説明

ガス噴射ノズル

【課題】比較的簡素な機構で長期間にわたって高圧ガスを噴出することができるガス噴射ノズルを提供する。
【解決手段】高圧ガスボンベ12から高圧ガスを噴射するためのガス噴射ノズル1であって、上記高圧ガスボンベ12と連通されることにより高圧ガスを噴出させる噴出口2と、上記噴出口2から噴出された高圧ガスをターゲットに向けて案内するとともに先端開口4から噴射させる噴射路3と、上記噴出口2から噴出された高圧ガスに大気を吸引する大気吸引部5とを備えたことにより、比較的簡素な機構で長期間にわたって高圧ガスを噴出することができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボンベ内に充填された高圧ガスを噴出するためのガス噴射ノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、精密機器や写真のネガ等に付着した塵埃を吹き飛ばすダストブロワーが広く用いられている。このようなダストブロワー製品は、一般にエアゾールタイプのスプレー缶内に噴射剤として液化ガスが高圧下で充填されて形成され、スプレー缶の頂部にバルブを開閉操作する噴出釦を兼ねたノズルが設けられ、ノズルの一端には細部にガスを噴出させるための吹き出し用チューブが接続されている。そして、噴出釦を押すことにより缶内で気化しているガスが開口したバルブを通り、ノズルに連接されたチューブより噴出されるようになっている。
【0003】
このようなエアゾールタイプのダストブロワーにおいて、噴射剤として用いられる液化ガスは、代替フロンとしてHFC(ハイドロフルオロカーボン)134aやHFC152a、あるいはDME(ジメチルエーテル)等が用いられており、スプレー缶内において高圧下で液状に保存されていた。
【0004】
ところが、上記HFCは、大気中に放出されると温室効果を招くことから、気候変動枠組条約の目的を達成するために採択された京都議定書においても排出量が規制される温室効果ガスとして挙げられ、また産業界全体でも排出削減が推進されている。例えば、HFC134aの温室効果は二酸化炭素の1300倍であり、HFC152aでも二酸化炭素の140倍の温室効果があることから、HFC製品の使用から他の圧縮ガスを用いた製品へ切り換えていくことが望まれている。また、DMEは、温暖化係数は小さいものの、HFC152aとともに可燃性のガスであり、電子基盤に代表されるような不燃性を必要とする用途では使用することができない。
【0005】
そこで、HFCに替えて炭酸ガスや窒素ガス等を液化して充填した高圧液化ガスボンベを使用したダストブロワー製品も提案されている。
【特許文献1】特開2005−249192号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記高圧液化ガスボンベタイプのダストブロワーでは、不燃性で温暖化係数の少ないガスを使用することができるものの、高圧であるがためにボンベ自体が高価であるうえ、比較的短期間にボンベ内のガスを消費しきってしまうという問題がある。このため、高価なボンベを頻繁に交換しなければならず、交換の手間が面倒であるだけでなく、コスト的にも高くつくという問題があった。また、ボンベの寿命を長期化するため、高圧ガスを減圧しながら噴射する減圧機構を設けた製品も提案されているが、複雑な減圧機構が必要となるため、装置自体が大型化し高価なものとなるという欠点がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、比較的簡素な機構で長期間にわたって高圧ガスを噴出することができるガス噴射ノズルの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のガス噴射ノズルは、高圧ガス貯留部から高圧ガスを噴射するためのガス噴射ノズルであって、上記高圧ガス貯留部と連通されることにより高圧ガスを噴出させる噴出口と、上記噴出口から噴出された高圧ガスをターゲットに向けて案内するとともに先端開口から噴射させる噴射路と、上記噴出口から噴出された高圧ガスに大気を吸引する大気吸引部とを備えたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
すなわち、本発明のガス噴射ノズルは、上記噴出口から噴出された高圧ガスに大気を吸引する大気吸引部を備えていることから、高圧ガス貯留部の高圧ガスが噴出口から噴出されたときに、大気吸引部から大気が吸引され、高圧ガスと大気が混合された混合ガスとなって噴射路を通過し、流量の大きな噴射ガスとなって先端開口から噴射される。このため、噴出口から噴出する高圧ガスの流量を従来より小さくしても大気が混合された混合ガスとなって噴射される。このように、大気との混合ガスが噴射されることから、従来と同等以上の噴射流量を維持しつつ高圧ガスの噴射量を大幅に低減することができる。したがって、高圧ガス貯留部の交換頻度を大幅に低下させ、交換の手間を低減するだけでなく、コストも大幅に低減することができる。また、従来のような複雑な減圧機構が不要であり、装置自体を大型化することなく安価で簡素な機構により高圧ガス貯留部の寿命延長を実現することができるのである。
【0010】
本発明において、上記大気吸引部には、上記噴出口よりも後方に大気導入口が設けられるとともに、噴出口よりも前方に大気導入口が設けられている場合には、噴出口の後方に設けられた大気導入口から大気が吸引されて高圧ガスと大気の混合ガスとなって噴射路に導入されるときに、さらに噴出口よりも前方に設けられた大気導入口から大気が吸引されて上記混合ガスに混合され、より流量の大きな噴射ガスとなって噴射されることから、従来と同等以上の噴射流量を確保しつつ高圧ガスの消費量をさらに低減することができる。
【0011】
本発明において、上記大気吸引部には、高圧ガスの噴射方向に対して複数の大気導入口が並列状に設けられている場合には、並列状の複数の大気導入口から大気が吸引されて高圧ガスと大気の混合ガスとなり、より流量の大きな噴射ガスとなって噴射されることから、従来と同等以上の噴射流量を確保しつつ高圧ガスの消費量をさらに低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明の一実施の形態のガス噴出ノズル1が適用されるダストブロアー10を示す斜視図である。
【0013】
このダストブロアー10は、高圧ガス貯留部としての高圧ガスボンベ12が収容された外ケース11と、上記外ケース11の上部に取り付けられて高圧ガスボンベ12内の高圧ガスを噴出させるための弁機構(図示せず)を備えた噴射装置13と、上記噴射装置13の上面に設けられて押圧操作により上記弁機構を開閉する噴射ボタン14とを備えて構成されている。そして、上記噴射装置13の前面に、高圧ガスボンベ12から高圧ガスを噴射するための本発明のガス噴射ノズル1が取り付けられて構成されている。
【0014】
上記高圧ガスボンベ12に充填される高圧ガスとしては、臨界温度30度K〜430度Kのものが好ましく用いられる。また、高圧ガスボンベ12には、高圧に圧縮された圧縮ガスを充填した状態で使用することもできるし、液化した液化ガスを充填した状態で使用することもできる。液化ガスの場合は、常用温度において圧力が0.2MPa以上であるものが好適に用いられる。
【0015】
上記高圧ガスボンベ12に充填される高圧ガスとしては、例えば、窒素、ヘリウム、炭酸ガス、空気等を好適に用いることができる。また、本発明は、上記高圧ガスとしてHFC−134a,HFC−152a,ジメチルエーテル等を使用することを排除する趣旨ではなく、これらのガスを用いても同様の作用効果を奏するものである。
【0016】
図2は、本発明のガス噴射ノズル1の第1実施形態を示す断面図である。
【0017】
このガス噴射ノズル1は、上記高圧ガスボンベ12と連通されることにより高圧ガスを噴出させる噴出口2と、上記噴出口2から噴出された高圧ガスをターゲットに向けて案内するとともに先端開口4から噴射させる噴射路3と、上記噴出口2から噴出された高圧ガスに大気を吸引する大気吸引部5とを備えている。
【0018】
より詳しく説明すると、上記ガス噴射ノズル1は、上記噴射装置13の上面に設けられた噴射ボタン14を押圧操作することにより、噴射装置13に内蔵された弁機構が開閉されて高圧ガスボンベ12と連通され、噴出口2から高圧ガスを噴出させるようになっている。
【0019】
上記ガス噴射ノズル1は、先端に上記噴出口2が開口した第1ノズル7と、上記第1ノズル7の先端側を覆うとともに、上記噴出口2の前方に延びる第2ノズル9とから構成されている。
【0020】
上記第1ノズル7は、弁機構と連通する連通管16が後方に延び、上記弁機構を介して連通管16を通し高圧ガスボンベ12から噴出される高圧ガスを前方(図示で右方向)に噴出させる上記噴出口2が先端に開口している。
【0021】
上記第2ノズル9は、上記第1ノズル7の先端部の外周を囲う大気吸引部5と、上記大気吸引部5から前方に延びるノズル管8とから構成されている。上記大気吸引部5は、周壁に大気を導入するための大気導入口6が形成されることにより、上記噴出口2から噴出された高圧ガスに大気を吸引して高圧ガスと混合し、高圧ガスと大気との混合ガスとしてノズル管8から前方に噴射するようになっている。
【0022】
上記のような構成により、高圧ガスボンベ12の高圧ガスが噴出口2から噴出されたときに、噴出流周辺の気圧が低下し、大気導入口6から大気吸引部5内に大気が吸引される。そして、大気吸引部5内の空間において噴出された高圧ガスと吸引された大気とが混合され、混合ガスとなって噴射路3を通過し、流量の大きな噴射ガスとなって先端開口4から噴射される。
【0023】
このため、噴出口2から噴出する高圧ガスの流量を従来より小さくしても大気が混合された混合ガスとなって噴射され、使用した高圧ガスの本来の流量が大気により大幅に増量されることとなる。これにより、従来と同等以上の噴射流量を確保しつつ高圧ガスの消費量をさらに低減することができる。したがって、高圧ガスボンベ12の交換頻度を大幅に低下させ、交換の手間を低減するだけでなく、コストも大幅に低減することができる。また、従来のような複雑な減圧機構が不要であり、装置自体を大型化することなく安価で簡素な機構により高圧ガスボンベ12の寿命延長を実現することができるのである。
【0024】
図3は、本発明のガス噴射ノズル1の第2実施形態を示す断面図である。
【0025】
この例では、上記大気吸引部5には、上記噴出口2よりも後方に大気導入口6aが設けられるとともに、噴出口2よりも前方に大気導入口6bが設けられている。また、この例では、噴出口2よりも後方の大気導入口6aと噴出口2よりも前方の大気導入口6bがそれぞれ1つづつ、周方向において反対側に配置されている。なお、噴出口2よりも後方の大気導入口6aと噴出口2よりも前方の大気導入口6bをそれぞれ複数、周方向において交互に配置するようにしてもよい。それ以外は、上記第1実施形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0026】
この実施形態では、上記大気吸引部5には、上記噴出口2よりも後方に大気導入口6aが設けられるとともに、噴出口2よりも前方に大気導入口6bが設けられているため、噴出口2の後方に設けられた大気導入口6aから大気が吸引されて高圧ガスと大気の混合ガスとなって噴射路3に導入されるときに、さらに噴出口2よりも前方に設けられた大気導入口6bから大気が吸引されて上記混合ガスに混合され、より流量の大きな噴射ガスとなって噴射されることから、従来と同等以上の噴射流量を確保しつつ高圧ガスの消費量をさらに低減することができる。
【0027】
また、噴出口2よりも後方の大気導入口6aと噴出口2よりも前方の大気導入口6bがそれぞれ1つづつ、周方向において反対側に配置したことにより、前後の大気導入口6a,6bが大気吸引部5に対して周方向で均等に配置されることとなり、大気吸引部5内の空間の圧力が均等化し、高圧ガスと大気がより均等に混合されて噴射される。なお、噴出口2よりも後方の大気導入口6aと噴出口2よりも前方の大気導入口6bをそれぞれ複数、周方向において交互に配置した場合も同様である。それ以外は、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0028】
図4は、本発明のガス噴射ノズル1の第3実施形態を示す断面図である。
【0029】
この例では、上記大気吸引部5には、高圧ガスの噴射方向に対して複数の大気導入口6が並列状に設けられている。さらにこの例では、複数の大気導入口6が大気吸引部5に対して周方向で均等に配置されている。それ以外は、上記第1実施形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0030】
このように、上記大気吸引部5には、高圧ガスの噴射方向に対して複数の大気導入口6が並列状に設けられているため、並列状の複数の大気導入口6から大気が吸引されて高圧ガスと大気の混合ガスとなり、より流量の大きな噴射ガスとなって噴射されることから、従来と同等以上の噴射流量を確保しつつ高圧ガスの消費量をさらに低減することができる。また、複数の大気導入口6を大気吸引部5に対して周方向で均等に配置したことにより、各大気導入口6が大気吸引部5に対して周方向で均等に配置されることとなり、大気吸引部5内の空間の圧力が均等化し、高圧ガスと大気がより均等に混合されて噴射される。それ以外は、上記各実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0031】
図5は、本発明のガス噴射ノズル1の第4実施形態を示す断面図である。
【0032】
この例では、上記大気吸引部5には、上記噴出口2よりも後方に高圧ガスの噴射方向に対して複数の大気導入口6aが並列状に設けられるとともに、上記噴出口2よりも前方に高圧ガスの噴射方向に対して複数の大気導入口6bが並列状に設けられている。また、後方の複数の大気導入口6aは大気吸引部5に対して周方向で均等に配置されるとともに、前方の複数の大気導入口6bも大気吸引部5に対して周方向で均等に配置されている。それ以外は、上記第1実施形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0033】
噴出口2の後方に設けられた複数の大気導入口6aから大気が吸引されて高圧ガスと大気の混合ガスとなって噴射路3に導入されるときに、さらに噴出口2よりも前方に設けられた複数の大気導入口6bから大気が吸引されて上記混合ガスに混合され、より流量の大きな噴射ガスとなって噴射されることから、従来と同等以上の噴射流量を確保しつつ高圧ガスの消費量をさらに低減することができる。また、後方の大気導入口6a,6aを大気吸引部5に対して周方向で均等に配置するとともに、前方の大気導入口6b,6bを大気吸引部5に対して周方向で均等に配置したことにより、前後の大気導入口6a,6bがそれぞれ大気吸引部5に対して周方向で均等に配置されることとなり、大気吸引部5内の空間の圧力が均等化し、高圧ガスと大気がより均等に混合されて噴射される。それ以外は、上記各実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0034】
図6は、本発明のガス噴射ノズル1の第5実施形態を示す断面図である。
【0035】
この例は、第1ノズル7の噴出口2の前面に、上下に凸状の流線を有する流線体17が配置され、上記流線体17の上下の凸面部に対面する位置に大気導入口6bが配置されている。なお、この例では、噴出口2の後方に大気導入口6aを設けているが、噴出口2の後方には大気導入口6aを設けないようにすることもできる。それ以外は、上記第1実施形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0036】
この実施形態では、噴出口2の後方に設けられた大気導入口6aから大気が吸引されて高圧ガスと大気の混合ガスとなって噴射路3に導入されるときに、さらに噴出口2よりも前方に設けられた流線体17の上下の凸面部を噴流が通過するときに凸面部の近傍の気圧が下がり、上下の大気導入口6bから大気が吸引されて上記混合ガスに混合され、より流量の大きな噴射ガスとなって噴射されることから、従来と同等以上の噴射流量を確保しつつ高圧ガスの消費量をさらに低減することができる。それ以外は、上記各実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0037】
図7は、本発明のガス噴射ノズル1の第6実施形態を示す断面図である。
【0038】
この例では、噴射装置13に第1ノズル7が接続され、この第1ノズル7の先端部に第2ノズル9が取り付けられて構成されている。
【0039】
上記第1ノズル7は、その後端側が、噴射装置13に差し込まれて弁機構と連通する連通管16として機能する。そして、根元側から先端側に向かって流路18の内径が徐々に広くなるとともに、先端部には、先端側の流路18内径よりも小径の噴出口2が形成されている。
【0040】
なお、この例では、根元側から先端側に向かって流路18の内径が徐々に広くなるように形成したものを示したが、流路18は先端に向かって徐々に狭くなるようにしてもよいし、流路18の内径を長手方向で同じになるように形成してもよい。
【0041】
一方、上記第2ノズル9は、根元側において第1ノズル7の先端部に取り付けられ、先端に先端開口4が形成されている。第2ノズル9の根元側には先窄まり状部が形成されるとともに、先窄まり状の最も括れた部分を境に先端側が先広がり状に形成されている。
【0042】
上記第2ノズル9の根元側には、その内面における断面で十字を形成する位置に、第1ノズル7の外周面に嵌合する取付け板19が配置されている。上記取付け板19は、例えばゴム等の弾性材料や精密嵌合しうる樹脂から形成されることにより、第2ノズル9を摩擦力で第1ノズル7に取り付け可能にするとともに、外径太さの多少異なる第1ノズル7に対しても第2ノズル9が取り付け可能になっている。
【0043】
なお、この例では、取付け板19を内面における断面で十字を形成する位置に設けた例を示したが、これに限定するものではなく、3箇所もしくは5箇所以上の箇所に設けてもよい。この場合、取付け板19は放射状を呈するように形成するのが好ましい。
【0044】
そして、第2ノズル9を第1ノズル7の先端部に取り付けた状態で、第1ノズル7の噴出口2が、第2ノズル9の括れ位置近傍に配置されるように構成されている。この例では、第1ノズル7の噴出口2は、第2ノズル9の括れ位置より若干根元側の位置に配置されている。言い換えれば、上記第2ノズル9は、第1ノズル7の先端部に取り付けられた状態で、第1ノズル7先端の噴出口2の近傍位置までは先窄まり状に形成され、それより先端側は先広がり状に形成されている。
【0045】
そして、上記ガス噴射ノズル1において、第2ノズル9の後端開口が大気導入口6として機能し、取付け板19の間の空間が導入された大気の流路に形成されるようになっている。これにより、高圧ガスボンベ12の高圧ガスが噴出口2から噴出されて噴出流が第2ノズル9の括れ部分を通過するときに、括れ部近傍に生じる噴出流周辺の気圧が低下し、大気導入口6から大気吸引部5内に大気が吸引される。そして、噴出口2から噴出された高圧ガスと吸引された大気とが混合され、混合ガスとなって噴射路3を通過し、流量の大きな噴射ガスとなって先端開口4から噴射される。
【0046】
この例では、長い第1ノズル7の先端に着脱式の第2ノズル9を取り付けることにより、容易に高圧ガスの節約モードの使用状態に切り換えることができる。また、第2ノズル9の噴射路3が先広がり状になっているため、ダストブロアーに適用した場合に大きな風量で効率的にダストを飛ばすことができる。さらに、噴出口2が第2ノズル9の括れ位置より若干根元側の位置に配置され、噴出口2からの噴出流が括れ部近傍に生じることから、周辺の気圧低下による大気導入口6からの大気吸引効果に優れ、大きな風量の混合ガスを先端開口から噴射し、ダストブロアーに適用した場合に効率的にダストを飛ばすことができる。また、第2ノズル9が括れ部を有する略筒状に形成され、筒状の後端開口が大気導入口6として機能しているため、大気吸引がスムーズに行われる。また、第2ノズル9が括れ部を有する略筒状に形成され、比較的シンプルな形状なために成形が容易でコスト面で有利である。
【0047】
上記図7に示すガス噴出ノズル1を用いて、ガス噴出試験を行った。
【0048】
噴出口2の開口寸法をφ0.9mmとし、噴出ガスの流量を11NL/min、22NL/min、33NL/minと変化させて、第2ノズル9を取り付けないときと取り付けたときとのノズル先端流量を測定した。
【0049】
第2ノズル9を取り付けないときのノズル先端流量は、噴出ガスの流量と同じ11NL/min、22NL/min、33NL/minであったのに対し、第2ノズル9を取り付けると、11NL/min→32NL/min、22NL/min→56NL/min、33NL/min→74NL/minに流量アップした。それぞれの流量増加率は、291%、255%、224%であった。
【0050】
図8は、本発明のガス噴射ノズル1の第7実施形態を示す断面図である。
【0051】
この例は、噴射装置(図示せず)に接続された第1ノズル7の先端部に第2ノズル9が取り付けられ、上記第2ノズル9が2つのパーツから構成された例である。
【0052】
上記第2ノズル9は、外ノズル20と、上記外ノズル20に内嵌する内ノズル21とから構成されている。上記外ノズル20は、概略円筒状で先端側が徐々に細くなっており、先端部の通路が本発明の噴射路3として機能する。上記内ノズル21は、概略円筒状で、外周面に上記外ノズル20の内周面に嵌合する取付け板19が形成されている。
【0053】
この例では、上記取付け板19は、断面で十字を形成する位置に設けた例を示しているが、これに限定するものではなく、3箇所もしくは5箇所以上の箇所に設けてもよい。この場合、取付け板19は放射状を呈するように形成するのが好ましい。
【0054】
上記取付け板19で外ノズル20と内ノズル21との間に隙間が形成され、この隙間から大気が導入されるようになっている。すなわち、外ノズル20の後端開口が大気導入口6として機能し、取付け板19の間の空間が導入された大気の流路に形成されるようになっている。
【0055】
そして、上記内ノズル21の後部開口に対して第1ノズル7の先端部が差し込まれることにより第2ノズル9が取り付けられ、内ノズル21の先端開口が、上記高圧ガスボンベと連通されることにより高圧ガスを噴出させる噴出口2として機能する。
【0056】
これにより、高圧ガスボンベの高圧ガスが噴出口2から噴出されて噴出流が第2ノズル9の噴射路3を通過するときに周辺の気圧が低下し、大気導入口6から大気吸引部5内に大気が吸引される。そして、噴出口2から噴出された高圧ガスと吸引された大気とが混合され、混合ガスとなって噴射路3を通過し、流量の大きな噴射ガスとなって先端開口4から噴射される。
【0057】
この例では、長い第1ノズル7の先端に着脱式の第2ノズル9を取り付けることにより、容易に高圧ガスの節約モードの使用状態に切り換えることができる。また、内ノズル21先端の噴出口2が、外ノズル20内周面の先細り状となった位置に配置されているため、噴出口2から噴出された高圧ガスの流速がその部分で速くなるため、大気の吸引効果が大きい。
【0058】
この例において、第1ノズル7の先端を内ノズル20の形状に形成し、その先端開口を噴出口2とし、そこに外ノズル20を取り付けて本発明の噴射ノズルを形成することもできる。
【0059】
なお、上記各実施の形態において、噴出させる高圧ガスとしては、特に限定するものではなく、圧縮ガスと液体等の流体の混合物等、各種の流体を適用することができる趣旨である。
【0060】
また、本発明のガス噴出ノズルを適用できる製品としては、ダストブロアー10に限定するものではなく、高圧ガスを噴出する各種の製品に適用することが可能である。また、高圧ガスボンベ12を使用するものだけでなく、エアゾール製品にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明が適用されるガスブロアーの一例を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態のガス噴出ノズルを示す断面図である。
【図3】第2実施形態のガス噴出ノズルを示す断面図である。
【図4】第3実施形態のガス噴出ノズルを示す断面図である。
【図5】第4実施形態のガス噴出ノズルを示す断面図である。
【図6】第5実施形態のガス噴出ノズルを示す断面図である。
【図7】第6実施形態のガス噴出ノズルを示す断面図である。
【図8】第7実施形態のガス噴出ノズルを示す断面図である。
【符号の説明】
【0062】
1:ガス噴射ノズル
2:噴出口
3:噴射路
4:先端開口
5:大気吸引部
6:大気導入口
6a:大気導入口
6b:大気導入口
7:第1ノズル
8:ノズル管
9:第2ノズル
10:ダストブロアー
11:外ケース
12:高圧ガスボンベ
13:噴射装置
14:噴射ボタン
16:連通管
17:流線体
18:流路
19:取付け板
20:外ノズル
21:内ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧ガス貯留部から高圧ガスを噴射するためのガス噴射ノズルであって、上記高圧ガス貯留部と連通されることにより高圧ガスを噴出させる噴出口と、上記噴出口から噴出された高圧ガスをターゲットに向けて案内するとともに先端開口から噴射させる噴射路と、上記噴出口から噴出された高圧ガスに大気を吸引する大気吸引部とを備えたことを特徴とするガス噴射ノズル。
【請求項2】
上記大気吸引部には、上記噴出口よりも後方に大気導入口が設けられるとともに、噴出口よりも前方に大気導入口が設けられている請求項1記載のガス噴射ノズル。
【請求項3】
上記大気吸引部には、高圧ガスの噴射方向に対して複数の大気導入口が並列状に設けられている請求項1または2記載のガス噴射ノズル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−226392(P2009−226392A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−292885(P2008−292885)
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【出願人】(000219934)エア・ウォーター・ゾル株式会社 (17)
【Fターム(参考)】