説明

ガラスセラミックス及びその製造方法

【課題】表面が耐久性に優れ且つアナターゼ型、ルチル型及びブルッカイト型からなる群の1種以上の酸化チタン又は無機チタンリン酸化合物の結晶相を有しているガラスセラミックス、その製造方法、及び前記ガラスセラミックスを含む光触媒機能性部材及び親水性部材を提供する。
【解決手段】ガラスセラミックスは、結晶相としてRnTi(PO、RTi(PO、及びこれらの固溶体のうちいずれか、並びにTiO、好ましくはアナターゼ型、ルチル型及びブルッカイト型からなる群の1種以上のTiO結晶を含有し、これらの結晶によって光触媒特性を有するものである。本ガラスセラミックスは、原料を混合・溶融してガラス融液またはガラスを得る工程と、前記融液又はガラスを結晶核が生成し成長する温度に保持する結晶化工程と、を有する製法によって作られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスセラミックス及びその製造方法に関する。特に好ましくは、光を照射することにより触媒作用を示す結晶相を含有するガラスセラミックス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光触媒は光を吸収してエネルギーの高い状態になり、このエネルギーを用いて反応物質に化学反応を起こす材料である。光触媒としては金属イオンや金属錯体等も用いられているが、特に二酸化チタン(TiO)をはじめとする半導体の無機化合物が光触媒として高い触媒活性を有することが知られており、最もよく使用されている。半導体は、通常、電気を通さないが、バンドギャップエネルギー以上のエネルギーの光が照射されると、電子が伝導帯というところに移動し、電子が抜けた正孔が生成され、これら電子と正孔によって強い酸化還元力を持つようになる。光触媒の持つこの酸化還元力は、汚れや汚染物質、悪臭成分などを分解・除去し、浄化する働きをする上、太陽光などを利用できるところから、エネルギーフリーな環境浄化技術として注目を浴びている。また、無機チタン化合物を含む成形体の表面は、光の照射により水が濡れ易い親水性を呈するため、雨等の水滴で洗浄される、いわゆるセルフクリーニング作用を有することが知られている。
【0003】
一方、酸化チタン(TiO)など光触媒活性を有する無機化合物は、非常に微細な粉末であり、そのままでは取り扱いが困難であるため、実際に使用されるときには、塗料にして基材の表面にコーティングしたり、真空蒸着、スパッタリング、プラズマなどの手法で膜状に形成するなどして利用する場合が殆どである。例えば、特開2008−81712号公報には、基材の表面に無機チタン化合物層を形成するために用いられる塗布剤として、合成樹脂を分散相とする水性エマルジョンに高濃度の無機チタン化合物が含まれた光触媒性塗布剤が開示されている。また、特開2007−230812号公報にはガスフロースパッタリングによりTiOのターゲットを用いて成膜された光触媒酸化チタン薄膜が開示されている。その他、コーティングや膜の形をとらず無機チタン化合物を基材中に含ませる技術としては、例えば、特開平9−315837号公報に、SiO、Al、CaO、MgO、B、ZrO、及びTiOの各成分を所定量含有する光触媒用ガラスが開示されている。
【0004】
しかしながら、基材の表面に無機チタン化合物を塗布し又はコーティングする場合には、塗布膜やコーティング層の耐久性が十分ではなく、塗布膜やコーティング層が基材から剥離するおそれがあった。例えば、特開2008−81712で開示される光触媒性塗布剤を用いて塗布膜を形成する場合、塗布膜に残留している樹脂や有機バインダが、紫外線等によって分解されたり、無機チタン化合物の触媒作用で酸化還元されたりする結果、塗布膜の耐久性が経時的に劣化しやすい。また、上記の無機チタン化合物触媒は、十分な光触媒活性を引き出すためにはナノサイズの微粒子が必要であるが、このような超微粒子は作製するコストが高く、凝集しやすいという問題点があった。
【0005】
また、特開2007−230812で開示された、いわゆるドライプロセス法と呼ばれる成膜法を利用した光触媒部材も、膜として形成されるものなので、剥離によって光触媒特性が劣化してしまう憂いがあるだけでなく、高価な装置による緻密な雰囲気の制御が必要となり、製造コストが非常に高くなってしまう問題があった。
【0006】
また、特開平9−315837で開示される光触媒用ガラスでは、酸化チタンは結晶構造を有しておらず、アモルファスの形でガラス中に存在するため、その光触媒特性が不充分であった。
【0007】
これらの課題、すなわち光触媒特性を有する結晶の生成とその固定化を一括で解決する技術として、ガラスの中からTiO等の光触媒結晶を析出させる技術がある。ガラス全体に光触媒結晶を分散させた結晶化ガラスは、表面の亀裂や剥離などの経時変化が殆どなく、半永久的に結晶の特性を利用できる利点がある。
【0008】
例えば、特開2008−120655号公報、特開2009−57266号公報は、光触媒材料として、TiO−Bi−B−Al−RO(R:アルカリ土類金属)系ガラスを熱処理してチタン酸化物の結晶を得る結晶化ガラスを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−81712号公報
【特許文献2】特開2007−230812号公報
【特許文献3】特開平9−315837号公報
【特許文献4】特開2008−120655号公報
【特許文献5】特開2009−57266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、表面に薄膜やコーティング等の加工をする必要が無く、バルク材として光触媒特性を有する材料、具体的には耐久性に優れ、且つ光触媒特性を有する微細な結晶が材料内部や表面に存在するガラスセラミックスを提供することを目的とする。さらに、同ガラスセラミックスの製造方法、及びこの製造方法で製造されるガラスセラミックスを含む光触媒機能性成形体及び親水性成形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意試験研究を重ねた結果、特定の組成範囲および製法によって、ナノサイズの原料を使用する必要がなく、酸化チタン(TiO)をはじめとする無機チタン化合物の微細な結晶を有するガラスセラミックスが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
【0012】
(1)結晶相として、RnTi(PO、RTi(PO、及びこれらの固溶体から選ばれる1種以上、並びにTiO及びこの固溶体のいずれか又は両方、を有するガラスセラミックス。
(式中、RnはLi、Na、K、Rb、Csから選ばれる1種以上とし、RはBe、Mg
、Ca、Sr、Baから選ばれる1種以上とする)
【0013】
(2)前記結晶相がアナターゼ型、ルチル型及びブルッカイト型からなる群の1種以上のTiOを含むことを特徴とする(1)記載のガラスセラミックス。
【0014】
(3)前記結晶相がガラスセラミックス全体積に対する体積比で1.0%以上95.0%以下含まれている(1)または(2)いずれか記載のガラスセラミックス。
【0015】
(4)酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%で
TiO成分を15.0〜95.0%、
SiO成分及び/又はP成分を3.0%〜70.0%、
RnO成分及び/又はRO成分を1〜50%、
(式中、RnはLi、Na、K、Rb、Csから選ばれる1種以上とし、RはBe、Mg、Ca、Sr、Baから選ばれる1種以上とする)
含有する(1)から(3)いずれか記載のガラスセラミックス。
【0016】
(5)酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%で
成分を0〜40%、
GeO成分を0〜10%、
Al成分を0〜20%、
ZnO成分を0〜60%、
ZrO成分を0〜20%、
SnO成分を0〜10%、
Bi成分及び/又はTeO成分を0〜20%、
Nb成分、Ta成分、WO成分から選ばれる1種以上を0〜30%、
Ln成分を0〜30%(LnはY、Ce、La、Nd、Gd、Dy、Ybから選ばれる一種以上)、
成分を0〜10%(Mは、V、Cr、Mn、Fe、Co、及びNiから選ばれる一種以上とし、x及びyはそれぞれx:y=2:(Mの価数)を満たす最小の自然数とする)
As成分及び/又はSbを成分0〜5%、
含有し、
酸化物基準組成のガラス全物質量に対する外割り質量%で、
F、Cl、Br、S、及びNから選ばれる1種以上の非金属元素成分を0〜10%、
Cu、Ag、Au、Pd、Pt、Ru、及びRhから選ばれる1種以上の金属元素成分を0〜5%、を含むことを特徴とする(1)から(4)いずれか記載のガラスセラミックス。
【0017】
(6)紫外領域から可視領域までの波長の光によって触媒活性が発現される(1)から
(5)いずれか記載のガラスセラミックス。
【0018】
(7) JIS R 1703−2:2007に基づくメチレンブルーの分解活性指数が3.0nmol/L/min以上である(6)記載のガラスセラミックス。
【0019】
(8) 紫外領域から可視領域までの波長の光を照射した表面と水滴との接触角が10°以下となる(1)から(7)いずれか記載のガラスセラミックス。
【0020】
(9) (1)から(8)いずれか記載のガラスセラミックスを有する光触媒機能性部材。
【0021】
(10) (1)から(8)のいずれか記載のガラスセラミックスを有する親水性部材。
【0022】
(11) (1)から(8)のいずれか記載のガラスセラミックスの製造方法であって、原料を混合してその融液を得る溶融工程と、
前記融液の温度を結晶化温度領域まで低下させる第一冷却工程と、
前記温度を前記結晶化温度領域の範囲内で維持して結晶を生じさせる結晶化工程と、
前記温度を前記結晶化温度領域の範囲外まで低下させて結晶分散ガラスを得る第二冷却工程と、を有するガラスセラミックスの製造方法。
【0023】
(12) (1)から(8)のいずれか記載のガラスセラミックスの製造方法であって、
原料を混合してその融液を得る溶融工程と、
前記融液を冷却してガラスを得る冷却工程と、
前記ガラスの温度を結晶化温度領域まで上昇させる再加熱工程と、
前記温度を前記結晶化温度領域の範囲内で維持して結晶を生じさせる結晶化工程と、
前記温度を前記結晶化温度領域の範囲外まで低下させて結晶分散ガラスを得る再冷却工程と、を有するガラスセラミックスの製造方法。
【0024】
(13) 前記結晶化温度領域は、500℃以上1200℃以下である(11)又は(12)いずれか記載のガラスセラミックスの製造方法。
【0025】
(14) 前記結晶分散ガラスに対してドライエッチング及び/又はウェットエッチングを行うエッチング工程をさらに有する(11)から(13)のいずれか記載のガラスセラミックスの製造方法。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ガラスの組成を所定の範囲内とすることによって、酸化チタン(TiO)をはじめとする無機チタン化合物の光触媒結晶が析出し易くなる。この結晶相がガラスの内部と表面に均一に析出するので、表面の剥離の問題がなく、仮に表面が削られても光触媒性能が劣らず、耐久性に優れたセラガラスセラミックスと、その製造方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施例1のガラスセラミックス成形体についてのXRDパターンである。
【図2】本発明の実施例及び比較例のガラスセラミックス成形体について、結晶化工程後の分解活性指数を表すグラフである。
【図3】本発明の実施例11のガラスセラミックス成形体について求められた、紫外線の照射時間と水接触角との関係を表すグラフである。
【図4】本発明の実施例のガラスセラミックス成形体について、結晶化温度とアナターゼ結晶の粒子径との関係を表すグラフである。
【図5】本発明の実施例のガラスセラミックス成形体についての平均線膨張係数を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明のガラスセラミックスの結晶相および含有成分を上記のように限定した理由を述べる。各成分の含有量の説明については、特に明記しない限りは酸化物基準のモル%で表わすものとする。これはできたガラスセラミックス中のアニオン成分は全て酸素であると仮定し、カチオン成分の含有量のみを考えるときに、そのカチオン成分全てが電荷の釣り合うだけの酸素と結合した酸化物でできていると考え、それら酸化物のモル分率×100によってガラス中に含有される各成分を表記する方法である。
【0029】
なお、本発明におけるガラスセラミックスとは、ガラスを熱処理することによりガラス相中に結晶相を析出させて得られる材料であり、ガラス相及び結晶相から成る材料のみならず、ガラス相が全て結晶相になった材料、すなわち、材料中の結晶量(結晶化度)が100wt%のものも含んでよい。一般に用いられる粉体から得られるエンジニアリングセラミックスやセラミックス焼結体は、ポアフリーの完全焼結体となることが難しい。従って、本発明のガラスセラミックスは、このようなポア(例えば、気孔率)の存在により、それらのガラスセラミックスと区別され得る。ガラスセラミックスは結晶化工程の制御により結晶の粒径、析出結晶の種類、結晶化度をコントロールできるので、光触媒材料を製造するにあたって所望の結晶を生成する有効な手段になる。
【0030】
本発明のガラスセラミックスは、RnTi(PO、RTi(PO、及びこれらの固溶体から選ばれる1種以上、並びにTiO及びこの固溶体のいずれか又は両方、を含有する(式中、RnはLi、Na、K、Rb、Csから選ばれる1種以上とし、RはBe、Mg、Ca、Sr、Baから選ばれる1種以上とする)。これらの結晶が含まれていることにより、本発明のガラスセラミックスは光触媒機能を有することでできる。
【0031】
本発明のガラスセラミックスは、TiOの結晶相またはその固溶体を含有することが好ましい。TiOは光触媒としての特性に優れているだけでなく、殆どの酸、塩基、有機溶剤に侵されない化学的に安定性な性質を持ち、人体にも安全であるため、光触媒の材料として最も多く用いられている成分である。工業的に用いられるTiOの結晶型としては、ルチル(Rutile)型、アナターゼ(Anatase)型、及びブルッカイト(Brookite)型が知られているが、高い光触媒特性をもたらすために、アナターゼ型、ルチル型及びブルッカイト型からなる群の1種以上の酸化チタンを含有することが好ましい。ブルッカイト型の結晶は微弱な光でも高い光触媒特性を示すが、結晶構造が不安定で単相として得ることは困難とされており、アナターゼ型との混相で析出することが多く、安定な状態で光触媒機能を発現するためには、TiOの結晶はアナターゼ型及び/又はルチル型、特にアナターゼ型であることが好ましい。TiOの固溶体としては、溶質物質が決まっている訳ではないので、種類を限定できるものではないが、例えばTi1−xZrなどを挙げることができる。
【0032】
上記結晶に加えて本発明のガラスセラミックスはアルカリ金属チタンリン酸複合塩及び/又はアルカリ土類金属チタンリン酸複合塩の結晶を有することが好ましい。これらはNASICON型構造を有しており、TiO結晶相を同時に含有させると、より高い光触媒効果が発見できる。その中で、特にRnTi(PO、RTi(POの効果が顕著である。また、これらの固溶体を用いることにより、バンドギャップエネルギーを調整することができるので、光に対する応答性を向上させることが可能である。固溶体とは、2種類以上の金属固体または非金属固体が互いの中に原子レベルで溶け込んで全体が均一の固相になっている状態のことをいい、混晶と言う場合もある。溶質原子の溶け込み方によって、結晶格子の隙間より小さい元素が入り込む侵入型固溶体、母相原子と入れ代わって入る置換型固溶体などがある。本願におけるチタンリン酸塩複合結晶の固溶体として、例えばLi1+xTi2−x(PO(0<x≦0.5、Aは、3価の金属イオン)、Li1+3xTi(P1−xSi、LiTi2−x(PO(Aは、4価の金属イオン)等が挙げられる。本発明のガラスセラミックスは、RnTi(PO(又はその固溶体)、及びRTi(PO(又はその固溶体)のうちいずれか、若しくは両方を含有することが好ましい。なお、以下本明細書では前述した光触媒特性を有する結晶及びその固溶体を総称して「光触媒結晶」と表現する。
【0033】
本発明のガラスセラミックス全体に対する前記結晶相の量は、透明度を重視する、若しくは光触媒特性を優先するなど、利用する目的に応じて自由に選択できるが、体積比で1.0%以上95%以下の範囲であることが好ましい。ガラスの中から析出する結晶相の量は、熱処理条件をコントロールすることにより制御することができる。結晶相の量が多いと、光触媒機能が高くなる傾向があるが、ガラスセラミックス全体の機械的強度や透明性が低下する可能性があるので、結晶相の量を体積比率で95%以下の範囲とすることが好ましく、93%以下の範囲とすることがより好ましく、90%以下とすることが最も好ましい。一方、結晶相の量が少ないと有効な光触媒特性を引き出せないため、結晶相の量を体積比率で1%以上とすることが好ましく、3%以上がより好ましく、5%以上とすることが最も好ましい。
【0034】
本発明のガラスセラミックスは、TiO成分を15.0〜95.0%の範囲で含有することが好ましい。TiO成分は、結晶化することにより、TiOの結晶、又はリン、アルカリ金属、アルカリ土類金属との化合物の結晶としてガラスから析出し、光触媒特性をもたらすのに必須で欠かせない成分である。特に、TiO成分の含有量を15.0%以上にすることで、光触媒結晶が析出し易くなり、ガラスセラミックス中におけるTiO結晶の濃度が高められるため、所望の光触媒特性を確保することができる。一方、TiO成分の含有量が95.0%を超えると、ガラス化が非常に難しくなる。従って、酸化物換算組成のガラスセラミックス全物質量に対するTiO成分の含有量は、好ましくは15.0%、より好ましくは25.0%、最も好ましくは30.0%を下限とし、好ましくは95.0%、より好ましくは85.0%、最も好ましくは80.0%を上限とする。TiO成分は、原料として例えばアナターゼ型、ルチル型又はブルッカイト型のTiOを用いてガラスセラミックス内に含有することができる。
【0035】
SiO成分は、ガラスの網目構造を構成し、ガラスの安定性と化学的耐久性を高める成分であるとともに、Si4+イオンが析出した光触媒結晶の近傍に存在し、光触媒活性の向上に寄与する成分であり、本発明のガラスセラミックスに任意に添加できる成分である。しかし、SiO成分の含有量が70.0%を超えると、ガラスの溶融性が悪くなり、光触媒結晶が析出し難くなる。従って、酸化物換算組成のガラスセラミックス全物質量に対するSiO成分の含有量は、好ましくは70.0%、より好ましくは50.0%、最も好ましくは30.0%を上限とする。SiO成分は、原料として例えばSiO、KSiF、NaSiF等を用いてガラスセラミックス内に含有することができる。
【0036】
成分は、ガラスの網目構造を構成し、より多くのTiO成分をガラスに取り込ませるために有用な成分であり本発明のガラスセラミックスに任意に添加できる。また、P成分を含有することによって、より低い熱処理温度で光触媒結晶を析出することが可能になるため、光触媒活性の高いアナターゼ型、ルチル型及びブルッカイト型からなる群の1種以上のTiO結晶、特にアナターゼ型TiO結晶を形成し易くすることができる。しかしPの含有量が70.0%を超えると光触媒結晶が析出し難くなる。従って、酸化物換算組成のガラスセラミックス全物質量に対するP成分の含有量は、好ましくは70.0%、より好ましくは60.0%、最も好ましくは50.0%を上限とする。また、P成分を含有させることで、TiO、RnTi(PO、及びRTi(POの結晶がより析出されやすくなるので、P成分の含有量は、少なくとも5%、より好ましくは10%、最も好ましくは20%を下限とすることが良い。原料として例えばAl(PO、Ca(PO、Ba(PO、Na(PO)、BPO、HPO等を用いてガラスセラミックス内に含有することができる。
【0037】
本発明のガラスセラミックスは、SiO成分及び/又はP成分の一種以上を合計で3.0〜70.0%の範囲で含有することが好ましい。これらはガラスの形成酸化物で、ガラスを得るのに置いて重要な成分であり、その全体量が3%未満であると、ガラスが得られないおそれが高い。より好ましい量は10%以上、最も好ましい量は25%以上である。一方、その量が70%を超えるとTiO結晶相が析出し難くなるため、含有量は、好ましくは70%以下、より好ましくは60%以下であり、最も好ましくは50%以下である。
【0038】
LiO成分は、ガラスの溶融性と安定性を向上し、熱処理後のガラスセラミックスにひび割れを生じ難くする成分であるとともに、ガラス転移温度を下げて熱処理温度をより低く抑え、光触媒活性の高いアナターゼ型、ルチル型及びブルッカイト型からなる群の1種以上のTiO結晶、特にアナターゼ型TiO結晶を形成し易くする成分であり、本発明のガラスセラミックスに任意に添加できる。しかし、LiO成分の含有量が50.0%を超えると、かえってガラスの安定性が悪くなり、光触媒結晶の析出も困難となる。従って、酸化物換算組成のガラスセラミックス全物質量に対するLiO成分の含有量は、好ましくは50.0%、より好ましくは30.0%、最も好ましくは15.0%を上限とする。LiO成分は、原料として例えばLiCO、LiNO、LiF等を用いてガラスセラミックス内に含有することができる。
【0039】
NaO成分は、ガラスの溶融性と安定性を向上し、熱処理後のガラスセラミックスにひび割れを生じ難くする成分であるとともに、ガラス転移温度を下げて熱処理温度をより低く抑え、光触媒活性の高いアナターゼ型、ルチル型及びブルッカイト型からなる群の1種以上のTiO結晶、特にアナターゼ型TiO結晶を形成し易くする成分であり、本発明のガラスセラミックスに任意に添加できる成分である。しかし、NaO成分の含有量が50.0%を超えると、かえってガラスの安定性が悪くなり、光触媒結晶の析出も困難となる。従って、酸化物換算組成のガラスセラミックス全物質量に対するNaO成分の含有量は、好ましくは50.0%、より好ましくは30.0%、最も好ましくは15.0%を上限とする。NaO成分は、原料として例えばNaO、NaCO、NaNO、NaF、NaS、NaSiF等を用いてガラスセラミックス内に含有することができる。
【0040】
O成分は、ガラスの溶融性と安定性を向上し、熱処理後のガラスセラミックスにひび割れを生じ難くする成分であるとともに、ガラス転移温度を下げて熱処理温度をより低く抑え、光触媒活性の高いアナターゼ型、ルチル型及びブルッカイト型からなる群の1種以上のTiO結晶、特にアナターゼ型TiO結晶を形成し易くする成分であり、本発明のガラスセラミックスに任意に添加できる成分である。しかし、KO成分の含有量が50.0%を超えると、かえってガラスの安定性が悪くなり、光触媒結晶の析出も困難となる。従って、酸化物換算組成のガラスセラミックス全物質量に対するKO成分の含有量は、好ましくは50.0%、より好ましくは30.0%、最も好ましくは15.0%を上限とする。KO成分は、原料として例えばKCO、KNO、KF、KHF、KSiF等を用いてガラスセラミックス内に含有することができる。
【0041】
RbO成分は、ガラスの溶融性と安定性を向上し、熱処理後のガラスセラミックスにひび割れを生じ難くする成分であるとともに、ガラス転移温度を下げて熱処理温度をより低く抑え、光触媒活性の高いアナターゼ型、ルチル型及びブルッカイト型からなる群の1種以上のTiO結晶、特にアナターゼ型TiO結晶を形成し易くする成分であり、本発明のガラスセラミックスに任意に添加できる成分である。しかし、RbO成分の含有量が10.0%を超えると、かえってガラスの安定性が悪くなり、光触媒結晶の析出も困難となる。従って、酸化物換算組成のガラスセラミックス全物質量に対するRbO成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。RbO成分は、原料として例えばRbCO、RbNO等を用いてガラスセラミックス内に含有することができる。
【0042】
CsO成分は、ガラスの溶融性と安定性を向上し、熱処理後のガラスセラミックスにひび割れを生じ難くする成分であるとともに、ガラス転移温度を下げて熱処理温度をより低く抑え、光触媒活性の高いアナターゼ型、ルチル型及びブルッカイト型からなる群の1種以上のTiO結晶、特にアナターゼ型TiO結晶を形成し易くする成分であり、本発明のガラスセラミックスに任意に添加できる成分である。しかし、CsO成分の含有量が10.0%を超えると、かえってガラスの安性が悪くなり、光触媒結晶の析出も困難となる。従って、酸化物換算組成のガラスセラミックス全物質量に対するCsO成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。CsO成分は、原料として例えばCsCO、CsNO等を用いてガラスセラミックス内に含有することができる。
【0043】
上記RnO成分(式中、RnはLi、Na、K、Rb、Csからなる群より選択される1種以上)の総量は0.1〜50.0%の範囲であることが好ましい。これらの成分が0.1%未満であるとガラスの溶融性と安定性が悪くなるので、好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.5%以上、最も好ましくは1.5%以上を含有量の下限とする。特に、光触媒性能を持たせるのに有用なRnTi(PO又はその固溶体を析出させる場合、1.0%以上、より好ましくは1.5%以上であることが好ましい。一方、RnO成分から選ばれる少なくとも1種以上の成分の質量和を50.0%以下にすることで、ガラスの安定性が向上し、光触媒結晶が析出し易くなるため、ガラスセラミックスの触媒活性を確保することができる。従って、酸化物換算組成のガラスセラミックス全物質量に対する、RnO成分から選ばれる少なくとも1種以上の成分の質量和は、好ましくは50.0%、より好ましくは30.0%、最も好ましくは20.0%を上限とする。
【0044】
BeO成分は、ガラスの溶融性と安定性を向上する成分であるとともに、ガラス転移温度を下げて熱処理温度をより低く抑え、光触媒活性の高いアナターゼ型、ルチル型及びブルッカイト型からなる群の1種以上のTiO結晶、特にアナターゼ型TiO結晶を形成し易くする成分であり、本発明のガラスセラミックスに任意に添加できる成分である。しかし、BeO成分の含有量が50.0%を超えると、かえってガラスの安定性が悪くなり、光触媒結晶の析出も困難となる。従って、酸化物換算組成のガラスセラミックス全物質量に対するBaO成分の含有量は、好ましくは50.0%、より好ましくは30.0%、最も好ましくは20.0%を上限とする。
【0045】
MgO成分は、ガラスの溶融性と安定性を向上する成分であるとともに、ガラス転移温度を下げて熱処理温度をより低く抑え、光触媒活性の高いアナターゼ型、ルチル型及びブルッカイト型からなる群の1種以上のTiO結晶、特にアナターゼ型TiO結晶を形成し易くする成分であり、本発明のガラスセラミックスに任意に添加できる成分である。しかし、MgO成分の含有量が50.0%を超えると、かえってガラスの安定性が悪くなり、光触媒結晶の析出も困難となる。従って、酸化物換算組成のガラスセラミックス全物質量に対するMgO成分の含有量は、好ましくは50.0%、より好ましくは30.0%、最も好ましくは20.0%を上限とする。MgO成分は、原料として例えばMgCO、MgF等を用いてガラスセラミックス内に含有することができる。
【0046】
CaO成分は、ガラスの溶融性と安定性を向上する成分であるとともに、ガラス転移温度を下げて熱処理温度をより低く抑え、光触媒活性の高いアナターゼ型、ルチル型及びブルッカイト型からなる群の1種以上のTiO結晶、特にアナターゼ型TiO結晶を形成し易くする成分であり、本発明のガラスセラミックスに任意に添加できる成分である。しかし、CaO成分の含有量が50.0%を超えると、かえってガラスの安定性が悪くなり、光触媒結晶の析出も困難となる。従って、酸化物換算組成のガラスセラミックス全物質量に対するCaO成分の含有量は、好ましくは50.0%、より好ましくは30.0%、最も好ましくは25.0%を上限とする。CaO成分は、原料として例えばCaCO、CaF等を用いてガラスセラミックス内に含有することができる。
【0047】
SrO成分は、ガラスの溶融性と安定性を向上する成分であるとともに、ガラス転移温度を下げて熱処理温度をより低く抑え、光触媒活性の高いアナターゼ型、ルチル型及びブルッカイト型からなる群の1種以上のTiO結晶、特にアナターゼ型TiO結晶を形成し易くする成分であり、本発明のガラスセラミックスに任意に添加できる成分である。しかし、SrO成分の含有量が50.0%を超えると、かえってガラスの安定性が悪くなり、光触媒結晶の析出も困難となる。従って、酸化物換算組成のガラスセラミックス全物質量に対するSrO成分の含有量は、好ましくは50.0%、より好ましくは30.0%、最も好ましくは20.0%を上限とする。SrO成分は、原料として例えばSr(NO、SrF等を用いてガラスセラミックス内に含有することができる。
【0048】
BaO成分は、ガラスの溶融性と安定性を向上する成分であるとともに、ガラス転移温度を下げて熱処理温度をより低く抑え、光触媒活性の高いアナターゼ型、ルチル型及びブルッカイト型からなる群の1種以上のTiO結晶、特にアナターゼ型TiO結晶を形成し易くする成分であり、本発明のガラスセラミックスに任意に添加できる成分である。しかし、BaO成分の含有量が50.0%を超えると、かえってガラスの安定性が悪くなり、光触媒結晶の析出も困難となる。従って、酸化物換算組成のガラスセラミックス全物質量に対するBaO成分の含有量は、好ましくは50.0%、より好ましくは30.0%、最も好ましくは20.0%を上限とする。BaO成分は、原料として例えばBaCO、Ba(NO等を用いてガラスセラミックス内に含有することができる。
【0049】
上記RO成分(式中、RはBe、Mg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)の総量は、光触媒性能を持たせるのに有用なRTi(POまたはその固溶体を析出させる場合、1.0%以上、より好ましくは1.5%以上であることが好ましい。その一方、RO成分から選ばれる少なくとも1種以上の成分の質量和を50.0%以下にすることで、ガラスの安定性が向上し、光触媒結晶が析出し易くなるため、ガラスセラミックスの触媒活性を確保することができる。従って、酸化物換算組成のガラスセラミックス全物質量に対する、RO成分から選ばれる少なくとも1種以上の成分の質量和は、好ましくは50.0%、より好ましくは40.0%、最も好ましくは30.0%を上限とする。
【0050】
また、本発明のガラスセラミックスは、RnO(式中、RnはLi、Na、K、Rb、Csからなる群より選択される1種以上)成分及びRO(式中、RはBe、Mg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)成分から選ばれる少なくとも1種以上の成分を総量で50.0%以下含有することが好ましい。特に、RnO成分及びRO成分から選ばれる少なくとも1種以上の成分の質量和を50.0%以下にすることで、ガラスの安定性が向上し、ガラス転移温度(Tg)が下がり、ひび割れが生じ難く機械的な強度の高いガラスセラミックスをより容易に得られる。一方で、RnO成分及びRO成分から選ばれる少なくとも1種以上の成分の質量和が50.0%より多いと、ガラスの安定性が悪くなり、光触媒結晶の析出も困難となる。従って、酸化物換算組成のガラスセラミックス全物質量に対する質量和(RnO+RO)は、好ましくは50.0%、より好ましくは40.0%、最も好ましくは30.0%を上限とする。なお、RnO成分及びRO成分を全く含有しないと、ガラスの安定性が悪化するだけでなく、触媒性能を持たせるのに有用なRnTi(PO、RTi(PO、又はその固溶体を得られなくなるので、少なくとも0.1%以上、より好ましくは0.5%以上、最も好ましくは1.0%以上を下限とする。
【0051】
さらに、RnO(式中、RnはLi、Na、K、Rb、Csからなる群より選択される1種以上)成分、及びRO(式中、RはBe、Mg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)成分から選ばれる成分のうち2種類以上を含有することが好ましい。これにより、ガラスの安定性が大幅に向上し、熱処理後のガラスセラミックスの機械強度がより高くなる。また、TiO、及びガラスセラミックスに光触媒特性を付与するチタンリン酸複合塩(RnTi(PO、RTi(PO、またはその固溶体)、及びTiOの結晶相がガラスからより析出し易くなる。従って、本発明のガラスセラミックスは、RnO成分及びRO成分から選ばれる成分のうち2種類以上を含有することが好ましい。
【0052】
成分は、ガラスの網目構造を構成し、ガラスセラミックスの安定性を高める成分であり、任意に添加できる成分である。しかし、その含有量が40.0%を超えると、光触媒結晶が析出しくい傾向が強くなる。従って、酸化物換算組成のガラスセラミックス全物質量に対するB成分の含有量は、好ましくは40.0%、より好ましくは25.0%、最も好ましくは15.0%を上限とする。B成分は、原料として例えばHBO、Na、Na・10HO、BPO等を用いてガラスセラミックス内に含有することができる。
【0053】
GeO成分は、上記したSiOと相似な働きを有する成分で、溶融ガラスの安定性に寄与する。母ガラス部材の屈折率や粘性調整のために添加できる任意成分であるが、希少鉱物資源であり高価であるため、10%を超えないことが好ましく、より好ましくは5%以下、最も好ましくは一切含有しない。
【0054】
Al成分は、ガラスの安定性及びガラスセラミックスの化学的耐久性を高め、ガラスから光触媒結晶の析出を促進し、且つAl3+イオンがTiO結晶相に固溶して光触媒特性の向上に寄与する成分であり、任意に添加できる成分である。しかし、その含有量が20.0%を超えると、溶解温度が著しく上昇し、ガラス化し難くなる。従って、酸化物換算組成のガラスセラミックス全物質量に対するAl成分の含有量は、好ましくは20.0%、より好ましくは12.0%、最も好ましくは8.0%を上限とする。Al成分は、原料として例えばAl、Al(OH)、AlF等を用いてガラスセラミックス内に含有することができる。
【0055】
ZnO成分は、ガラスの溶融性と安定性を向上する成分であるとともに、ガラス転移温度を下げて熱処理温度をより低く抑え、光触媒活性の高いアナターゼ型、ルチル型及びブルッカイト型からなる群の1種以上のTiO結晶、特にアナターゼ型TiO結晶を形成し易くする成分であり、本発明のガラスセラミックスに任意に添加できる成分である。しかし、ZnO成分の含有量が60.0%を超えると、ガラスが失透性し易くなる等、かえってガラスの安定性が悪くなり、光触媒結晶の析出も困難となる。従って、酸化物換算組成のガラスセラミックス全物質量に対するZnO成分の含有量は、好ましくは60.0%、より好ましくは40.0%、最も好ましくは30.0%を上限とする。ZnO成分は、原料として例えばZnO、ZnF等を用いてガラスセラミックス内に含有することができる。
【0056】
ZrO成分は、化学的耐久性を高め、光触媒結晶の析出を促進し、且つZr4+イオンがTiO結晶相に固溶して光触媒特性の向上に寄与する成分であり、任意に添加できる成分である。しかし、ZrO成分の含有量が20.0%を超えると、ガラス化し難くなる。従って、酸化物換算組成のガラスセラミックス全物質量に対するZrO成分の含有量は、好ましくは20.0%、より好ましくは15.0%、最も好ましくは10.0%を上限とする。ZrO成分は、原料として例えばZrO、ZrF等を用いてガラスセラミックス内に含有することができる。
【0057】
SnO成分は、光触媒結晶の析出を促進し、Ti4+の還元を抑制してTiO結晶相を得易くし、且つTiO結晶相に固溶して光触媒特性の向上に効果がある成分であり、また、光触媒活性を高める作用のある後述のAgやAuやPtイオンと一緒に添加する場合は還元剤の役割を果たし、間接的に光触媒の活性の向上に寄与する成分であり、任意に添加できる成分である。しかし、これらの成分の含有量が10.0%を超えると、ガラスの安定性が悪くなり、光触媒特性も低下し易くなる。従って、酸化物換算組成のガラスセラミックス全物質量に対するSnO成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。SnO成分は、原料として例えばSnO、SnO、SnO等を用いてガラスセラミックス内に含有することができる。
【0058】
Bi成分は、ガラスの溶融性と安定性を高める成分であるとともに、ガラス転移温度(Tg)を下げることで熱処理温度が下がるため、光触媒活性の高いアナターゼ型、ルチル型及びブルッカイト型からなる群の1種以上のTiO結晶、特にアナターゼ型TiO結晶を形成し易くできる成分であり、任意に添加できる成分である。しかし、Bi成分の含有量が20.0%を超えると、ガラスの安定性が悪くなり、光触媒結晶が析出し難くなる。従って、酸化物換算組成のガラスセラミックス全物質量に対するBi成分の含有量は、好ましくは20.0%、より好ましくは15.0%、最も好ましくは10.0%を上限とする。Bi成分は、原料として例えばBi等を用いてガラスセラミックス内に含有することができる。
【0059】
TeO成分は、ガラスの溶融性と安定性を高める成分であるとともに、ガラス転移温度(Tg)を下げることで熱処理温度が下がるため、光触媒活性の高いアナターゼ型、ルチル型及びブルッカイト型からなる群の1種以上のTiO結晶、特にアナターゼ型TiO結晶を形成し易くできる成分であり、任意に添加できる成分である。しかし、TeO成分の含有量が20.0%を超えると、ガラスの安定性が悪くなり、光触媒結晶が析出し難くなる。従って、酸化物換算組成のガラスセラミックス全物質量に対するTeO成分の含有量は、好ましくは20.0%、より好ましくは15.0%、最も好ましくは10.0%を上限とする。TeO成分は、原料として例えばTeO等を用いてガラスセラミックス内に含有することができる。
【0060】
なお、Bi成分及び/またはTeO成分は、二成分の総量で20%を超えないことが好ましく、より好ましくは15%、最も好ましくは10%を超えないことが好ましい。
【0061】
Nb成分は、ガラスの溶融性と安定性を高める成分であり、光触媒結晶の近傍に存在することで、光触媒特性が向上する成分であり、本発明のガラスセラミックスに任意に添加できる成分である。しかし、Nb成分の含有量が30.0%を超えると、ガラスの安定性が著しく悪くなる。従って、酸化物換算組成のガラスセラミックス全物質量に対するNb成分の含有量は、好ましくは30.0%、より好ましくは20.0%、最も好ましくは10.0%を上限とする。Nb成分は、原料として例えばNb等を用いてガラスセラミックス内に含有することができる。
【0062】
Ta成分は、ガラスの安定性を高める成分であり、光触媒結晶の近傍に存在することで、光触媒特性が向上する成分であり、任意に添加できる成分である。しかし、Ta成分の含有量が30.0%を超えると、ガラスの安定性が著しく悪くなる。従って、酸化物換算組成のガラスセラミックス全物質量に対するTa成分の含有量は、好ましくは30.0%、より好ましくは20.0%、最も好ましくは10.0%を上限とする。Ta成分は、原料として例えばTa等を用いてガラスセラミックス内に含有することができる。
【0063】
WO成分は、ガラスの溶融性と安定性を高める成分であり、光触媒結晶の近傍に存在することで、光触媒特性が向上する成分であり、任意に添加できる成分である。しかし、WO成分の含有量が30.0%を超えると、ガラスの安定性が著しく悪くなる。従って、酸化物換算組成のガラスセラミックス全物質量に対するWO成分の含有量は、好ましくは30.0%、より好ましくは20.0%、最も好ましくは10.0%を上限とする。WO成分は、原料として例えばWO等を用いてガラスセラミックス内に含有することができる。
【0064】
Nb成分、Ta成分、及びWO成分から選ばれる少なくとも1種以上の成分の総量は30.0%以下であることが好ましい。これより多いと、ガラスセラミックスの安定性が悪くなり、良好なガラスセラミックスを形成できなくなる。より好ましくは、20%、最も好ましくは10%を上限とする。なお、Nb成分、Ta成分、及びWO成分はいずれも含有しなくとも高い光触媒特性を有するガラスセラミックスを得ることは可能であるが、これらの成分から選ばれる少なくとも1種以上の成分の質量和を0.1%以上にすることで、ガラスセラミックスの光触媒特性をさらに向上することがでる。従って、酸化物換算組成のガラスセラミックス全物質量に対する質量和(Nb+Ta+WO)は、好ましくは0.1%、より好ましくは0.5%、最も好ましくは1.0%を下限とする。このうち特に、WO成分が光触媒特性を向上させる
効果が高い。
【0065】
Ln成分(式中、LnはY、Ce、La、Nd、Gd、Dy、及びYbからなる群より選択される1種以上)は、ガラスセラミックスの化学的耐久性を高める成分であり、光触媒結晶の近傍に存在することで、光触媒特性が向上する成分であり、任意に添加できる成分である。しかし、Ln成分の含有量の合計が30.0%を超えると、ガラスの安定性が著しく悪くなる。従って、酸化物換算組成のガラスセラミックス全物質量に対する、Ln成分から選ばれる少なくとも1種以上の成分の質量和は、好ましくは30.0%、より好ましくは20.0%、最も好ましくは10.0%を上限とする。Ln成分は、原料として例えばLa、La(NO・XHO(Xは任意の整数)、Gd、GdF、Y、YF、CeO、Nd、Dy、Yb、Lu等を用いてガラスセラミックス内に含有することができる。
【0066】
成分(式中、MはV、Cr、Mn、Fe、Co、及びNiからなる群より選択される1種以上とし、x及びyはそれぞれx:y=2:(Mの価数)を満たす最小の自然数とする)は、TiO結晶相に固溶するか、光触媒結晶の近傍に存在することで、光触媒特性の向上に寄与し、且つ一部の波長の可視光を吸収してガラスセラミックスに外観色を付与する成分であり、本発明のガラスセラミックス中の任意成分である。特に、M成分から選ばれる少なくとも1種以上の成分の質量和を10.0%以下にすることで、ガラスセラミックスの安定性を高め、ガラスセラミックスの外観の色を容易に調節することができる。従って、酸化物換算組成のガラスセラミックス全物質量に対する、M成分から選ばれる少なくとも1種以上の成分の質量和は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。
【0067】
As成分及びSb成分は、ガラスセラミックスを清澄し脱泡する成分であり、また、光触媒活性を高める作用のある後述のAgやAuやPtイオンと一緒に添加する場合は、還元剤の役割を果たすので、間接的に光触媒の活性の向上に寄与する成分であり、任意に添加できる成分である。しかし、これらの成分の含有量が合計で5.0%を超えると、ガラスの安定性が悪くなり、光触媒特性も低下し易くなる。従って、酸化物換算組成のガラスセラミックス全物質量に対するAs成分及び/又はSb成分の含有量の合計は、好ましくは5.0%、より好ましくは3.0%、最も好ましくは1.0%を上限とする。As成分及びSb成分は、原料として例えばAs、As、Sb、Sb、NaSb・5HO等を用いてガラスセラミックス内に含有することができる。
【0068】
なお、ガラスセラミックスを清澄し脱泡する成分は、上記のAs成分及びSb成分に限定されるものではなく、例えばCeO2成分やTeO成分等のような、ガラス製造の分野における公知の清澄剤や脱泡剤、或いはそれらの組み合わせを用いることができる。
【0069】
本発明のガラスセラミックスには、F成分、Cl成分、Br成分、S成分、N成分、及びC成分からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の非金属元素成分が含まれていてもよい。これらの成分は、光触媒結晶の近傍に存在することで、光触媒特性を向上させる成分であり、任意に添加できる成分である。しかし、これらの成分の含有量が合計で10.0%を超えると、ガラスの安定性が著しく悪くなり、光触媒特性も低下し易くなる。従って、良好な特性を確保するために、酸化物換算組成のガラスセラミックス全質量に対する非金属元素成分の含有量の合計は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、最も好ましくは3.0%を上限とする。これらの非金属元素成分は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物、塩化物、臭化物、硫化物、窒化物、炭化物等の形でガラスセラミックス中に導入するのが好ましい。なお、本明細書における非金属元素成分の含有量は、ガラスセラミックスを構成するカチオン成分全てが電荷の釣り合うだけの酸素と結合した酸化物でできていると仮定し、それら酸化物でできたガラス全体の質量を100%として、非金属元素成分の質量を質量%で表したもの(酸化物基準の質量に対する外割り質量%)である。非金属元素成分の原料は特に限定されないが、N成分の原料としてAlN、SiN等、S成分の原料としてNaS,Fe,CaS等、F成分の原料としてZrF、AlF、NaF、CaF等、Cl成分の原料としてNaCl、AgCl等、Br成分の原料としてNaBr等、C成分の原料としてTiC、SiC又はZrC等を用いることで、ガラスセラミックス内に含有することができる。なお、これらの原料は、一体的に添加してもよいし、独立に添加してもよい。
【0070】
本発明のガラスセラミックスには、Cu、Ag、Au、Pd、Pt、Ru、及びRhから選ばれる少なくとも1種の金属元素成分が含まれていてもよい。これらの金属元素成分は、TiO、RnTi(PO、又はRTi(PO結晶相の近傍に存在することで、光触媒活性を向上させる効果があるため、任意に添加できる。しかし、これらの金属元素成分の含有量の合計が5.0%を超えるとガラスの安定性が著しく悪くなり、良好なガラスセラミックスが得られなくなる。従って、酸化物換算組成のガラスセラミックス全質量に対する金属元素成分の含有量の合計は、好ましくは5.0%、より好ましくは3.0%、最も好ましくは1.0%を上限とする。これらの金属元素成分は、原料として例えばCuO、AgO、AuCl、PtCl等を用いてガラスセラミックス内に含有することができる。なお、本明細書における金属元素成分の含有量は、ガラスセラミックスを構成するカチオン成分全てが電荷の釣り合うだけの酸素と結合した酸化物でできていると仮定し、それら酸化物でできたガラス全体の質量を100%として、金属元素成分の質量を質量%で表したもの(酸化物基準の質量に対する外割り質量%)である。
【0071】
本発明のガラスセラミックスには、他の成分をガラスセラミックスの特性を損なわない範囲で必要に応じ、添加することができる。
【0072】
但し、PbO等の鉛化合物、Th、Cd、Tl、Os、Be、Se、Hgの各成分は、近年有害な化学物資として使用を控える傾向にあり、ガラスセラミックスの製造工程のみならず、加工工程、及び製品化後の処分に至るまで環境対策上の措置が必要とされる。従って、環境上の影響を重視する場合には、不可避な混入を除き、これらを実質的に含有しないことが好ましい。これにより、ガラスセラミックスに環境を汚染する物質が実質的に含まれなくなる。そのため、特別な環境対策上の措置を講じなくとも、このガラスセラミックスを製造し、加工し、及び廃棄することができる。
【0073】
本発明の組成物は、その組成が酸化物換算組成のガラスセラミックス全物質量に対するモル%で表されているため直接的に質量%の記載に表せるものではないが、本発明において要求される諸特性を満たす組成物中に存在する各成分の質量%表示による組成は、酸化物換算組成で概ね以下の値をとる。
TiO成分 13.0〜80.0質量%、
成分及び/又はSiO成分 5〜85.0質量%、
LiO成分 0〜15.0質量%
NaO成分 0〜30.0質量%
O成分 0〜45.0質量%
RbO成分 0〜25.0質量%
CsO成分 0〜30.0質量%
MgO成分 0〜20.0質量%
CaO成分 0〜25.0質量%
SrO成分 0〜45.0質量%
BaO成分 0〜60.0質量%
成分 0〜35.0質量%
GeO成分 0〜40.0質量%
Al成分 0〜35.0質量%
ZnO成分 0〜45.0質量%
ZrO成分 0〜30.0質量%及び/又は
SnO成分 0〜15.0質量%及び/又は
Bi成分 0〜60.0質量%及び/又は
TeO成分 0〜20.0質量%及び/又は
Nb成分 0〜65.0質量%及び/又は
Ta成分 0〜70.0質量%及び/又は
WO成分 0〜55.0質量%及び/又は
Ln成分 合計で0〜50.0質量%及び/又は
成分 合計で0〜20.0質量%及び/又は
As成分及びSb成分 合計で0〜10.0質量%
さらに
前記酸化物換算組成のガラスセラミックス全質量100%に対する外割りで、F成分、Cl成分、Br成分、S成分、N成分、及びC成分からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の非金属元素成分 0〜10.0質量%及び/又はCu、Ag、Au、Pd、Pt、Ru、及びRhからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素成分 0〜5.0質量%
【0074】
また、本発明のガラスセラミックスは、紫外領域から可視領域までの波長の光によって触媒活性が発現されることが好ましい。ここで、本発明でいう紫外領域の波長の光は、波長が可視光線より短く軟X線よりも長い不可視光線の電磁波のことであり、その波長はおよそ10〜400nmの範囲にある。また、本発明でいう可視領域の波長の光は、電磁波のうち、ヒトの目で見える波長の電磁波のことであり、その波長はおよそ400nm〜700nmの範囲にある。これら紫外領域から可視領域までの波長の光がガラスセラミックスの表面に照射されたときに触媒活性が発現されることにより、ガラスセラミックスの表面に付着した汚れ物質や細菌等が酸化又は還元反応により分解されるため、ガラスセラミックスを防汚用途や抗菌用途、水質等の浄化用途等に用いることができる。
【0075】
また、本発明のガラスセラミックスは、光を照射した表面と水滴との接触角が10°以下であることが好ましい。水に対する接触角が小さくなると(すなわち、水に対する濡れ性が高くなると)、水滴が表面に広がり、一様な水膜が形成されるようになるので、水が汚れの下に入り込んで汚れを落とす。これにより、ガラスセラミックスの表面が親水性を呈し、セルフクリーニング作用を有するため、ガラスセラミックスの表面を水で容易に洗浄することができる。また、微小な水滴による光の乱反射がなくなるので、曇り現象が無くなる。光を照射したガラスセラミックス表面と水滴との接触角は、5°以下がより好ましい。
【0076】
本発明のガラスセラミックスは、光触媒機能性ガラスセラミックス部材及び/又は親水性ガラスセラミックス部材として様々な機械、装置、器具類等の用途に利用できる。特に、防汚機能や防曇機能を要する、タイル、窓枠、建材、家電製品等の用途に用いることが好ましい。本発明のガラスセラミックスは成形性に優れており、材料自体が光触媒機能を有するので、特性の劣化を気にすることなくあらゆる形状にて利用できる。例えば、ビーズやファイバー形状にして、浄化フィルターや脱臭フィルターとして用いることができる。
【0077】
次に、本発明のガラスセラミックスの製造方法について説明する。
【0078】
<第1実施形態>
本発明のガラスセラミックスの製造方法の第1実施形態は、原料組成混合物を溶融しその融液を得、その後冷却、固化させることを特徴とするガラスセラミックスの製造方法である。より具体的には、所定の出発原料を均一に混合して白金又は耐火物などからなる容器に入れて、電気炉で1250℃以上の所定温度で加熱し保持して、溶融液を作製する。その後、溶融液を金型に流し込み固化させて、目的の結晶化ガラスを得る。ここで、溶融液が冷却する過程で結晶核の生成及び成長が起きる。この手法は、例えば所望の結晶相をリッチに析出し、且つガラス溶融液の状態が比較的不安定な場合などにおいて有効である。
【0079】
ここで、溶融温度は、混合する組成物の種類及び量により適宜変更することが好ましいが、一般に1250℃以上が好ましく、1300℃以上がより好ましく、1350℃以上が最も好ましい。具体的には、所定の出発原料を均一に混合して白金坩堝、石英坩堝又はアルミナ坩堝からなる容器に入れて、電気炉で1250℃以上の所定温度で加熱して攪拌均質化し、融液を作製する。
【0080】
その後、融液の冷却速度を制御しつつ、金型に流し込み、結晶核の生成及び成長が起きる結晶化温度領域まで冷却する(第一冷却工程)。結晶化温度領域に到達してからガラスに結晶が析出するが、前記領域の温度、前記温度領域での滞在時間、前記温度領域内での冷却速度などをコントロールすることで、目的とする結晶の種類、サイズ及び結晶相の量を制御することができる(結晶化工程)。結晶化温度領域は一定の冷却速度で通過しても良いし、又は、一定の時間、特定温度に維持するようにしても良い。冷却する際の速度及び温度が結晶相の形成や結晶サイズに大きな影響を及ぼすので、これらを精密に制御することが非常に重要である。所望の結晶が得られたら結晶化温度領域の範囲外まで冷却し結晶が分散したガラスセラミックスを得る(第二冷却工程)。
【0081】
<第2実施形態>
本発明のガラスセラミックスの製造方法の第2実施形態は、原料を混合してその融液を得る溶融工程と、前記融液を冷却してガラス体を得る冷却工程と、前記ガラス体の温度をガラス転移温度を超えた温度領域まで上昇させる再加熱工程と、前記温度を前記温度領域内で維持して結晶を生じさせる結晶化工程と、前記温度を再び下げ結晶分散ガラスを得る再冷却工程を有するガラスセラミックスの製造方法である。
【0082】
(溶融工程)
溶融工程は、上述の組成を有する原料を混合し、その融液を得る工程である。より具体的には、ガラスセラミックスの各成分が所定の含有量の範囲内になるように原料を調合し、均一に混合し、作製した混合物を白金坩堝、石英坩堝又はアルミナ坩堝に投入して電気炉で1200〜1600℃の温度範囲で1〜24時間溶融して攪拌均質化して融液を作製する。なお、原料の溶融の条件は上記温度範囲に限定されず、原料組成物の組成及び量等に応じて、適宜設定することができる。
【0083】
(冷却工程)
冷却工程は、溶融工程で得られた融液を冷却してガラス化することで、ガラス体を作製する工程である。具体的には、融液を流出して適宜冷却することで、ガラス化されたガラス体を形成する。ここで、ガラス化の条件は特に限定されるものではなく、原料の組成及び量等に応じて適宜設定されてよい。また、本工程で得られるガラス体の形状は特に限定されず、板状、粒状等であってよいが、ガラス体を迅速且つ大量に作製できる点では、板状であることが好ましい。
【0084】
(結晶化工程)
結晶化工程は、ガラス体の温度をガラス転移温度を超える温度領域に上昇させ、その温度で所定の時間保持する工程である。この結晶化工程で所定の温度領域で所定時間保持することにより、ナノからミクロン単位までの所望のサイズを有するTiO、RnTi(PO、及びRTi(POの結晶、又はそれらの固溶体をガラス体の内部に均一に析出・分散させることができ、光触媒特性を有するガラスセラミックスをより確実に製造できる。
【0085】
上記の結晶化工程では、ガラス組成ごとにガラス転移温度に応じて結晶化温度を設定する必要があるが、具体的にガラス転移温度より10℃以上高い温度領域で熱処理するのが好ましい。本発明のガラスはガラス転移温度が500℃以上であることから、好ましい熱処理温度の下限は510℃で、より好ましくは600℃で、最も好ましくは650℃である。他方、熱処理温度が高くなり過ぎると、光触媒結晶相が減少する傾向が強くなり、光触媒特性が消失し易くなるので、熱処理温度の上限は1200℃が好ましく、1100℃がより好ましく、1050℃が最も好ましい。特に、アナターゼ型、ルチル型及びブルッカイト型からなる群の1種以上のTiOと同時に、RnTi(PO又はRTi(POを析出させるという点では1000℃以下が好ましい。この温度範囲は<第1実施形態>でガラスセラミックスを作製する場合に通過又は維持する結晶化温度領域にも適用される。
【0086】
(エッチング工程)
結晶化工程を行って結晶が生じた後のガラス体は、そのままの状態でもガラスセラミックスとして高い光触媒特性を奏することが可能であるが、このガラスセラミックスに対してエッチング工程を行うことにより、結晶相の周りのガラス相が取り除かれ、表面に露出する結晶相の比表面積が大きくなるため、ガラスセラミックスの光触媒特性をより高めることが可能である。また、エッチング工程に用いる溶液やエッチング時間をコントロールすることにより、光触媒結晶相のみが残る多孔質体を得ることが可能である。ここで、エッチング工程としては、ドライエッチング及び/又は溶液への浸漬が挙げられる。浸漬に使用される酸性もしくはアルカリ性の溶液は、ガラスセラミックスの表面を腐食できれば特に限定されず、例えばフッ素又は塩素を含む酸(フッ化水素酸、塩酸)であってよい。なお、このエッチング工程は、フッ化水素ガス、塩化水素ガス、フッ化水素酸、塩酸等を、ガラスセラミックスの表面に吹き付けることで行ってよい。
【実施例】
【0087】
本発明の実施例1〜34及び比較例1のガラスセラミックス成形体の組成及び結晶化温度、並びに、これらのガラスセラミックス成形体に析出した結晶相の種類を表1〜8に示す。なお、以下の実施例はあくまで例示の目的であり、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0088】
【表1】

【0089】
【表2】

【0090】
【表3】

【0091】
【表4】

【0092】
【表5】

【0093】
【表6】

【0094】
【表7】

【0095】
【表8】

【0096】
本発明の実施例(No.1〜No.34)及び比較例(No.1)のガラスセラミックス成形体は、いずれも各成分の原料として各々相当する酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、弗化物、水酸化物、メタ燐酸化合物等の通常のガラスに使用される高純度の原料を選定し、表1〜8に示した各実施例及び比較例の組成の割合になるように秤量して均一に混合した後、白金坩堝に投入し、ガラス組成の熔融難易度に応じて電気炉で1200℃〜1600℃の温度範囲で1〜24時間溶解し、攪拌均質化して泡切れ等を行った後、1500℃以下に温度を下げて攪拌均質化してから金型に鋳込み、徐冷してガラスを作製した。得られたガラスについて、表1〜8の各実施例に記載された結晶化温度に加熱し、記載された時間にわたり保持して結晶化を行った後、結晶化温度から冷却して目的の結晶相を有するガラスセラミックスを得た。また、実施例(No.11)と組成は同じで、結晶化していないサンプルを用意し比較例とした。
【0097】
ここで、実施例(No.1〜No.34)及び比較例(No.1)のガラスセラミックス成形体の析出結晶相の種類は、X線回折装置(フィリップス社製、商品名:X’Pert−MPD)で同定した。
【0098】
また、実施例(No.1〜No.34)及び比較例(No.1)の光触媒特性は、光触媒製品技術協議会が策定した「光触媒性能評価法I」に準じて評価した。すなわち、ガラスセラミックス成形体試料の表面に濃度10(mg/L)のメチレンブルー溶液を滴下し、フィルムで被覆後、紫外線を照射した後の色を観察し、メチレンブルーの脱色の度合いによって光触媒の性能を評価した(メチレンブルー脱色法)。評価の結果、光触媒特性が認められた試料は○印、光触媒特性が認められなかった試料は×印で示した。
【0099】
このうち、光触媒特性が認められた実施例の試料と、比較例の試料について、日本工業規格JIS R 1703−2:2007に基づき、メチレンブルーの分解活性指数(nmol/l/min)を求めた。
【0100】
より具体的には、以下のような手順でメチレンブルーの分解活性指数を求めた。
0.020mMのメチレンブルー水溶液(以下、吸着液とする)と0.010mMのメチレンブルー水溶液(以下、試験液とする)を調製した。
そして、試料の表面と、石英管(内径10mm、高さ30mm)の一方の開口と、を高真空用シリコーングリース(東レ・ダウコーニング株式会社製)で固定し、石英管の他方の開口から吸着液を注入して試験セルを吸着液で満たした。その後、石英管の他方の開口と吸着液の液面とをカバーガラス(松浪ガラス工業株式会社製、商品名:白縁磨フロストNo.1)で覆い、光が当たらないようにしながら、12〜24時間にわたって吸着液を試料に十分に吸着させた。吸着後の吸着液について、分光光度計(日本分光株式会社製、型番:V−650)を用いて波長664nmの光に対する吸光度を測定し、この吸着液の吸光度が試験液について同様に測定された吸光度よりも大きくなった時点で、吸着を完了させた。
このとき、試験液について測定された吸光度(Abs(0))とメチレンブルー濃度(c(0)=10[μmol/L])の値から、下式(1)を用いて換算係数K[μmol/L]を求めた。
K=c(0)/Abs(0) ・・(1)
次いで、カバーガラスを取り外して石英管内の液を試験液に入れ替えた後、石英管の他方の開口と吸着液の液面とをカバーガラスで再度覆い、1.0mW/cmの紫外線を照射した。そして、紫外線を60分、120分及び180分間にわたり照射した後における波長664nmの光に対する吸光度を測定した。
紫外光の照射を開始してt分後に測定された吸光度Abs(t)の値から、下式(2)を用いて、紫外光の照射を開始してt分後のメチレンブルー試験液の濃度C(t)[μmol/L]を求めた。ここで、Kは上述の換算係数である。
C(t)=K×Abs(t) ・・(2)
そして、上述により求められたC(t)を縦軸にとり、紫外線の照射時間t[min]を横軸にとってプロットを作成した。このとき、プロットから得られる直線の傾きa[μmol/L/min]を最小二乗法によって求め、下式(3)を用いて分解活性指数R[nmol/L/min]を求めた。
R=|a|×1000 ・・(3)
【0101】
一方、実施例(No.12、19及び20)に記載された組成のガラスについて、表10に記載された時間及び温度で結晶化工程を行い、ガラスセラミックスを形成した。このガラスセラミックスを、HF濃度が46%(質量百分率)のフッ酸溶液(和光純薬工業株式会社製)に3分間浸漬させ、エッチング工程を行った。結晶化工程及びエッチング工程を行う前後のガラスセラミックスに対して、上述のメチレンブルー分解試験を行い、結晶化工程及びエッチング工程の前後における分解活性指数(nmol/l/min)を求めた。
【0102】
実施例のガラスセラミックス成形体の光触媒特性について上述したメチレンブルー脱色法で評価したところ、表に示すように、いずれのガラスセラミックス成形体もメチレンブルーの脱色現象が起こったことから、光触媒特性を有することが確認された。一方、比較例1については、メチレンブルーの脱色が認められなかった。
【0103】
特に、実施例(No.1、4、6、8、12〜16、19及び20)のガラスセラミックス成形体は、表9に示すように、分解活性指数が3.0nmol/l/min以上、より具体的には4.2nmol/l/min以上であった。一方、比較例(No.1)の組成では、分解活性指数が3.0nmol/l/minより小さかった。このため、本発明の実施例のガラスセラミックス成形体は、所望の光触媒特性を有することが明らかになった。なお、実施例(No.1、4、6及び8)及び比較例(No.1)における結晶化工程後のガラスセラミックス成形体の分解活性指数を図2に示す。
【0104】
エッチング工程を行った後の実施例(No.12、No.19、No.20)のガラスセラミックス成形体は、表10に示すように、分解活性指数が12.3〜29.0nmol/l/minであり、エッチング工程前の分解活性指数に比べて高い値であった。そのため、本発明の実施例のガラスセラミックス成形体は、エッチング工程を行うことで分解活性指数が変動するため、より高い光触媒特性を得ることが可能であることが明らかになった。
【0105】
特に、実施例(No.19、No.20)のガラスセラミックス成形体は、表10に示すように、結晶化工程及びエッチング工程を行う前後で、それぞれ異なる分解活性指数を示した。また、実施例(No.19)のガラスセラミックス成形体は、熱処理条件が異なる場合にも異なる分解活性指数を示した。
【0106】
【表9】

【0107】
【表10】

【0108】
一方、実施例(No.1〜No.34)及び比較例(No.1)のガラスセラミックス成形体の親水性は、θ/2法によりサンプル表面と水滴との接触角を測定することにより評価した。すなわち、UV−A(10mW/cm)紫外線を照射後のガラスセラミックスの表面に水を滴下し、ガラスセラミックス成形体の表面から水滴の頂点までの高さhと、水滴の試験片に接している面の半径rと、を協和界面科学社製の接触角計(DM501)を用いて測定し、θ=2tan−1(h/r)の関係式より、水との接触角θを求めた。なお、表1と2に示したのは紫外線照射30分後の結果である。
【0109】
その結果、表1〜8に表されるように、実施例のガラスセラミックス成形体の析出結晶相には、いずれも光触媒活性の高いアナターゼ型、ルチル型及びブルッカイト型からなる群の1種以上のTiOとRnTi(PO、又はTiOとRTi(PO結晶が含まれていた。このことは、図1に示した実施例(No.1)のガラスセラミックス成形体についてのXRDパターンにおいて、入射角2θ=24°付近をはじめ、「●=TiO、□=NaTi(PO」で表される入射角にピークが生じていることからも明らかである。一方、比較例1のガラスには、これらの結晶は含まれていなかった。このため、本発明の実施例のガラスセラミックス成形体は、比較例のガラス成形体に比べて、高い光触媒特性及び親水性を有することが推察された。
【0110】
また、上記の実施例の一部のガラスセラミックス成形体について親水性を評価したところ、表1〜2に示すように全てにおいて紫外線の照射開始から30分後、接触角が10°以下になることが確認された。一方、比較例(No.1)については、紫外線の照射後も50°を超えていた。これにより、本発明の実施例のガラスセラミックス成形体は、比較例のガラスセラミックス成形体に比べて、高い親水性を有することが明らかになった。なお、一例として実施例11のガラスセラミックス成形体について紫外線の照射時間と水接触角との関係を図3に示した。
【0111】
一方、実施例(No.1〜No.34)のガラスセラミックス成形体に形成される結晶のうち、アナターゼ型TiO結晶の粒径は、X線回折装置(フィリップス社製、商品名:X’Pert−MPD)により得られるチャートの回折ピークの半値幅から、シェラーの式を用いて求めた。このとき、ガラスセラミックス成形体を形成する際の結晶化の温度及び時間を変化させ、各々の結晶化条件によって形成される結晶粒径を求めた。
【0112】
その結果、実施例(No.6、8、12、19、20)のガラスセラミックス成形体に含まれるアナターゼ型TiO結晶の粒径は、表11及び12に示すように、5nm以上3μm以下、より具体的には25nm以上146nm以下であり、所望の範囲内であった。また、結晶化温度を700℃以上1000℃以下、結晶化時間を0.5時間以上60時間以下にしたときに、所望の結晶粒径を有するガラスセラミックス成形体が得られることも確認された。さらに、図4に示すように、結晶化温度を高くし、結晶化温度を長くした場合に、ガラスセラミックス成形体の結晶粒径が大きくなることも明らかになった。
【0113】
【表11】

【0114】
【表12】

【0115】
一方、実施例(No.1〜No.34)のガラスセラミックス成形体の平均線膨張係数は、横型示差膨張測定方式の熱膨張計(ブルカー・エイエックスエス株式会社製、商品名:TD5000S)を用いて測定した。すなわち、結晶化温度から常温に冷却された後の、長さ20mm、直径4mmのガラスセラミックス成形体からなる試料について、毎分4℃の一定の速度で昇温して加熱を行いながら、試料の伸びと温度とを測定した。そして、試料の伸びと温度の関係から得られる熱膨張曲線を用いて、−30〜+70℃の平均線膨張係数を求めた。
【0116】
その結果、実施例(No.6、8、11)のガラスセラミックス成形体の平均線膨張係数は、図5に示すように、70×10−7/℃以下、より具体的には30×10−7/℃以下であり、所望の範囲内であった。
【0117】
また、実施例(No.1〜No.34)のガラスセラミックス成形体の化学的耐久性(耐水性及び耐酸性)は、粒度425〜600μmに破砕してメタノールで洗浄したガラスセラミックス試料を作製し、日本光学硝子工業会規格「光学ガラスの化学的耐久性の測定方法」JOGIS06−2008に準じて測定した。
【0118】
耐水性は、ガラスセラミックス試料を白金かごの中に入れ、この白金かごを純水(pH6.5〜7.5)の入った石英ガラス製の丸底フラスコに浸漬し、沸騰水浴中で60分間処理した後のガラス試料の減量率(%)を用いて測定した。ここで、減量率(wt%)が0.05未満の場合をクラス1、減量率が0.05〜0.10未満の場合をクラス2、減量率が0.10〜0.25未満の場合をクラス3、減量率が0.25〜0.60未満の場合をクラス4、減量率が0.60〜1.10未満の場合をクラス5、減量率が1.10以上の場合をクラス6としたものであり、クラスの数が小さいほど、ガラスの耐水性が優れていることを意味する。
【0119】
一方、耐酸性は、ガラスセラミックス試料を白金かごの中に入れ、この白金かごを0.01N硝酸水溶液の入った石英ガラス製の丸底フラスコに浸漬し、沸騰水浴中で60分間処理した後のガラス試料の減量率(%)を用いて測定した。ここで、減量率(wt%)が0.20未満の場合をクラス1、減量率が0.20〜0.36未満の場合をクラス2、減量率が0.35〜0.65未満の場合をクラス3、減量率が0.65〜1.20未満の場合をクラス4、減量率が1.20〜2.20未満の場合をクラス5、減量率が2.20以上の場合をクラス6としたものであり、クラスの数が小さいほど、ガラスの耐酸性が優れていることを意味する。
【0120】
その結果、実施例(No.1〜No.34)のガラスセラミック成形体の耐水性及び耐酸性は、いずれも1級であった。
【0121】
従って、本発明の実施例のガラスセラミックス成形体では、アナターゼ型、ルチル型及びブルッカイト型からなる群の1種以上の酸化チタン(TiO)をはじめとする無機チタンリン酸化合物の光触媒結晶が容易に析出し、しかも無機チタン化合物の結晶が均一にガラスに分散しているため、剥離による光触媒機能の損失がなく、耐久性の優れた光触媒機能体を得られることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶相として、RnTi(PO、RTi(PO、及びこれらの固溶体から選ばれる1種以上、並びにTiO及びこの固溶体のいずれか又は両方、を有するガラスセラミックス。
(式中、RnはLi、Na、K、Rb、Csから選ばれる1種以上とし、RはBe、Mg、Ca、Sr、Baから選ばれる1種以上とする)
【請求項2】
前記結晶相がアナターゼ型、ルチル型及びブルッカイト型からなる群の1種以上のTiOを含むことを特徴とする請求項1記載のガラスセラミックス。
【請求項3】
前記結晶相がガラスセラミックス全体積に対する体積比で1.0%以上95.0%以下含まれている請求項1または2いずれか記載のガラスセラミックス。
【請求項4】
酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%で
TiO成分を15.0〜95.0%、
SiO成分及び/又はP成分を3.0%〜70.0%、
RnO成分及び/又はRO成分を0.1〜50%、
(式中、RnはLi、Na、K、Rb、Csから選ばれる1種以上とし、MはBe、Mg、Ca、Sr、Baから選ばれる1種以上とする)
含有する請求項1から3いずれか記載のガラスセラミックス。
【請求項5】
酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%で
成分を0〜40%、
GeO成分を0〜10%、
Al成分を0〜20%、
ZnO成分を0〜60%、
ZrO成分を0〜20%、
SnO成分を0〜10%、
Bi成分及び/又はTeO成分を0〜20%、
Nb成分、Ta成分、WO成分から選ばれる1種以上を0〜30%、
Ln成分を0〜30%(LnはY、Ce、La、Nd、Gd、Dy、Ybから選ばれる一種以上)、
成分を0〜10%(Mは、V、Cr、Mn、Fe、Co、及びNiから選ばれる一種以上とし、x及びyはそれぞれx:y=2:(Mの価数)を満たす最小の自然数とする)
As成分及び/又はSbを成分0〜5%、含有し、
酸化物基準組成のガラス全物質量に対する外割り質量%で、
F、Cl、Br、S、N、及びCから選ばれる1種以上の非金属元素成分を0〜10%、
Cu、Ag、Au、Pd、Pt、Ru、及びRhから選ばれる1種以上の金属元素成分を0〜5%、
含むことを特徴とする請求項1から4いずれか記載のガラスセラミックス。
【請求項6】
紫外領域から可視領域までの波長の光によって触媒活性が発現される請求項1から5いずれか記載のガラスセラミックス。
【請求項7】
JIS R 1703−2:2007に基づくメチレンブルーの分解活性指数が3.0nmol/L/min以上である請求項6記載のガラスセラミックス。
【請求項8】
紫外領域から可視領域までの波長の光を照射した表面と水滴との接触角が10°以下となる請求項1から7いずれか記載のガラスセラミックス。
【請求項9】
請求項1から8いずれか記載のガラスセラミックスを有する光触媒機能性部材。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか記載のガラスセラミックスを有する親水性部材。
【請求項11】
請求項1から8のいずれか記載のガラスセラミックスの製造方法であって、
原料を混合してその融液を得る溶融工程と、
前記融液の温度を結晶化温度領域まで低下させる第一冷却工程と、
前記温度を前記結晶化温度領域の範囲内で維持して結晶を生じさせる結晶化工程と、
前記温度を前記結晶化温度領域の範囲外まで低下させて結晶分散ガラスを得る第二冷却工程と、を有するガラスセラミックスの製造方法。
【請求項12】
請求項1から8のいずれか記載のガラスセラミックスの製造方法であって、
原料を混合してその融液を得る溶融工程と、
前記融液を冷却してガラスを得る冷却工程と、
前記ガラスの温度を結晶化温度領域まで上昇させる再加熱工程と、
前記温度を前記結晶化温度領域の範囲内で維持して結晶を生じさせる結晶化工程と、
前記温度を前記結晶化温度領域の範囲外まで低下させて結晶分散ガラスを得る再冷却工程と、を有するガラスセラミックスの製造方法。
【請求項13】
前記結晶化温度領域は、500℃以上1200℃以下である請求項11又は12いずれか記載のガラスセラミックスの製造方法。
【請求項14】
前記結晶分散ガラスに対してドライエッチング及び/又はウェットエッチングを行うエッチング工程をさらに有する請求項11から13のいずれか記載のガラスセラミックスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−275175(P2010−275175A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−236663(P2009−236663)
【出願日】平成21年10月13日(2009.10.13)
【出願人】(000128784)株式会社オハラ (539)
【Fターム(参考)】