説明

カーボンナノチューブ素子の製造

本発明のカーボンナノチューブ素子は、構造の表面から裏面まで延びる開口を含む支持構造を含む。少なくとも1本のカーボンナノチューブは、開口を横断して延びており、支持構造の表面と裏面の双方から開口を通してアクセス可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願では、米国特許仮出願番号第60/422,041号(2002年10月29日出願)に関わる権利を主張するものであり、この出願については、ここに言及することをもって、本明細書にその全体を組み込むものである。
【0002】
連邦政府によるスポンサー付きの調査に関する陳述
本発明は、DARPAより付与された契約番号F49620-01-1-0467、およびNSFより付与された契約番号DMR-0073590による政府の援助のもとに行われたものである。米国政府は、本発明に関して対して、ある程度の権利を有するものである。
【背景技術】
【0003】
本発明は、一般的には、カーボンナノチューブの合成に関するものであり、より詳細には、一重壁カーボンナノチューブを制御されたかたちで製造し、試験する技術に関するものである。
【0004】
発見以来、カーボンナノチューブは、その電気的および機械的特性について集中的な研究が行われてきており、広範な電子機器ならびに機械および電子機械の用途での実施が提案されている。特に、カーボンナノチューブは、ミクロ電子およびナノ電子素子および装置、化学センサー、変換器、ディスプレイ、物理的プローブ、およびエネルギー蓄積素子といった用途に際だって適していることが示されている。
【0005】
カーボンナノチューブの合成は、各種の技術、たとえば、アーク放電、レーザーアブレーション、炭化水素の熱分解といった方法によって達成されている。また、こうした方法を用いることで、さまざまな特性を備えたナノチューブを製造しうることも例証されている。たとえば、ナノチューブがランダムな方向を向いたフィルムまたはマットを製造することも、また、選択された向きに配列したナノチューブの列を製造することも可能である。一重壁のナノチューブ(SWNTs)または多重壁のナノチューブ(MWNTs)を、所定の用途の用途に応じて選択的に製造しうることも例証されている。
【0006】
カーボンナノチューブの各種用途で、さらに具体的な要件が必要とされるようになるにつれて、ナノチューブを合成する際にさらに精緻な制御を行うことが必須となってきている。具体的には、カーボンナノチューブを多くの重要な用途に成功裏に利用していくうえでは、ナノチューブの位置、向き、直径、一重壁なのか多重壁なのかという構造を正確かつ再現性をもって制御することが要求されている。ナノチューブは、こうした制御を行うことなく、ナノチューブの使用が特段に適している各種用途での工業上の製造要件を満たすことはできない。
【発明の開示】
【0007】
本発明は、正確かつ再現性をもって製造を行うことができ、その場での試験および分析が可能で、広範な用途に利用できるようなナノチューブ素子構造を得ることができるナノチューブの製造方法を提供する。本発明のカーボンナノチューブ素子は、構造の表面から裏面まで延在する開口を備えた支持構造を備えている。開口を横断して、少なくとも1本のカーボンナノチューブが延在しており、このカーボンナノチューブは、支持構造の表面と裏面の双方から開口を通してアクセス可能である。この構成を使用すると、ナノチューブを、ナノチューブを対象環境と接触させることが必要とされる多岐にわたる用途に用いることができる。たとえば、対象気体または液体を支持構造の開口に通過させて、気体または液体がナノチューブの周囲を通過する際に、ナノチューブが検知等の機能を担いうるようにすることができる。こうした構造は、また、ナノ電気化学の用途、たとえば高周波共鳴装置に直接使用することもできる。
【0008】
本発明のカーボンナノチューブ素子で提供するカーボンナノチューブは、一重壁カーボンナノチューブとすることも、多重壁ナノチューブとすることもでき、半導体ナノチューブとすることも、金属ナノチューブとすることもでき、また複数のナノチューブとして形成することもできる。支持構造としては、基板、たとえば半導体基板を設けることも、膜、たとえば窒化物または酸化物の膜、または他の適当な構造を設けることもできる。どのような支持構造を設ける場合でも、支持構造は、カーボンナノチューブを透過型電子顕微鏡によって観察できるよう、電子源と電子検出装置の間に配置することができる。多くの用途で、支持構造上に配置され、開口によって隔てられた少なくとも1ペアの導電性接点パッドを設けることが好ましい場合がある。カーボンナノチューブの各端部は、こうした接点パッドに位置させることができ、好ましくは、接点パッド上に位置させることができる。複数ペアの接点パッドを、開口周囲の各位置に配置することができる。
【0009】
本発明では、カーボンナノチューブ素子の製造を、支持構造を製造し、支持構造の表面に、少なくとも1本のカーボンナノチューブ触媒領域を形成することによって行うことができる。開口を、触媒領域に隣接して、支持構造の表面から裏面まで延在するよう形成する。その後、触媒領域を炭化水素ガスと接触させて、支持構造の表面および裏面の双方からアクセス可能なカーボンナノチューブを、開口を横断して合成する。
【0010】
カーボンナノチューブ触媒領域は、Feといった触媒材料を蒸着(たとえば熱蒸着)すること、および、触媒領域を画定するために蒸着した触媒材料をリソグラフィーによってパターニングすることによって形成することができる。触媒領域は、開口と実質的に当接するよう形成することができる。一重壁ナノチューブの選択的合成を可能とするうえでは、厚さ約2 nm未満の触媒領域が好ましく、所望に応じて、複数ペアの触媒領域を形成することもできる。
【0011】
支持構造表面上で、カーボンナノチューブ触媒領域の下側に、導電性接点パッドを設けることもできる。こうした接点パッドは、たとえば、金属層を蒸着し、この金属層をエッチして接点パッドを形成し、その後、この接点パッド上に触媒領域を形成することによって形成することができる。
【0012】
触媒領域を接触させる炭化水素ガスは、実質的にメタンのみを含むものとし、この炭化水素ガスは、たとえば約400 sccm未満の流量で供給することができる。メタンとの接触は、たとえば、約1500℃未満の温度で実施することができる。メタンとの接触の間には、ナノチューブの所望の合成方向に対応する方向に、開口を横断して電場を印加することができる。
【0013】
本発明の他の特徴および利点は、以下の説明および添付図面、ならびに請求の範囲から明らかとなるはずである。
【0014】
発明の詳細な説明
本発明は、再現性および信頼性のある製造を可能とするようなナノチューブ素子の構造および対応する一連の成長プロセスを提供するものであり、一重壁ナノチューブ、特に、選択された構造の一重壁ナノチューブを提供するものである。図1Aについて説明すると、本発明の第一のナノチューブ素子では、ナノチューブ10が設けられ、このナノチューブ10の両端は、開口14の設けられた支持構造、たとえば基板12と接触しており、一重壁ナノチューブは、この開口14を横断して延在している。図1Bの頂面平面図のように、開口14が基板12を貫通しているので、ナノチューブは、開口を横断する架橋部を形成することとなり、基板の双方の面からアクセスすることができる。この態様では、基板開口14が正方形の場合について示すが、この形状である必要が特にあるわけではなく、開口は、任意の好都合な形状、たとえば、円形、長方形をはじめとする適当な形状のものを設けることができる。
【0015】
次に、図2A〜2Bについて説明すると、この懸架ナノチューブ構造は、本発明にしたがって、基板上の2つの電極または導電性領域を電気的に接続する際に使用することができる。たとえば、図2Aに示すように、電気接点パッド16を、開口14を備えた基板12上に設け、ナノチューブを、この開口14を横断して延在するように設けることができる。図2Bでは、ナノチューブ10は、基板12の開口を横断して、2つの電極間を架橋して接続している。ナノチューブは、接点パッド上に位置するように、以下の方法で合成する。この態様の構造では、接点パッド16が開口12の両端に示されているものの、必ずしもそうである必要はなく、接点パッドは、開口周囲の他の位置に設けることもでき、所定の用途で適当とされる場合には、3以上の電極群として設けることもできる。
【0016】
これらの態様から例示されるように、本発明を用いると、各種構造のナノチューブ素子において、基板上に、ナノチューブを選択された配置で形成することができる。本発明の提供するすべての配置に共通する特徴として挙げることがことができるのは、支持基板中に設けられた、基板の両面からナノチューブへのアクセスを可能とする開口または他の構造を有している点である。その結果、ナノチューブは、基板開口を横断する架橋部を形成することになる。こうした配置となっているので、このナノチューブは、ナノチューブを対象環境と接触させることが必要とされる広範な用途で利用可能である。たとえば、対象気体または液体を基板開口に通過させて、気体または液体がナノチューブの周囲を通過する際に、ナノチューブが検知等の機能を担いうるようにすることができる。こうした構造は、また、ナノ電気化学の用途、たとえば高周波共鳴装置に直接使用することもできる。
【0017】
また、本発明によって提供される懸架状に配置されたナノチューブの場合、合成したナノチューブのその場での検査および試験を、特に好都合なかたちで行うことが可能である。現在では、合成ナノチューブを、透過型電子顕微鏡(TEM)で検査して、ナノチューブの直径、肉厚、一重壁構造なのか多重壁構造なのかを判定することが一般化している。TEMの場合、通常、検査対象ナノチューブを、電子ビーム源と検出装置の間に配置することが必要とされる。本発明の配置を用いると、基板上で成長させたままの合成ナノチューブを、ナノチューブを破壊的に取り出したり、ナノチューブに物理的な干渉を加えたりしなくても、その場で検査することが可能となる。
【0018】
図3について説明すると、本発明では、ナノチューブが基板の開口14に懸架された基板12を、電子ビーム源15と検出装置17の間に配置すること、すなわち、開口14が、電子ビームの検出装置17に至る通過経路内に来るように配置することができる。電子ビームの軌道が、ナノチューブ10を通過し、基板開口14を通過して検出装置に至るので、ナノチューブのその場でのTEMによる分析、すなわち、合成を行った、基板上の意図した位置での分析を行うことが可能となる。通常、ナノチューブの分析で十分な精度を得るためには、TEMの解像度がnmレベルであることが必要とされている。本発明で提供される基板開口の構造は、こうしたTEMの解像度を、分析に際して容易に位置させることのできる基板の配置で、検査対象ナノチューブを破壊せずに実現することができる。
【0019】
本発明では、ナノチューブが懸架された構造を実現しうるような開口を設けることが可能な構造であれば、他にも多岐にわたる構造を用いることができる。たとえば、図4A〜4Bについて説明すると、開口14は、基板12の表面に配置された膜18に設けることもでき、この場合、ナノチューブ10は、膜の開口を横断するよう設ける。図4Aの断面図は、図面のわかりやすさを優先して、縮尺通りの図ではなく、膜厚は、適宜選択した厚さとすることができ、基板は、特定の厚さとする必要はない。
【0020】
図5A〜5Bについても説明すると、図2A〜2Bの基板構造と同じく、膜18の開口14の周囲の位置に導電性接点パッドまたはストリップ16を設けることができる。そのうえで、懸架ナノチューブ10を、開口を横断して接点パッドを架橋するような構造に形成することができる。
【0021】
なお、本発明では、上述のナノチューブ構造の態様は、所定の用途での必要に応じて適宜変更することができる。たとえば、基板は、任意の適当な材料のものを設けることができ、複数の複合材料の層から構成することもできる。同様に、基板表面の膜も、任意の適当な材料から形成することができ、所定の用途での必要に応じて、複数の膜材料の層から構成することもできる。
【0022】
導電性接点パッドまたはストリップは、以下に記載するナノチューブの合成過程と適合性のよい任意の適当な導電性材料から形成して、パッドの上側に載置するナノチューブ、すなわち、接点パッドまたはストリップの上面と接触するナノチューブを形成できるようにする。パッドの形状またはパターンに関しては、特に限定されていないものの、各接点パッドの端部は、ナノチューブが合成後に横断することになる開口の周囲と一致することが好ましい。接点パッドは、基板上に設けられた回路、または、外部回路との接続用の位置との電気的接続を実現することができる。なお、図面では、接点パッドを、理解しやすいように絶縁された構造として描いてあるが、本発明では、接点パッドは、他の回路および/または素子と接続しうる各種の構造とすることができる。
【0023】
図1A〜4Bには、わかりやすいよう、単一のナノチューブを図示したが、本発明では、開口を横断して、複数の接点パッドの間に、複数のナノチューブを設けることができる。図6は、そうした構造の一態様を示すもので、基板12の開口14に、数本のナノチューブ10が延在している。実際、ナノチューブの列および/またはナノチューブの束は、開口を横断し、複数ペアの接点パッドの間に延在するよう設けて、数枚のパッドと接触させることができる。図示したように、接点パッドは、開口の周囲のさまざまな地点に位置させて、ナノチューブが各種のパッドを接続するようにすることができる。後述するように、ナノチューブの成長過程の間に、特定の複数の接点パッドの間に電場を選択的に印加して、指定した接点パッド間にナノチューブを成長させることもできる。
【0024】
図1A〜2Bおよび図4A〜5Bのナノチューブの構造は、ナノチューブを支持し、好ましくは、さらに、ナノチューブを接続する電気接点パッドも支持する構造に、開口を設けることのできる任意の適当な合成方法によって製造することができる。本発明は、支持構造の開口に延在する一重壁ナノチューブを制御可能なかたちで形成するうえで特に有利な可能性のある一連のプロセスを提供するものである。以下に記載する態様の方法は、多くの用途に好適であるものの、他の製造方法およびナノチューブ合成法も利用可能であると理解されたい。
【0025】
図7Aについて説明すると、製造プロセスの一態様では、選択された材料、たとえばシリコン、アルミナ、サファイアをはじめとする選択された材料の基板12を用意する。選択された基板材料は、ナノチューブの合成に用いる温度によって悪影響を受けないものとすることが好ましく、基板上に設ける可能性のある各種の層に拡散しないものとすることが好ましい。気体上に膜を設ける場合には、基板表面に、膜層19を形成し、対応する層21を、基板の裏面にも形成する。たとえば、シリコン基板の場合には、窒化ケイ素または二酸化ケイ素の膜層、たとえば厚さ約500 nmの膜層を、シリコン基板の両面に、通常の方法、たとえば、低圧化学蒸着(LPCVD)によって形成することができる。
【0026】
図には、基板に膜を形成する例を例示したが、膜の形成は本発明では必須ではなく、開口が基板を直接貫通するを基板を用いることも可能である。本発明では、基板の構造は特に限定されず、所定の用途に適した任意の適当な支持構造を用いることができる。
【0027】
膜を形成する場合は、その後、基板裏面上の膜層21の特定領域を、パターニングし、反応性イオンエッチングなどの方法でエッチングして、膜層21の一部を除去し、基板表面に懸架膜を製造するために基板表面を露出させる。その後、基板を、厚さ方向に、基板表面の膜層19までエッチングして、自立膜を形成する。多くの用途で、たとえば約100μm程度の膜が適当である。シリコン基板の場合には、シリコン・エッチング法、たとえば、KOHによる異方性ウェットエッチングを、通常の方法で用いることができる。基板のエッチングを完了した時点で、図7Aの構造が生成するので、裏面層21を、必要に応じて除去すればよい。基板を膜層なしで使用する場合には、膜層19、21の形成は不要であり、基板のバルク・エッチングを行って、膜層19に対応する位置に、基板表面領域の薄くなった領域を形成することが好ましい。
【0028】
図7Bについて説明すると、その前までの工程で自立膜18が製造されている場合には、所定の用途で接点パッドが必要とされる場合には、プロセスの次の工程で、基板または膜表面上に導電性接点パッドを形成するべく、1層以上の金属層を蒸着することができる。金属接点パッド層のパターニングは、フォトレジスト・リフト・オフ法または他の適当な技術で実施することができる。たとえば、図示したように、フォトレジスト層20を蒸着してパターニングし、1層以上の金属層22、24を、パターニングしたフォトレジストを覆うように蒸着する。図7Bに示すように、パターニングしたフォトレジスト層20は、接点パッドの領域と、接点パッドの位置の間に位置し、かつ開口を設ける領域でもある中央領域21とを画定することが好ましい。多くの用途では、接点パッドが数ミクロン以下延在することが好ましい。
【0029】
金属層蒸着プロセスの一態様では、Crの、たとえば厚さ約15〜50 nm層を、第一金属層22として蒸着して接着層の役目を果たさせ、次に、Ptの、たとえば厚さ約50 nmの金属電極金属層を第二金属層24として蒸着する。選択した材料がその後のナノチューブ合成の熱サイクルを耐えうるかぎりは、任意の適当な金属または金属複合材料を使用することができる。通常の金属電気メッキ法、または他の選択された金属蒸着法を用いることができる。
【0030】
この態様では、膜18上に金属層を蒸着する。金属接点パッドを設ける場合には、本発明では、膜材料を電気的に絶縁性として、金属接点パッドが、電気的に絶縁された状態となるようにすることが好ましい。同様に、ナノチューブの合成に、膜ではなく基板表面自体を用いる場合には、基板表面は、絶縁性とするのが好ましい。半導体基板として、たとえばシリコンを用いる場合、または膜材料として、たとえばシリコンまたはポリシリコンを用いる場合には、金属接点パッドを形成する前に、基板または膜の表面に絶縁層、たとえば二酸化ケイ素または窒化ケイ素の絶縁層を設けておくことによって、こうした状態を創出することが好ましい可能性がある。
【0031】
図7Bについて説明すると、多くの用途では、製造過程のこの時点で、リフト・オフで電極金属層をパターニングする前に、電極材料の上に、ナノチューブ合成触媒材料の層26も蒸着しておくのが好都合である。本発明では、適当な材料からなるナノチューブ触媒層を、任意の好都合な方法で形成することができる。たとえば、Fe、Co、Ni、およびこれらの合金のナノチューブ触媒層は、多くの用途で、特に有効であると考えられる。
【0032】
本発明は、触媒の特性を精密に制御し、それに対応して、ナノチューブの成長を精密に制御しうる好適な触媒蒸着法を提供するものであり、支持体表面と平行な水平方向の一重壁ナノチューブが選択的に合成される。このプロセスでは、触媒層を、固体触媒材料の蒸着、スパッタリング、分子ビームエピタクシー、ゾルゲル形成、電子ビーム蒸着、熱蒸着、または他の選択した蒸着法によって形成する。どの蒸着法を選択するにしても、蒸着膜による被度が極めて低くなるよう制御し、膜または支持基板上に、選択された触媒材料の単分子層が数層以上設層されることのないようにすることが好ましい。
【0033】
蒸着法の一態様では、Fe箔をスポット溶接したタングステン・ボートを使用したFeの熱蒸着を、減圧条件、たとえば約10-5または10-6 Torrの圧力で実施して、選択された厚さのFe触媒層を形成することができる。用いる触媒材料および蒸着法の種類を問わず、本発明では、得られた触媒層の厚さが約2 nm未満であることが好ましく、別の考え方をすると、触媒層の層の被度が約17×1015 atoms/cm2以下であることが好ましい。触媒層の厚さの増大とともに、触媒層から水平に合成されるナノチューブの直径も対応して増大し、触媒層の厚さがある閾値を超えると、一重壁でなく多重壁の水平ナノチューブが形成されるものと理解される。
【0034】
一重壁ナノチューブを合成することが望ましい用途に関しては、本発明は、一重壁ナノチューブを予測可能なかたちで信頼性をもって形成するべく、薄い触媒層、たとえば厚さ2 nm以下の触媒層を製造する仕様を提供するものである。所定の用途で、一重壁ナノチューブの製造が絶対的に必要とされているわけではない場合には、触媒層の厚さは必ずしも限定されないものの、臨界厚さを超えると、触媒層は水平なナノチューブの合成を支持できず、その結果、本発明の開口を横断する水平なナノチューブが確実には合成されないので、比較的薄い触媒層が好適なものと理解されたい。
【0035】
図7Bについて再度言及すると、製造過程の一態様では、金属層または層22、24上に触媒層26を形成しておいた後に、パターニングしたフォトレジスト層20をリフト・オフ法で除去し、パターニングされた触媒領域/電極領域を得る。この技法では、電極と触媒層の双方を一工程でパターニングできるので、特に有利な可能性がある。したがって、触媒領域の範囲が電極接点パッドの範囲と重なっても支障のない用途では、この方法が好ましい。
【0036】
所定の用途で、触媒領域が接点パッドの全体を覆わない方が好ましい場合には、リソグラフィーまたはエッチングの工程をさらに実施して、触媒材料を、接触層の一部から除去することができる。プロセスの一態様では、触媒層を、たとえばパターニングしたフォトレジスト層でマスクして、触媒層のうちの除去対象領域を露出させる。その後、ドライエッチング法、たとえばプラズマエッチング、イオンビームエッチング、または他の技法を用いて、不要な触媒層領域の除去を行う。多くの触媒層のエッチングプロセスは、下地である金属電極材料上に蒸着された触媒材料をエッチングするにあたって、有意に選択性ではない可能性があるものと考えられる。したがって、触媒エッチングプロセスは、時間限定プロセスとして制御するか、あるいは他の制御方法で、金属接点パッド材料の一体性が保持されるようにすることが好適な可能性がある。
【0037】
別のプロセスでは、触媒層のパターニングおよびエッチングを、電極層について使用したのとは別の一連の工程で実施することができる。たとえば、電極層を、たとえば、上述のリフト・オフ法によってパターニングしておいてから、触媒層を第二の別のリフト・オフ法によって蒸着およびパターニングすることができる。図8Aについて説明すると、この方法では、フォトレジスト層28を、形成済みの接点パッド16および開口予定位置上に形成し、パターニングして、ナノチューブ触媒層領域を設けることが所望されている接点パッド領域を露出させる。その後、触媒層26を、好ましくは上述した蒸着法と同様の選択された蒸着法によって、覆うように蒸着する。図8Bについて説明すると、その後、フォトレジスト層28のリフト・オフを実施して、触媒層の一部を除去すると、接点パッド上に、パターニングされた触媒領域が得られた。
【0038】
触媒層のパターニングは、必ずしもリフト・オフ法で行う必要はなく、触媒層を接点パッド上を覆うように蒸着し、その後、(たとえば、触媒層の上に設けたフォトレジスト層をリソグラフィーでパターニングすることによって)触媒層をエッチングし、パターニングして、明瞭な多島状触媒領域を画定することもできる。フォトレジスト・パターンによって露出させた触媒領域のエッチングは、適当なエッチング法を用いることによって実施することができる。このアプローチは、触媒をリフト・オフするアプローチ同様、必ずしも電極接点パッド全体に延在するわけではない多島状触媒領域を正確に形成し、したがって、ナノチューブを合成する位置を、より詳細に画定しうるという利点がある。
【0039】
接点パッドおよび触媒領域を形成する際に用いる一連のプロセスがどのようなものであっても、本発明では、接点パッドおよび触媒領域の位置を、図7および8の態様に示したように、金属および触媒材料で、膜または基板の開口形成予定位置が覆われることのないようすることが好ましい。こうした手順を用いると、位置合わせしたマスクを使用して、接点パッド間の開口を、接点パッドおよび触媒領域のちょうど端部でエッチングしすることが可能となり、図7Cの構造が得られる。
【0040】
また、接点パッドおよび触媒領域を、開口の予定位置を横断して延在させて、接点パッドと触媒層を貫通するよう開口を形成することにより、接点パッドと触媒領域が、開口の縁と自ずと一致するようにすることもできる。その結果、図7Cに示すような、開口によって隔てられた2箇所の接点パッドが生成する。図9は、こうした好適な構造の一態様の平面図であり、2箇所の接点パッド16が、開口14によって隔てられ、接点パッドの端部が、開口の端部32と一致している。図示したこの構造は、任意の適当な方法で形成することができ、本発明は、こうした構造を製造するにあたって、特定の技法に限定されるものではなく、触媒領域と接点パッドを、開口の縁と一致させることができる任意の好都合なプロセスを用いることができる。
【0041】
図9の構造では、触媒層領域26の端部が、開口の縁32と当接し、接点パッドの範囲を横断して延在してはいない状態を示す。こうした状態は、上述の各種の触媒層のエッチング方法によって生成することができる。どのような触媒パターンが所望される場合でも、本発明では、触媒領域の位置と範囲を正確に画定しうるリソグラフィー法によって形成を行うことが好ましい。こうしたリソグラフィーによる触媒の画定を、蒸着による薄い触媒層の蒸着と組み合わせると、ナノチューブを正確に合成することが可能となる。
【0042】
図10についても説明すると、こうした好適なかたちで、リソグラフィーによって触媒領域を画定すると、触媒層のエッチングを行う必要がない。たとえば、図示するように、触媒層26を、上述したようにして蒸着し、その後、キャッピング層34を蒸着して、パターニングすることができる。キャッピング層のパターンによって、触媒層の、ナノチューブ合成予定領域が露出し、一方、触媒層の残りの部分は被覆されたままとなり、ナノチューブの合成が防止される。こうした構成とした場合、触媒層自体はエッチングされないものの、ナノチューブを合成するにあたって、触媒を、リソグラフィーによって正確な位置に露出させることができる。
【0043】
図7Cに戻ると、接点パッド16上の選択位置に触媒層領域26を形成した後、膜18または他の支持構造を貫通するよう開口を形成し、そのうえにナノチューブを設ける。すなわち、一態様のプロセスでは、膜または基板をリソグラフィーによってマスキングし、その後、適当なエッチ液を用いて、たとえばプラズマ・エッチングによってにエッチングし、この間、隣接する接点パッドおよび触媒層領域は、開口のエッチングからマスキングしておく。各エッチング対象層のリソグラフィーによるパターニングは、所定のエッチング法で、可能であれば1以上の層を一緒に順番にエッチングすることにより実施することができる。また、触媒、接点パッド、および膜の材料を、上述の方法で、収束イオンビームで直接加工し、各種の層の開口に対する位置が自ずと揃うようにすることもできる。得られた構造では、図7Cに示すように、開口14が、接点パッド16および触媒領域26と接している。複数の開口を、所定の基板、膜、または他の支持構造に、列状、または所定の用途に適当な他の配列状に形成することができる。
【0044】
開口が形成されたら、基板または膜上にナノチューブを合成することができる。図7Dについて説明すると、ナノチューブの合成は、1本以上のナノチューブ10を合成し、それらが、各開口を架橋して、開口の縁部または接点パッド16を図示したように接続するように実施するのが特に好適である。合成プロセスの一態様では、ナノチューブを、適当な装置、たとえば、炉装置内で合成する。ナノチューブを成長させることが望まれている基板を、炉装置に入れ、装置の温度を、所望の成長温度、たとえば約600℃〜1500℃の範囲、好ましくは約900℃に上昇させる。温度を上昇させる間は、不活性ガス、たとえばアルゴンを流通させて、構造中に含まれる接点パッド材料、触媒材料、膜および/または基板材料の酸化を抑制することが好適な場合もある。
【0045】
所望の合成温度に達したら、ガス流を、炭化水素ガス、たとえばメタンガス流に切り替える。メタンガス流は、約100 sccm〜約400 sccmの範囲に維持することが好ましく、約200 sccmの流量が好適である。ガス流量が比較的少ない場合、本発明では、合成したナノチューブおよび基板の周囲および上側領域での非晶質炭素の形成が実質的に防止されることがわかっている。その結果、本発明では、非晶質炭素の形成を防止するために、メタンに加えて水素などの他のガス流を加える必要がない。ナノチューブの合成過程で非晶質炭素の形成が抑制されると、成長後の精製プロセスも不要となり、成長させたままのナノチューブを、直接使用することができる。本発明では、合成中のナノチューブの向き対してガス流の向きが及ぼす影響が無視できる程度にとどまっており、その結果、ガス流に対して基板を特定の向きに向ける必要がないものと考えられる。
【0046】
触媒材料のメタンガス流との接触は、所定の用途で必要とされる任意の期間にわたって実施して、選択された直径および量のナノチューブを形成することができる。多くの用途では、メタンガス流との接触を10分間以下にわたって実施することにより、有意な収量および良好な質の一重壁ナノチューブを、再現性をもって合成することが好ましい可能性がある。そうしたことが要求されていない場合には、ガス流との接触は、ナノチューブの所望の収量に応じて、任意の選択した期間にわたって継続することができる。しかし、本発明では、ナノチューブの合成時間をなるべく短くすると、ナノチューブおよび周囲の構造上での非晶質炭素の生成が低減するので好適であることがわかっている。
【0047】
本発明では、本発明に規定された低被度の触媒層が、高温での合成プロセスの間に、触媒ナノ粒子を形成し、この触媒ナノ粒子が、ナノチューブの成長開始地点となるものと考えられる。すなわち、ナノスケールの触媒粒子で、高温合成プロセスの間に、触媒層領域から核が形成され、こうしたナノスケールの粒子で、一重壁ナノチューブの成長が開始されるものと考えられる。このように、本発明の低被度の触媒層を使用することによって、高温合成工程の間に、ナノメートルレベルの合成部位が生成され、一重壁ナノチューブの合成が自動的かつ選択的に促進される。必要に応じて、合成用のメタンガスを流す工程の前に、第一の高温アニーリング工程を、好ましくはアルゴンまたは他の不活性ガス流中で実施することにより、触媒領域に予め核を形成することができる。こうしたアニーリング工程は、たとえば、合成工程で用いる予定の温度と同じ温度、または他の選択した温度で、妥当な時間にわたって実施することができる。
【0048】
メタンガスを流す間に、開口を横断して電場を印加して、開口を横断して方向性のあるナノチューブの合成を促進することができる。たとえば、開口縁部の複数の接点パッドまたは特に電場の印加の目的で開口から離して設けた複数の接点パッドの間に、必要に応じて、電圧を印加することができる。電圧バイアスを選択するにあたっては、所望の電場が形成されるよう、接点パッド間の距離を考慮することが好ましい。バイアスとしては、たとえば、接点パッド間の距離1μmあたり0.5 Vのバイアスは、ナノチューブを方向性をもって合成させるうえで十分であり、印加した電荷によって、ナノチューブの双極子モーメントに誘導されるトルクのために、ナノチューブは、電場の方向と同一方向を向くことになる。上述したように、電場の印加は、開口を横断する1以上の選択した方向へのナノチューブの合成を可能とするよう実施することもできる。
【0049】
実施例
導電性接点パッドと、開口に隣接したナノチューブの合成触媒の領域とを備えた窒化ケイ素膜を、上述し、図7A〜7Dにも示した方法で製造した。すなわち、シングル・リフト・オフ法を用いて、厚さ50nmのCr層および厚さ50 nmのPt層から形成された2μm幅の接点パッドを2箇所形成し、この接点パッド層上に、被度が原子5×1015個/cm2のFe触媒層を熱蒸着した。収束イオンビーム加工を用いて、触媒層、接点パッド層、窒化ケイ素膜を貫通する開口を形成した。その後、各サンプルについて、流量200 sccm、温度900℃でのメタンガス流中で、ナノチューブを5分間未満にわたって合成した。
【0050】
成長させたままのナノチューブを、その合成位置で、TEMで直接観察したところ、こうした合成条件では、1ないし数個の一重壁ナノチューブが形成され、これらのナノチューブは、各開口を横断して電極間に懸架し、触媒層を覆っていることがわかった。成長させたままで、成長後の電気接続過程を経ていないサンプルについて、電気的測定を実施したところ、非晶質炭素は、ナノチューブ構造について測定された電気的特性に何ら寄与していないことがわかった。
【0051】
図11は、電流を印加電圧に対してプロットしたもので、電流を、接点パッド間の開口を架橋する一重壁ナノチューブによって接続された2接点パッド間に印加した電圧の関数としてプロットしてある。このサンプルでは、一重壁ナノチューブは半導体である。室温では、低バイアスでの微分抵抗は、約100 MΩであり、バンドギャップ関連の非線形性が、すでに見えている。非対称性が観察され、この非対称性は、ナノチューブの2端の間の接触抵抗に起因している可能性が高い。
【0052】
温度を77 Kまで下げると、電流電圧曲線のギャップが明らかに観察された。半導体ナノチューブと電極の間の2接点について、2箇所のショットキー障壁を仮定すると、ナノチューブのエネルギーギャップは、約0.25 eVであると判定され、これは、電流電圧曲線のプラトーの約半値である。別のサンプルの別の半導体一重壁ナノチューブについては、ギャップ値が約0.9 eVであると判定され、この値は、チューブ径約0.9 nmと対応する。図12は、電流を、室温での印加電圧に対してプロットしたものであり、電流を、接点パッド間の開口を架橋する金属一重壁ナノチューブによって接続された2接点パッド間に印加した電圧の関数としてプロットてある。この金属サンプルの線形抵抗は、約10 KΩであると判定された。
【0053】
本発明によって可能としたように、開口を横断して、電気接点パッド間に一重壁ナノチューブを制御されたかたちで成長させることができると、センサーの用途、機械的および電気機械的用途をはじめとする多岐にわたる用途が開ける。たとえば、開口を横断して懸架したナノチューブは、試験対象種を開口に通して、ナノチューブを通過させる化学センサー等のセンサーとして利用することができる。また、適当な分子によって架橋された交叉するナノチューブは、真の単分子微分負性抵抗(NDR)素子として利用できる可能性がある。
【0054】
本発明のナノチューブの合成過程は、リソグラフィーによるパターニング法をはじめとする半導体の標準的なミクロ製造法と適合性が高く、そうした方法で利用可能である。したがって、本発明のナノチューブの合成過程を利用すると、シリコンベースの設計に組み込み、ミクロな製造を行うことが必要とされる大規模な用途にカーボンナノチューブを適合させることができる。また、標準的なプロセス技術のみを利用しているので、従来と異なる装置やプロセス制御は不要である。
【0055】
以上から、本発明でのナノチューブの合成が、合成された構造をその場でTEMによって分析しうるような所望の構造の一重壁ナノチューブを生成するうえでの洗練されたアプローチを提供するものであることが明らかである。当業者であれば、本発明の技術的貢献の精神および範囲から逸脱することなく、上述の態様に各種の変更や付加を加えることができることも明らかである。したがって、本発明によって意図する保護の範囲は、本発明の主題を記載した請求の範囲と、請求の範囲の本発明の正当な範囲内でのあらゆる均等物に広がるものであると理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】AおよびBは、それぞれ、本発明にしたがって、基板中の開口に懸架したカーボンナノチューブの模式的断面図および平面図である。
【図2】AおよびBは、それぞれ、本発明で設ける、基板の開口に懸架され、2枚の導電性接点パッドを接続しているカーボンナノチューブの模式的な断面図および平面図である。
【図3】AおよびBのナノチューブ構造を、ナノチューブのTEMによる分析に使用した際の模式的な断面図である。
【図4】AおよびBは、それぞれ、膜の開口に懸架されされた本発明のカーボンナノチューブの模式的な断面図および平面図である。
【図5】AおよびBは、それぞれ、本発明で設ける、膜の開口に懸架され、2枚の導電性接点パッドを接続しているカーボンナノチューブの模式的な断面図および平面図である。
【図6】本発明で設ける、開口に懸架され、複数の導電性接点パッドを接続しているカーボンナノチューブの模式的な平面図である。
【図7】A〜Dは、図5A-5Bのカーボンナノチューブ構造を製造するにあたって本発明で提供するミクロ製造プロセスの模式的な断面図である。
【図8】AおよびBは、図7Bのプロセスのかわりに用いることのできるミクロ製造プロセスの諸工程の模式的な断面図である。
【図9】本発明で設けるナノチューブ触媒層と接点パッドの構造の一態様の模式的な平面図である。
【図10】本発明で設けるナノチューブ触媒層の構造の模式的な断面図である。
【図11】実験的に測定した電流を、本発明にしたがって実験的に製造した半導体一重壁カーボンナノチューブに印加した電圧の関数としてプロットしたものである。
【図12】実験的に測定した電流を、本発明にしたがって実験的に製造した金属一重壁カーボンナノチューブに印加した電圧の関数としてプロットしたものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含むカーボンナノチューブ素子:
支持構造の表面から裏面まで延びる開口を含む支持構造;および
開口を横断して延びており、支持構造の表面と裏面の双方から開口を通してアクセス可能である少なくとも1本のカーボンナノチューブ。
【請求項2】
カーボンナノチューブが、一重壁カーボンナノチューブを含む、請求項1記載の素子。
【請求項3】
カーボンナノチューブが、多重壁カーボンナノチューブを含む、請求項1記載の素子。
【請求項4】
カーボンナノチューブが、半導体カーボンナノチューブを含む、請求項1記載の素子。
【請求項5】
カーボンナノチューブが、金属カーボンナノチューブを含む、請求項1記載の素子。
【請求項6】
少なくとも1本のカーボンナノチューブが、複数のカーボンナノチューブを含む、請求項1記載の素子。
【請求項7】
支持構造が、基板を含む、請求項1記載の素子。
【請求項8】
支持構造が、半導体基板を含む、請求項7記載の素子。
【請求項9】
支持構造が、膜を含む、請求項1記載の素子。
【請求項10】
膜が、窒化ケイ素膜を含む、請求項9記載の素子。
【請求項11】
膜が、二酸化ケイ素膜を含む、請求項9記載の素子。
【請求項12】
支持構造が、カーボンナノチューブの透過型電子顕微鏡による観察のために、電子源と電子検出装置の間に配置されている、請求項1記載の素子。
【請求項13】
支持構造上に配置され、開口によって隔てられた少なくとも1ペアの導電性接点パッドをさらに含み、カーボンナノチューブの各端部が、接点パッドに位置している、請求項1記載の素子。
【請求項14】
各カーボンナノチューブの端部が、接点パッド上に配置されている、請求項13記載の素子。
【請求項15】
少なくとも1ペアの導電性接点パッドが、開口をとりまく位置に配置された複数ペアの接点パッドを含む、請求項13記載の素子。
【請求項16】
以下の工程を含む、カーボンナノチューブ素子を製造する方法:
支持構造を形成する工程;
支持構造の表面に、少なくとも1箇所のカーボンナノチューブ触媒領域を形成する工程;
触媒領域に隣接して、支持構造の表面から裏面まで延在する開口を形成する工程;ならびに
触媒領域を炭化水素ガスと接触させて、支持構造の表面および裏面の双方からアクセス可能なカーボンナノチューブを、開口を横断して合成する工程。
【請求項17】
カーボンナノチューブ触媒領域の形成工程が、触媒材料を蒸着し、蒸着した触媒材料をリソグラフィーによってパターニングして触媒領域を画定する工程を含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
触媒材料を蒸着する工程が、触媒材料を熱蒸着する工程を含む、請求項17記載の方法。
【請求項19】
触媒材料を蒸着する工程が、Feを熱蒸着する工程を含む、請求項18記載の方法。
【請求項20】
カーボンナノチューブ触媒領域の形成工程が、厚さ約2 nm未満の触媒領域を形成する工程を含む、請求項16記載の方法。
【請求項21】
カーボンナノチューブ触媒領域が、開口と実質的に当接するよう形成される、請求項16記載の方法。
【請求項22】
少なくとも1つのカーボンナノチューブ触媒領域が、少なくとも1ペアのカーボンナノチューブ触媒領域を含む、請求項16記載の方法。
【請求項23】
支持構造が、基板を含む、請求項16記載の方法。
【請求項24】
支持構造が、膜を含む、請求項16記載の方法。
【請求項25】
カーボンナノチューブ触媒領域の下側で、支持構造表面上に、導電性接点パッドを形成する工程をさらに含む、請求項16記載の方法。
【請求項26】
導電性接点パッドを形成する工程が、金属層を蒸着し、金属層をエッチングして、接点パッド上にカーボンナノチューブ触媒領域を形成する前に接点パッドを形成する工程を含む、請求項25記載の方法。
【請求項27】
触媒領域を接触させる炭化水素ガスが、実質的にメタンのみを含む、請求項16記載の方法。
【請求項28】
メタンガスを、約400 sccm未満の流量で供給する請求項27記載の方法。
【請求項29】
触媒領域のメタンとの接触を約1500℃未満の温度で実施する請求項27記載の方法。
【請求項30】
触媒領域の炭化水素ガスとの接触が、ナノチューブの所望の合成方向に対応する方向に、開口を横断して電場を印加する工程をさらに含むものである請求項16記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2006−513878(P2006−513878A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−503264(P2005−503264)
【出願日】平成15年10月29日(2003.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2003/034868
【国際公開番号】WO2005/000739
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(500491786)プレジデント・アンド・フェローズ・オブ・ハーバード・カレッジ (8)
【Fターム(参考)】