説明

カード用コネクタ

【課題】 構成を簡素化することができるカード用コネクタを提供すること。
【解決手段】 カードCの平面形状に対応して開口するとともに、カードCの厚み寸法に対応した深さ寸法を有する収容凹部4が形成されたベース2と、上記収容凹部4を閉塞するように、当該収容凹部4を区画する側壁上に取り付けられたカバー3とを備え、このカバー3には、上記収容凹部4の底部5に対する垂線回りで、当該収容凹部4に対して位置ずれして配置された挿入孔13が形成されている一方、上記ベース2の側壁には、上記挿入孔13を通して挿入されたカードCを受入可能とするとともに、受け入れたカードCの上記垂線回りの回転操作を許容する受入回転許容部8が上記収容凹部4から拡張されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SIM(Subscriber Identity Module)カードやMini−UICC(Universal Integrated Circuit Card)等、表面に端子を有するカード(以下、単にカードと称す)を装着可能なカード用コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、カードの回路を、例えば、プリント基板等の回路に接続する場合には、カード用コネクタが使用されている。
【0003】
この種のカード用コネクタとしては、カード表面の電極に接触可能な接続端子を有するハウジングを備え、このハウジングに対してカバーを揺動させてこれら両者間でカードを挟持するもの(例えば、特許文献1)や、別体のカードホルダにカードを保持させた上で、当該カードホルダをハウジングに取り付けてこれら両者間でカードを挟持するもの(例えば、特許文献2)が知られている。
【特許文献1】特許第2860362号明細書
【特許文献2】特許第3020020号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記各特許文献のカード用コネクタでは、ハウジングに対するカバーの揺動機構や、ハウジングに対するカバーの取り付け取付機構が必要となり、その構成が複雑であった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、構成を簡素化することができるカード用コネクタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、表面に端子を有する略方形のカードを装着可能なカード用コネクタであって、上記カードの平面形状に対応して開口するとともに、カードの厚み寸法に対応した深さ寸法を有する収容凹部が形成されたベースと、上記収容凹部を閉塞するように、当該収容凹部を区画する側壁上に取り付けられたカバーとを備え、このカバーには、上記収容凹部の底部に対する垂線回りで、当該収容凹部に対して位置ずれして配置された挿入孔が上記平面形状に対応して貫通している一方、上記ベースは、上記収容凹部の底部に形成された接触端子を備えているとともに、その側壁には、上記挿入孔を通して挿入されたカードを受入可能とするとともに、受け入れたカードの上記垂線回りの回転操作を許容する受入回転許容部が上記収容凹部から拡張され、上記受入回転許容部は、上記挿入孔を通して挿抜可能な挿抜位置と、上記収容凹部に合致する接続位置との間で、カードが回転自在となるように構成されているとともに、上記接触端子は、上記接続位置に回転したカードの端子が接触するように構成されているものである。
【0007】
上記カード用コネクタにおいて、上記挿入孔は、カードに形成された位置決め用の切欠きに対応する位置決め斜面を備えた形状とされている一方、上記受入回転許容部は、上記挿抜位置にあるカードについて、上記垂線回りの特定の一方向への回転操作を規制するストッパ面を備えた形状とされていることが好ましい。
【0008】
上記カード用コネクタにおいて、上記接触端子は、収容凹部に挿入されたカードを上記垂線方向におけるカバー側へ付勢可能な付勢部材に形成されている一方、上記ベースに対向するカバー表面には、上記接続位置とされたカードの平面形状に対応する段差部が形成され、この段差部は、上記接続位置とされたカードが、上記付勢部材の付勢力に応じて嵌り込むように構成されていることが好ましい。
【0009】
上記カード用コネクタにおいて、上記接触端子には、上記カードの回転操作に応じて回転する端子と摺動可能となるように、当該端子の軌道に沿った摺動面が形成されていることが好ましい。
【0010】
上記カード用コネクタにおいて、上記収容凹部及び挿入孔は、上記カードの側面を把持可能となるように、それぞれ側方へ開放した開放部を備えた形状とされていることが好ましい。
【0011】
上記カード用コネクタにおいて、上記挿入孔の開口が開閉自在となるように、上記ベースに対して揺動可能に取り付けられた蓋体をさらに備え、この蓋体は、上記挿入孔を被覆した姿勢で上記ベース又はカバーに対して係止可能とされているとともに、上記接続位置とされたカードの回転動作を規制する規制部を備えていることが好ましい。
【0012】
上記カード用コネクタにおいて、上記蓋体は、上記挿入孔を被覆した姿勢において、当該挿入孔を通してカードをベース側へ押圧する押圧部を備えていることが好ましい。
【0013】
上記カード用コネクタにおいて、上記蓋体は金属により形成されているとともに、上記ベースは、アース端子をさらに備え、このアース端子によって、上記挿入孔を閉塞した姿勢の蓋体がベースに対して係止されるように構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、収容凹部を有するベースに対して、挿入孔を有するカバーを取り付けることによりカード用コネクタを構成することができるので、これら両者に特別な機構を設けることなく、部品点数を可及的に低減することができる結果、その構成を簡素化することができる。
【0015】
さらに、本発明では、挿入孔に挿入したカードを回転させることにより、ベースとカバーとの間で端子と接触端子とを接続することができるので、簡易的な操作でカードを装着することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係るカード用コネクタ1の全体構成を示す斜視図、図2は、図1のカード用コネクタ1の分解斜視図、図3は、図1のカード用コネクタ1のベース2を示す、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【0018】
各図を参照して、カード用コネクタ1は、表面に複数(本実施形態で8個)の端子Tを有する略方形のカードC(図5参照)を装着して、当該カードC内の回路と図略のプリント基板の回路とを接続するようになっている。
【0019】
具体的に、カード用コネクタ1は、プリント基板上に実装される合成樹脂製のベース2と、このベース2上に取り付けられた合成樹脂製のカバー3とを備えている。
【0020】
上記ベース2は、略矩形のブロック体であり、その表面には、上記カードCの平面形状に対応して開口するとともに、カードCの厚み寸法よりも若干大きな深さ寸法に設定された収容凹部4が形成されている。
【0021】
この収容凹部4は、上記ベース2及びカードCの長辺及び短辺が互いに平行となるように、カードCを受入可能な開口面積とされた有底の穴であり、上記カードCに形成された位置決め用の切欠きC1(図5参照)に対応する位置決め斜面4aを備えた形状とされている。そして、収容凹部4の底部5には、当該収容凹部4内に収容されたカードCの各端子と接続可能となるように、6枚の接触端子6が内蔵されている。
【0022】
上記各接触端子6は、その先端部6aが上記底部5を上下に貫通する6個の孔5a内にそれぞれ臨んでいる一方、その基端部6bがベース2の左右両側面からそれぞれ3枚ずつ外側に導出され、これら基端部6bが、プリント基板の回路と電気的に接続(例えば、半田付け)されるようになっている。
【0023】
図3の(a)に示すように、上記各孔5aは、左右2列前後3列に配置された略長方形の孔である。また、各孔5aは、後述するカードCの回転操作に伴う端子Tの軌道に沿って、それぞれベース2に対して傾斜して形成されている。
【0024】
一方、上記各接触端子6の先端部6aは、その長手方向が上記各孔5aの長手方向に沿って配置されているとともに、図3の(b)に示すように、上記各孔5a内に没し得るように上記底部5上へ弾性的に突出した状態とされている。そして、底部5上に突出した先端部6aは、長手方向に沿って湾曲して、その上面に湾曲面6cが形成されている。
【0025】
また、上記収容凹部4を区画する側壁7には、受入回転許容部8(図6の二点鎖線の部分)が収容凹部4を拡張するように形成されている。詳しくは後述するが、この受入回転許容部8は、カバー3を通して挿入されたカードCを収容凹部4内に受入可能とし、かつ受け入れられたカードCを上記底部5に対する垂線回りに回転自在となる形状とされている。また、上記受入回転許容部8は、収容凹部4内に受け入れられたカードCが図3の(a)の時計回りに回転するのを規制するストッパ面8a、8bを備えている。
【0026】
さらに、上記側壁7には、当該側壁7を左右の側壁7a、7bに分断する前後一対の切欠き9が形成され、この切欠き9によって、収容凹部4は、前後方向へ開放されている。つまり、上記収容凹部4は、それぞれ前後方向(側方)へ開放した開放部を備えた形状とされている。
【0027】
一方、カバー3は、合成樹脂製のガイドプレート10、11を備えている。これらガイドプレート10、11は、側壁7上の四隅に立設されたボスピン12に貫通した状態で、接着、熱着、カシメ等の手段によって、各側壁7a、7bに対して一対一対応で固定されている。
【0028】
具体的に、両ガイドプレート10、11は、左右方向で互いに間隔D(図1参照)だけ離間した状態で配置されている。この間隔Dは、上記切欠き9と略同一の幅寸法に形成され、上記収容凹部4に挿入されたカードCを側方へ開放するようになっている。
【0029】
また、上記両ガイドプレート10、11は、互いに対向する側面間で、カードCの平面形状に対応して上下に貫通する挿入孔13を形成している。この挿入孔13は、上記収容凹部4に対して上記底部5の垂線回りに角度R(図5参照:本実施形態では30°)だけ位置ずれして形成されている。また、上記挿入孔13は、カードCの切欠きC1に対応してガイドプレート11に形成された位置決め斜面13aを備えた形状とされている。
【0030】
したがって、上記両ガイドプレート10、11間(挿入孔13)を通してベース2側へ挿入されたカードCは、図5に示すように、上記収容凹部4及び受入回転許容部8内に配置された挿抜位置と、この挿抜位置からベース2とカバー3との間で角度Rだけ回転操作され、収容凹部4と合致した姿勢とされた図6に示す接続位置との間で回転自在となる。
【0031】
上記両ガイドプレート10、11には、図4に示すように、上記接続位置とされたカードCの平面形状に対応して台座14がベース2側へ突出している(図4ではガイドプレート11については省略している)。したがって、接続位置とされたカードCは、板ばね状とされた上記各接触端子6の付勢力により、当該各接触端子6と上記台座14との間で挟持され、上記各端子Tと各接触端子6とが確実に接触される。
【0032】
さらに、両ガイドプレート10、11には、上記カードCを挿抜位置から接続位置へ回転させることに伴い当該カードCをベース2側へ押し込む傾斜部15が形成されている。この傾斜部15は、上記台座14との境界位置において、当該台座14よりも突出した高さ寸法に設定されていることにより、当該境界位置には、段差部16が形成されている。この段差部16は、上記台座14の略方形の平面形状における四辺についてそれぞれ形成されている(図4では、台座14の二辺に対応するガイドプレート10についてのみ開示している)。
【0033】
そのため、上記挿抜位置から接続位置への回転操作の過程では、上記傾斜部15によりカードCが徐々にベース2側へ押し込まれ、カードCが接続位置へ到達すると、上記接触端子6の付勢力によりカードCが上記段差部16を乗り越えて上記台座14に密着することになる。
【0034】
したがって、使用者は、上記段差部16を乗り越えるカードCの感触により当該カードCが接続位置へ到達したこと認識することができる。さらに、各段差部16を乗り越えたカードCは、その四辺(側面)が段差部16間で支持されるので、不意に挿抜位置へ回転することが規制される。
【0035】
以下、上記カード用コネクタ1の使用方法について説明する。
【0036】
まず、使用者は、図5に示すように、上記カードCの切欠きC1と挿入孔13の位置決め斜面13aとを位置合せした状態で、挿入孔13を通してカードCを挿入する(このときのカードCの姿勢が挿抜位置となる)。この位置合せによって、カードCは、その端子Tがベース2側へ向いた姿勢とされる。
【0037】
次いで、使用者は、両ガイドプレート10、11の間、及び上記切欠き9を通してカードCの対角をつまみ、当該カードCをベース2とカバー3との間で矢印Y1方向へ回転させる。この回転の過程では、カードCの各端子Tが各接触端子6に対して摺動することになる。
【0038】
このとき、各接触端子6の先端部6aは、カードCの回転軌道に対応して傾斜している(図3の(a)参照)とともに、この傾斜方向に沿った湾曲面6c(図3の(b)参照)を備えているので、上記摺動の際に、各端子Tの表面を損傷してしまうといった不具合を防止することができる。さらに、上記湾曲面6cは、ベース2上へ弾性的に突出する板ばねとしての作用と相俟って、摺動時に適度な力で端子T表面を払拭する、いわゆる端子Tのセルフクリーニング効果を発揮することになる。
【0039】
そして、カードCは、図6に示すように、上記収容凹部4に合致する接続位置(ベース2及びカードCの各辺が平行となる姿勢)まで回転されると、側壁7に当接することによりその回転操作が規制される。これとともに、カードCは、上記接続位置に回転する際、接触端子6の付勢力により、段差部16を乗り越えて台座14の内側へ入り込み(図4参照)、その回転位置が規制される。
【0040】
上記接続位置とされたカードCは、各接触端子6の付勢力によりカバー3側へ押し上げられた状態で、その四隅がベース2とカバー3との間に支持されることになる。
【0041】
一方、接続位置とされたカードCを取り外す場合には、両ガイドプレート10、11の間、及び上記切欠き9を通してカードCの側部をつまみ、ベース2側へ押し込みつつ(接触端子6の付勢力に抗しつつ)、矢印Y2方向へカードCを回転操作することにより、上記段差部16を乗り越えて上記挿抜位置へ復帰させることができる。
【0042】
このとき、カードCの側面が上記収容凹部4のストッパ面8a、8bに当接するので、カードCの回転位置が上記挿抜位置を行き過ぎてしまうといった事態を防止することができる。
【0043】
そして、挿抜位置とされたカードCは、上記挿入孔13を通して取り出されることになる。
【0044】
以上説明したように、上記カード用コネクタ1によれば、収容凹部4を有するベース2に対して、挿入孔13を有するカバー3を取り付けることによりカード用コネクタ1を構成することができるので、これら両者に特別な機構を設けることなく、部品点数を可及的に低減することができる結果、その構成を簡素化することができる。
【0045】
さらに、上記カード用コネクタ1によれば、挿入孔13に挿入したカードCを回転させる(押し回す)ことにより、ベース2とカバー3との間で各端子Tと接触端子6とを接続することができるので、簡易的な操作でカードCを装着することができる。そのため、使用者は、カード用コネクタ1に対してカードCを片手で装着するといったことが可能となる。
【0046】
上記挿入孔13が位置決め斜面13aを備えた形状とされたカード用コネクタ1によれば、ベース2に対して適切な姿勢(各端子Tがベース2側へ向いた姿勢)としたカードCのみを装着することができる。
【0047】
ストッパ面8a、8bを備えたカード用コネクタ1によれば、接続位置から挿抜位置への回転操作の際に、カードCを挿抜位置で停止させることができるので、当該回転操作の操作性をより良好にすることができる。
【0048】
接続位置とされたカードCが段差部16に嵌り込むようにしたカード用コネクタ1によれば、当該嵌り込み時のクリック感によりカードCが接続位置へ到達したことを使用者に報知することができるだけでなく、当該段差部16に支持されたカードCが不意に挿抜位置へ回転してしまうことを防止することができる。
【0049】
端子Tの軌道に沿った湾曲面6cを備えたカード用コネクタ1によれば、カードCの回転操作の際に端子Tと摺動する接触端子6によって、当該端子Tを損傷してしまうといった不具合を防止することができる。
【0050】
切欠き9を備えているとともにガイドプレート10、11間に間隔Dを設けた(開放部を備えた)カード用コネクタ1によれば、収容凹部4内のカードCの側面を把持することができるので、カードCの回転操作をより良好にすることができる。
【0051】
なお、上記カード用コネクタ1は、上記挿入孔13を被覆する蓋体21をさらに備えたカード用コネクタ20とすることができる。
【0052】
図7は、本発明の別の実施形態に係るカード用コネクタ20の全体構成を示す斜視図、図8は、図7のカード用コネクタ20の蓋体21が開放した状態を示す斜視図、図9は、図7のカード用コネクタ20を示す、(a)は側面図、(b)は平面図である。なお、以下の説明では、カード用コネクタ1に相当する個所については同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0053】
各図を参照して、カード用コネクタ20は、上記側壁7aの前後双方に突出する支軸10a回り揺動可能な金属製の蓋体21を備えている。
【0054】
蓋体21は、上記各支軸10aのそれぞれに片持ち状に支持された前後一対のフレーム22間に天板23が掛け渡され、上記各フレーム22間でベース2を挟み込んだ姿勢とすることにより天板23が上記カードC上面を被覆することが可能とされている。
【0055】
上記各フレーム22は、その厚み方向で互いに対向する板状部材であり、その途中部がそれぞれ内側へ窪んだ規制部22aとされている。これら規制部22aは、蓋体21を閉塞位置(図1の状態)へ揺動した場合に、図9の(c)に示すように、収容凹部4内で接続位置とされたカードCを前後に挟持可能な間隔に設定されている。したがって、上記蓋体21を閉塞位置へ揺動することにより、接続位置とされたカードCが不意に挿抜位置へ回転してしまうことをより確実に防止することができる。
【0056】
上記天板23は、蓋体21を閉塞位置へ揺動した場合に、収容凹部4内のカードCをベース2側へ押圧可能な押圧部24が形成されている。この押圧部24は、プレス加工等により上記天板23から突出して形成されているとともに、上記挿入孔13を通して開放されるカードCの上面略全域を押圧可能な平面形状とされている。
【0057】
したがって、上記押圧部24を有する蓋体21を閉塞位置へ揺動することにより、カードCをベース2に対して押付けることができるので、カードCと接触端子6との接続をより強固なものとすることができるとともに、上記各接触端子Tの付勢力によりカードC自体が反ってしまう等の事態を防止することができる。
【0058】
さらに、上記各フレーム22の先端部には、係止孔22bが厚み方向にそれぞれ貫通している。これら係止孔22bは、上記側壁7bに対して係合するようになっている。
【0059】
具体的に、上記側壁7bには、係止ピン25が前方へ突出しているとともに、アース端子26が内蔵されている。このアース端子26は、その先端部26aが側壁7bの後方へ突出している一方、その基端部26bが側壁7bの右側方へ導出されている。この基端部26bは、上記接触端子6の基端部6bと同様に、プリント基板に形成された接地回路に接続されるようになっている。
【0060】
そして、上記各フレーム22は、蓋体21が閉塞位置へ揺動する際に、上記係止ピン25及びアース端子26の先端部26aと当接することにより、一旦互いに離間して、当該係止ピン25及び先端部26aが上記係止孔22b内に入り込むことにより、再び近接するようになっている。
【0061】
これにより、上記蓋体21の姿勢を閉塞位置で固定することができるとともに、上記アース端子26の先端部26aとフレーム22(蓋体21)とが電気的に接続される。つまり、上記蓋体21は、上記閉塞位置とされることによってプリント基板の接地回路に接続されるので、不測の短絡等が発生した場合でも、上記アース端子26を介して蓋体21を接地することができる。なお、上記実施形態では、1枚のアース端子26を備えた構成としているが、アース端子26を2枚備えた構成とすれば、これら両アース端子26をスイッチとして機能させることも可能である。
【0062】
上記カード用コネクタ20によれば、ベース2に対して蓋体21を閉塞位置で係止することができるので、収容凹部4内のカードCを被覆して、当該カードCを保護することができる。
【0063】
また、上記カード用コネクタ20は、蓋体21を閉鎖位置へ揺動した場合に、規制部22aによって、カードCの回転動作を規制することができるので、接続位置とされたカードCが不意に挿抜位置へ回転してしまうことを確実に防止することができる。
【0064】
押圧部24を備えたカード用コネクタ20によれば、蓋体21を閉塞位置とすることにより収容凹部4内のカードCをベース2側へ押圧することができるので、上記各端子Tと各接触端子6との接続をより確実にすることができるとともに、挿入孔13を通して開放されているカードCの腹部を押圧することにより当該カードCの反りを可及的に抑制することができる。
【0065】
アース端子26を備えたカード用コネクタ20によれば、金属で形成して蓋体21の強度の向上を図りつつ不測の短絡等が生じた場合であっても、当該蓋体21を接地することができるので、強度と安全性とを両立させることができる。
【0066】
さらに、上記構成によれば、アース端子26の先端部26aにより蓋体21を閉塞位置で係止するようにしているので、蓋体21へ揺動する操作と蓋体21を接地する作業とを並行して行うことができ、操作性をより良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施形態に係るカード用コネクタの全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1のカード用コネクタの分解斜視図である。
【図3】図1のカード用コネクタのベースを示す、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図4】図1のガイドプレートの裏面を示す、(a)は斜視図、(b)は(a)のB−B線断面図である。
【図5】図1のカード用コネクタの使用方法を示す平面図であり、カードCが挿抜位置とされた状態を示している。
【図6】図1のカード用コネクタの使用方法を示す平面図であり、カードCが接続位置とされた状態を示している。
【図7】本発明の別の実施形態に係るカード用コネクタの全体構成を示す斜視図である。
【図8】図7のカード用コネクタの蓋体が開放した状態を示す斜視図である。
【図9】図7のカード用コネクタを示す、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)は(b)のC−C線断面図である。
【符号の説明】
【0068】
1、20 カード用コネクタ
2 ベース
3 カバー
4 収容凹部
5 底部
6 接触端子
6c 湾曲面(摺動面)
7 側壁
8 受入回転許容部
8a、8b ストッパ面
9 切欠き
13 挿入孔
16 段差部
21 蓋体
24 押圧部
26 アース端子
C カード
C1 切欠き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に端子を有する略方形のカードを装着可能なカード用コネクタであって、
上記カードの平面形状に対応して開口するとともに、カードの厚み寸法に対応した深さ寸法を有する収容凹部が形成されたベースと、
上記収容凹部を閉塞するように、当該収容凹部を区画する側壁上に取り付けられたカバーとを備え、
このカバーには、上記収容凹部の底部に対する垂線回りで、当該収容凹部に対して位置ずれして配置された挿入孔が上記平面形状に対応して貫通している一方、
上記ベースは、上記収容凹部の底部に形成された接触端子を備えているとともに、その側壁には、上記挿入孔を通して挿入されたカードを受入可能とするとともに、受け入れたカードの上記垂線回りの回転操作を許容する受入回転許容部が上記収容凹部から拡張され、
上記受入回転許容部は、上記挿入孔を通して挿抜可能な挿抜位置と、上記収容凹部に合致する接続位置との間で、カードが回転自在となるように構成されているとともに、上記接触端子は、上記接続位置に回転したカードの端子が接触するように構成されていることを特徴とするカード用コネクタ。
【請求項2】
上記挿入孔は、カードに形成された位置決め用の切欠きに対応する位置決め斜面を備えた形状とされている一方、上記受入回転許容部は、上記挿抜位置にあるカードについて、上記垂線回りの特定の一方向への回転操作を規制するストッパ面を備えた形状とされていることを特徴とする請求項1に記載のカード用コネクタ。
【請求項3】
上記接触端子は、収容凹部に挿入されたカードを上記垂線方向におけるカバー側へ付勢可能な付勢部材に形成されている一方、上記ベースに対向するカバー表面には、上記接続位置とされたカードの平面形状に対応する段差部が形成され、この段差部は、上記接続位置とされたカードが、上記付勢部材の付勢力に応じて嵌り込むように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカード用コネクタ。
【請求項4】
上記接触端子には、上記カードの回転操作に応じて回転する端子と摺動可能となるように、当該端子の軌道に沿った摺動面が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載のカード用コネクタ。
【請求項5】
上記収容凹部及び挿入孔は、上記カードの側面を把持可能となるように、それぞれ側方へ開放した開放部を備えた形状とされていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のカード用コネクタ。
【請求項6】
上記挿入孔の開口が開閉自在となるように、上記ベースに対して揺動可能に取り付けられた蓋体をさらに備え、この蓋体は、上記挿入孔を被覆した姿勢で上記ベース又はカバーに対して係止可能とされているとともに、上記接続位置とされたカードの回転動作を規制する規制部を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載のカード用コネクタ。
【請求項7】
上記蓋体は、上記挿入孔を被覆した姿勢において、当該挿入孔を通してカードをベース側へ押圧する押圧部を備えていることを特徴とする請求項6に記載のカード用コネクタ。
【請求項8】
上記蓋体は金属により形成されているとともに、上記ベースは、アース端子をさらに備え、このアース端子によって、上記挿入孔を閉塞した姿勢の蓋体がベースに対して係止されるように構成されていることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のカード用コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−73301(P2006−73301A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−254058(P2004−254058)
【出願日】平成16年9月1日(2004.9.1)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】