51が第1,第2ロック部材70間の空間から離脱する。つまり、第2ロック部材70の引込み位置に向かう方向の移動の阻止が解除された状態になる。
【0052】
図11−1は図10−1に示した状態から第1カードの挿入が進行し、第1カードの面取り部が第2ロック部材を押圧操作し始めたときのケース内の状態を示す平面図である。図11−2は図11−1に示した状態における第1カードと第1ロック部材と2ロック部材と可動部材との位置関係を示す平面図である。
【0053】
図10−1の状態から第1カード90の挿入が進行すると、図11−1,図11−2に示すように、第1カード90の面取り部92は第2ロック部材70の第1カード用傾斜面73を押圧する。これにより、トーションスプリング30の弾性力に抗して、第2ロック部材70が引込み位置の方向に移動し、これと同時にカム面62,72の作用により第1ロック部材60が解除位置の方向(挿入方向)に移動し始める。
【0054】
図12−1は図11−1に示した状態から第1カードの挿入が進行し、可動部材のロックが解除されたときのケース内の状態を示す平面図である。図12−2は図12−1に示した状態における第1カードと第1ロック部材と第2ロック部材と可動部材との位置関係を示す平面図である。
【0055】
図11−1,図11−2に示した状態から挿入方向へ移動する第1カード90は、板体82をケース本体4の底部5の方向に回動させる。これにより、第2カード用端子9と第1カード90との接触が避けられる。このようにして第1カード90の挿入が進行していく間、第2ロック部材70を押圧する第1カード90の部分が、面取り部92から直線上の側部になり、図12−1,図12−2に示すように第1カード90の面取り部92が可動部材40の第1カード用傾斜面46に当接したとき、第2ロック部材70は引込み位置に達し、第1ロック部材60の突出部61がケース2の奥行方向において可動部材40の溝43の位置に一致して、可動部材40の退避位置に向かう方向への移動が許容された状態になる。
【0056】
図13−1は図12−1に示した状態から第1カードの挿入が進行し、第1カードの前端部がスライド部材に当接したときのケース内の状態を示す平面図である。図13−2は図13−1に示した状態における第1カードと第1ロック部材と第2ロック部材と可動部材との位置関係を示す平面図である。
【0057】
図12−1,図12−2に示した状態から第1カード90の挿入が進行すると、可動部材40は、第1カード90から受けた挿入方向の押圧力が第1カード用傾斜面46により退避位置に向かう方向の押圧力に変換されること、並びに、第1ロック部材60の突出部61が溝43に挿入されることによって、図13−1,図13−2に示すように退避位置に押し退けられる。その後、さらに挿入が進行すると、第1カード90はスライド部材20に当接する。
【0058】
図14は図13−1に示した状態から第1カードの挿入が進行し、第1カードおよびスライド部材が挿入方向への移動の限界位置に達した状態を示す平面図である。図15は第1カードの装着が完了したときのケース内の状態を示す平面図である。
【0059】
図13−1に示した状態以後、第1カード90はスライド部材20をコイルスプリング15の弾性力に抗して挿入方向に押し動かしながら、図14に示すように挿入方向への移動の限界位置に達する。そして、第1カード90に対する押圧力が取り除かれると、ハート型カム溝31とピン32の位置関係によってスライド部材20が若干排出方向に移動した後に停止し、複数の端子91のそれぞれが複数の第1カード用端子8のそれぞれと接触した状態に第1カード90が保持され、図15に示すように、第1カード90の装着が完了する。
【0060】
なお、装着された状態の第1カード90の後端がコイルスプリング15の弾性力に抗して挿入方向に押圧されると、ハート型カム溝31とピン32の位置関係が変化し、スライド部材20の停止が解除される。そして、第1カード90に対する押圧力が取り除かれると、コイルスプリング15の復元力によりスライド部材20とともに第1カード90が排出方向に移動する。これにより、挿入方向および排出方向においてケース2から突出する第1カード90の部分の長さが装着完了時よりも長くなり、使用者にとって第1カード90がケース2から引き抜きやすくなる。
【0061】
<第2カードの装着>
第2カードが装着されるときの本実施形態の動作について説明する。
【0062】
図16−1は、ロックされた可動部材に第2カードの前端部が当接したときのケース内の状態を示す平面図である。図16−2は図16−1に示した状態における判定部材および第1,第2ロック部材の側面図である。
【0063】
第2カード100がケース2に挿入された場合、第2カード100は判定部材50の第2カード用ガイド面52により、判定部材50とカバー10の平板部11との間に誘導されるから、判定部材50は図16−2に示すように初期位置から動かず、可動部材40のロックが維持される。したがって、第2カード100の前端部は図16−1に示すように可動部材40に当接する。
【0064】
図17は図16−1に示した状態から第2カードの挿入が進行し、第2カードおよびスライド部材が挿入方向への移動の限界位置に達したときのケース内の状態を示す平面図である。図18は第2カードの装着が完了したときのケース内の状態を示す平面図である。
【0065】
図16−1に示した状態以後、第2カード100は、可動部材40を押圧することでスライド部材20をコイルスプリング15の弾性力に抗して挿入方向に押し動かしながら、図17に示すように挿入方向への移動の限界位置に達する。そして、第2カード100に対する押圧力が取り除かれると、ハート型カム溝31とピン32の位置関係によってスライド部材20が停止し、複数の端子101のそれぞれが複数の第2カード用端子9のそれぞれと接触した状態に第2カード100が保持され、図18に示すように第2カード100の装着が完了する。
【0066】
なお、装着された状態の第2カード100の後端がコイルスプリング15の弾性力に抗して挿入方向に押圧されると、ハート型カム溝31とピン32の位置関係が変化し、スライド部材20の停止が解除される。このとき、第2カード100に対する押圧力が取り除かれると、コイルスプリング15の復元力によりスライド部材20とともに第2カード100が排出方向に移動する。これにより、挿入方向および排出方向におけるケース2から突出する部分の長さ寸法が装着完了時よりも長くなり、使用者にとって第2カード100が引き抜きやすくなる。
【0067】
本実施形態によれば次の効果を得られる。
【0068】
本実施形態によれば、第1カード90と、この第1カード90よりも長さ、幅および厚さのすべての寸法が短い第2カード100とが選択的に装着できるから、カード用コネクタ装置の用途の自由度の向上に貢献できる。
【0069】
本実施形態によれば、第2カード100が装着された状態では可動部材40がロックされているから、第2カード100がこじられても可動部材40が移動することはなく、したがって、こじりにより第2カード100がケース2の奥に入りすぎることを防止できる。これにより、カード用コネクタ装置やカードの故障の低減に貢献できる。
【0070】
本実施形態によれは、第2ロック部材70が突出位置にあるときには、第2ロック部材70とケース本体4の側壁6Bの間で第2カード100の幅方向への移動を阻止でき、第2ロック部材70が引込み位置にあるときには、第2ロック部材70とケース本体4の側壁6Bの間で第1カードの幅方向の移動を阻止できる。これにより、使用者は第1,第2カード90,100の幅方向の姿勢を適切に保持した状態で挿入できる。
【0071】
本実施形態によれば、ケース2の厚さ方向における第2カード100のガイド機能を判定部材50が兼ねるから、そのガイド機能を備えることに伴うカード用コネクタ装置の部品点数の増加が生じない。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明のカード用コネクタ装置の一実施形態の外観を示す斜視図である。
【図2】第1カードの外観を示す3面図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は裏面図である。
【図3】第2カードの外観を示す3面図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は裏面図である。
【図4】図1に示した実施形態が分解された状態を左側面側から見た分解斜視図である。
【図5】図1に示した実施形態が分解された状態の右側面側から見た分解斜視図である。
【図6】図4,5に示したスライド体の分解斜視図である。
【図7】図6に示したスライド部材のガイド溝と第1ロック部材の摺動突起とを示す斜視図である。
【図8】図4,5に示した可動部材と第1ロック部材と第2ロック部材と判定部材との位置関係を示す平面図である。
【図9】第1カードの前端部がケースの挿入口に挿入された初期の状態をであって、第1カードの挿入が判定部材により検出される前のケース内の状態を、カバーを取り除いて示す平面図である。
【図10−1】図9に示した状態から第1カードの挿入が進行し、判定部材が第1カードの前端部の挿入を検出して第2ロック部材に対する移動の阻止を解除したときのケース内の状態を平面図である。
【図10−2】図10−1に示した状態における判定部材および第1,第2ロック部材の側面図である。
【図11−1】図10−1に示した状態から第1カードの挿入が進行し、第1カードの面取り部が第2ロック部材を押圧操作し始めたときのケース内の状態を示す平面図である。
【図11−2】図11−1に示した状態における第1カードと第1ロック部材と2ロック部材と可動部材との位置関係を示す平面図である。
【図12−1】図11−1に示した状態から第1カードの挿入が進行し、可動部材のロックが解除されたときのケース内の状態を示す平面図である。
【図12−2】図12−1に示した状態における第1カードと第1ロック部材と第2ロック部材と可動部材との位置関係を示す平面図である。
【図13−1】図12−1に示した状態から第1カードの挿入が進行し、第1カードの前端部がスライド部材に当接したときのケース内の状態を示す平面図である。
【図13−2】図13−1に示した状態における第1カードと第1ロック部材と第2ロック部材と可動部材との位置関係を示す平面図である。
【図14】図13−1に示した状態から第1カードの挿入が進行し、第1カードおよびスライド部材が挿入方向への移動の限界位置に達した状態を示す平面図である。
【図15】第1カードの装着が完了したときのケース内の状態を示す平面図である。
【図16−1】ロックされた可動部材に第2カードの前端部が当接したときのケース内の状態を示す平面図である。
【図16−2】図16−1に示した状態における判定部材および第1,第2ロック部材の側面図である。
【図17】図16−1に示した状態から第2カードの挿入が進行し、第2カードおよびスライド部材が挿入方向への移動の限界位置に達したときのケース内の状態を示す平面図である。
【図18】第2カードの装着が完了したときのケース内の状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0073】
1 カード用コネクタ装置
2 ケース
3 挿入口
4 ケース本体
5 底部
6A,6B 側壁
7 前壁
8 第1カード用端子
9 第2カード用端子
10 カバー
11 平板部
12A,12B 側板部
13 前板部
14 スライド体
15 コイルスプリング
20 スライド部材
21 平坦面
22,23 ガイド溝
24 ガイド面
25 ガイド部
26 ガイド孔
27 円柱部
28 突起部
30 トーションスプリング
30a 一端部
30b 他端部
31 ハート型カム溝
32 ピン
33 片持ちバネ
40 可動部材
41,42 突起部
43 溝
44 第1鍔部
45 第2鍔部
46 第1カード用傾斜面
50 判定部材
51 阻止部
52 第2カード用ガイド面
53 傾斜面
54 平坦面
55 トーションスプリング
60 第1ロック部材
61 突出部
62 カム面
63 第1カード用傾斜面
70 第2ロック部材
71 突起部
72 カム面
73 第1カード用傾斜面
80,81 バネ部材
82 板体
83 スリット
90 第1カード
91 端子
92 面取り部
93 切欠き
100 第2カード
101 端子
102 面取り部
103 切欠き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1カードと、この第1カードよりも長さ、幅および厚さのすべての寸法が短い第2カードとが選択的に挿入されるケースと、
前記第1カードの挿入軌道を含む前記ケース内の空間を前記第1,第2カードの挿入方向およびこの挿入方向と反対方向である排出方向にスライド可能なスライド部材、および、前記排出方向に前記スライド部材を付勢する弾性部材を有するカード排出機構と、
前記第1,第2カードの幅方向に対応する前記ケースの幅方向において、前記第2カードの挿入軌道内に突出する規制位置と、前記第2カードの挿入軌道外である退避位置との間を移動できるように前記スライド部材に設けられた可動部材とを備えたカード用コネクタ装置であって、
前記ケースに設けられた前記第1,第2カードの挿入口と前記可動部材との間にあって、前記ケースに前記第1,第2カードのどちらが挿入されたかを、前記第1,第2カードの厚さ寸法の差から判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果が前記第2カードの挿入であるときに前記第2カードの挿入軌道内に前記可動部材を突出させた状態でロックさせ、前記判定手段による判定結果が前記第1カードの挿入であるときにロックを解除して、前記第1カードの挿入方向への移動に前記可動部材の前記退避位置への移動を連動させるロック手段とを備えたことを特徴とするカード用コネクタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発明において、
前記判定手段が前記ケースに移動可能に設けられた判定部材を備え、
この判定部材の可動範囲が、前記第1,第2カードの厚さ方向に対応する前記ケースの厚さ方向において前記第2カードの挿入軌道を含む前記第1カードの挿入軌道内にあり前記第2カードの挿入軌道外にある初期位置と、前記第1カードの挿入軌道外である第1カード検出位置との間であり、
前記ロック手段が、前記スライド部材に移動可能に設けられた第1,第2ロック部材と、前記判定部材に設けられた阻止部とを備え、
前記第1ロック部材が、前記ケースの幅方向において前記可動部材を基準にした前記第1カードの挿入軌道側とは反対側に配置され、前記第1ロック部材の可動範囲が、前記挿入方向および前記排出方向において、前記可動部材の前記退避位置に向かう方向の移動を阻止するロック位置と、前記退避位置に向かう方向への移動を許容する解除位置との間であり、
前記第2ロック部材の可動範囲が、前記ケースの幅方向において、前記第1カードの挿入軌道内に突出した突出位置と前記第1カードの挿入軌道外の引込み位置との間であり、
前記阻止部が、前記判定部材が前記初期位置にあり前記第2ロック部材が突出位置にあるときに、前記引込み位置に向かう方向への前記第2ロック部材の移動を阻止し、前記判定部材が前記第1カード検出位置にあるときに、前記第2ロック部材に対する移動の阻止を解除するよう形成され、
前記第1,第2ロック部材はカム機構を構成し、このカム機構が、前記ロック位置から前記解除位置に向かう方向への前記第1ロック部材の移動に、前記引込み位置から前記突出位置に向かう方向へ前記第2ロック部材の移動を連動させ、かつ、前記突出位置から引込み位置に向かう方向への前記第2ロック部材の移動に、前記ロック位置から前記解除位置に向かう方向への前記第1ロック部材の移動を連動させることを特徴とするカード用コネクタ装置。
【請求項3】
請求項2に記載の発明において、
前記突出位置にあるときの前記第2ロック部材と、この第2ロック部材と幅方向において対向する前記ケースの側壁の間隔寸法が、前記第2カードの幅寸法とほぼ等しく設定され、
前記引込み位置にあるときの前記第2ロック部材と前記側壁の間隔寸法が、前記第1カードの幅寸法とほぼ等しく設定されたことを特徴とするカード用コネクタ装置。
【請求項4】
請求項2に記載の発明において、
前記判定部材が前記挿入口の近傍に設けられ、
この判定部材には、前記ケースの厚さ方向における前記第2カードの移動をガイドするガイド面が形成されたことを特徴とするカード用コネクタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図13−1】
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【図13−2】
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【図14】
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【図15】
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【図16−1】
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【図16−2】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−218337(P2008−218337A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−57490(P2007−57490)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】