説明

ガス分解システム

【課題】ランニングコストを抑え、コンパクトな構成で安全性を高め、高いエネルギー効率の、ガス分解システムを提供する。
【解決手段】このシステム50は、所定のガスを含む第1の気体が導入されるアノード2、固体電解質1、およびカソード5構成されるMEA7を含むガス分解素子10と、ヒータ41とを備え、ガス分解素子10では、第1の気体中の少なくとも所定のガスの一つおよび第2の気体が電気化学反応することで発電を生じ、該発電で生じた電力をヒータ41に投入することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス分解システムに関し、より具体的には、製造装置の排気に含まれる一種または複数種の所定の有害ガス成分を効率よく分解できるガス分解システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
アンモニアは農業や工業に不可欠の化合物であるが、ヒトには有害であるので、水中や大気中のアンモニアを分解する方法が、多く開示されてきた。たとえば、高濃度のアンモニアを含む水からアンモニアを分解除去するために、噴霧状のアンモニア水を空気流と接触させて空気中にアンモニアを分離して、次亜臭素酸溶液または硫酸と接触させる方法が提案されている(特許文献1)。また、上記と同じプロセスで空気中にアンモニアを分離して触媒により燃焼させる方法の開示もなされている(特許文献2)。また、アンモニア含有排水を触媒を用いて分解して、窒素と水とに分解する方法が提案されている(特許文献3)。アンモニア分解反応の触媒については、遷移金属成分を含む多孔質カーボン粒子、マンガン組成物、鉄−マンガン組成物(特許文献3)、クロム化合物、銅化合物、コバルト化合物(特許文献4)、アルミナ製3次元網状構造体に担持された白金(特許文献5)などが公表されている。上記の触媒を用いた化学反応によってアンモニアを分解する方法では、窒素酸化物NOxの生成を抑えることができる。さらに、触媒に二酸化マンガンを用いることによって、100℃以下で、より効率的にアンモニアの熱分解を促進する方法も提案されている(特許文献6、7)。
また、半導体製造装置の廃ガスには、アンモニア、水素等が含まれるのが普通であり、アンモニアの異臭を完全に除去するには、ppmオーダーにまで除害する必要がある。この目的のために、半導体製造装置の廃ガス放出の際にスクラバーを通して、薬品を含む水に有害ガスを吸収させる方法が多く用いられてきた。一方、エネルギーや薬品等の投入なしに、安価なランニングコストを得るために、リン酸型燃料電池でアンモニアを分解する、半導体製造装置の排気ガス処理の提案もされている(特許文献8)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−31966号公報
【特許文献2】特開平7−116650号公報
【特許文献3】特開平11−347535号公報
【特許文献4】特開昭53−11185号公報
【特許文献5】特開昭54−10269号公報
【特許文献6】特開2006−231223号公報
【特許文献7】特開2006−175376号公報
【特許文献8】特開2003−45472号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の中和剤などの薬液を用いる方法(特許文献1)、燃焼する方法(特許文献2)、触媒を用いた熱分解反応による方法(特許文献3〜7)などによれば、アンモニアの分解は可能である。しかし、上記の方法では、薬品や外部エネルギー(燃料)を必要とし、さらに触媒の定期的交換を要し、ランニングコストが高いという問題がある。また、装置が大掛かりとなり、たとえば既存の設備に付加的に設ける場合に配置が難しい場合も生じる。とくに装置が大掛かりになると、有害ガスを含む廃ガスを配管で長く引き回すケースを生じる。配管は地震によって損傷を受けやすく、漏れのリスクを高めるので、安全性の点で好ましくない。
リン酸型燃料電池を、化合物半導体製造の排気中のアンモニアの除害に用いる装置についても、電解質が液体であるため、空気側とアンモニア側との仕切りをコンパクトにできず、装置の小型化が難しいという問題があった。
また、多くの技術分野で地球への影響が問題化している昨今、ガス分解においても、高いエネルギー効率が望まれる。
【0005】
本発明は、ランニングコストを抑え、コンパクトな構成で安全性を高め、高いエネルギー効率を実現できる、ガス分解システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のガス分解システムは、所定のガスを分解するために用いられる。このシステムは、所定のガスを含む第1の気体が導入される第1電極、固体電解質、および第2の気体が導入される第2電極によって構成されるMEA(Membrane Electrode Assembly)を含む電気化学反応装置と、電気化学反応装置の温度を高めるためのヒータとを備え、電気化学反応装置では、第1の気体中の少なくとも所定のガスの一つおよび第2の気体が電気化学反応することで発電を生じ、該発電で生じた電力をヒータに投入することを特徴とする。
【0007】
MEAの主要構成要素である固体電解質はイオンを通すために用いられるが、室温に近いとイオンの透過速度は小さく、実用レベルのガス分解能力を得ることができない。すなわち、一般に、固体電解質でのイオン透過量が反応速度を律速する。このため、MEAを含む電気化学反応装置を500℃〜1000℃に加熱することが行われる。温度は高いほどイオンの透過速度が上昇するので好ましいが、材料に耐熱性の高い材料や構造を用いる必要があり、コスト増をもたらすので、適当な温度に設定する。加熱のためにヒータを用いた場合、ヒータによる電力消費は無視できない大きなランニングコストとなる。イオンは陰イオンでも陽イオンでもよく、たとえば固体電解質が酸素イオン導電性であればカソードで発生した酸素イオン(O2−)をアノードへと固体電解質を移動させる。また固体電解質がプロトン導電性であれば、アノードで発生したプロトン(H)をカソードへと移動させることができる。プロトンのほうが酸素イオンよりも小さいので移動速度はプロトンのほうが大きい。
上記の構成によって、発電の電気化学反応を利用すれば、その電力をヒータに用いることで、電力代の一部または全てをまかなうことができる。これによって高いエネルギー効率を達成して、ランニングコストを抑えることができる。また、固体電解質を含むMEAは装置を小型化することができ、設置場所を選ばない。このため、初期費用の増大をもたらす長い配管を引き回す必要がなく、さらに地震等による損傷による有害成分の洩れ等のおそれをなくすことができる。
なお、分解対象の所定のガスは、一成分でも二つ以上の成分でもよい。電気化学反応は、二つ以上の成分を分解(電気化学反応)すれば好ましいが、少なくともその所定のガスの一成分を分解すればよい。第2の気体は、単一成分でもよいが、二つ以上の成分を含んでもよい。
【0008】
制御装置と、外部配電装置とを、さらに備え、電気化学反応装置で発電された電力はヒータに給電され、制御装置は、ヒータが所定温度を保つように、外部配電装置のヒータへの給電を制御するのがよい。これによって、ヒータへの全給電量を当該電気化学反応による発電ではまかなえない場合、まず、この電気化学反応による電力をヒータに供給し、制御装置によって不足分を検知しながら外部配電装置を制御して外部電力を供給することができる。
一般に、このガス分解システムは、常時稼働させるわけではなく、反応槽などの使用時に限って間欠的に稼働させる。この使用時においても、上記の所定のガスの量は一定ではなく、変動が大きい。このため、発電量(電圧、電流)も変動して、電力を取り扱う立場からは、良質な電力ではなく、制御しにくい。
また、反応槽の使用をスタートした時点では、電気化学反応による発電はゼロに近いかゼロであるが、所定の速度で有害なガスを除害するためには温度は既に高くなっていなければならない。したがって、初期のヒータ加熱は全電力を外部電力でまかない、電気化学反応が進行して発電が得られるようになったら、その発電で得られた電力を、直ちに、ヒータに投入するのがよい。
これによって、外部からの投入電力の所定量(一部)は不要になる。制御装置は、このとき電気化学反応装置の所定位置を測温しながら、容易に調整することができる。電気化学反応装置は、大きさを持ち、加熱されている温度よりも数百℃低い温度の気体が導入されるため、入口から出口にかけて温度勾配を生じる。外部配電装置の制御においては、どの部位で測温して外部電力の調整を行ってもよい。電気化学反応によって生じた電力を、すべてヒータに投入して、その投入量に応じて、外部電力を調整できればよい。
【0009】
MEAの後段に位置してMEAと同類の電気化学反応を生じる第2のMEAと、該第2のMEAとMEAとの間に位置して上記ガスの濃度を検知する濃度センサとを備え、第2のMEAには外部配電装置から電圧を印加できるように配線が設けられ、制御装置は、濃度センサの検知濃度が所定値以上のとき、外部配電装置から第2のMEAに、電気化学反応を強制的に進行させるように電力を供給させることができる。
これによって、MEAの処理能力を超えるガスを含む第1の気体が排気されてきたとき、MEAの後段で、所期の濃度以下になっていないことを検知して、強制的に分解を進行させることができる。これによってより一層安全性を向上することができる。第2のMEAにおける同類の電気化学反応とは、化学反応、電流の向き等は、上記MEAと同じであるが、発電ではなく、給電する点で全く同じではないので、同じとしないで同類とした。
【0010】
MEAの後段に位置してガスを吸着する吸着部と、MEAと吸着部との間に位置して上記ガスの濃度を検知する濃度センサとを備え、制御装置は、濃度センサの検知濃度が所定値以上のとき、ガスを含む第1の気体が吸着部を経るように、排気通路および/または吸着部、を制御することができる。
この構成も、上記MEAの処理能力を超えるガスが流れてきたとき、ガス濃度を検知して、吸着部によってガスを無害化することができる。吸着部は、とくに限定しない。例示すれば、スクラバ(水による吸着)、薬剤(薬剤による吸着)などをあげられる。
【0011】
濃度センサが、該第2のMEAとMEAとの間、または、MEAと吸着部との間、ではなく、MEAの前段に、流量計と共に、位置することができる。
MEAの前段、たとえば化合物半導体製造装置の直後に、流量計と濃度センサを配置することにより、分解処理前のガスの単位時間当たりの量を検知することができる。製造工場の都合で、時々、多量のガスが生じる場合がある。そのような定常時以外の場合にそなえて、そのガス流量が、上記MEAの処理能力の範囲内かそうでないか分かる。ガス流量が、MEAの処理能力以上のとき、上述の第2のMEAや吸着部を働かせて、非定常時の異常にガス流量が多い場合にも、迅速に対応することができる。
【0012】
さらに蓄電装置を備え、該蓄電装置が、発電による電力を蓄電することができる。これによって、電気化学反応による電力は、まず蓄電装置に蓄電され、該蓄電装置からヒータに電力を供給することができる。これによって、電気化学反応による電力についても一定の電圧で取り出し等が可能になり、制御をしやすくなる。たとえば、外部電力を使用しなくても反応槽の使用スタート時点の電気化学反応装置の加熱を、その蓄電した電力によって行うことができる。もちろん、安全性等を考慮して外部電力と併用した上で、電気化学反応装置の発電量に応じて、電気化学反応による電力を主として、外部電力を副としてもよいし、その逆であってもよい。
【0013】
MEAの第1電極と第2電極とを結ぶ配線に、制御装置によって制御される電圧印加部または整流部を備え、第1の気体が流れない休止中に該制御装置は、電圧印加部に第1電極と第2電極間に電気化学反応の順方向の電圧をかけ、または、整流部によって電気化学反応の順方向にのみ電圧を印加することができる。
電気化学反応の休止中に第1電極等では酸素に触れると酸化が進行し、また、稼働させると還元が進行する。このため、酸化−還元の繰り返しによって、電極が劣化する。上記のように、電圧(たとえば還元電位)を印加したり、整流を持続することで、休止中の酸化反応を防止することができ、その結果、電極の劣化を防止することができる。
【0014】
MEAが筒状体であり、第1電極が該筒状体の内面側に位置して第1の気体を当該筒状体の内面側に導入することができる。本発明におけるMEAは、広くは筒状体に限定されず、板状体などどのような形態であってもよい。しかし、筒状体とすることで、次の利点を得ることができる。
固体電解質を含む筒状体のMEAは、セラミックスであるため素材自体は脆弱(強度的に)である。しかし、(a1)筒状体であることによって強度を高めることができる。薄片状のMEAを多段に積層した板状多層体のMEAに比べて、強度的に安定している。このため、ガス分解素子に組み立てる際の取り扱いにおいて、少しの力の付加で破損する等の事態が避けられ、(a2)製造歩留まりの向上を得ることができる。板状多層体のMEAの場合、高い寸法精度がないと、少しの押さえ込みなどによって簡単に破損してしまう。また、組み立てた後でも、稼働と非稼働とのサイクルで、加熱と冷却とを繰り返すので、板状多層体のMEAは、熱膨張の差により応力集中部から破損しやすい。この点でも、筒状体のMEAは、端部で固定するので、(a3)加工精度はそれほど高くする必要はなく、(a4)加熱と冷却のサイクルで熱膨張の差により破損が発生する応力集中部またはシール部材などによる拘束部は少ない。とくに熱膨張差による応力が高まっても、所定範囲で破損しないで変形することができる。この点、板状多層体のMEAのように、変形の許容度が小さいものより、頑強である。このため、使用と不使用とを繰り返す長期間にわたる耐久性にも優れている。その上、筒状体のMEAの長さは、容易に伸ばせるので、(a5)反応長を長くすることが容易であり、一つの筒状体のMEAの能力を拡大しやすい。
さらに、(a6)所定のガスとしてアンモニアを対象とする場合、アンモニアを筒状体の内面側に通すので、極低濃度にまで分解することで、アンモニアを密封しながら実際上、消滅させることができる。
筒状体という簡単な構造を用いることで、上記(a1)〜(a6)を得ることができる。
【0015】
筒状体のMEAが、複数、配置され、第1の気体は、該MEAに並列に導入され、ヒータはMEAに共通に1つ配置されるのがよい。これによって、大きな処理能力を有し、かつエネルギー効率の高いガス分解システムを得ることができる。
【0016】
所定のガスを含む第1の気体を生成する化学反応槽に通じる分解前排気路を経て、第1の気体は筒状体のMEAの内面側に導入されることができる。これによって、たとえば化合物半導体をOMVPE(Organo-Metallic Vapor Phase Epitaxy)で製造するとき発生する、アンモニアを含む第1の気体を、密封性に優れた筒状体のMEAの内面側に導入して、漏れのリスクを低下させて、分解することができる。上記の分解前排気路は長く引き回す必要はない。本発明のガス分解素子は、小型で簡単な構造なので、小さなスペースは必要であるが、化学反応槽(たとえば化合物半導体の製造場所(クリーンルーム))から遠く離れた、広いスペースの場所を選ぶ必要が無い。このため地震等による漏れのリスクを抑えることができる。
【0017】
第2の気体を空気とし、周囲から供給することができる。これによって、電気化学反応の相手となる酸素等を含む気体を空気とすることで、第2の気体についてのコストをほとんどゼロまたはゼロにすることができる。ガス分解システム自体、第2の気体の供給などについて装置の費用はほとんど要しない。
【0018】
電気化学反応装置の後段に設けられた、第1の気体の駆動装置をさらに備え、該駆動装置は、筒状体の内面側に通じる分解後排気路と連結しているのがよい。これによって、上記のガスの分解を強制的に一定以上の速度で推進させることができる。
【0019】
分解後排気路において、電気化学反応装置と駆動装置との間にスクラバを配置することができる。これによって、安全性をさらに向上させることができる。スクラバは、一般に大型であり、比較的に敷地内の隅等に設けられる。配管を長く引き回しても、既にMEAにおいてガスは分解されているので、地震等によって漏れることはあっても、大きな事故にならない。しかも、スクラバによって、基準値以下の濃度に確実にすることができる。なお、スクラバは、上述の吸着部に該当する。本発明の場合、濃度センサとは無関係であり、安全の最後の砦としての役割を果たすために常に稼働状態で配置されるものである。
【0020】
電気化学反応装置およびヒータを含む本体部を収納する筐体を備え、駆動装置は、該筐体内に通じる筐体排気路を通して筐体排気を行うことができる。これによって、万一、筒状体のMEAから所定のガスが洩れても、その影響を抑制することができる。
【0021】
化学反応槽を含む周囲閉空間を備え、該周囲閉空間は第2の排気路によって駆動装置によって排気を駆動されることができる。これによって、仮に、所定のガスの発生源の化学反応槽から洩れがあっても、その影響を抑制することができる。
【0022】
第1の気体は、アンモニアを主体に、かつ、シアン系水素を、微量、含み、該アンモニアおよびシアン系水素を、電気化学反応によって、共に分解することができる。これによって、たとえば化合物半導体製造装置から排気される有害ガスである、アンモニアおよびシアン系水素を一つの分解システムによって無害化することができる。このため、高い経済性によって排気ガスの無害化を遂行することができる。
【0023】
上記のガス分解システムは、外部装置へ電力を供給するために燃料電池システムとして機能することができる。これによって、上記のヒータに電力を供給してガス分解能力を上げることで発電容量を増大させて、燃料電池システムとして用いることができる。
【0024】
燃料電池として、外部装置へ電力の形態を適合させるためのインバータを備えることができる。これによって、大小様々な電気機器、電子製品に電力を適切な形態で提供することができる。ここで、インバータは、交直変換や、昇圧、降圧など外部装置に電力を適合させる動作を行う。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ランニングコストを抑え、コンパクトな構成で安全性を高め、高いエネルギー効率の、ガス分解システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態1におけるガス分解システムを示す図である。
【図2】図1のガス分解システムのヒータへの電気配線系統を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態2のガス分解システムにおける円筒MEAに対する排気路の接続を示し、(a)は縦断面図、(b)は、(a)のIIIB−IIIB線に沿う断面図である。
【図4】図1のガス分解システムのヒータへの給電を示す図である。
【図5】ガス分解素子の配列形態を示し、(a)は、1つの円筒MEAを用いた場合の構成であり、また、(b)は、(a)に示すものを、複数(12個)、並列に配置した構成を示す図である。
【図6】図3のガス分解素子の端部における電気配線および排気路の接続を示す図である。
【図7】アノード(第1電極)における電気化学反応を説明するための図である。
【図8】カソード(第2電極)における電気化学反応を説明するための図である。
【図9】円筒MEAの製造方法を説明するための図である。
【図10】本発明の実施の形態3におけるガス分解システムを示す図である。
【図11】本発明の実施の形態4におけるガス分解システムを示す図である。
【図12】本発明の実施の形態5におけるガス分解システムを示す図である。
【図13】本発明の実施の形態6におけるガス分解システムを示す図である。
【図14】本発明の実施の形態7におけるガス分解システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるガス分解システムを示す図である。このガス分解システム50では、生産設備から発生する所定のガス(一種または複数種)を分解する。第1の気体には、一種または複数の分解対象ガスが含まれている。分解対象のガスは、次のものを例示できる。(1)化合物半導体装置におけるアンモニア、そのアンモニアに微量に混入するシアン系水素など、を含む複数のガス。(2)印刷工場の排気に含まれるトルエン、キシレン等のVOC(Volatile Organic Compounds)などの複合ガス。
ガスを分解する電気化学反応装置であるガス分解素子10は、主要構成要素のMEA7やヒータ41を含む。本発明では、MEA内の2つの電極に挟まれるイオン導電性絶縁層に固体電解質を用いる。固体電解質は、陰イオン導電性たとえば酸素イオン導電性でも、陽イオン導電性たとえばプロトン導電性でも、どちらでもよい。ガス分解素子10は、その他にMEA内の第1電極に導電接触する第1集電体(図示せず)および第2電極に接触する第2集電体(図示せず)などを含んでいる。
生産設備から発生した第1の気体は、分解前排気路51の途中でフィルタ56によって金属粒子等を除去されたのち、ガス分解素子10に導入される。図1では、MEA7は筒状体であるが、とくに筒状体である必要はない。高出力の燃料電池として機能させる場合などは、筒状体でなく板状構造のほうが好ましい場合が多い。ただし、固体電解質を用いた場合、筒状体とくに円筒体を用いることで、固体電解質特有の強度の脆弱性を克服することが容易となる。この点については、あとで詳しく説明する。筒状体MEAは、内周面をたとえばアノード(第1電極)として外周面をカソード(第2電極)とする。また、逆にしてもよい。
第1の気体は、筒状体MEAの内面側に導入される。第2の気体は、第1の気体と組み合わせて発電する電気化学反応を生じるものであれば何でもよいが、図1では空気すなわち空気中の酸素を用いる例を示している。空気または酸素は、筒状体MEAの外側から入って筒状体MEAの外周面に接触する。
【0028】
固体電解質が酸素イオン導電性の場合、カソードと接触した酸素分子は、電子を得て酸素イオンとなって固体電解質中を移動してアノードに到達する。たとえば分解対象のガスをアンモニアとした場合、アンモニアは、アノード上で窒素分子と水素分子とに分解し、その水素分子はカソードから固体電解質を経てアノードに到達した酸素イオンと反応して、電子を放出して水(HO)を生じる。この電気化学反応では発電が行われる(表1参照)。アノードとカソードとを外部で結ぶ配線間に負荷であるヒータを入れておけば、ヒータはこの電気化学反応で生じた電力によって発熱する。
固体電解質がプロトン導電性の場合、アノードにおいてアンモニアは、窒素分子と、プロトンと、電子とに分解してプロトンは固体電解質中をカソードへと移動する。電子は外部回路を経てカソードへと流れる。カソードでは、酸素分子と、プロトンと、電子とが反応して、水分子を生成する。プロトンは移動速度が酸素イオンに比べて大きいので、加熱温度を比較的低くでき、電力代等を低減できる。また、固体電解質の厚みをある程度厚くして強度を確保しやすい。また、水が筒状体の外側にできる場合、出口側で室温に近くなる部分で液体になっても、外側は開放されているので、圧力損失を増大させない。
【0029】
アンモニアから生じた水蒸気および窒素ガスは、筒状体MEAの内面側から分解後排気路53を経て、外気に排出される。その場合、安全性の点から、分解後排気路53の途中にスクラバ54を挿入して、少しでも残存するアンモニアを水溶させて除去する。スクラバ54は、比較的大きな装置であり、たとえば半導体製造装置からは遠い場所に設置される場合が多い。すなわち長い配管で引き回して接続されるが、すでにガスは分解されて所定値以下に除害されているので、地震等の不可避的な天災によって漏れが生じても、大きな事故にいたることはない。この分解システムでは、MEA7等が小型であるため、電気化学反応する部分を排気源に近接させて置ける点が利点の一つである。第1の気体は、生産設備からスクラバ54および外気放出に至る間、駆動装置である排気ポンプ55によって吸引される。
図1において、ヒータ41は、上記の電気化学反応で生じる電力(自家発電電力または自家電力)をそのまま供給され、所定温度に保持するのに不足する分を外部電源からの電力によってまかなう。ガス分解素子10は、ヒータ41によって加熱されるが、温度は均一ではなく、第1の気体が導入される入口側で低く、出口側で高い。図示しない熱電対などの測温計(図示せず)がガス分解素子10の所定位置に取り付けられ、制御盤61によって温度情報が読み出され、その温度に応じて制御盤61内の外部配電装置を制御することで、ヒータへの給電を制御する。
MEAの第1電極と第2電極とを結ぶ自家電力配線63には、電圧印加部9または整流部9が挿入されている。この電圧印加部9または整流部9は、制御盤61によって制御される。電圧印加部9は、アノード2とカソード5との間にこの電気化学反応の順方向の電圧をかける。また、整流部9は、この電気化学反応の順方向にのみ電圧を印加する。電気化学反応の休止中に、アノード2等では酸素に触れると酸化が進行し、また、再び、稼働させると還元が進行する。このため、このガス分解システムの運転−休止の繰り返しに伴って酸化−還元の繰り返しが生じる。この酸化−還元の繰り返しは電極材料に損傷を与え、電極が劣化する。上記のように、電圧(たとえば還元電位)を印加したり、整流を持続することで、休止中の酸化反応を防止することができ、その結果、電極の劣化を防止することができる。電圧印加部9または整流部9には、たとえばダイオード、トランジスタ等、またはその回路を用いることができる。
【0030】
図2は、図1におけるガス分解素子10の拡大図である。ここで、自家発電した電力をそのままヒータ41に投入しながら、不足分を制御盤61を経て外部電源から投入する点に、本実施の形態の第1の特徴がある。
MEA中の固体電解質はイオンを通す絶縁体(電子は通さない)であるが、室温に近いとイオンの透過速度は小さく、実用レベルのガス分解能力を得ることができない。固体電解質でのイオン透過量が反応速度を律速する。このため、ガス分解素子10を500℃〜1000℃に加熱することが行われる。温度は高いほどイオンの透過速度が上昇するので好ましいが、材料に耐熱性の高い材料や構造を用いる必要があり、コスト増をもたらすので、適当な温度に設定する。加熱のためにヒータを用いた場合、ヒータによる電力消費は無視できない大きなランニングコストとなる。
上記の構成によって、発電の電気化学反応を利用すれば、その電力をヒータに用いることで、電力代の一部をまかなうことができる。また、発電された電力はそのままヒータに投入されるので、制御装置を省略でき、大きな費用節約を得ることができる。一般に、ガス分解システムは、常時稼働させるわけではなく、生産設備などの使用時に限って間欠的に稼働させる。この使用時においても、上記の所定のガスの量は一定ではなく、変動が大きい。このため、発電量(電圧、電流)も変動して、電力を取り扱う立場からは、良質な電力ではなく、制御しにくい。たとえば、生産設備の使用をスタートした時点では、電気化学反応による発電はゼロに近いかゼロであるが、所定の速度で有害なガスを除害するためには温度は既に高くなっていなければならない。したがって、初期のヒータ加熱は全電力を外部電力でまかない、電気化学反応が進行して発電が得られるようになったら、その発電で得られた電力を、直ちに、ヒータに投入するのがよい。これによって、外部からの投入電力の所定量(一部)は不要になる。これは、ガス分解素子10とくにMEAの所定位置を測温しながら、制御盤は、容易に調整することができる。ガス分解素子10は、大きさを持ち、加熱されている温度よりも数百℃低い温度の気体が導入されるため、入口(低温)から出口(高温)にかけて温度勾配を生じる。外部配電装置の制御においては、どの部位で測温して外部電力の調整を行ってもよい。電気化学反応によって生じた電力をヒータ41に投入して、その投入量に応じて、外部電力を調整できればよい。
これによって高いエネルギー効率を達成することで、ランニングコストを抑えることができる。また、固体電解質を含むMEAは装置を小型化することができ、設置場所を選ばない。このため、初期費用の増大をもたらす長い配管を引き回す必要がなく、地震等による損傷による有害成分の洩れのおそれをなくすことができる。
【0031】
表1は、固体電解質が酸素イオン導電性の場合における、本実施の形態のガス分解システムが適用可能な、所定のガス(第1の気体に含まれる)と、第2の気体との組み合わせを示す。ガス分解反応R1は、これから詳しく説明するアンモニア(所定のガス)/酸素(第2の気体)の分解反応である。その他、ガス分解反応R2〜R4,R6、R20のどの反応に対しても本実施の形態のガス分解素ステムは用いることができる。すなわち、アンモニア/水、アンモニア/NOx、水素/酸素/、VOC(揮発性有機化合物:volatile organic compounds)/酸素、シアン系水素(第1の気体に微量含有)/酸素(第2の気体)、などに用いることができる。R20は、R1の反応とともに両者、並行して進行することができる。電気化学反応R1とR20とを、共に並行して進行させることができるのは、化合物半導体製造装置から排気されるガスを無害化する上で、非常に大きな利点である。
【0032】
【表1】

【0033】
ただし表1は、多くの電気化学反応の一部を例示したにすぎない。本発明のガス分解システムは、その他の多くの反応に適用可能である。たとえば、上述のように固体電解質をプロトン(H)導電性とする反応例も本発明の有力な実施の形態例である。固体電解質をプロトン導電性としても、固体電解質を透過するイオン種はプロトンになるが表1に示すガスの組み合わせにおいて、結果的にガス分子の分解を実現する。たとえば(R1)の反応において、プロトン導電性の固体電解質の場合、アンモニア(NH)はアノードで窒素分子、プロトン、および電子に分解し、プロトンは固体電解質中をカソードへと移動する。電子は外部回路をカソードへと移動する。そしてカソードにおいて酸素分子と、電子と、プロトンとが水分子を生成する。結果的にアンモニアが酸素分子と組み合わされて分解されるという点において、固体電解質が酸素イオンである場合と同じである。
【0034】
(実施の形態2−アンモニア分解システム−)
本発明の実施の形態2では、図1に示したガス分解システムをアンモニア(および微量のシアン系水素)の分解に用いた例について説明する。すなわち第1の気体に含まれるガスとして、アンモニアと微量のシアン系水素を、また第2の気体には空気(酸素)を用いており、表1の電気化学反応R1およびR20に対応する。以後、説明の簡明さを重視してシアン系水素については特別な場合以外は触れない。
図3(a)は、本発明の実施の形態2におけるガス分解素子であるアンモニア分解素子10を示す縦断面図であり、図3(b)は、図3(a)におけるIIIB−IIIB線に沿う断面図である。
このアンモニア分解素子10では、円筒形の固体電解質1の内面を覆うようにアノード(第1電極)2が設けられ、また外面を覆うようにカソード(第2電極)5が設けられて、円筒形MEA7(1,2,5)が形成されている。アノード2は燃料極、またカソード5は空気極と呼ばれることがある。筒状体は、図1の場合は、直円筒形のMEA7である。円筒形MEAの内径は、たとえば20mm程度であるが、適用する装置に応じて変えるのがよい。本実施の形態のアンモニア分解素子10では、円筒形のMEA7の内筒を埋めるように、アノード集電体11が配置されている。また、カソード5の外面に巻き付くようにカソード集電体12が配置されている。各集電体は次のとおりである。
<アノード集電体11>:Niメッシュシート11a/多孔質金属体11s/中心導電棒11k
Niメッシュシート11aが円筒MEA7の内面側のアノード2に接触して、多孔質金属体11sから中心導電棒11kへと導電する。多孔質金属体11sは、後述するアンモニアを含む気体の圧力損失を低くするために、気孔率を高くできる金属めっき体、たとえばセルメット(登録商標:住友電気工業株式会社)を用いるのがよい。円筒MEAの内面側では、複数の部材で形成される集電体11の全体の電気抵抗を低くしながら、アノード側への気体導入の圧力損失を低くすることが重要なポイントである。
<カソード集電体12>:銀ペースト塗布配線12g+Niメッシュシート12a
Niメッシュシート12aが、円筒MEA7の外面に接触して、外部配線へと導電する。銀ペースト塗布配線12gは、カソード5における酸素ガスを酸素イオンに分解するのを促進する触媒として作用する銀を含み、かつカソード集電体12の電気抵抗を低くすることに寄与する。カソード5に銀を含ませることも可能であるが、カソード集電体12に銀を含ませてカソード5に接触させる形態をとってもよい。たとえばカソード集電体として配置された所定の性状の銀ペースト塗布配線12gは、酸素分子を通しながら銀粒子がカソード5に接触して、カソード5内に含まれる銀粒子と同等の触媒作用を発現する。しかも、カソード5に含ませるより安価である。
【0035】
図4は、固体電解質が酸素イオン導電性である場合における、図3のガス分解素子10の電気配線系統を示す図である。アンモニアを含む気体は、気密性を厳格にして分解前排気路51を経て円筒MEA7の内筒、すなわちアノード集電体12が配置されている空間に導入される。円筒MEA7を用いた場合、内面側に気体を通すことから、多孔質金属体11sの使用は不可欠である。圧力損失を低くする点から、上述のように金属めっき体、たとえばセルメットを用いることが重要である。アンモニアを含む気体は、Niメッシュシート11aおよび多孔質金属11sの空隙を通りながら、アノード2と接触して、下記のアンモニア分解反応をする。酸素イオンO2−は、カソードでの酸素ガス分解反応によって生じ、固体電解質1を通ってアノード2に到達したものである。
(アノード反応):2NH+3O2−→N+3HO+6e
上記のアノード反応は、より詳しくは、一部のアンモニアが、2NH→N+3Hの反応を生じ、この3Hが酸素イオン3O2−と反応して3HOを生成する。
カソード5には空気、とくに酸素ガスが、スペースSを通るように導入され、カソード5において酸素分子から分解した酸素イオンをアノード2に向かって固体電解質1へと送り出す。カソード反応はつぎのとおりである。
(カソード反応):O+4e→2O2−
上記の電気化学反応の結果、電力が発生(自家発電)し、アノード2とカソード5との間に電位差を生じ、カソード集電体12からアノード集電体11へと電流Iが流れる。ここに、上述のように、図1等に示すように、自家電力配線63に電圧印加部9または整流部9を挿入するのがよい。
カソード集電体12とアノード集電体11との間に負荷、たとえばこのガス分解素子10を加熱するためのヒータ41を接続しておけば、そのための電力を供給することができる。ヒータ41への上記電力の供給は、部分的であってもよく、むしろ大部分の場合において、自家発電の供給量はヒータ全体に要する電力の半分以下であることが多い。本実施の形態の場合、ヒータ41の加熱に要する電力の1/3程度以上を自家発電(電気化学反応の発電)でまかなうことができる。
繰り返しになるが、上記のガス分解素子では、円筒MEAの内面側のアノード2においては、アノード集電体11の電気抵抗を低くしながら、ここを通る気体の圧力損失を低くすることが、成否の鍵になる。また、カソード側においては、空気は円筒内を通らないが、空気とカソードとの接触箇所の高密度化と、カソード集電体12の低抵抗化が、やはり成否の鍵になる。
【0036】
上記は、陰イオンである酸素イオンが固体電解質1を移動する電気化学反応であるが、固体電解質1に、たとえばバリウムジルコネート(BaZrO)を用いてプロトンをアノード2で発生させて固体電解質1中をカソード5へと移動させる反応も、本発明の望ましい一つの形態である。
プロトン導電性の固体電解質1を用いると、たとえばアンモニアを分解する場合、アノード2でアンモニアを分解してプロトン、窒素分子および電子を生じさせて、プロトンを固体電解質1を経てカソード5へと移動させ、カソード5において酸素と反応して水(HO)を生じさせる。プロトンは酸素イオンと比べて小さいので固体電解質中の移動速度は大きい。このため加熱温度を低くしながら実用レベルの分解容量を得ることができる。固体電解質1の厚みも、強度を確保できる厚みとしやすい。
また、たとえば筒状体MEAを用いてアンモニア分解を行うとき、内側をアノードとした場合、酸素イオン導電性の固体電解質では、水を筒状体の内側(アノード)で生成する反応となる。水は、筒状体MEAの出口付近の温度が低い部分では水滴を形成して圧力損失の原因となる場合がある。これに対して、プロトン導電性の固体電解質を用いると、プロトンと酸素分子と電子とが、カソード(外側)で反応して水を生成する。外側はほぼ開放されているので、出口側の温度の低い箇所で水滴となって付着しても圧力損失を生じにくい。
【0037】
図5は、ガス分解素子10の配列例を示す図である。図5(a)は、1つの円筒形MEA7を用いた場合のガス分解素子であり、また、図5(b)は、図5(a)に示すものを、複数(12個)、並列に配置した構成のガス分解素子である。1つのMEA7では処理容量が不足する場合に、複数の並列配置は、面倒な加工無しに容量増大をはかることができる。複数のどの円筒形MEA7についても、内面側に、上記のアノード集電体11(11a,11s,11k)を装入し、内面側にアンモニアを含む気体を流す。円筒形MEA7の外面側は、スペースSを設けて高温の空気または高温の酸素に触れさせるようにする。
また、加熱装置であるヒータ41については、複数、並列配置した円筒形MEA7の全体をまとめて結束する態様により、設けることができる。このような全体をまとめて結束する態様をとることで、小型化をはかることができる。
【0038】
次に、図3に示したアンモニア分解素子10の各部分にいて説明する。
1.中心導電棒11k:
本実施の形態では、MEA7が円筒形であり、かつ、アノード集電体11に中心導電棒11kを用いた点に一つの特徴がある。中心導電棒11kは、少なくとも表層にCrを含まない金属で形成するのがよい。たとえばNi導電棒11kとするのがよい。Crを含むステンレススティールを用いた場合、使用中に、アノード2中のセラミックスGDCなどがCr被毒によって機能不全を生じるからである。中心導電棒11kの直径は、特にこだわらないが、円筒固体電解質1の内径の1/9〜1/3程度とするのがよい。たとえば上記内径18mmのとき、2mm〜6mm程度とするのがよい。太くしすぎると流すことのできるガスの最大流量が減少し、細くし過ぎると電気抵抗が大きくなり発電時の電圧低下につながる。多孔質金属体11sは、シート状のもの(セルメットシート)が、中心導電棒11kにらせん状に緊密に巻き付けられ、らせんの状態が維持される。このため、多孔質金属体11sと中心導電棒11kとの界面の電気抵抗は小さい。中心導電棒11kを用いることの利点は次のとおりである。
(E1)アノード2から外部配線に至る間の全体の電気抵抗を低くすることができる。
(E2)従来の円筒MEAを用いた場合の泣き所は、内面側の集電体の外部端子を簡単な構造で、小型にまとめることができない点にあった。円筒MEAの内面側の集電には多孔質金属体は不可欠であるが、この多孔質金属体は端の部分をまとめにくく、小型化された端子部を形成することができなかった。たとえば、多孔質金属の端を引き伸ばして外部との導電接続をはかる場合、ガス分解素子自体が大掛かりになり、商品価値は大きく低下する。また、圧力損失の点でも多孔質金属体の延長は好ましくない。
さらに、円筒MEA7の内側には、アンモニアを含む気体が導入されるので、気密性の高い、気体搬送路と円筒MEA7との接続、およびアノード集電体11と外部配線との接続が重要となる。円筒MEA7の端には、アノード集電体の外部配線への接続部、および、気体搬送路との接続部が、両方ともに設けられる。
中心導電棒11kは、ねじ切りや溝きり等の加工が容易であり、ソリッド棒なので、多少の外部の応力に変形することはなく、安定にその形状を維持することができる。この結果、アノード集電体12と外部配線との接続部を簡単な構造で、しかも小型で実現することができる。
(E3)ガス分解素子10を能率よく稼働させるには600℃〜1000℃に加熱する必要がある。加熱のためのヒータ41は、空気通路の外側に配置するしかない。熱は円筒MEA7の外側から内側へと伝導するが、円筒MEA7の端部も当然、高温になる。高温の端部に高い気密性で、外部配線および気体搬送路を接続させるには、上記の高温では、特殊な耐熱性の樹脂が必要になる。また、ガスによる腐食等も高温になるほど進行が高くなる傾向があるので、耐食性についても、特殊な材料が必要になるおそれがある。この結果、使用可能な樹脂が、非常に高価になるおそれがある。
しかし、中心導電棒11kを用いれば、ヒータ41側の外側から最も遠い位置にあり、しかも容易に軸方向に延ばすことができる。このため、比較的、温度が低い箇所まで延ばした位置で、気密性を高くしながら、外部配線との導電接続、および気体搬送路との接続、を行うことができる。その結果、非常に特殊な樹脂を用いることなく、通常のレベルの耐熱性かつ耐食性の樹脂を用いることができ、経済性を高め、かつ耐久性を向上させることができる。
【0039】
図6は、中心導電棒11kと外部配線63との接続形態、および円筒MEA7と分解後排気路53との接続形態を示す図である。円筒MEA7の端には、フッ素樹脂製の管状継ぎ手30が嵌め合わされる。嵌め合わせは、管状継ぎ手30の本体部31から固体電解質1へと延びる締結部31bの内面側に収納されたOリング33が、焼結体であるセラミックスの固体電解質1の外面に当接された状態が維持されるように行う。このため、管状継ぎ手30の締結部31bは、外径がテーパ状に変わるようにされ、そこにねじが切られ、そのねじに環状ねじ32が螺合ざれる。環状ねじを外径が大きくなる方向へと螺合することで、締結部31bは、外面から締め付けられ、Oリング33による気密性を調節することができる。
管状継ぎ手30の本体部31には、気密性を保ってその本体部31を貫通する導電貫通部37cが設けられ、気密性を保つために封止樹脂38等が塗られている。この導電貫通部37cは、円柱棒で、外部配線11eと確実な導電接続を行うためにナット39を螺合させるねじを切っておくのがよい。導電貫通部37cの管内先端には導電線37bが接合されており、この導電線37bの他端には接続板37aが接合されている。
接続板37aと、中心導電棒11kの先端部35との導電接続は、接続器具たとえばドライバを用いて、そのドライバを管状継ぎ手30の突き出し孔部31aを通して、ねじ34を螺合することで、行う。ドライバによるねじ34の締め付けによって、先端部35と接続板37aとの導電接続における電気抵抗(接触抵抗)をほとんどなくすことができる。
また、カソード集電体12のNiメッシュシート12aの端部の外周に、外部配線12eを周回させることで、外部への引き出しを行うことができる。カソード5は、円筒MEA7の外面側に位置するので、アノード集電体11から外部への引き出しほど困難ではない。
分解後排気路53は、弾性変形可能な樹脂等の管を用いるのがよい。その分解後排気路53を、突き出し孔部31aの外周に嵌め合わせ、締結具47で締結することで、気密性のよい接続を得ることができる。
図6における、アノード集電体11と外部配線63との接続、および管状継ぎ手30と分解後配管53との接続は、ともに非常に簡単かつ小型の構造で実現されている。また、上記の2種類の接続が、ヒータからの熱硫の主流部から外れた位置へと、中心導電棒11kおよびその付属品である先端部35によって離されている。このため、フッ素樹脂という普通の耐熱性樹脂または耐食性樹脂によって、長期間の繰り返し耐久性を確保することができる。また、確認のために付言するが、中心導電棒11kは、多孔質金属体11sと小さい接触抵抗で導電接続することは、上述したとおりである。
【0040】
2.アノード集電体のNiメッシュシート11a:
図3(a),(b)に示すアノード集電体11におけるNiメッシュシート11aは、アノード集電体11の電気抵抗を低下させることを通じて、ガス流れの圧力損失を小さくする点で、重要な要素である。上述のように、アノード集電体11は、アノード2/Niメッシュシート11a/多孔質金属体(セルメット)11s/中心導電棒11k、の導電経路をとる。仮に、Niメッシュシート11aを用いない場合は、多孔質金属体11sが、直接、アノード2に接触する。この場合、多孔質金属体11sをセルメット等の金属めっき体で構成しても、次のように接触抵抗は大きなものになる。金属めっき体は、所定厚みを有してシート状であり、ミクロ的には樹枝状の金属が延びて樹枝間で連続している。筒状体MEAの内面側に第1電極集電体として金属めっき体を装入するとき、上記シート状の金属めっき体を渦巻き状に巻いて渦の軸心を筒状体MEAの軸心に沿うようにして装入する。この渦巻き状シートの外周面では、らせんの最も外の縁または所定位置の母線部分については筒内面に沿って接触しやすいが、それより内側の部分については非同心円ではなくらせん状なので、第1電極から離れる傾向がある。中心導電棒11kに強く緊密に巻き付けることができる場合は接触抵抗は低くできるが、渦巻き状の外周側は渦巻き中心のようにはならない。このため、多孔質金属体と第1電極との接触面積を十分大きくとりにくい。また、接触圧についても同様に所定の母線部分は十分な接触圧を保つことができるが、それより内側では不十分である。このため、多孔質金属体を、直接、第1電極に接触させて導通をとる場合、接触抵抗が大きくなり、第1電極集電体の電気抵抗を増大させる。集電体の電気抵抗の増大は、電気化学反応の能力を減少させる。そして、さらに不都合なことに、接触面積を稼ぐために、従来、多孔質金属体11sはアノード2の長さ一杯に連続して配置されていた。このような多孔質金属体11sの長さ一杯の連続配置が、導入される気体の圧力損失を増大させていた。
これに対して、金属のメッシュシート11aとくにNiメッシュシートを用いると、次のようにして接触抵抗を下げることができる。すなわち、Niメッシュシート11aの場合、一枚のシート状なので第1電極の内筒面に沿って全周で接触することは自然である。そして、筒状体内に充満するように加える外力(圧縮性)および充満させるための材料増の調整などによって、金属メッシュシート11aと金属めっき体11sとは相互になじみ合ってアノード2側に張り出してアノード2との接触面積を大きくすることができる。また、金属メッシュシート11aと金属めっき体11sとの接触界面では、樹枝状金属同士が押し合わされ、また相手側の隙間に入り込んで相互に接触するため、接触抵抗は低い状態が維持される。
上記のように、多孔質金属体11sに金属めっき体であるセルメット(登録商標)を用いても、Niメッシュシートを用いない場合、接触抵抗は比較的大きく、ガス分解素子10のカソード集電体12とアノード集電体11との間の電気抵抗は、たとえば4〜7Ω程度あった。これに、上記のNiメッシュシート11aを挿入することによって、1Ω程度以下に下げることができる。すなわち1/4以下程度にすることができる。
【0041】
アノード集電体11の一つを構成する金属のメッシュシート11aの材料についてはNiに限定されない。金属のメッシュシートとしては、織布、不織布、打ち抜きシートなど何でもよいが、柔軟性、孔径の均一分布などの点で織布とするのが好ましい。金属の材料は、Ni,Ni−Fe、Ni−Co、Ni−Cr、Ni−W、Ni−Cuなどが好ましい。また上記の金属または合金をめっき層に持つメッシュシートであってもよい。たとえばFeの織布にNiめっきを施したものでもよい。加熱によって合金化してNi−Fe合金を形成する。これらの金属または合金は、アンモニアおよび/シアン系水素の分解の触媒作用を有し、上記のアノード反応を促進する。また、上記のNiおよびNi合金は、第1電極と接合するとき、比較的容易に、すなわち極めて厳格なシール条件でなくても、当該メッシュシートを形成する金属に対する還元雰囲気を実現しやすく、第1電極との還元接合を実行しやすくなる。このうちNi−W等については、とくに高い触媒作用を持ち、たとえばアンモニアの分解を促進することができる。
【0042】
上記の構成から、アノード集電体11にNiメッシュシート11aを用いた場合、次のことが判明した。
(F1)Niメッシュシート11aを配置することで、多孔質金属体11sは、断続的に円筒MEAの内側に配置すればよく、図3(a)に示す構成によって十分に低い電気抵抗とすることができる。すなわち、従来のように、多孔質金属体11sを、円筒MEA7の全長さにわたって切れ目なく配置する必要はない。
(F2)その多孔質金属体11sを、間隔をおいて断続的に配置した結果、アンモニアを含む気体の流れにおける圧損を大きく下げることができる。この結果、たとえば半導体製造装置の排気設備から排出されるアンモニアを含んだ気体を、大きな圧力差をかけずに十分な量吸い出すことができ、上記気体の吸い出しに要する電力代を下げることができる。
また、配管系統やガス分解素子の圧力差に対する部品の仕様を緩いものにでき、経済性を高めながら、高い圧力差等による事故のリスクを低くすることができる。
【0043】
3.銀ペースト塗布配線12g:
従来、カソード5には銀粒子を配置して、銀粒子の触媒作用によって酸素分子の分解速度を向上させるのが普通であった。しかし、カソード5に銀粒子を含ませる構造では、カソード5の価格が高くなり、経済性を低下させる。カソード5に銀粒子を含有させる代わりに、カソード5外面において集電体として、銀ペースト塗布の形態で銀粒子の配線を形成することができる。
この銀ペーストにおいて重要なのは、乾燥後または焼結後に、気孔率の高い多孔質にすることである。銀ペーストを塗布し乾燥(焼結)した後に多孔質になる銀ペーストは市販されており、たとえば京都エレックス株式会社製のDD−1240などを用いることができる。銀ペースト塗布配線12gを多孔質にすることの重要性はつぎの理由に基づく。
カソード5には酸素分子Oをできるだけ多く供給するのがよく、しかも銀ペーストに含まれる銀粒子は、カソード5におけるカソード反応を促進する触媒作用を有する(図8参照)。銀ペースト塗布配線12gをカソード5に塗布することで、カソード中の酸素イオンを通すLSMなどの金属酸化物と、銀粒子と、酸素分子Oとが接触する箇所(接触箇所)が高密度で生じる。銀ペースト塗布配線12gを多孔質にすることで、多くの酸素分子Oが、多孔質の気孔中に入って上記の接触箇所に触れ、カソード反応を生じやすくなる。
さらに、銀粒子を含む銀ペースト塗布配線12gは、導電性が高いので、Niメッシュシート12aを補助してカソード集電体12における電気抵抗を低くする。このために、銀ペースト塗布配線12gは、上記のように、格子状(母線方向、環状方向)に連続するように設けるのがよい。外側のNiメッシュシート12aは、この銀ペースト塗布配線12gに接触して導通するように巻き付けられる。
要約すると、多孔質になる銀ペースト塗布配線12gによって、(1)カソード反応を促進して、かつ(2)カソード集電体12の電気抵抗を下げることができる。
銀ペースト塗布配線12gは、帯状に格子状に設けてもよいし、またはカソード5の全外周面に形成してもよい。カソード5の全外周面に銀ペースト塗布した場合には、配線とは呼びにくいが、本説明では、全外周面の領域に抜けた領域なく塗布する場合も、銀ペースト塗布配線と呼ぶこととする。このカソード5の全外周面に塗布する場合は、Niメッシュシート12aを省略することができる。
【0044】
上記のNiメッシュシート12aを省略しない場合、銀ペースト塗布層12gに加えて、カソード5の集電体に金属メッシュシートまたは銀めっきが施された金属メッシュシートを用いることができる。これによって、通気性を確保しながらカソードの集電性能を高めることができる。カソードは酸素等と接する場合が多いが、銀めっき層の触媒作用によって酸素分子の分解を促進し、酸化を防ぐことができる。この銀めっき層によって、カソード5に銀粒子を含ませた場合と同様の酸素分子分解促進作用を発揮することができる。また銀めっき層は、電気伝導度を大きく向上できる。これらの作用により、銀めっき層付き金属メッシュシートは重要な役割を演じる。
ここで、カソード5の金属メッシュシートは織布、不織布、打ち抜きシートなど何でもよいが、柔軟性、孔径の均一分布などの点で織布とするのが好ましい。金属の材料は、Ni,Ni−Fe、Ni−Co、Ni−Cr、Ni−W、Ni−Cuなどが好ましい。また銀めっき層を表層に持つメッシュシートであってもよい。たとえばNiの織布に銀めっきを施したものでもよい。このうちNi−W等については、とくに高い触媒作用を持ち、たとえば酸素分子の分解を促進することができる。
【0045】
MEAおよび集電体を構成する材料について説明する。
<アノード2>
−構成と作用−
図7は、固体電解質1が酸素イオン導電性の場合における、アノード2の電気化学反応を説明するための図である。アノード2には、アンモニアを含む気体が導入され、気孔2hを通って流れる。アノード2は、表面酸化されて酸化層を有する金属粒連鎖体21と、酸素イオン導電性のセラミックス22とを主成分とする焼結体である。酸素イオン導電性のセラミックス22としては、SSZ(スカンジウム安定化ジルコニア)、YSZ(イットリウム安定化ジルコニア)、SDC(サマリウム安定化セリア)、LSGM(ランタンガレート)、GDC(ガドリア安定化セリア)などを用いることができる。
金属粒連鎖体21の金属は、ニッケル(Ni)またはNiに鉄(Fe)を含むものとするのがよい。さらに好ましくはTiを2〜10000ppm程度の微量含むものである。(1)Ni自体、アンモニアの分解を促進する触媒作用を有する。また、FeやTiを微量含むことでさらに触媒作用を高めることができる。さらに、このNiを酸化させて形成されたニッケル酸化物は、これら金属単味の促進作用をさらに高めることができる。ただし、アンモニアの分解反応(アノード反応)は還元反応なので、使用前の製品には焼結処理等で生じた酸化層がNi粒連鎖体に形成されていたのが、使用によってアノード中の金属粒連鎖体も還元されて酸化層が消失することになる。しかし、Ni自体の触媒作用は確実にあり、さらに、酸化層がないことをカバーするために、FeやTiをNiに含有させて触媒作用の低下を補うことができる。
上記の触媒作用に加えて、アノードにおいて、酸素イオンを分解反応に参加させている。すなわち、分解を電気化学反応のなかで行う。上記のアノード反応2NH+3O2−→N+3HO+6eでは、酸素イオンの寄与があり、アンモニアの分解速度を大きく向上させる。(3)アノード反応では、自由な電子eが生じる。電子eがアノード2に滞留すると、アノード反応の進行は、妨げられる。金属粒連鎖体21は、ひも状に細長く、酸化層21bで被覆された中身21aは良導体の金属(Ni)である。電子eは、ひも状の金属粒連鎖体の長手方向に、スムースに流れる。このため、電子eがアノード2に滞留することはなく、金属粒連鎖体21の中身21aを通って、外に流れる。金属粒連鎖体21により、電子eの通りが、非常に良くなる。要約すると、本発明の実施の形態における特徴は、アノードにおける次の(e1)、(e2)および(e3)にある。
(e1)ニッケル粒連鎖体、Fe含有ニッケル連鎖体、またはFe,Ti含有ニッケル粒連鎖体による分解反応の促進(高い触媒機能)
(e2)酸素イオンによる分解促進(電気化学反応の中での分解促進)
(e3)金属粒連鎖体のひも状良導体による電子の導通性確保(高い電子伝導性)
上記の(e1)、(e2)および(e3)によって、アノード反応は非常に大きく促進される。
温度を上げて、触媒に分解対象ガスを接触させるだけで、その分解対象ガスの分解は進行する。それは先行文献に開示されており、上記したように周知である。しかし、上記のように、燃料電池を構成する素子において、カソード5からイオン導電性の固体電解質1を経て、酸素イオンを反応に関与させ、その結果、生じる電子を外に導通させることで、分解反応速度は飛躍的に向上する。上記の(e1)、(e2)および(e3)の機能、およびその機能をもたらす構成をもつことが、本発明の大きな特徴である。
なお、上記は固体電解質1が酸素イオン導電性の場合の説明であるが、固体電解質1はプロトン(H)導電性でもよく、その場合、アノード2におけるイオン導電性セラミックス22はプロトン導電性のセラミックス、たとえばバリウムジルコネート等を用いる。
−配合および焼結−
アノード2の酸素イオン導電性の金属酸化物(セラミックス)をSSZとする場合、SSZの原料粉末の平均径は0.5μm〜50μm程度とする。表面酸化された金属粒連鎖体21と、SSZ22との配合比は、mol比で0.1〜10の範囲とする。焼結方法は、たとえば大気雰囲気中で、温度1000℃〜1600℃の範囲に、30分〜180分間保持することで行う。製造方法については、とくに円筒MEA7の製造法に関連づけて、このあと説明する。
【0046】
<金属粒連鎖体21>
−還元析出法−
金属粒連鎖体21は、還元析出法によって製造するのがよい。この金属粒連鎖体21の還元析出法については、特開2004−332047号公報などに詳述されている。ここで紹介されている還元析出法は、還元剤として3価チタン(Ti)イオンを用いる方法であり、析出する金属粒(Ni粒など)は微量のTiを含む。このため、Ti含有量を定量分析することで、3価チタンイオンによる還元析出法で製造されたものと特定することができる。3価チタンイオンとともに存在する金属イオンを変えることで、所望の金属の粒を得ることができる。Niの場合はNiイオンを共存させる。Feイオンを微量加えると、微量Feを含むNi粒連鎖体が形成される。
また、連鎖体を形成するには、金属が強磁性金属であり、かつ所定のサイズ以上であることを要する。NiもFeも強磁性金属なので、金属粒連鎖体を容易に形成することができる。サイズについての要件は、強磁性金属が磁区を形成して、相互に磁力で結合し、その結合状態のまま金属の析出→金属層の成長が生じて、金属体として全体が一体になる過程で、必要である。所定サイズ以上の金属粒が磁力で結合した後も、金属の析出は続き、たとえば結合した金属粒の境界のネックは、金属粒の他の部分とともに、太く成長する。アノード2に含まれる金属粒連鎖体21の平均直径Dは5nm以上、500nm以下の範囲とするのがよい。また、平均長さLは0.5μm以上、1000μm以下の範囲とするのがよい。また、上記平均長さLと平均径Dとの比は3以上とするのがよい。ただし、これら範囲外の寸法を持つものであってもよい。
−酸化層の形成−
表面酸化処理は、アノード2に用いる場合は、還元されるので重要度は少し低下する。表面酸化処理方法はつぎのとおりである。(i)気相法による熱処理酸化、(ii)電解酸化、(iii)化学酸化の3種類が好適な手法である。(i)では大気中で500〜700℃にて1〜30分処理するのがよい。最も簡便な方法であるが、酸化膜厚の制御が難しい。(ii)では標準水素電極基準で3V程度に電位を印加し、陽極酸化することにより表面酸化を行うが、表面積に応じ電気量により酸化膜厚を制御できる特徴がある。しかし、大面積化した場合、均一に酸化膜をつけることは難しい手法である。(iii)では硝酸などの酸化剤を溶解した溶液に1〜5分程度浸漬することで表面酸化する。酸化膜厚は時間と温度、酸化剤の種類でコントロールできるが薬品の洗浄が手間となる。いずれの手法も好適であるが、(i)または(iii)がより好ましい。
望ましい酸化層の厚みは、1nm〜100nmであり、より好ましくは10nm〜50nmの範囲とする。ただし、この範囲外であってもかまわない。酸化皮膜が薄すぎると触媒機能が不十分となる。また、わずかな還元雰囲気でもメタライズされてしまう恐れがある。逆に酸化皮膜が厚すぎると触媒性は充分保たれるが、反面、界面での電子伝導性が損なわれ、発電性能が低下する。
【0047】
<カソード>
−構成および作用−
図8は、固体電解質1が酸素イオン導電性の場合における、カソード5における電気化学反応を説明するための図である。カソード5には、空気とくに酸素分子が導入される。カソード5は、酸素イオン導電性のセラミックス5cとを主成分とする焼結体とする。この場合の酸素イオン導電性のセラミックス5cとして、LSM(ランタンストロンチウムマンガナイト)、LSC(ランタンストロンチウムコバルタイト)、SSC(サマリウムストロンチウムコバルタイト)などを用いるのがよい。
本実施の形態におけるカソード5では、Ag粒子は銀ペースト塗布配線12gの形態で配置される。この中で、Ag粒子はカソード反応O+4e→2O2−を大きく促進させる触媒機能を有する。この結果、カソード反応は非常に大きい速度で進行することができる。Ag粒子の平均径は、10nm〜100nmとするのがよい。
なお、上記は固体電解質1が酸素イオン導電性の場合の説明であるが、固体電解質1はプロトン(H)導電性でもよく、その場合、カソード5におけるイオン導電性セラミックス5cはプロトン導電性のセラミックス、たとえばバリウムジルコネート等を用いる。
−焼結−
SSZの平均径は0.5μm〜50μm程度のものを用いるのがよい。焼結条件は、大気雰囲気で、1000℃〜1600℃に、30分〜180分間程度保持する。
【0048】
<固体電解質>
電解質1は、固体酸化物、溶融炭酸塩、リン酸、固体高分子などを用いることができるが、固体酸化物は小型化でき、取り扱いが容易なので好ましい。固体酸化物1としては、酸素イオン導電性の、SSZ、YSZ、SDC、LSGM、GDCなどを用いるのがよい。また、上記のように、プロトン導電性のバリウムジルコネートを用いることもできる。
【0049】
<めっき金属体>
アノード2の集電材の重要な一要素である多孔質金属体11sは金属めっき体とするのがよい。多孔質金属体11には金属めっき多孔体とくにNiめっき多孔体、すなわち上述のセルメット(登録商標)を用いるのがよい。Niめっき多孔体は、気孔率を大きくとることができ、たとえば0.6以上0.98以下とすることができる。これによって、内面側電極であるアノード2の集電体の一要素として機能しながら、非常に良好な通気性を得ることができる。気孔率が0.6未満では、圧力損失が大きくなり、ポンプ等による強制循環をするとエネルギー効率が低下し、またイオン導電材等に曲げ変形等を生じて好ましくない。圧力損失を低減し、イオン導電材の損傷を防止するために、気孔率は、0.8以上とするのがよく、更に好ましい範囲として0.9以上とする。一方、気孔率が0.98を超えると電気伝導性が低下して集電機能が低下する。
【0050】
<円筒MEAの製造方法>
図9により、円筒形MEA7の製造方法の概要について説明する。図9には、アノード2、およびカソード5ごとに、焼成を行う工程を示す。まず、市販されている円筒形固体電解質1を購入して準備する。次いで、カソード5を形成する場合は、所定の流動性を持つようにカソード構成材料を溶媒に溶かした溶液を調整して、円筒形固体電解質の外面に均等になるように塗布する。次いで、カソード5に適切な焼成条件で焼成する。このあとアノード2の形成に移る。図9に示す製造方法の他に、多くのバリエーションがある。焼成回数を1回ですます場合で、図9に示すように、各部分ごとに焼成を行うのではなく、塗布状態のまま、各部分を形成して、最後に、各部分の最大公約数的な条件で焼成を行う。この他、多くのバリエーションがあり、各部分を構成する材料と、目標とする分解効率と、製造経費等を総合的に考えて製造条件を決めることができる。
【0051】
(実施の形態3)
図10は、本発明の実施の形態3におけるガス分解システム50を示す図である。本実施の形態では、蓄電装置65を備えている点に特徴を有する。上述のように、ガス分解素子10によって得られる電力は、取り扱いが難しい電力である。このため、実施の形態1,2では、電気化学反応によって生じた電力を、そのままヒータ41に投入した。そして、生産設備のスタート時点では外部電源を用いてヒータ41を稼働させておいて、第1の気体を流し始める。このとき、蓄電装置65がなければ、分解スタート時にヒータ41を稼働させることはできない。本実施の形態に示すように、蓄電装置65を備えることで、生産設備のスタートに合わせてガス分解素子10を稼働させるとき、外部電源がなくても、電気化学反応によって生じた電力を蓄電しておけば、蓄電装置65の電力を用いてヒータ41を作動させることができる。また、蓄電することで電気化学反応による電力についても電圧を所定レベルに保つことが容易になり、制御をしやすくなる。
【0052】
(実施の形態4)
図11は、本発明の実施の形態4におけるガス分解システム50を示す図である。本実施の形態では、ヒータ41等を含むガス分解素子10の筐体10aからも、排気管57を通して、排気ポンプ55による排気駆動をする点に特徴を有する。これによって、ガス分解素子10からわずかの漏れがある場合でも、スクラバ54を通すことで、リスクを抑止することができる。
図12には、生産設備の周囲の周囲閉空間77からも、排気管58を通して排気を行う。周囲閉空間77としては、化学反応槽、成膜チャンバなどを生産設備として、その化学反応槽が設置されている操作室などが該当する。クリーンルームといってもよいが、クリーンルームの中の化学反応槽設置ルーム(操作室)というような、より狭い閉空間がより適切に該当する。閉空間は完全な閉空間でなくてもよい。このような周囲閉空間77からも強制的に排気することで、安全性を一層向上させることができる。たとえば、一般的なクリーンルーム排気は、多くの部屋を対象に行うが、本実施の形態の分解対象のガスが洩れて、クリーンルーム排気が行われている全部屋に当該ガスが微量でも混入することが好ましくない場合が多い。このような場合に、周囲閉空間77からも並行して排気することで安全性を高めることができる。
【0053】
(実施の形態5)
図12は、本発明の実施の形態5におけるガス分解システム50を示す図である。本実施の形態では、ガス分解素子10の後段に、さらに第2のガス分解素子10kを配置した点に特徴を有する。第2のガス分解素子10は、第2のMEA7kおよびヒータ41kを備え、ガス分解素子10における電気化学反応と同類の電気化学反応を生じる。すなわち、アノード反応、カソード反応および電流の向き等は同じであるが、給電か発電かという分類からみれば給電を行う。給電によって、同じカソード反応等を強制的に進行させるのである。
これによって、たとえば、ガス分解素子10の処理能力を超えてガスが排気された場合、これを図示しないガス濃度センサによって検知して、制御盤61は、第2のガス分解素子10kにおける、第2のMEA7kおよびヒータ41kに、給電を行う。
これによってより一層安全性を向上することができる。
【0054】
ガス濃度センサは、図面が複雑になるので図示しないが、次の形態がある。
(C1)ガス分解素子10と第2のガス分解素子10kとの間に位置して、その位置でのガス濃度の検知値を制御盤61に配信する。ガス濃度が所定値以上の場合、第2のガス分解素子10kを稼働する。この場合、ヒータ41kのオンから相当時間を経過しないと所定の温度分布にならないので、ヒータについては予め入力しておくのがよい。
(C2)生産設備の直後に、気体流量計と共に位置して、第1の気体の流量と、ガス濃度値とを制御盤61に配信する。制御盤61は、ガスの流量を算出して、予め入力されているガス分解素子10の処理能力を超えるかどうか判断する。そして、ガス流量が処理能力を超える場合は、第2のガス分解素子10kを稼働させる。生産設備からの排気は、間欠的に行われ、事前に排気の時刻が分かるので、その排気時刻から所定時間前、たとえば15分前にヒータ41kを入力しておくのがよい。
【0055】
(実施の形態6)
図13は、本発明の実施の形態6におけるガス分解システム50を示す図である。本実施の形態では、ガス分解素子10の後段に、吸着部58を設けた点に特徴がある。吸着部58の前には切り換えバルブ57を配置する。本実施の形態もより一層の安全性の向上を実現する。上記の(C1)または(C2)のセンサの配置によって得られる情報をもとに、制御盤61は、切り換えバルブ57を切り換えて吸着部58を稼働または非稼働させる。吸着部58は、スクラバ等で構成する場合は、生産設備から排気が開始される時刻が分かるので、その15分前位から運転を開始すればよい。一般に、吸着部58は、第2のガス分解素子10kにおけるヒータ41kよりも即応性がよいので、緊急性を要する場合が多いことが予想される場合は、吸着部58を配置するのがよい。これによって、より一層安全性を向上することができる。
なお、図1等に示すスクラバ54は、吸着部であるが、ガス濃度センサとは関係なく、ガス分解の最後の砦として、排気量の多寡によらず、ともかく安全性を確保する目的で配置する。
【0056】
(実施の形態7)
図14は、本発明の実施の形態7における、燃料電池として機能するガス分解システムを示す図である。この燃料電池システム50では、水素源から、アンモニア、トルエン、キシレン等の、水素を含む分子である水素源を供給され、発電セル10またはガス分解素子10において分解する。分解の電気化学反応によって、電力を生じる。この電力の一部は、ガス分解能力または発電能力を向上させるための加熱装置(ヒータ)41に用いられる。余剰の電力は、インバータ71によって交直変換や、昇圧などされて、外部装置に適合する電力形態に変換される。これによって、本実施の形態の燃料電池システムは、糖類などの有機物を含む多様な水素源を用いて、PCや携帯端末等の電子機器の電源、より電力消費の多い電気機器の電源に利用されることができる。
分解されて、発電セル10またはガス分解素子10から排気される気体は、後処理装置(センサー内蔵)75によって残留成分濃度を検出して、安全なように処理する。この場合、残留成分濃度によっては元に戻して循環させることができる。
燃料電池システム50では、ガス除害を目的とする場合のように、ガス成分の濃度を極端に低くする必要がなく、高いガス成分濃度において分解の電気化学反応を行うことで、高い発電能力を得ることができる。
【0057】
上記において、本発明の実施の形態について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明のガス分解システムによれば、ランニングコストを抑え、コンパクトな構成で安全性を高め、高いエネルギー効率を得ることができる。本発明のガス分解システムは、小型で大きなスペースを必要とせずに、高温で使用しながら耐久性が高いので、化合物半導体の製造装置からのアンモニア、シアン等、印刷工場からのトルエン、キシレン等のVOC、等の分解に大きな威力を発揮することができる。また、製造装置に限定されず、どのようなガス分解にも気軽に適用できる。さらに燃料電池システムとしても利用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 固体電解質、2 アノード、2h アノード中の気孔、5 カソード、5s カソードのイオン導電性セラミックス、7 MEA、7k 第2のMEA、9 電圧印加部または整流部、10 ガス分解素子、10a 筐体、10k 第2のガス分解素子、11 アノード集電体、11a Niメッシュシート、11g Niペースト層、11k 中心導電棒、11s 多孔質金属体(金属めっき体)、12 カソード集電体、12a Niメッシュシート、12g 銀ペースト塗布配線、21 金属粒連鎖体、21a 金属粒連鎖体の芯部(金属部)、21b酸化層、22 アノードのイオン導電性セラミックス、30 管状継ぎ手、31 管状継ぎ手本体部、31a 突き出し孔部、31b 締結部、32 環状ねじ、33 Oリング、34 ねじ、35 中心導電棒の先端部、37a 接続板、37b 導電線、37c 導電貫通部、39 ナット、47 締結具、41,41k ヒータ、50 ガス分解システム、51 分解前排気路、53 分解後排気路、54 スクラバ、55 排気ポンプ(排気駆動装置)、56 フィルタ、57 切り換えバルブ、58 吸着部、61 制御盤、63,63a,(63b) 発電電力配線、64 外部電力配線、71 インバータ、75 後処理装置、S 空気スペース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のガスを分解するために用いるガス分解システムであって、
前記所定のガスを含む第1の気体が導入される第1電極、固体電解質、および第2の気体が導入される第2電極によって構成されるMEA(Membrane Electrode Assembly)を含む電気化学反応装置と、
前記電気化学反応装置の温度を高めるためのヒータとを備え、
前記電気化学反応装置では、前記第1の気体中の少なくとも前記所定のガスの一つおよび第2の気体が電気化学反応することで発電を生じ、該発電で生じた電力を前記ヒータに投入することを特徴とする、ガス分解システム。
【請求項2】
制御装置と、外部配電装置とを、さらに備え、前記電気化学反応装置で発電された電力は前記ヒータに給電され、前記制御装置は、前記電気化学反応装置の所定部分が所定温度を保つように、前記外部配電装置の前記ヒータへの給電を制御することを特徴とする、請求項1に記載のガス分解システム。
【請求項3】
前記MEAの後段に位置して前記MEAと同類の電気化学反応を生じる第2のMEAと、該第2のMEAと前記MEAとの間に位置して前記ガスの濃度を検知する濃度センサとを備え、前記第2のMEAには前記外部配電装置から電圧を印加できるように配線が設けられ、前記制御装置は、前記濃度センサの検知濃度が所定値以上のとき、前記外部配電装置から前記第2のMEAに、前記電気化学反応を強制的に進行させるように電力を供給させることを特徴とする、請求項1または2に記載のガス分解システム。
【請求項4】
前記MEAの後段に位置して前記ガスを吸着する吸着部と、前記MEAと前記吸着部との間に位置して前記ガスの濃度を検知する濃度センサとを備え、前記制御装置は、前記濃度センサの検知濃度が所定値以上のとき、前記ガスを含む第1の気体が前記吸着部を経るように、排気通路および/または前記吸着部、を制御することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス分解システム。
【請求項5】
前記濃度センサが、該第2のMEAと前記MEAとの間、または、前記MEAと前記吸着部との間、ではなく、前記MEAの前段に、流量計と共に、位置することを特徴とする、請求項3または4に記載のガス分解システム。
【請求項6】
さらに蓄電装置を備え、該蓄電装置が、前記発電による電力を蓄電することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガス分解システム。
【請求項7】
前記MEAの第1電極と第2電極とを結ぶ配線に、前記制御装置によって制御される電圧印加部または整流部を備え、前記第1の気体が流れない休止中に該制御装置は、前記電圧印加部に前記第1電極と第2電極間に前記電気化学反応の順方向の電圧をかけ、または、前記整流部によって前記電気化学反応の順方向にのみ電圧を印加することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のガス分解システム。
【請求項8】
前記MEAが筒状体であり、前記第1電極が該筒状体の内面側に位置して前記第1の気体を当該筒状体の内面側に導入することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のガス分解システム。
【請求項9】
前記筒状体のMEAが、複数、配置され、前記第1の気体は、該MEAに並列に導入され、前記ヒータは前記MEAに共通に1つ配置されることを特徴とする、請求項8に記載のガス分解システム。
【請求項10】
前記所定のガスを含む前記第1の気体を生成する化学反応槽に通じる分解前排気路を経て、前記第1の気体は前記筒状体のMEAの内面側に導入されることを特徴とする、請求項8または9に記載のガス分解システム。
【請求項11】
前記第2の気体が空気であり、周囲から供給されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載のガス分解システム。
【請求項12】
前記電気化学反応装置の後段に設けられた、第1の気体の駆動装置をさらに備え、該駆動装置は、前記筒状体の内面側に通じる分解後排気路と連結していることを特徴とする、請求項8〜11のいずれか1項に記載のガス分解システム。
【請求項13】
前記分解後排気路において、前記電気化学反応装置と前記駆動装置との間にスクラバを配置することを特徴とする、請求項12に記載のガス分解システム。
【請求項14】
前記電気化学反応装置およびヒータを含む本体部を収納する筐体を備え、前記駆動装置は、該筐体内に通じる筐体排気路を通して筐体排気を行うことを特徴とする、請求項12または13に記載のガス分解システム。
【請求項15】
前記化学反応槽を含む周囲閉空間を備え、該周囲閉空間は第2の排気路によって前記駆動装置によって排気を駆動されることを特徴とする、請求項12〜14のいずれか1項に記載のガス分解システム。
【請求項16】
前記第1の気体は、アンモニアを主体に、かつ、シアン系水素を、微量、含み、該アンモニアおよびシアン系水素を、前記電気化学反応によって、共に分解することを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載のガス分解システム。
【請求項17】
外部装置へ電力を供給するために燃料電池システムとして機能することを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載のガス分解システム。
【請求項18】
外部装置へ電力の形態を適合させるためのインバータを備えることを特徴とする、請求項17に記載のガス分解システム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2011−255285(P2011−255285A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130554(P2010−130554)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】