ガス栓
【課題】過流出防止弁のリセット操作を行う際に、過流出防止弁のリセット操作を行う磁力発生部材間を非接触として動作させる磁力作用手段を備えているガス栓を提供する。
【解決手段】リセット手段は、閉じ位置と開き位置との間でのスライド弁Gの移動に伴って磁力発生部材G1、R5間に生じる磁力を作用させてその磁力発生部材間を非接触として動作させてリセット操作を行う非接触式の磁力作用手段R1、R2を備えている。
【解決手段】リセット手段は、閉じ位置と開き位置との間でのスライド弁Gの移動に伴って磁力発生部材G1、R5間に生じる磁力を作用させてその磁力発生部材間を非接触として動作させてリセット操作を行う非接触式の磁力作用手段R1、R2を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス流通路が内部に形成された筒状のガス栓本体に、閉じ位置と開き位置との間で前記ガス栓本体の軸方向に移動自在なスライド弁と、前記ガス流通路のガス流通方向で前記スライド弁よりも上流側に配置された過流出防止弁と、前記ガス流通方向で前記スライド弁と前記過流出防止弁との間に配置されて、前記と字位置と前記開き位置との間での前記スライド弁の移動により前記過流出防止弁をリセットさせるリセット操作を行うリセット手段とが備えられているガス栓に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、知られているガス栓としてのガスコンセントは、上流側からガスを流通するガス管に接続されると共に、下流側にガス器具などに接続しガスを導くガス接続具を装着可能に構成されている。ガス栓には、ガス接続具が装着された場合に、ガス接続具の押圧部にて押圧されてガス流通路を開弁させると共に、ガス接続具の装着が解除された場合に、押圧部による押圧が解除されてガス流通路を閉弁させるスライド弁が設けられており、万一、ガス栓からガス接続具が抜け落ちた場合であっても、ガス栓からガスが漏洩することを防止できるように構成されている。
さらに、ガス栓には、例えば、ガス接続具とガス器具とを接続するガス管が破損した場合、その破損した部位からガスが漏洩する事態を回避すべく、ガス流通路に一定以上のガス流量の流動圧が生じたときに、ガス流通路を遮断する過流出防止弁が設けられている。さらに、当該過流出防止弁がガス流通路を遮断している状態において、過流出防止弁がガス流通路を遮断している状態を解除するリセット操作を行うリセット手段が設けられている。
当該リセット手段は、ガス流通路の流路径方向に沿う軸心周りで揺動自在でガス流通路の軸方向に沿って2つの揺動部材から成り、下流側の揺動部材が、スライド弁のガス流通路を閉弁する閉じ位置から開弁する開き位置への移動に伴い、スライド弁にて押圧操作されると共に、上流側の揺動部材が下流側の揺動部材の揺動にて揺動されることで、他方側の揺動部材が過流出防止弁を作動位置から初期位置に復帰させるように構成されている(特許文献1を参照)。
【0003】
一方、上記のようなガス栓として、ガス栓本体へのガス接続具の装着とは関係なく、操作つまみ等の操作部に対する回転操作に伴って開閉弁である回動弁を回転させて開閉を行ってガスの供給及び停止を切り替える所謂回転式のガス栓(例えば、特許文献2を参照。)などが知られている。また、ガスコンロ等に内蔵されガス流入路とガス流出路との間の開閉を行ってガスの供給及び停止を切り替える開閉弁として、操作ボタン等の操作部に対する押圧操作に伴って開閉弁であるスライド弁をスライドさせて開閉を行う所謂プッシュプッシュ式の開閉弁(例えば、特許文献3を参照。)などが知られており、上記ガス栓についても、この開閉弁と同様にプッシュプッシュ式に構成することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実登2513850号
【特許文献2】特公平02−021660号公報
【特許文献3】特開平02−154918号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示の技術では、ガス接続具の押圧部と1つ目の揺動部材との接触、1つ目の揺動部材と2つ目の揺動部材との接触、2つ目の揺動部材と被操作部との接触の部材同士の接触を3つ行うことで、リセット操作及びリセット操作の解除を行っている。リセット操作及びリセット操作の解除が行われるたびに、部材同士が離間されたのち接触されることが繰り返されるので、部材の磨耗が早くなる。したがって、部材同士の接触は極力少なくするのが好ましいが、上記特許文献1に開示の技術では、部材同士の接触を3つも行っており、部材の劣化が早くなり、部材同士の接触の仕方によっては部材が損傷してしまうという問題が発生することになる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、過流出防止弁のリセット操作を行う際に、ガス栓本体に設けられ部材間の接触を防止して、部材の損傷を防止できるガス栓を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明のガス栓は、
ガス流通路が内部に形成された筒状のガス栓本体に、閉じ位置と開き位置との間で前記ガス栓本体の軸方向に移動自在なスライド弁と、前記ガス流通路のガス流通方向で前記スライド弁よりも上流側に配置された過流出防止弁と、前記ガス流通方向で前記スライド弁と前記過流出防止弁との間に配置されて、前記閉じ位置と前記開き位置との間での前記スライド弁の移動により前記過流出防止弁をその被操作部を前記ガス流通路の上流側へ押圧してリセットさせるリセット操作を行うリセット手段とが備えられているガス栓であって、その特徴構成は、
前記リセット手段は、前記閉じ位置と前記開き位置との間での前記スライド弁の移動に伴って磁力発生部材間に生じる磁力を作用させてその磁力発生部材間を非接触として動作させて前記リセット操作を行う非接触式の磁力作用手段を備えている点にある。
【0008】
本発明のガス栓の更なる特徴構成は、
前記磁力発生部材は、前記スライド弁と、前記ガス流通路の流路径方向に沿う軸心周りに揺動自在な揺動部材とから構成され、
前記被操作部に対して前記リセット操作を行う操作位置を揺動範囲に含む揺動方向の一方側に前記揺動部材を付勢する付勢手段が設けられ、
前記磁力作用手段は、前記スライド弁に設けられた第1磁性体と前記揺動部材に設けられた第2磁性体とから成り、前記第1磁性体と前記第2磁性体との間に生じる磁力としての反発力を前記揺動部材に作用させて、前記付勢手段の付勢力に抗して前記揺動部材を揺動させている点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、磁力発生部材として軸心周りで揺動自在な揺動部材を設け、当該被操作部に対してリセット操作を行う操作位置を揺動範囲に含む揺動方向の一方向に揺動部材を付勢する付勢手段を設けて、付勢手段の付勢力に抗して揺動部材を揺動方向の他方側に揺動部材を揺動させる磁力を揺動部材に作用させるので、例えば、付勢手段の付勢力により揺動部材を操作位置に揺動させてリセット操作を行いながら、磁力によって揺動部材を操作位置から外れた位置に揺動させてリセット操作の解除を行うことができる。したがって、付勢手段の付勢力による揺動部材の揺動と磁力による揺動部材の揺動とによって、リセット操作及びリセット操作の解除を適切に行うことができる。
また、例えば、スライド弁を揺動部材に接触させて揺動させるようにすると、スライド弁の移動力がそのまま揺動部材に作用することになり、揺動部材の劣化及び揺動部材の損傷を招き易いものとなる。そこで、本特徴構成では、スライド弁と揺動部材との間で、磁力を作用させて非接触で揺動部材を揺動させることができ、揺動部材の劣化及び揺動部材の損傷を効果的に防止することができる。
【0010】
本発明のガス栓の更なる特徴構成は、
前記磁力発生部材は、前記スライド弁と前記被操作部とから構成され、
前記リセット手段は、前記閉じ位置と前記開き位置との間で前記スライド弁が移動した場合に、前記被操作部に対して前記スライド弁に備えられた非接触操作部を接近離間させるように、前記閉じ位置と前記開き位置との間での前記スライド弁の移動を前記非接触操作部の動きに変換する第1運動変換機構を備え、
前記磁力作用手段は、前記非接触操作部に設けられた第1磁性体と前記被操作部に設けられた第2磁性体とから成り、前記第1磁性体と前記第2磁性体との間に生じる磁力としての反発力を前記被操作部に作用させて、前記非接触操作部にて非接触状態で前記被操作部に対して前記リセット操作を行う点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、過流出防止弁がガス流通路におけるガスの流動を阻止している状態において、閉じ位置と開き位置との間でスライド弁を移動させることにより、第1運動変換機構が、被操作部に対して非接触操作部を接近離間させるように、スライド弁の移動を非接触操作部の動きに変換する。ここで、非接触操作部には第1磁性体が設けられ、被操作部には第2磁性体が設けられているので、非接触操作部を被操作部に対して接近離間させることにより、第1磁性体と第2磁性体との間に生じる磁力としての反発力を被操作部に作用させることができる。これにより、非接触操作部にて非接触状態で被操作部に対して適切に、リセット操作を行うことができる。
結果、リセット操作において、被操作部への磁力としての反発力の作用状態を、非接触操作部と被操作部とが非接触の状態で切り替えることができ、被操作部の劣化及び損傷を効果的に防止することができる。
【0012】
本発明のガス栓の更なる特徴構成は、
前記非接触操作部を前記被操作部に接近させて前記非接触操作部にて非接触状態で前記被操作部に対して前記リセット操作を行う第1操作位置と、前記非接触操作部を前記被操作部から離間させて前記リセット操作を解除する第1操作解除位置とが、前記ガス流通路のガス流通方向に沿う軸心周りでの周方向に異なる位置に設定されており、
前記第1運動変換機構は、前記スライド弁が前記閉じ位置と前記開き位置との間で移動する場合に、前記ガス流通路のガス流通方向に沿って前記非接触操作部を移動させるスライド移動変換状態と前記ガス流通路のガス流通方向に沿う軸心周りに前記非接触操作部を回転させる回転運動変換状態とに切り換える形態で、前記スライド弁の移動を前記非接触操作部の動きに変換している点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、例えば、ガス流通路の軸方向において、第1運動変換機構をスライド移動変換状態として非接触操作部と被操作部との距離を近接させた後、第1運動変換機構を回転運動変換状態として、ガス流通方向に沿う軸心周りに非接触操作部を回転させて、第1操作位置を通過させたのち第1操作解除位置まで非接触操作部を回転させることができる。これにより、非接触操作部が第1操作位置を通過する際に、リセット操作を行うことができながら、最終的に非接触操作部を第1操作解除位置に位置されて、リセット操作を解除することができる。結果、リセット操作及びリセット操作の解除を適切且つ確実に行うことができる。
【0014】
本発明のガス栓の更なる特徴構成は、
前記非接触操作部を前記被操作部に接近させて前記非接触操作部にて非接触状態で前記被操作部に対して前記リセット操作を行う第2操作位置と、前記非接触操作部を前記被操作部から離間させて前記リセット操作を解除する第2操作解除位置とが、前記ガス流通路のガス流通方向に沿う軸心周りでの周方向に異なる位置に設定されており、
前記第1運動変換機構は、前記スライド弁が前記閉じ位置と前記開き位置との間で移動する場合に、その移動開始から移動終了まで前記ガス流通路のガス流通方向に沿う軸心周りに前記非接触操作部を回転させる形態で、前記スライド弁の移動を前記非接触操作部の動きに変換している点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、第2操作位置と第2操作解除位置を、ガス流通路のガス流通方向に沿う軸心周りでの周方向で異なる位置としており、第1運動変換機構が、スライド弁の移動開始から移動終了時まで、ガス流通路のガス流通方向に沿う軸心周りでの周方向に沿って非接触操作部を回転させて、第2操作位置を通過させたのち第2操作解除位置へ非接触操作部を移動させることができる。結果、非接触操作部を適切に移動させてリセット操作及びリセット操作の解除を適切且つ確実に行うことができる。また、第1運動変換機構は、非接触操作部をガス流通路の軸心周りでの周方向に沿って回転させるだけでよく、第1運動変換機構の構成の簡素化を図ることもできる。
【0016】
本発明のガス栓の更なる特徴構成は、
前記スライド弁を支持する支持部材が、前記ガス流通路のガス流通方向に摺動自在に前記ガス流通路に備えられ、
前記第1運動変換機構は、前記支持部材の外周に形成された係合案内溝と、前記ガス流通路の内壁部に形成されて前記係合案内溝に係合された被係合部とを備えている点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、被係合部が係合案内溝に係合することで、支持部材をそのままガス栓本体の軸方向に沿って移動させる或いは支持部材を回転させて、ガス栓本体の軸方向に沿って非接触操作部を移動させる或いはガス流通路の軸心周りでの周方向に沿って非接触操作部を回転させることができる。このように、被係合部を係合案内溝に係合させるという簡易な構成によって、第1運動変換機構によるスライド弁の移動を非接触操作部の移動への変換を適切に行うことができる。
【0018】
本発明のガス栓の更なる特徴構成は、
前記磁力発生部材は、前記スライド弁と、その上流側に設けられて前記リセット操作を行う上流側部材とから構成され、
前記磁力作用手段は、前記スライド弁に設けられた第1磁性体と、前記上流側部材に設けられた第2磁性体とから成り、前記第1磁性体と前記第2磁性体との間に生じる磁力としての引力を前記上流側部材に作用させて前記リセット操作を行う状態から前記リセット操作を解除する状態に切り替える、又は反発力を前記上流側部材に作用させて前記リセット操作を解除する状態から前記リセット操作を行う状態へ切り替える点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、スライド弁の上流側への移動(閉じ位置から開き位置への移動)に伴って、スライド弁に設けられた第1磁性体と上流側部材に設けられた第2磁性体との距離を近づけて、第1磁性体と第2磁性体との間に生じる磁力としての引力を上流側部材に作用させて、リセット操作を行う状態からリセット操作を解除する状態へと切り替える、又は第1磁性体と第2磁性体との間に生じる磁力としての反発力を上流側部材に作用させて、リセット操作を解除する状態からリセット操作を行う状態へと切り替えることができる。
逆に、スライド弁の下流側への移動(開き位置から閉じ位置への移動)に伴って、スライド弁に設けられた第1磁性体と上流側部材に設けられた第2磁性体との距離を遠ざけて、第1磁性体と第2磁性体との間に生じる磁力としての引力を解除して、リセット操作を解除する状態からリセット操作を行う状態へ切り替える、又は第1磁性体と第2磁性体との距離を遠ざけて、第1磁性体と第2磁性体との間に生じる磁力としての反発力を解除して、リセット操作を行う状態からリセット操作を解除する状態へ切り替えることができる。
【0020】
本発明のガス栓の更なる特徴構成は、
前記リセット手段は、前記ガス流通路のガス流通方向に沿う軸心周りに回転自在な回転部材と、前記閉じ位置と前記開き位置との間での前記スライド弁の移動を前記回転部材の回転運動に変換自在な第2運動変換機構とを備え、
前記磁力作用手段は、前記回転部材に設けられた第1磁性体と前記被操作部に設けられた第2磁性体とから成り、前記第1磁性体と前記第2磁性体との間に生じる磁力としての反発力を前記被操作部に作用させて、前記回転部材にて非接触状態で前記被操作部に対して前記リセット操作を行うように構成されている点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、閉じ位置と開き位置との間でスライド弁が移動した場合に、第2運動変換機構によってそのスライド弁の移動が回転部材の回転運動に変換され、その回転部材の回転運動によって回転部材に設けられた第1磁性体を、被操作部に設けられた第2磁性体に近接させることができる。そして、これにより、第1磁性体と第2磁性体との間に生じる磁力としての反発力を被操作部に作用させて、回転部材にて非接触状態で被操作部に対してリセット操作を行うことができる。
しかも、上記特徴構成によれば、第2運動変換機構は、閉じ位置から開き位置へのスライド弁の移動を回転部材の回転運動に変換するとともに、開き位置から閉じ位置へのスライド弁の移動をも回転部材の回転運動に変換することができるので、閉じ位置から開き位置へスライド弁が移動する場合と開き位置から閉じ位置へスライド弁が移動する場合との両者において、リセット操作を行うことができ、過流出防止弁のリセット操作・リセット解除操作を適切に行うことができる。
【0022】
本発明のガス栓の更なる特徴構成は、
前記ガス流通路は、上流側から順に、前記過流出防止弁、前記リセット手段、前記スライド弁を備えて、前記ガス栓本体の軸方向に沿う直線状に設けられている点にある。
【0023】
上記特徴構成によれば、ガス流通路は、過流出防止弁、リセット手段、スライド弁の全てを備えながら、ガス栓本体の軸方向に沿う直線状に設けられているので、ガス栓本体をコンパクトに構成することができながら、過流出防止弁とリセット手段とスライド弁とをガス栓本体の軸方向に隣接する状態で直線状に並べて配置することができる。したがって、過流出防止弁とリセット手段とスライド弁との位置関係を簡易なものとすることができ、スライド弁の移動を利用して過流出防止弁をリセットさせるリセット手段の構成の簡素化をより一層図ることができるとともに、リセット手段によるリセット操作及びリセット操作の解除についても適切に行うことができる。しかも、ガス栓本体を直線状とすることで、ガス栓を設置する場合に、ガス栓本体に接続するガス配管と同軸にガス栓を設置することが可能となり、設置スペースの縮小を図ることができる。更に、ガス栓本体を直線状とすることで、ガス栓を壁内に埋め込む形態や壁を貫通する形態にて設置する場合に、壁に形成する開口部の面積を小さくすることができる。
【0024】
本発明のガス栓の更なる特徴構成は、
前記スライド弁が、前記ガス栓本体に対するガス接続具の装着及び取り外しに伴って前記閉じ位置と前記開き位置との間で移動する点にある。
【0025】
即ち、本発明に係るガス栓は、スライド弁が前記ガス栓本体に対するガス接続具の装着及び取り外しに伴って前記閉じ位置と前記開き位置との間で移動するようにして、所謂ガスコンセントとして構成できる。
【0026】
本発明のガス栓の更なる特徴構成は、
前記スライド弁が、操作部に対する押圧操作に伴って前記閉じ位置と前記開き位置との間で移動する点にある。
【0027】
このように本発明のガス栓は、スライド弁が操作部に対する押圧操作に伴って前記閉じ位置と前記開き位置との間で移動するようにして、所謂プッシュプッシュ式のガスコックとして構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1実施形態においてガス接続具がガス栓本体から取り外された状態を示す断面図
【図2】第1実施形態においてガス接続具がガス栓本体に装着された状態を示す断面図
【図3】第1実施形態に係るガス栓の作動状態を示す一部断面図
【図4】第2実施形態に係るガス栓の作動状態を示す一部断面図
【図5】第2実施形態に係るスライド弁の拡大断面図
【図6】第2実施形態に係るリセット手段の斜視図
【図7】第3実施形態に係るガス栓の作動状態を示す一部断面図
【図8】第4実施形態に係るガス栓の作動状態を示す一部断面図
【図9】第5実施形態に係るガス栓の作動状態を示す一部断面図
【図10】第1実施形態に係るガス栓においてガス流通路の中心軸がずれている場合を示す一部断面図
【図11】第2実施形態に係るガス栓においてガス流通路の中心軸がずれている場合を示す一部断面図
【図12】第3実施形態に係るガス栓においてガス流通路の中心軸がずれている場合を示す一部断面図
【図13】第4実施形態に係るガス栓においてガス流通路の中心軸がずれている場合を示す一部断面図
【図14】第5実施形態に係るガス栓においてガス流通路の中心軸がずれている場合を示す一部断面図
【図15】第6実施形態のガス栓の開栓時の状態を示す側断面図
【図16】第6実施形態のガス栓のスライド弁及び操作機構部を示す分解斜視図
【図17】第6実施形態のガス栓の過流出防止弁の作動時の状態を示す側断面図
【図18】第6実施形態のガス栓の閉栓動作途中の状態を示す側断面図
【図19】第6実施形態のガス栓の閉栓時の状態を示す側断面図
【図20】第6実施形態における閉栓動作時のガイド溝におけるガイドピンの位置の遷移状態を説明する説明図
【図21】第6実施形態における開栓動作時のガイド溝におけるガイドピンの位置の遷移状態を説明する説明図
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明に係るガス栓は、ガス栓本体2のガス流通路1に一定以上のガス流量の流動圧が発生したときに作動して、ガスの流通を阻止する過流出防止弁H2を備えるものにおいて、当該過流出防止弁H2の作動を磁力によりリセットするリセット手段Rが設けられている点に特徴がある。
そこで、以下では、まずガス栓の基本構成として、ガス栓本体2及びガス栓本体2に接続するガス接続具100の基本構成について説明し、その後、本発明の特徴構成であるリセット手段Rについて説明する。
【0030】
<第1実施形態>
この第1実施形態のガス栓は、図1及び図2に示すように、ガス流通路1が内部に形成された円筒状のガス栓本体2を備えており、そのガス栓本体2にガス接続具100を装着することでガス流通路1でのガス流通によりガス接続具100に接続されたガス器具へのガス供給を行い、ガス栓本体2からガス接続具100を取り外すことでガス流通路1でのガス流通を停止してガス器具へのガス供給を停止する、所謂ガスコンセントとして構成されている。図1は、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外している状態を示しており、図2は、ガス接続具100をガス栓本体2に装着している状態を示している。
【0031】
ガス栓本体2には、ガス流通路1を開閉自在なスライド弁Gと、ガス流通路1でのガス流量が一定以上の過流量となった場合にガス流通を阻止する過流出防止弁H2と、ガス接続具100のガス栓本体2からの取り外しが行われた場合に過流出防止弁H2をリセットさせるリセット操作を行うリセット手段Rとが備えられている。ここで、リセット操作は、過流出防止弁H2における被操作部材H3をガス流通路1の上流側へ押圧する操作となっている。
【0032】
ガス流通路1は、その流路断面を円形状とし、ガス栓本体2の軸方向(図1及び図2中X方向)に沿う直線状に設けられており、ガス栓本体2の軸方向とガス流通路1のガス流通方向が同一方向となっている。ガス流通路1は、流路径が変更された複数の流路部位1a〜1gから構成されており、ガス流通方向の上流側(図1及び図2中X方向の右側)から順に、過流出防止弁H2を備えた過流出防止機構H、リセット手段R、スライド弁Gが備えられている。複数の流路部位として、ガス流通方向の上流側から順に、第1流路部位1a、第2流路部位1b、第3流路部位1c、第4流路部位1d、第5流路部位1e、第6流路部位1f、第7流路部位1gが備えられている。第1流路部位1aは、ガス流入口(図示省略)に連通されており、第2流路部位1bは、第1流路部位1aよりも流路径が小さく形成されており、過流出防止機構Hが配置されている。第3流路部位1cは、第2流路部位1bよりも流路径が小さく形成されており、リセット手段Rが配置されている。第4流路部位1dは、第3流路部位1cよりも流路径が小さく形成されており、第5流路部位1eは、第3流路部位1cよりも流路径が大きく形成されている。第6流路部位1fは、第5流路部位1eよりも流路径が小さく形成されており、第7流路部位1gは、上流側よりも下流側の方が流路径を小さくする傾斜状に形成されており、ガス栓本体2の先端部に形成されたガス流出口3に連通されている。
【0033】
スライド弁Gは、ガス流通路1における第6流路部位1fを閉弁自在な第1弁体G1と、ガス流通路1における第7流路部位1gを閉弁自在な第2弁体G2とを備えている。
第1弁体G1は、第6流路部位1fと第5流路部位1eとに亘ってガス栓本体2の軸方向に沿って移動自在に設けられている。第1弁体G1の上流側端部部位の外径が第6流路部位1fの流路径と同一となっており、第1弁体G1が着座する弁座部が第6流路部位1fの内壁部にて構成されている。第1弁体G1は、第6流路部位1fに移動した場合に第6流路部位1fを閉じる閉じ位置に位置し、第5流路部位1eに移動した場合にガス流通を許容する開き位置に位置する。第1弁体G1は、第1付勢部材F1によって閉じ位置に復帰するように付勢されており、ガス接続具100がガス栓本体2から取り外されている場合には、閉じ位置に位置して第6流路部位1fを閉弁している。
【0034】
第2弁体G2は、第6流路部位1fと第7流路部位1gとに亘ってガス栓本体2の軸方向に沿って移動自在に設けられている。第2弁体G2の下流側端部部位の外径が第7流路部位1gの傾斜部位の流路径と同一となっており、第2弁体G2が着座する弁座部が第7流路部位1gの傾斜部位にて構成されている。第2弁体G2は、第7流路部位1gに移動した場合に第7流路部位1gを閉じる閉じ位置に位置し、第6流路部位1fに移動した場合にガス流通を許容する開き位置に位置する。第2弁体G2は、第2付勢部材F2によって閉じ位置に復帰するように付勢されており、ガス接続具100がガス栓本体2から取り外されている場合には、閉じ位置に位置して第7流路部位1gを閉弁している。
このようにして、スライド弁Gを構成する第1弁体G1と第2弁体G2の両者は、ガス栓本体2の軸方向に沿って閉じ位置と開き位置との間で移動自在で、ガス流通路1を閉じる閉じ位置に復帰するように付勢されている。
【0035】
ガス栓本体2に対して装着及び取り外し自在なガス接続具100について説明する。このガス接続具100は、既に公知の構成であるので、詳細な説明は省略して簡単に説明する。
ガス接続具100は、第1コイルバネ101により前方側(図1及び図2中X方向の右側)に付勢される突出部材102と、ロック用ボール103と、ロック用ボール103の位置を径方向の内側から規制するとともに、ガス栓本体2の先端部に当接して押圧されて引退する内径部材104と、ガス栓本体2に装着される際にスライド弁Gを押圧する棒状の押圧部105とを備えている。
【0036】
ガス接続具100をガス栓本体2に装着する場合には、図2に示すように、ガス栓本体2の先端部が内径部材104に当接して内径部材104を第2コイルバネ106の付勢力に抗して引退させる。内径部材104の引退によりロック用ボール103が径方向の内側に移動して、ガス栓本体2に形成された嵌込溝2aにロック用ボール103が嵌り込んで、突出部材102が第1コイルバネ101の付勢力により前方側(図2中X方向の右側)に突出する。このように、ガス接続具100のロック用ボール103がガス栓本体2の嵌込溝2aに嵌り込むことで、ガス接続具100がガス栓本体2に外嵌装着される。ガス接続具100がガス栓本体2に装着される際に、ガス接続具100の押圧部105にてスライド弁Gが押圧される。この押圧部105によるスライド弁Gに対する押圧によって、第1弁体G1と第2弁体G2の両者が、ガス栓本体2の軸方向に沿ってガス流通路1の上流側(図2中X方向の右側)に移動して、閉じ位置から開き位置に移動することになり、ガス流通路1が開弁されてガス器具へのガス供給が行われる。
【0037】
ガス接続具100をガス栓本体2から取り外す場合には、突出部材102を第1コイルバネ101の付勢力に抗して押込操作することで、嵌込溝2aへのロック用ボール103の嵌り込みが解除されるので、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外すことができる。そして、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外すと、スライド弁Gに対する押圧部105による押圧が解除され、第1弁体G1と第2弁体G2の両者が、付勢部材F1,F2の付勢力によって、ガス栓本体2の軸方向に沿ってガス流通路1の下流側(図2中X方向の右側)に移動して、開き位置から閉じ位置に復帰されてガス流通路1が閉弁される。
【0038】
過流出防止機構Hは、ガス流通路1の第2流路部位1bに配置されており、内部にガスを流通する流路が形成された筒状部材H1を備えている。筒状部材H1の内部には、ガス流通を許容する初期位置とガス流通を阻止する作動位置とにガス栓本体2の軸方向に移動自在な過流出防止弁H2と、リセット手段Rからリセット操作としてのガス流通路1の上流側への押圧操作を受ける被操作部材H3(被操作部に相当する)と、過流出防止弁H2及び被操作部材H3をガス栓本体2の軸方向に移動自在に支持する支持部材H4とが備えられている。
【0039】
過流出防止弁H2は、第3付勢部材F3によって、作動位置よりも上流側の初期位置に復帰するように付勢されており、当接部材H5に当接することで初期位置に位置保持されている。そして、過流出防止弁H2は、ガス流量が一定以上の過流量となると、そのガス流量の流動圧によって初期位置から作動位置に移動自在に備えられており、作動位置に移動した過流出防止弁H2が弁座部H6に着座してガス流通を阻止している。
【0040】
支持部材H4は、その内部がガス栓本体2の軸方向に貫通する円筒状に形成されている。支持部材H4の上流側部位は、過流出防止弁H2の軸部H2aに外嵌して、ガス栓本体2の軸方向に移動自在に過流出防止弁H2を支持している。支持部材H4の下流側部位は、被操作部材H3に外嵌して、ガス栓本体2の軸方向に移動自在に被操作部材H3を支持している。
【0041】
被操作部材H3の上流側部位H3aは、ガス栓本体2の軸方向に延びる棒状に形成されており、支持部材H4に内嵌されて、ガス栓本体2の軸方向に移動自在に支持されている。被操作部材H3の下流側部位は、ガス流通路1の流路径方向の中央部に下流側に突出する頭部H3bが備えられた概略円錐状に形成されている。頭部H3bの径方向の外側には、径方向の外側に延びる脚部H3cを備えており、その脚部H3cの先端部が筒状部材H1に形成された係合溝H1aに係合されている。図示は省略するが、脚部H3cは、周方向で間隔を隔てて複数備えられており、脚部H3c同士の間をガスが流通している。被操作部材H3は、第4付勢部材F4によって下流側部位の頭部H3bが筒状部材H1からガス流通路1の下流側に突出する突出位置に復帰するように付勢されており、脚部H3cが係合溝H1aの端部に当接して突出位置に位置保持されている。
【0042】
支持部材H4は、初期位置に位置する過流出防止弁H2と突出位置に位置する被操作部材H3との間に、初期位置から作動位置までの移動量に相当する間隔を隔てる状態で、過流出防止弁H2と被操作部材H3をガス栓本体2の軸方向に移動自在に支持している。これにより、過流出防止機構Hは、突出位置に位置する被操作部材H3がガス流通路1の上流側へ押圧されるリセット操作が解除されている場合に、過流出防止弁H2の初期位置から作動位置への移動を許容している。
一方、一定以上のガス流量の流動圧によって過流出防止弁H2が作動位置に移動すると、作動位置に移動した過流出防止弁H2と突出位置に位置する被操作部材H3とが当接するようになっている。突出位置に位置する被操作部材H3がガス流通路1の上流側へ押圧されるリセット操作を受けた場合には、被操作部材H3と過流出防止弁H2との当接により被操作部材H3と過流出防止弁H2が一体的にガス流通路1の上流側へ移動することになり、過流出防止弁H2の弁座部H6への着座が解除されて、上流側からのガス圧が解除され、第3付勢部材F3の付勢力によって過流出防止弁H2が初期位置に復帰される。このようにして、過流出防止機構Hは、突出位置に位置する被操作部材H3がガス流通路1の上流側へ押圧されるリセット操作を受けた場合に、過流出防止弁H2を初期位置に復帰させている。
【0043】
リセット手段Rは、ガス接続具100のガス栓本体2からの取り外しが行われた場合に、ガス栓本体2の軸方向でのスライド弁Gの閉じ位置への移動に伴って、過流出防止弁H2を初期位置に復帰させるために被操作部材H3の頭部H3bをガス流通路1の上流側へ押圧するリセット操作を行うように構成されている。
【0044】
リセット手段Rは、詳細については後述するが、閉じ位置と開き位置との間でのスライド弁Gの移動に伴って、スライド弁G(磁力発生部材の一例)とガス流通路1の流路径方向に沿う第1軸心P1周りに揺動自在な揺動部材R5(磁力発生部材の一例)との間に生じる磁力を作用させ、スライド弁Gと揺動部材R5とを非接触状態で、揺動部材R5を動作させてリセット操作を行う非接触式に構成されている。
説明を加えると、リセット手段Rとして、被操作部材H3の頭部H3bに対してリセット操作を行う操作位置(図3(a)参照)を揺動範囲に含む揺動方向の一方向に揺動部材R5を付勢する付勢部材R3(付勢手段に相当する)が備えられるとともに、スライド弁Gに設けられた第1磁性体R13(磁力作用手段の一例)と揺動部材R5に設けられた第2磁性体R2(磁力作用手段の一例)とが備えられている。そして、第1磁性体R13と第2磁性体R2との間に生じる磁力としての反発力を揺動部材R5に作用させて、付勢部材R3の付勢力に抗して揺動部材R5を揺動させるように構成されている。
【0045】
揺動部材R5は、ガス流通路1の流路径方向に沿う第1軸心P1を中心として一端側に操作部位R5aを有するとともに、他端側に被操作部材H3を押圧する押圧作用部位R5bとを備えて構成されている。詳細については、後述するが、上記操作部位R5aは磁力作用手段にて磁力が作用される部位である。
揺動部材R5の揺動支点は上記第1軸心P1であり、当該第1軸心P1は、ガス流通路1の径方向の中央部に配置されている。磁力作用手段の磁力が作用する押圧作用部位R5bは、ガス流通路1の径方向の中央部から端部側に外れた偏芯位置に配置されている。そして、揺動部材R5は、図1に示すように、操作位置に位置する場合に、操作部位R5aをガス流通路1の径方向の端部に位置されるとともに、押圧作用部位R5bをガス流通路1の径方向の中央部に位置させるL字状に形成されている。
【0046】
さらに、揺動部材R5は、付勢部材R3によって、揺動方向の一方側(図1、2、3で、反時計回り側)に揺動して操作位置(図3(a)及び図3(d))に復帰するように付勢されている。図3(d)に示すように、押圧作用部位R5bは、傾斜面を備えており、揺動部材R5が操作位置に揺動することで、その傾斜面を被操作部材H3の頭部H3bに当接させて、頭部H3bをガス流通路1の上流側へ押圧するリセット操作を行うようにしている。
【0047】
磁力作用手段としての第1磁性体R13及び第2磁性体R2について説明を加えると、第1磁性体R13は、スライド弁Gである第2弁体G2の揺動部材R5側の端部からガス流通路1の上流側に延びる棒状部位G1aの先端部に設けられ、第2磁性体R2は、揺動部材R5の操作部位R5aに設けられている。
第1磁性体R13と第2磁性体R2とは、ガス栓本体2の軸方向で互いに対向するとともに、互いに磁力としての反発力を作用させる状態で、配置されている。本実施形態では、第1磁性体R13と第2磁性体R2とを互いに永久磁石として構成し、互いに同じ磁極が対向する状態で配置することで、反発力を作用させている。第1磁性体R13と第2磁性体R2とは、図3(b)及び図3(c)に示すように、閉じ位置から開き位置へのスライド弁Gの移動に伴って、第1磁性体R13が、ガス栓本体2の軸方向に沿ってガス流通路1の上流側へ移動して、第1磁性体R13と第2磁性体R2とを接近させ、揺動部材R5の操作部位R5aを磁力による反発力により押圧し、揺動部材R5を操作位置から揺動方向の他方側(図1、2、3で、時計回り側)に外れた位置に揺動部材R5を押圧揺動させている。
以上の構成を採用することにより、リセット手段Rとしての磁力作用手段は、スライド弁Gと揺動部材R5とが非接触の状態で、被操作部材H3へのガス流通路1の上流側への押圧又は押圧解除を切り替えるように働く。
【0048】
以下、図3に基づいて、スライド弁G、過流出防止機構H、リセット手段Rの動きについて説明する。
図3(a)は、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外している状態を示している。図3(b)は、ガス接続具100をガス栓本体2に装着した状態を示している。図3(c)は、ガス接続具100をガス栓本体2に装着しているときに、過流出防止弁H2が初期位置から作動位置に移動した状態を示している。図3(d)は、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外すことでリセット操作を行う状態を示している。
【0049】
図3(a)に示すように、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外している場合には、スライド弁Gが閉じ位置に位置しており、ガス流通路1がスライド弁Gにて閉弁されている。このとき、揺動部材R5は、付勢部材R3の付勢力によって操作位置に復帰するように付勢されているので、揺動部材R5の押圧作用部位R5bが、被操作部材H3の頭部H3bをガス流通路1の上流側へ押圧するリセット操作を行う。このリセット操作によって過流出防止弁H2が初期位置に復帰される。図3(a)では、過流出防止弁H2については初期位置に復帰された状態を示している。
【0050】
図3(b)に示すように、ガス接続具100をガス栓本体2に装着すると、ガス接続具100の押圧部105がスライド弁Gをガス流通路1の上流側に押圧して、スライド弁Gが閉じ位置から開き位置に移動してガス流通路1を開弁させる。このとき、スライド弁Gの移動に伴って、第1磁性体R13と第2磁性体R2とが接近して磁力としての反発力を発揮し、当該反発力により揺動部材R5の操作部位R5aが押圧され、揺動部材R5が揺動方向の他方側(図3(b)で時計回り)に揺動し、揺動部材R5が操作位置から外れた位置に揺動される。この揺動部材R5の揺動によって、揺動部材R5の押圧作用部位R5bが、被操作部材H3の頭部H3bをガス流通路1の上流側へ押圧するリセット操作が解除される。リセット操作が解除されると、被操作部材H3は、第4付勢部材F4の付勢力によって頭部H3bが突出位置に復帰される。このようにして、被操作部材H3が突出位置に復帰されると、被操作部材H3と過流出防止弁H2との間に、過流出防止弁H2の初期位置から作動位置への移動を許容するスペースが形成される。
【0051】
図3(c)に示すように、ガス流量が一定以上の過流量となると、そのガス流量の流動圧によって過流出防止弁H2がガス栓本体2の軸方向に沿ってガス流通路1の下流側に移動して、過流出防止弁H2が初期位置から作動位置へ移動する。これにより、過流出防止弁H2が作動位置に移動することでガス流通が阻止される。
【0052】
図3(d)に示すように、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外すと、ガス接続具100の押圧部105によるスライド弁Gに対するガス流通路1の上流側への押圧が解除されて、第1付勢部材F1及び第2付勢部材F2の付勢力によってスライド弁Gがガス栓本体2の軸方向に沿ってガス流通路1の下流側に移動する。このとき、スライド弁Gの移動に伴って、第1磁性体R13と第2磁性体R2とが離間し、揺動部材R5の操作部位R5aへ作用していた反発力が解除され、付勢部材R3の付勢力によって揺動部材R5が揺動方向の一方側(図中反時計回り)に揺動して操作位置に復帰される。揺動部材R5が操作位置に復帰すると、揺動部材R5の押圧作用部位R5bが、被操作部材H3の頭部H3bをガス流通路1の上流側へ押圧するリセット操作が行われて、図3(a)に示すように、過流出防止弁H2が初期位置に復帰される。
【0053】
<第2実施形態>
第2実施形態についても、リセット手段Rに対し、磁力を利用してリセット操作を行う点は、第1実施形態と共通しているが、磁力の利用する構成が第1実施形態と異なる。以下では、第1実施形態と相違する構成について説明し、同一の構成については同じ符号を付し、その説明を割愛することがある。
【0054】
リセット手段Rは、ガス接続具100のガス栓本体2からの取り外しが行われた場合のガス栓本体2の軸方向でのスライド弁Gの開き位置から閉じ位置への移動途中、及び、ガス接続具100をガス栓本体2に装着する場合のガス栓本体2の軸方向でのスライド弁Gの閉じ位置から開き位置への移動途中に、過流出防止弁H2を初期位置に復帰させるために被操作部材H3をガス流通路1の上流側へ押圧するリセット操作を行い、スライド弁Gの移動終了時には、被操作部材H3に対するリセット操作を解除するように構成されている。
【0055】
詳細については後述するが、図4に示すように、リセット手段Rは、被操作部材H3に対してスライド弁Gに備えられた非接触操作部R1を接近離間させるように、閉じ位置と開き位置との間でのスライド弁Gの移動を非接触操作部R1の動きに変換する第1運動変換機構R12と、非接触操作部R1(磁力発生部材の一例)に設けられた第1磁性体R13(磁力作用手段の一例)と、被操作部材H3(磁力発生部材の一例)に設けられた第2磁性体R2(磁力作用手段の一例)とを備えている。そして、リセット手段Rは、第1磁性体R13と第2磁性体R2との間に生じる磁力としての反発力を被操作部材H3に作用させて、非接触操作部R1にて非接触状態で被操作部材H3に対してリセット操作を行うように構成されている。
【0056】
非接触操作部R1は、ガス流通路1の上流側に延びてその上流側端部を球面状とし、第1弁体G1に一体形成された突起部にて構成されている。
【0057】
第1磁性体R13と第2磁性体R2とは、ガス栓本体2の軸方向で互いに対向するとともに、互いに磁力としての反発力を作用させる状態で、配置されている。本実施形態では、第1磁性体R13と第2磁性体R2とを互いに永久磁石として構成し、互いに同じ磁極が対向する状態で配置することで、反発力を作用させている。
以上の構成を採用することにより、リセット手段Rとしての磁力作用手段は、第1磁性体R13と第2磁性体R2とが接近した場合に、第1磁性体R13と第2磁性体R2との間の磁力としての反発力を作用させ、非接触操作部R1と被操作部材H3とが非接触の状態で、被操作部材H3をガス流通路1の上流側へ移動させる。
【0058】
上述の如く、リセット操作は、第1磁性体R13と第2磁性体R2との間に生じる磁力としての反発力を被操作部材H3に作用させて、被操作部材H3を上流側へ移動させる操作である。そこで、図4に示すように、非接触操作部R1を被操作部材H3に接近させて非接触操作部R1にて非接触状態で被操作部材H3に対してリセット操作を行う第1操作位置(図4(d)参照)と、非接触操作部R1を被操作部材H3から離間させてリセット操作を解除する第1操作解除位置(図4(b)及び(c))参照)とが、ガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心周りでの周方向で異なる位置に設定される。
【0059】
被操作部材H3は、ガス流通路1の流路径方向の中央部から端部側に外れた偏心位置に配置されており、第1操作位置は、図4(d)に示すように、偏心位置に配置された被操作部材H3に非接触操作部R1を接近させる偏心位置となっている。それに対して、第1操作解除位置は、図4(b)及び(c)に示すように、ガス流通路1の軸心周りでの周方向で第1操作位置とは異なる位置であり、非接触操作部R1を被操作部材H3から離間させる位置となっている。また、図4(a)では、ガス栓本体2の軸方向において、非接触操作部R1を被操作部材H3から離間させる位置となっている。
【0060】
第1運動変換機構R12は、図5及び図6に示すように、第1弁体G1と第2弁体G2を支持する筒状支持部材R6の外周に形成された係合案内溝R7と、ガス流通路1の内壁部に形成されて係合案内溝R7に係合された突起状の被係合部2bとを備えている。筒状支持部材R6は、ガス流通路1のガス流通方向に摺動自在にガス流通路1に備えられている。係合案内溝R7は、ガス流通路1の上流側部位がガス流通方向に沿う直線状の直線溝R7bとなっており、その直線溝R7bの下流側端部から下流側に連続する連続部位が傾斜溝R7aとなっている。これにより、スライド弁Gの移動中に被係合部2bが直線溝R7bに係合案内されている場合には、筒状支持部材R6をそのままガス栓本体2の軸方向に沿って移動させて、非接触操作部R1をガス流通路1のガス流通方向に沿って移動させるスライド移動変換状態に切り替えられる。また、スライド弁Gの移動中に被係合部2bが傾斜溝R7aに係合案内されている場合には、ガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心周りに回転させる回転運動変換状態に切り替えられる。このように、第1運動変換機構R12は、スライド移動変換状態と回転運動変換状態とに切り替える形態で、スライド弁Gの移動を非接触操作部R1の動きに変換している。
【0061】
第1運動変換機構R12は、閉じ位置から開き位置へスライド弁Gが移動する場合に、図4(a)の状態から図4(b)の状態になるように、その移動初期にはスライド移動変換状態として、ガス流通方向に沿って上流側に非接触操作部R1を移動させて、その後、スライド移動変換状態から回転運動変換状態に切り替えて、ガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心周りに非接触操作部R1を回転させている。そして、第1運動変換機構R12は、回転運動変換状態に切り替えた状態で、第1操作位置を通過させた後、最終的に第1操作解除位置まで非接触操作部R1を回転させている。
逆に、開き位置から閉じ位置へスライド弁Gが移動する場合に、第1運動変換機構R12は、その移動初期には、図4(c)の状態から図4(d)の状態になるように、回転運動変換状態として、ガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心周りに非接触操作部R1を回転させて、その後、回転運動変換状態からスライド移動変換状態に切り替えて、ガス流通方向に沿って下流側に非接触操作部R1を移動させている。そして、第1運動変換機構R12は、移動初期の回転運動変換状態において、第1操作解除位置から第1操作位置を通過させて非接触操作部R1を回転させている。
【0062】
以下、図4に基づいて、スライド弁G,過流出防止機構H、リセット手段Rの動きについて説明する。
図4(a)は、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外している状態を示している。図4(b)は、ガス接続具100をガス栓本体2に装着した状態を示している。図4(c)は、ガス接続具をガス栓本体2に装着しているときに、過流出防止弁H2が初期位置から作動位置に移動した状態を示している。図4(d)は、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外すことでリセット操作を行う状態を示している。
【0063】
図4(a)に示すように、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外している場合には、スライド弁Gが閉じ位置に位置しており、ガス流通路1がスライド弁Gにて閉弁されている。このとき、第1運動変換機構R12は、被係合部2bを係合案内溝R7の上流側端部まで係合案内しており、この係合案内によって、ガス流通方向で被操作部材H3から離間した位置に非接触操作部R1を位置させている。
【0064】
図4(b)に示すように、ガス接続具100をガス栓本体2に装着すると、ガス接続具100の押圧部105がスライド弁Gをガス流通路1の上流側に押圧して、スライド弁Gが閉じ位置から開き位置へ移動してガス流通路1を開弁させる。このとき、第1運動変換機構R12は、被係合部2bを係合案内溝R7にて係合案内することで、スライド弁Gの移動を非接触操作部R1の移動に変換している。第1運動変換機構R12は、スライド弁Gの移動初期にスライド移動変換状態として、ガス流通路1のガス流通方向に沿って上流側に非接触操作部R1を移動させて、その後、回転運動変換状態に切り替えて、ガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心周りに非接触操作部R1を回転させている。そして、第1運動変換機構R12は、回転運動変換状態に切り替えた状態で、第1操作位置を通過させた後、最終的に第1操作解除位置まで非接触操作部R1を回転させている。第1操作位置では、非接触操作部R1に設けられた第1磁性体R13と被操作部材H3に設けられた第2磁性体R2との間に磁力としての反発力を作用させることで、被操作部材H3を上流側に移動させる。図4(b)は、非接触操作部R1を第1操作解除位置まで回転させた状態を示している。
【0065】
図4(c)に示すように、ガス流量が一定以上の過流量となると、そのガス流量の流動圧によって過流出防止弁H2がガス栓本体2の軸方向に沿ってガス流通路1の下流側に移動して、過流出防止弁H2が初期位置から作動位置へ移動する。これにより、過流出防止弁H2が作動位置に移動することでガス流通が阻止される。
【0066】
図4(d)に示すように、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外すと、ガス接続具100の押圧部105によるスライド弁Gに対するガス流通路1の上流側への押圧が解除されて、第1付勢部材F1及び第2付勢部材F2の付勢力によってスライド弁Gが開き位置から閉じ位置へ移動する。このとき、第1運動変換機構R12は、被係合部2bを係合案内溝R7にて係合案内することで、スライド弁Gの移動を非接触操作部R1の移動に変換している。第1運動変換機構R12は、スライド弁Gの移動初期に回転運動変換状態として、ガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心周りに非接触操作部R1を回転させている。ここで、第1運動変換機構R12は、第1操作解除位置から第1操作位置を通過させて非接触操作部R1を回転させている。第1操作位置では、非接触操作部R1に設けられた第1磁性体R13と被操作部材H3に設けられた第2磁性体R2との間に磁力としての反発力を作用させることで、被操作部材H3を上流側に移動させる。その後、第1運転変換機構は、回転運動変換状態からスライド移動変換状態に切り替えて、ガス流通路1のガス流通方向に沿って下流側に非接触操作部R1を移動させている。図4(d)は、非接触操作部R1を第1操作位置に回転させた状態を示している。
【0067】
このように、第1運動変換機構R12は、スライド弁Gが開き位置から閉じ位置まで移動する場合に、その移動途中で、非接触操作部R1に設けられた第1磁性体R13と被操作部材H3に設けられた第2磁性体R2との間に磁力としての反発力を作用させる第1操作位置を通過させ、その移動終了時に被操作部材H3から離間させる位置まで被操作部材H3を移動させている。非接触操作部R1が第1操作位置を通過する際に、リセット操作が行われて、過流出防止弁H2を初期位置に復帰させることができるとともに、最終的には非接触操作部R1を被操作部材H3から離間させる位置に位置させて、リセット操作を解除して、過流出防止弁H2の初期位置から作動位置への移動を許容することができる。
【0068】
第1運動変換機構R12は、ガス接続具100をガス栓本体2に装着することによって閉じ位置から開き位置にスライド弁Gが移動する場合にも、第1操作位置を通過させる形態で最終的に第1操作解除位置まで非接触操作部R1を移動させるので、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外す場合に限らず、ガス接続具100をガス栓本体2に装着する場合にも、リセット操作を行い、その後、リセット操作を解除することができる。
【0069】
ガス接続具100をガス栓本体2に装着する場合には、図4(a)に示す状態から図4(b)に示す状態となり、ガス接続具100の押圧部105によってスライド弁Gが閉じ位置から開き位置に移動されるので、このスライド弁Gの移動が行われる場合にも、第1運動変換機構R12は、スライド移動変換状態から回転運動変換状態に切り替えた状態において、第1操作位置を通過させる形態で最終的に第1操作解除位置まで非接触操作部R1を回転させている。したがって、非接触操作部R1が第1操作位置を通過する場合に、リセット操作を行うことができ、最終的に、非接触操作部R1を第1操作解除位置に位置させて、リセット操作を解除することができる。第1操作位置では、非接触操作部R1に設けられた第1磁性体R13と被操作部材H3に設けられた第2磁性体R2との間に磁力としての反発力を作用させることで、被操作部材H3を上流側に移動させる。このように、ガス接続具100のガス栓本体2からの取り外しを行った場合、及び、ガス接続具100のガス栓本体2への装着を行った場合の両者において、リセット操作を行うことができるので、過流出防止弁H2の初期位置への復帰を確実に行うことができる。
【0070】
<第3実施形態>
この第3実施形態は、上記第2実施形態において、第1運動変換機構R12が、スライド弁Gの移動を非接触操作部R1のどのような動きに変換するのかの別実施形態である。その他の構成については、上記第2実施形態と同様であるので、その他の構成については説明を省略し、以下、図7に基づいて、スライド弁Gの移動を非接触操作部R1のどのような動きに変換するのかを中心に説明する。
【0071】
上記第2実施形態では、第1運動変換機構R12は、被係合部2bを直線状と傾斜状との係合案内溝R7にて係合案内することで、スライド移動変換状態と回転運動変換状態とに切り換える形態で、スライド弁Gの移動を非接触操作部R1の動きに変換している。
【0072】
この第3実施形態では、図7に示すように、係合案内溝R7が全長に亘って傾斜状に形成されている。そして、第1運動変換機構R12は、被係合部2bを係合案内溝R7にて係合案内することで、スライド弁Gが閉じ位置と開き位置との間で移動する場合に、その移動開始から移動終了までガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心周りに非接触操作部R1を回転させる形態で、スライド弁Gの移動を非接触操作部R1の動きに変換している。
【0073】
上記第2実施形態の第1操作位置及び第1操作解除位置と同様に、非接触操作部R1を被操作部材H3に接近させて、非接触操作部R1と被操作部材H3とを非接触状態としてリセット操作を行わせる第2操作位置(図7(d)参照)と、非接触操作部R1を被操作部材H3から離間させてリセット操作を解除する第2操作解除位置(図7(b)及び(c))とが、ガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心周りでの周方向に異なる位置に設定されている。
ここで、第2操作位置では、非接触操作部R1(磁力発生部材の一例)に設けられた第1磁性体R13(磁力作用手段の一例)と被操作部材H3(磁力発生部材の一例)に設けられた第2磁性体R2(磁力作用手段の一例)との間に磁力としての反発力を作用させ、被操作部材H3を上流側へ移動させるように構成されている。第1磁性体R13及び第2磁性体R2は、上記第2実施形態と同様の構成、及び性質のものであるので、ここではその詳細な説明は割愛する。
【0074】
第1運動変換機構R12は、閉じ位置から開き位置へスライド弁Gが移動する場合に、図7(a)の状態から図7(b)の状態になるように、その移動開始から移動終了まで、ガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心周りに非接触操作部R1を回転させて、第2操作位置(図7(d)参照)を通過させたのち第2操作解除位置(図7(b)参照)まで非接触操作部R1を回転させている。
逆に、開き位置から閉じ位置へスライド弁Gが移動する場合に、第1運動変換機構R12は、図7(c)の状態から図7(d)を経て図7(a)の状態になるように、その移動開始から移動終了まで、ガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心周りに非接触操作部R1を回転させて、第2操作解除位置から第2操作位置を通過させて非接触操作部R1を回転させている。
【0075】
以下、図7に基づいて、スライド弁G、過流出防止機構H、リセット手段Rの動きについて説明する。
図7(a)は、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外している状態を示している。図7(b)は、ガス接続具100をガス栓本体2に装着した状態を示している。図7(c)は、ガス接続具100をガス栓本体2に装着しているときに、過流出防止弁H2が初期位置から作動位置に移動した状態を示している。図7(d)は、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外すことでリセット操作を行う状態を示している。
【0076】
図7(a)に示すように、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外している場合には、スライド弁Gが閉じ位置に位置しており、ガス流通路1がスライド弁Gにて閉弁されている。このとき、第1運動変換機構R12は、被係合部2bを係合案内溝R7の上流側端部まで係合案内しており、この係合案内によって、ガス流通方向で被操作部材H3から離れる位置まで非接触操作部R1を移動させている。
【0077】
図7(b)に示すように、ガス接続具100をガス栓本体2に装着すると、ガス接続具100の押圧部105がスライド弁Gをガス流通路1の上流側に押圧して、スライド弁Gが閉じ位置から開き位置に移動してガス流通路1を開弁させる。このとき、第1運動変換機構R12は、スライド弁Gの移動に伴って、被係合部2bを係合案内溝R7にて係合案内して非接触操作部R1を回転させている。このスライド弁Gの移動による非接触操作部R1の回転は、その移動開始から移動終了まで、ガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心周りに非接触操作部R1を回転させて、第2操作位置(図7(d)参照)を通過させたのち第2操作解除位置(図7(b)参照)まで非接触操作部R1を回転させている。第2操作位置では、非接触操作部R1に設けられた第1磁性体R13と被操作部材H3に設けられた第2磁性体R2との間に磁力としての反発力を作用させることで、被操作部材H3を上流側に移動させる。図7(b)は、非接触操作部R1を第2操作解除位置まで回転させた状態を示している。
【0078】
図7(c)に示すように、ガス流量が一定以上の過流量となると、そのガス流量の流動圧によって過流出防止弁H2がガス栓本体2の軸方向に沿ってガス流通路1の下流側に移動して、過流出防止弁H2が初期位置から作動位置へ移動する。これにより、過流出防止弁H2が作動位置に移動することでガス流通が阻止される。
【0079】
図7(d)に示すように、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外すと、ガス接続具100の押圧部105によるスライド弁Gに対するガス流通路1の上流側への押圧が解除されて、第1付勢部材F1及び第2付勢部材F2の付勢力によってスライド弁Gが開き位置から閉じ位置に移動する。このとき、第1運動変換機構R12は、スライド弁Gの移動に伴って、被係合部2bを係合案内溝R7にて係合案内して非接触操作部R1を回転させている。このスライド弁Gの移動による非接触操作部R1の回転は、その移動開始から移動終了まで、ガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心周りに非接触操作部R1を回転させて、第2操作解除位置から非接触操作部R1に設けられた第1磁性体R13と被操作部材H3に設けられた第2磁性体R2との間に磁力としての反発力を作用させる第2操作位置を通過させたのち、最終的に、図7(a)に示すように、ガス流通方向で被操作部材H3から離れる位置まで非接触操作部R1を回転させている。第2操作位置では、非接触操作部R1に設けられた第1磁性体R13と被操作部材H3に設けられた第2磁性体R2との間に磁力としての反発力を作用させることで、被操作部材H3を上流側に移動させる。図7(d)は、非接触操作部R1を第2操作位置に位置させた状態を示している。
【0080】
第1運動変換機構R12は、ガス接続具100をガス栓本体2に装着することにより閉じ位置から開き位置にスライド弁Gが移動する場合にも、第2操作位置を通過させる形態で最終的に第2操作解除位置まで非接触操作部R1を移動させるので、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外す場合に限らず、ガス接続具100をガス栓本体2に装着する場合にも、リセット操作を行い、その後、リセット操作を解除することができる。
【0081】
ガス接続具100をガス栓本体2に装着する場合には、図7(a)に示す状態から図7(b)に示す状態となり、ガス接続具100の押圧部105によってスライド弁Gが閉じ位置から開き位置に移動されるので、このスライド弁Gの移動が行われる場合にも、第1運動変換機構R12は、第2操作位置を通過させる形態で最終的に第2操作解除位置まで非接触操作部R1を回転させている。第2操作位置では、非接触操作部R1に設けられた第1磁性体R13と被操作部材H3に設けられた第2磁性体R2との間に磁力としての反発力を作用させることで、被操作部材H3を上流側に移動させる。したがって、非接触操作部R1が第2操作位置を通過する場合に、リセット操作を行うことができ、最終的に、非接触操作部R1を第2操作解除位置に位置させて、リセット操作を解除することができる。このように、ガス接続具100のガス栓本体2から取り外しを行った場合、及び、ガス接続具100のガス栓本体2への装着を行った場合の両者において、リセット操作を行うことができるので、過流出防止弁H2の初期位置への復帰を確実に行うことができる。
【0082】
<第4実施形態>
リセット手段Rは、ガス接続具100のガス栓本体2からの取り外しが行われた場合に、ガス栓本体2の軸方向(図8で、矢印X方向)でのスライド弁Gの閉じ位置への移動に伴って、過流出防止弁H2を初期位置に復帰させるために被操作部材H3の頭部H3bをガス流通路1の上流側へ押圧するリセット操作を行うように構成されている。
【0083】
リセット手段Rは、ガス流通路1の軸方向に移動自在で過流出防止機構Hの被操作部材H3を押圧操作可能な上流側部材R4と、被操作部材H3を押圧操作する操作側へ上流側部材R4を付勢する第1付勢部材F1と、被操作部材H3の押圧操作を解除する解除操作側へ上流側部材R4(磁力発生部材の一例)を磁力にて付勢する第1磁性体R13及び第2磁性体R2(磁力作用手段の一例)とを備えている。
上記第1付勢部材F1は、第1弁体G1と上流側部材R4との間に設けられ、上流側部材R4を操作側へ付勢するとともに、第1弁体G1を開き位置から閉じ位置の側へ付勢するように設けられている。即ち、第1付勢部材F1は、スライド弁G(磁力発生部材の一例)が閉じ位置の側へ復帰するように付勢するとともに、上流側部材R4を操作側へ付勢するように構成されている。
第1磁性体R13及び第2磁性体R2は、ガス流通路1の軸方向で互いに対向し且つ互いに引き合う状態で、その一方が第1弁体G1に設けられ、他方が上流側部材R4に設けられている。第1磁性体R13と第2磁性体R2とは、少なくとも一方が永久磁石から構成されている。ここで、第1磁性体R13と第2磁性体R2とが互いに引き合う状態とするためには、双方を永久磁石から構成した場合、互いに異なる磁極を他方側に向ける状態で配置する。
上流側部材R4は、図8に示すように、ガス流通路1の第3流路部位1cに配置されており、第3流路部位1cの内壁に沿う案内面R4aを有しており、当該案内面R4aが第3流路部位1cの内壁に沿う状態で摺動自在に配置されている。
【0084】
リセット手段Rは、ガス栓本体2からガス接続具100が取り外され、スライド弁Gが開き位置から閉じ位置に移動する場合には、上流側部材R4に対する操作側への付勢力を上流側部材R4に対する解除操作側への磁力よりも大きくして上流側部材R4を操作側へ摺動操作させ、上流側部材R4の押圧作用部位R4cにて被操作部材H3の頭部H3bを押圧操作することで、上流側部材R4とともに過流出防止弁H2を上流側の初期位置へ移動させるリセット操作を実行する。
一方、ガス栓本体2にガス接続具100が装着され、スライド弁Gが閉じ位置から開き位置へ移動する場合には、上流側部材R4に対する操作側への付勢力を上流側部材R4に対する解除操作側への磁力よりも小さくして上流側部材R4を操作解除側へ摺動操作させ、被操作部材H3を下流側に突出させて、過流出防止弁H2の初期位置から作用位置への移動を許容するリセット解除操作を実行する。
以上の構成を採用することにより、リセット手段Rとしての磁力作用手段は、被操作部材H3へのガス流通路1の上流側への押圧又は押圧解除を、スライド弁Gと上流側部材R4とが非接触の状態で切り替えるように働く。
【0085】
以下、図8に基づいて、スライド弁G、過流出防止機構H,リセット手段Rの動きについて説明する。
図8(a)は、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外している状態を示している。図8(b)は、ガス接続具100をガス栓本体2に装着した状態を示している。図8(c)は、ガス接続具100をガス栓本体2に装着しているときに、過流出防止弁H2が初期位置から作動位置へ移動した状態を示している。図8(d)は、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外すことでリセット操作を実行する状態を示している。
【0086】
図8(a)に示すように、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外している場合には、スライド弁Gが閉じ位置に位置しており、ガス流通路1がスライド弁Gにて閉弁されている。このとき、上流側部材R4に働く力は、第1付勢部材F1による操作側への付勢力が第1磁性体R13及び第2磁性体R2による操作解除側への磁力よりも大きく設定されているので、第3操作位置(図8(a)参照)に付勢されており、上流側部材R4の押圧作用部位R4cが、被操作部材H3の頭部H3bをガス流通路1の上流側へ押圧している状態となり、リセット操作が行われている状態となる。このとき、当該リセット操作により過流出防止弁H2は初期位置に位置している。
【0087】
図8(b)に示すように、ガス接続具100をガス栓本体2に装着すると、ガス接続具100の押圧部105がスライド弁Gをガス流通路1の上流側に押圧して、スライド弁Gが閉じ位置から開き位置に移動してガス流通路1を開弁させる。このとき、スライド弁Gの移動に伴って、上流側部材R4に対する操作側への付勢力よりも上流側部材R4に対する操作解除側への磁力を大きくして、上流側部材R4を操作側から操作解除側へ付勢して、第3操作位置から第3操作解除位置(図8(b)参照)へ移動させる。当該上流側部材R4の移動により、上流側部材R4の押圧作用部位R4cが、被操作部材H3の頭部H3bをガス流通路1の上流側へ押圧するリセット操作が解除される。リセット操作が解除されると、被操作部材H3は、第4付勢部材F4の付勢力により頭部H3bが突出位置に復帰される。このようにして、被操作部材H3が突出位置に復帰されると、被操作部材H3と過流出防止弁H2との間に、過流出防止弁H2の初期位置から作動位置への移動を許容するスペースが形成される。
【0088】
図8(c)に示すように、ガス流量が一定以上の過流量となると、そのガス流量の流動圧によって、過流出防止弁H2がガス栓本体2の軸方向に沿ってガス流通路1の下流側に移動して、過流出防止弁H2が初期位置から作動位置へ移動する。このように、過流出防止弁H2が作動位置に移動することで、ガス流通路1でのガス流通が阻止される。
【0089】
図8(d)に示すように、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外すと、ガス接続具100の押圧部105によるスライド弁Gに対するガス流通路1の上流側への押圧が解除されて、第1付勢部材F1及び第2付勢部材F2の付勢力によってスライド弁Gがガス栓本体2の軸方向に沿ってガス流通路1の下流側に移動する。このとき、スライド弁Gの移動に伴って、上流側部材R4に対する操作側への付勢力を上流側部材R4に対する操作解除側への磁力よりも大きくして、上流側部材R4を操作解除側から操作側へ付勢して、第3操作解除位置から第3操作位置へ移動させる。当該上流側部材R4の移動により、上流側部材R4の押圧作用部位R4cが、被操作部材H3の頭部H3bをガス流通路1の上流側へ押圧するリセット操作が行われる。リセット操作が行われると、被操作部材H3とともに過流出防止弁H2がガス流通路1の上流側へ移動して、初期位置に復帰される。
【0090】
<第5実施形態>
図9に示すように、第5実施形態では、リセット手段Rは、ガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心周りに回転自在な回転部材R10と、閉じ位置と開き位置との間でのスライド弁Gの移動を回転部材R10の回転運動に変換自在な第2運動変換機構R11とを備えている。詳細については後述するが、回転部材R10は、スライド弁Gの移動に伴う回転により、磁力を利用して非接触の状態で、被操作部材H3を下流側に移動させてリセット操作を行うように構成されている。
【0091】
回転部材R10は、ガス流通路1のガス流通方向に沿って伸びる棒状に形成された下流側部位R10aと、その下流側部位R10aの上流側端部から上流側に突出する略円錐状に形成された非接触操作部R1とを備えている。下流側部位R10aから径方向の外側に延出された円盤状の支持部R10cがガス流通路1の内壁部に回転自在に支持されており、この支持によって回転部材R10がガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心P周りに回転自在に支持されている。
本実施形態においては、上記非接触操作部R1(磁力発生部材の一例)に第1磁性体R13(磁力作用手段の一例)を設けるとともに、被操作部材H3(磁力発生部材の一例)に第2磁性体R2(磁力作用手段の一例)を設けており、非接触操作部R1が被操作部材H3に接近すると、第1磁性体R13と第2磁性体R2との間に磁力としての反発力が作用するように構成されており、当該反発力により、被操作部材H3が上流側へ移動するようになっている。
第1磁性体R13と第2磁性体R2とは、ガス栓本体2の軸方向で互いに対向するとともに、互いに磁力としての反発力を作用させる状態で、配置されている。本実施形態では、第1磁性体R13と第2磁性体R2とを互いに永久磁石として構成し、互いに同じ磁極が対向する状態で配置することで、反発力を作用させている。
尚、当該第4実施形態においては、第1磁性体R13又は第2磁性体R2に異物が付着して、当該異物により第1磁性体R13と第2磁性体R2との間に作用する磁力が阻害されることを防止すべく、第1磁性体R13と第2磁性体R2との間の空間を、ガス流通路1から隔離する筒部材を設けることが好ましい。当該筒部材は、伸縮性のある材料にて作成することが好ましく、第1磁性体R13と第2磁性体R2との間隔が変動する場合にも、その間隔の変動に追従して伸縮する状態で設けられる。
【0092】
上述したように、リセット操作は、回転部材R10の非接触操作部R1を被操作部材H3に接近させて、第1磁性体R13と第2磁性体R2との間の磁力としての反発力により、被操作部材H3を上流側に押圧する操作である。そこで、図9に示すように、回転部材R10の非接触操作部R1を被操作部材H3に接近させて非接触操作部R1にてリセット操作を行う第4操作位置(図9(d)参照)と、回転部材R10の非接触操作部R1を被操作部材H3から離間させてリセット操作を解除する第4操作解除位置(図9(a)〜(c)参照)とが、ガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心周りでの周方向で異なる位置に設定されている。
【0093】
第4操作位置では、非接触操作部R1を被操作部材H3に接近させることから、図9(d)に示すように、ガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心周りでの周方向において、被操作部材H3が存在する位置に設定されている。一方、ガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心周りでの周方向において被操作部材H3が存在する位置から外れた位置では、非接触操作部R1が被操作部材H3から離間することになるので、第4操作解除位置は、図9(a)〜(c)に示すように、ガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心周りで被操作部材H3が存在する位置から外れた位置に設定されている。
【0094】
第2運動変換機構R11は、スライド弁Gに形成された第1ネジ部R11aと回転部材R10に形成された第2ネジ部R11bとの螺合により、スライド弁Gの移動を回転部材R10の回転運動に変換している。第1ネジ部R11aが雌ネジにて構成され、第2ネジ部R11bが雄ネジにて構成されており、第1ネジ部R11aと第2ネジ部R11bとの両者は、ガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心P周りに螺旋状となるように形成されている。第1ネジ部R11aについては、スライド弁Gにおける第1弁体G1の上流側部位が円筒状部位G1bにて構成されており、その円筒状部位G1bの内壁部に第1ネジ部R11aが形成されている。第2ネジ部R11bについては、回転部材R10における下流側部位R10aの外周部に形成されている。ちなみに、図示は省略するが、第1弁体G1にはガス流通路1の内壁部から突出する凸部に係合する凹溝等が形成されており、ガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心P周りに回転することなく、ガス流通路1のガス流通方向に移動できるようになっている。
【0095】
第2運動変換機構R11は、閉じ位置から開き位置へスライド弁Gが移動する場合に、図9(a)の状態から図9(d)の状態を経て図9(b)の状態になるように、スライド弁Gの移動途中に非接触操作部R1を第4操作位置(図9(d)参照)に位置させ、その移動終了時に非接触操作部R1を第4操作解除位置(図9(b)参照)に位置させるように回転部材R10を回転させている。
逆に、開き位置から閉じ位置へスライド弁Gが移動する場合にも、第1運動変換機構R12は、図9(c)の状態から図9(d)の状態を経て図9(a)の状態になるように、スライド弁Gの移動途中に非接触操作部R1を第4操作位置(図9(d)参照)に位置させ、その移動終了時に非接触操作部R1を第4操作解除位置(図9(a)参照)に位置させるように回転部材R10を回転させている。
【0096】
以下、図9に基づいて、スライド弁G、過流出防止機構H、リセット手段Rの動きについて説明する。
図9(a)は、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外している状態を示している。図9(b)は、ガス接続具100のガス栓本体2に装着した状態を示している。図9(c)は、ガス接続具100をガス栓本体2に装着しているときに、過流出防止弁H2が初期位置から作動位置へ移動した状態を示している。図9(d)は、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外すことでリセット操作を行う状態を示している。
【0097】
図9(a)に示すように、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外している場合には、スライド弁Gが閉じ位置に位置しており、ガス流通路1がスライド弁Gにて閉弁されている。このとき、第2運動変換機構R11は、非接触操作部R1を被操作部材H3から離間させて、第1磁性体R13と第2磁性体R2との間の磁力を解除させ、リセット操作を解除する第4操作解除位置まで回転部材R10を回転させている。
【0098】
図9(b)に示すように、ガス接続具100をガス栓本体2に装着すると、ガス接続具100の押圧部105がスライド弁Gをガス流通路1の上流側に押圧して、スライド弁Gが閉じ位置から開き位置へ移動してガス流通路1を開弁させる。このとき、第2運動変換機構R11が、スライド弁Gの移動を回転部材R10の回転運動に変換している。このスライド弁Gの移動による回転部材R10の回転では、第4操作解除位置から回転部材R10を回転開始させ、その回転途中に非接触操作部R1を被操作部材H3に接近させ、第1磁性体R13と第2磁性体R2との間に磁力としての反発力を作用させ被操作部材H3を上流側へ移動させて、リセット操作を行わせる第4操作位置を通過させ、その回転終了時に非接触操作部R1を被操作部材H3から離間させ、第1磁性体R13と第2磁性体R2との間の磁力としての反発力を解除して、リセット操作を解除する第4操作解除位置まで回転部材R10を回転させている。図9(b)では、回転部材R10が第4操作解除位置まで回転された状態を示している。
【0099】
図9(c)に示すように、ガス流量が一定以上の過流量となると、そのガス流量の流動圧によって過流出防止弁H2がガス栓本体2の軸方向に沿ってガス流通路1の下流側に移動して、過流出防止弁H2が初期位置から作動位置へ移動する。これにより、過流出防止弁H2が作動位置に移動することでガス流通が阻止される。
【0100】
図9(d)に示すように、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外すと、ガス接続具100の押圧部105によるスライド弁Gに対するガス流通路1の上流側への押圧が解除されて、第1付勢部材F1および第2付勢部材F2の付勢力によってスライド弁Gがガス栓本体2の軸方向に沿って開き位置から閉じ位置へ移動する。このとき、第2運動変換機構R11が、スライド弁Gの移動を回転部材R10の回転運動に変換している。このスライド弁Gの移動による回転部材R10の回転では、第4操作解除位置から回転部材R10を回転させ、その回転途中に非接触操作部R1を被操作部材H3に接近させ、第1磁性体R13と第2磁性体R2との間に磁力としての反発力を作用させ、リセット操作を解除する第4操作解除位置まで回転部材R10を回転させている。図9(d)では、回転部材R10が第4操作位置に回転された状態を示しており、最終的には、図9(a)に示すように、回転部材R10が第4操作解除位置まで回転される。
【0101】
このように、第2運動変換機構R11は、スライド弁Gが開き位置から閉じ位置まで移動する場合に、その移動途中で第4操作位置を通過させ、その移動終了時に第4操作解除位置まで回転部材R10を回転させるので、回転部材R10が第4操作位置を通過する際に、リセット操作が行われて、過流出防止弁H2を初期位置に復帰させることができるとともに、最終的には回転部材R10を第4操作解除位置に位置させて、リセット操作を解除して、過流出防止弁H2の初期位置から作動位置への移動を許容することができる。
【0102】
第2運動変換機構R11は、ガス接続具100をガス栓本体2に装着することにより閉じ位置から開き位置へスライド弁Gが移動する場合も、第4操作位置を通過させる形態で最終的に第4操作解除位置まで回転部材R10を回転させるので、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外す場合に限らず、ガス接続具100をガス栓本体2に装着する場合にも、リセット操作を行い、その後、リセット操作を解除することができる。
【0103】
ガス接続具100をガス栓本体2に装着する場合には、図9(a)に示す状態から図9(b)に示す状態となり、ガス接続具100の押圧部105によってスライド弁Gが閉じ位置から開き位置へ移動されるので、このスライド弁Gの移動が行われる場合にも、第2運動変換機構R11は、スライド弁Gの移動著中に第4操作位置を通過させる形態で最終的に第4操作解除位置まで回転部材R10を回転させる。第4操作位置では、非接触操作部R1に設けられた第1磁性体R13と被操作部材H3に設けられた第2磁性体R2との間に磁力としての反発力を作用させることで、被操作部材H3を上流側に移動させる。したがって、回転部材R10が第4操作位置を通過する場合に、リセット操作を行うことができ、最終的に、回転部材R10を第4操作解除位置に位置させて、リセット操作を解除することができる。このように、ガス接続具100のガス栓本体2からの取り外しを行った場合、及び、ガス接続具100のガス栓本体2への装着を行った場合の両者において、リセット操作を行うことができるので、過流出防止弁H2の初期位置への復帰を確実に行うことができる。
【0104】
<第6実施形態>
これまで説明してきた実施の形態では、本発明に係るガス栓を、ガス栓本体2に対するガス接続具100の装着及び取り外しに伴ってスライド弁Gを閉じ位置と開き位置との間で移動させてガス器具へのガスの供給と停止との切り替えを行う所謂ガスコンセントとして構成したが、以下に、本発明に係るガス栓を、操作部に対する手動操作に伴ってスライド弁を閉じ位置と開き位置との間で移動させてガス器具へのガスの供給と停止との切り替えを行う、所謂ツマミ付きガス栓として構成した実施形態について、図15〜図21に基づいて説明する。尚、これまで説明してきた実施形態と同様の構成については、説明を割愛する場合がある。
【0105】
本実施形態のつまみ付きガス栓として構成されたガス栓は、図15及び図16に示すように、弁収容部5と、当該弁収容部5に対して夫々が開口するガス流入路1A及びガス流出路1Bが、内部に形成されたガス栓本体2と、弁収容部5に収容され、ガス流入路1Aとガス流出路1Bとの間の開閉を行う弁機構部Aと、操作部11に対する操作に伴って弁機構部Aを開閉させる操作機構部Bとを備えている。
以下、ガス栓本体2、弁機構部A、及び操作機構部Bの詳細構成について、順次説明する。
【0106】
〔ガス栓本体〕
ガス流入路1A及びガス流出路1Bの夫々は、互いの軸線X、Yを直角に交差する状態でガス栓本体2の内部に配置された円形断面を有する流路である。具体的には、ガス流入路1Aの軸線Xを上下方向に配置すると共に、ガス流出路1Bの軸線Yを横向きに配置することで、本実施形態のガス栓は所謂L型のガス栓として構成されている。このように構成されたL型のガス栓は、下から上に向けてガス栓本体2に流入したガスgを横向きに吐出して、側方に配置されたガス機器(図示せず)等に供給する。尚、本実施形態においてガス栓を上記L型のガス栓として構成するのではなく、例えば、ガス流出路1Bを斜め下向きに設けるなど、ガス流入路1Aとガス流出路1Bとの交差角度は適宜改変可能である。
また、弁収容部5は、ガス流入路1Aの上方延長上にガス栓本体2の内部に形成された円形断面を有する空間であり、弁収容部5の下方にはガス流入路1Aが開口し、弁収容部5の側方にはガス流出路1Bが開口することになる。
【0107】
〔弁機構部〕
ガス流入路1A及びガス流出路1Bの何れか一方の特定ガス流通路をガス流入路1Aとし、同特定ガス流通路の軸線である特定軸線をガス流入路1Aの軸線Xとすると、弁機構部Aは、当該特定ガス流通路であるガス流入路1Aの弁収容部5に対する開口部1Aaに形成された弁座部6と、同特定軸線である軸線Xに沿ってスライドして弁座部6に対して着座して当該開口部1Aaを閉塞する閉じ位置と、軸線Xに沿ってスライドして弁座部6に対して離間して当該開口部1Aaを開放する開き位置との間で変位するスライド弁G'とを有して構成されている。
即ち、スライド弁G'は、上下方向に配置されたガス流入路1Aの軸線Xに沿って、上下方向にスライドする。そして、そのスライド範囲の下端位置が、スライド弁G'が弁座部6に着座して開口部1Aaを閉塞する閉じ位置であり、同範囲の上端位置が、スライド弁G'が弁座部6に対して離間して当該開口部1Aaを開放する開き位置となる。よって、本実施形態において、閉じ位置側とは下方側を示し、開き位置側とは上方側を示すことになる。
尚、第1実施形態にあっては、第1弁体G1はガス流通路1を閉止する弁体として機能していたが、当該第3実施形態にあっては、第1弁体G1には第1切欠部G4及び第4切欠部G5を設けてあり、弁体としての機能は発揮しないようになっている。
ここで、図18及び図19にはスライド弁G'が閉じ位置にある状態が示されており、図15及び図17にはスライド弁G'が開き位置にある状態が示されている。
【0108】
〔操作機構部〕
操作機構部Bは、操作者による操作部11に対する下向きの押圧操作をスライド弁G'に伝達させて当該スライド弁G'と共にスライド可能なスライド部Cと、スライド部Cを軸線Xに沿って閉じ位置側から開き位置側に向かう上向きに付勢する軸線付勢手段Dと、スライド部Cのスライドをガイドするガイド部20とからなる。
操作部11は、ガス流入路1Aの軸線Xと同軸上に配置されガス栓本体2の上部を覆う逆カップ状の操作ボタン10の上底部の上面として設けられている。
また、操作ボタン10は、軸線Xに沿って上下方向にスライド可能に設けられており、更に操作ボタン10の上底部の下面とガス栓本体2の上面との間には、ガス栓本体2に対し操作ボタン10を上向きに付勢するコイルバネ13が介挿されている。
尚、このコイルバネ13は、巻線部分が隣接間において互いに離間している通常のコイルバネが利用されており、軸線Xに沿って圧縮力を受けることで同軸線Xに沿って膨張力を発生する。
【0109】
スライド部Cは、軸線X周りに回転自在に設けられたガイドピン18と、当該ガイドピン18を軸線X周りの方向に付勢する回転付勢手段Eとを有して構成されている。
ガイドピン18は、軸線Xと同軸上に配置され当該軸線Xに沿ってスライド可能な円柱状の軸部材17の外表面において、軸部材17の円形断面の径外方向に向けて突出形成されている。
一方、回転付勢手段Eは、操作ボタン10における上底部の下面に一端部が固定され、上記軸部材17の上面に他端部が固定されて、ガス流入路1Aの軸線Xと同軸上に配置されたねじりコイルバネ15で構成されている。
尚、このねじりコイルバネ15は、巻線部分が隣接間において互いに密着しているコイルバネであり、ある回転方向にねじりモーメントを受けることで当該回転方向とは逆の回転方向(図15における右方向)に反発力を発生する。更に、かかるねじりコイルバネ15は、巻線部分が隣接間において互いに密着していることで、一端側から受けた操作部11の軸線Xに沿った下方向の押圧力を、他端側の軸部材17に伝達することができる。
ねじりコイルバネ15の両端部には、突起部16が設けられており、突起部16を含む巻線部分が、操作ボタン10における上底部の下面に形成された溝部12、及び軸部材17の上面に形成された溝部19に嵌め込まれることで、ねじりコイルバネ15の両端が操作ボタン10及び軸部材17に固定されている。
【0110】
軸線付勢手段Dは、巻線部分が隣接間において互いに離間している通常のコイルバネ24からなり、軸線Xに沿って圧縮力を受けることで同軸線Xに沿って膨張力を発生する。
このコイルバネ24は、スライド弁G'の下面と、弁収容部5の下方に設けられた筒状部材H1の上面との間に軸線Xに沿って圧縮状態で介挿されており、筒状部材H1の上面に対してスライド弁G'を上向きに付勢する形態で、スライド弁G'とスライド部Cとを軸線Xに沿って閉じ位置側から開き位置側に向かう上向きに付勢する。
【0111】
ガイド部20は、ガイドピン18が挿入されて当該ガイドピン18の軸線X上のスライド及び軸線X周りの回転を誘導するガイド溝22を外表面に形成した筒状部材21で構成されている。
更に、このガイド溝22には、操作部11に押圧力を付加してスライド弁G'を開き位置から閉じ位置まで変位させるときにガイドピン18をねじりコイルバネ15の付勢力に抗して回転させる回転誘導部22a、22bと、続いて当該押圧力を抜いたときにスライド弁G'を閉じ位置に維持する状態でコイルバネ24及びねじりコイルバネ15により付勢されるガイドピン18が係止する係止部22cとが形成されている。
そして、このような構成により、本実施形態のガス栓は、詳細については後述するが、操作部11に対する一の押圧操作により閉栓動作が行われ、それに続く操作部11に対する一の押圧操作により開栓動作が行われる所謂プッシュプッシュ式の開閉動作を実現している。
【0112】
図20(a)に示すように、このガイド溝22において、回転誘導部22a、22bの閉じ位置側の端部が、ねじりコイルバネ15の軸線X周りの付勢力に抗する回転方向において係止部22cより回転奥側(例えば図20(a)において左側)に位置する。回転誘導部22a、22bの閉じ位置側の端部から係止部22cにかけて、ガイド溝22がコイルバネ24の軸線Xに沿った付勢方向側(即ち上方側)に膨出してなる膨出部22dが形成されている。
よって、ガイドピン18が、その膨出部22dを介して、回転誘導部22a、22bの閉じ位置側の端部から係止部22cに向けてガイド溝22の上辺に沿って直接的に移動可能となり、係止部22cに適切に係止されるようになる。尚、この膨出部22dの形状等は適宜変更可能であり、また、膨出部22dを省略して、閉じ位置側回転誘導部22bの途中に上方に切れ込む係止部22cを形成し、閉じ位置側の端部にガイドピン18がある状態で操作部11に付加する押圧力f11を取り除いたときに、ガイドピン18が閉じ位置側回転誘導部22bを若干逆行しその途中にある係止部22cに係止されるように構成しても構わない。
【0113】
この回転誘導部22a、22bは、軸線X周りの方向において係止部22cよりも閉じ位置側に配置された閉じ位置側回転誘導部22bと係止部22cよりも開き位置側に配置された開き位置側回転誘導部22aとからなる。
更に、ガス流入路1Aの軸線Xの直交面をSとすると、閉じ位置側回転誘導部22bにおける直交面Sに対するガイド溝22のリード角αbが、開き位置側回転誘導部22aの同リード角αaよりも小さく設定されている。
即ち、閉栓動作において、操作部11に押圧力が付加され回転誘導部22a、22bに沿って誘導されるガイドピン18は、開き位置側から係止部22cが形成された位置までの間は開き位置側回転誘導部22aに沿って変位し、その係止部22cが形成された位置からそれよりも回転奥側に形成された閉じ位置側の端部までの間は閉じ位置側回転誘導部22bに沿って変位することになる。
そして、閉じ位置側回転誘導部22bのリード角αbが、開き位置側回転誘導部22aのリード角αaよりも小さいので、ねじりコイルバネ15の付勢力に抗してガイドピン18を閉じ位置側回転誘導部22bに沿って変位させるために必要な操作部11に対する押圧力は、開き位置側回転誘導部22aに沿って変位させるときよりも大きくなる。
以下、ガイド溝22の詳細構成について、本実施形態のガス栓の開閉動作時におけるガイド溝22におけるガイドピン18の遷移状態とあわせて、図20及び図21等に基づいて説明する。尚、図20及び図21において、ガイド溝22は、筒状部材21の外周面を平面に展開したときの状態で示されている。
【0114】
〔閉栓動作時〕
先ず、本実施形態のガス栓の閉栓動作時のガイド溝22におけるガイドピン18の位置の遷移状態について、図20等に基づいて説明する。
スライド弁G'が開き位置にあって開栓しているとき(図15参照)には、ガイドピン18は、図20(a)に示すように、ガイド溝22において回転誘導部22aの開き位置側の端部(図20(a)において右上端部)に位置している。
次に、操作部11に押圧力f11を付加し、その押圧力f11がスライド部Cに伝達されると、スライド部Cに設けられたガイドピン18は、図20(b)に示すように、ガイド溝22において開き位置側回転誘導部22aと閉じ位置側回転誘導部22bとの境界部に移動する。
この移動の際に、ガイドピン18は、コイルバネ24による軸線Xに沿った閉じ位置側から開き位置側へ向かう上向きの付勢力fdに抗して開き位置側から閉じ位置側へ向かう下向きに変位すると共に、ねじりコイルバネ15による軸線X周りの方向への付勢力feに抗して回転することになる。
即ち、開き位置側回転誘導部22aと閉じ位置側回転誘導部22bとの境界部に位置するガイドピン18には、図20(b)において、上向きの付勢力fdと右向きの付勢力feとが付加された状態となっている。
【0115】
更に、操作部11に比較的大きい押圧力f11を付加すると、ガイドピン18は、図20(c)に示すように、ガイド溝22において閉じ位置側回転誘導部22bの回転奥側(図20(c)の左側)の端部に移動し、それに伴ってスライド弁G'は閉じ位置(図18参照)に変位する。
この移動の際においても、ガイドピン18は、コイルバネ24による上向きの付勢力fdとねじりコイルバネ15による右向きの付勢力feに抗して左下方向に移動することになり、移動後のガイドピン18には、上向きの付勢力fdと右向きの付勢力feとが付加された状態となっている。
尚、これら付勢力fd、feは、ガイドピン18の左下方向への変位量が増加するに伴って増加するが、説明を簡単にするためにそれらの符号は同じものを使用する。
【0116】
次に、上記のように操作部11に対して付加していた押圧力f11を取り除くと、図20(d)に示すように、コイルバネ24による上向きの付勢力fdとねじりコイルバネ15による右向きの付勢力feによって、ガイドピン18は、膨出部22dに沿って右上方向にある係止部22cに当接する位置まで移動する。
そして、係止部22cのガイドピン18が当接する壁面の角度が、付勢力fd、feの合力が付加されているガイドピン18が回転誘導部22a、22b側に変位することを防止する角度に設定されているので、当該ガイドピン18の位置は係止部22cに係止された状態で保たれることになり、結果、図19に示すように、スライド弁G'が閉じ位置で維持されて、閉栓動作が完了する。
【0117】
〔開栓動作時〕
次に、本実施形態のガス栓の開栓動作時のガイド溝22におけるガイドピン18の位置の遷移状態について、図21等に基づいて説明する。
スライド弁G'が閉じ位置にあって閉栓しているとき(図19参照)には、ガイドピン18は、図21(a)に示すように、係止部22cに係止される位置にある。
次に、操作部11に比較的小さな押圧力f11'を付加し、その押圧力f11'がスライド部Cに伝達されると、スライド部Cに設けられたガイドピン18は、図21(b)に示すように、付勢力fd、feに抗して左下向きに若干変位することで、係止部22cにおける係止が解除された位置に変位する。
この際に、操作部11に付加される押圧力f11'は、上述した閉栓動作時に付加した押圧力f11よりも小さなものとなっているため、ガイドピン18は、例えば閉じ位置側回転誘導部22bに沿って閉じ位置側に変位することはない。
更に、閉じ位置側回転誘導部22bのリード角αbが開き位置側回転誘導部22aのリード角αaよりも小さく、ねじりコイルバネ15の付勢力feに抗してガイドピン18を閉じ位置側回転誘導部22bに沿って閉じ位置側へ変位させるためには比較的大きな押圧力が必要となるので、その押圧力よりも小さな押圧力f11'で操作部11を押圧した場合には、ガイドピン18が閉じ位置側回転誘導部22bに沿って回転奥側に変位することはない。
【0118】
次に、上記のように操作部11に対し付加されていた押圧力f11'を取り除くと、図15(c)に示すように、コイルバネ24による上向きの付勢力fdとねじりコイルバネ15による右向きの付勢力feによって、ガイドピン18は、開き位置側回転誘導部22aに沿って右上方向に移動し、結果、図15に示すように、それに伴ってスライド弁G'が閉じ位置から開き位置まで変位して、開栓動作が完了する。
尚、本実施形態では、ガイド溝22の回転誘導部を開き位置側回転誘導部22aと閉じ位置側回転誘導部22bとで構成したが、当該回転誘導部を一様のもので構成しても構わない。また、回転誘導部22a、22bのリード角αa、αbについては、一様のものとせずに、例えば開き位置側から閉じ位置側にかけて徐々に減少させるなど、適宜改変可能である。
【0119】
〔リセット手段〕
本実施形態のガス栓は、一定以上の流量のガスgが流れると当該ガス供給を遮断するために、図15に示すように、特定ガス流通路としてのガス流入路1Aには、過流出防止弁H2を備えた過流出防止機構Hが設けられており、更に、閉じ位置と開き位置との間でのスライド弁G'の移動により過流出防止弁H2をリセットさせるリセット操作を行うリセット手段Rが設けられている。
ここで、過流出防止弁H2及びリセット手段Rの構成については、上記第4実施形態の構成の一部を改変した構成を採用している。具体的には、第4実施形態にあっては、第1磁性体R13と第2磁性体R2との間には、磁力としての引力を発揮させていたが、本実施形態においては、反発力を発揮させている。このため、以下では、当該リセット手段Rにつき、第4実施形態から改変している部分を主に説明する。
本実施形態においては、リセット手段Rは、ガス流通路1の軸方向に移動自在で過流出防止機構Hの被操作部材H3を押圧操作可能な移動部材R4と、当該移動部材R4とスライド弁G'とを互いに引き付ける付勢力を発揮する第1付勢部材F1と、スライド弁G'の上流側端部からガス流通路1の上流側に伸びるようにスライド弁G'に一体的に形成された棒状部材の先端に設けられる第1磁性体R13と、当該第1磁性体R13との間で反発力を生じる状態で移動部材R4に設けられた第2磁性体R2とを備えて構成されている。
当該構成により、スライド弁G'が開き位置にあるときに過流出防止弁H2が作動位置に移動することでガス流通が阻止された状態(図17参照)で、スライド弁G'の開き位置から閉じ位置への移動(図17から図19への移動)に伴って、第1磁性体R13と第2磁性体R2との間の反発力が大きくなると共に、第1付勢部材F1による移動部材R4をスライド弁G'の側へ引き付ける力が弱まり、移動部材R4が、過流出防止機構Hの側へ移動する。これにより、過流出防止弁H2の弁座部H6への着座が解除されて、第3付勢部材F3の付勢力によって過流出防止弁H2が初期位置に復帰される形態で、リセット操作が行われる。
【0120】
<別実施形態>
(1)上記第1、2、3、4、5実施形態では、複数の流路部位における中心軸を同一として、ガス流通路1を直線状に設けているが、例えば、図10、11、12、13、14に示すように、ガス流通路1の中心軸が、その上流側部位から下流側部位にかけて、流路径方向にずらした直線状のガス流通路1を設けることもできる。このように、ガス流通路1をガス栓本体2の軸方向に沿う直線状に設けるとは、上記実施形態の如く、一直線状とするものに限らず、図10、11、12、13、14に示すように、流路径方向にずらしたものも含まれるものとする。
そして、図10、11、12、13、14に示すものでも、上記実施形態と同様に、ガス栓本体2自体は直線状に設けることができ、ガス栓本体2をコンパクトに構成することができる。
【0121】
(2)上記つまみ付きガス栓に係る第6実施形態では、図8に対応する実施形態のリセット手段Rを備えた例を示したが、これに限らず、図4、7、9に対応する実施形態のリセット手段Rを備えても、本願の目的を達成することができる。
【0122】
(3)これまで説明した実施形態では、スライド弁Gの外面がガス流通路1の内面に着座してガス流通路1を閉止する例を示したが、例えば、ガス流通路1の内面にシール部材を設け、当該シール部材にスライド弁Gが着座する形態で、ガス流通路1を閉止するようにしても構わない。
【0123】
(4)上記実施形態においては、第1磁性体R13又は第2磁性体R2に異物が付着して、当該異物により第1磁性体R13と第2磁性体R2との間に作用する磁力が阻害されることを防止すべく、第1磁性体R13と第2磁性体R2との間の空間を、ガス流通路1から隔離する筒状の部材を設けることが好ましい。当該筒状の部材は、伸縮性を有することが好ましく、第1磁性体R13と第2磁性体R2との間隔が変動する場合にも、その間隔の変動に追従して伸縮する状態で設けられる。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明のガス栓は、過流出防止機構の過流出防止弁をリセットするリセット手段において、当該リセット手段を比較的簡易な構成にて実現しながらも、当該リセット手段と他の部材との接触によるリセット手段の損傷を防止できるガス栓として、有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0125】
1 :ガス流通路
2 :ガス栓本体
2b :突出部
G :スライド弁
H :過流出防止機構
H2 :過流出防止弁
H3 :被操作部材(被操作部が設けられている部材)
100 :ガス接続具
105 :押圧部
P1 :ガス流通路の流路径方向に沿う第1軸心
R :リセット手段
R1 :第1磁性体
R2 :第2磁性体
R3 :付勢手段
R5 :揺動部材
R5a :操作部位
R5b :押圧作用部位
R6 :筒状支持部材
R7 :係合案内溝
R7a :傾斜溝
R7b :直線溝
R4 :上流側部材
R4a :案内面
R4b :開口部
R4c :押圧作用部位
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス流通路が内部に形成された筒状のガス栓本体に、閉じ位置と開き位置との間で前記ガス栓本体の軸方向に移動自在なスライド弁と、前記ガス流通路のガス流通方向で前記スライド弁よりも上流側に配置された過流出防止弁と、前記ガス流通方向で前記スライド弁と前記過流出防止弁との間に配置されて、前記と字位置と前記開き位置との間での前記スライド弁の移動により前記過流出防止弁をリセットさせるリセット操作を行うリセット手段とが備えられているガス栓に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、知られているガス栓としてのガスコンセントは、上流側からガスを流通するガス管に接続されると共に、下流側にガス器具などに接続しガスを導くガス接続具を装着可能に構成されている。ガス栓には、ガス接続具が装着された場合に、ガス接続具の押圧部にて押圧されてガス流通路を開弁させると共に、ガス接続具の装着が解除された場合に、押圧部による押圧が解除されてガス流通路を閉弁させるスライド弁が設けられており、万一、ガス栓からガス接続具が抜け落ちた場合であっても、ガス栓からガスが漏洩することを防止できるように構成されている。
さらに、ガス栓には、例えば、ガス接続具とガス器具とを接続するガス管が破損した場合、その破損した部位からガスが漏洩する事態を回避すべく、ガス流通路に一定以上のガス流量の流動圧が生じたときに、ガス流通路を遮断する過流出防止弁が設けられている。さらに、当該過流出防止弁がガス流通路を遮断している状態において、過流出防止弁がガス流通路を遮断している状態を解除するリセット操作を行うリセット手段が設けられている。
当該リセット手段は、ガス流通路の流路径方向に沿う軸心周りで揺動自在でガス流通路の軸方向に沿って2つの揺動部材から成り、下流側の揺動部材が、スライド弁のガス流通路を閉弁する閉じ位置から開弁する開き位置への移動に伴い、スライド弁にて押圧操作されると共に、上流側の揺動部材が下流側の揺動部材の揺動にて揺動されることで、他方側の揺動部材が過流出防止弁を作動位置から初期位置に復帰させるように構成されている(特許文献1を参照)。
【0003】
一方、上記のようなガス栓として、ガス栓本体へのガス接続具の装着とは関係なく、操作つまみ等の操作部に対する回転操作に伴って開閉弁である回動弁を回転させて開閉を行ってガスの供給及び停止を切り替える所謂回転式のガス栓(例えば、特許文献2を参照。)などが知られている。また、ガスコンロ等に内蔵されガス流入路とガス流出路との間の開閉を行ってガスの供給及び停止を切り替える開閉弁として、操作ボタン等の操作部に対する押圧操作に伴って開閉弁であるスライド弁をスライドさせて開閉を行う所謂プッシュプッシュ式の開閉弁(例えば、特許文献3を参照。)などが知られており、上記ガス栓についても、この開閉弁と同様にプッシュプッシュ式に構成することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実登2513850号
【特許文献2】特公平02−021660号公報
【特許文献3】特開平02−154918号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示の技術では、ガス接続具の押圧部と1つ目の揺動部材との接触、1つ目の揺動部材と2つ目の揺動部材との接触、2つ目の揺動部材と被操作部との接触の部材同士の接触を3つ行うことで、リセット操作及びリセット操作の解除を行っている。リセット操作及びリセット操作の解除が行われるたびに、部材同士が離間されたのち接触されることが繰り返されるので、部材の磨耗が早くなる。したがって、部材同士の接触は極力少なくするのが好ましいが、上記特許文献1に開示の技術では、部材同士の接触を3つも行っており、部材の劣化が早くなり、部材同士の接触の仕方によっては部材が損傷してしまうという問題が発生することになる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、過流出防止弁のリセット操作を行う際に、ガス栓本体に設けられ部材間の接触を防止して、部材の損傷を防止できるガス栓を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明のガス栓は、
ガス流通路が内部に形成された筒状のガス栓本体に、閉じ位置と開き位置との間で前記ガス栓本体の軸方向に移動自在なスライド弁と、前記ガス流通路のガス流通方向で前記スライド弁よりも上流側に配置された過流出防止弁と、前記ガス流通方向で前記スライド弁と前記過流出防止弁との間に配置されて、前記閉じ位置と前記開き位置との間での前記スライド弁の移動により前記過流出防止弁をその被操作部を前記ガス流通路の上流側へ押圧してリセットさせるリセット操作を行うリセット手段とが備えられているガス栓であって、その特徴構成は、
前記リセット手段は、前記閉じ位置と前記開き位置との間での前記スライド弁の移動に伴って磁力発生部材間に生じる磁力を作用させてその磁力発生部材間を非接触として動作させて前記リセット操作を行う非接触式の磁力作用手段を備えている点にある。
【0008】
本発明のガス栓の更なる特徴構成は、
前記磁力発生部材は、前記スライド弁と、前記ガス流通路の流路径方向に沿う軸心周りに揺動自在な揺動部材とから構成され、
前記被操作部に対して前記リセット操作を行う操作位置を揺動範囲に含む揺動方向の一方側に前記揺動部材を付勢する付勢手段が設けられ、
前記磁力作用手段は、前記スライド弁に設けられた第1磁性体と前記揺動部材に設けられた第2磁性体とから成り、前記第1磁性体と前記第2磁性体との間に生じる磁力としての反発力を前記揺動部材に作用させて、前記付勢手段の付勢力に抗して前記揺動部材を揺動させている点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、磁力発生部材として軸心周りで揺動自在な揺動部材を設け、当該被操作部に対してリセット操作を行う操作位置を揺動範囲に含む揺動方向の一方向に揺動部材を付勢する付勢手段を設けて、付勢手段の付勢力に抗して揺動部材を揺動方向の他方側に揺動部材を揺動させる磁力を揺動部材に作用させるので、例えば、付勢手段の付勢力により揺動部材を操作位置に揺動させてリセット操作を行いながら、磁力によって揺動部材を操作位置から外れた位置に揺動させてリセット操作の解除を行うことができる。したがって、付勢手段の付勢力による揺動部材の揺動と磁力による揺動部材の揺動とによって、リセット操作及びリセット操作の解除を適切に行うことができる。
また、例えば、スライド弁を揺動部材に接触させて揺動させるようにすると、スライド弁の移動力がそのまま揺動部材に作用することになり、揺動部材の劣化及び揺動部材の損傷を招き易いものとなる。そこで、本特徴構成では、スライド弁と揺動部材との間で、磁力を作用させて非接触で揺動部材を揺動させることができ、揺動部材の劣化及び揺動部材の損傷を効果的に防止することができる。
【0010】
本発明のガス栓の更なる特徴構成は、
前記磁力発生部材は、前記スライド弁と前記被操作部とから構成され、
前記リセット手段は、前記閉じ位置と前記開き位置との間で前記スライド弁が移動した場合に、前記被操作部に対して前記スライド弁に備えられた非接触操作部を接近離間させるように、前記閉じ位置と前記開き位置との間での前記スライド弁の移動を前記非接触操作部の動きに変換する第1運動変換機構を備え、
前記磁力作用手段は、前記非接触操作部に設けられた第1磁性体と前記被操作部に設けられた第2磁性体とから成り、前記第1磁性体と前記第2磁性体との間に生じる磁力としての反発力を前記被操作部に作用させて、前記非接触操作部にて非接触状態で前記被操作部に対して前記リセット操作を行う点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、過流出防止弁がガス流通路におけるガスの流動を阻止している状態において、閉じ位置と開き位置との間でスライド弁を移動させることにより、第1運動変換機構が、被操作部に対して非接触操作部を接近離間させるように、スライド弁の移動を非接触操作部の動きに変換する。ここで、非接触操作部には第1磁性体が設けられ、被操作部には第2磁性体が設けられているので、非接触操作部を被操作部に対して接近離間させることにより、第1磁性体と第2磁性体との間に生じる磁力としての反発力を被操作部に作用させることができる。これにより、非接触操作部にて非接触状態で被操作部に対して適切に、リセット操作を行うことができる。
結果、リセット操作において、被操作部への磁力としての反発力の作用状態を、非接触操作部と被操作部とが非接触の状態で切り替えることができ、被操作部の劣化及び損傷を効果的に防止することができる。
【0012】
本発明のガス栓の更なる特徴構成は、
前記非接触操作部を前記被操作部に接近させて前記非接触操作部にて非接触状態で前記被操作部に対して前記リセット操作を行う第1操作位置と、前記非接触操作部を前記被操作部から離間させて前記リセット操作を解除する第1操作解除位置とが、前記ガス流通路のガス流通方向に沿う軸心周りでの周方向に異なる位置に設定されており、
前記第1運動変換機構は、前記スライド弁が前記閉じ位置と前記開き位置との間で移動する場合に、前記ガス流通路のガス流通方向に沿って前記非接触操作部を移動させるスライド移動変換状態と前記ガス流通路のガス流通方向に沿う軸心周りに前記非接触操作部を回転させる回転運動変換状態とに切り換える形態で、前記スライド弁の移動を前記非接触操作部の動きに変換している点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、例えば、ガス流通路の軸方向において、第1運動変換機構をスライド移動変換状態として非接触操作部と被操作部との距離を近接させた後、第1運動変換機構を回転運動変換状態として、ガス流通方向に沿う軸心周りに非接触操作部を回転させて、第1操作位置を通過させたのち第1操作解除位置まで非接触操作部を回転させることができる。これにより、非接触操作部が第1操作位置を通過する際に、リセット操作を行うことができながら、最終的に非接触操作部を第1操作解除位置に位置されて、リセット操作を解除することができる。結果、リセット操作及びリセット操作の解除を適切且つ確実に行うことができる。
【0014】
本発明のガス栓の更なる特徴構成は、
前記非接触操作部を前記被操作部に接近させて前記非接触操作部にて非接触状態で前記被操作部に対して前記リセット操作を行う第2操作位置と、前記非接触操作部を前記被操作部から離間させて前記リセット操作を解除する第2操作解除位置とが、前記ガス流通路のガス流通方向に沿う軸心周りでの周方向に異なる位置に設定されており、
前記第1運動変換機構は、前記スライド弁が前記閉じ位置と前記開き位置との間で移動する場合に、その移動開始から移動終了まで前記ガス流通路のガス流通方向に沿う軸心周りに前記非接触操作部を回転させる形態で、前記スライド弁の移動を前記非接触操作部の動きに変換している点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、第2操作位置と第2操作解除位置を、ガス流通路のガス流通方向に沿う軸心周りでの周方向で異なる位置としており、第1運動変換機構が、スライド弁の移動開始から移動終了時まで、ガス流通路のガス流通方向に沿う軸心周りでの周方向に沿って非接触操作部を回転させて、第2操作位置を通過させたのち第2操作解除位置へ非接触操作部を移動させることができる。結果、非接触操作部を適切に移動させてリセット操作及びリセット操作の解除を適切且つ確実に行うことができる。また、第1運動変換機構は、非接触操作部をガス流通路の軸心周りでの周方向に沿って回転させるだけでよく、第1運動変換機構の構成の簡素化を図ることもできる。
【0016】
本発明のガス栓の更なる特徴構成は、
前記スライド弁を支持する支持部材が、前記ガス流通路のガス流通方向に摺動自在に前記ガス流通路に備えられ、
前記第1運動変換機構は、前記支持部材の外周に形成された係合案内溝と、前記ガス流通路の内壁部に形成されて前記係合案内溝に係合された被係合部とを備えている点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、被係合部が係合案内溝に係合することで、支持部材をそのままガス栓本体の軸方向に沿って移動させる或いは支持部材を回転させて、ガス栓本体の軸方向に沿って非接触操作部を移動させる或いはガス流通路の軸心周りでの周方向に沿って非接触操作部を回転させることができる。このように、被係合部を係合案内溝に係合させるという簡易な構成によって、第1運動変換機構によるスライド弁の移動を非接触操作部の移動への変換を適切に行うことができる。
【0018】
本発明のガス栓の更なる特徴構成は、
前記磁力発生部材は、前記スライド弁と、その上流側に設けられて前記リセット操作を行う上流側部材とから構成され、
前記磁力作用手段は、前記スライド弁に設けられた第1磁性体と、前記上流側部材に設けられた第2磁性体とから成り、前記第1磁性体と前記第2磁性体との間に生じる磁力としての引力を前記上流側部材に作用させて前記リセット操作を行う状態から前記リセット操作を解除する状態に切り替える、又は反発力を前記上流側部材に作用させて前記リセット操作を解除する状態から前記リセット操作を行う状態へ切り替える点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、スライド弁の上流側への移動(閉じ位置から開き位置への移動)に伴って、スライド弁に設けられた第1磁性体と上流側部材に設けられた第2磁性体との距離を近づけて、第1磁性体と第2磁性体との間に生じる磁力としての引力を上流側部材に作用させて、リセット操作を行う状態からリセット操作を解除する状態へと切り替える、又は第1磁性体と第2磁性体との間に生じる磁力としての反発力を上流側部材に作用させて、リセット操作を解除する状態からリセット操作を行う状態へと切り替えることができる。
逆に、スライド弁の下流側への移動(開き位置から閉じ位置への移動)に伴って、スライド弁に設けられた第1磁性体と上流側部材に設けられた第2磁性体との距離を遠ざけて、第1磁性体と第2磁性体との間に生じる磁力としての引力を解除して、リセット操作を解除する状態からリセット操作を行う状態へ切り替える、又は第1磁性体と第2磁性体との距離を遠ざけて、第1磁性体と第2磁性体との間に生じる磁力としての反発力を解除して、リセット操作を行う状態からリセット操作を解除する状態へ切り替えることができる。
【0020】
本発明のガス栓の更なる特徴構成は、
前記リセット手段は、前記ガス流通路のガス流通方向に沿う軸心周りに回転自在な回転部材と、前記閉じ位置と前記開き位置との間での前記スライド弁の移動を前記回転部材の回転運動に変換自在な第2運動変換機構とを備え、
前記磁力作用手段は、前記回転部材に設けられた第1磁性体と前記被操作部に設けられた第2磁性体とから成り、前記第1磁性体と前記第2磁性体との間に生じる磁力としての反発力を前記被操作部に作用させて、前記回転部材にて非接触状態で前記被操作部に対して前記リセット操作を行うように構成されている点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、閉じ位置と開き位置との間でスライド弁が移動した場合に、第2運動変換機構によってそのスライド弁の移動が回転部材の回転運動に変換され、その回転部材の回転運動によって回転部材に設けられた第1磁性体を、被操作部に設けられた第2磁性体に近接させることができる。そして、これにより、第1磁性体と第2磁性体との間に生じる磁力としての反発力を被操作部に作用させて、回転部材にて非接触状態で被操作部に対してリセット操作を行うことができる。
しかも、上記特徴構成によれば、第2運動変換機構は、閉じ位置から開き位置へのスライド弁の移動を回転部材の回転運動に変換するとともに、開き位置から閉じ位置へのスライド弁の移動をも回転部材の回転運動に変換することができるので、閉じ位置から開き位置へスライド弁が移動する場合と開き位置から閉じ位置へスライド弁が移動する場合との両者において、リセット操作を行うことができ、過流出防止弁のリセット操作・リセット解除操作を適切に行うことができる。
【0022】
本発明のガス栓の更なる特徴構成は、
前記ガス流通路は、上流側から順に、前記過流出防止弁、前記リセット手段、前記スライド弁を備えて、前記ガス栓本体の軸方向に沿う直線状に設けられている点にある。
【0023】
上記特徴構成によれば、ガス流通路は、過流出防止弁、リセット手段、スライド弁の全てを備えながら、ガス栓本体の軸方向に沿う直線状に設けられているので、ガス栓本体をコンパクトに構成することができながら、過流出防止弁とリセット手段とスライド弁とをガス栓本体の軸方向に隣接する状態で直線状に並べて配置することができる。したがって、過流出防止弁とリセット手段とスライド弁との位置関係を簡易なものとすることができ、スライド弁の移動を利用して過流出防止弁をリセットさせるリセット手段の構成の簡素化をより一層図ることができるとともに、リセット手段によるリセット操作及びリセット操作の解除についても適切に行うことができる。しかも、ガス栓本体を直線状とすることで、ガス栓を設置する場合に、ガス栓本体に接続するガス配管と同軸にガス栓を設置することが可能となり、設置スペースの縮小を図ることができる。更に、ガス栓本体を直線状とすることで、ガス栓を壁内に埋め込む形態や壁を貫通する形態にて設置する場合に、壁に形成する開口部の面積を小さくすることができる。
【0024】
本発明のガス栓の更なる特徴構成は、
前記スライド弁が、前記ガス栓本体に対するガス接続具の装着及び取り外しに伴って前記閉じ位置と前記開き位置との間で移動する点にある。
【0025】
即ち、本発明に係るガス栓は、スライド弁が前記ガス栓本体に対するガス接続具の装着及び取り外しに伴って前記閉じ位置と前記開き位置との間で移動するようにして、所謂ガスコンセントとして構成できる。
【0026】
本発明のガス栓の更なる特徴構成は、
前記スライド弁が、操作部に対する押圧操作に伴って前記閉じ位置と前記開き位置との間で移動する点にある。
【0027】
このように本発明のガス栓は、スライド弁が操作部に対する押圧操作に伴って前記閉じ位置と前記開き位置との間で移動するようにして、所謂プッシュプッシュ式のガスコックとして構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1実施形態においてガス接続具がガス栓本体から取り外された状態を示す断面図
【図2】第1実施形態においてガス接続具がガス栓本体に装着された状態を示す断面図
【図3】第1実施形態に係るガス栓の作動状態を示す一部断面図
【図4】第2実施形態に係るガス栓の作動状態を示す一部断面図
【図5】第2実施形態に係るスライド弁の拡大断面図
【図6】第2実施形態に係るリセット手段の斜視図
【図7】第3実施形態に係るガス栓の作動状態を示す一部断面図
【図8】第4実施形態に係るガス栓の作動状態を示す一部断面図
【図9】第5実施形態に係るガス栓の作動状態を示す一部断面図
【図10】第1実施形態に係るガス栓においてガス流通路の中心軸がずれている場合を示す一部断面図
【図11】第2実施形態に係るガス栓においてガス流通路の中心軸がずれている場合を示す一部断面図
【図12】第3実施形態に係るガス栓においてガス流通路の中心軸がずれている場合を示す一部断面図
【図13】第4実施形態に係るガス栓においてガス流通路の中心軸がずれている場合を示す一部断面図
【図14】第5実施形態に係るガス栓においてガス流通路の中心軸がずれている場合を示す一部断面図
【図15】第6実施形態のガス栓の開栓時の状態を示す側断面図
【図16】第6実施形態のガス栓のスライド弁及び操作機構部を示す分解斜視図
【図17】第6実施形態のガス栓の過流出防止弁の作動時の状態を示す側断面図
【図18】第6実施形態のガス栓の閉栓動作途中の状態を示す側断面図
【図19】第6実施形態のガス栓の閉栓時の状態を示す側断面図
【図20】第6実施形態における閉栓動作時のガイド溝におけるガイドピンの位置の遷移状態を説明する説明図
【図21】第6実施形態における開栓動作時のガイド溝におけるガイドピンの位置の遷移状態を説明する説明図
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明に係るガス栓は、ガス栓本体2のガス流通路1に一定以上のガス流量の流動圧が発生したときに作動して、ガスの流通を阻止する過流出防止弁H2を備えるものにおいて、当該過流出防止弁H2の作動を磁力によりリセットするリセット手段Rが設けられている点に特徴がある。
そこで、以下では、まずガス栓の基本構成として、ガス栓本体2及びガス栓本体2に接続するガス接続具100の基本構成について説明し、その後、本発明の特徴構成であるリセット手段Rについて説明する。
【0030】
<第1実施形態>
この第1実施形態のガス栓は、図1及び図2に示すように、ガス流通路1が内部に形成された円筒状のガス栓本体2を備えており、そのガス栓本体2にガス接続具100を装着することでガス流通路1でのガス流通によりガス接続具100に接続されたガス器具へのガス供給を行い、ガス栓本体2からガス接続具100を取り外すことでガス流通路1でのガス流通を停止してガス器具へのガス供給を停止する、所謂ガスコンセントとして構成されている。図1は、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外している状態を示しており、図2は、ガス接続具100をガス栓本体2に装着している状態を示している。
【0031】
ガス栓本体2には、ガス流通路1を開閉自在なスライド弁Gと、ガス流通路1でのガス流量が一定以上の過流量となった場合にガス流通を阻止する過流出防止弁H2と、ガス接続具100のガス栓本体2からの取り外しが行われた場合に過流出防止弁H2をリセットさせるリセット操作を行うリセット手段Rとが備えられている。ここで、リセット操作は、過流出防止弁H2における被操作部材H3をガス流通路1の上流側へ押圧する操作となっている。
【0032】
ガス流通路1は、その流路断面を円形状とし、ガス栓本体2の軸方向(図1及び図2中X方向)に沿う直線状に設けられており、ガス栓本体2の軸方向とガス流通路1のガス流通方向が同一方向となっている。ガス流通路1は、流路径が変更された複数の流路部位1a〜1gから構成されており、ガス流通方向の上流側(図1及び図2中X方向の右側)から順に、過流出防止弁H2を備えた過流出防止機構H、リセット手段R、スライド弁Gが備えられている。複数の流路部位として、ガス流通方向の上流側から順に、第1流路部位1a、第2流路部位1b、第3流路部位1c、第4流路部位1d、第5流路部位1e、第6流路部位1f、第7流路部位1gが備えられている。第1流路部位1aは、ガス流入口(図示省略)に連通されており、第2流路部位1bは、第1流路部位1aよりも流路径が小さく形成されており、過流出防止機構Hが配置されている。第3流路部位1cは、第2流路部位1bよりも流路径が小さく形成されており、リセット手段Rが配置されている。第4流路部位1dは、第3流路部位1cよりも流路径が小さく形成されており、第5流路部位1eは、第3流路部位1cよりも流路径が大きく形成されている。第6流路部位1fは、第5流路部位1eよりも流路径が小さく形成されており、第7流路部位1gは、上流側よりも下流側の方が流路径を小さくする傾斜状に形成されており、ガス栓本体2の先端部に形成されたガス流出口3に連通されている。
【0033】
スライド弁Gは、ガス流通路1における第6流路部位1fを閉弁自在な第1弁体G1と、ガス流通路1における第7流路部位1gを閉弁自在な第2弁体G2とを備えている。
第1弁体G1は、第6流路部位1fと第5流路部位1eとに亘ってガス栓本体2の軸方向に沿って移動自在に設けられている。第1弁体G1の上流側端部部位の外径が第6流路部位1fの流路径と同一となっており、第1弁体G1が着座する弁座部が第6流路部位1fの内壁部にて構成されている。第1弁体G1は、第6流路部位1fに移動した場合に第6流路部位1fを閉じる閉じ位置に位置し、第5流路部位1eに移動した場合にガス流通を許容する開き位置に位置する。第1弁体G1は、第1付勢部材F1によって閉じ位置に復帰するように付勢されており、ガス接続具100がガス栓本体2から取り外されている場合には、閉じ位置に位置して第6流路部位1fを閉弁している。
【0034】
第2弁体G2は、第6流路部位1fと第7流路部位1gとに亘ってガス栓本体2の軸方向に沿って移動自在に設けられている。第2弁体G2の下流側端部部位の外径が第7流路部位1gの傾斜部位の流路径と同一となっており、第2弁体G2が着座する弁座部が第7流路部位1gの傾斜部位にて構成されている。第2弁体G2は、第7流路部位1gに移動した場合に第7流路部位1gを閉じる閉じ位置に位置し、第6流路部位1fに移動した場合にガス流通を許容する開き位置に位置する。第2弁体G2は、第2付勢部材F2によって閉じ位置に復帰するように付勢されており、ガス接続具100がガス栓本体2から取り外されている場合には、閉じ位置に位置して第7流路部位1gを閉弁している。
このようにして、スライド弁Gを構成する第1弁体G1と第2弁体G2の両者は、ガス栓本体2の軸方向に沿って閉じ位置と開き位置との間で移動自在で、ガス流通路1を閉じる閉じ位置に復帰するように付勢されている。
【0035】
ガス栓本体2に対して装着及び取り外し自在なガス接続具100について説明する。このガス接続具100は、既に公知の構成であるので、詳細な説明は省略して簡単に説明する。
ガス接続具100は、第1コイルバネ101により前方側(図1及び図2中X方向の右側)に付勢される突出部材102と、ロック用ボール103と、ロック用ボール103の位置を径方向の内側から規制するとともに、ガス栓本体2の先端部に当接して押圧されて引退する内径部材104と、ガス栓本体2に装着される際にスライド弁Gを押圧する棒状の押圧部105とを備えている。
【0036】
ガス接続具100をガス栓本体2に装着する場合には、図2に示すように、ガス栓本体2の先端部が内径部材104に当接して内径部材104を第2コイルバネ106の付勢力に抗して引退させる。内径部材104の引退によりロック用ボール103が径方向の内側に移動して、ガス栓本体2に形成された嵌込溝2aにロック用ボール103が嵌り込んで、突出部材102が第1コイルバネ101の付勢力により前方側(図2中X方向の右側)に突出する。このように、ガス接続具100のロック用ボール103がガス栓本体2の嵌込溝2aに嵌り込むことで、ガス接続具100がガス栓本体2に外嵌装着される。ガス接続具100がガス栓本体2に装着される際に、ガス接続具100の押圧部105にてスライド弁Gが押圧される。この押圧部105によるスライド弁Gに対する押圧によって、第1弁体G1と第2弁体G2の両者が、ガス栓本体2の軸方向に沿ってガス流通路1の上流側(図2中X方向の右側)に移動して、閉じ位置から開き位置に移動することになり、ガス流通路1が開弁されてガス器具へのガス供給が行われる。
【0037】
ガス接続具100をガス栓本体2から取り外す場合には、突出部材102を第1コイルバネ101の付勢力に抗して押込操作することで、嵌込溝2aへのロック用ボール103の嵌り込みが解除されるので、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外すことができる。そして、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外すと、スライド弁Gに対する押圧部105による押圧が解除され、第1弁体G1と第2弁体G2の両者が、付勢部材F1,F2の付勢力によって、ガス栓本体2の軸方向に沿ってガス流通路1の下流側(図2中X方向の右側)に移動して、開き位置から閉じ位置に復帰されてガス流通路1が閉弁される。
【0038】
過流出防止機構Hは、ガス流通路1の第2流路部位1bに配置されており、内部にガスを流通する流路が形成された筒状部材H1を備えている。筒状部材H1の内部には、ガス流通を許容する初期位置とガス流通を阻止する作動位置とにガス栓本体2の軸方向に移動自在な過流出防止弁H2と、リセット手段Rからリセット操作としてのガス流通路1の上流側への押圧操作を受ける被操作部材H3(被操作部に相当する)と、過流出防止弁H2及び被操作部材H3をガス栓本体2の軸方向に移動自在に支持する支持部材H4とが備えられている。
【0039】
過流出防止弁H2は、第3付勢部材F3によって、作動位置よりも上流側の初期位置に復帰するように付勢されており、当接部材H5に当接することで初期位置に位置保持されている。そして、過流出防止弁H2は、ガス流量が一定以上の過流量となると、そのガス流量の流動圧によって初期位置から作動位置に移動自在に備えられており、作動位置に移動した過流出防止弁H2が弁座部H6に着座してガス流通を阻止している。
【0040】
支持部材H4は、その内部がガス栓本体2の軸方向に貫通する円筒状に形成されている。支持部材H4の上流側部位は、過流出防止弁H2の軸部H2aに外嵌して、ガス栓本体2の軸方向に移動自在に過流出防止弁H2を支持している。支持部材H4の下流側部位は、被操作部材H3に外嵌して、ガス栓本体2の軸方向に移動自在に被操作部材H3を支持している。
【0041】
被操作部材H3の上流側部位H3aは、ガス栓本体2の軸方向に延びる棒状に形成されており、支持部材H4に内嵌されて、ガス栓本体2の軸方向に移動自在に支持されている。被操作部材H3の下流側部位は、ガス流通路1の流路径方向の中央部に下流側に突出する頭部H3bが備えられた概略円錐状に形成されている。頭部H3bの径方向の外側には、径方向の外側に延びる脚部H3cを備えており、その脚部H3cの先端部が筒状部材H1に形成された係合溝H1aに係合されている。図示は省略するが、脚部H3cは、周方向で間隔を隔てて複数備えられており、脚部H3c同士の間をガスが流通している。被操作部材H3は、第4付勢部材F4によって下流側部位の頭部H3bが筒状部材H1からガス流通路1の下流側に突出する突出位置に復帰するように付勢されており、脚部H3cが係合溝H1aの端部に当接して突出位置に位置保持されている。
【0042】
支持部材H4は、初期位置に位置する過流出防止弁H2と突出位置に位置する被操作部材H3との間に、初期位置から作動位置までの移動量に相当する間隔を隔てる状態で、過流出防止弁H2と被操作部材H3をガス栓本体2の軸方向に移動自在に支持している。これにより、過流出防止機構Hは、突出位置に位置する被操作部材H3がガス流通路1の上流側へ押圧されるリセット操作が解除されている場合に、過流出防止弁H2の初期位置から作動位置への移動を許容している。
一方、一定以上のガス流量の流動圧によって過流出防止弁H2が作動位置に移動すると、作動位置に移動した過流出防止弁H2と突出位置に位置する被操作部材H3とが当接するようになっている。突出位置に位置する被操作部材H3がガス流通路1の上流側へ押圧されるリセット操作を受けた場合には、被操作部材H3と過流出防止弁H2との当接により被操作部材H3と過流出防止弁H2が一体的にガス流通路1の上流側へ移動することになり、過流出防止弁H2の弁座部H6への着座が解除されて、上流側からのガス圧が解除され、第3付勢部材F3の付勢力によって過流出防止弁H2が初期位置に復帰される。このようにして、過流出防止機構Hは、突出位置に位置する被操作部材H3がガス流通路1の上流側へ押圧されるリセット操作を受けた場合に、過流出防止弁H2を初期位置に復帰させている。
【0043】
リセット手段Rは、ガス接続具100のガス栓本体2からの取り外しが行われた場合に、ガス栓本体2の軸方向でのスライド弁Gの閉じ位置への移動に伴って、過流出防止弁H2を初期位置に復帰させるために被操作部材H3の頭部H3bをガス流通路1の上流側へ押圧するリセット操作を行うように構成されている。
【0044】
リセット手段Rは、詳細については後述するが、閉じ位置と開き位置との間でのスライド弁Gの移動に伴って、スライド弁G(磁力発生部材の一例)とガス流通路1の流路径方向に沿う第1軸心P1周りに揺動自在な揺動部材R5(磁力発生部材の一例)との間に生じる磁力を作用させ、スライド弁Gと揺動部材R5とを非接触状態で、揺動部材R5を動作させてリセット操作を行う非接触式に構成されている。
説明を加えると、リセット手段Rとして、被操作部材H3の頭部H3bに対してリセット操作を行う操作位置(図3(a)参照)を揺動範囲に含む揺動方向の一方向に揺動部材R5を付勢する付勢部材R3(付勢手段に相当する)が備えられるとともに、スライド弁Gに設けられた第1磁性体R13(磁力作用手段の一例)と揺動部材R5に設けられた第2磁性体R2(磁力作用手段の一例)とが備えられている。そして、第1磁性体R13と第2磁性体R2との間に生じる磁力としての反発力を揺動部材R5に作用させて、付勢部材R3の付勢力に抗して揺動部材R5を揺動させるように構成されている。
【0045】
揺動部材R5は、ガス流通路1の流路径方向に沿う第1軸心P1を中心として一端側に操作部位R5aを有するとともに、他端側に被操作部材H3を押圧する押圧作用部位R5bとを備えて構成されている。詳細については、後述するが、上記操作部位R5aは磁力作用手段にて磁力が作用される部位である。
揺動部材R5の揺動支点は上記第1軸心P1であり、当該第1軸心P1は、ガス流通路1の径方向の中央部に配置されている。磁力作用手段の磁力が作用する押圧作用部位R5bは、ガス流通路1の径方向の中央部から端部側に外れた偏芯位置に配置されている。そして、揺動部材R5は、図1に示すように、操作位置に位置する場合に、操作部位R5aをガス流通路1の径方向の端部に位置されるとともに、押圧作用部位R5bをガス流通路1の径方向の中央部に位置させるL字状に形成されている。
【0046】
さらに、揺動部材R5は、付勢部材R3によって、揺動方向の一方側(図1、2、3で、反時計回り側)に揺動して操作位置(図3(a)及び図3(d))に復帰するように付勢されている。図3(d)に示すように、押圧作用部位R5bは、傾斜面を備えており、揺動部材R5が操作位置に揺動することで、その傾斜面を被操作部材H3の頭部H3bに当接させて、頭部H3bをガス流通路1の上流側へ押圧するリセット操作を行うようにしている。
【0047】
磁力作用手段としての第1磁性体R13及び第2磁性体R2について説明を加えると、第1磁性体R13は、スライド弁Gである第2弁体G2の揺動部材R5側の端部からガス流通路1の上流側に延びる棒状部位G1aの先端部に設けられ、第2磁性体R2は、揺動部材R5の操作部位R5aに設けられている。
第1磁性体R13と第2磁性体R2とは、ガス栓本体2の軸方向で互いに対向するとともに、互いに磁力としての反発力を作用させる状態で、配置されている。本実施形態では、第1磁性体R13と第2磁性体R2とを互いに永久磁石として構成し、互いに同じ磁極が対向する状態で配置することで、反発力を作用させている。第1磁性体R13と第2磁性体R2とは、図3(b)及び図3(c)に示すように、閉じ位置から開き位置へのスライド弁Gの移動に伴って、第1磁性体R13が、ガス栓本体2の軸方向に沿ってガス流通路1の上流側へ移動して、第1磁性体R13と第2磁性体R2とを接近させ、揺動部材R5の操作部位R5aを磁力による反発力により押圧し、揺動部材R5を操作位置から揺動方向の他方側(図1、2、3で、時計回り側)に外れた位置に揺動部材R5を押圧揺動させている。
以上の構成を採用することにより、リセット手段Rとしての磁力作用手段は、スライド弁Gと揺動部材R5とが非接触の状態で、被操作部材H3へのガス流通路1の上流側への押圧又は押圧解除を切り替えるように働く。
【0048】
以下、図3に基づいて、スライド弁G、過流出防止機構H、リセット手段Rの動きについて説明する。
図3(a)は、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外している状態を示している。図3(b)は、ガス接続具100をガス栓本体2に装着した状態を示している。図3(c)は、ガス接続具100をガス栓本体2に装着しているときに、過流出防止弁H2が初期位置から作動位置に移動した状態を示している。図3(d)は、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外すことでリセット操作を行う状態を示している。
【0049】
図3(a)に示すように、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外している場合には、スライド弁Gが閉じ位置に位置しており、ガス流通路1がスライド弁Gにて閉弁されている。このとき、揺動部材R5は、付勢部材R3の付勢力によって操作位置に復帰するように付勢されているので、揺動部材R5の押圧作用部位R5bが、被操作部材H3の頭部H3bをガス流通路1の上流側へ押圧するリセット操作を行う。このリセット操作によって過流出防止弁H2が初期位置に復帰される。図3(a)では、過流出防止弁H2については初期位置に復帰された状態を示している。
【0050】
図3(b)に示すように、ガス接続具100をガス栓本体2に装着すると、ガス接続具100の押圧部105がスライド弁Gをガス流通路1の上流側に押圧して、スライド弁Gが閉じ位置から開き位置に移動してガス流通路1を開弁させる。このとき、スライド弁Gの移動に伴って、第1磁性体R13と第2磁性体R2とが接近して磁力としての反発力を発揮し、当該反発力により揺動部材R5の操作部位R5aが押圧され、揺動部材R5が揺動方向の他方側(図3(b)で時計回り)に揺動し、揺動部材R5が操作位置から外れた位置に揺動される。この揺動部材R5の揺動によって、揺動部材R5の押圧作用部位R5bが、被操作部材H3の頭部H3bをガス流通路1の上流側へ押圧するリセット操作が解除される。リセット操作が解除されると、被操作部材H3は、第4付勢部材F4の付勢力によって頭部H3bが突出位置に復帰される。このようにして、被操作部材H3が突出位置に復帰されると、被操作部材H3と過流出防止弁H2との間に、過流出防止弁H2の初期位置から作動位置への移動を許容するスペースが形成される。
【0051】
図3(c)に示すように、ガス流量が一定以上の過流量となると、そのガス流量の流動圧によって過流出防止弁H2がガス栓本体2の軸方向に沿ってガス流通路1の下流側に移動して、過流出防止弁H2が初期位置から作動位置へ移動する。これにより、過流出防止弁H2が作動位置に移動することでガス流通が阻止される。
【0052】
図3(d)に示すように、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外すと、ガス接続具100の押圧部105によるスライド弁Gに対するガス流通路1の上流側への押圧が解除されて、第1付勢部材F1及び第2付勢部材F2の付勢力によってスライド弁Gがガス栓本体2の軸方向に沿ってガス流通路1の下流側に移動する。このとき、スライド弁Gの移動に伴って、第1磁性体R13と第2磁性体R2とが離間し、揺動部材R5の操作部位R5aへ作用していた反発力が解除され、付勢部材R3の付勢力によって揺動部材R5が揺動方向の一方側(図中反時計回り)に揺動して操作位置に復帰される。揺動部材R5が操作位置に復帰すると、揺動部材R5の押圧作用部位R5bが、被操作部材H3の頭部H3bをガス流通路1の上流側へ押圧するリセット操作が行われて、図3(a)に示すように、過流出防止弁H2が初期位置に復帰される。
【0053】
<第2実施形態>
第2実施形態についても、リセット手段Rに対し、磁力を利用してリセット操作を行う点は、第1実施形態と共通しているが、磁力の利用する構成が第1実施形態と異なる。以下では、第1実施形態と相違する構成について説明し、同一の構成については同じ符号を付し、その説明を割愛することがある。
【0054】
リセット手段Rは、ガス接続具100のガス栓本体2からの取り外しが行われた場合のガス栓本体2の軸方向でのスライド弁Gの開き位置から閉じ位置への移動途中、及び、ガス接続具100をガス栓本体2に装着する場合のガス栓本体2の軸方向でのスライド弁Gの閉じ位置から開き位置への移動途中に、過流出防止弁H2を初期位置に復帰させるために被操作部材H3をガス流通路1の上流側へ押圧するリセット操作を行い、スライド弁Gの移動終了時には、被操作部材H3に対するリセット操作を解除するように構成されている。
【0055】
詳細については後述するが、図4に示すように、リセット手段Rは、被操作部材H3に対してスライド弁Gに備えられた非接触操作部R1を接近離間させるように、閉じ位置と開き位置との間でのスライド弁Gの移動を非接触操作部R1の動きに変換する第1運動変換機構R12と、非接触操作部R1(磁力発生部材の一例)に設けられた第1磁性体R13(磁力作用手段の一例)と、被操作部材H3(磁力発生部材の一例)に設けられた第2磁性体R2(磁力作用手段の一例)とを備えている。そして、リセット手段Rは、第1磁性体R13と第2磁性体R2との間に生じる磁力としての反発力を被操作部材H3に作用させて、非接触操作部R1にて非接触状態で被操作部材H3に対してリセット操作を行うように構成されている。
【0056】
非接触操作部R1は、ガス流通路1の上流側に延びてその上流側端部を球面状とし、第1弁体G1に一体形成された突起部にて構成されている。
【0057】
第1磁性体R13と第2磁性体R2とは、ガス栓本体2の軸方向で互いに対向するとともに、互いに磁力としての反発力を作用させる状態で、配置されている。本実施形態では、第1磁性体R13と第2磁性体R2とを互いに永久磁石として構成し、互いに同じ磁極が対向する状態で配置することで、反発力を作用させている。
以上の構成を採用することにより、リセット手段Rとしての磁力作用手段は、第1磁性体R13と第2磁性体R2とが接近した場合に、第1磁性体R13と第2磁性体R2との間の磁力としての反発力を作用させ、非接触操作部R1と被操作部材H3とが非接触の状態で、被操作部材H3をガス流通路1の上流側へ移動させる。
【0058】
上述の如く、リセット操作は、第1磁性体R13と第2磁性体R2との間に生じる磁力としての反発力を被操作部材H3に作用させて、被操作部材H3を上流側へ移動させる操作である。そこで、図4に示すように、非接触操作部R1を被操作部材H3に接近させて非接触操作部R1にて非接触状態で被操作部材H3に対してリセット操作を行う第1操作位置(図4(d)参照)と、非接触操作部R1を被操作部材H3から離間させてリセット操作を解除する第1操作解除位置(図4(b)及び(c))参照)とが、ガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心周りでの周方向で異なる位置に設定される。
【0059】
被操作部材H3は、ガス流通路1の流路径方向の中央部から端部側に外れた偏心位置に配置されており、第1操作位置は、図4(d)に示すように、偏心位置に配置された被操作部材H3に非接触操作部R1を接近させる偏心位置となっている。それに対して、第1操作解除位置は、図4(b)及び(c)に示すように、ガス流通路1の軸心周りでの周方向で第1操作位置とは異なる位置であり、非接触操作部R1を被操作部材H3から離間させる位置となっている。また、図4(a)では、ガス栓本体2の軸方向において、非接触操作部R1を被操作部材H3から離間させる位置となっている。
【0060】
第1運動変換機構R12は、図5及び図6に示すように、第1弁体G1と第2弁体G2を支持する筒状支持部材R6の外周に形成された係合案内溝R7と、ガス流通路1の内壁部に形成されて係合案内溝R7に係合された突起状の被係合部2bとを備えている。筒状支持部材R6は、ガス流通路1のガス流通方向に摺動自在にガス流通路1に備えられている。係合案内溝R7は、ガス流通路1の上流側部位がガス流通方向に沿う直線状の直線溝R7bとなっており、その直線溝R7bの下流側端部から下流側に連続する連続部位が傾斜溝R7aとなっている。これにより、スライド弁Gの移動中に被係合部2bが直線溝R7bに係合案内されている場合には、筒状支持部材R6をそのままガス栓本体2の軸方向に沿って移動させて、非接触操作部R1をガス流通路1のガス流通方向に沿って移動させるスライド移動変換状態に切り替えられる。また、スライド弁Gの移動中に被係合部2bが傾斜溝R7aに係合案内されている場合には、ガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心周りに回転させる回転運動変換状態に切り替えられる。このように、第1運動変換機構R12は、スライド移動変換状態と回転運動変換状態とに切り替える形態で、スライド弁Gの移動を非接触操作部R1の動きに変換している。
【0061】
第1運動変換機構R12は、閉じ位置から開き位置へスライド弁Gが移動する場合に、図4(a)の状態から図4(b)の状態になるように、その移動初期にはスライド移動変換状態として、ガス流通方向に沿って上流側に非接触操作部R1を移動させて、その後、スライド移動変換状態から回転運動変換状態に切り替えて、ガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心周りに非接触操作部R1を回転させている。そして、第1運動変換機構R12は、回転運動変換状態に切り替えた状態で、第1操作位置を通過させた後、最終的に第1操作解除位置まで非接触操作部R1を回転させている。
逆に、開き位置から閉じ位置へスライド弁Gが移動する場合に、第1運動変換機構R12は、その移動初期には、図4(c)の状態から図4(d)の状態になるように、回転運動変換状態として、ガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心周りに非接触操作部R1を回転させて、その後、回転運動変換状態からスライド移動変換状態に切り替えて、ガス流通方向に沿って下流側に非接触操作部R1を移動させている。そして、第1運動変換機構R12は、移動初期の回転運動変換状態において、第1操作解除位置から第1操作位置を通過させて非接触操作部R1を回転させている。
【0062】
以下、図4に基づいて、スライド弁G,過流出防止機構H、リセット手段Rの動きについて説明する。
図4(a)は、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外している状態を示している。図4(b)は、ガス接続具100をガス栓本体2に装着した状態を示している。図4(c)は、ガス接続具をガス栓本体2に装着しているときに、過流出防止弁H2が初期位置から作動位置に移動した状態を示している。図4(d)は、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外すことでリセット操作を行う状態を示している。
【0063】
図4(a)に示すように、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外している場合には、スライド弁Gが閉じ位置に位置しており、ガス流通路1がスライド弁Gにて閉弁されている。このとき、第1運動変換機構R12は、被係合部2bを係合案内溝R7の上流側端部まで係合案内しており、この係合案内によって、ガス流通方向で被操作部材H3から離間した位置に非接触操作部R1を位置させている。
【0064】
図4(b)に示すように、ガス接続具100をガス栓本体2に装着すると、ガス接続具100の押圧部105がスライド弁Gをガス流通路1の上流側に押圧して、スライド弁Gが閉じ位置から開き位置へ移動してガス流通路1を開弁させる。このとき、第1運動変換機構R12は、被係合部2bを係合案内溝R7にて係合案内することで、スライド弁Gの移動を非接触操作部R1の移動に変換している。第1運動変換機構R12は、スライド弁Gの移動初期にスライド移動変換状態として、ガス流通路1のガス流通方向に沿って上流側に非接触操作部R1を移動させて、その後、回転運動変換状態に切り替えて、ガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心周りに非接触操作部R1を回転させている。そして、第1運動変換機構R12は、回転運動変換状態に切り替えた状態で、第1操作位置を通過させた後、最終的に第1操作解除位置まで非接触操作部R1を回転させている。第1操作位置では、非接触操作部R1に設けられた第1磁性体R13と被操作部材H3に設けられた第2磁性体R2との間に磁力としての反発力を作用させることで、被操作部材H3を上流側に移動させる。図4(b)は、非接触操作部R1を第1操作解除位置まで回転させた状態を示している。
【0065】
図4(c)に示すように、ガス流量が一定以上の過流量となると、そのガス流量の流動圧によって過流出防止弁H2がガス栓本体2の軸方向に沿ってガス流通路1の下流側に移動して、過流出防止弁H2が初期位置から作動位置へ移動する。これにより、過流出防止弁H2が作動位置に移動することでガス流通が阻止される。
【0066】
図4(d)に示すように、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外すと、ガス接続具100の押圧部105によるスライド弁Gに対するガス流通路1の上流側への押圧が解除されて、第1付勢部材F1及び第2付勢部材F2の付勢力によってスライド弁Gが開き位置から閉じ位置へ移動する。このとき、第1運動変換機構R12は、被係合部2bを係合案内溝R7にて係合案内することで、スライド弁Gの移動を非接触操作部R1の移動に変換している。第1運動変換機構R12は、スライド弁Gの移動初期に回転運動変換状態として、ガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心周りに非接触操作部R1を回転させている。ここで、第1運動変換機構R12は、第1操作解除位置から第1操作位置を通過させて非接触操作部R1を回転させている。第1操作位置では、非接触操作部R1に設けられた第1磁性体R13と被操作部材H3に設けられた第2磁性体R2との間に磁力としての反発力を作用させることで、被操作部材H3を上流側に移動させる。その後、第1運転変換機構は、回転運動変換状態からスライド移動変換状態に切り替えて、ガス流通路1のガス流通方向に沿って下流側に非接触操作部R1を移動させている。図4(d)は、非接触操作部R1を第1操作位置に回転させた状態を示している。
【0067】
このように、第1運動変換機構R12は、スライド弁Gが開き位置から閉じ位置まで移動する場合に、その移動途中で、非接触操作部R1に設けられた第1磁性体R13と被操作部材H3に設けられた第2磁性体R2との間に磁力としての反発力を作用させる第1操作位置を通過させ、その移動終了時に被操作部材H3から離間させる位置まで被操作部材H3を移動させている。非接触操作部R1が第1操作位置を通過する際に、リセット操作が行われて、過流出防止弁H2を初期位置に復帰させることができるとともに、最終的には非接触操作部R1を被操作部材H3から離間させる位置に位置させて、リセット操作を解除して、過流出防止弁H2の初期位置から作動位置への移動を許容することができる。
【0068】
第1運動変換機構R12は、ガス接続具100をガス栓本体2に装着することによって閉じ位置から開き位置にスライド弁Gが移動する場合にも、第1操作位置を通過させる形態で最終的に第1操作解除位置まで非接触操作部R1を移動させるので、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外す場合に限らず、ガス接続具100をガス栓本体2に装着する場合にも、リセット操作を行い、その後、リセット操作を解除することができる。
【0069】
ガス接続具100をガス栓本体2に装着する場合には、図4(a)に示す状態から図4(b)に示す状態となり、ガス接続具100の押圧部105によってスライド弁Gが閉じ位置から開き位置に移動されるので、このスライド弁Gの移動が行われる場合にも、第1運動変換機構R12は、スライド移動変換状態から回転運動変換状態に切り替えた状態において、第1操作位置を通過させる形態で最終的に第1操作解除位置まで非接触操作部R1を回転させている。したがって、非接触操作部R1が第1操作位置を通過する場合に、リセット操作を行うことができ、最終的に、非接触操作部R1を第1操作解除位置に位置させて、リセット操作を解除することができる。第1操作位置では、非接触操作部R1に設けられた第1磁性体R13と被操作部材H3に設けられた第2磁性体R2との間に磁力としての反発力を作用させることで、被操作部材H3を上流側に移動させる。このように、ガス接続具100のガス栓本体2からの取り外しを行った場合、及び、ガス接続具100のガス栓本体2への装着を行った場合の両者において、リセット操作を行うことができるので、過流出防止弁H2の初期位置への復帰を確実に行うことができる。
【0070】
<第3実施形態>
この第3実施形態は、上記第2実施形態において、第1運動変換機構R12が、スライド弁Gの移動を非接触操作部R1のどのような動きに変換するのかの別実施形態である。その他の構成については、上記第2実施形態と同様であるので、その他の構成については説明を省略し、以下、図7に基づいて、スライド弁Gの移動を非接触操作部R1のどのような動きに変換するのかを中心に説明する。
【0071】
上記第2実施形態では、第1運動変換機構R12は、被係合部2bを直線状と傾斜状との係合案内溝R7にて係合案内することで、スライド移動変換状態と回転運動変換状態とに切り換える形態で、スライド弁Gの移動を非接触操作部R1の動きに変換している。
【0072】
この第3実施形態では、図7に示すように、係合案内溝R7が全長に亘って傾斜状に形成されている。そして、第1運動変換機構R12は、被係合部2bを係合案内溝R7にて係合案内することで、スライド弁Gが閉じ位置と開き位置との間で移動する場合に、その移動開始から移動終了までガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心周りに非接触操作部R1を回転させる形態で、スライド弁Gの移動を非接触操作部R1の動きに変換している。
【0073】
上記第2実施形態の第1操作位置及び第1操作解除位置と同様に、非接触操作部R1を被操作部材H3に接近させて、非接触操作部R1と被操作部材H3とを非接触状態としてリセット操作を行わせる第2操作位置(図7(d)参照)と、非接触操作部R1を被操作部材H3から離間させてリセット操作を解除する第2操作解除位置(図7(b)及び(c))とが、ガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心周りでの周方向に異なる位置に設定されている。
ここで、第2操作位置では、非接触操作部R1(磁力発生部材の一例)に設けられた第1磁性体R13(磁力作用手段の一例)と被操作部材H3(磁力発生部材の一例)に設けられた第2磁性体R2(磁力作用手段の一例)との間に磁力としての反発力を作用させ、被操作部材H3を上流側へ移動させるように構成されている。第1磁性体R13及び第2磁性体R2は、上記第2実施形態と同様の構成、及び性質のものであるので、ここではその詳細な説明は割愛する。
【0074】
第1運動変換機構R12は、閉じ位置から開き位置へスライド弁Gが移動する場合に、図7(a)の状態から図7(b)の状態になるように、その移動開始から移動終了まで、ガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心周りに非接触操作部R1を回転させて、第2操作位置(図7(d)参照)を通過させたのち第2操作解除位置(図7(b)参照)まで非接触操作部R1を回転させている。
逆に、開き位置から閉じ位置へスライド弁Gが移動する場合に、第1運動変換機構R12は、図7(c)の状態から図7(d)を経て図7(a)の状態になるように、その移動開始から移動終了まで、ガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心周りに非接触操作部R1を回転させて、第2操作解除位置から第2操作位置を通過させて非接触操作部R1を回転させている。
【0075】
以下、図7に基づいて、スライド弁G、過流出防止機構H、リセット手段Rの動きについて説明する。
図7(a)は、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外している状態を示している。図7(b)は、ガス接続具100をガス栓本体2に装着した状態を示している。図7(c)は、ガス接続具100をガス栓本体2に装着しているときに、過流出防止弁H2が初期位置から作動位置に移動した状態を示している。図7(d)は、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外すことでリセット操作を行う状態を示している。
【0076】
図7(a)に示すように、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外している場合には、スライド弁Gが閉じ位置に位置しており、ガス流通路1がスライド弁Gにて閉弁されている。このとき、第1運動変換機構R12は、被係合部2bを係合案内溝R7の上流側端部まで係合案内しており、この係合案内によって、ガス流通方向で被操作部材H3から離れる位置まで非接触操作部R1を移動させている。
【0077】
図7(b)に示すように、ガス接続具100をガス栓本体2に装着すると、ガス接続具100の押圧部105がスライド弁Gをガス流通路1の上流側に押圧して、スライド弁Gが閉じ位置から開き位置に移動してガス流通路1を開弁させる。このとき、第1運動変換機構R12は、スライド弁Gの移動に伴って、被係合部2bを係合案内溝R7にて係合案内して非接触操作部R1を回転させている。このスライド弁Gの移動による非接触操作部R1の回転は、その移動開始から移動終了まで、ガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心周りに非接触操作部R1を回転させて、第2操作位置(図7(d)参照)を通過させたのち第2操作解除位置(図7(b)参照)まで非接触操作部R1を回転させている。第2操作位置では、非接触操作部R1に設けられた第1磁性体R13と被操作部材H3に設けられた第2磁性体R2との間に磁力としての反発力を作用させることで、被操作部材H3を上流側に移動させる。図7(b)は、非接触操作部R1を第2操作解除位置まで回転させた状態を示している。
【0078】
図7(c)に示すように、ガス流量が一定以上の過流量となると、そのガス流量の流動圧によって過流出防止弁H2がガス栓本体2の軸方向に沿ってガス流通路1の下流側に移動して、過流出防止弁H2が初期位置から作動位置へ移動する。これにより、過流出防止弁H2が作動位置に移動することでガス流通が阻止される。
【0079】
図7(d)に示すように、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外すと、ガス接続具100の押圧部105によるスライド弁Gに対するガス流通路1の上流側への押圧が解除されて、第1付勢部材F1及び第2付勢部材F2の付勢力によってスライド弁Gが開き位置から閉じ位置に移動する。このとき、第1運動変換機構R12は、スライド弁Gの移動に伴って、被係合部2bを係合案内溝R7にて係合案内して非接触操作部R1を回転させている。このスライド弁Gの移動による非接触操作部R1の回転は、その移動開始から移動終了まで、ガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心周りに非接触操作部R1を回転させて、第2操作解除位置から非接触操作部R1に設けられた第1磁性体R13と被操作部材H3に設けられた第2磁性体R2との間に磁力としての反発力を作用させる第2操作位置を通過させたのち、最終的に、図7(a)に示すように、ガス流通方向で被操作部材H3から離れる位置まで非接触操作部R1を回転させている。第2操作位置では、非接触操作部R1に設けられた第1磁性体R13と被操作部材H3に設けられた第2磁性体R2との間に磁力としての反発力を作用させることで、被操作部材H3を上流側に移動させる。図7(d)は、非接触操作部R1を第2操作位置に位置させた状態を示している。
【0080】
第1運動変換機構R12は、ガス接続具100をガス栓本体2に装着することにより閉じ位置から開き位置にスライド弁Gが移動する場合にも、第2操作位置を通過させる形態で最終的に第2操作解除位置まで非接触操作部R1を移動させるので、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外す場合に限らず、ガス接続具100をガス栓本体2に装着する場合にも、リセット操作を行い、その後、リセット操作を解除することができる。
【0081】
ガス接続具100をガス栓本体2に装着する場合には、図7(a)に示す状態から図7(b)に示す状態となり、ガス接続具100の押圧部105によってスライド弁Gが閉じ位置から開き位置に移動されるので、このスライド弁Gの移動が行われる場合にも、第1運動変換機構R12は、第2操作位置を通過させる形態で最終的に第2操作解除位置まで非接触操作部R1を回転させている。第2操作位置では、非接触操作部R1に設けられた第1磁性体R13と被操作部材H3に設けられた第2磁性体R2との間に磁力としての反発力を作用させることで、被操作部材H3を上流側に移動させる。したがって、非接触操作部R1が第2操作位置を通過する場合に、リセット操作を行うことができ、最終的に、非接触操作部R1を第2操作解除位置に位置させて、リセット操作を解除することができる。このように、ガス接続具100のガス栓本体2から取り外しを行った場合、及び、ガス接続具100のガス栓本体2への装着を行った場合の両者において、リセット操作を行うことができるので、過流出防止弁H2の初期位置への復帰を確実に行うことができる。
【0082】
<第4実施形態>
リセット手段Rは、ガス接続具100のガス栓本体2からの取り外しが行われた場合に、ガス栓本体2の軸方向(図8で、矢印X方向)でのスライド弁Gの閉じ位置への移動に伴って、過流出防止弁H2を初期位置に復帰させるために被操作部材H3の頭部H3bをガス流通路1の上流側へ押圧するリセット操作を行うように構成されている。
【0083】
リセット手段Rは、ガス流通路1の軸方向に移動自在で過流出防止機構Hの被操作部材H3を押圧操作可能な上流側部材R4と、被操作部材H3を押圧操作する操作側へ上流側部材R4を付勢する第1付勢部材F1と、被操作部材H3の押圧操作を解除する解除操作側へ上流側部材R4(磁力発生部材の一例)を磁力にて付勢する第1磁性体R13及び第2磁性体R2(磁力作用手段の一例)とを備えている。
上記第1付勢部材F1は、第1弁体G1と上流側部材R4との間に設けられ、上流側部材R4を操作側へ付勢するとともに、第1弁体G1を開き位置から閉じ位置の側へ付勢するように設けられている。即ち、第1付勢部材F1は、スライド弁G(磁力発生部材の一例)が閉じ位置の側へ復帰するように付勢するとともに、上流側部材R4を操作側へ付勢するように構成されている。
第1磁性体R13及び第2磁性体R2は、ガス流通路1の軸方向で互いに対向し且つ互いに引き合う状態で、その一方が第1弁体G1に設けられ、他方が上流側部材R4に設けられている。第1磁性体R13と第2磁性体R2とは、少なくとも一方が永久磁石から構成されている。ここで、第1磁性体R13と第2磁性体R2とが互いに引き合う状態とするためには、双方を永久磁石から構成した場合、互いに異なる磁極を他方側に向ける状態で配置する。
上流側部材R4は、図8に示すように、ガス流通路1の第3流路部位1cに配置されており、第3流路部位1cの内壁に沿う案内面R4aを有しており、当該案内面R4aが第3流路部位1cの内壁に沿う状態で摺動自在に配置されている。
【0084】
リセット手段Rは、ガス栓本体2からガス接続具100が取り外され、スライド弁Gが開き位置から閉じ位置に移動する場合には、上流側部材R4に対する操作側への付勢力を上流側部材R4に対する解除操作側への磁力よりも大きくして上流側部材R4を操作側へ摺動操作させ、上流側部材R4の押圧作用部位R4cにて被操作部材H3の頭部H3bを押圧操作することで、上流側部材R4とともに過流出防止弁H2を上流側の初期位置へ移動させるリセット操作を実行する。
一方、ガス栓本体2にガス接続具100が装着され、スライド弁Gが閉じ位置から開き位置へ移動する場合には、上流側部材R4に対する操作側への付勢力を上流側部材R4に対する解除操作側への磁力よりも小さくして上流側部材R4を操作解除側へ摺動操作させ、被操作部材H3を下流側に突出させて、過流出防止弁H2の初期位置から作用位置への移動を許容するリセット解除操作を実行する。
以上の構成を採用することにより、リセット手段Rとしての磁力作用手段は、被操作部材H3へのガス流通路1の上流側への押圧又は押圧解除を、スライド弁Gと上流側部材R4とが非接触の状態で切り替えるように働く。
【0085】
以下、図8に基づいて、スライド弁G、過流出防止機構H,リセット手段Rの動きについて説明する。
図8(a)は、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外している状態を示している。図8(b)は、ガス接続具100をガス栓本体2に装着した状態を示している。図8(c)は、ガス接続具100をガス栓本体2に装着しているときに、過流出防止弁H2が初期位置から作動位置へ移動した状態を示している。図8(d)は、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外すことでリセット操作を実行する状態を示している。
【0086】
図8(a)に示すように、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外している場合には、スライド弁Gが閉じ位置に位置しており、ガス流通路1がスライド弁Gにて閉弁されている。このとき、上流側部材R4に働く力は、第1付勢部材F1による操作側への付勢力が第1磁性体R13及び第2磁性体R2による操作解除側への磁力よりも大きく設定されているので、第3操作位置(図8(a)参照)に付勢されており、上流側部材R4の押圧作用部位R4cが、被操作部材H3の頭部H3bをガス流通路1の上流側へ押圧している状態となり、リセット操作が行われている状態となる。このとき、当該リセット操作により過流出防止弁H2は初期位置に位置している。
【0087】
図8(b)に示すように、ガス接続具100をガス栓本体2に装着すると、ガス接続具100の押圧部105がスライド弁Gをガス流通路1の上流側に押圧して、スライド弁Gが閉じ位置から開き位置に移動してガス流通路1を開弁させる。このとき、スライド弁Gの移動に伴って、上流側部材R4に対する操作側への付勢力よりも上流側部材R4に対する操作解除側への磁力を大きくして、上流側部材R4を操作側から操作解除側へ付勢して、第3操作位置から第3操作解除位置(図8(b)参照)へ移動させる。当該上流側部材R4の移動により、上流側部材R4の押圧作用部位R4cが、被操作部材H3の頭部H3bをガス流通路1の上流側へ押圧するリセット操作が解除される。リセット操作が解除されると、被操作部材H3は、第4付勢部材F4の付勢力により頭部H3bが突出位置に復帰される。このようにして、被操作部材H3が突出位置に復帰されると、被操作部材H3と過流出防止弁H2との間に、過流出防止弁H2の初期位置から作動位置への移動を許容するスペースが形成される。
【0088】
図8(c)に示すように、ガス流量が一定以上の過流量となると、そのガス流量の流動圧によって、過流出防止弁H2がガス栓本体2の軸方向に沿ってガス流通路1の下流側に移動して、過流出防止弁H2が初期位置から作動位置へ移動する。このように、過流出防止弁H2が作動位置に移動することで、ガス流通路1でのガス流通が阻止される。
【0089】
図8(d)に示すように、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外すと、ガス接続具100の押圧部105によるスライド弁Gに対するガス流通路1の上流側への押圧が解除されて、第1付勢部材F1及び第2付勢部材F2の付勢力によってスライド弁Gがガス栓本体2の軸方向に沿ってガス流通路1の下流側に移動する。このとき、スライド弁Gの移動に伴って、上流側部材R4に対する操作側への付勢力を上流側部材R4に対する操作解除側への磁力よりも大きくして、上流側部材R4を操作解除側から操作側へ付勢して、第3操作解除位置から第3操作位置へ移動させる。当該上流側部材R4の移動により、上流側部材R4の押圧作用部位R4cが、被操作部材H3の頭部H3bをガス流通路1の上流側へ押圧するリセット操作が行われる。リセット操作が行われると、被操作部材H3とともに過流出防止弁H2がガス流通路1の上流側へ移動して、初期位置に復帰される。
【0090】
<第5実施形態>
図9に示すように、第5実施形態では、リセット手段Rは、ガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心周りに回転自在な回転部材R10と、閉じ位置と開き位置との間でのスライド弁Gの移動を回転部材R10の回転運動に変換自在な第2運動変換機構R11とを備えている。詳細については後述するが、回転部材R10は、スライド弁Gの移動に伴う回転により、磁力を利用して非接触の状態で、被操作部材H3を下流側に移動させてリセット操作を行うように構成されている。
【0091】
回転部材R10は、ガス流通路1のガス流通方向に沿って伸びる棒状に形成された下流側部位R10aと、その下流側部位R10aの上流側端部から上流側に突出する略円錐状に形成された非接触操作部R1とを備えている。下流側部位R10aから径方向の外側に延出された円盤状の支持部R10cがガス流通路1の内壁部に回転自在に支持されており、この支持によって回転部材R10がガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心P周りに回転自在に支持されている。
本実施形態においては、上記非接触操作部R1(磁力発生部材の一例)に第1磁性体R13(磁力作用手段の一例)を設けるとともに、被操作部材H3(磁力発生部材の一例)に第2磁性体R2(磁力作用手段の一例)を設けており、非接触操作部R1が被操作部材H3に接近すると、第1磁性体R13と第2磁性体R2との間に磁力としての反発力が作用するように構成されており、当該反発力により、被操作部材H3が上流側へ移動するようになっている。
第1磁性体R13と第2磁性体R2とは、ガス栓本体2の軸方向で互いに対向するとともに、互いに磁力としての反発力を作用させる状態で、配置されている。本実施形態では、第1磁性体R13と第2磁性体R2とを互いに永久磁石として構成し、互いに同じ磁極が対向する状態で配置することで、反発力を作用させている。
尚、当該第4実施形態においては、第1磁性体R13又は第2磁性体R2に異物が付着して、当該異物により第1磁性体R13と第2磁性体R2との間に作用する磁力が阻害されることを防止すべく、第1磁性体R13と第2磁性体R2との間の空間を、ガス流通路1から隔離する筒部材を設けることが好ましい。当該筒部材は、伸縮性のある材料にて作成することが好ましく、第1磁性体R13と第2磁性体R2との間隔が変動する場合にも、その間隔の変動に追従して伸縮する状態で設けられる。
【0092】
上述したように、リセット操作は、回転部材R10の非接触操作部R1を被操作部材H3に接近させて、第1磁性体R13と第2磁性体R2との間の磁力としての反発力により、被操作部材H3を上流側に押圧する操作である。そこで、図9に示すように、回転部材R10の非接触操作部R1を被操作部材H3に接近させて非接触操作部R1にてリセット操作を行う第4操作位置(図9(d)参照)と、回転部材R10の非接触操作部R1を被操作部材H3から離間させてリセット操作を解除する第4操作解除位置(図9(a)〜(c)参照)とが、ガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心周りでの周方向で異なる位置に設定されている。
【0093】
第4操作位置では、非接触操作部R1を被操作部材H3に接近させることから、図9(d)に示すように、ガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心周りでの周方向において、被操作部材H3が存在する位置に設定されている。一方、ガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心周りでの周方向において被操作部材H3が存在する位置から外れた位置では、非接触操作部R1が被操作部材H3から離間することになるので、第4操作解除位置は、図9(a)〜(c)に示すように、ガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心周りで被操作部材H3が存在する位置から外れた位置に設定されている。
【0094】
第2運動変換機構R11は、スライド弁Gに形成された第1ネジ部R11aと回転部材R10に形成された第2ネジ部R11bとの螺合により、スライド弁Gの移動を回転部材R10の回転運動に変換している。第1ネジ部R11aが雌ネジにて構成され、第2ネジ部R11bが雄ネジにて構成されており、第1ネジ部R11aと第2ネジ部R11bとの両者は、ガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心P周りに螺旋状となるように形成されている。第1ネジ部R11aについては、スライド弁Gにおける第1弁体G1の上流側部位が円筒状部位G1bにて構成されており、その円筒状部位G1bの内壁部に第1ネジ部R11aが形成されている。第2ネジ部R11bについては、回転部材R10における下流側部位R10aの外周部に形成されている。ちなみに、図示は省略するが、第1弁体G1にはガス流通路1の内壁部から突出する凸部に係合する凹溝等が形成されており、ガス流通路1のガス流通方向に沿う軸心P周りに回転することなく、ガス流通路1のガス流通方向に移動できるようになっている。
【0095】
第2運動変換機構R11は、閉じ位置から開き位置へスライド弁Gが移動する場合に、図9(a)の状態から図9(d)の状態を経て図9(b)の状態になるように、スライド弁Gの移動途中に非接触操作部R1を第4操作位置(図9(d)参照)に位置させ、その移動終了時に非接触操作部R1を第4操作解除位置(図9(b)参照)に位置させるように回転部材R10を回転させている。
逆に、開き位置から閉じ位置へスライド弁Gが移動する場合にも、第1運動変換機構R12は、図9(c)の状態から図9(d)の状態を経て図9(a)の状態になるように、スライド弁Gの移動途中に非接触操作部R1を第4操作位置(図9(d)参照)に位置させ、その移動終了時に非接触操作部R1を第4操作解除位置(図9(a)参照)に位置させるように回転部材R10を回転させている。
【0096】
以下、図9に基づいて、スライド弁G、過流出防止機構H、リセット手段Rの動きについて説明する。
図9(a)は、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外している状態を示している。図9(b)は、ガス接続具100のガス栓本体2に装着した状態を示している。図9(c)は、ガス接続具100をガス栓本体2に装着しているときに、過流出防止弁H2が初期位置から作動位置へ移動した状態を示している。図9(d)は、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外すことでリセット操作を行う状態を示している。
【0097】
図9(a)に示すように、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外している場合には、スライド弁Gが閉じ位置に位置しており、ガス流通路1がスライド弁Gにて閉弁されている。このとき、第2運動変換機構R11は、非接触操作部R1を被操作部材H3から離間させて、第1磁性体R13と第2磁性体R2との間の磁力を解除させ、リセット操作を解除する第4操作解除位置まで回転部材R10を回転させている。
【0098】
図9(b)に示すように、ガス接続具100をガス栓本体2に装着すると、ガス接続具100の押圧部105がスライド弁Gをガス流通路1の上流側に押圧して、スライド弁Gが閉じ位置から開き位置へ移動してガス流通路1を開弁させる。このとき、第2運動変換機構R11が、スライド弁Gの移動を回転部材R10の回転運動に変換している。このスライド弁Gの移動による回転部材R10の回転では、第4操作解除位置から回転部材R10を回転開始させ、その回転途中に非接触操作部R1を被操作部材H3に接近させ、第1磁性体R13と第2磁性体R2との間に磁力としての反発力を作用させ被操作部材H3を上流側へ移動させて、リセット操作を行わせる第4操作位置を通過させ、その回転終了時に非接触操作部R1を被操作部材H3から離間させ、第1磁性体R13と第2磁性体R2との間の磁力としての反発力を解除して、リセット操作を解除する第4操作解除位置まで回転部材R10を回転させている。図9(b)では、回転部材R10が第4操作解除位置まで回転された状態を示している。
【0099】
図9(c)に示すように、ガス流量が一定以上の過流量となると、そのガス流量の流動圧によって過流出防止弁H2がガス栓本体2の軸方向に沿ってガス流通路1の下流側に移動して、過流出防止弁H2が初期位置から作動位置へ移動する。これにより、過流出防止弁H2が作動位置に移動することでガス流通が阻止される。
【0100】
図9(d)に示すように、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外すと、ガス接続具100の押圧部105によるスライド弁Gに対するガス流通路1の上流側への押圧が解除されて、第1付勢部材F1および第2付勢部材F2の付勢力によってスライド弁Gがガス栓本体2の軸方向に沿って開き位置から閉じ位置へ移動する。このとき、第2運動変換機構R11が、スライド弁Gの移動を回転部材R10の回転運動に変換している。このスライド弁Gの移動による回転部材R10の回転では、第4操作解除位置から回転部材R10を回転させ、その回転途中に非接触操作部R1を被操作部材H3に接近させ、第1磁性体R13と第2磁性体R2との間に磁力としての反発力を作用させ、リセット操作を解除する第4操作解除位置まで回転部材R10を回転させている。図9(d)では、回転部材R10が第4操作位置に回転された状態を示しており、最終的には、図9(a)に示すように、回転部材R10が第4操作解除位置まで回転される。
【0101】
このように、第2運動変換機構R11は、スライド弁Gが開き位置から閉じ位置まで移動する場合に、その移動途中で第4操作位置を通過させ、その移動終了時に第4操作解除位置まで回転部材R10を回転させるので、回転部材R10が第4操作位置を通過する際に、リセット操作が行われて、過流出防止弁H2を初期位置に復帰させることができるとともに、最終的には回転部材R10を第4操作解除位置に位置させて、リセット操作を解除して、過流出防止弁H2の初期位置から作動位置への移動を許容することができる。
【0102】
第2運動変換機構R11は、ガス接続具100をガス栓本体2に装着することにより閉じ位置から開き位置へスライド弁Gが移動する場合も、第4操作位置を通過させる形態で最終的に第4操作解除位置まで回転部材R10を回転させるので、ガス接続具100をガス栓本体2から取り外す場合に限らず、ガス接続具100をガス栓本体2に装着する場合にも、リセット操作を行い、その後、リセット操作を解除することができる。
【0103】
ガス接続具100をガス栓本体2に装着する場合には、図9(a)に示す状態から図9(b)に示す状態となり、ガス接続具100の押圧部105によってスライド弁Gが閉じ位置から開き位置へ移動されるので、このスライド弁Gの移動が行われる場合にも、第2運動変換機構R11は、スライド弁Gの移動著中に第4操作位置を通過させる形態で最終的に第4操作解除位置まで回転部材R10を回転させる。第4操作位置では、非接触操作部R1に設けられた第1磁性体R13と被操作部材H3に設けられた第2磁性体R2との間に磁力としての反発力を作用させることで、被操作部材H3を上流側に移動させる。したがって、回転部材R10が第4操作位置を通過する場合に、リセット操作を行うことができ、最終的に、回転部材R10を第4操作解除位置に位置させて、リセット操作を解除することができる。このように、ガス接続具100のガス栓本体2からの取り外しを行った場合、及び、ガス接続具100のガス栓本体2への装着を行った場合の両者において、リセット操作を行うことができるので、過流出防止弁H2の初期位置への復帰を確実に行うことができる。
【0104】
<第6実施形態>
これまで説明してきた実施の形態では、本発明に係るガス栓を、ガス栓本体2に対するガス接続具100の装着及び取り外しに伴ってスライド弁Gを閉じ位置と開き位置との間で移動させてガス器具へのガスの供給と停止との切り替えを行う所謂ガスコンセントとして構成したが、以下に、本発明に係るガス栓を、操作部に対する手動操作に伴ってスライド弁を閉じ位置と開き位置との間で移動させてガス器具へのガスの供給と停止との切り替えを行う、所謂ツマミ付きガス栓として構成した実施形態について、図15〜図21に基づいて説明する。尚、これまで説明してきた実施形態と同様の構成については、説明を割愛する場合がある。
【0105】
本実施形態のつまみ付きガス栓として構成されたガス栓は、図15及び図16に示すように、弁収容部5と、当該弁収容部5に対して夫々が開口するガス流入路1A及びガス流出路1Bが、内部に形成されたガス栓本体2と、弁収容部5に収容され、ガス流入路1Aとガス流出路1Bとの間の開閉を行う弁機構部Aと、操作部11に対する操作に伴って弁機構部Aを開閉させる操作機構部Bとを備えている。
以下、ガス栓本体2、弁機構部A、及び操作機構部Bの詳細構成について、順次説明する。
【0106】
〔ガス栓本体〕
ガス流入路1A及びガス流出路1Bの夫々は、互いの軸線X、Yを直角に交差する状態でガス栓本体2の内部に配置された円形断面を有する流路である。具体的には、ガス流入路1Aの軸線Xを上下方向に配置すると共に、ガス流出路1Bの軸線Yを横向きに配置することで、本実施形態のガス栓は所謂L型のガス栓として構成されている。このように構成されたL型のガス栓は、下から上に向けてガス栓本体2に流入したガスgを横向きに吐出して、側方に配置されたガス機器(図示せず)等に供給する。尚、本実施形態においてガス栓を上記L型のガス栓として構成するのではなく、例えば、ガス流出路1Bを斜め下向きに設けるなど、ガス流入路1Aとガス流出路1Bとの交差角度は適宜改変可能である。
また、弁収容部5は、ガス流入路1Aの上方延長上にガス栓本体2の内部に形成された円形断面を有する空間であり、弁収容部5の下方にはガス流入路1Aが開口し、弁収容部5の側方にはガス流出路1Bが開口することになる。
【0107】
〔弁機構部〕
ガス流入路1A及びガス流出路1Bの何れか一方の特定ガス流通路をガス流入路1Aとし、同特定ガス流通路の軸線である特定軸線をガス流入路1Aの軸線Xとすると、弁機構部Aは、当該特定ガス流通路であるガス流入路1Aの弁収容部5に対する開口部1Aaに形成された弁座部6と、同特定軸線である軸線Xに沿ってスライドして弁座部6に対して着座して当該開口部1Aaを閉塞する閉じ位置と、軸線Xに沿ってスライドして弁座部6に対して離間して当該開口部1Aaを開放する開き位置との間で変位するスライド弁G'とを有して構成されている。
即ち、スライド弁G'は、上下方向に配置されたガス流入路1Aの軸線Xに沿って、上下方向にスライドする。そして、そのスライド範囲の下端位置が、スライド弁G'が弁座部6に着座して開口部1Aaを閉塞する閉じ位置であり、同範囲の上端位置が、スライド弁G'が弁座部6に対して離間して当該開口部1Aaを開放する開き位置となる。よって、本実施形態において、閉じ位置側とは下方側を示し、開き位置側とは上方側を示すことになる。
尚、第1実施形態にあっては、第1弁体G1はガス流通路1を閉止する弁体として機能していたが、当該第3実施形態にあっては、第1弁体G1には第1切欠部G4及び第4切欠部G5を設けてあり、弁体としての機能は発揮しないようになっている。
ここで、図18及び図19にはスライド弁G'が閉じ位置にある状態が示されており、図15及び図17にはスライド弁G'が開き位置にある状態が示されている。
【0108】
〔操作機構部〕
操作機構部Bは、操作者による操作部11に対する下向きの押圧操作をスライド弁G'に伝達させて当該スライド弁G'と共にスライド可能なスライド部Cと、スライド部Cを軸線Xに沿って閉じ位置側から開き位置側に向かう上向きに付勢する軸線付勢手段Dと、スライド部Cのスライドをガイドするガイド部20とからなる。
操作部11は、ガス流入路1Aの軸線Xと同軸上に配置されガス栓本体2の上部を覆う逆カップ状の操作ボタン10の上底部の上面として設けられている。
また、操作ボタン10は、軸線Xに沿って上下方向にスライド可能に設けられており、更に操作ボタン10の上底部の下面とガス栓本体2の上面との間には、ガス栓本体2に対し操作ボタン10を上向きに付勢するコイルバネ13が介挿されている。
尚、このコイルバネ13は、巻線部分が隣接間において互いに離間している通常のコイルバネが利用されており、軸線Xに沿って圧縮力を受けることで同軸線Xに沿って膨張力を発生する。
【0109】
スライド部Cは、軸線X周りに回転自在に設けられたガイドピン18と、当該ガイドピン18を軸線X周りの方向に付勢する回転付勢手段Eとを有して構成されている。
ガイドピン18は、軸線Xと同軸上に配置され当該軸線Xに沿ってスライド可能な円柱状の軸部材17の外表面において、軸部材17の円形断面の径外方向に向けて突出形成されている。
一方、回転付勢手段Eは、操作ボタン10における上底部の下面に一端部が固定され、上記軸部材17の上面に他端部が固定されて、ガス流入路1Aの軸線Xと同軸上に配置されたねじりコイルバネ15で構成されている。
尚、このねじりコイルバネ15は、巻線部分が隣接間において互いに密着しているコイルバネであり、ある回転方向にねじりモーメントを受けることで当該回転方向とは逆の回転方向(図15における右方向)に反発力を発生する。更に、かかるねじりコイルバネ15は、巻線部分が隣接間において互いに密着していることで、一端側から受けた操作部11の軸線Xに沿った下方向の押圧力を、他端側の軸部材17に伝達することができる。
ねじりコイルバネ15の両端部には、突起部16が設けられており、突起部16を含む巻線部分が、操作ボタン10における上底部の下面に形成された溝部12、及び軸部材17の上面に形成された溝部19に嵌め込まれることで、ねじりコイルバネ15の両端が操作ボタン10及び軸部材17に固定されている。
【0110】
軸線付勢手段Dは、巻線部分が隣接間において互いに離間している通常のコイルバネ24からなり、軸線Xに沿って圧縮力を受けることで同軸線Xに沿って膨張力を発生する。
このコイルバネ24は、スライド弁G'の下面と、弁収容部5の下方に設けられた筒状部材H1の上面との間に軸線Xに沿って圧縮状態で介挿されており、筒状部材H1の上面に対してスライド弁G'を上向きに付勢する形態で、スライド弁G'とスライド部Cとを軸線Xに沿って閉じ位置側から開き位置側に向かう上向きに付勢する。
【0111】
ガイド部20は、ガイドピン18が挿入されて当該ガイドピン18の軸線X上のスライド及び軸線X周りの回転を誘導するガイド溝22を外表面に形成した筒状部材21で構成されている。
更に、このガイド溝22には、操作部11に押圧力を付加してスライド弁G'を開き位置から閉じ位置まで変位させるときにガイドピン18をねじりコイルバネ15の付勢力に抗して回転させる回転誘導部22a、22bと、続いて当該押圧力を抜いたときにスライド弁G'を閉じ位置に維持する状態でコイルバネ24及びねじりコイルバネ15により付勢されるガイドピン18が係止する係止部22cとが形成されている。
そして、このような構成により、本実施形態のガス栓は、詳細については後述するが、操作部11に対する一の押圧操作により閉栓動作が行われ、それに続く操作部11に対する一の押圧操作により開栓動作が行われる所謂プッシュプッシュ式の開閉動作を実現している。
【0112】
図20(a)に示すように、このガイド溝22において、回転誘導部22a、22bの閉じ位置側の端部が、ねじりコイルバネ15の軸線X周りの付勢力に抗する回転方向において係止部22cより回転奥側(例えば図20(a)において左側)に位置する。回転誘導部22a、22bの閉じ位置側の端部から係止部22cにかけて、ガイド溝22がコイルバネ24の軸線Xに沿った付勢方向側(即ち上方側)に膨出してなる膨出部22dが形成されている。
よって、ガイドピン18が、その膨出部22dを介して、回転誘導部22a、22bの閉じ位置側の端部から係止部22cに向けてガイド溝22の上辺に沿って直接的に移動可能となり、係止部22cに適切に係止されるようになる。尚、この膨出部22dの形状等は適宜変更可能であり、また、膨出部22dを省略して、閉じ位置側回転誘導部22bの途中に上方に切れ込む係止部22cを形成し、閉じ位置側の端部にガイドピン18がある状態で操作部11に付加する押圧力f11を取り除いたときに、ガイドピン18が閉じ位置側回転誘導部22bを若干逆行しその途中にある係止部22cに係止されるように構成しても構わない。
【0113】
この回転誘導部22a、22bは、軸線X周りの方向において係止部22cよりも閉じ位置側に配置された閉じ位置側回転誘導部22bと係止部22cよりも開き位置側に配置された開き位置側回転誘導部22aとからなる。
更に、ガス流入路1Aの軸線Xの直交面をSとすると、閉じ位置側回転誘導部22bにおける直交面Sに対するガイド溝22のリード角αbが、開き位置側回転誘導部22aの同リード角αaよりも小さく設定されている。
即ち、閉栓動作において、操作部11に押圧力が付加され回転誘導部22a、22bに沿って誘導されるガイドピン18は、開き位置側から係止部22cが形成された位置までの間は開き位置側回転誘導部22aに沿って変位し、その係止部22cが形成された位置からそれよりも回転奥側に形成された閉じ位置側の端部までの間は閉じ位置側回転誘導部22bに沿って変位することになる。
そして、閉じ位置側回転誘導部22bのリード角αbが、開き位置側回転誘導部22aのリード角αaよりも小さいので、ねじりコイルバネ15の付勢力に抗してガイドピン18を閉じ位置側回転誘導部22bに沿って変位させるために必要な操作部11に対する押圧力は、開き位置側回転誘導部22aに沿って変位させるときよりも大きくなる。
以下、ガイド溝22の詳細構成について、本実施形態のガス栓の開閉動作時におけるガイド溝22におけるガイドピン18の遷移状態とあわせて、図20及び図21等に基づいて説明する。尚、図20及び図21において、ガイド溝22は、筒状部材21の外周面を平面に展開したときの状態で示されている。
【0114】
〔閉栓動作時〕
先ず、本実施形態のガス栓の閉栓動作時のガイド溝22におけるガイドピン18の位置の遷移状態について、図20等に基づいて説明する。
スライド弁G'が開き位置にあって開栓しているとき(図15参照)には、ガイドピン18は、図20(a)に示すように、ガイド溝22において回転誘導部22aの開き位置側の端部(図20(a)において右上端部)に位置している。
次に、操作部11に押圧力f11を付加し、その押圧力f11がスライド部Cに伝達されると、スライド部Cに設けられたガイドピン18は、図20(b)に示すように、ガイド溝22において開き位置側回転誘導部22aと閉じ位置側回転誘導部22bとの境界部に移動する。
この移動の際に、ガイドピン18は、コイルバネ24による軸線Xに沿った閉じ位置側から開き位置側へ向かう上向きの付勢力fdに抗して開き位置側から閉じ位置側へ向かう下向きに変位すると共に、ねじりコイルバネ15による軸線X周りの方向への付勢力feに抗して回転することになる。
即ち、開き位置側回転誘導部22aと閉じ位置側回転誘導部22bとの境界部に位置するガイドピン18には、図20(b)において、上向きの付勢力fdと右向きの付勢力feとが付加された状態となっている。
【0115】
更に、操作部11に比較的大きい押圧力f11を付加すると、ガイドピン18は、図20(c)に示すように、ガイド溝22において閉じ位置側回転誘導部22bの回転奥側(図20(c)の左側)の端部に移動し、それに伴ってスライド弁G'は閉じ位置(図18参照)に変位する。
この移動の際においても、ガイドピン18は、コイルバネ24による上向きの付勢力fdとねじりコイルバネ15による右向きの付勢力feに抗して左下方向に移動することになり、移動後のガイドピン18には、上向きの付勢力fdと右向きの付勢力feとが付加された状態となっている。
尚、これら付勢力fd、feは、ガイドピン18の左下方向への変位量が増加するに伴って増加するが、説明を簡単にするためにそれらの符号は同じものを使用する。
【0116】
次に、上記のように操作部11に対して付加していた押圧力f11を取り除くと、図20(d)に示すように、コイルバネ24による上向きの付勢力fdとねじりコイルバネ15による右向きの付勢力feによって、ガイドピン18は、膨出部22dに沿って右上方向にある係止部22cに当接する位置まで移動する。
そして、係止部22cのガイドピン18が当接する壁面の角度が、付勢力fd、feの合力が付加されているガイドピン18が回転誘導部22a、22b側に変位することを防止する角度に設定されているので、当該ガイドピン18の位置は係止部22cに係止された状態で保たれることになり、結果、図19に示すように、スライド弁G'が閉じ位置で維持されて、閉栓動作が完了する。
【0117】
〔開栓動作時〕
次に、本実施形態のガス栓の開栓動作時のガイド溝22におけるガイドピン18の位置の遷移状態について、図21等に基づいて説明する。
スライド弁G'が閉じ位置にあって閉栓しているとき(図19参照)には、ガイドピン18は、図21(a)に示すように、係止部22cに係止される位置にある。
次に、操作部11に比較的小さな押圧力f11'を付加し、その押圧力f11'がスライド部Cに伝達されると、スライド部Cに設けられたガイドピン18は、図21(b)に示すように、付勢力fd、feに抗して左下向きに若干変位することで、係止部22cにおける係止が解除された位置に変位する。
この際に、操作部11に付加される押圧力f11'は、上述した閉栓動作時に付加した押圧力f11よりも小さなものとなっているため、ガイドピン18は、例えば閉じ位置側回転誘導部22bに沿って閉じ位置側に変位することはない。
更に、閉じ位置側回転誘導部22bのリード角αbが開き位置側回転誘導部22aのリード角αaよりも小さく、ねじりコイルバネ15の付勢力feに抗してガイドピン18を閉じ位置側回転誘導部22bに沿って閉じ位置側へ変位させるためには比較的大きな押圧力が必要となるので、その押圧力よりも小さな押圧力f11'で操作部11を押圧した場合には、ガイドピン18が閉じ位置側回転誘導部22bに沿って回転奥側に変位することはない。
【0118】
次に、上記のように操作部11に対し付加されていた押圧力f11'を取り除くと、図15(c)に示すように、コイルバネ24による上向きの付勢力fdとねじりコイルバネ15による右向きの付勢力feによって、ガイドピン18は、開き位置側回転誘導部22aに沿って右上方向に移動し、結果、図15に示すように、それに伴ってスライド弁G'が閉じ位置から開き位置まで変位して、開栓動作が完了する。
尚、本実施形態では、ガイド溝22の回転誘導部を開き位置側回転誘導部22aと閉じ位置側回転誘導部22bとで構成したが、当該回転誘導部を一様のもので構成しても構わない。また、回転誘導部22a、22bのリード角αa、αbについては、一様のものとせずに、例えば開き位置側から閉じ位置側にかけて徐々に減少させるなど、適宜改変可能である。
【0119】
〔リセット手段〕
本実施形態のガス栓は、一定以上の流量のガスgが流れると当該ガス供給を遮断するために、図15に示すように、特定ガス流通路としてのガス流入路1Aには、過流出防止弁H2を備えた過流出防止機構Hが設けられており、更に、閉じ位置と開き位置との間でのスライド弁G'の移動により過流出防止弁H2をリセットさせるリセット操作を行うリセット手段Rが設けられている。
ここで、過流出防止弁H2及びリセット手段Rの構成については、上記第4実施形態の構成の一部を改変した構成を採用している。具体的には、第4実施形態にあっては、第1磁性体R13と第2磁性体R2との間には、磁力としての引力を発揮させていたが、本実施形態においては、反発力を発揮させている。このため、以下では、当該リセット手段Rにつき、第4実施形態から改変している部分を主に説明する。
本実施形態においては、リセット手段Rは、ガス流通路1の軸方向に移動自在で過流出防止機構Hの被操作部材H3を押圧操作可能な移動部材R4と、当該移動部材R4とスライド弁G'とを互いに引き付ける付勢力を発揮する第1付勢部材F1と、スライド弁G'の上流側端部からガス流通路1の上流側に伸びるようにスライド弁G'に一体的に形成された棒状部材の先端に設けられる第1磁性体R13と、当該第1磁性体R13との間で反発力を生じる状態で移動部材R4に設けられた第2磁性体R2とを備えて構成されている。
当該構成により、スライド弁G'が開き位置にあるときに過流出防止弁H2が作動位置に移動することでガス流通が阻止された状態(図17参照)で、スライド弁G'の開き位置から閉じ位置への移動(図17から図19への移動)に伴って、第1磁性体R13と第2磁性体R2との間の反発力が大きくなると共に、第1付勢部材F1による移動部材R4をスライド弁G'の側へ引き付ける力が弱まり、移動部材R4が、過流出防止機構Hの側へ移動する。これにより、過流出防止弁H2の弁座部H6への着座が解除されて、第3付勢部材F3の付勢力によって過流出防止弁H2が初期位置に復帰される形態で、リセット操作が行われる。
【0120】
<別実施形態>
(1)上記第1、2、3、4、5実施形態では、複数の流路部位における中心軸を同一として、ガス流通路1を直線状に設けているが、例えば、図10、11、12、13、14に示すように、ガス流通路1の中心軸が、その上流側部位から下流側部位にかけて、流路径方向にずらした直線状のガス流通路1を設けることもできる。このように、ガス流通路1をガス栓本体2の軸方向に沿う直線状に設けるとは、上記実施形態の如く、一直線状とするものに限らず、図10、11、12、13、14に示すように、流路径方向にずらしたものも含まれるものとする。
そして、図10、11、12、13、14に示すものでも、上記実施形態と同様に、ガス栓本体2自体は直線状に設けることができ、ガス栓本体2をコンパクトに構成することができる。
【0121】
(2)上記つまみ付きガス栓に係る第6実施形態では、図8に対応する実施形態のリセット手段Rを備えた例を示したが、これに限らず、図4、7、9に対応する実施形態のリセット手段Rを備えても、本願の目的を達成することができる。
【0122】
(3)これまで説明した実施形態では、スライド弁Gの外面がガス流通路1の内面に着座してガス流通路1を閉止する例を示したが、例えば、ガス流通路1の内面にシール部材を設け、当該シール部材にスライド弁Gが着座する形態で、ガス流通路1を閉止するようにしても構わない。
【0123】
(4)上記実施形態においては、第1磁性体R13又は第2磁性体R2に異物が付着して、当該異物により第1磁性体R13と第2磁性体R2との間に作用する磁力が阻害されることを防止すべく、第1磁性体R13と第2磁性体R2との間の空間を、ガス流通路1から隔離する筒状の部材を設けることが好ましい。当該筒状の部材は、伸縮性を有することが好ましく、第1磁性体R13と第2磁性体R2との間隔が変動する場合にも、その間隔の変動に追従して伸縮する状態で設けられる。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明のガス栓は、過流出防止機構の過流出防止弁をリセットするリセット手段において、当該リセット手段を比較的簡易な構成にて実現しながらも、当該リセット手段と他の部材との接触によるリセット手段の損傷を防止できるガス栓として、有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0125】
1 :ガス流通路
2 :ガス栓本体
2b :突出部
G :スライド弁
H :過流出防止機構
H2 :過流出防止弁
H3 :被操作部材(被操作部が設けられている部材)
100 :ガス接続具
105 :押圧部
P1 :ガス流通路の流路径方向に沿う第1軸心
R :リセット手段
R1 :第1磁性体
R2 :第2磁性体
R3 :付勢手段
R5 :揺動部材
R5a :操作部位
R5b :押圧作用部位
R6 :筒状支持部材
R7 :係合案内溝
R7a :傾斜溝
R7b :直線溝
R4 :上流側部材
R4a :案内面
R4b :開口部
R4c :押圧作用部位
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流通路が内部に形成された筒状のガス栓本体に、閉じ位置と開き位置との間で前記ガス栓本体の軸方向に移動自在なスライド弁と、前記ガス流通路のガス流通方向で前記スライド弁よりも上流側に配置された過流出防止弁と、前記ガス流通方向で前記スライド弁と前記過流出防止弁との間に配置されて、前記閉じ位置と前記開き位置との間での前記スライド弁の移動により前記過流出防止弁をその被操作部を前記ガス流通路の上流側へ押圧してリセットさせるリセット操作を行うリセット手段とが備えられているガス栓であって、
前記リセット手段は、前記閉じ位置と前記開き位置との間での前記スライド弁の移動に伴って磁力発生部材間に生じる磁力を作用させてその磁力発生部材間を非接触として動作させて前記リセット操作を行う非接触式の磁力作用手段を備えているガス栓。
【請求項2】
前記磁力発生部材は、前記スライド弁と、前記ガス流通路の流路径方向に沿う軸心周りに揺動自在な揺動部材とから構成され、
前記被操作部に対して前記リセット操作を行う操作位置を揺動範囲に含む揺動方向の一方側に前記揺動部材を付勢する付勢手段が設けられ、
前記磁力作用手段は、前記スライド弁に設けられた第1磁性体と前記揺動部材に設けられた第2磁性体とから成り、前記第1磁性体と前記第2磁性体との間に生じる磁力としての反発力を前記揺動部材に作用させて、前記付勢手段の付勢力に抗して前記揺動部材を揺動させている請求項1に記載のガス栓。
【請求項3】
前記磁力発生部材は、前記スライド弁と前記被操作部とから構成され、
前記リセット手段は、前記閉じ位置と前記開き位置との間で前記スライド弁が移動した場合に、前記被操作部に対して前記スライド弁に備えられた非接触操作部を接近離間させるように、前記閉じ位置と前記開き位置との間での前記スライド弁の移動を前記非接触操作部の動きに変換する第1運動変換機構を備え、
前記磁力作用手段は、前記非接触操作部に設けられた第1磁性体と前記被操作部に設けられた第2磁性体とから成り、前記第1磁性体と前記第2磁性体との間に生じる磁力としての反発力を前記被操作部に作用させて、前記非接触操作部にて非接触状態で前記被操作部に対して前記リセット操作を行う請求項1に記載のガス栓。
【請求項4】
前記非接触操作部を前記被操作部に接近させて前記非接触操作部にて非接触状態で前記被操作部に対して前記リセット操作を行う第1操作位置と、前記非接触操作部を前記被操作部から離間させて前記リセット操作を解除する第1操作解除位置とが、前記ガス流通路のガス流通方向に沿う軸心周りでの周方向に異なる位置に設定されており、
前記第1運動変換機構は、前記スライド弁が前記閉じ位置と前記開き位置との間で移動する場合に、前記ガス流通路のガス流通方向に沿って前記非接触操作部を移動させるスライド移動変換状態と前記ガス流通路のガス流通方向に沿う軸心周りに前記非接触操作部を回転させる回転運動変換状態とに切り換える形態で、前記スライド弁の移動を前記非接触操作部の動きに変換している請求項3に記載のガス栓。
【請求項5】
前記非接触操作部を前記被操作部に接近させて前記非接触操作部にて非接触状態で前記被操作部に対して前記リセット操作を行う第2操作位置と、前記非接触操作部を前記被操作部から離間させて前記リセット操作を解除する第2操作解除位置とが、前記ガス流通路のガス流通方向に沿う軸心周りでの周方向に異なる位置に設定されており、
前記第1運動変換機構は、前記スライド弁が前記閉じ位置と前記開き位置との間で移動する場合に、その移動開始から移動終了まで前記ガス流通路のガス流通方向に沿う軸心周りに前記非接触操作部を回転させる形態で、前記スライド弁の移動を前記非接触操作部の動きに変換している請求項3に記載のガス栓。
【請求項6】
前記スライド弁を支持する支持部材が、前記ガス流通路のガス流通方向に摺動自在に前記ガス流通路に備えられ、
前記第1運動変換機構は、前記支持部材の外周に形成された係合案内溝と、前記ガス流通路の内壁部に形成されて前記係合案内溝に係合された被係合部とを備えている請求項4又は5に記載のガス栓。
【請求項7】
前記磁力発生部材は、前記スライド弁と、その上流側に設けられて前記リセット操作を行う上流側部材とから構成され、
前記磁力作用手段は、前記スライド弁に設けられた第1磁性体と、前記上流側部材に設けられた第2磁性体とから成り、前記第1磁性体と前記第2磁性体との間に生じる磁力としての引力を前記上流側部材に作用させて前記リセット操作を行う状態から前記リセット操作を解除する状態に切り替える、又は反発力を前記上流側部材に作用させて前記リセット操作を解除する状態から前記リセット操作を行う状態へ切り替える請求項1に記載のガス栓。
【請求項8】
前記リセット手段は、前記ガス流通路のガス流通方向に沿う軸心周りに回転自在な回転部材と、前記閉じ位置と前記開き位置との間での前記スライド弁の移動を前記回転部材の回転運動に変換自在な第2運動変換機構とを備え、
前記磁力作用手段は、前記回転部材に設けられた第1磁性体と前記被操作部に設けられた第2磁性体とから成り、前記第1磁性体と前記第2磁性体との間に生じる磁力としての反発力を前記被操作部に作用させて、前記回転部材にて非接触状態で前記被操作部に対して前記リセット操作を行うように構成されている請求項1に記載のガス栓。
【請求項9】
前記ガス流通路は、上流側から順に、前記過流出防止弁、前記リセット手段、前記スライド弁を備えて、前記ガス栓本体の軸方向に沿う直線状に設けられている請求項1〜8の何れか一項に記載のガス栓。
【請求項10】
前記スライド弁が、前記ガス栓本体に対するガス接続具の装着及び取り外しに伴って前記閉じ位置と前記開き位置との間で移動する請求項1〜9の何れか1項に記載のガス栓。
【請求項11】
前記スライド弁が、操作部に対する押圧操作に伴って前記閉じ位置と前記開き位置との間で移動する請求項1〜9の何れか1項に記載のガス栓。
【請求項1】
ガス流通路が内部に形成された筒状のガス栓本体に、閉じ位置と開き位置との間で前記ガス栓本体の軸方向に移動自在なスライド弁と、前記ガス流通路のガス流通方向で前記スライド弁よりも上流側に配置された過流出防止弁と、前記ガス流通方向で前記スライド弁と前記過流出防止弁との間に配置されて、前記閉じ位置と前記開き位置との間での前記スライド弁の移動により前記過流出防止弁をその被操作部を前記ガス流通路の上流側へ押圧してリセットさせるリセット操作を行うリセット手段とが備えられているガス栓であって、
前記リセット手段は、前記閉じ位置と前記開き位置との間での前記スライド弁の移動に伴って磁力発生部材間に生じる磁力を作用させてその磁力発生部材間を非接触として動作させて前記リセット操作を行う非接触式の磁力作用手段を備えているガス栓。
【請求項2】
前記磁力発生部材は、前記スライド弁と、前記ガス流通路の流路径方向に沿う軸心周りに揺動自在な揺動部材とから構成され、
前記被操作部に対して前記リセット操作を行う操作位置を揺動範囲に含む揺動方向の一方側に前記揺動部材を付勢する付勢手段が設けられ、
前記磁力作用手段は、前記スライド弁に設けられた第1磁性体と前記揺動部材に設けられた第2磁性体とから成り、前記第1磁性体と前記第2磁性体との間に生じる磁力としての反発力を前記揺動部材に作用させて、前記付勢手段の付勢力に抗して前記揺動部材を揺動させている請求項1に記載のガス栓。
【請求項3】
前記磁力発生部材は、前記スライド弁と前記被操作部とから構成され、
前記リセット手段は、前記閉じ位置と前記開き位置との間で前記スライド弁が移動した場合に、前記被操作部に対して前記スライド弁に備えられた非接触操作部を接近離間させるように、前記閉じ位置と前記開き位置との間での前記スライド弁の移動を前記非接触操作部の動きに変換する第1運動変換機構を備え、
前記磁力作用手段は、前記非接触操作部に設けられた第1磁性体と前記被操作部に設けられた第2磁性体とから成り、前記第1磁性体と前記第2磁性体との間に生じる磁力としての反発力を前記被操作部に作用させて、前記非接触操作部にて非接触状態で前記被操作部に対して前記リセット操作を行う請求項1に記載のガス栓。
【請求項4】
前記非接触操作部を前記被操作部に接近させて前記非接触操作部にて非接触状態で前記被操作部に対して前記リセット操作を行う第1操作位置と、前記非接触操作部を前記被操作部から離間させて前記リセット操作を解除する第1操作解除位置とが、前記ガス流通路のガス流通方向に沿う軸心周りでの周方向に異なる位置に設定されており、
前記第1運動変換機構は、前記スライド弁が前記閉じ位置と前記開き位置との間で移動する場合に、前記ガス流通路のガス流通方向に沿って前記非接触操作部を移動させるスライド移動変換状態と前記ガス流通路のガス流通方向に沿う軸心周りに前記非接触操作部を回転させる回転運動変換状態とに切り換える形態で、前記スライド弁の移動を前記非接触操作部の動きに変換している請求項3に記載のガス栓。
【請求項5】
前記非接触操作部を前記被操作部に接近させて前記非接触操作部にて非接触状態で前記被操作部に対して前記リセット操作を行う第2操作位置と、前記非接触操作部を前記被操作部から離間させて前記リセット操作を解除する第2操作解除位置とが、前記ガス流通路のガス流通方向に沿う軸心周りでの周方向に異なる位置に設定されており、
前記第1運動変換機構は、前記スライド弁が前記閉じ位置と前記開き位置との間で移動する場合に、その移動開始から移動終了まで前記ガス流通路のガス流通方向に沿う軸心周りに前記非接触操作部を回転させる形態で、前記スライド弁の移動を前記非接触操作部の動きに変換している請求項3に記載のガス栓。
【請求項6】
前記スライド弁を支持する支持部材が、前記ガス流通路のガス流通方向に摺動自在に前記ガス流通路に備えられ、
前記第1運動変換機構は、前記支持部材の外周に形成された係合案内溝と、前記ガス流通路の内壁部に形成されて前記係合案内溝に係合された被係合部とを備えている請求項4又は5に記載のガス栓。
【請求項7】
前記磁力発生部材は、前記スライド弁と、その上流側に設けられて前記リセット操作を行う上流側部材とから構成され、
前記磁力作用手段は、前記スライド弁に設けられた第1磁性体と、前記上流側部材に設けられた第2磁性体とから成り、前記第1磁性体と前記第2磁性体との間に生じる磁力としての引力を前記上流側部材に作用させて前記リセット操作を行う状態から前記リセット操作を解除する状態に切り替える、又は反発力を前記上流側部材に作用させて前記リセット操作を解除する状態から前記リセット操作を行う状態へ切り替える請求項1に記載のガス栓。
【請求項8】
前記リセット手段は、前記ガス流通路のガス流通方向に沿う軸心周りに回転自在な回転部材と、前記閉じ位置と前記開き位置との間での前記スライド弁の移動を前記回転部材の回転運動に変換自在な第2運動変換機構とを備え、
前記磁力作用手段は、前記回転部材に設けられた第1磁性体と前記被操作部に設けられた第2磁性体とから成り、前記第1磁性体と前記第2磁性体との間に生じる磁力としての反発力を前記被操作部に作用させて、前記回転部材にて非接触状態で前記被操作部に対して前記リセット操作を行うように構成されている請求項1に記載のガス栓。
【請求項9】
前記ガス流通路は、上流側から順に、前記過流出防止弁、前記リセット手段、前記スライド弁を備えて、前記ガス栓本体の軸方向に沿う直線状に設けられている請求項1〜8の何れか一項に記載のガス栓。
【請求項10】
前記スライド弁が、前記ガス栓本体に対するガス接続具の装着及び取り外しに伴って前記閉じ位置と前記開き位置との間で移動する請求項1〜9の何れか1項に記載のガス栓。
【請求項11】
前記スライド弁が、操作部に対する押圧操作に伴って前記閉じ位置と前記開き位置との間で移動する請求項1〜9の何れか1項に記載のガス栓。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−207786(P2012−207786A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−60455(P2012−60455)
【出願日】平成24年3月16日(2012.3.16)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月16日(2012.3.16)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】
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